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JP2018149270A - 抗血栓性コーティング材 - Google Patents

抗血栓性コーティング材 Download PDF

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JP2018149270A
JP2018149270A JP2018007979A JP2018007979A JP2018149270A JP 2018149270 A JP2018149270 A JP 2018149270A JP 2018007979 A JP2018007979 A JP 2018007979A JP 2018007979 A JP2018007979 A JP 2018007979A JP 2018149270 A JP2018149270 A JP 2018149270A
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heparin
polymer compound
antithrombotic
coating material
acrylate
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JP2018007979A
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崇王 安齊
Takakimi Anzai
崇王 安齊
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Terumo Corp
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Terumo Corp
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Abstract

【課題】抗血栓性高分子化合物(例えば、PMEA)中にヘパリンを安定に存在させることが可能となる抗血栓性コーティング材を提供する。
【解決手段】ヘパリンと、下記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、水およびメタノールを含む溶媒と、を有する、抗血栓性コーティング材;

式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗血栓性コーティング材に関する。より詳しくは、ヘパリンと、抗血栓性高分子化合物と、特定の溶媒とを有する抗血栓性コーティング材に関する。
近年、各種の高分子材料を利用した医療材料の検討が進められており、人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテーテル、ステント、人工肺用膜、人工血管、癒着防止膜、人工皮膚等への利用が期待されている。これらにおいては、生体にとって異物である合成高分子材料を生体組織や血液等の体液と接触させて使用することとなる。したがって、医療材料は、生体適合性を有することを要求される。医療材料に要求される生体適合性はその目的や使用方法によって異なるが、血液と接する材料として使用する医療材料には、血液凝固系の抑制、血小板の粘着・活性化の抑制、補体系の活性化の抑制という特性(抗血栓性)が求められる。
通常、医療用具への抗血栓性の付与は、医療用具を構成する基材を抗血栓性材料(抗血栓性コーティング材)で被覆する方法や、基材の表面に抗血栓性材料を固定する方法により行われる。
例えば、特許文献1には、血小板の粘着・活性化の抑制、補体系の活性化の抑制効果、生体内組織との親和性といった生体適合性を同時に満たす合成高分子を表面に有する、生体内組織や血液と接して使用される人工臓器用膜および医療用具が開示されている。特許文献1には、抗血栓性材料である合成高分子として、ポリメトキシエチルアクリレート(以下、単に「PMEA」とも称する)等が開示されている。
しかし、先に血液凝固反応が開始した場合、PMEAがそれを抑制することができないという問題があった。
上記問題に対する解決手段として、本発明者は、PMEA中に抗凝血活性を有するヘパリンを存在させようと試みたが、PMEA中に安定に存在させることができなかった。そのため、PMEAの代わりに、特定の含水率およびガラス転移温度を有する水不溶性の血液適合性高分子を用いて、これと、ヘパリンとを含む医療用具を見出している(特許文献2)。
特開平4−152952号公報 特開2004−161954号公報
しかしながら、へパリンを水不溶性にすることは、へパリンの化学構造を少なからず変えてしまい、よって、抗凝固活性が低下してしまう可能性がある。また、水不溶性にするために用いられている化合物は、カチオン性であり、生体適合性が劣ってしまう可能性がある。このため、へパリンを化学修飾せずに抗血栓性高分子と共存させ、より高い抗血栓性を得る観点から、抗血栓性高分子化合物中にヘパリンが安定に保持されたコート層を作製するための抗血栓性コーティング材が、依然として求められていた。
そこで、本発明は、抗血栓性高分子化合物にヘパリンが安定に保持されたコート層を作製するための抗血栓性コーティング材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、重量平均分子量が特定の値以上の抗血栓性高分子化合物とヘパリンとを含む抗血栓性コーティング材料を用いることにより、当該抗血栓性高分子化合物中にヘパリンが安定に保持されたコート層を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ヘパリンと、下記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、水およびメタノールを含む溶媒と、を有する抗血栓性コーティング材である。
式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
本発明によれば、抗血栓性高分子化合物(例えば、PMEA)中にヘパリンが安定に保持されたコート層を作製するための抗血栓性コーティング材が提供される。
実施例および比較例で作製したサンプルのコート性を示す写真である。
本発明の一実施形態によれば、ヘパリンと、上記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、水およびメタノールを含む溶媒と、を有する、抗血栓性コーティング材が提供される。また、本発明の他の実施形態によれば、本発明の抗血栓性コーティング材を用いて、コーティングすることを含む、医療用具の製造方法もまた提供される。さらに、本発明の他の実施形態によれば、ヘパリンと、上記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、を含む層を有し、表面ヘパリン活性が、0.02×10−2u/cmを超える、医療用具もまた提供される。
上述したように、PMEAなどの式(I)で示される構成単位を含む高分子化合物は、は抗血栓性を有することが知られている。これは、当該高分子化合物が血液と接触したとき、血栓形成の初期反応である血漿タンパクの吸着変性を抑制することにより、抗血栓性を発揮するからである。しかし、かような高分子化合物自体は、抗凝血活性を有していないため、他の要因で血液凝固反応が開始すると、それを抑制することが不可能となってしまう。特許文献2では、PMEA中にヘパリンを存在させようと試みたが、PMEA中には安定に存在させることができなかったため、PMEAの代わりに、特定の含水率およびガラス転移温度を有する水不溶性の血液適合性高分子を用い、これとともにヘパリンを含む医療用具が開示されている。しかしながら、この際、ヘパリンを水不溶性にすることが必要となるが、へパリンの化学構造を少なからず変えてしまい、よって、抗凝固活性が低下してしまう可能性がある。また、水不溶性にするために用いられている化合物は、カチオン性であり、生体適合性が劣ってしまう可能性がある。これに対して、本発明によれば、抗血栓性高分子化合物に、本来の性質である水溶性が維持されたヘパリンが安定に保持されてなる抗血栓性コーティング材が提供される。これは、重量平均分子量が特定の値以上である抗血栓性高分子化合物が、水とメタノールとの混合溶媒に溶解しうる特性、当該抗血栓性高分子化合物が血流にさらされたとき剥離しない特性、および当該抗血栓性高分子化合物にヘパリンのような水溶性薬剤を安定に保持できる特性によるものだと考えられる。なお、前記メカニズムは推測によるものであり、本発明は、当該メカニズムに限定されるものではない。
以下では、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
<抗血栓性コーティング材>
本発明の抗血栓性コーティング材は、ヘパリンと、下記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、水およびメタノールを含む溶媒と、を有する。
〔ヘパリン〕
本発明の抗血栓性コーティング材は、ヘパリンを必須に含む。抗凝血活性を有するヘパリンを含むことによって、本発明の抗血栓性コーティング材の抗血栓性をより発揮することができる。また、本発明において、ヘパリンは、水溶性のものであることができ、市販品を使用できる。例えば、持田製薬株式会社製のノボ・ヘパリン(商品名)、テルモ株式会社製のへパフラッシュ(商品名、登録商標)などを用いることができる。
〔抗血栓性高分子化合物〕
本発明に係る抗血栓性高分子化合物(本明細書中、単に「高分子化合物」とも称する)は、下記式(I)で示される構成単位を含む。なお、本明細書において、下記式(I)で示される構成単位は、「アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位」とも称する。また、本発明に係る抗血栓性高分子化合物が2種以上の下記式(I)で示される構成単位を有する場合には、各構成単位は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。なお、本明細書中、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタアクリレート」を意味する。
上記式(I)において、Rは、炭素数1〜4の環状、直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であることが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、シクロプロピレン基、テトラメチレン基、シクロブチレン基などが挙げられる。これらのうち、抗血栓性の向上効果を考慮すると、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基またはエチレン基であることが特に好ましい。
上記式(I)において、Rは、炭素数1〜4の環状、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基などが挙げられる。これらのうち、抗血栓性の向上効果を考慮すると、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
上記式(I)において、Rは、水素原子またはメチル基であり、水素原子であることが好ましい。
上記式(I)で示される構成単位を有する化合物は、抗血栓性生体適合性(血小板の粘着/付着の抑制・防止効果、および血小板の活性化の抑制・防止効果)、特に血小板の粘着/付着の抑制・防止効果に優れる。ゆえに、上記構成単位を有する化合物を用いることにより、抗血栓性生体適合性(血小板の粘着/付着の抑制・防止効果、および血小板の活性化の抑制・防止効果)、特に血小板の粘着/付着の抑制・防止効果に優れた医療用具(特に、人工肺)を製造することが可能となる。
本発明に係る抗血栓性高分子化合物は、上記式(I)で示される構成単位と共に、さらに他の構成単位を有していてもよい。すなわち、本発明に係る抗血栓性高分子化合物は、上記式(I)で示される構成単位と、他の構成単位とを含む共重合体であってもよい。当該「他の構成単位」の構造は、本発明の所期の効果が得られる限りにおいて特に制限されないが、例えば、以下で詳説する「他の単量体」に由来する構造であると好ましい。抗血栓性高分子化合物が共重合体の場合、その構造も特に制限されず、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
本発明に係る抗血栓性高分子化合物は、優れた抗血栓性生体適合性を得るという観点から、上記式(I)で示される構成単位からなる重合体であると好ましく、さらには、1種の単量体に由来する単独重合体(ホモポリマー)であるとより好ましい。かような高分子化合物の具体例としては、好適に、ポリ2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ポリメトキシエチルアクリレート)、ポリメトキシメチル(メタ)アクリレート、ポリエトキシメチル(メタ)アクリレート、ポリエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリブトキシメチル(メタ)アクリレート、ポリブトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、水およびアルコールの混合溶媒への溶解性の観点から、ポリメトキシエチルアクリレート(「ポリ2−メトキシエチルアクリレート」または「PMEA」とも称する。)がより好ましい。
本発明に係る抗血栓性高分子化合物は、重量平均分子量が300,000以上である。重量平均分子量が300,000未満であると、凝集力が不十分であり、強靭な被膜を形成できず、へパリンを安定に保持できなくなる。また、汎用性や操作性などの観点から、係る抗血栓性高分子化合物の重量平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、さらに、凝集し易さやより強靭な被膜を形成させるなどの観点から、600,000以上であることがより好ましく、800,000以上であることが特に好ましい。他方、重量平均分子量の上限は特に制限されないが、重合体自体がゲル化して不溶化しないという観点から、100万以下であることが好ましい。なお、本発明において、「重量平均分子量」は、ポリスチレンを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定した値を採用するものとする。具体的には、高分子化合物をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、濃度:1mg/mlの溶液を調製する。株式会社島津製作所製GPCシステムLC−20にShodex(登録商標) GPCカラムLF−804(昭和電工株式会社製)を取り付け、移動相としてTHFを流し、標準ポリスチレンおよび高分子化合物のGPCを測定する。標準ポリスチレンで較正曲線を作成した後、当該高分子化合物の重量平均分子量を算出する。
本発明に係る抗血栓性高分子化合物の製造方法は特に制限されないが、例えば、下記式(II):
で示される単量体を重合させることによって製造することができる。
上記式(II)において、置換基R1’、R2’およびR3’はそれぞれ、上記式(I)中のR、RおよびRの定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記式(II)で示される単量体としては、具体的には、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート(MEA)、メトキシプロピルアクリレート、メトキシブチルアクリレート、エトキシメチアクリレートル、エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、プロポキシメチルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、プロポキシプロピルアクリレート、プロポキシブチルアクリレート、ブトキシメチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシプロピルアクリレート、ブトキシブチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、メトキシブチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、エトキシブチルメタクリレート、プロポキシメチルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、プロポキシプロピルメタクリレート、プロポキシブチルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシプロピルメタクリレート、ブトキシブチルメタクリレートが挙げられる。これらの中で、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート(MEA)、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレートが好ましく、また、入手が容易であるという観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。また、これらの単量体を1種単独で、または2種以上を混合して用いることもできる。
また、本発明において、上記式(II)で示される単量体に加え、さらに、上記式(II)で示される単量体と共重合可能な他の単量体(以下、単に「他の単量体」とも称する。)を用いてもよい。式(II)で示される単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノイソプロピルアクリレート、ジアミノメチルアクリレート、ジアミノエチルアクリレート、ジアミノブチルアクリレート、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジアミノメチルメタクリレート、ジアミノエチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチレン、プロピレン等がある。
本発明に係る抗血栓性高分子化合物を製造する方法としては特に制限されないが、例えば、上記式(II)で示される単量体を重合溶媒に溶解させ、得られた溶液を、別途調製した重合開始剤溶液と混合して重合反応液を調製し、重合反応を行うと好ましい。
ここで、重合溶媒としては、上記式(II)で示される単量体を溶解できるものであれば、特に限定されないが、メタノールを主成分として含むものが好ましい。なお、「主成分として」とは、メタノール溶液に用いられる溶媒全体のうち、95質量%以上、好ましくは99質量%以上(上限100質量%)がメタノールであることをいう。「メタノール溶液」に含まれるメタノール以外の重合溶媒としては、例えば、水;エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルコール類;クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン、ベンゼン等の有機溶媒等から選択される1種または2種以上が挙げられるが、これらに限定されない。また、重合溶媒に含まれる上記式(II)で示される単量体の濃度は、特に制限されないが、濃度を比較的高く設定することによって、得られる抗血栓性高分子化合物の重量平均分子量を大きくすることができる。このため、本発明に係る抗血栓性高分子化合物の重量平均分子量を調整する観点から、重合溶媒中の上記式(II)で示される単量体濃度は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、単量体濃度の上限は特に制限されないが、例えば飽和濃度以下であり、例えば90質量%以下であり、好ましくは70質量%以下である。
また、上記式(II)で示される単量体を添加した重合溶媒を、重合開始剤の添加前に、30℃〜70℃程度の温度下で、脱気処理を行ってもよい。脱気処理は、例えば、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスで0.5〜5時間程度バブリングすればよい。
また、本発明に係る抗血栓性高分子化合物を製造する際に用いられる重合開始剤としては、特に制限されず、公知のものを使用できる。好ましくは、重合安定性に優れる点で、ラジカル重合開始剤が用いられ、具体的には、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)]ハイドレート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネート、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物が挙げられる。また、例えば、上記ラジカル重合開始剤に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。重合開始剤の配合量は、100質量部の上記式(II)で示される単量体(複数種の単量体を用いる場合は、その全体)に対して、好ましくは0.005〜2質量部であり、より好ましくは0.01〜2質量部である。かような重合開始剤の配合量であれば、所望の重量平均分子量を有する抗血栓性高分子化合物がより効率よく製造できる。
また、上記重合開始剤は、上記式(II)で示される単量体および重合溶媒とそのまま混合されてもよいが、予め他の溶媒に溶解した溶液(開始剤溶液)の形態で、上記式(II)で示される単量体および重合溶媒とそのまま混合されてもよい。後者の場合、他の溶媒としては、重合開始剤を溶解できるものであれば特に制限されないが、上記重合溶媒と同様の溶媒が例示できる。また、いずれの場合も、重合開始剤と、上記式(II)で示される単量体と、溶媒(重合溶媒および必要に応じて使用される他の溶媒(開始剤溶液の溶媒)を合わせた溶媒)とを合わせて、上記の「重合反応液」となる。上記式(II)で示される単量体の当該重合反応液における濃度は、特に制限されないが、本発明に係る抗血栓性高分子化合物の重量平均分子量を調整する観点から、重合反応液中の上記式(II)で示される単量体濃度は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、上限は特に制限されないが、例えば飽和濃度以下であり、例えば90質量%以下であり、好ましくは70質量%以下である。また、他の溶媒は、上記重合溶媒と同じであってもまたは異なってもよいが、重合の制御のしやすさなどを考慮すると、上記重合溶媒と同じ溶媒であることが好ましい。
本発明において、上記式(II)で示される単量体を含む重合反応液を加熱することにより、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び他の単量体を(共)重合することができる。ここで、重合方法は、例えば、上記のラジカル重合の他、アニオン重合、カチオン重合などの公知の重合方法が採用でき、好ましくは製造が容易なラジカル重合を使用する。
重合条件は、上記式(II)で示される単量体が重合できる条件であれば特に制限されない。具体的には、重合温度は、好ましくは30〜60℃であり、より好ましくは40〜55℃である。また、重合時間は、好ましくは1〜24時間であり、好ましくは3〜12時間である。かような条件であれば、上記したような高分子量の重合体がより効率的に製造できる。また、重合工程におけるゲル化を有効に抑制・防止すると共に、高い製造効率を達成できる。
また、必要に応じて、連鎖移動剤、重合速度調整剤、界面活性剤、およびその他の添加剤を、重合の際に適宜使用してもよい。
重合反応を行う雰囲気は特に制限されるものではなく、大気雰囲気下、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下等で行うこともできる。また、重合反応中は、反応液を攪拌してもよい。
重合後の重合体は、再沈澱法、透析法、限外濾過法、抽出法など一般的な精製法により精製することができる。コロイド溶液の調製に適した(共)重合体が得られるという理由から、上記の中でも、再沈殿法による精製を行うと好ましい。このとき、再沈殿を行うために用いる貧溶媒としては、エタノールを用いると好ましい。
精製後の重合体(すなわち、本発明に係る抗血栓性高分子化合物)は、凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、または加熱乾燥等、任意の方法によって乾燥することもできるが、重合体の物性に与える影響が小さいという観点から、凍結乾燥または減圧乾燥が好ましい。
上述の製造方法によって、本発明に係る抗血栓性高分子化合物を得ることができる。
〔溶媒〕
本発明の抗血栓性コーティング材は、上述したヘパリンおよび、本発明に係る抗血栓性高分子化合物とともに、特定の溶媒をさらに有する。以下では、特定の溶媒について、詳細に説明する。
本発明において、抗血栓性コーティング材に含まれる溶媒として、水およびメタノールを必須に含む。本発明者が鋭意研究することにより、以下のことを見出した。すなわち、本発明者は、水およびメタノールを含む溶媒を用いることで、本発明に係る抗血栓性高分子化合物と、水溶性ヘパリンとを共に溶解させることができ、ポリプロピレンなどの基材上に均一な塗膜(コート層)を形成することができることを見出した。さらに、抗血栓性高分子化合物に物理的に保持されたヘパリンが、擬似生理的な環境においても溶出せず安定して存在することができる。
また、当該溶媒において、水とメタノールとの体積比(水:メタノール)は、へパリンとPMEAとの両方を溶解分散させる観点から、5:95〜45:55であることが好ましく、10:90〜45:55であることがより好ましく、10:90〜30:70であることが特に好ましい。
本発明において、抗血栓性コーティング材は、以下の方法によって、製造することができる。
すなわち、(i)本発明に係る抗血栓性高分子化合物をメタノールに溶解させ、得られる溶液(「溶液a」と略称する)と、別途で用意するヘパリンの水溶液(「溶液b」と略称する)と、を混合することによって製造することができる;また、(ii)本発明に係る抗血栓性高分子化合物を水およびメタノールを含む溶媒に溶解させ、得られる溶液と、別途で用意するヘパリンの水溶液と、を混合することによって製造することもできる。
例えば、上記方法(i)を用いる場合、溶液(a)中の抗血栓性高分子化合物の濃度は、特に限定されず、被膜形成性の観点から、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。また、溶液b中のヘパリンの濃度は、特に限定されず、例えば、100〜10000u/mlであることが好ましく、500〜5000u/mlであることがより好ましい。
なお、得られた溶液aと溶液bとの混合は、抗血栓性コーティング材中のヘパリンの濃度および抗血栓性高分子化合物の濃度や、溶媒組成(水とメタノールとの体積比など)が、所望の値となるような体積比で行えばよい。
本発明において、抗血栓性コーティング材中のヘパリンの濃度は、特に制限されないが、10〜500u/mlであることが好ましく、50〜100u/mlであることがより好ましい。
また、抗血栓性コーティング材中の本発明に係る抗血栓性高分子化合物の濃度は、特に制限されないが、0.9〜45質量%であることが好ましく、4.5〜27質量%であることがより好ましい。
<用途>
本発明の抗血栓性コーティング材は、例えば人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテーテル、人工肺用膜および人工血管などの医療用具の材料として極めて有用である。
このため、本発明は、上述した本発明の抗血栓性コーティング材を用いて、コーティングすることを含む、医療用具の製造方法も提供する。また、本発明は、ヘパリンと、本発明に係る抗血栓性高分子化合物と、を含む層を有する医療用具もまた提供する。具体的には、本発明によれば、ヘパリンと、上記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、を含む層を有し、表面ヘパリン活性が、0.02×10−2u/cmを超える、医療用具が提供される。本発明に係る抗血栓性コーティング材を用いて、基材表面にコート層(塗膜)を形成することにより、抗血栓性に優れた医療用具を得ることができる。なお、本明細書中、「表面ヘパリン活性」の値は、実施例に記載の方法により測定された値を採用するものとする。
<医療用具>
本発明に係る医療用具として、例えば、体内埋入型の人工器官や治療器具、体外循環型の人工臓器類、カテーテル、ガイドワイヤー等を例示できる。具体的には、血管や管腔内へ挿入若しくは置換される人工血管、人工気管、ステント人工皮膚、人工心膜等の埋入型医療器具;人工心臓システム、人工肺システム、人工心肺システム、人工腎臓システム、人工肝臓システム、免疫調節システム等の人工臓器システム;留置針、IVHカテーテル、薬液投与用カテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテルおよびダイレーター若しくはイントロデューサー等の血管内に挿入若しくは留置されるカテーテル;、または、これらのカテーテル用のガイドワイヤー、スタイレット等;胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用(ED)チューブ、尿道カテーテル、導尿カテーテル、バルーンカテーテル、気管内吸引カテーテルをはじめとする各種の吸引カテーテルや排液カテーテル等の血管以外の生体組織に挿入若しくは留置されるカテーテル類;が例示できる。特に、大量の血液と接する人工肺システム、または人工心肺システムに対して、上記の抗血栓性コーティング材は好適に使用される。すなわち、本発明に係る医療用具の好ましい実施形態としては、人工肺や人工心肺が挙げられる。例えば、抗血栓性コーティング材の塗膜からなるコート層を中空糸膜外部血液灌流型人工肺の中空糸膜に形成する場合、中空糸膜の肉厚(膜厚、中空糸膜の内表面と外表面との間の肉厚)は、例えば20μm〜100μmである。
〔基材〕
医療用具の基材の材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンや変性ポリオレフィン;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン(PVDC);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂等の各種高分子材料、金属、セラミック、カーボン、およびこれらの複合材料等が例示できる。上記の高分子材料は延伸処理がなされたもの(例えば、ePTFE)であっても良い。
基材の形状は医療用具の用途等に応じて適宜選択され、例えば、チューブ状、シート状、ロッド状等の形状をとりうる。基材の形態は、上記のような材料を単独で用いた成形体に限定されず、ブレンド成形物、アロイ化成形物、多層化成形物などでも使用可能である。基材は単層であっても、積層されていてもよい。この際、基材が積層されている場合には、各層の基材は同じものであっても、異なるものであってもよい。
本発明において、「基材表面」とは、生体組織や血液等の体液と対する基材面である。ヘパリンおよび抗血栓性高分子化合物を有するコート層が基材表面に形成されることにより、基材表面の抗血栓性が向上する。医療用具においては、生体組織や血液等の体液と対する基材面にヘパリンおよび抗血栓性高分子化合物を有するコート層が形成されていればよいが、コート層がその他の面にも形成されることを妨げるものではない。
コート層の基材表面への安定性を高めるため、基材表面にコート層を形成する前に、基材を表面処理しても良い。基材の表面処理の方法としては、例えば、活性エネルギー線(電子線、紫外線、X線等)を照射する方法、アーク放電やコロナ放電、グロー放電等のプラズマ放電を利用する方法、高電界を印加する方法、極性液体(水等)を介した超音波振動を作用させる方法、オゾンガスにより処理する方法等が挙げられる。
〔コート層〕
上記医療用具においては、本発明に係る抗血栓性コーティング材の塗膜からなるコート層が、基材表面に形成される。
基材表面へのコート層の形成は、本発明に係る抗血栓性コーティング材を塗布することによって基材表面を被覆する。なお、「被覆」とは、基材の表面全体がコート層により完全に覆われている形態のみならず、基材の表面の一部がコート層により覆われている形態、すなわち、基材表面の一部にコート層が付着した形態をも含むものとする。
本発明に係る抗血栓性コーティング材を基材表面へ塗布する方法は公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、充填、ディップコート(浸漬法)、噴霧、スピンコート、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコート、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート等が挙げられる。
また、ヘパリンおよび抗血栓性高分子化合物を有するコート層の厚さは、医療用具の用途によって適宜調整すればよく、特に制限されるものではないが、例えば1000μmよりも薄く形成される。
本発明に係る抗血栓性コーティング材を塗布した基材表面を乾燥させることにより、基材表面にコート層が形成される。乾燥工程は、基材のガラス転移温度等を考慮して適宜設定すればよいが、例えば20〜80℃にて、オーブンなどで加熱して、0.5〜20時間を行うことができる。乾燥工程における雰囲気は特に制限されず、大気中、または窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。
上記のように形成されたコート層は、高い抗血栓性を有する。具体的には、本発明に係る医療用具は、表面ヘパリン活性が、0.02×10−2u/cmを超える。好ましくは、表面ヘパリン活性が、0.10×10−2u/cmを超え、より好ましくは、0.15×10−2u/cmを超え、さらにより好ましくは、0.20×10−2u/cmを超える。一方、表面ヘパリン活性の上限値は高いほど好ましく、特に制限されないが、実質的には、0.5×10−2u/cm程度である。
〔応用例〕
本発明に係る抗血栓性コーティング材を用いて、人工肺を製造することができる。
係る人工肺は、外表面と内腔を形成する内表面と前記外表面と前記内表面とを連通する開口部とを有する複数のガス交換用多孔質中空糸膜を有する人工肺であって、前記外表面および前記内表面のいずれか一方に、上記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物を主成分とする材料(抗血栓性材料)および水溶性薬剤(特に、ヘパリン)を含む層を有する、人工肺であり得る。また、かような人工肺の表面ヘパリン活性は、0.02×10−2u/cmを超えると好ましい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行った。
〔製造例1 重量平均分子量80万のPMEAの製造〕
メトキシエチルアクリレート(MEA)100g(0.77mol)を95gのメタノールに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、50℃でNバブリングを1時間行い、メタノール溶液を調製した(メタノール溶液調製工程)。その後、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業株式会社製、10時間半減期温度:30℃)0.1gを5gのメタノールに溶解した開始剤溶液を、MEAを溶解したメタノール溶液に加えて重合反応液(重合反応液の単量体含量:50質量%)を調製した。重合反応液を攪拌しつつ、窒素ガス雰囲気下にて50℃で5時間重合させた。重合後の液をエタノールに滴下し、析出した重合体を回収した。なお、回収した重合体(PMEA)の重量平均分子量は、80万であった。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定した。具体的には、製造した重合体をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、濃度:1mg/mlの溶液を調製し、株式会社島津製作所製GPCシステムLC−20にShodex(登録商標) GPCカラムLF−804(昭和電工株式会社製)を取り付け、移動相としてTHFを流し、標準ポリスチレンおよび重合体(抗血栓性高分子化合物)のGPCを測定した。標準ポリスチレンで較正曲線を作成した後、当該重合体の重量平均分子量を算出した。なお、以下の製造例においても同様である。
〔製造例2 重量平均分子量32万のPMEAの製造〕
メトキシエチルアクリレート(MEA)15g(0.115mol)を、30gのメタノールに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、50℃でNバブリングを1時間行い、メタノール溶液を調製した(メタノール溶液調製工程)。その後、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業株式会社製、10時間半減期温度:30℃)0.015gを5gのメタノールに溶解した開始剤溶液を、MEAを溶解したメタノール溶液に加えて重合反応液(重合反応液の単量体含量:30質量%)を調製した。重合反応液を攪拌しつつ、窒素ガス雰囲気下にて50℃で5時間重合させた。重合後の液をエタノールに滴下し、析出した重合体を回収した。なお、回収した重合体(PMEA)の重量平均分子量は、32万であった。
〔製造例3 重量平均分子量9万のPMEAの製造〕
メトキシエチルアクリレート(MEA)15g(0.115mol)を、55gのトルエンに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、80℃でNバブリングを1時間行い、トルエン溶液を調製した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601、和光純薬工業株式会社製、10時間半減期温度:66℃)0.015gを5gのトルエンに溶解した開始剤溶液を、MEAを溶解したトルエン溶液に加えて反応液(反応液の単量体含量:20質量%)を調製した。反応液を攪拌しつつ、窒素ガス雰囲気下にて80℃で5時間重合させた。重合後の液をノルマルヘキサンに滴下し、析出した重合体を回収した。なお、回収した重合体(PMEA)の重量平均分子量は、9万であった。
<実施例1>
上記で製造した重量平均分子量が80万のPMEAをメタノールに溶解し、20質量%溶液を調製した。へパリン水溶液(ノボ・ヘパリン1000u/ml、持田製薬株式会社製)1mlと上記のPMEA溶液9mlを混合し、無色透明な溶液を得た(当該溶液中の水:メタノール体積比=10:90)。幅1cm、全長10cm、厚みが50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学株式会社製)を上記コート液に10秒間浸漬した後、引き上げ、50℃に設定したオーブンで12時間以上加熱乾燥し、実施例1のサンプル(コートフィルム1)を作製した。
<実施例2>
上記で製造した重量平均分子量が32万のPMEAをメタノールに溶解し、20質量%溶液を調製した。へパリン水溶液(ノボ・ヘパリン1000u/ml、持田製薬株式会社製)1mlと上記のPMEA溶液9mlを混合し、無色透明な溶液を得た(当該溶液中の水:メタノール体積比=10:90)。幅1cm、全長10cm、厚みが50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学株式会社製)を上記コート液に10秒間浸漬した後、引き上げ、50℃に設定したオーブンで12時間以上加熱乾燥し、実施例2のサンプル(コートフィルム2)を作製した。
<比較例1>
上記で製造した重量平均分子量が9万のPMEAをメタノールに溶解し、20質量%溶液を調製した。へパリン水溶液(ノボ・ヘパリン1000u/ml、持田製薬株式会社製)1mlと上記のPMEA溶液9mlを混合し、無色透明な溶液を得た(当該溶液中の水:メタノール体積比=10:90)。幅1cm、全長10cm、厚みが50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOP50、フタムラ化学株式会社製)を上記コート液に10秒間浸漬した後、引き上げ、50℃に設定したオーブンで12時間以上加熱乾燥し、比較例1のサンプル(コートフィルム3)を作製した。
<評価1:コート性>
上記の各実施例および比較例で作製したサンプルにおけるコート性(抗血栓性コーティング材のコート性)について、確認試験を行った。
実施例1、実施例2および比較例1のそれぞれのコートフィルムをトルイジンブルー0.5質量%水溶液に30秒間浸漬したのち、水洗し、生理食塩水中に入れ、コート状態を観察した。実施例1(左側)および比較例1(右側)の試験結果を、図1に示す。実施例1のコートフィルム1は、コート面全体が青色に染色されており、PMEAとへパリンからなる均一なコート層を形成していることが確認出来た。染色状態は3時間後も維持されていた。一方で、比較例1のコートフィルム3は、コートされたPMEAのはじきが生じ、不均一な点状の染色状態であった。また、図示していないが、実施例2のコートフィルム2は、実施例1のコートフィルム1と同様に、コート面全体が青色に染色されているものであった。
<評価2:表面ヘパリン活性(抗FXa活性)>
実施例1、実施例2および比較例1のそれぞれのコートフィルムを生理食塩水中に入れ、6時間、室温(25℃)にて静置した。各フィルムを生理食塩水から取り出し、蒸留水で洗浄、室温(25℃)にて12時間以上、乾燥した。乾燥した各フィルムを0.5cm平方に切りだしてフィルム片を作製し、プラスチック製試験管に2cm相当のフィルム片を入れた。「テストチーム(登録商標)ヘパリンS」キット(積水メディカル株式会社製)を用いて、添付されている説明書に従い、表面ヘパリン活性(抗FXa活性)を測定した。
測定は、具体的には、以下のように行った。まず、エンドポイント法を用いて、基質の標準液について、各ヘパリン濃度と吸光度との関係をプロットすることで検量線(標準直線)を作成した。下記に標準直線の数式(1)を示す。吸光度の測定は、日立U4000形分光光度計を用いて、波長405nmの吸光度を測定することによりおこなった。次いで、各試料(上記各フィルム片)についても同様に吸光度を測定し、上記標準直線に基づき、ヘパリン活性を算出した。また、各試料についての表面ヘパリン活性の測定結果を下記の表1に示す。
以上の試験結果から明らかであるように、実施例のコートフィルムは、PMEAおよびへパリンからなるコート層が、均一に形成されており、へパリンはPMEAとの物理的な絡み合いによって、生理食塩水に溶出することなく、コートフィルムの表面に安定して保持されることが確認出来た。また、実施例のコートフィルムは、高い表面ヘパリン活性を有していることが確認された。したがって、本発明に係る抗血栓性コーティング材によれば、優れた抗血栓性を有するコート層を形成でき、また、優れた抗血栓性を有する医療用具を得ることができる。

Claims (6)

  1. ヘパリンと、下記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、水およびメタノールを含む溶媒と、を有する、抗血栓性コーティング材;
    式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
  2. 前記抗血栓性高分子化合物は、重量平均分子量が500,000以上である、請求項1に記載の抗血栓性コーティング材。
  3. 前記抗血栓性高分子化合物は、ポリメトキシエチルアクリレートである、請求項1または2に記載の抗血栓性コーティング材。
  4. 前記溶媒において、水とメタノールとの体積比(水:メタノール)が、5:95〜45:55である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗血栓性コーティング材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗血栓性コーティング材を用いて、コーティングすることを含む、医療用具の製造方法。
  6. ヘパリンと、下記式(I)で示される構成単位を含み、かつ重量平均分子量が300,000以上である抗血栓性高分子化合物と、を含む層を有し、表面ヘパリン活性が、0.02×10−2u/cmを超える、医療用具;
    式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
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