以下、図面を参照して本発明の発光サイリスタおよびそれを用いた本発明の発光装置および画像形成装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の発光サイリスタ115の断面図と、発光サイリスタ115を構成する各層の不純物濃度およびバンドギャップを示したものである。なお、図1の不純物濃度とバンドギャップの値は望ましい一例を示したものであり、本発明の効果はこの値に限って生じるわけではない。
最初に、図1に示した発光サイリスタ115の構造について説明する。
図1に示す発光サイリスタ115は、N型半導体基板101上に、N型の第1半導体層102、P型の第2半導体層103、N型の第3半導体層104およびP型の第4半導体層107がこの順に積層されることによって、NPNPのサイリスタの構造が形成されている。ここで、第3半導体層104は、基板側の第1領域105と基板反対側の第2領域106との2層で構成され、これら各層はいずれもN型半導体によって形成される。さらに、P型の第4半導体層107の基板反対側の表面(基板から離反する側)には、表面電極110と良好なオーミック接触をとるためのP型半導体のオーミックコンタクト層109が形成される。表面電極110はオーミックコンタクト層109の基板反対側の表面に形成される。裏面電極111は、基板101の裏面に形成される。この場合、表面電極110はアノード電極として用いられ、裏面電極111はカソード電極として用いられる。また、第3半導体層104のうちの第2領域106の基板反対側の表面にはゲート電極112が設けられている。
本実施の形態では、基板101をN型半導体によって形成した場合について例示する。これとは逆に、基板101にP型半導体基板を用い、半導体層を第1半導体層102をP型、第2半導体層103をN型、第3半導体層を104をP型、第4半導体層をN型としてPNPNのサイリスタ構造を形成することも可能である。この場合は、オーミックコンタクト層にはN型の半導体を用い、裏面電極111がアノード電極になり、表面電極110がカソード電極になるが、基板をN型半導体によって形成する方が好ましい。これは、発光サイリスタを集積化したときに、基板裏面の裏面電極(カソード電極)111を共通の接地とし、表面電極(アノード電極)110に正電源を接続できるからである。なお、いずれの導電型の順を用いても本実施の形態の効果に変わりはない。基板をP型半導体基板とした場合は、以下の説明は、正孔と電子を入れ替えればそのまま成り立つ。
また、基板101に絶縁性基板および半絶縁性基板などを用いることもできる。この場合は、第2半導体層103、第3半導体層104、第4半導体層107およびオーミックコンタクト層109の一部をエッチングして、第1半導体層102の表面(基板から離反する側)を露出させ、第1半導体層102の露出させた表面に裏面電極111に相当するカソード電極を形成する。
各半導体層102,103,104,107およびオーミックコンタクト層109は、有機金属気層エピタキシャル成長法(MOVPE)および分子線エピタキシャル成長法(MBE)などのエピタキシャル成長法によって形成される。エピタキシャル成長が必要な理由は、格子欠陥などを多量に含んでいると発光素子および受光素子としてのホトトランジスタとして機能し得ないからである。したがって、格子整合の観点から、基板101、各半導体層102,103,104,107およびオーミックコンタクト層109の材料が選択される。
基板101の材料としては、III/V族半導体およびII/VI族半導体の薄膜がエピタキシャル成長可能なものとして、たとえば、ガリウム砒素(GaAs)、インジウムリン(InP)、ガリウムリン(GaP)、シリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)などを用いることができる。基板101に絶縁性基板または半絶縁性基板を使用する場合には、たとえば、GaAs、窒化ガリウム(GaN)およびサファイアなどが用いられる。なお、各半導体層102,103,104,107の結晶性を良好にするために、基板101と第1半導体層102との間に第1半導体層102と同じ導電型のバッファ層を設ける場合がある。
各半導体層102,103,104,107の材料には、ガリウム砒素(GaAs)、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)、インジウムガリウムリン(InGaP)およびアルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)などが用いられる。なお、これらの材料で発光サイリスタを作製したときの発光波長は、600〜800nmになる。
オーミックコンタクト層109の材料にはGaAs、InGaPなどアルミニウムを含んでいない材料が用いられる。アルミニウムを含んでいる場合は表面が大気中で酸化されやすく、表面電極110との間で良好なオーミック接触をとることが困難になるからである。また、オーミックコンタクト層109の不純物濃度を3×1019(cm−3)以上にすることも良好なオーミック接触をとるために必要である。なお、オーミックコンタクト層109の厚さは0.01〜0.02μmとなるべく薄くすることが好ましい。なぜなら、GaAs、InGaPのバンドギャップの値は、アルミニウムを含んでいる材料よりも小さいので、膜厚が大きいと内部で発生した光の再吸収層となるからである。
各電極110,111,112の材料は、接触する半導体層または基板101との良好なオーミック接触を保つために適した材料が用いられる。表面電極110は、オーミックコンタクト層109と良好なオーミック接触をとるために、たとえば、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、および金と亜鉛との合金(AuZn)などが用いられる。ゲート電極112は、第3半導体層104の第2領域106と良好なオーミック接触をとるために、たとえば、Au、AuGeおよびニッケル(Ni)などが用いられる。裏面電極112は、半導体基板101と、または基板101に非導電性の材料を用いた場合には第1半導体層102と良好なオーミック接触がとれるという観点から、たとえば、Au、AuGeおよびNiなどが用いられる。
次に、本実施の形態の特徴である、発光サイリスタ115の各半導体層102,103,104,107のバンドギャップおよび不純物濃度の最適化について説明する。受光感度を低下することなく外部への発光強度を向上させるという本発明の目的に照らして最適になるように、各半導体層での不純物濃度とバンドギャップを決める。
なお、具体的なドーパントとして、本実施の形態においては、N型半導体にはシリコンおよびテルルなどを用いることができ、P型半導体のドーパントとしては、亜鉛、炭素およびマグネシウムなどを用いることができる。実際の素子の作製には、シリコンと亜鉛を用いている。
バンドギャップの値を制御するには、各半導体層102,103,104,107を構成する半導体材料の種類および組成を制御することによって行う。アルミニウムガリウム砒素(AlxGa1−xAs)は、格子整合条件を保ったまま、バンドギャップをAlの組成比xによって変化させることができる。アルミニウムガリウムインジウムリン((AlyGa1−y)0.5In0.5P)を用いた場合も、Alの組成比yを変えることによって、GaAsに格子整合した状態でバンドギャップを変化させることができる。
また半導体層の不純物濃度が略同一とは、上述した材料を用いた場合には、不純物濃度の差が20%以内であることを意味する。またバンドギャップが略同一とは、上述した材料を用いた場合には、バンドギャップの差が5%以内であることを意味する。これは、設計値では同一であっても、実際に発光サイリスタを作製した場合には、装置の制御性および作製条件によって異なる場合があることを考慮したものである。特に不純物のドーピングについては、膜中で拡散が生じたり、ドーパントの再蒸発が基板温度に依存したりする場合があり、再現性が得られにくい。そこで、上述した材料を用いた場合には、不純物濃度については20%以内、バンドギャップについては5%以内であれば、実質的な違いはないものとして、この範囲にあれば略同一とする。
本実施の形態の特徴は、図1に示されるように、バンドギャップについては、第2半導体層(P型)103と第3半導体層(N型)104のバンドギャップが略同一であり、それらの半導体層よりも広いバンドギャップを持つ第1半導体層(N型)102と第4半導体層(P型)107とに挟まれた構造にすることである。熱平衡状態の不純物濃度については、第3半導体層(N型)103を、基板側(第2半導体層102に接する側)の第1領域105と基板反対側(第4半導体層107に接する側)の第2領域106の2層に分けて、第2領域106の不純物濃度を第1領域105の不純物濃度よりも高濃度にする。さらに、第2半導体層(P型)103の不純物濃度は第1領域102の不純物濃度と略同一またはそれよりも高濃度にし、第1半導体層(N型)102は、第2半導体層(P型)103よりも高濃度にする。また、第4半導体層(P型)107の不純物濃度は、第3半導体層(N型)104の第2領域106の不純物濃度と略同一かそれよりも高濃度に設定したことに特徴がある。
表1は、本実施の形態における各半導体層102,103,104(105,106),107およびオーミックコンタクト層109の不純物濃度、バンドギャップおよび膜厚の値を示す。なお、この値は好ましい値の例示であって、各半導体層のバンドギャップと不純物濃度について上述した関係を満たせば、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
各半導体層102,103,104,107のバンドギャップおよび不純物濃度をこのような設定にした第1の理由は、主たる発光層を第3半導体層(N型)104の中の第2領域106にすることによって、内部量子効率と光の取り出し効率をいずれも向上させることができるためである。
内部量子効率を高めるには、注入されたキャリアを有効に再結合させる必要がある。基板101にはN型半導体基板が用いられるので、発光サイリスタ101では、正孔は第4半導体層(P型)107側から接合J3を通して注入されることになる。この場合、注入された正孔を有効に電子と有効に再結合させるためには、接合J3の近傍の第2領域106における電子密度を高めることが効果的である。そこで、第2領域106において、熱平衡状態での電子密度および注入されて増加した電子密度のいずれも高めるような設定をした。
接合からの注入による電子密度を高めるため、図1に示すように、第2半導体層(P型)103、第3半導体層(N型)104の内の第1領域105、および第3半導体層(N型)104の内の第2領域106の各層のバンドギャップを略同一して、それらのバンドギャップよりも第4半導体層107のバンドギャップを大きくする。第4半導体層(P型)107のバンドギャップが第2領域(N型)106のバンドギャップよりも大きいことから、両者のバンドギャップが等しい場合に比べて、バンドギャップの差の分だけ第4半導体層(P型)107における伝導帯の下端が上がり、電子に対するポテンシャル障壁を形成する。第1半導体層(N型)102から接合J1を通して注入された電子は、接合J3における、このポテンシャル障壁で跳ね返されることになるので、接合J3近傍の第2領域(N型)106での電子密度が高まる効果が得られる。
熱平衡状態での電子密度を増やすためには、第3半導体層(N型)104を2層に分けて、基板側の第1領域105の不純物濃度を低く設定する一方で、接合J3に近い第2領域106の不純物濃度を増やした。第1領域105の不純物濃度を低く設定することは、ゲート電極112と裏面電極(カソード電極)111との間の耐圧を確保するために必要である。第1領域105の不純物濃度は全層で最も低い。
第2領域106の熱平衡状態でのキャリア密度を増やすことが、発光強度の増加に効果的であることを実験で確認するために、第2領域106の不純物濃度を変えたサンプルを数個作製して、発光強度の比較を行った。
図2は、第2領域106の不純物濃度を変えて作製した複数の発光サイリスタ115の発光強度を示すグラフである。発光強度の測定は、発光サイリスタ115のゲート電極112をローレベルにして発光サイリスタ115をオン状態に遷移させたあと、動作電圧を5Vにして行った。図2で、縦軸は測定した発光強度を任意単位で表示したもので、横軸は第2領域106の不純物濃度を示している。図2から明らかなように、第2領域106での不純物濃度(熱平衡状態でのキャリア密度)を1桁増やすことによって発光強度は約5倍の大きさになっており、発光強度に対する不純物濃度の効果が実証された。
さらに内部発光効率を高める工夫として、第4半導体層(P型)107の不純物濃度を第2領域と略同一またはそれより高濃度にするとよい。主たる発光層である第2領域106に注入される正孔密度を増加させるためである。
一方、光の取り出し効率という点では、発光した光が再吸収されないように、光の取り出し方向の各半導体層のバンドギャップを大きくするとよい。通常、発光サイリスタを発光素子として用いる場合の光の取り出し方向は、基板が光の吸収層になるので、図1ではオーミックコンタクト層109の側(基板から離反する側)になる。したがって、第2領域106で発光した光は、第4半導体層(P型)107とオーミックコンタクト層109を通過して外部に取り出されることになるが、第4半導体層(P型)107のバンドギャップは、主たる発光層である第2領域106のバンドギャップよりも大きいので、第4半導体層(P型)107での光の吸収はない。また、オーミックコンタクト層109の厚みは、0.01μm〜0.02μmに選ばれ、このように非常に薄いのでこの層での発光の吸収は無視できる程度である。
さらに、本実施の形態では、各半導体層102,103,104,107の不純物濃度およびバンドギャップを前述したように選ぶことによって、主たる発光層である第2領域の膜厚を0.5μm〜1.0μmと比較的厚く設定することができる。本実施の形態では、第4半導体層(P型)107側から接合J3を通って注入された正孔は、主として第2領域106で電子と再結合して発光する。第2領域106の中でも、注入された正孔密度が最も大きい接合J3の近傍で最も強い発光が生じると考えられるが、発光した光は接合J3の側から第4半導体層(P型)107側を通って取り出されるので、第2領域自身での吸収は問題とならない。したがって、主たる発光層の厚みを十分なものにして、発光場所の体積を増やしたほうが、全体としての発光強度を高めることができる。
以上から明らかなように、第3半導体層104のうちで基板反対側の第2領域106が主たる発光層となるように、不純物濃度およびバンドギャップを設定することが内部量子効率の点からも光の取り出し効率の点からも最良である。なお、第2領域106の不純物濃度を高めることは、ゲート電極112との接触抵抗を低めるという副次的な効果もある。
次に、各半導体層102,103,104,107の不純物濃度とバンドギャップについて本実施の形態で示した関係を満たせば、発光サイリスタの受光感度を高める点からも最適であることを述べる。
発光サイリスタ115の光照射によるしきい電圧の変化は、図1において、第1半導体層(N型)102、第2半導体層(P型)103、第3半導体層(N型)104によるNPN層が、受光素子としてのホトトランジスタとして機能するものとして説明することができる。この場合、第1半導体層(N型)102がエミッタに相当し、第2半導体層(P型)103がベースに相当し、第3半導体層(N型)104がコレクタに相当する。したがって、発光サイリスタ115の受光感度を高めるには、NPNトランジスタのエミッタ注入効率を高めるように設定にすればよいことがわかる。
エミッタ注入効率を高めるため、第1に、エミッタに相当する第1半導体層(N型)102のバンドギャップを、ベースに相当する第2半導体層(P型)103のバンドギャップよりも大きいヘテロ接合にしている。第2に、エミッタに相当する第1半導体層(N型)102の不純物濃度を、ベースに相当する第2半導体層(P型)103の不純物濃度よりも大きくしている。第3に、ベースに相当する第2半導体層(P型)103の膜厚を薄くしている。第2半導体層(P型)103の厚みは0.01μm〜0.5μm程度が望ましい。このような受光感度を高めるために行った第1半導体層(N型)102および第2半導体層における不純物濃度およびバンドギャップの設定は、発光効率を向上させるために行った設定と矛盾無く両立している。
以上のように、本発明の実施の形態の発光サイリスタによれば、発光効率および受光感度が共に優れた発光サイリスタを提供することができる。
図3は、本発明の第2の実施の形態の発光サイリスタ116の断面図と、各層の不純物濃度およびバンドギャップを示したものである。なお、図3の不純物濃度とバンドギャップの値は望ましい一例を示したものであり、本発明の効果はこの値に限って生じるわけでない。なお、以下の説明は基板を一般的なN型半導体基板にした場合ついて行う。第1の実施の形態で説明したとおり、基板101、各半導体層102,103,104,107,108,およびオーミックコンタクト層109の導電型を反対にしても効果は同じである。
図3に示した本実施の形態のサイリスタ116と、図1に示した第1の実施の形態の発光サイリスタ115との違いは、第4半導体層(P型)107とオーミックコンタクト層109の間に、第4半導体層(P型)107と同じ導電型の第5半導体層(P型)108を積層したことにある。図3において、サイリスタに特有のNPNP構造の部分は、第1半導体層(N型)102、第2半導体層(P型)103、第3半導体層(N型)104および第4半導体層(P型)107によって構成され、この部分は第1の実施の形態と共通している。第5半導体層(P型)108のバンドギャップは、第4半導体層(P型)107のバンドギャップと略同一またはそれよりも広幅に設定され、第5半導体層(P型)108の不純物濃度は、第4半導体層(P型)106の不純物濃度と略同一またはそれよりも高濃度に設定される。第5半導体層(P型)108以外の各半導体層102,103,104,107およびオーミックコンタクト層109については、それらの層のバンドギャップ、不純物濃度および膜厚の値は、図1に示す第1の実施の形態と同様に設定される。以下の説明では、図3に示される第5半導体層(P型)108以外の部分は、図1に示される実施の形態と同様であるので、対応する部分には同一の参照符号を付し重複を避けて説明は省略する。
本実施の形態において、第5半導体層(P型)108のバンドギャップの具体的な値は、第4半導体層(P型)107と略同一にして、1.75eV〜1.88eV程度の値を用いた。第5半導体層(P型)108の不純物濃度の値は、第4半導体層(P型)より大きくして1×1019〜3×1019とした。第5半導体層108の厚さは、0.1〜0.5μmに設定される。第5半導体層(P型)108の材料、形成方法、ドーパント材料については、第1の実施の形態で説明した他の半導体層102,103,104,107と同様であるので説明は省略する。
本実施の形態の特徴は、第5半導体層(P型)を設けることによって、表面電極(アノード電極)110との間でオーミック接触をとりやすくしたことにある。第1の実施の形態で述べたように、通常、オーミックコンタクト層は、アルミニウムを含まないGaAs、InGaPなど材料を用いて高濃度の不純物をドーピングして形成される。GaAs、InGaPはバンドギャップが小さいので、発光した光の吸収層とならないように、オーミックコンタクト層は0.01μm〜0.02μmと極めて薄く形成する必要がある。しかし、オーミックコンタクト層を薄くすると、表面電極(アノード電極)110との間で良好なオーミック接触が得られなくなる場合があるので、第4半導体層(P型)107とオーミックコンタクト層109との間に比較的膜厚の大きい第5半導体層(P型)108を設けた。第5半導体層(P型)108の不純物濃度は、第4半導体層(P型)107の不純物濃度と略同一またはそれより高濃度にして良好なオーミック接触が得られるようにする。それとともに、第5半導体層(P型)108のバンドギャップは第4半導体層(P型)107のバンドギャップと略同一またはそれより広幅に設定して、第3半導体層(N型)のバンドギャップよりも大きくすることによって内部で発光した光の再吸収層とならないようにする。こうすることによって確実なオーミック接触を得ることができる。
次に本発明の発光サイリスタを用いて構成される本発明の実施の一形態の発光装置10について説明する。
図4は、発光装置10の基本的構成を示す平面図であり、発光素子アレイを構成する各発光素子の光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光装置10の平面を示している。同図では、図解を容易にするために、発光信号伝送路12、走査信号伝送路15、スタート信号伝送路16、発光素子のゲート電極19、スイッチ素子のゲート電極24、走査スタート用スイッチ素子のゲート電極26、接続手段14、発光素子遮光部23および表面電極25は、斜線を付して示されている。また、同図で、スイッチ素子アレイの配列方向である紙面左右方向をX方向と定義し、右側をX1方向、左側をX2方向とする。基板垂直方向である紙面垂直方向をZ方向と定義し、手前側をZ1方向、奥側をZ2方向とする。X方向およびZ方向に垂直方向である紙面上下方向をY方向と定義し、上側をY1方向、下側をY2方向とする。また同図では、図解を容易にするために、絶縁層17を省略して示している。
発光装置10は、発光素子アレイ11と、発光信号伝送路12と、スイッチ素子アレイ13と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、走査スタート用スイッチ素子T0と、スタート信号伝送路16と、絶縁層17と、遮光層18と、発光素子遮光部23とを含んで構成され、これらは、1つの基板31に集積されて形成される。発光信号伝送路12と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16とは、信号を伝送するための配線である。発光装置10のうち、発光素子アレイ11を構成する各発光素子、スイッチ素子アレイ13を構成する各スイッチ素子および走査スタート用スイッチ素子T0に発光サイリスタが用いられる。本実施の形態の発光サイリスタには、第2の実施の形態で示した発光サイリスタ116を用いるが、第1の実施の形態で示した発光サイリスタ115を用いても同様の発光装置10を構成することができる。各発光素子、各スイッチ素子および走査スタート用スイッチ素子T0は製造工程では同一の基板31に同時に形成されるので、これらは同一の層構成を有している。
発光素子アレイ11は、複数の発光素子L1,L2,…,Li−1,Li(記号iは、2以上の正の整数)を含んで構成され、各発光素子L1,L2,…,Li−1,Liが、相互に間隔W1をあけて配列される。以後、各発光素子L1,L2,…,Li−1,Liを総称する場合、および発光素子L1,L2,…,Li−1,Liのうち不特定のものを示す場合、単に発光素子Lと記載する場合がある。発光素子Lは、発光サイリスタ116を露光用の発光素子として用いたものである。なお、発光素子Lを構成する発光サイリスタのしきい電圧を、単に発光素子Lのしきい電圧と記載する場合がある。また、発光素子Lを構成する発光サイリスタがオン状態になって発光するとき、単に発光素子Lがオン状態になって発光すると記載する場合がある。本実施の形態では、各発光素子Lは、等間隔に配列され、かつ直線状に配列される。
X方向の各発光素子Lの間隔W1と、発光素子LのX方向の長さW2とは、発光装置10が搭載される後述する画像形成装置87において形成すべき画像の解像度によって決定され、たとえば画像の解像度が600ドットパーインチ(dpi)の場合、前記間隔W1は、約24μm(マイクロメートル)に選ばれ、前記長さW2は、約18μmに選ばれる。また前記長さW2は、隣接する発光素子Lとの間に、発光素子遮光部23を形成可能に選ばれる。発光素子LのX方向の寸法は、発光素子LのY方向の寸法よりも小さく選ばれる。これによって、各発光素子LをX方向に近接させて、集積密度を高めたときに、発光素子Lの光量が不足してしまうことが防止される。
発光信号伝送路12は、各発光素子Lに接続され、各発光素子Lに発光信号φEを伝送する。ここで、発光素子Lに発光信号φEを伝送するとは、発光素子を構成する発光サイリスタのアノード電極とカソード電極との間に発光信号φEを与えることを意味する。図3に示した発光サイリスタ116では、表面電極(アノード電極)110と裏面電極(カソード電極)111との間に発光信号φEの電圧が印加されることを意味する。なお、図3の表面電極(アノード電極)110は、図4の発光信号伝送路12のうちの素子接続部22に対応する。
発光信号伝送路12は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって、発光素子Lが発する波長の光を反射するように形成される。具体的には発光信号伝送路12は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
発光信号伝送路12は、各発光素子LのY方向に隣接して、発光素子アレイ11に沿って延びる信号路延在部21と、前記X方向に相互に間隔をあけて信号路延在部21からY1方向に突出して、各発光素子Lの厚み方向一端部に接続される素子接続部22を有する。
スイッチ素子アレイ13は、複数のスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tj(記号jは、2以上の正の整数)を含んで構成され、各スイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjが、隣接するスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjからの光を受光するように相互に間隔W3をあけて配列される。以後、各スイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjを総称する場合、およびスイッチ素子T1,T2,…,Tj−1,Tjのうち不特定のものを示す場合、単にスイッチ素子Tと記載する場合がある。スイッチ素子Tは、発光サイリスタ116を光励起によるスイッチング素子として用いたものである。なお、スイッチ素子Tを構成する発光サイリスタのしきい電圧を、単にスイッチ素子Tのしきい電圧と記載する場合がある。また、スイッチ素子Tを構成する発光サイリスタがオン状態になって発光するとき、単にスイッチ素子Tがオン状態になって発光すると記載する場合がある。本実施の形態では、各スイッチ素子Tは、等間隔に配置される。各スイッチ素子Tは、発光素子アレイ11のY方向に隣接し、この発光素子アレイ11に沿って、複数の発光素子Lに対向した状態で直線状に配列される。したがって、各スイッチ素子の配列方向は、前記各発光素子LのX方向と同じである。スイッチ素子TのY方向の寸法は、スイッチ素子TのX方向の寸法よりも大きく選ばれる。これによって、各スイッチ素子TをX方向に近接させて集積密度を高めたときに、隣接するスイッチ素子用発光サイリスタを光励起によってオン状態に遷移させるのに必要な光量が不足してしまうことが防止される。
本実施の形態では、発光素子Lとスイッチ素子Tとの数は等しく、すなわち前記iと記号jとは等しい数に選ばれる。
X方向の各スイッチ素子Tの間隔W3は、製造工程における制限を受けるので、スイッチ素子Tの厚み方向Zの高さの2倍以上に形成されるが、20μm未満に選ばれ、好ましくは10μm以下に選ばれる。本実施の形態では、スイッチ素子Tの高さを約4μmとしており、この場合には間隔W3は8μm程度になる。前記間隔W3が20μm以上になると、光励起による発光状態の転送が困難になる。
スイッチ素子TのX方向の長さW4は、前記X方向の各発光素子Lの間隔W1と、発光素子LのX方向の長さW2と、X方向の各スイッチ素子Tの間隔W3とによって決定される。すなわちX方向の各発光素子Lの間隔W1と、発光素子LのX方向の長さW2とを加算した長さと、X方向の各スイッチ素子Tの間隔W3とスイッチ素子TのX方向の長さW4とを加算した長さとが、等しく選ばれる。
接続手段14は、各発光素子Lのゲート電極19と、各発光素子Lに対応する各スイッチ素子Tのゲート電極24とを、電気的に接続する。本実施の形態においては、接続手段14は、発光素子L1のゲート電極19と、スイッチ素子T1のゲート電極24とを電気的に接続し、発光素子L2のゲート電極19と、スイッチ素子T2のゲート電極24とを電気的に接続し、以下同様に、発光素子Liのゲート電極19と、スイッチ素子Tjのゲート電極24とを電気的に接続する(本実施の形態ではi=jである)。なお、発光素子Lのゲート電極19およびスイッチ素子Tのゲート電極24は、発光サイリスタ116の構成を示す図3の第3半導体層(N型)104に対応し、接続手段14がゲート電極112に対応する。
接続手段14は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される導電路によって実現される。具体的には接続手段14は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、各スイッチ素子Tの表面電極25に接続され、X方向に隣接するスイッチ素子T毎に、異なるタイミングで与えられる前記第1〜第3走査信号φ1〜φ3を伝送する。ここで、スイッチ素子Tに走査信号を伝送するとは、スイッチ素子を構成する発光サイリスタのアノード電極とカソード電極との間に走査信号を与えることを意味する。図3に示した発光サイリスタ116では、表面電極(アノード電極)110と裏面電極(カソード電極)111との間に走査信号の電圧が印加されることを意味する。なお、各スイッチ素子Tの表面電極25は、発光サイリスタ116の構成を示す図3での表面電極(アノード電極)110に対応する。
本実施の形態において、第1走査信号伝送路15aは、第1走査信号φ1を伝送し、第2走査信号伝送路15bは、第2走査信号φ2を伝送し、第3走査信号伝送路15cは、第3走査信号φ3を伝送する。第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cを総称する場合、および第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうち不特定のものを示す場合、単に走査信号伝送路15と記載し、第1〜第3走査信号φ1,φ2,φ3を総称する場合、および第1〜第3走査信号φ1,φ2,φ3のうち不特定のものを示す場合、単に走査信号φと記載する場合がある。走査信号伝送路15は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、各スイッチ素子TのZ1方向で絶縁層17を介して各スイッチ素子Tに重なって形成され、X方向に沿って延びる。第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、Y方向に間隔W5をあけて配置される。間隔W5は、第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15c間で短絡が発生しない距離に選ばれ、たとえば10μmに選ばれる。
第1、第2および第3走査信号伝送路15a,15b,15cは、各スイッチ素子Tの表面電極25に順次1つずつ接続され、配列されるスイッチ素子Tに沿って、それぞれが3つおきにスイッチ素子Tに接続される。すなわち、第1走査信号伝送路15aは、スイッチ素子T1,T4,…,Tj−2に接続され(記号jは、整数かつ3×mであり、記号mは自然数)、第2走査信号伝送路15bは、スイッチ素子T2,T5,…,Tj−1に接続され、第3走査信号伝送路15cは、スイッチ素子T3,T6,…,Tjに接続される。したがって、スイッチ素子Tのうち、X方向のn番目(記号nは、2以上j以下となる正の整数)に配置されるスイッチ素子Tnと、このスイッチ素子TnのX1方向側に隣接するスイッチ素子Tn−1と、スイッチ素子TnのX2方向側に隣接するスイッチ素子Tn+1とは、それぞれ異なる走査信号伝送路15に接続される。
走査スタート用スイッチ素子T0は、発光サイリスタ116で構成され、スイッチ素子アレイ13のX方向の端部に配置されるスイッチ素子Tに、発光サイリスタのオン状態で発光した光を照射するように配置される。なお、走査スタート用スイッチ素子T0を構成する発光サイリスタのしきい電圧を、単に走査スタート用スイッチ素子T0のしきい電圧と記載する場合がある。また、走査スタート用スイッチ素子T0を構成する発光サイリスタがオン状態になって発光するとき、単に走査スタート用スイッチ素子T0がオン状態になって発光すると記載する場合がある。本実施の形態では、走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子T1に光を照射するように配置される。したがって、走査スタート用スイッチ素子T0が配置されるX方向の一方X1が、光走査装置における光の走査方向の上流側となる。
スタート信号伝送路16は、走査スタート用スイッチ素子T0のゲート電極26に接続され、走査スタート用スイッチ素子T0にトリガ信号となるスタート信号φSを伝送する。走査スタート用スイッチ素子T0のゲート電極26は、発光サイリスタ116の構成を示す図3の第3半導体層(N型)104に対応する。スタート信号伝送路26の一部が図3のゲート電極112に対応する。スタート信号伝送路16は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的にはスタート信号伝送路16は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)、金と亜鉛との合金(AuZn)、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)などによって形成される。
前述した発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、絶縁層17によって覆われる。
遮光層18は、各スイッチ素子Tの厚み方向Zの一方側、すなわち各スイッチ素子Tの図1の紙面に垂直手前側から、各スイッチ素子Tを覆い、発光素子Lが発する光に、スイッチ素子Tが発する光が干渉しないように、スイッチ素子Tが発する光を遮光する。
発光素子遮光部23は、各発光素子Lの間と、発光素子アレイ11のX方向の両端部の発光素子LのX方向の外方とに設けられ、発光素子LからX方向に向かう光を遮光する。発光素子遮光部23は、発光信号伝送路12から離間して設けられ、発光信号伝送路12とは、絶縁層17によって電気的に絶縁される。
以下、発光装置10の各構成について、さらに具体的に説明する。
図5は、図4の切断面線A1−A1から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。本実施の形態では、基板31にはN型半導体基板を用いる。発光素子Lは、発光サイリスタ116で構成され、基板31のZ1方向の表面に第1半導体層(N型)32、第2半導体層(P型)33、第3半導体層(N型)34のうちの第1領域34a、第2領域34b、第4半導体層(P型)35および第5半導体層(P型)36、オーミックコンタクト層37がこの順に積層されて形成される。各半導体層32,33,34a、34b、35,36,37の材料、バンドギャップ、不純物濃度および膜厚は、第2の実施の形態で例示した発光サイリスタ116と同様である。なお、図3と図5とで参照符号は異なるが、対応する構成は同じ名称で記載する。たとえば、図5の基板31は前述した図3の基板101に対応し、図5の各第1〜第5半導体層32,33,34、35,36は、前述した図3の各第1〜第5半導体層102,103,104,107,108にそれぞれ対応する。
基板31のZ2方向の表面には、裏面電極99が形成される。裏面電極99は、基板31のZ2方向の全面にわたって形成され、発光サイリスタ116の構成を示す図3の裏面電極111に対応する。裏面電極99は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的には裏面電極99は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。
第1半導体層(N型)32、第2半導体層(P型)33、第3半導体層(N型)34、第4半導体層(P型)35、第5半導体層(P型)36およびオーミックコンタクト層37が積層された積層体は、略直方体形状を有する。これらの半導体層32,33,34,35,36,37は、絶縁層17によって覆われる。絶縁層17は、電気絶縁性および透光性ならびに平坦性を有する樹脂材料によって形成される。絶縁層17は、ポリイミドおよびベンゾシクロブテン(BCB)などによって形成される。
絶縁層17のうち、隣接する発光素子Lの間の部分には、Y方向に垂直な仮想一平面において、V字形状となり、基板31のZ1方向の表面まで達する溝部38が形成され、この溝部38に前記発光素子遮光部23が形成される。発光素子遮光部23は、溝部38の表面に沿って形成され、基板31のZ1方向の表面からオーミックコンタクト層37のX方向の側方にわたって設けられる。発光素子遮光部23は、発光素子LのY方向の一端部および他端部間にわたって形成され、発光素子LのY方向の端部よりも発光素子LのY1方向およびY2方向まで延びる。このような発光素子遮光部23を形成することによって、隣接する発光素子Lが発光したときにこの光を受光することが防止され、隣接する発光素子Lが発光しても、この発光に伴って発光素子Lのしきい電圧が変化してしまうことがないので、発光素子Lを選択的に安定して発光させることができる。
オーミックコンタクト層37のZ1方向の表面には、発光信号伝送路12の素子接続部22が接続される。絶縁層17のうち、オーミックコンタクト層37のZ1方向の表面上に形成される部分には、貫通孔39が形成され、この貫通孔39に前記素子接続部22の一部が形成されて、素子接続部22がオーミックコンタクト層37に接触している。前記貫通孔39は、発光素子LのX方向の中央かつ発光素子LのY方向の中央に形成され、発光信号伝送路12からの電流を、発光素子Lの中央部に効率的に供給して、発光させる。
発光信号伝送路12の素子接続部22のX方向の長さW6は、発光素子LのX方向の長さW2の1/3以下に形成される。素子接続部22は発光素子Lの光の出射方向の一部を覆うが、長さW6を前述したように選ぶことによって、素子接続部22が発光素子Lから発せられZ1方向に向かう光を遮ってしまうことをできるだけ防止する。また発光素子Lから発せられ、Z1方向に向かい、発光信号伝送路12によって反射された光の一部は、発光素子遮光部23および基板31などによって再反射されることによって、Z1方向へと向かう。
図6は、図1の切断面線A2−A2から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。スイッチ素子Tは、発光サイリスタ116によって構成され、基板31のZ1方向の表面に第1半導体層(N型)42、第2半導体層(P型)43、第3半導体層(N型)44のうちの第1領域44a、第2領域44b、第4半導体層(P型)45、第5半導体層(P型)46、およびオーミックコンタクト層47がこの順に積層されて形成される。さらにオーミックコンタクト層のZ1方向の表面には表面電極25が形成される。各半導体層42,43,44a,44b,45,46、オーミックコンタクト層47および表面電極25の積層体は、略直方体形状を有する。各半導体層42,43,44a、44b、45,46、およびオーミックコンタクト層47の材料、バンドギャップ、不純物濃度および膜厚は、第2の実施の形態で例示した発光サイリスタ116と同様である。
オーミックコンタクト層47のZ1方向の表面上には、表面電極25が形成される。表面電極25は、オーミックコンタクト層47のZ1方向の表面の周縁部を除き、走査方向の下流側寄り、言い換えればX2方向寄りに、表面積の約半分の領域に形成される。このように表面電極25を形成することによって、スイッチ素子Tの各半導体層への電界をなるべく不均一にならないようにして、スイッチ素子Tから放射される光の発光強度を増加させるとともに、X1方向に隣接するスイッチ素子Tから出射され、遮光層18によって反射されてZ1方向から到来する光を、各半導体層により多く入射させるようにする。その結果、スイッチ素子Tの走査方向の下流側であるX2方向では、表面電極25によって光を反射することによって、X2方向のスイッチ素子Tにより強い光を与えることができ、スイッチ素子Tの走査方向の上流側であるX1方向では、表面電極25が形成されていないので、走査信号伝送路15または遮光層18によって反射して、Z1方向から到来する光を効率よく受光することができる。表面電極25は、金属材料および合金材料などの導電性を有する材料によって形成される。具体的には表面電極25は、金(Au)、金とゲルマニウムとの合金(AuGe)および金と亜鉛との合金(AuZn)などによって形成される。
各半導体層42,43,44a,44b,45,46、オーミックコンタクト層47および表面電極25は、絶縁層17によって覆われ、隣接するスイッチ素子Tと電気的に絶縁される。前述したように絶縁層17は、透光性を有するので、スイッチ素子Tが発光すると、この光は絶縁層17を透過して、X方向に隣接するスイッチ素子Tに入射する。絶縁層17は、スイッチ素子Tが発する波長の光の95%以上を透過する樹脂材料によって形成される。
図6の矢符で示すように、スイッチ素子Tは、第3半導体層(N型)44および第4半導体層(P型)45の界面付近で、第3半導体層(N型)44寄りの第2領域44bから主に発光する。また第1半導体層(N型)42および第2半導体層(P型)43の界面付近でもわずかに発光する。スイッチ素子Tは、光を全方向に放射する。
絶縁層17は、樹脂材料を塗付し、この樹脂材料を硬化させて形成される。絶縁層17を塗布したときに平坦性を有する樹脂材料によって形成することによって、絶縁層17を形成するときに、各スイッチ素子Tの間にも樹脂材料を充填して、絶縁層17を各スイッチ素子Tの間に確実に形成することができる。また、樹脂材料が硬化時に収縮することによって、各スイッチ素子Tの間に形成される絶縁層17のZ1方向の表面部には、Y方向に延びる凹所48が形成される。
さらに、絶縁層17を、ポリイミドおよびベンゾシクロブテン(BCB)などによって形成することによって、各スイッチ素子Tの間隔W3を前述のように選んでも、この空隙に絶縁層17を確実に形成することができ、また各半導体層42,43,44,45,46、オーミックコンタクト層47、表面電極25および基板31に絶縁層17を密着して形成することができる。絶縁層17が、スイッチ素子Tの表面から剥離してしまうと、この剥離した部分の界面によって、光が反射されてしまい、隣接するスイッチ素子Tからの光の受光量が低下してしまうおそれがあるが、このような問題が発生しない。
表面電極25のZ1方向の表面には、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうちの、いずれか1つが接続される。絶縁層17のうち、表面電極25のZ1方向の表面上に形成される部分には、貫通孔49が形成され、この貫通孔49を介して第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうちの、いずれか1つが接続され、スイッチ素子Tと第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cのうちの他の2つの走査信号伝送路15とは、絶縁層17によって電気的に絶縁される。スイッチ素子Tは絶縁層17によって覆われているので、スイッチ素子TのZ1方向側に、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cを積層することができる。
本実施の形態においては、N型半導体基板を用いているので、発光信号伝送路12および走査信号伝送路15が、各素子のアノードに接続される構成となり、カソード電位を0ボルト(V)にすると、発光素子Lおよびスイッチ素子Tに電圧または電流を印加する電源に、正電源を用いることができるので好ましい。本実施の形態では、発光素子Lにおいては発光信号伝送路12がアノード電極として機能し、裏面電極99がカソード電極として機能する。またスイッチ素子Tにおいては、表面電極25が走査信号伝送路15とともにアノード電極として機能し、裏面電極99がカソード電極として機能する。
各スイッチ素子TのZ1方向側が、絶縁層17または走査信号伝送路15によって覆われ、さらに絶縁層17および走査信号伝送路15は遮光層18によって覆われる。遮光層18の材料としては、電気絶縁性を有し、スイッチ素子Tから発せられる波長の光を、2μm〜3μm程度の厚みでほぼ完全に吸収するようなものであれば種々ものが使用可能である。本実施の形態では遮光層18は、緑色のポリイミドによって形成される。遮光層18の厚みは、5μm〜10μm程度に選ばれる。
スイッチ素子Tから発せられ、Z1方向へ向かう光は、絶縁層17と走査信号伝送路15と界面、走査信号伝送路15、絶縁層17と遮光層18との界面などによって反射されるか、遮光層18によって吸収される。各走査信号伝送路15および絶縁層17によって反射手段が形成される。これによって、スイッチ素子Tからの光が、発光素子LからZ1方向に出射される光に干渉してしまうことが防止される。したがって発光装置10を、後述する画像形成装置87の露光装置として用いた場合に、スイッチ素子Tからの漏れ光によって、画像の劣化が発生せず、優れた品質の画像を形成することができる。
図7は、図1の切断面線A3−A3から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。発光素子Lと、スイッチ素子Tとは、Y方向に隣接して配置される。発光素子Lの第1半導体層(N型)32と、第2半導体層(P型)33と、第3半導体層(N型)34とのスイッチ素子T寄りの端部は、第4半導体層(P型)35と、第5半導体層(P型)36と、オーミックコンタクト層37とのスイッチ素子T寄りの端部よりも、スイッチ素子Tに向かって突出し、発光素子接続部51を構成する。発光素子接続部51のX方向の長さは、前述した長さW2よりもわずかに小さい。
またスイッチ素子Tの、第1半導体層(N型)42と、第2半導体層(P型)43と、第3半導体層(N型)44との発光素子L寄りの端部は、第4半導体層(P型)45と、第5半導体層(P型)と、オーミックコンタクト層47との発光素子L寄りの端部よりも、スイッチ素子Tに向かって突出し、スイッチ素子接続部52を構成する。スイッチ素子接続部52のX方向の長さは、発光素子接続部51の配列方向の長さと等しく選ばれる。
発光素子Lの第3半導体層(N型)34のうち、発光素子接続部51を構成する部分340Aは、第4半導体層(P型)35が積層される部分340Bよりも厚みが小さく形成される。また発光素子スイッチTの第3半導体層(N型)44のうち、スイッチ素子接続部52を構成する部分440Aは、第4半導体層(P型)45が積層される部分440Bよりも厚みが小さく形成される。これは、発光素子接続部51およびスイッチ素子接続部52をエッチング工程で形成したときに、第4半導体層(P型)が残存しないようにオーバーエッチングしたためである。
絶縁層17は、発光素子Lおよびスイッチ素子Tの表面に沿って形成されており、発光素子Lとスイッチ素子Tと間にも形成され、発光素子Lとスイッチ素子Tとが絶縁層17によって電気的に絶縁される。発光素子Lとスイッチ素子Tと間に設けられる絶縁層17の厚みは、基板31から発光素子接続部51およびスイッチ素子接続部52の厚みとほぼ等しい。絶縁層17のうち、発光素子Lとスイッチ素子Tと間に設けられる部分には、基板31側が底部となり、X方向に沿って延びる凹部53が形成される。絶縁層17のうち、前記発光素子接続部51の第3半導体層(N型)34のZ1方向の表面に積層されている部分には貫通孔54が形成され、前記スイッチ素子接続部52の第3半導体層(N型)44のZ1方向の表面に積層される部分には貫通孔55がそれぞれ形成される。
発光素子Lのゲート電極19と、この発光素子Lに対応するスイッチ素子Tのゲート電極24とを接続する接続手段14は、発光素子接続部51とスイッチ素子接続部52とにわたって、発光素子Lとスイッチ素子Tとの間で、絶縁層17に積層して設けられる。接続手段14は、前記貫通孔54,55に接続手段14の一部が形成され、発光素子接続部51の第3半導体層(N型)34のZ1方向の表面と、前記スイッチ素子接続部52の第3半導体層(N型)44のZ1方向の表面とに接続される。接続手段14の抵抗値は、1kΩ(オーム)以下に選ばれる。抵抗値が高すぎると、スイッチ素子Tから発光素子Lへのトリガ信号が減衰されてしまう恐れがあるが、接続手段14の抵抗値を前記範囲に選ぶことによって、スイッチ素子Tから発光素子Lへトリガ信号が伝達される際に減衰することを抑制できる。
発光素子Lの第3半導体層(N型)34は、発光素子Lのゲート電極19であり、スイッチ素子Tの第3半導体層(N型)44は、スイッチ素子Tのゲート電極24である。したがって、接続手段14は、発光素子Lとスイッチ素子Tのゲート電極同士を電気的に接続している。
発光素子Lの第4半導体層(P型)35およびオーミックコンタクト層37のスイッチ素子T寄りの端部は、絶縁層17を介して前述した発光信号伝送路12によって覆われる。これによって、発光素子Lから、スイッチ素子Tに向かう光を遮光することができる。発光信号伝送路12の信号路延在部21は、第4半導体層(P型)35およびオーミックコンタクト層37のスイッチ素子Tに対向する側部に臨んで設けられ、また発光素子接続部51の第4半導体層(P型)35寄りの端部を覆う。
またスイッチ素子Tの第4半導体層(P型)45およびオーミックコンタクト層47の発光素子L寄りの端部は、絶縁層17に積層される遮光層18によって覆われる。これによって、スイッチ素子Tから、発光素子Lに向かう光を遮光することができる。またスイッチ素子Tの、発光素子Lとは反対側の端部は、絶縁層17を介して遮光層18によって覆われる。遮光層18は、スイッチ素子接続部52のZ1方向を覆い、前記発光素子Lとスイッチ素子Tとの間に形成される凹所53付近まで延びる。
図8は、図1の切断面線A4−A4から見た発光装置10の基本的構成を示す一部の断面図である。走査スタート用スイッチ素子T0と、スイッチ素子Tとは、同様な構成であるので、同様の部分には、同様の参照符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
走査スタート用スイッチ素子T0は、発光サイリスタ116で構成され、基板31のZ1方向の表面に第1半導体層(N型)62、第2半導体層(P型)63、第3半導体層(N型)64のうちの第1領域64a、第2領域64b、第4半導体層(P型)65および第5半導体層(P型)66、オーミックコンタクト層67がこの順に積層されて形成される。さらにオーミックコンタクト層のZ1方向の表面には表面電極25が形成される。走査スタート用スイッチ素子T0の表面電極25は、オーミックコンタクト層61のZ1方向の表面の周縁部を除く全領域に形成される。各半導体層62,63,64a,64b,65,66、オーミックコンタクト層67および表面電極25の積層体は、略直方体形状を有する。各半導体層62,63,64a、64b、65,66、オーミックコンタクト層67およびの材料、バンドギャップ、不純物濃度および膜厚は、第2の実施の形態で例示した発光サイリスタ116と同様である。図3と図8とで参照符号は異なるが、対応する層同士は同じ名称で記載する。たとえば、図8の基板31は前述した図3の基板101に対応し、図8の各第1〜第5半導体層62,63,64、65,66は、前述した図3の各第1〜第5半導体層102,103,104,107,108にそれぞれ対応する。
また走査スタート用スイッチ素子T0の、第1半導体層(N型)62と、第2半導体層(P型)63と、第3半導体層(N型)64との発光素子L寄りの端部は、第4半導体層(P型)65と、第5半導体層(P型)66と、オーミックコンタクト層67との発光素子L寄りの端部よりも、発光素子アレイ11側に向かって突出し、走査スタート用スイッチ素子接続部68を構成する。
走査スタート用スイッチ素子T0は、絶縁層17および遮光層18に覆われる。走査スタート用スイッチ素子T0のZ1方向に積層される絶縁層17に積層して走査信号伝送路15が形成され、絶縁層17のうち走査スタート用スイッチ素子T0のZ1方向に積層される部分に形成される貫通孔69に第3走査信号伝送路15cの一部が形成されて、貫通孔69を介して第3走査信号伝送路15cが走査スタート用スイッチ素子T0の表面電極25に接続される。また絶縁層17のうち、走査スタート用スイッチ素子接続部68の積層される部分には、貫通孔71が形成され、この貫通孔71にスタート信号伝送路16の一部が形成され、貫通孔71を介して、絶縁層17に積層して形成されるスタート信号伝送路16が接続される。走査スタート用スイッチ素子T0、走査信号伝送路15およびスタート信号伝送路16とは、遮光層18によって覆われる。走査スタート用スイッチ素子T0の第3半導体層(N型)64は、走査スタート用スイッチ素子T0のゲート電極26である。
各発光素子L、各スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0は、基板31のZ1方向の表面に、第1半導体層(N型)32,42,62、第2半導体層(P型)33,43,63、第3半導体層(N型)34,44,64、第4半導体層(P型)35,45,65、オーミックコンタクト層37,47,67を、それぞれ形成するための半導体材料を、有機金属気層エピタキシャル成長法(MOVPE)および分子線エピタキシャル成長法(MBE)などのエピタキシャル成長法によって順次積層した後、フォトリソグラフィによるパターニングおよびエッチングを行うことによって形成される。したがって、一連の製造プロセスにおいて、発光素子L、スイッチ素子Tおよび走査スタート用スイッチ素子T0を同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。各半導体層を形成した後、導電体層を蒸着法などによって形成し、フォトリソグラフィによるパターニングとエッチングとを行って、表面電極25を形成する。
絶縁層17は、表面電極25を形成した後、前述したポリイミドなどの樹脂材料をスピンコーティングしてから、塗付した樹脂材料を硬化させる。その後、発光信号伝送路12と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16と、発光素子L、スイッチ素子Tまたは走査スタート用スイッチ素子T0との接続に必要な各貫通孔39,49,54,55,69,71をフォトリソグラフィによるパターニングとエッチング工程とによって形成する。
発光信号伝送路12と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16と、発光素子遮光部23とは、絶縁層17を形成した後、蒸着法などによって導電性材料を絶縁層17の表面に積層し、フォトリソグラフィによるパターニングおよびエッチングを行うことで同時に形成される。したがって、発光信号伝送路12と、接続手段14と、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、スタート信号伝送路16と、発光素子遮光部23と厚みは、ほぼ等しく形成される。
図9は、図1に示される発光装置10の基本的構成を示す一部の等価回路を示す回路図である。発光装置10は、駆動手段73によって駆動される。前記発光装置10は、駆動手段73を含んで構成されてもよい。駆動手段73は、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cと、発光信号伝送路12と、スタート信号伝送路16とに接続され、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cに走査信号φを与え、スタート信号伝送路16にスタート信号φSを与え、発光信号伝送路12に発光信号φEをそれぞれ与える。駆動手段73は、駆動用ドライバーIC(Integrated Circuit)によって実現される。
駆動手段73は、外部から基準となるクロックパルス信号を入力して、このクロックパルス信号に基づいて、第1〜第3走査信号φ1〜φ3およびスタート信号φSを同期して出力し、走査信号伝送路15およびスタート信号伝送路16にそれぞれ与える。前記クロックパルス信号は、後述する画像形成装置87の制御手段96から与えられる。クロックパルス信号のクロック周期は、後述する画像形成装置87の制御手段96における制御周期よりも長く選ばれる。また駆動手段73は、クロックパルス信号とともに与えられる画像情報に基づいて、発光信号φEを出力して、発光信号伝送路12に与える。
第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cには、各スイッチ素子Tと直列に接続される抵抗素子Rφがそれぞれ接続され、駆動手段73は、抵抗素子Rφを介して第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cに接続される。抵抗素子Rφは、駆動手段73から走査信号伝送路15に過電流が流れてしまうことを防止するとともに、各スイッチ素子Tに印加される電圧を分圧する分圧抵抗としての機能を有する。
また発光信号伝送路12にも、各発光素子Lと直列に接続される抵抗素子Rφがそれぞれ接続され、駆動手段73は、抵抗素子Rφを介して発光信号伝送路12に接続される。抵抗素子Rφは、駆動手段73から発光信号伝送路12に過電流が流れてしまうことを防止するとともに、各発光素子Lに印加される電圧を分圧する分圧抵抗としての機能を有する。
図10は、駆動手段73が、スタート信号伝送路16に与えるスタート信号φS、第1走査信号伝送路15aに与える第1走査信号φ1、第2走査信号伝送路15bに与える第2走査信号φ2、第3走査信号伝送路15cに与える第3走査信号φ3および発光信号伝送路12に与える発光信号φEと、発光素子L1の発光強度と、走査スタート用スイッチ素子T0およびスイッチ素子T1〜T4の発光強度とを示す波形図である。発光素子L1および走査スタート用スイッチ素子T0ならびにスイッチ素子T1〜T4の発光強度は、ハイ(H)レベルのとき発光していることを表し、ロー(L)レベルのとき発光していないことを表す。図10において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。
またスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEについて、縦軸は、信号レベルを表す。信号レベルは、電圧または電流の大きさを表し、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがハイ(H)レベルのとき、高電圧または高電流が信号伝送路に供給され、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがロー(L)レベルのとき、低電圧または低電流が信号伝送路に供給される。スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEがLレベルのとき、信号伝送路に低電圧または低電流が供給される結果、各素子に印加される電圧は、各素子のしきい電圧よりも小さくなる。電圧の場合、Hレベルは、たとえば3ボルト(V)〜10ボルト(V)である。Lレベルは、たとえば0(零)ボルト(V)である。
本実施の形態では、Hレベルのときのスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEの電圧をたとえば5ボルト(V)とし、Lレベルのスタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEの電圧をたとえば0ボルト(V)とする。第1〜第3走査信号φ1〜φ3の波形は同じであり、それぞれ位相が異なる。
発光装置10では、発光させるべき発光素子Lのしきい電圧を低下させるために、スイッチ素子Tの発光状態を、X方向に沿って転送する。
以後、駆動手段73の動作について説明する。まず時刻t0で、駆動手段73は、スタート信号φS、第1〜第3走査信号φ1〜φ3および発光信号φEをローレベルとする。スタート信号φSをローレベルにしておくことによって、走査スタート用スイッチ素子T0のしきい電圧は、第3走査信号φのハイレベルよりも小さくなる。駆動手段73は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをローレベルからハイレベルにすると、次に信号レベルをハイレベルからローレベルにするまで、信号レベルをハイレベルとなるように維持する。また駆動手段73は、発光信号φE、スタート信号φSおよび走査信号φについて、信号レベルをハイレベルからローレベルにすると、次に信号レベルをローレベルからハイレベルにするまで、信号レベルをローレベルとなるように維持する。
時刻t1で、駆動手段73は、第3走査信号φ3のみをローレベルからハイレベルに変化させる。時刻t1において、スタート信号φS、第1,第2走査信号φ1,φ2および発光信号φEは、ローレベルである。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0が、オン状態になり、すなわちターンオンし、発光する。
走査スタート用スイッチ素子T0の光は、隣接するスイッチ素子アレイ13のX方向の端部に配置されるスイッチ素子T1に最も強く入射する。スイッチ素子アレイ13の他のスイッチ素子Tでは、X方向に走査スタート用スイッチ素子T0から離間した位置に配置されるスイッチ素子Tほど、走査スタート用スイッチ素子T0から照射される光の強度が小さくなる。スイッチ素子Tを構成する発光サイリスタは受光する光強度が大きくなるほどしきい電圧の降下が大きい。
次に走査スタート用スイッチ素子T0からスイッチ素子T1への発光状態の転送について説明する。走査スタート用スイッチ素子T0が発光すると、この光をスイッチ素子T1が受光し、スイッチ素子T1のしきい電圧が低下する。
時刻t2において、スイッチ素子T1のしきい電圧はVTH(T1)となっている。第1走査信号伝送路15aには、スイッチ素子T1,T4,…,Tj−2が接続されているが、スイッチ素子T4,…,Tj−2は、走査スタート用スイッチ素子T0から十分に離れているので、走査スタート用スイッチ素子T0からの光を受光しても、その光は微弱であるので、しきい電圧はほとんど変化しない。
時刻t2で、駆動手段73は、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにする。時刻t2において、スタート信号φS、第2走査信号φ2、発光信号φEはローレベルであり、第3走査信号φ3は、ハイレベルである。第1走査信号φ1のハイレベルは、第1走査信号伝送路15aに接続されるスイッチ素子T1を除く他のスイッチ素子T4,…,Tj−2のしきい電圧うちの最低値よりも、高い電圧または高い電流に選ばれる。
隣接するスイッチ素子Tからの光を受光することによってしきい電圧が低下したスイッチ素子Tが接続される前記走査信号伝送路15に、この走査信号伝送路15に接続される他のスイッチ素子Tのしきい電圧の最低値よりも高い電圧または電流の走査信号φを与えると、走査信号φは抵抗素子Rφを介して、走査信号伝送路15に与えられ、スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が与えられる。各スイッチ素子Tには、抵抗素子Rφによって分圧された電圧が徐々に印加されることとなり、同じ走査信号伝送路15に接続される複数のスイッチ素子Tのうち、隣接しているスイッチ素子Tからの光を受光したスイッチ素子Tに与えられる電圧が、最も早くこのスイッチ素子Tのしきい電圧よりも大きくなる。これによって、しきい電圧が最も低いスイッチ素子Tのみが発光し、他のスイッチ素子Tは、発光しない。
これによって、時刻t2で、スイッチ素子T1がオン状態となり、すなわちターンオンし、発光する。
スイッチ素子T1がオン状態となった後、時刻t3で、駆動手段73は、第3走査信号φ3をローレベルにする。これによって、走査スタート用スイッチ素子T0は、オフ状態、すなわちターンオフして、消灯する。
このようにして、走査スタート用スイッチ素子T0から、スイッチ素子T1へと発光状態が遷移する。また時刻t3において、駆動手段73は、スタート信号φSをローレベルからハイレベルにし、以後、ハイレベルを維持させることによって、時刻t3以降に、第3走査信号φ3をローレベルからハイレベルにしても、走査スタート用スイッチ素子T0はオフ状態を維持する。
時刻t2と時刻t3との間の時間は、第1走査信号φ1がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれる。このように、隣接するスイッチ素子Tにおいて与えられる走査信号φがハイレベルとなる時間が重なるように駆動手段73が走査信号φを与えることによって、隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧が確実に低下している間に、走査信号φをハイレベルとすることができ、光走査を確実に行うことができる。
本実施の形態では、第1〜第3走査信号φ1〜φ3がハイレベルとなる時間は、1μ秒程度に選ばれる。したがって、時刻t2と時刻t3との間の時間は、0.1μ秒程度に選ばれる。
スイッチ素子T1は、受光によってしきい電圧が低下した状態で、時刻t2において走査信号φ1がハイレベルになりオン状態となると、走査信号φ1がローレベルになるまでは、オン状態を維持する。オン状態となると、スイッチ素子T1のゲート電極24の電圧は、ほぼ0(零)ボルト(V)になる。ここで前記スイッチ素子T1のゲート電極24の電圧とは、このゲート電極24と接地される裏面電極99との電位差である。スイッチ素子T1のゲート電極24の電圧が0Vになることは、ゲート電極24にトリガ信号が発生したことを意味する。スイッチ素子T1のゲート電極24は、発光素子L1のゲート電極19に接続されているので、スイッチ素子T1のゲート電極24の電圧は、発光素子L1のゲート電極19の電圧と等しくなる。このようにスイッチ素子T1は、発光素子L1のゲート電極19と裏面電極99とに印加される電圧を変化させることができ、このことは、スイッチ素子T1のゲート電極24に発生したトリガ信号が、発光素子L1のゲート電極19に与えられたことを意味する。
発光素子L1を発光させる場合、駆動手段73は、第3走査信号φ3をハイレベルからローレベルにした時刻t3が経過した後、時刻t4で、発光信号φEをローレベルからハイレベルにする。
発光素子L1は、スイッチ素子T1がオン状態であるので、前述したように発光素子L1のゲート電極19は、ほぼ0(零)ボルト(V)となる。このときスイッチ素子T2,…,Tj−1,Tjは、オフ状態であり、時刻t4における発光素子L1のしきい電圧をVTH(L1)とし、時刻t4における発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧をそれぞれVTH(L2),…,VTH(Li−1),VTH(Li)とすると、発光信号φEのハイレベルVHを、発光素子L1のしきい電圧以上であって、発光素子L2,…,Li−1,Liのしきい電圧のうち、最低値のものよりも小さな値に選ぶことによって、発光素子L1のみを選択的にオン状態として、発光させることができる。
時刻t5において、駆動手段73が発光信号φEをローレベルにすると、発光素子L1は、オフ状態となり、消灯する。後述する感光体ドラム90への露光量は、発光素子Lの発光強度は一定として、発光素子Lの発光する時間によって調整される。すなわち、発光信号φEがハイレベルとなる時刻t4から時刻t5までの間の時間を決定することによって、露光量が決定される。発光素子Lの発光強度によって露光量を変更する場合、発光素子L1に与える電圧または電流を細かく制御する必要があるので困難であるが、発光時間によって露光量を変更することによって、発光信号φEがハイレベルとなる時間を調整するだけでよいので、露光量の制御がしやすく、また定電圧または定電流が発光素子Lに与えられるので、発光素子L1を安定して発光させることができる。発光素子Lが発光する時間、言い換えれば発光信号φEがハイレベルとなる時間は、走査信号φがハイレベルとなる時間の80%以下に選ばれる。
時刻t5が経過した後、駆動手段73は、時刻t6で第2走査信号φ2をハイレベルにすると、スイッチ素子T2が発光し、時刻t6が経過した後、時刻t7で、第1走査信号φ1をローレベルにすると、スイッチ素子T1が消灯する。これによって、スイッチ素子T1からスイッチ素子T2へと発光状態が移る。
時刻t7が経過した後、駆動手段73は、時刻t8で第3走査信号φ3をハイレベルにすると、スイッチ素子T3が発光し、時刻t8が経過した後、時刻t9で、第2走査信号φ2をローレベルにすると、スイッチ素子T2が消灯する。これによって、スイッチ素子T2からスイッチ素子T3へと発光状態が移る。
時刻t9が経過した後、駆動手段73は、時刻t10で再び第1走査信号φ1をハイレベルにすると、スイッチ素子T4が発光する。
時刻t6と時刻t7との間の時間は、第2走査信号φ2がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれ、時刻t8と時刻t9との間の時間は、第3走査信号φ3がハイレベルとなる時間の1/10程度に選ばれる。
このように駆動手段73が、第1〜第3走査信号φ1〜φ3を繰り返して与えることによって、スイッチ素子T4,…,Tj−1,Tjにおいても、オン状態がX方向に沿って順次転送される。スイッチ素子Tが発光しているとき、発光信号伝送路12の発光信号φEをローレベルからハイレベルにすることによって、この発光しているスイッチ素子Tに対応する、すなわち発光しているスイッチ素子Tに接続されている発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
発光しているスイッチ素子TのX方向の両側に位置するスイッチ素子Tは、いずれも励起状態となってしまうが、第1〜第3走査信号伝送路15a,15b,15cによって、前述したように第1〜第3走査信号φ1〜φ3を伝送させて、各スイッチ素子Tに第1〜第3走査信号φ1〜φ3を与えることによって、X方向のX1方向からX2方向へと、スイッチ素子Tの発光状態の転送を行うことができ、言い換えれば光走査することができる。
図11は、第1走査信号伝送路15aに接続されるスイッチ素子T1,T4,T7のしきい電圧の変化を表す波形図である。図11において、横軸は時間であって、基準時刻からの経過時間を表す。なお同図には、スタート信号φSおよび第1〜第3走査信号φ1〜φ3も示している。同図に示す時刻t1,t2,t7,t8,t10は、前述した図10に示す時刻t1,t2,t7,t8,t10にそれぞれ対応する。各スイッチ素子T1,T4,T7の初期のしきい電圧をVBOとし、隣接するスイッチ素子Tまたは走査スタート用スイッチ素子T0からの受光することによって低下したしきい電圧をV1とする。
時刻t1で走査スタート用スイッチ素子T0が発光するので、走査スタート用スイッチ素子T0の光を受光することによって、スイッチ素子T1のしきい電圧が徐々に低下し、時刻taでスイッチ素子T1のしきい電圧は、V1になる。走査スタート用スイッチ素子T0の発光状態が維持される時刻t3まで、スイッチ素子T1のしきい電圧はV1に維持される。
時刻t2で、第1走査信号φ1がローレベルからハイレベルになることによって、スイッチ素子T1が発光し、スイッチ素子T1のしきい電圧は、さらに低下して時刻tbで、V2となる。時刻tbにおいて、スイッチ素子T4,T7のしきい電圧は、VBOである。
時刻t7で、第1走査信号φ1がハイレベルからローレベルになると、スイッチ素子T1のしきい電圧は、時間の経過にともなって、V2から徐々に上昇する。
時刻t8でスイッチ素子T3が発光するので、スイッチ素子T3の光を受光することによって、スイッチ素子T4のしきい電圧が徐々に低下し、時刻tcでスイッチ素子T4のしきい電圧は、V1になる。
時刻t10では、スイッチ素子T4のしきい電圧は、V1であり、スイッチ素子T1のしきい電圧は、V1よりも高くVBOよりも低いV3であり、スイッチ素子T7のしきい電圧は、VBOである。
時刻t10で、第1走査信号φ1をローレベルからハイレベルにするが、このハイレベルの電圧を、第1走査信号伝送路15aに接続されているスイッチ素子Tのうち、隣接するスイッチ素子Tからの光の受光していないスイッチ素子Tのうちで、最もしきい電圧の低いスイッチ素子T1のしきい電圧V3よりも高くすることによって、スイッチ素子T4のみを発光させることができる。スイッチ素子T4は、発光するとしきい電圧がさらに低下して時刻tdで、V2となる。
時刻t11で、第1走査信号φ1がハイレベルからローレベルになると、スイッチ素子T4のしきい電圧は、時間の経過にともなって、V2から徐々に上昇する。
図12は、スイッチ素子Tを構成する発光サイリスタのの順方向電流−電圧特性と、各走査信号伝送路15に供給される第1〜第3走査信号φ1〜φ3のハイレベルの電圧VHの範囲とを示すグラフである。なお、図12では、横軸をアノード電圧とし、縦軸をアノード電流として示されている。
スイッチ素子Tの初期のしきい電圧をVB0とし、スイッチ素子Tに光を照射することによって最もしきい電圧が低下した状態のしきい電圧をV1とし、同じ走査信号伝送路15に接続されているスイッチ素子Tのうち、2番目にしきい電圧が低いスイッチ素子Tのしきい電圧をV3とする。このV3は、光を受光することによって、わずかにしきい電圧が低下した状態のスイッチ素子T、またはターンオフ時、すなわちいったんオン状態となった後、初期状態に回復しつつあるスイッチ素子Tのしきい電圧である。
スイッチ素子Tに接続される各走査信号伝送路15に供給される第1〜第3走査信号φ1〜φ3のハイレベルの電圧VHは、同じ走査信号伝送路15に接続されているスイッチ素子Tのうち、隣接するスイッチ素子Tの発光を受光することによってしきい電圧が最も低下したスイッチ素子Tのしきい電圧V1と、2番目に低いしきい電圧V3を有するスイッチ素子Tのしきい電圧との間の電圧、すなわち図12の符号P2で示される範囲の電圧に選ぶ。このように走査信号φのハイレベルの電圧を選ぶことによって、受光によって最もしきい電圧が低下しているスイッチ素子Tのみを、選択的に発光させることができる。
以上のように発光装置10によれば、各スイッチ素子Tは、隣接するスイッチ素子Tから発する光を受光することによって、そのしきい電圧を低下させることができ、各スイッチ素子Tのゲート電極24に、第2の従来の技術の発光装置2のような転送方向指定のためのダイオードおよび電源との間に接続される負荷抵抗などを接続する必要がない。したがって発光装置10の構造を複雑にすることなく、できるだけ少ない信号伝送路を用いて、複数配列される発光素子Lのうち所定の発光素子Lのみを選択的に発光させることができる。
また走査スタート用スイッチ素子T0は、走査信号伝送路15に接続され、走査信号伝送路15を介して走査信号φが与えられることによって発光するので、スイッチ素子Tの発光に必要な電力を供給する伝送路と、走査スタート用スイッチ素子T0が発光するために必要な電力を供給する伝送路を共通化することができ、走査スタート用スイッチ素子T0に必要な電力を供給する伝送路を特別に設ける必要がない。
走査スタート用スイッチ素子T0は、スイッチ素子Tに接続される走査信号伝送路15からの走査信号φに基づいて発光するので、駆動手段73は、スイッチ素子アレイ13のスイッチ素子Tと発光のタイミングを同期させやすい。また走査スタート用スイッチ素子T0は、ゲート電極26にトリガ信号を与え、さらに走査信号φを与えなければ発光しないので、不所望にトリガ信号が与えられたとしても、発光してしまうことが防止される。
また発光サイリスタ116を用いて、スイッチ素子Tおよび発光素子Lならびにスタート用スイッチ素子T0を実現することによって、発光装置10の作製が容易である。スイッチ素子Tと発光素子Lとスタート用スイッチ素子T0とを基板31上に同一の製造プロセスによって形成することができ、発光装置10の製造工程をできるだけ少なくすることができる。さらに、同一の基板31上にスイッチ素子Tおよび発光素子Lならびにスタート用スイッチ素子T0が集積されて構成されるので、各素子を高密度に形成することができ、スイッチ素子アレイ13ではX方向に隣接するスイッチ素子T同士を密接させることができる。これによって各スイッチ素子Tは、隣接するスイッチ素子Tからの光を効率的に受光することができ、隣接するスイッチ素子Tの発光強度が小さい場合であっても、発光したスイッチ素子Tに隣接するスイッチ素子Tのしきい電圧を低下させることができる。したがって、スイッチ素子Tを発光させるために必要な電力を小さくすることができ、より消費電力の小さな発光装置10を実現することができる。また発光素子Lにおいても、配列方向に隣接する発光素子L同士を密接させることができるので、画像形成装置87に用いて画像の解像度を向上させることができる。
また各スイッチ素子Tは、X方向に沿って順番に発光するので、この光を遮光層18によって遮光し、発光素子Lが発する光に干渉しないようにすることによって、発光素子Lが発光しているときには、発光素子Lの光量が小さくなったり大きくなったりしてしまうことが防止され、安定した光量を得ることができる。また遮光層18によって、バイアス光が漏れることが防止されるので、画像形成装置87では、画像の品位を低下させることがなく、良好な品質の画像を形成することができる。
また絶縁層17は、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tと各走査信号伝送路15および発光信号伝送路12との間に設けられ、各発光素子Lおよび各スイッチ素子Tと各走査信号伝送路15および発光信号伝送路12が短絡してしまうことが防止される。
各走査信号伝送路15および絶縁層17によって反射手段が形成されるので、反射手段を作製するために特別に反射層などを形成する必要がなく、既存の構成を利用して形成することができる。したがって、発光装置10の作製工程が増加することなく、反射手段を形成することができる。
図13は、本発明の他の実施の形態の発光装置120の基本的構成を示す一部の平面図である。なお、同図は、各発光素子Lの光の出射方向を紙面に垂直手前側として配置された発光装置120の平面を示し、発光信号伝送路12、スタート信号伝送路16、走査信号伝送路15、発光素子Lのゲート電極19、スイッチ素子Tのゲート電極24、接続手段14、発光素子遮光部23、および表面電極25は図解を容易にするため、斜線を付して示されている。また、同図で、スイッチ素子アレイの配列方向である紙面左右方向をX方向と定義し、右側をX1方向、左側をX2方向とする。基板垂直方向である紙面垂直方向をZ方向と定義し、手前側をZ1方向、奥側をZ2方向とする。X方向およびZ方向に垂直方向である紙面上下方向をY方向と定義し、上側をY1方向、下側をY2方向とする。
図14は、図13の切断面線A5−A5から見た発光装置120の基本的構成を示す一部の断面図である。また同図では、図解を容易にするために、絶縁層17を省略して示している。
本実施の形態の発光装置120と前述の図4に示される実施の形態の発光装置10とは、発光素子アレイ11の各発光素子Lとスイッチ素子アレイ13と各スイッチ素子Tとを接続する接続手段14の構成が異なるのみであって、その他の構成は、同様であるので同様の構成には、同様の参照符号を付して、その説明を省略する場合する。
本実施の形態において接続手段14は、前述した発光素子Lの第3半導体層(N型)34のうち発光素子接続部51を構成する部分と、前述したスイッチ素子Tの第3半導体層(N型)44のうちスイッチ素子接続部52を構成する部分とを含んで構成される。発光素子接続部51とスイッチ素子接続部52とは一体的に形成される。すなわち、発光素子Lの第1半導体層(N型)32と、スイッチ素子Tの第1半導体層(N型)42とが一体形成されており、発光素子Lの第2半導体層(P型)33と、スイッチ素子Tの第2半導体層(P型)43とが一体形成されており、発光素子Lの第3半導体層(N型)34と、スイッチ素子Tの第3半導体層(N型)44とが一体形成されている。
発光信号伝送路12の信号路延在部21は、Y方向において、発光素子Lの第3半導体層(N型)34およびスイッチ素子Tの第3半導体層(N型)44の表面に沿って、発光素子Lの第4半導体層(P型)35と、スイッチ素子Tの第4半導体層(P型)45との間の中央付近まで延びる。遮光層18は、絶縁層17の表面に沿って、発光素子L側に延び、前記信号路延在部21のスイッチ素子T側の端部を覆う。
このように接続手段14を構成することによって、発光素子Lのゲート電極19とスイッチ素子Tのゲート電極24とを接続するために、前述の実施の形態の発光装置10のように金属層を形成する必要がないので、製造工程をより少なくすることができ、また発光素子Lとスイッチ素子TとをY方向により近接させることができるので、発光装置120を構成する発光体チップをより小さく形成して、小型化することができる。
次に、本発明の発光装置を用いて構成される本発明の実施の一形態の画像形成装置87について説明する。
図15は、図4に示した発光装置10を有する画像形成装置87の基本的構成を示す側面図である。画像形成装置87は、電子写真方式の画像形成装置であり、発光装置10を、感光体ドラム90への露光装置に使用している。本実施の形態では、複数の発光装置10および駆動手段73が、回路基板に実装される。回路基板に実装される複数の発光装置10を、単に発光装置10と記載する。
画像形成装置87は、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のカラー画像を形成するタンデム方式を採用した装置であり、大略的に、4つの発光装置10Y,10M,10C,10K、集光手段であるレンズアレイ88Y,88M,88C,88k、前記発光装置10および駆動手段73が実装された回路基板31およびレンズアレイ88を保持する第1ホルダ89Y,89M,89C,89K、4つの感光体ドラム90Y,90M,90C,90K、4つの現像剤供給手段91Y,91M,91C,91K、転写手段である転写ベルト92、4つのクリーナ93Y,93M,93C,93K、4つの帯電器94Y,94M,94C,94K、定着手段95および制御手段96を含んで構成される。
各発光装置10は、駆動手段73によって各色のカラー画像情報に基づいて駆動される。4つ発光装置10のX方向の長さW11は、たとえば200mm〜400mmに選ばれる。
各発光装置10の発光素子Lからの光は、レンズアレイ88を介して各感光体ドラム90C,90M,90Y,90Kに集光して照射される。レンズアレイ88は、たとえば発光素子Lの光軸上にそれぞれ配置される複数のレンズを含み、これらのレンズを一体的に形成して構成される。
発光装置10が実装される回路基板およびレンズアレイ88は、第1ホルダ89によって保持される。ホルダ89によって、発光素子Lの光照射方向と、レンズアレイ88のレンズの光軸方向とがほぼ一致するようにして位置合わせされる。
各感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kは、たとえば円筒状の基体表面に感光体層を被着して成り、その外周面には各発光装置10Y,10M,10C,10Kからの光を受けて静電潜像が形成される静電潜像形成位置が設定される。
各感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kの周辺部には、各静電潜像形成位置を基準として回転方向下流側に向かって順番に、露光された感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kに現像剤を供給する現像剤供給手段91Y,91M,91C,91K、転写ベルト92、クリーナ93C,93M,93Y,93K、および帯電器94Y,94M,94C,94Kがそれぞれ配置される。感光体ドラム90に現像剤によって形成された画像を記録シートに転写する転写ベルト92は、4つの感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kに対して共通に設けられる。
前記感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kは、第2ホルダによって保持され、この第2ホルダと第1ホルダ89とは、相対的に固定される。各感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kの回転軸方向と、各発光体チップ組立体86の前記X方向とがほぼ一致するようにして位置合わせされる。
転写ベルト92によって、記録シートを搬送し、現像剤によって画像が形成された記録シートは、定着手段95に搬送される。定着手段95は、記録シートに転写された現像剤を定着させる。感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kは、回転駆動手段によって回転される。
制御手段96は、前述した駆動手段73にクロック信号および画像情報を与えるとともに、感光体ドラム90Y,90M,90C,90Kを回転駆動する回転駆動手段、現像剤供給手段91Y,91M,91C,91K、転写手段92、帯電手段94Y,94M,94C,94Kおよび定着手段95の各部を制御する。
このような構成の画像形成装置87では、露光装置として使用される発光装置10からバイアス光および漏れ光が発生しないので、高画質の画像を形成することができる。また発光サイリスタによるスイッチ素子Tおよび発光素子Lを集積化した発光装置10を露光装置に用いているので、このような露光装置は、安価に製造することができ、これによって画像形成装置87の製造コストを低減することができる。また本実施の形態の画像形成装置87の発光装置10を発光装置120に代えても、同様の効果を達成することができる。
なお、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。