以下この発明の第1の実施例について図1乃至図6を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の第1の実施例の画像形成装置1を示す概略構成図である。画像形成装置1は、原稿を読み取るスキャナ部6と、画像を形成するプリンタ部2に被定着媒体であるシート紙Pを供給する給紙部3を備えている。スキャナ部6は、上面に設けられる自動原稿送り装置4により供給される原稿から読み取った画像情報を、アナログ信号に変換する。
プリンタ部2は、矢印q方向に回転される転写ベルト10aに沿って、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーション18Y、18M、18C、18Kがタンデムに並べられた画像形成ユニット10を備える。更に画像形成ユニット10は、各色の画像形成ステーション18Y、18M、18C、18Kの感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kに画像情報に応じたレーザビームを照射するレーザ露光装置19を備える。更にプリンタ部2は、定着装置11、排紙ローラ52を備え、定着後のシート紙Pを排紙部5に搬送する排紙搬送路53を有している。
画像形成ユニット10のイエロ(Y)の画像形成ステーション18Yは、矢印r方向に回転する感光体ドラム12Yの周囲に、帯電器13Y、現像装置14Y、転写ローラ15Y、クリーナ16Y、除電器17Yを配置してなっている。マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーション18M、18C、18Kは、イエロ(Y)の画像形成ステーション18Yと同様の構成とされる。
給紙部3は第1及び第2の給紙カセット3a、3bを備える。給紙カセット3a、3bから、画像形成ユニット10に至るシート紙Pの搬送路7には、給紙カセット3a、3bからシート紙Pを取り出すピックアップローラ7a、7b、分離搬送ローラ7c、7d、搬送ローラ7e及びレジストローラ8が設けられる。
プリント操作開始により、プリンタ部2のイエロ(Y)の画像形成ステーション18Yでは、感光体ドラム12Yが矢印r方向に回転され、帯電器13Yにより一様に帯電される。次いで感光体ドラム12Yは、レーザ露光装置19により、スキャナ部6で読取ったイエロの画像情報に対応する露光々を照射され静電潜像を形成される。この後感光体ドラム12Yは現像装置14Yによりトナーを供給され、感光体ドラム12Y上にイエロ(Y)のトナー像が形成される。このイエロ(Y)のトナー像は、転写ローラ15Y位置で、転写ベルト10a上を矢印q方向に搬送されるシート紙Pに転写される。トナー像を転写終了後、感光体ドラム12Yはクリーナ16Yにより残留トナーをクリーニングされ、除電器17Yにより感光体ドラム12Y表面を除電され、次のプリント可能とされる。
マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーション18M、18C、18Kにおいても、イエロ(Y)の画像形成ステーション18Yと同様にして、トナー像を形成する。画像形成ステーション18M、18C、18Kで形成された各色のトナー像は、各転写ローラ15M、15C、15K位置にて、イエロのトナー像を形成されたシート紙Pに順次転写される。このようにしてカラートナー像を形成されたシート紙Pは、定着装置11により加熱加圧定着されプリント画像を完成され排紙部5に排紙される。
次に定着装置11について述べる。図2は、定着装置11を軸方向から見た概略構成図である。定着装置11は、発熱部材であり、外径50mmのヒートローラ20を有する。ヒートローラ20と対向する位置には、ベルトを有するユニット化されたベルト機構30が配置される。ベルト機構30は、複数のローラである対向ローラ31と金属ローラ32を有し、これ等対向ローラ31及び金属ローラ32に支持されるエンドレスのベルト33を有する。更にベルト機構30は、ニップ幅を長くするための押圧部材である補助加圧部材42を有している。補助加圧部材42は、スプリング41に押されてベルト33をヒートローラ20に押圧する。これによりヒートローラ20及びベルト33の間には、一定幅のニップ37が形成される。
ヒートローラ20は、第1の駆動モータ36aにより矢印s方向に回転される。ベルト33は、第2の駆動モータ36bによる、金属ローラ32の回転により、矢印t方向に走行される。ヒートローラ20及びベルト33はニップ37にてシート紙Pを挟持して、排紙ローラ52方向に搬送する。シート紙Pは、このようなヒートローラ20及びベルト33間のニップ37を通過することにより、シート紙P上のトナー像を加熱加圧定着される。尚ヒートローラ20及びベルト33の駆動機構は限定されず、例えば、ヒートローラ20及びベルト33を同じ駆動モータで回転しても良い。
ヒートローラ20は、弾性ローラ21及び表層22を有している。弾性ローラ21は、例えば鉄(Fe)或はアルミで構成される芯金20aと、芯金20a周囲に配置される弾性層である発泡シリコンゴム層20bを有する。芯金20aは、中実或は中空のいずれであっても良い。発泡シリコンゴム層20bは、耐熱性及び断熱性を有し、例えば平均セル径が約150ミクロンの、連続泡のマイクロセルラー発泡体で構成されている。
表層22は、図3に示すように、例えばニッケル(Ni)から形成される厚さ30〜50μmの金属層である金属導電層20cの表面に、例えば肉厚0.1〜0.5mmのシリコンゴム層20dを有する。さらに表層22は、シリコンゴム層20dの表面に、離型層20eを形成して構成されている。離型層20eは、例えば、フッ素樹脂(PFAまたはPTFE(ポリ四フッ化エチレン)、もしくはPFAとPTFEの混合物)により構成されている。離型層20eの層厚は、例えば0.05〜0.2mmとされる。尚金属層は、ニッケルに限らず、磁性ステンレス、鉄等であっても良い。金属層は、誘導加熱方式で加熱効率の良いものであれば良い。
弾性ローラ21の、発泡シリコンゴム層20bは、芯金20aと金属導電層20cとを熱絶縁する。これによりヒートローラ20全体の熱容量を低く保つことが可能となる。又発泡シリコンゴム層20bは、ベルト33との間で形成されるニップ37を広く保ち、且つ誘導電流発生装置から発生される磁束を芯金20aまで影響を及ぼさないような距離を保つために、例えば5〜15mm程度の厚さとされる。発泡シリコンゴム層20bは、あまり厚すぎると、ヒートローラ20の回転に伴うトルク(負荷)により、芯金20aとの境界面での応力が大きくなる。この応力により、発泡シリコンゴム層20bが、芯金20aとの境界面で破損する可能性があることから、発泡シリコンゴム層20bの厚さは、15mm程度以下であることが望ましい。また発泡シリコンゴム層20bのゴム硬度は、ASKER C20〜40°程度が好ましい。
弾性ローラ21の、芯金20aと発泡シリコンゴム層20bとは互いに固定されている。表層22の、金属導電層20cとシリコンゴム層20d及び、シリコンゴム層20dと離型層20eも互いに固定されている。但し発泡シリコンゴム層20bと金属導電層20cとは接着しないものとする。
弾性ローラ21は、常温(25℃)の時には、外径が、表層22の内径よりも例えば0.2〜0.7mm程度小さくなっている。従って、表層22を弾性ローラ21に接着固定していないので、表層22は弾性ローラ21に対してスライド可能であり、表層22が寿命に達した場合には、交換可能とされている。又弾性ローラ21は、加温により熱膨張される。例えばヒートローラ20表面を、170℃の定着可能温度の状態で放置すると、発泡シリコンゴム層20bは徐々に膨張する。このようにして発泡シリコンゴム層20bが膨張した状態では、弾性ローラ21の外径は、表層22の内径より例えば0.2〜0.5mm程度大きくなる。これにより、表層22は、弾性ローラ21を締め付けた状態で、弾性ローラ21に嵌るようになっている。尚、ヒートローラ20の構造は限定されず、発泡シリコンゴム層20bと金属導電層20cとを接着して一体に形成しても良い。
ベルト機構30では、対向ローラ31がヒートローラ20に当接される。これにより、ベルト33は、対向ローラ31位置でヒートローラに加圧接触される。更にベルト33は、補助加圧部材42によりヒートローラ20に押圧されている。従って、ヒートローラ20及びベルト33の間には、対向ローラ31から補助加圧部材42に至る一定幅例えば14mmのニップ37が形成される。一方、金属ローラ32は、磁性ステンレスからなっている。但し金属ローラはこれに限定されず、誘導加熱方式で加熱効率の良いものであれば、鉄やニッケル等であっても良い。
ベルト33は、図4に示すように、例えば、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂からなる基材33aに、シリコンゴム等の耐熱ゴムからなる弾性層33b、およびPFA等のフッ素樹脂からなる離型層33cを形成して構成されている。基材33aの厚さは、例えば0.1〜0.5mmとされる。ベルト機構30に用いられるベルトは樹脂に限定されず、基材に金属粉を分散させても良い。これにより、ベルト自身が誘導加熱により発熱可能とされる。
ベルト機構30の補助加圧部材42は、断面が矩形のシリコンゴムからなり、矩形の角は丸いR形状に形成されている。補助加圧部材42は、対向ローラ31と共に、ヒートローラ20及びベルト33の間にニップ37を形成して、ニップ37の幅を広げている。このようにニップ37の幅を広げることにより、ニップ37にてシート紙Pを挟持して定着する場合の、ヒートローラ20に対する補助加圧部材42の荷重を低減できる。この実施例では、定着時のヒートローラ20に対する補助加圧部材42の荷重は、例えば400Nとする。
ヒートローラ20の外周には、剥離爪54、第1の誘導電流発生装置である第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50b、発熱部材温度センサであり、ヒートローラ20と非接触の第1及び第2のサーミスタ56a、56b及び、第1及び第2のサーモスタット57a、57bが設けられる。剥離爪54は、定着後のシート紙Pがヒートローラ20に巻きつくのを防止する。剥離爪54は、接触式あるいは非接触式のいずれであっても良い。
第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bは、ヒートローラ20の外周に所定のギャップを介して設けられ、ヒートローラ20の金属層20cを発熱させる。第1の誘導電流発生コイル50aは、ヒートローラ20の中央領域を発熱させ、第2の誘導電流発生コイル50bは、ヒートローラ20の両側の領域を発熱させる。従って、小サイズのシート紙Pの定着を行う場合には、第1の誘導電流発生コイル50aに電力を供給して、ヒートローラ20の中央領域を発熱させる一方、第2の誘導電流発生コイル50bへの電力供給を停止する等する。
又、ヒートローラ20の全長を発熱する場合には、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bは、交互に切り替えて出力され、いずれも例えば200W〜1500Wまで調整可能となるように設定されている。尚、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bは、同時に出力可能であっても良い。又、同時に出力する場合に、第1の誘導電流発生コイル50aと第2の誘導電流発生コイル50bの出力値を変えることも可能である。例えば、両側に比べてヒートローラ20の中央領域を通過するシート紙Pが多い場合には、第1の誘導電流発生コイル50aの出力を第2の誘導電流発生コイル50bの出力より大きくすることも可能である。
第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bは、ヒートローラ20に磁束を集中させるための磁性体コアに線材を周回して形成されている。線材として、例えば耐熱性のポリアミドイミドで被覆して、お互いに絶縁された銅線材を複数本束ねて構成されるリッツ線を用いている。線材をリッツ線とすることにより、線材の径を磁界の浸透深さより小さくすることが出来る。これにより線材に高周波電流を有効に流すことが可能になる。この実施例においては、直径0.3mmの銅線材を40本束ねてリッツ線としている。
この様なリッツ線に所定の高周波電流を供給すると、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bは磁束を発生する。この磁束により、金属層20cに、磁界の変化を妨げるように渦電流を発生させる。この渦電流と金属層20cの抵抗値によりジュール熱が発生して、ヒートローラ20は瞬時に発熱される。
ヒートローラ20と非接触の第1及び第2のサーミスタ56a、56bとして、例えばサーモパイル式の赤外線温度センサが使用される。サーモパイル式の赤外線温度センサは、赤外線を受光して、赤外線エネルギーを算出し、サーモパイルに発生した温接点部の温度変化を、熱電対の起動電力として検出する。第1のサーミスタ56aは、ヒートローラ20のほぼ中央の表面温度を検出して、電圧に変換する。第2のサーミスタ56bは、ヒートローラ20の側部の表面温度を検出して、電圧に変換する。
第1のサーモスタット57aは、ヒートローラ20の中央部の表面温度の異常を検知する。第2のサーモスタット57bは、ヒートローラ20の側部の表面温度の異常を検知する。第1或いは第2のサーモスタット57a、57bが異常を検知した場合は、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bへの電力供給を強制的にオフする。
ベルト33の周囲であって、金属ローラ32と対向する位置には、第2の誘導電流発生装置である中央コイル60aと側部コイル60bが設けられる。中央コイル60a及び側部コイル60b位置を通過した後のベルト33周囲には、第3及び第4のサーモスタット62a、62bが設けられる。又ニップ37通過後のベルト33周囲には、ベルト温度センサでありベルト33と非接触のサーモパイル式の赤外線温度センサからなる第3及び第4のサーミスタ61a、61bが設けられる。
中央コイル60aは、金属ローラ32の幅方向の中央部を発熱させ、側部コイル60bは、金属ローラ32の幅方向の両側部を発熱させる。従って、小サイズのシート紙Pの定着を行う場合には、中央コイル60aに電力を供給して、金属ローラ32の中央部を発熱させる一方、側部コイル60bへの電力供給を停止する。金属ローラ32の全長を発熱させる場合には、中央コイル60a及び側部コイル60bは、交互に切り替えて出力され、いずれも例えば200W〜1200Wまで調整可能となるように設定されている。尚、中央コイル60a及び側部コイル60bは、同時に出力可能であっても良い。中央コイル60a及び側部コイル60bは、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと同様に形成される。金属ローラ32は、中央コイル60a及び側部コイル60bの磁束により瞬時に発熱され、ベルト33を加熱する。
第3のサーミスタ61aは、ベルト33の幅方向のほぼ中央の表面温度を検出し電圧に変換する。第4のサーミスタ61bは、ベルト33の幅方向の側部の表面温度を検出して、電圧に変換する。第3のサーモスタット62aは、ベルト33の幅方向の中央部の表面温度の異常を検知する。第4のサーモスタット62bは、ベルト33の幅方向の側部の表面温度の異常を検知する。第3或いは第4のサーモスタット62a、62bが異常を検知した場合は、中央コイル60a及び側部コイル60bへの電力供給を強制的にオフする。
次に、ヒートローラ20周囲の第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと、ベルト周囲の中央コイル60a及び側部コイル60bの配置、更に、第1及び第2のサーミスタ56a、56bと、第3及び第4のサーミスタ61a、61bの配置について述べる。
図2において、ニップ37の入り口位置をa、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bによる誘導加熱の中心位置をb、中央コイル60a及び側部コイル60bによる誘導加熱の中心位置をcとする。この時、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと、ベルト周囲の中央コイル60a及び側部コイル60bは、b〜a間の距離と、c〜a間の距離とが同じになる位置に配置される。
更に、第1及び第2のサーミスタ56a、56bによる、ヒートローラ20上の読み取り位置をdとし、第3及び第4のサーミスタ61a、61bによるベルト33上の読み取り位置をeとする。この時、第1及び第2のサーミスタ56a、56bと、第3及び第4のサーミスタ61a、61bは、d〜b間の距離と、e〜c間の距離とが同じになる位置に配置される。
b〜a間の距離と、c〜a間の距離を同じにすることにより、ヒートローラ20及びベルト33の表面温度をフィードバック制御する時に、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bの制御と、中央コイル60a及び側部コイル60bの制御の位相を揃えることが可能となる。又、d〜b間の距離と、e〜c間の距離を同じにすることにより、定着時のシート紙Pへの熱伝達によるヒートローラ20側とベルト33側の温度差の位相差制御を一定にすることが出来る。従って、制御部での位相差制御が容易となる。
特に、ヒートローラ20及びベルト33の熱容量が小さい場合には、電力の供給による温度リップルが大きくなる。このため、ヒートローラ20及びベルト33の温度をフィードバック制御する際に非常に繊細な制御が要求される。従って、上述したように制御部での位相差制御を容易にすることにより、ヒートローラ20及びベルト33の表面温度のフィードバック制御が複雑化されるのを防止できる。
又、この実施例のように、ヒートローラ20及びベルト33を、2分割した第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50b及び、第3及び第4の誘導電流発生コイル60a、60bによりそれぞれ温度制御する場合には、一体の誘導電流発生コイルを用いる場合に比べて、CPU71によるインバータ駆動回路72の設定制御がより複雑となる。従って、特にこの様な場合には、CPU71における位相差制御が容易になることによる、インバータ駆動回路72の設定制御の高速化を得られることとなる。
次にヒートローラ20及びベルト33を温度制御する制御系70について図5を参照して述べる。制御系70は二次側に、ドキュメントフィーダやフィニッシャ或はファックス等のオプション装置を含む、画像形成システム全体の制御を行う制御部であるCPU71を有する。一方制御系70は、一次側に、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと、中央コイル60a及び側部コイル60bに駆動電力を供給するインバータ駆動回路72、商用交流電源73からの電流を整流してインバータ駆動回路72に供給するノイズフィルタ74、インバータ駆動回路72を制御するコイル制御回路76、ノイズフィルタ74の出力を検出して、商用交流電源73からの電力が一定になるようにフィードバックする電源検出回路77及びヒューズ78を有する。
二次側のCPU71のインターフェース80は、フォトカプラ81を介して、一次側のコイル制御回路76と送受信される。フォトカプラ81を使用することにより、制御系70の二次と一次側とを絶縁することが出来る。第1及び第2のサーミスタ56a、56bと、第3及び第4のサーミスタ61a、61bによる温度検知結果は、CPU71に入力される。
次に図6のフローチャートを用いて、制御系70によるヒートローラ20及びベルト33の温度制御について述べる。画像形成装置1の電源がオフされている間は、ベルト機構30はヒートローラ20から離間されている。この状態で、画像形成装置1の電源をオンすると、画像形成システム全体を制御するために、CPU71のOSが起動される。CPU71のOSが起動されたかを比較して(ステップ101)、OSが起動したら、ベルト機構30がヒートローラ20と離間された、ホームポジションにあるかを比較する(ステップ102)。ベルト機構30がホームポジションに無い場合は、ベルト機構30をホームポジションに移動して、ヒートローラ20から離間するための離間動作を行う(ステップ103)。
ステップ102で、ベルト機構30がホームポジションにあれば、第1及び第2の駆動モータ36a、36bをオンして、ヒートローラ20及びベルト33をそれぞれ回転する(ステップ105)。次いで、インバータ駆動回路72により、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと、ベルト周囲の中央コイル60a及び側部コイル60bに電力を供給して(ステップ106)ウォームアップを開始する。この時画像形成装置1全体で使用可能な総電力量が決まっている。このためインバータ駆動回路72は、総電力量のうち、温度制御に使用可能な電力量の範囲で、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと、中央コイル60a及び側部コイル60bへの電力量を最適に配分し、フィードバック制御する。
第1及び第2のサーミスタ56a、56bと、第3及び第4のサーミスタ61a、61bにより、ヒートローラ20とベルト33の表面温度が、ヒートローラ20とベルト機構30を当接可能な、所定のプレラン温度に到達するのを検知したら(ステップ107)、ヒートローラ20とベルト機構30を当接する(ステップ108)。この時、補助加圧部材42の荷重は、400Nとされ、ヒートローラ20及びベルト33の間のニップ37幅は14mmとなる。この後ウォームアップ操作を継続し、ヒートローラ20の表面温度が例えば170℃に達し、ベルト33の表面温度が例えば160℃に達したかを比較する(ステップ110)。ステップ110でヒートローラ20及びベルト33が定着可能温度に到達したら、ウォームアップを完了し、画像形成装置1は待機モードになる。
この待機モード時、第1及び第2のサーミスタ56a、56bによりヒートローラ20の表面温度を検知して、定着可能温度を保持するよう、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bをフィードバック制御する。同様に、第3及び第4のサーミスタ61a、61bによりベルト33の表面温度を検知して、定着可能温度を保持するよう、中央コイル60aと側部コイル60bをフィードバック制御する。
ウォームアップを完了した後にCPU71からプリント命令が指示されると、プリンタ部2は、プリント操作を開始し、画像形成ユニット10にてシート紙Pにトナー像を形成する。次いでトナー像を有するシート紙Pをヒートローラ20及びベルト33間の幅14mmのニップ37に挿通して、トナー像を加熱加圧定着する。
この定着時、シート紙Pは、インバータ駆動回路72により温度制御されるベルト33によりシート紙Pの背面からも定着エネルギーを得られる。従って、ヒートローラ20及びベルト33の熱容量が小さいにもかかわらず、シート紙Pは両面から定着エネルギーを得られ、高速にて連続して定着操作を行っても、シート紙Pは十分な定着エネルギーを得られることとなる。
一方、小サイズのシート紙Pを連続定着した場合に、ヒートローラ20及びベルト33の熱容量が小さいため、通紙領域の外側であるヒートローラ20の側部では、ヒートローラ20及びベルト33の温度上昇が激しくなる。このためヒートローラ20あるいはベルト33が耐熱限界に達してしまうのを防止するため、ヒートローラ20あるいはベルト33が耐熱限界に達する前に、ヒートローラ20あるいはベルト33の温度が低下するのを待機するための、ウエイト時間を必要とする。但しこの実施例では、CPU71によるインバータ駆動回路72の設定制御が高速化されていることから、ヒートローラ20及びベルト33の側部が温度上昇するのに対して、早めに対応可能となる。従って、ヒートローラ20及びベルト33の側部の温度が低下するのを待機するウエイト時間を短縮することができる。
この様にウエイト時間等を経過しながら、且つヒートローラ20及びベルト33を定着可能温度に保持して定着操作を終了し、待機モードとなった後に、所定時間プリント命令が無い場合には、画像形成装置1は予熱モードとなる。
上記、各モードにおいて、CPU71は、常に第1及び第2のサーミスタ56a、56bと、第3及び第4のサーミスタ61a、61bからの温度検知結果を用いて、ヒートローラ20及びベルト33の表面温度を各所温度に保持するよう設定制御する。この設定に基づきCPU71は、コイル制御回路76を介してインバータ駆動回路72を制御する。このようにインバータ駆動回路72を設定制御するときに、CPU71は、ヒートローラ20とベルト33における、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと中央コイル60a及び側部コイル60bの位置の差、及び第1及び第2のサーミスタ56a、56bと第3及び第4のサーミスタ61a、61bの位置の差による位相差を考慮する必要が無い。従って、CPU71によるインバータ駆動回路72の設定制御が容易になり、制御速度の高速化を得られる。
尚このようにインバータ駆動回路72により、ヒートローラ20の表面温度をフィードバック制御している間に、不具合により、インバータ駆動回路72の制御が不能になる等して、ヒートローラ20の表面温度が閾値を超えた場合、第1あるいは第2のサーモスタット57a、57b又は、第3あるいは第4のサーモスタット62a、62bが異常を検知して、インバータ駆動回路72を強制的にオフする。
この第1の実施例の定着装置11によれば、ヒートローラ20の熱容量を小さくして、ウォーミングアップ時間の高速化を図っている。又、中央コイル60a或は側部コイル60bを用いる金属ローラ32の誘導加熱によりベルト33を加熱し、連続定着時の、ヒートローラ20側の熱容量の不足を補っている。従って、連続定着時に、定着エネルギーの不足による定着不良を防止でき、又ヒートローラ20が定着可能温度に達するまでを待つための、ウエイト時間を少なく出来、画像形成時の生産性の低下を防止出来る。
更に、補助加圧部材42を設けることにより、荷重を増大する事無く、ニップ37幅を広げることが出来る。従って、定着時にヒートローラ20及びベルト33のニップ37間の荷重の低減を得られ、ヒートローラ20及びベルト33の長寿命化を図れる。
又、ヒートローラ20における表面温度の検知から、加熱を経てニップに到るまでの距離と、ベルト33における表面温度の検知から、加熱を経てニップに到るまでの距離とが同じになっている。従って、CPU71によりインバータ駆動回路72を設定制御する時に、ヒートローラ20とベルト33とで、サーミスタ及びコイルの配置がズレていることを原因とする、位相差の補間制御を行う必要が無く、インバータ駆動回路72の設定制御が容易となる。これによりCPU71によるインバータ駆動回路72の設定制御を高速化できる。この結果、小サイズのシート紙の連続定着時等に、インバータ駆動回路72を早めに設定制御することが可能となり、耐熱限界近くに達したヒートローラ20とベルト33が、温度低下するのを待機するためのウエイト時間の節約も図れ、生産性の低下を防止出来る。
次にこの発明の第2の実施例について説明する。この第2の実施例は上述した第1の実施例において、ベルトの軸方向における加熱幅の制御の仕方が異なるものであり、他は第1の実施例と同様である。従ってこの第2の実施例にあっては、前述の第1の実施例で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
第2の実施例は、ベルト機構30の金属ローラ32の発熱幅を、2分割した中央コイル60a及び側部コイル60bを用いて制御するのではなく、金属ローラ32内に設けられる磁束制御部材87を用いて行う。
図7に示すように、第2の実施例の定着装置84にあっては、ベルト33の周囲であって、金属ローラ32と対向する位置に、第2の誘導電流発生装置である第3の誘導電流発生コイル86が設けられる。第3の誘導電流発生コイル86は、金属ローラ32の軸方向の全長にわたって磁束を発生させるようになっている。又金属ローラ32の中空内部には、金属ローラ32の発熱幅を制御するための磁束制御部材87が回動可能に設けられる。磁束制御部材87は、例えばアルミ等の非磁性部材からなる円筒基材87aの外周面に、ニッケル−亜鉛(Ni−Zn)合金からなる磁性材料からなるコア部材87bを設けてなっている。コア部材87bは、例えば定着可能な各種シート紙Pの幅に合わせて形成される。磁束制御部材87のコア部材87bが存在する領域に対応する領域の金属ローラ32が発熱される。
磁束制御部材87のコア部材87bは、図8に示すように複数幅に階段状に形成されている。例えば、コア部材87bの1段目88aは、円筒基材87aの全長にわたって形成され、JIS規格A3サイズとLDサイズをカバーする幅に形成される。コア部材87bの2段目88bは、JIS規格B4サイズとリーガルサイズをカバーする幅に形成される。コア部材87bの3段目88cは、JIS規格A4Rサイズとレターサイズをカバーする幅に形成される。尚、円筒基材はアルミに限定されず、非磁性の樹脂で形成する等任意である。又、コア部材の材料も限定されず、マンガン−ニッケル(Mn−Ni)合金等で形成しても良い。
定着時に第3の誘導電流発生コイル86に電力を供給しても、金属ローラ32は、軸方向の全長にわたり発熱されるのではなく、磁束制御部材87のコア部材87bに対応する領域のみが発熱される。即ち、金属ローラ32の、円筒基材87aと対応する領域では発熱されない。磁束制御部材87は、例えばステッピングモータ90により、所定角度回動されるようになっている。磁束制御部材87は、定着時にシート紙Pのサイズに合わせて、コア部材87bの所定の幅を有する段が、第3の誘導電流発生コイル86と対向するように回転移動される。又この実施例では、ベルト33の表面温度を検出するベルト温度センサとして、幅方向のほぼ中央の表面温度を検出する第5のサーミスタ91を設けている。
次にこの実施例の制御系170を図9に示す。制御系170は、一次側に、第1及び第2の誘導電流発生コイル50a、50bと、単一の第3の誘導電流発生コイル86に駆動電力を供給するインバータ駆動回路72を有する。更に制御系170は、一次側に、商用交流電源73からの電流を整流してインバータ駆動回路72に供給するノイズフィルタ74、インバータ駆動回路72を制御するコイル制御回路76、ノイズフィルタ74の出力を検出して、商用交流電源73からの電力が一定になるようにフィードバックする電源検出回路77及びヒューズ78を有する。又二次側のCPU71には、第1及び第2のサーミスタ56a、56bと、第5のサーミスタ91による温度検知結果が入力される。従って、この実施例の制御系170は、前述の第1の実施例に比べてベルト33の温度制御部分が簡素化される。
次に制御系170によるヒートローラ20及びベルト33の温度制御を、図10のフローチャートを用いて説明する。画像形成装置1の電源をオンした後、先ず第1の実施例と同様にしてステップ101〜ステップ103を経て、ベルト機構30をホームポジションに設定する。次いで、コア部材87bの1段目88aを第3の誘導電流発生コイル86と対向させるように磁束制御部材87を回転移動し、磁束制御部材87を初期位置に設定する(ステップ104)。この後、第1の実施例と同様にステップ105〜ステップ108及びステップ110を経てウォームアップを完了すると、画像形成装置1は待機モードになる。この待機モード時、ベルト33は、軸方向の全域を定着可能温度に加熱されている。
ウォームアップを完了した後、CPU71からプリント指示があった場合、ベルト機構30側にあっては、使用するシート紙Pサイズに応じて、シート紙Pサイズに対応する幅を有する、コア部材87bの所定の段が、第3の誘導電流発生コイル86に対向するように、磁束制御部材87を回転移動する。これにより金属ローラ32は、コア部材87bに対応する領域、即ち、シート紙Pサイズに対応する領域を発熱され、ベルト33のシート紙Pサイズに対応する領域を加熱する。
次いで定着装置84は、プリント操作によりシート紙P上に形成されたトナー像を、加熱加圧定着する。定着操作を終了後の待機モード時には、再度磁束制御部材87を回転移動して、コア部材87bの1段目88aを第3の誘導電流発生コイル86に対向させる。定着操作終了後に所定時間プリント命令が無い場合には、画像形成装置1は予熱モード(ヒートローラ20及びベルト33の表面温度をそれぞれ定着可能温度より低い所定の予熱温度に保ち、プリント指示があった場合に、ヒートローラ20及びベルト33の表面温度を、直ちにプリント可能な定着温度まで立ち上げる。)に設定される。
この間、インバータ駆動回路72は、ベルト機構30側にあっては、第5のサーミスタ91の温度検知結果に応じて、単一の第3の誘導電流発生コイル86への電力供給を行うのみとされる。
この第2の実施例の定着装置84によれば、第1の実施例と同様、ウォーミングアップ時間の高速化を得られると共に、連続して画像形成を行う場合の生産性の低下を防止出来る。また、補助加圧部材42を用いることにより、ヒートローラ20及びベルト33間の荷重を増大する事無くニップ37幅を広げることが出来る。従って、ニップ37位置において、ヒートローラ20及びベルト33間にかかる荷重を低減出来、ヒートローラ20及びベルト33の長寿命化を図ることが出来る。しかも、CPU71によるインバータ駆動回路72の設定制御時には、第1の実施例と同様、位相差の補間制御を行う必要が無く、インバータ駆動回路72の設定制御の高速化を得られる。従って耐熱限界近くに達したヒートローラ20あるいはベルト33の温度が低下するのを待機するための、ウエイト時間を減らすことが出来、画像形成時に生産性が低下されるのを防止出来る。しかも、ベルト機構30側においては、磁束制御部材87を用いることにより、単一の第3の誘導電流発生コイル86により誘導加熱するにもかかわらず、金属ローラ32の発熱幅を制御することが出来る。従って、実施例1のように金属ローラ32の発熱幅を、中央コイルと側部コイルとに2分割して制御する場合に比較して、回路を含めた構造及び制御が、簡素化され、定着装置84の小型化を得られる。
尚この発明は、上記実施例に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変更可能である。例えば、押圧部材の形状或いは構造は任意である。更に押圧部材により形成されるニップの幅や、荷重の大きさも限定されない。又、温度制御時の位相差の補正を簡素化するために、発熱部材及びベルトにおいて、温度検知位置から誘導加熱の中心位置までの距離、或いは誘導加熱の中心位置からニップまでの距離の、いずれか一方のみをそろえるようにしても良い。
更に定着装置の構造等限定されず、発熱部材はローラ形状に限らず、図11に示す他の変形例の定着装置120のようにベルト形状であっても良い。この変形例では、矢印v方向に回転される第2のベルト123を第2の金属ローラ122及び第2の対向ローラ124で支持する第2のベルト機構121を有する。金属ローラ122は、第5及び第6の誘導電流発生コイル126a、126bにより誘導加熱される。又第2のベルト123の表面温度は、第5及び第6のサーミスタ127a、127bにより検知される。又定着装置120は、矢印w方向に回転される第3のベルト133を第3の金属ローラ132及び第4の対向ローラ134で支持する第3のベルト機構130を第2のベルト機構121に対向配置する。金属ローラ132は、第7及び第8の誘導電流発生コイル136a、136bにより誘導加熱される。又第3のベルト133の表面温度は、第7及び第8のサーミスタ137a、137bにより検知される。
第2のベルト機構121のシリコンゴムからなるプレート128と、第3のベルト機構130のシリコンゴムからなり第2の押圧スプリング138aにより荷重をかける第2の補助加圧部材138によりニップ140を形成する。定着装置120の、ニップ140の入り口位置をf、第2のベルト機構121の誘導加熱の中心位置をg、第3のベルト機構130の誘導加熱の中心位置をh、第2のベルト機構121の温度読み取り位置をi、第3のベルト機構130の温度読み取り位置をjとする。この時、g〜f間の距離と、h〜f間の距離とが同じとなり、i〜g間の距離と、j〜h間の距離とが同じとなるようにしても良い。尚、このように発熱部材をベルト形状とすることにより、第2のベルト機構121及び第3のベルト機構130の両方において、誘導電流発生装置を2分割する事無く、金属ローラ内に磁束制御部材を設けることにより、ベルトの加熱幅を制御することも可能となる。