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JP2008091162A - 酸化物半導体電極、および、これを用いた色素増感型太陽電池セル - Google Patents

酸化物半導体電極、および、これを用いた色素増感型太陽電池セル Download PDF

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JP2008091162A JP2006269621A JP2006269621A JP2008091162A JP 2008091162 A JP2008091162 A JP 2008091162A JP 2006269621 A JP2006269621 A JP 2006269621A JP 2006269621 A JP2006269621 A JP 2006269621A JP 2008091162 A JP2008091162 A JP 2008091162A
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oxide semiconductor
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Yasusuke Yabuuchi
庸介 薮内
Hiroki Nakagawa
博喜 中川
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、入射光の利用効率に優れた酸化物半導体電極を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、基材と、上記基材上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、を有する酸化物半導体電極であって、上記基材に光散乱材が含まれていることを特徴とする酸化物半導体電極を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池等に好適に用いられる酸化物半導体電極に関するものであり、より詳しくは入射光の利用効率に優れた酸化物半導体電極に関するものである。
近年、二酸化炭素の増加が原因とされる地球温暖化等の環境問題が深刻となり、世界的にその対策が進められている。中でも環境に対する負荷が小さく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池に関する積極的な研究開発が進められている。このような太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、および化合物半導体太陽電池などが既に実用化されているが、これらの太陽電池は製造コストが高い等の問題がある。そこで、環境負荷が小さく、かつ製造コストを削減できる太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目され研究開発が進められている。
このような色素増感型太陽電池には、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層を有する酸化物半導体電極が用いられている。
色素増感型太陽電池セルの一般的な構成の一例を図4に示す。図4に例示するように、一般的な色素増感型太陽電池セル120は、基材101上に、第1電極層102および色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層103がこの順で積層した酸化物半導体電極110の多孔質層103上に、酸化還元対を有する電解質層104と、第2電極層105と、対向基材106と、がこの順に積層された構成を有するものである。そして、金属酸化物半導体微粒子の表面に吸着した色素増感剤が、基材101側から太陽光を受光することによって励起され、励起された電子が第1電極層へ伝導し、外部回路を通じて第2電極層へ伝導される。その後、酸化還元対を介して色素増感剤の基底準位に電子が戻ることよって発電するものである。このような色素増感型太陽電池としては、上記多孔質層を多孔質二酸化チタンから構成し、色素増感剤の含有量を増加させたグレッチェルセルが代表的であり、発電効率の高い色素増感型太陽電池として広く研究の対象となっている。
現在、色素増感型太陽電池へ入射された光をより有効に活用する種々の試みがなされている。例えば、特許文献1においては、太陽電池素子の受光面に透光性光拡散層を設けた太陽電池が開示されている。この太陽電池は、透光性光拡散層を設けることにより、光を拡散入射させ、光路長を増大させることにより太陽電池の変換効率の向上を図るものである。しかしながら、特許文献1の太陽電池は、透光性光拡散層を基板の外側表面に配置させるものであり、色素増感剤が担持された多孔質層までの距離が長く、拡散光を多孔質層まで有効に到達させることが困難であり、入射光の利用効率が低下してしまうという問題点があった。
また、例えば特許文献2〜4においては、対向電極側に反射層等を設けた色素増感型太陽電池等が開示されている。このような色素増感型太陽電池等は、基板側から入射し多孔質層を通過した光を、反射層等を用いて反射させ、再度、多孔質層を通過させることによって、発電効率の向上を図るものである。しかしながら、対向電極側に反射層を設けると、電解質中のヨウ素等の可視光吸収に起因する入射光のロスが発生し、入射光の利用効率が低下してしまうという問題があった。
特開2002−222974号公報 特開2000−348784号公報 特開2003−142171号公報 特開2005−158379号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、入射光の利用効率に優れた酸化物半導体電極を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、基材と、上記基材上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、を有する酸化物半導体電極であって、上記基材に光散乱材が含まれていることを特徴とする酸化物半導体電極を提供する。
本発明によれば、上記多孔質層に近接して配置された基材中に光散乱材が含まれることにより、上記光散乱材により散乱された入射光が上記多孔質層を通過する際の光路を長くすることができる。これにより、本発明によれば入射光の利用効率に優れた酸化物半導体電極を得ることができる。
本発明の酸化物半導体電極においては、上記基材が、基体と、上記基体上に形成され光散乱材を含む接着層とからなり、かつ、上記第1電極層が上記接着層上に形成されていることが好ましい。上記基材が光散乱材を含む接着層を有し、かつ、上記接着層上に第1電極層が形成されていることにより、入射光の利用効率に優れ、さらに、転写法による生産性に優れた酸化物半導体電極を得ることができるからである。
また、本発明は、上記多孔質層に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に色素増感剤が吸着した、上記本発明の酸化物半導体電極の多孔質層と、第2電極層および対向基材からなる対電極基材の第2電極層とが、酸化還元対を含む電解質層を介して、対向配置されていることを特徴とする色素増感型太陽電池セルを提供する。
本発明によれば、酸化物半導体電極として、入射光の利用効率に優れる上記本発明の酸化物半導体電極を用いることにより、発電効率の高い色素増感型太陽電池セルを得ることができる。
本発明によれば、入射光の利用効率に優れた酸化物半導体電極を得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明の酸化物半導体電極、および、色素増感型太陽電池セルについて詳細に説明する。
A.酸化物半導体電極
まず、本発明の酸化物半導体電極について説明する。本発明の酸化物半導体電極は、基材と、上記基材上に形成された金属酸化物からなる第1電極層と、上記第1電極層上に形成された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、を有するものであって、上記基材に光散乱材が含まれていることを特徴とするものである。
次に、本発明の酸化物半導体電極について図を参照しながら説明する。図1は本発明の酸化物半導体電極の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明の酸化物半導体電極10は、光散乱材4を含む基材1と、上記基材1上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層2と、上記第1電極層2上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層3とを有するものである。
図2は本発明の酸化物半導体電極の他の例を示す概略断面図である。図2に示すように、本発明の酸化物半導体電極11は、基材1’が、基体1aと、光散乱材4を含む接着層1bとからなるものであり、上記接着層1b上に第1電極層2と多孔質層3とがこの順で積層された構成を有するものであってもよい。
図1および図2に示すように、本発明の酸化物半導体電極は、基材に入射光を散乱させる機能を有する光散乱材が含まれるものであり、これにより本発明は、入射光の利用効率に優れた酸化物半導体電極を提供できるといった効果を奏するものである。
ここで上記基材に光散乱材が含まれることにより入射光の利用効率を向上できる理由を以下に説明する。
本発明の酸化物半導体電極は、色素増感型太陽電池に代表される光電変換機能を有するデバイスに用いられるものであるが、このような酸化物半導体電極においては、通常、金属酸化物半導体微粒子を含む上記多孔質層において上記光電変換機能が発現される。したがって、酸化物半導体電極に入射する光を効率よく光電変換機能に利用するには、酸化物半導体電極に入射する光が上記多孔質層を通過する際の、多孔質層中の光路長を長くすることが最も直接的かつ有効な手段となる。本発明の酸化物半導体電極は、基材中に光散乱材を含有させて、当該光散乱材で入射光を前方散乱させることにより、上記多孔質層に入射する光が、多孔質層の法線方向に対して斜めから入射するようにすることにより、多孔質層中の光路長を長くし、これによって入射光の利用効率を向上させるものである。
従来、このような散乱現象を用いて入射光の利用効率を向上させたものとしては、酸化物半導体電極とは別に、光散乱機能を有する光散乱層を酸化物半導体電極の外に形成する態様が用いられてきた。しかしながら、このような態様では、入射光により光電変換機能を発現する多孔質層と、上記光散乱層との距離が離れてしまい散乱光を有効に利用できないという問題があった。
この点、本発明の酸化物半導体電極によれば、酸化物半導体電極を構成し、上記多孔質層に近接して配置された基材中に上記光散乱材が含まれることにより、上記多孔質層と近接した位置において入射光を散乱することができるため、入射光の利用効率をより一層向上することができる。
本発明の酸化物半導体電極は、基材と、第1電極層と、酸化物半導体層とを有するものである。以下、本発明の酸化物半導体電極の各構成について詳細に説明する。
1.基材
まず、本発明の酸化物半導体電極に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、光散乱材が含まれることにより、本発明の酸化物半導体電極に入射する光を散乱させる機能を有するものである。また、本発明に用いられる基材は、後述する第1電極層および多孔質層を支持する機能を有するものである。
なお、例えば、本発明の酸化物半導体電極を用いて色素増感型太陽電池を作製した場合には、上記基材が太陽光の受光面となる。
本発明に用いられる基材としては、少なくとも後述する第1電極層および多孔質層を支持する自己支持性を備える基体を有するものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられる基材は、このような基体のみからなるものであってもよく、また、上記基体と他の層とが積層した構成を有するものであってもよい。なかでも、本発明に用いられる基材は、上記基体と接着層とが積層した構成を有するものであることが好ましい。基材が上記基体と接着層とが積層した構成を有するものであることにより、本発明の酸化物半導体電極を転写方法による生産性に優れたものにできるからである。
上記基材として上記基体と接着層とが積層した構成を有するものを用いる場合は、上記基体および上記接着層の少なくとも一方に光散乱材が含まれていればよい。このような態様としては、上記基体のみに光散乱材が含まれている態様と、接着層のみに光散乱材が含まれている態様と、上記基体および接着層に光散乱材が含まれている態様との3態様がある。本発明においては上記3態様のいずれであっても好適に用いることができるが、少なくとも接着層に光散乱材が含まれている態様を用いることが好ましい。
以下、上記基材に用いられる光散乱材、基体、および、接着層について説明する。
(1)光散乱材
本発明に用いられる基材に含有される光散乱材について説明する。本発明に用いられる光散乱材は基材中に含まれることにより、基材に入射する光を前方散乱させる機能を有するものである。
本発明に用いられる光散乱材は、基材中に存在することにより、基材に入射する光を前方散乱させる機能を有するものである。このため、本発明に用いられる光散乱材は、屈折率が基材を構成する材料の屈折率と異なるものであることが必要である。本発明に用いられる光散乱材は、基材を構成する材料と異なる屈折率を有するものであれば、特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記光散乱材として、微粒子、球晶、および、気泡を好ましく用いることができる。以下、このような光散乱材についてそれぞれ説明する。
a.微粒子
まず、本発明における光散乱材として用いられる微粒子について説明する。本発明に用いられる微粒子の屈折率は、本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて、基材を構成する材料の屈折率との差が所望の範囲内となるように適宜選択して用いることができる。なかでも、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いる場合、微粒子の屈折率は、上記基材を構成する材料の屈折率との差が0.01以上、より好ましくは0.05以上となるものを用いることが好ましい。
本発明に用いられる具体的な微粒子の屈折率としては、基材を構成する材料の屈折率との差が上記範囲内となる範囲内であれば特に限定されないが、材料選択の容易性の観点から1.0〜3.0の範囲内が好ましく、なかでも1.2〜2.8の範囲内が好ましく、特に1.3〜2.5の範囲内であることが好ましい。
また、本発明に用いられる微粒子の屈折率は、基材を構成する材料の屈折率よりも大きいものであってもよく、または、小さいものであってもよい。
本発明に用いられる微粒子としては、有機材料からなる有機微粒子と、無機材料からなる無機微粒子とを挙げることができるが、本発明においては上記有機微粒子および上記無機微粒子のいずれであっても好適に用いることができる。
本発明に用いられる上記有機微粒子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のポリビニル系樹脂、ポリエチレングリコール等のポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、飽和共重合ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリアミド系樹脂、天然高分子系樹脂からなる微粒子を挙げることができる。なかでも本発明においては、これらの有機微粒子のなかでもスチレン系樹脂、アクリル系樹脂からなる微粒子を好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる上記無機微粒子としては、例えば、SiO、TiO、Al、ZrO、B、NaO、KO、LiO、RbO、CsO、SnO、In、ZnO等の酸化物、AlF、CaF、MnF、BeF、LiF等のフッ化物、そのほか窒化物、塩化物、硫化物等からなる微粒子を挙げることができる。なかでも本発明においては、これらの無機微粒子のなかでもSiO、TiO、または、ZrOからなる微粒子を好適に用いることができる。
本発明に用いられる微粒子は、1種類のみであってもよく、または、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられる微粒子の形状は、基材に入射した光を前方散乱できる形状であれば特に限定されないが、球形の微粒子を用いることが好ましい。球形の微粒子を用いることにより、基材に入射する光の角度に関わらず、入射光を前方散乱することができるからである。
光散乱材として上記微粒子を用いる場合、基材中における微粒子の含有量は、微粒子の種類および本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて、基材の光散乱性を所望の範囲内とすることができる程度の範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、微粒子を添加することにより、基材のヘイズが1%〜50%の範囲内、より好ましくは5%〜30%の範囲内となる程度の量であることが好ましい。
さらに、上記基材中に含まれる微粒子の量は、微粒子の種類および本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて、基材の光透過性を所望の範囲内とすることができる程度の量であることが好ましい。より具体的には、微粒子を添加することにより、基材の全光透過率が70%以上、より好ましくは85%以上となる程度の量であることが好ましい。
また、本発明に用いられる基材を、基体と接着層とが積層した構成を有するものとする場合において、上記光散乱材として微粒子を用いる態様としては、上記基体または上記接着層の少なくとも一方に微粒子が含まれている態様であれば特に限定されない。このような態様としては、上記微粒子が上記基体のみに含まれている態様、上記微粒子が上記接着層のみに含まれている態様、および、上記微粒子が、上記基体と上記接着層とに含まれている態様を挙げることができる。なかでも本発明においては、少なくとも接着層に微粒子が含まれている態様を用いることが好ましく、特に、接着層のみに微粒子が含まれている態様を用いることが好ましい。
光散乱材として上記微粒子を用いる場合、基材中に上記微粒子を含有させる方法としては、一定量の微粒子を均一に含有させることができる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、例えば、後述する基材を構成する材料と、上記微粒子とを含む基材形成用組成物を用い、これをキャスティング法等の公知の方法により基材を成膜する方法を用いることができる。
また、本発明に用いられる基材を、上述したような基体と接着層とが積層された態様とする場合において、上記接着層に微粒子を含有させる方法としては、例えば、上記基体上に接着層を形成する際に、接着層に用いられる接着性樹脂と、上記微粒子とを含む接着層形成用組成物を用い、当該接着層形成用組成物を上記基体上に塗工する方法を用いることができる。
b.球晶
次に、本発明における光散乱材として用いられる球晶について説明する。本発明に用いられる球晶としては、基材を構成する材料と屈折率が異なるものであれば特に限定されないが、通常、基材を構成する材料を一部球晶としたものが用いられる。
本発明における光散乱材として球晶を用いる場合、基材中の球晶の存在量としては、基材に所望の光散乱性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、上記球晶の存在量が、基材のヘイズおよび光透過性を所望の範囲内とすることができる程度の範囲内であることが好ましい。このようなヘイズおよび光透過性の範囲としては、上記「a.微粒子」の項において記載した範囲と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる基材を、基体と接着層とが積層した構成を有するものとする場合において、上記光散乱材として球晶を用いる態様としては、上記基体または上記接着層の少なくとも一方に球晶が形成された態様をであれば特に限定されない。このような態様としては、上記基体のみに球晶が形成された態様、上記接着層のみに球晶が形成された態様、および、上記基体と上記接着層とに球晶が形成された態様を挙げることができる。なかでも本発明においては、少なくとも上記接着層に球晶が形成された態様を用いることが好ましく、特に、上記接着層のみに球晶が形成された態様を用いることが好ましい。
上記光散乱材として球晶を用いる場合において、基材中に球晶を形成する方法としては、例えば、基材を作製する際に成膜後の冷却温度を制御し、球晶の大きさを制御する方法や、基材または接着層を成膜する際に、造核剤を添加して球晶の大きさを制御する方法等を挙げることができる。
c.気泡
次に、本発明における光散乱材として用いられる気泡について説明する。本発明に用いられる気泡としては、基材を構成する材料と屈折率が異なる基体から構成される気泡であれば特に限定されないが、通常は、空気からなる気泡を用いることが好ましい。
本発明における光散乱材として気泡を用いる場合、基材中の気泡の存在量は、基材に所望の光散乱性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、上記球晶の存在量が、基材のヘイズおよび光透過性を所望の範囲内とすることができる程度の範囲内であることが好ましい。このようなヘイズおよび光透過性の範囲としては、上記「a.微粒子」の項において記載した範囲と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明に用いられる気泡の具体的な大きさとしては0.1μm〜10μmの範囲内が好ましく、なかでも0.5μm〜5μmの範囲内が好ましい。
本発明に用いられる基材を、基体と接着層とが積層した構成を有するものとする場合において、上記光散乱材として気泡を用いる態様としては、上記基体または上記接着層の少なくとも一方に球晶が形成された態様であれば特に限定されない。このような態様としては、上記基体のみに気泡が形成された態様、上記接着層のみに気泡が形成された態様、および、上記基体と上記接着層とに気泡が形成された態様を挙げることができる。本発明においては、これらのいずれの態様であっても好適に用いることができる。
光散乱材として気泡を用いる場合、基材中に気泡を含有させる方法としては、一定量の気泡を均一に含有させることができる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、例えば、基材を加熱して発泡させる方法や、基材中に発泡剤の添加する方法等を挙げることができる。ここで、上記発泡剤については一般的に公知の発泡剤を用いることができる。
(2)基体
次に、本発明に用いられる基体について説明する。本発明に用いられる基体としては、後述する第1電極層および多孔質層を支持することが可能な程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されず、可撓性を有するフレキシブル材であってもよく、または、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性を有さないリジッド材であってもよい。なかでも本発明においては上記フレキシブル材を用いることが好ましく、上記フレキシブル材のなかでもフィルム基材であることが好ましい。フィルム基材は加工性に優れ、製造コストの低減ができるからである。
上記フィルム基材としては、例えば、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂フィルム基材等を挙げることができ、なかでも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネートフィルム(PC)が好ましい。
また、上記基体の厚みは、本発明の酸化物半導体電極の用途等により異なるものであるが、50μm〜2000μmの範囲内、中でも75μm〜1800μmの範囲内、特に100μm〜1500μmの範囲内であることが好ましい。基体の厚みが小さすぎると、本発明の酸化物半導体電極に充分な機械的強度を付与できない可能性があるからである。また基体の厚みが大きすぎると、本発明の酸化物半導体電極の加工適性を損なう可能性があるからである。
また、上記基体は、耐熱性、耐候性、水蒸気、その他のガスバリア性に優れたものであることが好ましい。上記基体がガスバリア性を有することにより、例えば、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いた場合に、色素増感型太陽電池の経時安定性を向上できるからである。なかでも本発明においては、酸素透過率が温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m/day・atm以下、水蒸気透過率が温度37.8℃、湿度100%の条件下において1g/m/day以下のガスバリア性を有する基体を用いることが好ましい。本発明においては、このようなガスバリア性を達成するために、任意の基体上にガスバリア層を設けたものを用いてもよい。
(3)接着層
本発明に用いられる接着層について説明する。本発明に用いられる上記接着層としては、後述する第1電極層と上記基体とを接着できる材料からなるものであれば特に限定されない。なかでも、本発明においては上記接着層を構成する材料として熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
上記接着層に用いられる熱可塑性樹脂は、所望の温度で融解する樹脂であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、熱可塑性樹脂の融点が50℃〜200℃の範囲内であることが好ましく、特に60℃〜180℃の範囲内であることが好ましく、特に65℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。融点が上記範囲よりも低いと、例えば、本発明の酸化物半導体電極を用いて作製した色素増感型太陽電池セルを、屋外で使用した場合に、基材と第1電極層間の密着性が十分に保持されない可能性が有り、また、融点が上記範囲よりも高いと、例えば、転写法により本発明の酸化物半導体電極を作製する際に、転写工程において融点以上の加熱工程が必要となるため、上記基体の種類によっては、基体自体が熱によるダメージを受ける場合があるからである。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂が接着性樹脂であることが好ましい。このような接着性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン‐プロピレンゴム等のポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチルセルロース、トリ酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。なかでも、接着性、電解液に対する耐性、光透過性及び転写性の点から、ポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シラン変性樹脂、および酸変性樹脂が好ましい。
また、上記接着性樹脂の別の例として、以下のようなポリオレフィン化合物を挙げることができる。上記ポリオレフィン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα―オレフィンの単独重合体、それらのα―オレフィンとエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体、(無水)マレイン酸変性樹脂、シラン変性樹脂やオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
上記α−オレフィンの単独又は共重合体としては、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アタクチックポリプロピレン、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体などのポリオレフィン;エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸3元共重合体などの(無水)マレイン酸変性樹脂、エチレン不飽和シラン化合物とポリオレフィン化合物との共重合体からなるシラン変性樹脂などの変性ポリオレフィン;などが挙げられる。
上記オレフィン系エラストマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレンをハードセグメントとし、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)をソフトセグメントとするエラストマーなどが挙げられる。
これらのポリオレフィン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明においては、これらのポリオレフィン化合物のうち、接着性の点から、変性ポリオレフィン、特に変性エチレン系樹脂(例えば、エチレン不飽和シラン化合物とポリオレフィン化合物との共重合体からなるシラン変性樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン共重合体など)が好ましい。なかでもシラン変性樹脂を接着層とする場合が最も好ましい。
上記シラン変性樹脂としては、上記融点を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるシラン変性樹脂としては、ポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いることが好ましい。このような共重合体を用いることにより、例えば、本発明の酸化物半導体電極の製造方法等に応じて、シラン変性樹脂の諸物性を好適範囲に調整することが容易になるからである。本発明において上記共重合体は、シラノール触媒による架橋をしていてもしていなくてもどちらでもよい。
ポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体のいずれであってもよい。本発明においては、グラフト共重合体であることが好ましく、さらには、重合用ポリエチレンの主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、接着層の接着力をより強固にすることができるからである。
上記ポリオレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素数2〜8程度のα-オレフィンの単独重合体、それらのα-オレフィンとエチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等の炭素数2〜20程度の他のα-オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、及び、1-ブテン単独重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体等の1-ブテン系樹脂等が挙げられる。中でも本発明においては、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂(以下、重合用ポリエチレンと称する。)としては、ポリエチレン系のポリマーであれば特に限定されない。このようなポリエチレン系のポリマーとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、極超低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。また本発明においては、これらのポリエチレン系ポリマーの一種類を単体として用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、上記重合用ポリエチレンは、上記ポリエチレン系ポリマーの中でも密度が低いものが好ましく、具体的には、密度が0.850g/cm〜0.960g/cmの範囲内であることが好ましく、特に0.865g/cm〜0.930g/cmの範囲内であることが好ましい。密度が低いポリエチレン系ポリマーは、一般的に側鎖を多く含有しているため、グラフト重合に好適に用いることができる。したがって、密度が上記範囲よりも高いと、グラフト重合が不十分になり、接着層に所望の接着力を付与することができない場合があり、また、密度が上記範囲よりも低いと、接着層の機械強度が損なわれる可能性があるからである。
上記エチレン性不飽和シラン化合物としては、上記重合用ポリエチレンと重合して、熱可塑性樹脂を形成できるものであれば特に限定されない。このようなエチレン性不飽和シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリオペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、およびビニルトリカルボキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
次に、上記ポリオレフィン化合物と、上記エチレン性不飽和シラン化合物とのグラフト共重合体の製造方法について説明する。このようなグラフト共重合体の製造方法は、所望の収率を得ることができる方法であれば特に限定されることなく、公知の重合手段により製造することができる。中でも本発明においては、上記ポリオレフィン化合物と、上記エチレン性不飽和シラン化合物と、遊離ラジカル発生剤と、からなるシラン変性樹脂組成物を加熱溶融混合することによりグラフト共重合体を得る方法が好ましい。このような方法によれば高収率で上記グラフト共重合体を得ることが容易だからである。
上記加熱溶融混合時の加熱温度は、所望の時間内に重合反応を終えることができる範囲内であれば特に限定されないが、通常、300℃以下が好ましく、特に270℃以下が好ましく、中でも、160℃〜250℃の範囲内が好ましい。加熱温度が上記範囲よりも低いと、重合反応が十分に進行しない場合があり、また加熱温度が上記範囲よりも高いと、シラノール基部分が架橋しゲル化する可能性があるからである。
遊離ラジカル発生剤としては、上記重合反応の促進に寄与できる化合物であれば特に限定されない。このような遊離ラジカル発生剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチル‐パーオキシイソブチレート、t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げることができる。これらの遊離ラジカル発生剤は、一種類のみを単体として用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
上記シラン変性樹脂組成物中の遊離ラジカル発生剤の含有量は、遊離ラジカル発生剤の種類や重合反応条件に応じて、任意に決定することができるが、重合反応により得られるシラン変性樹脂中の残存量が0.001質量%以下となる範囲内であることが好ましい。本発明においては、通常、上記シラン変性樹脂組成物中のポリオレフィン化合物100重量部に対して、0.001重量部以上含まれていることが好ましく、特に0.01重量部〜5重量部含まれていることが好ましい。
上記シラン変性樹脂成物中の、エチレン性不飽和シラン化合物の含有量は、重合用ポリエチレン100重量部に対して、0.001重量部〜4重量部の範囲内が好ましく、特に0.01重量部〜3重量部の範囲内が好ましい。エチレン性不飽和シラン化合物の含有量が上記範囲よりも多いと、重合されることなく遊離したエチレン性不飽和シラン化合物が残存する可能性が有り、また上記範囲よりも少ないと接着層の密着力が不十分となり、本発明の酸化物半導体電極の安定性が損なわれてしまう場合があるからである。
本発明に用いられる接着層には、必要に応じてシラン変性樹脂以外の他の化合物を含むことができる。本発明においては、このような他の化合物として熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、なかでもポリオレフィン化合物(以下、添加用ポリオレフィン化合物と称する。)を用いることが好ましい。また、接着層に含まれる上記シラン変性樹脂として、ポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いる場合には、このような添加用ポリオレフィン化合物として、上記共重合体に用いられるポリオレフィン化合物と化合物を用いることが好ましい。
本発明において、接着層中の上記添加用ポリオレフィン化合物の含有量は、上記シラン変性樹脂100重量部に対し、0.01重量部〜9900重量部の範囲内が好ましく、特に0.1重量部〜2000重量部の範囲内がより好ましい。添加用ポリオレフィン化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと、コストの面において不利となってしまう場合があり、また上記範囲よりも多いと、接着層の接着力が不十分となる可能性があるからである。
本発明においては、上記ポリオレフィン化合物として、ポリエチレン系樹脂(以下、添加用ポリエチレンと称する。)を用いることが好ましい。本発明においては、上記シラン変性樹脂として、ポリエチレン系樹脂とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いることが好ましいからである。
上記添加用ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、および直鎖状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
また、本発明に用いられる接着層は、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期にわたって安定した機械強度、黄変防止、ひび割れ防止、優れた加工適性を得ることができるからである。
光安定化剤は、接着層に用いられる熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物などの光安定化剤が挙げられる。
紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、接着層に用いられる熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、および超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01μm〜0.06μm)もしくは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:0.01μm〜0.04μm)などの無機系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
熱安定剤としては、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4‐ビス(1,1−ジメチルエチル)‐6‐メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)[1,1‐ビフェニル]‐4,4´‐ジイルビスホスフォナイト、およびビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系熱安定剤;8‐ヒドロキシ‐5,7‐ジ‐t‐ブチル‐フラン‐2‐オンとo‐キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤などを挙げることができる。リン系熱安定剤とラクトン系熱安定剤とを併用することが好ましい。
酸化防止剤は、接着層に用いられる熱可塑性樹脂の酸化劣化を防止するものである。具体的には、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、およびラクトン系などの酸化防止剤が挙げられる。
これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤の含有量は、その粒子形状、密度などにより異なるものではあるが、それぞれ接着層の材料中0.001質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられる他の化合物としては上記以外に、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等を挙げることができる。
本発明に用いられる接着層の厚みは、接着層を構成する熱可塑性樹脂の種類に応じて、必要な接着力を発現できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、5μm〜300μmの範囲内が好ましく、特に10μm〜200μmの範囲内が好ましい。接着層の厚みが上記範囲よりも薄いと所望の接着力を得ることができない場合があり、また厚みが上記範囲よりも厚いと接着層により層間接着強度を十分に発現させるために過剰な加熱が必要となり、基体などへの熱ダメージが大きくなる場合があるからである。
(4)その他
本発明に用いられる基材は、表面に微細な凹凸形状が形成されていてもよい。このような微細な凹凸形状が形成されていることにより、基材による光散乱機能を向上することができるからである。
2.第1電極層
次に本発明に用いられる第1電極層について説明する。本発明に用いられる第1電極層は、金属酸化物からなることを特徴とするものである。
(1)金属酸化物
本発明に用いられる金属酸化物としては、導電性に優れ、かつ後述する酸化還元対に対して耐性を示す材料であれば特に限定はされない。なかでも本発明においては、太陽光の透過性に優れた材料を用いることが好ましい。例えば、本発明の酸化物半導体電極を用いて色素増感型太陽電池を作製した場合、通常、上記基材側から太陽光を受光する発明により使用するため、上記金属酸化物が太陽光の透過性に乏しいと、本発明の酸化物半導体電極を用いた色素増感型太陽電池の発電効率が損なわれてしまうからである。
このような太陽光の透過性に優れた上記金属酸化物としては、例えば、SnO、ITO、IZO、ZnOを挙げることができる。本発明においてはこれらの金属酸化物の中でも、フッ素ドープしたSnO(以下、FTOと称する。)、ITOを用いることが好ましい。FTOおよびITOは、導電性および太陽光の透過性の両方に優れているからである。
(2)第1電極層
本発明における第1電極層は、単層からなる構成であってもよく、また、複数の層を積層した構成であってもよい。複数の層を積層した構成としては、例えば、仕事関数が互いに異なる層を積層する発明や、互いに異なる金属酸化物からなる層を積層する発明を挙げることができる。
本発明における第1電極層の厚みは、本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて、所望の導電性を実現できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明における第1電極層の厚みとしては、通常、5nm〜2000nmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも厚いと、均質な第1電極層を形成することが困難となる場合があり、また、厚みが上記範囲よりも薄いと、本発明の酸化物半導体電極の用途によっては第1電極層の導電性が不足する可能性があるからである。
なお、上記透明電極の厚みは、透明電極が複数の層から構成される場合には、すべての層の厚みを合計した総厚みを指すものとする。
また、本発明における第1電極層としては、基材上に開口が十分で光透過性のある金属メッシュと上述した金属酸化物とを一体化、または積層化した構成を有するものを用いることもできる。
3.多孔質層
次に本発明に用いられる多孔質層について説明する。本発明に用いられる多孔質層は、金属酸化物半導体微粒子を含むことを特徴とするものである。
(1)金属酸化物半導体微粒子
上記多孔質層に用いられる金属酸化物半導体微粒子としては、TiO、ZnO、SnO、ITO、ZrO、MgO、Al、CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。これらの金属酸化物半導体微粒子は、多孔性の多孔質層を形成するのに適しており、エネルギー変換効率の向上、コストの削減を図ることができるため本発明の酸化物半導体電極に好適に用いられる。また、本発明においては上記金属酸化物半導体微粒子のうち、いずれか一種を使用してもよく、また、2種以上を混合して使用してもよい。さらに、上記の金属酸化物半導体微粒子のうち、一種をコア微粒子とし、他の金属酸化物半導体微粒子により、コア微粒子を包含してシェルを形成するコアシェル構造としてもよい。本発明においては、上記半導体酸化物微粒子としてTiOを用いることが最も好ましい。
上記金属酸化物半導体微粒子の粒径としては、多孔質層中に所望の表面積を得ることができる範囲内であれば特に限定はされないが、通常、1nm〜10μmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。粒径が上記範囲よりも小さいと各々の金属酸化物半導体微粒子が凝集し二次粒子を形成してしまう場合があり、また粒径が上記範囲より大きいと、多孔質層が厚膜化してしまうだけではなく、多孔質層の多孔度、すなわち比表面積が減少し、例えば、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いた場合に、多孔質層に光電変換するのに十分な色素増感剤を担持することができない場合があるからである。
また本発明においては、上記金属酸化物半導体微粒子として、粒径の異なる複数の金属酸化物半導体微粒子の混合物を用いてもよい。粒径の異なる金属酸化物半導体微粒子の混合物を用いることにより、多孔質層における光散乱効果を高めることができるため、例えば、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いた場合に、色素増感剤による光吸収を効率的に行うことが可能となる。したがって、本発明においては粒径の異なる金属酸化物半導体微粒子の混合物を用いることが特に好ましい。
このような粒径の異なる複数の金属酸化物半導体微粒子の混合物としては、同種類の金属酸化物半導体微粒子の混合物であってもよく、または異なる種類の金属酸化物半導体微粒子の混合物であってもよい。異なる粒径の組み合わせとしては、例えば、10〜50nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子と、50〜800nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子とを混合して用いる発明を挙げることができる。
(2)その他の化合物
本発明における多孔質層には、上記第1電極層を構成する金属酸化物が有する金属元素と同一の金属元素(以下、電極金属元素と称する場合がある。)を含むことが好ましい。上記多孔質層が、電極金属元素を含むことにより、本発明の酸化物半導体電極を導電性に優れたものにできるからである。
上記多孔質層中の電極金属元素の存在分布は、本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて、任意に決定することができるが、第1電極層側の表面から反対側表面に向かって減少傾向の濃度勾配をもつ存在分布を有することが好ましい。多孔質層中において電極金属元素がこのように分布することにより、多孔質層の集電効率を一層向上することができるからである。
本発明において、多孔質層中に電極金属元素が含まれること、および上記の存在分布を有することは、電子線をプローブとして特定したい金属元素の特性X線強度を二次元でマッピングすることにより判断することができる。具体的には、日本電子社(JEOL)製のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)により判断することができる。また、上記金属元素の濃度勾配については、上記EPMAにより得られる断面元素マッピング図の縦方向(断面垂直方向)の検出強度プロファイルにより判断することができる。
また本発明における多孔質層は、色素増感剤を含むことが好ましい。すなわち、上記多孔質層に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に色素増感剤が吸着していることが好ましい。上記多孔質層が色素増感剤を含むことにより、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いる場合に、色素増感型太陽電池セルの製造工程を簡易化できるからである。本発明に用いられる色素増感剤としては、光を吸収し起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定はされない。このような色素増感剤としては、有機色素または金属錯体色素を挙げることができる。
なお、本発明において上記「色素増感剤を含む」とは、多孔質層(介在層、および酸化物半導体層)に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に吸着していることを意味するものとする。
本発明に用いられる上記有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系の色素が挙げられる。本発明においてはこれらの有機色素の中でも、クマリン系色素を用いることが好ましい。
また、本発明に用いられる上記金属錯体色素としては、ルテニウム系色素が好ましく、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素が好ましい。このようなルテニウム錯体は、吸収する光の波長範囲が広いため、光電変換できる光の波長領域を大幅に広げることができるからである。
(3)多孔質層
本発明における多孔質層の膜厚は、本発明の酸化物半導体電極の用途に応じて、多孔質層に所望の機械強度を付与できる範囲内であれば特に限定されない。本発明における多孔質層の膜厚は、通常、1μm〜100μmの範囲内が好ましく、特に5μm〜30μmの範囲内が好ましい。多孔質層の厚みが上記範囲よりも厚いと、接着層からの剥離、多孔質層自体の凝集破壊が起りやすく、膜抵抗となりやすくなってしまう場合があり、また、上記範囲よりも薄いと厚みが均一な多孔質層を形成するのが困難となったり、例えば、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いた場合に、色素増感剤を含んだ多孔質層が太陽光などを十分に吸収できないために、性能不良になる可能性があるからである。
本発明における多孔質層は、単一の層からなる構成でもよく、また複数の層を積層した構成でもよいが、本発明においては複数の層を積層する構成を有することが好ましい。複数の層を積層する構成としては、本発明の酸化物半導体電極の製造方法等に応じて任意の構成を適宜選択して採用することができる。なかでも本発明においては、多孔質層を上記第1電極層と接する酸化物半導体層と、上記酸化物半導体層上に形成され、かつ上記酸化物半導体層よりも空孔率が高い介在層と、からなる2層構造とすることが好ましい。多孔質層をこのような酸化物半導体層と、介在層とからなる2層構造とすることにより、転写方式により多孔質層を形成する際に、上記耐熱基板と多孔質層との密着力を低減することができ、転写方式による生産性に優れた酸化物半導体電極を得ることができるからである。
本発明において、多孔質層を上記酸化物半導体層と、上記介在層とからなる2層構造とする場合には、上記介在層は上記酸化物半導体層上に均一に形成されている必要は無く、厚み分布を有していてもよく、また酸化物半導体層上に介在層が存在しない部分があってもよい。介在層がこのような態様で存在しても、転写方式による生産性に優れた酸化物半導体電極を得ることができるからである。
多孔質層を上記酸化物半導体層と、上記介在層との2層構造とする場合における、酸化物半導体層と介在層との厚み比は、本発明の酸化物半導体電極の製造方法等に応じて、任意に決定すればよい。なかでも本発明においては上記酸化物半導体層と上記介在層との厚み比が、10:0.1〜10:5の範囲内であることが好ましく、なかでも、10:0.1〜10:3の範囲内であることが好ましい。介在層の厚みが上記範囲よりも厚いと、介在層の凝集破壊が起り易くなることによって、本発明の酸化物半導体電極を生産する際に歩留まりが悪くなったり、例えば、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いた場合に、多孔質層に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に所望量の色素増感剤を吸着させることができない可能性があるからである。また厚みが上記範囲よりも薄いと本発明の酸化物半導体電極の生産性向上に寄与できない場合があるからである。
上記酸化物半導体層の空孔率としては、10%〜60%の範囲内であることが好ましく、中でも、20%〜50%の範囲内であることが好ましい。例えば、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いた場合に、酸化物半導体層の空孔率が上記範囲よりも小さいと、比表面積が小さくなるため、色素増感剤を含んだ多孔質層が太陽光などを有効に吸収できなくなる可能性があり、また上記範囲よりも大きいと、酸化物半導体層に所望量の色素増感剤を含むことができなくなる可能性があるからである。
上記介在層の空孔率としては、上記酸化物半導体層の空孔率よりも大きければ特に限定されないが、通常、25%〜65%の範囲内であることが好ましく、なかでも、30%〜60%の範囲内であることが好ましい。介在層の空孔率が上記範囲よりも小さいと、耐熱基板との密着力が高くなるため、生産性に欠けてしまう可能性があり、また上記範囲よりも大きいと、均質な介在層を形成することが困難になる場合があるからである。
なお、本発明における空孔率とは単位体積当たりの金属半導体微粒子の非占有率のことを示す。上記空孔率の測定方法としては、細孔容積をガス吸着量測定装置(Autosorb−1MP;Quantachrome製)にて測定し、単位面積あたりの体積との比率から算出する。介在層の空孔率については酸化物半導体層と積層された多孔質層として求め、酸化物半導体層単体で求めた値より算出する。
4.酸化物半導体電極
本発明の酸化物半導体電極における多孔質層は、パターニングされていることが好ましい。多孔質層がパターニングされていることにより、本発明の酸化物半導体電極を、モジュール起電力の高い色素増感型太陽電池を作製するのに好適なものにできるからである。本発明における多孔質層のパターニングは、少なくとも多孔質層がパターニングされていればよい。また、多孔質層が、上記酸化物半導体層と、上記介在層とからなる場合には、両層が同一形状でパターニングされていることが好ましい。
本発明における多孔質層のパターニング発明としては、多孔質層と、第1電極層とがパターニングされていることが好ましい。また、このように多孔質層と第1電極層とがパターニングされている場合においては、多孔質層と第1電極層とのパターニング形状は、例えば、多孔質層のパターン形状が第1電極層のパターン形状よりも小さい等の態様によりパターン形状が互いに異なっていることが好ましい。
本発明において多孔質層がパターニングされている場合の、パターンは、本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて任意に決定することができるが、なかでも、ストライプ形状のパターンとすることが最も好ましい。
5.酸化物半導体電極の方法
次に、本発明の酸化物半導体電極の作製方法について説明する。本発明の酸化物半導体電極の作製方法は上記構成を有する酸化物半導体電極を作成できる方法であれば特に限定されるものではない。
以下、本発明の酸化物半導体電極の製造方法の例として、上記基材が光散乱材を含む接着層と基体とが積層された構成を有する態様の酸化物半導体電極の製造方法の一例を説明する。
上記態様の酸化物半導体電極は、接着層と基体とが積層された構成を有する基材の接着層側に、多孔質層および第1電極層の積層体を転写する方法により製造することができる。具体的には、耐熱基板上に多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、上記多孔質層上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層上に光散乱材を含む接着層と基体とが積層された構成を有する基材を付与する基材付与工程と、により耐熱基板付酸化物半導体電極を作製する耐熱基板付基材形成工程、および、上記耐熱基板付酸化物半導体電極が有する耐熱基板を上記多孔質層から剥離する耐熱基板剥離工程により製造することができる。以下、このような製造方法について詳細に説明する。
(1)耐熱基板付基材形成工程
まず、上記の耐熱基板付基材形成工程について説明する。上記耐熱基板付基材形成工程は、多孔質層形成工程と、第1電極層形成工程と、基材付与工程と、により耐熱基板付酸化物半導体電極を作製する工程である。
i.多孔質層形成工程
上記多孔質層形成工程においては、金属酸化物半導体微粒子と、樹脂と、溶媒とを含む多孔質層形成用塗工液を耐熱基板上に塗工した後、これを焼成することにより耐熱基板上に多孔質層を形成することができる。
また、本工程において、耐熱基板上に介在層形成用層を形成する介在層形成用層形成工程と、上記介在層形成用層上に酸化物半導体層形成用層を形成する酸化物半導体層形成用層形成工程と、上記介在層形成用層および上記酸化物半導体層形成用層を焼成して、多孔質である介在層および酸化物半導体層からなる多孔質層を形成する焼成工程とを用いることにより、本工程により形成される多孔質層を上記のように酸化物半導体層と、介在層との2層からなる構成とすることができる。
本工程に用いられる耐熱基板としては、後述する焼成処理時の加熱温度に対する耐熱性を有するものであれば特に限定されない。本発明における「耐熱性」とは多孔質層を形成する際に行われる焼成処理時の加熱温度に対する耐熱性をいう。このように耐熱性に優れた耐熱基板を用いることにより、後述する焼成処理を充分に高温で行うことができるので、多孔質層を形成する金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高くすることができる。また、上記耐熱基板は、リユースできることが好ましい。
本工程に用いられる耐熱基板は、上記耐熱性を有するもののなかでも、さらに耐酸性を有するものであることが好ましい。ここで、本発明における「耐酸性」とは、多孔質層を形成するために用いられる多孔質層形成用塗工液が酸性である場合に、その多孔質層形成用塗工液によって腐食しない程度の耐酸性、または多少腐食した場合であっても、その酸分解生成物が多孔質層等の変質、剥離等を生じさせない程度の耐酸性をいう。
また、上記耐熱基板は、上述した耐酸性および耐熱性を有するものであれば、単層であってもよく、複数層であってもよい。上記耐熱基板が単層である場合、耐熱基板の材料としては、可撓性、耐熱性および耐酸性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、金属単体、金属合金および金属酸化物等の金属等を挙げることができる。上記金属単体としては、例えばTi、W、Mo、Nb、Cr、Ni、Ag、Zr、Pt、Ta、Au等を挙げることができ、中でもTi、W、Pt、Auが好ましい。上記金属合金としては、例えばSUS、Ti合金、Fe合金、Ni合金、Al合金、W合金、Mg合金、Co合金、Cr合金等を挙げることができ、中でもSUS、Ti合金、Al合金が好ましい。上記金属酸化物としては、例えばSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Cr酸化物、W酸化物等を挙げることができ、中でもSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物が好ましい。
一方、上記耐熱基板が複数層である場合は、例えば上記耐熱基板が、耐熱性層と、上記耐熱性層の少なくとも上記多孔質層側の表面に形成された耐酸性層と、を有するもの等を挙げることができる。
上記耐熱性層は、多孔質層を形成する際に行われる焼成処理時の加熱温度に対して、充分な耐熱性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような耐熱性層の材料としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス等を挙げることができ、中でも、金属が好ましい。さらに、上記金属としては、具体的には金属単体、金属合金および金属酸化物等を挙げることができる。また、上記金属単体、金属合金および金属酸化物は、一般的に充分な耐熱性を有していることから、その種類等は特に限定されるものではない。なお、上記金属単体としては、具体的にはTi、W、Pt、Au等が好ましく、上記金属合金としては、具体的にはSUS、Ti合金、Al合金等が好ましく、上記金属酸化物としては、具体的にはSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物等が好ましい。
上記耐酸性層は、耐酸性および耐熱性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような耐酸性層の材料としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス等を挙げることができ、中でも、金属が好ましい。さらに、上記金属としては、具体的には、金属単体、金属合金および金属酸化物等を挙げることができる。上記金属単体としては、例えばTi、W、Mo、Nb、Cr、Ni、Ag、Zr、Pt、Ta、Au等を挙げることができ、中でもTi、W、Pt、Auが好ましい。上記金属合金としては、例えばSUS、Ti合金、Fe合金、Ni合金、Al合金、W合金、Mg合金、Co合金、Cr合金等を挙げることができ、中でもSUS、Ti合金、Al合金が好ましい。上記金属酸化物としては、例えばSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Cr酸化物、W酸化物等を挙げることができ、中でもSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物が好ましい。
本工程に用いられる耐熱基板が上記耐熱性層および耐酸性層を有するものである場合、耐熱性層および耐酸性層の組合せとしては、特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。例えば、耐熱性層の材料が金属、ガラスまたはセラミックスであって、耐酸性層の材料が金属である組合せ等を挙げることができ、中でも、上記耐熱性層および上記耐酸性層の材料が金属である組合せが好ましい。可撓性に優れた耐熱基板とすることができるからである。
上記耐熱性層および上記耐酸性層の材料が金属である組合せとしては、例えば、耐熱性層の材料が金属単体、金属合金または金属酸化物であって、耐酸性層の材料が上記耐熱性層に用いた金属以外の金属単体、金属合金または金属酸化物である組合せを挙げることができる。具体的には、耐熱性層の材料/耐酸性層の材料の組合せとして、Ti単体/Ti酸化物、SUS/Cr単体、SUS/Si酸化物、SUS/Ti酸化物、SUS/Al酸化物、SUS/Cr酸化物等を挙げることができる。
また、上記耐熱性層および上記耐酸性層の材料が金属である場合、上記耐熱性層に含まれる金属元素と、上記耐酸性層に含まれる金属元素とが異なることが好ましい。なお、ここで「耐熱性層に含まれる金属元素」とは、耐熱性層に最も多く含まれる金属元素を意味するものである。従って、例えばSUSが、Cr、Ni等を含有する場合であっても、「耐熱性層に含まれる金属元素」はFeとなる。また、「耐酸性層に含まれる金属元素」についても同様である。このような耐熱性層および耐酸性層の組合せとしては、耐熱性層の材料/耐酸性層の材料の組合せとして、SUS/Cr単体、SUS/Si酸化物、SUS/Ti酸化物、SUS/Al酸化物、SUS/Cr酸化物等を挙げることができる。
また、上記耐熱基板は、可撓性を有することが好ましい。Roll to Roll方式により酸化物半導体電極を製造することが可能となるからである。
上記多孔質層形成用塗工液に用いられる樹脂は、焼成工程において、分解されやすいものであれば特に限定はされない。上記酸化物半導体層形成用塗工液に用いられる樹脂としては、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などのほか、ポリエチレングリコールのような多価アルコール類等を挙げることができる。
また、上記多孔質層形成用塗工液に用いられる溶媒は、上記樹脂を所望量溶解できるものであれば特に限定されない。このような溶媒としては、水またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール等の各種溶剤を挙げることができる。中でも、水ないしアルコール系の溶媒であることが好ましい。
上記多孔質層形成用塗工液を上記耐熱基板上に塗布することにより多孔質層形成用層を形成する方法としては、特に限定されず一般的に公知の方法を用いることができる。また、上記多孔質層形成用層を焼成する方法についても、上記樹脂を分解することにより空孔を形成できる方法であれば特に限定されない。このような多孔質層形成用層の形成方法および多孔質層形成用層の焼成方法としては、例えば、特開2005−166648号公報に記載された方法を好適に用いることができる。
ii.第1電極層形成工程
次に、第1電極層形成工程について説明する。第1電極層形成工程は、上記多孔質層上に、金属酸化物からなる第1電極層を形成する工程である。
上記第1電極層形成工程において、上記多孔質層上に第1電極層を形成する方法としては、厚みが均一で平面性に優れた第1電極層を形成できる方法であれば、特に限定されず、例えば、下地電極層形成用塗工液を用いて多孔質層の内部または表面に下地電極層を設ける溶液処理工程と、上記下地電極層上に主たる第1電極層を設ける上側電極層形成工程と、により2工程で第1電極層を形成する方法を用いることができる。このような方法によれば、上記多孔質層に、第1電極層を構成する金属酸化物が有する金属元素を容易に含むことができ、かつ緻密な第1電極層を形成することができ、さらに多孔質層を形成する金属酸化物半導体微粒子表面を第1電極層を構成する金属酸化物が被覆することで多孔質層から電解質中への逆電子移動が抑制される利点を有する。
上記溶液処理工程において、第1電極層を構成する金属酸化物が有する金属元素を含む金属塩または金属錯体が溶解した下地第1電極層形成用塗工液を、上記多孔質層に接触させることにより、上記多孔質層の内部または表面に下地第1電極層を設ける方法を用いることができる。本工程に用いられる下地第1電極層形成用塗工液は、少なくとも第1電極層を構成する金属酸化物が有する金属元素を含む金属塩または金属錯体(以下、これらを「金属源」とする場合がある。)と、溶媒と、からなり、必要に応じて他の化合物を含むものである。
上記金属源としては、第1電極層を構成する金属酸化物が有する金属元素を含むものであり、金属塩であってもよく、金属錯体であってもよい。なお、上記「金属錯体」とは、金属イオンに対して無機物または有機物が配位したもの、あるいは、分子中に金属−炭素結合を有する、いわゆる有機金属化合物を含むものである。
本工程に用いられる金属源を構成する金属元素としては、上記「2.第1電極層」の項に記載した、金属酸化物が有する金属元素であるため、ここでの説明は省略する。
本工程に用いられる上記金属源としては、例えば、特開2005−166648号公報に記載されたものを好適に用いることができる。
本工程の下地第1電極層形成用塗工液に用いられる溶媒は、上記金属塩等を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金属源が金属塩の場合は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒等を挙げることができ、金属源が金属錯体の場合は、上述した低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本工程に用いられる下地第1電極層形成用塗工液は、必要に応じて添加剤を含んでもよい。本工程に用いられる添加剤としては、例えば、酸化剤、還元剤、補助イオン源や界面活性剤等を挙げることができる。このような添加剤の具体例としては、特開2005−166648号公報に記載されたもの挙げることができる。
本工程において、多孔質層と下地第1電極層形成用塗工液とを接触させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ディッピング法、枚葉式による方法、溶液を霧状にして塗布する方法等の一般的に公知の事項を用いることができる。このような方法としては、例えば、特開2005−166648号公報に記載された方法を好適に用いることができる。
また、上側第1電極層形成工程において、上記溶液処理工程により形成された下地第1電極層上に上側第1電極層を設ける方法としては、所望の緻密性を有する上側第1電極層を設けることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記溶液処理工程後に、上記下地第1電極層を加熱し、後述する上側第1電極層形成用塗工液と接触させることにより上記下地第1電極層上に上側第1電極層を設ける方法、あるいは、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、プラズマCVD、熱CVD、大気圧CVD等のCVD法等を挙げることができる。中でも、本発明においては上記溶液処理工程後に、上記下地第1電極層を加熱し、後述する上側第1電極層形成用塗工液と接触させることにより上記下地第1電極層上に上側第1電極層を設ける方法が好ましい。本工程においては、このような方法として、例えば、特開2005−166648号公報に記載された方法を好適に用いることができる。
iii.基材付与工程
次に、基材付与工程について説明する。本工程は、光散乱材を含む接着層と基体とが積層された構成を有する基材を用い、上記第1電極層上に、上記接着層と上記第1電極層とが接するように、上記基材を付与する工程である。
本工程において上記基材を付与する方法としては、光散乱材を含む接着層と上記第1電極層とが接するように、第1電極層上に、基材を付与できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、予め基体上に光散乱材を含む接着層を形成しておき、接着層を有する基材を、接着層と上記第1電極層とが接着するように配置した後、熱融着する方法と、光散乱材を含有する接着性樹脂からなるフィルムを作製し、当該フィルムを介して、上記第1電極層と、基材とをラミネートする方法等を挙げることができる。
上記上に光散乱材を含む接着層を形成する方法は、使用する光散乱材の種類により異なるが、例えば、光散乱材として微粒子を用いる場合には、微粒子と接着性樹脂とを含む接着層形成用塗工液を上記基体上に塗工することにより形成することができる。
本工程に用いられる光散乱材、基体、および、接着層は、上記「1.基材」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)耐熱基板剥離工程
上記耐熱基板剥離工程において、耐熱基板付酸化物半導体電極から耐熱基板を剥離する方法は、特に限定されず、一般的な剥離方法を用いることができる。また本工程においては、耐熱基板を機械的研磨除去や、エッチングなどによる化学的除去により剥離することもできる。
また上記耐熱基板剥離工程においては、上記多孔質層から耐熱基板を剥離することになるが、その際の剥離状態は、耐熱基板を耐熱基板と多孔質層との境界から層間剥離してもよく、また多孔質層を凝集破壊して剥離してもよい。また、多孔質層が、酸化物半導体層と介在層との2層からなる場合は、耐熱基板を介在層から剥離することになるが、この場合も同様に耐熱基板を耐熱基板と介在層との境界から層間剥離してもよく、また介在層を凝集破壊して剥離してもよい。
6.酸化物半導体電極の用途
本発明の酸化物半導体電極は、色素増感型光充電キャパシタに用いられる色素増感型光充電キャパシタ用基材、エレクトロクロミックディスプレイに用いられるエレクトロクロミックディスプレイ用基材、光触媒反応を用いて大気中の汚染物質を分解できる汚染物質分解基板、および、色素増感型太陽電池に用いられる色素増感型太陽電池用基材等として用いることができるが、なかでも色素増感型太陽電池に用いられる色素増感型太陽電池用基材に好適に用いられる。
B.色素増感型太陽電池セル
次に、本発明の色素増感型太陽電池セルについて説明する。本発明の色素増感型太陽電池セルは、上記本発明の酸化物半導体電極を用い、上記多孔質層に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に色素増感剤が吸着した、上記本発明の酸化物半導体電極の多孔質層と、第2電極層および対向基材からなる対電極基材の第2電極層とが、酸化還元対を含む電解質層を介して、対向配置されていることを特徴とするものである。
本発明の色素増感型太陽電池セルについて図を参照しながら説明する。図3は、本発明の色素増感型太陽電池セルの一例を示す概略断面図である。図3に例示するように、本発明の色素増感型太陽電池セル20は、上記本発明の酸化物半導体電極10と、対向基材6上に第2電極層7が形成された構成を有する対電極基材8とを用い、上記酸化物半導体電極10の多孔質層3’と、上記対電極基材8の第2電極層とにより、電解質層5が挟持された構成を有するものである。また、上記多孔質層3’に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面には色素増感剤が吸着されているものである。
本発明によれば、酸化物半導体電極として、入射光の利用効率に優れる上記本発明の酸化物半導体電極を用いることにより、発電効率の高い色素増感型太陽電池を得ることができる。
本発明の色素増感型太陽電池セルは、電解質層と、対電極基材と、酸化物半導体電極とを有するものである。以下、本発明の色素増感型太陽電池セルの各構成について詳細に説明する。
1.電解質層
まず、本発明に用いられる電解質層について説明する。本発明における電解質層は、酸化還元対を含むことを特徴とするものである。
本発明における電解質層に用いられる酸化還元対としては、一般的に電解質層において用いられているものであれば特に限定はされない。具体的には、ヨウ素およびヨウ化物の組合せ、臭素および臭化物の組合せであることが好ましい。例えば、ヨウ素およびヨウ化物の組合せとしては、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物と、Iとの組合せを挙げることができる。さらに、臭素および臭化物の組み合わせとしては、LiBr、NaBr、KBr、CaBr等の金属臭化物と、Brとの組合せを挙げることができる。
本発明における電解質層には、上記酸化還元対以外のその他の化合物として、架橋剤、光重合開始剤、増粘剤、常温融解塩等の添加剤を含有していてもよい。
電解質層は、ゲル状、固体状または液体状のいずれの形態からなる電解質層であってもよい。電解質層をゲル状とした場合には、物理ゲルと化学ゲルのいずれであってもよい。ここで、物理ゲルは物理的な相互作用で室温付近でゲル化しているものであり、化学ゲルは架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものである。
また、電解質層を液体状とした場合には、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、炭酸プロピレンなどを溶媒とし、酸化還元対を含んだものや、同じくイミダゾリウム塩をカチオンとするイオン性液体を溶媒とすることができる。
さらに、電解質層を固体状とした場合には、酸化還元対を含まずにそれ自身が正孔輸送剤として機能するものであればよく、例えばCuI、ポリピロール、ポリチオフェンなどを含む正孔輸送剤であってもよい。
2.対電極基材
次に本発明に用いられる対電極基材について説明する。本発明における対電極基材は、第2電極層および対向基材からなるものである。
(1)第2電極層
本発明における第2電極層は、上記「A.酸化物半導体電極」の、第1電極層の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)対向基材
本発明における第2電極層は、上記「A.第1態様の酸化物半導体電極」の、基材の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(3)その他の層
本発明に用いられる対電極基材には必要に応じて、上記以外のその他の層を含んでもよい。本発明に用いられるその他の層としては、触媒層を挙げることができる。本発明においては、上記第2電極層上に触媒層を形成することにより、本発明の色素増感型太陽電池セルをより発電効率に優れたものにできる。このような触媒層の例としては、上記第2電極層上にPtを蒸着した態様を挙げることができるが、この限りではない。
3.酸化物半導体電極
本発明における酸化物半導体電極は、上記「A.酸化物半導体電極」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.色素増感型太陽電池セルの製造方法
次に本発明の色素増感型太陽電池セルの作製方法の一例について説明する。本発明の色素増感型太陽電池セルは、上記本発明の酸化物半導体電極が有する多孔質層と、上記対電極基材が有する第2電極基材との間に電解質層を形成することにより製造することができる。
本発明において、上記本発明の酸化物半導体電極が有する多孔質層と、上記対電極基材が有する第2電極基材との間に電解質層を形成する方法としては、各層を厚み精度よく形成できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、上記多孔質層上に電解質層を形成した後、電解質層上に第2電極層を形成する方法(第1の方法)と、上記多孔質層と対向して第2電極層を形成した後、多孔質層と第2電極層との間に電解質層を形成する方法(第2の方法)を挙げることができる。
上記第1の方法としては、例えば、電解質層形成用組成物を上記多孔質層上に塗布し、乾燥させることにより電解質層を形成した後に、対電極基材を付与する塗布法を用いることができる。また、上記第2の方法としては、上記多孔質層と、対電極基材が有する第2電極層とが対向するように所定の間隙を有して配置させ、その間隙に、電解質層形成用組成物を注入することにより、電解質層を形成する注入法を用いることができる。
上記塗布法における、多孔質層形成用組成物の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができ、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
また、上記塗布法により電解質層を形成する場合、電解質層を形成する電解質層形成用組成物としては、少なくとも酸化還元対および酸化還元対を保持する高分子化合物を有するものであれば特に限定はされない。
上記注入法により電解質層を形成する場合、電解質層を形成する電解質層形成用組成物としては、少なくとも酸化還元対を有するものであれば特に限定はされないが、形成される電解質層をゲル状とする場合には、さらに、ゲル化剤が含有されたものとする。例えば、物理ゲルの場合は、ゲル化剤としてポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート等を挙げることができる。また、化学ゲルの場合は、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系等を挙げることができる。
上記多孔質層と、対電極基材が有する第2電極層との間隙に電解質層形成用組成物を注入する方法としては、特に限定はされないが、例えば、毛細管現象を利用して注入させる方法や、上記多孔質層と、上記第2電極との間隙を真空状態にし、電解質層形成用組成物を接触させた状態で大気圧に開放することで注入する方法などを挙げることができる。
また、注入法により、電解質層形成用組成物を注入した後、例えば、温度調整、紫外線照射または電子線照射等を行い、二次元または三次元の架橋反応を生じさせることによりゲル状さらには固体状の電解質層を形成することができる。
また本発明において、対向基材上に第2電極層を形成する方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
1.実施例1
PETフィルムに対して光拡散粒子(ガンツパール平均粒径100μm:ガンツ株式会社製)を1質量%混錬した基材(厚み120μm)を準備した。この基材のヘイズ値を測定したところ20%であった(測定器:ヘーズメータ:スガ試験機 SM−C)。
次に、上記基材上にスパッタリング法によりインジウムをドープした酸化錫(ITO)からなる第1電極層を形成した。形成された第1電極層の表面抵抗は15Ω/□であった。
次に、TiO分散液(PECC−K01 ; Peccell Technologies社)を上記第1電極層上にドクターブレード法によって塗工することにより、厚み10μmの多孔質層を形成した。
このような方法によって本発明の酸化物半導体電極を形成した。
作製した酸化物半導体電極の多孔質層を1cm角に成形した後、上記多孔質層を色素(N3(Ruthenium535):Solaronix社製)の溶液(エタノール中3.0×10−3M)に一晩浸漬し、多孔質層の細孔内部に上記色素を吸着させた。
次に、対電極基材としてITO/PETフィルム(トービOTEC(厚み:25μm)、10Ω/□)上に白金をスパッタリングしたものを準備し、上記色素を吸着させた酸化物半導体電極と、上記対電極基材とを熱可塑性樹脂(Surlyn;デュポン社)を介して120℃で貼り合わせた。
次に、メトキシアセトニトリルを溶媒とし、濃度0.1mol/Lのヨウ化リチウム、濃度0.05mol/Lのヨウ素、濃度0.3mol/Lのジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、濃度0.5mol/Lのt−ブチルピリジンを溶解させて電解質層形成用組成物を調製した。当該、電解質層形成用組成物を上記対向電極基材に設けていた注入孔から上記酸化物半導体電極と、対電極基材との間に注入し、色素増感太陽電池を作製した。
作製した色素増感太陽電池の変換効率を測定(100mW/cm,AM1.5)した結果、変換効率は4.5%(Isc=9.8mA、Voc=710mV、FF=0.64)であった。
2.比較例1
基材として、光拡散剤を含まないPETフィルム(120μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、色素増感型太陽電池を作製した。
作製した色素増感型太陽電池について、実施例1と同様の方法により変換効率を測定した。その結果、変換効率は4.1%(Isc=8.9mA、Voc=708mV、FF=0.66)であった。
3.実施例2
一次粒径20nmのTiO微粒子(日本アエロジル社製P25)1質量%、主成分がポリメチルメタクリレートであるアクリル樹脂(分子量25000、ガラス転移温度105℃:三菱レーヨン社製BR87)10質量%となるようにホモジナイザーを用いてメチルエチルケトンおよびトルエンにアクリル樹脂を溶解させた後、TiO微粒子を分散させることにより介在層形成用塗工液を調製した。この介在層形成用塗工液を耐熱基材として用意したチタン基板(厚み150μm、サイズ10cm×10cm)上にワイヤーバーで塗工し、乾燥させることにより、上記耐熱基板上に介在層形成用層を形成した。
次に、酸化物半導体層形成用塗工液としてSolaronix SA社製Ti Nanoxide Dを準備し、当該酸化物半導体層形成用塗工液を上記介在層形成用層上にドクターブレード(5Mil)で塗布した後、室温下にて20分放置し、さらに100℃で30分間乾燥させることにより、上記介在層形成用層上に酸化物半導体層形成用層を形成した。
次に、電気マッフル炉(デンケン社製P90)を用い、上記介在層形成用層および酸化物半導体層形成用層が形成された耐熱基板を、500℃で30分間、大気圧雰囲気下にて焼成した。これにより、上記耐熱基板上に介在層および酸化物半導体層からなる多孔質層を形成した。
次に、上記多孔質層が形成された耐熱基板を、多孔質層が上向きになるようにホットプレート(400℃)上へ設置した。次いで、この加熱された多孔質層上に、エタノールに塩化インジウム0.1mol/L、塩化スズ0.005mol/Lを溶解した第1電極層形成用塗工液を超音波噴霧器により噴霧し、第1電極層であるITO膜(厚み:500nm)を形成した。
次に、ヒートシール剤(東洋紡 MD1985)中に、5質量部のシリカ粒子(扶桑化学工業、SP−0.3B(粒径0.3μm))をホモジナイザーにて分散することにより、接着層形成用組成物を得た。次に、上記接着層形成用組成物をPETフィルム(東洋紡E5100 厚み:125μm)上に塗布、風乾させることにより接着層を形成した。
その後、上記第1電極層上に、当該接着層が積層されたPETフィルムを、上記接着層と上記第1電極層とが接するように120℃で貼り合せることにより、耐熱基板付酸化物半導体電極を作製した。
次に、上記耐熱基板付酸化物半導体電極から、上記耐熱基板を剥離することにより本発明の酸化物半導体電極を得た。
その後、作製した酸化物半導体電極を用い、実施例1と同様の方法により色素増感型太陽電池を作製した。
作製した色素増感型太陽電池について、実施例1と同様の方法により変換効率を測定した。その結果、変換効率は6.2%(Isc=15.2mA、Voc=710mV、FF=0.57)であった。
4.比較例2
接着層形成用組成物として、シリカ粒子の分散を行っていないものを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法により色素増感型太陽電池を作製した。
作製した色素増感型太陽電池について、実施例1と同様の方法により変換効率の測定を行った。その結果、変換効率は5.5%(Isc=13.2mA、Voc=715mV、FF=0.57)であった。
色素増感型太陽電池セルの一般的構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の酸化物半導体電極の一例を示す概略断面図である。 本発明の酸化物半導体電極の他の例を示す概略断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池セルの一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1、1’ … 基材
1a … 基体
1b … 接着層
2 … 第1電極層
3、3’ … 多孔質層
4 … 光散乱材
5 … 電解質層
6 … 対向基材
7 … 第2電極層
8 … 対電極基材
10、11 … 酸化物半導体電極
20 … 色素増感型太陽電池セル

Claims (3)

  1. 基材と、前記基材上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、を有する酸化物半導体電極であって、
    前記基材に光散乱材が含まれていることを特徴とする、酸化物半導体電極。
  2. 前記基材が、基体と、前記基体上に形成され、光散乱材を含む接着層とからなり、かつ、前記第1電極層が前記接着層上に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の酸化物半導体電極。
  3. 前記多孔質層に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に色素増感剤が吸着した、請求項1または請求項2に記載の酸化物半導体電極の多孔質層と、第2電極層および対向基材からなる対電極基材の第2電極層とが、酸化還元対を含む電解質層を介して、対向配置されていることを特徴とする色素増感型太陽電池セル。
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