[第1実施例]
本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1は、車両用交流発電機の側面断面図である。図2は、車両用交流発電機を部分的に断面とした斜視図である。図3は、回転子と固定子を部分的に断面とした斜視図である。図4は、回転子の斜視図である。図5(a)は、固定子のみを部分的に断面とした斜視図である。図5(b)は、固定子を内周側から見た図である。図6は、固定子の各相毎の斜視図である。図7(a)は、固定子における1つの相を取り出した斜視図であり、図7(b)は、図7(a)の部品毎の斜視図である。
図1に示す本実施例の車両用交流発電機は、図1中左側に配置されるフロントブラケット1と図1中左側に配置されるリアブラケット2とを有しており、夫々のブラケットは、内部に収容空間を有する有底筒状、つまり、椀形状を呈しているが、これらのフロントブラケット1及びリアブラケット2の内周側と外周側には、図2に示すように空気が流通するための複数の風穴3が開口している。
フロントブラケット1の径方向外周側部分の肉厚は、リアブラケット2側を肉厚Aとし、底面側を肉厚BとするとA>Bの関係となっている。また、リアブラケット2側の端部外周にはリアブラケット2が嵌合可能な環状の段差からなる嵌合部1aが形成されている。更にフロントブラケット1の軸方向端面側部分の肉厚Cは、肉厚A>肉厚C>肉厚Bの関係となっている。
また、リアブラケット2の径方向外周側部分においてもフロントブラケット1と同様にフロントブラケット1側の肉厚D<底部側の肉厚Eの関係となっていると共に、この肉厚D部分の端部内周には、フロントブラケット1の段差部1aが嵌合可能な環状の段差からなる嵌合部2aが形成されている。尚、リアブラケット2の厚肉E部分は、フロントブラケット1の肉厚Bよりも厚肉となっている。
加えて、フロントブラケット1及びリアブラケット2には、夫々、固定穴が開口する固定部4が径方向外周側に突出して一体に設けられており、これらの固定部4が図示しないボルトによって車両に取り付けられる。また、フロントブラケット1及びリアブラケット2は、アルミニウム合金によって成形されており、成形方法としてはダイキャストが用いられる。
リアブラケット2の軸方向端には、夫々のブラケットよりも薄肉のリアカバー5が取り付けられており、このリアカバー5は、夫々のブラケット同様、内部に収容空間を有する有底筒状、つまり、椀形状を呈している。このリアカバー5にも空気が流通するための風穴3が内周側や外周側に複数開口している。また、リアカバー5の外周側には、バッテリーに接続されるターミナル6が取り付けられている。尚、リアカバー5は、樹脂製、もしくは、アルミニウム合金製である。
フロントブラケット1及びリアブラケット2の軸方向外端部における径方向略中心位置には、夫々、軸受としてのボールベアリング7a,7bが取り付けられているが、フロントブラケット1に取り付けられるボールベアリング7aは、リアブラケット2に取り付けられるボールベアリング7bよりも外径の大きなものが用いられている。
これらのボールベアリング7a,7bの内輪には、シャフト8が挿通され、このシャフト8はフロントブラケット1及びリアブラケット2に対して相対回転自在に支持されている。
また、シャフト8のフロントブラケット1側端には、回転伝達部材としてのプーリ9がボルトによって一体回転するように固定されており、このプーリ9には、図外のエンジンの回転が伝達されるクランクプーリから無端伝達帯としてのベルトによって回転が伝達される。このためシャフト8は、エンジンの回転数とプーリ9とクランクプーリのプーリ比に比例して回転する。
更にシャフト8のリアブラケット2側の端部には、シャフト8と一体に回転するよう2つのスリップリング10が取り付けられており、夫々のスリップリング10に押付けられた状態で摺動する2つのブラシ11を介して電力が供給されるようになっている。
シャフト8の回転軸方向の略中央部には、磁性材料にて成形されたフロント側ロータ部材12F,リヤ側ロータ部材12Rがシャフト8と一体に回転するよう別々にセレーション結合されており、また、フロント側ロータ部材12F,リヤ側ロータ部材12Rは、軸方向に向かい合って当接した状態で軸方向の移動が規制されるべく、夫々のロータ部材
12F,12Rの外側端をシャフト8に形成した環状溝8a内に塑性流動させている。このようにシャフト8に固定されたフロント側ロータ部材12F,リヤ側ロータ部材12Rによって回転子としてのロータ12が構成される。
このロータ12の回転軸方向における両端面には、外周側に複数の羽根を有する通風手段としての板状のファン13F,13Rが取り付けられており、ロータ12と一体的に回転する。これらのファン13F,13Rは、回転することによる遠心力によって、内周側から外周側に空気を流通させるようになっている。尚、フロントブラケット1側のフロントファン13Fは、リアブラケット2側のリアファン13Rよりも羽根が小さく、流通させる空気の流量もフロントファン13Fは、リアファン13Rよりも少ない。
フロント側ロータ部材12F,リヤ側ロータ部材12Rは、内周側に位置する軸部12aと、外周側に位置する径方向断面がL字形状の複数の回転子爪磁極12bとからなり、両ロータ部材12F,12Rの軸部12aの軸方向端部同士が向かい合って当接することでランデル型鉄心が構成される。軸部12a外周と回転子爪磁極12b内周間には、界磁巻線14が回転軸周りに巻装され、この界磁巻線14の両端は、シャフト8に沿って延出して前述のスリップリング10に夫々接続されている。このため、ブラシ11からスリップリング10を介して供給される直流電流は、界磁巻線14を流れ、それに伴いロータ12が磁化され、界磁巻線14周りを周回するようロータ12に磁路が形成される。尚、界磁巻線14に供給される電流は、車両のバッテリー電圧より発電電圧が高くなったときに発電を開始するように、バッテリーの状態に応じて制御されるが、発電電圧を調整するための電圧制御回路としてのICレギュレータ(図示せず)はリアカバー5の内部に配置された後述する整流回路15に内蔵され、ターミナル6の端子電圧が常に一定電圧となるように制御している。
また、フロントブラケット1におけるの肉厚A部分と肉厚B部分との間、及び、リアブラケット2における肉厚D部分と肉厚E部分との間に設けられた互いの段差16F,16Rには、フロントブラケット1側からU相,V相,W相の順に配置された3相の固定子17が挟持固定されている。尚、U相の固定子17U及びV相の固定子17Vは、フロントブラケット1の内周に全ての部分が収容されており、W相の固定子17Wは、一部がフロントブラケット1の内周に収容され、その他の部分はリアブラケット2の内周に収容されていることから、固定子17全体としては、フロントブラケット1との接触面積の方がリアブラケット2との接触面積より大きくなる。この固定子17の各相間には、非磁性体の連結板18が設けられており、この連結板18によって絶縁されている。このように固定子17は、内周がロータ12の回転子爪磁極12bの外周とわずかな隙間を介して対向するようになる。
また、固定子17における1つの相は、磁性材料からなる固定子鉄心17aと、その内部に固定子鉄心17aに沿って周方向に環状に巻回された固定子巻線17bとによって構成されており、夫々の相における固定子巻線17bは、リアカバー5内に取り付けられた整流回路15に接続されている。更に、この整流回路15は、ターミナル6を介してバッテリーと接続している。
尚、整流回路15は、複数のダイオードで構成されており、これらのダイオードに関しては、独立した3相コイルを構成しているため6個のダイオードで全波整流する構成となっている。
次に図3及び図4に基づいて、回転子としてのロータ12の詳細について説明する。図3に示すようにロータ12を構成するフロント側ロータ部材12F,リヤ側ロータ部材
12Rは、軸部12aの軸方向外側端から径方向断面L字形状の回転子爪磁極12bが周方向に複数、具体的には8つずつ設けられており、フロント側ロータ部材12Fとリヤ側ロータ部材12Rから延びる夫々の回転子爪磁極12bが周方向に交互に配置されるので、回転子爪磁極12bを全て合わせると16の回転子爪磁極12bから構成されている。つまり、本実施例におけるロータ12の磁極数は、16極となる。
これらの回転子爪磁極12bは、図4に示すように軸部12aに位置する根元部12b−1の周方向幅A′より、界磁巻線14に対向する中間部12b−2の周方向幅B′の方が小さく、また、界磁巻線14に対向する中間部12b−2の周方向幅B′より、先端部12b−3の周方向幅C′の方が小さい。つまり、A′>B′>C′の関係が成り立つ。
また、根元部12b−1は、軸部12aに対応する範囲の軸方向に所定位置となる略中間位置にて界磁巻線14側に向かって幅狭となるような第1テーパ部12b−4が回転子爪磁極12bの径方向範囲の所定位置となる略中間位置から設けられており、更に根元部12b−1におけるロータ12の軸方向端側には、外周側から内周側に向かって小径となるように傾斜した傾斜部12b−6が設けられている。尚、中間部12b−2は、第1テーパ部12b−4の幅狭となっている部分から軸方向に延びており、図3に示すように回転子爪磁極12bの径方向幅は、先端に向かって幅狭となるように内周側が傾斜している。
更に、先端部12b−3にも先端に向かって幅狭となる第2テーパ部12b−5が設けられており、軸方向における第1テーパ部12b−4と第2テーパ部12b−5の間には、軸方向に並ぶ各相の固定子17と対向する面積が大きく変化しないように略同一幅とした中間部12b−2が延びている。この中間部12b−2は、ほぼ界磁巻線14に対向する範囲で設けられており、第1テーパ部12b−4と第2テーパ部12b−5のテーパ角度は、ほぼ同一角度となっている。このため、回転子爪磁極12b間に形成される隙間は、ほぼ同一幅となる。尚、図示していないが、回転子爪磁極12bの反回転方向側縁に幅広の面取りを施してもよい。
このように形成されたフロント側ロータ部材12F,リヤ側ロータ部材12Rは、間に界磁巻線14を配置して、夫々の回転子爪磁極12bが周方向に交互に位置するように軸部12a端同士が当接した状態でシャフト8に固定される。
また、フロント側ロータ部材12F,リヤ側ロータ部材12Rの軸方向外側端には、夫々、フロントファン13Fとリアファン13Rが溶接等によって取り付けられる。このフロントファン13F及びリアファン13Rは、ロータ12の回転により中心方向に空気が流通されるよう対称的なファンの配置となっている。フロントファン13Fを例にとって説明とすると周方向に複数の突起が形成された金属板の突起部分における周方向一側をプレスにて略円弧状、かつ、略垂直に折り曲げて、半径方向に対して傾斜する傾斜面を有する羽根が一体成形されている。このように成形されたフロントファン13Fとリアファン13Rは、フロント側ロータ部材12Fとリヤ側ロータ部材12Rの軸方向外側端に溶接等によって一体的に固定される。以上、説明したフロントファン13Fとリアファン13R及び回転子としてのロータ12により通風手段が構成される。
次に図3,図5,図6,図7に基づいて固定子17の詳細について説明する。前述したとおり、固定子17は、U相,V相,W相の3相に構成され、図6に示すように、夫々の間には、非磁性体である樹脂材料によって構成された環状、具体的には、円板状の連結板18を介して軸方向に一体化されている。尚、連結板18の両側面には、周方向に等間隔に夫々4つずつの凸部181が設けられており、一側面の凸部181と他側面の凸部181は、それぞれが周方向において中間位置に位置するように45度ずれた状態で設けられている。更に、これらの凸部181が嵌合可能な凹部171が固定子鉄心17aの両側面に設けられており、夫々を組み合わせることによって、図5に示すように夫々の相は、ロータ12のピッチに合わせて電気角で120度ずつずれた状態で位置決めされる。
次にU相の固定子17Uを例にして図7に基づいて1つの固定子について説明すると固定子17Uは、固定子鉄心17aと固定子巻線17bとから構成され、図7(b)に示すよう固定子鉄心17aは、軸方向に2分割されている。分割された夫々の固定子鉄心構成部材17a′,17a″は、外周側に設けられた環状、かつ、径方向断面L字形状の外周部17a−1と、外周部17a−1の内周側に設けられた複数、具体的には、8つの径方向断面L字形状の固定子爪磁極17a−2とから構成されている。このため、夫々の固定子鉄心構成部材17a′,17a″は、全体としては、径方向断面がコ字形状となる。また、固定子爪磁極17a−2は、周方向側面が回転軸線に対して傾斜している。つまり、スキューが設定されているので、先細り形状となるように略台形に形成されている。
更に、夫々の固定子鉄心構成部材17a′,17a″の対向面には、凸部172と凹部173が隣り合ったかたちで4対設けられており、これらの凸部172は、固定子爪磁極17a−2の周方向略中間部に設けられ、凹部173は、隣り合う固定子爪磁極17a−2の間の周方向略中間部に設けられているので、夫々を嵌合させて位置決めすることにより、固定子爪磁極17a−2が周方向に交互に配置され、電気角で180度ずれた全部で16の固定子爪磁極17a−2を有する固定子鉄心17aが構成される。つまり、本実施例における固定子17の1相分の磁極数は、16極となり、回転子12の磁極数と同数となる。
尚、固定子鉄心構成部材17a′,17a″及び各相の固定子鉄心17aは、固定子爪磁極17a−2間に形成される隙間に充填された樹脂によって連結固定されている。この樹脂部は、固定子爪磁極17a−2の内側表面と略同じ面となるようになっている。このように各相の固定子鉄心17aを固定子爪磁極17a−2間に充填される樹脂によって結合する必要があるため、連結板18の内周側の位置は、外周部17a−1の側面の範囲で当接し、固定子爪磁極17a−2の側面には当接しないようになっているので、ある相の固定子爪磁極17a−2間の隙間から他の相における固定子爪磁極17a−2間の隙間に連続して樹脂が充填されている。
また、固定子鉄心構成部材17a′,17a″は、絶縁処理が施された鉄粉を型に充填し、圧縮することで成形され、更に磁気焼鈍が施される。このように固定子17を、いわゆる圧粉鉄心とすることで渦電流が生じづらくなり、渦電流損を少なくすることができる。尚、この固定子鉄心構成部材17a′,17a″は、略同一形状に構成されており、別々の型を準備する必要はない。
固定子鉄心17aは、内部に外周部17a−1に沿って周方向、かつ、環状に固定子巻線17bが巻回される。この固定子巻線17bの表面には、ワニス等で絶縁被覆が施されており、固定子巻線17bの端末は、固定子鉄心17aにおける固定子爪磁極17a−2の間を縫って、整流回路15の端子15aに接続される。尚、固定子鉄心17aと固定子巻線17bとの間には、絶縁部材である絶縁紙を配置するようにしてもよい。
本実施例においては、全ての相が同一のものとなるように固定子17が構成されており、前述したように電気角で120度ずつずれた状態で各相間に非磁性体の連結板18を配置し、固定子爪磁極17a−2間に樹脂が充填されることで互いの相が動かないように位置決めされる。
次に本実施例の作動について説明する。
まず、エンジンの始動に伴ってクランクシャフトからベルトを介してプーリ9に回転が伝達されるため、シャフト8を介して回転子としてのロータ12を回転させる。ここでロータ12に設けられた界磁巻線14にスリップリング10を介してブラシ11から直流電流を供給すると界磁巻線14の内外周を周回する磁束が生じるため、ロータ12における回転子爪磁極12bにN極、又は、S極が周方向に交互に形成される。この界磁巻線14による磁束は、フロント側ロータ部材12FのN極の回転子爪磁極12bから固定子17の軸方向一方側から延びる固定子爪磁極17a−2をとおって固定子巻線17b周りに周回し、軸方向他方側から延びる固定子爪磁極17a−2に到達する。更に、この磁束はリヤ側ロータ部材12RのS極の回転子爪磁極12bに到達することでロータ12と固定子17を周回する磁気回路が形成される。このように回転子にて生じた磁束が固定子巻線
17bと鎖交するため、U相,V相,W相の固定子巻線17bのそれぞれに交流誘起電圧が発生し、全体としては3相の交流誘起電圧が生じる。
このように発電された交流電圧は、整流回路15によって、全波整流されて直流電圧に変換される。整流された直流電圧は約14.3V 程度の一定電圧になるようにICレギュレータ(図示せず)で界磁巻線14に供給する電流を制御することで達成している。
また、ロータ12が回転する際には、フロントファン13F及びリアファン13Rもロータ12と共に回転するので、図1の破線矢印にて示したように外部の空気を内周側である軸方向から取り入れ、外周方向に排出する空気の流れを形成する。
フロントファン12Fは、回転することにより、フロントブラケット1におけるボールベアリング7aの外周部分に設けられた内周側の風穴3から軸方向に外部の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は、フロントファン12Fの羽根によって生じる遠心力によって外周側に流動し、フロントブラケット1外周側の厚肉部分に設けられた外周側の風穴3から排出される。ここで固定子17の軸方向一側面及び外周面は、フロントブラケット1に接触した状態で固定されているため、固定子17に発生した熱は、フロントブラケット1に十分伝達され、更に、このフロントブラケット1の熱が伝達された箇所は、外周側の風穴3に向かって空気が流れる箇所に面して設けられているため、固定子17を冷却することができる。
リアファン12Rは、回転することにより、リアカバー5の外周側縁部に設けられた風穴3及び図示されていないリアカバー5の軸方向端面に開口する内周側の風穴から整流回路15を経由して、リアブラケット2におけるボールベアリング7bの外周部分に設けられた内周側の風穴3から軸方向に外部の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は、リアファン12Rの羽根によって生じる遠心力によって外周側に流動し、リアブラケット2の外周側に設けられた外周側の風穴3から排出される。このため、フロントブラケット1と同様に固定子17から生じる熱、及び、リアブラケット2に伝達された固定子17の熱は、外周側の風穴3に向かって流れる空気によって冷却される。
更に、回転することに発生するフロントファン13Fの圧力とリアファン13Rの圧力との圧力差により、回転子12の磁極間の隙間と回転子12と固定子17との隙間を空気が流通する。本実施例では、リアファン13Rに発生する圧力が大きくなるため、フロントブラケット1側から回転子12と固定子17の間と回転子12磁極間の隙間を通ってリアブラケット側に空気が流れ、回転子12及び固定子17は、冷却されることになる。
以上、第1実施例の構成について説明したが、第1実施例の作用効果を以下に示す。
第1実施例によれば、外周に複数の異なった磁束が交互に形成される回転子と、該回転子の外周と対向する部位に設けられた固定子鉄心と、該固定子鉄心内に巻回される固定子巻線とから構成される固定子とを有し、前記回転子が前記固定子鉄心に対して相対回転することにより前記固定子巻線に電圧が誘起される車両用交流発電機であって、前記固定子巻線は、前記回転子の外周側に環状に巻回されると共に、前記固定子鉄心は、前記回転子と対向する部位に軸方向両側から夫々が交互に延びる固定子爪磁極を有し、かつ、前記固定子巻線の周囲を包囲するように設けられ、更に前記固定子鉄心は、表面が絶縁処理された鉄粉を圧縮して成形される圧粉鉄心にて構成されていることを特徴としている。このように固定子鉄心を圧粉鉄心にて構成したため、複雑な形状を容易に成形することができ、材料の歩留まりもよい。また、鉄粉の表面が絶縁処理されているため、渦電流の発生も極力抑えることができる。更に、固定子巻線は、回転子の外周側を環状に巻回すればよいので、作業性が大幅に向上し、占積率も向上させ、コイルエンドも無くなることにより、巻線抵抗を低減することが可能である。
また、本実施例によれば、固定子爪磁極に軸方向線に対して、スキューを設けたので、回転子に生じた磁束を滑らかに鎖交させることができ、磁気騒音を低減させることができる。
また、本実施例によれば、回転子爪磁極の少なくとも界磁巻線に対向する箇所の周方向幅が一定となるように構成したことを特徴としている。このため、回転子爪磁極が周方向に先細り形状となっているものに比べて、界磁巻線によって発生した磁束を鎖交させ易くすることができるので誘起される電圧を大きくすることができる。
また、本実施例によれば、前記回転子爪磁極の根元部は中間部に対して幅広に形成され、中間部は先端部よりも幅広に形成されており、前記中間部は、ほぼ一定幅に形成されている。このように中間部をほぼ一定幅とした場合、根元部にて磁気飽和が生じやすくなるが、根元部は幅広となっているので磁気飽和を緩和し、磁束量を増加することができる。また、根元部だけを幅広とした場合、隣り合う回転子爪磁極との間が狭くなるので磁束が漏れやすくなるが、根元部に対応して先端部は中間部よりも幅狭となっているので隣り合う回転子爪磁極の隙間を十分確保することができる。
また、本実施例によれば、外周に複数の異なった磁束が交互に形成される回転子と、該回転子の外周と対向する部位に設けられた固定子鉄心と、該固定子鉄心内に巻回される固定子巻線とから構成される固定子とを有し、前記回転子が前記固定子鉄心に対して相対回転することにより前記固定子巻線に電圧が誘起される車両用交流発電機であって、前記回転子の磁極は16極とし、前記固定子巻線は、前記回転子の外周側に環状に巻回されると共に、前記固定子鉄心は、前記回転子と対向する部位に軸方向両側から夫々が交互に延びる16極の固定子爪磁極を有し、更に前記固定子鉄心は、表面が絶縁処理された鉄粉を圧縮して成形される圧粉鉄心にて構成されている。尚、磁極は多ければ多いほど誘起電圧を上昇させることができるが、回転子の磁極数を多くし過ぎると磁極間が近づいてしまい漏洩磁束が大きくなってしまい、インダクタンスの増加や鉄損の増加となり、出力電流及び効率が下がってしまう。そこで出願人は、車両用交流発電機として出力電流と効率を大きくできる回転子の極数は16極であることを見出した。また、固定子の磁極数は、回転子の磁極数とバランスさせて16極とすることで出力される誘起電圧を向上させることができることがわかった。更に回転子をランデル型とした場合、回転子爪磁極が遠心力による変形で回転子12と固定子17が接触する不具合もあるが、回転子の極数が16極までの場合は、回転子爪磁極の変形による回転子12と固定子17との接触は、問題とならないことがわかった。
また、本実施例によれば、フロントブラケットの径方向外周側部分の肉厚は、リアブラケット側が薄肉となっており、底面側が厚肉となっていると共に、リアブラケット側の端部外周がリアブラケットと嵌合部にて嵌合しているので、フロントブラケット及びリアブラケットの径方向外周側部分の厚肉部に設けた段差に少なくとも外周が接触するように夫々の固定子を配置し、表面積を確保するべく厚肉部に空気が流通する風穴を設けたので、固定子に発生した熱をブラケットに伝達し、固定子を十分冷却することができる。また、この風穴には、通風手段からの空気が流れるので冷却効果を向上させることができる。また、フロントブラケットとリアブラケットは、外周に設けた段差と内周に設けた段差によって嵌合部を形成して嵌合しているので、フロントブラケットとリアブラケットの熱交換が十分できる。また、固定子は、厚肉部を有するフロントブラケットに多く接するようになっているので、固定子が冷却されやすくなっている。尚、冷却効果を向上させるために風穴内に冷却フィンを設けてもよい。
また、本実施例によれば、各相の固定子巻線を整流回路に接続する際、固定子爪磁極間の隙間を通しているので、固定子鉄心に穴を開けたりすることを要しない。このため、安価で磁気回路に影響が出ないようにすることができる。尚、固定子爪磁極間の隙間には、非磁性体としての樹脂を充填しているので固定子巻線を保持することもでき、各相の固定子同士及び固定子鉄心構成部材を固定することもできる。更には、この樹脂によって固定子爪磁極を含む固定子の強度を向上させることも可能である。加えて、本実施例では樹脂と固定子爪磁極をほぼ同一面とするようにしたため、回転子が回転することによる風切り音を低減することもできる。尚、固定子爪磁極の表面は、樹脂によって被覆されないようにした方が回転子との隙間を小さくできるので磁束を通しやすくできる。
[第2実施例]
次に第2実施例を図8及び図9に基づいて説明する。図8(a)は、第1実施例における各相に誘起される電圧の出力波形である。図8(b)は、第2実施例における各相に誘起される電圧の出力波形である。図9は、第2実施例の回転子及び固定子の側面を断面とした斜視図である。尚、第1実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
先に説明したとおり、第1実施例の固定子17は、連結板18を介して複数相(U相,V相,W相)の固定子鉄心17aが隣り合って配置されているが、いくら非磁性体の連結板18を介していたとしても、隣り合う相の固定子鉄心17aに磁束が漏れてしまうことがある。このように磁束が隣の固定子鉄心17aに漏れた場合、軸方向両端に配置される相(U相とW相)の間に配置されるその他の相(V相)の固定子鉄心17aは、両側に磁束が漏れることになるため、図8(a)に示すように軸方向両端に配置される相(U相とW相)に比べて出力される誘起電圧が小さくなってしまう。このため、整流回路によって整流した後の直流電圧も大きくすることができない。
そこで、第2実施例では、図9に示すように回転子爪磁極12b間のV相固定子17Vの部分に軸方向断面が略四角形の永久磁石19を設けている。この永久磁石19の極性は、界磁巻線14に励磁したときに回転子爪磁極12bに形成される磁極と同極が向かい合うように着磁されている。このため、V相固定子17Vは、他の相に比べて、回転子爪磁極12b間の漏洩磁束が低下するので、誘起電圧が増大し、図8(b)に示すように他の相に誘起される電圧とバランスさせることができる。このような永久磁石19によってバランス手段が構成されており、磁石としては、フェライト磁石が用いられている。尚、この永久磁石19の軸方向長さは、V相固定子17Vの軸方向長さと同じとして対向させるとよいが、V相固定子17Vの軸方向長さと完全に同じとする必要はなく、あくまでU相固定子17UとW相固定子17Wに対して、V相固定子17Vのバランスが保たれていればよい。
このように第2実施例では、軸方向両端に配置される相以外の相に誘起される電圧を他の相に誘起される電圧とバランスさせるバランス手段を有しているので、全ての相の誘起電圧がバランスし、それに伴って出力される誘起電圧を大きくすることができる。
また、第2実施例のバランス手段は、軸方向両端に配置される相以外の相に誘起される電圧を増大させる手段であるので、U相とW相の誘起電圧を低下させてV相とバランスさせるよりも全体としての誘起電圧を大きくすることができる。
また、第2実施例のバランス手段は、回転子爪磁極間であって、軸方向両端に配置される相以外の相に対向して少なくとも設けられた永久磁石によって構成されているので、回転子と固定子の形状を大きく変更しなくてもバランス機能を持たせることができる。
また、第2実施例の永久磁石は、軸方向両端に配置される相以外の相と対向する部位にのみ設けられているので、単純な形状の永久磁石によってバランス手段を構成することができる。このため、安価にバランス手段を構成することができる。
[第3実施例]
次に第3実施例を図10に基づいて説明する。図10は、第3実施例の回転子及び固定子の側面を断面とした斜視図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第3実施例は、第2実施例と永久磁石19の形状が異なるが、他の部分は、第2実施例とほぼ同一である。第3実施例の永久磁石19は、軸方向断面が略T字形状となるようにV相固定子17Vに対応する部分が厚肉でU相固定子17UとW相固定子17Wに対応する部分が薄肉となっている。
このため、V相固定子17Vは、他の相に比べて回転子爪磁極12b間の漏洩磁束が低下すると共に、V相固定子17Vよりは漏洩磁束が大きくなるがU相固定子17UとW相固定子17Wにおいても漏洩磁束を低減することができるので、全ての相の誘起電圧を増大させ、更に各相の誘起電圧をバランスさせることができる。
このように第3実施例の永久磁石は、軸方向両端に配置される相と対向する部位の磁力より、軸方向両端に配置される相以外の相と対向する部位の磁力の方が強くなるように構成されたので、各相の誘起電圧をバランスさせながら増大させることができる。具体的には、永久磁石を軸方向両端側が薄肉となるように構成したので夫々の回転子爪磁極間に1つずつの永久磁石を配置するだけでも誘起電圧をバランスさせ、かつ、増大させる作用効果を得ることが可能である。
[第4実施例]
次に第4実施例を図11に基づいて説明する。図11は、第4実施例の回転子及び固定子の側面を断面とした斜視図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第3実施例は、第3実施例と永久磁石19の形状が異なるが、他の部分は、第3実施例とほぼ同一である。第4実施例の永久磁石19は、軸方向断面が外周側に向かって幅広となるような略台形状となっており、V相固定子17Vに対応する部分が台形の内周側短辺と対応しており、この内周側短辺から外周側に向かって連続的に幅広となるようにテーパ状に軸方向幅が拡大している。このため、永久磁石19は、V相固定子17Vに対応する部分よりもU相固定子17UとW相固定子17Wに対応する部分の方が薄肉となっている。
このため、第3実施例と同様にV相固定子17Vが他の相に比べて回転子爪磁極12b間の漏洩磁束が低下すると共に、U相固定子17UとW相固定子17Wにおいても漏洩磁束を低減することができる。更に第4実施例では、連続的に薄肉になっており、漏洩磁束の量に合わせて永久磁石19の厚みを設定しているので、誘起電圧をバランスさせつつ、第3実施例よりも漏洩磁束の量を少なくすることができる。また、永久磁石19が急激に薄肉となるような箇所がなくなることから永久磁石19の強度も向上させることができる。
[第5実施例]
次に第5実施例を図12に基づいて説明する。図12は、第5実施例の回転子及び固定子の側面断面図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第5実施例は、第2実施例及び第3実施例とは異なり、回転子爪磁極間に永久磁石19を設けることでバランス手段を構成しているものではなく、V相固定子17VをU相固定子17U及びW相固定子17Wに対して異ならせている。具体的にはV相固定子17Vの固定子鉄心17aの軸方向長A″をU相固定子17U及びW相固定子17Wの固定子鉄心17aの軸方向長B″より長くして、U相固定子17U及びW相固定子17Wの固定子鉄心17aと回転子としてのロータ12との間を通過する磁束よりも、V相固定子17Vの固定子鉄心17aとロータ12との間を通過する磁束が流れやすくなることでバランス手段を構成したものである。尚、V相固定子17Vの固定子鉄心17aは、軸方向寸法がU相固定子17U及びW相固定子17Wに比べて長いだけではなく、固定子爪磁極17a−2の長さもU相固定子17U及びW相固定子17Wに比べて長くなっている。
このように、第5実施例は、軸方向両端に配置される相と回転子との間を通過する磁束よりも、それ以外の相と回転子との間を通過する磁束が通過しやすくするバランス手段を設けたので、全ての相の誘起電圧をバランスさせることができる。
特に第5実施例のバランス手段は、軸方向両端に配置される固定子鉄心よりも、それ以外の固定子鉄心の軸方向長が長くなるようにすることによって構成したため、新たな部材を付加することなく各相の誘起電圧をバランスさせることができる。
[第6実施例]
次に第6実施例を図13に基づいて説明する。図13は、第6実施例の回転子及び固定子の側面断面図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第6実施例は、V相における固定子巻線17bの巻数をU相及びW相における固定子巻線17bの巻数よりも多くすることによってバランス手段を構成している。このため、V相の固定子鉄心17aには、U相及びW相に比べて固定子巻線17bを多く巻回できるようになっているが、その他の部分は、第1実施例とほぼ同様であるため、説明を省略する。
このように、第6実施例のバランス手段は、軸方向両端に配置される相の固定子巻線よりも、それ以外の相における固定子巻線の巻数を多くしたので、変更する箇所を極力少なくしつつ、各相の誘起電圧をバランスさせることができる。尚、各相の固定子鉄心を変更せず、固定子巻線のみを変更してもよいが、出力させる誘起電圧をできるだけ大きくするには、図13に示すように固定子鉄心における固定子巻線が巻回される環状空間をU相及びW相に比べてV相の方を大きくし、この環状空間に固定子巻線を最大限に巻回するとよい。
[第7実施例]
次に第7実施例を図14に基づいて説明する。図14(a)は、第7実施例の回転子及び固定子の側面を断面とした斜視図である。図14(b)は、第7実施例の回転子及び固定子の側面断面図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第7実施例は、図14(a)及び図14(b)に示すように回転子爪磁極12bと各相の固定子17との径方向の隙間を、V相固定子17Vと対向する位置の隙間aが狭く、U相固定子17U及びW相固定子17Wと対向する位置の隙間bを広くすることにより、バランス手段を構成している。このバランス手段を構成するためにU相固定子17U及びW相固定子17Wと対向する全ての回転子爪磁極12bの軸方向両端側をテーパ状に切り欠いているが、その他の部分は、第1実施例とほぼ同様であるので説明を省略する。このため、回転子爪磁極12bの外周面の形状は、略台形状となるが、連続的な凸形状や、段付き状に凸形状としても構わない。
このように、第7実施例のバランス手段は、軸方向両端に配置される固定子鉄心の固定子爪磁極と回転子間の隙間よりも、それ以外の固定子鉄心の固定子爪磁極と回転子間の隙間の方を小さくし、軸方向両端に配置される相と回転子との隙間による磁気抵抗よりも、それ以外の相と回転子との隙間による磁気抵抗を小さくすることで磁束が通過しやすくなるので、全ての相の誘起電圧をバランスさせることができる。また、従来の回転子爪磁極に加工を施すだけでバランス手段を構成することができるので部品点数が多くならず、新たに設計し直す必要もない。特に回転子爪磁極の外周面の形状をテーパ形状もしくは、連続的な凸形状とすれば、回転子爪磁極に段差が形成されないため、遠心力が作用したとしても強度を維持することができる。
[第8実施例]
次に第8実施例を図15に基づいて説明する。図15(a)は、第8実施例の回転子及び固定子の側面を断面とした斜視図である。図15(b)は、第8実施例の回転子及び固定子の側面断面図である。図15(c)は、第8実施例における固定子巻線の結線の一例を示す図である。図15(d)は、第8実施例における固定子巻線の結線の一例を示す図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第8実施例は、U相,V相,W相の固定子17が一対設けられている。つまり、図15(a)及び図15(b)に示すように軸方向一端側から第1U相固定子17U1,第1V相固定子17V1,第1W相固定子17W1,第2U相固定子17U2,第2V相固定子17V2,第2W相固定子17W2の順で6つの固定子17が連結板18を介して並んでいる。また、これらの固定子17における同相の固定子巻線17bは、図15(c)及び図15(d)に示すように直列に接続されており、更に夫々の相は、図15(c)のようなスター結線となるように結線されていてもよく、図15(d)のようなΔ結線となるように結線されていてもよい。第8実施例は、このようにしてバランス手段が構成されている。
ここで前述したとおり、軸方向両端に配置される固定子よりも、それ以外の固定子の方が誘起電圧は大きく、特に1つの固定子が隣り合っているよりも、複数の固定子が隣り合っている方が磁束の漏れが大きい。このため、第1U相固定子17U1と第2W相固定子17W2は、軸方向端部に位置しているため、誘起電圧が最も大きく、次に第1V相固定子17V1と第2V相固定子17V2は、一端側には隣り合った固定子17が1つしかなく、他端側は複数の固定子17が配置されているので第1U相固定子17U1と第2W相固定子17W2よりも誘起電圧が小さくなる。また、第1W相固定子17W1と第2U相固定子17U2は、両端に複数の固定子17が配置されているので第1V相固定子17V1と第2V相固定子17V2よりも更に誘起電圧が小さくなる。このように各相の誘起電圧は、第1U相=第2W相>第1V相=第2V相>第1W相=第2U相の関係となり、同相を直列に結線することにより各相の誘起電圧をバランスさせることが可能となる。
このように第8実施例のバランス手段は、固定子の各相は複数組設けられると共に、軸方向一端側から同じ相が同じ順序となるように配置され、同じ相となっている固定子巻線は、直列に接続されるようにしたので、一部の相の固定子巻線に誘起される電圧を低下させてバランスさせるのではなく、各相の固定子巻線に誘起される電圧を全体的に大きくした状態でバランスさせることができる。尚、この第8実施例においては、回転子爪磁極の間の固定子と対向する全範囲に第2実施例〜第4実施例とは異なる同一の厚さの永久磁石を設けたり、固定子鉄心の内周面と回転子爪磁極の外周面の間の隙間を極限まで小さくすることで更なる誘起電圧の向上も図ることができる。
[第9実施例]
次に第9実施例を図16に基づいて説明する。図16(a)は、第9実施例の回転子及び固定子の側面断面図である。図16(b)は、相間ギャップ比率と誘起電圧の関係を示したグラフである。図16(c)は、相間ギャップ比率と電圧振幅の関係を示したグラフである。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第9実施例は、図16(a)に示すように固定子17における軸方向の各相間の隙間
G1を第1実施例よりも大きくすることでバランス手段を構成しており、連結板18の代わりに樹脂を充填している。このように固定子17における軸方向の各相間の隙間G1を大きくすることにより各相間の漏れ磁束を低減することができるが、回転子としてのロータ12の軸方向長が決まっていることから、隙間G1を大きくしすぎると各相の固定子
17の軸方向長B1が小さくなってしまう。
このため、隙間G1と固定子17の軸方向長B1の比となる相間ギャップ比率(G1/B1)と誘起電圧の関係について、図16(b)及び図16(c)に示すような実験を行った。図16(b)は、横軸を相間ギャップ比率(G1/B1)とし、縦軸を各相毎の誘起電圧を平均して合わせた電圧値としたグラフである。この図16(b)によれば相間ギャップ比率(G1/B1)が0.2 以下では必要な誘起電圧を満足することができる。また、図16(b)の波形は、相間ギャップ比率(G1/B1)が0.13〜0.15をピークとして誘起電圧が下降し始める。以上のように相間ギャップ比率(G1/B1)は、
0.2以下で満足な電圧を誘起させることができ、0.15以下とすることが好ましく、特に0.13以下とするとよい。
しかしながら、相間ギャップ比率(G1/B1)を小さくし過ぎると、図8(a)に示すようにV相の誘起電圧が低下するので各相の誘起電圧を合計した電圧値が低下してしまうことがある。ここで図16(c)には、横軸を相間ギャップ比率(G1/B1)とし、縦軸を各相の誘起電圧を合計した電圧値の振幅としたグラフを示す。図16(c)によれば、相間ギャップ比率(G1/B1)が0.05 以下では、各相の誘起電圧を合計した電圧値の振幅が大きくなってしまい、相間ギャップ比率(G1/B1)が0.05 以上であれば、必要な誘起電圧を出力できる振幅とすることができる。また、相間ギャップ比率
(G1/B1)が0.07 を超えたところから振幅が安定し始め、相間ギャップ比率(G1/B1)が0.1付近で振幅が安定する。
以上のように第9実施例は、相間ギャップ比率(G1/B1)を0.05〜0.2とすることで、振幅の少ない誘起電圧を十分に出力できる。また、相間ギャップ比率(G1/
B1)を0.07〜0.15とすれば、誘起電圧を大きくすることができる。更には、相間ギャップ比率(G1/B1)を0.1〜0.13とすることが望ましい。
[第10実施例]
次に第10実施例を図17に基づいて説明する。図17(a)は、第10実施例の回転子及び固定子の側面断面図である。図17(b)は、第10実施例の回転子を外周側から見た図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第10実施例は、回転子としてのロータ12における夫々の回転子爪磁極12bの外周側表面に周方向に延びる断面矩形状の絶縁溝20を設け、この絶縁溝20内に樹脂等の非磁性体を充填している。また、この絶縁溝20は、U相固定子17UとV相固定子17Vの間の連結板18と対向する部分と、V相固定子17VとW相固定子17Wの間の連結板18と対向する部分に設けられており、連結板18の板厚よりも若干幅広に形成されている。尚、他の部分は、第1実施例とほぼ同様であるので説明を省略する。
このようにロータ12における回転子爪磁極12bに各相の固定子17間に対向する位置に絶縁溝20を設けているので、固定子17からロータ12の表面を経路として他の固定子に漏れてしまう磁束を低減することができ、各相の固定子17から界磁巻線14の周りを磁束が周回するようにすることができる。このため、各相の誘起電圧のバランスを保つことができる。よって、絶縁溝20がバランス手段を構成する。また、この絶縁溝20は、回転子爪磁極12bの表面に生じる渦電流を低減することもでき、効率を向上させるといった作用効果も有する。
尚、第10実施例においては、絶縁溝20内に非磁性体を充填したが、回転子爪磁極
12bの強度が十分確保できるならば、絶縁溝20内に何も充填しなくても、空気が非磁性体の代わりとなるため、漏れ磁束を少なくでき、非磁性体を充填しない分、安価となるといった作用効果を得ることができる。
[第11実施例]
次に第11実施例を図18に基づいて説明する。図18(a)は、第11実施例の回転子及び固定子の側面断面図である。図18(b)は、第11実施例の回転子爪磁極及び固定子爪磁極の配置を示す図である。図18(c)は、第11実施例の回転子爪磁極及び固定子爪磁極の配置を示す他の様態図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第11実施例は、回転子としてのロータ12をU相固定子17U,V相固定子17V,W相固定子17Wに対応させて3つに分割している。そのうちの1つは、第1実施例におけるロータ12を軸方向に1/3の長さとしたものであり、回転子爪磁極12bの軸方向長さも第1実施例に比べて1/3程度に形成され、界磁巻線14の巻数も少なくなっている。このように構成された3つの分割ロータ12U,12V,12Wが隣り合った状態でロータ12を構成する。
図18(b)に示すように固定子爪磁極17a−2は、第1実施例と同様にU相固定子17U,V相固定子17V,W相固定子17Wが電気角で120度周方向にずれた状態で配置されるが、回転子爪磁極12bは、夫々の分割ロータ12U,12V,12Wが電気角でずれのない同位相で配置される。
このようにロータ12を固定子17の相毎に分割したので磁束は、夫々が独立した状態で周回することになり、誘起電圧をバランスさせることができる。よって、分割ロータ
12U,12V,12Wがバランス手段を構成する。
尚、図18(b)では、各相の固定子爪磁極17a−2を電気角で120度ずれた状態で配置し、分割ロータ12U,12V,12Wの回転子爪磁極12bを電気角でずれのない状態で配置するようにしたが、図18(c)のように各相の固定子爪磁極17a−2を電気角でずれのない状態に配置し、分割ロータ12U,12V,12Wの回転子爪磁極
12bを電気角で120度ずれた状態で配置しても構わない。
[第12実施例]
次に第12実施例を図19に基づいて説明する。図19(a)は、第12実施例における固定子爪磁極を示す図である。図19(b)は、固定子爪磁極間ギャップ比率と誘起電圧との関係を示したグラフである。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
図19(b)に示すように、固定子17における固定子爪磁極17a−2の間の隙間
Gsと、固定子爪磁極17a−2の軸方向略中間位置の周方向幅Bsとの比である固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)を変更することによって、出力される誘起電圧に変化が生じることがわかった。尚、図19(b)は、固定子爪磁極17a−2のスキュー角度を一定とし、回転子は変更していない。
図19(b)によれば固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)を0.05〜0.3とすることで必要な誘起電圧を出力することができる。特に誘起電圧は、固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)が0.15付近でピークとなり、0.15付近から固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)を大きくしても、小さくしても誘起電圧は下がってしまう。このため、図19(b)から明らかなように固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)を0.1〜0.2とすることで、より大きな電圧を誘起させることができる。
[第13実施例]
次に第13実施例を図20に基づいて説明する。図20(a)は、第13実施例における回転子爪磁極を示す図である。図20(b)は、回転子爪磁極間ギャップ比率と誘起電圧との関係を示したグラフである。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
図20(b)に示すように、回転子としてのロータ12における回転子爪磁極12bの間の隙間Grと、回転子爪磁極12bにおける軸方向略中間位置である中間部12b−2の周方向幅Brとの比である回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)を変更することによって、出力される誘起電圧に変化が生じることがわかった。尚、図20(b)は、固定子は変更していない。
図20(b)によれば回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)を0.3〜0.6とすることで必要な誘起電圧を出力することができる。特に誘起電圧は、回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)が0.4付近でピークとなり、0.4付近から回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)を大きくしても、小さくしても誘起電圧は下がってしまう。このため、図20(b)から明らかなように回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)を
0.35〜0.45とすることで、より大きな電圧を誘起させることができる。
尚、第13実施例では、固定子側を変更せずに回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/
Br)を変更して、誘起電圧を測定したが、第12実施例のように固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)の変更があったとしても回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)と誘起電圧の傾向はほとんど変わらない。このため、固定子が変更されたとしても回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)を上記数値範囲とすることで誘起電圧を向上させることができる。また、第12実施例についても同様であり、回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)が変更されても固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)と誘起電圧の傾向はほとんど変わらない。以上のことから第12実施例と第13実施例の両方を満たした方がより誘起電圧を向上させることができる。
[第14実施例]
次に第14実施例を図21に基づいて説明する。図21(a)は、第14実施例における固定子爪磁極を示す図である。図21(b)は、固定子爪磁極のスキュー角度と誘起電圧との関係を示したグラフである。図21(c)は、固定子爪磁極のスキュー角度と電圧振幅との関係を示したグラフである。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
図21(b)に示すように、固定子17における固定子爪磁極17a−2のスキュー角度θ1とを変更することによって、出力される誘起電圧に変化が生じることがわかった。尚、図21(b)は、固定子爪磁極17a−2の周方向幅Bs及び固定子爪磁極17a−2間の隙間Gsを一定とし、回転子は変更していない。
図21(b)によれば固定子爪磁極17a−2のスキュー角度θ1を5度以上とすることで必要な誘起電圧を出力することができる。特に誘起電圧は、スキュー角度θ1が15度以下となると誘起電圧は下がり始める。また、図21(c)によれば固定子爪磁極17a−2のスキュー角度θ1が20度以上となると電圧振幅が大きくなりすぎてしまい必要な誘起電圧を出力できなくなる。以上のことから、固定子爪磁極17a−2のスキュー角度θ1は、5度〜20度とすることで必要な誘起電圧を出力することができ、特にスキュー角度θ1を15度〜20度とするとよい。
[第15実施例]
次に第15実施例を図22に基づいて説明する。図22(a)は、第15実施例の固定子爪磁極の形状を示す図である。図22(b)は、第15実施例の固定子爪磁極の形状を示す他の様態図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第15実施例は、V相固定子17Vの固定子爪磁極17a−2の形状をU相固定子17UとW相固定子17Wの固定子爪磁極17a−2の形状と異ならせている。具体的には、図22(a)に示すようにV相固定子17Vの固定子爪磁極17a−2の表面積Svが、U相固定子17U及びW相固定子17Wの固定子爪磁極17a−2の表面積Sよりも大きくなるように構成している。このように構成することによりV相固定子17Vの誘起電圧を向上させてU相固定子17U及びW相固定子17Wとバランスさせることができる。このため、これらの固定子爪磁極17a−2の形状がバランス手段を構成する。
また、図22(b)に示すようにV相固定子17Vの固定子爪磁極17a−2のスキュー角度θvが、U相固定子17U及びW相固定子17Wの固定子爪磁極17a−2のスキュー角度θよりも大きくなるように構成している。第14実施例で示したように固定子爪磁極17a−2のスキュー角度は、大きくなるに従って誘起電圧が大きくなる傾向にあるため、V相固定子17Vの誘起電圧を向上させてU相固定子17U及びW相固定子17Wとバランスさせることができる。このため、これらの固定子爪磁極17a−2の形状がバランス手段を構成する。
以上のように軸方向両端に配置される相とそれ以外の相における固定子爪磁極の形状を異ならせたことによってバランス手段を構成したことにより、各相の固定子に誘起される電圧をバランスさせることができる。
[第16実施例]
次に第16実施例を図23に基づいて説明する。図23(a)は、第16実施例における車両用交流発電機の側面断面図である。図23(b)は、第16実施例における固定子爪磁極を示す図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第16実施例は、第1実施例に対して、フロントブラケット1及びリアブラケット2と固定子17が異なるが、その他の部位は第1実施例とほぼ同様であるので説明を省略する。
図23(a)に示すように第16実施例のフロントブラケット1は、径方向外周側部分の肉厚と底面側の肉厚がほぼ同じ肉厚となっており、外周側の風穴3が形成されていない点が異なる。また、このフロントブラケット1及びリアブラケット2は、夫々が嵌合しておらず、相手側のブラケットの方まで延びていない。このため、フロントブラケット1は、U相固定子17Uのところが開口端縁となっており、リアブラケット2はW相固定子
17Wのところが開口端縁となっている。
第16実施例の固定子17は、固定子爪磁極17a−2間に形成される隙間に樹脂を充填しておらずフロントブラケット1及びリアブラケット2によって軸方向に挟持されることで各相の固定子17を連結固定している。また、図23(b)に示すように固定子爪磁極17a−2にスキューが設けられているため、固定子爪磁極17a−2間の隙間は、U相固定子17U,V相固定子17V,W相固定子17Wに渡って軸方向に連続することになる。
このように構成することにより、図23(a)の破線矢印で示すようにフロントファン13Fの回転によって、フロントブラケット1の内周側の風穴3から導入された空気は、遠心力によって外周側に流れるが、フロントブラケット1における外周側の風穴3は封止されているので外周側に流れることはできない。このため、空気は、固定子爪磁極17a−2間に形成された軸方向に連続する隙間を流れ、リアファン13Rの回転によって外周側に流れる空気を合流してリアブラケット2における外周側の風穴3から排出される。このように、固定子爪磁極17a−2間に形成された隙間を流れる空気量が増大するため、固定子17及び回転子としてのロータ12を十分冷却することができる。尚、第16実施例のフロントファン13Fは、第1実施例と同様にリアファン13Rより羽根が小さく、流れる空気量も少ないので、より固定子爪磁極17a−2間の隙間を流れる空気量を増やすことができる。
[第17実施例]
次に第17実施例を図24に基づいて説明する。図24は、第17実施例における車両用交流発電機の側面断面図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第17実施例は、第16実施例に対して、フロントファン13Fが設けられておらず、リアファン13Rの外径が固定子17内周よりも外周側となるように大径となっている点が異なるが、その他の部位は第16実施例とほぼ同様であるので説明を省略する。
図24に示すように第17実施例には、フロントファン13Fが設けられていないため、リアファン13Rのみによって空気の流れが生じる。このリアファン13Rは、羽根の外周端が固定子17内周よりも外周側となっているため、破線矢印で示すように遠心力によって内周側から外周側に空気を流動させる際、羽根と対向する固定子17とロータ12の間の隙間を通して、フロントブラケット1側からも空気を吸い込むことになる。このため、リアファン13Rのみであっても固定子17を十分冷却することができ、フロントファン13Fを省略した分だけ安価な装置とすることも可能になる。
以上、第16実施例及び第17実施例は、夫々の該固定子爪磁極間には空気が流通する隙間が設けられ、該隙間は、固定子鉄心の軸方向一端側から他端側に連続しているので、軸方向両端にコイルエンドが存在しなくとも固定子を十分に冷却することができる。また、この隙間に対して、軸方向に空気を流通させる通風手段を備えることによって、より効果的に固定子を冷却することが可能となる。
[第18実施例]
次に第18実施例を図25に基づいて説明する。図25は、第18実施例における回転子及び固定子の側面断面図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第15実施例及び第16実施例における各相の固定子17は、フロントブラケット1及びリアブラケット2によって軸方向から挟持することで固定しているが、第18実施例では、図25に示すように各相の固定子17の外周にアルミニウム合金等からなる非磁性体の補強リング21を設けることで各相の固定子17を一体化している。この補強リング
21は、軸方向一端側が内周側に延びる断面略L字形状のリングを固定子17の外周に嵌合させ、他端側を加締ることで他端側も内周側に折曲する。このため、補強リング21は、固定子17に固定された状態では、断面が略コの字形状となる。尚、補強リング21は非磁性体に限らず磁性体を採用することも可能である。
このように補強リング21を設けることにより、各相の固定子17をフロントブラケット1とリアブラケット2の間に挟持する前にユニット化することができ、組み付けが容易になると共に、強度の弱い圧粉鉄心からなる固定子鉄心17aがフロントブラケット1とリアブラケット2の間に挟持される際に変形しないように強度を補強することもでき、耐振動強度も向上させることが可能である。
以上、第1実施例から第18実施例には、回転電機としての車両用交流発電機について説明したが、以下に回転電機としてモータに用いた実施例について説明する。
[第19実施例]
第19実施例を図26に基づいて説明する。図26は、第19実施例における回転電機の側面断面図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
図24における固定子17は、第1実施例とほぼ同様であり、軸方向一端側からU相固定子17U,V相固定子17V,W相固定子17Wの順で軸方向に並んで配置されている。これらの固定子17は、中空円筒状のハウジング22の内周に固定されている。
ハウジング22の軸方向両端には、軸受としてのボールベアリング7a,7bが装着されており、これらのボールベアリング7a,7bによって、シャフト8がハウジング22に対して回転自在に支持されている。
このシャフト8における固定子17の内周と対向する位置には、回転子としてのロータ12がシャフト8と一体回転するよう固定されている。このロータ12は、U相固定子
17U,V相固定子17V,W相固定子17Wと同様にU相ロータ12U,V相ロータ
12V,W相ロータ12Wに分割されており、これらの軸方向幅は、U相固定子17U,V相固定子17V,W相固定子17Wとほぼ同様の幅となっている。
このように分割されたロータ12は、第1実施例で用いられたランデル型ロータとは異なり、軸方向に積層された積層鋼板によって略円筒形状に成形された回転子鉄心23の外周に複数の永久磁石24が接着等固定されることで構成されている。これらの永久磁石
24は、周方向に異なった磁極が交互に形成されるように配置される。尚、永久磁石24の外周には、ロータ12が回転した際に遠心力によって永久磁石24が脱落しないように非磁性体の保持環を取り付けても構わない。更に回転子鉄心23の外周に永久磁石24を固定しなくとも回転子鉄心23の周方向に複数の磁石挿入孔を設け、これらの磁石挿入孔に夫々、永久磁石24を内蔵しても構わない。
更に、分割されたロータのうち、軸方向両端側のロータであるU相ロータ12U及びW相ロータ12Wよりも、それ以外のロータであるV相ロータ12Vの磁力が強くなるように着磁されている。このように本実施例のロータ12は、軸方向両端側とその間の部分とで発生する磁束を異ならせているものである。尚、磁束を異ならせるためには、永久磁石24の大きさを変えても構わない。
次に本実施例の作動について説明する。
まず、各相の固定子17内に巻回されている固定子巻線17bに外部のインバータ(図示せず)から周期的に電流が供給される。これにより、固定子17の各固定子爪磁極17a−2に磁束が発生するが、インバータにより通電を切り替えることで固定子17の内周に回転磁界が生じるように制御される。このように固定子17の内周に生じた回転磁界とロータ12における夫々の永久磁石24の位置によって、ロータに回転力が生じる。
ここで、第2実施例と同様に、夫々の相の固定子17が隣り合って配置されているため、隣り合う相の固定子鉄心17aに磁束が漏れてしまうため、軸方向両端に配置される相(U相とW相)よりもその他の相(V相)の磁束が小さくなってしまう。しかしながら、V相に対向するV相ロータ12Vの永久磁石24が発生する磁束がU相ロータ12U及びW相ロータ12Wの永久磁石24が発生する磁束よりも大きいため、全ての相の固定子
17とロータ12間の磁束バランスがとれる。このため、効率よく回転トルクを生じさせることができるといった作用効果が得られる。
尚、U相ロータ12U,V相ロータ12V,W相ロータ12Wは、分割されているため、夫々の永久磁石24の位置を周方向に異ならせてスキューさせることで更にトルク脈動のない滑らかな特性とすることができる。
[第20実施例]
次に第20実施例を図27に基づいて説明する。図27は、第20実施例における回転電機の側面断面図である。尚、他の実施例と共通する部位については、同一称呼,同一の符号で表す。
第20実施例は、第19実施例と固定子17及びロータ12だけが異なるがその他の部分は同一である。第20実施例の固定子17は、第5実施例と同様に軸方向両端に配置されるU相固定子17UとW相固定子17Wの軸方向長さは、その間にあるV相固定子17Vよりも短くなっている。このため、V相固定子17VからU相固定子17UとW相固定子17Wに漏れる磁束分を補うことができ、各相の固定子17の発生磁束をバランスさせることができる。
尚、軸方向両端に配置される相におけるU相固定子17UとW相固定子17Wと、それ以外の相におけるV相固定子17Vを異ならせることによって各相の磁束アンバランスを調整しているので、第19実施例のようにロータ12を軸方向に分割させる必要はない。このため、本実施例のロータ12は、回転子鉄心23と永久磁石24が軸方向に一体化されている。
本実施例は、このように構成することにより、第19実施例と同様に効率よく回転トルクを生じさせることができるといった作用効果が得られる。
以上、本発明の各実施例について説明したが、他に採用可能な構成を以下に列挙する。
第1実施例では、フロントブラケット1のみ、径方向外周側部分の肉厚を底部の肉厚より厚くしたが、配置スペースさえ確保できれば、リアブラケット2もフロントブラケット1と同様に径方向外周側部分の肉厚を底部の肉厚より厚くしても構わない。このように構成することによって、より固定子17の冷却効果を向上することができる。尚、各ブラケットにおける固定子17の軸方向端部と嵌合している段差16F,16Rと対向する径方向外周側の風穴3の内周面にフィンや凹凸を設ければ、放熱面積が増大し、更なる冷却効果を得ることができる。
また、第1実施例では、回転子爪磁極12bを根元部12b−1,中間部12b−2,先端部12b−3を形成するようにしたが、根元部12b−1から先端部12b−3にかけて連続的に傾斜するようにしても構わない。更に根元部12b−1から先端部12b−3にかけて周方向に同一幅とするようにしても構わない。加えて、回転子爪磁極12bの外周側表面に渦電流を防止するための複数の周方向溝を設けても構わない。
また、第1実施例では、固定子17を3相のものとして説明したが3相以上のものであっても構わない。このように相数を変えた場合には、各相間の位相が電気角で120度ではなく、相数に合わせて変更する必要がある。
また、第1実施例では、固定子巻線17bにおける1つの線の断面形状を特定しなかったが、断面は円形であっても矩形状であっても構わない。尚、固定子鉄心17a内での固定子巻線17bの占積率を向上させるためには、固定子巻線17bの断面を矩形状とする方がよく、断面は、長方形でも正方形でも構わない。このように、固定子巻線17bの断面を矩形状とするならば、固定子鉄心17a内の固定子巻線17bの配置形状を同様に矩形状に合わせた形状とする方がよい。
また、第1実施例では、各相の固定子鉄心17a及び連結板18を周方向に位置決めするために固定子鉄心17aに凹部171を設け、連結板18に凸部181を設けたが、凹部171と凸部181がなくとも治具を用いたり、目印をつけることで位置決めは可能である。このように固定子鉄心17aに凹部171を設けないようにすれば、磁路面積が減少及び隙間による磁気抵抗となる箇所がなくなる。
また、第1実施例では、各相の固定子17を固定子するために固定子爪磁極17a−2の間の隙間だけに樹脂を充填したが、固定子17全体を樹脂等の非磁性体でモールドすることもできる。このように固定子17全体をモールドすれば、各相を一体化することに加え、強度の弱い圧粉鉄心の耐振性及び強度が向上する。このとき、固定子爪磁極17a−2の内周側、つまり、ロータ12と対向する部位は、ロータ12との間の隙間が大きくならないようにモールドしない方が望ましい。
また、第1実施例では、固定子爪磁極17a−2の周方向両側にスキューを設けて、略台形状となるように構成したが、ロータ12の回転方向は、一方向であるため、磁気音低減のためには、ロータ12の回転方向と逆方向側だけにスキューを設けても構わない。このように固定子爪磁極17a−2の片側だけにスキューを設けることで磁気騒音を低減しつつ、ロータ12と対向する固定子爪磁極17a−2の面積を拡大することができる。このため、固定子17とロータ12間に磁束が形成されやすくなり、誘起電圧を大きくすることができる。
また、第2実施例〜第4実施例では、回転子爪磁極12b間に配置される永久磁石19にフェライト磁石を採用したが、ネオジウム(Nd)の粉体を、前駆体が親和性の良い性質を備えているバインダーで結着したものを用いても良い。ここで親和性の優れた前駆体とは、例えばSiO2 の前駆体であるアルコキシシロキサンまたはアルコキシシランである。ネオジウム(Nd)の粉体は板状の形状を為しており、高さ方向であるZ軸方向の値に対し、X軸やY軸方向の大きさが数倍以上であり、厚みが薄い形状をしている。ネオジウム(Nd)粉体のX軸やY軸方向の大きさは大きい方が良く、例えば、粉体のX軸またはY軸方向の大きさが45μメータ以上の大きさの粉体を使用すると残留特性が良くなる。成形中にネオジウム(Nd)の粉体が割れるなどで細かくなり、小さい形状の粉体が混ざることはしかたないが、粉体の半分以上が45μメータ以上の大きさ粉体であることが望ましく、さらには7割以上が45μメータ以上の大きさの粉体であるとより好ましい磁石特性が得られる。9割以上が45μメータ以上の大きさの粉体であるとさらにより好ましい結果が得られる。なおネオジウム(Nd)にさらにディスプロシウム(Dy)を若干含んでいると耐熱性が改善される。このディスプロシウム(Dy)を含むことにより、回転電機の温度が上昇しても良好な磁気特性が維持される。ディスプロシウム(Dy)の含有割合は数%程度で、多くても10%以下である。以上述べたネオジム粉体にSiO2を結着した磁石を用いることで安く、更に磁気特性及び耐熱性の向上効果が得られる。尚、このネオジウム(Nd)の粉体を結着した磁石を用いれば、形状を自由に形成することができるので第3実施例及び第4実施例における永久磁石の角部をなだらかに形成することも可能である。このようにすれば、漏れ磁束に合った形状に永久磁石を形づくることができる。
また、第5実施例では、3相の固定子17を有するものについて説明したが、3相以上の固定子17が設けられた場合には、軸方向中央部に配置される固定子17から軸方向両端にいくに従って軸方向長が狭くなるようにする方がよい。このようにすれば、各相の固定子17を漏れ磁束にあった軸方向長とすることができる。
また、第6実施例でも同様に、3相の固定子17を有するものについて説明したが、3相以上の固定子17が設けられた場合には、軸方向中央部に配置される固定子17から軸方向両端にいくに従って固定子巻線17bの巻数を小さくする方がよい。このようにすれば、各相の固定子17を漏れ磁束にあった固定子巻線17bの巻数とすることができる。
また、第7実施例では、回転子爪磁極12bと各相の固定子17との径方向の隙間を、V相固定子17Vと対向する位置の隙間aが狭く、U相固定子17U及びW相固定子17Wと対向する位置の隙間bを広くするためにロータ12の回転子爪磁極12bの外表面を変更したが、U相固定子17U及びW相固定子17Wの内外周の径をV相固定子17Vより大きくすることで隙間を調整することが可能である。
また、第8実施例では、U相,V相,W相の固定子17を一対設けたが、可能であれば、3つ以上ずつ設けても構わない。尚、U相,V相,W相の誘起電圧がバランスすればよいため、配置順序を適宜変更することも可能である。
また、第9実施例では、各相の固定子17間に樹脂を充填したが、第1実施例と同様に厚めの連結板18を配置しても構わない。このとき、連結板18には、厚みがあるため、位置決め用の凸部181の代わりに凹部を設けることも可能となる。
また、第10実施例では、断面矩形状の絶縁溝20を設けたが絶縁溝20の断面は、矩形状である必要はなく、例えば、V字形状,台形状,半円形状であっても構わない。
また、第11実施例では、固定子爪磁極17a−2、もしくは、回転子爪磁極12bの一方の相間ピッチが0度となるようにし、他方の相間ピッチを120度としたが、各相は、独立しているので、固定子爪磁極17a−2と回転子爪磁極12bの相対位置が合っていれば、どの位置にあっても構わない。
また、第16実施例及び第17実施例では、遠心力によって内周側から外周側に空気が流動するファンを用いたが、フロントファン13Fの代わりに軸流ファンを設け、軸方向に空気を流動させるようにしても構わない。更に、固定子爪磁極17a−2の先端における角部に面取りを施すか、もしくは、アールを付けることにより各相の固定子爪磁極17a−2間の隙間を流れる空気の抵抗を減らすことができ、より冷却効果が向上する。加えて、固定子17の空気流通部に放熱面積を拡大するフィンを設けてもよい。
また、第18実施例では、補強リング21を加締によって固定したが、固定子17の外周をモールドすることにより、補強リングとしても構わない。このとき、モールドする材料としては、軸方向の力に耐えられる高硬度材料を用いた方がよい。更に、補強リングに冷却フィンを設ければ、更なる冷却効果を得ることができる。
また、第19実施例及び第20実施例では、ロータ12、もしくは、固定子17を変更することで磁束をバランスさせたが、軸方向両側に配置される固定子(U相固定子17U,W相固定子17W)の固定子巻線17bに通電する電流より、それらの固定子の間に配置される相(V相固定子17V)の固定子巻線17bに通電する電流を大きくするようにインバータを制御することでも各相の固定子17における磁束をバランスさせることができる。
次に、上記の各実施例から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
(1)夫々の該固定子爪磁極間には空気が流通する隙間が設けられ、該隙間は、前記固定子鉄心の軸方向一端側から他端側に連続していることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、軸方向両端にコイルエンドが存在しなくとも固定子を十分に冷却することができる。
(2)前記回転子と前記固定子との間の隙間に軸方向に空気を流通させる通風手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、通風手段により隙間に空気を流通させているので、より効果的に固定子を冷却することが可能となる。
(3)前記固定子爪磁極は、軸方向線に対して、0度〜20度のスキューが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、電圧振幅を少なくすることができるので、十分な誘起電圧を出力することができる。また、スキューを5度〜20度とすることで更に大きな誘起電圧を出力することができ、更にスキュー角度を15度〜20度とするとより大きな誘起電圧を出力することができる。
(4)前記回転子爪磁極の根元部は中間部に対して幅広に形成され、中間部は先端部よりも幅広に形成されており、前記中間部は、ほぼ一定幅に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように中間部をほぼ一定幅とした場合、根元部にて磁気飽和が生じやすくなるが、根元部は幅広となっているので磁気飽和を緩和し、磁束量を増加することができる。また、根元部だけを幅広とした場合、隣り合う回転子爪磁極との間が狭くなるので磁束が漏れやすくなるが、根元部に対応して先端部は中間部よりも幅狭となっているので隣り合う回転子爪磁極の隙間を十分確保することができる。
(5)外周に複数の異なった磁束が交互に形成される回転子と、該回転子の外周と対向する部位に設けられた固定子鉄心と、該固定子鉄心内に巻回される固定子巻線とから構成される固定子とを有し、前記回転子が前記固定子鉄心に対して相対回転することにより前記固定子巻線に電圧が誘起される車両用交流発電機であって、前記回転子の磁極は16極とし、前記固定子巻線は、前記回転子の外周側に環状に巻回されると共に、前記固定子鉄心は、前記回転子と対向する部位に軸方向両側から夫々が交互に延びる16極の固定子爪磁極を有し、更に前記固定子鉄心は、表面が絶縁処理された鉄粉を圧縮して成形される圧粉鉄心にて構成されていることを特徴とする車両用交流発電機。尚、磁極は多ければ多いほど誘起電圧を上昇させることができるが、回転子の磁極数を多くし過ぎると磁極間が近づいてしまい漏洩磁束が大きくなってしまい、インダクタンスの増加や鉄損の増加となり、出力電流及び効率が下がってしまう。そこで出願人は、車両用交流発電機として出力電流と効率を大きくできる回転子の極数は16極であることを見出した。また、固定子の磁極数は、回転子の磁極数とバランスさせて16極とすることで出力される誘起電圧を向上させることができることがわかった。
(6)外周に複数の異なった磁束が交互に形成される回転子と、該回転子の外周と対向する部位に設けられた固定子鉄心と、該固定子鉄心内に巻回される固定子巻線とから構成される固定子とを有し、前記回転子が前記固定子鉄心に対して相対回転することにより前記固定子巻線に電圧が誘起される車両用交流発電機であって、前記固定子巻線は、前記回転子の外周側に環状に巻回されると共に、前記固定子鉄心は、前記回転子と対向する部位に軸方向両側から夫々が交互に延びる固定子爪磁極を有し、前記固定子爪磁極の軸方向略中心位置の幅/前記固定子爪磁極間の隙間の幅を0.05〜0.3とし、更に前記固定子鉄心は、表面が絶縁処理された鉄粉を圧縮して成形される圧粉鉄心にて構成されていることを特徴とする車両用交流発電機。このように構成することにより、大きな誘起電圧が出力できることがわかった。特に誘起電圧は、固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)が0.15付近でピークとなり、0.15付近から固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)を大きくしても、小さくしても誘起電圧は下がってしまう。このため、固定子爪磁極間ギャップ比率(Gs/Bs)を0.1〜0.2とすることで、より大きな電圧を誘起させることができる。
(7)前記回転子は、回転軸周りに巻回された界磁巻線と、該界磁巻線を包囲するように設けられ、前記固定子鉄心の爪磁極と対向する部位に回転子爪磁極を有する回転子鉄心と、からなるランデル型回転子として構成され、前記回転子爪磁極の軸方向略中心位置の幅/前記回転子爪磁極間の隙間の幅を0.3〜0.6としたことを特徴とする(6)に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、大きな誘起電圧が出力できることがわかった。特に誘起電圧は、回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)が0.4 付近でピークとなり、0.4 付近から回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)を大きくしても、小さくしても誘起電圧は下がってしまう。このため、回転子爪磁極間ギャップ比率(Gr/Br)を0.35〜0.45とすることで、より大きな電圧を誘起させることができる。
(8)前記固定子は、ブラケットによって軸方向に挟持され、その少なくとも軸方向一端側は、前記固定子巻線の外周位置よりも内周側にて前記ブラケットと当接すると共に、前記ブラケットにおける前記固定子と当接する部位と対向部位には、空気が流通可能な風穴が設けられ、更に該風穴に空気を流通するための通風手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、固定子巻線が固定子鉄心の軸方向両側に突出していないので固定子巻線の外周位置よりも内周側までブラケットを延ばすことができる。このため、コイルエンドが無くとも、固定子を十分冷却することができる。
(9)前記風穴には、冷却フィンが設けられていることを特徴とする(8)に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、固定子の冷却効果をより向上させることができる。
(10)前記ブラケットは、椀状のフロントブラケットとリアブラケットに分割されており、前記フロントブラケットと前記リアブラケットは、互いに接触した状態で前記固定子を挟持していることを特徴とする(8)に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、フロントブラケットとリアブラケット間の熱交換が可能となり、固定子の全範囲を冷却することが可能となる。
(11)前記固定子は、複数相の前記固定子鉄心と前記固定子巻線とを備え、夫々の相の前記固定子巻線は、前記固定子爪磁極間の隙間を通して、前記固定子における軸方向一端側に延出されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、固定子鉄心に穴を開けたりすることを要せずに固定子巻線を固定子の外側に延出されることができる。このため、安価で磁気回路に影響が出ないようにすることができる。
(12)前記固定子は、複数相の前記固定子鉄心と前記固定子巻線とを備え、夫々の相における前記固定子爪磁極間の隙間には、連続して非磁性体が充填されて連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、各相の固定子を一体化することができるので、組み付けを容易にすることができる。
(13)前記固定子は、複数相の前記固定子鉄心と前記固定子巻線とを備え、夫々の相の前記固定子鉄心間には、非磁性体の連結板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、各相間の磁束の漏れを確実に低減することができる。
(14)夫々の相の前記固定子鉄心と前記連結板には、夫々を周方向に位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とする(13)に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、各相の固定子鉄心を周方向に確実に位置決めすることができる。
(15)前記固定子鉄心は、軸方向に2つに分割された固定子鉄心構成部材によって構成されており、夫々の該固定子鉄心構成部材は、同一形状であることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、何種類もの固定子鉄心構成部材を製造する必要がないため、安価なものとすることができる。
(16)前記固定子は、複数相の前記固定子鉄心と前記固定子巻線とを備え、夫々の前記固定子鉄心は、外周側を非磁性体にて一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、固定子爪磁極間に空気が流動可能な隙間を形成しつつ、夫々の固定子鉄心を一体化することができる。
(17)前記固定子鉄心の外周側に設けられる前記非磁性体は、金属製である円環状の補強リングからなることを特徴とする(16)に記載の車両用交流発電機。このように構成することにより、固定子鉄心を圧粉鉄心で成形したとしても強度を向上させることができる。
(18)外周に複数の異なった磁束が交互に形成される回転子と、該回転子の外周と対向する部位に設けられた固定子鉄心と、該固定子鉄心内に巻回される固定子巻線とから構成される固定子とを有し、前記回転子が前記固定子鉄心に対して相対回転する回転電機であって、前記固定子は、軸方向に並ぶ3相以上の前記固定子鉄心と前記固定子巻線を備え、前記固定子巻線は、前記回転子の外周側に環状に巻回され、前記固定子鉄心は、前記回転子と対向する部位に軸方向両側から夫々が交互に延びる固定子爪磁極を有し、かつ、前記固定子巻線の周囲を包囲するように設けられており、軸方向両端に配置される相における前記固定子に供給する電流よりも、それ以外の相における前記固定子に供給する電流を大きくしたことを特徴とする回転電機。このように構成することにより、従来の回転電機の構造を大きく変更することなく、各相の固定子が発生する磁束をバランスさせることができる。