以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。本発明者等の1人、堀は、先に、ゲート絶縁膜形成前に、水素等の還元性雰囲気中で半導体基板を加熱することにより、自然酸化膜を還元、除去し、引き続きゲート絶縁膜を形成する方法を提案した(特願2002‐249205号)。自然酸化膜を還元除去する好適な条件は、H2雰囲気圧力100torr以下、加熱温度900℃〜1050℃であった。今回、SOI基板を用い、自然酸化膜を還元、除去すると共に、表面のマイクロラフネスを向上する条件を求めた。
図1A〜1Fは、サンプルの作成手順を概略的に示す。
図1Aに示すように、支持基板であるシリコン基板26の上に、厚さ約200nmの埋め込み酸化シリコン層25、その上に複数種類の厚さを有する単結晶シリコン(SOI)層20を有する複数種類のSOI基板を準備した。SOI層20の厚さは、30nm、50nm、86nmとした。
SOI層20の表面に、熱酸化等によりバッファ酸化膜51を形成し、その上に化学機械研磨(CMP)時のストッパとして機能する窒化シリコン層52を成膜した。バッファ酸化膜51を熱酸化で形成する場合、SOI層20の厚さは減少する。
図1Bに示すように、レジストマスクを用いて窒化シリコン層52、酸化シリコン層51、SOI層20を貫通し、さらに埋め込み酸化シリコン層25に一部入り込む素子分離用トレンチ53をエッチングする。その後、レジストマスクは除去する。素子分離用トレンチ53を形成した基板上に酸化シリコン層54をCVD等により堆積し、素子分離用トレンチ53を埋め込む。
図1Cに示すように、化学機械研磨(CMP)を用いることにより、窒化シリコン層52上の酸化シリコン層54を研磨、除去する。CMPにおいて、窒化シリコン層52がストッパとして機能する。素子分離用トレンチ53内にのみ酸化シリコン層54が残る。このようにして、シャロートレンチアイソレーション(STI)54が形成される。
図1Dに示すように、CMP用ストッパとして用いた窒化シリコン層52を熱燐酸等によって除去し、さらにバッファ用酸化シリコン層51を希フッ酸等によって除去する。シャロートレンチアイソレーション(STI)54も若干エッチされる。
図1Eに示すように、SOI層20表面に犠牲酸化シリコン膜20xを熱酸化等により形成し、所望のイオン注入を行い、SOI層20内にMOSトランジスタを形成するのに適した不純物濃度分布を形成する。その後犠牲酸化シリコン層20xは除去する。犠牲酸化等により、SOI層20の厚さは減少する。
図1Fに示すように、SOI層20表面を熱酸化し、酸化シリコンのゲート絶縁膜55を形成する。ゲート絶縁膜55の上に多結晶シリコン層56を堆積する。多結晶シリコン層56、ゲート絶縁膜55をレジストパターンをマスクとしてエッチングし、絶縁ゲート電極を形成する。ゲート酸化等により、SOI層20の厚さは減少する。
薄いゲート絶縁膜を形成する際、SOI層20表面の自然酸化膜を残しておくと、自然酸化膜を含んだゲート絶縁膜が形成され、ゲート絶縁膜の品質が低下する。絶縁特性の優れたゲート絶縁膜を形成するためには、SOI層表面の自然酸化膜は除去することが望まれる。
図1Fに示す工程において、ゲート絶縁膜55を形成する前に、SOI層20表面に存在する自然酸化膜を水素雰囲気中のアニールで除去しようとした。ところが、SOI層20の厚さとH2雰囲気中のアニール温度によって、SOI層の凝集が生じた。
図2は、厚さ30nm、50nm、86nmのSOI層を用いたSOIウエハに、H2雰囲気中アニールを880℃、930℃、980℃、985℃、1000℃で行なった場合の基板表面の状態を、アニールを行なわなかった比較例NONの基板表面の状態と共に示す写真である。H2雰囲気圧力は20torr、処理時間は10secとした。STIで画定されたSOI層が示されている。
H2雰囲気中アニールを行わなかったNONのサンプルにおいては、すべてSOI層のSTIからの分離は生じていない。SOI層の凝集は生じていないと考えられる。
厚さ30nmのSOI層を有するサンプルにおいて、880℃のH2雰囲気中アニール温度ではSOI層の凝集は生じていないと考えられる。H2雰囲気中アニール温度を930℃とすると、SOI層に凝集が生じ、STI層から離れる部分が生じている。H2雰囲気中アニール温度を980℃とすると、SOI層はSTI層から完全に離れ、楕円状に凝集している。H2雰囲気中アニール温度を1000℃とした場合は、SOI層がアイランド状にシュリンクしている。
すなわち、30nmのSOI層に対し、930℃以上の温度でH2雰囲気中アニールを行うと、SOI層に凝集が生じる。930℃のH2雰囲気中アニールで生じるSOI層の凝集は程度が軽く、880℃と930℃のH2雰囲気中アニールの結果から、905℃以下、より好ましくは900℃以下でH2雰囲気中アニールを行えば、SOI層の凝集は、ほぼ生じず、生じたとしても無視できる程度か、容認できる程度であろう。
厚さ50nmのSOI層においては、900℃、985℃のH2雰囲気中アニールではSOI層とSTI層の分離は生じていない。しかし、H2雰囲気中アニール温度を1000℃とすると、SOI層は楕円状に凝集している。
厚さ86nmのSOI層の場合も、985℃までのH2雰囲気中アニールでは、SOI層とSTI層の分離は生じていないが、1000℃にH2雰囲気中アニール温度を上昇させると、SOI層がシュリンクし始めているのが観察される。
厚さ50nm、86nmの場合、H2雰囲気中アニール温度を1000℃以上とすると、SOI層の凝集が生じてしまう。H2雰囲気中アニール温度を990℃以下とすれば、SOI層の凝集は、ほぼ生じず、生じたとしても無視できる程度か、容認できる程度であろう。厚さ30nmを越え、厚さ100nm以下のSOI層をH2雰囲気中アニールする場合は、熱処理温度は990℃以下にすることが望まれる。
なお、ここで述べたSOI層の厚さは初期厚さである。実際には酸化膜等として消費する厚さ等がある。初期厚さ30nmのSOI層はゲート電極形成後においては厚さ13nm程度、初期厚さ50nmのSOI層はゲート電極形成後においては厚さ33nm程度、初期厚さ86nmのSOI層はゲート電極形成後においては厚さ約68nmにまで厚さが減少している。
上述の実験結果から、初期厚さ30nm以下のSOI層を用いる場合、水素雰囲気中熱処理温度は905℃以下、より好ましくは900℃以下にすることが望まれる。初期厚さ30nmを越え、初期厚さ100nm以下のSOI層を用いる場合、水素雰囲気中熱処理温度は990℃以下にすることが望まれる。
他の熱処理においても、これらの温度が目安となるであろう。このように熱処理温度を低温化することにより、SOI層の凝集を防止することが可能となる。特に、初期厚さ30nm以下のSOI層を水素雰囲気中で熱処理する場合、熱処理温度を低温化することが望まれる。
ゲート絶縁膜成膜前には、金属不純物除去、パーティクル除去、及び酸化膜除去等の目的で薬液によるウエハのウェット洗浄が種々行われる。金属除去には一般的にSC2(塩酸:過酸化水素:水)やPOS(硫酸:過酸化水素)、パーティクル除去にはSC1(アンモニア:過酸化水素:水)、酸化膜除去には希釈HF水溶液(弗酸:水)等が用いられる。これらの薬液中にウエハを浸したり、薬液を吹き付けることで薬液処理が行われる。薬液処理後、純水洗浄が行なわれる。
これらの薬液処理はHFを除いては、Si表面を酸化させる処理であり、過酸化水素の比率などにもよるが、その後の水洗処理も入れると、1nmを超えて自然酸化膜が形成される場合もある。
今回、パーティクル除去、金属除去の処理を先に行い、その後自然酸化膜除去のHF水溶液処理を行った。発明者等は、HFを純水で超希釈状態に希釈し、酸化膜に対するエッチングレートを十分に低下させた酸化膜除去処理を実現した。HF=1に対して、H2O=200以上で希釈した水溶液を超希釈水溶液と呼ぶことにする。HF:H2O=1:700の超希釈HF水溶液は、酸化膜に対するエッチングレートが約0.1nm/minとなった。後述のように、酸化膜に対して均一なエッチングを行うことも可能となった。
この超希釈水溶液を用いると、0.25nm〜0.5nm程度の微量の酸化膜エッチングも10%以下の精度で調整できる。2種類以上の厚さを有する酸化シリコン膜を形成する場合にも、十分に厚さの制御を行なうことが可能である。さらに、この超希釈HF水溶液処理を5分間行い、続いて水洗、乾燥を行なうことで、0.5nm以下の自然酸化膜を実現できた。
図3A〜3Fを参照して、第1の実施例による半導体装置の製造方法を説明する。
図3Aに示すように、シリコン基板10の表面に、素子分離用トレンチを形成し、酸化シリコン等を埋め込んでSTIによる素子分離領域11を形成する。素子分離領域11により、複数の活性領域AR1,AR2が画定されている。
図3Bに示すように、素子分離領域11で画定された活性領域AR1,AR2表面に、第1の酸化シリコン層12を熱酸化により形成する。たとえば、800℃の水蒸気(ウェット)酸化により、活性領域表面に3.3Vの駆動電圧に対応する厚さ約7nmの酸化シリコン膜に、エッチングする厚さ0.5nmを加算した厚さ約7.5nmの酸化シリコン膜12を形成する。
図3Cに示すように、活性領域AR2を露出するレジストマスク14を形成し、露出された活性領域AR2の酸化シリコン層12を希釈フッ酸水溶液15で除去する。他の活性領域はレジストマスク14で覆われているので、この酸化膜エッチングは、従来同様の、たとえば2%の希釈HF水溶液で行なえばよい。その後、純水で洗浄し、レジストマスク14を除去する。この工程を超希釈HF水溶液で行なってもよいが、処理時間が長くなる。
図3Dに示すように、必要に応じた薬品処理を行った後、HF:H2O=1:700の超希釈フッ酸水溶液16で5分間処理する。続いて、水洗、乾燥処理を行なう。酸化シリコン膜12は、5分間の超希釈HF水溶液処理により、厚さ約0.5nm分エッチングされ、厚さ約7nmとなる。酸化シリコン層12を除去された活性領域表面には、厚さ約0.5nmの自然酸化膜17が形成される。さらに条件を探求することにより、厚さ0.5nm以下の自然酸化膜を形成できるであろう。ただし、厚さ0.1nmより薄くすることは困難であろう。
図3Eに示すように、薄い自然酸化膜17が形成されたウエハに対し、20torrの水素ガス100%雰囲気18中で900℃で10秒間、水素雰囲気熱処理を行なう。厚さ約0.5nmの自然酸化膜17は、水素雰囲気中熱処理により還元除去される。
図3Fに示すように、自然酸化膜17を除去した活性領域表面に乾燥(ドライ)酸素雰囲気中で厚さ1.5nm以下の、例えば厚さ約1.2nmの、相対的に薄いゲート絶縁膜19の形成を行なう。相対的に厚い酸化シリコン膜12も若干成長する。
酸化シリコン膜の形成をドライ熱酸化で行った後、窒化性雰囲気、例えばN2O、NO等のガス雰囲気中で窒化処理を行なう。特に相対的に薄い酸化シリコン膜中において、導入された窒素がマイグレートし、基板との界面近傍に酸化窒化シリコン膜又は窒化シリコン膜を形成する。窒素導入方法としては他に、活性窒素を用いて絶縁層中または表面側に導入する方法もある。相対的に薄いゲート絶縁膜に窒素を導入するのは、ゲート電極中の不純物の影響を防止するためであるが、他の手段を採用し、窒素導入を省略することもできる。
その後、多結晶シリコン層を例えば厚さ約150nm成膜し、所望のゲート電極幅でパターニングする。ゲート電極をマスクとし、エクステンション領域のイオン注入を行なう。サイドウォールスペーサを形成した後、再び不純物イオン注入を行い、高濃度ソース/ドレイン領域を作成する。その後、ゲート電極を層間絶縁膜で覆う。ゲート、ソース、ドレインに対しそれぞれ引き出し電極を形成する。
このようにして、厚さの異なる2種類のゲート絶縁膜を有する半導体装置を形成することができる。なお、以上の説明においては、2種類のゲート絶縁膜を有する半導体装置を形成したが、3種類のゲート絶縁膜を有する半導体装置を形成することもできる。
上述の実施例の効果を確認するため、先ず、超希釈HF水溶液によるエッチングで酸化シリコン膜の局所的過剰エッチングが生じるか否かを調べた。図3Bに示す1回目の酸化処理で厚さ7.7nmの酸化シリコン膜を熱酸化で形成し、続いて、図3Dに示す超希釈HF水溶液によるウェット処理で0.5nm分の酸化膜エッチングを行い、続いて図3Fに示す2回目の酸化処理でベアSi面上で厚さ1.8nmの酸化シリコンを形成するのに対応する処理を行なった。
比較のため、超希釈HF水溶液の処理を行わないサンプルも形成した。始めに図3Bに示す酸化処理により厚さ7.2nmの厚い酸化シリコン膜12を形成し、続いてベアSi表面上で厚さ1.8nmの酸化シリコン膜を形成するのに相当する図3Fに示す2回目の酸化処理を行なった。2回目の酸化処理によっては膜厚増加はほとんど生じなかった。
図4A、4Bは、これらのサンプルのゲート絶縁膜の絶縁耐圧を測定した測定結果を示す。横軸は印加電圧を単位Vで示し、縦軸はリーク電流を単位A、対数目盛で示す。
図4Aは、比較例の測定結果を示す。酸化膜のエッチングは行っていないので、絶縁不良は生じていない。良好な絶縁耐圧特性が示されている。
図4Bは、試験例のゲート酸化膜の耐圧試験の結果を示すグラフである。一旦形成した酸化シリコン膜に、HF水溶液でエッチングを行なっているので、従来のエッチングであれば、局所的にエッチングが促進され、ピンホール的に膜厚が減少した領域が生じ、絶縁耐圧の劣化、信頼性の劣化を生じ得る。図に示すグラフは、初期不良もBモード不良も示していない。図4Aのゲート絶縁膜同様耐圧に優れていることが分る。超希釈フッ酸水溶液のエッチングにより、エッチピット等ゲート絶縁膜の信頼性を損なう現象は生じていないことが分かる。
なお、酸化膜厚は、Rudolph社製のエリプソメータ、Matrix S200S(使用波長:633nm単波長)を用い、屈折率を1.462として測定した。エリプソメータでの膜厚測定は、他の測定方法に較べると再現性に優れているが、1nm以下の膜厚測定では、その再現性は0.02nm程度の幅を持つ。同一機種のエリプソメータでも、測定器間差は0.02nmを超える程度存在することが一般的である。エリプソメータでも機種が異なると、膜厚測定結果が異なることがある。KLA社の633nmの単波長を用いたエリプソメータによる測定値は0.2nm厚い測定結果を示した。
次に、薬液によるウエット洗浄で、最終的に形成される自然酸化膜厚を1nm以下で3種類準備した。これら3種類の膜厚を有する自然酸化膜に対し、急速昇降温度熱処理(rapid thermal anneal)装置において、図3Eに示す水素雰囲気中熱処理を20torrの100%水素雰囲気において10秒間、複数種類の温度において行い、熱処理後の酸化膜厚を測定した。
なお、酸化膜厚の測定は、熱処理後に大気雰囲気で行なった。このため、水素雰囲気中熱処理中に自然酸化膜が完全に還元除去されていても、測定までの間に自然酸化膜の成長が生じてしまい、酸化膜厚として0と測定されることはない。今回は、膜厚測定器の測定値として0.15nm以下を得たサンプルは、水素雰囲気中熱処理中に酸化シリコン膜が完全に還元除去されたと想定した。
図5は、測定結果を示すグラフである。横軸は水素アニール温度を単位℃で示し、縦軸は自然酸化膜厚を単位nmで示す。横軸中処理無しは、水素アニール処理を行なう前の酸化膜厚を示す。水素雰囲気中熱処理前に作成した自然酸化膜の膜厚は、約0.73nm、約0.51nm、約0.37nmの3種類である。これら3種類の膜厚の自然酸化膜に対し、水素アニール処理を850℃〜1000℃の範囲で行った。
初期膜厚0.73nmの自然酸化膜は、900℃、950℃の水素アニール処理を行ってもかなりの厚さが残り、自然酸化膜を除去するためには、約980℃以上の処理温度が必要であることが示されている。
初期膜厚0.37nmの自然酸化膜は、850℃の水素アニール処理によりほぼその全膜厚が除去されると判断され、880℃、890℃、900℃に水素アニール処理の温度を上昇させると、より確実に自然酸化膜が除去されていると考えられる。
初期膜厚0.51nmの自然酸化膜は、900℃の水素アニール処理によりほぼ除去されるようであり、約980℃、約1000℃の水素アニール処理によれば、完全に除去されていると考えられる。
約980℃、約1000℃の処理温度となると、初期膜厚にかかわらず自然酸化膜はほぼ完全に除去されると考察される。
図5に示す測定結果は、初期自然酸化膜厚によって、水素アニール処理で自然酸化膜を還元除去できる温度が異なることを示している。初期膜厚が厚い場合、約980℃以上の高温としなければ、自然酸化膜を完全に除去することは困難となり得る。初期膜厚を約0.5nm以下とすれば、900℃以下の水素アニール処理によっても自然酸化膜をほぼ完全に除去することが可能と考察される。初期膜厚を、0.4nm以下とすれば、水素アニール温度が約850℃以上であれば、自然酸化膜をほぼ完全に除去できると考察される。
これらの結果から、約900℃、より詳細には905℃以下の水素雰囲気中熱処理によって自然酸化膜を完全に除去しようとする場合は、自然酸化膜厚は0.5nm以下とすることが望ましいことが分かる。なお、ウェット洗浄を行う限り、0.1nm以上の厚さを有する自然酸化膜は生じるであろう。
次ぎに、水素雰囲気中熱処理によって還元除去される自然酸化膜厚が、処理温度、処理圧力によってどのように変化をするかを調べた。
図6Aは、初期自然酸化膜厚が0.842nmの場合を示し、図6Bは、初期自然酸化膜厚が0.426nmである場合を示す。図中横軸は処理圧力を単位torr、対数スケールで示し、縦軸は自然酸化膜厚を単位nm、リニアスケールで示す。
図6Aにおいて、初期酸化膜厚は×印で示されている。この自然酸化膜に対し、1000℃、980℃、950℃、930℃、880℃における水素雰囲気中アニールを行なった。水素雰囲気中アニール処理の処理圧力を変化させた時の残存酸化膜厚の変化が示されている。1000℃の処理温度においては、処理圧力によらず自然酸化膜がほぼ完全に還元除去されていることが示されている。処理温度を980℃に低下させても、処理圧力によらず酸化膜厚はほぼ完全に除去されていると考えられる。
処理温度を950℃まで降温させると、処理圧力が低下するに従って残存酸化膜厚が低下する特性が示されている。酸化膜をほぼ完全に除去するためには10torr以下の低処理圧力が望ましい。
処理温度が930℃まで降温すると、処理圧力の低下と共に残存酸化膜厚が低下する特性は同様であるが、残存する酸化膜厚が厚く、酸化膜を完全に除去することは困難となる。処理温度が880℃まで降温すると、処理圧力による変化はほとんど見られない。すなわち、酸化膜はH2中熱処理により1部除去されるが、かなりの部分が残存し、処理圧力を変化させても残存する酸化膜厚の変化はわずかである。
図6Bは、初期酸化膜が0.426nmの場合を示す。処理温度は、930℃、880℃とした。処理圧力を5torr、10torr、20torrと変化させたが、H2雰囲気中熱処理後の残存酸化膜厚はほぼ0であり、処理温度、処理圧力による変化は観察されていない。処理前の自然酸化膜厚を0.5nm以下とし、処理圧力を20torr以下とすれば、水素雰囲気中熱処理温度を900℃以下としても、十分効果のある自然酸化膜の還元除去が可能であることが示されている。
図5、図6A、6Bに示す測定結果を考察すると、初期自然酸化膜を0.5nm以下とすれば、860℃以上の水素雰囲気中熱処理により、自然酸化膜をほぼ完全に除去することが可能であろうと推察される。水素雰囲気中熱処理の温度を900℃以下に制限しても、約40℃の熱処理温度の余裕がある。なお、図3A〜3Fに示す第1の実施例において、相対的に薄いゲート絶縁膜を形成するには、水素雰囲気中アニール処理に引き続き、同一処理室内で、又は半導体ウエハを大気に触れさせることなく絶縁膜形成処理チャンバーへ搬入し、次の絶縁膜成膜を行なうことが最終的絶縁膜厚の安定性を確保するために好ましいであろう。
半導体装置の性能を支配するキャリアの移動度は、基板表面のマイクロラフネスにも依存する。初期自然酸化膜厚がマイクロラフネスに与える影響を調べた。先ず、初期自然酸化膜厚の異なるサンプルを準備し、これらの自然酸化膜を水素雰囲気中アニール処理で還元除去した。得られたSi表面に絶縁層を形成し、これらのサンプルの表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察し、表面荒さのパラメータであるRMSで評価を行った。以下、実験手順を説明する。
図7Aに示すように、自然酸化膜17を有するシリコン基板10を準備する。自然酸化膜12は、ウェット処理により厚さ0.8nm、1.1nm、1.2nm、1.3nmのものを準備した。
図7Bにしめすように、これらの自然酸化膜を還元除去できる、温度1000℃、雰囲気圧力20torr、処理時間10secの水素雰囲気中アニール処理を行った。
図7Cに示すように、一部のサンプルに対しては、さらに、マイグレーションを促進し、マイクロラフネスを改善するよう、He雰囲気中のアニール処理を行なった。Heアニール処理も、1000℃、雰囲気圧力20torr、処理時間10secで行った。
図7Dに示すように、水素雰囲気中熱処理(またはさらに行うHe雰囲気中熱処理)に続いて、大気に触れさせることなく、0.85nmの酸化膜19を成膜した。
図7Eに示すように、酸化膜19形成後、NOガスによる窒化処理を行った。最終的に厚さ1.1nmの絶縁膜をえた。
図7Fは、初期自然酸化膜厚に対して、最終的に得られたマイクロラフネスの測定結果を示すグラフである。横軸は、初期自然酸化膜厚を単位nm、リニアスケールで示し、縦軸はRMSを単位nm、対数スケールで示す。水素アニール後の測定結果を△印で示し、水素アニールに続きHeアニールを行った後の測定結果を◇印で示す。初期酸化膜厚が1.2nm以下の場合、初期酸化膜厚にほぼ比例して、RMSが変化していることが観察される。初期酸化膜厚が約1.3nm以上の場合、RMSは急激に増大している。
図7Fに示す結果からは、マイクロラフネスを改良するためには、初期酸化膜厚を約1.2nm以下とすることが望ましく、初期酸化膜厚が薄いほどマイクロラフネスも小さくなると判断される。
マイクロラフネスも、初期自然酸化膜厚の影響を強く受けていることが分かる。なお、ゲート絶縁膜として窒化酸化膜を成膜を成膜したが、窒素を含まない酸化膜であっても同様の結果が得られるものと考察される。又、一般にハイk材料と言われるHfや、Zr、Al等を含む金属酸化膜を用いることも可能である。
以下、SOI基板を用いた実施例1の変形例による半導体装置の製造方法を説明する。
図8Aに示すように、支持基板であるシリコン基板26の上に酸化シリコンの埋め込み絶縁層25、単結晶シリコン(SOI)層20を備えたSOI基板の表面に、素子分離用トレンチを形成し、酸化シリコン等を埋め込んでSTI素子分離領域21を形成する。素子分離領域21により、活性領域AR1、AR2が画定されている。
図8Bに示すように、800℃の水蒸気(ウェット)酸化により、SOI層20表面に厚さ約7.5nmの相対的に厚い酸化シリコン層のゲート絶縁膜22を形成する。
図8Cに示すように、基板表面にレジスト層を形成し、露光現像して活性領域AR2を開口するレジストパターン24を作成する。レジストパターン24をマスクとし、活性領域AR2上の酸化シリコン膜22をフッ酸水溶液により除去する。
図8Dに示すように、薬液によりレジストパターン24を除去する。さらに、SC1、SC2等の薬液処理を行う。最後に上述の超希釈HF水溶液27により5分間のウェット処理を行い、活性領域AR2表面上に、0.5nm以下の厚さの自然酸化膜28を形成する。活性領域AR1上の酸化シリコン膜は、0.5nmエッチされて、厚さ7nmとなる。
図8Eに示すように、20torrの水素ガス100%雰囲気29中でSOI層20を900℃で10秒間加熱し、水素雰囲気中熱処理を行なう。この水素雰囲気中熱処理により、活性領域AR2上の厚さ0.5nm以下の自然酸化膜28は除去される。
図8Fに示すように、水素雰囲気中熱処理を行った処理室と同一の処理室内、又は真空を破らずに基板を搬送できる処理室内において乾燥(ドライ)酸素雰囲気中で相対的に薄いゲート絶縁膜31の形成を行なう。酸化シリコン膜の形成をドライ熱酸化で行った後、窒化性雰囲気、例えばN2O、NO等のガス雰囲気中で窒化処理を行なう。
導入された窒素が、酸化シリコン膜31をマイグレートし、SOI層20との界面近傍に酸化窒化シリコン膜又は窒化シリコン膜を形成する。このようにして、活性領域AR2に厚さ約1.2nmの相対的に薄いゲート絶縁膜を形成する。相対的に薄いゲート絶縁膜に窒素を導入するのは、ゲート電極中の不純物の影響を防止するためであるが、他の手段を採用し、窒素導入を省略することもできる。
図8Gに示すように、多結晶シリコン層33を厚さ約150nm成膜し、所望のゲート電極幅でパターニングする。ゲート電極をマスクとし、エクステンション領域34のイオン注入を行なう。サイドウォールスペーサ35を形成した後、再び不純物イオン注入を行い、深い高濃度ソース/ドレイン領域36を作成する。
深いソース・ドレイン領域の底面を埋め込み絶縁層に到達させるか近接させることにより、絶縁分離を実現し、寄生容量を低減できる。その後、ゲート電極を層間絶縁膜38で覆う。なお、ゲート、ソース、ドレインに対しそれぞれ引き出し電極G、S、Dを形成する。
このようにして、厚さの異なる2種類のゲート絶縁膜を有するSOI型半導体装置を形成することができる。
なお、以上の説明においては、2種類のゲート絶縁膜を有する半導体装置を形成したが、3種類のゲート絶縁膜を有する半導体装置を形成することもできる。この場合は、図8A〜8Fに示す工程により、厚いゲート絶縁膜と中位の厚さのゲート絶縁膜を形成し、図8C〜8Fに示す工程を繰り返し、さらに薄いゲート絶縁膜32を形成する。
図8Hに示すように、このようにして3種類のゲート絶縁膜を形成した後、ゲート電極、エクステンション領域、側壁酸化膜、ソース/ドレイン領域、層間絶縁膜の形成を行う。
ゲート絶縁膜の一部を除去する工程において、レジスト除去およびそれに引き続く表面処理の薬液処理を行うが、薬液処理の最後に超希釈HF水溶液の洗浄を行い、純水洗浄、乾燥を行うことにより、自然酸化膜の厚さを0.5nm以下とし、水素雰囲気熱処理の温度を900℃以下とすることを可能とする。さらに、水素雰囲気熱処理により、基板表面が平坦化され、ゲート耐圧の向上を図ることができる。
なお、始めに形成するゲート絶縁膜の成膜前に、同様の水素雰囲気熱処理を行なってもよい。なお、水素雰囲気熱処理の条件は、残存させるゲート絶縁膜に大きな影響を与えない範囲内で選択することができる。水素雰囲気の代りに、水素を含む雰囲気を用いてもよい。例えば、窒素やアルゴン等のガスで水素を希釈した雰囲気を用いてもよい。
最も薄いゲート絶縁膜を、熱酸化による酸化シリコン膜で形成し、この酸化シリコン膜に窒素を導入することにより形成したが、プラズマ酸化やラジカル酸化による酸化膜を用いることも可能であろう。又、窒素を含まない酸化膜を用いることも可能であろう。
以上、部分空乏化SOIトランジスタを形成する場合を説明したが、完全空乏化SOIトランジスタを形成することもできる。
図9A〜9Dは、完全空乏化SOIトランジスタを形成する変形例を示す。
図9Aに示すように、シリコンの支持基板26上に、埋め込み絶縁層25、SOIシリコン層20を有するSOIウエハを準備する。SOI層は、例えば最終的な厚さが5nmとなるように選択する。SOI層20、埋め込み絶縁層25を貫通し、支持基板26に入り込むSTI素子分離領域21を形成する。
図9Bに示すように、p型不純物をイオン注入し、支持基板26内にp型ウェル30を形成する。その後、SOI層20上にゲート絶縁膜31、多結晶シリコンのゲート電極33、酸化シリコン等の絶縁カバー層39を積層し、パターニングする。ゲート電極構造が形成される。
ゲート電極構造をマスクとしてn型不純物をイオン注入して、ソース/ドレインのエクステンション34を形成する。エクステンション34間のSOI層20は電気的に孤立し、動作時には完全に空乏化する状態となる。酸化シリコンなどの絶縁層を堆積し、異方性エッチングしてゲート電極構造側壁上にサイドウォールスペーサ35を形成する。サイドウォールスペーサ35両側には、SOI層20が露出する。
図9Cに示すように、ゲート電極構造とサイドウォールスペーサをマスクとして、SOI層20、埋め込み絶縁層25をエッチングする。シリコン支持基板26の表面が露出する。
図9Dに示すように、シリコン表面上にシリコン層をエピタキシャル成長する。n型不純物をイオン注入して深いソース・ドレイン領域50を形成する。さらに、カバー層39を除去し、シリサイド化を行って、ゲート電極33、深いソース・ドレイン領域50表面にシリサイド層を形成してもよい。
完全空乏化SOIトランジスタは、埋め込み絶縁層によってエクステンションの深さが規制されるため、パンチスルーを防止した微細化トランジスタを実現しやすい。
なお、半導体素子を形成するシリコン層に、引張り応力を導入することにより、キャリア移動度を向上させることができる。このような引張り応力を内臓した歪みSi層を形成するために、Siの格子定数よりも大きな格子定数を有する下地基板上にSi層をエピタキシャルに形成する技術を利用することができる。
Siは格子定数約5.43Aのダイヤモンド結晶であり、Geは格子定数約5.66のダイヤモンド結晶であり、Si−Geは混晶を形成できる。Si−Ge混晶のGe組成を増加させると格子定数は次第に増大する。CaF2は格子定数5.46Aの立方晶系であり、Si単結晶上、又はSi−Ge混晶上にエピタキシャルに成長することができる。Si−Ge混晶を用い、格子定数を一旦増大させた上にSi層をエピタキシャルに成長すると、引張り歪みを内蔵したSi層を形成することができる。格子定数が変化するSi−Ge混晶にCaF2層を挿入するとSOI型歪Si層を実現できる。
図10A〜10Hは本発明の第2の実施例を示す。
図10Aは、Si−Ge混晶の格子定数を示すグラフである。横軸は、Si原子数に対するGe原子数の比を%で示す。縦軸は格子定数を単位Aで示す。Si−Ge混晶のGe濃度が増大するにつれ、格子定数はほぼリニアに増大する。CaF2は、格子定数約5.46Aであり、Ge濃度約13〜17%のSiGe混晶の格子定数に相当する。
図10Bに示すように、(100)面のシリコンウエハ41を化学気相堆積(CVD)チャンバ内のサセプタに載置し、シリコンウエハ41の温度を約600℃〜700℃に安定化する。SiH4ガスとGeH4ガスとH2ガスとを所定混合率で混合した混合ガスを2000sccmの流量でチャンバ内に供給し、シリコンウエハ41上にSi−Ge混晶層42aをエピタキシャルに成長させる。
GeH4のSiH4に対する流量比を成膜中に変化させる。初めは、Ge濃度の極めて低いSi−Ge混晶がSiウエハ上に成長し、ほぼ格子整合する。混合ガス中のGe濃度の増加によりエピタキシャル層のGe濃度が下面から上面に向うほど高くなる第1の組成傾斜Si−Ge層42aがシリコンウエハ41上にエピタキシャルに成長する。この第1の組成傾斜Si−Ge層42aの厚さは例えば1μm〜3μmとする。
図10Cに示すように、第1の組成傾斜Si−Ge層42の上面におけるGeの濃度(Ge/Si)×100が約13%〜17%になったところでGe濃度を固定し、さらに成膜を続ける。第1の組成傾斜Si−Ge層42aの上に、Geの組成が膜厚方向に変化しない第1の組成一定Si−Ge層42bがエピタキシャルに成長する。第1の組成一定Si−Ge層42bの厚さは例えば1μm〜3μm程度にする。
図10Dに示すように、シリコンウエハ41をCVDチャンバから取り出し、クヌードセンセルを備えたMBEチャンバ内に移す。MBEチャンバ内において、シリコンウエハの温度を約600℃〜900℃に安定化させる。クヌードセンセル内に充填したCaF2を1800℃程度に加熱し、CaF2分子線を生成し、Si−Ge層42の表面上に照射する。1原子層〜3原子層/分程度の成膜レートで、単結晶CaF2層43をSi−Ge層上にエピタキシャルに成長する。CaF2層43の厚さが10nm〜1000nmになった時成膜を止める。このようにして、単結晶絶縁層43を得る。
なお、CaF2層の他に(Ca、Sr)F2等の混晶弗化物、Al2O3層、SeO2層、MgO−Al2O3層等を単結晶絶縁層として形成してもよい。(Ca−Sr)F2層を成長する場合は、CaF2のクヌードセンセルとSrF2のクヌードセンセルとを用い、成長中徐々にSrF2の組成を増加することもできる。SrF2組成の増加に伴って、格子定数は増大する。
図10Eに示すように、ウエハを再びCVDチャンバ内に移し、基板温度を約600℃〜700℃に固定する。GeH4,SiH4の混合ガスを用い、GeH4のSiH4に対する流量比を変化させることにより、Ge濃度が下面から上面に向うほど高くなる第2の組成傾斜Si−Ge層44aを単結晶絶縁層3の上に厚さ約0.5μm〜2μm程度エピタキシャルに成長させる。第2の組成傾斜Si−Ge層44a中のGe濃度は下面においては約13〜17%程度であり、その上面においては20%〜50%である。
図10Fに示すように、第2の組成傾斜Si−Ge層44aを成長した後、GeH4のSiH4に対する流量比を固定し、第2の組成傾斜Si−Ge層4aの上に第2の組成一定Si−Ge層44bをエピタキシャルに成長させる。第2の組成一定Si−Ge層44bの膜厚は、例えば1μm〜3μm程度とする。
図10Gに示すように、GeH4の供給を停止し、SiH4とH2との混合ガスをソースガスとして供給し、第2のSi−Ge層44の上にSi層45を厚さ約10nm〜30nmにエピタキシャルに成長させる。
ストレスのない単結晶シリコンの格子定数は、約5.43Aであり、第2の組成一定Si−Ge層4bの格子定数、約5.48A〜約5.54Aよりも小さい。このため、エピタキシャルに成長するSi層45は、下地のSi−Ge層44bの格子定数に合わせて引張り歪みを内蔵する歪Si層となる。
上述の実施例においては、シリコンウエハの上にGe濃度が単調増大するSi−Ge層を成長し、その上に歪みSi層を成長し、Si−Ge混晶層の中間にCaF2層を挿入した。結晶成長においては、下地の格子定数に近い結晶が先ず成長され、その後格子定数が徐々に変化する。このため、格子不整合に伴う結晶欠陥が形成されにくい。Si−Ge混晶の格子定数を一旦5.46A〜5.47A程度に大きくし、格子定数5.46AのCaF2との格子整合を可能とする。CaF2層の上に、さらにSi‐Ge混晶を成長し、格子定数をさらに徐々に増大している。このため、高品位な単結晶層を形成することができる。
又、組成傾斜混晶層の上に組成一定混晶層を形成するので、組成傾斜混晶層内に欠陥が発生しても、組成一定混晶層内で吸収され、その上面には結晶欠陥が入り難くなる。
第2のSi−Ge層上面での格子定数は5.48A〜5.54Aとなり、シリコンの格子定数約5.43Aよりもかなり大きくなる。このようにして、歪みSi層45と下地との格子不整合を大きくし、強い引張り歪みを発生させることができる。
図10Hに示すように、基板表面から少なくとも単結晶絶縁層43表面に達するシャロートレンチを形成し、SiO2等の絶縁物を埋め込んでSTI素子分離領域46を形成する。
前述の実施例同様、基板表面の自然酸化膜を除去し、歪みSi層45の表面を熱酸化してゲート絶縁膜31を形成する。ゲート絶縁膜31の上に多結晶シリコンのゲート電極33を形成し、ゲート電極形状にパターニングする。浅いイオン注入を行い、ソース/ドレインのエクステンション34を形成する。酸化シリコン等の絶縁層を堆積し、異方性エッチングを行いゲート電極側壁上にサイドウォールスペーサ35を形成する。ゲート電極表面及びサイドウォールスペーサ両側に露出したシリコン表面にソース/ドレイン36用のイオン注入を行った後、シリサイド化反応を行い、シリサイド層37を形成する。
その後、基板表面を窒化シリコン等のカバー層40で覆う。カバー層40の上に、TEOSをソースガスとしたプラズマCVD等により、酸化シリコンの層間絶縁層38を形成する。層間絶縁層38、カバー層40を貫通してコンタクトホールを形成し、シリサイド層37を露出させる。コンタクトホール内にTiN層をスパッタリングし、続いてタングステン膜をCVDにより成長し、不要部分を化学機械研磨(CMP)により除去し、TiN層47a、W層47bからなる導電性プラグ47を形成する。
層間絶縁膜38上にアルミニュウム等により金属配線48を形成する。
本実施例においては、埋込絶縁層が単結晶絶縁膜で形成されるため、熱伝導率が高い。酸化シリコンの絶縁層は熱伝導率が1.4W/mK程度あるが、CaF2等の単結晶絶縁層は熱伝導率が9.71W/mK程度である。このため、MOSトランジスタで発生した熱は、高い熱伝導率の単結晶絶縁層43を通じ、シリコンウエハ41裏面から速やかに放熱される。
上述の実施例においては、下地シリコン基板とCaF2単結晶絶縁層との間にSi−Ge混晶層を形成し、CaF2単結晶絶縁層上にさらにSi−Ge混晶層を形成した。目的によっては、下側のSi‐Ge層を省略することもできる。CaF2単結晶絶縁層が下地シリコンと格子不整合を有するため、結晶欠陥が発生しやすいが、ある程度の結晶欠陥が許容される場合や、他の方法で結晶欠陥を防止できる場合には下側のSi−Ge混晶を省略することができる。又、歪みSi層下のSi−Ge混晶層を省略することも可能である。例えば、引張り応力がさほど必要ない場合や、単結晶絶縁層内でさらに格子定数を増大させ、必要な格子不整合を得られる場合等には上側のSi−Ge混晶層を省略することができる。
以下、本発明の特徴を付記する。
(付記1)
(a)少なくともシリコン表面層を有する基板を準備する工程と、
(b)前記シリコン層の表面に厚さ0.1nm〜0.5nmの自然酸化膜を形成する工程と、
(c)前記厚さ0.1nm〜0.5nmの自然酸化膜を水素アニール処理により、還元除去する工程と、
(d)前記工程(c)に続いて、前記シリコン表面層の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。(1)
(付記2)
前記工程(b)が、HF=1に対してH2O=200以上の希弗酸水溶液で酸化シリコン層をエッチングし、その後純水洗浄、乾燥を行なう付記1記載の半導体装置の製造方法。(2)
(付記3)
前記工程(c)が、水素雰囲気中、905℃以下のアニールを行なう付記1記載の半導体装置の製造方法。(3)
(付記4)
前記工程(d)は、前記工程(c)後基板を大気に触れされることなく行われる付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記工程(a)における基板はSOI基板であり、前記シリコン表面層は絶縁層上に配置された厚さ30nm以下のシリコン層である付記3記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記工程(a)における基板はSi−Ge混晶層を含むSOI基板であり、前記シリコン表面層は引張り応力が内在する歪シリコン層である付記3記載の半導体装置の製造方法。(4−1)
(付記7)
前記工程(a)における基板は、シリコン支持基板を含み、前記シリコン表面層と前記シリコン支持基板との間に配置された単結晶絶縁層を含む請求項6記載の半導体装置の製造方法。(4−2)
(付記8)
前記工程(a)が、(a−1)CVDによりSi−Ge混晶層をエピタキシャル成長する工程と、(a−2)MBEにより単結晶絶縁層をエピタキシャルに成長する工程と、を含む付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記工程(a−1)が、Ge濃度が単調に増加するSi−Ge混晶層をエピタキシャル成長する工程を含む付記8記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記工程(a−1)が、さらにGe濃度が一定のSi−Ge混晶層をエピタキシャルに成長する工程を含む付記9記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記単結晶絶縁層が、シリコン支持基板とSi−Ge混晶層との間、Si−Ge混晶層内、Si−Ge混晶層とシリコン表面層との間のいずれかに配置されている付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記単結晶絶縁層が、弗化物絶縁層である付記11記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記単結晶絶縁層が、CaF2、Al2O3、SeO2、MgO−Al2O3のいずれかで形成されている付記11記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
(a)厚さ30nmを越え、厚さ100nm以下のシリコン表面層を有するSOI基板を準備する工程と、
(b)前記SOI基板を、水素雰囲気中、温度990℃以下でアニール処理して、自然酸化膜を除去する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。(5)
(付記15)
(a)少なくともシリコン表面層を有する基板を準備する工程と、
(b)前記シリコン表面層の表面に厚さ0.1nm〜1.2nmの自然酸化膜を形成する工程と、
(c)前記厚さ0.1nm〜1.2nmの自然酸化膜を水素アニール処理により還元、除去する工程と、
(d)前記工程(c)に続いて、前記シリコン表面層の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
(付記16)
(a)絶縁膜上に厚さ100nm以下かつ30nmより厚いシリコン層を有するSOI基板を準備する工程と、
(b)前記SOI基板表面の自然酸化膜を水素アニール処理により還元、除去する工程と、
(c)前記工程(b)に続いて、前記シリコン表面層の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記工程(b)が、水素雰囲気中990℃以下のアニールを行なう付記16記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
支持基板と、
前記支持基板上方に形成された単結晶Si‐Ge混晶層であって、上方に向うに従ってGe成分が単調に増大するSi−Ge混晶層と、
前記Si−Ge混晶層上方に形成され、引張り応力が内在する歪Si層と、
前記支持基板と前記歪Si層との間に挿入された単結晶絶縁層と、
を有する半導体装置。
(付記19)
前記支持基板が単結晶Si基板であり、前記単結晶絶縁層がCaF2、Al2O3、SeO2、MgO−Al2O3のいずれかで形成されている付記18記載の半導体装置。
(付記20)
前記SiGe混晶層が、上方に向かうに従ってGe成分が増大する組成勾配層とその上に形成され一定のGe成分を有する組成一定層とを含む付記18記載の半導体装置。
(付記21)
さらに、前記歪Si層表面に形成された絶縁ゲート電極と、
前記絶縁ゲート電極両側で前記歪Si層内に形成されたソース/ドレイン領域と、
を有する付記18記載の半導体装置。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者にとって自明であろう。