JP2005068140A - セロオリゴ糖の製造方法 - Google Patents
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Abstract
幅広い分野での使用が見込まれているセロオリゴ糖、その中でも特にセロビオースを製造する工程において、セルラーゼ反応性の高いある特定の結晶化度と保水度のパルプを用いることにより、簡単かつ低コストでセロビオースの工業的規模の大量生産が可能となる。
【解決手段】
セルラーゼ反応基質に、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式(式−1)によって算出された値が10%〜80%であり、かつ保水度が200%〜1000%であるパルプを用いる。前記パルプを、フィブリル化処理、メカノケミカル処理、化学的処理のいずれか一つあるいは複数の処理を施して得る。
χc =((I002C − Ia)/ I002C) × 100 … 式−1
χc : セルロースI型結晶化度 (%)
I002C : 002面(2θ=22.6°)の回折強度
Ia : アモルファス部分(2θ=18.5°)の回折強度
Description
(1)酵素による合成反応としては、リン酸の存在下、シュクロースを発底原料にシュクロースホスホリラーゼ、グルコースイソメラーゼおよびセロビオースホスホリラーゼを順に作用させることで、セロビオースを得る方法(特許文献1参照)が知られている。しかしながら、この方法ではセロビオースを得るために高価な酵素を3種類使用し、かつそれぞれ3段階の反応を行わねばならず、工業生産を考慮すると酵素のコストがかかり、また生産性が低いという課題があった。
(A)グルコースへの分解を防止するという点に関しては、セロビオースをグルコースへと変換させるβ-グルコシダーゼをセルラーゼから選択的に除去することでセロビオースの分解を防止する方法(特許文献2,3参照)、反応装置として限外ろ過装置を使用することで生成したセロビオースを反応系外へ抜き出すことによってグルコースへの分解を抑制する方法(特許文献4,5参照)が開示されている。
一方、(B)セルラーゼのセルロースへの反応性を高める点に関しては、柔細胞セルロースを原料に使用すること(特許文献4参照)、乾燥工程を経ていないスラッシュパルプまたは特定の物性値のスラッシュパルプを原料にすること(特許文献5、6参照)でが開示されている。
しかしながら、セロビオースの工業生産を考慮した場合、柔細胞セルロースは希少であることから原料として適さない。
即ち、本発明は、
(1)X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式(式−1)によって算出された値が10%〜80%であり、かつ保水度が200%〜1000%であるパルプを用いることを特徴とするセロオリゴ糖の製造方法。
χc =((I002C − Ia)/ I002C) × 100 … 式−1
χc : セルロースI型結晶化度 (%)
I002C : 002面(2θ=22.6°)の回折強度
Ia : アモルファス部分(2θ=18.5°)の回折強度
(2)パルプにフィブリル化処理、メカノケミカル処理、化学的処理のいずれか一つあるいは複数の処理を施すことを特徴とする請求項1記載のセロオリゴ糖の製造方法。
に関するものである。
保水度が200%未満であると、パルプの膨潤および繊維表面の毛羽立ちが少ない、即ち、セルロースの表面積が小さいために、セルロースのアクセシビリティーの低下に繋がるため好ましくない。保水度が1000%を超えた場合はセルラーゼの反応効率とパルプの前処理コストを比較し、効果が著しく小さくなるため、好ましくない。
なお、一つの処理よりも複数の処理を組み合わせて行う方が、効率よくパルプの結晶化度を低下、保水度を高めることができ、セルラーゼの反応性を高めることができる。
パルプ濃度が1.0%未満の場合、処理量が著しく増加するだけでなく、苛性ソーダ濃度を保つために苛性ソーダ量が増加する、即ち、薬品コストが大幅にアップするため、また、パルプ濃度が20%を超える場合はパルプ濃度が高過ぎで流動性が低下し、アルカリ化処理が不均一に進行するために好ましくない。
市販の溶解パルプ(NDPT、日本製紙ケミカル製)を乾燥工程前より湿潤状態で採取したスラッシュパルプを用いた。なお、同原料の保水度は210%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は83.3%であった。
原料1に対し、フィブリル化処理を行った。原料1をパルプ濃度3%になるように調整した水懸濁液10Lを、GC-10-46のグラインダー(マスコライダーの砥石)をクリアランスが20μmになるようにセットしたマスコロイダー(増幸産業製)にて、回転数1800rpmの条件下、処理時間が合計1時間になるように繰り返し処理を行った。なお、同原料の保水度は533%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は68.5%であった。
原料1に対し、メカノケミカル処理を行った。1L容ポットにφ30mmのセラミックボールを充填率が65%になるように入れ、更に原料1をパルプ濃度6%になるように調整した水懸濁液333mlを投入し、振動ボールミル(中央化工機製)にて30分間処理を行った。なお、同原料の保水度は383%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は74.3%であった。
原料1に対し、アルカリ処理を行った。原料1をパルプ濃度5%になるように調整した15%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、室温下、30分間攪拌(200rpm)し、遠心分離機にて余分なアルカリを除去した後、pHが中性になるまでイオン交換水で洗浄した。なお、同原料の保水度は267%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は40.4%であった。
原料1に対し、アルカリ処理及びフィブリル化処理を行った。原料1をパルプ濃度5%になるように調整した15%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、室温下、30分間攪拌(200rpm)し、遠心分離機にて余分なアルカリを除去した後、pHが中性になるまでイオン交換水で洗浄した。その後、パルプ濃度10%になるように再調整した水懸濁液300mlを、PFIミル(熊谷理機工業製)にて10000回転になるまで処理を行った。なお、同原料の保水度は648%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は39.9%であった。
原料1に対し、フィブリル化処理を行った。原料1をパルプ濃度10%になるように調整した水懸濁液300mlを、PFIミル(熊谷理機工業製)にて10000回転になるまで処理を行った。なお、同原料の保水度は235%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は82.3%であった。
原料1に対し、アルカリ処理を行った。原料1をパルプ濃度5%になるように調整した2%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、室温下、10分間攪拌(200rpm)し、遠心分離機にて余分なアルカリを除去した後、pHが中性になるまでイオン交換水で洗浄した。なお、同原料の保水度は233%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は81.7%であった。
原料1に対し、メカノケミカル処理を行った。1L容ポットにφ30mmのセラミックボールを充填率が65%になるように入れ、更に原料1をパルプ濃度15%になるように調整した水懸濁液333mlを投入し、振動ボールミル(中央化工機製)にて24時間処理を行った。なお、同原料の保水度は112%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は52.2%であった。
市販の溶解パルプ(NDPTのドライ品、日本製紙ケミカル製、水分 7.5%)を用いた。なお、同原料の保水度は175%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は86.6%であった。
原料9に対し、フィブリル化処理を行った。原料9をパルプ濃度3%になるように調整した水懸濁液10Lを、GC-10-46のグラインダーをクリアランスが20μmになるようにセットしたマスコロイダー(増幸産業製)にて、回転数1800rpmの条件下、処理時間が合計1時間になるように繰り返し処理を行った。なお、同原料の保水度は463%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は69.5%であった。
原料9に対し、メカノケミカル処理を行った。1L容ポットにφ30mmのセラミックボールを充填率が65%になるように入れ、更に原料9をパルプ濃度6%になるように調整した水懸濁液333mlを投入し、振動ボールミル(中央化工機製)にて30分間処理を行った。なお、同原料の保水度は327%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は74.3%であった。
原料9に対し、アルカリ処理を行った。原料9をパルプ濃度5%になるように調整した15%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、室温下、30分間攪拌(200rpm)し、遠心分離機にて余分なアルカリを除去した後、pHが中性になるまでイオン交換水で洗浄した。なお、同原料の保水度は257%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は41.7%であった。
原料9に対し、アルカリ処理及びメカノケミカル処理を行った。原料9をパルプ濃度5%になるように調整した15%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、室温下、30分間攪拌(200rpm)し、遠心分離機にて余分なアルカリを除去した後、pHが中性になるまでイオン交換水で洗浄した。その後、パルプ濃度10%になるように再調整した水懸濁液300mlを、PFIミル(熊谷理機工業製)にて10000回転になるまで処理を行った。なお、同原料の保水度は628%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は41.1%であった。
原料9に対し、フィブリル化処理を行った。原料9をパルプ濃度10%になるように調整した水懸濁液300mlを、PFIミル(熊谷理機工業製)にて10000回転になるまで処理を行った。なお、同原料の保水度は205%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は85.3%であった。
原料9に対し、アルカリ処理を行った。原料9をパルプ濃度5%になるように調整した2%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、室温下、10分間攪拌(200rpm)し、遠心分離機にて余分なアルカリを除去した後、pHが中性になるまでイオン交換水で洗浄した。なお、同原料の保水度は198%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は85.7%であった。
原料9に対し、メカノケミカル処理を行った。1L容ポットにφ30mmのセラミックボールを充填率が85%になるように入れ、更に原料9を20部投入し、振動ボールミル(中央化工機製)にて10時間処理を行った。なお、同原料の保水度は83%、X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式によって算出された値は34.1%であった。
10g(固形分換算)の原料2に酢酸緩衝液(pH 5.5)を適量加え、1%懸濁液を調整した。同懸濁液および市販のセルラーゼ(セルライザー、ナガセ生化学工業製)0.5gを分画分子量10000のポリスルフォン平膜をセットした攪拌機付き限外ろ過器(平膜型)に入れ、攪拌機の回転数200rpm、40℃にて、8時間糖化反応を行った。この反応の間、限外ろ過器内の反応液(糖化液)は、限外ろ過器を0.2〜0.3MPaに加圧することにより、限外ろ過膜を透過させて連続的に限外ろ過透過液として抜き出した。また、それと同時に、抜き出した透過液量と同量の酢酸緩衝液(pH 5.5)を限外ろ過器に連続的に補充し、限外ろ過器内の容量がほぼ一定となる条件を設定した。反応終了後、抜き出した透過液中に含まれるセロビオース生成量の測定、および限外ろ過器内に残存した懸濁液中に含まれる未反応物の重量を測定した。
表1における原料を用い、実施例1と同様にしてセルラーゼによる酵素分解反応を行った。試験結果を表2に示す。
表1における原料を用い、実施例1と同様にしてセルラーゼによる酵素分解反応を行った。試験結果を表3に示す。
<保水度>
J.TAPPI NO26-78に準拠し、保水度を測定した。
<セルロースI型結晶化度>
セルロースI型結晶化度は、X線回折測定装置(RAD-2Cシステム、理学電気製)を用いてセルロース系材料のX線回折を測定することで求めた。セルロースI型結晶化度の算出はSegalらの手法(L.Segal,J.J.Greely et al,Text.Res.J.,29, 786,1959)、並びにKamideらの手法(K.Kamide et al,Polymer J.,17,909,1985)を用いて行い、X線回折測定により得られた回折図の2θ=4°〜32°の回折強度をベースラインとして、002面の回折強度(2θ=22.6°)とアモルファス部分の回折強度(2θ=18.5°)から次式により算出した。即ち、この値が大きいほど、セルロースの結晶性が高く、非結晶部分が少ないことを示す。
χc =((I002C − Ia)/ I002C) × 100
χc : セルロースI型結晶化度 (%)
I002C : 002面(2θ=22.6°)の回折強度
Ia : アモルファス部分(2θ=18.5°)の回折強度
セロビオースの定量は、限外ろ過器より抜き出した透過液を対象に、高速液体クロマトグラフィーを用い、そのピーク面積より算出した。なお、カラムはセンシュー化学製NH2(φ4.6mm×250mm)、溶離液はアセトニトリル/水(65/35)、流速は1ml/minの条件で、示差屈折計(昭和電工製)にて測定を行った。
酵素分解反応終了後、限外ろ過器に残存した懸濁液より、未反応物を回収し、その重量を測定することで、未反応率(残存率)を算出した。
Claims (2)
- X線回折法によるセルロースI型結晶化度の計算式(式−1)によって算出された値が10%〜80%であり、かつ保水度が200%〜1000%であるパルプを用いることを特徴とするセロオリゴ糖の製造方法。
χc =((I002C − Ia)/ I002C) × 100 … 式−1
χc : セルロースI型結晶化度 (%)
I002C : 002面(2θ=22.6°)の回折強度
Ia : アモルファス部分(2θ=18.5°)の回折強度 - パルプにフィブリル化処理、メカノケミカル処理、化学的処理のいずれか一つあるいは複数の処理を施すことを特徴とする請求項1記載のセロオリゴ糖の製造方法。
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