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JP2004231604A - 担体シートおよび徐放性製剤ならびにそれらの製法 - Google Patents

担体シートおよび徐放性製剤ならびにそれらの製法 Download PDF

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JP2004231604A
JP2004231604A JP2003024803A JP2003024803A JP2004231604A JP 2004231604 A JP2004231604 A JP 2004231604A JP 2003024803 A JP2003024803 A JP 2003024803A JP 2003024803 A JP2003024803 A JP 2003024803A JP 2004231604 A JP2004231604 A JP 2004231604A
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temperature
chitosan
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Kieko Saito
貴江子 斎藤
Takuya Fujieda
琢也 藤枝
Hisashi Yoshioka
寿 吉岡
Yasuo Sakai
康雄 酒井
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Hamamatsu Foundation for Science and Technology Promotion
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Abstract

【課題】天然素材から得られたキトサンから製造された表裏のいずれにもスキン層を有さない担体シート、前記担体シートに医薬化合物が含浸または担持された徐放性製剤およびそれらの製法を開発する。
【解決手段】高い脱アセチル化度のキトサンからなる担体シートであり、該シートが多孔質スポンジ状で、表裏のいずれにもスキン層を有さない担体シート、該担体シートに医薬化合物が含浸または担持されている除放性製剤およびそれらを製造する方法であって、キトサン酸性水溶液を中和してゲル化させたものを水中に分散させ、懸濁液としたのち0〜−5℃に冷却し、ついで該懸濁液の温度が実質的に均一となるようにゆっくりと温度を下げて−20〜−30℃の温度に冷却し、該温度範囲に維持して凍結・凝集させ、ついで真空凍結乾燥させるまたは昇温してゼリー状シートとし、乾燥させる方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然素材から得られたキトサンから製造された表裏のいずれにもスキン層を有さない担体シートおよびその製法、ならびに、前記担体シートに医薬化合物が吸着または担持された徐放性製剤およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
キトサンは、たとえばカニ、エビなどの甲殻類に多く含まれるキチンを脱アセチル化することによって得られる可溶性の天然素材物質であり、健康補助食品として評価が高いだけでなく、皮膚再生能や免疫賦活作用などの薬理的効果、抗菌性や抗アトピー性を示すことが報告されており、各種医療材料としても有効なバイオマスである。
【0003】
また、キトサンは生分解性と生体適合性をもち、機能性に富んでいる。すなわち、生体内では、活性化された貪食細胞がキトサンを徐々に貪食し、また、貪食細胞により分泌されたリゾチームによって加水分解されるので、キトサンからなる担体シートに医薬化合物を含有させれば、医薬化合物を徐放する徐放性製剤となることが知られている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、低分子量キトサン(平均分子量が1万〜23万)を2〜20重量%(以下、%という)溶解させた酸性水溶液を塩基性溶液中に落下せしめて粒状多孔質キトサンを凝固析出させることにより得られた多孔性粒状体を担体とし、これに、制ガン剤、ホルモン剤、抗癲癇剤、鎮うん剤、抗精神剤、強心剤、不整脈治療剤、血管収縮剤、血管拡張剤、サルファ剤などの薬理活性物質を含有させた徐放性製剤が開示されており、その実施例1では、平均分子量4.6万、脱アセチル化度80%のキトサンを使用し、粒径42〜80メッシュ、孔径0.4μm、比表面積30.9m/gの多孔性粒状体が製造され、該多孔性粒状体555mgを50mlの脱イオン水に懸濁し、制ガン剤であるアドリアマイシン(以下、ADM塩酸塩という)10mgを添加して含有させた製剤が製造され、該製剤を小カラムに充填し、生理的食塩水に20μg/mlの卵白リゾチームを含ませた溶離水を流し、ADM塩酸塩の徐放溶出を458μmの吸光度で経時的に定量している。
【0005】
また、特許文献1の実施例2では、平均分子量4.6万、脱アセチル化度80%のキトサンを使用し、粒径20〜40メッシュ、孔径0.3μm、比表面積49.7m/gの多孔性粒状体が製造され、該多孔性粒状体40g(湿潤状態)を150mlのエチルアルコールに懸濁し、男性ホルモンであるテストステロン20mg/mlエチルアルコール5mlを添加して含有させた製剤が製造され、該製剤を小カラムに充填し、生理的食塩水に20μg/mlの卵白リゾチームを含ませた溶離水を流し、テストステロンの徐放溶出を238μmの吸光度で経時的に定量している。
【0006】
そして、前記実験で薬剤を含有させた粒状体をカラムに充填し、卵白リゾチームで溶出させると薬剤が検出されたことから、この粒状体の徐放性製剤としての有効性が示唆されている。
【0007】
また、前記徐放性製剤とは別に、キトサンおよび蛋白質からなるスポンジ状ゲルや、キトサンからなるスキン層を有するスポンジ状の非対称性膜、さらに、キトサンなどからなる(不)織布支持材にキトサンまたはその分解物を塗布ないし含浸させた膜などが知られている。
【0008】
たとえば、特許文献2には、蛋白質、キトサンおよび水を酸性下に混合し、ついで中和することにより均一に混合し、さらに凍結処理することによってスポンジ状ゲルを製造することが記載されており、蛋白質の濃度が1%未満の場合、ゲル化が不充分となり、蛋白質を使用しない場合、ゲル化せず、キトサンのゲルを得ることができないことが示されている。すなわち、実質的に蛋白質などの他の成分が実質的に混合されていないキトサンからなるスポンジ状の担体シートを製造することは知られておらず、したがって、実質的にキトサンのみからなる担体シートも知られていなかったことが記載されている。
【0009】
さらに、非特許文献1には、重量平均分子量7万以下、脱アセチル化度87%のキトサンを0.5%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、NaOH(2%)−NaCO(0.05%)水溶液にキャステイングし、浸漬−沈殿相転換によりスキン層を有するスポンジ状の非対称性膜を製造することが記載されており(図1には、アルカリ媒体中にキトサン溶液を入れた容器を浸漬した図が示されており、この場合には、スキン層は片面にだけ形成される)、該非対称性膜が、水蒸気伝達性、ガス透過性、リン酸塩バッファー溶液吸着性などを有すること、人体の傷などの保護材料に用いて効果があることについて記載されている。
【0010】
また、特許文献3には、支持体上に分離活性を有する膜が積層された液体分離膜であって、支持体にキトサンまたはその分解物を抗菌性成分として塗布ないし含浸させた抗菌性液体分離膜が記載されており、前記支持体が織布または不織布であり、キトサンまたはその分解物から構成されていてもよいことが記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭61−197529号公報(2〜4頁、図1〜3)
【特許文献2】
特開平5−255596号公報(2〜3頁)
【特許文献3】
特開平5−168878号公報(2〜4頁)
【非特許文献1】
バイオマテリアルス(Biomaterials) 22(2001) 165−173
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭61−197529号公報に記載の徐放性製剤は粒状であり、生体内の局所に滞留あるいは埋設するには限界があり、生体内の病巣部において薬効を発現することが困難である。
【0013】
また、特開平5−255596号公報に記載のキトサンを使用したスポンジ状ゲルの場合、蛋白質などの他の成分が実質的に混合されていないキトサンからなるスポンジ状の担体シートを製造することができない。
【0014】
さらに、バイオマテリアルス(Biomaterials) 22(2001) 165−173に記載のスポンジ状の膜の場合、スキン層を有するスポンジ状の非対称性膜であり、スキン層有するため、高い通気性および液体の透過性は有さず、また、生分解性もスポンジ状のみの膜よりも劣ると考えられる。
【0015】
そして、特開平5−168878号公報には、キトサンまたはその分解物から構成された織布または不織布からなる支持体上にキトサンまたはその分解物を抗菌性成分として塗布ないし含浸させた抗菌性液体分離膜が記載されているが、支持体なしに膜を製造することができない。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来の技術の問題を解決するためになされたものであり、
高い脱アセチル化度のキトサンからなる担体シートであり、該シートが多孔質スポンジ状で、表裏のいずれにもスキン層を有さないことを特徴とする担体シート(請求項1)、
前記キトサンの重量平均分子量が30万〜130万である請求項1記載の担体シート(請求項2)、
前記キトサンの脱アセチル化度が50〜100%である請求項1記載の担体シート(請求項3)、
厚さ1.0mmの担体シートの空気透過率が1×10〜1×10cm/cm/分であって、水透過率が0.5〜50cm/cm/時間である請求項1記載の担体シート(請求項4)、
厚さが0.1〜10mmである請求項1記載の担体シート(請求項5)、
嵩比重が0.001〜0.1である請求項1記載の担体シート(請求項6)、
請求項1、2、3、4、5または6記載の担体シートに医薬化合物が吸着または担持されていることを特徴とする徐放性製剤(請求項7)、
医薬化合物が抗ガン剤である請求項7記載の徐放性製剤(請求項8)、
医薬化合物がアドリアマイシンを含有する抗ガン剤である請求項7記載の徐放性製剤(請求項9)、
高い脱アセチル化度のキトサンを0.1〜10%の濃度になるように酸性水溶液に溶解したのち、アルカリ性水溶液で中和してゲル化させ、得られたゲル化物を水中に分散させ、水性懸濁液としたのち0〜−5℃に冷却し、ついで該懸濁液の温度が実質的に均一となるようにゆっくりと温度を下げて−20〜−30℃の温度に冷却し、さらに冷却している懸濁液全体をその温度範囲に維持して凍結・凝集させるという3段階の冷却を行なうことによって、凍結した水分と凝集したキトサンとが一体に混在している固体状物を得、得られた固体状物を真空凍結乾燥するまたは常温まで昇温し、水分が内蔵されているゼリー状シートとし、ついで、該ゼリー状シートを乾燥させることを特徴とする請求項1記載の担体シートの製法(請求項10)、
前記3段階の冷却において、0〜−5℃の温度から冷却する際の冷却速度が、−0.1〜−20℃/時間の冷却速度である請求項10記載の製法(請求項11)、
前記3段階の冷却において、−20〜−30℃の温度に冷却した懸濁液を、その温度範囲に10〜30時間維持する請求項10記載の製法(請求項12)、
前記ゼリー状シートの乾燥が、常温〜60℃の温度、減圧または常圧下での乾燥である請求項10記載の製法(請求項13)、
高い脱アセチル化率のキトサンを酸性水溶液に0.1〜10%の濃度になるように酸性水溶液に溶解したのち、アルカリ性水溶液で中和してゲル化させ、得られたゲル化物を水中に分散させ、水性懸濁液とし、該懸濁液に医薬化合物を加えて混合したのち0〜−5℃に冷却し、ついで懸濁液の温度が実質的に均一となるようにゆっくりと温度を下げて−20〜−30℃の温度に冷却し、さらに冷却している懸濁液全体をその温度範囲に維持して凍結・凝集させるという3段階の冷却を行なうことによって、凍結した水分と凝集したキトサンと医薬化合物とが一体に混在している固体状物を得、得られた固体状物を真空凍結乾燥するまたは常温まで昇温し、水分が内蔵されているゼリー状シートとし、ついで、該ゼリー状シートを乾燥させることを特徴とする徐放性製剤の製法(請求項14)、
前記3段階の冷却において、0〜−5℃から冷却する際の冷却速度が−0.1〜−20℃/時間である請求項14記載の製法(請求項15)、
前記3段階の冷却において、−20〜−30℃の温度に冷却した懸濁液をその温度範囲に10〜30時間維持する請求項14記載の製法(請求項16)、および前記ゼリー状シートの乾燥が、常温〜60℃の温度、減圧または常圧下での乾燥である請求項14記載の製法(請求項17)
に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(1)担体シート
本発明の担体シートは、キトサンからなり、キトサン以外の化学的な成分を実質的に含有していない担体シートであり、該シートは多孔質スポンジ状で、表裏のいずれにもスキン層を有さない。また、多孔質スポンジ状の担体シートには、支持体は含まれておらず、多孔質スポンジ状物から形成されている。
【0018】
本発明の担体シートが、天然素材から得られたキトサンからなり、キトサン以外の化学的な成分を実質的に含有していない担体シートであるため、生体に埋め込んだ場合にも、障害を惹き起こすことがない。また、表裏のいずれにもスキン層を有さないため、薬物を均一に含有し、効率よく生分解される。さらに、該担体シートには、支持体は含まれておらず、多孔質スポンジ状物から形成されているため、生体に親和性がある有用な医療材料となる。
【0019】
前記キトサンは、たとえばカニ、エビなどの甲殻類に多く含まれるキチンを脱アセチル化することによって得られる天然素材物質(β,1−4結合したグルコサミンを有する多糖)であり、生体内で生分解される。
【0020】
前記脱アセチル化度は、酸性水溶液に対して高い可溶性(たとえば1.0%程度以上の可溶性)を有するキトサンになる程度の脱アセチル化度であればよく、たとえば50〜100%、さらには70〜90%であるのが好ましい。前記脱アセチル化度が低すぎると、酸性水溶液に均一に溶解させることが困難になったりする。なお、脱アセチル化度が高くなり過ぎると、酸性水溶液への溶解性は良好であるが、生分解性がわるくなる可能性がある。
【0021】
前記キトサンの分子量は、重量平均分子量で30万〜130万、さらには35万〜95万、ことには40万〜90万程度であるのが好ましい。前記分子量が小さすぎると、ゲル化物をつくるのが困難になり、担体シートの作成が困難になり、逆に大きすぎると、粘度が高くなり、使用するのが容易でなくなる。
【0022】
本発明の担体シートは、微細な空隙を多く内蔵している多孔質スポンジ状で、表裏の区別がない。
【0023】
前記表裏の区別がないというのは、表も裏も同等の形態、特性を有し、非対称性ではないことを意味する。
【0024】
また、前記微細な空隙を多く内蔵している多孔質スポンジ状であるというのは、表面にスキン層を有さず、連続気泡性多孔体を切断した場合のような表面および裏面を有し、担体シートの内部も連続気泡性多孔体のごとき形状で、微細な空隙を多く内蔵していることを意味する。
【0025】
すなわち、本発明の担体シートは、表面から裏面にわたって多孔質スポンジ状であり、スキン層がなく、表面から裏面へ向う場合の特性と、裏面から表面へ向う場合の特性とに差がなく、シート全体にわたって等質なシートである。このように、シート全体にわたって等質なシートである点で、たとえばバイオマテリアルス 22(2001) 165−173に記載されているキトサンを用いて形成された分離膜が非対称性分離膜であるのと異なり、また、特開平5−168879号公報に記載のキトサンの繊維から製造した織布(支持体)に、キトサンまたはその分解物の溶液を含浸、乾燥させたものと異なる。また、本発明の担体シートがシート全体にわたって等質なシートであるため、薬物徐放性担体として使用した場合、薬物が効率よく持続的に徐放されるが、たとえばバイオマテリアルス 22(2001) 165−173に記載されている非対称性分離膜を薬物徐放性担体として使用した場合、薬物の吸着性および生分解性には適さない。さらに、特開平5−168879号公報に記載のキトサンの繊維から製造した織布(支持体)に、キトサンまたはその分解物を溶液を含浸、乾燥させたものを薬物徐放性担体として使用しても(ただし、そのような可能性は記載されていない)、繊維部分が生分解されず、生体に障害がおこる可能性があるので適さない(支持体の生体への安全性が確認されていない)。
【0026】
本発明の担体シートは、前記のごとく、微細な空隙を多く内蔵している多孔質スポンジ状で、表裏の区別がないシートであり、キトサンからなるシートであるため、柔軟であるとともに、すぐれた通気性および水分などの液体の透過性を有しており、しかも生分解性を有している。
【0027】
前記担体シートの厚さとしては、たとえば0.1〜10mm、さらには0.2〜5mm程度であるのが、薬物徐放性および生分解性などの点から好ましいが、このような厚さのものに限定されるものではない。
【0028】
また、前記担体シートの嵩比重としては、たとえば0.001〜0.1、さらには0.005〜0.05程度であるのが、薬物徐放性および生分解性などの点から好ましいが、このような嵩比重のものに限定されるものではない。
【0029】
担体シートは目的にあった形に作ることができる。大きさは、製造するときの容器の大きさに依存し、たとえば直径10cmの円形の容器の場合、直径10cmの円形のシート、直径1cmの円形の容器の場合、直径1cmの円形のシートで、厚さはほぼ均一にすることができるが、かえることもできる。かえた場合の厚さは平均値を求めることにより求めることができる。
【0030】
また、前記担体シートの嵩比重は、厚さを測定したシートの単位面積あたりの重量を測定することにより求めることができる。
【0031】
さらに、前記担体シートは、厚さ1.0mmの担体シートの空気の透過率(通気性:空気を用いて、室温20℃、圧力0.98〜1.47MPa(10〜15kgf/cm)で、圧力計を用いて測定)が、たとえば1×10〜1×10cm/cm/分、さらには2×10〜8×10cm/cm/分であるのが、薬物徐放性および生分解性などの点から好ましく、また、水の透過率(水を用いて、30℃、水柱の高さ5cmで単位時間に透過する水の量を測定)が、たとえば0.5〜50cm/cm/時間、さらには0.8〜10cm/cm/時間であるのが、薬物徐放性および生分解性などの点から好ましい。
【0032】
本発明の担体シートの表面の形態の具体例としては、たとえば長径50〜900μm、さらには100〜600μm、短径30〜300μm、さらには60〜200μmで、概略扁平または楕円形状の孔が、1mmあたり2〜500個、さらには10〜160個存在し、前記孔と孔との間には、気泡の隔壁の断面に相当する部分が露出し、その厚さが、およそ0.1〜5.0μmであり、前記断面が交叉する部分は、たとえば木の枝が枝分かれしているような状態や蜂の巣状になっているものがあげられる。
【0033】
本発明の担体シートの裏面の形態も表面の形態と同様であり、実質的に表裏の区別はない。
【0034】
また、本発明の担体シートの厚さ方向の断面の形態も本発明の担体シートの表面の形態と同様である。
【0035】
本発明の担体シートの厚さ方向に存在する気泡の数は、およそ2〜30個/1mm、さらには2〜20個/1mmである。
【0036】
なお、前記担体シートの表面、裏面に存在する孔の長径、短径、孔の形状は、倍率50倍の走査型電子顕微鏡で観察できる視野内(約30個見当)について求めた結果であり、孔の数は、倍率50倍の走査型電子顕微鏡の任意の1mm×1mm内に含まれる孔数を数えることにより求めた値である。
【0037】
なお、前記1mm×1mm内に含まれる孔数を数える場合、孔の一部のみが1mm×1mmの範囲に含まれる場合も数える。
【0038】
また、前記担体シートの表面、裏面に存在する気泡の隔壁の断面に相当する部分の厚さも、孔の長径、短径などと同様にして求めた値である。さらに、前記担体シートの厚さ方向に存在する気泡の数は、シートの厚さ方向に直線を引き、該直線で切断される気泡の数を求めることにより求めた値である。
【0039】
(2)徐放性製剤
本発明の徐放性製剤は、本発明の担体シートに医薬化合物が吸着または担持され、徐放性が付与された製剤であり、たとえば担体シートを形成するキトサン自体が生体内で生分解される過程で医薬化合物が徐放される。とくに、本発明の徐放性製剤(スポンジ状のシート状)を生体内の患部周辺に埋め込んだのち、徐放性製剤(スポンジ状のシート状)を形成しているキトサンが徐々に分解されることによって、吸着または担持されていた医薬化合物がゆっくりと放出され、その病巣に対して薬理作用が効果的に持続され、患者の病態、疾患をゆっくりと確実に治癒させることができる。
【0040】
本発明の徐放性製剤に使用される医薬化合物としては、たとえばアドリアマイシン、5−フルオロラウシルなどの抗ガン剤、ホルモン剤、抗癲癇剤、鎮うん剤、抗精神剤、強心剤、不整脈治療剤、血管収縮剤、血管拡張剤、サルファ剤などの薬理活性物質、脳循環代謝改善薬、抗炎症剤、抗生物質などがあげられる。
【0041】
また、本発明の徐放性製剤に使用される医薬化合物として、(−)に荷電している物質、お茶、野菜、生薬などの植物の乾燥粉末、水に可溶性の微粉末および低分子化合物、Cu、Feなどの金属成分など、広い意味での医薬的な効果を有する化合物もあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
前記医薬化合物のうちでは、親水性の物質および疎水性が高くない物質などが、担体シートに吸着または担持されることにより、好ましい物性の徐放性製剤を製造することができる点から好ましい。
【0043】
前記徐放性製剤において、医薬化合物の含有率または担持率(担体シートに対する含有または担持されている医薬化合物の割合(%))は、医薬化合物によって異なるが、通常0.01〜5%、さらには0.05〜1%である。しかし、この範囲に限定されるものではない。
【0044】
前記医薬化合物がアドリアマイシンである場合、吸着率または担持率は、0.05〜0.5%、さらには0.08〜0.3%であるのが、効率よい徐放性となる点から好ましい。
【0045】
本発明の徐放性製剤は、医薬化合物が本発明の多孔質スポンジ状の担体シートに吸着または担持されている、スポンジ状のシート状体であって、生分解性を有する柔軟な連続多孔体である。
【0046】
本発明の徐放性製剤(シート状体)の厚さとしては、たとえば0.1〜10mm、さらには0.3〜5mm程度であるのが、徐放性および生分解性の点から好ましいが、とくに限定されるものではない。
【0047】
また、本発明の徐放性製剤(シート状体)の嵩比重としては、たとえば0.1〜0.001、さらには0.05〜0.005程度であるのが、徐放性および生分解性などの点から好ましいが、とくに限定されるものではない。
【0048】
さらに、本発明の徐放性製剤の通気性、通液性などは、前述の担体シートにおける値と同様であるのが、徐放性および生分解性などの点から好ましい。
【0049】
前記のごとき本発明の徐放性製剤は、担体シートに医薬化合物を吸着または担持させたものであるので、たとえば医用材料に使用した場合に、生体に悪影響を及ぼすことなく、担体シートが生分解される過程で薬物が持続的に放出され、長期間、皮膚および生体内で有効性を示す。
【0050】
たとえば、特開昭61−197529号公報に記載されている粒状体の徐放性製剤の場合、粒状体を生体内(腹腔)に投与すると、粒状体の性質のため拡散してしまうので、一ヵ所に定着しない。粒状体の徐放性製剤をたとえ病巣や疾患部に投与しても、そこにすべての粒子が定着して効果を発揮するものではない。そのような効果は、粒状体の性質上困難であり、組織における滞留性を測定することもできない。そのため、特開昭61−197529号公報に記載されている粒状体の徐放性製剤についても病巣などに局所的に定着する徐放性製剤としての性質は記述されておらず、粒状体の粒子それ自身を直接用いるのではなく、流動性の懸濁液として使用している。したがって、徐放性能を検討した実験では、その懸濁液を閉鎖的なカラムに詰め固定した常態でリゾチームによって溶出した結果しか示されていない。粒状体は拡散するため、一定の形状を保つことができず、また、定着する特性も持ち合わせていないので、生体内での実験が困難だからである。さらに、徐放性能を検討する実験では、貪食細胞から産生されるリゾチームを用いて生体内でのモデルとしているが、実際に特開昭61−197529号公報に示されている粒状体を生体内に入れた場合、リゾチームによって溶出されるよりも先に貪食細胞により異物として認識され、貪食されてしまうので、薬物を含んだまま効果を発揮することなく消滅してしまうと考えられる。
【0051】
本発明の徐放性製剤の徐放性の実験は、生体内で行なっているので、その有効性は明らかである。本発明の徐放性製剤を用いて生体内で行なった徐放性の実験では、2カ月間、マウス腹腔内に埋設したアドリアマイシン含有担体シートでも有効量なアドリアマイシンが残存しているという結果が得られている。
【0052】
また、本発明の徐放性製剤はシート状であるため、患部にあわせて成形可能であり、定着性があるので、火傷などの外傷に対しても有効であり、すぐれている。
【0053】
(3)担体シートの製法
本発明の担体シートは、たとえばキトサンを0.1〜10%の濃度になるように酸性水溶液に溶解したのち、アルカリ性水溶液で中和してゲル化させ、該ゲル化物を水中に分散させ、水性懸濁液としたのち0〜−5℃に冷却し、ついで該懸濁液の温度が実質的に均一となるようにゆっくりと温度を下げて−20〜−30℃の温度に冷却し、さらに冷却している懸濁液全体をその温度範囲に維持して凍結・凝集させるという3段階の冷却を行なうことによって、凍結した水分と凝集したキトサンとが一体に混在している固体状物(以下、固体状のキトサンシートともいう)を得、得られた固体状物を真空凍結乾燥するまたは常温まで昇温し、水分が内蔵されているゼリー状シートとし、ついで、該ゼリー状シートを乾燥させることにより製造することができる。この方法は、工業的に実施することができる方法である。
【0054】
(i)固体状のキトサンシートの形成
(a−1)原料溶液の調製
たとえば、キトサンを酸性水溶液に0.1〜10%、さらには0.2〜8%、ことには0.5〜5%の濃度になるように溶解し、ついで、該溶液をアルカリ性水溶液で中和して、ゲル化したもの(ゲル化物)が調製される。
【0055】
前記酸性水溶液としては、たとえば塩酸、酢酸、蟻酸、乳酸、クエン酸、ジクロロ酢酸などの0.1〜10%程度の水溶液が用いられるが、キトサンの溶解性の点から、塩酸水溶液が好ましい。
【0056】
また、前記アルカリ性水溶液としては、たとえば水酸化ナトリウムなどの0.1〜10%程度の水溶液が好ましく使用される。
【0057】
前記中和は、攪拌下、キトサン酸性水溶液にアルカリ性水溶液を加え、室温程度で行なうのが、温和な条件下で中和することができるなどの点から好ましい。
【0058】
(a−2)ゲル化物の3段階冷却
前記ゲル化物を水中に分散させ、水性懸濁液としたのち、たとえば必要によりガラス濾過器を用いて水洗したのちたとえばホモジナイザーで粉砕した水性懸濁液を0℃付近の温度(好ましくは0〜−5℃)に冷却し、ついで懸濁液の温度が実質的に均一となるような低い冷却速度(好ましくは−0.1〜−20℃/時間、さらには−0.5〜−15℃/時間の割合)で冷却して−20〜−30℃の温度にし、さらに冷却されている懸濁液全体をその温度範囲に維持、好ましくは10〜30時間、さらに好ましくは15〜25時間維持して凍結・凝集させるという3段階の冷却が採用される。
【0059】
前記懸濁液の温度が実質的に均一となるというのは、懸濁液の温度差が好ましくは0.5℃以下、さらに好ましくは0.3℃以下、とくに好ましくは0.1℃以下になることを意味する。懸濁液の温度が実質的に均一とならない場合、凍結・凝集がうまく行なわれず、均一なシートが得られにくくなる。
【0060】
前記懸濁液の温度差は、たとえば広い面積のシートを製造する場合、たとえば5cm間隔で温度を測定するなどの方法により求めることができる。
【0061】
たとえば、10ml容量のように少量の場合、−10℃/時間程度の冷却速度で全懸濁液の温度を実質的に均一とすることができ、2〜3時間で−20〜−30℃の温度にすることができる。
【0062】
前記ゲル化物を水中に分散させる場合、ゲル化物100gを水300〜500gに分散させるのが、生分解性、徐放性のすぐれた連続多孔質のシートを作成するうえで好ましい。
【0063】
分散させるゲル化物の大きさとしては、0.1〜50μm、さらには1〜10μm程度のものが、生分解性、徐放性のすぐれた連続多孔質のシートを作成するうえで好ましい。
【0064】
前記水洗は、生成した塩、残存している酸またはアルカリの除去のために行なわれる。ゲル中の塩、酸またはアルカリの除去のため、ガラス濾過器などを用いて充分な洗浄をするのが好ましい。
【0065】
(a−3)固体状のキトサンシートの形成
−20〜−30℃の温度に達したのち、その温度に維持することによって、懸濁液が、凍結した水分と凝集したキトサンとが一体に混在した固体状のキトサンシートとなる。
【0066】
前記維持する時間は、たとえば10〜30時間、さらには15〜25時間であるのが、キトサンを均一に凝集させる点から好ましい。維持する時間が短すぎる場合、キトサンの凝集が不充分で均一なシートができにくくなり、長すぎる場合、生産性は低くなるが、担体シートを製造する点からとくに問題になることはない。
【0067】
(ii)ゼリー状のキトサンシートの形成
前記固体状のキトサンシートは、常温まで昇温し、水分が内臓されているゼリー状(またはコンニャク状)のキトサンシートとすることにより行なわれる。
【0068】
前記常温まで昇温する際の昇温速度としては、たとえば60℃以下の温度であればとくに問題はない。
【0069】
固体状のキトサンシートを常温まで昇温しても、含まれている水分が中和されており、キトサンが凝集しているため、キトサンの凝集体が溶解したりすることはない。
【0070】
(iii)担体シートの形成
得られたゼリー状のキトサンシートを、昇温、常圧下で充分に乾燥させることにより、微細な空隙部を多く内蔵している多孔質スポンジ状の担体シートを製造することができる。
【0071】
前記昇温、常圧下での乾燥は、通常、10〜60℃の条件で行なわれる。
【0072】
また、固体状のキトサンシートを直接真空凍結乾燥させることにより、微細な空隙部を多く内蔵している多孔質スポンジ状の担体シートを製造することができる。
【0073】
前記真空凍結乾燥は、氷点以下の低温、減圧下、通常、−30〜−80℃、10〜400Pa程度の条件で充分(10時間〜1昼夜、さらには15〜20時間)に行なわれる。
【0074】
前述の(i)〜(iii)の各工程にしたがって得られた担体シートは、本発明の担体シートとして詳細に説明した担体シートであり、従来存在しなかったものである。
【0075】
(4)徐放性製剤の製法
本発明の徐放性製剤は、前述の担体シートの製法における「(a−1)原料溶液の調製」で、中和して得られたゲル化物の懸濁液に医薬化合物を加えて原料分散液を調製するほかは、前述の担体シートの製法における(i)〜(iii)の各工程と実質的に同様に各工程を実施することによって、医薬化合物が前述の担体シートに吸着または担持されている徐放性製剤を製造することができる。
【0076】
なお、中和して得られたゲル化物の懸濁液は、室温においては水中にゲル化物が分散している状態を呈するため、医薬化合物(親水性または疎水性が高くない)を加える際には、そのまままたは水に溶けているもしくは分散している状態のものとして加え、水性懸濁液にするのが好ましい。
【0077】
前記医薬化合物の添加量については、前述の量になるように加えればよい。
【0078】
前述のように(i)〜(iii)の各工程にしたがって得られた徐放性製剤は、すでに詳細に説明した徐放性製剤と同じものである。
【0079】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
実施例1(担体シートの製造)
シャーレ内で、キチンを脱アセチル化して得られたキトサン(重量平均分子量80万、脱アセチル化度80%)を酸性水溶液(0.05N、塩酸水溶液)に溶解させて1%酸性水溶液100mlを調製したのち、得られた溶液をアルカリ性水溶液(0.05N、NaOH)100mlで中和し、ゲル化物を得た。得られたゲル化物を水中に分散させ、生成した塩を取り除くためにゲル懸濁液をガラス濾過器(孔サイズ5μm)を用いて水洗したのち、水150ml中に分散させ、ホモジナイザーで粉砕した。得られた懸濁液を0℃から−25℃まで−10℃/時間の割合で温度を下げていき、ついで、該懸濁液を−25℃で20時間維持して凍結・凝集させることによって、水分が凍結し、キトサンが凝集した固体状のキトサンシートを得た。
【0081】
得られた固体状のキトサンシートを真空凍結乾燥(−80℃、13.33Pa(10−1Torr)の減圧下、約10時間乾燥)させて、微細な空隙部を多く内蔵している多孔質スポンジ状のキトサンシート(淡黄色のスポンジ状キトサンシート)(担体シート)を製造した。
【0082】
得られた担体シートは、厚さが約1.0mm、嵩比重が約0.013であり、表面および裏面のいずれにもスキン層がなく、表面および裏面には、長径100〜600μm、短径60〜200μmで、概略扁平〜楕円形の孔が、1mmあたり約30〜100個存在し、前記孔と孔との間には、厚さがおよそ0.5〜5.0μmの気泡の隔壁の断面に相当する部分が露出しており、厚さ方向に存在する気泡の数は10〜30個/1mmであった。
【0083】
また、該担体シートの空気の透過率(通気性:空気を用いて、室温20℃、圧力0.98MPa(10kgf/cm)で透過率を測定)が2×10cm/cm/分以上であり、また、水の透過率(水を用いて、30℃、水柱の高さ約5cmで透過率を測定)が4cm/cm/時間であった。
【0084】
実施例2
(徐放性製剤の製造)
シャーレ内で、キチンを脱アセチル化して得られたキトサン(重量平均分子量80万、脱アセチル化度80%)を酸性水溶液(0.05N、塩酸水溶液)に溶解させて1%酸性水溶液100mlを調製したのち、得られた溶液をアルカリ性水溶液(0.05N、NaOH)100mlで中和し、ゲル化物を調製し、実施例1と同様にして水中に分散させガラス濾過器で洗浄したのち、水150mlに分散させた懸濁液とし、ホモジナイザーで粉砕したのち該懸濁液に抗ガン剤のアドリアマイシン(以下、ADMという)3mgを加えて混合し、ついで0℃の温度から−25℃まで−10℃/時間の割合で温度を下げていき、ついで、−25℃で20時間維持して凍結・凝集させることによって、アドリアマイシンが含有されているキトサンが凝集した固体状のキトサンシートを得た。
【0085】
得られた固体状のキトサンシートを真空凍結乾燥(−80℃、13.33Pa(10−1Torr)の減圧下、約10時間乾燥)させて、アドリアマイシンを含有する微細な空隙部を多く内蔵している多孔質スポンジ状のキトサンシート(淡黄色のスポンジ状のキトサンシート)(徐放性製剤)を製造した。
【0086】
得られた徐放性製剤は、厚さが約1.0mm、嵩比重が0.014であり、表面および裏面のいずれにもスキン層がなく、表面および裏面には、長径100〜600μm、短径60〜200μmで、概略扁平〜楕円形状の孔が、1mmあたり約30〜100個存在し、前記孔と孔との間には、厚さがおよそ0.5〜5.0μmの気泡の隔壁の断面に相当する部分が露出しており、厚さ方向に存在する気泡の数は約10〜30個/1mmであった。
【0087】
また、該徐放性製剤の空気の透過率(通気性:空気を用いて、室温20℃、圧力0.98MPa(10kgf/cm)で透過率を測定)が2×10cm/cm/分以上であり、また、水の透過率(水を用いて、30℃、水柱の高さ約5cmで透過率を測定)が3cm/cm/時間であった。
【0088】
(生体内での徐放性の検討)
得られた直径1cm、重さ1.3mgの円形の徐放性製剤(徐放性製剤1個に含まれるADMは、1.4μg)を、それぞれ5匹のマウス腹腔内に埋設し、そののちマウスの尿中に排泄されるADMの濃度を経時的に7日間HPLC(順相カラム装着)(励起波長480nm、蛍光波長560nm)で測定した。結果(マウス5匹の平均値)を表1および図1に示す。
【0089】
【表1】
Figure 2004231604
【0090】
前記マウス腹腔内に埋設した徐放性製剤を2カ月後に取り出し、洗浄後、溶媒(クロロホルム/メタノール)で抽出したADMの濃度をHPLC(順相カラム装着)(励起波長480nm、蛍光波長560nm)で測定し、抽出量を求めた結果、分解されていない状態のADMが1.3μg/g ウエット重量残存していた。
【0091】
(結果と考察)
徐放性製剤の形態学的な観察結果から、ADMを含有していないシート状のキトサン担体シートを走査型電子顕微鏡で観察すると、キトサンが複雑に凝集して微細な多孔状態を呈していた。
【0092】
徐放性製剤をマウス皮下に埋設したのちの観察では、貪食細胞と思われる細胞が担体シートに付着するとともに、それから放出されたリゾチームによって溶解されていると思われる状態が観察された。
【0093】
ADM含有キトサンシート(徐放性製剤)を腹腔内に埋設させ、経時的に尿中のADM濃度をHPLCで7日間測定した結果、1日目に高い値を示し、そののちほぼ一定の値で徐々に減少した。
【0094】
【発明の効果】
本発明の担体シートは、生分解性、抗菌性などを有する実質的にキトサンのみからなるシートであり、通気性・通液性を有している柔軟な新しい素材であるので、種々の用途に用いることができる。
【0095】
本発明の徐放性製剤は、柔軟なシート状体であり、病巣に合わせて成形したり裁断したりすることができる製剤であり、患者の局所に埋設することができ、担体シートが生分解するとともに、担体シートに含有または担持されている医薬化合物が徐放されるため、長い時間、薬理効果を維持することができる。
【0096】
本発明の製法によると、前記担体シートおよび徐放性製剤を工業的に再現性よく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で製造した徐放性製剤を5匹のマウス腹腔内に埋設したのち、5匹のマウスの尿中に排出されるADMの量を7日間HPLCで測定した結果(マウス5匹の平均値)を示すグラフである。

Claims (17)

  1. 高い脱アセチル化度のキトサンからなる担体シートであり、該シートが多孔質スポンジ状で、表裏のいずれにもスキン層を有さないことを特徴とする担体シート。
  2. 前記キトサンの重量平均分子量が30万〜130万である請求項1記載の担体シート。
  3. 前記キトサンの脱アセチル化度が50〜100%である請求項1記載の担体シート。
  4. 厚さ1.0mmの担体シートの空気透過率が1×10〜1×10cm/cm/分であって、水透過率が0.5〜50cm/cm/時間である請求項1記載の担体シート。
  5. 厚さが0.1〜10mmである請求項1記載の担体シート。
  6. 嵩比重が0.001〜0.1である請求項1記載の担体シート。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6記載の担体シートに医薬化合物が吸着または担持されていることを特徴とする徐放性製剤。
  8. 医薬化合物が抗ガン剤である請求項7記載の徐放性製剤。
  9. 医薬化合物がアドリアマイシンを含有する抗ガン剤である請求項7記載の徐放性製剤。
  10. 高い脱アセチル化度のキトサンを0.1〜10重量%の濃度になるように酸性水溶液に溶解したのち、アルカリ性水溶液で中和してゲル化させ、得られたゲル化物を水中に分散させ水性懸濁液としたのち0〜−5℃に冷却し、ついで該懸濁液の温度が実質的に均一となるようにゆっくりと温度を下げて−20〜−30℃の温度に冷却し、さらに冷却している懸濁液全体をその温度範囲に維持して凍結・凝集させるという3段階の冷却を行なうことによって、凍結した水分と凝集したキトサンとが一体に混在している固体状物を得、得られた固体状物を真空凍結乾燥するまたは常温まで昇温し、水分が内蔵されているゼリー状シートとし、ついで、該ゼリー状シートを乾燥させることを特徴とする請求項1記載の担体シートの製法。
  11. 前記3段階の冷却において、0〜−5℃の温度から冷却する際の冷却速度が、−0.1〜−20℃/時間の冷却速度である請求項10記載の製法。
  12. 前記3段階の冷却において、−20〜−30℃の温度に冷却した懸濁液を、その温度範囲に10〜30時間維持する請求項10記載の製法。
  13. 前記ゼリー状シートの乾燥が、常温〜60℃の温度、減圧または常圧下での乾燥である請求項10記載の製法。
  14. 高い脱アセチル化率のキトサンを酸性水溶液に0.1〜10重量%の濃度になるように酸性水溶液に溶解したのち、アルカリ性水溶液で中和してゲル化させ、得られたゲル化物を水中に分散させ、水性懸濁液とし、該懸濁液に医薬化合物を加えて混合したのち0〜−5℃に冷却し、ついで懸濁液の温度が実質的に均一となるようにゆっくりと温度を下げて−20〜−30℃の温度に冷却し、さらに冷却している懸濁液全体をその温度範囲に維持して凍結・凝集させるという3段階の冷却を行なうことによって、凍結した水分と凝集したキトサンと医薬化合物とが一体に混在している固体状物を得、得られた固体状物を真空凍結乾燥するまたは常温まで昇温し、水分が内蔵されているゼリー状シートとし、ついで、該ゼリー状シートを乾燥させることを特徴とする徐放性製剤の製法。
  15. 前記3段階の冷却において、0〜−5℃から冷却する際の冷却速度が−0.1〜−20℃/時間である請求項14記載の製法。
  16. 前記3段階の冷却において、−20〜−30℃の温度に冷却した懸濁液をその温度範囲に10〜30時間維持する請求項14記載の製法。
  17. 前記ゼリー状シートの乾燥が、常温〜60℃の温度、減圧または常圧下での乾燥である請求項14記載の製法。
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