JP2008188740A - 難削材の重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】難削材の重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】工具基体の表面に、(a)CrとYの複合窒化物層からなる下部層、(b)層厚方向に向かって酸素含有割合が高くなる酸素濃度分布構造を有し、最下面では酸素を実質的に含有せず、最表面では窒素を実質的に含有しない組成傾斜型酸窒化バナジウム層からなる上部層、以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具。
【選択図】 なし
【解決手段】工具基体の表面に、(a)CrとYの複合窒化物層からなる下部層、(b)層厚方向に向かって酸素含有割合が高くなる酸素濃度分布構造を有し、最下面では酸素を実質的に含有せず、最表面では窒素を実質的に含有しない組成傾斜型酸窒化バナジウム層からなる上部層、以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具。
【選択図】 なし
Description
この発明は、特にAl合金、軟鋼、ステンレス鋼などの粘性が高く、切粉が工具切刃に溶着しやすい難削材の切削加工を高切り込みや高送りなどの重切削条件で行った場合に、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性と潤滑性を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
一般に、被覆工具には、各種の鋼や鋳鉄などの被削材の旋削加工や平削り加工にバイトの先端部に着脱自在に取り付けて用いられるスローアウエイチップ、前記被削材の穴あけ切削加工などに用いられるドリルやミニチュアドリル、さらに前記被削材の面削加工や溝加工、肩加工などに用いられるソリッドタイプのエンドミルなどがあり、また前記スローアウエイチップを着脱自在に取り付けて前記ソリッドタイプのエンドミルと同様に切削加工を行うスローアウエイエンドミル工具などが知られている。
また、被覆工具として、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成された工具基体の表面に、少なくとも、窒化クロム(以下、CrNで示す)層を硬質被覆層として物理蒸着してなる被覆工具が知られており、そしてCrN層がすぐれた潤滑性と耐摩耗性を有することが知られている。
また、上記のごときCrN層中に、0.01〜10原子%のイットリウム(以下、Yで示す)を含有させて、CrとYの複合窒化物層(以下、(Cr,Y)N層で示す)を形成することにより、その硬度を向上させることも知られている。
また、上記のごときCrN層中に、0.01〜10原子%のイットリウム(以下、Yで示す)を含有させて、CrとYの複合窒化物層(以下、(Cr,Y)N層で示す)を形成することにより、その硬度を向上させることも知られている。
さらに、上記従来被覆工具のCrN層、あるいは、上記(Cr,Y)N層が、例えば図2に概略説明図で示される物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置に基体を装入し、ヒータで装置内を、例えば500℃の温度に加熱した状態で、Cr合金あるいはCr−Y合金がセットされたカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に、例えば電流:90Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば2Paの反応雰囲気とし、一方上記基体には、例えば−100Vのバイアス電圧を印加した条件で蒸着することにより、基体表面に、上記CrN層あるいは(Cr,Y)N層を形成し得ることも知られている。
特開2006−21257号公報
特開2002−337008号公報
特開2001−181824号公報
近年の切削加工装置のFA化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削工具には被削材の材種にできるだけ影響を受けない汎用性、すなわち、できるだけ多くの材種の切削加工が可能な切削工具が求められる傾向にあるが、上記の従来被覆工具においては、これを低合金鋼や炭素鋼などの一般鋼や、ダクタイル鋳鉄やねずみ鋳鉄などの普通鋳鉄の通常の切削加工に用いた場合には問題はないが、特に切粉の粘性が高く、かつ工具表面に溶着し易いAl合金、軟鋼、ステンレス鋼などの難削材(被削材)の切削加工を、切刃部に局部的に高負荷がかかる高切り込みや高送りなどの重切削条件で行った場合には、切削時の発熱によって被削材および切粉は高温に加熱されて粘性度が一段と増大し、これに伴って硬質被覆層表面に対する粘着性および反応性が一段と増すようになり、この結果切刃部におけるチッピング(微少欠け)の発生が急激に増加し、これが原因で比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、特にAl合金、軟鋼、ステンレス鋼などの難削材の切削加工を、高切り込みや高送りなどの重切削条件で行った場合に、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆工具を開発すべく、上記の従来被覆工具に着目し、研究を行った結果、
(a)上記従来被覆工具の硬質被覆層であるCrN層に、Crとの合量に占めるYの含有割合が0.1〜10原子%となるようにY成分を含有させ(Cr,Y)N層を構成すると、Y成分の含有によって、(Cr,Y)N層の硬度は大となり、(Cr,Y)N層を被覆した切削工具は、すぐれた耐摩耗性を示すようになるが、その一方、Y成分の含有によって(Cr,Y)N層の潤滑性が十分なものではなくなるため、Al合金、軟鋼、ステンレス鋼などの難削材の重切削加工では、潤滑性の不足によって、チッピングを発生しやすくなること。
(a)上記従来被覆工具の硬質被覆層であるCrN層に、Crとの合量に占めるYの含有割合が0.1〜10原子%となるようにY成分を含有させ(Cr,Y)N層を構成すると、Y成分の含有によって、(Cr,Y)N層の硬度は大となり、(Cr,Y)N層を被覆した切削工具は、すぐれた耐摩耗性を示すようになるが、その一方、Y成分の含有によって(Cr,Y)N層の潤滑性が十分なものではなくなるため、Al合金、軟鋼、ステンレス鋼などの難削材の重切削加工では、潤滑性の不足によって、チッピングを発生しやすくなること。
(b)そこで、上記(Cr,Y)N層を硬質被覆層の下部層として1〜5μmの平均層厚で形成し、これの上に上部層として酸化バナジウム(酸化バナジウムは、その酸化の程度によって、VO、V2O3およびVO2など種々の化合物形態をとり得るが、以下、これらを総称してVOで示す)層を形成すると、前記VO層は潤滑性にすぐれ、この結果切削時の発熱で被削材(難削材)およびその切粉が高温加熱された状態でも切刃部(すくい面および逃げ面と、これら両面が交わる切刃稜線部)と被削材および切粉との間には常にすぐれた潤滑性、耐溶着性が確保され、前記被削材および切粉の切刃部表面に対する粘着性および反応性が著しく低減されるようになること。
(c)しかし、(Cr,Y)N層からなる下部層上に、直接、上部層としてVO層を設けた場合には、下部層である(Cr,Y)N層と上部層であるVO層との密着性は十分でなく、また、上部層であるVO層自体の高温強度も十分でないため、硬質被覆層の下部層と上部層の密着性不足、上部層の高温強度不足が原因でチッピング発生を十分防止することはできないこと。
(d)上記(Cr,Y)N層からなる下部層の上に、上記VO層を設けるにあたり、上記(Cr,Y)N層の表面には、実質的に酸素を含有しない窒化バナジウム(以下、VNで示す)を蒸着形成し、蒸着を継続し、上部層の層厚が大になるにしたがって、蒸着形成される層の酸素含有割合を徐々に高くしていき(窒素含有割合を徐々に減少させていき)、上部層表面では、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウムが形成されるように蒸着すると、上部層は全体としては酸窒化バナジウム層であるが、層厚方向の組成変化からみれば、上部層の層厚方向に沿って、酸素含有割合が徐々に高くなり、一方、窒素含有割合が徐々に小さくなる酸素(窒素)濃度分布を有する組成傾斜型の上部層が形成されること。
(e)そして、該組成傾斜型の酸窒化バナジウムからなる上部層は、(Cr,Y)N層からなる下部層近傍においては実質的に酸素を含有しない窒化バナジウムであって、下部層との密着強度は大であり、一方、組成傾斜型上部層の表面領域では、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウムであることから、潤滑性にすぐれ、切削時の発熱で被削材(難削材)およびその切粉が高温加熱された状態でも切刃部と被削材および切粉との間には常にすぐれた潤滑性、耐溶着性が確保され、さらに、組成傾斜型酸窒化バナジウム層の層厚方向に沿った酸素(或いは窒素)の組成変化は連続的なものであるため、層内での機械的・化学的特性変化も連続的であって、異種の層の積層構造のように機械的・化学的特性の不連続変化が生じることがないため、組成傾斜型の酸窒化バナジウムからなる上部層は、全体として、すぐれた高温強度を有すると共に、被削材および切粉の切刃部表面に対する粘着性および反応性が著しく低減され、高い発熱を伴いかつ切刃部に局部的な高負荷がかかる難削材の重切削加工において、すぐれた耐チッピング性を示すこと。
(f)上記(e)の硬質被覆層は、例えば、図1(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される構造のアークイオンプレーティング装置、すなわち装置中央部に工具基体装着用回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで一方にはカソード電極(蒸発源)として金属Vを配置し、また、その他方にはカソード電極(蒸発源)として所定組成のCr−Y合金を配置したアークイオンプレーティング装置を用い、この装置の前記回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部に沿って複数の工具基体をリング状に装着し、この状態で装置内雰囲気を窒素雰囲気として前記回転テーブルを回転させると共に、蒸着形成される硬質被覆層の層厚均一化を図る目的で工具基体自体も自転させながら、基本的に、まず前記Cr−Y合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間にアーク放電を発生させて、前記工具基体の表面に、下部層として(Cr,Y)N層を目標層厚になるように蒸着形成した後、
前記Cr−Y合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、その後、装置内雰囲気を窒素ガス雰囲気としたままで、カソード電極(蒸発源)である金属Vとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、まず、窒化バナジウムを蒸着形成し、
その後、前記金属Vのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を継続したまま、装置内雰囲気を酸素−窒素混合ガス雰囲気に変更し、また、蒸着の進行につれ次第に酸素ガス含有割合を高くしつつ蒸着を継続し、組成傾斜型の酸窒化バナジウム層を蒸着し、
蒸着層の層厚が所定の目標層厚に近づいた時点で、酸素−窒素混合ガス雰囲気の酸素ガス含有割合をさらに高くして蒸着し、目標層厚の酸窒化バナジウムの最表面において、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウムを形成することにより、
下部層としての(Cr,Y)N層、上部層としての組成傾斜型の酸窒化バナジウム層からなる硬質被覆層を蒸着により形成することができること。
前記Cr−Y合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、その後、装置内雰囲気を窒素ガス雰囲気としたままで、カソード電極(蒸発源)である金属Vとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、まず、窒化バナジウムを蒸着形成し、
その後、前記金属Vのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を継続したまま、装置内雰囲気を酸素−窒素混合ガス雰囲気に変更し、また、蒸着の進行につれ次第に酸素ガス含有割合を高くしつつ蒸着を継続し、組成傾斜型の酸窒化バナジウム層を蒸着し、
蒸着層の層厚が所定の目標層厚に近づいた時点で、酸素−窒素混合ガス雰囲気の酸素ガス含有割合をさらに高くして蒸着し、目標層厚の酸窒化バナジウムの最表面において、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウムを形成することにより、
下部層としての(Cr,Y)N層、上部層としての組成傾斜型の酸窒化バナジウム層からなる硬質被覆層を蒸着により形成することができること。
(g)上記の下部層および上部層で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆工具は、特に粘性および粘着性の高いAl合金、軟鋼、ステンレス鋼などの難削材の切削加工を、高負荷のかかる高切り込みや高送りなどの重切削条件で行っても、下部層である(Cr,Y)N層がすぐれた高温硬さと所定の高温強度、潤滑性を備え、また、上部層が、層厚方向に沿って酸素含有割合が次第に高くなる酸素濃度分布構造を有する組成傾斜型酸窒化バナジウム層で構成され、この上部層における酸素濃度分布構造によって、上部層が下部層に対するすぐれた密着性、接合強度を備えるとともに、被削材(難削材)に対する一段とすぐれた潤滑性、耐溶着性を備えることから、このような下部層と上部層からなる硬質被覆層は、全体として、すぐれた潤滑性、耐溶着性とすぐれた高温強度、耐摩耗性を具備したものとなり、難削材および切粉の切刃部表面に対する粘着性および反応性が著しく低減された状態で重切削加工が行われるようになることから、切刃部におけるチッピングの発生がなくなり、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するようになること。
以上(a)〜(g)に示される研究結果を得たのである。
以上(a)〜(g)に示される研究結果を得たのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)下部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Cr1−XYX)N(但し、XはYの含有割合を示し、原子比で、0.001≦X≦0.1である)を満足するCrとYの複合窒化物層、
(b)上部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、上記(a)の下部層側から層厚方向の表面へ向かって酸素含有割合が高くなるような酸素濃度分布構造を有する酸窒化バナジウム層であって、かつ、該酸窒化バナジウム層の最下面では酸素を実質的に含有せず、また、該酸窒化バナジウム層の最表面では窒素を実質的に含有しない酸窒化バナジウム層、
以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる、難削材の重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)下部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Cr1−XYX)N(但し、XはYの含有割合を示し、原子比で、0.001≦X≦0.1である)を満足するCrとYの複合窒化物層、
(b)上部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、上記(a)の下部層側から層厚方向の表面へ向かって酸素含有割合が高くなるような酸素濃度分布構造を有する酸窒化バナジウム層であって、かつ、該酸窒化バナジウム層の最下面では酸素を実質的に含有せず、また、該酸窒化バナジウム層の最表面では窒素を実質的に含有しない酸窒化バナジウム層、
以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる、難削材の重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
つぎに、この発明の被覆工具の硬質被覆層の構成層に関し、上記の通りに数値限定した理由を説明する。
(Cr,Y)N層からなる下部層;
下部層を構成する(Cr,Y)Nは、所定の高温強度と潤滑性を有するとともに、その構成成分であるY成分によって、すぐれた高温硬さを備えるようになるが、Yの含有割合を示すX値(=Y/(Cr+Y)。但し、原子比)がCrとの合量に占める割合で0.001(原子比)未満になると、所定の高温硬さを確保することができず、これが耐摩耗性低下の原因となり、一方Yの割合を示すX値が同0.10(原子比)を越えると、相対的にCrの含有割合が減少し、難削材の重切削加工で必要とされる高温強度を確保することができないばかりか、潤滑性も低下し、チッピングの発生を防止することが困難になることから、X値を0.001〜0.10(原子比)と定めた。
また、その平均層厚が1μm未満では、自身のもつすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するには不十分であり、一方その平均層厚が5μmを越えると、上記の粘性の高い難削材の重切削加工では切刃部にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜5μmと定めた。
下部層を構成する(Cr,Y)Nは、所定の高温強度と潤滑性を有するとともに、その構成成分であるY成分によって、すぐれた高温硬さを備えるようになるが、Yの含有割合を示すX値(=Y/(Cr+Y)。但し、原子比)がCrとの合量に占める割合で0.001(原子比)未満になると、所定の高温硬さを確保することができず、これが耐摩耗性低下の原因となり、一方Yの割合を示すX値が同0.10(原子比)を越えると、相対的にCrの含有割合が減少し、難削材の重切削加工で必要とされる高温強度を確保することができないばかりか、潤滑性も低下し、チッピングの発生を防止することが困難になることから、X値を0.001〜0.10(原子比)と定めた。
また、その平均層厚が1μm未満では、自身のもつすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するには不十分であり、一方その平均層厚が5μmを越えると、上記の粘性の高い難削材の重切削加工では切刃部にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜5μmと定めた。
酸窒化バナジウム層(VNO層)からなる組成傾斜型の上部層;
硬質被覆層の上部層を構成する組成傾斜型の酸窒化バナジウム層(VNO層)は、酸素(窒素)の含有割合が層厚方向に沿って異なるため、その特性も酸素(窒素)の含有割合に応じて異なるが、下部層の表面近傍(上部層の最下面)においては、実質的に酸素を含有していない窒化バナジウムが形成されるため、すぐれた高温強度を有し、下部層との密着強度も高く、一方、上部層の表面(近傍)においては、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウム(即ち、Oとの合量に占めるNの含有割合N/(N+O)が、原子比で0.1以下の酸化バナジウム)が形成されているため、すぐれた潤滑性、耐溶着性を有し、被削材(難削材)および切粉に対する粘着性および反応性がきわめて低く、これは切削時に前記被削材が高温加熱された状態でも変わることなく維持されることから、下部層である(Cr,Y)N層を前記高温加熱された被削材および切粉から保護し、これのチッピング発生を抑制する作用を発揮する。
なお、この発明でいう、“酸窒化バナジウム層の最下面では酸素を実質的に含有せず”あるいは“下部層の表面近傍(上部層の最下面)においては、実質的に酸素を含有していない窒化バナジウム”とは、下部層に隣接する上部層の最下面の領域について、上部層と下部層の界面より上部層側の、測定幅0.1〜0.2μmの領域で酸素含有量を測定した際に、該領域において検出された酸素含有量(即ち、N含有量との合量に対するO含有量の割合(=O/(N+O)、但し、原子比)が0.1以下であることを意味し、また、“酸窒化バナジウム層の最表面では、窒素を実質的に含有せず”あるいは“上部層の表面(近傍)においては、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウム”とは、上部層表面の酸素含有量を測定した際に、測定された酸素含有量(即ち、N含有量との合量に対するO含有量の割合(=O/(N+O)、但し、原子比)が0.9以上であることを意味する。
また、上部層の平均層厚が1μm未満では、上部層を設けたとしても潤滑性、耐溶着性の向上を期待することはできず、一方その平均層厚が5μmを越えて厚くなり過ぎると、チッピングを発生しやすくなることから、その平均層厚を1〜5μmと定めた。
硬質被覆層の上部層を構成する組成傾斜型の酸窒化バナジウム層(VNO層)は、酸素(窒素)の含有割合が層厚方向に沿って異なるため、その特性も酸素(窒素)の含有割合に応じて異なるが、下部層の表面近傍(上部層の最下面)においては、実質的に酸素を含有していない窒化バナジウムが形成されるため、すぐれた高温強度を有し、下部層との密着強度も高く、一方、上部層の表面(近傍)においては、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウム(即ち、Oとの合量に占めるNの含有割合N/(N+O)が、原子比で0.1以下の酸化バナジウム)が形成されているため、すぐれた潤滑性、耐溶着性を有し、被削材(難削材)および切粉に対する粘着性および反応性がきわめて低く、これは切削時に前記被削材が高温加熱された状態でも変わることなく維持されることから、下部層である(Cr,Y)N層を前記高温加熱された被削材および切粉から保護し、これのチッピング発生を抑制する作用を発揮する。
なお、この発明でいう、“酸窒化バナジウム層の最下面では酸素を実質的に含有せず”あるいは“下部層の表面近傍(上部層の最下面)においては、実質的に酸素を含有していない窒化バナジウム”とは、下部層に隣接する上部層の最下面の領域について、上部層と下部層の界面より上部層側の、測定幅0.1〜0.2μmの領域で酸素含有量を測定した際に、該領域において検出された酸素含有量(即ち、N含有量との合量に対するO含有量の割合(=O/(N+O)、但し、原子比)が0.1以下であることを意味し、また、“酸窒化バナジウム層の最表面では、窒素を実質的に含有せず”あるいは“上部層の表面(近傍)においては、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウム”とは、上部層表面の酸素含有量を測定した際に、測定された酸素含有量(即ち、N含有量との合量に対するO含有量の割合(=O/(N+O)、但し、原子比)が0.9以上であることを意味する。
また、上部層の平均層厚が1μm未満では、上部層を設けたとしても潤滑性、耐溶着性の向上を期待することはできず、一方その平均層厚が5μmを越えて厚くなり過ぎると、チッピングを発生しやすくなることから、その平均層厚を1〜5μmと定めた。
この発明の被覆工具は、硬質被覆層を構成する下部層の(Cr,Y)N層が、すぐれた高温硬さと所定の高温強度と潤滑性を有し、また、組成傾斜型の酸窒化バナジウム層からなる上部層が、すぐれた潤滑性(表面滑り性)、耐溶着性、高温強度を兼ね備えていることから、硬質被覆層は全体として、すぐれた高温硬さと高温強度等に加え、すぐれた潤滑性、耐溶着性を備えたものとなり、その結果、特に粘性および粘着性の高いAl合金、軟鋼、ステンレス鋼などの難削材の大きな発熱を伴い、かつ、高負荷のかかる重切削加工であっても、すぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3C2粉末、TiN粉末、TaN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、ISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A−1〜A−10を形成した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、Mo2C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を2kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、ISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体B−1〜B−6を形成した。
(a)ついで、上記の工具基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図1に示されるアークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部にそって装着し、前記回転テーブルを挟んで相対向する両側にカソード電極(蒸発源)を配置し、その一方にはカソード電極(蒸発源)として金属Vを配置し、また、その他方にはカソード電極(蒸発源)として所定組成の下部層形成用のCr−Y合金を配置し、
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記下部層形成用Cr−Y合金とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面を前記Cr−Y合金によってボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記Cr−Y合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表3、表4に示される目標組成、目標層厚の下部層としての(Cr,Y)N層を1〜5μmの平均層厚で蒸着形成した後、前記Cr−Y合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、
(d)その後、装置内雰囲気を窒素ガス雰囲気としたままで、カソード電極(蒸発源)である金属Vとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、まず、窒化バナジウムを蒸着形成し、
(e)その後、前記金属Vのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を継続したまま、装置内雰囲気を酸素−窒素混合ガス雰囲気に変更し、また、蒸着の進行につれ次第に酸素ガス含有割合を高くしながら蒸着を継続し、組成傾斜型の酸窒化バナジウム層を蒸着し、
(f)蒸着層の層厚が所定の目標層厚に近づいた時点で、酸素−窒素混合ガス雰囲気の酸素ガス含有割合をさらに高くして蒸着し、目標層厚の酸窒化バナジウムの最表面において、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウム(表面における原子比によるO/(N+O)の値は、0.9以上)を形成し、表3、表4に示される目標層厚の酸窒化バナジウム層を蒸着形成した後、前記金属Vとアノード電極との間のアーク放電を停止し、
上記(a)〜(f)により、下部層としての(Cr,Y)N層、上部層としての組成傾斜型の酸窒化バナジウム層からなる硬質被覆層を蒸着により形成、本発明被覆工具としての本発明表面被覆スローアウエイチップ(以下、本発明被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記下部層形成用Cr−Y合金とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面を前記Cr−Y合金によってボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記Cr−Y合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表3、表4に示される目標組成、目標層厚の下部層としての(Cr,Y)N層を1〜5μmの平均層厚で蒸着形成した後、前記Cr−Y合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、
(d)その後、装置内雰囲気を窒素ガス雰囲気としたままで、カソード電極(蒸発源)である金属Vとアノード電極との間にアーク放電を発生させて、まず、窒化バナジウムを蒸着形成し、
(e)その後、前記金属Vのカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を継続したまま、装置内雰囲気を酸素−窒素混合ガス雰囲気に変更し、また、蒸着の進行につれ次第に酸素ガス含有割合を高くしながら蒸着を継続し、組成傾斜型の酸窒化バナジウム層を蒸着し、
(f)蒸着層の層厚が所定の目標層厚に近づいた時点で、酸素−窒素混合ガス雰囲気の酸素ガス含有割合をさらに高くして蒸着し、目標層厚の酸窒化バナジウムの最表面において、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウム(表面における原子比によるO/(N+O)の値は、0.9以上)を形成し、表3、表4に示される目標層厚の酸窒化バナジウム層を蒸着形成した後、前記金属Vとアノード電極との間のアーク放電を停止し、
上記(a)〜(f)により、下部層としての(Cr,Y)N層、上部層としての組成傾斜型の酸窒化バナジウム層からなる硬質被覆層を蒸着により形成、本発明被覆工具としての本発明表面被覆スローアウエイチップ(以下、本発明被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、これら工具基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、それぞれ図2に示されるアークイオンプレーティング装置に装入し、カソード電極(蒸発源)として所定組成のCr−Y合金を装着し、まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極のCr−Y合金とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面を前記Cr−Y合金でボンバード洗浄し、ついで装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して3Paの反応雰囲気とすると共に、前記工具基体に印加するバイアス電圧を−100Vに下げて、前記所定組成の各カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって前記工具基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれの表面に、表5、表6に示される目標組成および目標層厚の(Cr,Y)N層で構成された硬質被覆層を蒸着形成することにより、比較被覆工具としての表面被覆スローアウエイチップ(以下、比較被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
つぎに、上記の各種の被覆チップを、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆チップ1〜16および比較被覆チップ1〜16について、
被削材:JIS・A5083の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 800 m/min.、
切り込み: 4.0 mm、
送り: 1.0 mm/rev.、
切削時間: 10 分、
の条件(切削条件A)でのアルミ合金の乾式断続高切り込み切削加工試験(通常の切り込みは1.0mm)、
被削材:JIS・S11Cの丸棒、
切削速度: 235 m/min.、
切り込み: 3 mm、
送り: 0.5 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件B)での軟鋼の乾式連続高切り込み切削加工試験(通常の切り込みは1.5mm)、
被削材:JIS・SUS304の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 240 m/min.、
切り込み: 2 mm、
送り: 0.5 mm/rev.、
切削時間: 10 分、
の条件(切削条件C)でのステンレス鋼の乾式断続高送り切削加工試験(通常の送りは0.25mm/rev.)、を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表7、表8に示した。
被削材:JIS・A5083の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 800 m/min.、
切り込み: 4.0 mm、
送り: 1.0 mm/rev.、
切削時間: 10 分、
の条件(切削条件A)でのアルミ合金の乾式断続高切り込み切削加工試験(通常の切り込みは1.0mm)、
被削材:JIS・S11Cの丸棒、
切削速度: 235 m/min.、
切り込み: 3 mm、
送り: 0.5 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件B)での軟鋼の乾式連続高切り込み切削加工試験(通常の切り込みは1.5mm)、
被削材:JIS・SUS304の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 240 m/min.、
切り込み: 2 mm、
送り: 0.5 mm/rev.、
切削時間: 10 分、
の条件(切削条件C)でのステンレス鋼の乾式断続高送り切削加工試験(通常の送りは0.25mm/rev.)、を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表7、表8に示した。
原料粉末として、平均粒径:5.5μmを有する中粗粒WC粉末、同0.8μmの微粒WC粉末、同1.3μmのTaC粉末、同1.2μmのNbC粉末、同1.2μmのZrC粉末、同2.3μmのCr3C2粉末、同1.5μmのVC粉末、同1.0μmの(Ti,W)C[質量比で、TiC/WC=50/50]粉末、および同1.8μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ表9に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の各種の圧粉体にプレス成形し、これらの圧粉体を、6Paの真空雰囲気中、7℃/分の昇温速度で1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この温度に1時間保持後、炉冷の条件で焼結して、直径が8mm、13mm、および26mmの3種の工具基体形成用丸棒焼結体を形成し、さらに前記の3種の丸棒焼結体から、研削加工にて、表9に示される組合せで、切刃部の直径×長さがそれぞれ6mm×13mm、10mm×22mm、および20mm×45mmの寸法、並びにいずれもねじれ角30度の4枚刃スクエア形状をもったWC基超硬合金製の工具基体(エンドミル)C−1〜C−8をそれぞれ製造した。
ついで、これらの工具基体(エンドミル)C−1〜C−8の表面をアセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図1に示されるアークイオンプレーティング装置に装入し、上記実施例1と同一の条件で、表10に示される目標組成および目標層厚の(Cr,Y)N層、および、同じく表10に示される目標層厚で、かつ、層表面における原子比によるO/(N+O)の値が0.9以上である組成傾斜型酸窒化バナジウム層からなる硬質被覆層を蒸着形成することにより、本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製エンドミル(以下、本発明被覆エンドミルと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、上記の工具基体(エンドミル)C−1〜C−8の表面をアセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図2に示されるアークイオンプレーティング装置に装入し、上記実施例1と同一の条件で、表11に示される目標組成および目標層厚の(Cr,Y)N層からなる硬質被覆層を蒸着することにより、従来被覆工具としての表面被覆超硬製エンドミル(以下、比較被覆エンドミルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
つぎに、上記本発明被覆エンドミル1〜16および比較被覆エンドミル1〜8のうち、
本発明被覆エンドミル1〜6および比較被覆エンドミル1〜3については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・A5083の板材、
切削速度: 300 m/min.、
溝深さ(切り込み): 15 mm、
テーブル送り: 700 mm/分、
の条件でのアルミ合金の乾式高切り込み溝切削加工試験(通常の溝深さは10mm)、
本発明被覆エンドミル7〜12および比較被覆エンドミル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S11Cの板材、
切削速度: 40 m/min.、
溝深さ(切り込み): 12 mm、
テーブル送り: 150 mm/分、
の条件での軟鋼の乾式高送り溝切削加工試験(通常のテーブル送りは100mm/分)、
本発明被覆エンドミル13〜16および比較被覆エンドミル7,8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SUS304の板材、
切削速度: 50 m/min.、
溝深さ(切り込み): 4 mm、
テーブル送り: 230 mm/分、
の条件でのステンレス鋼の乾式高切り込み溝切削加工試験(通常の溝深さは3mm)、
をそれぞれ行い、いずれの溝切削加工試験でも切刃部の外周刃の逃げ面摩耗幅が使用寿命の目安とされる0.1mmに至るまでの切削溝長を測定した。この測定結果を表10、表11にそれぞれ示した。
本発明被覆エンドミル1〜6および比較被覆エンドミル1〜3については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・A5083の板材、
切削速度: 300 m/min.、
溝深さ(切り込み): 15 mm、
テーブル送り: 700 mm/分、
の条件でのアルミ合金の乾式高切り込み溝切削加工試験(通常の溝深さは10mm)、
本発明被覆エンドミル7〜12および比較被覆エンドミル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S11Cの板材、
切削速度: 40 m/min.、
溝深さ(切り込み): 12 mm、
テーブル送り: 150 mm/分、
の条件での軟鋼の乾式高送り溝切削加工試験(通常のテーブル送りは100mm/分)、
本発明被覆エンドミル13〜16および比較被覆エンドミル7,8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SUS304の板材、
切削速度: 50 m/min.、
溝深さ(切り込み): 4 mm、
テーブル送り: 230 mm/分、
の条件でのステンレス鋼の乾式高切り込み溝切削加工試験(通常の溝深さは3mm)、
をそれぞれ行い、いずれの溝切削加工試験でも切刃部の外周刃の逃げ面摩耗幅が使用寿命の目安とされる0.1mmに至るまでの切削溝長を測定した。この測定結果を表10、表11にそれぞれ示した。
上記の実施例2で製造した直径が8mm(工具基体C−1〜C−3形成用)、13mm(工具基体C−4〜C−6形成用)、および26mm(工具基体C−7、C−8形成用)の3種の丸棒焼結体を用い、この3種の丸棒焼結体から、研削加工にて、溝形成部の直径×長さがそれぞれ4mm×13mm(工具基体D−1〜D−3)、8mm×22mm(工具基体D−4〜D−6)、および16mm×45mm(工具基体D−7、D−8)の寸法、並びにいずれもねじれ角30度の2枚刃形状をもったWC基超硬合金製の工具基体(ドリル)D−1〜D−8をそれぞれ製造した。
ついで、これらの工具基体(ドリル)D−1〜D−8の切刃に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図1に示されるアークイオンプレーティング装置に装入し、上記実施例1と同一の条件で、表12に示される目標組成および目標層厚の(Cr,Y)N層、および、同じく表12に示される目標層厚、かつ、層表面における原子比によるO/(N+O)の値が0.9以上の組成傾斜型の酸窒化バナジウム層からなる硬質被覆層を蒸着形成することにより、本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製ドリル(以下、本発明被覆ドリルと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、上記の工具基体(ドリル)D−1〜D−8の表面に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図2に示されるアークイオンプレーティング装置に装入し、上記実施例1と同一の条件で、表13に示される目標組成および目標層厚を有する(Cr,Y)N層からなる硬質被覆層を蒸着形成することにより、比較被覆工具としての表面被覆超硬製ドリル(以下、比較被覆ドリルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
つぎに、上記本発明被覆ドリル1〜16および比較被覆ドリル1〜8のうち、本発明被覆ドリル1〜6および比較被覆ドリル1〜3については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・A5083の板材、
切削速度: 160 m/min.、
送り: 0.8 mm/rev、
穴深さ: 6 mm、
の条件でのアルミ合金の湿式高送り穴あけ切削加工試験(通常の送りは0.4mm/rev)、
本発明被覆ドリル7〜12および比較被覆ドリル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S11Cの板材、
切削速度: 40 m/min.、
送り: 0.35 mm/rev、
穴深さ: 7 mm、
の条件での軟鋼の湿式高送り穴あけ切削加工試験(通常の送りは0.2mm/rev)、
本発明被覆ドリル13〜16および比較被覆ドリル7,8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SUS304の板材、
切削速度: 100 m/min.、
送り: 0.4 mm/rev、
穴深さ: 10 mm、
の条件でのステンレス鋼の湿式高送り穴あけ切削加工試験(通常の送りは0.2mm/rev)、
をそれぞれ行い、いずれの湿式高速穴あけ切削加工試験(水溶性切削油使用)でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表11、表12にそれぞれ示した。
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・A5083の板材、
切削速度: 160 m/min.、
送り: 0.8 mm/rev、
穴深さ: 6 mm、
の条件でのアルミ合金の湿式高送り穴あけ切削加工試験(通常の送りは0.4mm/rev)、
本発明被覆ドリル7〜12および比較被覆ドリル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S11Cの板材、
切削速度: 40 m/min.、
送り: 0.35 mm/rev、
穴深さ: 7 mm、
の条件での軟鋼の湿式高送り穴あけ切削加工試験(通常の送りは0.2mm/rev)、
本発明被覆ドリル13〜16および比較被覆ドリル7,8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SUS304の板材、
切削速度: 100 m/min.、
送り: 0.4 mm/rev、
穴深さ: 10 mm、
の条件でのステンレス鋼の湿式高送り穴あけ切削加工試験(通常の送りは0.2mm/rev)、
をそれぞれ行い、いずれの湿式高速穴あけ切削加工試験(水溶性切削油使用)でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表11、表12にそれぞれ示した。
この結果得られた本発明被覆工具としての本発明被覆チップ1〜32、本発明被覆エンドミル1〜16、および本発明被覆ドリル1〜16の硬質被覆層を構成する(Cr,Y)N層(下部層)の組成、並びに、比較被覆工具としての比較被覆チップ1〜16、比較被覆エンドミル1〜8、および比較被覆ドリル1〜8の(Cr,Y)N層からなる硬質被覆層の組成を、透過型電子顕微鏡を用いてのエネルギー分散X線分析法により測定したところ、それぞれ目標組成と実質的に同じ組成を示した。
さらに、本発明被覆工具の硬質被覆層の上部層を構成する組成傾斜型酸窒化バナジウム層について、オージェ電子分光分析法により、硬質被覆層の断面研磨面において、上部層最下面の領域を測定幅0.1〜0.2μmで酸素含有量を測定したところ、該領域において検出された酸素含有量(即ち、原子比による、N含有量との合量に対するO含有量の割合(=O/(N+O))はいずれも0.1以下であり、上部層の最下面は、実質的に酸素を含有しない窒化バナジウムで構成されていることを確認した。さらに、硬質被覆層の表面側から、上部層最表面の酸素含有量を測定したところ、原子比による、N含有量との合量に対するO含有量の割合(=O/(N+O))は、いずれも0.9以上であり、上部層の最表面は、実質的に窒素を含有しない酸化バナジウムで形成されていることを確認した。
また、上記の硬質被覆層を構成する各層の平均層厚を走査型電子顕微鏡を用いて断面測定したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均値(5ヶ所の平均値)を示した。
表7、8、10〜13に示される結果から、本発明被覆工具は、いずれも特に粘性および粘着性の高いAl合金、軟鋼、ステンレス鋼などの難削材の高切り込みや高送りなどの重切削条件での切削加工でも、硬質被覆層の下部層である(Cr,Y)N層が工具基体表面に強固に密着接合した状態で、すぐれた高温硬さ、高温強度及び所定の潤滑性を有し、かつ、組成傾斜型の酸窒化バナジウム層からなる上部層によって、上部層自体の強度および下部層との密着強度が維持されるとともに、前記被削材および切粉との間のすぐれた潤滑性、耐溶着性が確保されていることによって、チッピングの発生なく、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、硬質被覆層が(Cr,Y)N層で構成され、組成傾斜型の酸窒化バナジウム層を有さない比較被覆工具においては、いずれも前記難削材の重切削加工では被削材(難削材)および切粉と前記硬質被覆層との粘着性および反応性が一段と高くなるために、切刃部にチッピングが発生するようになり、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、一般鋼や普通鋳鉄などの切削加工は勿論のこと、特に上記の難削材の重切削加工でもすぐれた耐チッピング性を発揮し、長期に亘ってすぐれた切削性能を示すものであるから、切削加工装置のFA化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)下部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Cr1−XYX)N(但し、XはYの含有割合を示し、原子比で、0.001≦X≦0.1である)を満足するCrとYの複合窒化物層、
(b)上部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、上記(a)の下部層側から層厚方向の表面へ向かって酸素含有割合が高くなるような酸素濃度分布構造を有する酸窒化バナジウム層であって、かつ、該酸窒化バナジウム層の最下面では酸素を実質的に含有せず、また、該酸窒化バナジウム層の最表面では窒素を実質的に含有しない酸窒化バナジウム層、
以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる、難削材の重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。
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