JP2006066084A - リチウム二次電池用負極およびその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のリチウム二次電池用負極は、式Li3-xMxN(Mは遷移金属元素である。xは0.1≦x≦0.7である。)で表される窒化物と、上記窒化物を構成するリチウムと反応して少なくとも0〜1.4V(対Li/Li+)の電位範囲で実質的に安定な生成物を生じる遷移金属酸化物と、を配合してなる複合負極材料を有する。本発明のリチウム二次電池は、かかる負極と、リチウムの可逆的な吸蔵および放出が可能な正極活物質を有する正極とを備える。
【選択図】 なし
Description
一方、特許文献1には、所定の組成式で表されるリチウム含有遷移金属窒化物(負極活物質保持体)を主体とする負極を備えたリチウム二次電池が開示されている。リチウム二次電池に関する他の従来技術文献として特許文献2および3が挙げられる。
この点に関し上記特許文献1では、式Li3-xMxNで表されるリチウム含有遷移金属窒化物(前駆体)から化学反応または電気化学反応によりリチウムの一部を脱離させて式Li3-x-yMxNで表される窒化物とし、これを負極材料として用いている。ここで、上記前駆体からリチウムを脱離させる工程を省略または簡略化することができれば有益である。
Li3-xMxN (1)
(前記式(1)中のMは遷移金属元素から選択される少なくとも一つである。xは0.1≦x≦0.7である。);
で表される窒化物と、
以下の条件:
上記窒化物を構成するリチウムと反応可能である;および、
該リチウムとの反応による生成物が少なくとも0〜1.4V(対Li/Li+)の電位範囲において実質的に安定である;
を満たす遷移金属酸化物と、を配合してなる複合負極材料を有する。
Li3-xMxN (1)
(前記式(1)中のMは遷移金属元素から選択される少なくとも一つである。xは0.1≦x≦0.7である。);
で表される窒化物(原料窒化物)を選択する工程を有する。また、以下の条件:
上記窒化物を構成するリチウムと反応可能である;および、
該リチウムとの反応による生成物が少なくとも0〜1.4V(対Li/Li+)の電位範囲において実質的に安定である;
を満たす遷移金属酸化物を選択する工程を有する。また、前記式(1)で表される窒化物と前記遷移金属酸化物とを配合する工程を有する。この製造方法は、例えば、上述したいずれかの負極を製造する方法として好適である。
かかる構成の電池は、原料窒化物からリチウムが脱離した組成の窒化物(Li不足窒化物)を主たる活物質として有する負極を備えたものとなり得る。このため、上記正極活物質としてリチウムが実質的に充填された組成のリチウム遷移金属酸化物(LiCoO2等)を選択した場合であっても、その電池性能を適切に発揮することができる。例えば、当初から(初回の充電時から)大きな充電容量を発揮するものとなり得る。該電池を構成する負極は、原料窒化物に由来するリチウムと遷移金属酸化物との反応による生成物(典型的には酸化リチウムおよび遷移金属)を有し得る。そのような生成物は、少なくとも凡そ0〜1.4Vの電位範囲において実質的に安定である。例えば、負極の電位がこの範囲で推移する態様で該電池を使用する場合には、該生成物を生じる反応の逆反応は実質的に進行しない。したがって、該生成物および該酸化物は負極活物質として実質的に機能しない。これにより、上記構成の電池は電池性能の安定性(例えば、充放電回数の増加に対する容量維持性)に優れたものとなり得る。
Li3-x-yMxN (2)
(前記式(2)中のMは遷移金属元素から選択される少なくとも一つである。xは0.1≦x≦0.7である。yは0.1≦y≦1.6である。);
で表される窒化物を主たる負極活物質とするリチウム二次電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)が提供される。その電池は、上記式(2)で表される窒化物(Li不足窒化物)と、鉄、ニッケル、コバルトおよび銅からなる群から選択される少なくとも一つの金属と、酸化リチウムと、を含む複合負極材料を有する負極を備える。上記電池は、リチウムの可逆的な吸蔵および放出が可能な正極活物質を有する正極を備えることができる。該正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物類、リチウムニッケル酸化物類、リチウムマンガン酸化物類等のようなリチウムと一種または二種以上の遷移金属とを構成金属元素とする酸化物を好ましく用いることができる。
好ましい一つの態様では、該遷移金属元素が、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)から選択される一種または二種以上である。二種以上の遷移金属元素を含むリチウム遷移金属窒化物としては、それらのうち少なくとも一種はコバルトである窒化物が好ましい。例えば、リチウム遷移金属窒化物を構成する遷移金属元素のうち50%(原子数比)以上がコバルトである窒化物、および、該構成遷移金属元素のうち凡そ75%以上がコバルトである窒化物がいずれも好ましい。コバルトとともにリチウム遷移金属窒化物を構成する遷移金属元素としては、鉄、ニッケルおよび銅のうち一種または二種以上を好ましく選択することができる。他の好適例としては、実質的にリチウムとコバルトと窒素とから構成されるリチウム遷移金属窒化物が挙げられる。
上記式(1)で表される窒化物(原料窒化物)としては、例えば、該窒化物を電極活物質として金属リチウム電極に対する電位差が凡そ1400〜10mVとなる範囲で充放電を行った場合に、該窒化物1g当たり凡そ500mAh以上(例えば、凡そ500〜1200mAh/g)の可逆容量を発揮し得る窒化物が好ましい。この可逆容量の値としては、例えば、該原料窒化物を活物質として有する試験電極と、対極としての金属リチウムと、適当な電解質とを用いて電気化学セルを構築し、該セルにつき対極(金属リチウム)との電位差が例えば凡そ1400〜10mVとなる範囲で充放電サイクルを実施した場合における該窒化物の質量当たりの可逆容量(典型的には、第2サイクル以降の容量)の値を採用することができる(例えば、図4に実線で表された充放電曲線を参照。)。
Li3-xCox-s-t-uCusNitFeuN (3)
上記式(3)におけるxは0.1≦x≦0.7であり、好ましくは0.1≦x≦0.6であり、より好ましくは0.2≦x≦0.5である。また、s,tおよびuはいずれも0以上の数であって、かつs+t+u≦xである。例えば、上記式(3)におけるxが凡そ0.4であって、s,tおよびuがいずれもゼロである組成の窒化物(Li2.6Co0.4N)を好ましく選択することができる。また、上記式(3)におけるxが凡そ0.4であり、sが0.1≦s≦0.2であり、tが0≦t≦0.1であり、uが0≦u≦0.1であり、かつ、s+t+u≦0.2である組成の窒化物を好ましく選択することができる。
なお、式(1)で表されるリチウム遷移金属窒化物を用意するにあたり、該窒化物の合成条件および/または保存条件等によって、該窒化物の組成が式(1)で表される組成から厳密には若干外れていることがあり得る。例えば、リチウム(Li)と遷移金属元素(M)との合計の原子数が窒素(N)の原子数の正確に3倍とはなっていないことがあり得る。かかる事象は、例えば、リチウム遷移金属窒化物を高温で合成する際にリチウムの一部が非意図的に揮発することによって起こり得る。したがって、ここでいう「式(1)で表される窒化物(原料窒化物)」の概念には、該式で表される組成から、非意図的に、若干外れた組成を有する窒化物も包含され得る。
該遷移金属酸化物としては、リチウム遷移金属窒化物(例えば、上記式(1)で表される窒化物)を構成するリチウムと反応可能な化合物を選択することができる。かかる反応の典型的な態様では、リチウム遷移金属窒化物を構成するリチウム(Li)と遷移金属酸化物を構成する酸素(O)とから酸化リチウム(Li2O)が生じる。この反応によって上記窒化物からリチウムを脱離させる(これによりLi不足窒化物を生成させる)ことができる。すなわち、この遷移金属酸化物を上記窒化物に対するLi脱離剤として機能させることができる。このようなリチウム脱離反応が自動的に進行し得る遷移金属酸化物を選択することが好ましい。一方、遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素は、リチウムとの反応により還元されて、典型的には遷移金属を生じる。
ここで「電池の通常の使用時に負極が到達し得る電位範囲」は、正極活物質の選択および所望する電池電圧(例えば定格電圧)等によって異なり得る。典型的な構成のリチウムイオン二次電池では、該電位範囲は、例えば、凡そ0〜1.4Vの範囲であり得る。また、凡そ0〜1.4Vの範囲から選択される任意の電位範囲であり得る。
特に限定するものではないが、原料窒化物のリチウム脱離電位E1としては、例えば以下の方法により得られた値を採用することができる。すなわち、該原料窒化物を活物質として有する試験電極と、対極としての金属リチウムと、適当な電解質とを用いて電気化学セル(半電池)を構築する。このセルでは、試験電極が正極となり、金属リチウム(対極)が負極となる。該セルを最初に充電する(このとき原料窒化物からリチウムが脱離する)際、その充電曲線上に現れる平坦部に対応する電位をE1として採用することができる(例えば、図3中の右上がりの実線を参照)。リチウム脱離電位E1が凡そ1〜1.3Vの範囲にある原料窒化物を好ましく選択することができる。
また、遷移金属酸化物のリチウム挿入電位E2としては、例えば以下の方法により得られた値を採用することができる。すなわち、該遷移金属酸化物を活物質として有する試験電極と、対極としての金属リチウムと、適当な電解質とを用いて電気化学セルを構築する。該セルを最初に放電させる(このとき遷移金属酸化物にリチウムが吸蔵される、すなわち該酸化物とリチウムが反応する)とき、その放電曲線上に現れる平坦部に対応する電位をE2として採用することができる(例えば、図3中の右下がりの破線を参照。)。
Li3-x-yMxN (2)
(上記式(2)中、Mは遷移金属元素から選択される少なくとも一つである。xは0.1≦x≦0.7である。yは0.1≦y≦1.6である。)
ここに開示される負極は、組成の異なる二種以上の原料窒化物と遷移金属酸化物とを配合したものであり得る。かかる場合には、それらの原料窒化物の合計量と遷移金属酸化物との配合割合を上記範囲とすることが好ましい。該負極は、組成の異なる二種以上の遷移金属酸化物と原料窒化物とを配合したものであり得る。この場合も同様に、それらの遷移金属酸化物の合計量と原料窒化物(複数の窒化物を用いる場合にはそれらの合計量)との配合割合を上記範囲とすることが好ましい。
ここに開示される電池を構成する正極としては、例えば、このような正極活物質を必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに正極集電体に付着させた態様の正極を用いることができる。正極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を使用することができる。導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素材料、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。結着剤としては、負極と同様の有機高分子材料等を用いることができる。
Li3-x-yMxN (2)
ここで、前記式(2)中のMは遷移金属元素から選択される少なくとも一つであり得る。例えば、Mは、前記式(1)で表される窒化物を構成する遷移金属元素と同様の元素および/または比率の遷移金属元素であることが好ましい。式(2)中のxは0.1≦x≦0.7であり、好ましくは0.1≦x≦0.6であり、より好ましくは0.2≦x≦0.5である。式(2)中のyは、式Li3-xMxNで表されるリチウム遷移金属窒化物からリチウムが脱離した割合を表している。上記電池の一つの好ましい態様では、yが凡そ0.1≦y≦1.6(より好ましくは、凡そ1.0≦y≦1.3)である。このような負極活物質は、通常は、該電池を構成する負極に保持されている。
通常の固相反応法により、Li2.6Co0.4Nで表される組成のリチウム遷移金属窒化物を合成した。すなわち、窒素雰囲気下、700℃で、所定量のLi3Nと金属コバルトとを反応させてLi2.6Co0.4Nを生じさせた。これを高速ボールミル処理により粉砕して、平均粒子径0.5〜5μmのLi2.6Co0.4N粉末を調製した。また、市販のCo3O4粉末を高速ボールミル処理により粉砕して、平均粒子径2〜5μmのCo3O4粉末を調製した。
このようにして用意したLi2.6Co0.4N粉末とCo3O4粉末とを、アルゴン雰囲気中にて、凡そ1:1の質量比で均一に混合した。この混合物におけるリチウム原子:酸素原子のモル比(原子数比)は凡そ3:1である。該混合物と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電化材としてのアセチレンブラック(AB)とを、混合物:PVDF:ABの質量比が凡そ80:10:10となる割合で混合して複合電極材料を調製した。この複合電極材料を集電体としてのステンレスメッシュに直接圧着し、厚さ約50〜60μm、面積約0.55cm2に成形して電極を得た。以下、この電極を「Li2.6Co0.4N−Co3O4複合電極」という。
窒素雰囲気下、800℃で、所定量のLi3Nと金属コバルト、金属銅および金属鉄とを反応させて、Li2.6Co0.2Cu0.15Fe0.05Nで表される組成のリチウム遷移金属窒化物を合成した。これを高速ボールミルにより粉砕して、平均粒子径0.5〜5μmのLi2.6Co0.2Cu0.15Fe0.05N粉末を調製した。
このようにして用意したLi2.6Co0.2Cu0.15Fe0.05N粉末と実験例1と同様にして調製したCo3O4粉末とを、アルゴン雰囲気中にて、凡そ5:3の質量比で均一に混合した。この混合物におけるリチウム原子:酸素原子のモル比(原子数比)は凡そ4.5:1である。実験例1と同様に、該混合物とPVDFとABとを凡そ80:10:10の質量比で混合して複合電極材料を調製し、これを実験例1と同様にステンレスメッシュに圧着して電極を得た。以下、この電極を「Li2.6Co0.2Cu0.15Fe0.05N−Co3O4複合電極」ということもある。
窒素雰囲気下、700℃で、所定量のLi3Nと金属コバルトおよび金属銅とを反応させて、Li2.6Co0.2Cu0.2Nで表される組成のリチウム遷移金属窒化物を合成した。これを高速ボールミルにより粉砕して、平均粒子径0.5〜5μmのLi2.6Co0.2Cu0.2N粉末を調製した。
このようにして用意したLi2.6Co0.2Cu0.2N粉末と実験例1と同様にして調製したCo3O4粉末とを、アルゴン雰囲気中にて、凡そ62.5:37.5の質量比で均一に混合した。この混合物におけるリチウム原子:酸素原子のモル比(原子数比)は凡そ4.5:1である。実験例1と同様に、該混合物とPVDFとABとを凡そ80:10:10の質量比で混合して複合電極材料を調製し、これを実験例1と同様にステンレスメッシュに圧着して電極を得た。以下、この電極を「Li2.6Co0.2Cu0.2N−Co3O4複合電極」ということもある。
実験例1と同様にして調製したLi2.6Co0.4N粉末とPVDFとABとを、質量比が凡そ80:10:10となる割合で混合して電極材料を調製した。この電極材料を実験例1と同様にステンレスメッシュに圧着して電極を得た。以下、この電極を「Li2.6Co0.4N電極」ということもある。
実験例1と同様にして調製したCo3O4粉末とPVDFとABとを、質量比が凡そ80:10:10となる割合で混合して電極材料を調製した。この電極材料を実験例1と同様にステンレスメッシュに圧着して電極を得た。以下、この電極を「Co3O4電極」ということもある。
上記実験例により得られた各電極の特性(常温特性)を評価するために、これらの電極を用いて電気化学セル(半電池)を組み立てた。すなわち、上記実験例により得られた各電極と、セパレータと、対極としての金属リチウムとをこの順に積層し、電解質とともに2025型のコイン型セルに組み込んだ。上記電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを1:1の体積比で混合した混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた組成の液状電解質(電解液)を用いた。なお、かかる構成の電気化学セルでは、上記実験例により得られた電極が正極側、対極(金属リチウム)が負極側となる。
これらのセルにつき、上記実験例により得られた電極(試験電極)にリチウムが吸蔵される側の過程(放電過程)から開始して、対極との電位差が1400mA〜10mAとなる範囲(すなわち、試験電極の電位が1400mA〜10mA(対Li/Li+)となる範囲)で、電流密度0.15mA/cm2の定電流充放電を繰り返すサイクル試験を行った。充電と放電との間には1分間の休止時間を設けた。このときの充放電容量と試験電極の電位との関係を評価した。また、サイクル数の増加に伴う充放電容量の推移を評価した。これらの充放電サイクル試験において測定された容量は、各複合電極の有する複合電極材料のうち、リチウム遷移金属窒化物および遷移金属酸化物に由来する質量(すなわち、複合電極材料からPVDFおよびABを除いた質量)当たりの容量に換算して示している。
図1から判るように、第1サイクルのLi吸蔵容量およびLi脱離容量は、それぞれ、第2サイクルおよび第6サイクルのLi吸蔵容量およびLi脱離容量とほぼ同程度であった。また、第2サイクルと第6サイクルとの充放電曲線はよく一致していた。このように、Li2.6Co0.2Cu0.15Fe0.05N−Co3O4複合電極を用いたセルは、そのリチウム挿入・脱離プロセスにおいて高い可逆性を示した。
実験例6で作製した電気化学セルのうち、Li2.6Co0.4N電極(実験例4)を用いたセルおよびCo3O4電極(実験例5)を用いたセルにつき、実験例6と同様の条件にて充放電サイクル試験を行った(電位差1400mA〜10mA、0.15mA/cm2の定電流充放電)。これらの充放電サイクル試験において測定された容量は、Li2.6Co0.4N電極を用いたセルについては該電極の有する電極材料のうちLi2.6Co0.4Nに由来する質量(電極材料からPVDFおよびABを除いた質量)当たりの容量に換算して示している。同様に、Co3O4電極を用いたセルについては該電極の有する電極材料のうちCo3O4に由来する質量(電極材料からPVDFおよびABを除いた質量)当たりの容量に換算して示している。
図3に示すように、Li2.6Co0.4N電極は、第1サイクルにおけるLi吸蔵容量(右下がりの曲線)が100mAh/g未満という低い値であった。このことは、該電極の有するリチウム遷移金属窒化物(Li2.6Co0.4N)は、充放電サイクル試験の開始時においてリチウムがほぼ充填された状態にあったことを示している。このような構成の電極を負極として電池を構築する場合、正極活物質として一般的なリチウム遷移金属酸化物(例えばLiCoO2)のようにリチウムがほぼ充填された材料を選択すると、その電池性能(充放電容量等)を十分に発揮することができない。
なお、本実験例で用いたセルは、対極として金属リチウムを用いているので、図3に示すように、第1サイクルの後半(右上がりの曲線)において、Li2.6Co0.4N電極を構成するリチウム遷移金属窒化物(Li2.6Co0.4N)から多くのリチウムを脱離させることが可能である。そして、図4に実線で示すように、この電極は第2サイクルでは良好な充放電特性を示した。このことは、いったんLi2.6Co0.4Nからリチウムを脱離させた組成のリチウム遷移金属窒化物(Li不足窒化物)は、上記電位範囲において良好な充放電特性を発揮する活物質となり得ることを示している。
実験例1で作製したLi2.6Co0.4N−Co3O4複合電極につき、種々の状態におけるX線回折(XRD)パターンを測定した。その結果を図5に示す。図中のパターンaは、作製した該複合電極をそのまま(電解液に接触させる前に)測定して得られたXRDパターンである。パターンbは、該複合電極を用いて実験例6と同様に電気化学セルを構築してから(すなわち、該複合電極を上記組成の電解液に浸漬してから)2時間後のXRDパターンである。パターンcは、該セルにおいて上記複合電極の電位が10mVになるまでリチウムを吸蔵させたとき(第1サイクルの前半終了時)のXRDパターンである。パターンdは、該セルにおいて該電極の電位が1400mVになるまでリチウムを脱離させたとき(第1サイクルの後半終了時)のXRDパターンである。
本実施例は、リチウム遷移金属窒化物−遷移金属酸化物複合電極を、ポリエチレンオキサイド系の固体高分子電解質(以下、「固体PEO膜」ともいう。)を備えたセルに適用した例である。
複合電極は以下のようにして作製した。すなわち、実験例3で用いたLi2.6Co0.2Cu0.2N粉末とCo3O4粉末とを、アルゴン雰囲気中にて、凡そ62.5:37.5の質量比で均一に混合した。この混合物におけるリチウム原子:酸素原子のモル比(原子数比)は凡そ4.5:1である。該混合物と、ポリエチレンオキサイド(PEO,重量平均分子量(MW)=6×105)と、ABと、イミド塩(ここではLiN(SO2CF3)2を用いた。)とを、混合物:PEO:AB:イミド塩の質量比が凡そ58:24:10:8となる割合で混合して複合電極材料を調製した。これを実験例1と同様にステンレスメッシュに圧着して電極を得た。以下、この電極を「Li2.6Co0.2Cu0.2N−Co3O4複合電極(S)」という。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
Claims (9)
- リチウム遷移金属窒化物を主たる負極活物質とするリチウム二次電池を構築するための負極であって、
下記式(1):
Li3-xMxN (1)
(前記式(1)中のMは遷移金属元素から選択される少なくとも一つである。xは0.1≦x≦0.7である。);
で表される窒化物と、
以下の条件:
上記窒化物を構成するリチウムと反応可能である;および、
該リチウムとの反応による生成物が少なくとも0〜1.4V(対Li/Li+)の電位範囲において実質的に安定である;
を満たす遷移金属酸化物と、
を配合してなる複合負極材料を有するリチウム二次電池用負極。 - 前記式(1)で表される窒化物から該窒化物を構成するリチウムが脱離する電位E1と前記遷移金属酸化物が該窒化物を構成するリチウムと反応する電位E2との差(E2−E1)が0〜1Vの範囲にある、請求項1に記載の負極。
- 前記遷移金属酸化物は、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群から選択される少なくとも一つの遷移金属元素の酸化物である、請求項1または2に記載の負極。
- 前記式(1)中のMは、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群から選択される少なくとも一つの遷移金属元素である、請求項1から3のいずれか一項に記載の負極。
- リチウム遷移金属窒化物を主たる負極活物質とするリチウム二次電池を構築するための負極を製造する方法であって、
下記式(1):
Li3-xMxN (1)
(前記式(1)中のMは遷移金属元素から選択される少なくとも一つである。xは0.1≦x≦0.7である。);
で表される窒化物を選択する工程と、
以下の条件:
上記窒化物を構成するリチウムと反応可能である;および、
該リチウムとの反応による生成物が少なくとも0〜1.4V(対Li/Li+)の電位範囲において実質的に安定である;
を満たす遷移金属酸化物を選択する工程と、
前記式(1)で表される窒化物と前記遷移金属酸化物とを配合する工程と、
を包含するリチウム二次電池用負極の製造方法。 - 前記式(1)で表される窒化物と前記遷移金属酸化物との配合比(窒化物:酸化物)は質量比で1:1〜2:1の範囲である、請求項5に記載の方法。
- 前記式(1)で表される窒化物および前記遷移金属酸化物は、それぞれ平均粒子径が0.05〜10μmの範囲にある粉末として配合される、請求項5または6に記載の方法。
- リチウム遷移金属窒化物を主たる負極活物質とするリチウム二次電池であって、
請求項1から4のいずれか一項に記載の負極と、
リチウムの可逆的な吸蔵および放出が可能な正極活物質を有する正極と、
を備えるリチウム二次電池。 - 下記式(2):
Li3-x-yMxN (2)
(前記式(2)中のMは遷移金属元素から選択される少なくとも一つである。xは0.1≦x≦0.7である。yは0.1≦y≦1.6である。);
で表される窒化物を主たる負極活物質として有する負極と、
リチウムの可逆的な吸蔵および放出が可能な正極活物質を有する正極と、
を備えるリチウム二次電池であって、
ここで前記負極は、前記窒化物と、鉄、ニッケル、コバルトおよび銅からなる群から選択される少なくとも一つの金属と、酸化リチウムと、を含む複合負極材料を有するリチウム二次電池。
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