JP2004349398A - 熱電子変換素子および熱電子変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱損失の小さい熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置を提供すること。
【解決手段】第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材と、を少なくとも含む熱電子変換素子において、
下式(1)を満たすことを特徴とする熱電子変換素子。
・式(1) H1>Y
〔但し、上記式(1)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕
【選択図】 なし
【解決手段】第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材と、を少なくとも含む熱電子変換素子において、
下式(1)を満たすことを特徴とする熱電子変換素子。
・式(1) H1>Y
〔但し、上記式(1)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電や冷却に用いられる熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電子変換素子は、熱電子を放出するエミッタ電極と、このエミッタ電極に対向配置されたコレクタ電極と、から基本的に構成される素子である。この熱電子変換素子は、両電極間の温度差を電力に変換(発電)したり、あるいは、両電極間にバイアス電圧を印加することによりエミッタ電極からコレクタ電極へと熱を移動させる(冷却)することができる。
【0003】
従来の熱電子変換素子は、通常、エミッタ電極側には熱源が接続され、コレクタ電極側にはヒートシンクが接続されており、電極間の距離は少なくとも1μm程度以上である。また、電極間の距離を一定に保つための支持部材等が設けられ、また、2つ以上の熱電子変換素子を用いる場合には、熱電子変換素子同士を電気的に接続するための配線等が設けられる。
このような熱電子変換素子では、電極表面を構成する材料の仕事関数を超えるエネルギーを電子に付与することにより、片方の電極から熱電子を放出させる。このため、両電極の表面(電極が対向する面)には、熱電子の放出効率を高くするために、仕事関数の低い材料が用いられる。
【0004】
しかしながら、電極間距離がミリオーダー程度の従来の熱電子変換素子において、実用上、十分な熱電子変換効率を得るためにはエミッタ電極の温度を1000K以上とし、電極間に極めて大きな温度差を生じさせるか、あるいは、熱電子放出効率を向上させるために電極表面に曲率半径の小さな突起を形成することにより、この突起部に電界を集中させて実効的な仕事関数を低減させるなどの工夫が必要であった。
【0005】
しかし、前者においては、使用環境が極めて限られてしまうという問題があった。また、後者においては、電極間距離の大きさ、ひいては変換効率を定量的に制御することが非常に困難であるという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、電極間の距離をナノメーターオーダー程度まで小さくした熱電子変換素子が検討されている(例えば、特許文献1等)。このような微小ギャップタイプの熱電子変換素子は、電極間の熱電子の移動がトンネル現象により発生するもので、原理的には、室温程度の環境下で得られる電極間のわずかな温度差でも、実用上、十分な熱電子変換効率を得ることができることがわかっている。
しかしながら、現時点では、このような微小ギャップタイプの熱電子変換素子の実用化を考慮した十分な検討は殆ど成されておらず、また、実用化する上で解決すべき問題も十分に把握されていなかった。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6064137号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したように本発明は、上記の問題に鑑みて成されたものである。すなわち、第1の本発明は、熱損失の小さい熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置を提供することを課題とする。また、第2の本発明は熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、後述する本発明を考案するにおいて、まず、微小ギャップタイプの熱電子変換素子を実用化する上での問題点について、従来技術で提案されている熱電子変換素子/熱電子変換装置や、従来技術の延長線上で容易に考えられる熱電子変換素子/熱電子変換装置を始発点として以下に説明するような種々の検討を行った。
【0010】
図8は、従来の微小ギャップタイプの熱電子変換装置の一例を示す模式断面図であり、特許文献1に図示されている熱電子変換装置を、各部の機能に着目して簡略化して図示したものである。
図8中、100は熱電子変換装置、110はエミッタ電極、120はコレクタ電極、130は柱、160は熱源に接する熱源側基板、161は放熱源に接するヒートシンクのような放熱源側基板を表し、矢印dは、エミッタ電極110とコレクタ電極120との間の電極間隔(ギャップ)を意味する。なお、電極間隔dはナノメーターオーダーのスケールを意味するが、これ以外の部分のスケールはナノメーターオーダーよりも十分に大きいスケール(例えば、サブミクロンオーダーのスケールあるいはそれ以上)を意味する。
【0011】
熱電子変換装置100は、一定の間隔dを保つように対向配置された2つの電極(エミッタ電極110およびコレクタ電極120)と、この2つの電極の両側に、対向する2つの電極面に対して垂直に設けられた柱130とで構成される熱電子変換素子を、隣接する各々の熱電子変換素子の柱130を共有するように並列に並べたものである。これら2つの電極の断面形状は長方形で、2つの電極が対向する辺が長手方向である。また、これら2つの電極の短手方向の辺は柱130と接触している。
ここで、柱130は、対向配置された電極間および隣接する熱電子変換素子の同一極性の電極間を絶縁すると共に、間隔dを保つように設けられるものである。また、このように並列に配置された各々の熱電子変換素子のエミッタ電極110側には、熱源側基板160が設けられており、コレクタ電極120側にはヒートシンクのような放熱源側基板161が設けられている。
【0012】
このような熱電子変換装置100において、電極間隔dは、電極同士が接触せずに且つ十分な熱電子変換効率を確保するために約1nm〜十数nm程度の範囲内で、いずれの熱電子変換素子においても正確に同じ値に保たれる必要がある。このような微小な間隔を熱電子変換装置100のいずれの熱電子変換素子においても正確に保つためには、熱電子変換装置100内に柱130をある程度の密度で形成することが不可欠である。
【0013】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、図8に示す熱電子変換装置100のような構造では、熱源側基板160に付与される熱量の多くが柱130を介して放熱源側基板161へと逃げてしまい、熱電子変換に寄与する熱量が少なく(熱損失が大きく)、故に熱電子変換効率が大幅に悪化するという問題が起こることを見出した。以下にこのような熱損失に関する問題(以下、「第1の問題」と略す場合がある)について、具体的な計算に基づいて説明する。
【0014】
例えば、電極間隔dを4nm、柱13を構成する材料として熱伝導率が小さい絶縁体材料であるシリコン酸化物(熱伝導率1.4W/mK)、柱130の断面形状を1辺2μmの正方形(断面積4μm2)と仮定した場合、柱130の1本当りの熱伝導量は1.4×10−3W/K(=熱伝導率×断面積/電極間隔d)となる。
ここで、図8に示すような断面構造を持ち、熱電子変換素子を1cm□に密集して配置したような熱電子変換装置を作製する場合、1cm□当り約4000本程度の柱が必要となる。
【0015】
従って、熱源側基板160と放熱源側基板161との温度差を1℃と仮定した場合、このような1cm□の熱電子変換装置の柱に起因する熱伝導量は56W(柱13の1本当りの熱伝導量×柱の合計数×温度差)となる。一方、熱電子変換により電極間を流れる熱量は、文献(APPLIED PHYSICS LETTERS Vol.78、p2572〜2574、2001年)に基づいて、電極間隔dを4nm、仕事関数を0.5eV、温度差を1℃という条件で計算すると約7Wである。
【0016】
すなわち、従来の熱電子変換素子や、これを用いた熱電子変換装置では、熱電子変換に寄与するよりも柱を介して流れる熱量の方が非常に大きく(熱損失が大きく)、実用に耐えないものであった。
【0017】
一方、図8に示したような断面構造を有する熱電子変換装置を発電に用いる場合、個々の熱電子変換素子から取り出される電圧が小さいために、個々の熱電子変換素子を直列に接続する必要がある。微小ギャップタイプの熱電子変換装置において、現時点ではこのような熱電子変換素子の接続について具体的に検討した例は無いが、以下に説明する3点を考慮すれば、ある程度の構成は推察できよう。
【0018】
まず、第一に図8に示す例から判るように、微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置は、各部を構成する部材のスケールが、電極間部分ではナノオーダーであり、他の部分ではサブミクロンあるいはそれ以上のオーダーであることから、LSI等の半導体デバイスの作製に用いられる成膜、フォトリソグラフィー、エッチング等の公知の製造技術を利用して作製できることがわかる。
【0019】
第二に、図8に示す微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置では2つの電極が熱電子変換装置の厚み方向に対して積層されており、このような積層構成は、厚み方向に積層された配線と、厚み方向に積層された配線間を垂直方向に接続する層間配線とを設けた構造を有する公知の半導体装置に極めて類似した構造である。このことから、熱電子変換素子間の接続には、このような半導体装置の配線構造を利用することができよう。
【0020】
第三に、熱電子変換装置全体としての発電量の観点からは、熱電子変換素子の集積度が出来るだけ高いことが好ましく、それゆえ、熱電子変換素子は密集して配置されることが好ましい。
【0021】
以上3点を考慮すれば、図8に示す熱電子変換装置100の個々の熱電子変換素子を直列に接続する場合には、図9に示すような構成を有することが想定される。
図9は、図8に示す微小ギャップタイプの熱電子変換装置において、個々の熱電子変換素子を直列に接続した場合の一例を示す模式断面図である。図9において、101は熱電子変換装置、111、112、113、114はエミッタ電極、121、122、123、124はコレクタ電極、131、132、133は柱、131’、132’、133’はエミッタ電極間絶縁部材、151,152,153は素子間接続配線、160は熱源側基板、161は放熱源側基板を表し、矢印d’は、エミッタ電極111(あるいは112、113、114)とコレクタ電極121(あるいは122、123、124)との間の電極間隔(ギャップ)を意味する。
【0022】
ここで、図9中の110番台、120番台、160番台の符号で示す部材は、図8に示す符号110、120、160、161で示す部材と同等の機能・構成を有するものであり、図9中の130番台および130’番台の符号で示す2つの部材から構成される部分は、図8に示す符号130と実質的に同等の機能・構成を有するものである。
【0023】
熱電子変換装置101は、熱電子変換装置100と比べて、対向する2つの電極(3桁の符号番号の1桁目が同じ値の2つの電極)一方の電極の一部が、隣接する熱電子変換素子の反対符号の電極の一部と向き合うように設けられ、これら2つの電極の対向する面(電極面)同士を垂直に接続する素子間接続配線(電極111と電極122とを接続する素子間接続配線151、電極112と電極123とを接続する素子間接続配線152、電極113と電極124とを接続する素子間接続配線153)が設けられているところに特徴がある。
【0024】
このような構成を有する熱電子変換装置101についても、既述した場合と同様に柱131、132、133に起因する熱損失の問題があるが、本発明者らが更に検討したところ、熱源側基板160に付与される熱量の多くが柱131、132、133を介して放熱源側基板161へと逃げてしまう以外にも、素子間接続配線151、152、153を介して逃げてしまうことにより、熱電子変換に寄与する熱量がより一層少なく(熱損失が大きく)、故に熱電子変換効率がさらに大幅に悪化するという問題が起こることを見出した。以下にこのような素子間接続配線に起因する熱損失に関する問題(以下、「第2の問題」と略す場合がある)について、具体的な計算に基づいて説明する。
【0025】
例えば、電極間隔d’を4nmとし、素子間接続配線151、152、153を構成する配線材料としてAl(熱伝導率419W/mK)を用い、素子間接続配線151、152、153の縦横のサイズを1μm□(断面積1μm2)とすると、素子間接続配線1本当りの熱伝導量は0.1W/K(=熱伝導率×断面積/電極間隔d’)となる。
【0026】
ここで、熱電子変換装置101が、10001個の熱電子変換素子を10000本の素子間接続配線で直列に接続したものであり、熱源側基板160と放熱源側基板161との温度差を1℃と仮定した場合、このような熱電子変換装置の素子間接続配線に起因する熱伝導量は1000W(=素子間接続配線1本当りの熱伝導量×素子間接続配線の合計数×温度差)となる。一方、熱電子変換により電極間を流れる熱量は、7Wである。
【0027】
すなわち、図9に示すような熱電子変換装置では、熱電子変換に寄与するよりも素子間接続配線を介して流れる熱量の方が非常に大きく(熱損失が大きく)、実用に耐えないものであった。
【0028】
本発明者らは、以上に説明したような検討を行った結果、熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置の実用化に際しては、熱損失を如何に低減すべきかが極めて重要であることを認識した。また、このような検討を行う過程において、本発明者らは、図8に示す熱電子素子や図9に示す熱電子変換装置において、柱130や素子間接続配線151、152、153を経由する熱伝達の最短距離が電極間距離と等しいという構造上の特徴に着目し、熱損失を低減するために以下の本発明を想到するに到った。すなわち、本発明は、
【0029】
<1> 第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材と、を少なくとも含む熱電子変換素子において、
下式(1)を満たすことを特徴とする熱電子変換素子である。
・式(1) H1>Y
〔但し、上記式(1)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕
【0030】
<2> 下式(2)を満たすことを特徴とする<1>に記載の熱電子変換素子である。
・式(2) H1≧10×Y
〔但し、上記式(2)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。〕
【0031】
<3> 下式(3)を満たすことを特徴とする<1>または<2>に記載の熱電子変換素子である。
・式(3) H1≧100×Y
〔但し、上記式(3)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。〕
【0032】
<4> 前記第1の電極および前記第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部よりも外側または内側に位置する断面構造を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であって、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接することを特徴とする熱電子変換素子である。
【0033】
<5> 前記第1の電極および前記第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第1の端部)が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第2の端部)と重複した断面構造を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であって、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
且つ、前記第1の端部と前記第2の端部を通る仮想線の、少なくとも前記第1の端部と前記第2の端部との区間において、前記電極支持部材が、少なくとも前記仮想線の一部から前記仮想線の前記第1の電極および第2の電極が設けられた側と反対側に離れるように設けられていることを特徴とする熱電子変換素子である。
【0034】
<6> 2つ以上の熱電子変換素子を含む熱電子変換装置において、前記2つ以上の熱電子変換素子の、少なくとも1つが<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であることを特徴とする熱電子変換装置である。
【0035】
<7> 第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、を少なくとも含む熱電子変換素子を2つ以上含み、
前記2つ以上の熱電子変換素子が、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置され、
前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくとも2つの熱電子変換素子において、第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間を導通可能に接続する素子間接続配線を1つ以上含む熱電子変換装置であって、
下式(4)を満たすことを特徴とする熱電子変換装置である。
・式(4) H2>Z
〔但し、上記式(4)において、Zは、前記第1の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔、および、前記第2の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔のいずれか大きい値を表し、H2は、前記素子間接続配線を経由する前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間の最短距離を表す。〕
【0036】
<8> 下式(5)を満たすことを特徴とする<7>に記載の熱電子変換装置である。
・式(5) H2≧10×Z
〔但し、上記式(5)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。〕
【0037】
<9> 下式(6)を満たすことを特徴とする<7>または<8>に記載の熱電子変換装置である。
・式(6) H2≧100×Z
〔但し、上記式(6)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。〕
【0038】
<10> 前記熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の99%以上が、前記式(4)〜(6)のいずれか1つを満たすことを特徴とする<7>〜<9>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0039】
<11> 前記熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の99.9%以上が、前記式(4)〜(6)のいずれか1つを満たすことを特徴とする<7>〜<10>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0040】
<12> 前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子とが平面方向に隣接して配置されていることを特徴とする<7>〜<11>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0041】
<13> 前記第1の電極および前記第2の電極が、少なくとも反対の極性を有する電極と対向する電極面と、該電極面の前記反対の極性を有する電極が設けられた側の反対側に設けられた非電極面と、を含み、
前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分と、前記第2の熱電子変換素子の、前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極と反対の極性を有する電極の非電極面とが、前記素子間接続配線により導通可能に接続されたことを特徴とする<12>に記載の熱電子変換装置である。
【0042】
<14> 前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分が、電極面であることを特徴とする<13>に記載の熱電子変換装置である。
【0043】
<15> 前記熱電子変換素子が、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材を含み、
前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくともいずれか1つの熱電子変換素子が、下式(7)を満たすことを特徴とする<7>〜<14>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
・式(7) H1>Y
〔但し、上記式(7)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕
【0044】
<16> 前記第1の電極および前記第2の電極の平面方向の形状が略方形であり、前記形状の第1の主辺の長さと前記第1の主辺に直交する第2の主辺の長さとの比が10以下であることを特徴とする<7>〜<15>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を第1の本発明と第2の本発明とに大きくわけて説明する。
【0046】
(第1の本発明)
本発明者らは、既述した第1の問題を解決するために、以下の第1の本発明を考案した。
すなわち、第1の本発明は、第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材と、を少なくとも含む熱電子変換素子において、下式(1)を満たすことを特徴とする。
・式(1) H1>Y
【0047】
但し、上記式(1)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔(より正確には対向する2つの電極の面と面との間隔を意味する。以下、「電極間隔」と略す場合がある。)を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。
【0048】
従って、第1の本発明によれば、熱損失の小さい熱電子変換素子を提供することができる。また、このような熱電子変換素子を2つ以上含む熱電子変換装置を作製した場合には、熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することができる。
【0049】
図8に示したような従来の微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置100においては、個々の熱電子変換素子の柱130等の電極支持部材を経由する対向する電極間の最短距離が、電極間距離と同一である上に、電極間距離は数ナノメーター程度の非常に短い距離であるため、熱が最短経路で対向する電極に移動することができ、これが熱損失を大きくしていた。
【0050】
しかしながら、第1の本発明では、第1の電極と第2の電極との間隔Yよりも、電極支持部材を経由する第1の電極と第2の電極との最短距離H1の方が大きく、電極間を伝達する熱が電極間隔Yよりもより長い距離を移動して一方の電極から対向する他方の電極へと移動することになるため、従来よりも熱損失を小さくすることができる。
【0051】
なお、YおよびH1の値は、上記の式(1)の関係を少なくとも満たしていればよいが、下式(2)を満たすことが好ましく、下式(3)を満たすことが更に好ましい。
・式(2) H1≧10×Y
・式(3) H1≧100×Y
但し、上記式(2)および(3)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。
YおよびH1の値が、式(2)の関係を満たさない場合には、電極支持部材を構成する材料等によっては、十分に熱損失を小さくすることが出来ない場合がある。
【0052】
また、図8に示すように熱電子変換素子を平面方向に2つ以上並列に配置した熱電子変換装置とする場合には、熱電子変換装置に含まれる全ての熱電子変換素子のうち、少なくともいずれか1つが、上記式(1)〜(3)のいずれかを満たしていればよい。
しかしながら、熱電子変換装置に、少なくとも式(1)の関係を満たさない熱電子変換素子がある程度含まれている場合には、これらの熱電子変換素子における熱損失が大きくなり、熱電子変換装置全体として熱損失を十分に小さくすることができない場合がある。このような観点からは、全ての熱電子変換素子の90%以上が上記式(1)〜(3)のいずれかを満たしていることが好ましく、全ての熱電子変換素子の99%以上が上記式(1)〜(3)のいずれかを満たしていることがより好ましい。
【0053】
なお、本発明において、第1の電極と第2の電極とは、お互いに反対の極性を有し、熱電子の授受が可能なようにそれぞれの電極の少なくとも一部分が対向するように配置されるものである。なお、これら2つの電極のいずれか一方は、熱電子を放出する所謂エミッタ電極と呼ばれるものであり、もう一方はエミッタ電極から放射された熱電子を捕捉するコレクタ電極と呼ばれるものである。
【0054】
また、本発明において、「電極支持部材」は、既述したように少なくとも対向配置された第1の電極と第2の電極とに接し、且つ、両者を絶縁するものであれば特に限定されない。電極支持部材を構成する材料は特に限定されず、1つの部材のみから構成されていてもよく、複数の部材を組み合わせて構成されたものであってもよい。また、熱伝導率をより小さくするために、電極支持部材はポーラスな構造を有するものであってもよい。
【0055】
しかしながら、電極支持部材は、少なくともその主要部あるいは全体が、熱伝導率が低い絶縁体からなることが好ましい。このような絶縁体としては、その熱伝統率が10W/m・K以下であることが好ましく、2W/m・K以下であることがより好ましく、例えば、SiO2、Si3N4、ポリイミド等を用いることができる。
【0056】
第1の本発明において、熱電子変換素子は、少なくとも式(1)の関係を満たすものであれば、その具体的な構造は特に限定されない。しかしながら、図8に示す従来の熱電子変換装置のうちの1つの熱電子変換素子に着目した場合、式(1)の関係を満たす構造は、(A)対向配置された2つの電極のいずれか一方の幅を異なる場合、および(B)対向配置された2つの電極の幅が同じ場合、の2つに大きく分類して考えることができる。なお当該幅とは、熱電子素子を厚み方向に切断した断面において、厚み方向と垂直に交わる方向を意味する。
【0057】
まず、(A)対向配置された2つの電極のいずれか一方の幅が異なる場合について説明する。
この場合、第1の本発明の熱電子変換素子は、第1の電極および第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部よりも外側または内側に位置する断面構造を有し、前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接することが好ましい。
【0058】
このような構成の具体例を図1に示す。図1は、第1の本発明の熱電子変換素子の構成の一例を示す模式断面図である。
図1中、200、201、202は熱電子変換素子、210は第1の電極、220は第2の電極、230、230’、231、231’、232、232’は柱、260および261は基板(符号260および261で示される基板のいずれか一方が熱源側、他方が放熱源側を意味する)を表す。
【0059】
なお、第1の電極210および第2の電極220の断面は、電極対向辺が長手方向である長方形であり、図1中の4辺に付された記号は、Aが第1の辺(電極対向辺)を、Bが第1の辺Aと平行な第2の辺を、CおよびC’が第1の辺Aおよび第2の辺と垂直な第3の辺を意味する。ここで、第2の辺Bおよび第3の辺C(C’)は、第1の辺(電極対向辺)Aに対して対向するように設けられた電極と反対側に位置するものである。
【0060】
図1(A)〜(C)に示す熱電子変換素子200、201、202は、図8に示す熱電子変換装置100に含まれる個々の熱電子変換素子と、基本的な構成・機能はほぼ同じである。しかしながら、熱電子変換素子200、201、202は、図8に示されている熱電子変換素子と比べて、対向する2つの電極の第1の辺(電極対向辺)の長さが異なる点に特徴がある。
このため、対向する2つの電極210および220の間の電極支持部材を経由する最短距離は、電極間隔よりも大きくなる。
【0061】
例えば、図1(A)に示す熱電子変換素子200では、電極支持部材である柱230(230’)が、第1の電極210の第3の辺C(C’)および第2の電極220の第3の辺C(C’)に接している点では、図8に示す熱電子変換素子と同様である。
【0062】
しかし、図8に示す熱電子変換素子では、電極支持部材である柱130を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔であるのに対し、熱電子変換素子200では、電極支持部材である柱230(230’)を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔(以下、「距離A」と略す)に、第1の電極210の第1の辺(電極対向辺)A及び第3の辺C(C’)の交点と、第2の電極220の第1の辺(電極対向辺)A及び第3の辺C(C’)の交点との第1の辺(電極対向辺)Aに平行な方向の距離(以下、「距離B」と略す)を加えたものである。
【0063】
なお、説明の都合上、図1では距離Bよりも距離Aの方が長く見えるが、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、実際には、電極間隔である距離Aはナノメーターオーダーであるのに対し、第1の辺(電極対向辺)Aに平行な方向(すなわち、熱電子変換素子の縦横のサイズ方向)の距離である距離Bは熱電子変換素子のサイズや対向する各々の電極のサイズ等にもよるものの概ね数十ナノメーターからミクロンオーダー程度となる。
【0064】
これは、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、図1(A)に示すような構成とすることにより、電極支持部材である柱230(230’)を経由する2つの電極間の最短距離は、電極間隔よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさを確保することができることを意味する。
【0065】
したがって、電極間の電極支持部材を経由する熱の移動距離は、従来の熱電子変換素子よりも大きく、特に微小ギャップタイプの熱電子変換素子では、素子のサイズ等にもよるが、一般的には従来の熱電子変換素子よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさとすることができる。
【0066】
なお、図1(B)に示す熱電子変換素子201や、図1(C)に示す熱電子変換素子202は、電極間の電極支持部材を経由する熱の最短移動距離を、図1(A)に示す熱電子変換素子200に対して、更に第3の辺C(C’)と平行な方向に延長した構成を有するものである。
【0067】
具体的には熱電子変換素子200の柱230(230’)の第2の電極220の第3の辺C(C’)に接する部分を、第2の電極220の第1の辺(電極対向辺)A側から基板261側へと溝を設けるように一部を除去したものが熱電子変換素子201であり、熱電子変換素子200の柱230(230’)の第2の電極220の第3の辺C(C’)に接する部分を、第2の電極の第1の辺(電極対向辺)A側から基板261側へと溝を設けるように全て除去したものが熱電子変換素子202である。なお、熱電子変換素子202においては、柱230(230’)および基板261からなる2種類の部材が電極支持部材として機能する。
【0068】
なお、図1に示すような熱電子変換素子においては、対向する2つの電極のうちのいずれか一方の幅(図1に示す第1の辺(電極対向辺)A方向の長さ)を小さくすることが前提となるために、距離Bが長くなればなるほど熱電子変換に寄与する電極面積が小さくなり、熱電子変換素子1つ当りの熱電子変換効率が低下するという問題が起こる場合がある。
【0069】
従って、第1の本発明の熱電子変換素子が、図1に例示したような対向する2つの電極のうちのいずれか一方の幅が小さい熱電子変換素子である場合には、電極支持部材を経由する第1の電極と第2の電極との最短距離H1は、第1の電極と第2の電極との間隔Yの10000倍以下であることが好ましい。
【0070】
このように、図1に例示したような対向する2つの電極のうちのいずれか一方の幅が小さい熱電子変換素子では、H1/Y比が大きすぎる場合には電極面積に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合があり、H1/Y比が小さすぎる場合には既述したように熱損失に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合がある。
【0071】
図2は、このような関係について示したグラフである。図2中、横軸はH1/Y比、縦軸は熱電子変換効率を示し、いずれも相対スケールである。H1/Y比の増加に伴い熱電子変換効率は増加し、極大点Mを経て減少に転ずる。ここで、極大点Mよりも左側の熱電子変換効率の落ち込みは主に熱損失に起因するものであり、極大点Mよりも右側の熱電子変換効率の落ち込みは主に片方の電極面積の減少に起因するものである。
このため、実用上は、熱電子変換効率が極大となるように、Yの値に対してH1の値を設定することが好ましい。
【0072】
なお、図2に示したグラフは、一例であり、グラフのプロファイルは図1に例示したような一方の電極の面積が他方よりも小さい熱電子変換素子の構造によって異なるものの、基本的には極大点Mを有する凸型のプロファイルである。
【0073】
次に、(B)対向配置された2つの電極の幅を同じ場合について説明する。
この場合、第1の本発明の熱電子変換素子は、第1の電極および第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第1の端部)が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第2の端部)と重複した断面構造を有し、前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、且つ、前記第1の端部と前記第2の端部を通る仮想線の、少なくとも前記第1の端部と前記第2の端部との区間において、前記電極支持部材が、少なくとも前記仮想線の一部から前記仮想線の前記第1の電極および第2の電極が設けられた側と反対側に離れるように設けられていることが好ましい。
【0074】
このような構成の具体例を図3に示す。図3は、第1の本発明の熱電子変換素子の他の構成例を示す模式断面図である。
図3中、300、301は熱電子変換素子、310は第1の電極、320は第2の電極、330、330’、331、331’は柱、360および361は基板(符号360および361で示される基板のいずれか一方が熱源側、他方が放熱源側を意味する)を表し、第1の電極310および第2の電極320の4辺に付された記号は、Aが第1の辺(電極対向辺)を、Bが第2の辺を、CおよびC’が第3の辺を意味し、D1(D1’)が第1の電極310の第1の辺(電極対向辺)Aの端部(第1の端部)、D2(D2’)が第2の電極320の第1の辺(電極対向辺)Aの端部(第2の端部)を表す。なお、図3に示す対向する2つの電極の断面形状は図1に説明した場合と同様である。
【0075】
図3(A)〜(B)に示す熱電子変換素子300、301は、図8に示す熱電子変換装置100に含まれる個々の熱電子変換素子と、基本的な構成・機能はほぼ同じである。しかしながら、熱電子変換素子300、301は、図8に示されている熱電子変換素子と比べて、第1の端部D1(D1’)と第2の端部D2(D2’)を通る仮想線の、少なくとも第1の端部D1(D1’)と第2の端部D2(D2’)との区間において、電極支持部材330や331(あるいは330’や331’)が少なくとも仮想線の一部から一定の距離を置いて対向する2つの電極から離れるように設けられている点に特徴がある。
このため、対向する2つの電極310および320の間の電極支持部材を経由する最短距離は、電極間隔よりも大きくなる。。
【0076】
例えば、図3(A)に示す熱電子変換素子300では、電極支持部材である柱330(330’)が、第1の電極310の第3の辺C(C’)および第2の電極320の第3の辺C(C’)に接している点では、図8に示す熱電子変換素子と同様である。
【0077】
しかし、図8に示す熱電子変換素子では、電極支持部材である柱330を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔であるのに対し、熱電子変換素子300では、電極支持部材である柱330(330’)を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔(距離A)に、第1の端部D1(D1’)と第2の端部D2(D2’)を通る仮想線から、2つの電極で囲まれた空間を熱電子変換素子300の平面方向に延長するように柱330(330’)に設けられた凹溝の底辺までの第1の辺(電極対向辺)Aに平行な距離を2倍した長さ(以下、「距離C」)と略す)を加えたものである。
【0078】
なお、説明の都合上、図3では距離Cと距離Aとはほぼ同じ長さに見えるが、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、実際には、電極間隔である距離Aはナノメーターオーダーであるのに対し、第1の辺(電極対向辺)Aに平行な方向(すなわち、熱電子変換素子の縦横のサイズ方向)の距離である距離Cは熱電子変換素子のサイズや対向する各々の電極のサイズ等にもよるもののサブミクロンからミクロンオーダー程度となる。
【0079】
これは、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、図3(A)に示すような構成とすることにより、電極支持部材である柱330(330’)を経由する2つの電極間の最短距離は、電極間隔よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさを確保することができることを意味する。
【0080】
したがって、電極間の電極支持部材を経由する熱の移動距離は、従来の熱電子変換素子よりも大きく、特に微小ギャップタイプの熱電子変換素子では、素子のサイズ等にもよるが、一般的には従来の熱電子変換素子よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさとすることができるため、熱損失を小さくすることができる。
【0081】
なお、図3(B)に示す熱電子変換素子301は、電極間の電極支持部材を経由する熱の最短移動距離を、図3(A)に示す熱電子変換素子300に対して、更に第3の辺C(C’)と平行な方向に延長した構成を有するものである。具体的には熱電子変換素子300の柱330(330’)の第1の電極310(および第2の電極320)の第3の辺C(C’)に接する部分を、第1の電極310(および第2の電極320)の第1の辺(電極対向辺)A側から基板360(および基板361)側へと溝を設けるように一部を除去したものが熱電子変換素子301である。
また、このような第3の辺C方向に沿った溝構造は、いずれか一方の電極のみに設けただけでもよいし、基板360や基板361まで達するように設けられたものであってもよい。
【0082】
以上の図1および3に説明した熱電子変換素子は、公知の技術を利用することにより作製できるが、熱電子変換素子の作製の容易さの観点からは、図1(A)に示す熱電子変換素子200や、図3(A)に示す熱電子変換素子300が好ましい。
また、図1および図3に例示したような構造は、微小ギャップタイプの熱電子変換素子に好適であるが、勿論、ミリオーダー程度の電極間隔を有する従来の熱電子変換素子にも適用することができる。
【0083】
また、図1および3に例示したような構造を持つ熱電子変換素子は、LSI等の半導体デバイスの作製に用いられる成膜、フォトリソグラフィー、エッチング等の公知の製造技術を利用して作製できる。
以下に、具体例として図1(A)に示す熱電子変換素子200に類似した構造を持つ熱電子変換素子の製造過程について説明するが、第1の本発明の熱電子変換素子の製造方法は、以下に説明する例のみに限定されるものではない。
【0084】
図4は、第1の本発明の熱電子変換素子の作製工程の一例について示す模式断面図である。図4中、400は、(完成した)熱電子変換素子、410は熱源あるいは放熱源を兼ねる基板、420は第1の電極、430は犠牲層、431はエッチングホール、441、442、442’は絶縁層(電極間支持部材)、443、444はエッチングホール、450は(第2の電極の一部として機能する)金属層、450’は第2の電極を表す。
【0085】
熱電子変換素子の作製に際しては、図4(A)に示すように、熱源あるいは放熱源を兼ねる基板410を用意し、この基板410の片面に図4(B)および(C)に示すように第1の電極420として金属を蒸着し、さらにこの第1の電極420上に犠牲層430を成膜する。この際、犠牲層430の厚みは、最終的に作製される熱電子変換素子の対向配置される2つの電極間の距離と一致するようにその厚みが調整され、例えば、厚みを4nmとすることができる。
【0086】
また、犠牲層430を成膜した後、電極間支持部材として機能する絶縁層を、対向配置される2つの電極間に接して設けることができるように、犠牲層430をパターニングすることによって、犠牲層430の一部に、エッチングホール431を第1の電極420に達する深さまで形成する。
【0087】
次に、図4(D)に示すように、エッチングホール431を埋め込み、犠牲層430全体を覆うようにシリコン酸化物等の絶縁層を成膜し、この絶縁層をパターニングすることによって、絶縁層をエッチングホール443により絶縁層441および絶縁層442に分断するようにエッチングホール443を犠牲層430に達する深さまで形成する。
この際、エッチングホール443は、基板410の平面方向に対して、元々エッチングホール431が存在した部分とずれた位置に設けられる。このため、絶縁層441は、この絶縁層441のエッチングホール443側の部分が犠牲層430を覆うようにして設けられる形になる。
【0088】
その後、図4(E)に示すように、エッチングホール443を、金属を蒸着することによって埋め込み、金属層450を形成し、更に、図4(F)に示すように絶縁層442を、金属層450と絶縁層442との界面から少し離れた位置に、エッチングホール444を犠牲層430に達する深さまで形成する。
【0089】
次に、図4(G)に示すようにエッチングホール444を介して、犠牲層430をサイドエッチングすることにより除去し、その後、図4(H)に示すようにエッチングホール444を、絶縁物、例えばシリコン酸化物等を成膜することにより、エッチングホール444の近傍の犠牲層430が存在した部分も含めて埋め込む。
最後に、図4(I)に示すように絶縁層(電極支持部材)441、442’および金属層450の成す平面上に金属を蒸着して第2の電極450’を形成し、熱電子変換素子400を得ることができる。
【0090】
以上に説明したような第1の本発明の熱電子変換素子、あるいは、これを用いた熱電子変換装置は、発電や冷却に利用することができる。また、第1の本発明の熱電子変換素子は、対向する電極間の間隔が数nm程度の微小ギャップタイプの熱電子変換素子や、ミリオーダー程度の従来の熱電子変換素子のいずれであってもよいが、熱損失を抑制する効果が大きい電極間隔が1nm〜10nm程度の微小ギャップタイプの熱電子変換素子であることが好ましい。
【0091】
(第2の本発明)
本発明者らは、既述した第2の問題を解決するために、以下の第2の本発明を考案した。
すなわち、第2の本発明は、第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、を少なくとも含む熱電子変換素子を2つ以上含み、前記2つ以上の熱電子変換素子が、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置され、前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくとも2つの熱電子変換素子において、第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間を導通可能に接続する素子間接続配線を1つ以上含む熱電子変換装置であって、下式(4)を満たすことを特徴とする。
・式(4) H2>Z
【0092】
但し、上記式(4)において、Zは、前記第1の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔、および、前記第2の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔のいずれか大きい値を表し、H2は、前記素子間接続配線を経由する前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間の最短距離を表す。
【0093】
従って、第2の本発明によれば、熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することができる。
【0094】
図9に示したような微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置101においては、隣接する熱電子変換素子の異なる極性の電極間を接続する素子間接続配線151、152、153を経由する最短距離が、対向配置された2つの電極間の距離と同一である上に、電極間距離は数ナノメーター程度の非常に短い距離であるため、熱が最短経路で隣接する熱電子変換素子の反対極性を有する電極に移動することができ、これが熱損失を大きくしていた。
【0095】
しかしながら、第2の本発明では、第1の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔、および、第2の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔のいずれか大きい値であるZ値よりも、素子間接続配線を経由する第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間の最短距離H2の方が大きい。
【0096】
このため、素子間配線を介して熱電子変換素子間を伝達する熱が、対向配置された2つの電極の間隔Z(素子間配線を介して接続された2つの熱電子変換素子の対向配置された2つの電極の間隔が異なる場合には、いずれか大きい方の値)よりもより長い距離を移動して素子間配線で接続された一方の電極から対向する他方の電極へと移動することになるため、従来よりも熱損失を小さくすることができる。
【0097】
なお、ZおよびH2の値は、上記の式(4)の関係を少なくとも満たしていればよいが、下式(5)を満たすことが好ましく、下式(6)を満たすことが更に好ましい。
・式(5) H2≧10×Z
・式(6) H2≧100×Z
但し、上記式(5)および(6)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。
ZおよびH2の値が、式(5)の関係を満たさない場合には、素子間配線を構成する材料等によっては、十分に熱損失を小さくすることが出来ない場合がある。
【0098】
なお、熱損失抑制の観点からは、H2の値は大きければ大きい程好ましいが、大きすぎる場合には素子間接続配線の電気抵抗に起因する抵抗損失が大きくなるため、結果として、発電効率に関係する熱電子変換効率の低下を招いてしまう場合がある。このような観点からは、H2の値はYの値の10000倍以下であることが好ましい。
【0099】
このようにH2/Z比が大きすぎる場合には抵抗損失に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合があり、H2/Z比が小さすぎる場合には既述したように熱損失に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合がある。
図5は、このような関係について示したグラフである。図5中、横軸はH2/Z比、縦軸は熱電子変換効率を示し、いずれも相対スケールである。H2/Z比の増加に伴い熱電子変換効率は増加し、極大点Mを経て減少に転ずる。ここで、極大点Mよりも左側の熱電子変換効率の落ち込みは主に熱損失に起因するものであり、極大点Mよりも右側の熱電子変換効率の落ち込みは主に抵抗損失に起因するものである。
このため、実用上は、熱電子変換効率が極大となるように、Zの値に対してH2の値を設定することが好ましい。
【0100】
なお、図5に示したグラフのプロファイルは一例であり、素子間接続配線で直列に接続された部分の構造材料等によって異なるものの、基本的には極大点Mを有する凸型のプロファイルである。
【0101】
また、第2の本発明の熱電子変換装置は、この熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の少なくともいずれか1つが上記式(4)〜(6)のいずれかを満たしていればよい。
しかしながら、熱電子変換装置に、少なくとも式(4)の関係を満たさない素子間接続配線がある程度含まれている場合には、これらの素子間接続配線に起因した熱損失が大きくなり、熱電子変換装置全体として熱損失を十分に小さくすることができない場合がある。このような観点からは、熱電子変換装置に含まれる全ての素子接続配線の99%以上が上記式(4)〜(6)のいずれかを満たしていることが好ましく、99.9%以上が上記式(4)〜(6)のいずれかを満たしていることがより好ましい。
【0102】
なお、第2の本発明において、熱電子変換装置に含まれる熱電子変換素子は、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置される。
但し、第2の本発明において「平面方向に配置する」とは、少なくとも各々の熱電子変換素子の電極面(但し、当該電極面とは、熱電子の授受に関与する面を意味し、図9に示す熱電子変換装置のように素子間接続配線の起点となる部分のように、熱電子の授受に関与しない面を含まない)が平面方向に重ならないように配置されることを意味する。また、垂直方向に対しては、各々の熱電子変換素子の同符号の電極の位置が揃うように配置されていてもよいし、ズレて配置されていてもよいが、実用上は、電極厚みや電極間の間隔等、少なくとも厚み方向の寸法構成が同じ熱電子変換素子を、同符号の電極の位置が揃うように配置されることが好ましい。
【0103】
また、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置されるのであれば、式(4)を満たすように素子間接続配線で接続される2つの熱電子変換素子は、必ずしも隣接していなくてもよい。例えば、平面方向にある程度の間隔を置いて2つの熱電子変換素子を配置し、これらを素子間接続配線で接続した場合は、特に熱電子変換素子が微小ギャップタイプである場合には、上記の式(4)はもとより式(5)や式(6)も容易に満たすことができる。
【0104】
このように平面方向に間隔を置いて、素子接続配線で接続される2つの熱電子変換素子を配置する場合、容易に素子接続配線部に起因する熱損失を抑制して高い熱電子変換効率を得ることができる。しかし、熱電子変換装置全体としては、熱電子変換に寄与する実効面積(熱電子変換装置の単位面積当りに配置される熱電子変換素子の集積密度)が小さくなり、発電を行う場合には、熱電子変換装置が大型化したり、あるいは、十分な電圧を確保できなくなる場合がある。
【0105】
このような観点からは、少なくとも素子間接続配線で直列に接続される2つの熱電子変換素子は、平面方向に隣接して配置されていることが好ましい。また、実効面積を確保する上では、熱電子変換装置に含まれる全ての熱電子変換素子(例えば、直列以外に並列で接続された熱電子変換素子等を含む)が、隣接して配置されていることが好ましい。
【0106】
なお、当該隣接とは、熱電子変換素子の平面方向の最大長さに対して、素子間接続配線で接続された2つの熱電子変換素子端部間の平面方向の最短距離が十分に小さい場合を意味する。
【0107】
なお、各々の熱電子変換素子を隣接して平面方向に配置する場合、その配列は特に限定されないが、実効面積を大きくするためには、平面方向に同一の形状・サイズの熱電子変換素子を桝目配列や千鳥配列等、公知の2次元的配列により規則的に配置することが好ましい。また、熱電子変換素子の平面方向の形状は特に限定されないが、規則的な配列に適した単純な形状であることが好ましく、さらに、実効面積を大きくできる観点からは正方形や長方形であることがより好ましい。
【0108】
また、素子間接続配線で接続される2つの熱電子変換素子が平面方向に隣接して配置されておらず、両者の間隔が大きく離れている場合には、平面方向の素子間接続配線の距離が長くなり過ぎてしまい素子間接続配線の内部抵抗が大きくなってしまう場合がある。しかしながら、素子間接続配線で接続される2つの熱電子変換素子を平面方向に隣接して配置した場合には、素子間接続配線の距離を短くすることができるためこのような問題も容易に解決することができる。
【0109】
また、第2の本発明に用いられる素子間接続配線は、少なくとも導電性を有する材料から構成されるものであれば特に限定されないが、導電性を有すると共に、低い熱伝導性を有する材料であることが好ましい。このような導電性材料としては、比抵抗が5×10−4Ω・cm以下であることが好ましく、5×10−5Ω・cm以下であることがより好ましく、また、熱伝導率が1000W/mK以下であることが好ましく、100W/mK以下であることがより好ましい。
【0110】
素子間接続配線を構成する材料としては公知の導電性材料を用いることができ、例えば、Al(比抵抗:2.70×10−6Ω・cm、熱伝導率:419W/mK)、Cu(比抵抗:1.70×10−6Ω・cm、熱伝導率:392W/mK)、Ti(比抵抗:5.50×10−5Ω・cm、熱伝導率:17.2W/mK)、コバール<FeNiCo>(比抵抗:4.90×10−6Ω・cm、熱伝導率:17W/mK)等を用いることができる。
【0111】
第2の本発明において、熱電子変換装置に含まれる少なくとも1つの素子接続配線が、少なくとも式(4)の関係を満たすものであれば、熱電子変換装置の具体的な構造は特に限定されないが、具体的には以下のような構成を有することが好ましい。
すなわち、第1の電極および第2の電極が、少なくとも反対の極性を有する電極と対向する電極面と、該電極面の前記反対の極性を有する電極が設けられた側の反対側に設けられた非電極面とを含み、第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分と、第2の熱電子変換素子の、前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極と反対の極性を有する電極の非電極面とが、素子間接続配線により導通可能に接続されていることが好ましい。
【0112】
また、当該いずれかの部分は特に限定されないが、電極面であってもよい。但し、当該電極面とは、この面が素子間接続配線に覆われていない場合において、熱電子の授受に関与することが可能な面か否かを問わず、熱電子の授受に関与することが可能な面と垂直方向に同じ高さに位置する面も含むことを意味する。
このような構成は、素子間接続配線を介して接続される2つの熱電子変換素子の平面方向の間隔が小さい場合に、素子間接続配線の距離を大きくすることが容易であるため、熱損失を小さくするために有効である。
【0113】
以下にこのような構成の具体例を図面を用いて説明するが、第2の本発明の熱電子変換装置は、以下に説明する例のみに限定されるものではない。
図6は、第2の本発明の熱電子変換装置の一例を示す模式断面図であり、具体的には、熱電子変換装置の素子間接続配線周辺の部分の模式断面図について示したものである。
【0114】
図6において、500は熱電子変換装置、511は第1の熱電子変換素子の第1の電極、512は第2の熱電子変換素子の第1の電極、521は第1の熱電子変換素子の第2の電極、522は第2の熱電子変換素子の第2の電極、531は絶縁層(電極間支持部材)、551は素子間接続配線、552は素子間接続配線(第1の配線部分)、553は素子間接続配線(第2の配線部分)、554は素子間接続配線(第3の配線部分)、560はヒートシンク等の放熱源側基板、561は熱源側、571、572は熱源側熱伝導物質、591は第1の電極511および第2の電極521の間に設けられた空間、592は第1の電極512および第2の電極522の間に設けられた空間を意味する。
【0115】
ここで、図6に示す熱電子変換装置600は、以下に説明するような構成を有するものである。まず、基板560上に第1の電極側に接するように、第1の電極511および第2の電極521を含む第1の熱電子変換素子と、第1の電極512および第2の電極522を含む第2の熱電子変換素子とが設けられている。なお、基板560を介した第1の熱電子変換素子の第1の電極511と第2の熱電子変換素子の第1の電極512との電気的短絡を防ぐために、基板560の第1の電極511、512が設けられた側の面には絶縁層(不図示)が設けられている。
【0116】
また、第1の熱電子変換素子において、第1の電極511の平面方向の長さは、第2の電極521の平面方向の長さよりも大きく、第2の電極521の両端部が第1の電極511の(平面方向の)両端部よりも内側に位置するように設けられている(但し、図6中において片方の端部側は不図示)。また、第1の電極511および第2の電極521の間に設けられた空間591の(平面方向の)両端部は、第1の電極511の両端部と、第2の電極の両端部との間に位置するように設けられている。これらの関係は第2の熱電子変換素子についても同様である。
【0117】
さらに、基板560上には、第1の熱電子変換素子および第2の熱電子変換素子を絶縁し、且つ、それぞれの熱電子変換素子の対向配置された2つの電極を絶縁するように絶縁層(電極支持部材)531が設けられており、第1の熱電子変換素子および第2の熱電子変換素子は、絶縁層531により完全に覆われている。
なお、第1の熱電子変換素子の第2の電極521と熱源側561との間には、熱源側561から熱が第2の電極521に効率的に伝達できるように、第2の電極521の熱源側561の面と接し絶縁層531を垂直方向に貫通するように熱源側熱伝導物質571が設けられ、第2の熱電子変換素子の第2の電極522と熱源側561との間には、熱源側561から熱が第2の電極522に効率的に伝達できるように、第2の電極522の熱源側561の面と接し絶縁層531を垂直方向に貫通するように熱源側熱伝導物質572が設けられている。
【0118】
また、絶縁層531、熱源側熱伝導物質571、572の熱源側561の面は、基板560と平行に設けられている。なお、熱源側熱伝導物質571、熱源側561、熱源側熱伝導物質572を介して第1の熱電子変換素子の第2の電極521と、第2の熱電子変換素子の第2の電極522との間の電気的短絡を防ぐために、第2の電極521(522)および熱源側熱伝導物質571(572)の界面には絶縁層(不図示)が設けられている。
【0119】
ここで、素子間接続配線551は、第1の熱電子変換素子の第1の電極511の電極面(当該電極面とは、第1の電極511の第2の熱電子変換素子側の端部と、空間591の第2の熱電子変換素子側の端部との間の領域の電極面を意味する)と、第2の熱電子変換素子の第2の電極522の非電極面とを接点として、第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子とを直列に接続している。
【0120】
素子間接続配線551は、大きく分けると3つの直線状の配線からなり、具体的には、第1の熱電子変換素子の第1の電極511の電極面から熱源側561へと、垂直方向に絶縁層531内を通り、熱源側561に到達しないように設けられた第1の配線部分552と、第1の配線部分552から、基板560が成す面と平行に絶縁層531内を通って、第2の熱電子変換素子の第2の電極522の非電極面上に達するように設けられた第2の配線部分553と、第2の配線部分553と、第2の熱電子変換素子の第2の電極522の非電極面とを、絶縁層531内を垂直方向に貫通するように設けられた第3の配線部分554と、から構成される。
【0121】
図6に示す熱電子変換装置500の構成は、基本的には図9に示す熱電子変換装置101と類似したものであるが、熱電子変換装置101と比べて2つの熱電子変換素子間を直列に接続するために設けられる素子接続配線の構成が大きく異なっている点に特徴がある。
【0122】
すなわち、熱電子変換装置101においては、既述したように素子間接続配線の距離は電極間隔と同じであるが、熱電子変換装置500では、空間591の厚み方向に平行な素子間接続配線551の第1の配線部552が既に電極間隔よりも大きく、さらに、この第1の配線部552の長さに加えて、第2の配線部553および第3の配線部554の長さが加算されたものである。
【0123】
なお、図6に示す熱電子変換装置500が、微小ギャップタイプの熱電子変換素子である場合には、電極間隔(空間591、592の垂直方向の長さ)はナノメーターオーダーであるのに対し、これら以外の部材のスケール(垂直方向および平面方向)は熱電子変換素子のサイズや対向する各々の電極のサイズ等にもよるものの概ね数十ナノメーターからミクロンオーダー程度となる。
【0124】
これは、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、図6に示すような構成とすることにより、素子間接続配線を経由する2つの電極間の最短距離は、電極間隔よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさを確保することができることを意味する。
【0125】
したがって、素子間接続配線を経由する2つの電極間の熱の移動距離は、図9に示したような従来技術の延長線上で容易に想到される熱電子変換素子よりも大きく、特に微小ギャップタイプの熱電子変換素子では、素子のサイズ等にもよるが、一般的には図9に示したような熱電子変換素子よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさとすることができるため、熱損失を小さくすることができる。
【0126】
なお、既述したような素子間接続配線の長さによる熱損失と抵抗損失とのトレードオフ関係(熱電子発電効率)の最適化は、熱電子変換素子500の作製に際して、主に第2の配線部分553の長さ、また必要であれば補助的に第1の配線部分552や第3の配線部分554の長さも調整することにより容易に行うことができる。
【0127】
以上、図6に例示したような構造を持つ熱電子変換素子500は、LSI等の半導体デバイスの作製に用いられる成膜、フォトリソグラフィー、エッチング等の公知の製造技術を利用して作製できる。
以下に、具体例として図6に示す熱電子変換装置500の製造過程について説明するが、第2の本発明の熱電子変換装置の製造方法は、以下に説明する例のみに限定されるものではない。
【0128】
図7は、図6に示す熱電子変換装置500の作製工程の一例について示す模式断面図である。図7中、図6に示す符号と同一の番号を付した部材は、図6に示すものと同様の部材であり、また、593、594は犠牲層、555、556はコンタクトホール、557は(犠牲層エッチング用の)エッチングホール、558、559は(熱的コンタクトのための)エッチングホールを表す。
【0129】
まず、表面が絶縁層(不図示)で覆われた放熱源側基板560上にスパッタリング法等により金属膜を形成する。次に、この金属膜上にレジストを形成し、フォトリソグラフィ法によりレジストパターンを形成した後、このレジストパターンに沿ってRIE(Reactive Ion Ethcing)等の方法により金属層をエッチングして、基板560上に第1の熱電子変換素子の第1の電極511と第2の熱電子変換素子の第1の電極512とを形成し、最後にこれら2つの電極上に残ったレジストを除去する(図7(A))。
【0130】
次に、上記と同様にして成膜、パターニング、エッチング等を行うことにより、図7(B)に示すように、第1の電極511(512)上に犠牲層593(594)を形成する。なお、犠牲層593(594)は、その端部が、第1の電極511(512)の端部よりも内側に位置するように形成される。
【0131】
さらに、第2の電極521(522)を、上記と同様にして成膜・パターニング等を行うことにより、図7(C)に示すように、犠牲層593(594)の上に形成する。なお、第2の電極521(522)は、その端部が、犠牲層593(594)の端部よりも内側に位置するように形成される。
【0132】
その後、基板560上を、第1の熱電子変換素子および第2の熱電子変換素子も覆うように絶縁層531’を成膜し、更に、図7(D)に示すようにコンタクトホール555、556およびエッチングホール557等を形成するために、絶縁膜531’を上記と同様にパターニング、エッチング等を行う。
【0133】
なお、コンタクトホール555は、素子間接続配線(第1の配線部部分)552を形成するために設けられるもので、第1の電極511の犠牲層593で覆われていない電極面から、絶縁層531’を垂直方向に貫通するように設けられるものであり、コンタクトホール556は、素子間接続配線(第3の配線部分)554を形成するために設けられるもので、第2の電極522の非電極面から絶縁層531’を垂直方向に貫通するように設けられるものである。
【0134】
また、エッチングホール557は、犠牲層594をエッチングして除去するために設けられるもので、第2の熱電子変換素子の第1の熱電子変換素子が設けられた側と反対側の、第2の電極522で覆われていない犠牲層594の第2の電極522側の面から、絶縁層531’を略垂直方向に貫通するように設けられるものである。なお、エッチングホール557の形成と同時に、犠牲層593をエッチングして除去するためのエッチングホール(不図示)も形成される。
【0135】
次に、図7(E)に示すように、エッチングホール(不図示)を介して犠牲層593を選択的にエッチングして除去することにより空間591を形成し、エッチングホール557を介して犠牲層594を選択的にエッチングして除去することにより空間592を形成する。
【0136】
さらに、図7(F)に示すように、エッチングホール(不図示)と繋がっている空間591およびエッチングホール557と繋がっている空間592を真空封止するために、絶縁層531’を覆い、また、エッチングホール(不図示)およびエッチングホール557を埋め込むために絶縁層531”を形成する。
【0137】
さらに、図7(G)に示すようにコンタクトホール555、556を金属を成膜することにより埋め込んで、素子間接続配線(第1の配線部分)552および素子間接続配線(第3の配線部分)554を形成すると共に、パターニングおよびエッチングを利用して、両者を接続する素子間接続配線(第2の配線部分)552を形成する。
【0138】
次に、絶縁層531”上に沿って設けられた素子間接続配線(第2の配線部分)553も覆うように、絶縁層531”上に絶縁層531’’’を成膜し、さらに図7(H)に示すように熱源側熱伝導物質571、572を設けるためのエッチングホール558、559を、絶縁層531’’’、531”、531’を垂直に貫通し、第2の電極521、522にほぼ到達する深さまで上記と同様にパターニングを行なう。但し、このパターニング時のエッチングは、第2の電極521、522の熱源側561表面に薄い絶縁層(不図示)が残留するように行なう。
【0139】
最後に、図7(I)に示すようにエッチングホール558、559を金属で埋めこんで熱源側熱伝導物質571、572を形成することにより熱電子変換装置500が作製される。
【0140】
以上に説明したような第2の本発明の熱電子変換装置は、発電に利用することができる。また、第2の本発明の熱電子変換装置は、対向する電極間の間隔が1nm〜10nm程度の微小ギャップタイプの熱電子変換素子や、対向する電極間の間隔がミリメートルオーダーの従来の熱電子変換素子のいずれであってもよい。
しかしながら、後者の場合は、図9に示すように熱電子変換素子同士を素子間接続配線で接続しても、素子間接続配線を経由する電極間の最短距離がミリメートルオーダー程度と熱損失を抑制するに十分な距離であるため、実用上は微小ギャップタイプの熱電子変換素子であることが特に好ましい。
【0141】
また、第2の本発明の熱電子変換装置は、その構成部材として、個々の熱電子変換素子が、少なくとも対向配置された相互に極性の異なる電極を有し、他の熱電子変換素子と電気的に接続するための素子間接続配線を有するものであれば特に限定されないが、これら2つの電極に接し且つ両者を絶縁する電極支持部材が設けられていることが好ましい。
【0142】
この場合、電極支持部材が、既述した式(1)を少なくとも満たしていることが好ましく、また、電極支持部材も含む熱電子変換素子の構成は、第2の本発明の特徴に加えて、少なくとも式(1)も満たすものであれば特に限定されないが、既述した第1の本発明の特徴を兼ね備えていることが好ましい。具体例を挙げれば、このような熱電子装置は、図6に示したような素子間接続配線の構造と、既述した図1や図3に示したような電極間支持部材の構造とを兼ね備えたものであってもよい。このような構成を有する熱電子変換装置は、素子間接続配線および電極支持部材の両方に起因する熱損失の両方を抑制することができる。
【0143】
なお、熱電子変換素子の第1の電極および第2の電極の平面方向の形状は特に限定されないが、略方形であることが好ましい。この場合の方形形状の第1の主辺の長さと、第1の主辺に直交する第2の主辺の長さとの比(第1の主辺/第2の主辺、あるいは、第2の主辺/第1の主辺)が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
このように、第1の主辺の長さと第2の主辺の長さとの比を小さくすることにより、電極の内部抵抗を小さくすることができる。これは、電極平面方向の電流の流れは、電極の素子間接続配線と接触する部分を起点とするため、電極平面のいずれの点もこの起点部分に近い方が、電極の内部抵抗を小さくすることができるためである。
【0144】
但し、電極の形状が略方形であるとは、4つの直線からなる正方形、長方形、あるいは、平行四辺形は勿論、これらの方形の輪郭を成す4つの辺の一部が欠けていたり出っ張っていたりする変則的な形状の方形ものも含む。
なお、第1の主辺およびこれに直交する第2の主辺は、正方形や長方形の場合には、これらの方形の輪郭を形成する4つの辺のうちの直交する2つの辺をそれぞれ意味するが、平行四辺形の場合には、いずれか一方の主辺(例えば、第1の主辺)が、平行四辺形の輪郭を形成する4つの辺の内のいずれか1つの辺を意味し、もう一方の主辺(第2の主辺)が第1の主辺と直交し、この第1の主辺および第1の主辺と対向する辺の間に位置する垂線であることを意味する。
また、変則的な形状の場合は、欠けや出っ張りのある部分を無視して、4つの直線からなる純粋な正方形、長方形、あるいは、平行四辺形とみなして上記と同様に第1の主辺および第2の主辺を定める。
【0145】
【発明の効果】
以上に説明したように、第1の本発明によれば、熱損失の小さい熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置を提供することができる。また、第2の本発明によれば熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の本発明の熱電子変換素子の一例を示す模式断面図である。
【図2】H1/Y比と熱電子変換効率との関係の一例を示すグラフである。
【図3】第1の本発明の熱電子変換素子の他の例を示す模式断面図である。
【図4】第1の本発明の熱電子変換素子の作製工程の一例について示す模式断面図である。
【図5】H2/Z比と熱電子変換効率との関係の一例を示すグラフである。
【図6】第2の本発明の熱電子変換装置の一例を示す模式断面図である。
【図7】図6に示す熱電子変換装置500の作製工程の一例について示す模式断面図である。
【図8】従来の微小ギャップタイプの熱電子変換装置の一例を示す模式断面図である。
【図9】図8に示す微小ギャップタイプの熱電子変換装置において、個々の熱電子変換素子を直列に接続した場合の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
100、101 熱電子変換装置
110、111、112、113、114 エミッタ電極
120、121、122、123、124 コレクタ電極
130、131、132、133 柱
131’、132’、133’ エミッタ電極間絶縁部材
151,152,153 素子間接続配線
160 熱源に接する熱源側基板
161 放熱源に接するヒートシンクのような放熱源側基板
200、201、202 熱電子変換素子
210 第1の電極
220 第2の電極
230、230’、231、231’、232、232’ 柱
260、261 基板
300、301 熱電子変換素子
310 第1の電極
320 第2の電極
330、330’、331、331’ 柱
360、361 基板
400 (完成した)熱電子変換素子
410 熱源あるいは放熱源を兼ねる基板
420 第1の電極
430 犠牲層
431 エッチングホール
441、442、442’ 絶縁層(電極間支持部材)
443、444 エッチングホール
450 (第2の電極の一部として機能する)金属層
450’ 第2の電極
500 熱電子変換装置
511 第1の熱電子変換素子の第1の電極
512 第2の熱電子変換素子の第1の電極
521 第1の熱電子変換素子の第2の電極
522 第2の熱電子変換素子の第2の電極
531、531’、531”、531’’’ 絶縁層(電極間支持部材)
551 素子間接続配線
552 素子間接続配線(第1の配線部分)
553 素子間接続配線(第2の配線部分)
554 素子間接続配線(第3の配線部分)
555、556 コンタクトホール
557、558、559 エッチングホール
560 ヒートシンク等の放熱源側基板
561 熱源側
571、572 熱源側熱伝導物質
591、592 空間
593、594 犠牲層
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電や冷却に用いられる熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電子変換素子は、熱電子を放出するエミッタ電極と、このエミッタ電極に対向配置されたコレクタ電極と、から基本的に構成される素子である。この熱電子変換素子は、両電極間の温度差を電力に変換(発電)したり、あるいは、両電極間にバイアス電圧を印加することによりエミッタ電極からコレクタ電極へと熱を移動させる(冷却)することができる。
【0003】
従来の熱電子変換素子は、通常、エミッタ電極側には熱源が接続され、コレクタ電極側にはヒートシンクが接続されており、電極間の距離は少なくとも1μm程度以上である。また、電極間の距離を一定に保つための支持部材等が設けられ、また、2つ以上の熱電子変換素子を用いる場合には、熱電子変換素子同士を電気的に接続するための配線等が設けられる。
このような熱電子変換素子では、電極表面を構成する材料の仕事関数を超えるエネルギーを電子に付与することにより、片方の電極から熱電子を放出させる。このため、両電極の表面(電極が対向する面)には、熱電子の放出効率を高くするために、仕事関数の低い材料が用いられる。
【0004】
しかしながら、電極間距離がミリオーダー程度の従来の熱電子変換素子において、実用上、十分な熱電子変換効率を得るためにはエミッタ電極の温度を1000K以上とし、電極間に極めて大きな温度差を生じさせるか、あるいは、熱電子放出効率を向上させるために電極表面に曲率半径の小さな突起を形成することにより、この突起部に電界を集中させて実効的な仕事関数を低減させるなどの工夫が必要であった。
【0005】
しかし、前者においては、使用環境が極めて限られてしまうという問題があった。また、後者においては、電極間距離の大きさ、ひいては変換効率を定量的に制御することが非常に困難であるという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、電極間の距離をナノメーターオーダー程度まで小さくした熱電子変換素子が検討されている(例えば、特許文献1等)。このような微小ギャップタイプの熱電子変換素子は、電極間の熱電子の移動がトンネル現象により発生するもので、原理的には、室温程度の環境下で得られる電極間のわずかな温度差でも、実用上、十分な熱電子変換効率を得ることができることがわかっている。
しかしながら、現時点では、このような微小ギャップタイプの熱電子変換素子の実用化を考慮した十分な検討は殆ど成されておらず、また、実用化する上で解決すべき問題も十分に把握されていなかった。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6064137号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したように本発明は、上記の問題に鑑みて成されたものである。すなわち、第1の本発明は、熱損失の小さい熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置を提供することを課題とする。また、第2の本発明は熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、後述する本発明を考案するにおいて、まず、微小ギャップタイプの熱電子変換素子を実用化する上での問題点について、従来技術で提案されている熱電子変換素子/熱電子変換装置や、従来技術の延長線上で容易に考えられる熱電子変換素子/熱電子変換装置を始発点として以下に説明するような種々の検討を行った。
【0010】
図8は、従来の微小ギャップタイプの熱電子変換装置の一例を示す模式断面図であり、特許文献1に図示されている熱電子変換装置を、各部の機能に着目して簡略化して図示したものである。
図8中、100は熱電子変換装置、110はエミッタ電極、120はコレクタ電極、130は柱、160は熱源に接する熱源側基板、161は放熱源に接するヒートシンクのような放熱源側基板を表し、矢印dは、エミッタ電極110とコレクタ電極120との間の電極間隔(ギャップ)を意味する。なお、電極間隔dはナノメーターオーダーのスケールを意味するが、これ以外の部分のスケールはナノメーターオーダーよりも十分に大きいスケール(例えば、サブミクロンオーダーのスケールあるいはそれ以上)を意味する。
【0011】
熱電子変換装置100は、一定の間隔dを保つように対向配置された2つの電極(エミッタ電極110およびコレクタ電極120)と、この2つの電極の両側に、対向する2つの電極面に対して垂直に設けられた柱130とで構成される熱電子変換素子を、隣接する各々の熱電子変換素子の柱130を共有するように並列に並べたものである。これら2つの電極の断面形状は長方形で、2つの電極が対向する辺が長手方向である。また、これら2つの電極の短手方向の辺は柱130と接触している。
ここで、柱130は、対向配置された電極間および隣接する熱電子変換素子の同一極性の電極間を絶縁すると共に、間隔dを保つように設けられるものである。また、このように並列に配置された各々の熱電子変換素子のエミッタ電極110側には、熱源側基板160が設けられており、コレクタ電極120側にはヒートシンクのような放熱源側基板161が設けられている。
【0012】
このような熱電子変換装置100において、電極間隔dは、電極同士が接触せずに且つ十分な熱電子変換効率を確保するために約1nm〜十数nm程度の範囲内で、いずれの熱電子変換素子においても正確に同じ値に保たれる必要がある。このような微小な間隔を熱電子変換装置100のいずれの熱電子変換素子においても正確に保つためには、熱電子変換装置100内に柱130をある程度の密度で形成することが不可欠である。
【0013】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、図8に示す熱電子変換装置100のような構造では、熱源側基板160に付与される熱量の多くが柱130を介して放熱源側基板161へと逃げてしまい、熱電子変換に寄与する熱量が少なく(熱損失が大きく)、故に熱電子変換効率が大幅に悪化するという問題が起こることを見出した。以下にこのような熱損失に関する問題(以下、「第1の問題」と略す場合がある)について、具体的な計算に基づいて説明する。
【0014】
例えば、電極間隔dを4nm、柱13を構成する材料として熱伝導率が小さい絶縁体材料であるシリコン酸化物(熱伝導率1.4W/mK)、柱130の断面形状を1辺2μmの正方形(断面積4μm2)と仮定した場合、柱130の1本当りの熱伝導量は1.4×10−3W/K(=熱伝導率×断面積/電極間隔d)となる。
ここで、図8に示すような断面構造を持ち、熱電子変換素子を1cm□に密集して配置したような熱電子変換装置を作製する場合、1cm□当り約4000本程度の柱が必要となる。
【0015】
従って、熱源側基板160と放熱源側基板161との温度差を1℃と仮定した場合、このような1cm□の熱電子変換装置の柱に起因する熱伝導量は56W(柱13の1本当りの熱伝導量×柱の合計数×温度差)となる。一方、熱電子変換により電極間を流れる熱量は、文献(APPLIED PHYSICS LETTERS Vol.78、p2572〜2574、2001年)に基づいて、電極間隔dを4nm、仕事関数を0.5eV、温度差を1℃という条件で計算すると約7Wである。
【0016】
すなわち、従来の熱電子変換素子や、これを用いた熱電子変換装置では、熱電子変換に寄与するよりも柱を介して流れる熱量の方が非常に大きく(熱損失が大きく)、実用に耐えないものであった。
【0017】
一方、図8に示したような断面構造を有する熱電子変換装置を発電に用いる場合、個々の熱電子変換素子から取り出される電圧が小さいために、個々の熱電子変換素子を直列に接続する必要がある。微小ギャップタイプの熱電子変換装置において、現時点ではこのような熱電子変換素子の接続について具体的に検討した例は無いが、以下に説明する3点を考慮すれば、ある程度の構成は推察できよう。
【0018】
まず、第一に図8に示す例から判るように、微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置は、各部を構成する部材のスケールが、電極間部分ではナノオーダーであり、他の部分ではサブミクロンあるいはそれ以上のオーダーであることから、LSI等の半導体デバイスの作製に用いられる成膜、フォトリソグラフィー、エッチング等の公知の製造技術を利用して作製できることがわかる。
【0019】
第二に、図8に示す微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置では2つの電極が熱電子変換装置の厚み方向に対して積層されており、このような積層構成は、厚み方向に積層された配線と、厚み方向に積層された配線間を垂直方向に接続する層間配線とを設けた構造を有する公知の半導体装置に極めて類似した構造である。このことから、熱電子変換素子間の接続には、このような半導体装置の配線構造を利用することができよう。
【0020】
第三に、熱電子変換装置全体としての発電量の観点からは、熱電子変換素子の集積度が出来るだけ高いことが好ましく、それゆえ、熱電子変換素子は密集して配置されることが好ましい。
【0021】
以上3点を考慮すれば、図8に示す熱電子変換装置100の個々の熱電子変換素子を直列に接続する場合には、図9に示すような構成を有することが想定される。
図9は、図8に示す微小ギャップタイプの熱電子変換装置において、個々の熱電子変換素子を直列に接続した場合の一例を示す模式断面図である。図9において、101は熱電子変換装置、111、112、113、114はエミッタ電極、121、122、123、124はコレクタ電極、131、132、133は柱、131’、132’、133’はエミッタ電極間絶縁部材、151,152,153は素子間接続配線、160は熱源側基板、161は放熱源側基板を表し、矢印d’は、エミッタ電極111(あるいは112、113、114)とコレクタ電極121(あるいは122、123、124)との間の電極間隔(ギャップ)を意味する。
【0022】
ここで、図9中の110番台、120番台、160番台の符号で示す部材は、図8に示す符号110、120、160、161で示す部材と同等の機能・構成を有するものであり、図9中の130番台および130’番台の符号で示す2つの部材から構成される部分は、図8に示す符号130と実質的に同等の機能・構成を有するものである。
【0023】
熱電子変換装置101は、熱電子変換装置100と比べて、対向する2つの電極(3桁の符号番号の1桁目が同じ値の2つの電極)一方の電極の一部が、隣接する熱電子変換素子の反対符号の電極の一部と向き合うように設けられ、これら2つの電極の対向する面(電極面)同士を垂直に接続する素子間接続配線(電極111と電極122とを接続する素子間接続配線151、電極112と電極123とを接続する素子間接続配線152、電極113と電極124とを接続する素子間接続配線153)が設けられているところに特徴がある。
【0024】
このような構成を有する熱電子変換装置101についても、既述した場合と同様に柱131、132、133に起因する熱損失の問題があるが、本発明者らが更に検討したところ、熱源側基板160に付与される熱量の多くが柱131、132、133を介して放熱源側基板161へと逃げてしまう以外にも、素子間接続配線151、152、153を介して逃げてしまうことにより、熱電子変換に寄与する熱量がより一層少なく(熱損失が大きく)、故に熱電子変換効率がさらに大幅に悪化するという問題が起こることを見出した。以下にこのような素子間接続配線に起因する熱損失に関する問題(以下、「第2の問題」と略す場合がある)について、具体的な計算に基づいて説明する。
【0025】
例えば、電極間隔d’を4nmとし、素子間接続配線151、152、153を構成する配線材料としてAl(熱伝導率419W/mK)を用い、素子間接続配線151、152、153の縦横のサイズを1μm□(断面積1μm2)とすると、素子間接続配線1本当りの熱伝導量は0.1W/K(=熱伝導率×断面積/電極間隔d’)となる。
【0026】
ここで、熱電子変換装置101が、10001個の熱電子変換素子を10000本の素子間接続配線で直列に接続したものであり、熱源側基板160と放熱源側基板161との温度差を1℃と仮定した場合、このような熱電子変換装置の素子間接続配線に起因する熱伝導量は1000W(=素子間接続配線1本当りの熱伝導量×素子間接続配線の合計数×温度差)となる。一方、熱電子変換により電極間を流れる熱量は、7Wである。
【0027】
すなわち、図9に示すような熱電子変換装置では、熱電子変換に寄与するよりも素子間接続配線を介して流れる熱量の方が非常に大きく(熱損失が大きく)、実用に耐えないものであった。
【0028】
本発明者らは、以上に説明したような検討を行った結果、熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置の実用化に際しては、熱損失を如何に低減すべきかが極めて重要であることを認識した。また、このような検討を行う過程において、本発明者らは、図8に示す熱電子素子や図9に示す熱電子変換装置において、柱130や素子間接続配線151、152、153を経由する熱伝達の最短距離が電極間距離と等しいという構造上の特徴に着目し、熱損失を低減するために以下の本発明を想到するに到った。すなわち、本発明は、
【0029】
<1> 第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材と、を少なくとも含む熱電子変換素子において、
下式(1)を満たすことを特徴とする熱電子変換素子である。
・式(1) H1>Y
〔但し、上記式(1)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕
【0030】
<2> 下式(2)を満たすことを特徴とする<1>に記載の熱電子変換素子である。
・式(2) H1≧10×Y
〔但し、上記式(2)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。〕
【0031】
<3> 下式(3)を満たすことを特徴とする<1>または<2>に記載の熱電子変換素子である。
・式(3) H1≧100×Y
〔但し、上記式(3)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。〕
【0032】
<4> 前記第1の電極および前記第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部よりも外側または内側に位置する断面構造を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であって、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接することを特徴とする熱電子変換素子である。
【0033】
<5> 前記第1の電極および前記第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第1の端部)が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第2の端部)と重複した断面構造を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であって、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
且つ、前記第1の端部と前記第2の端部を通る仮想線の、少なくとも前記第1の端部と前記第2の端部との区間において、前記電極支持部材が、少なくとも前記仮想線の一部から前記仮想線の前記第1の電極および第2の電極が設けられた側と反対側に離れるように設けられていることを特徴とする熱電子変換素子である。
【0034】
<6> 2つ以上の熱電子変換素子を含む熱電子変換装置において、前記2つ以上の熱電子変換素子の、少なくとも1つが<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であることを特徴とする熱電子変換装置である。
【0035】
<7> 第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、を少なくとも含む熱電子変換素子を2つ以上含み、
前記2つ以上の熱電子変換素子が、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置され、
前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくとも2つの熱電子変換素子において、第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間を導通可能に接続する素子間接続配線を1つ以上含む熱電子変換装置であって、
下式(4)を満たすことを特徴とする熱電子変換装置である。
・式(4) H2>Z
〔但し、上記式(4)において、Zは、前記第1の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔、および、前記第2の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔のいずれか大きい値を表し、H2は、前記素子間接続配線を経由する前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間の最短距離を表す。〕
【0036】
<8> 下式(5)を満たすことを特徴とする<7>に記載の熱電子変換装置である。
・式(5) H2≧10×Z
〔但し、上記式(5)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。〕
【0037】
<9> 下式(6)を満たすことを特徴とする<7>または<8>に記載の熱電子変換装置である。
・式(6) H2≧100×Z
〔但し、上記式(6)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。〕
【0038】
<10> 前記熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の99%以上が、前記式(4)〜(6)のいずれか1つを満たすことを特徴とする<7>〜<9>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0039】
<11> 前記熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の99.9%以上が、前記式(4)〜(6)のいずれか1つを満たすことを特徴とする<7>〜<10>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0040】
<12> 前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子とが平面方向に隣接して配置されていることを特徴とする<7>〜<11>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0041】
<13> 前記第1の電極および前記第2の電極が、少なくとも反対の極性を有する電極と対向する電極面と、該電極面の前記反対の極性を有する電極が設けられた側の反対側に設けられた非電極面と、を含み、
前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分と、前記第2の熱電子変換素子の、前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極と反対の極性を有する電極の非電極面とが、前記素子間接続配線により導通可能に接続されたことを特徴とする<12>に記載の熱電子変換装置である。
【0042】
<14> 前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分が、電極面であることを特徴とする<13>に記載の熱電子変換装置である。
【0043】
<15> 前記熱電子変換素子が、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材を含み、
前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくともいずれか1つの熱電子変換素子が、下式(7)を満たすことを特徴とする<7>〜<14>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
・式(7) H1>Y
〔但し、上記式(7)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕
【0044】
<16> 前記第1の電極および前記第2の電極の平面方向の形状が略方形であり、前記形状の第1の主辺の長さと前記第1の主辺に直交する第2の主辺の長さとの比が10以下であることを特徴とする<7>〜<15>のいずれか1つに記載の熱電子変換装置である。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を第1の本発明と第2の本発明とに大きくわけて説明する。
【0046】
(第1の本発明)
本発明者らは、既述した第1の問題を解決するために、以下の第1の本発明を考案した。
すなわち、第1の本発明は、第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材と、を少なくとも含む熱電子変換素子において、下式(1)を満たすことを特徴とする。
・式(1) H1>Y
【0047】
但し、上記式(1)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔(より正確には対向する2つの電極の面と面との間隔を意味する。以下、「電極間隔」と略す場合がある。)を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。
【0048】
従って、第1の本発明によれば、熱損失の小さい熱電子変換素子を提供することができる。また、このような熱電子変換素子を2つ以上含む熱電子変換装置を作製した場合には、熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することができる。
【0049】
図8に示したような従来の微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置100においては、個々の熱電子変換素子の柱130等の電極支持部材を経由する対向する電極間の最短距離が、電極間距離と同一である上に、電極間距離は数ナノメーター程度の非常に短い距離であるため、熱が最短経路で対向する電極に移動することができ、これが熱損失を大きくしていた。
【0050】
しかしながら、第1の本発明では、第1の電極と第2の電極との間隔Yよりも、電極支持部材を経由する第1の電極と第2の電極との最短距離H1の方が大きく、電極間を伝達する熱が電極間隔Yよりもより長い距離を移動して一方の電極から対向する他方の電極へと移動することになるため、従来よりも熱損失を小さくすることができる。
【0051】
なお、YおよびH1の値は、上記の式(1)の関係を少なくとも満たしていればよいが、下式(2)を満たすことが好ましく、下式(3)を満たすことが更に好ましい。
・式(2) H1≧10×Y
・式(3) H1≧100×Y
但し、上記式(2)および(3)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。
YおよびH1の値が、式(2)の関係を満たさない場合には、電極支持部材を構成する材料等によっては、十分に熱損失を小さくすることが出来ない場合がある。
【0052】
また、図8に示すように熱電子変換素子を平面方向に2つ以上並列に配置した熱電子変換装置とする場合には、熱電子変換装置に含まれる全ての熱電子変換素子のうち、少なくともいずれか1つが、上記式(1)〜(3)のいずれかを満たしていればよい。
しかしながら、熱電子変換装置に、少なくとも式(1)の関係を満たさない熱電子変換素子がある程度含まれている場合には、これらの熱電子変換素子における熱損失が大きくなり、熱電子変換装置全体として熱損失を十分に小さくすることができない場合がある。このような観点からは、全ての熱電子変換素子の90%以上が上記式(1)〜(3)のいずれかを満たしていることが好ましく、全ての熱電子変換素子の99%以上が上記式(1)〜(3)のいずれかを満たしていることがより好ましい。
【0053】
なお、本発明において、第1の電極と第2の電極とは、お互いに反対の極性を有し、熱電子の授受が可能なようにそれぞれの電極の少なくとも一部分が対向するように配置されるものである。なお、これら2つの電極のいずれか一方は、熱電子を放出する所謂エミッタ電極と呼ばれるものであり、もう一方はエミッタ電極から放射された熱電子を捕捉するコレクタ電極と呼ばれるものである。
【0054】
また、本発明において、「電極支持部材」は、既述したように少なくとも対向配置された第1の電極と第2の電極とに接し、且つ、両者を絶縁するものであれば特に限定されない。電極支持部材を構成する材料は特に限定されず、1つの部材のみから構成されていてもよく、複数の部材を組み合わせて構成されたものであってもよい。また、熱伝導率をより小さくするために、電極支持部材はポーラスな構造を有するものであってもよい。
【0055】
しかしながら、電極支持部材は、少なくともその主要部あるいは全体が、熱伝導率が低い絶縁体からなることが好ましい。このような絶縁体としては、その熱伝統率が10W/m・K以下であることが好ましく、2W/m・K以下であることがより好ましく、例えば、SiO2、Si3N4、ポリイミド等を用いることができる。
【0056】
第1の本発明において、熱電子変換素子は、少なくとも式(1)の関係を満たすものであれば、その具体的な構造は特に限定されない。しかしながら、図8に示す従来の熱電子変換装置のうちの1つの熱電子変換素子に着目した場合、式(1)の関係を満たす構造は、(A)対向配置された2つの電極のいずれか一方の幅を異なる場合、および(B)対向配置された2つの電極の幅が同じ場合、の2つに大きく分類して考えることができる。なお当該幅とは、熱電子素子を厚み方向に切断した断面において、厚み方向と垂直に交わる方向を意味する。
【0057】
まず、(A)対向配置された2つの電極のいずれか一方の幅が異なる場合について説明する。
この場合、第1の本発明の熱電子変換素子は、第1の電極および第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部よりも外側または内側に位置する断面構造を有し、前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接することが好ましい。
【0058】
このような構成の具体例を図1に示す。図1は、第1の本発明の熱電子変換素子の構成の一例を示す模式断面図である。
図1中、200、201、202は熱電子変換素子、210は第1の電極、220は第2の電極、230、230’、231、231’、232、232’は柱、260および261は基板(符号260および261で示される基板のいずれか一方が熱源側、他方が放熱源側を意味する)を表す。
【0059】
なお、第1の電極210および第2の電極220の断面は、電極対向辺が長手方向である長方形であり、図1中の4辺に付された記号は、Aが第1の辺(電極対向辺)を、Bが第1の辺Aと平行な第2の辺を、CおよびC’が第1の辺Aおよび第2の辺と垂直な第3の辺を意味する。ここで、第2の辺Bおよび第3の辺C(C’)は、第1の辺(電極対向辺)Aに対して対向するように設けられた電極と反対側に位置するものである。
【0060】
図1(A)〜(C)に示す熱電子変換素子200、201、202は、図8に示す熱電子変換装置100に含まれる個々の熱電子変換素子と、基本的な構成・機能はほぼ同じである。しかしながら、熱電子変換素子200、201、202は、図8に示されている熱電子変換素子と比べて、対向する2つの電極の第1の辺(電極対向辺)の長さが異なる点に特徴がある。
このため、対向する2つの電極210および220の間の電極支持部材を経由する最短距離は、電極間隔よりも大きくなる。
【0061】
例えば、図1(A)に示す熱電子変換素子200では、電極支持部材である柱230(230’)が、第1の電極210の第3の辺C(C’)および第2の電極220の第3の辺C(C’)に接している点では、図8に示す熱電子変換素子と同様である。
【0062】
しかし、図8に示す熱電子変換素子では、電極支持部材である柱130を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔であるのに対し、熱電子変換素子200では、電極支持部材である柱230(230’)を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔(以下、「距離A」と略す)に、第1の電極210の第1の辺(電極対向辺)A及び第3の辺C(C’)の交点と、第2の電極220の第1の辺(電極対向辺)A及び第3の辺C(C’)の交点との第1の辺(電極対向辺)Aに平行な方向の距離(以下、「距離B」と略す)を加えたものである。
【0063】
なお、説明の都合上、図1では距離Bよりも距離Aの方が長く見えるが、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、実際には、電極間隔である距離Aはナノメーターオーダーであるのに対し、第1の辺(電極対向辺)Aに平行な方向(すなわち、熱電子変換素子の縦横のサイズ方向)の距離である距離Bは熱電子変換素子のサイズや対向する各々の電極のサイズ等にもよるものの概ね数十ナノメーターからミクロンオーダー程度となる。
【0064】
これは、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、図1(A)に示すような構成とすることにより、電極支持部材である柱230(230’)を経由する2つの電極間の最短距離は、電極間隔よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさを確保することができることを意味する。
【0065】
したがって、電極間の電極支持部材を経由する熱の移動距離は、従来の熱電子変換素子よりも大きく、特に微小ギャップタイプの熱電子変換素子では、素子のサイズ等にもよるが、一般的には従来の熱電子変換素子よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさとすることができる。
【0066】
なお、図1(B)に示す熱電子変換素子201や、図1(C)に示す熱電子変換素子202は、電極間の電極支持部材を経由する熱の最短移動距離を、図1(A)に示す熱電子変換素子200に対して、更に第3の辺C(C’)と平行な方向に延長した構成を有するものである。
【0067】
具体的には熱電子変換素子200の柱230(230’)の第2の電極220の第3の辺C(C’)に接する部分を、第2の電極220の第1の辺(電極対向辺)A側から基板261側へと溝を設けるように一部を除去したものが熱電子変換素子201であり、熱電子変換素子200の柱230(230’)の第2の電極220の第3の辺C(C’)に接する部分を、第2の電極の第1の辺(電極対向辺)A側から基板261側へと溝を設けるように全て除去したものが熱電子変換素子202である。なお、熱電子変換素子202においては、柱230(230’)および基板261からなる2種類の部材が電極支持部材として機能する。
【0068】
なお、図1に示すような熱電子変換素子においては、対向する2つの電極のうちのいずれか一方の幅(図1に示す第1の辺(電極対向辺)A方向の長さ)を小さくすることが前提となるために、距離Bが長くなればなるほど熱電子変換に寄与する電極面積が小さくなり、熱電子変換素子1つ当りの熱電子変換効率が低下するという問題が起こる場合がある。
【0069】
従って、第1の本発明の熱電子変換素子が、図1に例示したような対向する2つの電極のうちのいずれか一方の幅が小さい熱電子変換素子である場合には、電極支持部材を経由する第1の電極と第2の電極との最短距離H1は、第1の電極と第2の電極との間隔Yの10000倍以下であることが好ましい。
【0070】
このように、図1に例示したような対向する2つの電極のうちのいずれか一方の幅が小さい熱電子変換素子では、H1/Y比が大きすぎる場合には電極面積に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合があり、H1/Y比が小さすぎる場合には既述したように熱損失に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合がある。
【0071】
図2は、このような関係について示したグラフである。図2中、横軸はH1/Y比、縦軸は熱電子変換効率を示し、いずれも相対スケールである。H1/Y比の増加に伴い熱電子変換効率は増加し、極大点Mを経て減少に転ずる。ここで、極大点Mよりも左側の熱電子変換効率の落ち込みは主に熱損失に起因するものであり、極大点Mよりも右側の熱電子変換効率の落ち込みは主に片方の電極面積の減少に起因するものである。
このため、実用上は、熱電子変換効率が極大となるように、Yの値に対してH1の値を設定することが好ましい。
【0072】
なお、図2に示したグラフは、一例であり、グラフのプロファイルは図1に例示したような一方の電極の面積が他方よりも小さい熱電子変換素子の構造によって異なるものの、基本的には極大点Mを有する凸型のプロファイルである。
【0073】
次に、(B)対向配置された2つの電極の幅を同じ場合について説明する。
この場合、第1の本発明の熱電子変換素子は、第1の電極および第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第1の端部)が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第2の端部)と重複した断面構造を有し、前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、且つ、前記第1の端部と前記第2の端部を通る仮想線の、少なくとも前記第1の端部と前記第2の端部との区間において、前記電極支持部材が、少なくとも前記仮想線の一部から前記仮想線の前記第1の電極および第2の電極が設けられた側と反対側に離れるように設けられていることが好ましい。
【0074】
このような構成の具体例を図3に示す。図3は、第1の本発明の熱電子変換素子の他の構成例を示す模式断面図である。
図3中、300、301は熱電子変換素子、310は第1の電極、320は第2の電極、330、330’、331、331’は柱、360および361は基板(符号360および361で示される基板のいずれか一方が熱源側、他方が放熱源側を意味する)を表し、第1の電極310および第2の電極320の4辺に付された記号は、Aが第1の辺(電極対向辺)を、Bが第2の辺を、CおよびC’が第3の辺を意味し、D1(D1’)が第1の電極310の第1の辺(電極対向辺)Aの端部(第1の端部)、D2(D2’)が第2の電極320の第1の辺(電極対向辺)Aの端部(第2の端部)を表す。なお、図3に示す対向する2つの電極の断面形状は図1に説明した場合と同様である。
【0075】
図3(A)〜(B)に示す熱電子変換素子300、301は、図8に示す熱電子変換装置100に含まれる個々の熱電子変換素子と、基本的な構成・機能はほぼ同じである。しかしながら、熱電子変換素子300、301は、図8に示されている熱電子変換素子と比べて、第1の端部D1(D1’)と第2の端部D2(D2’)を通る仮想線の、少なくとも第1の端部D1(D1’)と第2の端部D2(D2’)との区間において、電極支持部材330や331(あるいは330’や331’)が少なくとも仮想線の一部から一定の距離を置いて対向する2つの電極から離れるように設けられている点に特徴がある。
このため、対向する2つの電極310および320の間の電極支持部材を経由する最短距離は、電極間隔よりも大きくなる。。
【0076】
例えば、図3(A)に示す熱電子変換素子300では、電極支持部材である柱330(330’)が、第1の電極310の第3の辺C(C’)および第2の電極320の第3の辺C(C’)に接している点では、図8に示す熱電子変換素子と同様である。
【0077】
しかし、図8に示す熱電子変換素子では、電極支持部材である柱330を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔であるのに対し、熱電子変換素子300では、電極支持部材である柱330(330’)を経由する2つの電極間の最短距離が、電極間隔(距離A)に、第1の端部D1(D1’)と第2の端部D2(D2’)を通る仮想線から、2つの電極で囲まれた空間を熱電子変換素子300の平面方向に延長するように柱330(330’)に設けられた凹溝の底辺までの第1の辺(電極対向辺)Aに平行な距離を2倍した長さ(以下、「距離C」)と略す)を加えたものである。
【0078】
なお、説明の都合上、図3では距離Cと距離Aとはほぼ同じ長さに見えるが、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、実際には、電極間隔である距離Aはナノメーターオーダーであるのに対し、第1の辺(電極対向辺)Aに平行な方向(すなわち、熱電子変換素子の縦横のサイズ方向)の距離である距離Cは熱電子変換素子のサイズや対向する各々の電極のサイズ等にもよるもののサブミクロンからミクロンオーダー程度となる。
【0079】
これは、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、図3(A)に示すような構成とすることにより、電極支持部材である柱330(330’)を経由する2つの電極間の最短距離は、電極間隔よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさを確保することができることを意味する。
【0080】
したがって、電極間の電極支持部材を経由する熱の移動距離は、従来の熱電子変換素子よりも大きく、特に微小ギャップタイプの熱電子変換素子では、素子のサイズ等にもよるが、一般的には従来の熱電子変換素子よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさとすることができるため、熱損失を小さくすることができる。
【0081】
なお、図3(B)に示す熱電子変換素子301は、電極間の電極支持部材を経由する熱の最短移動距離を、図3(A)に示す熱電子変換素子300に対して、更に第3の辺C(C’)と平行な方向に延長した構成を有するものである。具体的には熱電子変換素子300の柱330(330’)の第1の電極310(および第2の電極320)の第3の辺C(C’)に接する部分を、第1の電極310(および第2の電極320)の第1の辺(電極対向辺)A側から基板360(および基板361)側へと溝を設けるように一部を除去したものが熱電子変換素子301である。
また、このような第3の辺C方向に沿った溝構造は、いずれか一方の電極のみに設けただけでもよいし、基板360や基板361まで達するように設けられたものであってもよい。
【0082】
以上の図1および3に説明した熱電子変換素子は、公知の技術を利用することにより作製できるが、熱電子変換素子の作製の容易さの観点からは、図1(A)に示す熱電子変換素子200や、図3(A)に示す熱電子変換素子300が好ましい。
また、図1および図3に例示したような構造は、微小ギャップタイプの熱電子変換素子に好適であるが、勿論、ミリオーダー程度の電極間隔を有する従来の熱電子変換素子にも適用することができる。
【0083】
また、図1および3に例示したような構造を持つ熱電子変換素子は、LSI等の半導体デバイスの作製に用いられる成膜、フォトリソグラフィー、エッチング等の公知の製造技術を利用して作製できる。
以下に、具体例として図1(A)に示す熱電子変換素子200に類似した構造を持つ熱電子変換素子の製造過程について説明するが、第1の本発明の熱電子変換素子の製造方法は、以下に説明する例のみに限定されるものではない。
【0084】
図4は、第1の本発明の熱電子変換素子の作製工程の一例について示す模式断面図である。図4中、400は、(完成した)熱電子変換素子、410は熱源あるいは放熱源を兼ねる基板、420は第1の電極、430は犠牲層、431はエッチングホール、441、442、442’は絶縁層(電極間支持部材)、443、444はエッチングホール、450は(第2の電極の一部として機能する)金属層、450’は第2の電極を表す。
【0085】
熱電子変換素子の作製に際しては、図4(A)に示すように、熱源あるいは放熱源を兼ねる基板410を用意し、この基板410の片面に図4(B)および(C)に示すように第1の電極420として金属を蒸着し、さらにこの第1の電極420上に犠牲層430を成膜する。この際、犠牲層430の厚みは、最終的に作製される熱電子変換素子の対向配置される2つの電極間の距離と一致するようにその厚みが調整され、例えば、厚みを4nmとすることができる。
【0086】
また、犠牲層430を成膜した後、電極間支持部材として機能する絶縁層を、対向配置される2つの電極間に接して設けることができるように、犠牲層430をパターニングすることによって、犠牲層430の一部に、エッチングホール431を第1の電極420に達する深さまで形成する。
【0087】
次に、図4(D)に示すように、エッチングホール431を埋め込み、犠牲層430全体を覆うようにシリコン酸化物等の絶縁層を成膜し、この絶縁層をパターニングすることによって、絶縁層をエッチングホール443により絶縁層441および絶縁層442に分断するようにエッチングホール443を犠牲層430に達する深さまで形成する。
この際、エッチングホール443は、基板410の平面方向に対して、元々エッチングホール431が存在した部分とずれた位置に設けられる。このため、絶縁層441は、この絶縁層441のエッチングホール443側の部分が犠牲層430を覆うようにして設けられる形になる。
【0088】
その後、図4(E)に示すように、エッチングホール443を、金属を蒸着することによって埋め込み、金属層450を形成し、更に、図4(F)に示すように絶縁層442を、金属層450と絶縁層442との界面から少し離れた位置に、エッチングホール444を犠牲層430に達する深さまで形成する。
【0089】
次に、図4(G)に示すようにエッチングホール444を介して、犠牲層430をサイドエッチングすることにより除去し、その後、図4(H)に示すようにエッチングホール444を、絶縁物、例えばシリコン酸化物等を成膜することにより、エッチングホール444の近傍の犠牲層430が存在した部分も含めて埋め込む。
最後に、図4(I)に示すように絶縁層(電極支持部材)441、442’および金属層450の成す平面上に金属を蒸着して第2の電極450’を形成し、熱電子変換素子400を得ることができる。
【0090】
以上に説明したような第1の本発明の熱電子変換素子、あるいは、これを用いた熱電子変換装置は、発電や冷却に利用することができる。また、第1の本発明の熱電子変換素子は、対向する電極間の間隔が数nm程度の微小ギャップタイプの熱電子変換素子や、ミリオーダー程度の従来の熱電子変換素子のいずれであってもよいが、熱損失を抑制する効果が大きい電極間隔が1nm〜10nm程度の微小ギャップタイプの熱電子変換素子であることが好ましい。
【0091】
(第2の本発明)
本発明者らは、既述した第2の問題を解決するために、以下の第2の本発明を考案した。
すなわち、第2の本発明は、第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、を少なくとも含む熱電子変換素子を2つ以上含み、前記2つ以上の熱電子変換素子が、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置され、前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくとも2つの熱電子変換素子において、第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間を導通可能に接続する素子間接続配線を1つ以上含む熱電子変換装置であって、下式(4)を満たすことを特徴とする。
・式(4) H2>Z
【0092】
但し、上記式(4)において、Zは、前記第1の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔、および、前記第2の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔のいずれか大きい値を表し、H2は、前記素子間接続配線を経由する前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間の最短距離を表す。
【0093】
従って、第2の本発明によれば、熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することができる。
【0094】
図9に示したような微小ギャップタイプの熱電子変換素子を用いた熱電子変換装置101においては、隣接する熱電子変換素子の異なる極性の電極間を接続する素子間接続配線151、152、153を経由する最短距離が、対向配置された2つの電極間の距離と同一である上に、電極間距離は数ナノメーター程度の非常に短い距離であるため、熱が最短経路で隣接する熱電子変換素子の反対極性を有する電極に移動することができ、これが熱損失を大きくしていた。
【0095】
しかしながら、第2の本発明では、第1の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔、および、第2の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔のいずれか大きい値であるZ値よりも、素子間接続配線を経由する第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間の最短距離H2の方が大きい。
【0096】
このため、素子間配線を介して熱電子変換素子間を伝達する熱が、対向配置された2つの電極の間隔Z(素子間配線を介して接続された2つの熱電子変換素子の対向配置された2つの電極の間隔が異なる場合には、いずれか大きい方の値)よりもより長い距離を移動して素子間配線で接続された一方の電極から対向する他方の電極へと移動することになるため、従来よりも熱損失を小さくすることができる。
【0097】
なお、ZおよびH2の値は、上記の式(4)の関係を少なくとも満たしていればよいが、下式(5)を満たすことが好ましく、下式(6)を満たすことが更に好ましい。
・式(5) H2≧10×Z
・式(6) H2≧100×Z
但し、上記式(5)および(6)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。
ZおよびH2の値が、式(5)の関係を満たさない場合には、素子間配線を構成する材料等によっては、十分に熱損失を小さくすることが出来ない場合がある。
【0098】
なお、熱損失抑制の観点からは、H2の値は大きければ大きい程好ましいが、大きすぎる場合には素子間接続配線の電気抵抗に起因する抵抗損失が大きくなるため、結果として、発電効率に関係する熱電子変換効率の低下を招いてしまう場合がある。このような観点からは、H2の値はYの値の10000倍以下であることが好ましい。
【0099】
このようにH2/Z比が大きすぎる場合には抵抗損失に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合があり、H2/Z比が小さすぎる場合には既述したように熱損失に起因する熱電子変換効率の低下が起こる場合がある。
図5は、このような関係について示したグラフである。図5中、横軸はH2/Z比、縦軸は熱電子変換効率を示し、いずれも相対スケールである。H2/Z比の増加に伴い熱電子変換効率は増加し、極大点Mを経て減少に転ずる。ここで、極大点Mよりも左側の熱電子変換効率の落ち込みは主に熱損失に起因するものであり、極大点Mよりも右側の熱電子変換効率の落ち込みは主に抵抗損失に起因するものである。
このため、実用上は、熱電子変換効率が極大となるように、Zの値に対してH2の値を設定することが好ましい。
【0100】
なお、図5に示したグラフのプロファイルは一例であり、素子間接続配線で直列に接続された部分の構造材料等によって異なるものの、基本的には極大点Mを有する凸型のプロファイルである。
【0101】
また、第2の本発明の熱電子変換装置は、この熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の少なくともいずれか1つが上記式(4)〜(6)のいずれかを満たしていればよい。
しかしながら、熱電子変換装置に、少なくとも式(4)の関係を満たさない素子間接続配線がある程度含まれている場合には、これらの素子間接続配線に起因した熱損失が大きくなり、熱電子変換装置全体として熱損失を十分に小さくすることができない場合がある。このような観点からは、熱電子変換装置に含まれる全ての素子接続配線の99%以上が上記式(4)〜(6)のいずれかを満たしていることが好ましく、99.9%以上が上記式(4)〜(6)のいずれかを満たしていることがより好ましい。
【0102】
なお、第2の本発明において、熱電子変換装置に含まれる熱電子変換素子は、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置される。
但し、第2の本発明において「平面方向に配置する」とは、少なくとも各々の熱電子変換素子の電極面(但し、当該電極面とは、熱電子の授受に関与する面を意味し、図9に示す熱電子変換装置のように素子間接続配線の起点となる部分のように、熱電子の授受に関与しない面を含まない)が平面方向に重ならないように配置されることを意味する。また、垂直方向に対しては、各々の熱電子変換素子の同符号の電極の位置が揃うように配置されていてもよいし、ズレて配置されていてもよいが、実用上は、電極厚みや電極間の間隔等、少なくとも厚み方向の寸法構成が同じ熱電子変換素子を、同符号の電極の位置が揃うように配置されることが好ましい。
【0103】
また、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置されるのであれば、式(4)を満たすように素子間接続配線で接続される2つの熱電子変換素子は、必ずしも隣接していなくてもよい。例えば、平面方向にある程度の間隔を置いて2つの熱電子変換素子を配置し、これらを素子間接続配線で接続した場合は、特に熱電子変換素子が微小ギャップタイプである場合には、上記の式(4)はもとより式(5)や式(6)も容易に満たすことができる。
【0104】
このように平面方向に間隔を置いて、素子接続配線で接続される2つの熱電子変換素子を配置する場合、容易に素子接続配線部に起因する熱損失を抑制して高い熱電子変換効率を得ることができる。しかし、熱電子変換装置全体としては、熱電子変換に寄与する実効面積(熱電子変換装置の単位面積当りに配置される熱電子変換素子の集積密度)が小さくなり、発電を行う場合には、熱電子変換装置が大型化したり、あるいは、十分な電圧を確保できなくなる場合がある。
【0105】
このような観点からは、少なくとも素子間接続配線で直列に接続される2つの熱電子変換素子は、平面方向に隣接して配置されていることが好ましい。また、実効面積を確保する上では、熱電子変換装置に含まれる全ての熱電子変換素子(例えば、直列以外に並列で接続された熱電子変換素子等を含む)が、隣接して配置されていることが好ましい。
【0106】
なお、当該隣接とは、熱電子変換素子の平面方向の最大長さに対して、素子間接続配線で接続された2つの熱電子変換素子端部間の平面方向の最短距離が十分に小さい場合を意味する。
【0107】
なお、各々の熱電子変換素子を隣接して平面方向に配置する場合、その配列は特に限定されないが、実効面積を大きくするためには、平面方向に同一の形状・サイズの熱電子変換素子を桝目配列や千鳥配列等、公知の2次元的配列により規則的に配置することが好ましい。また、熱電子変換素子の平面方向の形状は特に限定されないが、規則的な配列に適した単純な形状であることが好ましく、さらに、実効面積を大きくできる観点からは正方形や長方形であることがより好ましい。
【0108】
また、素子間接続配線で接続される2つの熱電子変換素子が平面方向に隣接して配置されておらず、両者の間隔が大きく離れている場合には、平面方向の素子間接続配線の距離が長くなり過ぎてしまい素子間接続配線の内部抵抗が大きくなってしまう場合がある。しかしながら、素子間接続配線で接続される2つの熱電子変換素子を平面方向に隣接して配置した場合には、素子間接続配線の距離を短くすることができるためこのような問題も容易に解決することができる。
【0109】
また、第2の本発明に用いられる素子間接続配線は、少なくとも導電性を有する材料から構成されるものであれば特に限定されないが、導電性を有すると共に、低い熱伝導性を有する材料であることが好ましい。このような導電性材料としては、比抵抗が5×10−4Ω・cm以下であることが好ましく、5×10−5Ω・cm以下であることがより好ましく、また、熱伝導率が1000W/mK以下であることが好ましく、100W/mK以下であることがより好ましい。
【0110】
素子間接続配線を構成する材料としては公知の導電性材料を用いることができ、例えば、Al(比抵抗:2.70×10−6Ω・cm、熱伝導率:419W/mK)、Cu(比抵抗:1.70×10−6Ω・cm、熱伝導率:392W/mK)、Ti(比抵抗:5.50×10−5Ω・cm、熱伝導率:17.2W/mK)、コバール<FeNiCo>(比抵抗:4.90×10−6Ω・cm、熱伝導率:17W/mK)等を用いることができる。
【0111】
第2の本発明において、熱電子変換装置に含まれる少なくとも1つの素子接続配線が、少なくとも式(4)の関係を満たすものであれば、熱電子変換装置の具体的な構造は特に限定されないが、具体的には以下のような構成を有することが好ましい。
すなわち、第1の電極および第2の電極が、少なくとも反対の極性を有する電極と対向する電極面と、該電極面の前記反対の極性を有する電極が設けられた側の反対側に設けられた非電極面とを含み、第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分と、第2の熱電子変換素子の、前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極と反対の極性を有する電極の非電極面とが、素子間接続配線により導通可能に接続されていることが好ましい。
【0112】
また、当該いずれかの部分は特に限定されないが、電極面であってもよい。但し、当該電極面とは、この面が素子間接続配線に覆われていない場合において、熱電子の授受に関与することが可能な面か否かを問わず、熱電子の授受に関与することが可能な面と垂直方向に同じ高さに位置する面も含むことを意味する。
このような構成は、素子間接続配線を介して接続される2つの熱電子変換素子の平面方向の間隔が小さい場合に、素子間接続配線の距離を大きくすることが容易であるため、熱損失を小さくするために有効である。
【0113】
以下にこのような構成の具体例を図面を用いて説明するが、第2の本発明の熱電子変換装置は、以下に説明する例のみに限定されるものではない。
図6は、第2の本発明の熱電子変換装置の一例を示す模式断面図であり、具体的には、熱電子変換装置の素子間接続配線周辺の部分の模式断面図について示したものである。
【0114】
図6において、500は熱電子変換装置、511は第1の熱電子変換素子の第1の電極、512は第2の熱電子変換素子の第1の電極、521は第1の熱電子変換素子の第2の電極、522は第2の熱電子変換素子の第2の電極、531は絶縁層(電極間支持部材)、551は素子間接続配線、552は素子間接続配線(第1の配線部分)、553は素子間接続配線(第2の配線部分)、554は素子間接続配線(第3の配線部分)、560はヒートシンク等の放熱源側基板、561は熱源側、571、572は熱源側熱伝導物質、591は第1の電極511および第2の電極521の間に設けられた空間、592は第1の電極512および第2の電極522の間に設けられた空間を意味する。
【0115】
ここで、図6に示す熱電子変換装置600は、以下に説明するような構成を有するものである。まず、基板560上に第1の電極側に接するように、第1の電極511および第2の電極521を含む第1の熱電子変換素子と、第1の電極512および第2の電極522を含む第2の熱電子変換素子とが設けられている。なお、基板560を介した第1の熱電子変換素子の第1の電極511と第2の熱電子変換素子の第1の電極512との電気的短絡を防ぐために、基板560の第1の電極511、512が設けられた側の面には絶縁層(不図示)が設けられている。
【0116】
また、第1の熱電子変換素子において、第1の電極511の平面方向の長さは、第2の電極521の平面方向の長さよりも大きく、第2の電極521の両端部が第1の電極511の(平面方向の)両端部よりも内側に位置するように設けられている(但し、図6中において片方の端部側は不図示)。また、第1の電極511および第2の電極521の間に設けられた空間591の(平面方向の)両端部は、第1の電極511の両端部と、第2の電極の両端部との間に位置するように設けられている。これらの関係は第2の熱電子変換素子についても同様である。
【0117】
さらに、基板560上には、第1の熱電子変換素子および第2の熱電子変換素子を絶縁し、且つ、それぞれの熱電子変換素子の対向配置された2つの電極を絶縁するように絶縁層(電極支持部材)531が設けられており、第1の熱電子変換素子および第2の熱電子変換素子は、絶縁層531により完全に覆われている。
なお、第1の熱電子変換素子の第2の電極521と熱源側561との間には、熱源側561から熱が第2の電極521に効率的に伝達できるように、第2の電極521の熱源側561の面と接し絶縁層531を垂直方向に貫通するように熱源側熱伝導物質571が設けられ、第2の熱電子変換素子の第2の電極522と熱源側561との間には、熱源側561から熱が第2の電極522に効率的に伝達できるように、第2の電極522の熱源側561の面と接し絶縁層531を垂直方向に貫通するように熱源側熱伝導物質572が設けられている。
【0118】
また、絶縁層531、熱源側熱伝導物質571、572の熱源側561の面は、基板560と平行に設けられている。なお、熱源側熱伝導物質571、熱源側561、熱源側熱伝導物質572を介して第1の熱電子変換素子の第2の電極521と、第2の熱電子変換素子の第2の電極522との間の電気的短絡を防ぐために、第2の電極521(522)および熱源側熱伝導物質571(572)の界面には絶縁層(不図示)が設けられている。
【0119】
ここで、素子間接続配線551は、第1の熱電子変換素子の第1の電極511の電極面(当該電極面とは、第1の電極511の第2の熱電子変換素子側の端部と、空間591の第2の熱電子変換素子側の端部との間の領域の電極面を意味する)と、第2の熱電子変換素子の第2の電極522の非電極面とを接点として、第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子とを直列に接続している。
【0120】
素子間接続配線551は、大きく分けると3つの直線状の配線からなり、具体的には、第1の熱電子変換素子の第1の電極511の電極面から熱源側561へと、垂直方向に絶縁層531内を通り、熱源側561に到達しないように設けられた第1の配線部分552と、第1の配線部分552から、基板560が成す面と平行に絶縁層531内を通って、第2の熱電子変換素子の第2の電極522の非電極面上に達するように設けられた第2の配線部分553と、第2の配線部分553と、第2の熱電子変換素子の第2の電極522の非電極面とを、絶縁層531内を垂直方向に貫通するように設けられた第3の配線部分554と、から構成される。
【0121】
図6に示す熱電子変換装置500の構成は、基本的には図9に示す熱電子変換装置101と類似したものであるが、熱電子変換装置101と比べて2つの熱電子変換素子間を直列に接続するために設けられる素子接続配線の構成が大きく異なっている点に特徴がある。
【0122】
すなわち、熱電子変換装置101においては、既述したように素子間接続配線の距離は電極間隔と同じであるが、熱電子変換装置500では、空間591の厚み方向に平行な素子間接続配線551の第1の配線部552が既に電極間隔よりも大きく、さらに、この第1の配線部552の長さに加えて、第2の配線部553および第3の配線部554の長さが加算されたものである。
【0123】
なお、図6に示す熱電子変換装置500が、微小ギャップタイプの熱電子変換素子である場合には、電極間隔(空間591、592の垂直方向の長さ)はナノメーターオーダーであるのに対し、これら以外の部材のスケール(垂直方向および平面方向)は熱電子変換素子のサイズや対向する各々の電極のサイズ等にもよるものの概ね数十ナノメーターからミクロンオーダー程度となる。
【0124】
これは、微小ギャップタイプの熱電子変換素子においては、図6に示すような構成とすることにより、素子間接続配線を経由する2つの電極間の最短距離は、電極間隔よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさを確保することができることを意味する。
【0125】
したがって、素子間接続配線を経由する2つの電極間の熱の移動距離は、図9に示したような従来技術の延長線上で容易に想到される熱電子変換素子よりも大きく、特に微小ギャップタイプの熱電子変換素子では、素子のサイズ等にもよるが、一般的には図9に示したような熱電子変換素子よりも概ね101倍〜103倍オーダー程度の大きさとすることができるため、熱損失を小さくすることができる。
【0126】
なお、既述したような素子間接続配線の長さによる熱損失と抵抗損失とのトレードオフ関係(熱電子発電効率)の最適化は、熱電子変換素子500の作製に際して、主に第2の配線部分553の長さ、また必要であれば補助的に第1の配線部分552や第3の配線部分554の長さも調整することにより容易に行うことができる。
【0127】
以上、図6に例示したような構造を持つ熱電子変換素子500は、LSI等の半導体デバイスの作製に用いられる成膜、フォトリソグラフィー、エッチング等の公知の製造技術を利用して作製できる。
以下に、具体例として図6に示す熱電子変換装置500の製造過程について説明するが、第2の本発明の熱電子変換装置の製造方法は、以下に説明する例のみに限定されるものではない。
【0128】
図7は、図6に示す熱電子変換装置500の作製工程の一例について示す模式断面図である。図7中、図6に示す符号と同一の番号を付した部材は、図6に示すものと同様の部材であり、また、593、594は犠牲層、555、556はコンタクトホール、557は(犠牲層エッチング用の)エッチングホール、558、559は(熱的コンタクトのための)エッチングホールを表す。
【0129】
まず、表面が絶縁層(不図示)で覆われた放熱源側基板560上にスパッタリング法等により金属膜を形成する。次に、この金属膜上にレジストを形成し、フォトリソグラフィ法によりレジストパターンを形成した後、このレジストパターンに沿ってRIE(Reactive Ion Ethcing)等の方法により金属層をエッチングして、基板560上に第1の熱電子変換素子の第1の電極511と第2の熱電子変換素子の第1の電極512とを形成し、最後にこれら2つの電極上に残ったレジストを除去する(図7(A))。
【0130】
次に、上記と同様にして成膜、パターニング、エッチング等を行うことにより、図7(B)に示すように、第1の電極511(512)上に犠牲層593(594)を形成する。なお、犠牲層593(594)は、その端部が、第1の電極511(512)の端部よりも内側に位置するように形成される。
【0131】
さらに、第2の電極521(522)を、上記と同様にして成膜・パターニング等を行うことにより、図7(C)に示すように、犠牲層593(594)の上に形成する。なお、第2の電極521(522)は、その端部が、犠牲層593(594)の端部よりも内側に位置するように形成される。
【0132】
その後、基板560上を、第1の熱電子変換素子および第2の熱電子変換素子も覆うように絶縁層531’を成膜し、更に、図7(D)に示すようにコンタクトホール555、556およびエッチングホール557等を形成するために、絶縁膜531’を上記と同様にパターニング、エッチング等を行う。
【0133】
なお、コンタクトホール555は、素子間接続配線(第1の配線部部分)552を形成するために設けられるもので、第1の電極511の犠牲層593で覆われていない電極面から、絶縁層531’を垂直方向に貫通するように設けられるものであり、コンタクトホール556は、素子間接続配線(第3の配線部分)554を形成するために設けられるもので、第2の電極522の非電極面から絶縁層531’を垂直方向に貫通するように設けられるものである。
【0134】
また、エッチングホール557は、犠牲層594をエッチングして除去するために設けられるもので、第2の熱電子変換素子の第1の熱電子変換素子が設けられた側と反対側の、第2の電極522で覆われていない犠牲層594の第2の電極522側の面から、絶縁層531’を略垂直方向に貫通するように設けられるものである。なお、エッチングホール557の形成と同時に、犠牲層593をエッチングして除去するためのエッチングホール(不図示)も形成される。
【0135】
次に、図7(E)に示すように、エッチングホール(不図示)を介して犠牲層593を選択的にエッチングして除去することにより空間591を形成し、エッチングホール557を介して犠牲層594を選択的にエッチングして除去することにより空間592を形成する。
【0136】
さらに、図7(F)に示すように、エッチングホール(不図示)と繋がっている空間591およびエッチングホール557と繋がっている空間592を真空封止するために、絶縁層531’を覆い、また、エッチングホール(不図示)およびエッチングホール557を埋め込むために絶縁層531”を形成する。
【0137】
さらに、図7(G)に示すようにコンタクトホール555、556を金属を成膜することにより埋め込んで、素子間接続配線(第1の配線部分)552および素子間接続配線(第3の配線部分)554を形成すると共に、パターニングおよびエッチングを利用して、両者を接続する素子間接続配線(第2の配線部分)552を形成する。
【0138】
次に、絶縁層531”上に沿って設けられた素子間接続配線(第2の配線部分)553も覆うように、絶縁層531”上に絶縁層531’’’を成膜し、さらに図7(H)に示すように熱源側熱伝導物質571、572を設けるためのエッチングホール558、559を、絶縁層531’’’、531”、531’を垂直に貫通し、第2の電極521、522にほぼ到達する深さまで上記と同様にパターニングを行なう。但し、このパターニング時のエッチングは、第2の電極521、522の熱源側561表面に薄い絶縁層(不図示)が残留するように行なう。
【0139】
最後に、図7(I)に示すようにエッチングホール558、559を金属で埋めこんで熱源側熱伝導物質571、572を形成することにより熱電子変換装置500が作製される。
【0140】
以上に説明したような第2の本発明の熱電子変換装置は、発電に利用することができる。また、第2の本発明の熱電子変換装置は、対向する電極間の間隔が1nm〜10nm程度の微小ギャップタイプの熱電子変換素子や、対向する電極間の間隔がミリメートルオーダーの従来の熱電子変換素子のいずれであってもよい。
しかしながら、後者の場合は、図9に示すように熱電子変換素子同士を素子間接続配線で接続しても、素子間接続配線を経由する電極間の最短距離がミリメートルオーダー程度と熱損失を抑制するに十分な距離であるため、実用上は微小ギャップタイプの熱電子変換素子であることが特に好ましい。
【0141】
また、第2の本発明の熱電子変換装置は、その構成部材として、個々の熱電子変換素子が、少なくとも対向配置された相互に極性の異なる電極を有し、他の熱電子変換素子と電気的に接続するための素子間接続配線を有するものであれば特に限定されないが、これら2つの電極に接し且つ両者を絶縁する電極支持部材が設けられていることが好ましい。
【0142】
この場合、電極支持部材が、既述した式(1)を少なくとも満たしていることが好ましく、また、電極支持部材も含む熱電子変換素子の構成は、第2の本発明の特徴に加えて、少なくとも式(1)も満たすものであれば特に限定されないが、既述した第1の本発明の特徴を兼ね備えていることが好ましい。具体例を挙げれば、このような熱電子装置は、図6に示したような素子間接続配線の構造と、既述した図1や図3に示したような電極間支持部材の構造とを兼ね備えたものであってもよい。このような構成を有する熱電子変換装置は、素子間接続配線および電極支持部材の両方に起因する熱損失の両方を抑制することができる。
【0143】
なお、熱電子変換素子の第1の電極および第2の電極の平面方向の形状は特に限定されないが、略方形であることが好ましい。この場合の方形形状の第1の主辺の長さと、第1の主辺に直交する第2の主辺の長さとの比(第1の主辺/第2の主辺、あるいは、第2の主辺/第1の主辺)が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
このように、第1の主辺の長さと第2の主辺の長さとの比を小さくすることにより、電極の内部抵抗を小さくすることができる。これは、電極平面方向の電流の流れは、電極の素子間接続配線と接触する部分を起点とするため、電極平面のいずれの点もこの起点部分に近い方が、電極の内部抵抗を小さくすることができるためである。
【0144】
但し、電極の形状が略方形であるとは、4つの直線からなる正方形、長方形、あるいは、平行四辺形は勿論、これらの方形の輪郭を成す4つの辺の一部が欠けていたり出っ張っていたりする変則的な形状の方形ものも含む。
なお、第1の主辺およびこれに直交する第2の主辺は、正方形や長方形の場合には、これらの方形の輪郭を形成する4つの辺のうちの直交する2つの辺をそれぞれ意味するが、平行四辺形の場合には、いずれか一方の主辺(例えば、第1の主辺)が、平行四辺形の輪郭を形成する4つの辺の内のいずれか1つの辺を意味し、もう一方の主辺(第2の主辺)が第1の主辺と直交し、この第1の主辺および第1の主辺と対向する辺の間に位置する垂線であることを意味する。
また、変則的な形状の場合は、欠けや出っ張りのある部分を無視して、4つの直線からなる純粋な正方形、長方形、あるいは、平行四辺形とみなして上記と同様に第1の主辺および第2の主辺を定める。
【0145】
【発明の効果】
以上に説明したように、第1の本発明によれば、熱損失の小さい熱電子変換素子およびこれを用いた熱電子変換装置を提供することができる。また、第2の本発明によれば熱損失の小さい熱電子変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の本発明の熱電子変換素子の一例を示す模式断面図である。
【図2】H1/Y比と熱電子変換効率との関係の一例を示すグラフである。
【図3】第1の本発明の熱電子変換素子の他の例を示す模式断面図である。
【図4】第1の本発明の熱電子変換素子の作製工程の一例について示す模式断面図である。
【図5】H2/Z比と熱電子変換効率との関係の一例を示すグラフである。
【図6】第2の本発明の熱電子変換装置の一例を示す模式断面図である。
【図7】図6に示す熱電子変換装置500の作製工程の一例について示す模式断面図である。
【図8】従来の微小ギャップタイプの熱電子変換装置の一例を示す模式断面図である。
【図9】図8に示す微小ギャップタイプの熱電子変換装置において、個々の熱電子変換素子を直列に接続した場合の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
100、101 熱電子変換装置
110、111、112、113、114 エミッタ電極
120、121、122、123、124 コレクタ電極
130、131、132、133 柱
131’、132’、133’ エミッタ電極間絶縁部材
151,152,153 素子間接続配線
160 熱源に接する熱源側基板
161 放熱源に接するヒートシンクのような放熱源側基板
200、201、202 熱電子変換素子
210 第1の電極
220 第2の電極
230、230’、231、231’、232、232’ 柱
260、261 基板
300、301 熱電子変換素子
310 第1の電極
320 第2の電極
330、330’、331、331’ 柱
360、361 基板
400 (完成した)熱電子変換素子
410 熱源あるいは放熱源を兼ねる基板
420 第1の電極
430 犠牲層
431 エッチングホール
441、442、442’ 絶縁層(電極間支持部材)
443、444 エッチングホール
450 (第2の電極の一部として機能する)金属層
450’ 第2の電極
500 熱電子変換装置
511 第1の熱電子変換素子の第1の電極
512 第2の熱電子変換素子の第1の電極
521 第1の熱電子変換素子の第2の電極
522 第2の熱電子変換素子の第2の電極
531、531’、531”、531’’’ 絶縁層(電極間支持部材)
551 素子間接続配線
552 素子間接続配線(第1の配線部分)
553 素子間接続配線(第2の配線部分)
554 素子間接続配線(第3の配線部分)
555、556 コンタクトホール
557、558、559 エッチングホール
560 ヒートシンク等の放熱源側基板
561 熱源側
571、572 熱源側熱伝導物質
591、592 空間
593、594 犠牲層
Claims (16)
- 第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材と、を少なくとも含む熱電子変換素子において、
下式(1)を満たすことを特徴とする熱電子変換素子。
・式(1) H1>Y
〔但し、上記式(1)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕 - 下式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の熱電子変換素子。
・式(2) H1≧10×Y
〔但し、上記式(2)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。〕 - 下式(3)を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電子変換素子。
・式(3) H1≧100×Y
〔但し、上記式(3)において、H1は、前記式(1)に示すH1と同じパラメーターを意味し、Yは前記式(1)に示すYと同じパラメーターを意味する。〕 - 前記第1の電極および前記第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部よりも外側または内側に位置する断面構造を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であって、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接することを特徴とする熱電子変換素子。 - 前記第1の電極および前記第2の電極が、対向して設けられた電極に対向する電極対向辺を少なくとも含み、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の少なくともいずれかの辺および前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
前記電極対向辺と平行な方向に対して、前記第1の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第1の端部)が、前記第2の電極の電極対向辺の両端部の少なくとも一端(第2の端部)と重複した断面構造を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であって、
前記電極支持部材が、前記第1の電極の電極対向辺に対して前記第2の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第1の電極の少なくともいずれかの辺、および、前記第2の電極の電極対向辺に対して前記第1の電極が設けられた側と反対側に位置する前記第2の電極の少なくともいずれかの辺に接し、
且つ、前記第1の端部と前記第2の端部を通る仮想線の、少なくとも前記第1の端部と前記第2の端部との区間において、前記電極支持部材が、少なくとも前記仮想線の一部から前記仮想線の前記第1の電極および第2の電極が設けられた側と反対側に離れるように設けられていることを特徴とする熱電子変換素子。 - 2つ以上の熱電子変換素子を含む熱電子変換装置において、前記2つ以上の熱電子変換素子の、少なくとも1つが請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱電子変換素子であることを特徴とする熱電子変換装置。
- 第1の電極と、該第1の電極に対して一定の間隔を保つように対向して設けられ、前記第1の電極と反対の極性を持つ第2の電極と、を少なくとも含む熱電子変換素子を2つ以上含み、
前記2つ以上の熱電子変換素子が、各々の熱電子変換素子の同一極性の電極を同一面側に位置するように平面方向に配置され、
前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくとも2つの熱電子変換素子において、第1の熱電子変換素子と第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間を導通可能に接続する素子間接続配線を1つ以上含む熱電子変換装置であって、
下式(4)を満たすことを特徴とする熱電子変換装置。
・式(4) H2>Z
〔但し、上記式(4)において、Zは、前記第1の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔、および、前記第2の熱電子変換素子の第1の電極と第2の電極との間隔のいずれか大きい値を表し、H2は、前記素子間接続配線を経由する前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子との相反する極性の電極間の最短距離を表す。〕 - 下式(5)を満たすことを特徴とする請求項7に記載の熱電子変換装置。
・式(5) H2≧10×Z
〔但し、上記式(5)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。〕 - 下式(6)を満たすことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の熱電子変換装置。
・式(6) H2≧100×Z
〔但し、上記式(6)において、H2は、前記式(4)に示すH2と同じパラメーターを意味し、Zは前記式(4)に示すZと同じパラメーターを意味する。〕 - 前記熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の99%以上が、前記式(4)〜(6)のいずれか1つを満たすことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の熱電子変換装置。
- 前記熱電子変換装置に含まれる全ての素子間接続配線の99.9%以上が、前記式(4)〜(6)のいずれか1つを満たすことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の熱電子変換装置。
- 少なくとも、前記素子間接続配線で導通可能に接続された前記第1の熱電子変換素子と前記第2の熱電子変換素子とが平面方向に隣接して配置されていることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載の熱電子変換装置。
- 前記第1の電極および前記第2の電極が、少なくとも反対の極性を有する電極と対向する電極面と、該電極面の前記反対の極性を有する電極が設けられた側の反対側に設けられた非電極面と、を含み、
前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分と、前記第2の熱電子変換素子の、前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極と反対の極性を有する電極の非電極面とが、前記素子間接続配線により導通可能に接続されたことを特徴とする請求項12に記載の熱電子変換装置。 - 前記第1の熱電子変換素子のいずれか一方の電極のいずれかの部分が、電極面であることを特徴とする請求項13に記載の熱電子変換装置。
- 前記熱電子変換素子が、前記第1の電極と前記第2の電極とに接し且つ絶縁する電極支持部材を含み、
前記2つ以上の熱電子変換素子のうち、少なくともいずれか1つの熱電子変換素子が、下式(7)を満たすことを特徴とする請求項7〜14のいずれか1つに記載の熱電子変換装置。
・式(7) H1>Y
〔但し、上記式(7)において、Yは、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を表し、H1は、前記電極支持部材を経由する前記第1の電極と前記第2の電極との最短距離を表す。〕 - 前記第1の電極および前記第2の電極の平面方向の形状が略方形であり、前記形状の第1の主辺の長さと前記第1の主辺に直交する第2の主辺の長さとの比が10以下であることを特徴とする請求項7〜15のいずれか1つに記載の熱電子変換装置。
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| JP2003143553A JP2004349398A (ja) | 2003-05-21 | 2003-05-21 | 熱電子変換素子および熱電子変換装置 |
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| JP2003143553A JP2004349398A (ja) | 2003-05-21 | 2003-05-21 | 熱電子変換素子および熱電子変換装置 |
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| JP2004349398A true JP2004349398A (ja) | 2004-12-09 |
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| JP2003143553A Pending JP2004349398A (ja) | 2003-05-21 | 2003-05-21 | 熱電子変換素子および熱電子変換装置 |
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-
2003
- 2003-05-21 JP JP2003143553A patent/JP2004349398A/ja active Pending
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