JP2005009861A - 波長分散型蛍光x線分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものにおいて、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析のできる装置を提供する。
【解決手段】X線源4 、分光素子6 、ガスフロー型比例計数管である検出器8、増幅器16、波高分析器13および計数手段14を備える。さらに、高圧電源11から検出器8 に印加される電圧を所定時間だけ所定の印加電圧よりも高くして、所定の計数率を超える2次X線7 が検出器8 に入射して波高分析器13へ送られるパルスの電圧がドリフトするのを抑制する波高値ドリフト抑制手段20を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】X線源4 、分光素子6 、ガスフロー型比例計数管である検出器8、増幅器16、波高分析器13および計数手段14を備える。さらに、高圧電源11から検出器8 に印加される電圧を所定時間だけ所定の印加電圧よりも高くして、所定の計数率を超える2次X線7 が検出器8 に入射して波高分析器13へ送られるパルスの電圧がドリフトするのを抑制する波高値ドリフト抑制手段20を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、波長分散型の蛍光X線分析装置においては、試料に1次X線を照射し、試料から発生する蛍光X線を分光素子で分光し、分光された蛍光X線を検出器で検出してパルスを発生させる。このパルスの電圧すなわち波高値は蛍光X線のエネルギーに応じたものであり、具体的には、比例関係にあると考えられている。また、パルスの単位時間あたりの数は蛍光X線の強度に応じたものである。そこで、パルスのうち所定の電圧の範囲(上限値および下限値で規定され、ウィンドウと呼ばれる)のものを波高分析器で選別して、その計数率(単位時間あたりのパルス数)をスケーラ等の計数手段で求めている。なお、検出器が発生するパルスは微弱であるので、検出器内蔵のプリアンプと、外部のリニアアンプによって、それぞれ所定の増幅率で増幅されて、波高分析器へ送られる。リニアアンプを波高分析器に含めることもある。
【0003】
ここで、走査(スキャン)型の分析装置においては、いわゆるゴニオメータ等の連動手段により、分光素子で分光される蛍光X線の波長を変えながら、その分光された蛍光X線が検出器に入射するように、分光素子と検出器を連動させて走査させ、広い波長範囲において蛍光X線の強度を測定する。このとき、検出器に入射する蛍光X線の波長が変化し、すなわち蛍光X線のエネルギーが変化するから、このままでは、検出器から発生し波高分析器へ送られるパルスの電圧も変化する。そうすると、測定すべき蛍光X線の波長に対応した電圧のパルスを選別するには、波高分析器における前記所定の電圧の範囲、具体的には通過させるパルスの電圧の上限値と下限値を、送られてくるパルスの電圧の変化に追従させて設定し直さなければならず、煩雑である。
【0004】
そこで、従来、連動手段により、例えば、前記リニアアンプ(以下、増幅器という)における所定の増幅率を、検出器に入射する蛍光X線のエネルギーに反比例するように、具体的には分光素子での回折角θについての sinθに比例するように連続的に調節して、波高分析器へ送られるパルスの電圧すなわち波高値が一定になるようにし、前記所定の電圧の範囲の設定変更を不要にしている(例えば、特許文献1参照)。なお、検出器から発生し波高分析器へ送られるパルスの電圧は、高圧電源から検出器に印加される所定の電圧にも応じるので、波高分析器へ送られるパルスの電圧を一定にするためには、増幅器における所定の増幅率を調節する代わりに、検出器への前記所定の印加電圧を調節してもよい。これらの調節により、測定しようとする波長の蛍光X線によるパルスは、波高分析器において前記所定の電圧の範囲すなわちウィンドウを例えば100〜300に設定した場合、その中央の波高値200のところに常に現れることとなる。
【0005】
このような波長分散型であって走査型の蛍光X線分析装置において、検出器としてガスフロー型比例計数管がよく用いられるが、その場合、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの電離ガスとして用いられる希ガスを主体とし、メタン、二酸化炭素などをクエンチングガスとして加えた混合ガスを、測定中、一定圧力でガスフロー型比例計数管に流し続ける。例えば、アルゴン90%、メタン10%の混合ガスを50ml/分で流す。この混合ガスのランニングコストやボンベ交換の手間を考えると、流量は少ない方が好ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−221753号公報(段落0002〜0004、段落0015〜0025)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば混合ガスの流量を5ml/分に減少させると、ガスフロー型比例計数管にその最大計数率に近い高強度の蛍光X線が入射した場合、波高分析器へ送られるパルスの電圧すなわち波高値が、ウィンドウの中央から大きくドリフトし(ずれて)、15分程度かかって漸進的に本来の波高値に戻ることを、発明者は実験的に見出した。これでは、その15分程度の間、目的の波長に対してずれた不適切な設定のウィンドウで測定を行うことになり、例えばステップスキャン(測定しようとする波長に対応した位置でゴニオメータを一旦停止して計数する走査)によってある波長の蛍光X線を測定すると本来よりも弱い強度が測定される。したがって、正確な分析ができない。
【0008】
同様の問題は、波長分散型であって多元素同時分析型の蛍光X線分析装置、つまり、測定すべき2次X線の波長ごとに、分光素子、検出器、増幅器、波高分析器および計数手段を有する検出手段を備えた蛍光X線分析装置にも起こる。この場合には、前述した波高値のドリフト現象は、検出手段ごとに生じ得る。
【0009】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものにおいて、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析のできる装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の第1構成に係る波長分散型蛍光X線分析装置は、まず、試料に1次X線を照射するX線源と、試料から発生した2次X線を分光する分光素子と、高圧電源から所定の電圧が印加され、前記分光素子で分光された2次X線が入射されて、前記所定の印加電圧および2次X線のエネルギーに応じた電圧のパルスを2次X線の強度に応じた数だけ発生させるガスフロー型比例計数管である検出器と、その検出器で発生したパルスの電圧を所定の増幅率で増幅する増幅器と、その増幅器で増幅されたパルスのうち所定の電圧の範囲のものを選別する波高分析器と、その波高分析器で選別されたパルスの計数率を求める計数手段とを備えている。すなわち、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものである。
【0011】
そして、この装置は、前記高圧電源から検出器に印加される電圧を所定時間だけ前記所定の印加電圧よりも高くして、所定の計数率を超える2次X線が前記検出器に入射して前記波高分析器へ送られるパルスの電圧がドリフトするのを抑制する波高値ドリフト抑制手段を備えている。
【0012】
前記従来の問題に対し、発明者は、高圧電源から検出器に印加される電圧を所定時間だけ通常の場合の印加電圧よりも高くしておくと、その後の測定において、従来よりも混合ガスの流量が少なくても前述の波高値のドリフト現象を抑制できることを実験的に見出し、この第1構成に係る装置を発明するに至った。この装置においては、波高値ドリフト抑制手段の動作により、波高値のドリフト現象が抑制されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。この装置は、走査型としても、多元素同時分析型としても実現できる。この装置において、本測定よりも低い計数率に制御した予備測定中に、本測定であれば所定の計数率を超える2次X線を検出した場合に、本測定前に前記波高値ドリフト抑制手段が動作することが好ましい。
【0013】
この発明の第2構成に係る波長分散型蛍光X線分析装置も、前記第1構成に係る装置と同様に、X線源、分光素子、ガスフロー型比例計数管である検出器、増幅器、波高分析器および計数手段を備え、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものである。そして、所定の計数率を超える2次X線が前記検出器に入射して前記波高分析器へ送られるパルスの電圧がドリフトする現象について、そのドリフトを打ち消すために前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節すべき量と2次X線の強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、前記現象によりパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節する波高値ドリフトキャンセル手段を備えている。
【0014】
この第2構成に係る装置においては、波高値ドリフトキャンセル手段の動作により、波高値のドリフト現象が起こってもその影響が除去されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。この装置も、走査型としても、多元素同時分析型としても実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態の装置について、図1にしたがって構成から説明する。この装置は、試料1が載置される試料台2と、試料1に1次X線3を照射するX線管であるX線源4と、試料1から発生した蛍光X線等の2次X線5を分光する分光素子6と、高圧電源11から所定の電圧が印加され、分光素子6で分光された2次X線7が入射されて、前記所定の印加電圧と2次X線7のエネルギーに応じた電圧のパルスを2次X線7の強度に応じた数だけ発生させるガスフロー型比例計数管である検出器8と、検出器8で発生したパルスの電圧を所定の増幅率で増幅する増幅器16と、増幅器16で増幅されたパルスのうち所定の電圧の範囲のものを選別する波高分析器13と、波高分析器13で選別されたパルスの計数率を求める計数手段14とを備えている。分光素子は、複数を交換(選択)して使用してもよい。
【0016】
そして、検出器8に入射する2次X線7の波長が変化するように、分光素子6と検出器8を連動させる連動手段10、すなわちいわゆるゴニオメータを備えている。2次X線5がある入射角θで分光素子6へ入射すると、その2次X線5の延長線9と分光素子6で分光(回折)された2次X線7は入射角(回折角)θの2倍の分光角2θをなすが、連動手段10は、分光角2θを変化させて分光される2次X線7の波長を変化させつつ、その分光された2次X線7が検出器8に入射するように、分光素子6を、その表面の中心を通る紙面に垂直な軸Oを中心に回転させ、その回転角の2倍だけ、検出器8を、軸Oを中心に円12に沿って回転させる。
【0017】
この連動手段10は、前述のように検出器8に入射する2次X線7の波長を変化させるとともに、波高分析器13へ送られるパルスの電圧を一定にするために、前記高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧を調節する。この場合には、前記増幅器16における所定の増幅率は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値である。また、検出器8から発生し波高分析器13へ送られるパルスの電圧は、増幅器16における所定の増幅率にも応じるので、波高分析器13へ送られるパルスの電圧を一定にするためには、検出器8への所定の印加電圧を調節する代わりに、増幅器16における所定の増幅率を調節してもよい(図2)。この場合には、検出器8への所定の印加電圧は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値である。
【0018】
以上のように、この装置は、波長分散型であって走査型の蛍光X線分析装置で検出器としてガスフロー型比例計数管8を用いるものである。この装置では、最大計数率が2000kcpsのガスフロー型比例計数管8を用いるが、混合ガスの流量を5ml/分に低減させるため、計数率が1200kcpsを超えるような強度の2次X線7が入射すると、波高値のドリフト現象が無視できない程度で起こる。つまり、混合ガスの流量が従来の50ml/分であった場合に最大計数率2000kcpsで生じる波高値のドリフト量(ドリフトの結果、ステップスキャンで測定される強度が本来の値よりも約0.2%低くなる)を許容できる上限とすれば、そのドリフト量は混合ガス流量5ml/分においては計数率1200kcpsで生じ、計数率が1200kcpsを超えるとドリフト現象が無視できなくなる。
【0019】
この装置は、さらに、高圧電源11から検出器8に印加される電圧を、所定時間例えば5秒間だけ、前記所定の印加電圧よりも所定の割合例えば10%だけ高くして、所定の計数率、ここでは前述の1200kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射しても波高分析器13へ送られるパルスの電圧すなわち波高値がドリフトしないように抑制する波高値ドリフト抑制手段20を備えている。
【0020】
また、この装置は、図示しない制御手段により全体の動作が制御され、本測定を行う前に、X線管4に流す電流値を下げることにより本測定の場合よりも十分に低い例えば10分の1に制御した計数率で、予備測定を行う。定量分析では、試料1の品種すなわちおよその組成が分かっている場合が多いので、予備測定は、測定すべき2次X線7のうち最も強度の高そうなものについて行えばよく、走査が不要となり1秒程度の短時間で済む。計数率を低くするには、X線管4に流す電流値を下げる代わりに、検出器8の前に2次X線7を減衰させるアブソーバを挿入してもよい。このような予備測定は、従来も行われているが、これにより分析対象の試料1から最大どの程度の強度の2次X線7が発生するかを知り、本測定においては、検出器8の感度を十分に生かすべく、できるだけ高い計数率でかつ検出器8の最大計数率2000kcpsを超えないように、必要な場合には、X線管4に流す電流値を適切に下げるか、適切な減衰率のアブソーバを検出器8の前に挿入する。
【0021】
この実施形態の装置では、予備測定中に、本測定であれば前記所定の計数率つまり1200kcpsを超える2次X線7を検出した場合には、そのままでは本測定において波高値のドリフト現象が無視できなくなるので、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作する。本測定であれば計数率1200kcpsを超える2次X線7とは、まず、前述のように計数率を10分の1に制御した予備測定において計数率が120kcpsを超えるものである。また、同様の予備測定において計数率が200kcpsを超える場合には、前述したように本測定において2000kcpsを超えない範囲で最大の計数率が得られるように計数率を低くする処置を行うが、その処置による減衰率を予備測定での計数率に乗じた値が120kcpsを超えるものが、本測定であれば計数率1200kcpsを超える2次X線7となる。
【0022】
次に、この装置の動作について説明する。未知の試料1に対し、まず、計数率を低くする処置を行わない通常の本測定の場合の10分の1の計数率で、測定しようとする元素のうち、最も高強度の蛍光X線を発生すると予想される元素について予備測定を行う。その結果、例えばチタンについて計数率140kcpsの蛍光X線7を検出したとする。測定しようとする他の元素について予備測定を行っても、計数率は140kcps未満のはずであり、200kcpsを超える2次X線7は検出されないはずである。
【0023】
この場合には、そのままでも本測定において最大計数率2000kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射することはないので、計数率を低くする処置は不要であるが、チタンの蛍光X線7の計数率は本測定において前記所定の計数率1200kcpsを超えて1400kcpsに達することになり、このままでは本測定において波高値のドリフト現象が無視できなくなるので、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作する。つまり、図7に示すように、本測定前に、高圧電源11から検出器8に印加される電圧Vを、所定時間TA例えば5秒間だけ、チタンの蛍光X線7を測定する際の所定の印加電圧V0例えば1800Vよりも所定の割合例えば10%だけ高くして、つまり180V(VA)だけ高くして、1980Vとする。
【0024】
その後、従来通り、所定の印加電圧、所定の増幅率で(一方は連動手段10により調節される)、本測定を行う。その際、前記波高値ドリフト抑制手段20の動作により、所定の計数率1200kcpsを超えて1400kcpsのチタンの蛍光X線7が検出器8に入射しても波高分析器13へ送られるパルスの電圧すなわち波高値がドリフトしないように抑制される。波高値ドリフト抑制手段20の動作によるドリフト現象の抑制効果は、所定の計数率を超える2次X線7が検出器8へ入射しなくなってから約30分経過すると消滅する(その後の所定の計数率を超える2次X線7の入射に備え、再度波高値ドリフト抑制手段20を動作させる必要が生じる)ことを発明者は実験的に見出しているが、本測定は通常15分程度で終了するので、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作すれば、その本測定中に再度の動作が必要となることはない。また、予備測定に基づく判断なしに、本測定前に毎回波高値ドリフト抑制手段20を動作させても、1回につき5秒かかるだけで、その後の本測定において特に悪影響は及ぼさないので、そのように毎回動作させてもよい。
【0025】
以上のように、第1実施形態の装置においては、波高値ドリフト抑制手段20の動作により、波高値のドリフト現象が抑制されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態の装置について、図3にしたがって説明する。この装置も、前記第1実施形態の装置(図1)と同様に、X線源4、分光素子6、ガスフロー型比例計数管である検出器8、増幅器16、波高分析器13、計数手段14および連動手段10を備え、波長分散型であって走査型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管8を用いるものである。連動手段10は、前述のように検出器8に入射する2次X線7の波長を変化させるとともに、波高分析器13へ送られるパルスの電圧を一定にするために、前記高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧を調節する。この場合には、前記増幅器16における所定の増幅率は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値である。ガスフロー型比例計数管8は、第1実施形態の装置で用いたのと同じもので、最大計数率が2000kcpsで、混合ガスの流量を5ml/分に低減させている。
【0027】
そして、第2実施形態の装置は、所定の計数率1200kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射して波高分析器13へ送られるパルスの電圧がドリフトする現象について、そのドリフトを打ち消すために前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節すべき量と2次X線7の強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、前記現象が発生してパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて前記高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧を調節する波高値ドリフトキャンセル手段21を備えている。
【0028】
より具体的には、検出器8への所定の印加電圧を調節することによりドリフトを打ち消すことができるので、まず、所定の計数率1200kcpsを超え、強度の相異なる複数の2次X線7を測定して、2次X線7入射開始時のパルスの電圧のドリフトを打ち消すために必要な所定の印加電圧の調節量ΔV0Sと2次X線7の強度Iとの関係を次式(1)のように求める。つまり、係数k0,k1,k2を求める。なお、ドリフトを打ち消すための調節は、ドリフト現象がなく連動手段10の調節のみによる所定の印加電圧V0を基準として行う。
【0029】
ΔV0S(I)=k0+k1I+k2I2 …(1)
【0030】
次に、2次X線7入射後のドリフトを打ち消すために必要な所定の印加電圧の調節量ΔV0について、調節量ΔV0が2次X線7の入射時間tに対し時定数をTとする1次指数関数的に減少するとして、調節量ΔV0と2次X線7の強度Iおよび入射時間tとの関係を次式(2)のように求める。つまり、時定数Tを求める。
【0031】
ΔV0(I,t)=ΔV0S(I) exp(−t/T) …(2)
【0032】
式(1)および式(2)から、次式(3)が得られる。
【0033】
ΔV0(I,t)=(k0+k1I+k2I2) exp(−t/T) …(3)
【0034】
この式(3)を、ドリフトを打ち消すために所定の印加電圧を調節すべき量ΔV0と2次X線7の強度Iおよび入射時間tとの関係として、波高値ドリフトキャンセル手段21にあらかじめ記憶させておく。そして、本測定において、所定の計数率1200kcpsを超える強度Iの2次X線7が検出器8に入射してドリフト現象によりパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、波高値ドリフトキャンセル手段21は、前記記憶した式(3)に基づいて、ドリフトを打ち消すように、つまり次式(4)のように、高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧Vを調節する。
【0035】
V(I,t)=V0−ΔV0(I,t) …(4)
【0036】
連動手段10の調節のみによる所定の印加電圧がV0である場合に、ドリフトを打ち消すように所定の印加電圧Vが調節される様子を図8に示す。ステップスキャンで測定する2次X線7の波長が変わると、連動手段10の調節のみによる所定の印加電圧V0の値も段階的に変化する。以上のように、前記第1実施形態の装置が、波高値のドリフト現象の発生そのものを抑制するのに対し、この第2実施形態の装置は、波高値のドリフト現象の発生を許しながらも測定への影響を除去するものである。第2実施形態の装置においては、波高値ドリフトキャンセル手段21は本測定中常に動作可能で、その動作により、波高値のドリフト現象が起こってもその影響が除去されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【0037】
また、前述したように、連動手段10は、検出器8への所定の印加電圧を調節する代わりに、増幅器16における所定の増幅率を調節するものでもよい(図4)。この場合には、検出器8への所定の印加電圧は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値であり、波高値ドリフトキャンセル手段21は、ドリフトを打ち消すために所定の増幅率を調節すべき量と2次X線7の強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、所定の計数率1200kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射して波高分析器13へ送られるパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて、ドリフトを打ち消すように増幅器16における所定の増幅率(いわゆるゲイン)を調節する。なお、従来技術により、ゲインと印加電圧との関係を換算のためにあらかじめ求めておくことができる。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態の装置について、図5にしたがって説明する。この装置も、X線源4、分光素子6、ガスフロー型比例計数管である検出器8、増幅器16、波高分析器13および計数手段14を備えるが、前記第1、第2実施形態の装置と異なり、連動手段10(図1〜図4)を備えず、測定すべき2次X線7A,7Bの波長ごとに、分光素子6A,6B、検出器8A,8B、増幅器16A,16B、波高分析器13A,13Bおよび計数手段14A,14Bを有する検出手段18A,18Bを備えている。すなわち、この装置は、波長分散型であって多元素同時分析型の蛍光X線分析装置で検出器としてガスフロー型比例計数管8を用いるものである。ガスフロー型比例計数管8は、第1、第2実施形態の装置で用いたのと同じものである。
【0039】
ここでは、簡単のため、測定すべき2次X線7A,7Bおよび対応する検出手段18A,18Bをそれぞれ2つとしたが、3つ以上でもよい。検出器8A,8Bへの所定の印加電圧および増幅器16A,16Bにおける所定の増幅率は、測定すべき2次X線7A,7Bの波長に応じて、対応する検出器8A,8Bごとに適切な一定値に設定されている。なお、高圧電源11本体は、各検出器8A,8Bに共通で1つのみであるが、高圧電源11本体と各検出器8A,8Bの間にそれぞれ挿入されたアッテネータ17A,17Bにより、検出器8A,8Bごとの所定の印加電圧が決められている。ただし、この装置では、アッテネータ17A,17Bは可変であり、次述する波高値ドリフト抑制手段20の動作により、所定の印加電圧よりも高い印加電圧を検出器8A,8Bにかけることもできる。
【0040】
この装置は、さらに、第1実施形態の装置と同様の波高値ドリフト抑制手段20を備えている。ただし、この単一の波高値ドリフト抑制手段20は、各アッテネータ17A,17Bに対応して、高圧電源11から各検出器8A,8Bに印加される電圧を、必要に応じて、所定時間だけ所定の印加電圧よりも所定の割合だけ高くする。なお、波高値ドリフト抑制手段20は、検出器8A,8Bごとに備えてもよい。
【0041】
また、この装置は、第1実施形態の装置と同様に、予備測定を行う。ただし、多元素同時分析では、測定すべき2次X線7のすべてについて、同時につまり短時間に予備測定を行うことができる。そして、予備測定中に、例えば検出手段18Aにおいて、本測定であれば前記所定の計数率つまり1200kcpsを超える2次X線7Aを検出した場合には、そのままでは本測定において波高値のドリフト現象が無視できなくなるので、その検出手段18Aに対応したアッテネータ17Aに対し、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作する。つまり、この装置では、波高値ドリフト抑制手段20は、検出器8A,8Bごとに動作する。
【0042】
以上のように、第3実施形態の装置においては、波高値ドリフト抑制手段20の動作により、検出器8A,8Bごとに波高値のドリフト現象が抑制されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態の装置について、図6にしたがって説明する。この装置は、第3実施形態の装置から波高値ドリフト抑制手段20(図5)を取り除き、代わりに第2実施形態の装置と同様の波高値ドリフトキャンセル手段21を備えたものである。すなわち、この装置は、波長分散型であって多元素同時分析型の蛍光X線分析装置で検出器として第1〜第3実施形態の装置と同じガスフロー型比例計数管8を用いるものである。
【0044】
検出器8A,8Bへの所定の印加電圧および増幅器16A,16Bにおける所定の増幅率は、測定すべき2次X線7A,7Bの波長に応じて、対応する検出器8A,8Bごとに適切な一定値に設定されている。ただし、この装置では、所定の増幅率は一定値に固定されず、波高値ドリフトキャンセル手段21の動作により調節される。つまり、この装置が備える単一の波高値ドリフトキャンセル手段21は、検出器8A,8Bごとに、対応する増幅器16A,16Bにおいてドリフトを打ち消すために所定の増幅率を調節すべき量と2次X線7A,7Bの強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、ドリフト現象が発生してパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて、ドリフトを打ち消すように前記所定の増幅率を調節する。なお、波高値ドリフトキャンセル手段21は、検出器8A,8Bごとに備えてもよい。
【0045】
第4実施形態の装置においては、波高値ドリフトキャンセル手段21は本測定中常に動作可能で、その動作により、波高値のドリフト現象が起こってもその影響が検出器8A,8Bごとに除去されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。なお、波高値ドリフトキャンセル手段21は、ドリフトを打ち消すために高圧電源11から各検出器8A,8Bへの所定の印加電圧を調節すべき量と2次X線7A,7Bの強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、ドリフト現象が発生してパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて、ドリフトを打ち消すように前記所定の印加電圧を調節する(各アッテネータ17A,17Bを調節する)ものであってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものにおいて、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図2】同装置の変形例を示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図4】同装置の変形例を示す概略図である。
【図5】本発明の第3実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図6】本発明の第4実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図7】前記第1実施形態の装置における波高値ドリフト抑制手段の動作内容を示す図である。
【図8】前記第2実施形態の装置における波高値ドリフトキャンセル手段の動作内容を示す図である。
【符号の説明】
1…試料、3…1次X線、4…X線源、5…試料から発生した2次X線、6…分光素子、7…分光素子で分光された2次X線、8…検出器(ガスフロー型比例計数管)、10…連動手段、11…高圧電源、13…波高分析器、14…計数手段、16…増幅器、18…検出手段、20…波高値ドリフト抑制手段、21…波高値ドリフトキャンセル手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、波長分散型の蛍光X線分析装置においては、試料に1次X線を照射し、試料から発生する蛍光X線を分光素子で分光し、分光された蛍光X線を検出器で検出してパルスを発生させる。このパルスの電圧すなわち波高値は蛍光X線のエネルギーに応じたものであり、具体的には、比例関係にあると考えられている。また、パルスの単位時間あたりの数は蛍光X線の強度に応じたものである。そこで、パルスのうち所定の電圧の範囲(上限値および下限値で規定され、ウィンドウと呼ばれる)のものを波高分析器で選別して、その計数率(単位時間あたりのパルス数)をスケーラ等の計数手段で求めている。なお、検出器が発生するパルスは微弱であるので、検出器内蔵のプリアンプと、外部のリニアアンプによって、それぞれ所定の増幅率で増幅されて、波高分析器へ送られる。リニアアンプを波高分析器に含めることもある。
【0003】
ここで、走査(スキャン)型の分析装置においては、いわゆるゴニオメータ等の連動手段により、分光素子で分光される蛍光X線の波長を変えながら、その分光された蛍光X線が検出器に入射するように、分光素子と検出器を連動させて走査させ、広い波長範囲において蛍光X線の強度を測定する。このとき、検出器に入射する蛍光X線の波長が変化し、すなわち蛍光X線のエネルギーが変化するから、このままでは、検出器から発生し波高分析器へ送られるパルスの電圧も変化する。そうすると、測定すべき蛍光X線の波長に対応した電圧のパルスを選別するには、波高分析器における前記所定の電圧の範囲、具体的には通過させるパルスの電圧の上限値と下限値を、送られてくるパルスの電圧の変化に追従させて設定し直さなければならず、煩雑である。
【0004】
そこで、従来、連動手段により、例えば、前記リニアアンプ(以下、増幅器という)における所定の増幅率を、検出器に入射する蛍光X線のエネルギーに反比例するように、具体的には分光素子での回折角θについての sinθに比例するように連続的に調節して、波高分析器へ送られるパルスの電圧すなわち波高値が一定になるようにし、前記所定の電圧の範囲の設定変更を不要にしている(例えば、特許文献1参照)。なお、検出器から発生し波高分析器へ送られるパルスの電圧は、高圧電源から検出器に印加される所定の電圧にも応じるので、波高分析器へ送られるパルスの電圧を一定にするためには、増幅器における所定の増幅率を調節する代わりに、検出器への前記所定の印加電圧を調節してもよい。これらの調節により、測定しようとする波長の蛍光X線によるパルスは、波高分析器において前記所定の電圧の範囲すなわちウィンドウを例えば100〜300に設定した場合、その中央の波高値200のところに常に現れることとなる。
【0005】
このような波長分散型であって走査型の蛍光X線分析装置において、検出器としてガスフロー型比例計数管がよく用いられるが、その場合、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの電離ガスとして用いられる希ガスを主体とし、メタン、二酸化炭素などをクエンチングガスとして加えた混合ガスを、測定中、一定圧力でガスフロー型比例計数管に流し続ける。例えば、アルゴン90%、メタン10%の混合ガスを50ml/分で流す。この混合ガスのランニングコストやボンベ交換の手間を考えると、流量は少ない方が好ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−221753号公報(段落0002〜0004、段落0015〜0025)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば混合ガスの流量を5ml/分に減少させると、ガスフロー型比例計数管にその最大計数率に近い高強度の蛍光X線が入射した場合、波高分析器へ送られるパルスの電圧すなわち波高値が、ウィンドウの中央から大きくドリフトし(ずれて)、15分程度かかって漸進的に本来の波高値に戻ることを、発明者は実験的に見出した。これでは、その15分程度の間、目的の波長に対してずれた不適切な設定のウィンドウで測定を行うことになり、例えばステップスキャン(測定しようとする波長に対応した位置でゴニオメータを一旦停止して計数する走査)によってある波長の蛍光X線を測定すると本来よりも弱い強度が測定される。したがって、正確な分析ができない。
【0008】
同様の問題は、波長分散型であって多元素同時分析型の蛍光X線分析装置、つまり、測定すべき2次X線の波長ごとに、分光素子、検出器、増幅器、波高分析器および計数手段を有する検出手段を備えた蛍光X線分析装置にも起こる。この場合には、前述した波高値のドリフト現象は、検出手段ごとに生じ得る。
【0009】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものにおいて、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析のできる装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の第1構成に係る波長分散型蛍光X線分析装置は、まず、試料に1次X線を照射するX線源と、試料から発生した2次X線を分光する分光素子と、高圧電源から所定の電圧が印加され、前記分光素子で分光された2次X線が入射されて、前記所定の印加電圧および2次X線のエネルギーに応じた電圧のパルスを2次X線の強度に応じた数だけ発生させるガスフロー型比例計数管である検出器と、その検出器で発生したパルスの電圧を所定の増幅率で増幅する増幅器と、その増幅器で増幅されたパルスのうち所定の電圧の範囲のものを選別する波高分析器と、その波高分析器で選別されたパルスの計数率を求める計数手段とを備えている。すなわち、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものである。
【0011】
そして、この装置は、前記高圧電源から検出器に印加される電圧を所定時間だけ前記所定の印加電圧よりも高くして、所定の計数率を超える2次X線が前記検出器に入射して前記波高分析器へ送られるパルスの電圧がドリフトするのを抑制する波高値ドリフト抑制手段を備えている。
【0012】
前記従来の問題に対し、発明者は、高圧電源から検出器に印加される電圧を所定時間だけ通常の場合の印加電圧よりも高くしておくと、その後の測定において、従来よりも混合ガスの流量が少なくても前述の波高値のドリフト現象を抑制できることを実験的に見出し、この第1構成に係る装置を発明するに至った。この装置においては、波高値ドリフト抑制手段の動作により、波高値のドリフト現象が抑制されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。この装置は、走査型としても、多元素同時分析型としても実現できる。この装置において、本測定よりも低い計数率に制御した予備測定中に、本測定であれば所定の計数率を超える2次X線を検出した場合に、本測定前に前記波高値ドリフト抑制手段が動作することが好ましい。
【0013】
この発明の第2構成に係る波長分散型蛍光X線分析装置も、前記第1構成に係る装置と同様に、X線源、分光素子、ガスフロー型比例計数管である検出器、増幅器、波高分析器および計数手段を備え、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものである。そして、所定の計数率を超える2次X線が前記検出器に入射して前記波高分析器へ送られるパルスの電圧がドリフトする現象について、そのドリフトを打ち消すために前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節すべき量と2次X線の強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、前記現象によりパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節する波高値ドリフトキャンセル手段を備えている。
【0014】
この第2構成に係る装置においては、波高値ドリフトキャンセル手段の動作により、波高値のドリフト現象が起こってもその影響が除去されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。この装置も、走査型としても、多元素同時分析型としても実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態の装置について、図1にしたがって構成から説明する。この装置は、試料1が載置される試料台2と、試料1に1次X線3を照射するX線管であるX線源4と、試料1から発生した蛍光X線等の2次X線5を分光する分光素子6と、高圧電源11から所定の電圧が印加され、分光素子6で分光された2次X線7が入射されて、前記所定の印加電圧と2次X線7のエネルギーに応じた電圧のパルスを2次X線7の強度に応じた数だけ発生させるガスフロー型比例計数管である検出器8と、検出器8で発生したパルスの電圧を所定の増幅率で増幅する増幅器16と、増幅器16で増幅されたパルスのうち所定の電圧の範囲のものを選別する波高分析器13と、波高分析器13で選別されたパルスの計数率を求める計数手段14とを備えている。分光素子は、複数を交換(選択)して使用してもよい。
【0016】
そして、検出器8に入射する2次X線7の波長が変化するように、分光素子6と検出器8を連動させる連動手段10、すなわちいわゆるゴニオメータを備えている。2次X線5がある入射角θで分光素子6へ入射すると、その2次X線5の延長線9と分光素子6で分光(回折)された2次X線7は入射角(回折角)θの2倍の分光角2θをなすが、連動手段10は、分光角2θを変化させて分光される2次X線7の波長を変化させつつ、その分光された2次X線7が検出器8に入射するように、分光素子6を、その表面の中心を通る紙面に垂直な軸Oを中心に回転させ、その回転角の2倍だけ、検出器8を、軸Oを中心に円12に沿って回転させる。
【0017】
この連動手段10は、前述のように検出器8に入射する2次X線7の波長を変化させるとともに、波高分析器13へ送られるパルスの電圧を一定にするために、前記高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧を調節する。この場合には、前記増幅器16における所定の増幅率は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値である。また、検出器8から発生し波高分析器13へ送られるパルスの電圧は、増幅器16における所定の増幅率にも応じるので、波高分析器13へ送られるパルスの電圧を一定にするためには、検出器8への所定の印加電圧を調節する代わりに、増幅器16における所定の増幅率を調節してもよい(図2)。この場合には、検出器8への所定の印加電圧は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値である。
【0018】
以上のように、この装置は、波長分散型であって走査型の蛍光X線分析装置で検出器としてガスフロー型比例計数管8を用いるものである。この装置では、最大計数率が2000kcpsのガスフロー型比例計数管8を用いるが、混合ガスの流量を5ml/分に低減させるため、計数率が1200kcpsを超えるような強度の2次X線7が入射すると、波高値のドリフト現象が無視できない程度で起こる。つまり、混合ガスの流量が従来の50ml/分であった場合に最大計数率2000kcpsで生じる波高値のドリフト量(ドリフトの結果、ステップスキャンで測定される強度が本来の値よりも約0.2%低くなる)を許容できる上限とすれば、そのドリフト量は混合ガス流量5ml/分においては計数率1200kcpsで生じ、計数率が1200kcpsを超えるとドリフト現象が無視できなくなる。
【0019】
この装置は、さらに、高圧電源11から検出器8に印加される電圧を、所定時間例えば5秒間だけ、前記所定の印加電圧よりも所定の割合例えば10%だけ高くして、所定の計数率、ここでは前述の1200kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射しても波高分析器13へ送られるパルスの電圧すなわち波高値がドリフトしないように抑制する波高値ドリフト抑制手段20を備えている。
【0020】
また、この装置は、図示しない制御手段により全体の動作が制御され、本測定を行う前に、X線管4に流す電流値を下げることにより本測定の場合よりも十分に低い例えば10分の1に制御した計数率で、予備測定を行う。定量分析では、試料1の品種すなわちおよその組成が分かっている場合が多いので、予備測定は、測定すべき2次X線7のうち最も強度の高そうなものについて行えばよく、走査が不要となり1秒程度の短時間で済む。計数率を低くするには、X線管4に流す電流値を下げる代わりに、検出器8の前に2次X線7を減衰させるアブソーバを挿入してもよい。このような予備測定は、従来も行われているが、これにより分析対象の試料1から最大どの程度の強度の2次X線7が発生するかを知り、本測定においては、検出器8の感度を十分に生かすべく、できるだけ高い計数率でかつ検出器8の最大計数率2000kcpsを超えないように、必要な場合には、X線管4に流す電流値を適切に下げるか、適切な減衰率のアブソーバを検出器8の前に挿入する。
【0021】
この実施形態の装置では、予備測定中に、本測定であれば前記所定の計数率つまり1200kcpsを超える2次X線7を検出した場合には、そのままでは本測定において波高値のドリフト現象が無視できなくなるので、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作する。本測定であれば計数率1200kcpsを超える2次X線7とは、まず、前述のように計数率を10分の1に制御した予備測定において計数率が120kcpsを超えるものである。また、同様の予備測定において計数率が200kcpsを超える場合には、前述したように本測定において2000kcpsを超えない範囲で最大の計数率が得られるように計数率を低くする処置を行うが、その処置による減衰率を予備測定での計数率に乗じた値が120kcpsを超えるものが、本測定であれば計数率1200kcpsを超える2次X線7となる。
【0022】
次に、この装置の動作について説明する。未知の試料1に対し、まず、計数率を低くする処置を行わない通常の本測定の場合の10分の1の計数率で、測定しようとする元素のうち、最も高強度の蛍光X線を発生すると予想される元素について予備測定を行う。その結果、例えばチタンについて計数率140kcpsの蛍光X線7を検出したとする。測定しようとする他の元素について予備測定を行っても、計数率は140kcps未満のはずであり、200kcpsを超える2次X線7は検出されないはずである。
【0023】
この場合には、そのままでも本測定において最大計数率2000kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射することはないので、計数率を低くする処置は不要であるが、チタンの蛍光X線7の計数率は本測定において前記所定の計数率1200kcpsを超えて1400kcpsに達することになり、このままでは本測定において波高値のドリフト現象が無視できなくなるので、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作する。つまり、図7に示すように、本測定前に、高圧電源11から検出器8に印加される電圧Vを、所定時間TA例えば5秒間だけ、チタンの蛍光X線7を測定する際の所定の印加電圧V0例えば1800Vよりも所定の割合例えば10%だけ高くして、つまり180V(VA)だけ高くして、1980Vとする。
【0024】
その後、従来通り、所定の印加電圧、所定の増幅率で(一方は連動手段10により調節される)、本測定を行う。その際、前記波高値ドリフト抑制手段20の動作により、所定の計数率1200kcpsを超えて1400kcpsのチタンの蛍光X線7が検出器8に入射しても波高分析器13へ送られるパルスの電圧すなわち波高値がドリフトしないように抑制される。波高値ドリフト抑制手段20の動作によるドリフト現象の抑制効果は、所定の計数率を超える2次X線7が検出器8へ入射しなくなってから約30分経過すると消滅する(その後の所定の計数率を超える2次X線7の入射に備え、再度波高値ドリフト抑制手段20を動作させる必要が生じる)ことを発明者は実験的に見出しているが、本測定は通常15分程度で終了するので、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作すれば、その本測定中に再度の動作が必要となることはない。また、予備測定に基づく判断なしに、本測定前に毎回波高値ドリフト抑制手段20を動作させても、1回につき5秒かかるだけで、その後の本測定において特に悪影響は及ぼさないので、そのように毎回動作させてもよい。
【0025】
以上のように、第1実施形態の装置においては、波高値ドリフト抑制手段20の動作により、波高値のドリフト現象が抑制されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態の装置について、図3にしたがって説明する。この装置も、前記第1実施形態の装置(図1)と同様に、X線源4、分光素子6、ガスフロー型比例計数管である検出器8、増幅器16、波高分析器13、計数手段14および連動手段10を備え、波長分散型であって走査型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管8を用いるものである。連動手段10は、前述のように検出器8に入射する2次X線7の波長を変化させるとともに、波高分析器13へ送られるパルスの電圧を一定にするために、前記高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧を調節する。この場合には、前記増幅器16における所定の増幅率は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値である。ガスフロー型比例計数管8は、第1実施形態の装置で用いたのと同じもので、最大計数率が2000kcpsで、混合ガスの流量を5ml/分に低減させている。
【0027】
そして、第2実施形態の装置は、所定の計数率1200kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射して波高分析器13へ送られるパルスの電圧がドリフトする現象について、そのドリフトを打ち消すために前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節すべき量と2次X線7の強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、前記現象が発生してパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて前記高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧を調節する波高値ドリフトキャンセル手段21を備えている。
【0028】
より具体的には、検出器8への所定の印加電圧を調節することによりドリフトを打ち消すことができるので、まず、所定の計数率1200kcpsを超え、強度の相異なる複数の2次X線7を測定して、2次X線7入射開始時のパルスの電圧のドリフトを打ち消すために必要な所定の印加電圧の調節量ΔV0Sと2次X線7の強度Iとの関係を次式(1)のように求める。つまり、係数k0,k1,k2を求める。なお、ドリフトを打ち消すための調節は、ドリフト現象がなく連動手段10の調節のみによる所定の印加電圧V0を基準として行う。
【0029】
ΔV0S(I)=k0+k1I+k2I2 …(1)
【0030】
次に、2次X線7入射後のドリフトを打ち消すために必要な所定の印加電圧の調節量ΔV0について、調節量ΔV0が2次X線7の入射時間tに対し時定数をTとする1次指数関数的に減少するとして、調節量ΔV0と2次X線7の強度Iおよび入射時間tとの関係を次式(2)のように求める。つまり、時定数Tを求める。
【0031】
ΔV0(I,t)=ΔV0S(I) exp(−t/T) …(2)
【0032】
式(1)および式(2)から、次式(3)が得られる。
【0033】
ΔV0(I,t)=(k0+k1I+k2I2) exp(−t/T) …(3)
【0034】
この式(3)を、ドリフトを打ち消すために所定の印加電圧を調節すべき量ΔV0と2次X線7の強度Iおよび入射時間tとの関係として、波高値ドリフトキャンセル手段21にあらかじめ記憶させておく。そして、本測定において、所定の計数率1200kcpsを超える強度Iの2次X線7が検出器8に入射してドリフト現象によりパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、波高値ドリフトキャンセル手段21は、前記記憶した式(3)に基づいて、ドリフトを打ち消すように、つまり次式(4)のように、高圧電源11から検出器8への所定の印加電圧Vを調節する。
【0035】
V(I,t)=V0−ΔV0(I,t) …(4)
【0036】
連動手段10の調節のみによる所定の印加電圧がV0である場合に、ドリフトを打ち消すように所定の印加電圧Vが調節される様子を図8に示す。ステップスキャンで測定する2次X線7の波長が変わると、連動手段10の調節のみによる所定の印加電圧V0の値も段階的に変化する。以上のように、前記第1実施形態の装置が、波高値のドリフト現象の発生そのものを抑制するのに対し、この第2実施形態の装置は、波高値のドリフト現象の発生を許しながらも測定への影響を除去するものである。第2実施形態の装置においては、波高値ドリフトキャンセル手段21は本測定中常に動作可能で、その動作により、波高値のドリフト現象が起こってもその影響が除去されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【0037】
また、前述したように、連動手段10は、検出器8への所定の印加電圧を調節する代わりに、増幅器16における所定の増幅率を調節するものでもよい(図4)。この場合には、検出器8への所定の印加電圧は、連動手段10の動作中に変化しない一定の値であり、波高値ドリフトキャンセル手段21は、ドリフトを打ち消すために所定の増幅率を調節すべき量と2次X線7の強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、所定の計数率1200kcpsを超える2次X線7が検出器8に入射して波高分析器13へ送られるパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて、ドリフトを打ち消すように増幅器16における所定の増幅率(いわゆるゲイン)を調節する。なお、従来技術により、ゲインと印加電圧との関係を換算のためにあらかじめ求めておくことができる。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態の装置について、図5にしたがって説明する。この装置も、X線源4、分光素子6、ガスフロー型比例計数管である検出器8、増幅器16、波高分析器13および計数手段14を備えるが、前記第1、第2実施形態の装置と異なり、連動手段10(図1〜図4)を備えず、測定すべき2次X線7A,7Bの波長ごとに、分光素子6A,6B、検出器8A,8B、増幅器16A,16B、波高分析器13A,13Bおよび計数手段14A,14Bを有する検出手段18A,18Bを備えている。すなわち、この装置は、波長分散型であって多元素同時分析型の蛍光X線分析装置で検出器としてガスフロー型比例計数管8を用いるものである。ガスフロー型比例計数管8は、第1、第2実施形態の装置で用いたのと同じものである。
【0039】
ここでは、簡単のため、測定すべき2次X線7A,7Bおよび対応する検出手段18A,18Bをそれぞれ2つとしたが、3つ以上でもよい。検出器8A,8Bへの所定の印加電圧および増幅器16A,16Bにおける所定の増幅率は、測定すべき2次X線7A,7Bの波長に応じて、対応する検出器8A,8Bごとに適切な一定値に設定されている。なお、高圧電源11本体は、各検出器8A,8Bに共通で1つのみであるが、高圧電源11本体と各検出器8A,8Bの間にそれぞれ挿入されたアッテネータ17A,17Bにより、検出器8A,8Bごとの所定の印加電圧が決められている。ただし、この装置では、アッテネータ17A,17Bは可変であり、次述する波高値ドリフト抑制手段20の動作により、所定の印加電圧よりも高い印加電圧を検出器8A,8Bにかけることもできる。
【0040】
この装置は、さらに、第1実施形態の装置と同様の波高値ドリフト抑制手段20を備えている。ただし、この単一の波高値ドリフト抑制手段20は、各アッテネータ17A,17Bに対応して、高圧電源11から各検出器8A,8Bに印加される電圧を、必要に応じて、所定時間だけ所定の印加電圧よりも所定の割合だけ高くする。なお、波高値ドリフト抑制手段20は、検出器8A,8Bごとに備えてもよい。
【0041】
また、この装置は、第1実施形態の装置と同様に、予備測定を行う。ただし、多元素同時分析では、測定すべき2次X線7のすべてについて、同時につまり短時間に予備測定を行うことができる。そして、予備測定中に、例えば検出手段18Aにおいて、本測定であれば前記所定の計数率つまり1200kcpsを超える2次X線7Aを検出した場合には、そのままでは本測定において波高値のドリフト現象が無視できなくなるので、その検出手段18Aに対応したアッテネータ17Aに対し、本測定前に波高値ドリフト抑制手段20が動作する。つまり、この装置では、波高値ドリフト抑制手段20は、検出器8A,8Bごとに動作する。
【0042】
以上のように、第3実施形態の装置においては、波高値ドリフト抑制手段20の動作により、検出器8A,8Bごとに波高値のドリフト現象が抑制されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態の装置について、図6にしたがって説明する。この装置は、第3実施形態の装置から波高値ドリフト抑制手段20(図5)を取り除き、代わりに第2実施形態の装置と同様の波高値ドリフトキャンセル手段21を備えたものである。すなわち、この装置は、波長分散型であって多元素同時分析型の蛍光X線分析装置で検出器として第1〜第3実施形態の装置と同じガスフロー型比例計数管8を用いるものである。
【0044】
検出器8A,8Bへの所定の印加電圧および増幅器16A,16Bにおける所定の増幅率は、測定すべき2次X線7A,7Bの波長に応じて、対応する検出器8A,8Bごとに適切な一定値に設定されている。ただし、この装置では、所定の増幅率は一定値に固定されず、波高値ドリフトキャンセル手段21の動作により調節される。つまり、この装置が備える単一の波高値ドリフトキャンセル手段21は、検出器8A,8Bごとに、対応する増幅器16A,16Bにおいてドリフトを打ち消すために所定の増幅率を調節すべき量と2次X線7A,7Bの強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、ドリフト現象が発生してパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて、ドリフトを打ち消すように前記所定の増幅率を調節する。なお、波高値ドリフトキャンセル手段21は、検出器8A,8Bごとに備えてもよい。
【0045】
第4実施形態の装置においては、波高値ドリフトキャンセル手段21は本測定中常に動作可能で、その動作により、波高値のドリフト現象が起こってもその影響が検出器8A,8Bごとに除去されるので、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。なお、波高値ドリフトキャンセル手段21は、ドリフトを打ち消すために高圧電源11から各検出器8A,8Bへの所定の印加電圧を調節すべき量と2次X線7A,7Bの強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、ドリフト現象が発生してパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて、ドリフトを打ち消すように前記所定の印加電圧を調節する(各アッテネータ17A,17Bを調節する)ものであってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、波長分散型の蛍光X線分析装置でガスフロー型比例計数管を用いるものにおいて、従来よりも少ない混合ガスの流量で、しかも波高値のドリフト現象の影響を受けずに正確な分析ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図2】同装置の変形例を示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図4】同装置の変形例を示す概略図である。
【図5】本発明の第3実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図6】本発明の第4実施形態の波長分散型蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図7】前記第1実施形態の装置における波高値ドリフト抑制手段の動作内容を示す図である。
【図8】前記第2実施形態の装置における波高値ドリフトキャンセル手段の動作内容を示す図である。
【符号の説明】
1…試料、3…1次X線、4…X線源、5…試料から発生した2次X線、6…分光素子、7…分光素子で分光された2次X線、8…検出器(ガスフロー型比例計数管)、10…連動手段、11…高圧電源、13…波高分析器、14…計数手段、16…増幅器、18…検出手段、20…波高値ドリフト抑制手段、21…波高値ドリフトキャンセル手段。
Claims (5)
- 試料に1次X線を照射するX線源と、
試料から発生した2次X線を分光する分光素子と、
高圧電源から所定の電圧が印加され、前記分光素子で分光された2次X線が入射されて、前記所定の印加電圧および2次X線のエネルギーに応じた電圧のパルスを2次X線の強度に応じた数だけ発生させるガスフロー型比例計数管である検出器と、
その検出器で発生したパルスの電圧を所定の増幅率で増幅する増幅器と、
その増幅器で増幅されたパルスのうち所定の電圧の範囲のものを選別する波高分析器と、
その波高分析器で選別されたパルスの計数率を求める計数手段とを備えて2次X線の強度を測定する波長分散型蛍光X線分析装置において、
前記高圧電源から検出器に印加される電圧を所定時間だけ前記所定の印加電圧よりも高くして、所定の計数率を超える2次X線が前記検出器に入射して前記波高分析器へ送られるパルスの電圧がドリフトするのを抑制する波高値ドリフト抑制手段を備えたことを特徴とする波長分散型蛍光X線分析装置。 - 試料に1次X線を照射するX線源と、
試料から発生した2次X線を分光する分光素子と、
高圧電源から所定の電圧が印加され、前記分光素子で分光された2次X線が入射されて、前記所定の印加電圧および2次X線のエネルギーに応じた電圧のパルスを2次X線の強度に応じた数だけ発生させるガスフロー型比例計数管である検出器と、
その検出器で発生したパルスの電圧を所定の増幅率で増幅する増幅器と、
その増幅器で増幅されたパルスのうち所定の電圧の範囲のものを選別する波高分析器と、
その波高分析器で選別されたパルスの計数率を求める計数手段とを備えて2次X線の強度を測定する波長分散型蛍光X線分析装置において、
所定の計数率を超える2次X線が前記検出器に入射して前記波高分析器へ送られるパルスの電圧がドリフトする現象について、そのドリフトを打ち消すために前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節すべき量と2次X線の強度および入射時間との関係をあらかじめ記憶し、前記現象によりパルスの電圧がドリフトしようとする場合に、前記記憶した関係に基づいて前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節する波高値ドリフトキャンセル手段を備えたことを特徴とする波長分散型蛍光X線分析装置。 - 請求項1または2において、
前記検出器に入射する2次X線の波長を変化させるとともに、前記波高分析器へ送られるパルスの電圧を一定にするために、前記波長の変化に応じて前記所定の印加電圧または所定の増幅率を調節する連動手段とを備えた波長分散型蛍光X線分析装置。 - 請求項1または2において、
測定すべき2次X線の波長ごとに、前記分光素子、検出器、増幅器、波高分析器および計数手段を有する検出手段を備えた波長分散型蛍光X線分析装置。 - 請求項1において、
本測定よりも低い計数率に制御した予備測定中に、本測定であれば所定の計数率を超える2次X線を検出した場合に、本測定前に前記波高値ドリフト抑制手段が動作する波長分散型蛍光X線分析装置。
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