[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品の回路構成について説明する。図4に示したように、本実施の形態に係る電子部品51は、入出力端子52と、共振器53とを備えている。共振器53は、インダクタ60とキャパシタ54とを有している。インダクタ60の一端とキャパシタ54の一端は、入出力端子52に接続されている。インダクタ60の他端とキャパシタ54の他端はグランドに接続されている。共振器53は、1/4波長共振器として機能する。
本実施の形態に係る電子部品51は、入出力端子52を信号線路に接続すると、バンドパスフィルタとして機能する。インダクタ60の一端とグランドとの間にキャパシタ54を設けることにより、インダクタ60における電磁波の進行方向における長さを、バンドパスフィルタが通過させる信号の波長の1/4よりも短くすることができる。
次に、図1ないし図3を参照して、電子部品51の構造の概略について説明する。図1は、電子部品51の主要部分を示す斜視図である。図2は、電子部品51の外観を示す斜視図である。図3は、図2に示した電子部品51のA−A線断面図である。
電子部品51は、電子部品51の構成要素を一体化するための積層基板70を備えている。後で詳しく説明するが、積層基板70は、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含んでいる。また、インダクタ60は、それぞれ積層基板70内に設けられ、並列に接続された複数のスルーホールを有している。インダクタ60は、本発明におけるスルーホール型インダクタに対応する。キャパシタ54は、積層基板70内の導体層と誘電体層を用いて構成されている。
図2に示したように、積層基板70は、上面と、底面と、4つの側面を有する直方体形状をなしている。積層基板70における互いに平行な2つの側面には、それぞれ、グランドに接続されるグランド用端子73,74が設けられている。積層基板70における他の2つの側面のうちの一方には入出力端子72が設けられている。入出力端子72は図4における入出力端子52に対応する。入出力端子72はインダクタ60に接続される。グランド用端子73,74は、キャパシタ54を介してインダクタ60の一端に接続されると共に、インダクタ60の他端に接続される。
次に、図5および図6を参照して、積層基板70における誘電体層と導体層について詳しく説明する。図5において(a)〜(c)は、それぞれ、上から1層目ないし3層目の誘電体層の上面を示している。図6において(a)〜(c)は、それぞれ、上から4層目ないし6層目の誘電体層の上面を示している。
図5(a)に示した1層目の誘電体層81の上面には導体層は形成されていない。図5(b)に示した2層目の誘電体層82の上面には、グランドに接続されるグランド用導体層92が形成されている。この導体層92は、グランド用端子73,74に接続される。
図5(c)に示した3層目の誘電体層83の上面には、キャパシタ用導体層93が形成されている。この導体層93は、入出力端子72に接続される。また、導体層93は、誘電体層82を介して導体層92に対向している。これら導体層92,93および誘電体層82は、図4におけるキャパシタ54を構成している。また、誘電体層83には、導体層93に接続された3つのスルーホール61A,61B,61Cが形成されている。スルーホール61A,61B,61Cは、一方向に並べて配列されている。
図6(a)に示した4層目の誘電体層84には、それぞれスルーホール61A,61B,61Cに接続された3つのスルーホール62A,62B,62Cが形成されている。スルーホール62A,62B,62Cは、一方向に並べて配列されている。
図6(b)に示した5層目の誘電体層85には、それぞれスルーホール62A,62B,62Cに接続された3つのスルーホール63A,63B,63Cが形成されている。スルーホール63A,63B,63Cは、一方向に並べて配列されている。なお、誘電体層85は、同様の構成の複数の誘電体層が積層されて構成されていてもよい。
図6(c)に示した6層目の誘電体層86の上面には、グランドに接続されるグランド用導体層96が形成されている。この導体層96には、スルーホール63A,63B,63Cが接続されている。また、導体層96は、グランド用端子73,74に接続される。
上述の1層目ないし6層目の誘電体層81〜86および導体層が積層されて積層体が形成される。図2に示した端子72〜74は、この積層体の外周面に形成される。導体層92,96およびグランド用端子73,74は、電磁気的なシールドとして機能する。
スルーホール61A,62A,63Aは、直列に接続されて、図1に示した1つのスルーホール列60Aを形成している。同様に、スルーホール61B,62B,63Bは、直列に接続されて、図1に示した1つのスルーホール列60Bを形成している。また、スルーホール61C,62C,63Cは、直列に接続されて、図1に示した1つのスルーホール列60Cを形成している。
スルーホール列60A,60B,60Cの各一端部は、導体層93によって接続されている。スルーホール列60A,60B,60Cの各他端部は、導体層96によって接続されている。従って、スルーホール列60A,60B,60Cは、互いに並列に接続されている。インダクタ60は、このように並列に接続されたスルーホール列60A,60B,60Cによって構成されている。スルーホール列60A,60B,60Cは、誘電体層の積層方向に直交する一方向に並べて配置されている。
スルーホール列60A,60B,60Cを構成する複数のスルーホールの径(直径)は等しい。このスルーホールの径は、50〜200μmの範囲内であることが好ましい。スルーホールの径が50μmよりも小さいと、後述するインダクタ60のQを大きくすることができるという効果が小さくなる。また、スルーホールの径が200μmを超えると、積層基板70にクラックが発生するおそれがある。
スルーホール列60A,60B,60Cを構成する複数のスルーホールのうち、同じ誘電体層に形成されて隣接する2つのスルーホールの間隔は、スルーホールの径と等しいか、スルーホールの径に近いことが好ましい。
なお、本実施の形態において、積層基板70としては、誘電体層の材料として樹脂、セラミック、あるいは両者を複合した材料を用いたもの等、種々のものを用いることができる。しかし、積層基板70としては、特に、高周波特性に優れた低温同時焼成セラミック多層基板を用いることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係る電子部品51は、積層された複数の誘電体層を含む積層基板70と、積層基板70内に設けられた共振器53とを備えている。共振器53は、インダクタ60とキャパシタ54とを有している。インダクタ60は、それぞれ積層基板70内に設けられ、並列に接続されたスルーホールを有している。本実施の形態では特に、インダクタ60は、それぞれ直列に接続された複数のスルーホールを含む3つのスルーホール列60A,60B,60Cを有している。3つのスルーホール列60A,60B,60Cは並列に接続されている。
本実施の形態によれば、スルーホールの径を一定にして比較すると、1個または1列のスルーホールによってインダクタを構成する場合に比べて、インダクタ60の表面積を大きくすることができる。これにより、本実施の形態によれば、インダクタ60のQを大きくすることができ、その結果、共振器53のQを大きくすることができる。以下、この効果を示す実験の結果について説明する。
実験では、第1の比較例のインダクタと、第2の比較例のインダクタと、本実施の形態におけるインダクタ60とについて、無負荷のQ(以下、Quと記す。)を調べた。第1の比較例のインダクタは、スルーホール列60Bのみによって構成されたものである。第2の比較例のインダクタは、並列に接続されたスルーホール列60B,60Cのみによって構成されたものである。実験の結果、第1の比較例のインダクタのQuは118.0であり、第2の比較例のインダクタのQuは131.4であり、本実施の形態におけるインダクタ60のQuは143.3であった。この実験の結果から、インダクタを構成するスルーホール列の数が増えるほど、インダクタのQuが大きくなることが分かる。
また、本実施の形態によれば、インダクタ60が複数のスルーホール列60A,60B,60Cによって構成されているので、インダクタが1つのスルーホール列によって構成されている場合に比べて、積層基板の構造上のばらつきに起因するインダクタ60のインダクタンスのばらつきを低減することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品について説明する。始めに、図10を参照して、本実施の形態に係る電子部品の回路構成について説明する。本実施の形態に係る電子部品1は、バンドパスフィルタの機能を有している。図10に示したように、電子部品1は、入力端子2と、出力端子3と、3つの共振器4,5,6と、キャパシタ17〜19とを備えている。
共振器4は、インダクタ11とキャパシタ14とを有している。共振器5は、インダクタ12とキャパシタ15とを有している。共振器6は、インダクタ13とキャパシタ16とを有している。共振器5は、共振器4と共振器6との間に配置されている。また、インダクタ12は、インダクタ11とインダクタ13との間に配置されている。インダクタ11,12は隣接し、電磁界結合している。インダクタ12,13も隣接し、電磁界結合している。
インダクタ11の一端とキャパシタ14,17,19の各一端は、入力端子2に接続されている。インダクタ11の他端とキャパシタ14の他端はグランドに接続されている。インダクタ12の一端とキャパシタ15,18の各一端は、キャパシタ17の他端に接続されている。インダクタ12の他端とキャパシタ15の他端はグランドに接続されている。インダクタ13の一端、キャパシタ16の一端、キャパシタ19の他端および出力端子3は、キャパシタ18の他端に接続されている。インダクタ13の他端とキャパシタ16の他端はグランドに接続されている。
共振器4,5,6は、回路構成上、入力端子2と出力端子3との間に設けられ、バンドパスフィルタの機能を実現する。共振器4,5,6はいずれも、一端が開放され、他端が短絡された1/4波長共振器である。
本実施の形態に係る電子部品1では、入力端子2に信号が入力されると、そのうちの所定の周波数帯域内の周波数の信号が選択的に、共振器4,5,6を用いて構成されたバンドパスフィルタを通過し、出力端子3から出力される。
次に、図7ないし図9を参照して、電子部品1の構造の概略について説明する。図7は、電子部品1の主要部分を示す斜視図である。図8は、電子部品1の外観を示す斜視図である。図9は、電子部品1の断面図である。
電子部品1は、電子部品1の構成要素を一体化するための積層基板20を備えている。後で詳しく説明するが、積層基板20は、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含んでいる。インダクタ11〜13はいずれも、積層基板20内に設けられた1つ以上のスルーホールを用いて構成されている。また、インダクタ11〜13はいずれも、本発明におけるスルーホール型インダクタに対応する。キャパシタ14〜19は、積層基板20内の導体層と誘電体層を用いて構成されている。
図8に示したように、積層基板20は、上面と、底面と、4つの側面を有する直方体形状をなしている。積層基板20における互いに平行な2つの側面には、それぞれ、入力端子22、出力端子23が設けられている。入力端子22は図10における入力端子2に対応し、出力端子23は図10における出力端子3に対応する。積層基板20における他の2つの側面には、それぞれ、グランドに接続されるグランド用端子24,25が設けられている。
次に、図11ないし図14を参照して、積層基板20における誘電体層と導体層について詳しく説明する。図11において(a)〜(c)は、それぞれ、上から1層目ないし3層目の誘電体層の上面を示している。図12において(a)〜(c)は、それぞれ、上から4層目ないし6層目の誘電体層の上面を示している。図13において(a)〜(c)は、それぞれ、上から7層目ないし9層目の誘電体層の上面を示している。図14において(a)〜(c)は、それぞれ、上から10層目ないし12層目の誘電体層の上面を示している。
図11(a)に示した1層目の誘電体層31の上面には導体層は形成されていない。図11(b)に示した2層目の誘電体層32の上面には、グランドに接続されるグランド用導体層321が形成されている。この導体層321は、グランド用端子24,25に接続される。
図11(c)に示した3層目の誘電体層33の上面には、キャパシタ用導体層331,332,333が形成されている。導体層331,332,333は、誘電体層32を介して導体層321に対向している。導体層321,331および誘電体層32は、図10におけるキャパシタ14を構成している。導体層321,332および誘電体層32は、図10におけるキャパシタ15を構成している。導体層321,333および誘電体層32は、図10におけるキャパシタ16を構成している。
また、誘電体層33には、導体層331に接続された3つのスルーホール111A,111B,111Cが形成されている。スルーホール111A,111B,111Cは、一方向に並べて配列されている。
また、誘電体層33には、導体層332に接続された3つのスルーホール121A,121B,121Cが形成されている。スルーホール121A,121B,121Cは、一方向に並べて配列されている。
また、誘電体層33には、導体層333に接続された3つのスルーホール131A,131B,131Cが形成されている。スルーホール131A,131B,131Cは、一方向に並べて配列されている。
図12(a)に示した4層目の誘電体層34の上面には、キャパシタ用導体層341,342が形成されている。導体層341は、誘電体層33を介して導体層331,332に対向している。導体層331,332,341および誘電体層33は、図10におけるキャパシタ17の一部を構成している。導体層342は、誘電体層33を介して導体層332,333に対向している。導体層332,333,342および誘電体層33は、図10におけるキャパシタ18の一部を構成している。
また、誘電体層34には、それぞれスルーホール111A,111B,111C,121A,121B,121C,131A,131B,131Cに接続されたスルーホール112A,112B,112C,122A,122B,122C,132A,132B,132Cが形成されている。
図12(b)に示した5層目の誘電体層35の上面には、キャパシタ用導体層351が形成されている。導体層351は、誘電体層33,34を介して導体層331,332,333に対向している。導体層331,332,351および誘電体層33,34は、図10におけるキャパシタ17の他の一部を構成している。また、導体層332,333,351および誘電体層33,34は、図10におけるキャパシタ18の他の一部を構成している。また、導体層331,333,351および誘電体層33,34は、図10におけるキャパシタ19を構成している。
また、誘電体層35には、それぞれスルーホール112A,112B,112C,122A,122B,122C,132A,132B,132Cに接続されたスルーホール113A,113B,113C,123A,123B,123C,133A,133B,133Cが形成されている。
図12(c)に示した6層目の誘電体層36には、それぞれスルーホール113A,113B,113C,123A,123B,123C,133A,133B,133Cに接続されたスルーホール114A,114B,114C,124A,124B,124C,134A,134B,134Cが形成されている。
図13(a)に示した7層目の誘電体層37には、それぞれスルーホール114A,114B,114C,124A,124B,124C,134A,134B,134Cに接続されたスルーホール115A,115B,115C,125A,125B,125C,135A,135B,135Cが形成されている。
図13(b)に示した8層目の誘電体層38には、それぞれスルーホール115A,115B,115C,125A,125B,125C,135A,135B,135Cに接続されたスルーホール116A,116B,116C,126A,126B,126C,136A,136B,136Cが形成されている。
図13(c)に示した9層目の誘電体層39には、それぞれスルーホール116A,116B,116C,126A,126B,126C,136A,136B,136Cに接続されたスルーホール117A,117B,117C,127A,127B,127C,137A,137B,137Cが形成されている。
図14(a)に示した10層目の誘電体層40には、それぞれスルーホール117A,117B,117C,127A,127B,127C,137A,137B,137Cに接続されたスルーホール118A,118B,118C,128A,128B,128C,138A,138B,138Cが形成されている。
図14(b)に示した11層目の誘電体層41には、それぞれスルーホール118A,118B,118C,128A,128B,128C,138A,138B,138Cに接続されたスルーホール119A,119B,119C,129A,129B,129C,139A,139B,139Cが形成されている。
図14(c)に示した12層目の誘電体層42の上面には、グランドに接続されるグランド用導体層421が形成されている。この導体層421は、グランド用端子24,25に接続される。また、導体層421には、スルーホール119A,119B,119C,129A,129B,129C,139A,139B,139Cが接続されている。
上述の1層目ないし12層目の誘電体層31〜42および導体層が積層されて積層体が形成される。図8に示した端子22〜25は、この積層体の外周面に形成される。導体層321,421およびグランド用端子24,25は、電磁気的なシールドとして機能する。
直列に接続されたスルーホール111A〜119Aは、図7に示した1つのスルーホール列11Aを形成している。直列に接続されたスルーホール111B〜119Bは、図7に示した1つのスルーホール列11Bを形成している。直列に接続されたスルーホール111C〜119Cは、図7に示した1つのスルーホール列11Cを形成している。スルーホール列11A,11B,11Cの各一端部は、導体層331によって接続されている。スルーホール列11A,11B,11Cの各他端部は、導体層421によって接続されている。従って、スルーホール列11A,11B,11Cは、互いに並列に接続されている。インダクタ11は、このように並列に接続されたスルーホール列11A,11B,11Cによって構成されている。スルーホール列11A,11B,11Cは、誘電体層の積層方向に直交する一方向に並べて配置されている。
直列に接続されたスルーホール121A〜129Aは、図7に示した1つのスルーホール列12Aを形成している。直列に接続されたスルーホール121B〜129Bは、図7に示した1つのスルーホール列12Bを形成している。直列に接続されたスルーホール121C〜129Cは、図7に示した1つのスルーホール列12Cを形成している。スルーホール列12A,12B,12Cの各一端部は、導体層332によって接続されている。スルーホール列12A,12B,12Cの各他端部は、導体層421によって接続されている。従って、スルーホール列12A,12B,12Cは、互いに並列に接続されている。インダクタ12は、このように並列に接続されたスルーホール列12A,12B,12Cによって構成されている。スルーホール列12A,12B,12Cは、誘電体層の積層方向に直交する一方向に並べて配置されている。
直列に接続されたスルーホール131A〜139Aは、図7に示した1つのスルーホール列13Aを形成している。直列に接続されたスルーホール131B〜139Bは、図7に示した1つのスルーホール列13Bを形成している。直列に接続されたスルーホール131C〜139Cは、図7に示した1つのスルーホール列13Cを形成している。スルーホール列13A,13B,13Cの各一端部は、導体層333によって接続されている。スルーホール列13A,13B,13Cの各他端部は、導体層421によって接続されている。従って、スルーホール列13A,13B,13Cは、互いに並列に接続されている。インダクタ13は、このように並列に接続されたスルーホール列13A,13B,13Cによって構成されている。スルーホール列13A,13B,13Cは、誘電体層の積層方向に直交する一方向に並べて配置されている。
各スルーホール列を構成する複数のスルーホールの径(直径)は、第1の実施の形態におけるスルーホール列60A,60B,60Cを構成する複数のスルーホールと同様である。また、複数のスルーホールのうち、同じ誘電体層に形成されて隣接する2つのスルーホールの間隔も、第1の実施の形態と同様である。
なお、本実施の形態において、積層基板20としては、誘電体層の材料として樹脂、セラミック、あるいは両者を複合した材料を用いたもの等、種々のものを用いることができる。しかし、積層基板20としては、特に、高周波特性に優れた低温同時焼成セラミック多層基板を用いることが好ましい。
本実施の形態では、インダクタ11,12,13は、それぞれ、並列に接続された3つのスルーホール列によって構成されている。これによる効果は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、本実施の形態によれば、スルーホールの径を一定にして比較すると、それぞれ1個または1列のスルーホールによってインダクタ11,12,13を構成する場合に比べて、インダクタ11,12,13の表面積を大きくすることができる。これにより、本実施の形態によれば、インダクタ11,12,13のQを大きくすることができ、その結果、共振器4,5,6のQを大きくすることができる。また、本実施の形態によれば、各インダクタがそれぞれ1つのスルーホール列によって構成されている場合に比べて、積層基板の構造上のばらつきに起因する各インダクタ11,12,13のインダクタンスのばらつきを低減することができる。
次に、本実施の形態に係る電子部品1の更なる効果について、比較例の電子部品と比較しながら説明する。図15は、比較例の電子部品における3つのインダクタを上から見た状態を表している。図16は、本実施の形態におけるインダクタ11,12,13を上から見た状態を表している。
図15に示したように、比較例の電子部品は、3つのインダクタ211,212,213を備えている。3つのインダクタ211,212,213は、いずれも、直列に接続された複数のスルーホールを含む1つのスルーホール列によって構成されている。3つのインダクタ211,212,213は、スルーホールの中心軸方向に直交する一方向に並べて配列されている。図15において、3つのインダクタ211,212,213の配列の方向を、符号A1を付した矢印で示す。ここでは、本実施の形態における各インダクタ11,12,13の表面積と比較例における各インダクタ211,212,213の表面積が等しくなるように、比較例におけるインダクタ211,212,213を構成するスルーホールの径を、本実施の形態におけるインダクタ11,12,13を構成するスルーホールの径の3倍にしている。
図15において、インダクタ211,212,213を囲う3つの円は、インダクタ211,212,213によって発生される磁束を表している。比較例では、インダクタ211,212,213が、それぞれ1つのスルーホール列によって構成されている。そのため、インダクタ211,212,213によって発生される磁束の、上から見た形状は、図15に示したように、ほぼ円形になる。この場合、隣接する2つのインダクタ間において、各インダクタによって発生される磁束が重なる領域は大きくなる。そのため、比較例では、隣接するインダクタ211,212の結合、および隣接するインダクタ212,213の結合は強くなる。
図16に示したように、本実施の形態では、インダクタ11,12,13は、それぞれ、並列に接続された3つのスルーホール列によって構成されている。本実施の形態では、各インダクタ11,12,13において、並列に接続された3つのスルーホール列の配列の方向は、インダクタ11,12,13の配列の方向と交差、特に直交している。図16において、符号A10を付した矢印は、インダクタ11,12,13の配列の方向を表している。また、符号A11,A12,A13を付した各矢印は、各インダクタ11,12,13において、並列に接続された3つのスルーホール列の配列の方向を表している。また、図16において、インダクタ11,12,13を囲う3つの楕円は、インダクタ11,12,13によって発生される磁束を表している。本実施の形態では、インダクタ11,12,13によって発生される磁束の、上から見た形状は、それぞれ、A11,A12,A13で示す方向に長い楕円形状となる。そのため、本実施の形態によれば、図15に示した比較例と比較して、隣接する2つのインダクタ間において、各インダクタによって発生される磁束が重なる領域は小さくなる。その結果、本実施の形態では、比較例と比較して、隣接するインダクタ11,12の結合、および隣接するインダクタ12,13の結合が弱くなる。これにより、本実施の形態によれば、電子部品1の小型化に伴って、隣接するインダクタ間の結合が強くなりすぎることを防止することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品について説明する。図17は、本実施の形態に係る電子部品1の主要部分を示す斜視図である。本実施の形態に係る電子部品1の回路構成は、第2の実施の形態と同じであり、図10に示した通りである。本実施の形態に係る電子部品1の外観も、第2の実施の形態と同じであり、図8に示した通りである。
次に、図18ないし図20を参照して、積層基板20における誘電体層と導体層について詳しく説明する。本実施の形態における上から1層目ないし3層目の誘電体層31〜33の構成は、第2の実施の形態と同じであり、図11に示した通りである。図18において(a)〜(c)は、それぞれ、上から4層目ないし6層目の誘電体層の上面を示している。図19において(a)〜(c)は、それぞれ、上から7層目ないし9層目の誘電体層の上面を示している。図20において(a)〜(c)は、それぞれ、上から10層目ないし12層目の誘電体層の上面を示している。
図18(a)に示した4層目の誘電体層34の上面には、図12(a)に示したキャパシタ用導体層341,342の他に、導体層112,122,132が形成されている。また、誘電体層34には、図12(a)に示した誘電体層34と同様に、スルーホール112A,112B,112C,122A,122B,122C,132A,132B,132Cが形成されている。
導体層112は、スルーホール112A,112B,112Cを接続している。導体層112は、スルーホール112A,112B,112Cの配列の方向に長い長円形状を有している。導体層122は、スルーホール122A,122B,122Cを接続している。導体層122は、スルーホール122A,122B,122Cの配列の方向に長い長円形状を有している。導体層132は、スルーホール132A,132B,132Cを接続している。導体層132は、スルーホール132A,132B,132Cの配列の方向に長い長円形状を有している。
図18(b)に示した5層目の誘電体層35の上面には、図12(b)に示したキャパシタ用導体層351の他に導体層113,123,133が形成されている。また、誘電体層35には、図12(b)に示した誘電体層35と同様に、スルーホール113A,113B,113C,123A,123B,123C,133A,133B,133Cが形成されている。導体層113,123,133の形状は、導体層112,122,132と同様である。導体層113は、スルーホール113A,113B,113Cを接続している。導体層123は、スルーホール123A,123B,123Cを接続している。導体層133は、スルーホール133A,133B,133Cを接続している。
図18(c)に示した6層目の誘電体層36の上面には、導体層114,124,134が形成されている。また、誘電体層36には、図12(c)に示した誘電体層36と同様に、スルーホール114A,114B,114C,124A,124B,124C,134A,134B,134Cが形成されている。導体層114,124,134の形状は、導体層112,122,132と同様である。導体層114は、スルーホール114A,114B,114Cを接続している。導体層124は、スルーホール124A,124B,124Cを接続している。導体層134は、スルーホール134A,134B,134Cを接続している。
図19(a)に示した7層目の誘電体層37の上面には、導体層115,125,135が形成されている。また、誘電体層37には、図13(a)に示した誘電体層37と同様に、スルーホール115A,115B,115C,125A,125B,125C,135A,135B,135Cが形成されている。導体層115,125,135の形状は、導体層112,122,132と同様である。導体層115は、スルーホール115A,115B,115Cを接続している。導体層125は、スルーホール125A,125B,125Cを接続している。導体層135は、スルーホール135A,135B,135Cを接続している。
図19(b)に示した8層目の誘電体層38の上面には、導体層116,126,136が形成されている。また、誘電体層38には、図13(b)に示した誘電体層38と同様に、スルーホール116A,116B,116C,126A,126B,126C,136A,136B,136Cが形成されている。導体層116,126,136の形状は、導体層112,122,132と同様である。導体層116は、スルーホール116A,116B,116Cを接続している。導体層126は、スルーホール126A,126B,126Cを接続している。導体層136は、スルーホール136A,136B,136Cを接続している。
図19(c)に示した9層目の誘電体層39の上面には、導体層117,127,137が形成されている。また、誘電体層39には、図13(c)に示した誘電体層39と同様に、スルーホール117A,117B,117C,127A,127B,127C,137A,137B,137Cが形成されている。導体層117,127,137の形状は、導体層112,122,132と同様である。導体層117は、スルーホール117A,117B,117Cを接続している。導体層127は、スルーホール127A,127B,127Cを接続している。導体層137は、スルーホール137A,137B,137Cを接続している。
図20(a)に示した10層目の誘電体層40の上面には、導体層118,128,138が形成されている。また、誘電体層40には、図14(a)に示した誘電体層40と同様に、スルーホール118A,118B,118C,128A,128B,128C,138A,138B,138Cが形成されている。導体層118,128,138の形状は、導体層112,122,132と同様である。導体層118は、スルーホール118A,118B,118Cを接続している。導体層128は、スルーホール128A,128B,128Cを接続している。導体層138は、スルーホール138A,138B,138Cを接続している。
図20(b)に示した11層目の誘電体層41の上面には、導体層119,129,139が形成されている。また、誘電体層41には、図14(b)に示した誘電体層41と同様に、スルーホール119A,119B,119C,129A,129B,129C,139A,139B,139Cが形成されている。導体層119,129,139の形状は、導体層112,122,132と同様である。導体層119は、スルーホール119A,119B,119Cを接続している。導体層129は、スルーホール129A,129B,129Cを接続している。導体層139は、スルーホール139A,139B,139Cを接続している。
図20(c)に示した12層目の誘電体層42の上面には、グランドに接続されるグランド用導体層421が形成されている。この導体層421は、グランド用端子24,25に接続される。また、導体層421には、スルーホール119A,119B,119C,129A,129B,129C,139A,139B,139Cが接続されている。
上述の1層目ないし12層目の誘電体層31〜42および導体層が積層されて積層体が形成される。図8に示した端子22〜25は、この積層体の外周面に形成される。導体層321,421およびグランド用端子24,25は、電磁気的なシールドとして機能する。
第2の実施の形態と同様に、直列に接続されたスルーホール111A〜119Aは、図17に示した1つのスルーホール列11Aを形成している。直列に接続されたスルーホール111B〜119Bは、図17に示した1つのスルーホール列11Bを形成している。直列に接続されたスルーホール111C〜119Cは、図17に示した1つのスルーホール列11Cを形成している。スルーホール列11A,11B,11Cの各一端部は、導体層331によって接続されている。スルーホール列11A,11B,11Cの各他端部は、導体層421によって接続されている。また、本実施の形態では、スルーホール列11A,11B,11Cは、導体層112〜119によって、スルーホール列11A,11B,11Cの端部以外の複数の位置で接続されている。
また、直列に接続されたスルーホール121A〜129Aは、図17に示した1つのスルーホール列12Aを形成している。直列に接続されたスルーホール121B〜129Bは、図17に示した1つのスルーホール列12Bを形成している。直列に接続されたスルーホール121C〜129Cは、図17に示した1つのスルーホール列12Cを形成している。スルーホール列12A,12B,12Cの各一端部は、導体層332によって接続されている。スルーホール列12A,12B,12Cの各他端部は、導体層421によって接続されている。また、本実施の形態では、スルーホール列12A,12B,12Cは、導体層122〜129によって、スルーホール列12A,12B,12Cの端部以外の複数の位置で接続されている。
また、直列に接続されたスルーホール131A〜139Aは、図17に示した1つのスルーホール列13Aを形成している。直列に接続されたスルーホール131B〜139Bは、図17に示した1つのスルーホール列13Bを形成している。直列に接続されたスルーホール131C〜139Cは、図17に示した1つのスルーホール列13Cを形成している。スルーホール列13A,13B,13Cの各一端部は、導体層333によって接続されている。スルーホール列13A,13B,13Cの各他端部は、導体層421によって接続されている。また、本実施の形態では、スルーホール列13A,13B,13Cは、導体層132〜139によって、スルーホール列13A,13B,13Cの端部以外の複数の位置で接続されている。
次に、図21を参照して、本実施の形態に係る電子部品1の効果について説明する。図21は、本実施の形態におけるインダクタ11,12,13を上から見た状態を表している。図21において、インダクタ11,12,13を囲う3つの楕円は、インダクタ11,12,13によって発生される磁束を表している。本実施の形態では、前述のように、スルーホール列11A,11B,11Cは導体層112〜119によって複数の位置で接続され、スルーホール列12A,12B,12Cは導体層122〜129によって複数の位置で接続され、スルーホール列13A,13B,13Cは導体層132〜139によって複数の位置で接続されている。そのため、インダクタ11,12,13によって発生される磁束の、上から見た形状は、第2の実施の形態におけるそれらの形状とは若干異なったものとなる。インダクタ11,12,13によって発生される磁束の形状は、スルーホール列を接続する導体層の形状や数によって、ある程度、制御することができる。従って、本実施の形態によれば、スルーホール列を接続する導体層の形状や数によって、隣接するインダクタ11,12の結合、および隣接するインダクタ12,13の結合を調整することが可能になる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の電子部品において、スルーホール型インダクタは、並列に接続された複数のスルーホール列の代わりに、並列に接続された複数のスルーホールを有するものであってもよい。また、本発明の電子部品において、並列に接続されたスルーホール列またはスルーホールの数は、2でもよいし、4以上であってもよい。
また、本発明の電子部品は、バンドパスフィルタに限らず、共振器を備えた電子部品全般に適用することができる。電子部品に含まれる共振器は、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
本発明の電子部品は、ブルートゥース規格の通信装置や無線LAN用の通信装置において用いられるフィルタ、特にバンドパスフィルタとして有用である。