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JP2004520864A - 量子エネルギー手術装置および方法 - Google Patents

量子エネルギー手術装置および方法 Download PDF

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JP2004520864A JP2002533757A JP2002533757A JP2004520864A JP 2004520864 A JP2004520864 A JP 2004520864A JP 2002533757 A JP2002533757 A JP 2002533757A JP 2002533757 A JP2002533757 A JP 2002533757A JP 2004520864 A JP2004520864 A JP 2004520864A
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Abstract

本発明は、アルゴンなどの複数の高エネルギー不活性ガス原子を流れにして放射して、組織を切断、焼灼、または蒸散する手術用装置である。前記装置は、不活性ガス源と、前記不活性ガス源と連通し、エネルギーを前記不活性ガス原子に印加する、陽極と陰極とにより一部を構成されるプラズマセルと、から構成される。直流電源は、第一に、前記陽極と陰極の間にイオン化電圧を生成して、前記プラズマセルで前記不活性ガスからプラズマを発生させ、続いて、前記プラズマを所定のエネルギーレベルに持続するパルス電圧カーブを生成する。前記パルス電圧カーブは、第1時間期間継続するピーク電圧と、続く第2時間期間継続する最小電圧との反復パターンから構成されてもよい。最小電圧は0以上でもよい。前記プラズマセルで鮫の歯状の電流カーブを得るように、前記パルス電圧カーブはインダクタンスコイルを介して印可してもよい。前記装置はさらに、前記プラズマセルを有した管状の本体と、前記プラズマセルと連通し、前記先端部から前記不活性ガスを放射する先端部とを備えたハンドピースを備えてもよい。本発明はさらに、本発明に係る手術用装置を使用して、人体組織の一部を切断、焼灼、または蒸散する手術処置またはそれらの組み合わせ、を実行する方法を含む。

Description

(技術分野)
本発明は、一般的には手術用装置に関し、より詳細には、組織の切断、凝固、蒸散に使用する手術用装置に関する。
に係る。
【0001】
(背景技術)
従来の手術方法は、長い間、組織を機械的なナイフで切断することが行われてきた。機械的なナイフには、組織を切断している間に出血が起こるという根本的な課題がある。願わざる不要な失血に加えて、脳などの組織、および肝臓、脾臓、膵臓などの臓器では出血を止められなくなるというリスクもある。さらに、手術が癌性増殖の除去を目的とする場合、機械的に切断された組織により、静脈、動脈、胆管、リンパ管などの開いた管、以後チャネルと呼ぶ、を介して癌細胞が転移するリスクがある。
【0002】
一般的に、ナイフにより組織を切断することは、柔らかい組織に対して細い線に沿って、金属製ナイフの固く鋭利な先端部に機械的な力のエネルギーを加えて、組織を部分的に破壊することということができる。手術では、機械的エネルギーおよび機械的圧力に加えて、あるいは機械的エネルギーおよび機械的圧力の代わりのエネルギーおよびメカニズムとして、例えば、ただしこれに限定されるものではないが、機械的衝撃、または低温凍結、高温燃焼などの熱エネルギーメカニズムを使用することができる。
【0003】
例えば、骨などの固い組織に対しては、ノコギリを使用して、熱を生成しながら、固い金属の鋸歯の機械的衝撃および運動量により、骨を破壊することができる。機械的ツールの場合と比較して柔らかな組織を破壊する場合は、超音波振動ツールも機械的衝撃を加えることができる。金属体を伝達する熱エネルギーを使用して望ましくない組織を破壊すると同時に燃焼メカニズムを使用して出血を止めることができる。電気エネルギーにより加熱されたこの金属体は双極焼灼装置と呼ばれる。また、熱エネルギーは電気放電により組織に伝達することもできる。
【0004】
高温、熱エネルギー技術の中には、電子、イオン、原子またはフォトンを使用して熱エネルギーを印加するものもある。単極焼灼装置は、ガス状原子の単一電子およびイオンを使用して組織に熱エネルギーを伝達する。レーザは、充填されたフォトンの単一フォトンエネルギーを熱エネルギーに変換して組織に衝突させ、組織を破壊、またはその出血を止める。
【0005】
上述のエネルギーおよびメカニズムは、例えば、低温ナイフ、超音波ナイフなどで実用化されているように、組み合わせることもできる。金属またはプラスチックなどの物体を使用して熱エネルギーを組織に伝達する、または組織から熱エネルギーを吸収する技術では、比較的、大量のエネルギーが移動する。これに対して、電子、イオン、原子またはフォトンなどの粒子を使用して熱エネルギーを伝達する技術では、比較的少量のエネルギーが移動する。理解を容易にするため、金属または物体が組織に接触した瞬間にそのエネルギー総量が組織に伝達されるものと仮定して、組織に移動する熱エネルギーの総量を、1原子当たりのエネルギーに、該当する原子の数を掛け合わせた値として計算することができる。この場合、熱移動について、1立方ミリメートル当たりのチタンと、プラズマ装置などで使用する1立方ミリメートル当たりの不活性ガスとを比較することができる。アルゴンガス1モルは約40グラムで、その体積は22.4リットル(22,400,000立方ミリメートル)であるが、チタン1モルは約48グラムで、その体積は10.55立方センチメートル(10,550立方ミリメートル)であるから、1モルの金属が6.022×1023個の原子であるとした場合、1立方ミリメートルのチタンに接触する時に移動する熱エネルギーは、約5.7×1019個の原子の熱エネルギーとなる。不活性ガス1立方ミリメートルは約2.7×1016個の原子しかないから、比較的に軽い金属1立方ミリメートルの原子数の約2000分の1を上回る程度となる。1片のチタンを1立方ミリメートルよりも小さい組織に接触させることは実質的に不可能であるが、不活性ガスならば1立方ミリメートルよりも小さい組織の一部分に瞬間的に接触させることは可能である。このため、チタンの温度が1000℃、不活性ガスの温度が10,000℃であっても、ガスに印加されるエネルギーの総量を金属に印加されるエネルギーの量の1000倍以下に集中することが可能である。いずれにせよ、金属は温度が融点に達すると融解するため、金属により高い原子単位エネルギーまたは量子エネルギーを伝達することはできない。
【0006】
ナイフ、ノコギリ、双極手術装置、および超音波装置は物質を使用して熱エネルギーを伝達する。単極手術装置を使用して熱エネルギーを伝達する場合は、処置する部分の組織の一部の原子、電子、およびイオンから熱エネルギーが伝達される。これは、伝達される熱エネルギーの総量を制御するのに優れていること意味する。単極装置の欠点の一つとして、患者の体に第2の電極を接続することが必須であることがあげられる。この第2の電極は処置する組織から離れた部位に接続してもよいし、処置する組織の近くに接続してもよい。いずれの場合でも、これらの組織の間を流れる電流により他の組織が悪い影響を受けることが考えられる。第2の極を手術を行うポイントから離れた部位に接続した場合、電流が影響を与える可能性のある他の組織の量は大きくなる。これに対して、第2の極を近い部位に接続した場合、手術を行うポイントの近くの組織が影響を受けることになる。これが、単極技術を脳組織などの敏感な組織に利用することが基本的に不可能である理由である。さらに、電子およびイオンにより伝達される粒子エネルギーは10〜20電子ボルトの単位で極めて高くなることがある。
【0007】
レーザなどのようにエネルギー伝達にフォトンを使用する場合、エネルギー総量を制御する問題と、粒子単位のエネルギーを制御する問題の両方が解決される。しかしながら、レーザビームが組織に衝突すると、フォトンは個別に組織に獲得される。一般的に組織の分子に浸透したフォトンは制御することができないため、適用する部位の背後に離れて存在する組織の分子に害を与えないという確証はない。
【0008】
一般的に、熱エネルギーを使用すると水分子を蒸発させ、脱水化させて組織を破壊し、組織を小さな分子に分解し、その小さな部位を蒸散させるために、生体分子を破壊する。
【0009】
従来、プラズマ技術は手術装置の用途に提案されており、例えば、米国特許番号3,434,476、3,838,242、3,938,525、および3,991,764に詳細が開示されている。基本的に、「プラズマ」とは「ガス媒体が電気的に中性となる比率の数の電子と陽イオンから構成される高温イオン化ガス」を意味する(Webster’s New World College Dictionary, 3 Edition, 1997)。手術用プラズマ装置は、「プラズマメス」とも呼ばれ、一般的に、小さな高温ガスジェットを生成して組織を切断すると同時に血管を焼灼する。このプラズマ装置は一般的に直流(D.C.)定電圧電源、または無線周波数(rf)電源を使用してエネルギーをプラズマにする。動物による初期実験は行っているが、プラズマビームを処置部に向けるハンドピースの寸法が比較的大きい、高いエネルギー総量の制御が比較的難しい、プラズマビームの「ブラスト効果」の制御が比較的難しい、等の技術的課題があるため、願わざる周囲組織の破壊を生じる可能性があり、人間の手術用プラズマ装置はいまだに商用化されていない。
【0010】
(発明の開示)
本発明は、複数の高エネルギー不活性ガス原子を流れにして放射する手術用装置から構成され、前記装置は、不活性ガス源と、前記不活性ガス源と連通し、エネルギーを前記不活性ガス原子に与える、陽極と陰極とにより一部を構成されるプラズマセルと、から構成される。少なくとも1つの直流電源が前記陽極と陰極の間に電気的に接続されている。前記電流電源は、(a)第一に、前記陽極と陰極の間にイオン化電圧を生成して、前記プラズマセルで前記不活性ガスからプラズマを発生させ、(b)続いて、前記プラズマを所定のエネルギーレベルに制限するパルス電圧カーブを生成する。インダクタンスコイルを介して前記プラズマセルに印加された前記パルス電圧カーブは、鮫の歯状の電流カーブと鮫の歯状の電圧カーブを生成する。前記インダクタンスコイルに入力されるパルス型電圧カーブと前記インダクタンスコイルから出力される鮫の歯状の電圧の相違は、前記コイルの減衰効果に起因する。
【0011】
本装置はさらに、前記プラズマセルを有した管状の本体と、前記プラズマセルと連通しする先端部を有したハンドピースを備え、前記ハンドピースは前記先端部から前記不活性ガスを放射する。前記ハンドピース本体内部に配置された前記先端部の一部は、陽極を備えてもよい。前記ガス源および前記電流電源には制御システムが連結してもよい。前記制御システムは少なくとも1つのユーザインタフェースと、複数のエネルギー設定値を有している。前記制御システムは、前記電圧カーブと前記不活性ガスフローを変化させて前記プラズマセル内でユーザが設定したエネルギーレベルを生成する。前記制御システムはプログラマブルコントローラ、前記プログラマブルコントローラに接続した量子エネルギー制御ユーザインタフェース、および前記プログラマブルコントローラに接続したエネルギー総量制御ユーザインタフェースと、を備えてもよい。
【0012】
前記量子エネルギー制御ユーザインタフェースは、それぞれが希望する量子エネルギーレベルに対応する複数のスイッチを有した制御パネルを備えてもよく、前記エネルギー総量制御ユーザインタフェースは始動スイッチ、出力を増加する第1スイッチ、出力を低下する第2スイッチ、および停止スイッチを備えてもよい。
【0013】
前記ハンドピースは、前記ハンドピース内の水循環システムを有した冷却システムを備えてもよい。前記ハンドピースは取り外し可能でよく、化学的または熱により消毒される材料で構成されてもよい。前記先端部は湾曲した延伸部を備えてもよい。
【0014】
本発明はまた、本発明に係る前記装置を使用して、人体組織の一部を切断、焼灼、または蒸散、またはそれらの組み合わせを行う手術処置を実行する方法も含む。前記方法は、不活性がスフローを前記プラズマセルに送り、最初に、前記電流電源から前記プラズマセル内に前記不活性ガスからプラズマを生成するイオン化電圧を前記陰極と前記陽極の間に印加するステップと、次に前記電流電源から、前記プラズマを所定のエネルギーレベルに持続するパルス電圧カーブを印加するステップとから構成される。前記プラズマは、複数の高エネルギー不活性ガス原子と、複数のイオンと、複数の自由電子とから構成される。次に、前記方法は前記プラズマセルから前記高エネルギー不活性ガス原子を放出するステップと、前記高エネルギー不活性ガス原子を使用して前記人体組織の一部を切断、焼灼、または凝固するステップ、またはその組み合わせと、から構成される。前記方法は、基本的に、イオンまたは電子を含まない、複数の高エネルギー原子だけを前記装置から放出するステップを有してもよい。
【0015】
前記方法が、前記人体組織の一部を切開するステップ、または組織の一部を蒸散するステップを備えた場合、前記方法はさらに、同時に切開または蒸散された組織の周囲に焼灼した組織の嚢胞壁を生成するステップを有してもよい。前記方法は、前記ハンドピースの少なくとも一部を水中に浸して実行してもよい。前記方法は、一般手術、微小手術、内視鏡手術、腹腔鏡手術に使用してもよく、前記生体組織の一部が、骨、肝臓、脾臓、膵臓、肺、胃、腸、脳、筋肉、および皮膚を含んでもよい、ただし、これに限定されるものではない。
【0016】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
本発明の装置を詳細に説明する前に、本発明の装置により生成され、放射された運動エネルギーの高い原子が生体分子に衝突した際に、何が起こるかを理解することが有益である。一貫性を保つため、化学結合エネルギー、電気エネルギー、運動エネルギー、またはこれらのエネルギーと等価の温度、などのあらゆる種類のエネルギーは、「粒子単位エネルギー」または「量子エネルギー」と呼ぶ。
【0018】
化学結合エネルギートEch(KJ/mole)は、アヴォガドロ数により除算して得られる分子単位エネルギー(分子量子エネルギー)で表される。
【0019】
【数1】
Figure 2004520864
【0020】
ジュール/分子エネルギーは電子*電圧/分子エネルギーで表される。
Figure 2004520864
【0021】
または
【0022】
【数2】
Figure 2004520864
【0023】
上述の数式(1)および(2)より、分子化学結合エネルギーは、電子ボルト(eV)により表すことができる。
【0024】
【数3】
Figure 2004520864
【0025】
数式(3)は、100KJ/moleの化学結合エネルギーがわずか1.04eVのエネルギーに等しいことを示している。このため、電子または単一値イオンは、1.04eVだけの電圧の電界でこのエネルギーに達することができる。
【0026】
分子単位の量子エネルギーは温度として表すことができる(Kelvin)。
Figure 2004520864
【0027】
k(ボルツマン定数、k=1.38*10−23J/K)の値を代入すると温度は以下のように算出される。
【0028】
【数4】
Figure 2004520864
【0029】
数式(3)と(4)から、
【0030】
【数5】
Figure 2004520864
【0031】
数式(5)は以下の式が導かれる。
【0032】
【数6】
Figure 2004520864
【0033】
数式(4)から、100KJ/moleの化学結合エネルギーは、比較的高温である、約8000Kに対応する。このため、100KJ/moleの分子下結合エネルギーを有する生体分子を破壊して分子下粒子にするためには、温度が8000K/moleの原子が必要であり、この値は、わずか1.04ボルトのポテンシャルで電界を移動する電子または単一値イオンのエネルギーと等しい。
【0034】
原子により発生するフォトンの波長は、量子エネルギーを示し、以下のようにして算出される。
Figure 2004520864
ここで
Figure 2004520864
hはプランク定数(6.626*10−34
これから、
【0035】
【数7】
Figure 2004520864
【0036】
数式(7)を使用して、原子の運動エネルギーまたは温度に対応するフォトンの波長を算出することができ、数式(6)を使用して以下の表1に示される対応する電子ボルトを算出することができる。
【0037】
【表1】
Figure 2004520864
【0038】
表1は、温度12,000Kは赤色可視光線に対応し、温度24,000Kは紫色可視光線に対応することを示している。上述の温度の原子は、上述の波長のフォトンを発生するため、原子ビームの色を見ることにより、原子の温度を概算することができる。温度12,000Kを下回る場合は赤外線測定装置で測定することができる。
【0039】
アミノ酸、ヌクレオチド、脂肪酸、などの巨大生体分子は小さな分子が集合して構成される。これらの分子間の結合エネルギーは、これらの分子の生成工程で使用される、標準的なアデノシン三リン酸(ATP)の加水分解エネルギーである7.3Kcal/moleよりも小さい。数式(3)、(4)から、標準ATP加水分解エネルギーは、以下のように表すこともできる。
【0040】
【数8】
Figure 2004520864
【0041】
【数9】
Figure 2004520864
【0042】
アミノ酸、脂肪酸、ヌクレオチドを、簡単に蒸散が可能な、さらに小さな分子に分解するためには、より多くのエネルギーが必要となる。有機物質に共通する各種の化学結合の平均的な結合エネルギーは、以下の表2に示されるKJ/moleと対応する温度で表される。
【0043】
【表2】
Figure 2004520864
【0044】
図2を参照して、本発明の装置に統合された処理の概要について説明する。プラズマセル23で励起した不活性ガス原子は、一部は、アース側にバイアスがかかっているハンドピース200の先端部201により跳ね返される。最初に、陰極22により生成された電子は、プラズマセル23中の不活性ガス原子に衝突して不活性ガスの外側の電子殻から一つ以上の電子を遊離させ、こうして不活性ガス原子を陽イオンに変換する。印加された電界の中で陽イオンは陰極(電極22)の方向に移動し、電子は陽極(先端部201)の方向に移動し、こうしたイオンと電子の移動により、電界エネルギーは運動エネルギーに変換される。反対に、これらのイオンと電子はそれぞれ陰極と陽極の方向に運動をしている間に他の不活性ガス原子と衝突をして運動エネルギーを失っている。イオンが最後に陰極に到達すると、陰極から電子を受け取り、原子に再変換される。電子が陽極に到達すると、電源に伝達される。
【0045】
原子と衝突して、プラズマセルに吸収された電子がイオンを生成するように、イオン化工程で遊離された電子が他の原子と衝突すると、新たにイオンを生成し、連鎖反応を引き起こす。このような連鎖反応を発生する不活性ガスは「プラズマ」と呼ばれる。プラズマは、開始パラメータが定数に保たれている限り、連鎖反応により自体で増加するという意味で、負の抵抗値を有している。本発明に係る装置は重大パラメータを制御して、プラズマのエネルギー総量、プラズマ内の個別の粒子の量子エネルギー、および金属体のエネルギー損失を制御し、予測可能なものとする。
【0046】
プラズマセル23において、一部の個別の粒子の量子エネルギーは平均約50,000Kと、極めて高い。プラズマセル23で励起された原子は溝220を介して導かれ、先端部201で希望する量子エネルギーのレベルで放出される。溝220の形状は量子エネルギーのレベルに影響を与える。原子が電極22と溝220の壁にに衝突すると、それらの部位を加熱する。また、接触したあらゆる部位も同時に加熱する。本発明は、壁およびその他の部位を効果的に冷却して、金属体の温度および「該当部位」の温度を、本装置を手で持って作業することが十分可能な温度に保つ。
【0047】
本発明の詳細を図面を参照しながら説明する。ただし、すべての図面で同じ構成要素には同じ番号を付与している。図面は本発明の装置の説明を容易にするために添付されたものであり、本発明を限定するものではない。
【0048】
図1A〜図16を参照して、本装置の先端部から放出される高エネルギー原子からプラズマを生成し、組織の切断、焼灼、消毒および蒸散を行う、本発明に係る代表的な手術装置の各種構成要素および交換可能なハンドピースについて説明する。図5は本発明に係る典型的な装置500の基本的な構成要素を表すブロック図であり、図12A、図12Bは装置500の典型的な物理的な実施の形態500を例示する図である。好ましくは、装置500の本体40は下部ボックス40bと、下部ボックス40bに取り付けられた上部ボックス40aからなる二重ボックスシステムから構成される。冷却水タンク50、冷却水ポンプ51、冷却制御部52、およびガス制御システム49(図5を参照)は一般的には下部ボックス40bに収納される。5リットル用アルゴンガスコンテナなどのガスコンテナ48は通常、下部、または下部の近くに配置され、ガスコンテナが大型の場合は、ガス制御システム49と連結しながらも別個に配置することもできる。
【0049】
パルス型直流電源41、インパルス電圧電源42,プログラマブル論理コントローラ(PLC)43、制御パネル44、および2次電気システム46は一般的に上部ボックス40aに取り付けられている。フットペダル制御部45は、上部ボックス40aに差し込むことができる。本体ケーブルおよびチューブシステム53のケーブルは上部ボックス40aに接続されており、チューブはさらに下部ボックス40bに接続されている。ケーブルおよびチューブシステム53は、(1)図12Bに示されるように、X、Y、Z方向に調整可能な状態で本体40の上部に吊して重さを釣り合わせるもの、または(2)手術台(図示されていない)横のフロアの上に配置して、上昇するもの、と少なくとも2つの好ましい構成をもつことができる。図12Bに示されるように、ベアリング1250の周りに矢印Sの方向に回転し、ポイントPで360°揺動することにより、X−Y面の運動を可能にし、ピン1260の周りに矢印Tに沿って揺動することによりストッパ1262および1264により可能な運動範囲内においてZ面の運動を可能にしている。カウンタバランス1266は矢印Wに沿って調整可能であり、希望する程度に重さを釣り合わせている。好ましくは、本体40が手術室を移動可能となるように、図12Aに示されるようにホイール1202を備える。
【0050】
図5の相互接続線により示されるように、PLC43は装置500の基本機能をすべて制御する。PLC43はシステムの論理を定義する。所定の測定値が所定の範囲内にない場合は、装置が始動しないようにインターロックするようにプログラムすることもできる。装置の使用中、所定のパラメータが不適切な値に達した場合、PLC43は、定義された論理に従って装置を安全に停止することもできる。さらに、PLC43は、オペレータが制御パネル44またはフットペダル制御部45を使用して押した「エネルギー増加」スイッチまたは「エネルギー減少」スイッチにより提供される各値のガス流について、それぞれ必要な電流(またはエネルギー)量を算出することもできる。この計算は、PLCのソフトウェアに搭載されたあらかじめ設定されたカーブを使用して実行してもよい。好ましくは、ソフトウェアは少なくとも5つのカーブを記憶して、各カーブは、制御パネル44(より詳細には図13の下部)の量子エネルギースイッチのそれぞれ一つを押して選択した場合に対応するようにしてもよい。各カーブはそれぞれのガス圧力またはガス流測定値に必要な電力を提供して電子の量子エネルギーを一定に保つように定義されている。このため、高い量子エネルギーカーブは、所定のガス圧力またはガス流の測定値で、同じガス測定値で低いエネルギーカーブにより提供される電力よりも、比較的高い電力を提供する。
【0051】
図13に示されるように制御パネル14は一般的に、電源スイッチ1300、所定のパラメータにエラーがないか、またはシステムの状態を示すライトの形式のインジケータを含む複数のスイッチを有している。例えば、インジケータ1301はガス注入圧力が低すぎると点灯し、インジケータ1302はガス注入圧力が高すぎると点灯するようにしてもよい。インジケータ1303は水循環圧力が低すぎかを示し、インジケータ1304は装置の温度が高すぎると点灯し、インジケータ1305は電圧が低すぎると点灯する。エラーインジケータ1306は、上述のパラメータの1つが所定の範囲から逸脱した場合、またはその他のソフトウェアが、システムの使用をインターロックした場合、またはシステムがシャットダウンした場合に点灯してもよい。その他のパラメータの状態を示すインジケータを他に設けてもよい。装置が始動する前に、チェックスイッチ1307を押して各種のパラメータをチェックすることができる。アラームインジケータまたは「ダミーライト」の代わりに、制御パネルは重大パラメータをすべて読み取り、継続してモニタリングしてもよいし、または読み取りとアラームインジケータを組み合わせてもよい。電源インジケータ1370を別個に設けてもよいし、または電源スイッチ1300自体が、システムがオンの時に点灯するようにしてもよいし、または、その両方でもよい。重大パラメータがすべて動作範囲内である場合、PLCシステム43はインジケータ1308を点灯させ、オペレータに量子エネルギーレベルを選択できることを通知する。
【0052】
図13に示されるように、一般的にユーザにより識別が容易にできるようにラベルされた、超低(1350), 低(1351), 中(1352), 高(1353),超高(1354)のエネルギーレベルスイッチの中の1つを押して、希望する量子エネルギーまたはパワーレベルを選択することができる。ここでは5つの量子エネルギーレベルが示されているが、エネルギーレベルはもっと多くてもよいし、少なくともよい。インジケータライト1360〜1364は、図13に示されるように、各スイッチに対応している。これらのスイッチを使用することにより、約5000〜20,000Kの間の原子温度を達成することができる。典型的な比較的低いエネルギー装置における各量子エネルギーレベルに対応する原子温度の範囲を表3に示す。
【0053】
【表3】
Figure 2004520864
【0054】
読出部1310は、1312aの赤色から1312jの紫色まで連続して別々の色を発光する各インジケータ1312による色別コードを使用して、エネルギーの総量を継続して表示する。このエネルギーの総量は、制御パネル44および/またはフットペダル制御部45の「エネルギー増」スイッチ1320および「エネルギー減」スイッチ1322、を使用して調整することができる。インジケータ1330はガス出口圧力が最小であるか、インジケータ1332はガス出口圧力が最大許容レベルであるかを表示する。さらに、PLC43は、エネルギーの変化により、エネルギーレベル、ガス圧力、またはインジケータ1301〜1305により示されるパラメータなどの装置の動作パラメータの1つ以上が許容範囲を超えることのないように、エネルギーの増減を防止するインターロックを備えてもよい。PLC43によりエネルギー減スイッチ1320がインターロックされた場合、エネルギー増スイッチ1322を押すとインターロックが解除されるようにしてもよい。反対に、エネルギー増スイッチ1322がインターロックされた場合、エネルギー減スイッチ1320を押すとインターロックが解除されるようにしてもよい。
【0055】
ブロック1340は始動スイッチ1341と停止スイッチ1342、および3つのインジケータ「準備完了」インジケータ1343、「プラズマ」インジケータ1344、「終了?」インジケータ1345を有している。正しい入力パラメータがすべて入力され、量子エネルギーレベルが選択されると、「準備完了」インジケータ1343がオンになり、始動スイッチ1341を押すとプラズマ生成が始動するようになる。プラズマが安定するまでの遷移期間が終わると、「プラズマ」インジケータ1344が点灯する。所定の期間、オペレータが入力しない、または装置に制御を実行すると、「終了?」インジケータ1345が点灯する。この他にアラーム信号が鳴ってもよい。これに続く所定の期間にオペレータが何もしなければ、装置は自動的に機能を停止する。始動制御および停止制御はフットペダル制御部45から行ってもよい。
【0056】
フットペダル制御部45は、始動(1341F)、停止(1342F)、エネルギー減(1320F)、エネルギー増(1322F)と、はっきりと異なる少なくとも4つのスイッチを有している。図12Aに示されるように、オペレータは、ピン1223により揺動し、その下にスイッチ1320Fと1322Fが配置されている、スイングプレート1222上のフットペダル45の窪み部分1220に足を載せ、足をわずかに左または右に動かすことにより、該当するスイッチを操作する。次に、オペレータは足をあげて、フットペダル45の隆起部分1224に配置されたスイッチ1341Fと1342Fを操作して装置の始動または停止を行う。オペレータが量子エネルギーレベルを選択した後は、場合によっては、フットペダルだけで装置の制御を行うことができる。フットペダル制御部45は、フットペダルのスイッチに電源電圧を供給し、スイッチの出力をPLC43に送るケーブル1210に接続している。ケーブル1210のもう一方の端には、装置本体40の上部ボックス40aの後部の壁に即座に接続することができる、既知のコネクタ(図示されていない)を備えてもよい。
【0057】
2次電気システム46(図5参照)は、装置の各種のサブシステムを調整するために必要な、当該技術分野で一般的に知られている各種の低電圧電源およびリレーシステムを備えている。
【0058】
ガスコンテナ48は機械的圧力調整制御部および高圧インジケータを備えてもよい。ガスコンテナ48の出口圧力は、典型的には、装置への入り口圧力に対して約9気圧に調整する。ガス制御システム49は、ドイツ、FESTO製モデルLRP−1/4−0.7(制御装置が約15回転で0〜700Torrの範囲)などの標準的な機械制御装置を備えている。機械制御装置はアクチュエータにより駆動し、制御装置によりガスの圧力および流れを増加または減少する。ドイツ、ニュルンベルクのビューラにより製造された6ボルト1.61.013.306−8「F」などの電気式低速直流モータは、回転速度約20RPMで、このアクチュエータとして使用することができる。図16に示される制御回路1600を使用してモータ/制御装置の組み合わせを制御することができる。しかしながら、この他のアクチュエータおよび駆動機構を使用して当該技術分野で既知の技術でガス流を調整してもよい。
【0059】
図16に示されるように、制御回路1600は変圧器1602、ダイオードブリッジ1604、複数のコンデンサ1606、定電圧トランジスタ7805および7905、PLC43に接続したリレー1610および1612、モータ1620、およびエネルギー増スイッチ1320およびエネルギー減スイッチ1322を備えている。定電圧トランジスタ7805は電圧を+5ボルトに安定させ、定電圧トランジスタ7905は電圧を−5ボルトに安定させる。制御パネル44の「エネルギー減」スイッチ1320または「エネルギー増」スイッチ1322、またはフットペダル制御部45の同様のスイッチを操作すると、それぞれの回路を完成させてモータを作動して、1つの方向、またはその他の方向に回転させる。「エネルギー増」は、モータを回転させてガス流を増加させるようにアクチュエータを作動し、「エネルギー減」は、モータを回転させてガス流を減少させるようにアクチュエータを作動する。ガス制御システム49はさらに、実際の圧力または流れを測定する圧力センサまたはフローセンサ(図示されていない)を備えてもよい。圧力センサからの信号はPLC43に接続され、圧力が高すぎる場合は、リレー1610を作動して、ガスバルブをさらに開からないようにモータの回転を妨げ、圧力が低すぎる場合は、リレー1612を作動して、ガスバルブがさらに閉じないようにモータの回転を妨げてもよい。図16にリレーで概略が示されるような、同じ機能をソフトウェアにより実現してもよい。さらに、ガス制御システム49は、ガス圧力またはガス流の最大および最小レベルについて、その他のハードウェア的な限界を持っている場合がある。
【0060】
冷却水タンク50は、図5に示されるように、水を供給してハンドピース47を冷却する。冷却水システムは閉じた循環システムであるが、水は典型的には、流出した場合でも体組織が汚染されないように、無菌であり、および/または消毒剤を含む。好ましくは、水漏れの可能性を最小にするように、冷却溝はすべて溶接する。冷却水ポンプ51は、典型的には、電源スイッチが投入されると同時に機能を開始する循環ポンプである。冷却制御センサ52は、水循環量または水圧力が所定の値を超えているか検知するフローセンサおよび圧力センサを備えている。循環量または圧力が所定の値を下回る場合、センサ52は電圧信号をPLC43に送り、装置が動作しないようにする。装置が作動している間にこれが発生した場合、PLC43は即座にシャットダウンシーケンスを開始する。シャットダウンシーケンスは、最初に電力を停止し、次に、電極が冷えてからガス流を止める工程からなる。このシーケンスは、不活性ガス流を続けて電極を冷却することにより、電極が冷えるまで酸素を締め出して、高温の陰極の急激な酸化を防止している。
【0061】
本体ケーブルおよびチューブシステム53は、下部ボックス40bに連結した不活性ガスおよび冷却水チューブと、本体40の上部ボックス40aに連結した電力ケーブルとから構成されている。図12Aおよび図12Bに示されるような、ケーブル吊り下げシステムを使用する場合、チューブおよびケーブルは、装置本体40に接続した、好ましくはアルミニウム製の、成形されたダクト53内に納められる。好ましくは、ハンドピース47をシステムの重さを感じることなく、容易に上下、水平方向に動くように、成形ダクトは、類似した医療装置で既知のように、重さの釣り合いがとれていることがよい。フロア型ケーブルシステムを使用する場合、すべてのチューブとケーブルはダクトを介してオペレータの横で上方向に延伸している。好ましくは、チューブとケーブルシステム53はハンドピースケーブルおよびチューブシステム55に簡易コネクタ54を介して接続している。簡易コネクタは、すべてのケーブルとチューブを同時に迅速に接続することを可能にするもので、各チューブまたはケーブルに対応する複数の個別の簡易コネクタから構成されてもよく、あるいは装置に統合されていてもよい。そのような個別型簡易コネクタまたは統合型簡易コネクタの詳細は、当該技術分野で一般的に知られている装置と同様であってよい。本体ケーブルおよびチューブ53は簡易コネクタ54の部分54aに接続しており、ハンドピースケーブルおよびチューブシステム55は簡易コネクタ54の合わせ部分54bに接続している。ハンドピース47は、ケーブルおよびチューブシステム55および、簡易コネクタの部分54bに沿って全体が、必要に応じて手術前に、熱または化学的な処理により消毒することができる。したがって、ケーブルの絶縁材料、ガスまたは水チューブ、コネクタ、ガスケットなど、ハンドピース47、ケーブルおよびチューブシステム55、および簡易コネクタ部分54bの部品を選択する場合、消毒処置に耐えられるものを選択する必要がある。
【0062】
好ましいパルス型直流電源41には2つのタイプがある。1つのタイプの電源は、図4Aに示される電圧カーブを生成するものがある。このタイプの電源は、肝臓手術、整形外科手術などの高エネルギーの用途に使用される。図4Aに示されるカーブでは、直流定電圧の上部に、長方形の電圧パルスが追加されている。2つ目のタイプの電源は、図4Bに示される形状の電圧を生成する。このタイプの電源は、脳手術などの、高、中、低、超低、エネルギーを用いた微小手術に使用することができる。図4Bに示されるカーブのように、ベースとする低電圧のない、長方形の電圧パルスである。
【0063】
電圧の形状を定義する3つの時間パラメータ、すなわち、長方形パルスの動作期間t;電圧のオフ時間t;印加される電圧の合計時間tがある。合計時間tは、動作期間tとオフ時間tの和(t=t+t)である。合計時間の逆数1/tは電源周波数fと等しい。
【0064】
直流電源電圧は、図14Aに示されるように、直列のインダクタンス回路412を介してプラズマセルの電極に印加され、図4Cに示されるカーブを生成する。インダクタンス回路412は、電源41とプラズマセル23の間のインダクタンスコイル410とダイオード411とから構成される。インダクタンスコイル410は、電源電圧が0の期間tの間、プラズマセルに電流を供給する。この結果、図4Cに示される鮫の歯状のプラズマ電流カーブが得られる。電圧Vが印加されると、電流は指数関数的に増加する。電圧が0に下がると、電流iは指数関数的に減少する。電流カーブに対応する電圧カーブも同じ鮫の歯状となる。
【0065】
プラズマはインパルス電圧電源42により開始する。インパルス電圧電源42は、例えば図14Bに示されるような、当該技術分野で既知の電圧増倍回路でもよい。次に、パルス型直流電源41の電圧によりプラズマは維持される。アルゴン原子の第1電子イオン化エネルギーが15.75電子ボルトであることから、アルゴン原子をイオン化状態に保つたには、最低15.75ボルトの電圧が必要である。通常の直流電源を使用してガスフローを増加させ、電気エネルギーの総量を増加させる一般的な技術は当該分野で知られている。しかしながら、直流電源の電流はその電圧を下げなくては下がらないため、エネルギー総量を、単に直流電源だけを使用して数百ワット、数十ワット、または数ワットなどの極めて低い電気レベルに減少させることは一般的に不可能である。約15.75ボルトの直流定電圧が印加されると、アルゴンガスのイオン化の連鎖反応が発生する。負のインピーダンス効果により、電圧が一定に保たれても、イオン化は継続して増加する。電流は増大し続けるが、直列抵抗により電圧降下が増加し、プラズマセルに印加される電圧が減少すると電流の増加は停止する。電流を下げる場合は印加される電圧を少しずつ減少する。電圧が減少して所定の値を下回ると、突然イオン化は消滅し、プラズマ活動は急峻に終了する。
【0066】
一定の量子エネルギーを保ちながらエネルギー総量を極めて低いレベルに下げるためには、プラズマセルの寸法の縮小、ガス流、すなわちガスフローの減少、電力の減少、を組み合わせて行う必要がある。低エネルギーレベルのプラズマイオン化の連鎖反応の破綻を回避するためには、陽極と陰極に印加する電圧を、単一直流電圧ではなく、本発明に従って、図4Aおよび図4Bに示されるパルス直流電圧にする。図4Cに示されるように、イオン化用のピーク電圧は、限られた時間だけ原子に印加され、次のピーク電圧が印加されて電流が再び増加するまで、必要な平均値を保ちながら、電流は増加せずに、指数関数的に減少する。電圧のピーク値は原子をイオン化のために十分な値である。電圧が急激に減少すると、電子を生成する連鎖反応は停止し、新しい電子は生成されなくなり、すでに生成された電子が、電流を低レベルで維持する。電子が一方の極から他方の極に移動する前に、新しいピーク電圧が印加される。この方法により、極めて低いパワーレベルを得ることが可能になる。このためプラズマの慣性を利用して連鎖反応を破綻させずに、tを減少させながら、電源電圧が0の時間tを増加させる、数百キロヘルツまでの周波数が選択されている。エネルギー総量は、本書記載の任意のハンドピースに対して、パルス型直流電源41のf、動作期間t、およびピーク電圧Vなどのパラメータを変化させることにより、必要なレベルに調整することができる。
【0067】
図14Bに示されるインパルス電圧電源42は、入力電圧を調整可能な電圧増倍回路である。脳手術、一般手術など、手術装置のタイプごとに、入力電圧を必要に応じて選択することができる。したがって、数百ボルトから1,200ボルト(DC)の間で必要な電圧出力を調整することができる。図14Bに示された、電圧増倍回路で使用するコンデンサc、cは、各手術用ツールのエネルギー必要要件に応じて選択する。インパルス電圧電源42は、プラズマセルの陽極と陰極間に高い直流電圧を短い時間期間印加してプラズマ生成を開始する機能を有する。プログラマブル論理コントローラ(PLC)43は、ガスフローおよびハンドピースの形状により影響を受けるこの時間期間を、装置のエネルギー総量の最大値に基づいて調整してもよい。
【0068】
不活性ガス、好ましくはアルゴンガスが供給された後、インパルス電圧は印加される。陰極22(例えば図2を参照)には負の電圧が印加される。陰極22は一般的には、先端の尖ったタングステンの電極であり、コロナ放電を発生する。陰極22から放出された電子は、陽極(先端部201、陰極を囲んでいる)の方向に移動し、不活性ガス原子と衝突をして、不活性ガスから複数の電子を遊離させて、イオンと新しい電子を生成する。
【0069】
イオン化が開始して新しい電子が生成されると、原子は運動エネルギーを吸収し始め、パルス型直流電源41の電圧レベルがプラズマを保つために十分になると、インパルス電圧電源42は機能を停止して、パルス型直流電源41に引き継がれる。2つの電圧電源41と42は、一般的に、並列に接続されている。インパルス電圧電源42は、一般的に極めて短い時間期間で作動し、合計時間約1ミリ秒の間に、約1〜5回のバーストを生成するが、パルス型直流電源41は装置が作動している間、継続して作動する。インパルス電圧電源42は連鎖反応が発生するまで動作するが、連鎖反応が発生するとパルス型直流電源41によりショートされる。インパルス電圧電源42とパルス型直流電源41は一般的にプラズマセルに並列接続をしているため、このようなことが起こる。パルス型直流電源41は比較的低電圧であるが装置の高出力部である。インパルス電圧電源42は比較的高電圧であるが、極めて低いレベルのエネルギー源であり、極小のコンデンサにそのエネルギーを充填して保存している。インパルス電圧電源42がプラズマセル内でイオン化を開始する前のプラズマセルのインピーダンスは極めて高い(ほぼ無限大)。イオン化が開始して、連鎖反応が始まると、プラズマセルのインピーダンスは下がり、パルス型直流電源41は低い電圧をプラズマセルに印加して、連鎖反応を維持することができる。これから後、低いインピーダンス負荷(プラズマセルを機能するインピーダンス)が確立され、プラズマセルの低いインピーダンスによりインパルス電圧電源42の小さなコンデンサはパルス型直流電源41の電圧レベルにショートするため、インパルス電圧電源42の電圧は、プラズマセル内で対応する低い電圧よりも大きく増加することはできなくなる。
【0070】
各ハンドピース47は、複数の機能構成要素から構成されている。本体部分は一般的にすべてのハンドピースに共通であるが、その他の部分はハンドピースのモデルごとに固有、またはハンドピースのタイプごとに修正されている。本発明の異なる実施の形態では、各種の医療用手順、各種の組織ごとにハンドピースの長さ、直径、および形状寸法に必要なエネルギーの総量および/または量子エネルギーについて、装置を最適化することができる。この結果、本体40、インパルス電圧電源42、パルス型直流電源41、PLC43のソフトウェア、およびハンドピース47は実施の形態に応じて異なってもよい。
【0071】
図1Aおよび図1Bに示される正面図と側面図を参照しながら、一般手術および微小手術に適した典型的なハンドピース100を説明する。ハンドピース100は先端部1と本体2を有している。本体の各種構成要素は、ネジ止めされたエンドピース3により固定されている。エンドピース3を介して陰極4が突出しており、典型的にはネジ式コネクタである、コネクタ11により第1ケーブル5に連結している。チューブ102aおよび102bは典型的には銅製であり、典型的には本体2に溶接されている。コネクタ12aおよび13aは典型的にはチューブ102aおよび102bをそれぞれ、水循環チューブ7および8に連結する。第2ケーブル6はパルス型直流電源41(図5の略図を参照)の陽極に接続しており、典型的には銅製水チューブ102aまたは102bのいずれかに溶接されている。このため、パルス型直流電源41(典型的にはアース側にバイアス)の陽極はハンドピース100の本体2に接続している。不活性ガス、典型的にはアルゴンが、典型的には銅製のチューブ102cを介して装置の本体に供給される。チューブ102cはハンドピース100の本体2に溶接され、典型的にはプラスチックであるチューブ9にコネクタ14aを介して連結されている。典型的にはプラスチックであるハンドピースカバー15は、内部構成要素を保護するカバーとしての機能と、オペレータがハンドピース100を握るためのグリップとしての機能と、2つの機能を有している。各種の構成要素は、ハンドピースのタイプに応じて寸法が異なってもよい。先端部1からは、放射される高エネルギー原子の流れ、すなわち原子フロー110が示されている。
【0072】
図7には、一般手術用の典型的なハンドピース700の隣接部710が示されている。ここで使われる「隣接」という用語は、動作する本体に比較的近い部分を意味し、「先端」という用語は、動作する本体から比較的遠い部分を意味する。ハンドピース700についてここで説明する基本的構成要素は、他の箇所で説明するハンドピースのものと同様の番号を付与している。プラズマセル23は、陰極ロッド4、電極22(典型的にはタングステン)、絶縁体21(典型的にはアルミセラミック)、およびハンドピース先端部701から構成されている。不活性ガスはガス溝25を介して陰極ロッド4内のプラズマセル23に入り、先端部701の排出溝720から排出される。プラズマセル23の制御空間内でプラズマが生成され、原子が励起される。ハンドピース先端部701は典型的には外部ネジ部730により円筒形本体2の内部ネジ部732にネジこまれて固定されている。陰極ロッド4は、負電圧と電子をタングステン電極22に印可する。本体2は電気的に電源の陽極(典型的にはアースにバイアス)に接続しているため、先端部701もまた、アースに正バイアスされている。絶縁体28および21は、典型的にはアルミセラミックであり、陰極ロッド4を本体2から電気的に絶縁している。本体2は、外部円筒部2aと内部円筒部2bと、先端部1の近傍で、プラズマセル23を囲む循環溝26との間で冷却水を循環して冷却を行う、外部円筒部2aと内部円筒部2bの間に縦方向に位置する水溝27aおよび27bと、から構成されている。円筒部2aおよび2bは典型的には、溶接により溶接部734で接合されている。
【0073】
図11には、湾曲した延伸部1102を有した先端部1101を備えたハンドピース1100の隣接部1110が示されている。ハンドピース1100の隣接部は、先端部1101が延伸部1102を有し、円筒部2にネジ止めではなく、溶接されている点を除いて図7に示されたハンドピース700の隣接部と極めて類似している。角度αと表される先端部の湾曲は、例えば30°、45°、60°、75°、90°など、希望する角度の湾曲でよい。ハンドピースのグリップに対する湾曲の方向もまた重要である。例えば、右側、左側の方向に直接向いていてもよく、あるいは、右側、左側の方向にある角度をつけて向いていてもよい。先端部1101と本体2との溶接部も、ハンドピースのグリップに対する湾曲した先端部の湾曲の方向を正確に設定することが好ましい。
【0074】
図8Aには、ハンドピース700の先端部810を図8Bの側面図および図8Cおよび図8Dの断面図に示される切断線8A−8Aに沿って切断した縦断面図が示されている。陰極ロッド4は本体2から突出し、典型的にはアルミセラミックである絶縁体28と31、およびガスケット37により絶縁されている。ガスケット37およびOリング32は、各種部品の製造誤差による遊びを埋めると同時に、ハンドピース700の先端部からガス漏れを防止する。ネジ止めされたカバーピース3を取り付けることにより、圧力が絶縁体31、ガスケット37および絶縁体28を介して陰極ロッド4の下部712(図7参照)に印加され、絶縁体21の上部を固定している。
【0075】
不活性ガスはチューブ102cを介してハンドピースに送られる。チューブ102aは冷却水を半円筒形溝35に送る。半円筒形溝35は典型的にはほぼ円筒形のほぼ半分の形状で(図8C参照)、冷却水を下方向の本体2の注入用縦溝27a(図7および図8D参照)に送る。冷却水が円筒形溝26に到達すると、半回転して、排出用縦溝27bを介して戻り、典型的にはほぼ円筒形の半分の形状の、もう一つの半円筒形溝36に到達する。その後、冷却水は半円筒形溝36からチューブ102bを介して排出される。
【0076】
脳または脊髄の手術、または関節鏡視下手術、皮膚手術などの微小手術の用途では、図2に示されるハンドピース200、隣接部210が好ましい。ガス溝25、電極22、絶縁体21,先端部1を含めたプラズマセル23、陰極ロッド4などの基本構成要素は図7に示されたハンドピース700のものと同様である。しかしながら、ハンドピース700とは異なり、ハンドピース700が備えている1つ以上の先端部絶縁スリーブの代わりに、微小手術用ハンドピース200の陰極ロッド4は、典型的にはアルミセラミックの絶縁被膜24を有し、本体2から極ロッドを絶縁している。
【0077】
図6には、湾曲した延伸部602を有した先端部601を備えた、微小手術用ハンドピース600の隣接部610が示されている。図11に示されたハンドピース1100の隣接部1110の設計と同じように、先端部601が湾曲した延伸部602を有し、円筒形本体2に溶接されたている点を除いて、隣接部610は基本的には図2に示されたハンドピース200の隣接部210と同様である。ハンドピース1100と同様に、角度αで表されるハンドピース600の先端部1の湾曲は、必要に応じて任意の角度に固定することができる。湾曲の方向は、右側、左側の方向に直接向けることができ、あるいは、右側、左側の方向にある角度をつけて向けることもできる。延伸部602および1102の長さは、それぞれの手術の理想に応じて定めた径でよい。
【0078】
図3には、ハンドピース200の先端部310が示されている。陰極ロッド4は絶縁被膜24、絶縁体31,およびOリング33により本体2から絶縁されている。カバーピース3は、Oリング33上部の絶縁体31を介して圧力を加え、その圧力はフランジ300で陰極ロッド4に伝達され、図2に示されるように絶縁体21の上部に電極ロッドを固定する。ガスおよび冷却水の循環は基本的に図8Aから図8Dの説明と同様である。
【0079】
図9、および図10Aから図8Dを参照して、内視鏡または腹腔鏡手術などに好ましいハンドピース900について説明する。ハンドピース900は3つの異なるユニットから構成される。隣接部910(図9参照)は基本的に、図7および図11にそれぞれ示された一般手術用ハンドピース700または1100の隣接部710または1110と同様である。本隣接部は、好ましくは、図9および図10Aに示される連結ピース61と溶接されている。連結ピース61は、図10Aに示されるように、先端延伸ユニット62と連結する中間ユニットである。連結ピース61は、ハンドピース700および1100の環状円筒形構造の隣接部710および1110を不連続な管状構造の延伸ユニット62に適用させる構造になっている。先端延伸ユニット62は硬質が好ましいが、必要に応じて部分的に柔軟性をもっていてもよい。
【0080】
図9に示されるように、陰極ロッド4は、すでに陰極ケーブル5に、好ましくは溶接されて、連結されている連結部38にねじ込まれている。好ましくはアルミセラミックの、絶縁体39はこの連結を絶縁する。ケーブル5は、典型的にはシリコンの、絶縁体902により絶縁され、連結ピース61の中央部に端を発するが、その弾性により、典型的には、図10Bおよび図10Cに示されるように、連結ポイントで延伸ユニット62の一方の側に向けられている。
【0081】
典型的には導電性であり、正バイアスまたはアース電圧にバイアスがかかっている延伸ユニット62は、連結ピース61を介して、最後には本体2に通電する。延伸ユニット62の外部表面は、典型的にはプラスチックなどの絶縁材料(図示されていない)により被膜されている。
【0082】
手術時、不活性ガスは、図10Cに示されるように、連結ピース61の硬質の管状コネクタ14bに接着剤などで連結した弾性チューブ9を介して連結ピース61に送られる。チューブ9は、典型的には、デラウェアのDuPont社製Teflon(登録商標)などのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはシリコンから構成される。管状コネクタ14bは典型的には、金属から構成される。次にガスは、絶縁体39と本体の内部円筒部2bの間の環状溝75に流れ込む。
【0083】
冷却水は、図10Aに示されるように、連結ピースの硬質(典型的には金属)環状構造12bに連結した(典型的には接着した)弾性チューブ7(典型的にはTeflon(登録商標)またはシリコン)を介して連結ピース61に送られる。冷却水は冷却水注入用縦溝27aに運ばれ、図7に示される循環溝26に到達した後は、冷却水排出用縦溝27bを介して戻される。チューブ7が構造12bと連結するのと同様の方法で、弾性チューブ8が連結している硬質管状構造13bと冷却水排出用溝27bは連結する。
【0084】
上述の構成を使用した場合、延伸ユニット62の外径Dは典型的には約10から約14mmであるが、図2および図6に示された隣接部210または610などの隣接部に対応する場合は小型にすることができる。図2および図6に示された絶縁被膜された極ロッド4では、絶縁されずにネジ込みされている極ロッドの一部が連結部38との通電を可能にしている。
【0085】
一般手術の場合、切断、切除、または凝固する組織の大きさは比較的に大きくなるため、必要なエネルギーの総量も大きくなる。量子エネルギーは、組織の密度に応じて低エネルギーから高エネルギーの範囲をとることができる。例えば、肺組織の場合は肝臓組織よりも必要とする量子エネルギーは少ないが、肝臓組織は骨組織よりも必要とする量子エネルギーは少ない。必要とするエネルギー総量が比較的高くなるため、一般手術の実施の形態の場合は他の実施の形態の場合よりも、本体40が大型となる傾向にあり、パルス型直流電源41は典型的には、図4Aに示されるものと同様のカーブを描き、最大電力がピーク値で約500Wとなる。インパルス電圧電源42は典型的には、高電圧(約1000から約1500V)、高エネルギー(約0.15から約0.5ワット秒)である。ハンドピース47は典型的には直径D(図1参照)が約10から約14mmの範囲で、長さLが約50から約150mmであるが、用途によりこれより大きなもの、または小さなものを使用してもよい。ハンドピースは、典型的にはすでに説明した図1、図7、図8、および図11に示されるものと同様である。ガス流を放射するハンドピース先端部の溝の直径(図7および図11で示されるd)は、約0.5から約1.2mmの範囲である。PLC43は、これらのハンドピースモデルおよび用途に適した出力カーブを記憶している。例えば、鉗子で固定した組織を、図11に示される湾曲した先端部を使用して、組織の壁を蒸散および凝固させて、背後の組織を細かく切断してもよい。
【0086】
微小手術の場合、切断、切除、または凝固する組織の大きさは比較的に小さく、周囲の組織に影響を与えないようにするため、必要なエネルギーの総量も小さくなる。量子エネルギーは、手術する組織のタイプに応じて低エネルギーまたは高エネルギーを使用することができる。例えば、脳組織に必要とする量子エネルギーは、典型的には、脊髄組織の場合よりも小さい。脳手術、脊髄手術、関節鏡手術、皮膚手術、およびその他の微小手術の実施の形態の場合、典型的にはエネルギー総量も量子エネルギーも小さい。本体40は小型の傾向にあり、パルス型直流電源41は典型的には、ピーク電力約200ワットの、図4Aまたは図4Bに示されたカーブの電圧を生成し、インパルス電圧電源42は低電圧(約500から約1000ボルト)、低エネルギー(約0.04から約0.15ワット秒)である。本体40の大きさは、典型的には、必要とする電源、水システムおよびチューブ、すなわち配管の寸法により影響を受ける。大型の電源を必要とする場合、本体スペースを大きくしてさらに冷却を増強する必要がある。すると、水循環システムも大型にして、水流を流す配管の径も大きくする必要がある。ハンドピース47は典型的には直径Dが、約5から約8mmの範囲で、長さLが約50から約120mmであるが、用途によりこれより大きなもの、または小さなものを使用してもよい。ハンドピース47は、典型的にはすでに説明した図1、図2、図3、および図6に示されたハンドピースと同様である。ガス流を放射するハンドピース先端部の溝の直径(図2および図6で示されるd)は、約0.25から約1.0mmの範囲である。PLC43は、これらのハンドピースおよび用途に適した出力カーブを記憶している。例えば、脳手術でよく行われるように、鉗子で固定した組織を、図6に示される湾曲した先端部を使用して、組織の壁を蒸散および凝固させて、狭いチャネルの組織の背後の組織を細かく切断してもよい。
【0087】
内視鏡および腹腔鏡手術の場合、切断、切除、または凝固する組織は比較的に中程度の大きさである。このため、周囲の組織に影響を与えないように、必要なエネルギーの総量も中程度となる。量子エネルギーは、手術する組織に応じて低エネルギーから高エネルギーと変化する。例えば、肺組織の場合は肝臓組織よりも必要とする量子エネルギーは少ないが、肝臓組織は胃組織よりも必要とする量子エネルギーは少ない。内視鏡および腹腔鏡の実施の形態の場合、典型的にはエネルギー総量も量子エネルギーも中程度である。本体40は微小手術用モデルの場合よりも大型となる傾向にあり、パルス型直流電源41は典型的には、図4Aまたは図4Bに示されるものと同様のカーブを描き、最大電力がピーク値で約300Wとなる。インパルス電圧電源42は典型的には、中電圧(約800から約1200V)、中エネルギー(約0.1から約0.25ワット秒)モデルである。ハンドピース47は、典型的には直径D(図9参照)が約8から約12mmの範囲であるが、これより大きなもの、または小さなものを使用してもよい。ハンドピース47は必要に応じた任意の長さでよく、一般的には、すでに説明した図2、図6、図7または図11に示されたものと同様の隣接部を備え、図9、図10Aから図10Cに示されたハンドピースに準拠したものである。ガス流を放射するハンドピース先端部の溝の直径(d)は、約0.5から約1.0mmの範囲である。PLC43は、これらのハンドピースおよび手術用途に適したプログラムのソフトウェアを搭載している。組織の壁を蒸散して凝固するために内視鏡または腹腔鏡モデルの湾曲した先端部を使用してもよい。腹腔鏡モデルの場合、湾曲した先端部を使用して、組織を鉗子で固定ながら背後から組織を切開することもできる。エネルギー総量はガスフローの関数であり、ガスフローは先端部の直径により大きく影響されることがあるため、各種装置について、先端部の特定の溝直径(d)と、希望するエネルギーの設定値を対にすることが最適である場合がある。このため、直径が小さな実施の形態は、直径が大きな実施の形態よりも正確なガスフローを生成できることがある。湾曲した先端部を備えていないハンドピースの場合、ネジ込み式コネクタなどにより先端部を取り外し可能にして、一つのハンドピースに対して溝直径の異なる各種の先端部を提供することもできる。湾曲した先端部を備えたハンドピースの場合、ハンドピースのグリップに対する湾曲の方向を設定して、先端部は正確に溶接することが好ましい。湾曲の方向の正確さがそれほど重要でない用途の場合は、それぞれの溝の径および/または先端部の湾曲の違いにより、選択したハンドピースのガスフローの特徴も異なってくる。
【0088】
微小手術では、例えば、処置する組織で行う手術工程(切断、焼灼、蒸散、または消毒)を実行するために十分なエネルギーを提供するために、先端部の穴が適当な大きさのハンドピースを選択することが重要である。さらに、処置する組織に対して許容範囲を超えた「ブラスト効果」が起こらないように十分な小さなレベルのエネルギー総量を選択することもある。ガスのブラスト効果は、ガスが衝突する物質により吸収される運動量(質量と速度の積=m×v)により定義される。ガスの質量と速度が増加すると、ブラスト効果も増加する。本発明のシステムでは、速度は、量子エネルギーの関数であり、質量はエネルギー総量の関数である。溝から遊離する原子の数は先端部の径の二乗に比例するため、ハンドピースの先端部の径もまた質量に衝撃を与える。ブラスト効果に敏感な組織、例えば脳組織などの手術を行う場合、ブラスト効果を最小または除去することが特に重要な場合がある。量子エネルギーは手術する組織のタイプに応じて選択する。このため、脊髄などの固い組織は、脳などの柔らかい組織よりも高い量子エネルギーを必要とすることもある。
【0089】
本装置を使用して手術を行っている間、不活性ガス原子、典型的にはアルゴンは、ガスコンテナ48からガス制御システム49(図5参照)、を介して弾性チューブ9、コネクタ14aまたは14b、チューブ102cまたは連結ピース61(それぞれ図1または図10C参照)を介して陰極ロッド4と本体内部シリンダ2bの間の溝75へ、さらにガス溝25を介して、プラズマセル23の陰極ロッド4の端部に送られる。インパルス電圧電源42の(プラズマを誘発する)電圧とパルス型直流電源41の(プラズマを持続する)電圧は、共通のケーブルのペア5(負)と6(正でアース)を介してハンドピースに印加される。負電圧はケーブル5よりコネクタ11(図1参照)または38(図10参照)を介して陰極ロッド4の端部に配置されたタングステン電極22に伝達され、陰極ロッド4に印加される。正電圧ケーブル6はチューブ102aまたは102b(図1参照)を介し、
または連結ピース61および延伸ユニット62(図10A参照)を介して本体2に接続しており、これにより本体を介して正のアース電圧をそれぞれのハンドピースの先端部に伝達する。
【0090】
プラズマセル23周囲の絶縁体21は、陰極ロッド4を本体2から電気的に絶縁している。さらに、絶縁体21は原子の一部の熱エネルギーを本体2に伝達する。プラズマセル23の隣接部は、図2、図6、図7、または図11にそれぞれ示されるように、ガス溝220、620、720、または1120を備えており、先端部201、601、701、または1101に組み込まれている。水循環溝26は、プラズマセル23に極めて近接しており、本体2の隣接部、電極22、絶縁体21,および先端部の大部分を冷却する。効果的に冷却するために、本体2は、先端の最も近接した部分を除いて、熱を組織に伝達しない。冷却水は冷却水ポンプ51により冷却水タンク50(図5参照)からチューブ7、コネクタ12a、チューブ102a、および冷却水注入用溝35(図3および図8参照)、またはチューブ7から連結ピース61のコネクタ12b(図10A参照)へ、そして冷却水注入用縦溝27aに送られる。冷却水は溝27aを介して円筒形溝26に送られ、冷却水排出用縦溝27bを介して戻される。その後、冷却水は冷却水排出溝36、チューブ102b、およびコネクタ12a(図3および図8参照)、またはコネクタピース61およびコネクタ12b(図10A参照)を通過して、最後には冷却チューブ8から冷却水タンク50に戻る。冷却システムは典型的には無菌水を使用する。
【0091】
本装置を始動する場合、ガスコンテナ48(図5参照)を連結し、バルブを開き、その機械的調節装置を調整して注入圧力を約8気圧にする。装置を電源に差込み、適当な無菌ハンドピース47を簡易コネクタ54により本体ケーブルおよびチューブシステム53に接続する。制御パネル44の電源スイッチ1300(図13参照)を使用して電源を投入する。ただちに冷却システムが機能を開始する。ガスコンテナの圧力が低すぎる、または高すぎる場合、制御パネル44のインジケータ1301または1302がそれぞれ通知する。水が循環していない場合、または主電源電圧が正常でない場合、制御パネル44のインジケータ1303または1305がそれぞれ通知し、さらにいずれの場合でもエラーインジケータ1306が点灯する。エラーインジケータ1306が点灯すると、装置は始動できなくなる。
【0092】
チェックスイッチ1307を押すと、オペレータは、すべてのチェックポイントがOKかどうか判断することができる。インジケータ1308が点灯すると、オペレータは、スイッチ1350から1354の1つを押して量子エネルギーレベルを選択するように促される。選択したスイッチに対応するライトが点灯すると、「準備完了」ライト1343が点灯する。「始動」スイッチ1341を押してプラズマ生成を開始する。まず、PLC43によりガス制御システム49のガスバルブ(図示されていない)を開き、あらかじめ定めた第1時間期間が経過すると、インパルス電圧システム42が作動してあらかじめ定めた第2時間期間の間、プラズマを誘発する。この期間の間、プラズマがただちに点火しなかった場合、このインパルスは自動的に数回、反復することができる。第1および第2時間期間については、PLC43の入力パラメータとしてもよい。インパルス電圧電源42は典型的には、約1000ボルトのインパルス電圧を伝達する。しかしながら、電圧および電力値は装置のタイプにより異なることがある。負電圧が電極22に印加されると、電極の先端部でコロナ放電(強い電界の電極の尖鋭部から発せられる電子による、ガスの局所的イオン化)が発生する。極めて高い値の電圧が印加されるため、こうして発せられた電子はさらに、不活性ガス原子の電子も遊離させる。新しいイオン化が発生するごとに、プラズマセル23の陽極の方向に移動する原子の数は増加する。プラズマセルの陽極は、先端部1により定義されるプラズマセル自体の外部境界である、
イオン化が増大すると、プラズマセル23内は(電子の量が増えるため)導電性が高まる。続いて、電子は低電圧でも電極22の先端部から移動できるようになる。この時点で、パルス型直流電源41が陰極からの電子の移動を引き継ぐ。最初は粒子の運動エネルギーが低いため、少なくとも不活性ガスのイオン化電圧(アルゴンの場合15.75V)を電極の間に印加して不活性ガスをイオン化する。イオンと電子により原子が励起されると、原子をイオン化するために必要な電圧は下がり、プラズマセルのイオンの数とエネルギーのレベルは一定に保たれる。これは、一般的に知られている「負性インピーダンス効果」による。実際、電極の電圧が一定に保たれるとすると、その部分のイオン化とエネルギーは継続して増加する。このため、本発明の電源は、システムに提供する電子の数を制御することから、「電圧電源」ではなくむしろ「電流電源」と呼ぶことができる。
【0093】
特に、装置の始動時にガス原子が冷えている、すなわち、量子エネルギーが低い場合、PLCシステム43が算出した電流が低すぎて、プラズマを継続して生成できなくなることがある。このため、量子エネルギーを設定する際に、PLCは算出した電流とともに一時的に印加する電流も定義してもよい。主電流と同様の鮫の歯型カーブを描く追加して印加する電流は、典型的には数秒の、定義された時間期間の間に0に減少する。この定義された時間期間はPLCで入力パラメータとして設定することができる。算出されたパルス電流と一時的なパルス電流を組み合わせることにより、始動時の量子エネルギーおよびエネルギー総量のパラメータが極めて低くてもプラズマを継続することが可能になる。
【0094】
電極間に印加する電圧のため、プラズマセル23全体には電界が存在している。電子は陽極に向かって移動しながら、この電界からエネルギーを受け、イオン化された原子も陰極に向かいながら、この電界からエネルギーを受ける。これにより、電気エネルギーは運動エネルギーに変換される。電界を移動中、電子もイオンも不活性ガスの原子に衝突し、それぞれの運動エネルギーを衝突した原子に分け与える。この時に、一部の電子のエネルギーが原子のイオン化エネルギーに達すると、原子から新しい電子を遊離させる。電子は陽極に達すると、電源の陽極に移動する。イオン化した原子は陰極に達すると、負の電子を受け取って中性になる。プラズマセル23を通過したガス原子は継続して衝突し合い、それぞれのエネルギーを均質化し合う。
【0095】
このようにして大部分の原子は平均的な原子のエネルギーに近いエネルギーを受け取る。しかしながら、一部の原子は、平均以上または平均以下のエネルギーを有している。原子のエネルギーは全体的にベル型カーブの分布をしている。アルゴンは実際に利用可能な不活性ガスの中で、最も電子のイオン化エネルギーが低い不活性ガスであるため、最小のイオン化電圧が願われる場合、本発明に係る装置ではアルゴンガスを使用することが好ましい。ネオンのイオン化エネルギーが21.56V、ヘリウムが24.57Vであるのに対し、アルゴンのイオン化エネルギーは15.75Vである。また、ベル型カーブとは、アルゴン原子の温度分布がネオンおよびヘリウムの場合よりも狭いことを意味する。基本的に、ガスの圧力と、部分的には(印加される電圧を差し引いた)イオンの電界が溝の中で原子を押し出している。したがって、不活性ガスのイオン化エネルギーはプラズマセルに印加する必要のある電圧の量の制御ファクタであり、印加する電圧はガスの種類により異なる。
【0096】
プラズマ生成の連鎖反応が開始すると、パルス型直流電源41により複数の電子が制御状態に保たれ、ガスフロー、エネルギー総量および原子の平均量子エネルギーが安定した値をとる定常状態に入る。プラズマセル23の陽イオンは陰極に引き寄せられ、さらに、陰極の周囲の陽極の働きにより内側の陰極の方向に押される。陽極は陰極から発せられる電子を収集する。イオン化されていない原子だけがガスの圧力によりハンドピースの先端部に押し出される。イオン化されていない原子は先端部の放電端の方向に進み、衝突し合いながら、それぞれのエネルギーを均等化していき、溝の壁(図2溝220など)にエネルギーを奪われる。運動エネルギーの高い粒子はそれぞれの温度に応じたフォトンを放射することがある。これらのエネルギーの放出および損失により、先端部から実際に放出された原子の量子エネルギーのレベルはプラズマセル23内のものよりも低く、均質化されていることがわかる。これらの放出された原子の量子エネルギーレベルの制御が願われている。溝の長さにわたって、エネルギーが溝の壁に奪われるため、溝の径と長さが最終的な平均温度に影響を与える。
【0097】
先端部201の最も隣接したポイントから特定の距離にある原子は、空気分子などとの衝突によりその運動エネルギーを損失し始める。先端部201から離れる時に原子が持っているエネルギーの総量に応じて、および溝の径dに応じて、この距離は、典型的には約2から約10ミリメートルの範囲である。
【0098】
高い運動エネルギーを有した粒子はフォトンを放出する。フォトンの周波数(またはエネルギー)は、粒子の運動エネルギー(または量子エネルギー、または温度)により異なる。粒子が十分な運動エネルギーを持ってノズルから排出されるとき、粒子は赤から紫の可視光スペクトルのフォトンを放射するために可視となる。原子の量子エネルギーのレベルまたは温度を測定する1つの方法は、ビームから放出されるフォトンの周波数(色)を測定することである。極めて高いエネルギーを使用する場合、フォトンは紫外線となる。紫外線は、空気中に限られた量のオゾンガスを生成する。フォトン放射線の量とオゾンガスの量は十分に少ないが、患者、オペレータ、または手術室の環境に危険を与えることはない。
【0099】
溝220に印加された正電圧が正電荷を帯びたイオンを陰極22に押し戻すため、プラズマセル23で生成されるイオンは、溝220を介して放出されることは基本的にない。溝220の陽極の壁の陽極により引き寄せられるため、電子もまた、溝から放出されることは基本的にない。ここで「基本的にない」ということは、まったくない、またはほとんどないという意味である。プラズマセル内のイオン化された不活性ガスの原子の量は、およそ系内に存在する原子総量の約10−4から10−5倍と、極めて少量である。小数のさらに少ない小数倍が漏れる可能性があるということは、実質的にはほとんど漏れないということである。このため、基本的に中性の原子のみが放出されるが、中性の原子は組織に電荷を与えることはない。ハンドピースの陽極は典型的には、アースにつながれているため、組織に触れたとしても、組織に電流が流れることはない。このため、ハンドピースまたはガス流、すなわちガスフローから組織、患者の人体、またはオペレータに電流が流れることはない。
【0100】
量子エネルギーを一定に保つために、エネルギー総量が可変である場合、原子の総量を調整する。ツールの先端部から出るエネルギーの総量を増加または減少させる場合、制御パネル44またはフットペダル45の「エネルギー増」スイッチまたは「エネルギー減」スイッチを押してガスフローを調整する。例えば、図16に示されたシステムなどを使用して、PLC43から電圧を印加して、ガス制御システム49の圧力またはフロー制御部を一方向または他方向に作動することにより、スイッチを押している間、ガスフローは継続して増加または減少する。ガスフローは、典型的には、フロー測定器により直接測定するか、あるいは、圧力装置により間接的に測定する。
【0101】
ガスフローの増加に伴い、ガスフロー測定値に基づいて電源の電力も増加または減少する。必要な電流は、PLC43のメモリに記憶された対応する5つの電流カーブの1つに基づいて、選択された量子エネルギーレベル(5つのスイッチ1350から1354の1つを押して選択された)について継続してPLCシステム43により算出される。設定した量子エネルギー値に応じて、PLC43は、ガスフローに必要な電流を算出し、必要な電圧を印加して、電極間に算出された電流を流す。同じガスフローについて原子の量子エネルギーを増加させるステップでは、基本論理は電極間に印加される電流(エネルギー)の増加である。同様に、量子エネルギーを減少させるステップでは減少させる。
【0102】
先端部201と溝220の寸法と形状により先端部201のダクトの壁により奪われる原子エネルギーの量が異なるため、先端部201と溝220の寸法と形状は量子エネルギーに影響を与える。このため、PLC43に定義されたカーブ群が、各種のハンドピースについて希望する手術のタイプに応じて、必要な量子エネルギーのレベルを取得することを可能にする。例えば、あるハンドピースについて中の量子エネルギーレベルを選択し、他のハンドピースについて「高」の量子エネルギーレベルを選択しても、同じレベルの量子エネルギーを取得することもできる。オペレータに見える原子流の色が量子エネルギーを示すため、オペレータは特定の手術に最も適した作業ができるように、経験により知っている色を生成する量子エネルギーのスイッチを選択できるようにしてもよい。
【0103】
原子の量子エネルギーは、約2,000Kから約35,000Kの間、またはそれ以上から調整することができる。不活性ガス流の量子エネルギーは、原子流が接触する組織または空気の分子に含まれる原子のイオン化エネルギーよりも小さいため、35,000K(約4.5eVと等価)でも、不活性ガス流はこれらの分子をイオン化することはない。したがって、害を与える可能性のある「フリーラジカル」の形成を防止する。しかしながら、放射される紫外線により、比較的少量のイオン化が発生することがある。
【0104】
ハンドピースを手術する組織に極めて近づけたり、またはハンドピースの先端部から出てくる励起された原子が組織に触れたりすると、これらの原子は高い量子エネルギーを持って生体分子と衝突する。原子の運動エネルギーは生体分子を構成している小さな分子の結合エネルギーより大きく、小さな分子は破壊され、蒸散(飛散)する。エネルギー総量と量子エネルギーが高い場合、これは極めて速く起こる。その一方で、エネルギーのパラメータが低い場合は時間がかかる。
【0105】
組織が脳、肺、肝臓、または骨であるかどうかにより、必要とする量子エネルギーは異なる。骨などの組織を飛散(蒸散)させる場合、高い量子エネルギーが必要とされるが、脳組織の場合は低い量子エネルギーが必要とされる。組織の種類とともに、手術のタイプにより必要とされるエネルギー総量が異なることもある。例えば、手術する組織だけに熱を加える場合は、装置はエネルギー総量を微小手術用のレベルに極めて低く調整することができる。肝臓手術の場合は、手術に関連する組織が極めて大きくなるため、必要とするエネルギー総量は、典型的に高くなる。
【0106】
図15は、本発明に係る典型的な実施の形態の装置を使用して飛散処置を行い、嚢胞壁151を除去した後の典型的な組織150の断面図であり、神経細胞152、神経膠細胞153、血管およびリンパ管154が示されている。飛散組織を蒸散する処置の間、生体分子は小さな分子に分解され、励起して運動している分子とエネルギーの低い原子は飛散した分子の下の分子と衝突し、下部の分子の温度が上昇する。これにより、組織150の少量が脱水化され、一部の神経膠153および神経細胞152は破壊され、嚢胞壁151を形成する。本発明に係る微小手術用の実施の形態の装置を使用して脱水され、および/または破壊された組織の嚢胞壁151の厚さ合計(t)は典型的には、約10マイクロメータ(μm)より小さく、これは脳の神経細胞152の典型的な厚さW(約30―40ミクロン)の約3分の1から4分の1である。一般手術用の実施の形態の装置を他の種類の組織に使用した場合、嚢胞壁151の厚さは、一般的には、約10から約30ミクロンの単位になる。
【0107】
本発明の装置を使用した場合、破壊される周辺組織の量が、従来技術のものよりも優れている。双極装置の場合、嚢胞壁の厚さは数ミリメートル(数千ミクロン)と、ほぼ電極の大きさと等しくなる。レーザの場合、嚢胞壁の厚さは小さな値に制御することができる。しかしながら、レーザビームから浸透するフォトンにより、レーザにより破壊される組織は嚢胞壁に限らず、嚢胞壁の背後に(数ミリ程度)離れて存在する別の細胞までも破壊されることがある。分子レベルの大きさであるため、この破壊の規模を測定することは難しいが、癌の問題などに波及していく可能性も指摘されている。このため、レーザは多くの手術工程で認定されていない。本発明に係る装置から放出される原子は、フォトンなどのように、組織の分子を通過して浸透することはできないため、最初に衝突した分子にエネルギーを印加するだけである。
【0108】
嚢胞壁の厚さが比較的薄いため、典型的には、手術が終了した時点で、処置した部分に極めて少量の死んだ細胞だけが残る。これは患者の術後の問題が少ないことを意味する。すべての管は収縮されて切開されるため、残った死んだ細胞は、出血や、体液やガス(空気)などを流出して損失させる、胆管、気管支、リンパ管などの開いたチャネルをなくすように働く。開いたチャネルが残らないため、細胞を転移させずに腫瘍組織を蒸散させることが可能になる。
【0109】
プラズマビームを長く保持するとビームは組織に深く浸透し、本体内部に向かって移動する。この処置により蒸散する組織の系はビームの系よりも大きくなる。ビームを使用する時間を極めて短くすると、蒸散を組織の表面に限定することができる。例えば、痛みを感知する真皮が影響を受けないようにして、麻酔を使わずに表皮の一部を破壊することができる。
【0110】
ハンドピースを直線上に動かすことにより、組織を切除することができる。最初に、薄い溝を作り、同一線上でハンドピースを動かして、溝をさらに深くしていき、最後には組織を切除する。極めて厚い組織の場合、オペレータは切除する組織の一部を保持して、ハンドピースがさらに組織の内部に入ることができるように、すでに生成した溝を広げ、ハンドピースの本体を組織の内部に入れていく。この処置の間に、厚い嚢が生成されるが、嚢は止血の働きもする。これにより、組織、特に、脾臓、肝臓、肺、膵臓、腎臓、脳などの出血しやすい組織を縫合せずに切除することも可能となる。生成される嚢はまた、切除中に腫瘍細胞が転移するリスクを最小にする。
【0111】
動脈、静脈、またはその他の血管や管などの大きな内腔は、最初に低いエネルギーで収縮させてから、次に高いエネルギーで切断することができる。例えば、最初に切断する内腔を周囲の組織から引き出して処置により周囲の組織に影響が及ばないようにする。次に、ハンドピースの先端部を中エネルギーに調整し約1センチ弱程度離して、内腔に沿って縦方向に繰り返し移動させながらガス流を内腔の表面に印加する。これにより穿孔されることなく、内腔の収縮は円滑に行われる。その後、本装置を中または高エネルギーに調整して、収縮した内腔の中央に、極めて近い距離から、ガス流を横方向に印加して、内腔を切開する。
【0112】
本装置の量子エネルギーを低レベルに調整し、組織の表面の出血を凝固させることができる。例えば、装置を低エネルギーレベルに調整して、ハンドピースを焼灼する部分に近づける。ハンドピースの先端部を組織の広い表面に沿って移動させて、嚢胞壁を生成して、出血しているチャネルを閉じることができる。組織を焼灼させるもう一つの方法は、装置を高エネルギーのレベルに調整するが、ハンドピースと焼灼させる部位の間の距離を、エネルギーレベルに応じて数ミリから数センチと、比較的大きくとって、嚢胞壁を生成する。損傷を受けて出血をしている器官もまた、この方法で凝固させることができる。高量子エネルギーに設定すると、装置は、焼灼する広い部位にわたってポイントごとに即座に凝固させることができる。この方法は、極めて低いエネルギーを設定して1センチの距離から、または高エネルギーを設定して数センチの距離から、感染した組織を消毒しながら嚢胞壁を生成する場合に用いることができる。
【0113】
大きな組織の部位を蒸散させる場合、相当する大量のエネルギーと、高エネルギーの移動が必要となる。このため、不要な組織を大きな部位にわたって除去する場合、移動するエネルギーの量が最小になるように、組織をいくつかの断片に切断してから除去することが好ましい。この方法は、脳手術の場合に特に重要である。本発明の装置により移動するエネルギーの量は、脳手術用に現在使用されている双極焼灼装置の金属により移動するエネルギーの量よりも小さいため、脳手術の場合であっても少量の組織ならば蒸散により除去することができる。標準の焼灼装置を使用する際に行われているように、本発明に係る装置とともに、必要に応じて、組織の水冷却を使用することもできる。
【0114】
骨組織は極めて熱伝導性が高いため、本発明に係る装置で骨を切断する場合は、メタルソーを使った手術で典型的に行われているように、水中で行うことが最も好ましい。本発明に係る装置は、ハンドピースの先端、少なくとも一部、を水中に浸しても作動することができる。ここで「水中」とは、水の中、または食塩水など、手術に使用する適当な液体の中を意味する。
【0115】
脳手術、または肝臓手術など、処置が異なる場合、必要とするエネルギー総量および量子エネルギーのレベルも異なる。エネルギー総量を一定に保ちながら、量子エネルギーを増加させる場合は電力を一定に保ちながら、ガスフローを減少する必要がある。エネルギー総量を一定に保ちながら、量子エネルギーを減少させる場合は電力を一定に保ちながら、ガスフローを増加する必要がある。量子エネルギーは、制御パネルの5つのエネルギースイッチ1350―1354の一つを押すことにより変更することができる。エネルギー総量は、フットペダル45または制御パネル44を使用して「エネルギー増」スイッチ1322または「エネルギー減」スイッチ1320を押して制御する。
【0116】
本発明は、従来知られている方法および装置に多くの長所を提供する。本発明は、出血をしない、または出血を最小にして、隣接する組織に与える損傷を最小にしながら、大量の組織を蒸散させることができる。本発明に係る装置は、脳、肺、肝臓、腎臓、胃、などの1つの人体組織、ただしこれに限定されることはない、に使用することができる。一般的に、皮膚や器官などの柔らかい組織に比べ固い骨や軟骨などの固い組織には、高い量子エネルギーが必要とされる。薄い線形に蒸散を行って切除を行うこともできる。多くの組織を蒸散させることにより腫瘍の摘出を行うことができる。本発明に係る装置を使用して手術中の手術中の出血を最小にして、失血のない、または最小の失血で極めて迅速な手術を行うことができる。さらに、肺、肝臓、胆嚢、脾臓などの組織に対して縫合を行わない手術、または縫合を最小にする手術を実現することができる。これはまた、手術に要する合計時間を短縮する。本発明に係る装置で手術を行う際に静脈、動脈、リンパ管、および微小循環血管が典型的に閉じるということは、悪性の腫瘍が転移するリスクを最小またはなくすことができるということを意味する。死んだ細胞は、脳の場合は約1つの細胞の厚さ、その他の柔らかい組織の場合は約3つの細胞の層の厚さより薄い厚さしか残らないため、術後の合併症や患者の快復期間が大幅に改善される。
【0117】
本発明に係る装置による出血を起こさずに組織を蒸散させることができるという可能性は、従来想像できなかった新しいタイプの手術を可能にする。例えば、本発明に係る装置により生成したビームを直接腫瘍に当てることにより、周囲の細胞を切断することなく、腫瘍を破壊することができる。本発明は、ガス流を放射する器官への損傷を限定しながら、組織の「薄い層」だけを蒸散させることを可能にする。このため、例えば、重度の火傷の場合や、または骨の表面の感染症を除去する場合など、本発明に係る装置を使用して器官の死んだ組織の層を除去することができる。
【0118】
比較的径(d)の小さい先端部を使用して、および/または単にスイッチを押して原子当たりのエネルギーを調整することにより、図2、図6、図7、または図11に示される凝固用の先端部を凝固装置として使用することができる。本装置を広い表面を凝固する凝固装置として、またはピンポイントで正確に凝固する凝固装置として使用することができる。単に装置のエネルギーのレベルを調整するだけで、ミリメートルの径の静脈または動脈を凝固、または切断することができる。凝固用に正しい先端部を選択することにより、組織の極めて広い表面の消毒用に本発明に係る装置を使用することもできる。これはまた、手術のいずれの段階ででも、低いエネルギーレベルを選択するだけで実現することができる。熟練したオペレータは、エネルギー総量のレベル(足または指により調整)および単に原子当たりのエネルギーのレベル(スイッチを押すだけで調整)を単に調整するだけで、同じハンドピースと先端部で組織の切断、蒸散、または凝固を行うことができる。
【0119】
本発明に係る装置は、患者の組織または人体に電流を流すことはなく、低いエネルギーに調整することが可能であるため、静脈、動脈、結腸などの薄い壁で囲まれた部位の穿孔のリスクを最小にする。本発明に係る装置は発生する煙とガス流を最小にし、不活性ガスが手術に与える影響を限定的にしている。本装置はさらに、典型的な他の手術室の器具への干渉を最低、またはゼロにして、最小または従来なかった、手術室環境の安全要件を追加している。
【0120】
本書で引用される「ハンドピース」は、励起された不活性ガス原子を手術の対象に向ける手段を意味し、ハンドピースは、必ずしも人間により操作される必要はなく、遠隔からロボット制御、またはその他の当該技術分野で知られた手段により操作してもよい。
【0121】
特定の実施の形態に関して上述の例示および説明を行ったが、本願発明はここに示された詳細に限定されるものではない。本発明の精神から逸脱することなく、クレームと等価の範囲内で、各種の変形態様を詳細に作ることも可能である。特に、本体、制御パネル、インパルス電圧電源、パルス型直流電源、ワット数、各種ハンドピース、および先端部の形状および寸法に関連する詳細なパラメータは、典型的な実施の形態に関するものであり、本発明をそれらの実施の形態、またはそれらのパラメータの実施の形態に限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
本発明は、以下の図面と共に後述される詳細な記載から明らかになる。一般的な慣習に従って、図面に示される各種の構成要素の縮尺は等しくない。その反対に、理解を容易にするために各種の構成要素は意図的に拡大または縮尺されている。本明細書では以下の図面が参照される。
【図1A】
図1Aは、典型的なハンドピースとハンドピースカバーの正面図であり、波線で示されたカバーの内部には、ハンドピース本体と水循環部の接続部がある。
【図1B】
図1Bは、図1Aに示されたハンドピースとハンドピースカバーの側面図であり、部分断面図には、ハンドピース本体と電気、水およびガスの接続部が示されている。
【図2】
図2は、典型的なハンドピース本体の隣接部の縦断面図である。
【図3】
図3は、図2Aに示された典型的なハンドピース本体の端部の縦断面図である。
【図4A】
図4Aは、本発明の電源により供給される電圧が描く典型的なカーブを示すマイクロ秒当たりの電圧を表すグラフである。
【図4B】
図4Bは、本発明の電源により供給される電圧が描くもう一つの典型的なカーブを示すマイクロ秒当たりの電圧を表すグラフである。
【図4C】
図4Cは、図4Aおよび図4Bの電圧カーブの電圧がインダクタンスコイルを介して印加された際のプラズマセルで得られる電圧および電流が描く典型的なカーブを示すマイクロ秒当たりの電圧および電流のグラフである。
【図5】
図5は、本発明の典型的なシステムを表す概略ブロック図である。
【図6】
図6は、先端部が長く湾曲している点を除いて図2に示されたものと類似した典型的なハンドピース本体の縦断面図である。
【図7】
図7は、もう一つの典型的なハンドピース本体の隣接部の縦断面図である。
【図8A】
図8Aは、図7に示されたハンドピース本体の端部の縦断面図である。
【図8B】
図8Bは、図8Aに示された端部の側面図であり、縦切断線8A−8A、8C−8C、および8D−8Dを示している。
【図8C】
図8Cは、図8Bに示された線8C−8Cに沿って切断された、図8Aに示された端部の断面図である。
【図8D】
図8Dは、図8Bに示された線8D−8Dに沿って切断された、図8Aに示された端部の断面図である。
【図9】
図9は、典型的なハンドピース本体の隣接部の縦断面図である。
【図10A】
図10Aは、もう一つの典型的なハンドピース本体の端部の縦断面図である。
【図10B】
図10Bは、図10Aで示された線10B−10Bに沿って切断された断面図である。
【図10C】
図10Cは、図10Bで示された線10C−10Cに沿って切断された断面図である。
【図11】
図11は、先端部が長く湾曲している点を除いて図7に示されたものと類似した典型的なハンドピース本体の縦断面図である。
【図12A】
図12Aは、本発明に係る典型的な装置を表す透視図である。
【図12B】
図12Bは、図12Aに示された装置の典型的なカウンタバランス機構を表す側面図である。
【図13】
図13は、本発明に係る典型的な制御パネルを表す図である。
【図14A】
図14Aは、本発明に係る電圧電源、インダクタンスコイル、およびプラズマセルの典型的な関係を表す回路図である。
【図14B】
図14Bは、電圧増倍回路を備えた典型的なインパルス電圧電源を表す回路図である。
【図15】
図15は、本発明に係る典型的な装置を使用して処置された後の典型的な脳組織の一部を表す断面図である。
【図16】
図16は、ガスの流れを増減させる典型的な回路を表す回路図である。

Claims (57)

  1. 複数の高エネルギー不活性ガス原子を流れにして放射する手術用装置であり、
    不活性ガス源と、
    前記不活性ガス源と連通し、エネルギーを前記不活性ガス原子に与える、陽極と陰極とにより一部を構成されるプラズマセルと、
    前記陽極と陰極に電気的に接続され、(a)第一に、前記陽極と陰極の間にイオン化電圧を生成して、前記プラズマセルで前記不活性ガスからプラズマを発生させ、(b)続いて、前記プラズマを一定のエネルギーレベルで持続させるパルス電圧カーブを生成する、少なくとも1つの直流電源と、
    前記エネルギー活性化された不活性ガスを対象物に向ける手段と、から構成されることを特徴とする手術用装置。
  2. 前記パルス電圧カーブは、第1時間期間(tp)継続するピーク電圧と、続く第2時間期間(tz)継続する最小電圧との反復パターンから構成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記パルス電圧カーブは、最小電圧が0より大きいことを特徴とする請求項2記載の装置。
  4. 前記パルス電圧カーブは、最小電圧が0であることを特徴とする請求項2記載の装置。
  5. インダクタンスコイルを備え、前記パルス電圧カーブは前記インダクタンスコイルを介して印可され、前記プラズマセルに印加される鮫の歯状の電流カーブと鮫の歯状の電圧カーブを生成することを特徴とする請求項2記載の装置。
  6. 前記不活性ガス源と前記電源に連結した制御システムを備え、前記制御システムは、少なくとも一つのユーザインタフェースと、複数のエネルギー設定値を有し、前記制御システムは前記電圧カーブと前記不活性ガスフローを変化させ、ユーザが選択した値の前記プラズマのエネルギー総量と量子エネルギーを提供することを特徴とする請求項1記載の装置。
  7. 前記制御システムは、プログラマブルコントローラと、前記プログラマブルコントローラに接続された量子エネルギー制御ユーザインタフェースと、前記プログラマブルコントローラに接続されたエネルギー総量制御ユーザインタフェースを備えることを特徴とする請求項6記載の装置。
  8. 前記量子エネルギー制御ユーザインタフェースは、それぞれが希望する量子エネルギーに対応する、複数のスイッチを備えた制御パネルを有することを特徴とする請求項7記載の装置。
  9. 前記エネルギー総量制御ユーザインタフェースは、開始スイッチ、停止スイッチ、出力を増加させる第1スイッチ、および出力を減少させる第2スイッチを有することを特徴とする請求項7記載の装置。
  10. 前記開始スイッチ、前記停止スイッチ、前記第1スイッチ、および前記第2スイッチは、前記制御パネル、フットペダル、またはその両方、のいずれかに配置されることを特徴とする請求項9記載の装置。
  11. 前記不活性ガスを対象物に向ける手段は、前記プラズマセルを有した管状の本体と、前記本体から延伸した先端部とからなるハンドピースを備え、前記先端部は、前記プラズマセルと連通し、前記先端部から前記高エネルギー不活性ガスを放射する溝を形成することを特徴とする請求項1記載の装置。
  12. 前記先端部の一部は、前記本体の内部に配置され、さらに前記陽極を備えることを特徴とする請求項11記載の装置。
  13. 前記陰極は前記プラズマセルの内部に軸方向に配置され、前記陽極は前記陰極と離れて放射状に囲み、前記陰極と電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項12記載の装置。
  14. 前記陽極はアース側にバイアスされていることを特徴とする請求項12記載の装置。
  15. 前記ハンドピース用の冷却システムを備えたことを特徴とする請求項11記載の装置。
  16. 前記冷却システムが滅菌水を有することを特徴とする請求項15記載の装置。
  17. 前記冷却システムがさらに、前記ハンドピース内に水循環システムを備えたことを特徴とする請求項16記載の装置。
  18. 前記ハンドピースに連結したハンドピースケーブルとチューブシステム、前記不活性ガス源と直流電源に連結した本体ケーブルとチューブシステムを備え、前記ハンドピースとハンドピースケーブルとチューブシステムは、前記本体ケーブルとチューブシステムから脱着可能であることを特徴とする請求項11記載の装置。
  19. 前記先端部が前記ハンドピースから取り外し可能であることを特徴とする請求項11記載の装置。
  20. 前記ハンドピースと、ハンドピースケーブルとチューブシステムが、化学的に、または加熱されて滅菌された材料から構成されていることを特徴とする請求項11記載の装置。
  21. 前記先端部は長く湾曲した延伸部を有することを特徴とする請求項11記載の装置。
  22. 前記ハンドピースはさらにグリップを有することを特徴とする請求項11記載の装置。
  23. 前記ハンドピースと連結する1つ以上の管状連結部と、1つの電気的接続部を備え、前記管状連結部と前記電気的接続部は前記ハンドピースと、カバーにより覆われる前記ハンドピースの先端部の一方の側の接続部位において連結し、前記カバーは前記接続部位において前記グリップを有することを特徴とする請求項22記載の装置。
  24. 前記ハンドピースと連結する1つ以上の管状連結部と、1つの電気的接続部を備え、前記ハンドピースは内視鏡または腹腔鏡手術用であり、隣接部、前記隣接部の先端部に取り付けられた中間連結ピースと、前記管状連結部の一部および前記電気的接続部の一部を収納する先端延伸ユニットと、から構成され、前記先端延伸ユニットは前記中間連結ピースの先端部に連結され、前記隣接部、前記中間連結ピース、および前記先端延伸ユニットの隣接端は、お互いに連結した場合に、連続した円筒形の外周を形成することを特徴とする請求項11記載の装置。
  25. 前記ハンドピースは、直径(D)が約10mm以下、先端の溝の直径(d)が約0.5から約1.0mmの範囲であることを特徴とする請求項24記載の装置。
  26. 前記ハンドピースは、直径(D)が約10から約14mmの範囲であり、長さ(L)が約50から約150mmであり、先端の溝の直径(d)が約0.5から約1.2mmの範囲であり、一般手術用であることを特徴とする請求項11記載の装置。
  27. 前記ハンドピースは、直径(D)が約5から約8mmの範囲であり、長さ(L)が約50から約120mmであり、先端の溝の直径(d)が約0.25から約1.0mmの範囲であり、微小手術用であることを特徴とする請求項11記載の装置。
  28. 前記ハンドピースはさらに、外部表面を有して、前記ハンドピースを通って前記陰極に軸方向に延伸する陰極ロッドを備え、前記陰極ロッドは前記外部表面を絶縁する絶縁部を有していることを特徴とする請求項27記載の装置。
  29. 前記不活性ガスがアルゴンを含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
  30. 前記装置より放射される前記高エネルギー原子が、処置を行う組織を構成する1つ以上の分子下粒子の分子結合エネルギーよりも大きな平均エネルギーを持つことを特徴とする請求項1記載の装置。
  31. 複数の高量子エネルギー不活性ガス原子を流れにして放射する手術用装置を用いて生体組織に手術処置を実行する方法であり、前記装置は、陽極と陰極とにより一部を構成されるプラズマセルを有したハンドピースと、前記プラズマセルと連通する溝を形成し、前記不活性ガス原子を先端部から前記フローにして放射するハンドピース先端部と、前記ハンドピースに連結した不活性ガス源と、前記陽極と前記陰極の間に電気的に接続した少なくとも1つの直流電源と、から構成され、前記方法は、
    (a)前記プラズマセルへの不活性ガスフローを生成すステップと、
    (b)まず、前記電流電源から前記陽極と陰極の間にイオン化電圧を印加し、前記プラズマセルの前記不活性ガスから、プラズマを生成するステップと、
    (c)前記電流電源からパルス電圧カーブを印加して、複数の高量子エネルギー不活性ガス原子、複数のイオン、および複数の自由電子から構成される前記プラズマを所定の量子エネルギーレベルで持続するステップと、
    (d)前記高量子エネルギー不活性ガス原子を前記先端部の前記溝から放射するステップと、
    (e)前記高量子エネルギー不活性ガス原子を使用して、前記生体組織の前記一部に手術処置を行うステップと、から構成されることを特徴とする方法。
  32. 前記手術処置が、切断、焼灼、切除、または蒸散、消毒、およびそれらの組み合わせのグループから選択した1つの処置を含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
  33. 放射される前記高量子エネルギー原子が、処置を行う組織を構成する1つ以上の分子下粒子の分子結合エネルギーよりも大きな平均量子エネルギーを持つことを特徴とする請求項31記載の方法。
  34. 放射される前記高量子エネルギー原子が、前記組織の分子をイオン化してフリーラジカルを形成するためには十分な大きさではない平均量子エネルギーを持つことを特徴とする請求項31記載の方法。
  35. 前記ステップがさらに、基本的に複数のイオンおよび前記複数の電子が基本的に含まない、前記複数の高エネルギー原子のみを放射するステップを備えることを特徴とする請求項31記載の方法。
  36. 前記ステップ(e)が、前記生体組織の切開部の切断、または前記生体組織の一部の蒸散、または切除の中の1つのステップと、さらに、前記切開部または前記蒸散された一部の周囲に焼灼された組織の嚢胞壁を同時に生成するステップと、を備えることを特徴とする請求項31記載の方法。
  37. 前記切開部は、線形蒸散部を含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
  38. 前記手術処置は脳手術を含み、生成される嚢胞壁は約10マイクロメータより薄い厚さであることを特徴とする請求項36記載の方法。
  39. 前記組織は柔らかい組織であり、生成される嚢胞壁は約10から約30ミクロンの範囲の厚さであることを特徴とする請求項36記載の方法。
  40. 前記嚢胞壁は、前記手術処置を実行する前記組織部分に隣接した前記生体組織の複数のチャネルを閉じることを特徴とする請求項36記載の方法。
  41. 前記チャネルは、静脈、動脈、リンパ管、胆管、および気管支のグループから選択されることを特徴とする請求項40記載の方法。
  42. 前記複数のチャネルを閉じることは、前記チャネルから液体または空気の損失を防止し、縫合ステップなしに前記方法を完了可能にすることを特徴とする請求項40記載の方法。
  43. 前記生体組織の一部は、脾臓、肝臓、肺、膵臓、腎臓、脳から構成されるグループから選択される出血しやすい組織を含むことを特徴とする請求項42記載の方法。
  44. 前記ステップ(d)を実行する際に、前記ハンドピース先端部の少なくとも一部が水中に浸ることを特徴とする請求項31記載の方法。
  45. 前記手術処置が、一般手術、微小手術、内視鏡手術、および腹腔鏡手術から構成されるグループから選択される処置を含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
  46. 前記生体組織の一部が、肝臓、脾臓、膵臓、肺、胃、腸、脳、皮膚、軟骨、および骨から構成されるグループから選択される組織を含むことを特徴とする請求項45記載の方法。
  47. 手術処置が一般手術を含み、前記ハンドピースは、直径(D)が約10から約14mmの範囲であり、長さ(L)が約50から約150mmであることを特徴とする請求項45記載の方法。
  48. 手術処置が微小手術を含み、前記ハンドピースは、直径(D)が約5から約8mmの範囲であり、長さ(L)が約50から約120mmであることを特徴とする請求項45記載の方法。
  49. 手術処置が内視鏡または腹腔鏡手術を含み、前記ハンドピースは、直径(D)が約10mmであることを特徴とする請求項45記載の方法。
  50. 前記装置がさらに、前記不活性ガス源と前記電流電源に連結した制御システムを備え、前記制御システムは、少なくとも1つのユーザインタフェースと、複数のエネルギー設定値を有し、前記制御システムは前記電圧カーブと前記不活性ガスフローを変化させて、ユーザが選択した値の前記プラズマのエネルギー総量と量子エネルギーを提供し、前記制御システムは、プログラマブルコントローラと、前記プログラマブルコントローラに接続された量子エネルギー制御ユーザインタフェースと、前記プログラマブルコントローラに接続されたエネルギー総量制御ユーザインタフェースを備え、前記方法はさらに、
    (f)オペレータが前記量子エネルギー制御ユーザインタフェースにより前記所定の量子エネルギーレベルを選択するステップと、
    (g)前記オペレータが前記エネルギー総量制御ユーザインタフェースを作動してエネルギー総量レベルの希望する変更を表示するステップと、
    (h)前記プログラマブルコントローラが前記制御システムを制御して、前記不活性ガスフローと前記電流電源により供給される電流と電圧の量を、前記オペレータにより表示された前記希望する変更に従って調整することを特徴とする請求項45記載の方法。
  51. 前記原子のエネルギーレベルを示す可視色を有するフォトンを放出する前記高エネルギー不活性ガス原子を含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
  52. 前記方法はさらに、前記可視色に基づいて前記原子の前記エネルギーを手動で調整して、前記生体組織に有効であると知られている所定の色を実現するステップを含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
  53. 前記手術装置は、前記放出された高エネルギーガス原子の比較的高いエネルギーレベルに対応する複数の量子エネルギー設定値を有し、前記処置は、静脈または動脈の一部を切除することを含み、前記方法はさらに、
    (f)前記血管を穿孔することのない比較的低いエネルギー設定値で前記装置を使用して前記血管の一部を収縮させるステップと、
    (g)比較的高いエネルギー設定値で前記装置を使用して前記収縮された一部を切断するステップと、から構成されることを特徴とする請求項31記載の方法。
  54. 前記ステップ(a)は、前記手術処置を実行するための所定のレベルのエネルギー総量を得るために十分な量の不活性ガスフローを前記プラズマセルに供給するステップを含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
  55. 前記複数のチャネルを閉じることは、組織の細胞または部分が前記チャネルを介して転移することを防止することを特徴とする請求項40記載の方法。
  56. 前記複数のチャネルを閉じることは、腫瘍組織の癌細胞または部分が前記チャネルを介して転移することを防止することを特徴とする請求項55記載の方法。
  57. ガスフローを増加または減少させる前記不活性ガス源に接続したガス制御装置と、前記ガス制御装置に接続し、第1方向に回転すると前記制御装置を前記第1方向に回してガスフローを増加させ、第2方向に回転すると前記制御装置を前記第2方向に回してガスフローを減少させるモータと、前記モータに接続した電源と、から構成され、前記第1スイッチは作動すると、前記モータを前記第1方向に回転させて出力を増加させ、前記第2スイッチは作動すると、前記モータを前記第2方向に回転させて出力を減少させることを特徴とする請求項9記載の装置。
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