JP2008163974A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる二つの周波数域の何れにおいても優れた防振効果を発揮する流体封入式防振装置を、簡単な構造でコンパクトに且つ安価に実現すること。
【解決手段】強磁性材で形成された弁体106を用いて、弁体106を第二のオリフィス通路96の開口部上に配設すると共に、仕切部材42と弁体106の間にコイルスプリング112を介装して、コイルスプリング112の初期状態で弁体106を第二のオリフィス通路96の開口部から外方に離隔位置せしめることにより、第二のオリフィス通路96を連通状態に保持せしめる一方、仕切部材42の内部にコイル114を組み込んで弁体106とコイルスプリング112とコイル114とを含んで弁手段を構成して、コイル114への通電によって弁体106を吸引変位せしめることにより第二のオリフィス通路96が遮断されるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】強磁性材で形成された弁体106を用いて、弁体106を第二のオリフィス通路96の開口部上に配設すると共に、仕切部材42と弁体106の間にコイルスプリング112を介装して、コイルスプリング112の初期状態で弁体106を第二のオリフィス通路96の開口部から外方に離隔位置せしめることにより、第二のオリフィス通路96を連通状態に保持せしめる一方、仕切部材42の内部にコイル114を組み込んで弁体106とコイルスプリング112とコイル114とを含んで弁手段を構成して、コイル114への通電によって弁体106を吸引変位せしめることにより第二のオリフィス通路96が遮断されるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、例えば、自動車のエンジンマウント等として好適に採用される流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結した防振装置が各種分野で採用されている。このような防振装置の一種として、振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、振動伝達系を構成する他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を、本体ゴム弾性体で弾性的に連結すると共に、第二の取付部材で支持される仕切部材を設けて、仕切部材を挟んだ一方の側に壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成されて第一の取付部材と第二の取付部材の間への振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室を形成すると共に、仕切部材を挟んだ他方の側に壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室を形成し、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置が提案されている。
このような流体封入式防振装置では、オリフィス通路のチューニング周波数域で封入された非圧縮性流体の共振作用等の流動作用に基づく優れた防振効果が発揮されるようになっており、例えば、特定の周波数域で高度な防振性能が要求される自動車用のエンジンマウントやボデーマウント等への適用が検討されている。
また、このような優れた防振効果を複数の周波数域で得るために、特許文献1(特開平10−89402号公報)等に記載されているように、異なる周波数域にチューニングされた複数のオリフィス通路を有する構造の流体封入式防振装置も提案されている。即ち、異なる周波数域にチューニングされた第一,第二のオリフィス通路を設けると共に、第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切り換える弁体を設けることによって、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路の何れのチューニング周波数域においても流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮されるようになっているのである。
このような特許文献1に記載の流体封入式防振装置においては、第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態で切り換える弁体が、コイルスプリングによって第二のオリフィス通路の平衡室側の開口部に向かって付勢されていると共に、空気圧式のアクチュエータが弁体に及ぼす駆動力によって第二のオリフィス通路の平衡室側の開口部から離隔する方向に変位可能とされている。
ところが、特許文献1に記載の流体封入式防振装置のように、弁体を開閉作動せしめる駆動手段として空気圧式のアクチュエータを採用すると、防振装置本体の軸方向一方の側に空気圧式アクチュエータが配設されることによって、防振装置全体が軸方向で大型化し易いという問題がある。
そこで、軸方向でのコンパクト化を図るために、特許文献2(特開2002−81490号公報)に記載された流体封入式防振装置のように、コイルへの通電によって生じる電磁力を利用した電磁式のアクチュエータを用いて弁体を開閉作動せしめることも試みられている。このような流体封入式防振装置としては、例えば、特許文献2に記載されているもの等がある。即ち、第二の取付部材の外周面にコイルを有するコイル部材を配設すると共に、コイルの中心軸上に磁石によって形成された弁体を設けて、弁体がコイルへの通電によってコイルの中心軸の延長線上を変位することにより、高周波数側にチューニングされた第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態で切り換えることが出来る。
しかしながら、内部に流体が封入された流体封入式の防振装置において電磁式のアクチュエータを採用する場合には、コイルへの通電時における漏電等の問題を回避するために、コイルを防振装置の外部に取り付けざるを得なかった。それ故、流体封入式防振装置の充分な小型化の実現には未だ至っていなかったのである。
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、異なる二つの周波数域の何れにおいても優れた防振効果を発揮する流体封入式防振装置を、簡単な構造でコンパクトに且つ安価に実現することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
また、本発明は、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成し、該受圧室と該平衡室を相互に連通せしめる、第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路をそれぞれ形成すると共に、外部からの通電によって作動せしめられる弁手段を設けて、該弁手段によって該第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切換可能とした流体封入式防振装置において、強磁性材で形成された弁体を用いて、該弁体を前記第二のオリフィス通路の開口部上に配設すると共に、前記仕切部材と該弁体の間にコイルスプリングを介装して、該コイルスプリングの初期状態で該弁体を該第二のオリフィス通路の開口部から外方に離隔位置せしめることにより該第二のオリフィス通路を連通状態に保持せしめる一方、該仕切部材の内部にコイルを組み込んで該弁体と該コイルスプリングと該コイルとを含んで前記弁手段を構成して、該コイルへの通電によって該弁体を吸引変位せしめることにより該第二のオリフィス通路が遮断されるようにしたことを特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、強磁性材で形成された弁体を採用すると共に、弁体をコイルスプリングで付勢することにより、コイルへの通電を制御することで弁体を変位せしめて、開閉作動せしめることが出来る。これにより、コイルへの通電状態を入力振動の周波数等に応じて制御することで第二のオリフィス通路の連通状態と遮断状態を切り換えて、異なる二つの周波数域の振動に対して何れも優れた防振効果を発揮せしめることが出来る。
また、コイルを仕切部材の内部に組み込むことにより、電磁式の切換手段(コイルや弁体を含む弁手段)を流体封入式防振装置に内蔵させることが出来て、電磁式の切換手段を備えた流体封入式防振装置を、コンパクトに実現することが出来る。しかも、コイルを仕切部材の内部に配設することにより、コイルが非圧縮性流体が封入された領域(受圧室や平衡室)から隔てられて配設される。それ故、コイルが封入流体に接触することに起因してコイルへの通電時に漏電等の問題が生じるのを容易に回避することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記仕切部材を成形品として、該仕切部材の成形時に前記コイルを該仕切部材に埋設しても良い。
このように、仕切部材の成形時に金型にコイルを予めセットしておく等して、仕切部材にコイルを埋設することで、仕切部材内部に設けられるコイルの配設領域を受圧室や平衡室に対して容易に密閉することが出来る。それ故、コイルが封入流体に接触して通電時に漏電するといった問題をより有利に回避することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置において、前記仕切部材と前記弁手段の間にシールゴムを介在せしめて、前記コイルへの通電時に該弁手段が該シールゴムを介して前記第二のオリフィス通路の開口部に密着して該第二のオリフィス通路を遮断するようにした構造を採用することも出来る。
このような構造を採用することにより、コイルへの通電時に、強磁性材で形成された弁体と、コイルが内部に組み込まれた仕切部材を、シールゴムを介して密着せしめることが出来て、第二のオリフィス通路の閉塞状態をより有利に実現出来る。それ故、第一のオリフィス通路がチューニングされた周波数域の振動入力に際して、受圧室の内圧が第二のオリフィス通路を通じての流体流動によって逃されるのを防いで、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量を有利に得て、目的とする防振効果を有効に発揮せしめることが出来る。
しかも、弁体と仕切部材をシールゴムを介して緩衝的に当接せしめることにより、それら弁体と仕切部材の当接時に生じる衝撃を緩和することが出来て、当接に際して発生する異音や振動を低減乃至は回避することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前記仕切部材の一部を外部に露出させて、前記コイル部材を電源装置に接続するリード線を外部に露出された該仕切部材の一部から外部に取り出した構造を採用しても良い。
これによれば、仕切部材の内部に組み付けられたコイルと、流体封入式防振装置の外部に設けられた電源装置を、仕切部材の内部を延びるように設けられたリード線によって接続することが可能である。これにより、リード線が封入された非圧縮性流体と接触するのを回避せしめることが出来て、通電時においてリード線から漏電するのを有利に防ぐことが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1,図2には、本発明に係る流体封入式防振装置の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と、第二の取付部材としての第二の取付金具14を本体ゴム弾性体16で弾性的に連結した構造とされている。そして、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデーに取り付けられる。これにより、パワーユニットが車両ボデーに対してエンジンマウント10を介して弾性的に支持されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、特に説明がない限り、主たる荷重入力方向である図1中の上下方向を言うものとする。また、図1,図2には、車両への非装着状態におけるエンジンマウント10が示されている。
より詳細には、第一の取付金具12は、鉄やアルミニウム合金等の金属材料で形成されており、全体として略円形ブロック形状を呈している。また、第一の取付金具12は、また、軸方向下方に向かって凸となる略半球形状の固着部18を備えている。更に、固着部18の上端には、ストッパ部20が一体形成されており、全周に亘って軸直角方向外方に広がっている。更にまた、ストッパ部20の上方には、軸方向で延びる略円柱形状の螺着部22が一体形成されている。螺着部22には、中心軸上を延びるボルト穴24が形成されており、ボルト穴24に対して図示しない固定ボルトが螺着せしめられることにより、第一の取付金具12が図示しないパワーユニット側の部材に固定的に取り付けられるようになっている。
また、第二の取付金具14は、全体として薄肉大径の略円筒形状とされており、鉄やアルミニウム合金等を材料とする剛性材で形成されている。また、第二の取付金具14は、軸方向中間の一部よりも下側が軸方向に略一定の直径で延びる筒状部26とされていると共に、軸方向中間の一部よりも上側が軸方向上方に行くに従って次第に拡径するテーパ部28とされている。更に、テーパ部28の上端には、軸直角方向外方に向かって広がるフランジ部30が一体形成されている。また、第二の取付金具14の軸方向下端部には、径方向内側に向かって延び出す円環状の第一の係止突部32が全周に亘って連続的に一体形成されている。また、第二の取付金具14には、例えば、図示しないブラケットが外挿固定される。そして、該ブラケットが図示しない車両ボデー側の部材に固定的に取り付けられることにより、第二の取付金具14が車両ボデーに対して固定的に取り付けられるようになっている。
このような第一の取付金具12と第二の取付金具14は、相互に同一中心軸上に配設されると共に、第一の取付金具12が第二の取付金具14の上側開口部に対して軸方向上方に離隔して配設されている。そして、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、本体ゴム弾性体16が介装されている。本体ゴム弾性体16は、全体として略円錐台形状を呈する厚肉のゴム弾性体であって、その下端中央部分には、軸方向下方に向かって開口する円形凹所34が形成されている。
そして、本体ゴム弾性体16の軸方向上側端部に対して第一の取付金具12の固着部18が埋め込まれるように加硫接着されると共に、ストッパ部20の径方向中央部分が本体ゴム弾性体16の上端面に軸方向上方から重ね合わされて加硫接着されることにより、第一の取付金具12が本体ゴム弾性体16の軸直角方向中央部分に加硫接着されている。一方、本体ゴム弾性体16の軸方向下側端部の外周面に対して第二の取付金具14のテーパ部28が重ね合わされて加硫接着されることにより、第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16の軸直角方向外周面に加硫接着されている。このように、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が第一の取付金具12と第二の取付金具14を一体的に備えた一体加硫成形品36として形成されている。
また、本体ゴム弾性体16の軸方向上端部には、ストッパゴム38が一体形成されている。ストッパゴム38は、第一の取付金具12のストッパ部20の外周部分を略全面に亘って覆うように形成されており、ストッパ部20の上面から軸方向上方に向かって所定の高さで突出せしめられている。
また、本体ゴム弾性体16の軸方向下端部には、シールゴム層40が一体形成されている。このシールゴム層40は、略円筒形状を呈する薄肉のゴム層であって、円形凹所34の外周壁部から軸方向下方に向かって延び出すように形成されて、第二の取付金具14の筒状部26の内周面を略全面に亘って覆うように加硫接着されている。これにより、第二の取付金具14は、テーパ部28および筒状部26の内周面が、本体ゴム弾性体16とシールゴム層40によって全面に亘って覆われている。なお、シールゴム層40は、本体ゴム弾性体16の下端外周縁部に比して薄肉とされており、本体ゴム弾性体16とシールゴム層40の境界部分において段差が形成されている。
また、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部分には、仕切部材42が組み付けられて、第二の取付金具14で支持されている。仕切部材42は、硬質の合成樹脂材等の剛性材で形成されており、全体として略円形ブロック形状を呈している。また、本実施形態における仕切部材42は、仕切部材本体44の上端面に、薄肉円板形状の蓋部材46が重ね合わされて構成されている。なお、仕切部材42は、磁化されない材料で形成されていることが望ましい。
仕切部材本体44は、略円形ブロック形状を呈しており、本実施形態では、硬質の合成樹脂材で形成されている。また、仕切部材本体44には、外周面に開口して周方向に連続して延びる第一,第二の係止凹溝48,50が形成されている。なお、第一の係止凹溝48は第二の係止凹溝50に対して軸方向上方に所定距離を隔てて形成されている。
また、仕切部材本体44の軸方向下端部分には、径方向中央部分に形成されて軸方向下方に向かって開口する中央凹所52が形成されている。
また、中央凹所52の底面の径方向中央部分には、軸方向下方に向かって開口する収容凹所54が形成されている。収容凹所54は、略一定の円形断面を有する凹所であって、軸方向下方に向かって開口せしめられている。
さらに、収容凹所54の上底壁面には、シールゴムとしての緩衝ゴム56が固着せしめられている。緩衝ゴム56は、略一定の断面形状で周方向に連続して延びる環状のゴム弾性体で形成されており、収容凹所54の上底壁面の径方向中間部分に固着されて、軸方向下方に向かって突出せしめられている。また、緩衝ゴム56は、下端部分が略半円形断面を呈しており、突出先端側である軸方向下方に向かって狭幅となる断面形状を有している。なお、緩衝ゴム56は、仕切部材本体44に対して加硫接着されていても良いし、接着や係止等の手段で固着せしめられていても良い。
また、中央凹所52と収容凹所54の境界部分には、円環状に広がる段差58が形成されていると共に、段差58には、軸方向下方に向かって突出する係止突起60が設けられて、仕切部材本体44と一体形成されている。係止突起60は、軸方向下方に直線的に延びる軸部と、該軸部の下端部において軸直角方向外方に広がる係止部を備えており、全体として逆向きの略傘形状を呈している。なお、本実施形態では、周方向で相互に所定距離を隔てて複数の係止突起60が形成されている。
また、仕切部材本体44の上端部分の外周縁部には、周方向で所定の長さに亘って連続して延びる切欠部62が形成されている。また、中央凹所52の外周側に位置する仕切部材本体44の下端部には、外周面に開口して周方向で所定の長さに亘って連続的に延びる下側周溝64が形成されている。なお、本実施形態では、切欠部62が仕切部材本体44における第一の係止凹溝48よりも軸方向上側に位置する部分に形成されていると共に、下側周溝64が仕切部材本体44における第二の係止凹溝50よりも軸方向下側に位置する部分に形成されている。
また、切欠部62の周方向一方の側の端部と、下側周溝64の周方向他方の側の端部は、周方向で相互に位置合わせされており、軸方向の投影において重なるように位置せしめられている。更に、相互に位置合わせされた切欠部62の周方向一方の端部と下側周溝64の周方向他方の端部の軸方向間には、軸方向で直線的に延びる図示しない通孔が形成されている。この通孔は、その一方の端部が切欠部62の周方向端部の下面に開口せしめられていると共に、他方の端部が下側周溝64の周方向端部の上面に開口せしめられている。
また、仕切部材本体44の径方向中央部分には、軸方向に延びる貫通孔66が形成されている。この貫通孔66は、仕切部材本体44の中心軸上を延びるように直線的に形成されて、仕切部材本体44の軸方向両端面にそれぞれ開口するように貫通形成されている。なお、図1からも明らかなように、本実施形態における貫通孔66は、軸方向一方の開口部が仕切部材本体44の上端面に開口形成されていると共に、他方の開口部が収容凹所54の上底壁面に開口形成されている。
このような仕切部材本体44には、軸方向上方から蓋部材46が重ね合わされる。蓋部材46は、薄肉の略円板形状を呈しており、例えば、硬質の合成樹脂材等によって形成されている。また、蓋部材46の径方向中央部分には、板厚方向に貫通する連通窓68が形成されている。更に、本実施形態では、蓋部材46の外周部分が中央部分に比して厚肉となっており、蓋部材46の下面が段付き形状とされている。なお、本実施形態においては、蓋部材46が仕切部材本体44と同様に磁化されない材料によって形成されている。
そして、仕切部材本体44の上面に蓋部材46が重ね合わされて組み付けられることにより、本実施形態における仕切部材42が構成されている。特に本実施形態では、仕切部材本体44の径方向中央部分が外周部分よりも軸方向上方(図1中、上)に位置せしめられた凸形状を呈していると共に、蓋部材46の径方向中央部分が下方に向かって開口する凹所状とされており、仕切部材本体44の径方向中央部分の上端における凸部が、蓋部材46の径方向中央部分の下端における凹部に嵌め込まれることにより、仕切部材本体44と蓋部材46が軸直角方向で相互に位置決めされている。
また、仕切部材本体44の上面に蓋部材46が重ね合わされることにより、切欠部62の軸方向上方への開口部が蓋部材46によって覆われて、切欠部62を利用して仕切部材42の外周面に開口して周方向に所定の長さで延びる上側周溝70が形成されている。
また、仕切部材本体44と蓋部材46が組み合わされることにより、仕切部材本体44の径方向中央部分に形成された貫通孔66と、蓋部材46の径方向中央部分に形成された連通窓68が、相互に位置合わせされて、仕切部材42を軸方向で貫通する中央通路72が形成されている。
そして、第二の取付金具14の筒状部26に仕切部材42の上端部分が内挿された状態で、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施される。これにより、第二の取付金具14の筒状部26がシールゴム層40を介して仕切部材42の軸方向上端部分の外周面に密着せしめられると共に、第二の取付金具14の下端部に一体形成された第一の係止突部32が仕切部材42の第一の係止凹溝48に嵌め付けられて、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部分に仕切部材42が嵌着固定されるようになっている。また、第二の取付金具14に縮径加工を施すことにより、本体ゴム弾性体16に作用する引張応力を低減せしめて、本体ゴム弾性体16の耐久性向上を図ることが出来る。なお、本体ゴム弾性体16とシールゴム層40の境界部分に形成される段差が、仕切部材42の外周部分の上端面に重ね合わされて密着されている。
また、仕切部材42の軸方向上端部分の外周面に第二の取付金具14の筒状部26の内周面がシールゴム層40を介して密着せしめられることにより、仕切部材42の外周面に形成された上側周溝70の開口部がシールゴム層40を介して第二の取付金具14の筒状部26で覆蓋されている。これにより、周方向に所定の長さで延びるトンネル状の上側通路74が形成されている。
また、仕切部材42の軸方向下方には、可撓性膜としてのダイヤフラム76が配設されている。ダイヤフラム76は、略円形ドーム形状を呈する薄肉のゴム膜であって、容易に変形可能とされている。また、ダイヤフラム76の外周縁部には、軸方向上方に向かって延び出す略円筒形状の筒状固着部78が一体形成されている。更に、筒状固着部78の外周面には、固定金具80が加硫接着されている。固定金具80は、薄肉大径の略円筒形状を有しており、その内周面が筒状固着部78で覆われている。また、固定金具80の上端部には、円環状の第二の係止突部82が一体的に形成されており、全周に亘って軸直角方向内方に突出せしめられている。以上からも明らかなように、本実施形態におけるダイヤフラム76は、固定金具80を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されている。
そして、固定金具80が仕切部材42の下端部分に外挿されると共に、固定金具80に八方絞り等の縮径加工が施される。これにより、固定金具80の内周面が筒状固着部78を介して仕切部材42の外周面に密着せしめられると共に、固定金具80の第二の係止突部82が仕切部材42に形成された第二の係止凹溝50に嵌め付けられて、仕切部材42にダイヤフラム76が組み付けられる。なお、仕切部材42において、第一の係止凹溝48と第二の係止凹溝50の軸方向間に位置する部分は、第二の取付金具14と固定金具80の軸方向間において外部に露出せしめられている。
なお、本実施形態では、第二の取付金具14の縮径加工と、固定金具80の縮径加工が同時に行われる。即ち、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品36と、仕切部材42と、ダイヤフラム76の一体加硫成形品がジグにセットされる等して相互に位置合わせされると共に、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品36における第二の取付金具14と、ダイヤフラム76の一体加硫成形品における固定金具80に同時に絞り加工が施されて、仕切部材42に対して、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品36とダイヤフラム76の一体加硫成形品が嵌着固定される。
このように本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品36に対して仕切部材42とダイヤフラム76が組み付けられることにより、本体ゴム弾性体16と仕切部材42の軸方向間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室84が形成されている一方、仕切部材42とダイヤフラム76の軸方向間には、壁部の一部がダイヤフラム76で構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室86が形成されている。本実施形態においては、本体ゴム弾性体16に設けられた円形凹所34の開口部を仕切部材42で覆うことによって受圧室84が形成されていると共に、仕切部材42に設けられた中央凹所52の開口部をダイヤフラム76で覆うことによって平衡室86が形成されている。
なお、これら受圧室84と平衡室86への非圧縮性流体の封入は、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品36と仕切部材42の組付けおよび仕切部材42とダイヤフラム76の組付けを、非圧縮性流体中で行うこと等により有利に実現される。また、受圧室84および平衡室86に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油、或いは、それらを混合したもの等が好適に採用される。更に、封入流体は、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得るために、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
また、固定金具80の内周面が筒状固着部78を介して仕切部材42の下端外周面に密着せしめられることにより、下側周溝64の外周側開口部が固定金具80によって流体密に覆蓋される。これにより、仕切部材42の下端部分を周方向に所定の長さで延びる下側通路88が形成されている。また、上側通路74と下側通路88は、周方向一方の端部が図示しない通孔を通じて相互に連通されている。
また、上側通路74が蓋部材46の外周縁部に設けられた透孔90を通じて受圧室84に連通されていると共に、下側通路88が仕切部材本体44の下端部における中央凹所52の側壁を構成する部分に設けられた透孔92を通じて平衡室86に連通されている。これにより、上側通路74と下側通路88とそれらを相互に連通する図示しない通孔を利用して、受圧室84と平衡室86を相互に連通する第一のオリフィス通路94が形成されている。特に本実施形態では、第一のオリフィス通路94の通路長と通路断面積の比等を調節することによって、第一のオリフィス通路94を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、エンジンシェイク等に相当する十数Hz程度の低周波数域にチューニングされており、低周波大振幅振動の入力に際して流体の流動作用に基づく高減衰効果が発揮されるようにチューニングされている。
また、中央通路72の軸方向一方の端部が受圧室84に開口されていると共に、他方の端部が平衡室86に開口されており、中央通路72を利用して、受圧室84と平衡室86を相互に連通する第二のオリフィス通路96が形成されている。特に本実施形態では、第二のオリフィス通路96の通路長と通路断面積の比などを調節することにより、第二のオリフィス通路96を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、アイドリング振動等に相当する20〜40Hz程度の中乃至高周波数域にチューニングされており、中乃至高周波小振幅振動の入力に際して流体の流動作用に基づく低動ばね効果が発揮されるようにチューニングされている。このことからも明らかなように、第二のオリフィス通路96は、第一のオリフィス通路94よりも高周波数域にチューニングされている。
また、仕切部材42の径方向中央下方に形成された収容凹所54は、その開口部が蓋板金具98で覆われている。蓋板金具98は、薄肉の略円板形状を有しており、軸直角方向に広がるように設けられている。また、蓋板金具98の径方向中間部分には、周方向で所定距離を隔てて複数の連通孔100が板厚方向に貫通するように形成されている。また、蓋板金具98における連通孔100の形成位置よりも外周側には、周方向で所定距離を隔てて複数の円形孔102が板厚方向に貫通して形成されている。
そして、蓋板金具98が仕切部材本体44における中央凹所52と収容凹所54の境界部分に形成された段差58に軸方向下方から重ね合わされると共に、係止突起60が蓋板金具98に形成された円形孔102に挿通されて係止されて、蓋板金具98が仕切部材42に固定されている。
これにより、収容凹所54の軸方向下方の開口部が蓋板金具98で覆われて、収容領域104が形成されている。収容領域104は、仕切部材42の径方向中央部分に形成された第二のオリフィス通路96を通じて受圧室84に連通されていると共に、蓋板金具98に形成された連通孔100を通じて平衡室86に連通されている。なお、本実施形態においては、平衡室86が蓋板金具98を挟んで軸方向で上下に二分されていると共に、蓋板金具98に形成された複数の連通孔100を通じてそれら二分された領域が相互に連通せしめられている。これによって、収容領域104は、実質的に平衡室86の一部を構成している。
また、収容領域104には、弁体としての可動部材106が配設されている。可動部材106は、軸直角方向に広がる円板形状を呈する蓋部108と、蓋部108の径方向中央部分から軸方向上方に向かって突出するように一体形成された中央軸部110を有している。また、可動部材106は、鉄やケイ素鋼等の強磁性体を材料として形成されている。かかる可動部材106は、第二のオリフィス通路96の平衡室86側の開口部に中央軸部110の突出先端部分が挿し入れられた状態で収容領域104に収容配置されており、蓋部108が第二のオリフィス通路96の平衡室86側の開口部に対して軸方向で対向位置せしめられている。要するに、本実施形態において、可動部材106は、第二のオリフィス通路96の軸方向下方への延長線上に配設されている。
さらに、可動部材106の蓋部108と仕切部材本体44の軸方向対向面間には、コイルスプリング112が配設されている。コイルスプリング112は、第二のオリフィス通路96の直径よりも大径とされて、第二のオリフィス通路96の平衡室86側の開口部を取り囲むように、第二のオリフィス通路96と同一中心軸上に配設されている。また、本実施形態では、収容凹所54の上底壁部の径方向中央部分に、第二のオリフィス通路96の平衡室86側の開口部を取り囲むように形成されて、下方に向かって突出する筒状の位置決め用突起が一体的に設けられている。そして、コイルスプリング112の端部が該位置決め用突起に外挿されることにより、コイルスプリング112が軸直角方向で位置決めされて固定的に配設されている。
そして、可動部材106の中央軸部110がコイルスプリング112の中央孔に対して軸方向下方から挿し入れられると共に、可動部材106の蓋部108がコイルスプリング112の軸方向下端部に軸方向で重ね合わされている。なお、本実施形態において、可動部材106の中央軸部110は、コイルスプリング112の中央孔に対して径方向で隙間がある遊挿状態で挿し入れられている。
これにより、可動部材106は、コイルスプリング112の弾性力によって、軸方向下方に向かって付勢されており、コイルスプリング112の初期状態において可動部材106の蓋部108が、仕切部材42から軸方向下方に離隔して蓋板金具98に対して軸方向上方から押し当てられている。また、可動部材106の蓋部108は、その外周縁部が蓋板金具98に形成された連通孔100よりも内周側に位置するようになっている。更に、可動部材106の蓋部108は、収容凹所54の上底壁面から突出せしめられた緩衝ゴム56に対して軸方向下方に離隔せしめられている。これによって、蓋部108と緩衝ゴム56の軸方向間および連通孔100を通じて収容領域104と平衡室86が連通せしめられており、第二のオリフィス通路96が連通状態となっている。なお、コイルスプリング112の初期状態とは、外力の作用によってコイルスプリング112が伸縮変形せしめられていない非荷重入力状態を言う。
一方、仕切部材本体44には、コイル114が埋設されている。コイル114は、例えば、仕切部材本体44が射出成形等の手段で形成される際に金型に予めセットされる等して、仕切部材本体44の成形時に内部に埋め込まれている。また、本実施形態では、コイル114が全周に亘って第二のオリフィス通路96を取り囲むように設けられており、第二のオリフィス通路96と同軸的に配設されて軸方向に延びる筒状を為している。
また、コイル114に接続されるリード線116が、仕切部材本体44の内部を延びるように配設されていると共に、第二の取付金具14と固定金具80の軸方向間において外部に露出される仕切部材本体44の外周面から外部に取り出されている。更に、リード線116は、一方の端部がコイル114に接続されていると共に、他方の端部が電源装置118に接続されている。これにより、電源装置118からリード線116を通じてコイル114に通電可能となっている。
そして、コイル114に対して電源装置118から通電されると、発生する磁力によって、磁性材料で形成された可動部材106がコイルスプリング112による付勢力に抗して仕切部材42側に吸引される。そして、可動部材106の蓋部108の外周縁部が、緩衝ゴム56に対して押し当てられて、緩衝ゴム56を介して仕切部材42に対して間接的に密着せしめられる。これにより、コイル114への通電時には、第二のオリフィス通路96の平衡室86側の開口部が可動部材106によって実質的に閉塞せしめられて、第二のオリフィス通路96が遮断状態とされる。このことからも明らかなように、可動部材106とコイルスプリング112とコイル114を含んで本実施形態における弁手段が構成されており、可動部材106に及ぼされるコイルスプリング112の弾性力に基づいて弁体が開作動せしめられると共に、コイル114への通電によって可動部材106に及ぼされる吸引力に基づいて弁体が閉作動せしめられるようになっている。
このような本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10において、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されると、受圧室84に生ぜしめられる圧力変動に基づいてオリフィス通路94,96を通じて流体が流動せしめられ、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。
すなわち、入力振動がエンジンシェイク等の低周波大振幅振動の場合には、受圧室84と平衡室86の相対的な圧力差に基づいて第一のオリフィス通路94を通じて両室84,86間で流体が流動せしめられて、流体の共振作用等の流動作用に基づく高減衰効果が発揮されて、エンジンシェイクに対する優れた防振効果が得られるようになっている。
ここにおいて、低周波大振幅振動の入力時には、電源装置118によって外部からコイル114に通電されて、コイル114が磁場を形成することにより、図2に示されているように、強磁性材で形成された可動部材106が、磁力の作用によって仕切部材42の底面側に向かって吸引変位されるようになっている。そして、図2に示されているように、可動部材106の蓋部108の外周縁部が緩衝ゴム56を介して仕切部材42の底面に間接的に密接せしめられることにより、第二のオリフィス通路96の平衡室86側の開口が可動部材106によって実質的に閉塞せしめられる。これにより、受圧室84に生ぜしめられる内圧変動が第二のオリフィス通路96を通じての流体流動によって吸収されるのを防いで、第一のオリフィス通路94を通じての流体流動量を有利に確保することが出来る。それ故、第一のオリフィス通路94を通じての流体流動によって発揮される防振効果を有利に得ることが出来る。
一方、入力振動がアイドリング振動等の中乃至高周波小振幅振動の場合には、入力振動の周波数よりも低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路94は、反共振的な作用によって実質的に閉塞状態とされる。更に、電源装置118によるコイル114への通電を停止することにより、コイルスプリング112の付勢力によって可動部材106が仕切部材42から離隔する方向に変位せしめられる。そして、可動部材106の蓋部108が緩衝ゴム56の下端よりも軸方向下方に位置せしめられることにより、第二のオリフィス通路96の下端開口部の実質的な閉塞状態が解除されて、第二のオリフィス通路96が連通状態とされる。これにより、第二のオリフィス通路96を通じて受圧室84と平衡室86の間で流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく低動ばね効果が発揮されて、アイドリング振動に対する優れた防振効果が得られるようになっている。
このように、本実施形態に係るエンジンマウントでは、可動部材106に及ぼされるコイルスプリング112の付勢力と、コイル114への通電によって生じて強磁性材で形成された可動部材106に作用せしめられる磁力を利用して、第二のオリフィス通路96の連通と遮断を適宜に切り換えることにより、エンジンシェイクに相当する低周波数域の振動に対する防振効果と、アイドリング振動に相当する中乃至高周波数域の振動に対する防振効果を、何れも有効に発揮させることが出来る。
また、本実施形態では、コイルスプリング112の付勢力を利用して、第二のオリフィス通路96の連通状態を実現できるようになっている。それ故、中乃至高周波数域の振動入力時には、コイル114への通電を要することなく、弁体としての可動部材106を開作動せしめることが出来る。
また、可動部材106の開閉作動を、コイル114への通電によって生じる磁力を利用して実現する、電磁切換型の流体封入式エンジンマウント10とすることで、空気圧等を利用した切換型のエンジンマウントに比して、軸方向でのコンパクト化を有利に図ることが出来る。更に、コイル114を仕切部材42の内部に埋設することにより、弁手段をエンジンマウント10に内蔵せしめることが出来て、防振特性を適宜に切り換えることが出来る切換型のエンジンマウント10を、よりコンパクトに実現することが出来る。
しかも、本実施形態では、仕切部材本体44が成形品とされており、仕切部材本体44の成形時にコイル114を埋設することで、コイル114が非圧縮性流体の封入された領域から完全に隔離されるようになっている。これにより、コイル114への通電時に漏電等の問題を生じることなく、安定した切換作動を実現して、目的とする防振効果を有効に得ることが出来る。
さらに、本実施形態では、リード線116が仕切部材42の内部を延びるように埋設されていると共に、仕切部材42の軸方向中間部分の外周面が外部に露出せしめられており、仕切部材42の内部を延びるリード線116が仕切部材42の外周面から直接外部に取り出されるようになっている。これにより、リード線116が受圧室84や平衡室86に封入された非圧縮性流体に接触せしめられるのを回避して、通電時におけるリード線116からの漏電を有利に防ぐことが出来る。
また、弁手段を可動部材106とコイルスプリング112とコイル114を利用した簡易且つ安価な構造で実現することにより、弁手段に永久磁石等を利用する場合に比して、電磁切換型のエンジンマウント10を安価に提供することが出来る。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、弁体としての可動部材106は、前記実施形態に示されているような、円板形状の蓋部108と軸体形状の中央軸部110を一体的に備えた構造とされている必要はない。具体的には、例えば、弁体は、中央軸部110を有していない略円板形状等であっても良い。
また、前記実施形態において示した緩衝ゴム56のようなシールゴムは、必ずしも採用しなくても良く、例えば、弁体が直接的に仕切部材に重ね合わされることにより、第二のオリフィス通路を遮断するようになっていても良い。また、例えば、弁体が仕切部材側に吸引されて接近変位することにより、コイルスプリングを構成する螺旋状の線材が軸方向で締め込まれて、コイルスプリングが全体として隙間のない略筒状を呈するように変形せしめられることにより、第二のオリフィス通路を遮断するようになっていても良い。
また、シールゴムとしての緩衝ゴム56は、必ずしも仕切部材42に固着されて設けられていなくても良く、例えば、弁体側に設けられて、弁体と仕切部材の重ね合せ面間に介在せしめられていても良い。また、シールゴムの形状は、前記実施形態における具体的な記載によって何等限定的に解釈されるものではない。具体的には、例えば、円環板形状等のシート状であっても良いし、周方向で分割された複数のゴム弾性体で構成されていても良いし、周上の一部にのみ配設されていても良い。
また、前記実施形態では、仕切部材本体44をモールド成形する際に、予めコイル114をキャビティにセットして仕切部材本体44をコイル114を備えた一体成形品として形成することで、コイル114を仕切部材42の内部に埋設している。しかし、コイルは、必ずしも仕切部材の成形時に仕切部材の内部に埋設される必要はない。
具体的には、例えば、図3に示されているエンジンマウント120のように、仕切部材122が軸方向上下で重ね合わされる仕切部材本体124と蓋部材126で構成されており、仕切部材本体124の上端面に凹所128を形成して、凹所128にコイル114を収容配置する。更に、仕切部材本体124の上面に蓋部材126を重ね合わせることにより、凹所128の開口を蓋部材126で密閉する。これにより、仕切部材122の成形後にコイル114が仕切部材122に対して後付けで組み付けられるようになっていても良い。
なお、このように後組付けでコイル114を仕切部材122内部に埋設する場合には、コイル114を収容配置する凹所128の開口部が蓋部材126によって密閉されて、コイル114の収容領域に封入流体が侵入しないようにシールされている必要がある。例えば、図3においては、蓋部材126の下面を覆うようにゴム層130が形成されており、仕切部材本体124と蓋部材126がゴム層130を介して重ね合わされて密着せしめられるようになっている。
また、前記実施形態では、仕切部材42が仕切部材本体44と蓋部材46が軸方向で重ね合わされて形成された分割構造となっているが、仕切部材は、単一の部材で形成されていても良い。
また、前記実施形態では、弁体としての可動部材106が、仕切部材42を挟んだ平衡室86側に配設されており、可動部材106の軸方向での変位によって、第二のオリフィス通路96の平衡室86側の開口部が実質的に開閉されるようになっている。しかし、弁体は必ずしも仕切部材よりも平衡室側に配設されている必要はなく、例えば、弁体を仕切部材42よりも受圧室84側に配設して、コイルスプリング112によって軸方向上方に向かって付勢すると共に、コイル114への通電によって弁体を軸方向下方に吸引変位可能とすることで第二のオリフィス通路96の受圧室84側の開口部を実質的に開閉せしめ得るようになっていても良い。
これによれば、低周波大振幅振動の入力時において、受圧室84に正圧の内圧変動が生じた場合には、受圧室84と平衡室86の圧力差に基づいて弁体が仕切部材42側に押圧されることから、第二のオリフィス通路96を有利に遮断状態とすることが出来る。なお、中乃至高周波小振幅振動の入力時には、振幅が小さいことから弁体の変位量が比較的に小さく、第二のオリフィス通路96の連通状態が安定して維持される。
また、受圧室84側に弁体を設けた構造においては、衝撃的な大荷重の入力によって受圧室84内に負圧が生ぜしめられた場合において、受圧室84内の負圧による吸引力に基づいて弁体が開作動せしめられるようになっていても良い。これによれば、受圧室84に過大な負圧が及ぼされた場合に、第二のオリフィス通路96が連通状態とされて第二のオリフィス通路96を通じての流体流動によって受圧室84と平衡室86の相対的な圧力差が速やかに解消される。それ故、負圧に起因する溶存気体の分離による気泡の生成を防いで、該気泡の崩壊に際して発生する微小噴流の水撃圧に起因すると考えられる異音や振動を有利に防ぐことが出来る。
また、前記第一,第二の実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用した例を示したが、本発明は、その他、自動車用ボデーマウント等や、自動車以外の各種防振装置に適用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:自動車用エンジンマウント,12:第一の取付金具,14:第二の取付金具,16:本体ゴム弾性体,42:仕切部材,44:仕切部材本体,56:緩衝ゴム,76:ダイヤフラム,84:受圧室,86:平衡室,94:第一のオリフィス通路,96:第二のオリフィス通路,106:可動部材,112:コイルスプリング,114:コイル,116:リード線,118:電源装置
Claims (4)
- 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成し、該受圧室と該平衡室を相互に連通せしめる、第一のオリフィス通路と該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路をそれぞれ形成すると共に、外部からの通電によって作動せしめられる弁手段を設けて、該弁手段によって該第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切換可能とした流体封入式防振装置において、
強磁性材で形成された弁体を用いて、該弁体を前記第二のオリフィス通路の開口部上に配設すると共に、前記仕切部材と該弁体の間にコイルスプリングを介装して、該コイルスプリングの初期状態で該弁体を該第二のオリフィス通路の開口部から外方に離隔位置せしめることにより該第二のオリフィス通路を連通状態に保持せしめる一方、該仕切部材の内部にコイルを組み込んで該弁体と該コイルスプリングと該コイルとを含んで前記弁手段を構成して、該コイルへの通電によって該弁体を吸引変位せしめることにより該第二のオリフィス通路が遮断されるようにしたことを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記仕切部材を成形品として、該仕切部材の成形時に前記コイルを該仕切部材に埋設した請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記仕切部材と前記弁手段の間にシールゴムを介在せしめて、前記コイルへの通電時に該弁手段が該シールゴムを介して前記第二のオリフィス通路の開口部に密着して該第二のオリフィス通路を遮断するようにした請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
- 前記仕切部材の一部を外部に露出させて、前記コイル部材を電源装置に接続するリード線を外部に露出された該仕切部材の一部から外部に取り出した請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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| JP (1) | JP2008163974A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20190025401A (ko) * | 2017-09-01 | 2019-03-11 | 현대자동차주식회사 | 주행성능 개선을 위한 연속적인 가변특성을 갖는 유체마운트 |
| US10336175B2 (en) | 2016-04-29 | 2019-07-02 | Hyundai Motor Company | Engine mount for vehicle |
| CN110552990A (zh) * | 2018-05-30 | 2019-12-10 | 上海汽车集团股份有限公司 | 一种动力总成的半主动悬置 |
-
2006
- 2006-12-27 JP JP2006351456A patent/JP2008163974A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US10336175B2 (en) | 2016-04-29 | 2019-07-02 | Hyundai Motor Company | Engine mount for vehicle |
| KR20190025401A (ko) * | 2017-09-01 | 2019-03-11 | 현대자동차주식회사 | 주행성능 개선을 위한 연속적인 가변특성을 갖는 유체마운트 |
| KR102479257B1 (ko) | 2017-09-01 | 2022-12-19 | 현대자동차주식회사 | 주행성능 개선을 위한 연속적인 가변특성을 갖는 유체마운트 |
| CN110552990A (zh) * | 2018-05-30 | 2019-12-10 | 上海汽车集团股份有限公司 | 一种动力总成的半主动悬置 |
| CN110552990B (zh) * | 2018-05-30 | 2021-11-05 | 上海汽车集团股份有限公司 | 一种动力总成的半主动悬置 |
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