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JP2008039010A - 変速機 - Google Patents

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JP2008039010A
JP2008039010A JP2006212521A JP2006212521A JP2008039010A JP 2008039010 A JP2008039010 A JP 2008039010A JP 2006212521 A JP2006212521 A JP 2006212521A JP 2006212521 A JP2006212521 A JP 2006212521A JP 2008039010 A JP2008039010 A JP 2008039010A
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Makoto Funahashi
眞 舟橋
Arata Murakami
新 村上
Takahiro Shiina
貴弘 椎名
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】動力の伝達効率や静粛性、車載性などに優れた変速機を提供する。
【解決手段】動力源1から選択的に動力が伝達される複数の回転軸25,28と出力部材2とが相互に平行に配置されるとともに、それらの回転軸の一端側に、その回転軸に連結された出力要素と反力要素と入力要素とを有する差動機構19,20が配置され、それらの差動機構における反力要素に連結されかつ相互に流体を授受するように連通された流体圧ポンプモータ21,22が前記各回転軸の端部側に配置され、各差動機構と流体圧ポンプモータとの間に、動力源から各入力要素に動力を伝達する入力用伝動機構3が配置され、さらに前記各回転軸と前記出力部材との間に配置された複数の伝動機構26,27,29,30と、その伝動機構を介した各回転軸と出力部材との間の動力の伝達を選択的に可能にする切換機構31,32とを有している。
【選択図】 図1

Description

この発明は、複数の回転軸と出力部材との間に、それぞれ伝動機構を設け、回転軸から出力部材に動力を伝達する伝動機構を切換機構により選択することによって変速を行うように構成した変速機に関するものである。
この種の変速機はツインクラッチ式有段変速機として知られており、その一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された変速機は、第1クラッチを介してエンジンに連結される第1入力軸と、第2クラッチを介してエンジンに連結される第2入力軸と、出力軸と、第1入力軸にギヤ対を介して連結されている副軸と、第1入力軸と副軸との間に設けられるとともに噛み合いクラッチ機構によって選択的に連結状態とする複数のギヤ対と、第2入力軸と出力軸との間に設けられるとともに噛み合いクラッチ機構によって選択的に連結状態とされる複数のギヤ対とを有している。そして、この変速機は、いずれかの入力軸から所定のギヤ対を介して出力軸にトルクを伝達する変速段と、いずれかの入力軸から所定のギヤ対および副軸を介して出力軸にトルクを伝達する変速段とを設定するように構成され、その結果、後進段を含めて7段以上の変速段を設定するように構成されている。
特開2003−120764号公報
上記の特許文献1に記載されている変速機では、設定可能な変速段数が多いことにより、エンジンを燃費のよい状態で運転でき、また副軸を効果的に利用するように構成されているので、変速機が全体として小型軽量化され、その結果、車両の燃費を向上させることができる。しかしながら、所定の変速比を設定する場合、入力用のいずれかのクラッチを係合状態に維持することになるから、その係合状態を維持するために油圧などの動力を消費し、それに伴う動力損失が生じて車両の燃費が悪化する可能性がある。また、車両用の変速機における入力クラッチや歯車機構として各種の構成のものが従来知られているが、従来のいずれの構成であっても、燃費や車載性あるいは静粛性の向上などの点で未だ改善するべき余地が多分にあった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、動力の伝達効率や静粛性さらには車載性などに優れた変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、動力源から選択的に動力が伝達される複数の回転軸と、それらの回転軸から伝達された動力を出力する出力部材と、前記各回転軸と前記出力部材との間に配置された複数の伝動機構と、その伝動機構を介した各回転軸と出力部材との間の動力の伝達を選択的に可能にする切換機構とを有する変速機において、前記各回転軸と前記出力部材とが相互に平行に配置されるとともに、それらの回転軸の一端側に、その回転軸に連結された出力要素と前記回転軸と同一軸線上に配置された反力要素とこれら出力要素および反力要素に対して分配される動力を入力する入力要素とを有する差動機構が配置され、それらの差動機構における反力要素に連結されたポンプおよびモータとして機能しかつ相互に流体を授受するように連通された流体圧ポンプモータが前記動力源側に配置され、前記各差動機構と流体圧ポンプモータとの間に、前記動力源から前記各入力要素に動力を伝達する入力用伝動機構が配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記入力用伝動機構は、前記動力源から動力が伝達されかつ同一軸線上に配置された第1および第2の入力用駆動輪と、第1の入力用駆動輪から動力が伝達されかつ一方の前記差動機構における入力要素に動力を伝達する第1の入力用従動輪と、第2の入力用駆動輪から動力が伝達されかつ他方の前記差動機構における入力要素に動力を伝達する第2の入力用従動輪と、前記第1の入力用従動輪と前記一方の入力要素との間および前記第2の入力用従動輪と前記他方の入力要素との間の少なくともいずれかに配置された、動力の伝達と遮断を選択的に行う入力用切換機構とを備えるとともに、前記第1の入力用駆動輪と第1の入力用従動輪との回転数比が、前記第2の入力用駆動輪と第2の入力用従動輪との回転数比とは異なっており、前記複数の伝動機構は、いずれかの前記回転軸と前記出力部材との回転数比が他の回転軸と前記出力部材との回転数比に等しくなる回転数比の伝動機構を含むことを特徴とする変速機である。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記動力源は、回転中心軸線が前記回転軸と平行となるよう配置された内燃機関を含み、前記各流体圧ポンプモータは前記回転中心軸線の軸線方向で前記内燃機関に近い位置に配置され、かつ前記各回転軸は前記回転中心軸線の軸線方向で前記内燃機関とは遠い位置に配置されていることを特徴とする変速機である。
そして、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記入力用切換機構は、前記流体圧ポンプモータが連結されている部材を固定箇所に選択的に連結して流体圧ポンプモータを固定する固定用機構を含むことを特徴とする変速機である。
請求項1の発明によれば、いずれかの流体圧ポンプモータの押出容積をゼロより大きくし、あるいは最大にするとともに圧力流体の流動を止めることにより、一方の差動機構の反力要素による反力が大きくなり、その結果、動力源から入力された動力が出力要素およびこれに連結された回転軸に伝達される。その回転軸と出力部材との間に設けられた伝動機構を、切換機構によってトルク伝達可能な状態とすることにより、その伝動機構を介して出力部材に動力が伝達され、その伝動機構の回転数比に応じた変速比が設定される。その場合、圧力流体の流動を止めるなど流体圧ポンプモータを固定すれば、動力源から出力部材に動力を伝達できるので、動力の伝達状態を維持するために特にエネルギを消費することがなく、動力の伝達効率を向上させることができる。
また、流体圧ポンプモータと入力用伝動機構と差動機構と変速比を切り換えるための伝動機構とを、ここに挙げた順で軸線方向に配列できるので、前記伝動機構の支持軸構造を簡素化することができ、また各流体圧ポンプモータを軸線方向の一端側にまとめて配置できるので、車載性の良好な変速機とすることができる。さらに、その流体圧ポンプモータを動力源側にまとめて配置できるので、圧力変動や回転数の変動の大きい流体圧ポンプモータを、動力源に連結するためのハウジングによって覆うことが可能になり、静粛性を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、一方の回転軸と出力部材との回転数比と他方の回転軸と出力部材との回転数比とが等しくなるように伝動機構が構成されていても、入力用の駆動輪と従動輪との第1の対と第2の対との回転数比が異なっているので、動力源からの動力の伝達に関与する入力用駆動輪および従動輪の対を切り換えれば、動力源から出力部材に到る全体の変速比が変化する。その結果、伝動機構には、一方の回転軸側の部材と他方の回転軸側の部材として同一構成のものを使用できる。すなわち、部品の共用化が可能になる。
さらに、請求項3の発明によれば、各流体圧ポンプモータが内燃機関に近い位置に配置されるので、動力源に連結するためのハウジングによって覆うことが可能になり、静粛性を向上させることができる。
そして、請求項4の発明によれば、流体圧ポンプモータが差動機構に対して反力手段として機能する場合、圧力流体を閉じ込めるなどのことに替えて、機械的に固定できるので、流体圧が高くなったり、それに伴って漏れを生じさせるなどのことが回避でき、その結果、動力損失やシール部材の耐久性の低下を防止もしくは抑制することができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1に示す例は、車両用の変速機として構成した例であり、流体を介さずにトルクを伝達して設定できるいわゆる固定変速比として四つの前進段および一つの後進段を設定するように構成した例である。より具体的には、動力源1から出力部材2に動力を伝達する二系統の動力伝達経路を備えており、それぞれの動力伝達経路は、動力源1からの動力を伝達する入力用伝動機構3と、その入力用伝動機構3によって伝達された動力を流体圧ポンプモータ4と所定の変速比を設定するための伝動機構5とに分配する差動機構6とを備えている。
その流体圧ポンプモータ4は、押出容積を変化させることのできる可変容量型のものであって、押出容積を変化させることにより、それぞれに対応する差動機構6に対する反力を変化させるように構成されている。また、各動力伝達系統における流体圧ポンプモータ4同士が、圧力流体を相互に授受できるように連通され、一方がポンプとして機能した場合に、他方が圧力流体を受けてモータとして機能し、さらに一方の押出容積をゼロとすることにより流体の流動が阻止されて他方の流体圧ポンプモータ4に流体が閉じ込められ、その回転が阻止(ロック)されるようになっている。
上記の各々の構成について、以下に説明する。動力源1は、内燃機関や電気モータあるいはこれらを組み合わせた構成など、車両に使用されている一般的な動力源であってよく、その出力側にダンパーやクラッチ、トルクコンバータなどの適宜の伝動手段を介在させることができる。
動力源(以下、仮にエンジンと記す)1には、変速機に対する入力軸7が連結されており、この入力軸7を介して入力用伝動機構3に動力を伝達するようになっている。すなわち、入力軸7には、径の異なる二つの駆動輪8,9が取り付けられている。これらの駆動輪8,9は歯車、チェーンスプロケット、摩擦車、ベルト用駆動輪などであって、図1に示す例では、歯車によって構成されている。また、これらの駆動輪8,9から動力を伝達される従動輪10,11が設けられている。これらの従動輪10,11も駆動輪8,9と同様に、歯車、チェーンスプロケット、摩擦車、ベルト用駆動輪などを採用でき、図1に示す例では、歯車によって構成されている。
相対的に大径の第1の駆動歯車8に噛み合っている第1の従動歯車10は、前記入力軸7と平行に配置された第1のモータ軸12に回転自在に嵌合している。また、第2のモータ軸13が入力軸7および第1のモータ軸12と平行に配置されており、相対的に小径の第2の駆動歯車9に噛み合っている第2の従動歯車11は、その第2のモータ軸13に回転自在に嵌合している。したがって、第1の従動歯車10に対して第2の従動歯車11が大径であって、第1の入力用歯車対の回転数比(従動側の回転数を“1”とした場合の駆動側の回転数)が第2の入力用歯車対の回転数比より小さくなっている。
各モータ軸12,13上に、動力の伝達・遮断を選択的に行う切換機構14,15が設けられている。第1のモータ軸12側の切換機構14について説明すると、これは、第1の従動歯車10を差動機構6における所定の入力要素に対して選択的に連結し、またその入力要素を所定の固定部に選択的に連結するためのものであって、同期連結機構(シンクロナイザー)や摩擦クラッチあるいは噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)などによって構成されている。図1に示す例では、同期連結機構によって構成されており、したがって以下の説明では切換機構14を第1シンクロ14と記す。
シンクロナイザーは、基本的には、回転軸と共に回転するスリーブと、その回転軸に対して相対回転する他の回転部材に設けられたスプラインと、前記スリーブに押されて他の回転部材側に移動するシンクロナイザーリングとを有している。そして、スリーブを他の回転部材のスプライン側に移動させる過程でシンクロナイザーリングが回転部材に次第に摩擦接触することにより回転軸と回転部材とを同期させ、その状態でスリーブがスプラインに係合することにより、回転軸と回転部材とを連結するように構成されている。したがって、第1シンクロ14は、前記入力要素と一体に回転するスリーブを備えている。
そのスリーブの軸線方向での一方(図1では右側)に第1の従動歯車10におけるスプラインが配置され、これとは反対側(図1での左側)にケーシングなどの固定部16に一体化されている固定スプライン17が配置されている。すなわち、第1シンクロ14は、そのスリーブを図1の右側に移動させることにより、第1の従動歯車10と前記入力要素とを連結し、また反対に図1の左側に移動させることにより、前記入力要素を固定スプライン17に連結して前記入力要素の回転を止めてこれを固定するようになっている。なお、この固定スプライン17が第1シンクロ14と共にこの発明の固定用機構を構成している。
第2のモータ軸13側の切換機構15について説明すると、これは、後進段を設定するために第2のモータ軸13を差動機構6における他の入力要素に対して選択的に連結し、また第2のモータ軸13を所定の固定部に選択的に連結するためのものであって、同期連結機構(シンクロナイザー)や摩擦クラッチあるいは噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)などによって構成されている。図1に示す例では、同期連結機構によって構成されており、したがって以下の説明では切換機構15をRシンクロ15と記す。したがって、Rシンクロ15は、前記第2のモータ軸13と一体に回転するスリーブを備えている。
そのスリーブの軸線方向での一方(図1では左側)に前記他の入力要素におけるスプラインが配置され、これとは反対側(図1での右側)にケーシングなどの固定部16に一体化されている他の固定スプライン18が配置されている。すなわち、Rシンクロ15は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、第2のモータ軸13を前記他の入力要素に連結し、また反対に図1の右側に移動させることにより、第2のモータ軸13を固定スプライン18に連結して第2のモータ軸13およびこれに連結されている所定の部材の回転を止めてこれを固定するようになっている。なお、この固定スプライン18がRシンクロ15と共にこの発明の固定用機構を構成している。
前記第2のモータ軸13に回転自在に嵌合している第2の従動歯車11は、前記他の入力要素に一体化されている。したがって、Rシンクロ15は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、第2のモータ軸13と前記他の入力要素とを連結すると同時に、第2の駆動歯車9および従動歯車11を介して入力軸7と第2のモータ軸13とを連結するように構成されている。
つぎに差動機構6について説明する。図1に示す例では、各モータ軸12,13毎に差動機構が設けられ、これらの差動機構はそれぞれのモータ軸12,13と同一軸線上で上記の入力用伝動機構3を挟んで流体圧ポンプモータ4とは反対側に配置されている。各差動機構は、要は、入力要素と出力要素と反力要素との三つの回転要素によって差動作用をなすように構成された機構であって、それらの回転要素は歯車や摩擦によってトルクを伝達する摩擦車などによって構成されている。より具体的には、これらの差動機構は、外歯歯車であるサンギヤと、そのサンギヤに対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとに間に配置されたピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持したキャリヤとを回転要素とする遊星歯車機構によって構成されている。この遊星歯車機構としては、シングルピニオン型あるいはダブルピニオン型の遊星歯車機構を使用することができ、図1に示す例では、シングルピニオン型遊星歯車機構19,20が使用されている。
第1のモータ軸12と同一軸線上に配置された第1の遊星歯車機構19は、サンギヤ19Sが反力要素となっていてこのサンギヤ19Sが前記第1のモータ軸12に連結されている。また、リングギヤ19Rが入力要素となっていて、これに前述した第1シンクロ14のスリーブが連結されている。さらに、キャリヤ19Cが出力要素となっている。また、第2のモータ軸13と同一軸線上に配置された第2の遊星歯車機構20は上記の第1の遊星歯車機構19とほぼ同様の構成であって、サンギヤ20Sが反力要素となっていて前記第2のモータ軸13に連結されている。また、リングギヤ20Rが入力要素となっていて、これに前述した第2の従動歯車11が取り付けられている。さらに、キャリヤ20Cが出力要素となっている。
前述したように流体圧ポンプモータ4は各動力伝達系統毎に設けられており、前記第1のモータ軸12の一端部、具体的には前記入力用伝動機構3を挟んで前記第1の遊星歯車機構19とは反対側の端部に可変容量型の第1の油圧ポンプモータ(PM1)21が連結されている。また、同様に、第2のモータ軸13の一方の端部、具体的には前記入力用伝動機構3を挟んで前記第2の遊星歯車機構20とは反対側の端部に可変容量型の第2の油圧ポンプモータ(PM2)22が連結されている。
これらの可変容量型の油圧ポンプモータ21,22は、斜軸ポンプや斜板ポンプあるいはラジアルピストンポンプなどの吐出容量(押出容積)を変更可能な油圧ポンプモータであって、ケーシングを固定した状態でロータがいずれかのモータ軸12,13に連結されており、所定の押出容積に設定した状態でロータを外力によって回転させることにより、吸入ポート21S,22Sから圧油を吸入し、かつ吐出ポート21D,22Dから油圧を吐出するように構成されている。すなわち、ポンプとして動作する。
これに対して、所定の押出容積に設定した状態で吸入ポート21S,22Sもしくは吐出ポート21D,22Dから油圧を供給すると、ロータが強制的に回転させられてモータとして動作するようになっている。なお、押出容積を最小もしくはゼロに設定した場合、ロータに外部からトルクが作用してもロータが空転するのみで圧油を吐出しない。また、押出容積を最小もしくはゼロに設定した状態では、吸入ポート21S,22Sおよび吐出ポート21D,22Dのいずれからも圧油を供給することができず、したがってモータとして回転することはない。
各油圧ポンプモータ21,22は、圧力流体である圧油を相互に受け渡すことができるように、油路23,24によって連通されている。すなわち、それぞれの吸入ポート21S,22S同士が油路23によって連通され、また吐出ポート21D,22D同士が油路24によって連通されている。したがって各油路23,24によって閉回路が形成されている。なお、不可避的な漏れが生じるから、油路23,24にチャージポンプ(図示せず)を接続してもよい。なおここで、吸入ポート21S,22Sは、それぞれのロータが前記リングギヤ19R,20Rと同方向(入力軸7とは反対方向)に回転した場合に圧油を吸入するポートであり、その場合に圧油を吐出するポートが吐出ポート21D,22Dである。したがって、ロータの回転方向が反対になれば、圧油の吸入・吐出の方向は反対になる。
さらに、変速比を設定するための伝動機構5について説明する。図1に示す伝動機構5は、流体を介すことなく動力を伝達して設定できるいわゆる固定変速比として前進4段・後進1段を設定できるように構成されている。すなわち、前記第1の遊星歯車機構19における出力要素であるキャリヤ19Cに、第1の回転軸25が連結され、この第1の回転軸25は前記第1のモータ軸12と同一軸線上に配置されている。この第1の回転軸25に対して出力部材2が平行に配置されており、これら第1の回転軸25と出力部材2との間には、第1の遊星歯車機構19側から順に、第4速用伝動機構と第2速用伝動機構とが設けられている。
これら第4速用および第2速用の各伝動機構は、ギヤ対や、チェーンもしくはベルトなどの巻き掛け伝動機構から構成されており、図1にはギヤ対の例を示してある。すなわち、第1の回転軸25には、第4速駆動ギヤ26Aと第2速駆動ギヤ27Aとが回転自在に嵌合して取り付けられている。そして、第4速駆動ギヤ26Aに噛み合っている第4速従動ギヤ26Bと、第2速駆動ギヤ27Aに噛み合っている第2速従動ギヤ27Bとが、出力部材2に一体化されて設けられている。したがって、第4速駆動ギヤ26Aと第4速従動ギヤ26Bとが第4速用ギヤ対26を構成し、第2速駆動ギヤ27Aと第2速従動ギヤ27Bとが第2速用ギヤ対27を構成している。
また、同様に、第2の遊星歯車機構20における出力要素であるキャリヤ20Cに、第2の回転軸28が連結され、この第2の回転軸28は前記第2のモータ軸13と同一軸線上に配置されている。また、この第2の回転軸28は、出力部材2および第1の回転軸25と平行に配置されており、その第2の回転軸28と出力部材2との間には、第2の遊星歯車機構20側から順に、第3速用伝動機構と第1速用伝動機構とが設けられている。
これら第3速用および第1速用の各伝動機構は、ギヤ対や、チェーンもしくはベルトなどの巻き掛け伝動機構から構成されており、図1にはギヤ対の例を示してある。すなわち、第2の回転軸28には、第3速駆動ギヤ29Aと第1速駆動ギヤ30Aとが回転自在に嵌合して取り付けられている。その第3速駆動ギヤ29Aは、前述した第4速従動ギヤ26Bに噛み合っていて、第3速駆動ギヤ29Aと第4速従動ギヤ26Bとによって、第3速用ギヤ対29が構成されている。すなわち、第4速従動ギヤ26Bが、第4速用ギヤ対26と第3速用ギヤ対29とに共用されている。また、第1速駆動ギヤ30Aは前述した第2速従動ギヤ27Bに噛み合っており、これら第1速駆動ギヤ30Aと第2速従動ギヤ27Bとによって第1速用ギヤ対30が構成されている。すなわち、第2速従動ギヤ27Bが、第2速用ギヤ対27と第1速用ギヤ対30とに共用されている。
なお、第4速駆動ギヤ26Aと第3速駆動ギヤ29Aとは、歯数が異なっていてもよく、あるいは同一構成のギヤであってもよい。また、第2速駆動ギヤ27Aと第1速駆動ギヤ30Aとは、歯数が異なっていてもよく、あるいは同一構成のギヤであってもよい。すなわち、第4速および第2速では、前述した第1の駆動歯車8を介して動力が伝達され、第3速および第1速では、相対的に小径の第2の駆動歯車9を介して動力が伝達されるので、第4速および第3速の駆動ギヤ26A,29Aが同一構成であり、あるいは第2速および第1速の駆動ギヤ27A,30Aが同一構成であっても、各固定変速比の値を相互に異ならせることができる。
各ギヤ対26,27,29,30を動力伝達状態に選択的に設定する切換機構が設けられている。この切換機構は、要は、いずれかの回転軸25,28から出力部材2に到る動力の伝達経路を、動力伝達可能な状態と不可能な状態とに切り換える機構であり、同期連結機構(シンクロナイザー)や摩擦クラッチあるいは噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)などによって構成することができる。図1には、同期連結機構を用いた例を示してあり、第3速駆動ギヤ29Aと第1速駆動ギヤ30Aとの間にこれらを第2の回転軸28に選択的に連結する同期連結機構(以下、仮に第2シンクロと記す)31が配置されている。また同様に、第4速駆動ギヤ26Aと第2速駆動ギヤ27Aとの間にこれらを第1の回転軸25に選択的に連結する同期連結機構(以下、仮に第3シンクロと記す)32が配置されている。
具体的に説明すると、第2シンクロ31を構成しているスリーブは、第2の回転軸28と一体のハブにスプライン嵌合しており、このスリーブを挟んだ軸線方向の両側に、第3速駆動ギヤ29Aに一体のスプラインと第1速駆動ギヤ30Aと一体のスプラインとが配置されている。したがって、第2シンクロ31はそのスリーブを図1の左右に移動させることにより、第2の回転軸28と第3速駆動ギヤ29Aとを連結し、あるいは第2の回転軸28と第1速駆動ギヤ30Aとを連結するように構成されている。また第3シンクロ32を構成しているスリーブは、第1の回転軸25と一体のハブにスプライン嵌合しており、このスリーブを挟んだ軸線方向の両側に、第4速駆動ギヤ26Aに一体のスプラインと第2速駆動ギヤ27Aに一体のスプラインとが配置されている。したがって、第3シンクロ32はそのスリーブを図1の左右に移動させることにより、第1の回転軸25と第4速駆動ギヤ26Aとを連結し、あるいは第1の回転軸25と第2速駆動ギヤ27Aとを連結するように構成されている。
上記の出力部材2は、出力軸として構成することができ、上記の変速機をいわゆるFR車(フロントエンジン・リヤドライブ車)に搭載する場合には、出力軸をその延長軸線上に位置するプロペラシャフト(図示せず)に連結する。その場合、出力軸にパーキングギヤ33を設けることができる。また、FF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)に搭載するように構成する場合には、上記のパーキングギヤ33に替えて出力ギヤもしくは出力スプロケットを設けることができる。
なお、上記の各シンクロ14,15,31,32は、手動操作によってスリーブを移動させて中立位置といずれかのスプラインに係合する係合位置とに切換動作させることができるが、これに替えて油圧もしくは電気で動作させる適宜のアクチュエータを設け、そのアクチュエータを電気的に制御して変速を実行するように構成することもできる。その場合、制御装置としてマイクロコンピュータを主体とする電子制御装置を設け、車速やスロットル開度、適宜の回転部材の回転数などの検出されたデータと、予め記憶しているデータおよびプログラムに基づいて演算を行い、その結果に応じてアクチュエータを動作させるように構成してもよい。
つぎに、上述した変速機の作用について説明する。図2は、各変速段を設定する際の各油圧ポンプモータ(PM1,PM2)21,22、および各シンクロ14,15,31,32の動作状態をまとめて示す図表であって、この図2における各油圧ポンプモータ21,22についての「OFF」は、ポンプ容量(押出容積)を実質的にゼロとし、その出力軸が回転させられても圧油を発生することがなく、また油圧が供給されても出力軸が回転しない状態(フリー)を示し、「LOCK」はそのロータの回転を止めている状態を示している。さらに「油圧発生」は、ポンプ容量を実質的なゼロより大きくするとともに圧油を吐出している状態を示し、したがって該当する油圧ポンプモータ21,22はポンプとして機能している。また、「油圧回収」は、一方の油圧ポンプモータ22(もしくは21)が吐出した圧油が供給されてモータとして機能している状態を示し、したがって該当する油圧ポンプモータ22(もしくは21)は軸トルクを発生し、対応するモータ軸12,13および回転軸25,28に駆動トルクを伝達している。
そして、各シンクロ14,15,31,32についての「右」、「左」は、それぞれのシンクロ14,15,31,32におけるスリーブの図1での位置を示すとともに、丸括弧はダウンシフトするための待機状態、カギ括弧はアップシフトするための待機状態を示し、そして「−」は該当するシンクロ14,15,31,32をOFF状態(中立位置)に設定し、あるいはそれにより引き摺りを低減している状態となっていることを示す。
ニュートラルポジションが選択されてニュートラル(N)状態を設定する際には、各油圧ポンプモータ21,22が「OFF」状態とされ、また各シンクロ14,15,31,32のスリーブが中央位置に設定される。したがって、いずれのギヤ対26,27,29,30も回転軸25,28に連結されていないニュートラル状態となる。すなわち、各油圧ポンプモータ21,22は、押出容積(ポンプ容量)が実質的にゼロとなるように制御される。その結果、いわゆる空回り状態となるので、第2の遊星歯車機構20のリングギヤ20Rにエンジン1からトルクが伝達されても、サンギヤ20Sに反力が作用しない。そのため、出力要素であるキャリヤ20Cに連結されている回転軸28にはトルクが伝達されない。なお、第1の回転軸25側には、第1シンクロ14が中立位置にあるので、トルクが伝達されない。
シフトポジションがドライブポジションなどの走行ポジションに切り替えられると、第1シンクロ14のスリーブが図1の左側に移動させられるとともに第2シンクロ31のスリーブが図1の左側に移動させられ、さらに第3シンクロ32のスリーブが図1の左側に移動させられる。したがって、第1速駆動ギヤ30Aを介して第2遊星歯車機構20の出力要素であるキャリヤ20Cと出力軸2とが連結される。また、第2速駆動ギヤ27Aを介して第1遊星歯車機構19の出力要素であるキャリヤ19Cが出力軸2に連結される。すなわち、出力軸2に対するギヤ対の連結状態としては、固定変速比である第1速と第2速とを設定する状態となる。また、これと併せて各油圧ポンプモータ22,21の押出容積がゼロより大きい容積に制御される。
したがって、動力源1はギヤ列9,11を介して第2遊星歯車機構20のリングギヤ20Rに連結され、また第1遊星歯車機構19は第1シンクロ14によって動力源1に対して遮断される。この状態では、第2油圧ポンプモータ22は前記第2遊星歯車機構20によって分配された動力源1の動力によって駆動されてポンプとして動作し、油圧を発生させることに伴う反力トルクをモータ軸13およびサンギヤ20Sに与える。そのため、第2遊星歯車機構20の差動作用によってキャリヤ20Cにトルクが伝達され、そのトルクが第1速用ギヤ対30を介して出力軸2に伝達される。言い換えれば、第2遊星歯車機構20は、動力分配機構として動作し、動力源1から入力された動力をキャリヤ20Cとサンギヤ20S、すなわち第1速ギヤ対30と第2油圧ポンプモータ22とに分配する。
一方、第2油圧ポンプモータ22で発生した油圧がその吸入口22Sから吐出されて第1油圧ポンプモータ2の吸入口21Sに供給されるので、第1油圧ポンプモータ21がモータとして動作する。この第1油圧ポンプモータ21は第1遊星歯車機構19のサンギヤ19Sに連結されており、かつその第1遊星歯車機構19のリングギヤ19Rが第1シンクロ14によって固定されているので、第1遊星歯車機構19は減速機として機能する。すなわち、サンギヤ19Sに入力されたトルクが、第1遊星歯車機構19のギヤ比(サンギヤ19Sの歯数とリングギヤ19Rの歯数との比)に応じて増幅されてキャリヤ19Cから出力される。そのキャリヤ19Cは、第2速ギヤ対27を介して出力軸2に連結されているので、キャリヤ19Cから出力軸2に動力が伝達される。
したがって、出力軸2には、第2遊星歯車機構20および第1速ギヤ対30などの機械的手段を介したいわゆる機械伝達によって動力が伝達される。同時に、第2油圧ポンプモータ22から第1油圧ポンプモータ21への油圧を介したいわゆる流体伝達が介在する動力伝達によって動力が伝達される。これらの動力を合成した動力が出力軸2に現れる。
そして、第1遊星歯車機構19は前述したように減速機として機能するので、第2速ギヤ対27側からは第1油圧ポンプモータ21が出力したトルクを増幅したトルクが出力軸2に伝達され、その結果、発進してから固定変速比である第1速の変速比になるまでは、第1速での変速比で得られる駆動力より大きい駆動力を得ることができる。そのため、変速機の全体としての変速比は、無限大の値から第1速ギヤ対30の変速比(ギヤ比)に応じて定まる変速比まで、次第に変化し、いわゆる無段変速状態となる。
このように発進から第1速までの駆動状態では、第2遊星歯車機構20を介したいわゆる機械的な動力の伝達と、油圧を介した動力の伝達との両方が生じ、これらの動力を合成した動力が出力部材2に現れる。また、この過程での変速比は、固定変速比である第1速より大きい値となり、その変速比は連続的に、あるいは無段階に変化する。また、この場合、各油圧ポンプモータ21,22が駆動されるが、これらの油圧ポンプモータ21,22は上述した変速機の全体を覆いかつエンジン1に連結される図示しないケーシングの内部に収容され、しかもエンジン1に近い位置に配置されているので、油圧を発生し、あるいはトルクを発生することに伴う騒音が外部に漏れにくく、またエンジン1が発する騒音もしくは振動に紛れるので、変速機の全体としての騒音を抑制することができる。
こうしてエンジン1の回転数や車速が変化して第1速の変速比になると、第1の油圧ポンプモータ21の押出容積がゼロに設定され、また第2の油圧ポンプモータ22の押出容積が最大に設定される。その結果、油路23,24における圧油の流動が阻止されるので、実質上、第2の油圧ポンプモータ22の回転がロックされる。すなわち第2のモータ軸13およびこれに連結されている第2の油圧ポンプモータ22が固定される。これとほぼ同時に、Rシンクロ15のスリーブが図1の右側に移動させられ、第2のモータ軸13が固定スプライン18に連結される。したがって、第2のモータ軸13を介して第2の油圧ポンプモータ22に作用していたトルクが、固定スプライン18を介して固定部16に作用するようになるので、第2の油圧ポンプモータ22で高い油圧が発生しない。そのため、油圧の漏れによる動力損失やシール部の耐久性の低下などを防止もしくは抑制することができる。
また一方、第1シンクロ14がOFF状態(スリーブを中立位置にした状態)に設定される。その結果、第2の遊星歯車機構20におけるサンギヤ20Sが固定され、また第1の遊星歯車機構19は出力部材2に対する動力の伝達に関与しなくなるので、エンジン1が出力した動力は、第2の遊星歯車機構20および第1速用ギヤ対30を介して出力部材2に伝達される。すなわち、第1速用ギヤ対30のギヤ比(回転数比)で決まる固定変速比が設定される。なお、この場合、第1の油圧ポンプモータ21およびこれに連結されているモータ軸12が空転するので、第1の回転軸25にトルクは現れない。
固定変速比である第1速からアップシフトする場合、第1シンクロ14のスリーブを図1の右側に移動して入力用の第1の従動歯車10を第1の遊星歯車機構19におけるリングギヤ19Rに連結し、また第2シンクロ31および第3シンクロ32はそれぞれのスリーブを従前のまま、図1の左側に移動させておくことにより、第1速用ギヤ対30および第2速用ギヤ対27をトルク伝達可能な状態とする。なお、Rシンクロ15は中立状態にしておく。この状態で、第1油圧ポンプモータ21の押出容積を最大に向けて次第に増大させる。第2速へのアップシフト待機状態では、第1油圧ポンプモータ21は逆回転しているから、その押出容積を次第に増大させることによりポンプとして機能する。すなわち、油圧を発生し(図2に「油圧発生」と記してある)、同時にそれに伴う反力トルクが第1のモータ軸12に現れる。その結果、第1の遊星歯車機構19および第2速用ギヤ対27を介した動力の伝達が次第に行われる。
また、第1油圧ポンプモータ21で発生した油圧が第2油圧ポンプモータ22に供給されてこれがモータとして機能する(図2に「油圧回収」と記してある)ので、第2油圧ポンプモータ22および第2の遊星歯車機構20ならびに第1速用ギヤ対30を介した動力の伝達が生じる。そのため、第1速から第2速への変速の過程での変速比は、第1速の変速比と第2速の変速比との間の値となり、かつ連続的に変化する変速比となる。すなわち、変速比が連続的に変化する無段変速状態となる。これは、上述した発進から第1速の変速比に到るまでの間、および各固定変速比の間でも同様であり、したがって上述した変速機は、無段変速機として機能させることができる。
上述のようにして第1油圧ポンプモータ21の押出容積をほぼ最大にしてその回転が停止し、もしくは停止に近い状態になることにより、モータ軸12が実質的に固定される。また、併せて第2油圧ポンプモータ22がOFF状態に設定される。したがって、第1の遊星歯車機構19では、そのサンギヤ19Sが固定されるので、リングギヤ19Rに入力された動力がキャリヤ19Cから第1の回転軸25を経て第2速駆動ギヤ27Aに出力される。一方、第2油圧ポンプモータ22はOFF状態となっており、これと同一軸線上に配置されているRシンクロ15および第2シンクロ31はOFF状態であってそのスリーブが中立位置にあるので、第2油圧ポンプモータ22や第2の遊星歯車機構20は動力の伝達に関与しない。したがって、第2速用ギヤ対27のギヤ比で決まる固定変速比である第2速が設定される。
以下、同様にして、第3速は第1シンクロ14および第2シンクロ31のスリーブを図1の右側に移動させて、入力用の第1の従動歯車10を前記他の入力要素に連結するとともに、第3速駆動ギヤ29Aを第2の回転軸28に連結し、また第2油圧ポンプモータ22の押出容積を最大にすることにより、第1速の場合と同様に、第2のモータ軸13および第2油圧ポンプモータ22を固定し、さらに第3シンクロ32はOFF状態にする。なお、固定変速比が第3速になっている状態では、Rシンクロ15のスリーブを図1の右側に移動して、第1速の場合と同様に、第2の油圧ポンプモータ22を固定する。
したがって、第3速用ギヤ対29を介して出力部材2に動力が伝達され、固定変速比である第3速が設定される。また、第4速は第3シンクロ32のスリーブを図1の右側に移動させて第4速駆動ギヤ26Aを第1の回転軸25に連結し、また第1の油圧ポンプモータ21の押出容積を最大にすることにより、第2速の場合と同様に、第1のモータ軸12および第1の油圧ポンプモータ21を固定し、さらに他のシンクロ31,15はOFF状態にする。したがって、第4速用ギヤ対26を介して出力部材2に動力が伝達され、固定変速比である第4速が設定される。
さらに、後進段について説明すると、リバースポジションが選択されるなどのことによって後進段が選択された場合には、第1シンクロ14および第3シンクロ32ならびにRシンクロ15のそれぞれのスリーブが図1の左側に移動させられ、また第2シンクロ31はOFF状態(スリーブが中立位置の状態)に設定される。したがって、第1シンクロ14のスリーブが固定スプライン17に係合することにより第1の遊星歯車機構19のリングギヤ19Rが固定され、その結果、第1の遊星歯車機構19が減速機として機能する状態になる。
また、Rシンクロ15によって第2の遊星歯車機構20のサンギヤ20Sとキャリヤ20Cとが連結されることにより、第2の遊星歯車機構20の全体が実質的に一体化される。さらに、第3シンクロ32によって第2速駆動ギヤ27Aが第1の回転軸25に連結され、このギヤ対27を介して出力部材2に動力を伝達できる状態となる。なお、これは、相対的に大きい変速比を設定するためであり、したがって第2速用ギヤ対27に替えて第4速用ギヤ対26をトルク伝達可能な状態としてもよい。すなわち、第3シンクロ32のスリーブを図1の右側に移動させてもよい。
したがって、エンジン1から第2の遊星歯車機構20に伝達された動力がそのまま第2の油圧ポンプモータ22に伝達されてこれが駆動され、油圧が発生する。なお、第2シンクロ31がOFF状態であるから、第2の遊星歯車機構20あるいは第2の回転軸28から出力部材2に動力が伝達されることはない。一方、第1油圧ポンプモータ21の押出容積がゼロより大きい容積、例えば最大容積に制御される。その結果、第1油圧ポンプモータ21が第2の油圧ポンプモータ22から供給された油圧によってモータとして機能し、第1のモータ軸12にトルクを出力する。その場合、第1の油圧ポンプモータ21の吐出ポート21Dから油圧が供給されるので、第1油圧ポンプモータ21が逆回転する。
そして、そのトルクが第1の遊星歯車機構19のサンギヤ19Sに伝達される。この第1の遊星歯車機構19は、前述したように、リングギヤ19Rが固定されて減速機として機能するようになっているので、サンギヤ19Sに伝達されたトルクは、第1の遊星歯車機構19のギヤ比(サンギヤの歯数とリングギヤの歯数との比)に応じて増幅されてキャリヤ19Cから第1の回転軸25に出力される。その場合の回転方向は、前進時とは反対方向であり、したがって後進状態となる。すなわち、後進段では、油圧を介した動力の伝達が生じ、これを図2では、第1油圧ポンプモータ21について「油圧回収」と記し、第2油圧ポンプモータ22について「油圧発生」と記してある。
上述したようにこの発明に係る変速機では、流体圧ポンプモータに対する圧力流体の流動を止めることにより、動力源から出力部材に動力を伝達して所定の変速比を設定するように構成されているから、選択的に行われる動力の伝達のために油圧を発生させたり、電圧を印加するなどのことが不要もしくは抑制され、その結果、消費エネルギが少なくなって動力の伝達効率を向上させることができる。また、流体圧ポンプモータがエンジン1などの動力源側にまとめて配置されているので、これらの流体圧ポンプモータが動作することによる騒音もしくは振動を遮蔽しやすく、またハウジングの共振を抑制しやすく、さらには動力源の振動もしくは騒音に紛らわせやすく、その結果、静粛性を向上させることができる。
さらに、いわゆるFR車ではエンジン側のスペースに相対的な余裕があるので、各流体圧ポンプモータを動力源側に配置することにより、車載性を向上させることができる。またさらに、回転軸25,28とで各固定変速比用のギヤ対26,27,29,30を支持する軸構造がいわゆる単軸構造になり、潤滑のための構造を含めて支持軸構造を簡素化し、ひいては生産性もしくは組立性を向上させることができる。そして、上記の具体例では、入力軸7から動力を伝達する機構として二組の歯車対を使用し、これらを経由して各固定変速比用のギヤ対に動力を選択的に伝達するように構成したので、出力部材上の従動歯車に噛み合っている二つの歯車を同一構成としても各固定変速比の値を異ならせることができ、したがって部品を共用化して生産性や組立性、あるいはコストの低廉化に優れた変速機とすることができる。
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、固定変速比は4速より多くてもよく、あるいは反対に少なくてもよい。また、上記の具体例では、この発明の回転軸に相当する軸を二本設けた構成を示したが、この発明では回転軸を三本以上設け、それに併せて流体圧油圧ポンプモータの数を増やしてもよい。さらに、この発明では、ギヤ対に替えてベルトやチェーンなどの機構を用いてもよい。そして、この発明で差動作用のある歯車機構を用いる場合、シングルピニオン型遊星歯車機構に替えて例えばダブルピニオン型遊星歯車機構を用いることができ、あるいは更に他の構成の差動歯車機構によって構成することもできる。
この発明に係る変速機の一例を模式的に示すスケルトン図である。 各変速比を設定する際の各油圧ポンプモータおよび各シンクロの動作状態をまとめて示す図表である。
符号の説明
1…動力源(エンジン)、 2…出力部材、 3…入力用伝動機構、 4…流体圧ポンプモータ、 5…伝動機構、 6…差動機構、 7…入力軸、 8,9…駆動輪(駆動歯車)、 10,11…従動輪(従動歯車)、 12…第1のモータ軸、 13…第2のモータ軸、 14,15…切換機構、 15…Rシンクロ、 19…第1の遊星歯車機構、 19S…サンギヤ、 19R…リングギヤ、 19C…キャリヤ、 20…第2の遊星歯車機構、 20S…サンギヤ、 20R…リングギヤ、 20C…キャリヤ、 21…第1の油圧ポンプモータ、 22…第2の油圧ポンプモータ、 25…第1の回転軸、 26…第4速用ギヤ対、 27…第2速用ギヤ対、 28…第2の回転軸、 29…第3速用ギヤ対、 30…第1速用ギヤ対、 31…同期連結機構(第2シンクロ)、 32…同期連結機構(第3シンクロ)。

Claims (4)

  1. 動力源から選択的に動力が伝達される複数の回転軸と、それらの回転軸から伝達された動力を出力する出力部材と、前記各回転軸と前記出力部材との間に配置された複数の伝動機構と、その伝動機構を介した各回転軸と出力部材との間の動力の伝達を選択的に可能にする切換機構とを有する変速機において、
    前記各回転軸と前記出力部材とが相互に平行に配置されるとともに、それらの回転軸の一端側に、その回転軸に連結された出力要素と前記回転軸と同一軸線上に配置された反力要素とこれら出力要素および反力要素に対して分配される動力を入力する入力要素とを有する差動機構が配置され、それらの差動機構における反力要素に連結されたポンプおよびモータとして機能しかつ相互に流体を授受するように連通された流体圧ポンプモータが前記動力源側に配置され、前記各差動機構と流体圧ポンプモータとの間に、前記動力源から前記各入力要素に動力を伝達する入力用伝動機構が配置されていることを特徴とする変速機。
  2. 前記入力用伝動機構は、前記動力源から動力が伝達されかつ同一軸線上に配置された第1および第2の入力用駆動輪と、第1の入力用駆動輪から動力が伝達されかつ一方の前記差動機構における入力要素に動力を伝達する第1の入力用従動輪と、第2の入力用駆動輪から動力が伝達されかつ他方の前記差動機構における入力要素に動力を伝達する第2の入力用従動輪と、前記第1の入力用従動輪と前記一方の入力要素との間および前記第2の入力用従動輪と前記他方の入力要素との間の少なくともいずれかに配置された、動力の伝達と遮断を選択的に行う入力用切換機構とを備えるとともに、前記第1の入力用駆動輪と第1の入力用従動輪との回転数比が、前記第2の入力用駆動輪と第2の入力用従動輪との回転数比とは異なっており、
    前記複数の伝動機構は、いずれかの前記回転軸と前記出力部材との回転数比が他の回転軸と前記出力部材との回転数比に等しくなる回転数比の伝動機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の変速機。
  3. 前記動力源は、回転中心軸線が前記回転軸と平行となるよう配置された内燃機関を含み、前記各流体圧ポンプモータは前記回転中心軸線の軸線方向で前記内燃機関に近い位置に配置され、かつ前記各回転軸は前記回転中心軸線の軸線方向で前記内燃機関とは遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の変速機。
  4. 前記入力用切換機構は、前記流体圧ポンプモータが連結されている部材を固定箇所に選択的に連結して流体圧ポンプモータを固定する固定用機構を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の変速機。
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