JP2005329305A - 枚葉塗布方法、枚葉塗布装置、塗布基板、および枚葉塗布部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大型基板の塗布に際して液切れ欠陥の発生を抑制し、製造歩留まりの向上と品質の向上を図る。
【解決手段】 液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタなどの枚葉の被塗布部材に対して液材を塗布する枚葉塗布方法であって、液材の吐出部と被塗布部材とを相対移動させる前に、所定の初期ビード量からなる液溜まりを被塗布部材に形成し、その後、液材の吐出部と被塗布部材とを相対移動させ、この相対移動の開始から有意に遅らせて吐出部からの液材の吐出を開始する。
【選択図】 図4
【解決手段】 液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタなどの枚葉の被塗布部材に対して液材を塗布する枚葉塗布方法であって、液材の吐出部と被塗布部材とを相対移動させる前に、所定の初期ビード量からなる液溜まりを被塗布部材に形成し、その後、液材の吐出部と被塗布部材とを相対移動させ、この相対移動の開始から有意に遅らせて吐出部からの液材の吐出を開始する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、ディスプレイ部材等の枚葉の被塗布部材に液材を塗布する枚葉塗布方法等に関し、より詳しくは、塗料吐出部と被塗布部材とを相対移動させて液材を塗布する枚葉塗布方法等に関する。
従来、半導体製造用のウェハや液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイ装置に用いられるガラス製の平板等の塗布対象物に、絶縁材料やフォトレジスト液等の各種流体材料(塗布液、塗布流体)を塗布する作業が行われている。塗布方法の最も代表的なものとしては、スピンコート式塗布方法があり、これらの塗布液を塗布する際には、均一な膜厚を有する薄膜を形成することが要求される。このスピンコート式塗布方法では、例えば、基板やウェハ等の塗布対象物における中央付近に所定のノズルを配置し、このノズルから塗布液を滴下し、この塗布対象物を高速回転させ、回転による遠心力により塗布液を拡散させて均一な膜厚の形成を図っている。しかしながら、このスピンコート式塗布方法では、回転によって飛散する塗布液の量が多く、振り払われた塗布液が無駄になってしまう。
一方、近年、ダイコート(スリットコート)式塗布方法が注目されている。このダイコート式塗布方法では、例えば矩形形状からなる基板やウェハ等の塗布対象物に、塗布対象物における一辺の幅寸法の全長に亘って設けられたダイ(塗料吐出部)を用いて塗布がなされる。このダイにはスリット状の開口部が備えられ、この開口部の先端(リップ)から塗布液を吐出しながらダイまたは塗布対象物を一定速度で移動して、均一な膜厚を形成している。このダイコート式塗布方法によれば、スピンコート式塗布方法では顕著であった飛散により発生する無駄がほとんど生じない点で優れている。
しかし、ダイコート式塗布方法では、ダイまたは塗布対象物の移動により均一な薄膜を得ることが比較的難しい。特に、ダイまたは塗布対象物が走行を開始して塗布を開始する塗布対象物の開始端と、ダイが塗布を終了する塗布対象物の終了端とでは、塗布ムラが顕著となり塗布の均一性を保つことができなくなる。また、不測の事態によって一時的に塗布作業を中断した場合に、ダイにおけるスリットの先端に付着した塗布液が乾燥固化して塗布作業の再開が困難になる場合がある。これらの問題に対処するために、公報記載の従来技術として、塗布の塗り始めに液溜まりを作るとともに、スリット先端と枚葉基板との距離を、塗工領域内の塗工開始位置および終了位置にて中央部よりも狭くする技術が存在する(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、近年、大画面の液晶ディスプレイが非常なスピードで開発され、ディスプレイ部材等の枚葉塗布製造プロセスにおいて塗布対象となる基板そのものが大型化している。例えば、大きなガラス基板を用いた液晶ディスプレイでは、基板の面積が1m2を超えているものも存在しており、更に近い将来には、2〜3m2を超えるガラス基板に対して塗布や乾燥を行うことが必要になると考えられる。このような大型基板の塗布には、上述したダイコート(スリットコート)式塗布方法が特に適しているが、基板の大型化によりダイの移動距離が長くなり、製造効率を維持するためにもダイを高速に移動させることが要求されてくる。しかしながら、大型基板を塗布する必要性からダイの大きさも大型化しており、その重量も増加している。その結果、この重量増加のためにダイを加速させるための動力が非常に高くなり、装置の制約上、ダイの塗布開始における塗布速度(移動速度)の立ち上がり加速度を高くすることができない。この立ち上がり加速度が低くなると、塗布開始部の膜厚均一性に問題が生じ、また、液切れ欠陥が起こり易くなる問題も生じる。
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、大型基板の塗布に際して液切れ欠陥の発生を抑制し、製造歩留まりの向上と品質の向上を図ることにある。
また他の目的は、塗布条件の決定を迅速化し、製造稼働率を向上させることにある。
更に他の目的は、ダイコート式塗布方法による大型基板の塗布に際して、ダイの加速時間を緩和し、枚葉塗布装置のコストダウンと運転の安定化を図ることにある。
また更に他の目的は、特性の異なる塗布液を用いた場合でも良好な塗布性能を確保することにある。
また他の目的は、塗布条件の決定を迅速化し、製造稼働率を向上させることにある。
更に他の目的は、ダイコート式塗布方法による大型基板の塗布に際して、ダイの加速時間を緩和し、枚葉塗布装置のコストダウンと運転の安定化を図ることにある。
また更に他の目的は、特性の異なる塗布液を用いた場合でも良好な塗布性能を確保することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭利検討した結果、ダイからの吐出開始をダイと基板との相対移動の開始よりも遅らせることで、良好な結果が得られることを見出すに至った。即ち、本発明は、枚葉の被塗布部材に対して液材を塗布する枚葉塗布方法であって、液材の吐出部と被塗布部材とを相対移動させるステップと、この相対移動の開始から有意に遅らせて吐出部からの液材の吐出を開始するステップとを含む。
ここで、この相対移動の開始前に、所定の初期ビード量からなる液溜まりを被塗布部材に形成するステップを更に含むことを特徴とすることができる。
また、この吐出部からの液材吐出流量の立ち上がり時間Tqよりも相対移動の速度の立ち上がり時間Tvが長いことを特徴とすることができる。
更にこの吐出部からの液材の吐出を開始するステップは、液材供給の開始遅れのタイミングをTmとすると、
Tv×0.5 ≦ Tq+Tm ≦ Tv×1.5
の関係式を満たすことを特徴とすることができる。
また、この吐出部からの液材吐出流量の立ち上がり時間Tqよりも相対移動の速度の立ち上がり時間Tvが長いことを特徴とすることができる。
更にこの吐出部からの液材の吐出を開始するステップは、液材供給の開始遅れのタイミングをTmとすると、
Tv×0.5 ≦ Tq+Tm ≦ Tv×1.5
の関係式を満たすことを特徴とすることができる。
一方、本発明が適用される枚葉塗布装置は、枚葉の被塗布部材に対して塗布される液材を被塗布部材に対して吐出する吐出手段と、この吐出手段と被塗布部材とを相対移動させる移動手段とを含み、この吐出手段は、移動手段による相対移動に応じて所定の供給吐出流量により被塗布部材を塗布するにあたり、移動手段による相対移動の開始から所定時間の経過後に液材の吐出を開始することを特徴としている。
ここで、この吐出手段は、移動手段による相対移動の開始前に、所定の初期ビード量からなる液溜まりを被塗布部材に形成することを特徴とすることができる。また、この所定の初期ビード量は、吐出手段のスリットノズルから間欠的に塗布する際に、液切れを防止するために所定量以上が確保されることが好ましい。
また本発明は、これらの枚葉塗布装置によって製造された、面積が1m2以上の大型の塗布基板であることを特徴とすることができる。
更に他の観点から捉えると、本発明が適用される枚葉塗布部材の製造方法は、枚葉の被塗布部材に対してダイコートにより液材を塗布する工程と、この被塗布部材に塗布された液材を硬化させる工程とを含み、この液材を塗布する工程は、液材を吐出する吐出部と被塗布部材との相対移動の前に所定の液溜まりを形成し、その後、相対移動を開始し、相対移動を開始して所定時間が経過した後に吐出部からの液材の吐出を開始することを特徴としている。ここで、この被塗布部材は、面積が1m2以上の基板であることを特徴とすることができる。
本発明によれば、大型基板の塗布に際して良好な塗布性能を確保することができ、また液切れ欠陥の発生を抑制して、良好な塗布性能を確保することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
尚、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明がこれらの内容に特定されることはない。
図1は、本実施の形態が適用されるダイコート式塗布装置(枚葉塗布装置)の全体構成を示した図である。図1に示すダイコート式塗布装置は、流体材料(塗布液、塗布材料)を入れる加圧タンク11、残留空気を取り除くための脱気モジュール12、流体材料を送り込むポンプ13、このポンプ13の動作に応じて切り換え動作する切り換え弁14,15、ポンプ13のピストンからの磨耗粉を除去するフィルタ16、吐出させる流体材料の圧力を測定する圧力センサ17、水平方向にスライドする際にスリット状の開口部から流体材料を吐出させ、被塗布部材である基板に対して流体材料を塗布する塗料吐出部としてのダイ18、配管系にエア噛みが生じた場合にエア抜きを行うためのエア抜きバルブ19、予備塗布を行うためのディスペンスロール21、ディスペンスロール21に付着された流体材料を掻き落とすドクターブレード22、被塗布部材である基板を載置する定盤29を備えている。また、ダイ18からの吐出流量およびダイ18の塗布速度(移動速度)を制御する制御部30を備えている。この制御部30では、これらの制御の他、ダイコート式塗布装置の各種動作を全体制御している。
尚、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明がこれらの内容に特定されることはない。
図1は、本実施の形態が適用されるダイコート式塗布装置(枚葉塗布装置)の全体構成を示した図である。図1に示すダイコート式塗布装置は、流体材料(塗布液、塗布材料)を入れる加圧タンク11、残留空気を取り除くための脱気モジュール12、流体材料を送り込むポンプ13、このポンプ13の動作に応じて切り換え動作する切り換え弁14,15、ポンプ13のピストンからの磨耗粉を除去するフィルタ16、吐出させる流体材料の圧力を測定する圧力センサ17、水平方向にスライドする際にスリット状の開口部から流体材料を吐出させ、被塗布部材である基板に対して流体材料を塗布する塗料吐出部としてのダイ18、配管系にエア噛みが生じた場合にエア抜きを行うためのエア抜きバルブ19、予備塗布を行うためのディスペンスロール21、ディスペンスロール21に付着された流体材料を掻き落とすドクターブレード22、被塗布部材である基板を載置する定盤29を備えている。また、ダイ18からの吐出流量およびダイ18の塗布速度(移動速度)を制御する制御部30を備えている。この制御部30では、これらの制御の他、ダイコート式塗布装置の各種動作を全体制御している。
加圧タンク11は、例えば10kPa程度の圧空により加圧しており、ポンプ13にて吸引されて流体材料がチャージされる際に負圧になるとキャビテーションしてしまうことから、加圧タンク11では負圧にならない程度に流体材料を加圧している。脱気モジュール12は、ポンプ13と加圧タンク11との間に設けられ、流体材料の中に溶け込んだ残留空気(溶存酸素、窒素等)を取り除いている。この残留空気が存在すると、少々の圧力変化によって泡が出現してしまうことから、例えば、中空糸が中を通るモジュールにて中空糸の外側を減圧することで、溶存したガスを取り除くように機能している。ポンプ13は、シリンジポンプなどの容積型定流量ポンプが用いられ、2つの切り換え弁14、15に連結され、これらの切り換え弁14、15により出口または入口で切り換えられて吸引と吐出を繰り返している。但し、2方弁からなる切り換え弁14、15を設ける代わりに、3方弁を用いることも可能である。
ポンプ13の出口からダイ18までの配管には、フィルタ16が設けられる。フィルタ16の材質として、一般的には樹脂製のものが使用される場合が多いが、筐体が圧力で変形した場合に圧力測定に基づく吐出量の調整に際して支障となることから、そのハウジングを形成する筐体には変形し難いステンレスが用いられる。このフィルタ16は、ポンプ13のピストンから発生する磨耗紛を除去し、その異物対策として設けられている。圧力センサ17は、半導体ゲージ式ダイヤフラムセンサ等の高応答、高剛性のものが要求され、応答速度1ms以下のものが用いられている。更に、図1では、圧力センサ17をフィルタ16の出口側に設けているが、フィルタ16の入口側に設けることも可能である。但し、図1の位置のごとく液溜まりの生じるダイ18に近い位置に配置することが好ましい。
ダイ18は、ステンレスにより構成され、厚みは約30〜300mm、幅は被塗布部材(基板)の幅よりも両側とも若干広くなるように設計されている。本実施の形態では、塗布部分の面積として1m2以上の大型の基板に対して塗布が可能となるように、ダイ18の長さも従来のものに比べて非常に長くなっている。また、ダイ18が長くなったために生じ易くなるゆがみを防止するために、ダイ18の厚みも厚くなっている。これらの結果、ダイ18の重量も非常に高くなっている。また、ダイ18の先端は、中央に流体材料を吐出させるスリット(幅約20〜200μm)を備え、このスリットの両側には、ダイ18の側端から約45°の角度で突出して幅約100〜1000μm程度のリップを形成している。ダイ18に供給される流体材料は、このスリットを介して基板およびディスペンスロール21に供給される。このような形状を有するダイ18は、両サイドに設けられたスライダ部を介して定盤29に載置され、リニアモータによって基板上をスライドしている。また、スライダ部に上下のセンサとアクチュエータが設けられ、これらによってダイ18の両サイドの高さが調整され、リップと基板との距離が所定の範囲(例えば約100μm程度)に維持される。
このような構成にて、ダイ18は定盤29上を約100mm/secでスライドし、ダイ18のスリットから吐出される液体材料をリップで引き伸ばしつつ、均一な膜厚を維持しながら基板への塗布作業を実行している。本実施の形態にて塗布される基板は、従来の基板に比べて大きいことから、ダイ18の走行速度を従来の速度と同じにした場合には、塗布作業に要する時間が非常に長くなってしまう。そこで、製造稼働率を向上させるために、従来のものよりもダイ18の速度を上げるように構成されている。
ディスペンスロール21は、例えば20〜100mm程の径からなるロール材であり、長さは少なくともダイ18の長さより長く構成され、鉄材に所定のメッキ加工を施したものまたはステンレス材等によって形成される。
図2は、ダイ18とディスペンスロール21との位置関係を説明するための図である。ダイ18は、実際の被塗布物である基板への塗布(実塗布)の前に、ディスペンスロール21の上部に配置されて予備塗布を実行する。このディスペンスロール21は、定盤29上を移動するダイ18の速度にほぼ一致した周速で回転している。また、ダイ18とディスペンスロール21との距離dは、実際に基板上に塗布する実塗布にてダイ18と基板とで維持される距離に略同等とされている。尚、このディスペンスロール21の代わりに、相対的に移動する板材等に対して予備塗布を行うように構成することも可能である。
図2は、ダイ18とディスペンスロール21との位置関係を説明するための図である。ダイ18は、実際の被塗布物である基板への塗布(実塗布)の前に、ディスペンスロール21の上部に配置されて予備塗布を実行する。このディスペンスロール21は、定盤29上を移動するダイ18の速度にほぼ一致した周速で回転している。また、ダイ18とディスペンスロール21との距離dは、実際に基板上に塗布する実塗布にてダイ18と基板とで維持される距離に略同等とされている。尚、このディスペンスロール21の代わりに、相対的に移動する板材等に対して予備塗布を行うように構成することも可能である。
ここで、ダイ18からの吐出流量Qと、ダイ18の塗布速度Vとの関係について説明する。
図3(a),(b)は、吐出流量Qと塗布速度Vとの関係について、理想状態の場合、および従来の小さい基板を塗布する場合の例を示した図である。それぞれダイ18からの吐出流量Q、塗布速度V、および仮想膜厚H=Q/Vの変化の様子が時間軸(横軸)に対応して示されている。図3(a)に示す理想状態では、塗布の開始時から吐出流量Qが安定するまでの時間と、塗布の開始時からダイ18が定速になるまでの時間とがともに等しく、立ち上がり時間Tにほぼ一致している。例えば立ち上がり時間Tを0.2秒とすると、この立ち上がり時間Tの間の膜厚の均一性を確保するために、塗布の開始前に予め塗料溜まり(液溜まり)を確保しておき、所定の初期ビード量が確保されている。尚、立ち上がり時間Tまでのダイ18の加速距離Lは、
L = 1/2 × V × T
で表される。
図3(a),(b)は、吐出流量Qと塗布速度Vとの関係について、理想状態の場合、および従来の小さい基板を塗布する場合の例を示した図である。それぞれダイ18からの吐出流量Q、塗布速度V、および仮想膜厚H=Q/Vの変化の様子が時間軸(横軸)に対応して示されている。図3(a)に示す理想状態では、塗布の開始時から吐出流量Qが安定するまでの時間と、塗布の開始時からダイ18が定速になるまでの時間とがともに等しく、立ち上がり時間Tにほぼ一致している。例えば立ち上がり時間Tを0.2秒とすると、この立ち上がり時間Tの間の膜厚の均一性を確保するために、塗布の開始前に予め塗料溜まり(液溜まり)を確保しておき、所定の初期ビード量が確保されている。尚、立ち上がり時間Tまでのダイ18の加速距離Lは、
L = 1/2 × V × T
で表される。
また、図3(b)に示す例では、小さい基板を塗布する際の従来技術として、液溜まりである初期ビード量を多めに確保し、ダイ18からの吐出流量Qの立ち上がりを、立ち上がり時間Tよりも遅らせる例が示されている。初期ビード量を少なくして絞り込むと、塗布液(液材)をスリットノズルから吐出しながら間欠的に塗布するダイ18の長手方向にて塗布液が部分的につながらず、部分的に欠けの領域が生じ、所謂液切れ欠陥が生じ易くなる。そこで、初期ビート量を多めに確保し、吐出流量Qの立ち上がりを遅らせて仮想膜厚がアンダーシュート気味になるようにする。これにより、初期ビート量の制御によって液切れ欠陥を防止しながら膜厚を制御することが可能となる。
図4(a),(b)は、大型基板への塗布について、対策前および対策後における吐出流量Qと塗布速度Vとの関係を示した図である。前述のように、ダイ18を用いて大型基板を塗布するためには、ダイ18を大型化する必要があり、ダイ18の重量も大幅に上昇する。また、被塗布部材である基板が大型化することから、製造稼働率を向上させるためにはダイ18の速度を高めることが必要となる。しかしながら、ダイ18の速度を急激に立ち上げて加速度を高くしようとすると、リニアモータ等の駆動源にかかる負荷が非常に大きくなり、また、駆動源からの発熱も高くなり、加速度を高めることには限界がある。その結果、大型基板への塗布では、吐出部であるダイ18と被塗布部材である基板との相対移動速度の立ち上がりが遅くなり、吐出流量Qの立ち上がり時間Tqに比べて塗布速度Vの立ち上がり時間Tvが大きくなる。
尚、吐出流量Qの立ち上がり時間Tqを長くすることは好ましくない。シリンジポンプなどで構成されるポンプ13をゆっくり起動しようとすると、ピストンなどの摩擦により動作の安定性や再現性が悪化するためである。
尚、吐出流量Qの立ち上がり時間Tqを長くすることは好ましくない。シリンジポンプなどで構成されるポンプ13をゆっくり起動しようとすると、ピストンなどの摩擦により動作の安定性や再現性が悪化するためである。
図4(a)では、Tq<Tvの場合における仮想膜厚Hの状態が示されている。塗布速度Vの立ち上がりが遅いことから、塗り始めの段階にて、仮想膜厚Hはオーバーシュート気味となる。ダイ18は、相対移動の関係にある被塗布部材に対して液材をスリットノズルから吐出しながら間欠的に塗布しているが、このオーバーシュートを加減するために初期ビード量を減らすと、ダイ18の長手方向において部分的に液がつながらず、部分的に塗布部分が欠けてしまう。
そこで、発明者等が鋭利検討した結果、塗布速度Vへの立ち上がり時間Tvに応じて、吐出流量Qの塗布開始時間を遅らせることで、これらの問題点を解決できることを見出した。即ち、図4(b)に示すように、液材供給の開始遅れのタイミングTmを確保することで、仮想膜厚Hをアンダーシュート気味にすることが可能となり、初期ビード量の制御によって良好な初期膜厚を得ることができることを発見した。
そこで、発明者等が鋭利検討した結果、塗布速度Vへの立ち上がり時間Tvに応じて、吐出流量Qの塗布開始時間を遅らせることで、これらの問題点を解決できることを見出した。即ち、図4(b)に示すように、液材供給の開始遅れのタイミングTmを確保することで、仮想膜厚Hをアンダーシュート気味にすることが可能となり、初期ビード量の制御によって良好な初期膜厚を得ることができることを発見した。
ここで、吐出流量Qおよび塗布速度Vの立ち上がり時間の定義について説明する。
図5(a),(b)は、立ち上がり時間の定義を行う2つの例について示した図である。本実施の形態では、図5(a),(b)に示すように、傾きの極大点(変曲点)で接する接線を引き、時間軸との交点を立ち上がり開始点、定常状態の漸近線との交点を立ち上がり終了点とする。そして、この立ち上がり開始点と立ち上がり終了点との間隔を立ち上がり時間(TqまたはTv)と定義している。
図5(a),(b)は、立ち上がり時間の定義を行う2つの例について示した図である。本実施の形態では、図5(a),(b)に示すように、傾きの極大点(変曲点)で接する接線を引き、時間軸との交点を立ち上がり開始点、定常状態の漸近線との交点を立ち上がり終了点とする。そして、この立ち上がり開始点と立ち上がり終了点との間隔を立ち上がり時間(TqまたはTv)と定義している。
図6〜図8は、液材供給の開始遅れのタイミングTmの違いによる塗布開始部の膜厚状態を説明するための図である。
まず、図6(a),(b)はTm=0、即ち、図4(a)に示すように吐出部であるダイ18からの液材供給の開始を遅らせずに、ダイ18の移動開始と同時に液材供給を行った場合の初期膜厚の状態を示している。図6(a)は横軸に時間をとり、吐出流量Qと塗布速度Vとの時間による変化を、定常状態を100とした割合で示している。塗布速度Vに比べて吐出流量Qが短時間で立ち上がっている様子が理解できる。図6(b)は、図6(a)の条件によって形成された膜の塗り始め段階における膜厚について、塗布開始端から所定距離までの変化について示しており、初期ビード量として72μl、113μl、178μl、261μlの4種類を与えている。膜厚は、緑色レジストを用いた場合のCIE表示系におけるC光源での色度(y値)で示しており、例えば0.54をその目標値としている。局所的な範囲では、ほぼリニアな相関が得られる。基準となる膜厚y=0.54に対して塗り始めが厚くなっており、初期ビード量による制御が殆どできないことが理解できる。初期ビード量72μlになってアンダーシュート気味になるが、この初期ビード量では液切れが発生してしまう。
まず、図6(a),(b)はTm=0、即ち、図4(a)に示すように吐出部であるダイ18からの液材供給の開始を遅らせずに、ダイ18の移動開始と同時に液材供給を行った場合の初期膜厚の状態を示している。図6(a)は横軸に時間をとり、吐出流量Qと塗布速度Vとの時間による変化を、定常状態を100とした割合で示している。塗布速度Vに比べて吐出流量Qが短時間で立ち上がっている様子が理解できる。図6(b)は、図6(a)の条件によって形成された膜の塗り始め段階における膜厚について、塗布開始端から所定距離までの変化について示しており、初期ビード量として72μl、113μl、178μl、261μlの4種類を与えている。膜厚は、緑色レジストを用いた場合のCIE表示系におけるC光源での色度(y値)で示しており、例えば0.54をその目標値としている。局所的な範囲では、ほぼリニアな相関が得られる。基準となる膜厚y=0.54に対して塗り始めが厚くなっており、初期ビード量による制御が殆どできないことが理解できる。初期ビード量72μlになってアンダーシュート気味になるが、この初期ビード量では液切れが発生してしまう。
図7(a),(b)はTm=100、即ち、液材供給の開始をダイ18の移動開始から大幅に遅らせた場合の初期膜厚の状態を示している。各軸の意味等は図6と同様である。図7(a)には、吐出流量Qと塗布速度Vとの時間による変化が示されている。図7(b)に示す膜の塗り始め段階における膜厚は、初期ビード量72μl、113μlおよび178μlのときに大きくアンダーシュートとなり、初期ビード量を261μlにすることで、ほぼ基準となる膜厚y=0.54を得ることができる。しかしながら、所定膜厚を得るためには初期ビード量を大幅に増すことが必要となり、ダイ18のノズル先端の汚れが生じてしまう。
一方、図8(a),(b)はTm=50、即ち、ダイ18の移動開始から好ましい時間だけ液材供給の開始を遅らせた場合の初期膜厚の状態を示している。各軸の意味等は図6、図7と同様である。図8(b)に示す膜の塗り始め段階における膜厚は、72μl、113μl、178μl、261μlの各初期ビード量のレベルに応じてアンダーシュート側から良好に変化しており、初期ビード量による初期膜厚の制御が十分に可能であることが理解できる。
以上のような検討結果から、図4(b)に示すような良好な状態における吐出流量Qの立ち上がり時間Tqと、塗布速度Vの立ち上がり時間Tvと、および液材供給の開始遅れのタイミングTmとは、以下の関係式を満たすことを出願人は見出した。
Tv×0.5 ≦ Tq+Tm ≦ Tv×1.5
Tv×0.5 ≦ Tq+Tm ≦ Tv×1.5
まず、Tq+TmがTv×0.5より小さくなると、例えば図6(b)に示すように塗布開始部の膜厚オーバーシュートが抑えきれず、初期ビード量を十分に増やすことができなくなる。その結果、液切れ欠陥が発生し易くなり、製造歩留まりを低下させることとなり得る。
また、Tq+TmがTv×1.5より大きくなると、例えば図7(b)に示すように塗布開始部の膜厚アンダーシュートが過大となり、初期ビード量を大幅に増やすことが必要となる。その結果、ノズル先端の汚れが問題となる。
そこで、上記関係式を満たすように液材供給の開始遅れのタイミングTmを決定することで、例えば図8(b)に示すような初期ビード量の制御による適切な膜厚形成が可能となる。
また、Tq+TmがTv×1.5より大きくなると、例えば図7(b)に示すように塗布開始部の膜厚アンダーシュートが過大となり、初期ビード量を大幅に増やすことが必要となる。その結果、ノズル先端の汚れが問題となる。
そこで、上記関係式を満たすように液材供給の開始遅れのタイミングTmを決定することで、例えば図8(b)に示すような初期ビード量の制御による適切な膜厚形成が可能となる。
次に、本実施の形態が適用される塗布基板の製造方法について説明する。
図9は、塗布基板の製造方法の一つとして、液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタの製造方法の流れを示した図である。まず、BM(ブラックマトリックス)工程にて、Cr薄膜付きのガラス上でフォトレジストをパターニングし、それをマスクとしてCrをエッチングする方法でブラックマトリックスが形成される(ステップ201)。その後、赤色画素生成工程(ステップ202)、緑色画素生成工程(ステップ203)および青色画素生成工程(ステップ204)に移行する。次に、オーバーコート工程にて保護膜が形成され(ステップ205)、スパッタ工程にてITO(導電膜)が成膜され(ステップ206)、その後、例えばフォトスペーサ材料を塗布パターニングするフォトスペーサ工程が実行される(ステップ207)。そして最後に、検査工程にて目視検査等が行われて(ステップ208)、カラーフィルタの製造工程が終了する。尚、ステップ205、206、207は、このうち1つ以上のステップを省略することもある。
図9は、塗布基板の製造方法の一つとして、液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタの製造方法の流れを示した図である。まず、BM(ブラックマトリックス)工程にて、Cr薄膜付きのガラス上でフォトレジストをパターニングし、それをマスクとしてCrをエッチングする方法でブラックマトリックスが形成される(ステップ201)。その後、赤色画素生成工程(ステップ202)、緑色画素生成工程(ステップ203)および青色画素生成工程(ステップ204)に移行する。次に、オーバーコート工程にて保護膜が形成され(ステップ205)、スパッタ工程にてITO(導電膜)が成膜され(ステップ206)、その後、例えばフォトスペーサ材料を塗布パターニングするフォトスペーサ工程が実行される(ステップ207)。そして最後に、検査工程にて目視検査等が行われて(ステップ208)、カラーフィルタの製造工程が終了する。尚、ステップ205、206、207は、このうち1つ以上のステップを省略することもある。
このステップ202からステップ204では、ガラス上で各画素の原料となるフォトレジストをパターニングする方法で、カラーであるR(レッド)→G(グリーン)→B(ブルー)の順に、流体材料だけが異なる同一工程が3回、繰り返される。例えばステップ202の工程では、まず、基板の洗浄が行われる(ステップ211)。次に、本実施の形態における特徴的な構成であるダイコートによる液体材料塗布が実行される(ステップ212)。このステップ212のダイコートによる液体材料の塗布工程では、図1に示すようなダイコート式塗布装置により、前述した塗布方法による塗布作業が実行される。即ち、まず、ダイ18をディスペンスロール21の位置に移動させ、予備塗布が行われる。そして、ダイ18が定盤29の位置に移動配置され、例えばダイ18が予備のスライドを行って高さ調整がなされた後、ダイ18が定盤29上に置かれた基板上をスライドして塗布作業が行われる。このとき、ダイ18から所定の初期ビード量からなる液溜まりが最初に形成される。そして、ダイ18の移動が開始された後、前述の液材供給の開始遅れのタイミングTmが経過した後に、ポンプ13の動作によって、ダイ18のスリットからの液材供給が開始される。このような作業手順により塗布されることで、一般に塗り始め(ダイ18の移動開始時)と塗り終わり(ダイ18の停止時)の均一性の制御が難しいダイコート式塗布において、より均一化された塗布が可能となる。
このステップ212の工程を経た後、塗布された流体材料を硬化させるために、減圧チャンバーで溶媒を飛ばした後に、ホットプレートで加熱(50〜100℃)してプリベークの工程が実行される(ステップ213)。その後、フォトマスクによるプロキシミティ露光が行われ(ステップ214)、アルカリ現像液によるスプレー現像がなされる(ステップ215)。そして、自動検査工程(ステップ216)を経て、再び高温にて焼く工程、即ち、対流オーブンによる熱硬化の焼成処理(約200℃以上で30〜120分程度)がなされる(ステップ217)。このステップ211〜ステップ217の工程が3回、繰り返して実行されることで、基板上にR、G、Bのカラーフィルタが形成された塗布基板を得ることができる。
以上、詳述したように、本実施の形態によれば、塗布液(液材)の吐出タイミングを適切に設定し、液溜まりの初期ビード量を増やすことによって、大型基板に対する良好な塗布が可能となり、液切れ欠陥を抑制することができる。その結果、塗布基板の製造に際して製造歩留まりを抑制し、品質の向上を図ることができる。また、塗布条件出しを迅速化でき、製造稼働率を向上させることができる。更には、ダイ18の移動に際して加速時間を緩和でき、装置のコストダウンと、運転の安定化を図ることが可能となる。また、塗布液特性の違いによる対応マージンを広くすることが可能となり、製品バラエティを拡大することも可能となる。
本発明は、例えば、ディスプレイ部材等の枚葉塗布部材の製造方法や、その製造方法の中の減圧乾燥処理方法、および、実際に減圧乾燥処理を行う減圧乾燥処理装置、およびこれによって製造された塗布基板等に適用することができる。
11…加圧タンク、12…脱気モジュール、13…ポンプ、14,15…切り換え弁、16…フィルタ、17…圧力センサ、18…ダイ、19…エア抜きバルブ、21…ディスペンスロール、22…ドクターブレード、29…定盤、30…制御部
Claims (9)
- 枚葉の被塗布部材に対して液材を塗布する枚葉塗布方法であって、
液材の吐出部と被塗布部材とを相対移動させるステップと、
前記相対移動の開始から有意に遅らせて前記吐出部からの液材の吐出を開始するステップと
を含む枚葉塗布方法。 - 前記相対移動の開始前に、所定の初期ビード量からなる液溜まりを前記被塗布部材に形成するステップを更に含む請求項1記載の枚葉塗布方法。
- 前記吐出部からの液材吐出流量の立ち上がり時間Tqよりも前記相対移動の速度の立ち上がり時間Tvが長いことを特徴とする請求項1記載の枚葉塗布方法。
- 前記吐出部からの液材の吐出を開始するステップは、液材供給の開始遅れのタイミングをTmとすると、
Tv×0.5 ≦ Tq+Tm ≦ Tv×1.5
の関係式を満たすことを特徴とする請求項3記載の枚葉塗布方法。 - 枚葉の被塗布部材に対して塗布される液材を当該被塗布部材に対して吐出する吐出手段と、
前記吐出手段と前記被塗布部材とを相対移動させる移動手段とを含み、
前記吐出手段は、前記移動手段による相対移動に応じて所定の供給吐出流量により前記被塗布部材を塗布するにあたり、当該移動手段による相対移動の開始から所定時間の経過後に液材の吐出を開始することを特徴とする枚葉塗布装置。 - 前記吐出手段は、前記移動手段による相対移動の開始前に、所定の初期ビード量からなる液溜まりを前記被塗布部材に形成することを特徴とする請求項5記載の枚葉塗布装置。
- 請求項5に記載の枚葉塗布装置によって製造された、面積が1m2以上の塗布基板。
- 枚葉の被塗布部材に対してダイコートにより液材を塗布する工程と、
前記被塗布部材に塗布された液材を硬化させる工程とを含み、
前記液材を塗布する工程は、液材を吐出する吐出部と被塗布部材との相対移動の前に所定の液溜まりを形成し、その後、相対移動を開始し、当該相対移動を開始して所定時間が経過した後に当該吐出部からの液材の吐出を開始することを特徴とする枚葉塗布部材の製造方法。 - 前記被塗布部材は、面積が1m2以上の基板であることを特徴とする請求項8記載の枚葉塗布部材の製造方法。
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-
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