本願発明の実施の形態を詳細に説明する前に、本実施の形態における用語の意味を説明すると次の通りである。
1.GSM(Global System for Mobile Communication)は、デジタル携帯電話機に使用されている無線通信方式の1つまたは規格をいう。GSMには、使用する電波の周波数帯が3つある。このうち、900MHz帯をGSM900または単にGSM、1800MHz帯をGSM1800またはDCS(Digital Cellular System)若しくはPCN、1900MHz帯をGSM1900またはDCS1900若しくはPCS(Personal Communication Services)という。なお、GSM1900は主に北米で使用されている。北米ではその他に850MHz帯のGSM850を使用する場合もある。
2.GMSK変調方式は、音声信号の通信に用いる方式で搬送波の位相を送信データに応じて位相シフトする方式である。また、EDGE変調方式は、データ通信に用いる方式でGMSK変調方式の位相シフトにさらに振幅シフトを加えた方式である。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図3は、RF(Radio Frequency)パワーモジュールを構成する増幅回路用のIC(Integrated Circuit)チップ1Cにおける回路ブロック図を示している。この図3には、例えばGSM900とDCS1800との2つの周波数帯を使用し(デュアルバンド方式)、それぞれの周波数帯でGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)変調方式とEDGE(Enhanced Data GSM Environment)変調方式の2つの通信方式を使用するICチップの回路ブロック図が例示されている。
ICチップ1Cは、GSM900用の電力増幅回路2Aと、DCS1800用の電力増幅回路2Bと、これらの電力増幅回路2A、2Bの増幅動作の制御や補正などを行う周辺回路3とを有している。各電力増幅回路2A、2Bは、それぞれ3つの増幅段2A1〜2A3、2B1〜2B3と、3つの整合回路2AM1〜2AM3、2BM1〜2BM3を有している。すなわち、ICチップ1Cの入力端子4a、4bは、入力用の整合回路2AM1、2BM1を介して1段目の増幅段2A1、2B1の入力に電気的に接続され、1段目の増幅段2A1、2B1の出力は段間用の整合回路2AM2、2BM2を介して2段目の増幅段2A2、2B2の入力に電気的に接続されている。そして、2段目の増幅段2A2、2B2の出力は段間用の整合回路2AM3、2BM3を介して最終段の増幅段2A3、2B3の入力に電気的に接続され、最終段の増幅段2A3、2B3の出力は出力端子5a、5bと電気的に接続されている。
周辺回路3は、制御回路3Aと、増幅段2A1〜2A3、2B1〜2B3にバイアス電圧を印加するバイアス回路3Bなどを有している。制御回路3Aは、電力増幅回路2A、2Bに印加する所望の電圧を発生する回路であり、電源制御回路3A1とバイアス電圧生成回路3A2を有している。電源制御回路3A1は、増幅段2A1〜2A3、2B1〜2B3内のパワーMISFET(LDMISFET)のドレイン端子に印加する第1電源電圧を生成する回路である。また、バイアス電圧生成回路3A2は、バイアス回路3Bを制御するための第1制御電圧を生成する回路である。本実施の形態1では、電源制御回路3A1が、ICチップ1C外部のベースバンド回路から供給される出力レベル指定信号に基づいて第1電源電圧を生成すると、バイアス電圧生成回路3A2は、電源制御回路3A1で生成された第1電源電圧に基づいて第1制御電圧を生成するようになっている。ベースバンド回路は、出力レベル指定信号を生成する回路である。この出力レベル指定信号は、電力増幅回路2A、2Bの出力レベルを指定する信号で、携帯電話機と基地局との間の距離、すなわち、電波の強弱に応じて生成されるようになっている。
次に、図4は、ICチップ1Cをモジュール基板MCBに搭載したRFパワーモジュールPMの一断面を示した断面図である。図4において、ICチップ1Cは、基板1Sの裏面をモジュール基板MCBの主面に向けた状態で搭載されている。ICチップ1Cには、上記したように電力増幅回路2A、2Bや周辺回路3が形成されている。例えば、図4には電力増幅回路2Aの増幅段2A1を構成するLDMISFETQn1、整合回路2AM2を構成するインダクタ(受動素子)L1およびコンデンサ(受動素子)C1、電力増幅回路2Aの増幅段2A2を構成するLDMISFETQn2が図示されている。
ICチップ1Cの裏面電極10は、モジュール基板MCBに形成されているチップ搭載用の電極11に接合されている。この電極11は、複数のサーマルビア12を通じてモジュール基板MCBの裏面電極13Gと電気的かつ熱的に接合されている。裏面電極13Gには、基準電位(例えば、接地電位GNDで0V程度)が供給される。すなわち、モジュール基板MCBの裏面電極13Gに供給された基準電位は、サーマルビア12および電極11を通じて基板1Sに供給されるようになっている。また、ICチップ1Cの動作時に発生した熱は、基板1Sの裏面から電極11およびサーマルビア12を通じてモジュール基板MCBの裏面電極13Gに伝わり放熱されるようになっている。モジュール基板MCBの裏面の外周近傍に形成された電極13Sは、信号用の電極を示している。なお、モジュール基板MCBは、複数枚の絶縁体板を積層して一体化した多層配線構造をしている。この絶縁体板は、例えばミリ波域まで誘電損失の少ないアルミナ(酸化アルミニウム、Al203、比誘電率=9〜9.7)などのようなセラミックからなる。しかし、絶縁体板はこれに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えばガラスエポキシ樹脂などを使用してもよい。
次に、図5は、本実施の形態1のRFパワーモジュールPMを使用したデジタル携帯電話機システムDPSの一例を示している。図11の符号ANTは、信号電波を送受信するアンテナ、符号15は、フロントエンド・モジュール、符号16は、ベースバンド回路を示している。ベースバンド回路16は、音声信号をベースバンド信号に変換する機能や受信信号を音声信号に変換する機能を有している。さらにベースバンド回路16は、変調方式切換信号やバンド切換信号を生成する機能なども有している。
符号17は、受信信号をダウンコンバートして復調することによりベースバンド信号を生成する機能や送信信号を生成する機能を有する変復調用回路を示している。符号FLT1、FLT2は、受信信号からノイズなどを除去するフィルタである。フィルタFLT1は、GSM用であり、フィルタFLT2は、DCS用である。
ベースバンド回路16は、DSP(Digital Signal Processor)やマイクロプロセッサ、半導体メモリなどの複数の半導体集積回路で構成されている。フロントエンド・モジュール15は、インピーダンス整合回路MN1、MN2、ロウパスフィルタLPF1、LPF2、スイッチ回路18a、18b、コンデンサC5、C6および分波器19を有している。
インピーダンス整合回路MN1、MN2は、RFパワーモジュールPMの送信出力端子に接続されてインピーダンス整合をとる回路である。ロウパスフィルタLPF1、LPF2は、高調波を減衰させる回路であり、スイッチ回路18a、18bは送受信切換用のスイッチ回路である。また、コンデンサC5、C6は、受信信号から直流成分をカットする素子であり、分波器19は、GSM900帯の信号とDCS1800帯の信号とを分波する回路である。
図5に示すこれらの回路および素子は1つの配線基板上に搭載されてモジュールとされている。なお、スイッチ回路18a、18bの切換信号CNT1、CNT2はベースバンド回路16から供給される。
次に、本実施の形態1におけるMISFETについて説明する。本実施の形態1におけるMISFETは、例えば図3に示す周辺回路3に使用されるMISFETである。図6は、本実施の形態1におけるMISFETQ1の概略を示した平面図である。図6において、素子分離領域23で囲まれた領域上にはゲート電極26が延在しており、このゲート電極26の横側にはn型歪シリコン層28aあるいはn型歪シリコン層29aが形成されている。n型歪シリコン層28aの外側にはn+型歪シリコン層32aが形成されている一方、n型歪シリコン層29aの外側にはn+型歪シリコン層33aが形成されている。また、n+型歪シリコン層32aの外側には、素子分離領域23を挟んでp+型歪シリコン層30aが形成されている。なお、図6においては、配線層、ゲート電極26の側壁に形成されているサイドウォール、n+型歪シリコン層32aおよびn+型歪シリコン層33a上に形成されているコバルトシリサイド膜などの図示は省略している。
図7は、図6のA−A線で切断した断面図である。図7において、シリコンにp型不純物(ボロンなど)を低濃度に導入したp-型半導体基板20上には、p-型シリコン−ゲルマニウム層21が形成されており、このp-型シリコン−ゲルマニウム層21内にはp型シリコン−ゲルマニウム層24が形成されている。そして、p型シリコン−ゲルマニウム層24上には、p型歪シリコン層22が形成されている。このp型歪シリコン層22とp型シリコン−ゲルマニウム層24によりp型ウェルが形成される。
p-型シリコン−ゲルマニウム層21の下層領域では、シリコンに添加するゲルマニウムの量を段階的に0%〜15%に変化させている。これにより、p-型シリコン−ゲルマニウム層21の下層領域において積極的に結晶欠陥を発生させ、シリコンとゲルマニウムとの格子定数の違いに基づく歪を緩和している。一方、p-型シリコン−ゲルマニウム層21の上層領域およびp型シリコン−ゲルマニウム層24では、シリコンに添加するゲルマニウムの量は15%で一定となっており、歪はほぼ完全に緩和され、結晶欠陥もほとんどない状態となっている。
p型シリコン−ゲルマニウム層24上にはp型シリコン層が形成されているが、このp型シリコン層の格子定数は、p型シリコン−ゲルマニウム層24の格子定数と相違するため、p型シリコン層に歪が生じてp型歪シリコン層22となっている。
p型歪シリコン層22の活性領域、すなわち、素子分離領域23で分離された領域には、本実施の形態1におけるMISFETQ1が形成されている。このMISFETQ1は、p型歪シリコン層22上に形成されたゲート絶縁膜25と、ゲート絶縁膜25上に形成されたゲート電極26を有している。ゲート絶縁膜25は、例えば酸化シリコン膜から形成されている。なお、ゲート絶縁膜25は、酸化シリコン膜より誘電率の高い、いわゆるHigh−k膜から形成してもよい。また、ゲート電極26は、低抵抗化を図るため、例えばポリシリコン膜26aとコバルトシリサイド膜34の積層構造をしている。ここで、積層膜としてコバルトシリサイド膜34を例示したが、これに限らず、チタンシリサイド膜やニッケルシリサイド膜を使用してもよい。
ゲート電極26の側壁には、サイドウォール31が形成されている。このサイドウォール31は例えば酸化シリコン膜より形成されている。そして、片側のサイドウォール31の下には、n型歪シリコン層28aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層28bが形成されており、もう一方のサイドウォール31の下には、n型歪シリコン層29aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層29bが形成されている。n型歪シリコン層28aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層28bには、リン(P)などのn型不純物が導入されており、このn型歪シリコン層28aとn型シリコン−ゲルマニウム層28bによりソース領域の一部であるエクステンション領域が形成される。同様に、n型歪シリコン層29aとn型シリコン−ゲルマニウム層29bによりドレイン領域の一部であるエクステンション領域が形成される。
n型歪シリコン層28aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層28bよりなるエクステンション領域の外側には、n+型歪シリコン層32aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層32bが形成されている。n+型歪シリコン層32aには、n型歪シリコン層28aより高濃度にn型不純物が導入されているとともに、n+型シリコン−ゲルマニウム層32bにもn型シリコン−ゲルマニウム層28bよりも高濃度にn型不純物が導入されている。このn+型歪シリコン層32aとn+型シリコン−ゲルマニウム層32bによりソース領域の一部となる不純物拡散領域が形成される。すなわち、ソース領域は、エクステンション領域と不純物拡散領域から形成されている。ソース領域のエクステンション領域は、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されている。
同様に、n型歪シリコン層29aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層29bよりなるエクステンション領域の外側には、n+型歪シリコン層33aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層33bよりなる不純物拡散領域が形成されている。すなわち、ドレイン領域も、エクステンション領域とエクステンション領域よりも不純物濃度の高い不純物拡散領域より形成されている。ドレイン領域のエクステンション領域も、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されている。
なお、n+型歪シリコン層32a上には、コバルトシリサイド膜34が形成されており、このコバルトシリサイド膜34もソース領域の一部になっている。同様に、n+型歪シリコン層33a上にも、コバルトシリサイド膜34が形成されており、このコバルトシリサイド膜34もドレイン領域の一部になっている。
MISFETQ1上には層間絶縁膜となる絶縁膜35が形成されており、この絶縁膜35には、コンタクトホール36が形成されている。そして、このコンタクトホール36には、タングステンなどの導電材料が埋め込まれてプラグ37が形成されている。プラグ37は、例えばチタン膜や窒化チタン膜よりなるバリア膜とタングステン膜などから構成されている。このプラグ37上には、プラグ37に電気接続する配線38が形成されている。この配線38は、例えばアルミニウム膜などから構成されている。
次に、図8は、図7のMISFETQ1を拡大した図である。図8において、p型シリコン−ゲルマニウム層24上には、p型歪シリコン層22が形成されている。このp型歪シリコン層22の膜厚は、約50nmとなっている。ここで、p型シリコン−ゲルマニウム層24のゲルマニウムの割合(濃度)は15%である。したがって、図1を見てわかるように、ゲルマニウムの割合が15%のとき、p型歪シリコン層22とp型シリコン−ゲルマニウム層24との界面にミスフィット転位MFが発生する臨界膜厚は、約25nmである。今の場合、p型歪シリコン層22の膜厚は約50nmであり、ミスフィット転位MFが発生する臨界膜厚を超えているので、p型歪シリコン層22とp型シリコン−ゲルマニウム層24との界面近傍にはミスフィット転位MFが発生している。
従来、ミスフィット転位MFが発生すると、ミスフィット転位MF自体を介してリーク電流が発生するものと考えられていた。このため、p型シリコン−ゲルマニウム層24上に形成するp型歪シリコン層22の膜厚は、ミスフィット転位MFが発生しないように臨界膜厚以下になるように形成されていた。しかし、本発明者らの実験により、ミスフィット転位自体は電気的に不活性であることが実験の結果確かめられた。すなわち、ミスフィット転位が発生しても、ミスフィット転位が発生しない場合に比べてリーク電流が増加することはないことが確かめられた。したがって、ミスフィット転位MFがMISFETQ1の接合部分に存在しても問題にはならない。
そこで、本実施の形態1におけるMISFETQ1では、p型歪シリコン層22の膜厚を臨界膜厚より厚くしている。このようにp型歪シリコン層22の膜厚を厚くすることにより以下に示す効果が得られる。
まず、歪緩和したp型シリコン−ゲルマニウム層24上にエピタキシャル成長法により形成したp型歪シリコン層22は、ミスフィット転位が発生し始める臨界膜厚の約4倍に達するまでは、歪の大きさがほぼ一定に保たれる。このため、臨界膜厚より厚いp型歪シリコン層においても、歪による電子移動度向上効果はそのまま保たれる。すなわち、臨界膜厚より厚いp型歪シリコン層22をMISFETQ1のチャネル領域に使用することにより、電子移動度を向上させることができる。例えば、p型シリコン−ゲルマニウム層24におけるゲルマニウムの割合が10%以上の場合、p型シリコン−ゲルマニウム層24上に形成したp型歪シリコン層22の電子移動度は、通常のシリコン層に比べて2倍以上となる。
また、臨界膜厚より厚いp型歪シリコン層22を形成したので、p型歪シリコン層22の下層に形成されているp型シリコン−ゲルマニウム層24からのゲルマニウムの拡散が、p型歪シリコン層22の表面(チャネル領域)に及ぶことを抑制することができる。したがって、MISFETQ1のチャネル領域にゲルマニウムが拡散することによる電子の移動度の低下を抑制することができる。つまり、p型歪シリコン層22の膜厚が薄いと、下層のp型シリコン−ゲルマニウム層24より拡散したゲルマニウムがp型歪シリコン層22の表面にまで及び、チャネルを流れる電子の移動度が低下する。しかし、本実施の形態1では、p型歪シリコン層22の厚さを厚くしているので、ゲルマニウム拡散による電子の移動度低下を抑制することができる。
また、臨界膜厚より厚いp型歪シリコン層22を形成したので、p型歪シリコン層22の膜厚の微小なばらつきがMISFETQ1のトランジスタ特性にばらつきを生じさせることがほとんどなくなる。したがって、p型歪シリコン層22の膜厚の微小なばらつきによる良品歩留まり低下を抑制することができる。つまり、p型歪シリコン層22の膜厚を厚く形成したので、膜厚の微小なばらつきの影響を、p型歪シリコン層22の膜厚が薄い場合に比べて相対的に小さくすることができる。
さらに、高耐圧が要求されるため、ゲート絶縁膜25の膜厚を厚くする必要があるMISFETの場合にも歪シリコン技術を適用することができる。すなわち、p型歪シリコン層22の膜厚を厚くしたので、ゲート絶縁膜25を形成することによるp型歪シリコン層22の膜減りが生じても、充分な膜厚のp型歪シリコン層22を残すことができる。したがって、高耐圧が要求される場合にも歪シリコン技術を使用することができる。つまり、ゲート絶縁膜25は、通常熱酸化法で形成される。このとき、p型歪シリコン層22を侵食するようにしてゲート絶縁膜25が形成される。高耐圧のMISFETでは、ゲート絶縁膜25を相対的に厚くする必要があるので、p型歪シリコン層22の膜減りは相対的に大きくなる。しかし、本実施の形態1では、p型歪シリコン層22の膜厚を充分に厚くすることができるので、膜減りが生じても充分な膜厚のp型歪シリコン層22を残すことができる。
また、p型歪シリコン層22の膜厚が厚いので、ソース領域およびドレイン領域を従来に比べて数倍厚くすることができる。このため、ソース領域およびドレイン領域の寄生抵抗を低減することができる。つまり、従来技術では、ミスフィット転位を発生させないため、p型歪シリコン層22の膜厚を臨界膜厚以下にする必要があった。このため、ソース領域およびドレイン領域の膜厚の上限は、臨界膜厚程度であった。しかし、本実施の形態1では臨界膜厚より数倍の膜厚のp型歪シリコン層22を形成しているので、ソース領域およびドレイン領域の厚さを厚くすることができ、寄生抵抗を低減できる。
また、ソース領域およびドレイン領域上には低抵抗化のため、コバルトシリサイド膜34が形成される。このコバルトシリサイド膜34は、n+型歪シリコン層32aおよびn+型歪シリコン層33aの表面をシリサイド化することによって形成される。すなわち、n+型歪シリコン層32aおよびn+型歪シリコン層33aを侵食するように消費してコバルトシリサイド膜34が形成される。ここで、従来技術では、n+型歪シリコン層32a、33aの厚さが薄いため、そのままシリサイド化を行うと、n+型歪シリコン層32a、33aの下層にあるn+型シリコン−ゲルマニウム層32b、33bにまでシリサイド反応が進んで異常反応が生じてしまう。このため、n+型歪シリコン層32a、33a上に選択エピタキシャル成長法を使用して歪シリコン層を継ぎ足すことが行われており、工程が複雑化していた。これに対し、本実施の形態1では、n+型歪シリコン層32a、33aの厚さを厚くしているので、シリサイド反応が下層のn+型シリコン−ゲルマニウム層32b、33bにまで達することはない。つまり、本実施の形態1では、n+型歪シリコン層32a、33a上に歪シリコン層を継ぎ足す必要がなく、工程の簡略化を図ることができる。
p型歪シリコン層22あるいはn+型歪シリコン層32a、33aの膜厚を臨界膜厚より厚くすることにより、上述した効果が生じる一方、ミスフィット転位MFが発生してもこのミスフィット転位自体を介してリーク電流が増加することがない。このように、ミスフィット転位MF自体は、リーク電流を増加させないが、不純物拡散の経路(パス)となることがわかっている。したがって、ミスフィット転位MFが存在する場合には、不純物拡散の経路について考慮する必要がある。
図9は、p型歪シリコン層22とp型シリコン−ゲルマニウム層24の界面にミスフィット転位MFが存在する様子を示したものである。図9を見ると、ソース領域のエクステンション領域を形成するn型歪シリコン層28aとn型シリコン−ゲルマニウム層28bからミスフィット転位MFを介してn型不純物がドレイン領域へ拡散していることがわかる。このように、ミスフィット転位MFは、不純物拡散の経路となる。図9の場合、不純物が拡散することによってソース領域とドレイン領域が近づくことになり、不純物拡散に伴うリーク電流が発生してしまう。このように、不純物拡散によってソース領域とドレイン領域が近づきリーク電流が発生するのは、以下に示す場合に限られることを本発明者らは実験により見出した。
それは、ソース領域とドレイン領域が最も接近した領域、すなわち、ソース領域のうちゲート電極26の端部下にある領域とドレイン領域のうちゲート電極26の端部下にある領域との間にミスフィット転位MFが横たわっている場合である。そして、ゲート電極26の端部下のミスフィット転位MFが存在する位置でのソース領域およびドレイン領域の不純物濃度がリーク電流の有無に関係することを本発明者らは見出した。
大半のミスフィット転位MFは、歪シリコン層(p型歪シリコン層22、n型歪シリコン層28a、29a、n+歪シリコン層32a、33aを含む)とシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層24、n型シリコン−ゲルマニウム層28b、29b、n+型シリコン−ゲルマニウム層32b、33bを含む)との界面近傍にあるので、不純物濃度をモニタすべき深さ方向の位置は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層の界面とみなすことができる。
図10は、ゲート電極26の端部下における深さと不純物濃度との関係を示したものである。図10において、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面における不純物濃度をCiとすると、この不純物濃度Ciを1×1019cm-3以下にすることにより、ミスフィット転位MFを介した不純物の拡散を抑制することができることが判明した。すなわち、ゲート電極26の端部下におけるソース領域(エクステンション領域)およびドレイン領域(エクステンション領域)のn型不純物濃度を1×1019cm-3以下にすればよい。このように不純物濃度を一定値以下にすることによって不純物の拡散を抑制できるのは、不純物濃度が高くなればなるほど拡散が起こりやすくなるためである。
ソース領域およびドレイン領域の不純物濃度は、通常表面から深くなるにつれて低下するので、n型歪シリコン層28a、29aの膜厚を一定以上の膜厚にすれば、上記した条件に適合させることができる。図7および図8に示す本実施の形態1におけるMISFETQ1では、ゲート電極26の端部下であって、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面での不純物濃度は、例えば1×1018cm-3であり、上記した1×1019cm-3に比べて低くなっている。
また、一定の確率で生じるミスフィット転位MFの歪シリコン層への貫入(図2参照)もリーク電流の増加にはつながらないことが実験の結果確認することができた。このミスフィット転位MFの貫入が不純物拡散の経路となることも起こりうる。しかし、ミスフィット転位MFの貫入は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層の界面から歪シリコン層の表面に向かってほぼ縦方向に形成されている。したがって、ソース領域あるいはドレイン領域からの不純物拡散も一旦下方向に向かって、歪シリコン層とシリコンーゲルマニウム層との界面に達してから、横方向に動く。このため、ソース領域とドレイン領域とをつなぐために必要な距離が長く、リーク電流が生じるほどの不純物拡散は実際には起こらないと考えられる。
次に、図面を参照しながら本実施の形態1におけるMISFETQ1の製造方法について説明する。
図11に示すように、シリコンにp型不純物(ボロンなど)を低濃度に導入したp-型半導体基板20を用意する。そして、このp-型半導体基板20上にp-型シリコン−ゲルマニウム層21を形成する。p-型シリコン−ゲルマニウム層21は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)を使用して形成することができる。このp-型シリコン−ゲルマニウム層21は、ゲルマニウムの割合を0%から15%に段階的に増加させるようにして約1μm成長させた後、ゲルマニウムの割合を15%にしたまま、さらに約1μm成長させる。
続いて、図12に示すように、p-型シリコン−ゲルマニウム層21上にp-型シリコン層を形成する。p-型シリコン層は、例えばエピタキシャル成長法を使用して形成され、例えば約65nmの膜厚になるように形成される。このp-型シリコン層がp-型歪シリコン層22aとなる。p-型シリコン−ゲルマニウム層21のゲルマニウムの濃度が15%であり、ミスフィット転位の発生しない臨界膜厚は、図1を見てわかるように、約25nmである。今の場合、p-型シリコン−ゲルマニウム層21上形成されているp-型歪シリコン層22aの膜厚は約65nmであり、臨界膜厚を超えている。したがって、p-型シリコン−ゲルマニウム層21とp-型歪シリコン層22aとの界面の近傍にはミスフット転位が発生している。
次に、図13に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用してボロン(B)をp-型シリコン−ゲルマニウム層21およびp-型歪シリコン層22aに導入し、その後熱処理を行うことにより、p型シリコン−ゲルマニウム層24およびp型歪シリコン層22を形成する。
そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成した後、この素子分離溝へ埋め込むように酸化シリコン膜をp-型半導体基板20上に形成する。その後、形成した酸化シリコン膜を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して、素子分離領域23を形成する。すなわち、素子分離溝以外の領域に形成された酸化シリコン膜を除去することにより、素子分離溝にのみ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域23を形成する。
続いて、図14に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用してボロンをp型歪シリコン層22およびp型シリコン−ゲルマニウム層24に導入した後、熱処理を施すことにより、p+型歪シリコン層30aとp+型シリコン−ゲルマニウム層30bを形成する。
次に、例えば熱酸化法を使用して、p-型半導体基板20の主面上に例えば酸化シリコン膜よりなるゲート絶縁膜25を形成する。そして、ゲート絶縁膜25上に、ポリシリコン膜26aを形成し、このポリシリコン膜26a上に酸化シリコン膜27を形成する。ポリシリコン膜26aおよび酸化シリコン膜27は、例えばCVD法を使用して形成することができる。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、ポリシリコン膜26aおよび酸化シリコン膜27をパターニングする。このパターニングにより、ポリシリコン膜26aよりなるゲート電極26を形成することができる。
そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、リンなどのn型不純物をp型歪シリコン層22とp型シリコン−ゲルマニウム層24に導入した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極26に整合したn型歪シリコン層28a、29aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層28b、29bを形成する。ここで、n型歪シリコン層28aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層28bによりソース領域のエクステンション領域が形成され、n型歪シリコン層29aおよびn型シリコン−ゲルマニウム層29bにより、ドレイン領域のエクステンション領域が形成される。この時点で、歪シリコン層(p型歪シリコン層22、n型歪シリコン層28a、29a、p+型歪シリコン層30aを含む)の膜厚は、各工程での洗浄による削れや、ゲート絶縁膜25の形成に消費されることにより、約65nmから約50nmに減少している。ただし、歪シリコン層の膜厚が約50nmに減少したとしても、臨界膜厚の約25nm(各工程での洗浄による削れや、ゲート絶縁膜25の形成による消費を考慮すると約15nm)よりは充分厚い。つまり、従来に比べて歪シリコン層の膜厚は厚くなっている。
次に、p-型半導体基板20の主面上に例えば酸化シリコン膜を形成する。この酸化シリコン膜は例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、図15に示すように、この酸化シリコン膜に対して異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極26の側壁にサイドウォール31を形成する。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、リンなどのn型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、サイドウォール31に整合したn+型歪シリコン層32a、33aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層32b、33bを形成する。ここで、n+型歪シリコン層32aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層32bによりソース領域の一部(不純物拡散領域)が形成され、n+型歪シリコン層33aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層33bにより、ドレイン領域の一部(不純物拡散領域)が形成される。
その後、n+型歪シリコン層32a、33a上に形成されているゲート絶縁膜25およびゲート電極26上に形成されている酸化シリコン膜27を除去する。そして、露出したn+型歪シリコン層32a、33aおよびゲート電極26を含むp-型半導体基板20上にコバルト膜を形成する。続いて、熱処理を施すことにより、コバルトシリサイド膜34を形成する。これにより、n+型歪シリコン層32a、33a上にコバルトシリサイド膜34が形成されるとともに、ポリシリコン膜26aとコバルトシリサイド膜34よりなるゲート電極26が形成できる。
このようにして本実施の形態1におけるMISFETQ1を形成することができる。次に、配線工程について説明する。
図7に示すように、p-型半導体基板20上に、例えば酸化シリコン膜よりなる層間絶縁膜35を形成する。この層間絶縁膜35は例えばCVD法を使用して形成することができる。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、層間絶縁膜35にソース領域およびドレイン領域に達するコンタクトホール36を形成する。
次に、コンタクトホール36を形成した層間絶縁膜35上にチタン/窒化チタン膜(図示せず)を形成した後、このチタン/窒化チタン膜上にタングステン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、例えばスパッタリング法を使用して形成することができ、タングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。
続いて、CMP法を使用して層間絶縁膜35上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を除去し、コンタクトホール36内にのみチタン/窒化チタン膜とタングステン膜を残す。これにより、プラグ37を形成することができる。その後、プラグ37を形成した層間絶縁膜35上に、アルミニウム膜を形成する。アルミニウム膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してアルミニウム膜をパターニングすることにより、配線38を形成する。
このようにして、本実施の形態1におけるMISFETQ1の配線を形成することができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、ソース領域およびドレイン領域が歪シリコン層とこの歪シリコン層の下層にあるシリコン−ゲルマニウム層の両方にわたって形成されている例について説明した。本実施の形態2では、ソース領域およびドレイン領域が歪シリコン層にのみ形成されている例について説明する。なお、本実施の形態2におけるMISFETQ2の平面図は、図6と同等である。
図17は、本実施の形態2におけるMISFETQ2を示した断面図であり、図18は、図17のMISFETQ2の部分を拡大した断面図である。図17、図18において、本実施の形態2におけるMISFETQ2の構成は、ほぼ前記実施の形態1におけるMISFETQ1と同様であるため、異なる構成について説明する。前記実施の形態1と本実施の形態2で異なる点は、ソース領域がn型歪シリコン層28とコバルトシリサイド膜34から構成されており、ドレイン領域がn型歪シリコン層29とコバルトシリサイド膜34から構成されている点である。すなわち、本実施の形態2におけるMISFETQ2は、ソース領域およびドレイン領域が歪シリコン層(p型歪シリコン層22)内にのみ形成されており、歪シリコン層の下層に形成されているシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層24)には形成されていない。
本実施の形態2では、歪シリコン層(p型歪シリコン層22)の厚さは約50nmであり、ミスフィット転位MFが発生しない臨界膜厚を超えている。したがって、歪シリコン層(p型歪シリコン層22)とシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層24)との界面にはミスフィット転位MFが発生している。
ソース領域およびドレイン領域の膜厚は、約40nmで、歪シリコン層(p型歪シリコン層22)とシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層24)との界面よりも浅くなっている。ただし、ソース領域およびドレイン領域の膜厚は、従来技術によるミスフィット転位MFの発生しない臨界膜厚である約15nm(各工程での洗浄による削れやゲート絶縁膜25の形成による消費を考慮した値)よりも厚くなっている。このため、本実施の形態2においても前記実施の形態1で述べた効果と同様の効果が得られる。
また、ソース領域およびドレイン領域が、歪シリコン層(p型歪シリコン層22)とシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層24)との界面近傍に形成されるミスフィット転位MFから離れているので、ミスフィット転位MFを介した不純物拡散の影響をより受けにくくなっている。不純物拡散の影響は、ゲート電極26の端部下であって、歪シリコン層(p型歪シリコン層22)とシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層24)との界面近傍における不純物濃度に影響されることを前記実施の形態1で説明した。具体的には、不純物濃度濃度が1×1019cm-3以下であれば、ミスフィット転位MFを介した不純物拡散が抑制できる。本実施の形態2では、ソース領域およびドレイン領域がミスフィット転位MFから離れているので、界面における不純物濃度が1×1019cm-3以下であることは明らかである。このように、本実施の形態2によれば、ミスフィット転位MFを介した不純物拡散の影響をより受けにくくなっていることから、ソース領域とドレイン領域との間を狭めたMISFET、言い換えればゲート幅の小さい微細なMISFETを実現できる効果も得られる。
本実施の形態2におけるMISFETQ2の製造方法は、前記実施の形態1の場合とほぼ同様である。異なる点は、ソース領域およびドレイン領域を歪シリコン層内にのみ形成し、歪シリコン層の下層にあるシリコン−ゲルマニウム層にソース領域とドレイン領域が達しないように形成する点である。
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、ソース領域およびドレイン領域が歪シリコン層とこの歪シリコン層の下層に形成されているシリコン−ゲルマニウム層の両方にわたって形成されている例について説明した。本実施の形態3では、ソース領域のエクステンション領域およびドレイン領域のエクステンション領域が歪シリコン層にのみ形成されている例について説明する。なお、本実施の形態3におけるMISFETQ3の平面図は、図6と同等である。
図19は、本実施の形態3におけるMISFETQ3を示した断面図であり、図20は、図19のMISFETQ3の部分を拡大した断面図である。図19、図20において、本実施の形態3におけるMISFETQ3の構成は、ほぼ前記実施の形態1におけるMISFETQ1と同様であるため、異なる構成について説明する。前記実施の形態1と本実施の形態3で異なる点は、ソース領域のエクステンション領域がn型歪シリコン層28aのみで形成されており、ドレイン領域のエクステンション領域がn型歪シリコン層29aのみで形成されている点である。つまり、エクステンション領域は歪シリコン層内にのみ形成されている。
p型歪シリコン層22の膜厚は、臨界膜厚より厚い50nmであるため、ミスフィット転位MFが発生しない臨界膜厚を超えている。したがって、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面にはミスフィット転位MFが発生している。
また、このp型歪シリコン層22内に形成されているn型歪シリコン層28a、29aの膜厚は約40nmである。したがって、ソース領域のエクステンション領域(n型歪シリコン層28a)とドレイン領域のエクステンション領域(n型歪シリコン層29a)は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも浅くなっている。一方、エクステンション領域以外のソース領域(不純物拡散領域)は、n+型歪シリコン層32aとn+型シリコン−ゲルマニウム層32bより形成されており、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも深くなっている。同様に、エクステンション領域以外のドレイン領域(不純物拡散領域)は、n+型歪シリコン層33aとn+型シリコン−ゲルマニウム層33bより形成されており、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも深くなっている。
本実施の形態3によれば、エクステンション領域が歪シリコン層内にのみ形成されている点で前記実施の形態2と共通するため、前記実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
また、エクステンション領域以外のソース領域およびドレイン領域が歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層の界面より深い領域まで形成されているので、ソース領域およびドレイン領域の寄生抵抗を小さくできる効果もある。
ここで、エクステンション領域以外のソース領域(n+型歪シリコン層32a、n+型シリコン−ゲルマニウム層32b)やエクステンション領域以外のドレイン領域(n+型歪シリコン層33a、n+型シリコン−ゲルマニウム層33b)を歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも深くすると、この領域からミスフィット転位MFを介して不純物拡散が生じることが考えられる。しかし、エクステンション領域以外のソース領域やエクステンション領域以外のドレイン領域はゲート電極26の端部下から離れた領域に形成されている。つまり、エクステンション領域はゲート電極26に整合して形成されているので、ゲート電極26の端部下に存在する。これに対し、エクステンション領域以外のソース領域やエクステンション領域以外のドレイン領域はサイドウォール31に整合して形成されている。このため、不純物が拡散し始める位置がゲート電極26の端部下から離れているので、不純物の拡散がソース領域からドレイン領域に渡ることはなく問題はないと考えられる。
本実施の形態3におけるMISFETQ3の製造方法は、前記実施の形態1の場合とほぼ同様である。異なる点は、ソース領域のエクステンション領域およびドレイン領域のエクステンション領域を歪シリコン層内にのみ形成し、歪シリコン層の下層にあるシリコン−ゲルマニウム層にエクステンション領域が達しないように形成する点である。
(実施の形態4)
前記実施の形態1〜3では、通常のMISFETについて説明したが、本実施の形態4ではLDMISFETについて説明する。本実施の形態4におけるLDMISFETは、例えば図3に示す電力増幅回路2A、2Bに使用されるLDMISFETである。
図21は、本実施の形態4におけるLDMISFETQ4の概略を示した平面図である。図21において、素子分離領域44で囲まれた領域上にはゲート電極48が延在しており、このゲート電極48の横側にはn+型歪シリコン層50aあるいはn-型歪シリコン層51aが形成されている。n+型歪シリコン層50aの外側にはn+型歪シリコン層53aが形成されている一方、n-型歪シリコン層51aの外側にはn+型歪シリコン層54aが形成されている。また、n+型歪シリコン層53aの外側には、p型歪シリコン層43が形成されており、このp型歪シリコン層43内には、p+型ポリシリコン膜46が形成されている。なお、図21においては、配線層、ゲート電極48の側壁に形成されているサイドウォール、ゲート電極48の上部に形成されている酸化シリコン膜などの図示は省略している。
図22は、図21のA−A線で切断した断面図であり、図23は、図22のLDMISFETQ4の部分を拡大した断面図である。図22において、シリコンにp型不純物(ボロンなど)を高濃度に導入したp+型半導体基板40上には、p+型シリコン−ゲルマニウム層41が形成されており、このp+型シリコン−ゲルマニウム層41上にはp-型シリコン−ゲルマニウム層42が形成されている。
p-型シリコン−ゲルマニウム層42上にはp型シリコン層が形成されているが、このp型シリコン層の格子定数は、p-型シリコン−ゲルマニウム層42の格子定数と相違するため、p型シリコン層に歪が生じてp型歪シリコン層43となっている。
また、p-型シリコン−ゲルマニウム層42内には、p型シリコン−ゲルマニウム層45が形成されており、このp型シリコン−ゲルマニウム層45とp型歪シリコン層43によりp型ウェルが形成されている。
p+型シリコン−ゲルマニウム層41では、ゲルマニウムの割合を0%から15%へ段階的に変化させており、この領域で積極的に結晶欠陥を発生させている。これにより、シリコンとの格子定数の違いによるp+型シリコン−ゲルマニウム層41の歪を緩和している。p-型シリコン−ゲルマニウム層42およびp型シリコン−ゲルマニウム層45では、ゲルマニウムの割合が15%で一定となっており、歪はほぼ完全に緩和され、結晶欠陥もほとんどない状態となっている。
図23において、p型歪シリコン層43の膜厚は、約70nmである。ここで、p-型シリコン−ゲルマニウム層42およびp型シリコン−ゲルマニウム層45のゲルマニウムの割合(濃度)は15%である。したがって、図1を見てわかるように、ゲルマニウムの割合が15%のとき、p型歪シリコン層43とp型シリコン−ゲルマニウム層45(またはp-型シリコン−ゲルマニウム層42)との界面にミスフィット転位MFが発生する臨界膜厚は、約25nmである。今の場合、p型歪シリコン層43の膜厚は約70nmであり、ミスフィット転位MFが発生する臨界膜厚を超えているので、図23に示すように、p型歪シリコン層43とp型シリコン−ゲルマニウム層45(またはp-型シリコン−ゲルマニウム層42)との界面近傍にはミスフィット転位MFが発生している。
次に、図22において、p型歪シリコン層43の活性領域、すなわち、素子分離領域44で分離された領域には、本実施の形態4におけるLDMISFETQ4が形成されている。このMISFETQ4は、p型歪シリコン層43上に形成されたゲート絶縁膜47と、ゲート絶縁膜47上に形成されたゲート電極48を有している。ゲート絶縁膜47は、例えば酸化シリコン膜から形成されている。また、ゲート電極48は、例えばポリシリコン膜から形成されている。なお、ゲート電極48上には、キャップ絶縁膜として酸化シリコン膜49が形成されている。
ゲート電極48の側壁には、サイドウォール52が形成されている。このサイドウォール52は例えば酸化シリコン膜より形成されている。そして、片側のサイドウォール52の下には、n+型歪シリコン層50aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層50bが形成されており、もう一方のサイドウォール52の下には、n-型歪シリコン層51aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層51bが形成されている。n+型歪シリコン層50aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層50bには、リン(P)などのn型不純物が導入されており、このn+型歪シリコン層50とn+型シリコン−ゲルマニウム層50bによりソース領域の一部であるエクステンション領域が形成される。一方、n-型歪シリコン層51aとn-型シリコン−ゲルマニウム層51bによりドレインオフセット領域が形成される。このドレインオフセット領域には、n型不純物が比較的低濃度で導入されている。また、ドレインオフセット領域は、p型シリコン−ゲルマニウム層45とp型歪シリコン層43より形成されるp型ウェルとゲート電極48の端部下のわずかな領域でしか接していない。このようなドレインオフセット領域を設けることにより、耐圧を向上することができる。
n+型歪シリコン層50aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層50bよりなるエクステンション領域の外側には、n+型歪シリコン層53aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層53bが形成されている。n+型歪シリコン層53aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層53bによりソース領域の一部となる不純物拡散領域が形成される。すなわち、ソース領域は、エクステンション領域と不純物拡散領域から形成されている。ソース領域のエクステンション領域は、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されている。
n-型歪シリコン層51aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層51bよりなるドレインオフセット領域の外側には、n+型歪シリコン層54aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層54bよりなるドレイン領域が形成されている。
以上のように構成されたLDMISFETQ4上には層間絶縁膜となる絶縁膜35が形成されており、この絶縁膜35には、コンタクトホール36が形成されている。そして、このコンタクトホール36には、タングステンなどの導電材料が埋め込まれてプラグ37が形成されている。プラグ37は、例えばチタン膜や窒化チタン膜よりなるバリア膜とタングステン膜などから構成されている。このプラグ37上には、プラグ37に電気接続する配線38が形成されている。この配線38は、例えばアルミニウム膜などから構成されている。ここで、LDMISFETQ4のソース領域とp+型半導体基板40とを電気接続するため、LDMISFETQ4の横側にp型歪シリコン層43からp+型シリコン−ゲルマニウム層41に達する溝が形成され、この溝内にp+型ポリシリコン膜46が埋め込まれている。
本実施の形態4では前記実施の形態1と同様に、臨界膜厚を超えて歪シリコン層が形成されているので、この点で共通する前記実施の形態1と同様の効果が得られる。ここで、図23に示すように、本実施の形態4におけるLDMISFETQ4は、臨界膜厚を超えて歪シリコン層が形成されているので、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面近傍には、ミスフィット転位MFが存在する。ミスフィット転位MF自体は電気的に不活性でありリーク電流を増加させない。しかし、ミスフィット転位MFが不純物拡散の経路となり、不純物拡散に伴うリーク電流が発生するおそれがある。この不純物拡散に伴うリーク電流(耐圧低下)は、ゲート電極48の端部下のミスフィット転位MFが存在する位置でのソース領域およびドレイン領域の不純物濃度に依存する。
そこで、ゲート電極48の端部下のミスフィット転位MFが発生する位置(歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面)でのエクステンション領域(ソース領域の一部)の不純物濃度と耐圧との関係を調べた。
図24は、ゲート電極48の端部下であってミスフィット転位MFが発生する位置でのエクステンション領域(ソース領域の一部)の不純物濃度と耐圧との関係を示したグラフである。図24において、横軸は不純物濃度(cm-3)を示し、縦軸は耐圧(V)を示している。なお、この実験は、ゲート長が0.25μmのLDMISFETQ4を例にとって行った。また、このLDMISFETQ4は、必要最低限度の熱処理工程を経ることにより形成されたものである。
図24を見てわかるように、不純物濃度が高くなるにつれて耐圧が低下している。特に、不純物濃度が1×1019cm-3以上になると急速に耐圧が低下している。これは、不純物濃度が高い程、熱処理による不純物の拡散長が長くなるためである。したがって、リークや耐圧低下を許容限度以下にするためには、ゲート電極48の端部下であってミスフィット転位MFが発生する位置でのエクステンション領域の不純物濃度を1×1019cm-3以下にすればよい。例えば、エクステンション領域の不純物濃度は、通常表面から深くなるにつれて低下するので、歪シリコン層の膜厚を一定以上にすれば、上記した条件に適合させることができる。なお、ゲート電極48の端部下であってミスフィット転位MFが発生する位置でのドレインオフセット領域の不純物濃度も1×1019cm-3以下にする必要がある。しかし、ドレインオフセット領域の不純物濃度は、もともと低いのでこの条件を満足することはいうまでもない。
また、本実施の形態4では、ドレインオフセット領域全体(n-型歪シリコン層51aとn-型シリコン−ゲルマニウム層51bとを合わせた領域)の膜厚は約100nmである一方、n-歪シリコン層の膜厚は約70nmである。このため、ドレインオフセット領域の大半を電子移動度の高いn-歪シリコン層51aに形成することができるので、ドレインオフセット領域のシート抵抗を低減することができる。さらに、ドレインオフセット領域全体を歪シリコン層内に収めるようにしてもよい。
具体的に、本実施の形態4において、どの程度シート抵抗を低減することができるかについて説明する。図25は、歪のない通常のシリコン層にドレインオフセット領域を形成した場合における不純物プロファイルおよび電子の移動度を示したものであり、図26は、シリコン−ゲルマニウム層とシリコン−ゲルマニウム層上に形成された約20nm(臨界膜厚以下)の歪シリコン層とにドレインオフセット領域を形成した場合における不純物プロファイルおよび電子の移動度を示している。図27は、本実施の形態4であり、シリコン−ゲルマニウム層と、シリコン−ゲルマニウム層上に形成された約70nm(臨界膜厚以上)の歪シリコン層にドレインオフセット領域を形成した場合における不純物プロファイルおよび電子の移動度を示している。
図25、図26および図27において、横軸は、表面からの深さを示したものであり、単位はnmである。縦軸のうち左側の軸は、通常のシリコン層における電子の移動度を1とした場合の相対的な移動度を示したものである。また、縦軸のうち右側の軸はドレインオフセット領域におけるn型不純物濃度を示している。
まず、図25において、ドレインオフセット領域は、歪のないシリコン層に形成されるため、このオフセット領域における電子の移動度は1である。また、ドレインオフセット領域におけるn型不純物濃度は、深さ0nmから深くなるにしたがって次第に上昇していき、深さ約40nm付近でn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3を超え、ピークに達する。そして深さ約40nmからさらに深さが深くなるにつれて、n型不純物濃度は低くなっていき、約100nmの深さで0.1×1018cm-3以下になる。したがって、ドレインオフセット領域は深さ約100nm付近まで形成されているといえる。このとき、オフセット領域のシート抵抗は、(n型不純物濃度×電子の移動度)の深さ方向の積分値の逆数に比例するため、この式に基づいてシート抵抗を計算すると1.6kΩ/□となる。
次に、図26において、ドレインオフセット領域の不純物プロファイルは図25に示した場合と同様であり、ドレインオフセット領域は深さ約100nmの深さまで形成されている。このドレインオフセット領域において、深さ0nmから深さ約20nmまでは、歪シリコン層が形成されているため、この深さまでの電子の移動度は約2となるが、深さ20nmより深い場所にはシリコン−ゲルマニウム層が形成されているため、深さ20nm以上において、電子の移動度は、通常のシリコン層よりも低く1より小さくなる。n型不純物濃度のピークは、深さ約40nm付近にあるので、n型不純物の半分以上がシリコン−ゲルマニウム層内にあることになる。このとき、上記した式に基づいてシート抵抗を計算すると、1.9kΩ/□となる。したがって、シリコン−ゲルマニウム層上に約20nmの歪シリコン層を設けたとしても、ドレインオフセット領域の半分以上がシリコン−ゲルマニウム層に形成されるため、ドレインオフセット領域全体の移動度は、向上していないことがわかる。
次に、図27において、ドレインオフセット領域の不純物プロファイルは、図25および図26に示した場合と同様であり、ドレインオフセット領域は、深さ約100nmの深さまで形成されている。本実施の形態4の場合、深さ0nmから深さ70nmまでは、歪シリコン層が形成されているため、この深さまでの電子の移動度は約2である。これに対し、深さ70nmより深い場所には、シリコン−ゲルマニウム層が形成されているため、深さ70nm以上において、電子の移動度は1より小さくなる。n型不純物濃度のピークは、深さ約40nm付近にあるので、このピークは歪シリコン層内にあることになる。図27を見て分かるように、深さ0nmから深さ70nmまでは歪シリコン層が形成されているため、n型不純物の大半(約8割以上)が、移動度の高い歪シリコン層内にあることがわかる。したがって、シート抵抗は低減されることが予想される。具体的に上記した式に基づいて計算してみると、シート抵抗は0.9kΩ/□となる。このように、本実施の形態4ではドレインオフセット領域の大半を歪シリコン層内に形成することができるため、図25や図26に示した場合に比べてシート抵抗を低減することができる。具体的には、シート抵抗を図25に示す場合の約70%、図26に示す場合の約50%に低減することができる。
ここで、ドレインオフセット領域の大半が歪シリコン層内に入っている場合を具体的に例示すると、以下のような場合が該当する。例えば、図27に示したように本実施の形態4では、歪シリコン層が深さ約70nmまで形成されており、不純物濃度のピークが深さ約40nmに存在する。このことから、ドレインオフセット領域の不純物プロファイルにおいて、不純物濃度のピークが歪シリコン層内にある場合をオフセット領域の大半が歪シリコン層内に入っている場合の一例として挙げることができる。
また、図27に示したように本実施の形態4では、約80%以上の不純物が歪シリコン層内に存在する。このことから、約80%以上の不純物が歪シリコン層内に存在することが望ましい。しかし、上記した不純物濃度のピークが歪シリコン層にあることをドレインオフセット領域の大半が歪シリコン層内に入っている場合の一例として挙げている。この不純物濃度のピークが歪シリコン層にあるということを、不純物濃度がピークに対して概ね対称になっていることを考慮して別の言い方をすれば、1/2以上の不純物が歪シリコン層にあるということができる。したがって、オフセット領域内にある不純物の1/2以上が歪シリコン層にある場合を、オフセット領域の大半が歪シリコン層内に入っている場合の一例として挙げることができる。
また、図27に示したように本実施の形態4では、ドレインオフセット領域の厚みが約100nmであるのに対し、歪シリコン層の厚さが約70nmである。このことから、ドレインオフセット領域の厚みの1/2の位置(深さ50nm)が歪シリコン層内にある場合を、オフセット領域の大半が歪シリコン層内に入っている場合の一例として挙げることもできる。
このように本実施の形態4におけるLDMISFETQ4によれば、図22および図23に示すように、チャネル領域をp型歪シリコン層43に形成できるとともに、ドレインオフセット領域の大半をn-型歪シリコン層51aに形成できる。このため、チャネル領域およびドレインオフセット領域の抵抗を下げることができ、LDMISFETQ4のオン抵抗を低減することができる。
LDMISFETQ4で構成された電力増幅器の付加効率は、1−RON/(Vdd×Id)に比例する。ここで、RONはオン抵抗、Vddはドレイン電圧、Idはドレイン電流である。したがって、オン抵抗を下げることにより、電力増幅器の付加効率を向上させることができる。例えば、通常のシリコンを使用したLDMISFETの場合と比較すると、非線形方式の代表であるGSM方式の電力増幅器では約2ポイント、線形方式の代表であるWCDMA方式の電力増幅器では約5ポイント程度、効率が向上する。
次に、図面を参照しながら、本実施の形態4におけるLDMISFETQ4の製造方法について説明する。
図28に示すように、シリコンにp型不純物(ボロンなど)を高濃度に導入したp+型半導体基板40を用意する。そして、このp+型半導体基板40上にp+型シリコン−ゲルマニウム層41を形成する。p+型シリコン−ゲルマニウム層41は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)を使用して形成することができる。このp+型シリコン−ゲルマニウム層41は、ゲルマニウムの割合を0%から15%に段階的に増加させるようにして約1μm成長させる。そして、p+型シリコン−ゲルマニウム層41上にゲルマニウムの割合が15%で一定のp-型シリコン−ゲルマニウム層42を約2μm成長させる。
続いて、図29に示すように、p-型シリコン−ゲルマニウム層42上にp-型シリコン層を形成する。p-型シリコン層は、例えばエピタキシャル成長法を使用して形成され、例えば約85nmの膜厚になるように形成される。このp-型シリコン層がp-型歪シリコン層43aとなる。p-型シリコン−ゲルマニウム層42のゲルマニウムの濃度が15%であり、ミスフィット転位の発生しない臨界膜厚は、図1を見てわかるように、約25nmである。今の場合、p-型シリコン−ゲルマニウム層42上形成されているp-型歪シリコン層43aの膜厚は約85nmであり、臨界膜厚を超えている。したがって、p-型シリコン−ゲルマニウム層42とp-型歪シリコン層43aとの界面の近傍にはミスフット転位が発生している。
次に、図30に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用してボロン(B)をp-型シリコン−ゲルマニウム層42およびp-型歪シリコン層43aに導入し、その後熱処理を行うことにより、p型シリコン−ゲルマニウム層45およびp型歪シリコン層43を形成する。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、p-型歪シリコン層43aの表面からp+型シリコン−ゲルマニウム層41に達する溝を形成する。そして、この溝に埋め込むように、例えばCVD法を使用してp+型ポリシリコン膜46を形成する。次に、例えばCMP法を使用して、不要なp+型ポリシリコン膜46を除去して溝内にのみp+型ポリシリコン膜46を残す。このp+型ポリシリコン膜46は、後述するソース領域とp+型半導体基板40とを電気接続する役割を有する。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成した後、この素子分離溝へ埋め込むように酸化シリコン膜をp+型半導体基板40上に形成する。その後、形成した酸化シリコン膜を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して、素子分離領域44を形成する。
次に、図31に示すように、例えば熱酸化法を使用して、p+型半導体基板40の主面上に例えば酸化シリコン膜よりなるゲート絶縁膜47を形成する。そして、ゲート絶縁膜47上に、ポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜上に酸化シリコン膜49を形成する。ポリシリコン膜および酸化シリコン膜49は、例えばCVD法を使用して形成することができる。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、ポリシリコン膜および酸化シリコン膜49をパターニングする。このパターニングにより、ポリシリコン膜よりなるゲート電極48を形成することができる。
そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、リンなどのn型不純物をp型歪シリコン層43とp型シリコン−ゲルマニウム層45に導入した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極48に整合したn+型歪シリコン層50aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層50bを形成する。ここで、n+型歪シリコン層50aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層50bによりソース領域のエクステンション領域が形成される。
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、リンなどのn型不純物をp-型歪シリコン層43aとp-型シリコン−ゲルマニウム層42に導入した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極48に整合したn-型歪シリコン層51aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層51bを形成する。このn-型歪シリコン層51aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層51bによりドレインオフセット領域が形成される。
この時点で、歪シリコン層(p型歪シリコン層43、n+型歪シリコン層50a、n-型歪シリコン層51aを含む)の膜厚は、各工程での洗浄による削れや、ゲート絶縁膜47の形成に消費されることにより、約85nmから約70nmに減少している。ただし、歪シリコン層の膜厚が約70nmに減少したとしても、臨界膜厚の約25nm(各工程での洗浄による削れや、ゲート絶縁膜25の形成による消費を考慮すると約15nm)よりは充分厚い。つまり、従来に比べて歪シリコン層の膜厚は厚くなっている。
次に、p+型半導体基板40の主面上に例えば酸化シリコン膜を形成する。この酸化シリコン膜は例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、図32に示すように、この酸化シリコン膜に対して異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極48の側壁にサイドウォール52を形成する。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、リンなどのn型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、n+型歪シリコン層53a、54aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層53b、54bを形成する。ここで、n+型歪シリコン層53aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層53bによりソース領域の一部(不純物拡散領域)が形成され、n+型歪シリコン層54aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層54bにより、ドレイン領域が形成される。
次に、図22に示すように、p+型半導体基板40上に、例えば酸化シリコン膜よりなる層間絶縁膜35を形成する。この層間絶縁膜35は例えばCVD法を使用して形成することができる。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、層間絶縁膜35にソース領域、ドレイン領域およびp+型ポリシリコン膜46にそれぞれ達するコンタクトホール36を形成する。
次に、コンタクトホール36を形成した層間絶縁膜35上にチタン/窒化チタン膜(図示せず)を形成した後、このチタン/窒化チタン膜上にタングステン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、例えばスパッタリング法を使用して形成することができ、タングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。
続いて、CMP法を使用して層間絶縁膜35上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を除去し、コンタクトホール36内にのみチタン/窒化チタン膜とタングステン膜を残す。これにより、プラグ37を形成することができる。その後、プラグ37を形成した層間絶縁膜35上に、アルミニウム膜を形成する。アルミニウム膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してアルミニウム膜をパターニングすることにより、配線38を形成する。
このようにして、本実施の形態4におけるMISFETQ4を形成することができる。
(実施の形態5)
前記実施の形態4では、ソース領域が歪シリコン層とこの歪シリコン層の下層にあるシリコン−ゲルマニウム層の両方にわたって形成されている例について説明した。本実施の形態5では、ソース領域が歪シリコン層にのみ形成されている例について説明する。なお、本実施の形態5におけるMISFETQ5の平面図は、図21と同等である。
図33は、本実施の形態5におけるLDMISFETQ5を示した断面図であり、図34は、図33のLDMISFETQ5の部分を拡大した断面図である。図33、図34において、本実施の形態4におけるLDMISFETQ5の構成は、ほぼ前記実施の形態4におけるLDMISFETQ4と同様であるため、異なる構成についてのみ説明する。前記実施の形態4と本実施の形態5で異なる点は、ソース領域がn+型歪シリコン層50だから構成されている点である。すなわち、本実施の形態5におけるMISFETQ5は、ソース領域が歪シリコン層(p型歪シリコン層43)内にのみ形成されており、歪シリコン層の下層に形成されているシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層45)には形成されていない。
本実施の形態5では、歪シリコン層(p型歪シリコン層43)の厚さは約70nmであり、ミスフィット転位MFが発生しない臨界膜厚を超えている。したがって、歪シリコン層(p型歪シリコン層43)とシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層45)との界面にはミスフィット転位MFが発生している。
ソース領域の膜厚は、約40nmで、歪シリコン層(p型歪シリコン層43)とシリコン−ゲルマニウム層(p型シリコン−ゲルマニウム層45)との界面よりも浅くなっている。ただし、ソース領域の膜厚は、従来技術によるミスフィット転位MFの発生しない臨界膜厚である約15nm(各工程での洗浄による削れやゲート絶縁膜25の形成による消費を考慮した値)よりも厚くなっている。このため、本実施の形態5においても前記実施の形態4で述べた効果と同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態5でのドレインオフセット領域の膜厚は約100nmで歪シリコン層(p型歪シリコン層43)の膜厚である70nmよりも厚くなっている。しかし、ドレインオフセット領域の膜厚を70nm以下にして、ドレインオフセット領域全体を歪シリコン層内に収めるようにしてもよい。
本実施の形態5によれば、図34に示すように、ソース領域(n+型歪シリコン層50)がミスフィット転位MFから離れているので、ミスフィット転位を介した不純物の異常拡散の影響を受けにくくなる。このため、ゲート幅の小さい微細なLDMISFETを実現できる効果もある。
本実施の形態2におけるLDMISFETQ5の製造方法は、前記実施の形態4の場合とほぼ同様である。異なる点は、ソース領域を歪シリコン層内にのみ形成し、歪シリコン層の下層にあるシリコン−ゲルマニウム層にソース領域が達しないように形成する点である。
(実施の形態6)
前記実施の形態4では、ソース領域が歪シリコン層とこの歪シリコン層の下層に形成されているシリコン−ゲルマニウム層の両方にわたって形成されている例について説明した。本実施の形態6では、ソース領域のエクステンション領域が歪シリコン層にのみ形成されている例について説明する。なお、本実施の形態6におけるMISFETQ6の平面図は、図21と同等である。
図35は、本実施の形態6におけるLDMISFETQ6を示した断面図であり、図36は、図35のLDMISFETQ6の部分を拡大した断面図である。図35、図36において、本実施の形態6におけるLDMISFETQ3の構成は、ほぼ前記実施の形態4におけるLDMISFETQ4と同様であるため、異なる構成について説明する。前記実施の形態4と本実施の形態6で異なる点は、ソース領域のエクステンション領域がn+型歪シリコン層50aのみで形成されている点である。つまり、エクステンション領域は歪シリコン層内にのみ形成されている。
p型歪シリコン層43の膜厚は、臨界膜厚より厚い70nmであるため、ミスフィット転位MFが発生しない臨界膜厚を超えている。したがって、図36に示すように、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面にはミスフィット転位MFが発生している。
また、このp型歪シリコン層43内に形成されているn+型歪シリコン層50aの膜厚は約40nmである。したがって、ソース領域のエクステンション領域(n+型歪シリコン層50a)は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも浅くなっている。一方、エクステンション領域以外のソース領域(不純物拡散領域)は、n+型歪シリコン層53aとn+型シリコン−ゲルマニウム層53bより形成されており、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも深くなっている。
なお、本実施の形態6でのドレインオフセット領域の膜厚は約100nmで歪シリコン層(p型歪シリコン層43)の膜厚である70nmよりも厚くなっている。しかし、ドレインオフセット領域の膜厚を70nm以下にして、ドレインオフセット領域全体を歪シリコン層内に収めるようにしてもよい。
本実施の形態6によれば、前記実施の形態4と同様の効果を得ることができる。また、エクステンション領域以外のソース領域が歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層の界面より深い領域まで形成されているので、ソース領域の寄生抵抗を小さくできる効果もある。
本実施の形態6におけるMISFETQ6の製造方法は、前記実施の形態4の場合とほぼ同様である。異なる点は、ソース領域のエクステンション領域を歪シリコン層内にのみ形成し、歪シリコン層の下層にあるシリコン−ゲルマニウム層にエクステンション領域が達しないように形成する点である。
(実施の形態7)
前記実施の形態4〜6では、シリコン−ゲルマニウム層上に歪シリコン層を形成する例について説明した。本実施の形態7では、SOI(Silicon On Insulator)構造上に歪シリコン層を形成する例について説明する。なお、本実施の形態7におけるMISFETQ7の平面図は、図21と同等である。
図37は、本実施の形態7におけるLDMISFETQ7を示した断面図であり、図38は、図37のLDMISFETQ7の部分を拡大した断面図である。図37、図38において、シリコンにp型不純物(ボロンなど)を高濃度に導入したp+型半導体基板63上には、p-型シリコン層64が形成されており、このp-型シリコン層64上には酸化シリコン膜65が形成されている。p-型シリコン層64の膜厚は、約2μmであり、酸化シリコン膜65の膜厚は約100nmである。p+型半導体基板63、p-型シリコン層64および酸化シリコン膜65によりSOI構造が形成されている。
酸化シリコン膜65上には、p型シリコン層が形成されている。このp型シリコン層は、歪緩和したシリコン−ゲルマニウム層(ゲルマニウムの割合は15%)上にエピタキシャル成長した歪シリコン層と同等の歪を有するp型歪シリコン層62である。このp型歪シリコン層62の膜厚は約70nmである。
次に、図37において、p型歪シリコン層62の活性領域、すなわち、素子分離領域66で分離された領域には、本実施の形態7におけるLDMISFETQ7が形成されている。このMISFETQ7は、p型歪シリコン層62上に形成されたゲート絶縁膜68と、ゲート絶縁膜68上に形成されたゲート電極69を有している。ゲート電極69上には、キャップ絶縁膜となる酸化シリコン膜70が形成されている。
ゲート電極69の側壁には、サイドウォール73が形成されている。そして、片側のサイドウォール73の下には、n+型歪シリコン層71が形成されており、もう一方のサイドウォール73の下には、n-型歪シリコン層72が形成されている。
n+型歪シリコン層71は、ソース領域のエクステンション領域となるものである。このn+型歪シリコン層71の膜厚は約50nmであり、p型歪シリコン層62の膜厚(約70nm)に比べて薄くなっている。ただし、n+型歪シリコン層71の膜厚は、歪シリコン層がシリコン−ゲルマニウム層上に形成されたと仮定した場合のミスフィット転位が発生しない膜厚の上限値15nm(各工程での洗浄による削れやゲート絶縁膜の形成による消費を考慮した値)よりも厚くなっている。
また、n-型歪シリコン層72は、ドレインオフセット領域となるものである。n-型歪シリコン層72の膜厚は約70nmで、SOI構造上に形成されている歪シリコン層の膜厚と同じになっている。
n+型歪シリコン層71よりなるエクステンション領域の外側には、n+型歪シリコン層74が形成されており、このn+型歪シリコン層74は、ソース領域の一部となる不純物拡散領域となっている。n+型歪シリコン層74は、n+型歪シリコン層71よりも深くなるように形成されている。同様に、n-型歪シリコン層72よりなるドレインオフセット領域の外側には、ドレイン領域となるn+型歪シリコン層75が形成されている。
以上のように構成されたLDMISFETQ7上には層間絶縁膜となる絶縁膜35が形成されており、この絶縁膜35には、コンタクトホール36が形成されている。そして、このコンタクトホール36には、タングステンなどの導電材料が埋め込まれてプラグ37が形成されている。プラグ37は、例えばチタン膜や窒化チタン膜よりなるバリア膜とタングステン膜などから構成されている。このプラグ37上には、プラグ37に電気接続する配線38が形成されている。この配線38は、例えばアルミニウム膜などから構成されている。ここで、LDMISFETQ7のソース領域とp+型半導体基板63とを電気接続するため、LDMISFETQ7の横側にp型歪シリコン層62からp+型半導体基板63に達する溝が形成され、この溝内にp+型ポリシリコン膜67が埋め込まれている。
本実施の形態7では前記実施の形態4と同様に、臨界膜厚を超えて歪シリコン層が形成されているので、この点で共通する前記実施の形態4と同様の効果が得られる。つまり、酸化シリコン膜65上には、歪シリコン層が形成されている。この歪シリコン層の膜厚は、シリコン−ゲルマニウム層上に形成されたと仮定した場合のミスフィット転位が発生しない膜厚の上限値を超えて厚く形成されている。したがって、臨界膜厚を超えて歪シリコン層が形成されているので、本実施の形態7は、前記実施の形態4と同様の効果が得られる。
前記実施の形態4で説明したように、シリコン−ゲルマニウム層上に歪シリコン層を形成したLDMISFETでは、歪シリコン層の膜厚がミスフィット転位の発生しない臨界膜厚を超えて形成されていてもリーク電流が問題にならないようにできる。したがって、臨界膜厚より厚い歪シリコン層を酸化シリコン膜上に移し換えたLDMISFETを形成してもリーク電流が問題とならないようにできることは明らかである。
また、臨界膜厚よりも厚い歪シリコン層をSOI構造上に形成したLDMISFETでは、ドレインオフセット領域の膜厚を、歪シリコン層がシリコン−ゲルマニウム層上に形成された場合の臨界膜厚よりも厚くすることができることは言うまでもない。このことから、ドレインオフセット領域が、高電子移動度で充分な厚さの歪シリコン層より構成されることになるため、ドレインオフセット領域のシート抵抗を低減することができる。
また、本実施の形態7におけるLDMISFETQ7によれば、熱伝導率の低いシリコン−ゲルマニウム層が完全になくなっているので、シリコン−ゲルマニウム層上に歪シリコン層を形成するLDMISFETに比べて、熱伝導が改善され、自己発熱による性能の劣化が起こりにくい効果も得られる。
次に、図面を参照しながら、本実施の形態7におけるLDMISFETQ7の製造方法について説明する。
図39に示すように、p型不純物を導入したシリコンよりなるp-型半導体基板60上に、例えばCVD法を使用してp-型シリコン−ゲルマニウム層61を形成する。このp-型シリコン−ゲルマニウム層61は、ゲルマニウムの割合を0%〜15%へ段階的に増加するように変化させて約1μm成長させる。その後、ゲルマニウムの割合を15%に維持しながらさらに約1μm成長させる。
続いて、p-型シリコン−ゲルマニウム層61上にp-型シリコン層を形成する。p-型シリコン層の膜厚は約85nmであり、このp-型シリコン層がp-型歪シリコン層62になる。
一方、図40に示すように、p-型半導体基板60とは別の基板であるp+型半導体基板63を用意する。このp+型半導体基板63上には、厚さ約2μmのp-型シリコン層64が形成され、このp-型シリコン層64上に、厚さ約100nmの酸化シリコン膜65が形成されている。
次に、p-型半導体基板60に形成されたp-型歪シリコン層62とp+型半導体基板63に形成された酸化シリコン膜65とを対向して接着させる。そして、図41に示すように、1000℃で加熱し貼り合わせる。
続いて、研削とウェットエッチングにより、p-型半導体基板60とp-型シリコン−ゲルマニウム層61を除去し、p+型半導体基板63の酸化シリコン膜65上にp-型歪シリコン層62のみを残す。
これ以降の工程は、前記実施の形態4で説明した場合と同様の方法を使用することにより(図29〜図33参照)、本実施の形態7におけるLDMISFETQ7を形成することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態8では、LDMISFETとCMISFET(Complementary MISFET)とを同一の半導体基板上に形成した半導体装置について説明する。例えば、本実施の形態8は、図3に示す電力増幅回路2A、2Bに使用されるLDMISFETと周辺回路3に使用されるCMISFETとを1チップとして同一の半導体基板上に形成したものである。
図43は、本実施の形態8におけるLDMISFETQ8、nチャネル型MISFETQ9およびpチャネル型MISFETQ10を示した断面図である。図43において、ボロンなどのp型不純物を高濃度に導入したp+型半導体基板80上には、p型不純物を高濃度に導入したp+型シリコン−ゲルマニウム層81が形成されている。このp+型シリコン−ゲルマニウム層81上には、p型不純物を低濃度に導入したp-型シリコン−ゲルマニウム層82が形成されている。そして、p-型シリコン−ゲルマニウム層82上には歪シリコン層が形成されている。この歪シリコン層は素子分離領域84によって分けられた領域によって導入されている不純物が異なる。例えば、図43において、素子分離領域84により3つの活性領域が形成されているが、図43の左側の活性領域、すなわちLDMISFETQ8形成領域にはp型歪シリコン層83が形成されている。同様に、図43の中央の活性領域、すなわち、nチャネル型MISFETQ9形成領域にもp型歪シリコン層83が形成されている。一方、図43の右側の活性領域、すなわちpチャネル型MISFETQ10形成領域にはn型歪シリコン層83bが形成されている。これらの歪シリコン層(p型歪シリコン層83、n型歪シリコン層83b)の膜厚は約70nmであり、ミスフィット転位の発生しない臨界膜厚を超えているので、歪シリコン層と下層のシリコン−ゲルマニウム層との界面にはミスフィット転位が発生している。
また、左側の活性領域にあるp-型シリコン−ゲルマニウム層82内には、p型シリコン−ゲルマニウム層85が形成されており、このp型シリコン−ゲルマニウム層85とp型歪シリコン層83によってp型ウェルが形成されている。同様に、中央の活性領域にあるp-型シリコン−ゲルマニウム層82内には、p型シリコン−ゲルマニウム層86が形成されており、このp型シリコン−ゲルマニウム層86とp型歪シリコン層83によってp型ウェルが形成されている。一方、右側の活性領域にあるp-型シリコン−ゲルマニウム層82内には、n型シリコン−ゲルマニウム層88が形成されており、このn型シリコン−ゲルマニウム層88とn型歪シリコン層83bによってn型ウェルが形成されている。
左側の活性領域には、本実施の形態8におけるLDMISFETQ8が形成されている。このLDMISFETQ8は、前記実施の形態6におけるLDMISFETQ6と同様の構成をしている。すなわち、LDMISFETQ8は、p型歪シリコン層83上に形成されたゲート絶縁膜89と、ゲート絶縁膜89上に形成されたゲート電極90aを有している。ゲート絶縁膜89は、例えば酸化シリコン膜から形成されている。また、ゲート電極90aは、例えばポリシリコン膜から形成されている。なお、ゲート電極90a上には、キャップ絶縁膜として酸化シリコン膜91が形成されている。
ゲート電極90aの側壁には、サイドウォール98が形成されている。このサイドウォール98は例えば酸化シリコン膜より形成されている。そして、片側のサイドウォール98の下には、n+型歪シリコン層92が形成されており、もう一方のサイドウォール98の下には、n-型歪シリコン層93aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層93bが形成されている。n+型歪シリコン層92には、リン(P)などのn型不純物が導入されており、このn+型歪シリコン層92によりソース領域の一部であるエクステンション領域が形成される。一方、n-型歪シリコン層93aとn-型シリコン−ゲルマニウム層93bによりドレインオフセット領域が形成される。
n+型歪シリコン層92よりなるエクステンション領域の外側には、n+型歪シリコン層100aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層100bが形成されている。n+型歪シリコン層100aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層100bによりソース領域の一部となる不純物拡散領域が形成される。すなわち、ソース領域は、エクステンション領域と不純物拡散領域から形成されている。ソース領域のエクステンション領域は、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されている。つまり、ソース領域のエクステンション領域は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも浅くなっている一方、ソース領域の不純物拡散領域は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層の界面よりも深くなっている。
n-型歪シリコン層93aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層93bよりなるドレインオフセット領域の外側には、n+型歪シリコン層101aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層101bよりなるドレイン領域が形成されている。つまり、ドレインオフセット領域およびドレイン領域は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも深く形成されている。
中央の活性領域には、本実施の形態8におけるnチャネル型MISFETQ9が形成されている。このnチャネル型MISFETQ9は、基本的に前記実施の形態3におけるMISFETQ3とほぼ同様の構成をしている。すなわち、nチャネル型MISFETQ9は、p型歪シリコン層83上に形成されたゲート絶縁膜89と、ゲート絶縁膜89上に形成されたゲート電極90bを有している。ゲート絶縁膜89は、例えば酸化シリコン膜から形成されている。また、ゲート電極90bは、例えばポリシリコン膜から形成されている。なお、ゲート電極90b上には、キャップ絶縁膜として酸化シリコン膜91が形成されている。
ゲート電極90bの側壁には、サイドウォール98が形成されている。このサイドウォール98は例えば酸化シリコン膜より形成されている。そして、片側のサイドウォール98の下には、n型歪シリコン層94が形成されており、もう一方のサイドウォール98の下には、n型歪シリコン層95が形成されている。n型歪シリコン層94には、リン(P)などのn型不純物が導入されており、このn型歪シリコン層94によりソース領域の一部であるエクステンション領域が形成される。一方、n型歪シリコン層95によりドレイン領域の一部であるエクステンション領域が形成される。これらのエクステンション領域は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも浅く形成されている。
n型歪シリコン層94よりなるエクステンション領域の外側には、n+型歪シリコン層102aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層102bが形成されている。n+型歪シリコン層102aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層102bによりソース領域の一部となる不純物拡散領域が形成される。すなわち、ソース領域は、エクステンション領域と不純物拡散領域から形成されている。ソース領域のエクステンション領域は、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されているとともに不純物濃度も低くなっている。
同様に、n型歪シリコン層95よりなるエクステンション領域の外側には、n+型歪シリコン層103aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層103bが形成されている。n+型歪シリコン層103aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層103bによりドレイン領域の一部となる不純物拡散領域が形成される。すなわち、ドレイン領域は、エクステンション領域と不純物拡散領域から形成されている。ドレイン領域のエクステンション領域も、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されているとともに不純物濃度も低くなっている。
ソース領域の不純物拡散領域およびドレイン領域の不純物拡散領域は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面より深く形成されている。
右側の活性領域には、本実施の形態8におけるpチャネル型MISFETQ10が形成されている。このpチャネル型MISFETQ10は、n型歪シリコン層83b上に形成されたゲート絶縁膜89と、ゲート絶縁膜89上に形成されたゲート電極90cを有している。ゲート絶縁膜89は、例えば酸化シリコン膜から形成されている。また、ゲート電極90cは、例えばポリシリコン膜から形成されている。なお、ゲート電極90c上には、キャップ絶縁膜として酸化シリコン膜91が形成されている。
ゲート電極90cの側壁には、サイドウォール98が形成されている。このサイドウォール98は例えば酸化シリコン膜より形成されている。そして、片側のサイドウォール98の下には、p型歪シリコン層96が形成されており、もう一方のサイドウォール98の下には、p型歪シリコン層97が形成されている。p型歪シリコン層96には、ボロン(B)などのp型不純物が導入されており、このp型歪シリコン層96によりソース領域の一部であるエクステンション領域が形成される。一方、p型歪シリコン層97によりドレイン領域の一部であるエクステンション領域が形成される。これらのエクステンション領域は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面よりも浅く形成されている。
p型歪シリコン層96よりなるエクステンション領域の外側には、p+型歪シリコン層105aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層105bが形成されている。n+型歪シリコン層105aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層105bによりソース領域の一部となる不純物拡散領域が形成される。すなわち、ソース領域は、エクステンション領域と不純物拡散領域から形成されている。ソース領域のエクステンション領域は、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されているとともに不純物濃度も低くなっている。
同様に、p型歪シリコン層97よりなるエクステンション領域の外側には、p+型歪シリコン層106aおよびp+型シリコン−ゲルマニウム層106bが形成されている。p+型歪シリコン層106aおよびp+型シリコン−ゲルマニウム層106bによりドレイン領域の一部となる不純物拡散領域が形成される。すなわち、ドレイン領域は、エクステンション領域と不純物拡散領域から形成されている。ドレイン領域のエクステンション領域も、エクステンション領域の外側に形成されている不純物拡散領域に比べて浅く形成されているとともに不純物濃度も低くなっている。
ソース領域の不純物拡散領域およびドレイン領域の不純物拡散領域は、歪シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層との界面より深く形成されている。
以上のように構成されたLDMISFETQ8、nチャネル型MISFETQ9およびpチャネル型MISFETQ10上には層間絶縁膜となる絶縁膜35が形成されており、この絶縁膜35には、コンタクトホール36が形成されている。そして、このコンタクトホール36には、タングステンなどの導電材料が埋め込まれてプラグ37が形成されている。プラグ37は、例えばチタン膜や窒化チタン膜よりなるバリア膜とタングステン膜などから構成されている。このプラグ37上には、プラグ37に電気接続する配線38が形成されている。この配線38は、例えばアルミニウム膜などから構成されている。ここで、LDMISFETQ8のソース領域とp+型半導体基板80とを電気接続するため、LDMISFETQ8の横側にp型歪シリコン層83からp+型シリコン−ゲルマニウム層81に達する溝が形成され、この溝内にp+型ポリシリコン膜87が埋め込まれている。
次に、本実施の形態8における半導体装置の製造方法について説明する。
まず、前記実施の形態4で説明した方法(図28〜図30参照)と同様の方法により、図44に示す構造を形成する。つまり、p+型半導体基板80上に順次、p+型シリコン−ゲルマニウム層81、p-型シリコン−ゲルマニウム層82、p-型歪シリコン層83aを形成する。そして、LDMISFETQ8形成領域にp型不純物を導入することにより、p型歪シリコン層83およびp型シリコン−ゲルマニウム層85を形成する。同様に、nチャネル型MISFETQ9形成領域にもp型不純物を導入することにより、p型歪シリコン層83およびp型シリコン−ゲルマニウム層86を形成する。続いて、p+型ポリシリコン膜87と素子分離領域84とを前記実施の形態4で説明したようにして形成する。
次に、図45に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、pチャネル型MISFETQ10形成領域にリン(P)などのn型不純物を導入した後、熱処理を施す。これにより、n型歪シリコン層83bおよびn型シリコン−ゲルマニウム層88を形成する。
続いて、図46に示すように、例えば熱酸化法を使用して、p+型半導体基板80の主面上に例えば酸化シリコン膜よりなるゲート絶縁膜89を形成する。そして、ゲート絶縁膜89上に、ポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜上に酸化シリコン膜91を形成する。ポリシリコン膜および酸化シリコン膜91は、例えばCVD法を使用して形成することができる。
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、ポリシリコン膜および酸化シリコン膜91をパターニングする。このパターニングにより、ポリシリコン膜よりなるゲート電極90a、90b、90cを形成することができる。
そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用してリンなどのn型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、n+型歪シリコン層92を形成する。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用してn型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、n-型歪シリコン層93aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層93bを形成する。
この時点で、歪シリコン層の膜厚は、各工程での洗浄による削れや、ゲート絶縁膜89の形成に消費されることにより、約85nmから約70nmになっている。ただし、歪シリコン層の膜厚が約70nmに減少したとしても、臨界膜厚の約25nm(各工程での洗浄による削れや、ゲート絶縁膜25の形成による消費を考慮すると約15nm)よりは充分厚い。つまり、従来に比べて歪シリコン層の膜厚は厚くなっている。
次に、図47に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用してリンなどのn型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、n型歪シリコン層94、95を形成する。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用してボロンなどのp型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、p型歪シリコン層96、97を形成する。
続いて、p+型半導体基板80の主面上に例えば酸化シリコン膜を形成する。この酸化シリコン膜は例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、図48に示すように、この酸化シリコン膜に対して異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極90a、90b、90cの側壁にサイドウォール98を形成する。次に、p+型半導体基板80の主面上にレジスト膜99を塗布した後、露光・現像することによりレジスト膜99をパターニングする。パターニングは、LDMISFETQ8のドレインオフセット領域とpチャネル型MISFETQ10形成領域にレジスト膜99が残るように行われる。
次に、パターニングしたレジスト膜99をマスクにしたイオン注入法を使用してn型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、図49に示すようなn+型歪シリコン層100a、101a、102a、103aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層100b、101b、102b、103bを形成する。
続いて、p+型半導体基板80の主面上にレジスト膜104を塗布した後、露光・現像することによりレジスト膜104をパターニングする。パターニングは、pチャネル型MISFETQ10形成領域にのみレジスト膜104が残らないように行われる。そして、パターニングしたレジスト膜104をマスクにしたイオン注入法を使用してp型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、図50に示すようなp+型歪シリコン層105a、106aおよびp+型シリコン−ゲルマニウム層105b、106bを形成する。
その後は、前記実施の形態4で説明した方法と同様の方法により配線層を形成して、図43に示す半導体装置を形成することができる。
このように本実施の形態8によれば、前記実施の形態6と同様の効果をもつLDMISFETQ8と、前記実施の形態3と同様の効果をもつnチャネル型MISFETQ9およびpチャネル型MISFETQ10とを同一の半導体基板上に形成することができる。
(実施の形態9)
前記実施の形態1〜8では、ゲート電極の側壁に酸化シリコン膜よりなるサイドウォールを形成していた。このサイドウォールは、ソース領域およびドレイン領域のエクステンション領域の幅を自己整合的に決める機能を有する。すなわち、エクステンション領域の外側に、エクステンション領域より高濃度で深い不純物拡散領域を形成する際、イオン注入法が使用される。このとき、サイドウォールを設けることにより、イオンがエクステンション領域に入らないようにすることができる。つまり、サイドウォールがイオン注入のストッパとなり、このサイドウォール下のエクステンション領域の幅を自己整合的に決定することができる。
しかし、サイドウォールを形成する場合に以下に示す問題が生じる場合がある。図51に示すように、サイドウォールを形成する場合、まずゲート電極48、n+型歪シリコン層50a(ソース領域のエクステンション領域)、n-型歪シリコン層51aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層51b(ドレインオフセット領域)を形成した後、基板の全面に酸化シリコン膜107を形成する。そして、図52に示すように、異方性ドライエッチングにより、平坦な部分の酸化シリコン膜107を除去し、ゲート電極48の側壁のみに酸化シリコン膜107を残す。これによりサイドウォール52を形成する。この場合、酸化シリコン膜107と下地の歪シリコン層とのエッチング選択比が充分にとれておらず、図52に示すように、歪シリコン層を削って薄くしてしまう場合がある。この場合、ソース領域、ドレインオフセット領域およびドレイン領域の抵抗が高くなってしまう。
そこで、本実施の形態9では、サイドウォールを酸化シリコン膜ではなく、ポリシリコン膜から構成する例について説明する。ここでは、例えば前記実施の形態6で説明したLDMISFETQ6の製造方法を例にとって説明する。図53は、前記実施の形態6で説明したLDMISFETQ6の製造工程を示すものである。図53において、ゲート電極48、n+型歪シリコン層50a(ソース領域のエクステンション領域)、n-型歪シリコン層51aおよびn-型シリコン−ゲルマニウム層51b(ドレインオフセット領域)を形成するまでの工程は、前記実施の形態6と同様である。
次に、図54に示すように、p+型半導体基板40の主面上に酸化シリコン膜108を形成する。これにより、ゲート電極48の側壁は酸化シリコン膜108で覆われる。この酸化シリコン膜108は、例えばCVD法を使用して形成することができる。
続いて、酸化シリコン膜108上にポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、異方性ドライエッチングにより、平坦な部分のポリシリコン膜を除去し、ゲート電極48の側壁にのみポリシリコン膜を残す。これにより、ポリシリコン膜よりなるサイドウォール109を形成することができる。異方性ドライエッチングにおいて、ポリシリコン膜と下地である酸化シリコン膜108とのエッチング選択比は充分にとれるので、酸化シリコン膜108の下に形成されている歪シリコン層が削られることはない。
次に、図55に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することによりn型不純物を導入した後、熱処理を施すことにより、n+型歪シリコン層53a、54aおよびn+型シリコン−ゲルマニウム層53b、54bを形成する。
続いて、図56に示すように、ポリシリコン膜よりなるサイドウォール109をウェットエッチングにより除去する。その後は、前記実施の形態4で説明した方法と同様の方法により配線層を形成し、図57に示す半導体装置を形成することができる。
本実施の形態9によれば、ポリシリコン膜よりなるサイドウォール109を形成する際、歪シリコン層上に酸化シリコン膜108が形成されている。そして、ポリシリコン膜のエッチングにおいて、酸化シリコン膜108とのエッチング選択性は良好なため、酸化シリコン膜108の下に形成されている歪シリコン層が削られることはない。すなわち、本実施の形態9によれば、サイドウォール109の形成時に歪シリコン層が削られることはないため、ソース領域、ドレインオフセット領域およびドレイン領域の高抵抗化を抑制することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
なお、前記実施の形態1〜9では、歪シリコン層の膜厚をミスフィット転位の発生しない臨界膜厚を超えて形成することにより、MISFETの素子特性を向上させている。特に、通常のMISFETの場合、歪シリコン層の膜厚を、臨界膜厚を超えて図58に示す領域R1に含まれる膜厚で形成することが望ましい。R1領域の下限は、ほぼMISFETのソース領域のエクステンション領域およびドレイン領域のエクステンション領域の膜厚である。すなわち、歪シリコン層の膜厚をソース領域およびドレイン領域の膜厚以上に形成することにより、素子特性の大幅な向上を期待できる。また、LDMISFETの場合、歪シリコン層の膜厚を図58に示す領域R2に含まれる膜厚で形成することが望ましい。R2領域の下限は、ほぼドレインオフセット領域の膜厚である。
前記実施の形態では、例えばRFパワーモジュールの電力増幅回路に使用されるLDMISFETに本発明を適用した。しかし、これに限らず、例えばRF用のアナログ回路に使用されるMISFETにも適用することができる。特に、アナログ回路に使用されるMISFETのうち、高周波動作とある程度の耐圧の両立が必要な場合、本発明が有効である。耐圧を高くするためには、ゲート絶縁膜の膜厚を厚くする必要があるが、ゲート絶縁膜を厚くするためには、歪シリコン層の膜厚をミスフィット転位の発生しない臨界膜厚より厚くすることが必要となるからである。また、歪シリコン層の膜厚を厚くすることにより、歪シリコン層の膜厚に関わるプロセスに余裕ができ、歩留まりが向上する効果も得られる。このように、本発明をアナログ回路に使用されるMISFETに適用することにより、高速で高性能なアナログ回路を実現することができる。
また、歪シリコン層の膜厚を厚くしてミスフット転位を発生させても、本発明の適用によりミスフィット転位のない場合と同様にリーク電流の発生を抑制することができる。したがって、電力増幅器に使用されるLDMISFETや高耐圧MISFETとは異なり、歪シリコン層を厚くする必要のないMISFETにも本発明を適用する利点がある。つまり、歪シリコン層の膜厚を厚くすることによって、歪シリコン層の膜厚のばらつきによる特性変動の影響を低減することができ、歩留まりを向上させることができる。
前記実施の形態では、主にソース領域およびドレイン領域がLDD(Lightly Doped Drain)構造をしている場合を例にして説明した。しかし、ソース領域およびドレイン領域がLDD構造をしていない半導体装置にも本発明を適用することできる。