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JP2004359744A - ポリエステル組成物および2軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

ポリエステル組成物および2軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 Download PDF

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JP2004359744A
JP2004359744A JP2003157716A JP2003157716A JP2004359744A JP 2004359744 A JP2004359744 A JP 2004359744A JP 2003157716 A JP2003157716 A JP 2003157716A JP 2003157716 A JP2003157716 A JP 2003157716A JP 2004359744 A JP2004359744 A JP 2004359744A
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JP
Japan
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polyester
compound
film
layer
biaxially oriented
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Application number
JP2003157716A
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English (en)
Inventor
Shunsuke Kubota
俊介 窪田
Nobuo Minobe
信夫 見延
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】乾熱劣化性および析出異物抑制性に優れるポリエステル組成物を提供し、磁気記録媒体のベースフィルムとして有用な2軸配向ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】(a)アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(b)下記一般式(I)で表わされるリン化合物と、(c)チタン化合物およびアンチモン化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを下記式(1)〜(4)を同時に満足するように含有するポリエステル組成物。(1)50≦M≦450、(2)0.1≦(M/P)≦6.0、(3)0≦Ti≦12.5(4)0≦Sb<300(上記式中、Mは化合物(a)によるアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の合計元素、Pは化合物(b)によるリン元素、Tiは化合物(c)によるチタン元素、Sbは化合物(c)によるアンチモン元素の、それぞれポリエステル組成物中の含有量(ppm)を示す。(1)R1O-C(O)-X-P(O)-(OR2)(OR3)(式中のR1〜R3はC1〜4のアルキル基、Xは-CH2-または-CH(Y)-(Yはフェニル基)を示す。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル組成物および2軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体に関する。さらに詳しくは、乾熱劣化性および析出異物抑制性に優れるポリエステル組成物、および製膜性やフィルム表面特性に優れた、磁気記録媒体のベースフィルムとして有用な2軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表される2軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた物理的、化学的特性のゆえに、磁気記録媒体用として広く用いられている。2軸配向ポリエステルフィルムを、例えば蒸着ビデオ用テープに代表される高密度記録用ベースフィルムに適用する場合、特にフィルム表面の平坦性が要求される。この平坦性を達成するためには、フィルム表面に粗大突起はもちろんのこと、比較的小さい突起さえも存在させないようにしなければならない。
【0003】
フィルム表面にこれらの突起が生ずる原因の一つは、ポリエステル製造時に添加する触媒、特にアルカリ金属やアルカリ土類化合物あるいはアンチモン化合物がポリエステル中で析出することにある。例えば、アンチモン化合物は、重合速度が速く、得られるポリエステルの熱安定性、末端カルボキシル基量、軟化点などの諸特性に優れる利点を有するが、上述のようにポリエステル中に析出物を発生するという欠点を持つ。
【0004】
ポリエステルの重合触媒としては、上記のアンチモン化合物のほかに、ゲルマニウム化合物(例えば、特許文献1、2および3参照。)やチタン化合物(例えば、特許文献4および5参照。)の使用が開示されている。しかし、ゲルマニウム化合物を用いた場合は、一般にアンチモン化合物のような析出物は生成しないが、重合反応中での副反応が大きくなるため、得られるポリエステルの軟化点が低く、フィルム化した際にはフィルムの機械的強度が低下するという欠点がある。また、チタン化合物を用いた場合は、重合速度が極めて速く、アンチモン化合物のような析出物は生成しないものの、得られるポリエステルの熱安定性が悪くなるという欠点がある。
【0005】
熱安定性については、ポリエステル製造時にリン化合物を添加することにより、ポリエステルの熱安定性が向上することは知られているが、未だに最適化されるに至っていない。また、リン化合物は触媒化合物と反応して析出物を形成する場合があり、リン化合物によって、熱安定性の向上と析出物抑制との両方を満足するのは困難であることから、更なる技術の改良が望まれていた。
【0006】
また、近年、蒸着ビデオテープの更なる高品質化に伴い、蒸着ビデオ用ベースフィルム表面の超平坦化が要求されている。しかしながら、フィルム表面を平坦化すると、フィルムの走行性および巻き取り性を確保することが困難となる。この為、フィルム表面への易滑処理(易滑層の塗設など)を一般に行なうが、その際、フィルム製膜時の熱固定温度を、通常の温度(205〜220℃)より高め(230〜240℃)に設定する必要性が多く生じる。この熱固定処理工程において、フィルム破断などの原因で熱固定装置(ステンター)内でフィルムの走行が停止した場合、薄膜のポリエステルフィルムは高温下で乾熱処理される結果、驚くほど短時間で劣化が進み、フィルムが微細な粉末状となりステンター内に付着し、その後の製膜時に巻き込み異物となるトラブルを生じることが判った。このようなトラブルは、触媒としてアンチモン化合物を使用した場合は発生せず、チタン化合物やゲルマニウム化合物を用いた場合に発生し、特にチタン化合物を用いた場合に顕著である。
【0007】
ポリエステルの製造方法では、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物およびリン化合物を触媒および安定剤として用い、その含有量および比率を特定の範囲とすることにより、フィルムの乾熱劣化性およびアンチモン析出抑制性に優れたポリエステル組成物が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。また、ポリエステルフィルムの一方の表面に連続薄膜よりなる、磁性層のためのプライマー層が塗設してあり、このプライマー層に形成された表面突起数および微小表面粗さなどを特定の値とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムが開示されている(例えば、特許文献7参照)。
【0008】
上記のごときポリエステルの製造方法を用い、さらに得られるポリエステルを用いて、プライマー層を塗設してなるポリエステルフィルムを製造すれば、磁性層面側のベースフィルムの平滑化はある程度は実現できる。しかしながら、ここ数年さらに高密度化の要求が高まり、従来は欠点とはならなかったフィルム表面の突起であっても、ドロップアウトの原因となるなどの問題が生じるようになってきた。
【0009】
【特許文献1】
特公昭47−15703号公報
【0010】
【特許文献2】
特公昭47−16193号公報
【0011】
【特許文献3】
特公昭47−42756号公報
【0012】
【特許文献4】
特開昭48−31293号公報
【0013】
【特許文献5】
特開昭52−33996号公報
【0014】
【特許文献6】
特開平8−188704号公報
【0015】
【特許文献7】
特開平5−194772号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、乾熱劣化性および析出異物抑制性に優れるポリエステル組成物を提供し、製膜性やフィルム表面特性に優れた磁気記録媒体のベースフィルムとして有用な2軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、本発明の目的は、(a)アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(b)下記一般式(I)で表わされるリン化合物と、(c)チタン化合物およびアンチモン化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを下記式(1)〜(4)を同時に満足するように含有するポリエステル組成物(ポリエステルA)であって、該ポリエステル組成物を乾熱処理した際の熱劣化物生成率が0.5%以下であり、かつ、ポリエステル組成物中の金属析出物の個数が100ヶ/cm以下であるポリエステル組成物によって達成される。
【0018】
【数5】
50≦M≦450 ・・・・・・ (1)
【0019】
【数6】
0.1≦(M/P)≦6.0 ・・・ (2)
【0020】
【数7】
0≦Ti≦12.5 ・・・・・・ (3)
【0021】
【数8】
0≦Sb<300 ・・・・・ (4)
(上記式中、Mは化合物(a)によるアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の合計元素、Pは化合物(b)によるリン元素、Tiは化合物(c)によるチタン元素、Sbは化合物(c)によるアンチモン元素の、それぞれポリエステル組成物中の含有量(ppm)を示す。なお、式(3)および式(4)が同時に0になることはない。)
【0022】
【化2】
O−C(O)−X−P(O)−(OR)(OR) ・・・(I)
(式中のR〜Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH−または−CH(Y)−(Yはフェニル基)を示す。R〜Rは同一でも異なっていても良い。)
【0023】
また、本発明の他の課題は、上述の本発明のポリエステル組成物(ポリエステルA)を主成分とする少なくとも1つの層を含むフィルムであって、フィルム表面の中心面平均粗さSRaが3nm以下であり、かつ、フィルム表面上の、突起高さが100nm以上である大突起の数が5個/cm以下である2軸配向ポリエステルフィルムによって達成される。
【0024】
また、本発明は、ポリエステルAを主体とする2軸配向ポリエステルフィルムをフィルム層Aとし、該フィルム層Aの片面に塗膜層B、その反対のフィルム面に薄膜層Cを有する2軸配向ポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムのエア抜け指数が1〜5mmHg/hr、フィルム全体厚みが2.5〜25μmの範囲にある2軸配向ポリエステルフィルムを包含するものである。なお、本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、塗膜層Bは、バインダー樹脂、不活性粒子および界面活性剤を含み、該不活性粒子に起因する塗布表面の突起の数が1〜40個/μmの密度で存在すること、薄膜層Cは、不活性粒子とバインダー樹脂とを、またはこれらと界面活性剤とを含む塗膜層であること、薄膜層Cは、不活性粒子を含有するポリエステル組成物(ポリエステルC)からなり、フィルム層Aとの共押出し法により積層されていること、およびポリエステルA,Cは、それぞれポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであることのいずれかを包含するものである。
【0025】
さらにまた、本発明は、上述の本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの塗膜層B上に、さらに磁性層が存在してなる磁気記録媒体、およびアナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダーまたはデータ8mmもしくはDDSIV用である磁気記録媒体も包含するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成をさらに詳細に説明する。
本発明のポリエステル組成物(以下、ポリエステルAと略記することがある。)および薄膜層Cを形成するポリエステル組成物(以下、ポリエステルCと略記することがある。)を構成するポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルである。このポリエステルは実質的に線状であり、フィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有する。
【0027】
ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどの炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいはシクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。
【0028】
本発明におけるポリエステル樹脂は、上記の構成成分の中でも、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートを主たる構成成分とするポリエステルであることが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートをはじめとして、全ジカルボン酸成分の80モル%以上がテレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールである共重合体であることが好ましい。その際、表面平坦性、乾熱劣化性を損なわない程度であれば、ジカルボン酸成分は、全酸成分の20モル%を越えない範囲でテレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸以外の上記芳香族ジカルボン酸であってもよく、またアジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸であってもよい。また、グリコール成分は、全グリコール成分の20モル%を越えない範囲で、エチレングリコール以外の上記グリコールであってもよく、またハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンなどの芳香環を含むジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)であってもよい。なお、これらの共重合成分は1種のみでなく2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、本発明におけるポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えばヒドロキシ安息香酸などの芳香族オキシ酸、ω−ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族オキシ酸といったオキシカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分およびオキシカルボン酸成分の総量に対し、20モル%以下で共重合あるいは結合させたものであってもよい。
【0030】
さらに、本発明におけるポリエステル樹脂は、実質的に線状の範囲であり、かつ、本発明の効果を損なわない範囲内において、例えば全酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物を共重合したものであってもよい。かかる分岐成分として、トリメリット酸およびペンタエリスリトールが例示される。
【0031】
本発明におけるポリエステル樹脂の固有粘度は、ο−クロロフェノール溶媒、35℃の条件下で0.4dl/g〜0.9dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.5dl/g〜0.8dl/gである。固有粘度が下限未満の場合は、フィルムに製膜後、各製品に使用する際に要求される機械強度が不足する場合がある。他方、固有粘度が上限を超える場合は、溶融重合工程およびフィルム製膜工程における溶融混練時の生産性が損なわれることがある。
【0032】
本発明のポリエステル組成物であるポリエステルAは、実質的に不活性粒子を含有しないものであり、具体的には、平均粒径が0.1μm以下の不活性粒子を、ポリエステルAに対し0.001重量%以上含まないものである。不活性粒子の含有量が上限を超える場合、電磁変換特性が低下することがある。
【0033】
なお、本発明のポリエステルAは、所望により上述の不活性粒子以外の添加剤、例えば、安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤などを含有してもよい。
【0034】
本発明のポリエステルAに含有されるアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、チタン化合物およびアンチモン化合物は、ポリエステルA中の金属析出物の抑制を目的に、単独または複合の化合物として、ポリエステルA中に可溶化させる必要がある。具体的には、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、チタン化合物およびアンチモン化合物に起因する金属元素含有量や比率ならびにリン化合物の種類を適正化することが必要である。かかる化合物としては、ポリエステル製造時の反応触媒活性、安定化特性またはフィルム製造時の静電密着性を向上させ得る作用を奏するものが好適に用いられる。
【0035】
本発明で用いられるアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物として、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素からなる、酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩または酢酸塩のいずれかであることが好ましく、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウム元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の酢酸塩であることが好ましい。これらの化合物は、グリコールに可溶であることが好ましい。
【0036】
ポリエステルの重縮合時の安定剤として一般的に用いられるリン化合物としては、リン酸、リン酸トリメチルなどのリン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルなどの亜リン酸エステルあるいはホスホン酸エステルなどが用いられている。しかしながら、これらリン化合物は酸性度が高く、また触媒化合物との反応により析出化合物を形成することがある。本発明で用いられるリン化合物としては、下記一般式で表わされるリン化合物であることが必要であり、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
【0037】
【化3】
O−C(O)−X−P(O)−(OR)(OR) ・・・(I)
(式中のR〜Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH−または−CH(Y)−(Yはフェニル基)を示す。R〜Rは同一でも異なっていても良い。)
【0038】
これらの中でも、好ましいリン化合物として、ホスホノ酢酸化合物またはホスホノフェニル酢酸の炭素数1〜4のアルキルエステルが挙げられ、ジエトキシホスホノ酢酸エチル、ジエトキシホスホノ酢酸メチルが例示される。また、これらのホスホネート化合物はアルキル鎖の一部または全てがグリコール置換されたものでも良い。
【0039】
本発明におけるリン化合物は、リン化合物の飛散性を抑える目的で、上述のリン化合物と、本発明において例示されるアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物およびチタン化合物からなる群の少なくとも1種の触媒化合物とを予め加熱混合反応し、エステル交換を行って得られた化合物であってもよい。
【0040】
本発明におけるアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の含有量は、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の合計含有量(式中、Mと略記する場合がある。)が、ポリエステルA中、50〜450ppmの範囲内にあることが必要であり、好ましくは60〜300ppmの範囲内である。アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の合計含有量(M)が下限より少ない場合は、例えばエステル交換法によるポリエステル製造において、エステル交換反応が遅延する場合があり、フィルムとした際も静電密着性が悪化しフィルムの生産性が低下することがある。一方、上限を超える場合は、含有元素の化合物に起因する残渣粒子が発生し、フィルムに成形した際に表面平坦性が悪化することがある。
【0041】
また、本発明におけるアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の合計含有量(M、単位:ppm)とリン元素の含有量(P、単位:ppm)との比(M/P)は、0.1〜6.0の範囲内にあることが必要であり、好ましくは0.2〜4.5の範囲内、より好ましくは0.5〜4.0の範囲内である。この比(M/P)が下限未満でも、上限を超えても、含有元素の化合物に起因する残渣粒子が発生し、フィルムに成形した際に表面平坦性が悪化することがある。
【0042】
本発明におけるポリエステルAは、チタン化合物およびアンチモン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する必要がある。かかるチタン化合物として、例えばテトラアルコキシチタン、テトラアリールチタンが挙げられ、これらの中でも特に好ましいチタン化合物としてテトラブトキシチタンが挙げられる。また、アンチモン化合物として、例えばアンチモン酸化物が挙げられ、これらの中でも特に好ましいアンチモン化合物として三酸化二アンチモンが挙げられる。
【0043】
本発明におけるチタン化合物の含有量は、ポリエステルA中のチタン元素の含有量が12.5ppm以下であることが必要であり、好ましくは7ppm以下である。チタン元素の含有量が上限を越える場合、フィルム製膜時の乾熱劣化性が悪化することがある。また、本発明におけるチタン化合物の含有量は0ppm以上である。ただし、本発明におけるチタン化合物およびアンチモン化合物は、少なくとも一方の化合物を含むことが必要である。
【0044】
また、本発明におけるアンチモン化合物の含有量は、ポリエステルA中のアンチモン元素の含有量が300ppm以下であることが必要であり、好ましくは200ppm以下である。アンチモン元素の含有量が上限を超える場合、リン化合物によって還元されたアンチモン金属に起因する黒色異物が発生し易くなり、特にポリエチレンテレフタレートの場合、製膜経時によって異物の増加が顕著となる場合がある。また、本発明におけるアンチモン化合物の含有量は0ppm以上である。ただし、本発明におけるチタン化合物およびアンチモン化合物は、少なくとも一方の化合物を含むことが必要である。
【0045】
さらに、本発明は、本発明の効果を妨げない範囲内でポリエステルA中に可溶な他の金属成分を含有してもよく、例えば亜鉛、コバルトなどの元素を含む化合物を含有してもよい。
【0046】
本発明におけるポリエステル組成物(ポリエステルA)は、乾熱処理した際の熱劣化物生成率が0.5%以下であることが必要である。熱劣化物生成率が上限を超える場合、生成した劣化物を核とする表面突起物が発生し、表面特性を低下させることがある。
【0047】
ここで、熱劣化物生成率とは、180℃で3時間予備乾燥したポリエステルA2g(C1)を、窒素雰囲気下で310℃、8時間熱処理した後、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール(50/50)混合液に溶解させ、未溶解物をろ過して得られたろ過残渣量(C2)を用いて、下記式に基づいて算出したものである。
【0048】
【数9】
熱劣化物生成率=(C2/C1)×100 ・・・(5)
【0049】
また、本発明におけるポリエステル組成物(ポリエステルA)は、上述のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、チタン化合物およびアンチモン化合物に起因する金属析出物として、最大長径が5μm以上の金属析出物の個数が100ヶ/cm以下であることが必要である。金属析出物の個数が上限を超えると、フィルムにした際、大突起物を形成し平坦性を低下させる場合がある。
【0050】
ここで、金属析出物とは、ポリエステルA0.1gにヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム(50/50)混合液を加えて溶解させ、3μm孔径のメンブレンフィルターでろ過して乾燥させた後、走査型電子顕微鏡を用いて、最大長径5μm以上の金属析出物粒子の個数をカウントし、1cmあたりの粒子個数を求めたものである。
【0051】
本発明におけるアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、チタン化合物およびアンチモン化合物の添加時期および添加方法については、特に限定されるものではないが、例えばアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物については、反応物の固有粘度が0.2に到達するまでの間に添加するのが好ましい。特に、エステル交換法の場合は、エステル交換反応開始前に該化合物を添加すると、エステル交換触媒として好適に利用することができる。その際、反応を常圧または加圧下のいずれで実施してもよく、特に加圧下で行った場合は、ポリエステル製造反応時間を短縮することができ好ましい。なお、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物の添加順序は、各化合物を同時または別々に添加しても構わない。
【0052】
また、本化合物におけるリン化合物の添加時期は、ポリエステル製造反応の任意の段階で添加することができるが、例えばエステル交換法の場合、エステル交換反応が実質的に終了した後に添加するのが好ましい。なお、リン化合物は、一括または2回以上に分割して添加してもよい。
【0053】
本発明におけるチタン化合物の添加時期は、ポリエステル製造反応の任意の段階で添加することができるが、リン化合物を添加した後の時期であることが好ましく、より好ましくは、リン化合物の添加後であって固有粘度が0.3に到達する以前の任意の時期である。また、アンチモン化合物は、固有粘度が0.3に到達する以前の任意の時期に添加することができる。
【0054】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも1つの層が上述のポリエステル組成物(ポリエステルA)を主成分とするフィルムである。かかるポリエステルフィルムは、フィルム表面の中心面平均粗さSRaが3nm以下であることが必要であり、好ましくは2nm以下である。中心面平均粗さが上限を超える場合、磁気記録媒体とした際の電磁変換特性が悪化することがある。 ここで、中心面平均粗さSRaとは、フィルムの一定面積における横方向ならびに縦方向二次元の表面粗さのプロファイルの平均値を表わす。
【0055】
また、本発明におけるポリエステルフィルムは、フィルム表面上の突起高さが100nm以上である大突起(以下、大突起と略記することがある。)の数が5個/cm 以下であることが必要であり、好ましくは2個/cm以下である。大突起の数が5個/cmを超える場合、大突起がドロップアウトを発生させる原因物となる可能性が高く、また、磁気ヘッドの偏摩耗を引き起こし易くなり、電磁変換特性をも悪化させてしまうことがある。
【0056】
本発明における大突起の数を減少させるには、ポリエステルA中の金属元素の含有量、比率および使用するリン化合物の種類を適正化し、ポリエステル中の析出粒子の発生を抑制することに加え、ポリエステル製造反応時の重縮合反応前、あるいは製膜時に溶融ポリマーを押出口金から押出す前に、高精度のろ過を行うことが好ましい。溶融ポリマーを高精度にろ過するには、フィルター、特に金属繊維焼結フィルターの平均目開きを10μm以下とすることが好ましい。ただし、目開きを小さくし過ぎた場合、装置にかかる負荷が高くなり、吐出量を下げざるを得ず、生産性が悪くなることがあるため、最適な平均目開きの金属繊維焼結フィルターを使用することが好ましい。
【0057】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルAを主成分として形成されたフィルム層Aの一方の表面上に、塗膜層Bを有し、その反対の面に薄膜層Cを有することが好ましい。 かかる塗膜層Bは、バインダー樹脂、不活性粒子および界面活性剤を含むことがさらに好ましく、薄膜層Cは、バインダー樹脂と不活性粒子を、またはこれらと界面活性剤とを含む塗膜層であること、または不活性粒子を含有するポリエステル組成物(以下、ポリエステルCと略記することがある。)からなる薄膜層であって、フィルム層Aとの共押出し法により積層したものであることがさらに好ましい。
【0058】
本発明における塗膜層Bの形成に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂が好ましく挙げられ、特に水性ポリエステル樹脂が好ましい。かかる水性ポリエステル樹脂としては、例えば、酸成分がテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−Naスルホイソフタル酸、2−Kスルホテレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸といった多価カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種より主としてなり、グリコール成分が、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物といった多価ヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種より主としてなる水性ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトコポリマーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマーが分子内でIPN(相互貫入高分子網目)やコアシェルといった特定の物理的構成を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂も同様に用いられる。
【0059】
また、水性ポリエステル樹脂は、水に溶解、乳化または微分散するいずれのタイプを用いてもよいが、より好ましくは、水に乳化または微分散するタイプのものである。また、上述の水性ポリエステル樹脂は、親水性を付与する目的で、分子内にスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単位などを導入したものであってもよい。
【0060】
本発明における塗膜層Bの形成に用いられる不活性粒子の種類は特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、比較的低比重のものが好ましく、例えば比重1.5以下のものが好ましい。かかる低比重の不活性粒子としては、例えば、耐熱性ポリマーからなる有機粒子として架橋シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルおよび全芳香族ポリエステルが、また無機粒子として二酸化ケイ素(シリカ)および炭酸カルシウムが好ましく挙げられる。これらの中でも、特に好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、シリカ、コアシェル型有機粒子として例えば、コアが架橋ポリスチレン、シェルがポリメチルメタクリレートである粒子が挙げられる。
【0061】
本発明で用いられる不活性粒子の平均粒径は、好ましくは10〜50nm、より好ましくは15〜45nm、特に好ましくは18〜40nmの範囲である。不活性粒子の平均粒径が下限未満の場合は、製膜巻取り速度を上げることができず、生産性が低下する場合があり、一方、不活性粒子の平均粒径が上限を超える場合は、所望の優れた表面平坦性が得られないことがある。また、これらの不活性粒子の含有量は、塗膜層Bの固形分に基づいて、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%の範囲で使用される。
【0062】
本発明における塗膜層Bの形成に用いられる界面活性剤(以下、界面活性剤Xと記載することがある。)は、塗膜層Bの耐ブロッキング性を良好にするため、JIS K7206に準じて測定した軟化点(界面活性剤を乾固させたもので測定)が30℃以上であることが好ましい。かかる界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にアルキルアルコール、アルキルフェニルアルコール、高級脂肪酸などに(ポリ)エチレンオキサイドを付加または結合させたものが好ましい。上述の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系化合物として、日本油脂株式会社製の商品名、「ノニオンNS−230」、「同NS−240」、「同HS−220」、「同HS−240」、三洋化成株式会社製の商品名、「ノニポール200」、「ノニポール400」、「ノニポール500」、「オクタポール400」、またポリオキシエチレンアルキルエーテル系化合物として、日本油脂株式会社製の商品名、「ノニオンE−230」、「同K−220」、「同K−230」、および高級脂肪酸のポリオキシエチレンエステル系化合物として、日本油脂株式会社製の商品名、「ノニオンS−15.4」、「同S−40」が例示される。ただし、塗液を塗布する際、塗布抜けが発生しないように、塗液の表面張力を下げる目的で、上記以外の界面活性剤(以下、界面活性剤Yと記載することがある。)を10重量%(全固形分あたり)を超えない範囲で組み合わせて使用してもよい。
【0063】
本発明における界面活性剤Xの含有量は、塗液固形分あたり好ましくは10〜50重量%、より好ましくは12〜40重量%、特に好ましくは15〜30重量%の範囲で用いられる。界面活性剤Xの、全固形分あたりの含有量が下限未満の場合、ドロップアウトの原因となり得る粗大突起の抑制が難しいことがあり、一方、全固形分あたりの含有量が上限を超える場合、発泡による筋状の塗布欠陥が発生することがある。
【0064】
また、本発明における塗布層Bには、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤を添加してもよい。
【0065】
本発明における塗膜層Bの、フィルム層Aと接触していない面側の表面上には、該塗膜層B中に含有される不活性粒子に起因する突起の数が、好ましくは1〜40個/μm、より好ましくは2〜20個/μm 、特に好ましくは2.5〜18個/μmの密度で存在する。不活性粒子に起因する突起の数が、下限未満の場合は、必要以上の品質を得るために、不活性粒子の分散性をいっそう高めたり、凝集粒子をさらに除去するなど、工程が複雑になることがあり、一方、上限を超える場合はドロップアウトの原因となり、また磁気ヘッドの偏磨耗を引き起こしやすくなることがある。ここで突起の数とは、フィルム表面の拡大写真を基に、表面突起頻度をカウントし、その平均値より1μmあたりの突起の数を求めたものである。
【0066】
本発明で用いられる薄膜層Cが塗膜層であるとき、この塗膜層はバインダー樹脂および不活性粒子(以下、不活性粒子Cと記載することがある。)からなることが好ましく、より好ましくは、さらに界面活性剤を含有してなることができる。かかるバインダー樹脂、不活性粒子Cおよび界面活性剤としては、不活性粒子Cのサイズと含有量を除いて、それぞれ塗膜層Bと同様のものを使用することができる。不活性粒子Cの平均粒径は、0.01〜0.1μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.08μm、特に好ましくは0.02〜0.06μmの範囲である。また、薄膜層Cにおける不活性粒子の含有量は、薄膜層Cの固形分に基づいて、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜10重量%の範囲である。
【0067】
また、本発明で用いられる薄膜層Cは、不活性粒子(以下、不活性粒子C’と記載する場合がある。)を含有するポリエステル組成物(以下、ポリエステルCと略記することがある。)からなり、フィルム層Aとの共押出しにより形成されてもよい。かかる不活性粒子C’の平均粒径(dC’)は、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.15〜0.8μm、特に好ましくは0.2〜0.7μmの範囲である。また、上述の平均粒径(dC’)を有する不活性粒子C’の含有量は、薄膜層Cに対し、好ましくは0.0001〜1重量%、より好ましくは0.001〜0.5重量%、特に好ましくは0.005〜0.1重量%の範囲である。上述の平均粒径(dC’)を有する不活性粒子C’としては、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、三ニ酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンド)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイト)が好ましく挙げられる。これらの中でも、特に架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ダイアモンドおよびカオリンが好ましく、とりわけ、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、アルミナ、二酸化チタン、二酸化ケイ素および炭酸カルシウムが好ましく用いられる。なお、これら不活性粒子C’は1種のみでなく2種以上を併用してもよい。
【0068】
不活性粒子C’が2種以上の粒子からなる場合、上述の不活性粒子C’の平均粒径(dC’)よりも小さい平均粒径の粒子を、第2、第3の粒子として用いてもよく、例えば、コロイダルシリカ、α、γ、δ、θなどの結晶形態を有するアルミナなどの微粒子を好ましく用いることができる。また、平均粒径(dC’)を有する不活性粒子C’として例示した粒子種のうち、平均粒径の小さい微細粒子も用いてもよい。この微細粒子の平均粒径は、好ましくは5〜400nm、より好ましくは10〜300nm、特に好ましくは30〜250nmの範囲であり、かつ上述の平均粒径(dC’)よりも50nm以上、さらには100nm以上、特に150nm以上小さいことが好ましい。こららの微細な第2、第3の粒子の含有量は、薄膜層Cに対し、好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.7重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲である。
【0069】
本発明における薄膜層Cを形成するポリエステル組成物(ポリエステルC)としては、ポリエステルAと同様のものを用いることができ、中でもポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであることが好ましく、、o−クロロフェノール溶媒、35℃の条件で測定して求めた固有粘度が0.4dl/g〜0.9dl/gであることが好ましい。
【0070】
本発明における2軸配向ポリエステルフィルムは、上述の薄膜層Cの存在によって、エア抜け指数(株式会社東洋精機製、ベック平滑度試験機を用いて測定した「空気漏れ指数」)が1〜5mmHg/hrであることが好ましく、さらに好ましくは、1〜3mmHg/hrの範囲である。ここでエア抜け指数とは、一定の荷重を加えた積層フィルムのフィルム間を通り抜ける時間あたりの空気量を、真空度でもって測定した測定値を表わす。具体的には、フィルム40枚を重ね合わせ、そのうち試料台最上部にくる1枚を除いて、残り39枚に直径5mmφの孔をあけ、試料台にセットし、この状態で0.5kg/cmの荷重を加えて、真空到達度を200mmHgに設定する。真空度が200mmHgに到達したのち、常圧に戻ろうとして、フィルムとフィルム間を空気が流れ込んでいく。1時間の間、30秒毎に真空度(mmHg)を測定し、測定時間(hr)に対する真空度を直線近似したときの直線の傾き(=mmHg/hr)をエア抜け指数とした。
【0071】
本発明で用いられるエア抜け指数は、上述の薄膜層Cの表面粗さによって調整でき、一般的にはフィルム表面を粗くすることにより、エア抜け指数が大きくなる。本発明における2軸配向ポリエステルフィルムは、上述の薄膜層Cが存在し、かつ、エア抜け指数が上述の範囲にあることにより、電磁変換特性を損なうことなく、フィルムのハンドリング性、巻取り性のより一層の向上が達成される。
【0072】
本発明において、2軸配向ポリエステルフィルムの全厚みは、通常、2.5〜25μm、好ましくは3.0〜12μm、さらに好ましくは4.0〜12μmの範囲である。また、薄膜層Cの層厚みは、塗膜層の場合、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nm、特に好ましくは3〜10nmの範囲にあり、一方共押出し法による薄膜層の場合、かかる薄膜層Cの層厚みは、好ましくはフィルムの全厚みの1/2〜1/250、より好ましくは1/3〜1/100、特に好ましくは1/4〜1/25の範囲である。また、塗膜層Bの層厚みは、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜10nm、特に好ましくは3〜8nmの範囲である。
【0073】
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、特に限定はなく、従来公知のポリエステル樹脂製造技術を用いることができる。
ポリエステル組成物の製造方法の一例として、エステル交換反応を経由するポリエチレンテレフタレートの製造方法について以下に詳述する。
【0074】
まず、エステル交換反応開始前に、ジメチルテレフタレート、エチレングリコールとともに、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のエステル交換触媒を添加して、常圧または加圧下で徐々に昇温し、発生するアルコールを除去させながらエステル交換反応を実施し、エステル交換反応の終了時点でエステル交換反応失活剤であるリン化合物を添加して実質的にエステル交換反応を完了させる。その後、反応生成物を減圧装置が設けられた重合反応器に移し変える前後に、重縮合触媒であるチタン化合物およびアンチモン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加して、高真空下での重縮合反応を行う。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂は、通常溶融状態で押出しながら、冷却後、粒状(チップ状)のものとする。この際、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、0.40〜0.90dl/gであることが望ましい。
また、本発明におけるポリエステル組成物の製造方法として、例えば2種以上のポリエステル樹脂を製膜時のルーダーなどで溶融ブレンドすることも可能であり、また、リン化合物の添加量を多くしたマスターポリマーを作成し、リン化合物を含まないポリマーとブレンドすることにより、ポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを提供することもできる。
【0075】
本発明における2軸配向ポリエステルフィルムは、従来から知られている、あるいは、当業界に蓄積されている方法に準じて得ることができる。そのうち、フィルム層Aと薄膜層Cとの積層構造は共押出し法により製造するのが好ましく、そして塗膜層Bの積層は塗布法により行うのが好ましい。
【0076】
例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合の2軸配向ポリエステルフィルムの製造方法の一例を以下に詳述する。
ポリエチレンテレフタレートAと、不活性粒子C’を微分散状態で含有させたポリエチレンテレフタレートCとを、押出口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶融状態で積層複合し、好適な厚み比からなる積層構造となし、次いで、口金よりTm℃〜(Tm+70)℃の温度(ただし、Tm:ポリエステルの融点)でフィルム状に共押出ししたのち、40〜90℃の冷却ロールで急冷固化して未延伸積層フィルムを得る。しかる後に、この未延伸積層フィルムを常法に従って一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに必要に応じて、縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段、あるいは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率は、面積延伸倍率として、通常、9倍以上、好ましくは12〜35倍、さらに好ましくは15〜30倍である。
さらに引き続いて、2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを、(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、180〜250℃で熱固定結晶化すること(以下、熱固定処理と称することがある。)によって優れた寸法安定性が付与される。なお、熱固定時間は、1〜60秒が好ましい。
【0077】
なお、本発明における2軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法において、塗膜層Bを形成する目的で、不活性粒子、バインダー樹脂、および界面活性剤を含む塗液、好ましくは水性塗液を積層フィルムのポリエステル層A側の面に塗布する。かかる塗布工程は、ポリエステル層Aの最終延伸処理を施す以前の時期に行うことが好ましく、塗布後に、フィルムを少なくとも一軸方向に延伸するのが好ましい。なお、塗膜層Bは、かかる延伸工程の前ないし途中で乾燥される。こららの中でも、塗膜層Bの塗布は、未延伸積層フィルムまたは縦(一軸)延伸積層フィルムのいずれかに行われるのが好ましく、特に好ましくは縦(一軸)延伸積層フィルムに行うものである。塗布方法は特に限定されないが、例えば、ロールコート法またはダイコート法が挙げられる。なお、上述の塗液、特に水性塗液の固形分濃度は、好ましくは0.2〜8重量%、より好ましくは0.3〜6重量%、特に好ましくは0.5〜4重量%である。
【0078】
本発明の他の課題は、本発明の2軸配向ポリエステルフィルム(積層フィルム)をベースフィルムとする、表面特性に優れた磁気記録媒体を提供することにあり、本発明の2軸配向ポリエステルフィルム(積層フィルム)および該積層フィルムの塗膜層B上に、さらに磁性層が存在してなる磁気記録媒体であることが好ましい。
【0079】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを用いて磁気記録媒体を製造する実施態様は、以下のとおりである。
本発明における2軸配向ポリエステルフィルムの塗膜層Bの表面に、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングなどの方法により、鉄、コバルト、クロム、またはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、また、その表面に、目的、用途、必要に応じて、ダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに必要により、薄膜層C側の表面に公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域の出力、S/N,C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。
かかる蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリもしくはDDSIV用テープ媒体として極めて有用である。
【0080】
また、本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの塗膜層Bの表面に、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉(メタル粉)を、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要により、薄膜層C側の表面に公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N,C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要に応じて、フィルム層A(ベース層)の上に、該メタル粉含有磁性層の下地層として、微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散、塗設することもできる。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W−VHS、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、ディジタルβカム、D2、D3、SXなどの磁気テープ媒体として極めて有用である。
【0081】
さらにまた、本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの塗膜層Bの表面に、酸化鉄または酸化クロムなどの針状微細磁性粉、またはバリウムフェライトなどの板状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要により、薄膜層C側の表面に公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N,C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用酸化物塗布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要に応じて、フィルム層A(ベース層)の上に、該磁性粉含有磁性層の下地層として、微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することもできる。この酸化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号記録用データストリーマー用QICなどの高密度酸化物塗布型磁気記録媒体として有用である。上述のW−VHSはアナログのHDTV信号記録用VTRであり、また、DVCはディジタルのHDTV信号記録用として適用可能なものであり、本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、これらHDTV対応VTR用磁気記録媒体に極めて有用なベースフィルムということができる。
【0082】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準であり、本発明における物性値および特性は、それぞれ以下の方法で測定し、かつ、定義されるものである。
【0083】
(1)ポリエステルAの固有粘度:
ポリエステルA180mgをO−クロロフェノール溶液15ccに溶解し35℃で固有粘度を測定した。
【0084】
(2)ポリエステルA中のリン化合物、チタン化合物ならびにアンチモン化合物量:
ポリエステルAのチップを280℃に加熱溶融し、円形ディスクを作成し、リガク製蛍光X線装置3270型を用いてリン化合物、チタン化合物ならびにアンチモン化合物のそれぞれの金属元素濃度(ppm)を測定した。なお、滑剤を含む場合は、予め溶媒中で遠心分離処理により滑剤を除去した上で同様の測定を行った。
【0085】
(3)ポリエステルA中のカルシウム、マグネシウム化合物量:
ポリエステルAのチップをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について日立製作所製Z−6100形偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いてカルシウム、マグネシウムそれぞれの定量を行い、金属元素濃度(ppm)を求めた。
【0086】
(4)熱劣化物生成率:
180℃で3時間、熱風乾燥機内で予備乾燥したポリエステルAのサンプル2g(C1)をSUS容器に入れ、ギアー老化試験機(テスター産業(株)製)内で窒素雰囲気下、310℃で8時間熱処理を行う。処理したサンプルを溶解液(1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=50:50混合液)を加え溶解させる。次いでガラスフィルター(SIBATA(株)製 11GP60)で未溶解物をろ過し、ろ過残渣量を秤量(C2)し、下記式に基づき熱劣化物生成率を算出した。
【数10】
熱劣化物生成率=(C2/C1)×100 ・・・・・(5)
【0087】
(5)ポリエステルA中の金属析出物:
ポリエステルAのサンプル0.1gを溶解液(ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=50:50混合液)を加え溶解させた液を、3μm孔径テフロン製メンブレンフィルター(ろ過面積=7.1cm)でろ過し乾燥させる。次いで、ろ紙を走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S3100型)を用いて、最大長径5μm以上の粒子個数をカウントし、観察面積から1cm当りの粒子個数をカウントした。
【0088】
(6)フィルターろ過性:
ポリエステルAの製膜時、平均目開き10μm相当の銅線フィルターで高精度ろ過する際の圧力上昇を以下の基準で評価した。
○:昇圧が0.01kg/m未満
△:昇圧が0.01kg/m以上0.03kg/m未満
×:昇圧が0.03kg/m以上
【0089】
(7)中心面平均粗さ(SRa):
WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「TOPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm )の条件にて測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデータ)を得た。同粗さ計内蔵ソフトによる表面解析により、SRaは以下の式により計算されアウトプットされた値を用いた。
【数11】
Figure 2004359744
ここで、Zjkは、測定方向(242μm)、それと直交する方向(239μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における三次元粗さチャート上の高さである。
【0090】
(8)大突起数:
アルミニウムを0.5μm厚みに蒸着した塗膜層Bの表面を、株式会社ニコン(NIKON CORP.)製の光学顕微鏡、商品名「OPTIPHOT」を用いて、微分干渉法により倍率200倍にて1cm×5cmの範囲を観察し、長径が10μm以上の大きさの突起をマーキングした。マーキングした突起をWYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「TOPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm )の条件にて測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデータ)を得た。同粗さ計内蔵ソフトによる表面解析により、ベースラインからの最高高さの値をもって突起高さとし、高さ100nm以上の突起を単位1cmあたりの個数で表記した。
【0091】
(9)塗膜層B表面の不活性粒子Bによる突起密度:
フィルム表面の突起密度の測定は、走査型電子顕微鏡により行った。すなわち、2軸配向ポリエステルフィルムの塗膜層Bの表面写真を倍率35,000倍にてランダムに25枚撮影し、表面突起頻度をカウントし、その平均値より1μmあたりの突起の数に換算し、この値を塗膜層B表面の不活性粒子Bによる突起密度とした。
【0092】
(10)不活性粒子の平均粒径:
平均粒径0.06μm未満の粒子は、光散乱法を用いて測定した。すなわち、ニコンプ インストルメント株式会社(Nicomp InstrumentsInc.)製の商品名「NICOMP MODEL 270SUBMICRON PARTICLE SIZER」により求められる全粒子の50%の点にある粒子の「等価球直径」をもって表示した。
【0093】
(11)フィルム層A、薄膜層Cの厚み、および全体の厚み:
フィルム全体の厚みは、マイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いた。フィルム層A、薄膜層Cの厚みは、薄い側の層厚みを以下に述べる方法にて測定し、また厚い側の層の厚みは、全体の厚みより塗膜層および薄い側の厚みを引き算して求めた。すなわち、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層から、深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち、最も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+)とポリエステルの炭素元素(C+)の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ5,000nmまで厚さ方向の分析を行った。表層では、表面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。
【0094】
本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値1になったのち、上昇して安定値2になる場合と、単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもって、また後者の場合は、粒子濃度が安定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与える深さよりも深い)をもって、該層の層厚みとした。ただし、薄い側の層がフィルム層Aに相当する場合は、金属元素(M+)として、樹脂C中の粒子の元素を用いて濃度比が0から上昇して安定値2になるときの(安定値2)/2となる深さをもって層厚みとした。
【0095】
測定条件は、以下のとおりである。
測定装置
二次イオン質量分析装置(SIMS):パーキン・エルマー株式会社(PERKIN ELMER INC.)製、「6300」
測定条件
一次イオン種 :O
一次イオン加速電圧:12KV
一次イオン電流:200nA
ラスター領域 :400μm
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :6.0×10−9Torr
E−GUNN :0.5KV−3.0A
【0096】
なお、表層から5,000nmの範囲に最も多く含有する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合は、SIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線光電分光法)などで上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚を求めた。
【0097】
(12)エア抜け性:
株式会社東洋製機製ベック平滑度試験機を用いて、まず、フィルム40枚を重ね合わせ、そのうち試料台最上部にくる1枚を除いて、残り39枚に直径5mmφの孔をあけ、試料台にセットした。このとき孔の中心部が試料台の中心にくるようにした。この状態で、0.5kg/cmの荷重を加え、真空到達度を200mmHgに設定した。200mmHgに到達したのち、常圧に戻ろうとするため、フィルムとフィルムとの間を空気が流れ込んでいく。このとき、1時間の間30秒毎に降下していく真空度(mmHg)を測定し、測定時間(hr)に対する真空度を直線近似したときの直線の傾き(=mmHg/hr)をエア抜け指数Gとした。
【0098】
[実施例1]
・ポリエステルAの製造;ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部とを、エステル交換触媒として酢酸マグネシウム4水塩および酢酸カルシウム1水塩を使用して、常法にしたがってエステル交換反応させたのち、トリエチルホスホノアセテートを添加し、実質的にエステル交換反応を終了させた。さらに、チタニウムテトラブトキサイトを添加後、引き続き高温高真空下で常法とおり重縮合を行い、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートを得た。このポリエチレンテレフタレート組成物をポリエステルAとした。得られたポリエステルAの特性を表1に示す。
【0099】
・ポリエステルCの製造;エステル交換反応が実質的に終了したのち、平均粒径0.5μmの球状シリコーン粒子と、平均粒径0.1μmの球状シリカを、ポリマー中の濃度がそれぞれ0.07%と0.2%となるように添加する以外は、上記のポリエステルAの製造方法と同様にして固有粘度0.60のポリエステル組成物を得た。このポリエステルをポリエステルCとした。
【0100】
・ポリエステルA,Cを用いての製膜;このポリエステルA,Cを、それぞれ170℃で3時間乾燥後、2台の押出し機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融し、ポリエステルAは平均目開き10μmの鋼線フィルターで、ポリエステルCは平均目開き30μmの鋼線フィルターでそれぞれ高精度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Cを積層させ、急冷して厚さ89μmの未延伸積層フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.3倍に延伸し、急冷し、次いで縦延伸フィルムの層A面側に高松油脂(株)製のアクリル変性ポリエステル「 IN−170−6」(軟化点57℃)を65部、日本油脂(株)製の「ノニオンNS−240」(軟化点46℃)を29部、日本油脂(株)製「ノニオンNS−208.5」(軟化点10℃以下)を1部、平均粒径30nmのアクリルフィラーを5部含む組成の水性塗液(全固形分濃度1.0%)をキスコート法により塗布し、続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に4.2倍に延伸した。得られた2軸延伸フィルムを230℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み6.4μmの積層2軸配向ポリエステルフィルムを得た。層A,Cの厚みについては、2台の押出し機の吐出量によりC層が1.0μmとなるように調整した。このフィルムのエア抜け指数は2〜3mmHg/hr、フィルム全体の厚みは6.4μm、塗膜層B表面の不活性粒子に起因する突起密度は8〜9個/μmであった。ポリエステルAに起因するフィルターろ過性、および得られた積層フィルムの表面特性を表2に示す。
【0101】
[実施例2〜5、および比較例1〜4]
・ポリエステルAについては使用する触媒化合物およびリン化合物の種類、量を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様の手法によりポリエチレンテレフタレートを得た。2軸延伸フィルムは、実施例1と同手法により作成した。
【0102】
【表1】
Figure 2004359744
【0103】
【表2】
Figure 2004359744
【0104】
ここで、表1中、Mはアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素、Tiはチタン元素、Sbはアンチモン元素、Caはカルシウム元素、Mgはマグネシウム元素、TEPAはトリエチルホスホノアセテート、TMPAはトリメチルホスホノアセテート、TMPはトリメチルホスフェート、およびM/Pはアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の合計含有量(M)とリン元素の含有量(P)との比を示す。
【0105】
表1、2から明らかなように、実施例のポリエステルA組成物および2軸配向ポリエステルフィルムは、使用する触媒化合物およびリン化合物の種類、量を適正化することによって、熱劣化物抑制性および金属析出物抑制性に優れたポリエステル組成物が得られ、その結果、フィルムに製膜する際の製膜性および得られたポリエステルフィルムの表面性において優れた特性を示した。一方、比較例で示されるように、使用する触媒化合物およびリン化合物の種類、量を適正化しなかった場合、得られたポリエステル組成物の熱劣化物抑制性および金属析出物抑制性が不十分であり、これら組成物を用いたフィルム製膜時のフィルターろ過性、および得られたポリエステルフィルムの表面特性を同時に満足できなかった。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、使用する触媒化合物およびリン化合物の種類、量を適正化することによって、熱劣化物抑制性および金属析出物抑制性に優れたポリエステル組成物を得ることができる。そして、本発明で得られたポリエステル組成物を用いて製造された2軸配向ポリエステルフィルムは、表面特性に優れていることから、ドロップアウトの極めて少ない高機能性磁気記録媒体のベース用ポリマーおよびフィルムとして好適に使用される。

Claims (10)

  1. (a)アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(b)下記一般式(I)で表わされるリン化合物と、(c)チタン化合物およびアンチモン化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを下記式(1)〜(4)を同時に満足するように含有するポリエステル組成物(ポリエステルA)であって、該ポリエステル組成物を乾熱処理した際の熱劣化物生成率が0.5%以下であり、かつ、ポリエステル組成物中の金属析出物の個数が100ヶ/cm以下であることを特徴とするポリエステル組成物。
    Figure 2004359744
    Figure 2004359744
    Figure 2004359744
    Figure 2004359744
    (上記式中、Mは化合物(a)によるアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の合計元素、Pは化合物(b)によるリン元素、Tiは化合物(c)によるチタン元素、Sbは化合物(c)によるアンチモン元素の、それぞれポリエステル組成物中の含有量(ppm)を示す。なお、式(3)および式(4)が同時に0になることはない。)
    Figure 2004359744
    (式中のR〜Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH−または−CH(Y)−(Yはフェニル基)を示す。R〜Rは同一でも異なっていても良い。)
  2. 少なくとも1つの層が請求項1記載のポリエステルAを主成分とするフィルムであって、フィルム表面の中心面平均粗さSRaが3nm以下であり、かつ、フィルム表面上の、突起高さが100nm以上である大突起の数が5個/cm以下であることを特徴とする2軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 請求項2記載の、ポリエステルAを主体とする2軸配向ポリエステルフィルムをフィルム層Aとし、該フィルム層Aの片面に塗膜層B、その反対のフィルム面に薄膜層Cを有する2軸配向ポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムのエア抜け指数が1〜5mmHg/hr、フィルム全体厚みが2.5〜25μmの範囲にあることを特徴とする2軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 塗膜層Bがバインダー樹脂、不活性粒子および界面活性剤を含むものであり、該不活性粒子に起因する塗膜表面の突起が1〜40個/μmの密度で存在する請求項3記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 薄膜層Cが不活性粒子とバインダー樹脂を、またはこれらと界面活性剤を含む塗膜層である請求項3記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 薄膜層Cが不活性粒子を含有するポリエステル組成物(ポリエステルC)からなり、フィルム層Aとの共押出し法により積層された請求項3記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  7. ポリエステルAが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである請求項2に記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  8. ポリエステルA,Cが、それぞれポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである請求項3〜6のいずれか1項に記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 請求項3記載の2軸配向ポリエステルフィルムの塗膜層B上に、さらに磁性層が存在してなることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. アナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダーまたはデータ8mmもしくはDDSIV用である請求項9記載の磁気記録媒体。
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