JP2008101674A - 転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力供給手段に連通するとともに密閉された袋状部を有する袋状弾性部材によって、少なくとも一方の転がり軸受の外輪を軸方向内方向きに付勢することにより、転がり軸受装置の温度上昇による予圧抜けを防止する。
【解決手段】円錐ころ軸受9にアキシャル方向の予圧が加えられると、外輪42は、円錐ころ43の傾斜した転動面上での分力を受けてラジアル方向にも変位し、外周面42bが軸受ハウジング40の内周面40aに押し付けられて予圧が支持される。円錐ころ軸受9が昇温すると、軽金属製の軸受ハウジング40は、円錐ころ軸受9が取り付けられた鋼製の主回転軸4よりも大きく膨張するが、外輪42に袋状弾性部材53から油圧が軸方向内向きに加えられているので、外輪42の内周軌道面42aは円錐ころ43の転動面から離間することはない。
【選択図】 図2
【解決手段】円錐ころ軸受9にアキシャル方向の予圧が加えられると、外輪42は、円錐ころ43の傾斜した転動面上での分力を受けてラジアル方向にも変位し、外周面42bが軸受ハウジング40の内周面40aに押し付けられて予圧が支持される。円錐ころ軸受9が昇温すると、軽金属製の軸受ハウジング40は、円錐ころ軸受9が取り付けられた鋼製の主回転軸4よりも大きく膨張するが、外輪42に袋状弾性部材53から油圧が軸方向内向きに加えられているので、外輪42の内周軌道面42aは円錐ころ43の転動面から離間することはない。
【選択図】 図2
Description
本発明は転がり軸受装置に関し、特に円錐ころ軸受,アンギュラ玉軸受などの予圧をかけて使用される転がり軸受装置に関する。
円錐ころ軸受,アンギュラ玉軸受などの予圧をかけて使用される転がり軸受装置では、内輪および外輪をそれぞれ軸および軸受ハウジングに嵌合し、その後に予圧を調整する。軸と軸受ハウジングとが同じ材料であれば、温度変化による寸法変化も同じで大きな予圧の変化はなく、組み込み時に設定した予圧で運転される。
例えば、自動車用のトランスミッションにおいては、その要所(例えば終減速装置部分)に円錐ころ軸受が採用されている。円錐ころ軸受は、コンパクトでありながら大容量で使用可能な利点があり、また、ギアチェンジ時等における衝撃荷重への耐久性にも優れている利点がある。しかし、円錐ころ軸受は、円錐ころの転動面が傾斜しているため、アキシャル隙間規制用の予圧が必要である。予圧により、円錐ころ軸受のアキシャル隙間を負に設定することで、ギアの噛合い精度も向上する。
ところで、近年は軽量化の一環として、トランスミッションのケースをAl合金などの軽金属で構成することが行われている。Alは構成材料中でも線膨張係数が最も高く(室温で約23.5×10−6/℃:以下、線膨張係数の単位はppm/℃と略記する)、回転軸を構成する鋼(Fe系材料)の線膨張係数(室温で約12ppm/℃)とは相当の差がある。自動車の使用環境上の可能性を考慮すると、トランスミッションひいては回転軸を支持する円錐ころ軸受がさらされる温度環境は、最大で−40℃以上150℃以下にも及び、軽金属製のケースの回転軸に対する相対的な寸法変化範囲も相当に大きい。この場合、寒冷地以外の通常の使用環境では、走行中にトランスミッションの温度は室温よりも高い、例えば50℃以上80℃以下の温度域に昇温する。運転されると、組み込み時から温度が上昇することになり、運転中の温度上昇により回転軸に比べて円錐ころ軸受の軸受ハウジングの寸法変化が大きく、予圧が抜けてしまうおそれがある。
例えば、図5に示すように、従来の転がり軸受装置における円錐ころ軸受109では、円錐ころ軸受109の外輪142は、外周面142bが、主回転軸104の構成材料よりも線膨張係数の大きい材料よりなる軸受ハウジング140の内周面140aと当接している。具体的には、主回転軸104が鋼製(例えば、機械構造用低合金鋼)であり、軸受ハウジング140が軽金属製(例えば、ダイキャスト用Al合金)である。
図5に示すように、円錐ころ軸受109にアキシャル方向(矢印a方向)の予圧を加えると、外輪142は、円錐ころ143の傾斜した転動面上での分力を受けてアキシャル方向およびラジアル方向に変位し、ラジアル方向の予圧は、外周面142bが軸受ハウジング140の内周面140aに押し付けられて支持される。しかし、上記のごとく軸受ハウジング140を軽金属で構成する場合、図6に示すように、トランスミッションが昇温すると、軽金属製の軸受ハウジング140は、円錐ころ軸受109が取り付けられた主回転軸104よりも大きく膨張するから、外輪142の内周軌道面142aが円錐ころ143の転動面から矢印b方向に離間する。つまり、予圧状態での円錐ころ軸受109のアキシャル隙間およびラジアル隙間の温度変化が大きく、昇温時に予圧不足となってギアのがたつきによる騒音等も生じやすくなる問題がある。
このため、特許文献1では、軸受ハウジングまたは軸受ハウジング内に設けられて軸方向に当接した部材の内部に配設された複数のピストンからなる予圧機構を備える転がり軸受装置が提案されている。
特開昭57−33216号(第16頁、図6)
特許文献1に記載の転がり軸受装置は、軸の軸方向長さの温度変化が軸受ハウジングの軸方向長さの温度変化よりも小さい用途で用いた場合、ピストンで外輪を押すため、油圧が抜け、再度油圧がかかるときにピストンと外輪との当接点が変わることが生じ、そのまま油圧により軸方向に押すと、外輪が傾きやすく、外輪の内周軌道面と円錐ころとが傾いて接触し、外輪の内周軌道面と円錐ころとが傷つくおそれがある。
本発明の課題は、転がり軸受の外輪を袋状弾性部材を利用して予圧付与方向に付勢することにより、運転中の温度上昇による予圧抜けを防止するようにした転がり軸受装置を提供することにある。
請求項1記載の転がり軸受装置は、第1の線膨張係数を有するハウジング,第1の線膨張係数よりも小さい第2の線膨張係数を有する軸,前記軸に嵌合される内輪,第1の線膨張係数よりも小さい第3の線膨張係数を有し前記ハウジングに嵌合される外輪,および前記内輪と前記外輪との間に介挿されて転動する転動体を備えた転がり軸受を、前記転動体と前記外輪との接触角が軸方向内方から軸方向外方に向けて拡径するように2つ配設する転がり軸受装置であって、圧力供給手段に連通するとともに密閉された袋状部を有する袋状弾性部材を備え、前記袋状弾性部材は少なくとも一方の転がり軸受の外輪を軸方向内方向きに付勢するように前記外輪に当接されることを特徴とする。請求項1記載の転がり軸受装置によれば、外輪に当接する袋状弾性部材の内部に圧力供給手段(油圧ポンプ)から液状圧力媒体(オイル)を注入することにより、外輪を予圧付与方向に付勢して、温度上昇により軸受ハウジングが熱膨張しても予圧抜けを防止することができる。また、袋状弾性部材を使用することにより、オイルが漏れることがなく、シールが不要であり、圧力供給手段の余分な圧力損失が生じないという利点がある。さらに、袋状弾性部材であるため、軸の軸線方向の衝撃荷重等に対して袋状弾性部材が変形することで、衝撃を吸収することができる。なお、接触角は、日本工業規格JISB0104−1991「転がり軸受用語」に記載の接触角[呼び接触角]で定義する。
請求項2記載の転がり軸受装置は、前記外輪には、軸方向内方に窪む凹部が形成され、前記凹部に前記袋状弾性部材が嵌入することを特徴とする。請求項2記載の転がり軸受装置によれば、低温時には軸受ハウジングと外輪とのラジアル隙間およびアキシャル隙間は小さいが、高温時には軸受ハウジングと外輪とのラジアル隙間およびアキシャル隙間は大きくなるので、高温時に袋状弾性部材の内部のオイルの圧力を低温時と同じにすることにより、袋状弾性部材は軸方向に伸び、径方向に振れにくくなるので、外輪が転動体と傾いて接触することを抑制することができる。
転がり軸受の運転中の温度上昇により軸に比べて軸受ハウジングの寸法変化が大きくて予圧が抜けてしまうという問題を、圧力供給手段に連通するとともに密閉された袋状部を有する袋状弾性部材により、少なくとも一方の転がり軸受の外輪を軸方向内方向きに付勢することによって解消した。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る転がり軸受装置が配設されたトランスミッション1の一例を示す要部断面図である。このトランスミッション1は、ケース1Mを有し、その内部にギアボックス7が配置されている。ケース1M内において、入力軸(回転軸線O2)3と主回転軸(出力軸:回転軸線O1)4とが、それぞれギアボックス7を貫通する形で配置され、該ギアボックス7内において各々の軸上に配置されたギア30,31が噛み合っている。そして、入力軸3の回転は、ギア30,31を介して主回転軸4に正逆両方向に伝達される。入力軸3の両端は、ケース1Mの内側に固定された円筒ころ軸受5および玉軸受6によりそれぞれ支持されている。一方、主回転軸4の両端は、いずれも円錐ころ軸受8,9により支持されている。このうち、軸方向一方側の円錐ころ軸受8は、ケース1Mと一体の軸受ハウジング20に当て止めされて固定されている。他方、軸方向他方側の円錐ころ軸受9は、ケース1Mと一体の軸受ハウジング40に挿入され、かつ、外輪42において、上記軸方向一方側に向けて予圧付勢されている。軸受ハウジング40は、トランスミッション1のケース1Mと一体である結果、軸受ハウジング20とも一体である。
トランスミッション1では、ギアボックス7内に配置されるギアは、入力軸3上に配置される歯数の異なる複数枚の入力側ギア(符号31側)と、主回転軸4上の同様の複数枚の出力側ギア(符号30側)とであり、得るべき変速比ないし前進/後退の区別に応じて、噛合いの組み合わせが切替え可能に構成されている(例えば、マニュアルトランスミッション車の場合。他方、オートマチック車の場合は、ギア30,31が遊星ギア機構の遊星ギアと太陽ギアとに振り分けられた構造となる場合がある)。
円錐ころ軸受8は、トランスミッション1のケース1Mと一体の軸受ハウジング20と、主回転軸4と、主回転軸4に嵌合される内輪14と、軸受ハウジング20に嵌合される外輪15と、内輪14と外輪15との間に転動するように介挿された複数の円錐ころ16とから、その主要部が構成されている。円錐ころ軸受8は、円錐ころ16と外輪15との接触角が軸方向内方から軸方向外方に向けて拡径するように配設されている。
円錐ころ軸受8は、外輪15の外周面が、主回転軸4の構成材料よりも線膨張係数の大きい材料よりなる軸受ハウジング20の内周面と当接している。具体的には、主回転軸4が鋼(例えば、機械構造用低合金鋼)製であり、軸受ハウジング20が軽金属製である。軽金属はAlまたはMgのいずれかを主成分(含有率にて50質量%以上)とする金属であるが、加工性および耐食性の観点からAlまたはAl合金が使用される。Al合金としては、具体的にはダイキャスト用Al合金が使用される。本実施例1では、ケース1MもAl合金製であり、軸受ハウジング20は該ケース1Mの内面に一体化されてなる。また、円錐ころ軸受8は、転動体(円錐ころ16)および軌道輪(外輪15/内輪14)が、いずれも鋼(例えば、軸受鋼,はだ焼き鋼,浸炭鋼)製にて構成されている。自動車用のトランスミッション1における軸受使用環境温度は−40℃以上150℃以下の範囲(寒冷地および高速連続運転等を除いた通常到達温度は、50℃以上80℃以下)であり、軸受ハウジング20の構成主成分であるAlの線膨張係数(第1の線膨張係数)は23〜24ppm/℃、主回転軸4および円錐ころ軸受8の構成主成分であるFeの線膨張係数(第2の線膨張係数)は12〜13ppm/℃である。
図2および図3は、本実施例1に係る転がり軸受装置における円錐ころ軸受9の要部拡大断面図である。
円錐ころ軸受9は、第1の線膨張係数を有する軽金属(例えば、ダイキャスト用Al合金)製の軸受ハウジング40と、第1の線膨張係数よりも小さい第2の線膨張係数を有する鋼(例えば、機械構造用低合金鋼)製の主回転軸4と、主回転軸4に嵌合される内輪41と、軸受ハウジング40に嵌合される第1の線膨張係数よりも小さい第3の線膨張係数を有する鋼(例えば、軸受鋼,はだ焼き鋼,浸炭鋼)製の外輪42と、内輪41と外輪42との間に介挿されて転動する複数の円錐ころ43とから、その主要部が構成されている。円錐ころ軸受9は、円錐ころ43と外輪42との接触角が軸方向内方から軸方向外方に向けて拡径するように配設されている。
外輪42は、円錐ころ43の転動面と当接する内周軌道面42aと、軸受ハウジング40の内周面40aと当接する外周面42bと、軸受ハウジング40の内壁面40bと対向する右端面42cとを備えている。右端面42cには、環状の凹部42dが形成され、凹部42d内には第3の線膨張係数より大きい第4の線膨張係数を有するゴム製の袋状弾性部材53における環状の袋状部53aが嵌合されている。なお、凹部42dは、必ずしも必須の構成要件ではない。すなわち、外輪42の右端面42cと軸受ハウジング40の内壁面40bとの間に袋状弾性部材53の袋状部53aを直接介在させるようにしても、本発明を実現することができる。ただし、主回転軸4に予圧付与方向とは逆方向(図3の矢印c参照)の衝撃荷重等が加えられた場合に、袋状弾性部材53の袋状部53aに破裂しないだけの強度が要求される。また、袋状弾性部材53は、油圧ポンプ52(図1参照)に連通する油圧パイプ54の開口端に結合される。油圧ポンプ52,袋状弾性部材53,および油圧パイプ54は、圧力供給手段50を構成している。袋状弾性部材53内の油圧が上昇して袋状部53aが膨張したときに、袋状部53aは、外輪42の凹部42dを押圧することになる。袋状弾性部材53に使用するゴムの材質は、オイルFとの接触を考慮して、機械的強度と耐油性とを両立できるゴム、例えばニトリルゴム(特に、水素化ニトリルゴム),アクリルゴム,シリコンゴムおよびフッ素ゴム等が好適である。
軸受ハウジング40は、軸方向外方側に形成され外輪42の外周面42bに径方向に対向する内周面40aと、内壁面40bと、凹部42dに対向する孔40cとを備える。軸受ハウジング40は、Al合金製のケース1Mの内面に一体化されている結果、軸受ハウジング20とも一体である。
また、軸受ハウジング40は、袋状弾性部材53にオイルFを注入するために、軸受ハウジング40(図1で見て右側壁)を貫通させる形で、オイルFの注入経路の一部をなす孔40cが形成されている。なお、孔40cは、周方向所定間隔に複数形成されていてもよい。袋状弾性部材53は、孔40cを介して油圧ポンプ52(図1参照)に連通されている。油圧ポンプ52による袋状弾性部材53へのオイルFの注入圧力(油圧)が、外輪42に加わる予圧となり、予圧荷重のレベルは油圧ポンプ52の圧送圧力に応じて調整可能である。袋状弾性部材53,孔40c,および油圧ポンプ52は、圧力供給手段50を構成している。
軸受ハウジング40がAl合金で構成される一方、外輪42が鋼で構成されているため、温度が上昇すると、軸受ハウジング40と外輪42との間の線膨張係数差により、軸受ハウジング40の内周面40aと外輪42の外周面42bとのアキシャル隙間およびラジアル隙間が増加することになる。
圧力供給手段50では、温度履歴が原因となって外輪42の過予圧が生ずることもある。具体的には、軸受ハウジング40の内周面40aによる外輪42の外周面42bの支持位置が昇温により拡径方向に移動すると、そのままでは予圧不足となって円錐ころ軸受9のアキシャル隙間およびラジアル隙間が増加してしまう。そこで、前述のごとく、袋状弾性部材53へのオイルFの注入により、外輪42を、該アキシャル隙間およびラジアル隙間が減少する向き、つまり袋状弾性部材53が拡大する向きに変位させる。しかし、その状態で温度が低下すると、線膨張係数が主回転軸4よりも小さい軸受ハウジング40は収縮し、オイルFで満たされた袋状弾性部材53の体積も減少する。
そこで、圧力供給手段50では、油圧ポンプ52と袋状弾性部材53との間の注入経路から圧力排出手段55が分岐している。圧力排出手段55は、油圧ポンプ52に供給するオイルFを貯留するタンクまたは排出容器(図示せず)につながっている。袋状弾性部材53に供給するオイルFがトランスミッション1内で使用される潤滑油と同じ場合には、オイルFをトランスミッション1内に排出することもできる。圧力排出手段55としては、例えば、電磁弁や逆止弁等の開閉手段や、オリフィスやニードル等の差圧を保持する手段が用いられる。電磁弁の場合には、圧力供給手段50内の内圧(袋状弾性部材53や孔40cの内圧,油圧ポンプ52の圧送圧力)を監視する圧力センサ(図示せず)をさらに備え、内圧が過剰に上昇した際に、圧力センサの出力により電磁弁を開くことで、オイルFを排出し、内圧を適正なものとする。逆止弁の場合、圧力供給手段50内の内圧が一定圧力を超えると開くように、前もって設定する。オリフィスやニードルの場合には、適正な内圧が得られるように設定する。また、逆止弁に代えて、電磁バルブ等で構成されたストップバルブを設け、他方、袋状弾性部材53内に圧力センサを配置し、圧力センサが検出する袋状弾性部材53の内圧により、逆方向スラストの発生を検知し、ストップバルブを作動させてオイルFの注入経路からの流出を遮断するようにしてもよい。さらに、圧力センサが検出する袋状弾性部材53の内圧に追従して、油圧ポンプ52によるオイルFの圧送圧力を変化させる方式も可能である。この場合、逆方向スラストが発生した場合は、オイルFの圧送圧力を増加させることで、オイルFの注入経路からの流出が遮断される。従って、逆止弁やストップバルブなどが不要となる。
なお、圧力排出手段55の配置場所は、当然、油圧ポンプ52と袋状弾性部材53とを結ぶオイルFの注入経路上に設けることも可能であるし、油圧ポンプ52自身が逆止弁を内蔵している場合は、それを流用することもできる。しかし、オイルFの注入経路や油圧ポンプ52のオイル圧送空間の弾性変形代が大きいと、その変形代の分だけオイルFの逆流が許容されてしまい、外輪42の定位置化効果が損なわれる懸念もある。従って、圧力排出手段55は、袋状弾性部材53になるべく近い位置に設けることが望ましいといえる。
次に、このように構成された実施例1に係る転がり軸受装置の動作について説明する。
油圧ポンプ52による油圧により袋状弾性部材53を介して外輪42にアキシャル方向の予圧が加えられている状態では、図2に示すように、外輪42は、円錐ころ43の傾斜した転動面上での分力を受けてアキシャル方向およびラジアル方向に変位し、ラジアル方向の予圧は、外輪42の外周面42bが軸受ハウジング40の内周面40aにそれぞれ押し付けられて支持される。
主回転軸4は、前進駆動時には正方向に、後退駆動時には逆方向に回転する。軸受ハウジング40からの外輪42への予圧付与方向は、正方向回転時のギア30,31のスラストの向きに一致させてある。その結果、外輪42は、主回転軸4の正転時には、ギア30,31からのスラストを予圧付与方向と一致した正方向スラストとして受ける一方、主回転軸4の逆転時には、ギア30,31からのスラストを予圧付与方向と逆向きの逆方向スラストとして受ける。このため、自動車の後退時のように主回転軸4が逆転する場合は、ギア30,31のスラストが予圧付与方向に対し逆向きにかかることになる。すると、この逆方向スラストにより外輪42が予圧付与方向と逆向きに押し戻される。外輪42が後退するためには、袋状弾性部材53の体積が減少しなければならず、袋状弾性部材53内のオイルFは孔40cから油圧ポンプ52側へ流出する必要が生じる。油圧ポンプ52に逆流しようとするオイルFは、注入経路から圧力排出手段55を介してタンクまたは排出容器(図示せず)に貯留される。
トランスミッション1の温度が比較的低温で一定に保たれていれば、外輪42の予圧付与方向の位置はあまり変化せず、油圧ポンプ52による油圧によって外輪42に与えられる予圧荷重のレベルもほぼ一定に保たれる。
トランスミッション1が昇温すると、主回転軸4の線膨張係数よりも軸受ハウジング40の線膨張係数のほうが大きいため、軸受ハウジング40の内周面40aが拡径し、円錐ころ軸受9の軸受外径面である外輪42の外周面42bから離間しようとする。つまり、軸受ハウジング40の内周面40aによる外輪42の外周面42bの支持位置がラジアル方向外向きに変化し、軸受ハウジング40による外輪42への反力が減少する。すると、外輪42は、油圧ポンプ52による油圧である予圧と軸受ハウジング40からの反力とがバランスする位置まで移動する。その結果、温度上昇によって外輪42の外周面42bの支持位置が移動しても、外輪42に対する予圧はほぼ一定に保たれる。このため、軸受ハウジング40と主回転軸4との線膨張係数差に由来した、軸受ハウジング40の内周面40aによる外輪42の外周面42bの支持位置の温度変化が吸収される。つまり、予圧状態での円錐ころ軸受9のアキシャル隙間およびラジアル隙間の温度変化が大きくても、昇温時に予圧不足になることはなく、外輪42の内周軌道面42aは円錐ころ43の転動面から離間することはなく、ギア30,31のがたつきによる騒音等も抑制される。
なお、図2に示す状態から、主回転軸4に予圧付与方向とは逆方向(図3の矢印c参照)の衝撃荷重等が加えられた場合には、内輪41,円錐ころ43を介して外輪42が油圧ポンプ52による油圧に抗してアキシャル方向に移動することにより、衝撃荷重等が緩衝されて抑制される。この際、袋状弾性部材53内のオイルFは、孔40cから油圧ポンプ52側に流出し、注入経路から圧力排出手段55を介してタンクまたは排出容器(図示せず)に貯留される。また、外輪42の移動範囲を越える過大な衝撃荷重等が加えられるような最悪の場合でも、図3に示すように、外輪42の右端面42cが軸受ハウジング40(ケース1M)の内壁面40bに当接して衝撃荷重等が受け止められることになる。
実施例1によれば、外輪42に当接する袋状弾性部材53の内部に油圧ポンプ52からオイルFを注入することにより、外輪42を予圧付与方向に付勢して、温度上昇により軸受ハウジング40が熱膨張しても予圧抜けを防止することができる。また、袋状弾性部材53を使用することにより、オイルFが漏れずに、シールが不要であり、圧力供給手段50の余分な圧力損失が生じないという利点がある。さらに、袋状弾性部材53であるため、軸の軸線方向の衝撃荷重等に対して袋状弾性部材53が変形することで、衝撃を吸収することができる。
また、低温時には軸受ハウジング40と外輪42とのラジアル隙間およびアキシャル隙間が小さいが、高温時には軸受ハウジング40と外輪42とのラジアル隙間およびアキシャル隙間が大きくなるので、高温時に袋状弾性部材53の内部のオイルFの圧力を低温時と同じにすることにより、袋状弾性部材53は軸方向に伸び、径方向に振れにくくなるので、外輪42が円錐ころ43と傾いて接触することを抑制することができる。
なお、上記実施例1では、転がり軸受装置の軸方向一方側の円錐ころ軸受9にのみ圧力供給手段50を設けるようにしたが、図4に示すように、円錐ころ軸受8にも同様の圧力供給手段50を設けることができる。この場合、油圧ポンプ52と圧力排出手段55とは、円錐ころ軸受8の圧力供給手段50と円錐ころ軸受9の圧力供給手段50とにそれぞれ設けることも、一つのものを共通に使用することも、一方を共通に、他方を別々にすることもできる。
また、上記実施例1では、袋状部53aを環状に形成したが、袋状部53aは環状でなくてもよく、例えば、円弧状であってもよく、さらに孔40cが周方向所定間隔に複数形成される場合には、所定の形状で孔40cと同じ数だけ形成することもできる。
以上、本発明の実施例について説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
例えば、実施例では、トランスミッションに用いられる転がり軸受装置を例にとって説明したが、四輪駆動車の各輪への駆動分配軸用ギアユニット等の他の装置に用いられる転がり軸受装置にも、本発明を同様に適用できることはいうまでもない。
また、各実施例では、転がり軸受装置に使用される転がり軸受を円錐ころ軸受としたが、アンギュラ玉軸受,深みぞ玉軸受等の予圧をかけて使用される他の転がり軸受であっても、本発明を同様に適用できることはいうまでもない。
1 トランスミッション
3 入力軸
4 主回転軸
8,9 円錐ころ軸受(転がり軸受)
40 軸受ハウジング(ハウジング)
40a 内周面
40b 内壁面
40c 孔
41 内輪
42 外輪
42a 内周軌道面
42b 外周面
42c 右端面
42d 凹部
43 円錐ころ(転動体)
50 圧力供給手段
52 油圧ポンプ
53 袋状弾性部材
53a 袋状部
54 油圧パイプ
F オイル(液状圧力媒体)
3 入力軸
4 主回転軸
8,9 円錐ころ軸受(転がり軸受)
40 軸受ハウジング(ハウジング)
40a 内周面
40b 内壁面
40c 孔
41 内輪
42 外輪
42a 内周軌道面
42b 外周面
42c 右端面
42d 凹部
43 円錐ころ(転動体)
50 圧力供給手段
52 油圧ポンプ
53 袋状弾性部材
53a 袋状部
54 油圧パイプ
F オイル(液状圧力媒体)
Claims (2)
- 第1の線膨張係数を有するハウジング,第1の線膨張係数よりも小さい第2の線膨張係数を有する軸,前記軸に嵌合される内輪,第1の線膨張係数よりも小さい第3の線膨張係数を有し前記ハウジングに嵌合される外輪,および前記内輪と前記外輪との間に介挿されて転動する転動体を備えた転がり軸受を、前記転動体と前記外輪との接触角が軸方向内方から軸方向外方に向けて拡径するように2つ配設する転がり軸受装置であって、
圧力供給手段に連通するとともに密閉された袋状部を有する袋状弾性部材を備え、
前記袋状弾性部材は少なくとも一方の転がり軸受の前記外輪を軸方向内方向きに付勢するように前記外輪に当接されることを特徴とする転がり軸受装置。 - 前記外輪には、軸方向内方に窪む凹部が形成され、前記凹部に前記袋状弾性部材が嵌入することを特徴とする請求項1記載の転がり軸受装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006283759A JP2008101674A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | 転がり軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006283759A JP2008101674A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | 転がり軸受装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2008101674A true JP2008101674A (ja) | 2008-05-01 |
Family
ID=39436157
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2006283759A Pending JP2008101674A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | 転がり軸受装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2008101674A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2012097962A3 (de) * | 2011-01-17 | 2012-09-13 | Fm Energie Gmbh & Co.Kg | Hydraulisch vorspannbares wälzlager |
| CN108167323A (zh) * | 2016-12-07 | 2018-06-15 | 斯凯孚公司 | 轴承组件 |
-
2006
- 2006-10-18 JP JP2006283759A patent/JP2008101674A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2012097962A3 (de) * | 2011-01-17 | 2012-09-13 | Fm Energie Gmbh & Co.Kg | Hydraulisch vorspannbares wälzlager |
| CN108167323A (zh) * | 2016-12-07 | 2018-06-15 | 斯凯孚公司 | 轴承组件 |
| CN108167323B (zh) * | 2016-12-07 | 2021-10-29 | 斯凯孚公司 | 轴承组件 |
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