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JP2005057425A - 発振回路及びこれを使用した無線通信装置 - Google Patents

発振回路及びこれを使用した無線通信装置 Download PDF

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JP2005057425A
JP2005057425A JP2003285019A JP2003285019A JP2005057425A JP 2005057425 A JP2005057425 A JP 2005057425A JP 2003285019 A JP2003285019 A JP 2003285019A JP 2003285019 A JP2003285019 A JP 2003285019A JP 2005057425 A JP2005057425 A JP 2005057425A
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豊 ▲高▼田
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    • H03B5/30Generation of oscillations using amplifier with regenerative feedback from output to input with frequency-determining element being electromechanical resonator
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    • H03B5/326Generation of oscillations using amplifier with regenerative feedback from output to input with frequency-determining element being electromechanical resonator being a piezoelectric resonator the resonator being an acoustic wave device, e.g. SAW or BAW device

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Abstract

【課題】 弾性表面波共振子に印加される電力を抑制しながら、連続発振状態を長時間継続させる。
【解決手段】 発振用の増幅器2の帰還路3に、分配器5と弾性表面波共振子6とを介装し、弾性表面波共振子6を増幅器2の入力側に接続すると共に、分配器5を増幅器2の出力側に接続して、弾性表面波共振子6に入力される入力電力を抑制すると共に、分配器かの出力端子4から出力される発振信号の出力パワーを確保する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、少なくとも増幅器の帰還路に弾性表面波共振子を介装した発振回路及びこれを使用した無線通信装置に関する。
最近、周波数が例えばGHz帯の発振回路を構成する場合に、弾性表面波共振子を使用した発振回路が適用されている。しかしながら、この弾性表面波共振子は、耐電力性が誘電体フィルタ等と比較して低く、印加する電力が大きいと櫛歯電極の劣化が加速し、発振周波数の変動や発振出力パワーの低下、ひいては発振停止につながるという問題点がある。
この問題点を解決するために、従来、圧電基板状にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる電極を形成し、この電極上の少なくとも一部分にアルミニウムと同等以上の拡散係数を有する他の元素からなる層を形成し、他の元素からなる層を他の元素が拡散しうる温度意匠に熱処理に付すことにより他の元素を電極の厚さ方向に拡散させて他の元素を含むアルミニウム合金からなる電極を形成する弾性表面波素子の製造方法が提案され、これにより耐電力性を向上させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
また、発振回路の後段に出力パワーを大きくする増幅器を用いて所望の出力パワーを確保するようにした局部発振部を備えた周波数変換器も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、水晶振動子と並列に発振のためのMOS−FETからなる発振用のインバータを接続して水晶発振器を構成し、発振用のインバータを構成するMOS−FETのオン抵抗値を設定して水晶振動子に加わる電力を制御するようにした水晶発振器も提案されている(例えは、特許文献3参照)。
特開平10−75141号公報(第1頁、図2) 特開平5−121949号公報(第2頁、図1) 特開平10−173442号公報(第1頁、図1)
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、弾性表面波共振子自体の耐電力性を向上させることはできるが、弾性表面波共振子に大きな電力を印加した状態で連続発振状態とすると、連続発振状態を維持可能な経過時間が短くなり、長時間安定して連続発振状態を継続することはできないという未解決の課題がある。
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、局部発振部で発振器から出力される発振出力を4逓倍器で逓倍してから増幅器で増幅して出力するようにしているので、出力パワーを増加させることはできるが、発振器を構成する弾性表面波共振子の耐電力性、長寿命化については方策がないという未解決の課題がある。
さらに、上記特許文献3に記載された従来例にあっては、増幅器の電力を抑制するような抵抗を内蔵させることにより、水晶発振器に印加される電力を抑制するようにしているが、弾性表面波共振子を使用した発振回路には適用することができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、弾性表面波共振子に印加される電力を抑制しながら、連続発振状態を長時間継続することができる発振回路及びこれを使用した無線通信装置を提供することを目的としている。
第1の発明は、少なくとも増幅器と、該増幅器の帰還路に介装した弾性表面波共振子と、前記帰還路内の発振信号を外部に出力する分配器とを備えた発振回路において、前記弾性表面波共振子を、前記増幅器の入力側に、当該増幅器が飽和状態となる入力電圧を供給するように接続すると共に、前記分配器を前記増幅器の出力側に接続したことを特徴としている。
この第1の発明では、弾性表面波共振子を発振用の増幅器の入力側に、その増幅器が飽和状態となって安定した発振状態を継続可能な入力電圧を供給するように接続したので、この弾性表面波共振子が増幅器の帰還路の最終段に介装されることになり、弾性表面波共振子に入力される印加電力を必要最小限とすることができ、弾性表面波共振子の連続発振状態を長時間継続することが可能となる。また、分配器が増幅器の出力側に接続されているので、この分配器から増幅器の出力パワーを直接外部に出力することができ、大きな出力パワーを得ることができるので、発振回路の後段側に出力パワーを増大させる増幅器を設ける必要がない。
また、第2の発明は、上記第1の発明において、少なくとも増幅器と、該増幅器の帰還路に介装した弾性表面波共振子と、外部から制御電圧を入力して帰還路内の位相を変化させる移相器と、前記帰還路内の発振信号を外部に出力する分配回路とを備えた発振回路において、前記弾性表面波共振子を、前記増幅器の入力側に、当該増幅器が飽和状態となる入力電圧を供給するように接続すると共に、前記分配器を増幅器の出力側に接続したことを特徴としている。
この第2の発明でも、弾性表面波共振子に印加する電力を最小限として連続発振状態を長時間継続することが可能で、且つ大きな出力パワーを得ることができる電圧制御型の発振回路を構成することができる。
さらに、第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記弾性表面波共振子は、ダイヤモンド基板上に櫛歯状電極を形成した構成を有することを特徴としている。
この第3の発明では、弾性表面波共振子をダイヤモンド基板上に櫛歯状電極を形成する構成としたので、ダイヤモンド基板中の伝播速度を大きくすることができ、より高い周波数まで発振可能となると共に、他の基板材料に比較して弾性表面波共振子の電極幅を大きくすることができるので、耐電力特性を向上させることができ、さらに、温度変化に対する周波数変動も小さくなり、より高精度な発振回路を実現することができる。
さらにまた、第4の発明は、前記第1乃至第3の何れかの発明における発振回路を備えたことを特徴とする無線通信装置である。
この第4の発明では、連続発振状態を長時間継続することが可能な発振回路で無線通信装置を構成するので、無線通信装置も長寿命化することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示すブロック図であって、図中、1は発振回路であり、この発振回路1は発振用の増幅器2を有する。
この増幅器2の出力側及び入力側間の帰還路3には、増幅器2の出力側に接続された発振ループ内の電力を等分配してその一方を発振ループ外の出力端子4に出力する等分配器5と、この等分配器5の他方の等分配出力が入力され、増幅器2の入力側に接続された弾性表面波共振子6とが介装されている。これら各ブロックは一定の特性インピーダンス、例えば50Ωに整合されて接続されている。
ここで、増幅器2は、図2に示す入出力特性を有する。この入出力特性は、横軸に入力電力Pin〔dBm〕をとり、縦軸に出力電力Pout 〔dBm〕をとったときに、入力電力Pinが−35dBmから−10dBmまで増加する間に出力電力Pout は−16dBmから8dBmまで直線的に増加し、その後、入力電力Pinが−5dBmまで増加する間に出力電力Pout が緩やかに増加し、入力電力Pinが−5dBm以上となると出力電力Pout が約10dBmで一定値となり、定常発振状態となる飽和領域に達するように設定されている。
また、等分配器5は、増幅器2から出力される増幅出力を、帰還路3を介して弾性表面波共振子6と出力端子4とに夫々等分配して出力する。
さらに、弾性表面波共振子6は、図2に示すように、図3(a)に示すように、ダイヤモンド層またはダイヤモンド状炭素膜層28a上にZnO、AlN、Pb(Zr,Ti)O2 等の薄膜圧電体層28bをスパッタ法や気相合成法等によって形成し、この薄膜圧電体層28b上に櫛歯状電極28cを形成した構成とされている。この他、図3(b)に示すように、ダイヤモンド層またはダイヤモンド状炭素膜層28a及び圧電体層28b間に絶縁性ダイヤモンド単結晶にB、Al、P、S等の不純物を導入したり、及び/又はイオン注入や電子線照射により格子欠陥を導入したりすることにより半導電性ダイヤモンド層28dを形成するようにしてもよく、さらには櫛歯状電極28cを半導電性ダイヤモンド層で形成するようにしてもよい。このように、櫛歯状電極をダイヤモンド層又はダイヤモンド状炭素膜層上に形成することにより、基板中の伝播速度を大きくすることができ、より高い周波数まで発振可能となると共に、他の基板材料に比較して弾性表面波共振子の電極幅を大きくすることができるので、耐電力特性を向上させることができ、さらに、温度変化に対する周波数変動も小さくなり、より高精度な発振回路を実現することができる。
上記構成を有する発振回路1は、発振用増幅器2に帰還回路が接続された帰還型発振器の構成を有する。
したがって、今、増幅率Gの増幅器2の入力側にViという入力電圧が現れた時、出力側には、入力電圧ViがG倍された出力電圧Vo(=Vi・G)が現れる。この出力電圧Voが帰還率βの帰還回路を通って、帰還電圧Vf(Vf=Vo・β=Vi・G・β)が入力側に戻される。
この時、帰還電圧Vfと入力電圧Viとの位相が等しければ、入力電圧Viよりも帰還電圧Vfの方が大きくなるので、正帰還となり発振が起こる。
ここで、入力電圧Viの位相をθi 、帰還電圧Vfの位相をθf 、増幅器2の位相変化をθG 、帰還回路での位相変化をθβとすると、発振が起こるためには、以下の(1)式が成り立つ必要がある。
i ・G・β・ej(θi+θG+θβ) ≧Vi・ej(2π+ θi)・・・(1)
(1)式において、入力電圧Viが、増幅器2および帰還回路を一巡して入力側に帰還された時、最初に入力された時と同位相であることが必要である。つまり、
θG +θβ=2nπ (n=0,1,2,……) …………(2)
G・β>1 …………(3)
が成り立つ必要がある。
なお、(2)式は発振器の位相条件、(3)式は振幅条件を表している。
実際には、帰還電圧Vfが大きくなってくると、増幅器2の出力電圧Voは飽和して定常状態となり、G・β=1となる。
そして、等分配器5によって発振ループ内のインピーダンスを乱すことなく、増幅器2から出力される出力電力を等分配して発振ループ外に出力することができるため、負荷に対してより安定的な回路動作をさせることができる。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
前述したように、発振用の増幅器2の入出力特性が、図2に示すように、入力電力Pinが−5dBm以上となると飽和状態となって、出力電力Pout が約10dBmで一定となって定常発振状態となるように設定されている。
この定常発振状態では、増幅器2から出力される10dBmの出力電力Pout が等分配器5で出力端子4と帰還路3とに等分配されて互いに4dBmずつ出力される。このため、弾性表面波共振子6の入力側には、4dBmの入力電力が入力され、この弾性表面波共振子6の挿入損失分6dBが差し引かれた−2dBmが増幅器2の入力電力Pinとなる。
このように、発振用の増幅器2の帰還路3における増幅器2の入力側に弾性表面波共振子6を接続する構成とすることにより、弾性表面波共振子6に印加される入力電力は4dBmとなり、発振用の増幅器2の出力側に弾性表面波共振子を設ける場合の入力電力10dBmに比較して遥かに小さい入力電力即ちミリワット換算で1/16程度となる。
このため、弾性表面波共振子6内部のサブミクロンオーダーの微細櫛歯状電極に加わる電力も最小とすることができ、電極劣化が防止され、長期間にわたって安定した共振子特性が維持される。したがって、発振回路を組み上げた場合でも、周波数の経時変化が少なく、信頼性の高い発振特性を得ることができる。
また、増幅器2の出力側に接続した等分配器5によって増幅器2のゲインを無駄なく外部に出力することができるため、発振回路としての出力パワーも大きくなり、これによって信号対雑音(S/N)比が向上するため、位相ノイズ特性に優れた発振出力信号を得ることができる。
さらに、高出力パワーが1つの発振回路1で得ることができるので、従来例のように発振器の後段に出力パワーをさらに増幅するようなバッファアンプを設ける必要がなく、全体として小サイズ化、省電力化、低コスト化を図ることができる。
しかも、弾性表面波共振子6として、ダイヤモンド層又はダイヤモンド状炭素膜層28a上に薄膜圧電体層28bを形成し、この薄膜圧電体層28b上に櫛歯状電極28cを形成したダイヤモンド基板を有する構成とすることにより、水晶又はリチウムタンタレートを基板材料とした弾性表面波共振子と比較して基板材料中の伝播速度が大きくなるため、より高い周波数(GHz帯)まで発振可能となると共に、他の基板材料に比べて同じ周波数に対する櫛歯状電極の電極幅を大きくすることができるので、櫛歯状電極の劣化を防止して耐電力特性を向上させることができ、さらに温度変化に対する周波数変動も小さいので、より高精度な発振回路を実現することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、発振用の増幅器2の増幅出力を等分配器5で発振ループ内と発振ループ外とに等分配する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、不等分配器を適用して増幅器2の増幅出力を発振ループ内及び発振ループ外に任意の分配比で分配するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態を図4及び図5ついて説明する。
この第2の実施形態では、本発明を電圧制御型発振回路に適用したものである。
すなわち、第2の実施形態では、図4示すように、前述した第1の実施形態における図1の構成において、等分配器5の発振ループ内出力端子と弾性表面波共振子6との間に外部から制御電圧を入力することにより発振ループ内の位相を可変する移相器7が介装されていることを除いては図1と同様の構成を有し、図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
ここで、移相器7は、−3dB90°ハイブリッドカプラ8a及び付加制御部8bを備えている。
−3dB90°ハイブリッドカプラ8aには、コンデンサC1〜C4及びコイルL1〜L4が設けられている。そして、コイルL1〜L4はループ状に接続され、コイルL1とコイルL2との間には、コンデンサC1が接続されていると共に、等分配器5の出力側が接続され、コイルL2とコイルL3との間には、コンデンサC3が接続され、コイルL3とコイルL4との間には、コンデンサC4が接続され、コイルL4とコイルL1との間には、コンデンサC2が接続されていると共に、弾性表面波共振子6の入力側が接続されている。
また、付加制御部8bは、リアクタンス可変回路で構成され、コンデンサC5〜C8、コイルL5,L6、抵抗R1,R2及びバリキャップA1,A2が設けられている。そして、コンデンサC5、コイルL5、コンデンサC6、抵抗R1、抵抗R2、コンデンサC8、コイルL6及びコンデンサC7が順に直列に接続され、コンデンサC5とコイルL5との間の端子は、−3dB90°ハイブリッドカプラ8aのコンデンサC3とコイルL2との間の端子に接続され、コンデンサC7とコイルL6との間の端子は、−3dB90°ハイブリッドカプラ8aのコンデンサC4とコイルL4との間の端子に接続されている。
さらに、コンデンサC6と抵抗R1との間にはバリキャップA1が接続され、コンデンサC8と抵抗R2との間にはバリキャップA2が接続され、抵抗R1と抵抗R2との間には、制御電圧Vcの入力端子が設けられている。
次に、上記第2の実施形態の動作を説明する。
今、発振用の増幅器2が飽和状態にあって、増幅出力電力が第1の実施形態と同様に10dBmであるものとすると、この増幅出力が等分配器5で4dBmずつ分配されて、一方の分配電力が出力端子4から出力され、他方の分配電力が移相器7に供給される。
この移相器7では、−3dB90°ハイブリッドカプラ8aを有するので、このハイブリッドカプラの挿入損失によって、出力側から90°の位相差を有し、且つ入力される入力電力4dBmが3dB分減衰した1dBmの電力が弾性表面波共振子6に出力される。
このため、弾性表面波共振子6では、その挿入損失分6dBが差し引かれ1dBmの入力電力が−5dBmの出力電力となって、発振用の増幅器2に入力されるので、この発振用の増幅器2が飽和領域で動作して、所望の高周波数での発振状態が維持される。
この状態で、移相器7の制御電圧Vcを調整することにより、前述した(1)式における移相変化量θβを変更することにより、発振回路1の発振周波数が変更され、所望の周波数の発振出力が出力端子4から出力される。
この第2の実施形態によっても、発振用の増幅器2の入力側に弾性表面波共振子6を接続し、出力側に等分配器5を接続するようにしているので、前述した第1の実施形態と同様に、弾性表面波共振子6の入力電力を低電力値に抑制することができるので、弾性表面波共振子6内部のサブミクロンオーダーの微細櫛歯状電極に加わる電力も最小とすることができ、電極劣化を防止して長期間にわたって安定した共振子特性が維持される。したがって、発振回路を組み上げた場合でも、周波数の経時変化が少なく、信頼性の高い発振特性を得ることができる。
また、移相器7として、−3dB90°ハイブリッドカプラとそれに付随したリアクタンス可変回路を用いることにより、低挿入損失・低リターンロスで大きな移相変化をもたらすことができる。その結果、電圧制御型発振回路の周波数可変幅を大きく取ることができ、制御電圧Vcに対し、良好な周波数可変特性を得ることが可能となり、数ギガビット/秒の伝送速度を上回る通信ネットワーク系の基準発振器として用いることが可能となる。
さらに、低挿入損失・低リターンロスであることから、回路損失も最小限に押さえることができ、出力変動が少なく、効率のよい電圧制御型発振回路を実現することができる。
そして、上記第2の実施形態の構成を有する電圧制御型発振回路を連続発振状態として、その連続発振時の経過時間と周波数偏差Δf(1×10-6)との関係を測定したところ、図5で実線図示のように、10000時間を経過した状態でも周波数偏差Δfが8×10-6程度を維持することができ、長時間の連続発振に十分に耐え得ることが実証された。
これに対して、図6に示すように、発振用の増幅器2の出力側に弾性表面波共振子6を設けた場合には、増幅器2の出力電力10dBmが弾性表面波共振子6に入力され、この弾性表面波共振子6の出力電力が4dBmとなり、これが等分配器5で等分配されて発振ループ内及び発振ループ外の出力電力が−2dBmとなり、発振ループ内の出力電力が移相器7に入力されることにより、この移相器7の出力が−5dBmとなって、これが発振用の増幅器2に帰還されて発振が行われる。
しかしながら、この図6の構成による場合、弾性表面波共振子6の入力電力が10dBmと第1及び第2実施形態における4及び3dbmに比較して格段に高い値となっており、この構成の電圧制御型発振回路について連続発振させたときの周波数偏差Δfを測定したところ、図5で破線図示のように、100時間を経過した時点から周波数偏差Δfが変化し始め1000時間を経過した時点で−30×10-6を越える状態となり、連続発振状態を長時間継続することはできないものであった。
しかも、図6の構成では、出力端子4から出力される出力電力は−2dBmであり、第1及び第2の実施形態における出力電力4dBmに比較して遥かに小さい値となり、出力パワー不足となり、後段にバッファアンプ等を設けて電力増幅する必要が生じるものであった。
なお、上記第2の実施形態においては、−3dB90°ハイブリッドカプラ8aとして集中定数形で構成した場合について説明したが、これに限定されものではなく、分布定数形で構成するようにしてもよい。
また、上記第2の実施形態においては、移相器7の出力を直接弾性表面波共振子6に入力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、フィルタ構成を有する周波数調整回路を介して供給するようにしてもよく、電圧制御型発振回路の構成をコンパクト化することができると共に、発振周波数の調整を容易に行うことができる。
次に、本発明の第3の実施形態を図7について説明する。
この第3の実施形態は、本発明による逓倍発振回路1を携帯型無線通信装置としての無線LAN装置に適用したものである。
すなわち、第3の実施形態では、図7に示すように、送受信アンテナ71が送受切換回路72に接続され、この送受切換回路72の受信側出力端子が受信回路73に接続され、送信側入力端子が送信回路74に接続されている。
受信回路73は、送受切換回路72から出力される受信信号が入力される低雑音増幅器(LNA)75と、この低雑音増幅器75の増幅出力信号が入力されるバンドパスフィルタ76と、このバンドパスフィルタ76のフィルタ出力が入力されると共に、上記第1の実施形態又は第2の実施形態における発振回路1から出力される数GHzの局部発振信号が入力され、フィルタ出力をダウンコンバートして中間周波信号IFに変換するミキサ78と、このミキサ78から出力される中間周波信号IFが入力されるバンドパスフィルタ79とを備えており、バンドパスフィルタ79のフィルタ出力が受信データとしてベースバンド信号処理回路80に入力される。
一方、送信回路74は、ベースバンド信号処理回路80から入力される送信信号が入力されると共に、前述した逓倍発振回路1から出力される局部発振信号が入力され、送信信号をアップコンバートして出力するミキサ81と、このミキサ81から出力される送信信号が入力されるバンドパスフィルタ82と、このバンドパスフィルタ82のフィルタ出力を増幅して送受切換回路72に出力するパワーアンプ83とを備えている。
この第3の実施形態では、ベースバンド信号処理回路80で送信信号が存在しないときには、送受切換回路72を受信回路73側に切換えて受信状態となり、他のアクセスポイント等から送信された送信信号を送受信アンテナ71で受信すると、これが送受切換回路72を介して低雑音増幅器75に供給して、この低雑音増幅器75で増幅してからミキサ78で中間周波信号にダウンコンバートし、バンドパスフィルタ79でフィルタ処理した受信データをベースバンド信号処理回路80に入力することにより、受信データ処理が行われる。
また、ベースバンド信号処理回路80で他のアクセスポイント等に対する送信データが存在する場合には、送受切換回路72を送信回路74側に切換えて、送信データをミキサ81に出力することにより、このミキサ81でアップコンバートしてからバンドパスフィルタ82でフィルタ処理し、最後にパワーアンプ83で増幅して送受切換回路72を介して送受信アンテナ71に供給して、他のアクセスポイント等に送信する。
この無線LAN装置でも、局部発振器として第1の実施形態又は第2の実施形態の発振回路1を適用することにより、局部発振器を小型化することができると共に、長寿命化することができ、無線LAN装置全体の構成を小型化すると共に、長寿命化することができる。
なお、上記第3の実施形態では、1段の周波数変換を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数段の周波数変換を行う場合にも本発明を適用し得るものである。
また、上記第3の実施形態では、本発明を無線LAN装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、2.4GHz帯のISMバンドを用いて周波数ホッピング方式で無線通信を行う近距離無線通信機器や、携帯電話機等の移動無線通信機器に適用することができる他、衛星放送送受信装置にも適用することができ、その他任意の通信機器に適用することができる。
増幅器の帰還路に弾性表面波共振子を、増幅器の入力側に、この増幅器を飽和状態とする入力電圧を供給するように接続したので、弾性表面波共振子に印加される電力を必要最小限とすることができ、連続発振状態を長時間継続することができ、長時間使用する無線通信装置に適用することができる。
本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。 第1の実施形態における増幅器の入出力特性を示す図である。 第1の実施形態における弾性表面波共振子を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。 第2の実施形態における連続発振時の経過時間と周波数偏差との関係を示す特性線図である。 増幅器出力側に弾性表面波共振子を接続した場合のブロック図である。 本発明の第3の実施形態を示すブロック図である。
符号の説明
1…発振回路、2…増幅器、3…帰還路、4…出力端子、5…等分配器、6…弾性表面波共振子、7…移相器、8a…−3dB90°ハイブリッドカプラ、8b…付加制御部、71……アンテナ、72…送受切換回路、73…受信回路、74…送信回路、75…低雑音増幅器、76…バンドパスフィルタ、78…ミキサ、79…バンドパスフィルタ、80…ベースバンド信号処理回路、81…ミキサ、82…バンドパスフィルタ、83…パワーアンプ

Claims (4)

  1. 少なくとも増幅器と、該増幅器の帰還路に介装した弾性表面波共振子と、前記帰還路内の発振信号を外部に出力する分配器とを備えた発振回路において、
    前記弾性表面波共振子を、前記増幅器の入力側に、当該増幅器が飽和状態となる入力電圧を供給するように接続すると共に、前記分配器を前記増幅器の出力側に接続したことを特徴とする発振回路。
  2. 少なくとも増幅器と、該増幅器の帰還路に介装した弾性表面波共振子と、外部から制御電圧を入力して帰還路内の位相を変化させる移相器と、前記帰還路内の発振信号を外部に出力する分配器とを備えた発振回路において、
    前記弾性表面波共振子を、前記増幅器の入力側に、当該増幅器が飽和状態となる入力電圧を供給するように接続すると共に、前記分配器を前記増幅器の出力側に接続したことを特徴とする発振回路。
  3. 前記弾性表面波共振子は、ダイヤモンド基板上に櫛歯状電極を形成した構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発振回路。
  4. 前記請求項1乃至3の何れかの構成を有する発振回路を備えた無線通信装置。
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