例えば車両の制動時において、駆動輪と非駆動輪とでは必要な制動力が異なるため、駆動輪を停止せしめようとすれば、必然的に非駆動輪はロック状態に陥り易い。非駆動輪がロックしてもなお駆動輪に制動力を加え続ける必要がある場合、例えばFR(Frontengine Reardrive)車等では特に、車両が前方に押し出される形となり、例えば氷盤等、低摩擦路面における制動性が低下し易い。このような問題は、機関回転数が高い程顕著となる。
一方、車両の制動時には、機関回転数はアイドル回転数を下限として低下し得るが、このような問題は、アンチスキッド制御中であっても、通常の制動中であっても同様に生じるから、アイドル回転数が比較的高く設定されている場合には、従来の技術の如く制動の態様を変更した所で制動距離が伸びて安全性が低下するといった事態が生じかねない。即ち、従来の技術には、場合によっては車両の制動性の悪化が抑制され難いという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の機関回転数が高い場合における制動性の悪化を抑制し得る内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、気筒内に吸入される空気に係る吸入空気量を変化させることによりアイドル回転数を変化させることが可能なアイドル回転数可変手段を有する内燃機関を備えた車両において前記内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、前記アイドル回転数の目標値を、前記車両の制動期間の少なくとも一部において基準値未満の暫定値に設定し、且つ前記制動期間の少なくとも一部を除く期間において前記基準値に設定する設定手段と、前記アイドル回転数が前記設定された目標値となるように前記アイドル回転数可変手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明における「内燃機関」とは、例えば複数の気筒を有し、当該各々の燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料が燃焼した際に発生する爆発力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等を適宜介して動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念であり、例えば自動車用の2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。
本発明に係る内燃機関には特に、気筒内に吸入される空気に係る吸入空気量を変化させることによりアイドル回転数を変化させることが可能な、例えば、電子制御式スロットルバルブ或いはISC(Idle Speed Control)バルブ等のアイドル回転数可変手段が備わる。
ここで、本発明に係る「アイドル回転数」とは、例えば運転者によってアクセルペダルが何ら操作されておらず且つ車両が停止している状態等、無負荷状態において内燃機関が採り得る機関回転数である。このようなアイドル回転数は、アイドル回転数可変手段によって吸入空気量が増加又は減少制御されることに伴い、必然的に高く又は低くなる。
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される設定手段の作用によって、アイドル回転数の目標値が設定される。
アイドル回転数の目標値が設定されると更に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される制御手段により、内燃機関のアイドル回転数が係る設定された目標値となるようにアイドル回転数可変手段が、例えば物理的に、電気的に、機械的に或いは機構的に制御される。この際、例えばアイドル回転数が目標値に追従するように、スロットルバルブの開度(以下、適宜「スロットル開度」と称する)やISCバルブの開度等がフィードバック制御されることにより、アイドル回転数が目標値に維持される。
内燃機関の機関回転数は、特に失火等燃焼状態の異常が発生しない限りにおいて、また上述したようなフィードバック制御時における機関回転数の変動を除いて、基本的にアイドル回転数未満には低下しない。従って、例えば制動時や減速時における、例えば車両の停止直前等には、機関回転数はアイドル回転数或いはそれに準じる程度の値に維持される。
ここで特に、車両の制動時等における駆動輪の駆動力は、機関回転数が高い程大きくなるから、アイドル回転数が高ければ、それだけ大きな制動力が必要となる。一方、非駆動輪は駆動輪と較べて制動力が顕著に作用し易いから、大抵の場合、非駆動輪は駆動輪よりも先にロック状態に陥り易い。従って、アイドル回転数が高ければ、それだけ非駆動輪がロック状態のまま制動時間が長くなり、路面の状態によっては、例えば、車両が前方に押し出される等、制動性が悪化しかねない。このような問題は、車両の駆動形態がFRである場合には顕著である。そこで、本発明に係る内燃機関の制御装置では、設定手段の以下の如き作用によって、係る制動性の悪化が好適に抑制されている。
即ち、設定手段は、アイドル回転数の目標値を、車両の制動期間の少なくとも一部において基準値未満の暫定値に設定し、且つ係る制動期間の少なくとも一部を除く他の期間において基準値に設定する。
ここで、「基準値」とは、内燃機関の暖機状態、燃料消費率等の環境性能、燃焼性能、或いはNV(Noise and Vibration:騒音及び振動)等の快適性能等の各種状態又は各種性能或いはそれらを表す各種指標値等を考慮して決定される、基準となるアイドル回転数を指し、例えば、これら各種性能、状態或いは指標値等に応じて可変な値であってもよいし、固定な値であってもよい。可変な値である場合には、例えば、所定の範囲で連続的に変化せしめられてもよいし、複数種類の値の間で段階的に又は離散的に変化せしめられてもよい。
例えば、係る基準値は、燃焼性能及びNVの悪化が夫々実践的にみて顕在化しない範囲で、環境性能を考慮して可能な限り低く設定されてもよいし、このような値を基本としつつ、内燃機関が未暖機状態である場合には、暖機を促進する目的からより高く設定されてもよい。このような基準値の設定態様は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、上述した各種状態及び各種指標が高い次元でバランスされ得るように決定されていてもよい。
一方、暫定値とは、係る基準値(基準値が車両の運転条件或いは内燃機関の動作条件等に応じて可変である場合には無論、その時点における基準値)未満の値であり、性質的には、車両の制動性を担保するための一時的な目標値である。従って、係る暫定値は、制動期間の少なくとも一部、例えば車両が停止する直前、例えば車速にして0〜5km/h程度の極低車速の領域等において設定される。但し、暫定値の設定期間は、これに限定されず、制動期間の範囲内で自由であってよい。
目標値が係る暫定値に設定された場合、係る暫定値を何ら採らない場合と比較すれば、アイドル回転数は一時的であれ低下する。従って、駆動輪に加わる駆動力は幾らかなりとも減少する。駆動力の減少に伴い、車両を停止せしめるのに要する制動力は小さくなり、例えば運転者に与えられる感覚上の違和感が軽減され、駆動輪が停止しきれないことによって制動距離が伸びるといった事態が防止される。或いは非駆動輪がロックした状態で駆動輪に加わる制動力を更に増加させる時間は短くなる。即ち、車両の制動性が相対的に向上する。
一方で、このように暫定値が設定される期間(制動期間の少なくとも一部)を除く期間では、上述した基準値が目標値として設定される。上述したように、基準値は、上述した各種状態や指標値等を考慮して決定され得る値であり、少なくとも制動性の担保を他の要件に対し優先する必要のない期間(例えば、停止時や制動初期等)については、最適な目標値となり得る値である。従って、このような設定手段の作用によって、車両の制動性が効果的に担保される。尚、必ずしも暫定値が設定される期間を除く期間の全域において目標値が基準値に設定される必要はない。
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、維持すべきアイドル回転数(即ち、目標値)に起因して制動期間の少なくとも一部で生じ得る制動性の悪化を、目標値を暫定値に設定することにより効果的に抑制することが可能となるのである。
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記基準値は、第1基準値及び該第1基準よりも高い第2基準値を含み、前記内燃機関の暖機状態を特定する特定手段と、該特定された暖機状態に基づいて、前記内燃機関が冷間状態にあるか否かを判別する判別手段とを更に具備し、前記設定手段は、前記内燃機関が前記冷間状態にある場合に前記制動期間の少なくとも一部を除く期間における前記目標値を前記第2基準値に設定すると共に、前記目標値が前記第2基準値に設定される場合に、前記制動期間の少なくとも一部における前記目標値を前記暫定値に設定する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される特定手段により、内燃機関の暖機状態が特定される。
ここで、本発明における「特定」とは、例えば、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する電気信号等として検出すること、予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択又は推定すること、それら検出された物理的数値若しくは電気信号又は選択若しくは推定された数値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従って導出すること、或いはこのように検出、選択、推定又は導出された値等を単に電気信号等として取得すること等を包括する広い概念である。
尚、特定手段により特定される「暖機状態」とは、例えば、内燃機関が十分に暖機されているか否か、或いは暖機の度合いはどの程度であるかといった、二値的或いは段階的且つ定性的な状態であってもよいし、暖機状態を定量的に規定し得る、例えば冷却水温度や潤滑油温度等の物理量であってもよい。また、このような暖機状態を定量的に規定し得る各種指標値に基づいて上述した定性的な状態が特定されてもよい。
特定手段による暖機状態の特定がなされると、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される判別手段により、内燃機関が冷間状態であるか否かの判別が行われる。
一方、この態様によれば、アイドル回転数の目標値に係る基準値は、第1基準値及びそれより高い第2基準値を含み、設定手段は、アイドル回転数の目標値を基準値に設定する際、内燃機関が冷間状態にある場合には係る目標値を第2基準値に設定する。即ち、内燃機関が冷間状態にある、例えば冷間始動時等には、所謂ファストアイドルと称される暖機促進制御がなされ、目標値がより高く設定されることにより暖機が促進される。
設定手段は、目標値が第2基準値に設定される場合(好適には、内燃機関が冷間状態にあると判別された場合と同一)、制動期間の少なくとも一部における目標値を暫定値に設定する。より具体的に言えば、この態様では、例えば内燃機関がファストアイドルを実行すべき状態にある場合に限って、制動時にアイドル回転数が暫定値まで低下せしめられる。
目標値が第2基準値に設定されるのは暖機性能を優先する結果であり、制動性悪化への影響は必然的に大きくなり得るが、反対に第1基準値には、少なくとも暖機性能を他の要因に対し優先すべき事情はないから、例えば、予め第1基準値を、制動性の悪化が実践的にみて顕在化しない程度の値に設定しておくことは可能である。このような場合には、基準値が第1基準値に設定される期間について、制動時に目標値を暫定値に設定する必要は、実質的にみて無視し得る程度に小さくなり得、より効率的に制動性の悪化を抑制することができ、実践上有利である。
尚、この態様では、前記特定手段は、前記暖機状態の少なくとも一部として前記内燃機関の機関温度及び外気温のうち少なくとも一方を特定する。
機関温度及び外気温は、内燃機関の暖機状態を好適に規定し得る指標であり、特定手段により、これらのうち少なくとも一方が特定される場合には、内燃機関の暖機状態が比較的高精度に特定されて好適である。
尚、機関温度とは、内燃機関の温度を包括する概念であり、例えば、内燃機関を冷却するための冷却系統を循環する冷却水の温度や、内燃機関の機械的な動作を潤滑に行わしめるために循環供給される潤滑油の温度等の各種指標を含む趣旨である。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記車両は、前記車両を制動するための制動手段、前記車両が制動される場合に車輪にロックが生じないように前記制動手段を制御する制動制御手段を更に備え、前記制動期間の少なくとも一部は、前記制動制御手段により前記ロックが生じないように前記制動手段が制御される期間の少なくとも一部を含む。
この態様によれば、車両には、例えば各車輪に備わる各種制動部材、各車輪に備わる複数のホイルシリンダ及び各ホイルシリンダにブレーキ液等に係る液圧を伝達するブレーキアクチュエータ等を含む液圧伝達系等からなる制動手段、並びにこれら制動手段を制御する制動制御手段が備わり、例えばABS(Antilock Braking System)等と称される、車輪のロックを防止するための機能が実現される。
ここで、制動制御手段により、車輪がロックしないように制動手段が制御される場合、車両は、より安全性及び制動性を要求する緊急な状態にあることが多いから、設定手段により暫定値が設定される、制動期間の少なくとも一部として、このような期間が含まれる場合には、本発明に係る効果が顕著に作用し得、好適である。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記設定手段は、前記目標値が前記暫定値に設定された状態で前記車両が停止した場合に、前記目標値を前記基準値に設定する。
車両が停止した場合、例えば運転者は、車両の挙動に応じて半ば無意識下でブレーキペダルの操作を行うのが通常である。従って、このような車両の停止期間については、通常、運転者の予測範囲を超えた車両の挙動は生じ難く、制動性の悪化も生じ難い。
この態様によれば、目標値が暫定値に設定された状態で車両が停止した場合、目標値が基準値に戻されるため、燃料消費率等の環境性能、燃焼性能、或いはNV等の快適性能等を最適化することが可能となり有益である。尚、「停止した場合に」とは、必ずしも車両の停止が確認された時点のみに限定されるものではなく、例えば、車両の停止時点から所定の時間が経過した時点であってもよい。このような目標値を基準値まで復帰せしめるタイミングは、例えば予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、アイドル回転数が暫定値に設定され続けることによるNVの悪化が顕在化しないように或いはアイドル回転数を基準値に復帰させることに伴い運転者に違和感を与えないように設定されていてもよい。
尚、この態様では、前記設定手段は、前記目標値を、前記暫定値から前記基準値まで徐変させることにより前記基準値に設定してもよい。
車両が停止中であるとは言え、目標値が暫定値から基準値まで急峻に変化せしめられた場合、運転者に違和感が与えられる可能性が無視できない。このように目標値を暫定値から基準値まで徐変せしめた場合には、運転者に違和感を与えることがないため好適である。
尚、「徐変」とは、変化速度が大きいことに起因する、例えば上述した違和感の発生や、制動性悪化等の諸問題が、実践的にみて顕在化しない程度に抑えられた変化速度を包括する概念であり、係る概念が担保される限りにおいて、その変化の態様は段階的であっても、また連続的(線形又は非線形の別によらない)であってもよい趣旨である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両の構成について説明する。ここに、図1は、車両10の模式図である。
図1において、車両10は、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、車両10の動作全体を制御する電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述するアイドル回転数設定処理を実行することが可能に構成されている。
車両10は、夫々運転者による操作が可能に構成されたアクセルペダル20及びブレーキペダル22を備える。アクセルペダル20の近傍には、アクセルペダル20の操作量(以下、適宜「アクセル開度」と称する)を検出可能に構成されたアクセルポジションセンサ21が配設されている。アクセルポジションセンサ21は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度は、ECU100によって常に把握される構成となっている。一方、ブレーキペダル22の近傍には、ブレーキペダル22の操作量を検出可能に構成されたブレーキポジションセンサ23が配設されている。ブレーキポジションセンサ23は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたブレーキペダル22の操作量は、ECU100により常に把握される構成となっている。
エンジン200は、車両10の動力源として機能するガソリンエンジンであり、本発明に係る「内燃機関」の一例である。ここで、図2を参照して、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、エンジン200は、シリンダ201内にその一部たる点火プラグの一部が露出してなる点火装置202の点火動作により混合気を爆発させると共に、爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクションロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランクシャフト205の回転位置に基づいて、点火装置202の点火時期等を制御するように構成されている。また、ECU100は、クランクシャフト205の回転位置に基づいてエンジン200の機関回転数Neを算出することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
シリンダ201内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート213において、インジェクタ214から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。燃料は、燃料タンク215に貯留されており、低圧ポンプ217の作用によりデリバリパイプ216を介してインジェクタ214に圧送供給されている。インジェクタ214は、ECU100と電気的に接続されており、この供給される燃料を、ECU100の制御に従って吸気ポート213に噴射することが可能に構成されている。
シリンダ201内部と吸気管207とは、吸気バルブ218の開閉によって連通状態が制御されている。シリンダ201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ218の開閉に連動して開閉する排気バルブ219の開弁時に排気ポート220を介して排気管221に導かれる。
吸気管207上には、クリーナ208が配設されており、外部から吸入される空気が浄化される構成となっている。クリーナ208の下流側(シリンダ側)には、エアフローメータ209が配設されている。エアフローメータ209は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接検出することが可能に構成されている。尚、エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気の質量流量は、ECU100によって絶えず把握される構成となっている。
吸気管207におけるエアフローメータ209の下流側には、シリンダ201内部へ吸入される空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ210(即ち、本発明に係る「アイドル回転数可変手段」の一例)が配設されている。このスロットルバルブ210には、スロットルポジションセンサ212が電気的に接続されており、その開度たるスロットル開度を検出することが可能に構成されている。
一方、ECU100は、前述したアクセルポジションセンサ21によって検出されるアクセル開度に基づいてスロットルバルブモータ211の駆動状態を制御する。スロットルバルブ210は、係るスロットルバルブモータ211の駆動力によって駆動される構成となっている。尚、スロットルバルブ210は、ECU100により制御されたスロットルバルブモータ211の駆動力により駆動される電子制御式のスロットルバルブであり、スロットル開度は、ECU100によって、運転者の意思(即ち、アクセル開度)とは無関係に制御され得る。例えばスロットル開度は、後述するアイドル制御において、アクセル開度とは無関係に、アイドル回転数の目標値を維持すべく制御される。
排気管221には、三元触媒223が設置されている。三元触媒223は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。排気管221における三元触媒223の上流側には、空燃比センサ222が配設されている。空燃比センサ222は、排気ポート220を介して排出される排気ガスから、エンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。空燃比センサ224は、ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比は、絶えずECU100によって把握される構成となっている。
また、シリンダ201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するための冷却水の温度(以下、適宜「エンジン冷却水温」と称する)を検出するための温度センサ224が配設されている。温度センサ224は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたエンジン冷却水温は、ECU100によって絶えず把握される構成となっている。
図1に戻り、車両10は、車輪として、非駆動輪たる左前輪FL及び右前輪FR並びに駆動輪たる左後輪RL及び右後輪RRを備え、エンジン200におけるクランクシャフト205の回転動力により各駆動輪が駆動せしめられるFR車両である。
クランクシャフト205を介したエンジン200の回転動力は、トルクコンバータ11A及びECT(Electronic Controlled Transmission)11Bを備えた変速系11に入力される。
トルクコンバータ11Aは、エンジン200のクランクシャフト205に接続された入力軸及びECT11Bに接続された出力軸(いずれも不図示)を備え、入力軸に接続されたポンプインペラ(不図示)の回転動力をATF(Automatic Transmission Fluid)を介して、またステータ(不図示)によってトルクを増幅させつつ出力軸に接続されたタービンランナ(不図示)に回転動力として伝達することが可能に構成されている。即ち、エンジン200の動力は、トルクコンバータ11Aを介してECT11Bに伝達される構成となっている。尚、トルクコンバータ11Aにおけるタービンランナの回転速度(以下、適宜「タービン回転数」と称する)は、不図示の回転センサによって検出され、係る回転センサと電気的に接続されたECU100によって絶えず把握される構成となっている。
ECT11Bは、複数のクラッチ要素、ブレーキ要素及びワンウェイクラッチ要素等からなる複数の摩擦係合装置(不図示)を備えた変速機である。ECT11Bは、ECU100と電気的に接続されており、ECU100による各種ソレノイド(不図示)等の駆動制御を介してこれら各摩擦係合装置相互間の係合状態が変化することによって、相互に異なる複数の変速比を得ることが可能に構成される。
尚、ECT11B(或いはトルクコンバータ11Aを含む変速系11)は、公知の電子制御式自動変速機と同等の構成を有しており、その詳細な図示は省略するが、本実施形態では、車両10の前進方向に対応する変速レンジとして、ギア比の大きい順に「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」及び「5th」の5段の変速レンジを有しており、これらギア比が大きい順に大きい変速比が得られる構成となっている。車両10が前進する場合、ECU100は、ECT11Bにおける各摩擦係合装置の係合状態を制御することにより上記いずれかの変速レンジを選択し、ECT11Bの変速比を選択された変速レンジに対応する値に設定することが可能である。
ECT11Bの出力軸は、車両10における駆動力の伝達軸たるプロペラシャフト12に接続されている。プロペラシャフト12は、ECT11Bの出力軸の回転に伴って回転することが可能に構成されている。
プロペラシャフト12は更に、デファレンシャル13に接続されている。デファレンシャル13は、プロペラシャフト12の回転を、各駆動輪に対応する駆動軸14L及び14Rの回転に変換することが可能に構成されている。このように、車両10では、エンジン200の回転動力が、トルクコンバータ11A、ECT11B、プロペラシャフト12、デファレンシャル13並びに駆動軸14L及び14Rを順次介して駆動輪に伝達され、各駆動輪が回転する構成となっている。
一方、非駆動輪FL及びFRは、各々が相互に独立して回転することが可能に構成されると共に、夫々操舵軸18L及び18Rを介して、車両10の進行方向を制御するための操舵装置17に接続されている。操舵装置17は、不図示のステアリングシャフトを介して不図示のステアリングホイルに接続されており、運転者によるステアリングホイルの操作を反映して各非駆動輪の操舵角を制御することが可能に構成されている。
駆動輪RL及びRR並びに非駆動輪FL及びFRには、夫々相互に同等の構成を有する制動装置15RL、15RR,15FL及び15FRが設けられている。各制動装置は、所謂ディスクブレーキ装置の構成を有し、各駆動輪及び各非駆動輪に対し制動力を付与することが可能に構成されている。
各制動装置に係る制動力は、各制動装置に設けられたホイルシリンダ(即ち、図示16RL、16RR、16FL及び15FR)の駆動状態に応じて制御される。各ホイルシリンダは、所定のブレーキ液の液圧に応じた駆動力を各制動装置に付与することが可能に構成されており、係る駆動力が大きい程、各制動装置は各車輪に対し大きい制動力を付与することが可能に構成されている。
各ホイルシリンダに供給されるブレーキ液の液圧は、ブレーキアクチュエータ19によって制御されている。ブレーキアクチュエータ19は、リザーバタンク、電動ポンプ、デリバリパイプ、複数の電磁弁及び保持弁等からなり、電動ポンプの作用により、電磁弁及び保持弁等の駆動状態に応じて決定されるブレーキ液の伝達経路を介して適宜ブレーキ液を供給し、最終的に各ホイルシリンダにブレーキ液の液圧を印加している。
尚、図示は省略するが、各車輪には、各々がECU100に電気的に接続されると共に各車輪の車輪速を検出可能な車輪速センサが備わっており、検出された車輪速は常にECU100により把握される構成となっている。ECU100は、この検出された車輪速に基づいて、各車輪の制動力を個別に制御することが可能に構成されており、例えばいずれかの車輪がロックした場合には、該当する車輪の制動力を一時的に減少させロック状態を解消する、所謂アンチロック制御を実行することが可能である。即ち、車両10に備わる、制動装置及びホイルシリンダ等を含む制動システムは、所謂ABSと同等の構成を有している。
ブレーキアクチュエータ19は、ECU100と電気的に接続されており、その動作がECU100によって上位に制御される構成となっている。この際、ECU100は、ブレーキペダルセンサにより検出されるブレーキペダルの操作量に応じた制動力が得られるように、ブレーキアクチュエータ19を制御する。
<実施形態の動作>
<アイドル制御>
車両10では、停止時、或いは制動減速時の一部の期間において、アイドル制御が実行され、エンジン200の機関回転数が設定されたアイドル回転数の目標値に制御される。アイドル回転数の目標値は、ECU100により基本的にNebase(即ち、本発明に係る「第1基準値」の一例)に設定される。Nebaseは、概ね500〜600rpm程度の値である。
一方、エンジン200が冷間状態にある、例えば冷間始動時等においては、エンジン200の暖機を促進するため、ECU100はファストアイドル制御を実行する。ファストアイドル制御が実行される場合、ECU100は、アイドル回転数をNe1(Ne1>Nebaseであり、Ne1は、即ち本発明に係る「第2基準値」の一例)に設定する。尚、Ne1の値は、概ね1000rpm程度であり、これらNebase及びNe1の値は、予めROMに格納されている。
アイドル制御の実行時、ECU100は、機関回転数Neが、この設定されたアイドル回転数の目標値に収束するように、スロットルバルブモータ211の駆動制御を介してスロットル開度をフィードバック制御している。
ここで、車両10の制動時に車両10に作用する駆動力Fdは、下記(1)式によって表される。また、同じく車両10の制動時に車両10を制動すべく各車輪に作用する制動力Fbは下記(2)式により表される。尚、(1)式において、Fcは変速系11等を介して駆動輪RL及びRRに作用するクリープ力であり、αWは車両10の慣性力である。また、(2)式において、Ffは非駆動輪FL及びFRに作用する制動力であり、Frは、駆動輪RL及びRRに作用する制動力である。制動力Fbが駆動力Fd以上となった場合に、車両10は停止する。
Fd=Fc+αW・・・・・(1)
Fb=Ff+Fr・・・・・(2)
ここで特に、クリープ力Fcは、エンジン200の機関回転数Neに応じて変化し、例えば変速系11におけるECT11Bの変速レンジが固定されていれば、機関回転数Neが高い程大きい値となる。車両10を停止させるためには、駆動輪に対し、このクリープ力Fcを打ち消し得る制動力Frを加える必要がある。ところが、非駆動輪を停止させるために必要な制動力Ffは、本来、制動力Frよりも小さくてよいはずであり、クリープ力Fcを打ち消し得る程度に大きい制動力Frを駆動輪に加えると、非駆動輪はロック状態に陥り易い。
この際、ブレーキアクチュエータ19の制御により、駆動輪たる後輪と非駆動輪たる前輪に夫々対応する各ホイルシリンダに、相互に異なる液圧を伝達せしめようとしても、各車輪の車輪速を検出する不図示の車輪速センサは、車両停止直前の極低車速領域において誤差が大きくなるため実現が困難である。
アイドル回転数Nebaseは、このように非駆動輪にロックが生じたとしても制動性の悪化が実質的にみて顕在化しない程度に低い値に、或いは非駆動輪にロックが生じない程度に低い値に設定されており、通常の走行条件において制動性の悪化は現れ難いが、エンジン200の暖機を優先したファストアイドル制御時には、アイドル回転数が高くなることに伴い、運転者が通常の操作感覚でブレーキペダル22を操作しても車両10が停止しない、或いは非駆動輪たる前輪がロックしたまま更に駆動輪たる後輪に制動力を加え続ける時間が長くなるといった事態が生じ、制動距離が長くなり易い。即ち、車両の制動性が悪化し易い。特に、車両10の走行路面が氷盤等の低μ路である場合、そのような問題は顕著に現れやすいものとなる。
そこで、本実施形態では、ECU100が、アイドル回転数設定処理を実行することにより、ファストアイドル制御時における制動性の悪化が抑止されている。
<アイドル回転数設定処理の詳細>
ここで、図3を参照して、アイドル回転数設定処理の詳細について説明する。ここに、図3は、アイドル回転数設定処理のフローチャートである。
図3において、ECU100は、ファストアイドル条件が満たされるか否かを判別する(ステップA10)。ここで、本実施形態において、ECU100は、エンジン冷却水温Twが基準値未満であるか、又は外気温が基準値未満である場合に、ファストアイドル条件が満たされる旨の判別を行う。例えば、エンジン冷却水温Twの基準値は65℃程度の値に、また外気温の基準値は、氷点下20℃程度の値に設定される。
ファストアイドル条件が満たされない場合(ステップA10:NO)、ECU100は、アイドル回転数の目標値を前述したNebaseに設定し(ステップA12)、処理をステップA10に戻す。尚、アイドル回転数設定処理においてアイドル回転数の目標値が設定された場合、ECU100は、然るべきアイドル制御タイミングで、機関回転数が設定された目標値となるように既に述べたスロットル開度制御等を実行する。
一方、ファストアイドル条件が満たされる場合(ステップA10:YES)、ECU100は更に、アイドル回転数低下条件が満たされるか否かを判別する(ステップA11)。ここで、アイドル回転数低下条件とは、前述した制動性の悪化を解消すべきものとして規定される条件であり、本実施形態では、アクセル開度がゼロであり、ECT11Bのシフトレンジが「1st」であり、車速が9km/h以下であり、且つブレーキペダル22が操作されている場合に、係るアイドル回転数低下条件が満たされる旨の判別がなされるようになっている。
アイドル回転数低下条件が満たされない場合(ステップA11:NO)、ECU100は、アイドル回転数の目標値を上述したNe1に設定し(ステップA14)、処理をステップA10に戻す。
アイドル回転数低下条件が満たされる場合(ステップA11:YES)、ECU100は、アイドル回転数の目標値をNe0(Nebase<Ne0<Ne1であり、Ne0は即ち、本発明に係る「暫定値」の一例)に設定する(ステップA13)。尚、本実施形態において、Ne0は、800rpm程度の値に設定されている。
アイドル回転数低下条件が満たされる場合とは、即ち、車両10が間もなく停止するとみなし得る場合であり、車両10に、上述した駆動輪の制動力過剰による制動性の悪化が生じ易いものと考えられる。従って、このような場合については、ECU100によりアイドル回転数の目標値が本来の目標値であるNe1よりも低下せしめられ、車両10の制動性向上が図られる。
アイドル回転数の目標値がNe0に設定されると、ECU100は、車両10が停止したか否かを判別する(ステップA15)。ここで、車両10が停止したか否かの判別には、トルクコンバータ11Aのタービン回転数が参照される。ECU100は、係るタービン回転数がゼロとなった場合に、車両10が停止した旨の判別を行う。
車両10が停止していない場合(ステップA15:NO)、車両10が加速を開始する等、上述したアイドル回転数低下条件が満たされない状態へ移行した可能性もあるため、ECU100は、処理をステップA11まで戻し、一連の処理を繰り返す。アイドル回転数低下条件が変わらず満たされている場合には、アイドル回転数の目標値はNe0のまま変更されることなくステップA15に係る処理が実行される。
車両10が停止した場合(ステップA15:YES)、ECU100は内蔵するタイマを作動させ、車両停止時点からの経過時間をカウントする(ステップA16)と共に、係る経過時間が所定値を超えたか否かを判別する(ステップA17)。
ECU100は、経過時間が所定値以下である場合(ステップA17:NO)、処理を待機状態に制御すると共に、経過時間が所定値を超えた場合(ステップA17:YES)、アイドル回転数の目標値を、暫定的な目標値であるNe0から本来の目標値Ne1まで徐変する(ステップA18)。この際、ECU100は、予め運転者に違和感等を与えないものとして設定された上昇速度で目標値を上昇せしめ、最終的にアイドル回転数をNe1まで復帰させる。アイドル回転数設定処理は、例えばこのように行われる。
ここで、図4を参照し、アイドル回転数設定処理について更に説明する。ここに、図4は、アイドル回転数設定処理の実行過程における、車両10の状態及び各種信号の状態を表す模式図である。尚、図4では、予め上述したファストアイドル条件が満たされているものとする。
図4において、横軸は時刻で共通であり、縦軸の系列には、上から順にアクセル開度、ブレーキ信号、車速、制御実行フラグ及び機関回転数が表されている。
時刻T0において、アクセル開度がAcc1(Acc1>0)からゼロに、即ち運転者がアクセルペダル20の操作を停止したとする。また、それと同時に、ブレーキ信号(ブレーキの操作量とは異なり、ブレーキペダル22が操作されているか否かの二値を採る)がL(即ち、操作されていない状態を表す)からH(即ち、操作されている状態を表す)へ変化したとする。
このような各ペダルの操作に伴い、車両10の車速はそれまで維持されていた車速V1(9km/h>V1>0)から低下し始める。更に、このような車速の低下に伴い、ECU100は、時刻T1においてECT11Bのシフトレンジ(シフトレバーの操作位置とは異なる)を上述した「1st」に変更する。即ち、時刻T1において、「2nd」から「1st」へのコーストダウンが実行される。尚、この際、運転者の操作するECT11Bの操作レバー(シフトノブ等)は、例えばDレンジ等に設定されたままであってよく、あくまでECT11Bにおけるギア比が、車速の低下と共に順次大きくなるように変更制御される。
一方、本実施形態において、このコーストダウン点における車速V0は、9km/h以下であり、時刻T1において、上述したアイドル回転数低下条件が満たされることになる。従って、時刻T1において、アイドル回転数低下に係る制御(即ち、アイドル回転数の目標値をNe0に設定する制御)を実行するための制御実行フラグが、係る制御を実行しない旨を表す「L」から係る制御を実行すべき旨を表す「H」へと変化する。
このように、時刻T1においてアイドル回転数の目標値がNe0に設定されるため、車速の低下と共に低下を続ける機関回転数Neは、時刻T2において下限に相当するアイドル回転数Ne0に到達し維持される。
他方、車両10の車速は、時刻T3においてゼロとなる。従って、時刻T3からタイマによるカウントが開始され、時刻T3からΔTの時間が経過した時刻T4において、制御実行フラグが再び「L」となり、アイドル回転数の目標値は再びNe1に設定され、機関回転数が、アイドル回転数Ne1まで徐変される。このような徐変の経過を辿った結果、時刻T5において、エンジン200の機関回転数Neはアイドル回転数Ne1に到達し、以降、アイドル回転数Ne1が維持される。
次に、図5を参照して、本実施形態に係るアイドル回転数設定処理の効果について説明する。ここに、図5は、車両10に作用する力の時間経過を表す模式図である。
図5において、横軸は時刻であり、縦軸は車両10に作用する力を表している。縦軸中央付近はゼロであり、この位置では車両10に作用する駆動力と制動力との総和がゼロ、即ち、駆動力と制動力との釣り合いが保たれていることを表している。即ち、縦軸は、ゼロを基準に、上側に向う程駆動力が大きく、下側に向う程制動力が大きくなることを表し、ゼロよりも下側の領域(即ち、制動力が勝っている領域)では、車両10は停止した状態となる。
ここで、エンジン200のアイドル回転数の目標値が、ファストアイドル制御時の目標値Ne1に設定されている場合の、制動時における駆動力Fdの特性は、図示PrfFd1(細破線)であるとする。
一方、制動力Fbの特性は、図示PrfFb(太実線)であり、これは、非駆動輪に加わる制動力の特性PrfFf(一点鎖線)と駆動輪に加わる制動力の特性PrfFr(二点鎖線)の総和である。図示するように、非駆動輪は時刻T6においてロック状態となり、非駆動輪に加わる制動力Ffは、時刻T6以降実際の制動装置の駆動状態によらず一定値を採る。
このように駆動力Fdと制動力Fbとを表した場合、実際に車両に作用する力の時間特性は、特性PrfFd1と特性PrfFbとの和となり、図示特性PrfF1(太破線)の如く推移する。即ち、時刻T8において車両10は停止する。
一方、本実施形態に係るアイドル回転数設定処理によりアイドル回転数の目標値が暫定値たるNe0に設定された場合、駆動力の特性は、特性PrfFd1に対しNe1とNe0との差分に相当する量の負のオフセットを与えた形となり、図示特性PrfFd0(細実線)となる。
従って、車両10に作用する力の時間特性は、図示特性PrfF0(太実線)となり、時刻T7において、車両10は停止する。
このように、本実施形態に係るアイドル回転数設定処理が行われた場合、実際に車両の停止に要する時間は、アイドル回転数設定処理が行われずに通常通りファストアイドルが実行される場合と較べ、「T8−T7」に相当する時間短縮され、制動距離が大幅に短縮される。即ち、ファストアイドル制御を行うべき期間において車両の制動時にアイドル回転数の目標値を低下させることによって、車両10の制動性の悪化を抑制することが可能となるのである。
尚、アイドル回転数を低下させることによって相対的に向上せしめる上述した効果は、例えば、車両10の各制動装置のいずれかにおいてアンチロック制御が実行されている場合、即ち、より一般的には車両においてアンチロックブレーキシステムが作動している場合にも同様に有効であり、アンチロック制御が緊急時に顕著に作動することに鑑みれば、車両10の安全性向上に係る効果が顕著である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…車両、11B…ECT、20…アクセルペダル、22…ブレーキペダル、100…ECU、200…エンジン、210…スロットルバルブ、FL、FR、RL、RR…車輪。