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JP2008194362A - 抗血栓コーティング剤及び医療用具 - Google Patents

抗血栓コーティング剤及び医療用具 Download PDF

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JP2008194362A
JP2008194362A JP2007034892A JP2007034892A JP2008194362A JP 2008194362 A JP2008194362 A JP 2008194362A JP 2007034892 A JP2007034892 A JP 2007034892A JP 2007034892 A JP2007034892 A JP 2007034892A JP 2008194362 A JP2008194362 A JP 2008194362A
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polymer
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Yasuhide Nakayama
泰秀 中山
Yasushi Nemoto
泰 根本
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Bridgestone Corp
National Cerebral and Cardiovascular Center
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Bridgestone Corp
National Cerebral and Cardiovascular Center
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Abstract

【課題】生体温度よりも低温の所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度よりも高い温度では疎水性となる温度応答性を有した、ホスホルコリン基含有抗血栓コーティング剤を提供する。
【解決手段】ホスホルコリン基含有ポリマー鎖とN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖とを有したポリマー材料よりなる抗血栓コーティング剤。該ポリマー材料は、生体温度よりも低温の所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度(T)よりも高い温度では疎水性である。このポリマー材料は、好ましくはN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと、N−イソプロピルアクリルアミドをブロック重合させたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた抗血液凝固性(抗血栓性)を長期間に亘って持続することができ、生体組織に適用したり、人工臓器や人工血管などの各種医療用具の構成材料として適用が可能な抗血栓コーティング剤に係り、特にホスホルコリン基を有した抗血栓コーティング剤に関する。また、本発明は、この抗血栓コーティング剤がコーティングされた医療用具に関する。
I.血液は異物と接触した場合に、血液中の種々の成分の作用により凝固してしまう性質を有している。したがって、人工心臓、人工心臓弁、人工血管、血管カテーテル、カニューレ、人工心肺、血管バイパスチューブ、大動脈バルーンポンピング、輸血用具及び体外循環回路などの血液と接触する部位に使用される医療用具の構成材料には、高い抗血液凝固性が要求される。しかしながら、従来の医療用具の構成材料の多くは長期間に亘って使用した場合には血液凝固が生じることが避けられず、抗血液凝固性の持続力という点において充分ではない。
II. ホスホルコリン基含有モノマー重合体が抗血栓性を有していることは特開平9−183819の0002段落に記載のように公知である。同号には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートなどのホスホルコリン基含有モノマーとシリル基含有モノマーとのランダム共重合体又は交互共重合体及びこれを医療用材料の表面にコーティングした医療用具が記載されている。
特開平9−183819号
上記特開平9−183819の共重合体は、そのシリル基が加水分解することによって材料表面に付着するものである。(同号公報0052〜0053段落)。
そのため、同号の共重合体をコーティング用水溶液として用いる場合には、0052段落の通り、コーティングするときに共重合体を水に溶解させる必要があり、コーティング用水溶液として長期保存することはできない。
同号の共重合体を安定した溶液として長期保存する場合には、同号の0053段落や実施例(0091段落)に見られる通りアルコール溶液とする必要がある。
このようにアルコールを溶媒として用いる場合、再生医療で利用される細胞と合成あるいは生体材料からなるハイブリッド組織体や宿主から摘出した生体組織などの表面処理には使用できないことがある(アルコールによって細胞が死滅したり傷害を受けるため)。また、材料自体にアルコールに弱いものもある。あるいは、薬物放出性ステントのように、薬物をコートした医療用具の表面処理の際には、アルコールによって薬物を担持させた高分子層を剥がすなど損傷を与える場合がある。
本発明は、上記従来の問題点を解消し、生体温度よりも低温の所定温度(T)よりも低い温度では水溶性(親水性)であり、該所定温度よりも高い温度では非水溶性(疎水性)となる温度応答性を有した、ホスホルコリン基含有抗血栓コーティング剤及びこの抗血栓コーティング剤がコーティングされた医療用具を提供することを目的とする。
本発明の抗血栓コーティング剤は、ホスホルコリン基含有ポリマー鎖とN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖とを有したポリマー材料よりなる抗血栓コーティング剤であって、該ポリマー材料は、生体温度よりも低温の所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度(T)よりも高い温度では疎水性であることを特徴とするものである。
この所定温度(T)は、25〜35℃の間の温度であることが好ましい。
前記ポリマー材料は、ホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体とのブロック共重合体よりなる分岐鎖を複数個有することが好ましい。
ホスホルコリン基含有モノマーとしては、ホスホルコリン基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特に2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましい。
ホスホルコリン基含有モノマーの重合度は10〜6000であり、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖の数平均分子量は3,000〜150,000程度が好ましい。
前記ポリマー材料は、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これにホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体とを光照射リビング重合させた分岐型重合体であることが好ましい。
このN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物としては、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団が結合しているものが好ましい。このイニファターに対しては、ホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のいずれを先に重合させてもよい。
本発明の医療用具は、かかる本発明の抗血栓コーティング剤がコーティングされたものである。
本発明の抗血栓コーティング剤は、N−イソプロピルアクリルアミドのポリマー鎖の作用により、上記所定温度よりも低い温度では親水性であり、水溶性である。従って、この抗血栓コーティング剤は、これを水に溶解させて生体あるいは医療用具に塗布し、その後、所定温度よりも高い温度とすることにより、疎水性(水不溶性)となり、生体あるいは医療用具に付着する。付着した抗血栓コーティング剤は、ホスホルコリン基含有ポリマー鎖によって抗血栓作用が奏される。
この抗血栓コーティング剤は、水溶液として安定して長期保存することができ、また、ハイブリッド材料あるいは生体に対しても適用できる。
この抗血栓コーティング剤を構成するポリマー材料が、ホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体とのブロック共重合体よりなる分岐鎖を複数個有する場合、抗血栓コーティング剤の医療用具等に対する付着力が高いものとなる。すなわち、複数個の該分岐鎖を有する抗血栓コーティング剤では、医療用具等の表面に疎水結合している1分子中の複数の分岐鎖のすべてが同時に剥離しなければ、当該分子(ポリマー)を材料表面から剥離させることができず、1本が剥離しても残りの分岐鎖が結合していれば、一度剥離した分岐鎖も材料表面に再結合することができる。これに対して、1分子中に1本のポリマー鎖のみを有する直線型のブロックポリマーでは、この1本のポリマー鎖が剥離すればその分子はそのまま剥離してしまうため、付着力は弱いものと考えられる。
本発明の抗血栓コーティング剤は、ホスホルコリン基含有ポリマー鎖とN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖とを有している。
上記のポリマー材料としては、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これにホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体とを光照射リビング重合させた分岐型重合体が好適である。
なお、本明細書において、イニファターとは、光照射によりラジカルを発生させる重合開始剤、連鎖移動剤としての機能と共に、成長末端と結合して成長を停止する機能、さらに光照射が停止すると重合を停止させる重合開始・重合停止剤として機能する分子のことである。
N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物としては、ベンゼン環に該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団が3個以上分岐鎖として結合しているものが好適であり、具体的には次が例示される。即ち、3分岐鎖としては、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジチオカルバミル酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,3,5−トリ(N,N−ジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、4分岐鎖としては、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジチオカルバミル酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、6分岐鎖としては、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼンとナトリウムN,N−ジチオカルバメートとをエタノール中で付加反応させて得られるヘキサキス(N,N−ジチオカルバミルメチル)ベンゼンである。
上記のイニファターは、アルコール等の極性溶媒に対しては殆ど不溶であるが、非極性溶媒には易溶である。この非極性溶媒としては炭化水素、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化アルキレンが好適であり、特に、ベンゼン、トルエン、クロロホルム又は塩化メチレン特にトルエン、クロロホルムが好適である。
このイニファターに重合させるモノマーは、ホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミドであり、いずれを先に重合させてもよい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
ホスホルコリン基含有モノマーとしては、下記一般式(1)
Figure 2008194362
(式中R及びRは水素原子又はメチル基を表し、nは1〜10の数を表す。)で表されるホスホルコリン基含有(メタ)アクリル酸エステルが好適であり、具体的には2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート等が好適である。これらのうちでも、経済性や入手の容易さの点から2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが特に好ましい。
イニファターと上記モノマーとを反応させるには、イニファター及び一方のモノマーを含んでなる原料溶液を調製し、これに光照射することによって、イニファターに対し該一方のモノマーが結合した第1工程反応生成物を生成させ、次いで、この第1工程反応生成物の各分岐鎖に他方のモノマーをブロック共重合させる。この際の溶媒としては、上記イニファターの溶媒を用いればよい。
ホスホルコリン基含有モノマーの該原料溶液中の濃度は例えば0.1M以上、例えば0.1〜2.5Mが好適である。N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体の濃度は0.1M以上、例えば0.1〜2.5M程度が好適である。
イニファターの濃度は0.1〜100mM程度が好適である。
照射する光の波長は200〜400nmが好適である。光の照射時間は照射強度にも依存するが、1〜60分程度が好適であり、1μW/cm〜10mW/cm程度の低い照射強度で1分〜30分程度が特に好適である。
なお、一方のモノマーを用いた光照射工程(第1の光照射工程)で生じた反応生成物を好ましくは精製した後、好ましくはアルコールに溶解させ、他方のモノマーを用いた第2の光照射工程を行う。このアルコールとしてはメタノール又はエタノール、特にメタノールが好適である。アルコール溶液中の第1工程反応生成物濃度としては、0.01mM〜100mM程度が好適である。
ホスホルコリン基含有モノマーの重合度は特に10〜6000が好適であり、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマーブロックの数平均分子量は特に3,000〜150,000程度が好適である。
この光照射により、反応液中に目的とする分岐型重合体が生成するので、必要に応じ精製して分岐型重合体よりなる抗血栓コーティング剤が得られる。
この分岐型重合体の分子量は分岐鎖の鎖数によるが、3,000〜600,000、特に3,000〜150,000、とりわけ3,000〜100,000程度が好ましい。
このようにして生成した分岐型重合体は、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマーブロックを有する。このN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖は、30℃よりも低温度では親水性、30℃よりも高温では疎水性となる温度依存性を有し、これにより抗血栓コーティング剤は、約30℃よりも高い温度で水不溶性であり、約30℃よりも低い温度で水溶性であるものとなる。
従って、約30℃よりも低い温度例えば10〜25℃程度の抗血栓コーティング剤の水溶液(濃度は好ましくは、3〜150mg/mL程度)を生体あるいは医療用具に塗布などにより付着させ、30℃よりも高い温度に昇温させ、必要に応じ乾燥させることにより、水不溶性の、ホスホルコリン基含有ポリマーブロックを有した抗血栓コーティングが形成される。生体の場合、この際の昇温は生体の体温によって行われる。形成された抗血栓コーティングは、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマーブロックを含んだ複数の分岐鎖を有しているため、生体あるいは医療用具に対する付着力が高く、剥れにくい。
この医療用具としては、人工心臓、人工心臓弁、人工血管、血管カテーテル、血管ステント、カニューレ、人工心肺、血管バイパスチューブ、大動脈バルーンポンピング、輸血用具及び体外循環回路などの血液と接触する部位に使用される医療用具などが例示される。医療用具に適用する場合、医療用具の表面1cm当りに抗血栓コーティング剤を0.1〜30mg程度付着させるのが好ましい。
実施例1
i)イニファターの合成
下記反応式に従って、1,2,4,5−テトラキス(N−Nジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルベンゼン)1.0gとN,N−ジエチルジチオカルバミル酸ナトリウム4.0gをエタノール100mL中へ加え、遮光下で室温で4日間攪拌した。沈殿物を濾過し、減圧乾燥後、クロロホルム200mLへ溶解し、150mLの水を加えて液液抽出分離し、臭化ナトリウムを除去した。この操作を3回繰り返した後、クロロホルム層を硫酸マグネシウムで24時間乾燥させて、濾過後、n−ヘキサンを加え、再結晶を行って精製し、白色の1,2,4,5−テトラサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの針状結晶を得た(収率90%)。高速液体クロマトグラフィーにより原料ピークが消滅し、精製物が単一物質であることを確認した。
H NMR(in CDCl)の測定結果はσ1.26−1.31ppm(t,24H,CHCH),σ3.69−3.77ppm(q,8H,N(CHCH),σ3.99−4.07ppm(q,8H,N(CHCH),σ4.57ppm(s,8H,Ar−CH),σ7.49ppm(s,2H,Ar−H)となった。
Figure 2008194362
ii)光重合による4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーの合成
下記反応式に従い、次のようにして、1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル−ポリ(メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)−メチル]ベンゼン(以下、pMPCと記載することがある。)よりなるホモポリマーの合成を行った。
即ち、上記i)により合成した1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン45.6mgを20mLのクロロホルムへ溶解し、メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート10gを加えて混合し、全量をクロロホルムで50mLに調整した。石英セル中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、200W高圧水銀灯で紫外光を20分間照射した。照射強度は照度計(UVR−1,TOPCON,Tokyo,Japan)を使用して1mW/cm(250nm)に調整した。20分後、重合溶液をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで重合物を再沈殿させて精製し、少量の水へ溶解し、0.2μmフィルターで濾過してから凍結乾燥させて4分岐型スター型ホモポリマーpMPCを得た(重合率40%)。分子量はGPCにより30,000と測定された。
Figure 2008194362
iii)ホモポリマーへのN−イソプロピルアクリルアミドのブロック共重合によるポリマー材料(4分岐型pMPC−b−pNIPAM)よりなる抗血栓コーティング剤の合成
下記反応式に従い、次のようにして、テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル−ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−ブロック−(2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)−メチル]ベンゼン(以下、pMPC−b−pNIPAMと記すことがある。)の合成を行った。
即ち、上記ii)で合成した4分岐型pMPCホモポリマーの全量を1リットルフラスコへ移し、約800mLのジエチルエーテルを投入して再沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除去した。ここへ約50mLのトルエンを加えポリマー成分を溶解し、再度ジエチルエーテルを投入してポリマー成分を再沈殿した。この操作を3回繰り返した。ポリマー成分を約20mLのメタノールへ溶解し、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)0.5gを混合して全量をメタノールで60mLに調整した。ii)と同様の条件で光照射重合を行って、4分岐型pMEAとポリN−イソプロピルアクリルアミド(pNIPAM)とのブロックポリマー(4分岐型pMPC−b−pNIPAM)よりなるポリマー材料を得た。分子量はGPCにより46,000と測定された。
Figure 2008194362
v)コーティング処理
20mgの上記ポリマー材料(4分岐型pMPC−b−pNIPAM)を水へ溶解し全量を2mLに調整した。この溶液10μLを2cm×3cm角のPETフィルムへ均質に流延し、ドライヤーで乾燥させることでコーティング処理した。フィルムを37℃に温調したプレート上へ乗せ、接触角を測定した。この状態での接触角は15°であり、pNIPAMに起因すると推定されるフィルム表面の親水化現象が確認された。このフィルムを37℃の温水で洗浄で洗浄を続けると、洗浄時間とともに表面の接触角は徐々に上昇し約44°でプラトーに達した。PETフィルムの接触角74°へ近づいたが、ポリマー材料が不溶化されて固定されたことが確認された。
vi)抗血栓性の確認
ヒト抹消血を採取し、そのまま速やかにPETフィルム上へ塗布し、時間をおいて生理食塩水で軽くリンスして表面の血栓付着性を観察した。PETフィルムでは、約5分で血栓の発生が確認されたが、コーティング処理したPETフィルムでは20分後でも血栓の発生は確認されなかった。
比較例1
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルベンゼン)の代わりに(ブロモメチル)ベンゼンを使用したこと以外は実施例1のi)と同様にして(N、N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを合成した。精製物は無色液体で、収率は約93%であった。
H NMR(in CDCl)の測定結果はσ7.41〜7.27ppm(m、5H、Ar−H)、σ4.54ppm(s、2H、Ar−CH−S−)、σ4.08〜4.01ppm(q、2H、N−CH−)、σ3.72ppm(q、2H、N−CH−)、σ1.25−1.31ppm(m、6H、−CH−CH)となった。
次いで、上記ii)及びiii)の手法に準じて、1本の直鎖のみを有した直線型ブロックポリマーpMPC−b−pNIPAMを合成し、上記(v)のPETフィルムへのコーティング処理と水洗浄実験を行った。37℃で軽く洗浄するだけで接触角は15°から74°まで上昇し、コーティングしたポリマーが速やかにPETフィルムから剥離していることが確認された。
以上より、実施例1の分岐型の構造の優位性が確認された。すなわち、実施例1の抗血栓コーティング剤では、材料表面に疎水結合している1分子中の複数の分岐鎖のpNIPAMブロックのすべてが同時に材料表面から剥離しなければ、分子を材料表面から剥離させることができず、1本が剥離しても残りの分岐鎖が結合していれば、一度剥離した分岐鎖も再結合することができため、材料表面に頑強に固定されていると考えられる。これに対して、比較例1で合成した直線型のブロックポリマーでは、1分子中に1本のp−NIPAMポリマー鎖しかなく、このP−NIPAMポリマー鎖が材料表面から剥離すればその分子はそのまま材料表面から剥離してしまうため、洗浄処理に弱いものと考えられる。
vi)表面固定化の確認
水晶発振子の金蒸着表面に実施例1、比較例1のブロックポリマー(濃度20mg/2mL)の溶液0.1μLを塗布乾燥させ、QCMの周波数測定を行い、塗布量を調べた。その後37℃の水に10分間浸漬し、乾燥した後、再度QCM測定を行って吸着量を調べた。さらに10℃の水に10分間浸漬し、QCM測定によって脱着量を調べた。QCM装置は、イニシアム社製AFFINIX Qを使用した。結果を表1に示す。
Figure 2008194362
表1の通り、30Hzの変化が1ngに相当するため、比較例1の直鎖状ブロックポリマーでは37℃の洗浄でも脱着量が多く、実施例1の分岐型構造の立体構造的有意性が確認された。

Claims (11)

  1. ホスホルコリン基含有ポリマー鎖とN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖とを有したポリマー材料よりなる抗血栓コーティング剤であって、
    該ポリマー材料は、生体温度よりも低温の所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度(T)よりも高い温度では疎水性であることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  2. 請求項1において、前記所定温度(T)は、25〜35℃の間の温度であることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  3. 請求項1又は2において、前記ポリマー材料は、ホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体とのブロック共重合体よりなる分岐鎖を複数個有することを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  4. 請求項3において、ホスホルコリン基含有モノマーはホスホルコリン基含有(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  5. 請求項4において、ホスホルコリン基含有(メタ)アクリル酸エステルは2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートであることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1項において、ホスホルコリン基含有モノマーの重合度が10〜6000であり、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマーブロックの数平均分子量が3,000〜150,000であることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  7. 請求項3ないし6のいずれか1項において、前記ポリマー材料は、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これにホスホルコリン基含有モノマーとN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体とを光照射リビング重合させた分岐型重合体であることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  8. 請求項7において、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル分子団が結合していることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  9. 請求項7又は8において、ホスホルコリン基含有モノマーを先に重合させ次いでN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体を重合させたものであることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  10. 請求項7又は8において、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体を先に重合させ次いでホスホルコリン基含有モノマーを重合させたものであることを特徴とする抗血栓コーティング剤。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項の抗血栓コーティング剤がコーティングされた医療用具。
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WO2016143787A1 (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 国立大学法人山形大学 抗血栓性ブロック共重合体
JP2016194054A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 東ソー株式会社 ブロック共重合体

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