JP2004310943A - 摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、摺動性が良好であり、かつ長時間にわたって荷重が掛かった場合にも、粘着剤の染み出しを抑えることができる摺動部材を提供すること。
【解決手段】摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、前記摺動性基材は、プラスチックを主体とする多孔質体であり、かつ、前記摺動性基材と前記粘着層の間には、バリア層を有することを特徴とする摺動部材。
【選択図】 図1
【解決手段】摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、前記摺動性基材は、プラスチックを主体とする多孔質体であり、かつ、前記摺動性基材と前記粘着層の間には、バリア層を有することを特徴とする摺動部材。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は摺動部材に関する。本発明の摺動部材はディスクやテープ等の回転体を有する記録メディアおよびその駆動装置、記録装置等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、VTR、FD、MO等の回転体を有する記録メディアやそれらを駆動しデータの読み書きを行なう記録装置等においては、前記回転体とその支持部分との間に摺動性に優れたプラスチック材料を配置することが以前から行なわれている。前記摺動性材料としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が用いられている。さらには、摺動性材料としては、その多孔質シートが摩擦係数に優れるため好適であることが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
また前記摺動性材料には粘着層が積層されて用いられる。しかしながら、PTFEやUHMWPEの多孔質シートに粘着層を設けた摺動部材に、長時間にわたって荷重が掛かると多孔質シートの孔から粘着剤が染み出す現象が発生する。このような状態では、回転等の運動をしている部品(回転体)との間で滑りが起こらず、摺動部材としての性能を発揮することができない。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−148175号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、摺動性が良好であり、かつ長時間にわたって荷重が掛かった場合にも、粘着剤の染み出しを抑えることができる摺動部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す摺動部材により前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の通りである。
【0007】
1.摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、
前記摺動性基材は、プラスチックを主体とする多孔質体であり、かつ、
前記摺動性基材と前記粘着層の間には、バリア層を有することを特徴とする摺動部材。
【0008】
2.前記摺動性基材が、超高分子量ポリエチレンを主体とする多孔質体であることを特徴とする上記1の摺動部材。
【0009】
3.バリア層が、熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする上記1または2記載の摺動部材。
【0010】
4.熱可塑性樹脂が架橋ポリエチレンであることを特徴とする上記3記載の摺動部材。
【0011】
5.バリア層の厚みが、0.01〜0.5mmであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の摺動部材。
【0012】
(作用効果)
上記本発明では、摺動性基材はプラスチックを主体とする多孔質体を用いており優れた摺動性を有する。また、摺動性基材と粘着層との間にはバリア層を有しており、荷重条件下においても粘着層からの粘着剤の移動を抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の摺動部材の一例を示す断面図であり、摺動性基材1の片側にバリア層3を介して粘着層2を有する。粘着層2には、セパレータ4を設けることができる。なお、図2は、従来の摺動部材の一例を示す断面図であり、摺動性基材1の片側に、直接、粘着層2が設けられている。
【0014】
摺動性基材は、プラスチックを主体とする多孔質体が用いられる。摺動性基材は、他の部品との摺動性を有する必要があるため、摩擦係数が低い材料が用いられる。たとえば、摩擦係数が0.2以下、さらには0.1以下のものが好ましい。摺動性を有するプラスチックとしては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が好適である。特に、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れるUHMWPEが好ましい。UHMWPEには低価格であるという利点もある。これら摺動性を有するプラスチックを多孔質のシート状に成形して、摺動性基材として用いる。
【0015】
以下、UHMWPEを用いた多孔質シートについて説明する。UHMWPEの分子量は50万を超えるものであり、100万を超えるものがさらに好ましい。このようなUHMWPEとしては、たとえば、ハイゼックスミリオン(三井化学社製)、ホスタレンGUR(タイコナ社製)等が市販されている。なお、本発明における分子量は、粘度法による測定値を言う。
【0016】
UHMWPEの多孔質シートを作製する方法としては、例えば、抽出法や焼結法があげられる。これらの方法のなかでも、作製された多孔質シートの摩擦係数の低下や孔径の均一性等の観点から、特公平5−66855号公報に記載の焼結法によるところが好ましい。
【0017】
該公報記載の焼結法について以下に説明する。まず、UHMWPE粉末を金型に充填し、このUHMWPEの融点より低い温度で加熱、加圧して予備成形物を作製する。次いで、この予備成形物を減圧雰囲気中に放置して、空気の除去を行う。次いで、上記UHMWPEの融点以上に加熱された水蒸気雰囲気中で焼結した後冷却してUHMWPEの多孔質体を作製する。
【0018】
上記焼結法を詳細に説明する。まず、UHMWPE粉末を金型に充填し、加熱する。加熱温度は、UHMWPE粉末の融点よりも低い温度で行う必要がある。通常、融点より20℃低い温度範囲以内であるのが好ましい。加熱時間は、加熱温度により適宜決定されるが、通常、金型内で形成される予備成形物の肉厚1cm当たり30〜60分間の範囲とするのが好ましい。
【0019】
上記加熱後、金型内に充填されているUHMWPE粉末を加圧して、予備成形物を作製する。この加圧は、通常、約0.3×105 〜40×105 Pa の圧力で、金型内におけるUHMWPE粉末の充填高さを調整する方法によって行うことができる。金型内で形成される予備成形物の重量(金型に充填したUHMWPE粉末の重量)、予備成形物の底面積(通常、金型の底面積と同じ)および予備成形物の比重(見かけ密度)の間には、下記の関係式が成立する。重量=底面積×高さ×比重(見かけ密度)。したがって、上記加圧により金型へのUHMWPE粉末の充填高さを所定値にすることにより、予備成形物の比重(見かけ密度)を決定することができる。すなわち、同一の金型を用い、UHMWPE粉末の充填重量を同量とした場合には、充填高さが高い程、比重の小さな予備成形物が得られる。なお、本発明において、比重(見かけ密度)を、約0.23〜0.78(気孔率約15〜75%)の範囲となるように充填高さを調整するとことが、作業性の点から好ましい。
【0020】
焼結法によって得られる多孔質体の比重(見かけ密度)は、他の条件が同じであれば、予備成形物の比重(見かけ密度)と密接な関係を有し、予備成形物の比重(見かけ密度)が高い程、これを用いて得られる多孔質体の比重(見かけ密度)も高くなる。このことから、加圧は、多孔質体の比重(見かけ密度)決定工程ということができる。そして、加圧工程によって得られる予備成形物の比重(見かけ密度)を、上記特定の範囲に設定した場合には、後の工程の条件によって多少変化するが、比重(見かけ密度)が約0.28〜0.74(気孔率約20〜70%)の多孔質体が得られる。なお、予備成形物または多孔質体の比重(見かけ密度)から、下記式、
気孔率(%)=〔1−(見かけ比重/UHMWPEの真比重)〕×100
により、その気孔率を算出することができる。
【0021】
上記加圧工程により得られる予備成形物に対しては、減圧雰囲気下で脱気処理が行われ、予備成形物の気孔内の空気が排除される。脱気処理としては、例えば、予備成形物を金型から取り出し、耐圧容器中に入れ減圧する方法があげられる。上記減圧雰囲気は、通常、約13.3〜1330Paの範囲である。
【0022】
脱気処理された予備成形物は、UHMWPEの融点以上に加熱された水蒸気雰囲気中で焼結される。この焼結の際、前述のように予備成形物は脱気状態であり、かつ上記水蒸気は通常加圧されているため、上記予備成形物内に水蒸気が容易に浸入して速やかに熱を伝達し、成形物が焼結されるようになる。このように、予備成形物の脱気状態を維持して水蒸気焼結を行うと、熱が予備成形物全体に均一かつ速やかに伝達されるようになり、この結果、分布および孔径が均一な気孔を備えた多孔質体を得ることが可能となる。したがって、この加熱水蒸気による焼結工程は、前記の耐圧容器に水蒸気導入管およびこの導入管の開閉を行うバルブを配設し、予備成形物の脱気処理を行った後、減圧状態を解除しつつ、あるいは減圧状態を維持し、上記バルブを開放して加熱水蒸気を導入する方法により行うことが望ましい。
【0023】
焼結に要する時間は、予備成形物の大きさ、焼結温度等の条件により適宜決定されるが、通常、約3〜6時間である。なお、その他の焼結法での焼結時間は、約48〜72時間であることから、この焼結法は、製造効率が高い製法であることがわかる。焼結後、冷却することにより目的とする多孔質体を得ることができる。なお、この冷却は、急冷による多孔質体の亀裂等の発生を防止するために、室温放置による冷却が好ましい。
【0024】
上記多孔質体をシートに成形する方法は、特に制限するものではなく、例えば、旋盤等を用いた切削により行うことができる。加工は用途に応じて行なわれる。たとえば、光ディスク装置に使用する際には、一般に、上記UHMWPE多孔質シートは、偏平リング状に加工される。この加工は、打ち抜き加工等により行われる。
【0025】
UHMWPE多孔質シートの気孔率は、20〜70%の範囲に設定するのが好ましい。より好ましくは20〜50%であり、特に好ましくは30〜50%の範囲である。気孔率が20%未満であると多孔質シートの摩擦係数が高くなる傾向がある。一方、気孔率が70%を超えると多孔質シートの機械的強度が低下する傾向がある。この気孔率は、前述の予備成形物の比重による調整や、UHMWPE粉末の粒径等により調整することができる。なお、本発明において、気孔率とは、見かけの体積に対する空隙の占める割合である。
【0026】
UHMWPE多孔質シートの厚みは、通常、0.02〜0.50mmが好ましい。より好ましくは0.03〜0.30mm、特に好ましくは0.05〜0.20mmの範囲である。0.02mm未満であると機械的強度が低下する傾向がみられ、逆に0.50mmを超えると摺動部材としての厚みが厚くなりすぎる場合がある。
【0027】
より一層の摩擦係数低下のために上記UHMWPE多孔質体には、シリコーン等の滑り剤を含浸させてもよい。また、帯電防止のために界面活性剤や導電性ポリマー等の帯電防止剤を含浸させてもよい。その他に、カーボンブラックや導電性ポリマーを成型時に混合しておき、帯電防止性を持たせてもよい。
【0028】
バリア層は、UHMWPE等を用いた多孔質シートと適度な接着性を示す材料であれば特に制限は無い。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が用いられる。これら熱可塑性樹脂は、通常、シート状で用いられる。またバリア層は、熱可塑性樹脂シートの積層シート、または熱可塑性樹脂シートとポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等の高強度のシートとの積層シート等を用いることができる。
【0029】
上記樹脂シート(バリアシート)は多孔質シートと貼り合わせてバリア層を形成する。貼り合わせ方法としては、樹脂シートと多孔質シートを、加熱した一対のロール間を通過させ、熱融着する方法があげられる。その場合に、バリア層の材料としては、多孔質シートの多孔部分から染み出してしまうものは好ましくない。例えば気孔率に対しバリア層に用いる樹脂シートの体積が非常に大きい場合には、バリア層の材料が染み出す恐れがある。
【0030】
そのため、バリア層に用いる樹脂シートとしては、例えば、溶融粘度が高い熱可塑性樹脂から得られたシートを用いることが好ましい。溶融粘度は、5kPa・s〜500kPa・s、さらには10kPa・s〜200kPa・sであるのが好ましい。溶融粘度は、粘弾性測定装置にて測定される。上記溶融粘度は200℃、周波数1rad/secにおいて測定した値である。かかる溶融粘度が高い樹脂としては、たとえば、架橋ポリエチレン等があげられる。架橋ポリエチレンは、通常のポリエチレンに適量の電子線を照射することにより得ることができる。ポリエチレンの分子に電子線が当ると分子同士の結合が起こり、3次元的な結合(架橋構造)を持つ分子構造ができる。このような溶融粘度が高い樹脂を用いた樹脂シートは、当該樹脂の融点に達してもシートの形状はある程度保持される。このようなシートをバリア層として用いると、多孔質シートの孔からバリア層材料の染み出しは起こらない。
【0031】
バリア層の厚みは、多孔質シートの気孔率や厚みよって異なるが、通常、0.01〜0.5mm程度が好ましい。0.01mm未満であると多孔質シートの孔が開く等の不具合が生じるおそれがある。また0.5mmを超えると、摺動部材としての厚みが厚すぎることがある。バリア層の厚みは0.01〜0.5mm、さらには0.02〜0.05mmであるのが好ましい。
【0032】
粘着層は、各種粘着剤により形成される。粘着剤は特に制限されず、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の一般的な感圧型粘着剤を用いることができる。粘着剤の種類は、被着体やバリア層の種類により適宜に選定すればよい。
【0033】
粘着層の形成は、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材の両面に粘着層を形成した両面粘着シートを形成し、当該両面粘着シートの片側のみをバリア層に貼り合わせることにより行なうことができる。また粘着層の形成は、バリア層に粘着剤を直接塗工してもよい。また、セパレータに形成した粘着層を転写することにより形成することもできる。なお、粘着剤と接着するバリア層の面には、より強固に接着するように、コロナ放電等の易接着処理を施してもよい。
【0034】
粘着層の厚みは、特に制限されるものではない。粘着層を両面粘着シートを貼り合わせて形成する場合、粘着剤の塗工、転写等により形成する場合のいずれの場合にも、粘着層の厚みは、0.01〜0.3mm程度が好ましい。さらには、0.03〜0.1mmが好ましい。0.01mm未満では、被着体となる記録メディアおよびその駆動装置、記録装置等に対する接着性が十分得られない場合がある。また、0.3mmを超えると摺動部材としての厚みが厚すぎる場合がある。
【0035】
また、粘着層には取り扱い性の点から、上記粘着層にセパレータを積層しても良い。セパレータとしては、粘着剤の種類に合わせて選択することができ、特に制限するものではない。たとえば、シリコーン樹脂のような離形性を有する材料を塗布したポリエチレンテレフタレートシート等を用いることができる。またポリエチレンやポリプロピレン等の粘着剤と、比較的貼り付きにくいプラスチックフィルムを用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれによって何等限定されるものではない。
【0037】
実施例1
(摺動性基材の作製)
UHMWPE粉体(分子量500万,融点135℃)を金型に充填し、125℃で加熱圧縮して予備成型物を作製した。これを、さらに160℃の水蒸気雰囲気中で加熱して焼結させた後、冷却して円筒状の多孔質体(気孔率35%)を得た。この円筒状多孔質体を旋盤を用いて0.10mmの厚さに切削してシート状にし、UHMWPE多孔質シートを得た。これを摺動性基材として用いた。
【0038】
(バリア層の形成)
低密度ポリエチレンのシート(厚さ0.03mm)に電子線を照射し、架橋を行い、バリアシートを得た。バリアシート(架橋低密度ポリエチレン)の溶融粘度は30kPa・s(粘弾性測定装置により、200℃,周波数1rad/secの条件で測定)であった。
【0039】
UHMWPE多孔質シートとバリアシートを、135℃に加熱した、対になるゴムロール間を0.5m/分の速度で通過させて、貼り合わせ、摺動性基材にバリア層を形成した。
【0040】
(粘着層の形成)
シリコーン系粘着剤(KR101−10,信越化学工業製)100重量部に過酸化ベンゾイル1.2重量部、トルエン100重量部を加えた塗布液を調製した。この塗布液を、厚み0.025mmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に塗布し、これを130℃で10分間加熱乾燥し、両面粘着テープを作製した。この両面粘着テープの粘着層の厚みはそれぞれ0.03mmであった。また、このとき一方の粘着層にはセパレータを貼り付けてある。このセパレータは、厚さ0.05mmのポリプロピレンシートをそのまま用いた。
【0041】
次いで、上記摺動性基材のバリア層と、両面粘着テープの粘着層(セパレータが貼り付けられていない側)が対面になるように、ゴムロール間を0.5m/分の速度で通過させ、貼り合わせた。ゴムロールの温度は60℃とした。次いで、これを10mmφの円形に打抜き加工し、目的とする摺動部材を得た。
【0042】
比較例1
実施例1において、UHMWPE多孔質シートにバリア層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして摺動部材を得た。
【0043】
比較例2
実施例1において、摺動性基材として、多孔質ではないUHMWPEシートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして摺動部材を得た。
【0044】
得られた摺動部材について、下記評価を行なった。結果を表1に示す。
【0045】
(摩擦係数)
相手材としてポリエチレンテレフタレートのシートを用い、バウデンレーベン型摩擦試験機により、摺動速度150mm/分、接触面として直径12mmの球、荷重200g の条件で測定した。
【0046】
(粘着剤の染み出し)
摺動部材に60℃の雰囲気下で600N/cm2 の荷重を60分間かけた。その後、摺動部材を切断し、粘着剤の移動がどれだけあるかを顕微鏡で観察した。粘着剤が摺動性基材の表面まで達しているか否かを評価した。達している場合を染み出し「有り」とし、達していない場合を染み出し「無し」とした。
【0047】
【表1】
表1に示したように、実施例の摺動部材は、摩擦係数が低く摺動性が良好であることが認められる。また粘着剤の染み出しもない。一方、比較例では、低い摩擦係数による摺動性と、粘着剤の染み出しの防止を両立することができない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摺動部材の一例の断面図である。
【図2】従来の摺動部材の一例の断面図である。
【符号の説明】
1 摺動性基材
2 粘着層
3 バリア層
4 セパレータ
【発明の属する技術分野】
本発明は摺動部材に関する。本発明の摺動部材はディスクやテープ等の回転体を有する記録メディアおよびその駆動装置、記録装置等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、VTR、FD、MO等の回転体を有する記録メディアやそれらを駆動しデータの読み書きを行なう記録装置等においては、前記回転体とその支持部分との間に摺動性に優れたプラスチック材料を配置することが以前から行なわれている。前記摺動性材料としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が用いられている。さらには、摺動性材料としては、その多孔質シートが摩擦係数に優れるため好適であることが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
また前記摺動性材料には粘着層が積層されて用いられる。しかしながら、PTFEやUHMWPEの多孔質シートに粘着層を設けた摺動部材に、長時間にわたって荷重が掛かると多孔質シートの孔から粘着剤が染み出す現象が発生する。このような状態では、回転等の運動をしている部品(回転体)との間で滑りが起こらず、摺動部材としての性能を発揮することができない。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−148175号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、摺動性が良好であり、かつ長時間にわたって荷重が掛かった場合にも、粘着剤の染み出しを抑えることができる摺動部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す摺動部材により前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の通りである。
【0007】
1.摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、
前記摺動性基材は、プラスチックを主体とする多孔質体であり、かつ、
前記摺動性基材と前記粘着層の間には、バリア層を有することを特徴とする摺動部材。
【0008】
2.前記摺動性基材が、超高分子量ポリエチレンを主体とする多孔質体であることを特徴とする上記1の摺動部材。
【0009】
3.バリア層が、熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする上記1または2記載の摺動部材。
【0010】
4.熱可塑性樹脂が架橋ポリエチレンであることを特徴とする上記3記載の摺動部材。
【0011】
5.バリア層の厚みが、0.01〜0.5mmであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の摺動部材。
【0012】
(作用効果)
上記本発明では、摺動性基材はプラスチックを主体とする多孔質体を用いており優れた摺動性を有する。また、摺動性基材と粘着層との間にはバリア層を有しており、荷重条件下においても粘着層からの粘着剤の移動を抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の摺動部材の一例を示す断面図であり、摺動性基材1の片側にバリア層3を介して粘着層2を有する。粘着層2には、セパレータ4を設けることができる。なお、図2は、従来の摺動部材の一例を示す断面図であり、摺動性基材1の片側に、直接、粘着層2が設けられている。
【0014】
摺動性基材は、プラスチックを主体とする多孔質体が用いられる。摺動性基材は、他の部品との摺動性を有する必要があるため、摩擦係数が低い材料が用いられる。たとえば、摩擦係数が0.2以下、さらには0.1以下のものが好ましい。摺動性を有するプラスチックとしては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が好適である。特に、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れるUHMWPEが好ましい。UHMWPEには低価格であるという利点もある。これら摺動性を有するプラスチックを多孔質のシート状に成形して、摺動性基材として用いる。
【0015】
以下、UHMWPEを用いた多孔質シートについて説明する。UHMWPEの分子量は50万を超えるものであり、100万を超えるものがさらに好ましい。このようなUHMWPEとしては、たとえば、ハイゼックスミリオン(三井化学社製)、ホスタレンGUR(タイコナ社製)等が市販されている。なお、本発明における分子量は、粘度法による測定値を言う。
【0016】
UHMWPEの多孔質シートを作製する方法としては、例えば、抽出法や焼結法があげられる。これらの方法のなかでも、作製された多孔質シートの摩擦係数の低下や孔径の均一性等の観点から、特公平5−66855号公報に記載の焼結法によるところが好ましい。
【0017】
該公報記載の焼結法について以下に説明する。まず、UHMWPE粉末を金型に充填し、このUHMWPEの融点より低い温度で加熱、加圧して予備成形物を作製する。次いで、この予備成形物を減圧雰囲気中に放置して、空気の除去を行う。次いで、上記UHMWPEの融点以上に加熱された水蒸気雰囲気中で焼結した後冷却してUHMWPEの多孔質体を作製する。
【0018】
上記焼結法を詳細に説明する。まず、UHMWPE粉末を金型に充填し、加熱する。加熱温度は、UHMWPE粉末の融点よりも低い温度で行う必要がある。通常、融点より20℃低い温度範囲以内であるのが好ましい。加熱時間は、加熱温度により適宜決定されるが、通常、金型内で形成される予備成形物の肉厚1cm当たり30〜60分間の範囲とするのが好ましい。
【0019】
上記加熱後、金型内に充填されているUHMWPE粉末を加圧して、予備成形物を作製する。この加圧は、通常、約0.3×105 〜40×105 Pa の圧力で、金型内におけるUHMWPE粉末の充填高さを調整する方法によって行うことができる。金型内で形成される予備成形物の重量(金型に充填したUHMWPE粉末の重量)、予備成形物の底面積(通常、金型の底面積と同じ)および予備成形物の比重(見かけ密度)の間には、下記の関係式が成立する。重量=底面積×高さ×比重(見かけ密度)。したがって、上記加圧により金型へのUHMWPE粉末の充填高さを所定値にすることにより、予備成形物の比重(見かけ密度)を決定することができる。すなわち、同一の金型を用い、UHMWPE粉末の充填重量を同量とした場合には、充填高さが高い程、比重の小さな予備成形物が得られる。なお、本発明において、比重(見かけ密度)を、約0.23〜0.78(気孔率約15〜75%)の範囲となるように充填高さを調整するとことが、作業性の点から好ましい。
【0020】
焼結法によって得られる多孔質体の比重(見かけ密度)は、他の条件が同じであれば、予備成形物の比重(見かけ密度)と密接な関係を有し、予備成形物の比重(見かけ密度)が高い程、これを用いて得られる多孔質体の比重(見かけ密度)も高くなる。このことから、加圧は、多孔質体の比重(見かけ密度)決定工程ということができる。そして、加圧工程によって得られる予備成形物の比重(見かけ密度)を、上記特定の範囲に設定した場合には、後の工程の条件によって多少変化するが、比重(見かけ密度)が約0.28〜0.74(気孔率約20〜70%)の多孔質体が得られる。なお、予備成形物または多孔質体の比重(見かけ密度)から、下記式、
気孔率(%)=〔1−(見かけ比重/UHMWPEの真比重)〕×100
により、その気孔率を算出することができる。
【0021】
上記加圧工程により得られる予備成形物に対しては、減圧雰囲気下で脱気処理が行われ、予備成形物の気孔内の空気が排除される。脱気処理としては、例えば、予備成形物を金型から取り出し、耐圧容器中に入れ減圧する方法があげられる。上記減圧雰囲気は、通常、約13.3〜1330Paの範囲である。
【0022】
脱気処理された予備成形物は、UHMWPEの融点以上に加熱された水蒸気雰囲気中で焼結される。この焼結の際、前述のように予備成形物は脱気状態であり、かつ上記水蒸気は通常加圧されているため、上記予備成形物内に水蒸気が容易に浸入して速やかに熱を伝達し、成形物が焼結されるようになる。このように、予備成形物の脱気状態を維持して水蒸気焼結を行うと、熱が予備成形物全体に均一かつ速やかに伝達されるようになり、この結果、分布および孔径が均一な気孔を備えた多孔質体を得ることが可能となる。したがって、この加熱水蒸気による焼結工程は、前記の耐圧容器に水蒸気導入管およびこの導入管の開閉を行うバルブを配設し、予備成形物の脱気処理を行った後、減圧状態を解除しつつ、あるいは減圧状態を維持し、上記バルブを開放して加熱水蒸気を導入する方法により行うことが望ましい。
【0023】
焼結に要する時間は、予備成形物の大きさ、焼結温度等の条件により適宜決定されるが、通常、約3〜6時間である。なお、その他の焼結法での焼結時間は、約48〜72時間であることから、この焼結法は、製造効率が高い製法であることがわかる。焼結後、冷却することにより目的とする多孔質体を得ることができる。なお、この冷却は、急冷による多孔質体の亀裂等の発生を防止するために、室温放置による冷却が好ましい。
【0024】
上記多孔質体をシートに成形する方法は、特に制限するものではなく、例えば、旋盤等を用いた切削により行うことができる。加工は用途に応じて行なわれる。たとえば、光ディスク装置に使用する際には、一般に、上記UHMWPE多孔質シートは、偏平リング状に加工される。この加工は、打ち抜き加工等により行われる。
【0025】
UHMWPE多孔質シートの気孔率は、20〜70%の範囲に設定するのが好ましい。より好ましくは20〜50%であり、特に好ましくは30〜50%の範囲である。気孔率が20%未満であると多孔質シートの摩擦係数が高くなる傾向がある。一方、気孔率が70%を超えると多孔質シートの機械的強度が低下する傾向がある。この気孔率は、前述の予備成形物の比重による調整や、UHMWPE粉末の粒径等により調整することができる。なお、本発明において、気孔率とは、見かけの体積に対する空隙の占める割合である。
【0026】
UHMWPE多孔質シートの厚みは、通常、0.02〜0.50mmが好ましい。より好ましくは0.03〜0.30mm、特に好ましくは0.05〜0.20mmの範囲である。0.02mm未満であると機械的強度が低下する傾向がみられ、逆に0.50mmを超えると摺動部材としての厚みが厚くなりすぎる場合がある。
【0027】
より一層の摩擦係数低下のために上記UHMWPE多孔質体には、シリコーン等の滑り剤を含浸させてもよい。また、帯電防止のために界面活性剤や導電性ポリマー等の帯電防止剤を含浸させてもよい。その他に、カーボンブラックや導電性ポリマーを成型時に混合しておき、帯電防止性を持たせてもよい。
【0028】
バリア層は、UHMWPE等を用いた多孔質シートと適度な接着性を示す材料であれば特に制限は無い。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が用いられる。これら熱可塑性樹脂は、通常、シート状で用いられる。またバリア層は、熱可塑性樹脂シートの積層シート、または熱可塑性樹脂シートとポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等の高強度のシートとの積層シート等を用いることができる。
【0029】
上記樹脂シート(バリアシート)は多孔質シートと貼り合わせてバリア層を形成する。貼り合わせ方法としては、樹脂シートと多孔質シートを、加熱した一対のロール間を通過させ、熱融着する方法があげられる。その場合に、バリア層の材料としては、多孔質シートの多孔部分から染み出してしまうものは好ましくない。例えば気孔率に対しバリア層に用いる樹脂シートの体積が非常に大きい場合には、バリア層の材料が染み出す恐れがある。
【0030】
そのため、バリア層に用いる樹脂シートとしては、例えば、溶融粘度が高い熱可塑性樹脂から得られたシートを用いることが好ましい。溶融粘度は、5kPa・s〜500kPa・s、さらには10kPa・s〜200kPa・sであるのが好ましい。溶融粘度は、粘弾性測定装置にて測定される。上記溶融粘度は200℃、周波数1rad/secにおいて測定した値である。かかる溶融粘度が高い樹脂としては、たとえば、架橋ポリエチレン等があげられる。架橋ポリエチレンは、通常のポリエチレンに適量の電子線を照射することにより得ることができる。ポリエチレンの分子に電子線が当ると分子同士の結合が起こり、3次元的な結合(架橋構造)を持つ分子構造ができる。このような溶融粘度が高い樹脂を用いた樹脂シートは、当該樹脂の融点に達してもシートの形状はある程度保持される。このようなシートをバリア層として用いると、多孔質シートの孔からバリア層材料の染み出しは起こらない。
【0031】
バリア層の厚みは、多孔質シートの気孔率や厚みよって異なるが、通常、0.01〜0.5mm程度が好ましい。0.01mm未満であると多孔質シートの孔が開く等の不具合が生じるおそれがある。また0.5mmを超えると、摺動部材としての厚みが厚すぎることがある。バリア層の厚みは0.01〜0.5mm、さらには0.02〜0.05mmであるのが好ましい。
【0032】
粘着層は、各種粘着剤により形成される。粘着剤は特に制限されず、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の一般的な感圧型粘着剤を用いることができる。粘着剤の種類は、被着体やバリア層の種類により適宜に選定すればよい。
【0033】
粘着層の形成は、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材の両面に粘着層を形成した両面粘着シートを形成し、当該両面粘着シートの片側のみをバリア層に貼り合わせることにより行なうことができる。また粘着層の形成は、バリア層に粘着剤を直接塗工してもよい。また、セパレータに形成した粘着層を転写することにより形成することもできる。なお、粘着剤と接着するバリア層の面には、より強固に接着するように、コロナ放電等の易接着処理を施してもよい。
【0034】
粘着層の厚みは、特に制限されるものではない。粘着層を両面粘着シートを貼り合わせて形成する場合、粘着剤の塗工、転写等により形成する場合のいずれの場合にも、粘着層の厚みは、0.01〜0.3mm程度が好ましい。さらには、0.03〜0.1mmが好ましい。0.01mm未満では、被着体となる記録メディアおよびその駆動装置、記録装置等に対する接着性が十分得られない場合がある。また、0.3mmを超えると摺動部材としての厚みが厚すぎる場合がある。
【0035】
また、粘着層には取り扱い性の点から、上記粘着層にセパレータを積層しても良い。セパレータとしては、粘着剤の種類に合わせて選択することができ、特に制限するものではない。たとえば、シリコーン樹脂のような離形性を有する材料を塗布したポリエチレンテレフタレートシート等を用いることができる。またポリエチレンやポリプロピレン等の粘着剤と、比較的貼り付きにくいプラスチックフィルムを用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれによって何等限定されるものではない。
【0037】
実施例1
(摺動性基材の作製)
UHMWPE粉体(分子量500万,融点135℃)を金型に充填し、125℃で加熱圧縮して予備成型物を作製した。これを、さらに160℃の水蒸気雰囲気中で加熱して焼結させた後、冷却して円筒状の多孔質体(気孔率35%)を得た。この円筒状多孔質体を旋盤を用いて0.10mmの厚さに切削してシート状にし、UHMWPE多孔質シートを得た。これを摺動性基材として用いた。
【0038】
(バリア層の形成)
低密度ポリエチレンのシート(厚さ0.03mm)に電子線を照射し、架橋を行い、バリアシートを得た。バリアシート(架橋低密度ポリエチレン)の溶融粘度は30kPa・s(粘弾性測定装置により、200℃,周波数1rad/secの条件で測定)であった。
【0039】
UHMWPE多孔質シートとバリアシートを、135℃に加熱した、対になるゴムロール間を0.5m/分の速度で通過させて、貼り合わせ、摺動性基材にバリア層を形成した。
【0040】
(粘着層の形成)
シリコーン系粘着剤(KR101−10,信越化学工業製)100重量部に過酸化ベンゾイル1.2重量部、トルエン100重量部を加えた塗布液を調製した。この塗布液を、厚み0.025mmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に塗布し、これを130℃で10分間加熱乾燥し、両面粘着テープを作製した。この両面粘着テープの粘着層の厚みはそれぞれ0.03mmであった。また、このとき一方の粘着層にはセパレータを貼り付けてある。このセパレータは、厚さ0.05mmのポリプロピレンシートをそのまま用いた。
【0041】
次いで、上記摺動性基材のバリア層と、両面粘着テープの粘着層(セパレータが貼り付けられていない側)が対面になるように、ゴムロール間を0.5m/分の速度で通過させ、貼り合わせた。ゴムロールの温度は60℃とした。次いで、これを10mmφの円形に打抜き加工し、目的とする摺動部材を得た。
【0042】
比較例1
実施例1において、UHMWPE多孔質シートにバリア層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして摺動部材を得た。
【0043】
比較例2
実施例1において、摺動性基材として、多孔質ではないUHMWPEシートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして摺動部材を得た。
【0044】
得られた摺動部材について、下記評価を行なった。結果を表1に示す。
【0045】
(摩擦係数)
相手材としてポリエチレンテレフタレートのシートを用い、バウデンレーベン型摩擦試験機により、摺動速度150mm/分、接触面として直径12mmの球、荷重200g の条件で測定した。
【0046】
(粘着剤の染み出し)
摺動部材に60℃の雰囲気下で600N/cm2 の荷重を60分間かけた。その後、摺動部材を切断し、粘着剤の移動がどれだけあるかを顕微鏡で観察した。粘着剤が摺動性基材の表面まで達しているか否かを評価した。達している場合を染み出し「有り」とし、達していない場合を染み出し「無し」とした。
【0047】
【表1】
表1に示したように、実施例の摺動部材は、摩擦係数が低く摺動性が良好であることが認められる。また粘着剤の染み出しもない。一方、比較例では、低い摩擦係数による摺動性と、粘着剤の染み出しの防止を両立することができない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摺動部材の一例の断面図である。
【図2】従来の摺動部材の一例の断面図である。
【符号の説明】
1 摺動性基材
2 粘着層
3 バリア層
4 セパレータ
Claims (5)
- 摺動性基材の片側に粘着層を有する摺動部材であって、
前記摺動性基材は、プラスチックを主体とする多孔質体であり、かつ、
前記摺動性基材と前記粘着層の間には、バリア層を有することを特徴とする摺動部材。 - 前記摺動性基材が、超高分子量ポリエチレンを主体とする多孔質体であることを特徴とする請求項1の摺動部材。
- バリア層が、熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする請求項1または2記載の摺動部材。
- 熱可塑性樹脂が架橋ポリエチレンであることを特徴とする請求項3記載の摺動部材。
- バリア層の厚みが、0.01〜0.5mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の摺動部材。
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