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JP2008051179A - 摺動部材及び摺動部材の製造方法 - Google Patents

摺動部材及び摺動部材の製造方法 Download PDF

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Mikio Yamada
幹雄 山田
Hitoshi Miyata
斎 宮田
Akihito Shimura
明史 志村
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】連続して摺動することなく、かつ、摺動面に強制潤滑ができないような箇所であっても、摺動面間に常に油膜が形成されるようにした摺動部材及び摺動部材の製造方法を提供する。
【解決手段】基材の表面に被膜が形成された摺動部材であって、前記被膜の表面には、該被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、基材の表面に被膜が形成された摺動部材及び摺動部材の製造方法に関する。
従来から、自動車等において、エンジン、トランスミッションなど様々な機器に摺動部材が用いられており、摺動部材の表面には、耐摩耗性、焼付け性等を考慮して、摺動性に優れた被膜を被覆することが行われる。
例えば、このような摺動部材として、基材の表面に、所定の割合の鋼系溶射粒子と青銅系溶射粒子とを被膜として積層した摺動部材が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−12960号公報
近年、乗用車に対するユーザの要求性能は厳しさを増しており、特に車両に快適性を求める傾向が高まってきている。そこで、衝突事故等による乗員の安全確保・走行時の車体に加わる曲げ、ねじり力を緩和するために、例えば、ステアリング部のインタミシャフトや、プロペラシャフト部に中間スライド部を設け、そこにスプライン形状のスライド機構を形成することが行われる。
この種のスライド機構は、車両が停止状態から発進したとき、又は走行状態から停止したときにのみ、作動する。つまり、前記スライド機構の摺動部材は、車両の運転時に常時連続しては摺動せず、不規則なタイミングで摺動することになるため、このような摺動部材には、強制潤滑により摺動面に常時潤滑油を給油するよりは、周期的な期間もって摺動面に潤滑油を給油することが一般的である。その結果、この種のスライド機構の摺動部材は、給油時に供給される潤滑油により油膜を形成することができるが、一度摺動部材の摺動が停止すると、停止時間の経過に伴い油膜切れを起す場合がある。
油膜切れが顕著になると、摺動時に摺動面の凝着とすべりが繰り返すいわゆるスティックスリップ現象が発生するおそれがある。該現象により、スライド機構に異音、振動が発生し、これらが不快音、ショック感として車両の室内に伝播し、ドライバの運転時における快適性を阻害することがある。
前記特許文献1に記載の摺動部材は、摺動時に被膜を構成する青銅が塑性流動することにより、耐摩耗性、耐焼付性を向上することができる。しかし、前記のような不規則に摺動するような箇所では、潤滑油を一時的に摺動面に給油したとしても、前記の如く非摺動時に油膜切れが発生するおそれがあり、場合によっては摺動時にスティックスリップ現象が発生するおそれがある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、連続して摺動することなく、かつ、摺動面に強制潤滑ができないような箇所であっても、摺動面間に常に油膜が形成されるようにした摺動部材及び摺動部材の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決すべく、発明に係る摺動部材は、被膜が形成された摺動部材であって、前記被膜の表面には、該被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片が形成されていることを特徴とする。
ここで、本発明のいう「花弁状の薄肉片」とは、被膜の一部として形成され、肉片間に潤滑油を保持することが可能な花弁の如き形状をした肉片であり、相手部材の摺動面に接触したときに、肉片間から潤滑油が染み出すことができるように変形可能な厚みの薄い肉片のことをいう。
前記のように構成された摺動部材は、積層した複数の花弁状の薄肉片同士の間に、潤滑油を保持することができ、従来の摺動部材に比べて安定的に摺動面間に油膜を形成することが可能となる。すなわち、摺動部材の摺動面に相手部材が接触していれば、摺動部材の摺動の有無に拘わらず、薄肉片間に保持された潤滑油が染み出して、摺動面間に潤滑油が給油され、常時摺動面間に油膜を形成することができる。その結果、摺動面間に常時形成された油膜により、摺動面同士の凝着、かじりなどが回避され、摺動部材の静摩擦係数と動摩擦係数との差が小さくなり、摺動部材のスティックスリップ現象を抑制することが可能となる。また、摺動時には、摺動面間は、流体潤滑領域が確保され易いので、摺動部材同士が直接接触することを防止でき、摺動部材の耐摩耗性が向上する。さらに、摺動面間にコンタミなどの異物が侵入しても、異物を薄肉片間に捕獲することができ、摺動部材の疲労寿命を向上させることが可能となる。
本発明に係る摺動部材の前記花弁状の薄肉片は、厚さが0.05〜1μm,大きさが平均径5〜20μmの範囲にある放射状に伸展した薄肉片であることが好ましい。このような範囲となるように薄肉片を設けることにより、さらに、摺動面間に油膜を安定的に形成することができる。すなわち、0.05μmよりも薄い場合には、摺動時に摺動表面から薄肉片が脱落し易くなり、さらに1μmよりも厚い場合には、薄肉片が変形し難く潤滑油が薄肉片間から染み出し難くなる。また、平均径が5μmよりも小さい場合には、潤滑油を薄肉片間に充分保持することができず、20μmよりも大きい場合には、潤滑油を薄肉片間に保持できるものの、薄肉片間から潤滑油が染み出したとしても摺動面全域に広がり難い。さらに、薄肉片を放射状に伸展させることにより、摺動方向に関係なく前記摺動特性を安定的に確保することができる。
本発明に係る摺動部材は、前記被膜の表面硬さが、少なくとも60〜400Hvの範囲にあることがより好ましい。被膜の表面硬さが60Hvよりも小さい場合には、被膜の強度が小さすぎて後述する製造方法では薄肉片を形成し難い。また、表面硬さが400Hvよりも大きい場合には、被膜の延性が小さすぎて後述する製造方法では薄肉片を形成し難く、仮に、薄肉片が形成されたとしても、薄肉片は変形し難く薄肉片間にある潤滑油が摺動面に染み出し難い。特に、前記被膜の表面硬さを満たす材料として、前記被膜は、金、銀、銅、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなることがより好ましい。
また、本発明に係る摺動部材は、摺動を行う前の初期状態として、前記積層した花弁状の薄肉片の間に、潤滑油が充填されていることがより好ましい。このように予め潤滑油を充填しておくことにより、摺動時における初期摩耗を抑制することができ、摺動部材の長寿命化を図ることができる。
さらに、本発明として、前記摺動部材を製造するに好適な製造方法をも以下に開示する。本発明に係る摺動部材の製造方法は、基材の表面に被膜を被覆する工程を少なくとも含む摺動部材の製造方法であって、前記被膜の表面に、前記被膜よりも硬質の粒子を照射して、該被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片を形成する工程をさらに含むこと特徴としている。このように硬質粒子を照射して、被膜表面に硬質粒子を衝突させることにより、被膜の表面の複数の凸状部分がつぶされて放射状に伸展し、潤滑油を保持するに好適な積層した複数の花弁状の薄肉片となる。
また、基材に被膜を形成する方法としては、電気めっき、溶融めっき、化学めっき又は溶射などが挙げられ、基材と被膜の密着性を確保することができる方法であれば、その被膜の形成方法は特に限定されるものではない。また、硬質粒子を照射する方法としては、例えば、硬質粒子を圧縮ガスにより搬送することにより行うことができ、硬質粒子を照射する装置としては、下地処理用のブラスト装置などが挙げられる。
さらに、本発明に係る摺動部材の製造方法は、薄肉片を形成する工程において、前記硬質の粒子として平均粒径が1〜5μmの粒子を用いることがより好ましい。本発明の如き粒子を用いることにより、被膜の一部として、スティックスリップ現象を低減するに好適な、厚さが0.05〜1μm,大きさが平均径5〜20μmの範囲にある放射状に伸展した薄肉片を形成することができる。
本発明に係る摺動部材の製造方法は、薄肉片を形成する工程において、前記硬質の粒子の照射を、前記基材に超音波振動を与えながら行うことがより好ましい。このように超音波素子を備えた超音波発生装置に基材を接続することにより、基材を数十MHzまで振動させることが可能となり、この振動状態の被膜表面に硬質粒子を照射するので、より効率良く花弁状の薄肉片を被膜表面に形成することができる。
また、前記硬質の粒子は、SiO,Alなどの粒子が好ましく、衝突前に、予め600℃〜800℃に加熱した硬質の粒子を用いることがより好ましい。前記硬質粒子は、耐熱性に優れており、加熱した状態の硬質粒子を用いることにより、被膜の表層は変形し易くなり、より短時間で花弁状の薄肉片を被膜表面に形成することができる。
本発明によれば、連続して摺動することなく、また摺動面に強制潤滑ができないような箇所であっても、摺動面間に常に油膜が形成することができる。
以下に、本発明を実施例により説明する。
(実施例)
<摺動部材>
本実施例の摺動部材として、以下に示すようにプレート試験片を製作した。まず、図1(a)に示すように、摺動部材の基材11として、長さ58mm×幅38mm×厚さ2.5mm、表面硬さ260〜320Hvの範囲にある機械構造用炭素鋼(JIS規格S30C相当)を準備した。次に、図1(b)に示すように、基材11の58mm×38mmの表面に、表面硬さが60〜100Hv相当の銅材料の被膜12を電気めっきにより0.1mmの厚さに形成した(被膜形成工程)。次に、図1(c)に示すように、被膜12が形成された基材を超音波発生装置Mに接続し、基材を27〜47MHzの範囲となるように、被膜12が形成された基材を超音波振動させながら、被膜表面に、600℃〜800℃に加熱した粒径1〜5μmの球状のセラミックス(Al)粒子Pを、30秒間照射した。このようにして、図1(d)の模式図に示すように、被膜12の表面に、被膜12の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片12aを形成した摺動部材10を製作した。
一方、前記摺動部材の相手部材として、長さ15mm×幅1mm×高さ20mm、表面粗さが十点平均粗さRz0.8μm、表面硬さ500〜750Hvの範囲となるクロム鋼(JIS規格SCr440相当)からなるブロック試験片を製作した。
<顕微鏡観察試験>
実施例に係るプレート試験片の被膜表面を顕微鏡で観察した。この観察した被膜表面の拡大写真図を図2に示す。
<摩擦試験>
実施例に係るプレート試験片とブロック試験片とを用いて摩擦試験を行った。具体的には、図3に示すように、プレート試験片(金属部材)10の上にブロック試験片20を配置すると共に、基油粘度が40℃で15mm/sec、かつ、100℃で12mm/secのグリースGを給脂し、ブロック試験に50N荷重(面圧で4MPa)を加え、振幅が2.3mm、周波数が5Hzの条件で2分間馴染み運転を行ってから、周波数10Hzにして2分間ブロック試験片を摺動させた後、さら周波数15Hzにして2分間ブロック試験を摺動させた。そして、摺動時に、ブロック試験片20の摺動抵抗を測定し、静摩擦係数と動摩擦係数を測定した。この結果を図4(a)に示す。また、周波数が10Hzと15Hzにおける動摩擦係数の平均値を図5に示す。
<摩耗試験>
前記摩擦試験後のプレート試験片の摺動面の摩耗深さを測定した。この結果を図6に示す。
(比較例)
実施例と同じように、プレート試験片及びブロック試験片を製作した。実施例と相違する点は、図1(c)に示すような被膜表面に球状セラミックスを照射する工程は行っていない(被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片を形成していない)点である。比較例のプレート試験片及びブロック試験片に対しても、実施例と同様の条件で摩擦試験、摩耗試験を行った。この結果を、図4(b),図5,図6に示す。
(結果1)
図2に示すように、平均径が5〜20μm、厚さが0.05〜1μmの範囲にある放射状に伸展した銅材料からなる薄肉片が被膜の一部として形成されていた。また、薄肉片同士の間には、潤滑油が保持されており、摩耗粉も含まれていた。
(結果2)
図4(a),(b)に示すように、比較例に比べ実施例の方が、静摩擦係数と動摩擦係数との差が小さかった。
(結果3)
図5に示すように、実施例の摺動部材の動摩擦係数は、比較例に比べて、周波数を大きくしても動摩擦係数の変化量は少なかった。
(結果4)
図6に示すように、比較例に比べて実施例の方が、摩耗深さが小さかった。
(評価1)
結果2に示したように、実施例の方が静摩擦係数と動摩擦係数との差が小さかったので、実施例1に係るプレート試験片を摺動部材として用いれば、比較例に比べて、スティックスリップ現象が抑制されると考えられる。また、結果3に示すように、実施例の方が摺動部材の周波数を大きくしても、動摩擦係数の変化量は小さいので、このことからも、実施例に係るプレート試験片を摺動部材として用いれば、比較例に比べて、スティックスリップ現象が抑制されると考えられる。
このように実施例に係るプレート試験片(摺動部材)の静摩擦係数と動摩擦係数との差を小さくすることができた理由を以下に考察する。結果1からもわかるように、図7に示す如く、実施例1に係るプレート試験片10は、積層した複数の花弁状の薄肉片12a同士の間に潤滑油Lを保持することができる。そして、摺動状態にかかわらず、ブロック試験片20からプレート試験片10の表面にわずかな荷重が負荷されたときに(ブロック試験片とプレート試験片がわずかに接触したときに)、薄肉片12aが変形して、薄肉片12a間から潤滑油Lが図中矢印に示すように摺動面に染み出す。この潤滑油Lの染み出しにより、摺動面間に油膜fを安定的に形成することができ、プレート試験片とブロック試験片との間の油膜切れは発生しにくい。この結果、摺動面間に安定して形成された油膜により、部材の静摩擦係数と動摩擦係数との差が小さくなったと考えられ、スティックスリップ現象も抑制できると考えられる。
(評価2)
さらに、結果4に示すように、実施例に係るプレート試験片10の摩耗深さが小さい(摩耗がし難い)理由としては、図7に示す如く、摺動時には、被膜12表面の薄肉片12aの間から潤滑油Lが染み出し油膜切れを起すことはないので、摺動面間は、摺動時に流体潤滑領域が確保さていたと考えられる。その結果、プレート試験片10とブロック試験片20が直接接触することを防止でき、プレート試験片10の耐摩耗性が向上したと考えられる。さらに、摺動面間に摩耗粉を含むコンタミなどの異物Cが侵入しても、異物Cを薄肉片12a同士の間に捕獲することができるので、プレート試験片10及びブロック試験片20の寿命を向上させることが可能となると考えられる。
本発明に係る摺動部材は、連続して摺動することなく、さらに摺動面に常時強制潤滑ができないような箇所に特に好適である。
実施例の摺動部材の製造工程を説明する図であり、(a)は、摺動部材の基材を示した図であり、(b)は、(a)の基材の表面に被膜を形成した図であり、(c)は、(b)の被膜が形成された基材の被膜表面に硬質粒子を衝突させた図であり、(d)は、(c)に示す粒子衝突後の被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片を形成した図。 実施例の被膜表面を顕微鏡に観察した拡大写真図。 実施例及び比較例における摩擦試験を説明するための図。 実施例及び比較例の静摩擦係数と動摩擦係数と関係を示した図。 実施例及び比較例における摺動時の周波数と動摩擦係数との関係を示した図。 実施例及び比較例のプレート試験片の摩耗深さを示した図。 実施例の摺動状態を説明するための図。
符号の説明
10:摺動部材,11:基材,12:被膜,12a:薄肉片

Claims (8)

  1. 基材の表面に被膜が形成された摺動部材であって、
    前記被膜の表面には、該被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片が形成されていることを特徴とする摺動部材。
  2. 前記花弁状の薄肉片は、厚さが0.05〜1μm,大きさが平均径5〜20μmの範囲にある放射状に伸展した薄肉片であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記被膜の表面硬さは、少なくとも60〜400Hvの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 前記被膜は、金、銀、銅、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなることを特徴とする請求項3に記載の摺動部材。
  5. 前記積層した花弁状の薄肉片の間に、潤滑油が充填されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の摺動部材。
  6. 基材の表面に被膜を被覆する工程を少なくとも含む摺動部材の製造方法であって、
    前記被膜の表面に、前記被膜よりも硬質の粒子を照射して、該被膜の一部として積層した複数の花弁状の薄肉片を形成する工程をさらに含むこと特徴とする摺動部材の製造方法。
  7. 前記薄肉片を形成する工程において、前記硬質の粒子として平均粒径が1〜5μmの粒子を用いることを特徴とする請求項6に記載の摺動部材の製造方法。
  8. 前記薄肉片を形成する工程において、前記硬質の粒子の照射を、前記基材に超音波振動を与えながら行うことを特徴とする請求項6または7に記載の摺動部材の製造方法。
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