JP2005000290A - バックル装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バックル装置1は、レリースボタン50で押されフック部材20の係合解除方向への回動を許容する第2位置P2に移動するロックバー30と、タングプレート2の離脱操作時にレリースボタン50によって非ロック位置に回動するロック部材60等から構成される。タングプレート2をバックル本体5から離脱させるには、レリースボタン50を後方へ移動させると、ロックバー30が第2位置P2へ移動を開始して第1係合部63から離れ、その直後、レリースボタン50のロック部材押動部59が、ロック部材60の側板部前端61dの当接部66に当接し、ロック部材60が非ロック位置側へ回動を開始する。その後、ロックバー30が第2係合部64と接触することなく第2位置P2へ移動し、フック部材20が上方へ最大限回動してタングプレート2の係合解除状態になる。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両衝突等の車両緊急時に、バックル本体からタングプレートが離脱しないようにしたバックル装置において、運転者がシートベルトを外す際に、タングプレートの確実な離脱動作を行えるようにしたバックル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に装備されるシートベルト装置には、ウエビングの途中部に移動可能に取付けられたタングプレートと、このタングプレートが挿入、離脱されるバックル本体とを備えたバックル装置が設けられている。このバックル装置は、車両衝突等の車両緊急時にバックル本体からタングプレートが離脱するのを防止するために、タングプレートのロック位置を保持するロックバーのロック及び非ロックを制御するロック部材が設けられており、このロック部材を通常はロック位置側に維持し、運転者がシートベルトを外す際には、ロック部材を非ロック位置側に回動することにより、タングプレートをバックル本体から離脱させている。
【0003】
そのため、プリテンショナー作動後のバックル本体の急停止時に生じる慣性力により、バックル本体からタングプレートが離脱するのを防止するために、ロックバーが非ロック位置へ移動を開始しても、そのロックバーをロック部材の係合部で受け止めることにより、ロックバーが非ロック位置側へ移動することを抑止するようにしたバックル装置が提案されている(特許文献1参照)。このバックル装置では、タングプレートをバックル本体から離脱させる際には、レリースボタンを指で押して後方へ移動させると、ロックバーがレリースボタンにより押されて非ロック位置側へ移動してロック部材の係合部から離れ、その直後、捩じりバネで付勢されたロック部材が非ロック位置側へ回動を開始するため、ロックバーがロック部材の係合部と接触することなく非ロック位置側へ移動するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001―46117号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、上記特許文献1に記載されたバックル装置では、捩りバネによってロック部材を非ロック位置に回動させる構造を採用しているが、この捩りバネはロック部材とフック部材で囲まれた狭い空間に装着するため、捩りバネ自体が小さくて複雑な形状であり、しかも、複雑な形状の小さな捩りバネを組み付ける作業を要し、部品コストや組み付けコストが大きい。
【0006】
本発明の第1の目的は、簡単な構造でタングプレートの確実な離脱動作を行えるようにすることである。第2の目的は、車両衝突等の車両緊急時にバックル本体からタングプレートの離脱を防止するのを簡単な構成により実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、タングプレートが挿入離脱可能なバックル本体と、該バックル本体に設けられたフレームと、該フレームに回動可能に設けられタングプレート挿入操作時に回動してタングプレートと係合するフック部材と、上記タングプレートとの係合を解除する方向に上記フック部材を常時付勢する付勢部材と、上記フック部材とタングプレートとの係合を解除する為のレリースボタンと、タングプレート挿入操作時に上記フック部材の係合解除方向への回動を抑止する第1位置に上記付勢部材の付勢力で移動すると共に、タングプレート離脱操作時の上記レリースボタンの操作で押動されフック部材の係合解除方向への回動を許容する第2位置に移動するロックバーと、該ロックバーを上記第1位置にロックするロック位置と、ロックしない非ロック位置とに亙って回動可能に上記フレームに枢支されたロック部材であって、該ロック部材は、その一端に形成された第1係合部と、上記ロックバーを受け入れ可能な間隔を空けて上記第1係合部に対向する第2係合部とを備え、タングプレートの挿入に連動して、上記第1係合部にロックバーの第1位置側端部が当接して上記ロック部材をロック位置に回動して、上記第2係合部がロックバーの移動領域に侵入し、タングプレート挿入完了時において、上記レリースボタンに設けられ、かつ上記ロック部材を非ロック位置に回動するロック部材押動部とロック部材の対応する当接部との間の距離を、上記ロックバーの第2位置側端部と上記ロック部材の第2係合部との間の距離よりも大きくしたことを特徴とするバックル装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたバックル装置において、上記付勢部材は、タングプレートの挿入状態において上記レリースボタンに作用して、レリースボタンを操作待機位置に押圧することを特徴とするバックル装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれかに記載されたバックル装置において、タングプレート離脱操作時に、上記レリースボタンによりロック部材を非ロック位置に回動させるより前に、上記レリースボタンによりロックバーを第2位置側に移動を開始させることを特徴とするバックル装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載されたバックル装置において、タングプレート挿入方向への慣性力により、上記ロックバーの第2位置側端部がロック部材の第2係合部に当接してロック部材をロック位置側へ回動させる回転モーメントが、上記レリースボタンのロック部材押動部がロック部材の対応する当接部に当接してロック部材を非ロック位置側に回動させる回転モーメントより大きいことを特徴とするバックル装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載されたバックル装置において、上記ロック部材はその重心から偏心した枢支部を介して上記フレームに回動可能に枢支され、タングプレート挿入方向への慣性力により、上記ロック部材にはロック位置側に回動する慣性力が作用することを特徴とするバックル装置である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載されたバックル装置において、上記レリースボタンには、タングプレート離脱完了時に、上記ロック部材をロックバーに押圧する押え部が形成されていることを特徴とするバックル装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。車両のシートベルト装置には、乗員が装着したウエビングを車体側に連結する為の本願特有のバックル装置と、車両緊急時にウエビングを引締める為にバックル装置のバックル本体をウエビング引締め側へ引込むプリテンショナーとが設けられている。図1は本発明の実施形態に係るバックル装置の平面図であり、バックル本体5、バックル本体5の前端部から挿入されるタングプレート2、バックル本体5をプリテンショナー(図示せず)に連結するための連結部材73等から構成されている。図2は 図1のA−A縦断側面図であって、タングプレート挿入完了状態を示す。図3は図1のB−B縦断側面図であって、タングプレート挿入完了状態を示す。図4はバックル装置の一部切欠き縦断斜視図である。なお、バックル装置1は、説明の便宜上、図5に図示のように矢印A方向を前方として前後左右を定義して説明する。
【0014】
バックル装置の構造
図5は本発明の実施形態に係るバックル装置の分解斜視図である。図5に示すように、このバックル装置1は、基本的に、ウエビング(図示略)の途中部に移動可能に取付けられるタングプレート2と、バックル本体5とからなり、バックル本体5の前端部にはタングプレート2を挿入する挿入口6(図2、3)が設けられている。タングプレート2は、バックル本体5に挿入される金属製のタング部3と、このタング部3と一体形成され、かつ合成樹脂材料で覆われたタング本体部4とを有し、タング部3には矩形状の係合孔3aが形成され、タング本体部4にはウエビング通過孔4aが形成されている。
【0015】
図5に示すように、バックル本体5は、フレーム10、フック部材20、ロックバー30、合成樹脂製のエジェクター40、合成樹脂製のレリースボタン50、ロック部材60、圧縮コイルバネ70,71、フレーム10にリベット72で固定されバックル本体5をプリテンショナー(図示せず)に連結する為の連結部材73、合成樹脂製のベースカバー74及び蓋カバー75などで構成されている。前記合成樹脂製の部品以外の部品は金属製(例えば鋼製)のものである。なお、ロック部材60は合成樹脂製でもよく、金属製でもよい。また、バックル本体5を、連結部材73以外の部材を介してプリテンショナーに連結してもよい。
【0016】
前記フレーム10は、基板部11と、この基板部11の左右両側縁から起立した一対の側板部12とを一体形成してなる。基板部11にはリベット72の為の丸孔11aと、エジェクター40を前方へ弾性付勢する圧縮コイルバネ71を収容するとともに、エジェクター40の移動をガイドする矩形孔11bと、この矩形孔11bの後端縁から突出したバネ連結部(図示略)と、ベースカバー74に係合する傾斜部11cが形成されている。
【0017】
一対の側板部12には、ロックバー30の両端部を挿入して前後方向へスライド自在に案内する一対の長孔12aと、フック部材20を回動自在に枢支する切欠枢支部12bと、レリースボタン50が前方へ外れないように係止する一対のストッパ部12cと、タングプレート2の挿脱をガイドすると共に挿入時のタングプレート2のこじれを防止する一対の案内突部12dが形成されている。更に、一対の側板部12には、ロック部材60に挿通された左右方向の軸部材65の両端部を挿入して回動自在に支持する一対の軸孔15が形成されている。
【0018】
図5に示すように、フック部材20は、本体部21と、その本体部21から前方に上側ヘ湾曲状に膨らんだ規制部22と、この規制部22から下方へ屈曲しタングプレート2の係合孔3aに係合可能で、かつ先端部が基板部11の矩形孔11bの前端部に嵌入可能なフック部23と、後部の左右一対の被枢支部24と、本体部21の後端部から下側へ屈曲形成されかつエジェクター40で操作される一対の被操作部25と、これら被操作部25の間から上側へ屈曲されたバネ受け部26とを備えている。左右一対の被枢支部24が一対の側板部12の一対の切欠枢支部12bに回動可能に装着され、フック部材20が上下に所定角度回動可能になっている。
【0019】
ロックバーの構造
図5に示すように、板片状の部材からなるロックバー30は、一対の長孔12aに挿通させた状態で一対の側板部12に架着され、この架着状態においてロックバー30の左右端部が夫々側板部12の外側へ約2〜3mm突出しており、ロックバー30は一対の長孔12aに沿って前後に所定距離移動可能である。ロックバー30の後端部の中央部にはバネ受け部31が突出状に形成され、フック部材20のバネ受け部26とロックバー30のバネ受け部31の間にコイルバネ70(付勢部材に相当する)が圧縮状に介装され、ロックバー30は前方へ付勢され、フック部材20はそのフック部23が上方(タングプレート2との係合を解除する方向)へ常時付勢されている。
【0020】
タングプレート2をバックル本体5に挿入してフック部材20に係合させた状態のとき、ロックバー30は一対の長孔12aの前端部分に対応する第1位置P1(図7(a)、(b))に位置して規制部22を上側から押えることで、フック部材20の係合解除方向(上方)への回動を抑止し、また、レリースボタン50の係合解除操作時に、ロックバー30はレリースボタン50で後方へ押動されて、一対の長孔12aの後端部分に対応する第2位置P2(図8(b)、(c))に位置して規制部22よりも後退し、フック部材20の係合解除方向への回動を許容する。また、コイルバネ70の前方端には、コイルバネ70と一体で、巻き線外径よりも上方に突出する押動部70aが形成されている。タングプレート2をバックル本体5に挿入してフック部材20に係合させた状態のとき、レリースボタン50の上端の上端壁部53に押動部70aが当接し、レリースボタン50を前方に付勢し、レリースボタン50は一対のストッパ部12cに係止されて、前進限位置で停止している。つまり、ロックバー30とレリースボタン50は、一個のコイルバネ70によって前方へ付勢されている。
【0021】
エジェクターの構造
図5に示すように、エジェクター40は、その前端の傾斜案内部41と、左右両端部の被案内部42と、タングプレート2の挿入時にフック部材20の一対の被操作部25を後方へ押動して、フック部材20を係合方向へ回動させる後端の操作部43と、タングプレート2の離脱時に、レリースボタン50を前方へ押動させる為の左右一対の押動部44と、コイルバネ71の前端部が連結されるバネ連結部46などを備えている。エジェクター40は、フレーム10の基板部11の上に前後移動自在に配設され、一対の被案内部42は断面が略コ字状になっており、この略コ字状が矩形孔11bの両側縁に係合することにより浮上しないように案内されている。
【0022】
コイルバネ71の前端部がバネ連結部46に挿通状に連結され、このコイルバネ71の後端は基板部11のバネ連結部(図示略)に連結され、こうしてエジェクター40はコイルバネ71の付勢力によりフレーム10に対して前方(つまり、タングプレート2の離脱方向)へ弾性付勢されている。
【0023】
レリースボタンの構造
図5に示すように、レリースボタン50は、前端の前端壁部51と、左右一対のガイド壁部52と、上端の上端壁部53とを備えている。一対のガイド壁部52は、フレーム10の一対の側板部12の外側に夫々近接して位置し、この一対のガイド壁部52には、一対の長孔12aの外側に夫々突出するロックバー30の両端部を前後移動自在に案内する一対のガイド溝54が形成されている。
【0024】
図6はロック部材とロックバーの拡大図であって、バックル本体急停止時の動作を示す動作説明図である。図5から図6に示すように、レリースボタン50が操作待機位置(前進限位置)にある状態において、それらガイド溝54の前端は長孔12aの前端よりも僅かに後側に位置し、各ガイド壁部52にはガイド溝54の前端縁に形成され、かつ第2位置P2から第1位置P1に移動したロックバー30の第1位置側端部(前端部)30aより若干前方に、ロックバー押動部55が形成されている。一対のガイド壁部52に形成した前記一対のロックバー押動部55が、タングプレート2をバックル本体5から離脱させる際、レリースボタン50を後方へ移動させると、一対の長孔12aの外側に各々突出する第1位置側端部(前端部)30aの両端部側に当接して、ロックバー30を第2位置P2に移動させる押動作用を行う。
【0025】
図5に示すように、レリースボタン50の上壁部53に、フレーム10の一対の側板部12の一対のストッパ部12cに対して、レリースボタン50の前後移動を許す為の左右一対のスリット56が形成されている。タングプレート2の挿入時に、ロックバー30がコイルバネ70の付勢力で第2位置P2から第1位置P1に移動すると共に、コイルバネ70の押動部70aにより前方に付勢されたレリースボタン50は、一対のスリット56の後端の一対の被係止部57が一対のストッパ部12cで夫々係止され、レリースボタン50は前進限位置に停止する。
【0026】
レリースボタン50の前端壁部51の内面には、タングプレート2をバックル本体5から離脱させる際に、エジェクター40の一対の押動部44に当接して前方へ押動される一対の被押動部58(図2、3)が形成され、タングプレート2をバックル本体5から離脱させる際に、コイルバネ71の付勢力で付勢されたエジェクター40により、レリースボタン50をタングプレート2と共に前方へ(タングプレート離脱側へ)押動させ、レリースボタン50を前進限位置に復帰させエジェクター40は停止する。この状態においても、エジェクター40は、コイルバネ71の付勢力を受けてレリースボタン50を前方へ押動するように、フレーム10に形成された矩形孔11bの前端との間に若干の隙間を残して停止する。
【0027】
レリースボタン50の上端壁部53には、左右一対の押え部53a(図6)が後方に突出して形成されている。この押え部53aは上端壁部53から下方に向かって凸状に突出し、レリースボタン50を前進限位置に復帰させた状態の時、後記するロック部材60の左右一対のレバー部62の上面に接触し、押え部53aの弾性力により、ロック部材60の左右一対のレバー部62の上面を下方に押すことにより、ロックバー30の上面にロック部材60の第2係合部64の下端を押し付けて、ロック部材60、ロックバー30、フック部材20等の機構的に連動する可動部が振動して、異音を発生しないように抑制している。
【0028】
ロック部材の構造
図5に示すように、ロック部材60は、フレーム10の一対の側板部12の間に配設される左右方向に長い基端部61と、この基端部61の左右両端部からほぼ後方へ延びる一対のレバー部62とを有する。基端部61は、左右両端の一対の側板部61aとこれら側板部61aの上端部分を繋ぐ水平部61bからなる。一対の側板部61aに、ロック部材60の重心から下側に偏心した一対の枢支孔61cが同心状に形成され、これら枢支孔61cに軸部材65が挿通されている。この軸部材65の両端部が一対の軸孔15に挿通され、これにより、ロック部材60の基端部61が、軸部材65を介してプレート10に回動自在に枢支されている。
【0029】
さて、このロック部材60は、基端部61の近傍に設けられた一対の第1係合部63と、一対のレバー部62の先端部分に設けられロックバー30を受け入れ可能な間隔を空けて、一対の第1係合部63に夫々対向する一対の第2係合部64とを有し、ロックバー30を第1位置P1にロックするロック位置(図6)と、ロックしない非ロック位置(図8(b)、(c))とに亙って回動自在に枢支されている。
【0030】
第1係合部63はロックバー30の第1位置側端部30a(前端部)が当接可能に設けられ、タングプレート2が挿入されていない状態、即ち、ロックバー30が第2位置P2に位置している状態で、ロック部材60が非ロック位置に回動している。この時、ロック部材60の左右一対のレバー部62の上面がレリースボタン50の押え部53aによって下方に押され、押え部53aの弾性力でロックバー30の上面にロック部材60の第2係合部64の下端を押し付け、振動等による異音の発生を抑制している。また、第1係合部63は、ロックバー30の移動領域の前端よりもやや後側に位置するとともに、上記のように、ロック部材60の第2係合部64を含む、第1係合部63以外の部分は、ロックバー30の移動領域に介入していない。
【0031】
ここで、ロック部材60の基端部61は、ロックバー30の移動領域を含む面からフック部材20と反対側へ離隔した位置、具体的には、ロックバー30の移動領域の前斜め上側の位置でフレーム10に枢支されている。従って、第1位置P1に付勢されたロックバー30が第1係合部63に当接してロック部材60をロック位置に回動させ、この状態で、第1係合部63にロックバー30が当接してロック位置を維持する。そして、このロック位置のとき、ロックバー30の移動領域に突入している第2係合部64が、ロックバー30の第2位置側端部30b(後端部)に接近対向し当接可能になる。
【0032】
ところで、図6(a)、(b)に示すように、ロック部材60の第2係合部64は、第2位置P2側へ移動するロックバー30との接触によりロック部材60をロック位置側へ回動させる回動力を発生させるように、ロック部材60がロック位置付近に位置する状態において、前方斜め下側へ傾斜した形状に形成されている。また、プリテンショナーの作動後のバックル本体5の急停止時に、バックル本体5(ロック部材60)には後方へ慣性力が作用するが、ロック部材60の重心Gは、ロック部材60の重心Gに作用する前記慣性力でロック部材60をロック位置の方へ回動させるように、ロック部材60の枢支孔61c(回転軸)より上側に設けられている。
【0033】
なお、前述のように、連結部材73がフレーム10にリベット72を介して固定され、図5に示すように、このフレーム10に、フック部材20、ロックバー30、エジェクター40、レリースボタン50、ロック部材60、コイルバネ70,71などが組付けられ、それらがベースカバー74と蓋カバー75の内部に収容した状態に組付けられ、ベースカバー74と蓋カバー75とが複数の嵌合部や係合部を介して固定状態に一体化される。このバックル装置1の前端にレリースボタン50の前端が臨み、そのレリースボタン50の前端部を指で押すことで、レリースボタン50を押動操作可能に構成される。
【0034】
バックル装置の動作
次に、上記したバックル装置1の動作について、図2から図3及び図6から図図8に基づいて説明する。図7及び図8はタングプレートの離脱操作を示す動作説明図であり、タングプレートがバックル本体に挿入された状態(図7(a))から、レリースボタン50を指で押して、タングプレートをバックル本体から完全に離脱させるまでの状態(図8(c))を段階的に示している。
【0035】
図7(a)のタングプレート2の挿入が完了した状態から、タングプレート2(図2)をバックル本体5(図2)から離脱させる際には、図7(a)の状態からレリースボタン50をコイルバネ70(図2)の付勢力に抗して指で押して後方へ移動させると、図7(b)に示すように、ロックバー30の第1位置側端部30a(図6(a))の左右両端部が、レリースボタン50の左右一対のロックバー押動部55(図6(a))で後方へ押動されるため、ロックバー30がレリースボタン50と共に第2位置P2へ移動を開始し、コイルバネ70が圧縮される。
【0036】
図6(a)、(b)を主体にして説明すると、タングプレート2が挿入された状態では、第2係合部64がロックバー30の移動領域に突入してロックバー30に接近対向しているが、ロックバー30が第1位置P1から第2位置P2へ移動を開始すると、ロックバー30が第1係合部63から離れ、その直後、図7(c)に示すように、レリースボタン50の左右一対のロック部材押動部59が、ロック部材60の左右一対の側板部前端61dに当接し、ロック部材60が非ロック位置側へ回動を開始する。従って、ロック部材60の非ロック位置への回動により、図8(a)に示すように、ロックバー30が第2係合部64と接触することなく第2位置P2へ移動する。
【0037】
そして、図8(b)に示すように、ロックバー30が第2位置P2に達した状態では、ロックバー30が規制部22よりも後方に移動して規制部22に当接しなくなるため、フック部材20が上方へ最大限回動して係合解除状態になる。この係合解除状態においてタングプレート2をバックル本体5から前方へ離脱させることになるが、このとき、エジェクター40(図2)の前端はタングプレート2の後端に当接しているため、タングプレート2が前方へ付勢され外れる。そして、図2において、エジェクター40の一対の押動部44がレリースボタン50の一対の被押動部58に当接するため、レリースボタン50から指を離すと、図8(c)に示すように、コイルバネ71の付勢力により付勢されるエジェクター40によりレリースボタン50が前方へ付勢され、レリースボタン50が前進限位置に復帰する。この時、ロック部材60の左右一対のレバー部62の上面がレリースボタン50の押え部53aによって下方に押され、押え部53aの弾性力でロックバー30の上面にロック部材60の第2係合部64側を押し付けることにより、ロック部材60、ロックバー30、フック部材20等が振動して、異音を発生しないように抑制している。
【0038】
さて、車両衝突等の車両緊急時においては、プリテンショナーが作動して、バックル本体5がウエビングの引締め側へ所定量引込まれ、ウエビングにより乗員が強固に拘束され、その一方で、バックル装置1においては、ロック部材60等がバックル本体5からタングプレート2が離脱しないように作動する。
【0039】
プリテンショナーが作動すると、バックル本体5がウエビングの引締め側、即ち後方へ引込まれ、その後急停止するが、先ず、バックル本体5の後方への移動開始直後に、ロック部材60が前向きの慣性力を受ける。このとき、その慣性力がロック部材60を非ロック位置へ回動させる回動力として働くが、ロックバー30にも第1位置P1方向への慣性力が作用するため、その慣性力とロックバー30を第1位置P1へ付勢するコイルバネ70の付勢力により、ロックバー30でロック部材60を押さえロック位置に維持できるように、ロック部材60やロックバー30の質量、付勢力、ロック部材60の枢支位置等が設定されている。
【0040】
タングプレート2がバックル本体5に挿入された状態では、図6(a)に示すように、ロック部材60がロック位置に維持され、第2係合部64がロックバー30の移動領域に突入し、ロックバー30と接近対向している。バックル本体5が急停止すると、ロックバー30及びレリースボタン50が慣性力を受けて第2位置P2方向へ移動を開始し、図6(b)に示すように、第2位置P2側へ移動を開始したロックバー30の第2位置側端部30bが第2係合部64に当接する。また、第2位置P2側へ移動したレリースボタン50の左右一対のロック部材押動部59が、ロック部材60の左右一対の側板部前端61dに当接する。
【0041】
この時、ロックバー30の当接によりロック部材60に作用する回転モーメント(ロックバー30の第2位置側端部30bが第2係合部64に当接し、ロック部材60をロック位置に維持する方向の反時計方向の回転モーメント)をAとし、レリースボタン50の当接によりロック部材60に作用する回転モーメント(レリースボタン50の左右一対のロック部材押動部59が側板部前端61dに当接し、ロック部材60を非ロック位置に回動させる方向の時計方向の回転モーメント)をBとすると、A>Bとなるように、レリースボタン50やロックバー30の質量、ロック部材60の枢支位置、第2係合部64や側板部前端61dの形状と寸法等が設定されているものとする。従って、ロック部材60はロック位置が維持され、ロックバー30の第2位置P2への移動を抑止することができる。これにより、バックル本体5からタングプレート2が離脱するのを確実に防止することができる。
【0042】
ここで、ロック部材60はその重心から偏心した枢支部として軸部材65を介してフレーム10に回動自在に枢支され、プリテンショナーの作動後のバックル本体5の急停止時に、ロック部材60にはロック位置側へ回動する慣性力が働くので、第2位置P2側へ移動を開始したロックバー30を第2係合部64で確実に受け止めることができる。
【0043】
図6(a)に示すように、ロックバー30の第2位置側端部30bが第2係合部64に当接するまでの距離をL2とし、レリースボタン50の左右一対のロック部材押動部59がロック部材60の側板部前端61dの対応する当接部66に当接するまでの距離をL3とすると、L2=L3またはL2<L3であれば、ロックバー30の第2位置側端部30bが第2係合部64に早く当接し、ロック部材60をロック位置に維持する方向の反時計方向の回転モーメントAが早く作用するので、ロック部材60はロック位置が維持され、ロックバー30の第2位置P2への移動を抑止することができる。これにより、バックル本体5からタングプレート2が離脱するのを確実に防止することができる。また、L2>L3であっても、レリースボタン50のロック部材押動部59がロック部材60を非ロック位置に回動する途中で、ロックバー30が第2係合部64に当接すれば、ロック部材60に作用する回転モーメントはA>Bなので、ロック部材60をロック位置に確実に回動させることができる。つまり、第2係合部64をロックバー30の移動領域に完全に介入させ、その第2係合部64でロックバー30を確実に受け止めることができる。
【0044】
また、ロック部材60を、ロックバー30の移動領域を含む面からフック部材20と反対側へ離隔した位置でフレーム10に枢支したので、第1位置P1へ移動するロックバー30の第1位置側端部により、第1係合部63を押動してロック部材60をロック位置に確実に回動させロック位置を確実に維持することができる。
【0045】
このように、車両緊急時にバックル本体5からタングプレート2を離脱させない構造を、ロック部材60に作用する回転モーメントの差で実現できるため、製作コスト的に非常に有利である。
【0046】
なお、プリテンショナーの作動後においては、ロックバー30がコイルバネ70の付勢力で第2位置P2から第1位置P1に復帰し、これにより、ロック部材60がロック位置に維持され、通常の状態に戻り、乗員がバックル本体5へのタングプレート2の挿入、離脱を自由に行うことができる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、タングプレート離脱操作時に、レリースボタンによって強制的にロック部材を非ロック位置に回動するため、ロック部材を非ロック位置に付勢する捩りバネが不要となり、ロック部材を非ロック位置に回動するための構造が簡単で組み付けも容易となり、また、タングプレートの離脱操作を確実に行うことができる。また、タングプレート挿入操作時に、ロック部材がロックバーの移動領域に侵入してロックバーの移動を阻止するため、バックル本体の急停止時の慣性力で、ロックバーがフック部材の係合を解除する方向へ移動することを防止できる。さらに、バックル本体の急停止時の慣性力で、ロックバーがレリースボタンよりも先にロック部材に当接し、ロック部材をロック位置に回動させる回転モーメントを付与するので、タングプレートの離脱を確実に防止することができる。
請求項2の発明によれば、フック部材、ロックバー、レリースボタンを共通の付勢部材で付勢するため、部品点数が削減され、部品コストと組み立てコストを低減できる。
請求項3の発明によれば、レリースボタンによってロック部材を非ロック位置に回動する時には、ロック部材はロック位置方向への回転モーメントを受けていないため、タングプレート離脱操作時にレリースボタンを押す力が小さくて済む。
請求項4の発明によれば、バックル本体の急停止時に、タングプレート挿入方向への慣性力で、ロックバーがロック部材をロック位置に回動させる回転モーメントの方が、レリースボタンがロック部材を非ロック位置に回動させる回転モーメントより大きいため、ロック部材はロック位置に維持され、タングプレートの離脱を確実に防止することができる。
請求項5の発明によれば、バックル本体の急停止時に、タングプレート挿入方向への慣性力で、ロック部材をロック位置に回動させる回転モーメントが作用するので、ロック部材はロック位置に維持され、タングプレートの離脱を確実に防止することができる。
請求項6の発明によれば、タングプレート離脱完了時に、レリースボタンの押え部がロック部材をロックバーに押圧するので、ロックバー、ロック部材、フック部材等の機構的に連動する可動部のガタに起因する異音が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るバックル装置の平面図である。
【図2】図1のA−A縦断側面図であって、タングプレート挿入完了状態を示す。
【図3】図1のB−B縦断側面図であって、タングプレート挿入完了状態を示す。
【図4】バックル装置の一部切欠き縦断斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係るバックル装置の分解斜視図である。
【図6】ロック部材とロックバーの拡大図であって、バックル本体急停止時の動作を示す動作説明図である。
【図7】タングプレートの離脱操作を示す動作説明図である。
【図8】タングプレートの離脱操作を示す動作説明図である。
【符号の説明】
1…バックル装置、2…タングプレート、5…バックル本体、10…フレーム、20…フック部材、30…ロックバー、40…エジェクター、50…レリースボタン、53a…押え部、55…ロックバー押動部、59…ロック部材押動部、60…ロック部材、61…基端部、61d…側板部前端、63…第1係合部、64…第2係合部、66…当接部、70a…押動部、70、71…コイルバネ。
Claims (6)
- タングプレートが挿入離脱可能なバックル本体と、該バックル本体に設けられたフレームと、該フレームに回動可能に設けられタングプレート挿入操作時に回動してタングプレートと係合するフック部材と、上記タングプレートとの係合を解除する方向に上記フック部材を常時付勢する付勢部材と、上記フック部材とタングプレートとの係合を解除する為のレリースボタンと、タングプレート挿入操作時に上記フック部材の係合解除方向への回動を抑止する第1位置に上記付勢部材の付勢力で移動すると共に、タングプレート離脱操作時の上記レリースボタンの操作で押動されフック部材の係合解除方向への回動を許容する第2位置に移動するロックバーと、該ロックバーを上記第1位置にロックするロック位置と、ロックしない非ロック位置とに亙って回動可能に上記フレームに枢支されたロック部材であって、該ロック部材は、その一端に形成された第1係合部と、上記ロックバーを受け入れ可能な間隔を空けて上記第1係合部に対向する第2係合部とを備え、タングプレートの挿入に連動して、上記第1係合部にロックバーの第1位置側端部が当接して上記ロック部材をロック位置に回動して、上記第2係合部がロックバーの移動領域に侵入し、タングプレート挿入完了時において、上記レリースボタンに設けられ、かつ上記ロック部材を非ロック位置に回動するロック部材押動部とロック部材の対応する当接部との間の距離を、上記ロックバーの第2位置側端部と上記ロック部材の第2係合部との間の距離よりも大きくしたことを特徴とするバックル装置。
- 請求項1に記載されたバックル装置において、上記付勢部材は、タングプレートの挿入状態において上記レリースボタンに作用して、レリースボタンを操作待機位置に押圧することを特徴とするバックル装置。
- 請求項1または2のいずれかに記載されたバックル装置において、タングプレート離脱操作時に、上記レリースボタンによりロック部材を非ロック位置に回動させるより前に、上記レリースボタンによりロックバーを第2位置側に移動を開始させることを特徴とするバックル装置。
- 請求項1から3のいずれかに記載されたバックル装置において、タングプレート挿入方向への慣性力により、上記ロックバーの第2位置側端部がロック部材の第2係合部に当接してロック部材をロック位置側へ回動させる回転モーメントが、上記レリースボタンのロック部材押動部がロック部材の対応する当接部に当接してロック部材を非ロック位置側に回動させる回転モーメントより大きいことを特徴とするバックル装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載されたバックル装置において、上記ロック部材はその重心から偏心した枢支部を介して上記フレームに回動可能に枢支され、タングプレート挿入方向への慣性力により、上記ロック部材にはロック位置側に回動する慣性力が作用することを特徴とするバックル装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載されたバックル装置において、上記レリースボタンには、タングプレート離脱完了時に、上記ロック部材をロックバーに押圧する押え部が形成されていることを特徴とするバックル装置。
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