JP2004215649A - 抗c反応性タンパク質モノクローナル抗体、これを産生する細胞株、抗c反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法、およびc反応性タンパク質検出キット - Google Patents
抗c反応性タンパク質モノクローナル抗体、これを産生する細胞株、抗c反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法、およびc反応性タンパク質検出キット Download PDFInfo
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Abstract
【課題】CRPの検出および測定を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供する。
【解決手段】図1に示すように、本発明の抗CRPモノクローナル抗体の作製方法は、CRPで免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合することによって、モノクローナル抗体を産生する細胞株を得る工程St1と、上記細胞株から産生されるモノクローナル抗体を、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する工程St2とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】図1に示すように、本発明の抗CRPモノクローナル抗体の作製方法は、CRPで免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合することによって、モノクローナル抗体を産生する細胞株を得る工程St1と、上記細胞株から産生されるモノクローナル抗体を、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する工程St2とを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体、これを産生する細胞株、抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法、およびC反応性タンパク質検出キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
C反応性タンパク質(CRPと略称される)は、肺炎患者の血液中に肺炎球菌の莢膜のC多糖体とCa2+存在下で沈降反応を示すタンパク質として見出された。CRPは、分子量約13万で、五量体であり、電気泳動によりβグロブリン分画に見出される、代表的な急性相反応物質であり、炎症性疾患、体内組織の壊死などがある時に著しく増加する血漿タンパク質である。CRPは、例えば、細菌またはウイルスでの感染症、慢性関節リュウマチなどの膠原病、悪性腫瘍、心筋梗塞、肝炎、肝硬変などの消化器疾患、あるいは大きな外傷のような広範囲の組織崩壊性疾患等に罹患している被検体では高い検出値を示す。
【0003】
このため、CRPの検査は、疾病を特定できるほどではないものの、被検体における組織崩壊性疾患の存在を検出するために非常に有用である。例えば、CRP抗体を用いて、体調不良者の事前検査(CRPとの抗原抗体反応が陽性の場合、疾患を特定するためのさらなる検査を行なう)、CRP量の定量による病態スクリーニング、治療効果の確認、予後の判定等を行なうことが出来る。
【0004】
従来、CRPを免疫学的手法により特異的に検出するために、ポリクローナル抗体である抗ヒトCRP血清が用いられている。従来のCRPの検査法のほとんどは、抗血清とCRPとの凝集反応による沈降線の有無または濁度の増加によってCRPを検査する。しかし、未精製の抗血清は、血清中の種々の抗原に対する種々の抗体を含むことが多いため、CRP以外の抗原を検出する可能性がある。そこで、検査においてCRP以外の抗原を誤って検出することを防ぐために、アフィニティークロマトグラフィーなどの手法を用いて抗血清中からヒト標準血清中のタンパク質に結合する抗体を取り除く。このことによって、ヒト標準血清においてCRP以外の抗原に由来する反応が起こらないようにすることが一般的である。
【0005】
また、抗CRPモノクローナル抗体を用いて免疫比濁法によりCRPを測定することも開示されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−192661号公報。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、抗ヒトCRP血清では、作製される血清毎に得られる抗ヒトCRP抗体群が異なる。このため、CRPとの反応性が変動するおそれがある。さらに、抗ヒトCRP血清を用いたヒトCRPの検出は、操作が煩雑であり、またCRPの定量も容易ではない。
【0008】
また、抗CRPモノクローナル抗体を用いて免疫比濁法によりCRPを測定することが上記特許文献1に開示されているが、実際には、抗CRPモノクローナル抗体とCRPとの凝集時に、それぞれの分子間の立体障害の影響などがある場合には、CRPの定量が困難になることがある。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、CRPの検出および測定を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法は、C反応性タンパク質で免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合することによって、モノクローナル抗体を産生する細胞株を得る工程(a)と、上記細胞株から産生されるモノクローナル抗体を、C反応性タンパク質、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、C反応性タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する工程(b)とを含む。
【0011】
本発明によれば、各細胞株から産生されるモノクローナル抗体について、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する。このため、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する交叉反応性が非常に低い抗CRPモノクローナル抗体を選択することができる。従って、CRPの検出および定量を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することができる。
【0012】
上記工程(b)において、C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない、モノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜することが好ましい。
【0013】
本発明の細胞株は、C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しないモノクローナル抗体を産生する。
【0014】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号であってもよい。
【0015】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7942号であってもよい。
【0016】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7939号であってもよい。
【0017】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7940号であってもよい。
【0018】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−8185号であってもよい。
【0019】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−8186号であってもよい。
【0020】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・
本発明の抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体は、C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない。
【0021】
本発明のC反応性タンパク質検出キットは、試料液中のC反応性タンパク質を検出するためのC反応性タンパク質検出キットであって、第1の抗体および第2の抗体を含み、上記第1の抗体が、抗C反応性タンパク質抗体であり、上記第2の抗体が、標識された抗C反応性タンパク質抗体であり、上記第1の抗体または上記第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体である。
【0022】
本発明のC反応性タンパク質検出キットでは、第1の抗体または第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗CRPモノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPに対しても結合能を有する抗体の存在量が大幅に減少する。従って、第1の抗体と第2の抗体とがほぼ確実にCRPを挟んでサンドイッチ状に結合し、抗原抗体反応による複合体を形成する。従って、例えば、従来の分光学的手段を用いる免疫測定法(免疫比濁法、免疫比ろう法等)に本発明のキットを適用することによって、CRPを高感度で正確に測定することができる。
【0023】
上記第1の抗体が、固相に固定化されており、上記第2の抗体が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であり、且つ移動相に含まれている。
【0024】
第2の抗体が補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPの存在を示す標識が検出されなくなる。従って、より高い感度で正確にCRPを検出および測定することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
簡便な方法でCRPの定量を行なうため、モノクローナル抗体を用いたサンドイッチ方式の免疫クロマトグラフィーがよく利用される。
【0027】
サンドイッチ方式の免疫クロマトグラフィーでは、2種類の抗体を用い、まず一方を固相に固定化しておく。次に標識したもう一方の抗体とCRPを反応させた後、これを移動相として固相部分に対して流す。その結果、2種類の抗体はCRPを介してサンドイッチ状に結合する。従って、CRPが存在する場合にのみ固相上で標識が確認される。
【0028】
CRPは、5個のペプチドが繰り返されている5量体(ペンタマー)であり、分子量約13万である。このため、CRPを挟んでサンドイッチ状に結合出来る抗体のペアを得ることは比較的容易である。しかし、本発明者らは、モノクローナル抗体を用いる場合、抗体が均一であるため、抗体の交叉反応性は、ポリクローナル抗体のみを用いる場合と比較して非常に大きな問題となることに気付いた。
【0029】
CRPのアミノ酸配列は、血清アミロイドPのアミノ酸配列と51%の相同性があり、また、CRPは、補体C1qのアミノ酸配列の一部分と相同性があることが知られている。そのため、CRPに対する抗体の中には、CRPだけでなく補体C1qおよび血清アミロイドPに対しても結合能を有する抗体が存在し得る。このような抗体をサンドイッチ法に用いると、CRPの正確な定量に支障をきたす恐れがある。従って、本発明者らは、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する交叉反応性が可能な限り低い抗CRPモノクローナル抗体を用いる必要があると考察した。
【0030】
そこで、本実施形態では、次に述べる方法で、抗CRPモノクローナル抗体およびこれを産生する細胞株を作製する。本実施形態の抗CRPモノクローナル抗体の作製方法を、図1を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の抗CRPモノクローナル抗体の作製方法は、CRPで免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合することによって、モノクローナル抗体を産生する細胞株を得る工程St1と、上記細胞株から産生されるモノクローナル抗体を、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する工程St2とを含む。
【0032】
本実施形態の方法によれば、各細胞株から産生されるモノクローナル抗体について、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する。このため、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する交叉反応性が非常に低い抗CRPモノクローナル抗体が得られる。従って、CRPの検出および定量を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することができる。
【0033】
上記工程St2において、CRPに対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない、モノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜することが好ましい。
【0034】
次に、各工程の詳細を順に説明する。なお、本実施形態においては、特に指示のない限り、当該分野で公知である、タンパク質の分離および分析法、ならびに免疫学的手法が採用され得る。これらの手法は、市販の酵素、キット、抗体、標識物質などを使用して行なうことができる。また、以下の説明で記載されているCRP、血清アミロイドP、および補体C1qは、すべてヒト由来のものである。 なお、本実施形態では、ヒトのCRP、およびそれに特異的に結合する抗ヒトCRPモノクローナル抗体について説明するが、本発明は、ヒト以外の哺乳類(イヌ、ネコ、ウシ、ウマなど)のCRPに特異的に結合する抗CRPモノクローナル抗体にも、全く同様に適用可能である。
【0035】
まず、工程St1の詳細を説明する。
【0036】
(免疫)
哺乳動物をCRPで免疫することによって、動物体内で抗体産生細胞を調製する。
【0037】
「哺乳動物」の例として、マウス、ラット、ウシ、ウサギ、ヤギが挙げられる。哺乳動物は、好ましくはマウスおよびラットであり、より好ましくはマウスである。免疫する哺乳動物がマウスまたはラットである場合、動物の取り扱い、免疫感作の点で都合がよい。マウスの例として、A/J系統、BALB/C系統、DBA/2系統、C57BL/6系統、C3H/He系統、SJL系統、NZB系統、CBA/JNCrj系統のマウスが挙げられる。BALB/C系統のマウスは、免疫後に血清中に高い抗体力価を示すので、CRPとの親和性が極めて高いモノクローナル抗体を得ることが可能である。血中抗体力価が、特異的なハイブリドーマの出来易さと関係していることは公知である。また、細胞株の確立後の腹水による抗体大量作製においては、BALB/C系統マウスが一般によく使用される。以上により、BALB/C系統のマウスは、CRPの免疫に好ましい例である。実験動物の齢は、特に限定されないが、代表的には、約4週齢〜約12週齢のマウスまたはラットであり、好ましくは約6〜約10週齢のマウスまたはラットであり、より好ましくは約7週齢のマウスまたはラットである。
【0038】
免疫に用いられるCRPは、ヒトCRP、そのモノマーサブユニット、またはそのフラグメントが用いられ、ヒトの血清から精製してもよいし、市販のものを用いてもよい。CRPは、通常、約80%以上の純度、好ましくは約90%以上の純度、さらに好ましくは約95%以上の純度、そして最も好ましくは約98%以上の純度で用いられる。
【0039】
免疫の前に、CRPは、免疫応答を増強させるためにアジュバントと混合され得る。アジュバントの例としては、油中水型乳剤(例えば、不完全フロイントアジュバント)、水中油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、水酸化アルミニウムゲル、シリカアジュバント、粉末ベントナイト、およびタピオカアジュバントの他に、BCG、Propionibacterium acnesなどの菌体、細胞壁およびトレハロースダイコレート(TDM)などの菌体成分;グラム陰性菌の内毒素であるリポ多糖体(LPS)およびリピドA画分;β−グルカン(多糖体);ムラミルジペプチド(MDP);ベスタチン;レバミゾールなどの合成化合物;胸腺ホルモン、胸腺ホルモン液性因子およびタフトシンなどの生体成分由来のタンパク質またはペプチド性物質;ならびにそれらの混合物(例えば、完全フロイントアジュバント)などが挙げられる。
【0040】
これらのアジュバントは、投与経路、投与量、投与時期などに依存して免疫応答の増強または抑制に効果を示す。さらにアジュバントの種類によって、抗原に対する血中抗体産生、細胞性免疫の誘導、免疫グロブリンのクラスなどに差が認められる。それゆえ、目的とする免疫応答に応じて、アジュバントを適切に選択することが好ましい。選択されたアジュバントの取扱い、例えばCRPとの混合方法などは当該分野で公知である。
【0041】
哺乳動物の免疫は、当該分野で公知の方法に従って行なわれる。例えば、抗原であるCRPは、哺乳動物の皮下、皮内、静脈、または腹腔内に注射され得る。免疫応答は、免疫される哺乳動物の種類および系統によって異なるので、免疫スケジュールは、使用される動物に合わせて適切に変更され得る。抗原投与は、最初の免疫の後に、何回か繰り返され得る。このような抗原投与を、追加免疫(ブースト)と称する。追加免疫は、例えば、最初の免疫から2週間後、4週間後、および6週間後に行なわれ得る。
【0042】
(抗体産生の確認)
免疫後、哺乳動物から採血し、得られた血液をCRP結合活性の存在についてアッセイすることにより、哺乳動物の体内でCRPに対する抗体が産生されていること、および免疫末期にはIgMからIgGへのクラススイッチが起こっていることを確認する(例えば、HarlowおよびLane、ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL、COLD SPRING HARBOR LABORATORY、New York(1988)を参照のこと)。
【0043】
適切なアッセイ方法の例として、酵素免疫測定法(ELISA法)、放射免疫アッセイ法(RIA)、蛍光抗体法が挙げられる。本発明では、CRPに対して高親和性を有する抗CRPモノクローナル抗体を得ることが望ましい。高親和性のモノクローナル抗体産生細胞を得るためには、抗血清の時点で高い抗体価を示している必要がある。
【0044】
(ブースト)
CRP結合性抗体の産生を確認した後、脾臓を肥大させるために、免疫原の追加投与を行ない得る。免疫原の追加投与(ブースト)で投与されるCRPの量は、最初に免疫されるCRPの量の約4〜5倍の量が望ましいが、これに限定されない。
【0045】
ブーストは、代表的には、CRPと不完全フロイントアジュバントとのエマルジョンを用いて行なわれる。ただし、最終免疫(細胞融合数日前の免疫原の追加投与)で投与されるCRPとしては、アジュバントを加えない、純粋品を用いることが好ましい。投与経路は、皮下、皮内、静脈、または腹腔内それぞれの投与によって、CRPの異なった部位を認識する抗体が得られる可能性があることを考慮して、適宜決定される。
【0046】
(細胞融合)
最終免疫後、免疫した哺乳動物から脾臓細胞を摘出し、骨髄腫由来の細胞株と細胞融合する。
【0047】
融合細胞の増殖能力は、細胞融合時に用いられる骨髄腫由来の細胞株の種類に依存するので、細胞融合には、増殖能力の優れた細胞株を用いることが好ましい。また、骨髄腫由来の細胞株は、融合する脾臓細胞の由来する哺乳動物と適合性があることが好ましい。骨髄腫由来の細胞株は、新たに調製してもよいし、市販のものを使用してもよい。マウスの骨髄腫由来の細胞株としては、P3X63−Ag8.653、Sp2/O−Ag14、FO・1、S194/5.XX0.BU.1、P3/NS1/1−Ag4−1などが挙げられる。抗体の断片を産生せず、かつ融合細胞の増殖能力が優れたものとなるため、P3X63−Ag8.653の使用が好ましい。従って、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞株が、マウス骨髄腫由来P3X63−Ag8.653である場合、短時間に多くの細胞を検定し得る。ラット骨髄腫由来の細胞株としては、210.RCY3.Ag.1.2.3、YB2/0などが挙げられる。
【0048】
細胞融合は、当該分野で公知の方法に従って行なわれる(KoehlerおよびMilstein、Nature 256:495[1975]、Kosborら、1983、Immunol. Today 4:72、Coteら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:2026、Coleら、MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCERTHERAPY、Alan R Liss Inc.、New York、NY、77−96頁[1985]などを参照のこと)。細胞融合法の例として、例えば、ポリエチレングリコール法、センダイウイルスを用いた方法、電流を利用する方法などが挙げられる。細胞毒性も比較的少なく、融合操作も容易で再現性が高いため、ポリエチレングリコール法が好ましい。
【0049】
得られた融合細胞は、当該分野で公知の条件に従って増殖させ得る。産生される抗体の結合能に基づいて、所望の融合細胞を選択し得る。
【0050】
以上の内容が、工程St1の詳細である。次に、工程St2の詳細を説明する。
【0051】
(細胞選別およびクローニング)
融合細胞から産生される抗体の結合能は、当該分野で公知の方法に基づいてアッセイされ得る。本発明においては、CRPに特異的に結合する抗体を産生する融合細胞を得るために、CRP、ならびに上述したようにCRPと相同性の高いタンパク質である、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する結合能に基づく選別を利用して、目的の細胞株がクローニングされる。本明細書中で「CRPに対して特異的に結合する抗体」とは、CRPに結合能を有する抗体をいう。このような「特異的に結合する抗体」は、CRPと最もよく反応し、本抗体が使用される一般的な状況において通常考えられるCRP以外の物質との反応とは区別可能である。
【0052】
結合能の評価はインヒビションELISA法によって行なわれ得る。本明細書で用いる用語「結合能を有する」は、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかかり、インヒビションの半値が約10−6M以下であることをいう。好ましくは、このインヒビションの半値は、約10−7M以下であり、より好ましくは、約10−8M以下であり、さらにより好ましくは、約10−9M以下である。なおより好ましくは、約10−10M以下である。本明細書で用いる用語「結合能を有さない」は、同じ測定においてインヒビションがかからないことをいう。用語「インヒビションがかかる」とは、固相に固定されたCRPに結合する抗体の量が、競合物質(インヒビター)の存在下で、インヒビターの不在下と比較して減少することをいう。用語「インヒビションがかからない」とは、固相に固定されたCRPに結合する抗体の量が、インヒビターの存在下および不在下で実質的に同等であることをいう。「インヒビションの半値」とは、インヒビターの不在下での吸光度(抗体結合量を反映する)の半分の吸光度が測定されるインヒビターの濃度をいう。
【0053】
抗体の結合能は、抗体産生の確認に関して上述したのと同様に、ELISA法、RIA法、蛍光抗体法などの方法を用いてアッセイされる。簡便に感度よく抗体を検出し得ることから、ELISA法が好ましい。
【0054】
融合細胞のクローニングには、当該分野で公知の方法が用いられ得る。クローニングの方法の例としては、限界希釈法、軟寒天法などが挙げられる。操作も容易で数多くの実績があり、再現性が高いため、限界希釈法が好ましい。
【0055】
細胞融合により得られた多くの融合細胞の中から、効率よく有用な細胞を選択するために、細胞選別は、クローニングの初期の段階から行なうことが好ましい。
【0056】
このようにして、望ましい結合能を有する抗体を産生する融合細胞株が最終的に選別される。選別された細胞株は、液体窒素中で半永久的に保存され得る。本発明のモノクローナル抗体産生細胞株によれば、それを培養することによりCRPに対する高い親和性を有し特異性の高い抗CRPモノクローナル抗体を半永久的に提供し得る。
【0057】
以上の内容が工程St2の詳細である。さらに、工程St2の後には以下に述べる工程が行なうことが好ましい。
【0058】
(抗体の精製)
上記のようにして選別されたモノクローナル抗体産生細胞株を大量培養することにより、CRPに対して特異的に結合するモノクローナル抗体を大量に産生し得る。モノクローナル抗体産生細胞株の大量培養方法として、インビボおよびインビトロでの培養が挙げられる。インビボでの大量培養の例としては、哺乳動物の腹腔内に融合細胞を注射して増殖させ、腹水中に抗体を産生させる方法が挙げられる。インビトロでの培養では、融合細胞が培地中で培養され、抗体が培地中に産生される。
【0059】
大量培養により得られた腹水または培養上清から、当該分野で公知の方法を用いて、本発明のモノクローナル抗体を精製し得る。精製のためには、例えば、DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、硫安分画法、PEG分画法、エタノール分画法などが適宜組み合わせて用いられる。本発明の抗体は、通常、約90%の純度、好ましくは約95%の純度、より好ましくは約98%の純度となるように精製される。
【0060】
(抗体の評価)
精製されたモノクローナル抗体の結合能を評価するために、ELISAプレートにCRPを吸着させ、得られたいくつかの抗体を反応させ、CRPでインヒビションを行なうことにより、結合能の高い抗体を選択した。結合能の高い抗体はCRPに対して高い感度の検出をするために有用である。
【0061】
以上のようにして、本発明の細胞株および抗体は作製され得る。本発明の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体は、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、CRPに対して結合能を有するモノクローナル抗体である。本発明の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体のCRPに対する結合能は、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかかり、インヒビションの半値が約10−6M以下であり、好ましくは、約10−7M以下であり、より好ましくは、約10−8M以下であり、さらにより好ましくは、約10−9M以下であり、なおより好ましくは、約10−10M以下である。このような抗CRPモノクローナル抗体は、代表的には、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7939号(MH−C3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERMBP−8186号(MH−C6)、同受託番号FERM BP・ERM BP・・
この抗CRPモノクローナル抗体は、好ましくは、CRPに対して結合能を有し、かつ補体1Cqおよび血清アミロイドPに対して結合能を有さないモノクローナル抗体である。すなわち、CRPに対しては、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかかり、インヒビションの半値が約10−6M以下、好ましくは、このインヒビションの半値は、約10−7M以下、より好ましくは、約10−8M以下であり、さらにより好ましくは、約10−9M以下、なおより好ましくは、約10−10M以下であるが、補体1Cqおよび血清アミロイドPに対しては、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかからない。このような抗CRPモノクローナル抗体は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM BP・・・
本発明による「抗CRPモノクローナル抗体」には、その結合特性を保持した機能性の断片もまた含まれる。これらの断片は、それらが由来するインタクトな抗体とCRPへの特異的結合について競合し得、少なくとも107、108、109M−1、または1010M−1の親和性で結合し得る。抗体の断片は、免疫グロブリンの重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、FabcおよびFvを含み得る。抗体の断片は、インタクトな免疫グロブリンの酵素的または化学的分離によって生じ得る。例えば、F(ab’)2断片は、HarlowおよびLane、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL、COLD SPRING HARBOR LABORATORY、New York(1988)に記載されたような標準的な方法を用い、pH3.0〜3.5においてペプシンでタンパク質消化することによってIgG分子から得ることができる。Fab断片は、限定的還元によってF(ab’)2断片から、あるいは還元剤の存在下パパイン消化によって全抗体から得ることができる(Paul、W.編、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY第2版 Ravan Press、N.Y.、1989、第7章を参照のこと)。
【0062】
本発明はまた、CRPを検出するためのキットを提供する。本発明のキットは、抗原抗体結合反応に基づいて試料液中のCRPを高感度に検出し得る。本発明のキットは、第1の抗体および第2の抗体を含み、第1の抗体が、抗CRP抗体であり、第2の抗体が、標識された抗CRP抗体である。特に、第1の抗体または第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗CRPモノクローナル抗体である。
【0063】
つまり、一方の抗体として上述したようなCRPに対して結合能を有し、かつ補体C1qおよび血清アミロイドPに対して結合能を有さないモノクローナル抗体を用い、他方の抗体としては、CRPに結合能を有する限り任意の抗体を使用し得る(これは、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい)。このような他方の抗体としては、市販により入手可能である従来の抗体も、使用され得る。好ましくはモノクローナル抗体が用いられ得る。
【0064】
本発明のキットでは、第1の抗体または第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗CRPモノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPに対しても結合能を有する抗体の存在量が大幅に減少する。従って、第1の抗体と第2の抗体とがほぼ確実にCRPを挟んでサンドイッチ状に結合し、抗原抗体反応による複合体を形成する。従って、例えば、従来の分光学的手段を用いる免疫測定法(免疫比濁法、免疫比ろう法等)に本発明のキットを適用することによって、CRPを高感度で正確に測定することができる。
【0065】
本実施形態において、上述の方法で作製された「抗CRPモノクローナル抗体」は、本発明のキットの第1の抗体および第2の抗体として使用され得る。このような抗体としては、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7939号(MH−C3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM BP−8186号(MH−C6)、同受託番号FERM BP・・・のみ結合能を有することが特に望ましい。従って、CRPに対して結合能を有し、かつ補体1Cqおよび血清アミロイドPに対して結合能を有さないモノクローナル抗体が好ましい。独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)号、同受託番号FERM
BP・・8339号(MH−IIC4)、または同受託番号FERM BP・
本発明のキットにおいて、第1の抗体および第2の抗体は、サンドイッチ反応において、第2の抗体が、第1の抗体が結合しなかった抗原上のエピトープを認識し、そこに結合し得るような任意の組み合わせで含まれる。第2の抗体は、第1の抗体が結合するエピトープに結合能を有さない抗体であることが好ましい。CRPは5量体であるので、第1の抗体および第2の抗体は同じ種類の抗体であってもよい。
【0066】
また、本発明のキットにおいて、第1の抗体が、固相に固定化されており、第2の抗体が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であり、且つ移動相に含まれているキットとしてもよい。
【0067】
CRPは、5量体を構成する各モノマー上にエピトープを有し得るので、サンドイッチ反応において、固定化された抗体および移動相中の標識抗体は、1つのCRP抗原について別個の構成モノマー上に存在するエピトープに結合し得る。特に、第2の抗体が補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPの存在を示す標識が検出されなくなる。従って、より高い感度で正確にCRPを検出および測定することができる。
【0068】
本発明のキットにおいて、例えば、第1の抗体と第2の抗体の組み合わせとして、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7939号(MH−C3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM BP−8186号(MH−C6)、同受託番号FERM BP・・・できる。
【0069】
上述の説明は、「第1の抗体」を「第2の抗体」と交換して用いる場合にも適用される。
【0070】
本発明のキットにおいてはまた、第1の抗体および第2の抗体がともに、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体であり得る。
【0071】
同様に、本発明のキットにおいては、第1の抗体および第2の抗体がともに、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3))の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体であってもよく、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体であっても、そして同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM
BP・・・
第2の抗体は、当該分野で公知の方法により任意の標識により標識され得る。標識の例としては、酵素標識、色素標識、磁性標識、放射性標識、色の付いた粒子(金コロイド、ラテックスなど)による標識などが挙げられる。
【0072】
通常、上記第1の抗体は、キットの固相(例えば、ELISAプレート)に固定化され得、そして上記第2の抗体は、移動相として使用され得る。
【0073】
本発明のキットは、当該分野で公知の方法により適切に作製され得る。本発明のキットは、1つまたはそれ以上の容器中に上記第1の抗体および上記第2の抗体を含み得る。キットはまた、CRPのサンドイッチアッセイにおける、抗体の使用を教示する説明教材を含み得る。キットは、標識の検出のため、または陽性コントロールおよび陰性コントロールを検出するための適切な試薬、洗浄溶液、希釈緩衝液などを含み得る。キットは、固相に吸着させるための固相抗原溶液、固相ブロッキング溶液、および検量線を作成するための標準CRP溶液を含み得る。すべての溶液は生体内と類似の環境をつくるため、PBS−Az(リン酸緩衝生理食塩水−アジ化ナトリウム溶液)を溶媒とするのが好ましい。固相ブロッキング溶液は、カゼイン、スキムミルク、ウシ血清アルブミンなどタンパク質溶液が好ましい。特に、カゼインは、牛乳を精製して得られるタンパク質であり、品質が安定し、安価なので好ましい。また、濃度は1%前後が効率よく固相をブロッキングできるので好ましい。標準のアルブミン溶液にも固相ブロッキング溶液と同じタンパク質溶液を用いるのが好ましく、その濃度も固相ブロッキング溶液と同様にするのが固相との平衡関係を効率よく保つことができるため、好ましい。
【0074】
以上のように、本発明におけるモノクローナル抗体産生細胞株の作製方法によれば、細胞株のクローニングにおいて、融合細胞から産生される抗体のCRP、補体C1q、血清アミロイドPに対する結合能を検定し、目的の細胞が選別される。そのため、細胞融合の後、初期に存在する多くの細胞から、効率よく有用な細胞が選択され得る。また、CRPに対する高い親和性を達成しながら、特異性の高い抗体を産生する細胞株が作製され得る。
【0075】
免疫測定法が酵素免疫測定法(ELISA法)である場合、抗体の結合能を簡便に感度良く検定し得る。
【0076】
哺乳動物の骨髄腫由来の細胞株が、マウス骨髄腫由来P3X63−Ag8.653である場合、抗体の断片を産生せず、さらに得られる融合細胞の増殖能力が特に優れているため、短時間に多くの細胞を検定し得る。
【0077】
免疫する哺乳動物がマウスまたはラットである場合、動物の取り扱い、免疫感作の点で都合がよい。免疫する哺乳動物がBALB/C系統マウスである場合、CRPとの親和性が極めて高いモノクローナル抗体を得ることが可能となる。
【0078】
本発明のモノクローナル抗体産生細胞株によれば、それを培養することにより、CRPに対する高い親和性を有し特異性の高い抗CRPモノクローナル抗体を半永久的に提供し得る。
【0079】
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法に使用すれば、補体C1qおよび血清アミロイドPとに交叉反応せず、高特異的なCRP検出キットを提供し得る。
【0080】
また、本発明の抗ヒトCRPモノクローナル抗体は、他の近縁の哺乳類のCRPにもほぼ同様に特異的に結合すると考えられる。このため、他の近縁の哺乳類のCRPの検出および測定にも利用可能であると考えられる。
【0081】
【実施例】
以下、本発明のモノクローナル抗体産生細胞株の作製についてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。実施例で使用した材料、試薬などは、他に特定のない限り、商業的な供給源から入手可能である。
【0082】
<酵素免疫測定法(ELISA法)>
以下の実施例においては、得られた抗血清、培養上清およびモノクローナル抗体の評価は、ELISA法により行なった。その操作法を以下に記載する。
【0083】
(A)抗原(CRP)のコーティング
CRPを、0.1mg/mL・BSA−PBS−Az(0.04重量%ナトリウムアジド−リン酸緩衝生理食塩水溶液にウシ血清アルブミン(以下BSAという)を0.1mg/mLの濃度で溶解したもの)を用いて、5μg/mLの濃度に調製した。マイクロプレート(ポリスチレン製高結合型平底#2580、コスター社製)に抗原溶液を100μl/ウェル注入し、室温で飽和水蒸気中に一晩保存した。実験直前に、アスピレータで抗原溶液を除去した。
【0084】
(B)ブロッキング
1重量%BSA−PBS−Azを200μl/ウェル注入し、30分間室温で放置した。その後、アスピレータで1重量%BSA−PBS−Azを除去した。以降の実験を即日に行なわないときは、この状態で、飽和水蒸気中に4℃で保存した。
【0085】
(C)抗体の反応
1重量%BSA−PBS−Azで種々の濃度に希釈した抗体溶液(抗血清、培養上清、精製抗体等)を50μl/ウェル、および1重量%BSA−PBS−Azを50μl/ウェルで注入した。相対的な親和性を測定する目的でインヒビション(阻害)実験を行なうときは、インヒビター溶液(CRP、補体C1q、または血清アミロイドPのいずれかを含む溶液)を50μl/ウェル注入した後、抗体溶液50μl/ウェルをさらに加え、振盪した。常温で1時間半放置した後、PBSで3回洗浄し、アスピレータで残存するPBSを除去した。
【0086】
(D)二次抗体の反応
0.2μg/mLのペルオキシダーゼ標識したヤギ由来の抗マウスIgG抗体(KPL社製)を1重量%BSAのPBS溶液に溶解したもの、または0.2μg/mLのペルオキシダーゼ標識したヤギ由来の抗マウスIgM抗体(KPL社製)を1重量%BSAのPBS溶液に溶解したものを100μl/ウェル注入し、常温で30分放置した。PBSで3回洗浄し、さらにアスピレータで残存するPBSを除去した。
【0087】
(E)基質の反応と停止
O−フェニレンジアミン(生化学用)40mgを10mLのクエン酸−リン酸バッファー(pH5)に溶解し、使用直前に30重量%過酸化水素水4μLを加えた溶液(基質溶液)を100μl/ウェル注入し、室温放置した。約3分後、4N硫酸を25μl/ウェル注入して反応を停止した。
【0088】
(F)測定
マイクロプレートリーダ(東洋ソーダ社製)を用いて492nmの吸光度を測定した。
【0089】
なお、本実施例では免疫測定法として酵素免疫測定法を用いたが、他にRIA法、蛍光抗体法等を用いてもよい。
【0090】
<実施例1>
本実施例においては、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0091】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積の完全アジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを得た。
【0092】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)4匹に、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを100μlずつ、皮下に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスに前回と同じ部位(皮下)に100μlずつ注射した。
【0093】
その後、免疫開始より4週間後および6週間後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを含む不完全フロイントアジュバントエマルジョンを、マウスに100μlずつ皮下に注射した。2回目の注射の1週間後と、4回目の注射の1週間後とにそれぞれ採血し、以下に示すように、抗体産生を確認した。
【0094】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA法)により抗体産生の確認をした。固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで調製した5μg/mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたマイクロプレートを使用した。第2抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0095】
その結果、4匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgGからIgMへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上でありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0096】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で特に力価の高かった1匹の脾臓を肥大させるために、最終免疫を行なった。免疫開始から10週間後、免疫原のCRPを、PBSを用いて1mg/mLの濃度に調製し、アジュバントを加えずにマウスに100μlずつ注射した。
【0097】
最終免疫後3日を経過したマウスの脾臓細胞を摘出した。平均分子量1,500のポリエチレングリコールを用いて、常法により、脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63−Ag8.653)とを融合させ、融合細胞を得た。
【0098】
融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート3枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0099】
(細胞選別およびクローニング)
細胞融合後5日目および7日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取し、抗体が産生されているかを、上述したようにELISA法により確認した。なお、上清を採取した時には、15重量%FCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を各100μl加えて、培養を継続した。
【0100】
細胞融合後9日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取すると共に、融合細胞を含む残りの培養液を12枚の24ウェルプレートに継代し、各ウェルに1mlの15重量%のFCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を加えた。採取した培養上清は、バインディングELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。バインディングELISA法は、抗原(本実施例では、CRP)への結合能を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、インヒビターを添加せずに行なった。
【0101】
融合細胞を24ウェルプレートに継代した5日後、細胞培養上清を200μl/ウェルずつ採取した。この培養上清を、バインディングELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。
【0102】
2回採取した培養上清のELISA法結果を合わせて、244ウェルから、CRPに対して結合能を有する、増殖状態の良い93ウェルを選択した。第1段階の選択のために、これらのウェルの細胞を、すべて16枚の6ウェルプレートに継代した。各ウェルには、4mlの15重量%のFCSを合むヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を加えた。
【0103】
これら採取した培養上清を、第1段階の選択として、インヒビションELISA法を用いて、CRPに対する結合能を測定した。インヒビションELISA法は、被験物質の、固相結合抗原と溶液相中のインヒビターとの相対的な親和性を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、以下に説明するようにインヒビターを添加して行なった。
【0104】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとして、CRPを使用した。抗体液として、細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、CRPに結合する抗体が存在すると、インヒビターとして添加された可溶性CRPと結合してインヒビションがかかる(固相CRPへの結合が阻害される)ので、ウェル中の発色は確認されない。
【0105】
この結果、第2段階の選択のために、CRPに対して結合能を示す、インヒビションELISAにおいてインヒビションがかかった8つのウェルを選択した。これらのウェルの細胞を第1段階の選択の3日後に、それぞれ中フラスコ(容量50ml)に継代した。各ウェルには、15重量%のFCSを合むHT培地45mlを加えた。
【0106】
第1段階の細胞選別の継代3日後、培養上清を採取し、第2段階の選択としてインヒビションELISA法を用いて、CRPに対する結合能を測定した。第2段階の選択に使用したインヒビションELISA法は、以下の通りである。
【0107】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRP、補体C1q(HUMAN C1q ANTIGEN、Cat#:AG704、CHEMICON製)、血清アミロイドP(AMYLOID P、Cat#:0490−2752、Biogenesis製)のいずれかを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、上清中で可溶化されたインヒビターと結合してインヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0108】
CRPでのみインヒビションがかかり、補体C1qまたは血清アミロイドPではインヒビションがかからなかった2つのウェルを選別した。
【0109】
上記2ウェル中の細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2個の細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロプレート各3枚に分注した。フィーダーとして生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時、細胞培養上清について上記の第2段階のインヒビションELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0110】
CRPに対して高い力価を示し、補体C1qまたは血清アミロイドPでインヒビションがかからず、かつ良好な増殖を示している細胞株を最終的に選別し、200mL中の培地中で5×105細胞/mLの濃度に至るまで培養を進めた。
【0111】
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を2株選定した。
【0112】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株の1つを細胞株名:MH−IIC1と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7941号)。
【0113】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさないもう1つの株を細胞株名:MH−IIC3と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7942号)。
【0114】
MH−IIC1株およびMH−IIC3株の産生する抗体を、それぞれMH−IIC1抗体およびMH−IIC3抗体と称する。
【0115】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して上清を取り除き、1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0116】
(抗体の精製)
選択した株を、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、遠心分離して培養上清を得た。この培養上清を、プロテインA結合ゲル(プロテインAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィにかけ、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−IIC1抗体およびMH−IIC3抗体)を精製した。
【0117】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清あるいは腹水を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/時間)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0118】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体およびMH−IIC3抗体)の精製画分は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0119】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製したモノクローナル抗体について、CRPの希釈系列を用いて、上記第2段階の選択におけるインヒビションELISA法と同一の条件で抗体評価を行なった。
【0120】
図2A〜Cは、MH−IIC1抗体について、図3A〜Cは、同様にMH−IIC3抗体について、それぞれCRP(図2Aおよび図3A)、補体C1q(図2Bおよび図3B)、および血清アミロイドP(図2Cおよび図3C)に対する結合能力を競争反応(インヒビション反応)で測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)、血清アミロイドP濃度(mg/dl)の対数値を示す。
【0121】
図2A〜Cに示すように、MH−IIC1抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約7×10−7Mであり、2〜3×10−7MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0122】
図3A〜Cに示すように、MH−IIC3抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約5×10−7Mであり、2〜3×10−7MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0123】
<実施例2>
本実施例においても、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0124】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積のアジュバント(ヒト結核死菌含有完全フロイントアジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを得た。
【0125】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)15匹に、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを100μlずつ腹腔内、あるいは皮下に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスに前回と同じ部位に100μlずつ注射した。
【0126】
その後、免疫開始より4週間後、6週間後、および半年後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを合む不完全フロイントアジュバントエマルジョンを、マウスに100μlずつ前回と同じ部位に注射した。2回目の注射の1週間後と4回目の注射の1週間後にそれぞれ採血し、以下に示す抗体産生を確認した。
【0127】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA法)により抗体産生の確認をした。固相として0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで調製した5μg/mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたマイクロプレートを使用した。二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0128】
その結果、15匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgMからIgGへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上ありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0129】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で特に力価の高かった3匹の脾臓を肥大させるために、最終免疫を行なった。免疫開始から6ヶ月後、免疫原のCRPを、PBSを用いて5mg/mLの濃度に調製し、アジュバントを加えずにマウスに100μlずつ注射した。
【0130】
最終免疫後3日を経過したマウスのうち1匹の脾臓細胞を摘出した。平均分子量1,500のポリエチレングリコールを用いて、常法により脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63−Ag8.653)とを融合させ、融合細胞を得た。
【0131】
融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を合むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート1枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0132】
(細胞選別およびクローニング)
1週間後、融合細胞の培養上清を100μl採取した。一方、融合細胞を含む残りの培養液を4枚の24ウェルプレートに継代し、各ウェルに1mlの15重量%のFCSを含むヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を加えた。
【0133】
融合細胞を24ウェルプレートに継代した4日後、細胞培養上清を150μl/ウェルずつ採取した。この培養上清と、上述の培養開始後1週間目に採取した培養上清を用いて、以下に示すバインディングELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。
【0134】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用した。抗体液として、細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。
【0135】
2回採取した培養上清のELISAの結果を合わせて、CRPに対して高い結合能を有する、増殖状態の良い53ウェルを確認した。第1段階の選択として、これらのウェルの細胞を、すべて9枚の6ウェルプレートに継代し、各ウェルに4mlの15重量%のFCSを合むHT培地を加えた。
【0136】
第1段階のための細胞選別の2日後、培養上清を採取し、インヒビションELISA法によりCRPに対する結合能を測定した。第1段階の選択に使用したインヒビションELISA法は、以下の通りである。
【0137】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRPを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、CRPに結合する抗体が存在すると、インヒビターとして添加された可溶性CRPと結合してインヒビションがかかる(固相CRPへの結合が阻害される)ので、ウェル中の発色は確認されない。
【0138】
この結果、第2段階の選択のために、CRPに対して高い結合能を示し、インヒビションELISA法においてインヒビションがかかったウェルを、22ウェル選別した。これらのウェルの細胞を、それぞれ中フラスコ(容量50ml)に継代した。培地は15重量%のFCSを含むHT培地を45mlずつ加えた。
【0139】
第1段階の選択を受けた細胞の継代3日後、培養上清を採取し、第2段階の選択としてインヒビションELISA法を用いてCRPに対する結合能を測定した。第2段階の選択に使用したインヒビションELISA法は、以下の通りである。
【0140】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRP、補体C1qまたは血清アミロイドPのいずれかを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、インヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0141】
CRPでのみインヒビションがかかり補体C1q、血清アミロイドPでインヒビションがかからなかったウェルを、2ウェル選別した。また、CRPと血清アミロイドPでインヒビションがかかり、補体C1qでインヒビションがかからなかったウェルを、2ウェル選別した。
【0142】
上記4ウェルの細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2ケの細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロプレート各2枚に分注した。フィーダー細胞として生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時細胞培養上清について上記のELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0143】
CRPに対して高い力価を示し、かつ良好な増殖を示している細胞株を最終的に選別し、200mL中の培地中で5×105細胞/mLの濃度に至るまで培養を進めた。
【0144】
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに対して交叉反応を起こさない株を1株選定した。また、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を1株選定した。
【0145】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに対して交叉反応を起こさない株を細胞株名:MH−C3と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7939号)。
【0146】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を細胞株名:MH−C4と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7940号)。
【0147】
MH−C3株およびMH−C4株の産生する抗体を、それぞれMH−C3抗体およびMH−C4抗体と称する。
【0148】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して上清を取り除き、1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0149】
(抗体の精製)
選択した2株を、それぞれ、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、その上清を遠心分離した。また、選択した2株を、それぞれ雌のBALB/Cマウスの腹腔内に注射して増殖させ、腹水を蓄積させた。蓄積した腹水を採取した。各株の培養上清あるいは腹水を、プロテインA結合ゲル(プロテインAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにかけ、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−C3抗体およびMH−C4抗体)を精製した。
【0150】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清あるいは腹水を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/h)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0151】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−C3およびMH−C4)の精製分画は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0152】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製した2種類のモノクローナル抗体について、CRPの希釈系列を用いて、上記第2段階の選択におけるインヒビションELISA法と同一条件で抗体評価を行なった。
【0153】
図4A〜Cは、MH−C3抗体について、図5A〜Cは、同様にMH−C4抗体について、それぞれCRP(図4Aおよび図5A)、補体C1q(図4Bおよび図5B)、および血清アミロイドP(図4Cおよび図5C)に対する結合能を測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、血清アミロイドP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)の対数値を示す。
【0154】
図4Aに示すように、MH−C3抗体では、インヒビションの半値が約8×10−9Mであり、2〜3×10−9M以上のCRPを検出できる可能性が示された。図4Bに示すように、補体C1qに対してはインヒビションがかからず、交叉反応しないことが確認できた。一方、図4Cに示すように、血清アミロイドPに対してはインヒビションの半値が約5×10−8Mであり、交叉反応することが示された。従って、このことは、MH−C3抗体が、補体C1qには結合能を有さないことを示す。
【0155】
図5Aに示すようにMH−C4抗体では、インヒビションの半値が約5×10−10Mであり、2×10−10M程度以上のCRPの検出感度を持つ可能性が示された。図5Bおよび図5Cに示すように、補体C1qおよび血清アミロイドPに対してはインヒビションがかからず、交叉反応しないことが確認できた。このことは、MH−C4抗体が、血清アミロイドPおよび補体C1qに結合能を有さないことを示す。
【0156】
<実施例3>
本実施例においても、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0157】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積の完全アジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを得た。
【0158】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)4匹に、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを100μlずつ、皮下に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスに前回と同じ部位(皮下)に100μlずつ注射した。
【0159】
その後、免疫開始より4週間後および6週間後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを含む不完全フロイントアジュバントエマルジョンを、マウスに100μlずつ皮下に注射した。2回目の注射の1週間後と、4回目の注射の1週間後とにそれぞれ採血し、以下に示すように、抗体産生を確認した。
【0160】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA法)により抗体産生の確認をした。固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで調製した5μg/mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたマイクロプレートを使用した。第2抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0161】
その結果、4匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgGからIgMへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上でありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0162】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で特に力価の高かった1匹の脾臓を肥大させるために、最終免疫を行なった。免疫開始から10週間後、免疫原のCRPを、PBSを用いて1mg/mLの濃度に調製し、アジュバントを加えずにマウスに100μlずつ注射した。
【0163】
最終免疫後3日を経過したマウスの脾臓細胞を摘出した。平均分子量1,500のポリエチレングリコールを用いて、常法により、脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63−Ag8.653)とを融合させ、融合細胞を得た。
【0164】
融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート3枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0165】
(細胞選別およびクローニング)
細胞融合後3日目および6日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル75μl採取し、抗体が産生されているかを、上述したようにELISA法により確認した。なお、上清を採取した時には、15重量%FCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を各100μl加えて、培養を継続した。
【0166】
細胞融合後8日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル75μl採取すると共に、融合細胞を含む残りの培養液を継代し、4枚の24ウェルプレートに播いた。なお、培地として、15重量%のFCSを含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を各900μlを加えた。
【0167】
細胞融合後12日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル200μl採取した。この培養上清を、バインディングELISA法によりIgGおよびIgM産生、ならびにインヒビションELISA法によりCRPによるインヒビションを評価した。この結果を受けて53ウェルを選択し、融合細胞を9枚の6ウェルプレートに継代した。各ウェルには、4mlの15重量%のFCSを合むヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を加えた。バインディングELISA法は、抗原(本実施例では、CRP)への結合能を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、インヒビターを添加せずに行なった。インヒビションELISA法は、被験物質の、固相結合抗原と溶液相中のインヒビターとの相対的な親和性を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、以下に説明するようにインヒビターを添加して行なった。固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとして、CRPを使用した。抗体液として、細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、CRPに結合する抗体が存在すると、インヒビターとして添加された可溶性CRPと結合してインヒビションがかかる(固相CRPへの結合が阻害される)ので、ウェル中の発色は確認されない。
【0168】
細胞融合後14日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル1ml採取した。この培養上清を、バインディングELISA法によりIgGのバインディング、および翌日、インヒビションELISA法によりCRPによるインヒビションを評価した。その結果、CRPに対して高い結合能を示し、インヒビションELISAにおいてインヒビションがかかったウェルのうち23ウェルを選択し、融合細胞を中フラスコ(容量250ml)に継代した。各フラスコには、45mlの15重量%のFCSを合むHT培地を加えた。
【0169】
今までの全ての評価データを総合し、細胞融合後16日目に、4ウェル分を選択した。
【0170】
上記4ウェル中の細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2個の細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロプレート各2枚に分注した。フィーダーとして生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時、細胞培養上清について以下に示すようなインヒビションELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0171】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRP、補体C1q(HUMAN C1q ANTIGEN、Cat#:AG704、CHEMICON製)、血清アミロイドP(AMYLOID P、Cat#:0490−2752、Biogenesis製)のいずれかを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、上清中で可溶化されたインヒビターと結合してインヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0172】
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を1株選定した。また、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに交叉反応を起こさないが、血清アミロイドPに対して弱い交叉反応を示す株を1株選定した。
【0173】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を細胞株名:MH−C5と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年9月18日に寄託した(受託番号FERM BP−8185号)。
【0174】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに交叉反応を起こさないが、血清アミロイドPに対して弱い交叉反応を示す株を細胞株名:MH−C6と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年9月18日に寄託した(受託番号FERM BP−8186号)。
【0175】
MH−C5株およびMH−C6株の産生する抗体を、それぞれMH−C5抗体およびMH−C6抗体と称する。
【0176】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して上清を取り除き、1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0177】
(抗体の精製)
選択した株を、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、遠心分離して培養上清を得た。また、選択した2株を、それぞれ雌のBALB/Cマウスの腹腔内に注射して増殖させ、腹水を蓄積させ採取した。各株の培養上清あるいは腹水を、プロテインA結合ゲル(プロテインAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィにかけ、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−C5抗体およびMH−C6抗体)を精製した。
【0178】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清あるいは腹水を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/時間)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0179】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−C5抗体およびMH−C6抗体)の精製画分は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0180】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製したモノクローナル抗体について、CRPの希釈系列を用いて、上記第2段階の選択におけるインヒビションELISA法と同一の条件で抗体評価を行なった。
【0181】
図6A〜Cは、MH−C5抗体について、図7A〜Cは、同様にMH−C6抗体について、それぞれCRP(図6Aおよび図7A)、補体C1q(図6Bおよび図7B)、および血清アミロイドP(図6Cおよび図7C)に対する結合能力を競争反応(インヒビション反応)で測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)、血清アミロイドP濃度(mol/L、以下Mと標記する)の対数値を示す。
【0182】
図6Aに示すように、MH−C5抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約1×10−10Mであり、2〜3×10−11MのCRPを検出できる可能性が示された。図6BおよびCに示すように、MH−C5抗体の固相のCRPへの結合は、インヒビターとしてのC1qおよびアミロイドPの存在によっては阻害されなかった。このことは、MH−C5抗体が血清アミロイドPおよび補体C1qには結合能を有さないことを示す。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0183】
図7Aに示すように、MH−C6抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約3〜5×10−10Mであり、2×10−10MのCRPを検出できる可能性が示された。図7Cに示すように、インヒビターとしてのアミロイドPによりMH−C6抗体の固相のCRPへの結合は阻害され、インヒビションがかかるが、このときインヒビションの半値は約1×10−7Mであり、検出限界は約1×10−8M程度である。ヒト血清アミロイドPの正常血漿レベルは約30mg/L、つまり約2.4×10−7Mである。抗体を検査キットに組込むと、通常、様々な要因により抗体の感度が低下する。しかし、MH−C6抗体の血清アミロイドPに対する上記の感度は、この抗体を検査キットに組込んだ場合でも、正常血漿中の血清アミロイドPとはほとんど反応が起きない感度であるし、交叉性のないMH−C5のような抗体と共に用いると実用上問題はないと考えられる。
【0184】
<実施例4>
本実施例においては、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0185】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積の完全アジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND, DIFCO LABORATORIES 社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを得た。
【0186】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)4匹に、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを400μlずつ腹腔に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND, DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスの腹腔に400μlずつ注射した。
【0187】
その後、免疫開始より4週間後および6週間後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを含む不完全フロイントアジュバントを用いて同様に作製したエマルジョンを、マウスに400μlずつ皮下に注射した。2回目の注射の1週間後と4回目の注射の1週間後にそれぞれ採血し、以下に示す抗体産生を確認した。
【0188】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA)により抗体産生の確認をした。固相として0.1mg/mL・BSA・・mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたものを使用した。第2抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0189】
その結果、4匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgGからIgMへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上ありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0190】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で2匹の脾臓を肥大させるために、免疫原のCRPをPBSを用いて5mg/mLの濃度に調製し、アジュパントを加えずにマウスに100μlずつ注射し、最終免疫を行なった。
【0191】
最終免疫後3日を経過した2匹のマウス(マウス番号#3−2、#3−3)それぞれの脾臓細胞を摘出した。平均分子量1、500のポリエチレングリコールを用いて、常法により脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63・
それぞれの融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート各3枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0192】
(細胞選別およびクローニング)
細胞融合後5日目、7日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取し、抗体が産生されているかELISA法により確認を行なった。なお、上清を採取した時には、15重量%FCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を各100μl加えて培養を継続した。
【0193】
細胞融合後9日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取すると共に、融合細胞を含む残りの培養液を12枚の24ウェルプレートに継代し、各ウェルに1mlの15重量%のFCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を加えた。採取した培養上清は、ELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。
【0194】
その後、数日おきに上清の評価を行なってウェルの選択をすると共にスケールアップを行ない、HT培地により培養を継続した。
融合細胞を6ウェルプレートに継代した3日後、細胞培養上清を各ウェル200μl/ウェルずつ採取し、以下に示すELISA法によりCRPに対する結合能を測定した。
【0195】
固相として、0.1mg/mL・BSA・・抗体液として細胞培養上清を使用した。第2抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、インヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0196】
CRPでのみインヒビションがかかり補体C1q、血清アミロイドPでインヒビションがかからなかったウェルを、マウス番号#3−2由来分より2ウェル選別し、マウス番号#3−3由来分より1ウェル選別した。
【0197】
上記3ウェルの細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2ケの細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロブレート各3枚に分注した。フィーダーとして生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時細胞培養上清について上記のELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0198】
CRPに対して高い力価を示し、補体C1q、血清アミロイドPでインヒビションがかからず、かつ良好な増殖を示している細胞株を最終的に選別し、200mL中の培地中で5×105細胞/mLの濃度に至るまで培養を進めた。
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株をマウス番号#3−2由来分より2株、マウス番号#3−3由来分より1株の計3株選定した。
【0199】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさないマウス番号#3−2由来の株の一つを細胞株名:MH−IIC2と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成15年3月24日に国際寄託した(受託番号FERM BP−8338号)。別の株を細胞株名:MH−IIC4と命名し、寄託センターに平成15年3月24日に国際寄託した(受託番号FERM BP−8339号)。
【0200】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさないマウス番号#3−3由来の株の一つを細胞株名:MH−IIC5と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成15年3月24日に国際寄託した(受託番号FERM BP−8340号)。
MH−IIC2株、MH−IIC4株およびMH−IIC5株の産生する抗体を、それぞれMH−IIC2抗体、MH−IIC4抗体およびMH−IIC5抗体と称する。
【0201】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して培養上清を取り除き、約1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0202】
(抗体の精製)
選択した3株を、それぞれ、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、その上清を遠心分離により採取した。各株の培養上清を、リコンビナントプロテインA結合ゲル(リコンビナントプロティンAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−IIC2抗体、MH−IIC4抗体、MH−IIC5抗体)を精製した。
【0203】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/h)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0204】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体、MH−IIC4抗体、MH−IIC5抗体)の精製分画は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0205】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製した3種類のモノクローナル抗体について、CRP、血清アミロイドP、および補体C1qの希釈系列を用いて、上記の選択におけるインヒビションELISA法と同一条件で抗体評価を行なった。
【0206】
図8A〜Cは、MH−IIC2抗体について、図9A〜Cは、同様にMH−IIC4抗体について、図10A〜Cは、同様にMH−IIC5抗体について、それぞれCRP(図8A、図9Aおよび図10A)、補体C1q(図8B、図9Bおよび図10B)、および血清アミロイドP(図8C、図9Cおよび図10C)に対する結合能力を競争反応(インヒビション反応)で測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)、血清アミロイドP濃度(mg/dl、以下Mと標記する)の対数値を示す。
【0207】
図8A〜Cに示すように、MH−IIC2抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約1.5×10・Mであり、2〜3×10・MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0208】
図9A〜Cに示すように、MH−IIC4抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約2.5×10・Mであり、2〜3×10・MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0209】
図10A〜Cに示すように、MH−IIC5抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約2×10・Mであり、2〜3×10・MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0210】
【発明の効果】
本発明により、CRPの検出および測定を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図2A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図2B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図2C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図3A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC3抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図3B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC3抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図3C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC3抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図4A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C3抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図4B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C3抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図4C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C3抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図5A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C4抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図5B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C4抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図5C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C4抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図6A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C5抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図6B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C5抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図6C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C5抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図7A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C6抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図7B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C6抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図7C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C6抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図8A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図8B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図8C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図9A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC4抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図9B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC4抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図9C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC4抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図10A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC5抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図10B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC5抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図10C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC5抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体、これを産生する細胞株、抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法、およびC反応性タンパク質検出キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
C反応性タンパク質(CRPと略称される)は、肺炎患者の血液中に肺炎球菌の莢膜のC多糖体とCa2+存在下で沈降反応を示すタンパク質として見出された。CRPは、分子量約13万で、五量体であり、電気泳動によりβグロブリン分画に見出される、代表的な急性相反応物質であり、炎症性疾患、体内組織の壊死などがある時に著しく増加する血漿タンパク質である。CRPは、例えば、細菌またはウイルスでの感染症、慢性関節リュウマチなどの膠原病、悪性腫瘍、心筋梗塞、肝炎、肝硬変などの消化器疾患、あるいは大きな外傷のような広範囲の組織崩壊性疾患等に罹患している被検体では高い検出値を示す。
【0003】
このため、CRPの検査は、疾病を特定できるほどではないものの、被検体における組織崩壊性疾患の存在を検出するために非常に有用である。例えば、CRP抗体を用いて、体調不良者の事前検査(CRPとの抗原抗体反応が陽性の場合、疾患を特定するためのさらなる検査を行なう)、CRP量の定量による病態スクリーニング、治療効果の確認、予後の判定等を行なうことが出来る。
【0004】
従来、CRPを免疫学的手法により特異的に検出するために、ポリクローナル抗体である抗ヒトCRP血清が用いられている。従来のCRPの検査法のほとんどは、抗血清とCRPとの凝集反応による沈降線の有無または濁度の増加によってCRPを検査する。しかし、未精製の抗血清は、血清中の種々の抗原に対する種々の抗体を含むことが多いため、CRP以外の抗原を検出する可能性がある。そこで、検査においてCRP以外の抗原を誤って検出することを防ぐために、アフィニティークロマトグラフィーなどの手法を用いて抗血清中からヒト標準血清中のタンパク質に結合する抗体を取り除く。このことによって、ヒト標準血清においてCRP以外の抗原に由来する反応が起こらないようにすることが一般的である。
【0005】
また、抗CRPモノクローナル抗体を用いて免疫比濁法によりCRPを測定することも開示されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−192661号公報。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、抗ヒトCRP血清では、作製される血清毎に得られる抗ヒトCRP抗体群が異なる。このため、CRPとの反応性が変動するおそれがある。さらに、抗ヒトCRP血清を用いたヒトCRPの検出は、操作が煩雑であり、またCRPの定量も容易ではない。
【0008】
また、抗CRPモノクローナル抗体を用いて免疫比濁法によりCRPを測定することが上記特許文献1に開示されているが、実際には、抗CRPモノクローナル抗体とCRPとの凝集時に、それぞれの分子間の立体障害の影響などがある場合には、CRPの定量が困難になることがある。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、CRPの検出および測定を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法は、C反応性タンパク質で免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合することによって、モノクローナル抗体を産生する細胞株を得る工程(a)と、上記細胞株から産生されるモノクローナル抗体を、C反応性タンパク質、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、C反応性タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する工程(b)とを含む。
【0011】
本発明によれば、各細胞株から産生されるモノクローナル抗体について、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する。このため、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する交叉反応性が非常に低い抗CRPモノクローナル抗体を選択することができる。従って、CRPの検出および定量を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することができる。
【0012】
上記工程(b)において、C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない、モノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜することが好ましい。
【0013】
本発明の細胞株は、C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しないモノクローナル抗体を産生する。
【0014】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号であってもよい。
【0015】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7942号であってもよい。
【0016】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7939号であってもよい。
【0017】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7940号であってもよい。
【0018】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−8185号であってもよい。
【0019】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−8186号であってもよい。
【0020】
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・
上記細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・
本発明の抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体は、C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない。
【0021】
本発明のC反応性タンパク質検出キットは、試料液中のC反応性タンパク質を検出するためのC反応性タンパク質検出キットであって、第1の抗体および第2の抗体を含み、上記第1の抗体が、抗C反応性タンパク質抗体であり、上記第2の抗体が、標識された抗C反応性タンパク質抗体であり、上記第1の抗体または上記第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体である。
【0022】
本発明のC反応性タンパク質検出キットでは、第1の抗体または第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗CRPモノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPに対しても結合能を有する抗体の存在量が大幅に減少する。従って、第1の抗体と第2の抗体とがほぼ確実にCRPを挟んでサンドイッチ状に結合し、抗原抗体反応による複合体を形成する。従って、例えば、従来の分光学的手段を用いる免疫測定法(免疫比濁法、免疫比ろう法等)に本発明のキットを適用することによって、CRPを高感度で正確に測定することができる。
【0023】
上記第1の抗体が、固相に固定化されており、上記第2の抗体が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であり、且つ移動相に含まれている。
【0024】
第2の抗体が補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPの存在を示す標識が検出されなくなる。従って、より高い感度で正確にCRPを検出および測定することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
簡便な方法でCRPの定量を行なうため、モノクローナル抗体を用いたサンドイッチ方式の免疫クロマトグラフィーがよく利用される。
【0027】
サンドイッチ方式の免疫クロマトグラフィーでは、2種類の抗体を用い、まず一方を固相に固定化しておく。次に標識したもう一方の抗体とCRPを反応させた後、これを移動相として固相部分に対して流す。その結果、2種類の抗体はCRPを介してサンドイッチ状に結合する。従って、CRPが存在する場合にのみ固相上で標識が確認される。
【0028】
CRPは、5個のペプチドが繰り返されている5量体(ペンタマー)であり、分子量約13万である。このため、CRPを挟んでサンドイッチ状に結合出来る抗体のペアを得ることは比較的容易である。しかし、本発明者らは、モノクローナル抗体を用いる場合、抗体が均一であるため、抗体の交叉反応性は、ポリクローナル抗体のみを用いる場合と比較して非常に大きな問題となることに気付いた。
【0029】
CRPのアミノ酸配列は、血清アミロイドPのアミノ酸配列と51%の相同性があり、また、CRPは、補体C1qのアミノ酸配列の一部分と相同性があることが知られている。そのため、CRPに対する抗体の中には、CRPだけでなく補体C1qおよび血清アミロイドPに対しても結合能を有する抗体が存在し得る。このような抗体をサンドイッチ法に用いると、CRPの正確な定量に支障をきたす恐れがある。従って、本発明者らは、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する交叉反応性が可能な限り低い抗CRPモノクローナル抗体を用いる必要があると考察した。
【0030】
そこで、本実施形態では、次に述べる方法で、抗CRPモノクローナル抗体およびこれを産生する細胞株を作製する。本実施形態の抗CRPモノクローナル抗体の作製方法を、図1を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の抗CRPモノクローナル抗体の作製方法は、CRPで免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合することによって、モノクローナル抗体を産生する細胞株を得る工程St1と、上記細胞株から産生されるモノクローナル抗体を、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する工程St2とを含む。
【0032】
本実施形態の方法によれば、各細胞株から産生されるモノクローナル抗体について、CRP、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する。このため、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する交叉反応性が非常に低い抗CRPモノクローナル抗体が得られる。従って、CRPの検出および定量を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することができる。
【0033】
上記工程St2において、CRPに対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない、モノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜することが好ましい。
【0034】
次に、各工程の詳細を順に説明する。なお、本実施形態においては、特に指示のない限り、当該分野で公知である、タンパク質の分離および分析法、ならびに免疫学的手法が採用され得る。これらの手法は、市販の酵素、キット、抗体、標識物質などを使用して行なうことができる。また、以下の説明で記載されているCRP、血清アミロイドP、および補体C1qは、すべてヒト由来のものである。 なお、本実施形態では、ヒトのCRP、およびそれに特異的に結合する抗ヒトCRPモノクローナル抗体について説明するが、本発明は、ヒト以外の哺乳類(イヌ、ネコ、ウシ、ウマなど)のCRPに特異的に結合する抗CRPモノクローナル抗体にも、全く同様に適用可能である。
【0035】
まず、工程St1の詳細を説明する。
【0036】
(免疫)
哺乳動物をCRPで免疫することによって、動物体内で抗体産生細胞を調製する。
【0037】
「哺乳動物」の例として、マウス、ラット、ウシ、ウサギ、ヤギが挙げられる。哺乳動物は、好ましくはマウスおよびラットであり、より好ましくはマウスである。免疫する哺乳動物がマウスまたはラットである場合、動物の取り扱い、免疫感作の点で都合がよい。マウスの例として、A/J系統、BALB/C系統、DBA/2系統、C57BL/6系統、C3H/He系統、SJL系統、NZB系統、CBA/JNCrj系統のマウスが挙げられる。BALB/C系統のマウスは、免疫後に血清中に高い抗体力価を示すので、CRPとの親和性が極めて高いモノクローナル抗体を得ることが可能である。血中抗体力価が、特異的なハイブリドーマの出来易さと関係していることは公知である。また、細胞株の確立後の腹水による抗体大量作製においては、BALB/C系統マウスが一般によく使用される。以上により、BALB/C系統のマウスは、CRPの免疫に好ましい例である。実験動物の齢は、特に限定されないが、代表的には、約4週齢〜約12週齢のマウスまたはラットであり、好ましくは約6〜約10週齢のマウスまたはラットであり、より好ましくは約7週齢のマウスまたはラットである。
【0038】
免疫に用いられるCRPは、ヒトCRP、そのモノマーサブユニット、またはそのフラグメントが用いられ、ヒトの血清から精製してもよいし、市販のものを用いてもよい。CRPは、通常、約80%以上の純度、好ましくは約90%以上の純度、さらに好ましくは約95%以上の純度、そして最も好ましくは約98%以上の純度で用いられる。
【0039】
免疫の前に、CRPは、免疫応答を増強させるためにアジュバントと混合され得る。アジュバントの例としては、油中水型乳剤(例えば、不完全フロイントアジュバント)、水中油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、水酸化アルミニウムゲル、シリカアジュバント、粉末ベントナイト、およびタピオカアジュバントの他に、BCG、Propionibacterium acnesなどの菌体、細胞壁およびトレハロースダイコレート(TDM)などの菌体成分;グラム陰性菌の内毒素であるリポ多糖体(LPS)およびリピドA画分;β−グルカン(多糖体);ムラミルジペプチド(MDP);ベスタチン;レバミゾールなどの合成化合物;胸腺ホルモン、胸腺ホルモン液性因子およびタフトシンなどの生体成分由来のタンパク質またはペプチド性物質;ならびにそれらの混合物(例えば、完全フロイントアジュバント)などが挙げられる。
【0040】
これらのアジュバントは、投与経路、投与量、投与時期などに依存して免疫応答の増強または抑制に効果を示す。さらにアジュバントの種類によって、抗原に対する血中抗体産生、細胞性免疫の誘導、免疫グロブリンのクラスなどに差が認められる。それゆえ、目的とする免疫応答に応じて、アジュバントを適切に選択することが好ましい。選択されたアジュバントの取扱い、例えばCRPとの混合方法などは当該分野で公知である。
【0041】
哺乳動物の免疫は、当該分野で公知の方法に従って行なわれる。例えば、抗原であるCRPは、哺乳動物の皮下、皮内、静脈、または腹腔内に注射され得る。免疫応答は、免疫される哺乳動物の種類および系統によって異なるので、免疫スケジュールは、使用される動物に合わせて適切に変更され得る。抗原投与は、最初の免疫の後に、何回か繰り返され得る。このような抗原投与を、追加免疫(ブースト)と称する。追加免疫は、例えば、最初の免疫から2週間後、4週間後、および6週間後に行なわれ得る。
【0042】
(抗体産生の確認)
免疫後、哺乳動物から採血し、得られた血液をCRP結合活性の存在についてアッセイすることにより、哺乳動物の体内でCRPに対する抗体が産生されていること、および免疫末期にはIgMからIgGへのクラススイッチが起こっていることを確認する(例えば、HarlowおよびLane、ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL、COLD SPRING HARBOR LABORATORY、New York(1988)を参照のこと)。
【0043】
適切なアッセイ方法の例として、酵素免疫測定法(ELISA法)、放射免疫アッセイ法(RIA)、蛍光抗体法が挙げられる。本発明では、CRPに対して高親和性を有する抗CRPモノクローナル抗体を得ることが望ましい。高親和性のモノクローナル抗体産生細胞を得るためには、抗血清の時点で高い抗体価を示している必要がある。
【0044】
(ブースト)
CRP結合性抗体の産生を確認した後、脾臓を肥大させるために、免疫原の追加投与を行ない得る。免疫原の追加投与(ブースト)で投与されるCRPの量は、最初に免疫されるCRPの量の約4〜5倍の量が望ましいが、これに限定されない。
【0045】
ブーストは、代表的には、CRPと不完全フロイントアジュバントとのエマルジョンを用いて行なわれる。ただし、最終免疫(細胞融合数日前の免疫原の追加投与)で投与されるCRPとしては、アジュバントを加えない、純粋品を用いることが好ましい。投与経路は、皮下、皮内、静脈、または腹腔内それぞれの投与によって、CRPの異なった部位を認識する抗体が得られる可能性があることを考慮して、適宜決定される。
【0046】
(細胞融合)
最終免疫後、免疫した哺乳動物から脾臓細胞を摘出し、骨髄腫由来の細胞株と細胞融合する。
【0047】
融合細胞の増殖能力は、細胞融合時に用いられる骨髄腫由来の細胞株の種類に依存するので、細胞融合には、増殖能力の優れた細胞株を用いることが好ましい。また、骨髄腫由来の細胞株は、融合する脾臓細胞の由来する哺乳動物と適合性があることが好ましい。骨髄腫由来の細胞株は、新たに調製してもよいし、市販のものを使用してもよい。マウスの骨髄腫由来の細胞株としては、P3X63−Ag8.653、Sp2/O−Ag14、FO・1、S194/5.XX0.BU.1、P3/NS1/1−Ag4−1などが挙げられる。抗体の断片を産生せず、かつ融合細胞の増殖能力が優れたものとなるため、P3X63−Ag8.653の使用が好ましい。従って、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞株が、マウス骨髄腫由来P3X63−Ag8.653である場合、短時間に多くの細胞を検定し得る。ラット骨髄腫由来の細胞株としては、210.RCY3.Ag.1.2.3、YB2/0などが挙げられる。
【0048】
細胞融合は、当該分野で公知の方法に従って行なわれる(KoehlerおよびMilstein、Nature 256:495[1975]、Kosborら、1983、Immunol. Today 4:72、Coteら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:2026、Coleら、MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCERTHERAPY、Alan R Liss Inc.、New York、NY、77−96頁[1985]などを参照のこと)。細胞融合法の例として、例えば、ポリエチレングリコール法、センダイウイルスを用いた方法、電流を利用する方法などが挙げられる。細胞毒性も比較的少なく、融合操作も容易で再現性が高いため、ポリエチレングリコール法が好ましい。
【0049】
得られた融合細胞は、当該分野で公知の条件に従って増殖させ得る。産生される抗体の結合能に基づいて、所望の融合細胞を選択し得る。
【0050】
以上の内容が、工程St1の詳細である。次に、工程St2の詳細を説明する。
【0051】
(細胞選別およびクローニング)
融合細胞から産生される抗体の結合能は、当該分野で公知の方法に基づいてアッセイされ得る。本発明においては、CRPに特異的に結合する抗体を産生する融合細胞を得るために、CRP、ならびに上述したようにCRPと相同性の高いタンパク質である、補体C1qおよび血清アミロイドPに対する結合能に基づく選別を利用して、目的の細胞株がクローニングされる。本明細書中で「CRPに対して特異的に結合する抗体」とは、CRPに結合能を有する抗体をいう。このような「特異的に結合する抗体」は、CRPと最もよく反応し、本抗体が使用される一般的な状況において通常考えられるCRP以外の物質との反応とは区別可能である。
【0052】
結合能の評価はインヒビションELISA法によって行なわれ得る。本明細書で用いる用語「結合能を有する」は、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかかり、インヒビションの半値が約10−6M以下であることをいう。好ましくは、このインヒビションの半値は、約10−7M以下であり、より好ましくは、約10−8M以下であり、さらにより好ましくは、約10−9M以下である。なおより好ましくは、約10−10M以下である。本明細書で用いる用語「結合能を有さない」は、同じ測定においてインヒビションがかからないことをいう。用語「インヒビションがかかる」とは、固相に固定されたCRPに結合する抗体の量が、競合物質(インヒビター)の存在下で、インヒビターの不在下と比較して減少することをいう。用語「インヒビションがかからない」とは、固相に固定されたCRPに結合する抗体の量が、インヒビターの存在下および不在下で実質的に同等であることをいう。「インヒビションの半値」とは、インヒビターの不在下での吸光度(抗体結合量を反映する)の半分の吸光度が測定されるインヒビターの濃度をいう。
【0053】
抗体の結合能は、抗体産生の確認に関して上述したのと同様に、ELISA法、RIA法、蛍光抗体法などの方法を用いてアッセイされる。簡便に感度よく抗体を検出し得ることから、ELISA法が好ましい。
【0054】
融合細胞のクローニングには、当該分野で公知の方法が用いられ得る。クローニングの方法の例としては、限界希釈法、軟寒天法などが挙げられる。操作も容易で数多くの実績があり、再現性が高いため、限界希釈法が好ましい。
【0055】
細胞融合により得られた多くの融合細胞の中から、効率よく有用な細胞を選択するために、細胞選別は、クローニングの初期の段階から行なうことが好ましい。
【0056】
このようにして、望ましい結合能を有する抗体を産生する融合細胞株が最終的に選別される。選別された細胞株は、液体窒素中で半永久的に保存され得る。本発明のモノクローナル抗体産生細胞株によれば、それを培養することによりCRPに対する高い親和性を有し特異性の高い抗CRPモノクローナル抗体を半永久的に提供し得る。
【0057】
以上の内容が工程St2の詳細である。さらに、工程St2の後には以下に述べる工程が行なうことが好ましい。
【0058】
(抗体の精製)
上記のようにして選別されたモノクローナル抗体産生細胞株を大量培養することにより、CRPに対して特異的に結合するモノクローナル抗体を大量に産生し得る。モノクローナル抗体産生細胞株の大量培養方法として、インビボおよびインビトロでの培養が挙げられる。インビボでの大量培養の例としては、哺乳動物の腹腔内に融合細胞を注射して増殖させ、腹水中に抗体を産生させる方法が挙げられる。インビトロでの培養では、融合細胞が培地中で培養され、抗体が培地中に産生される。
【0059】
大量培養により得られた腹水または培養上清から、当該分野で公知の方法を用いて、本発明のモノクローナル抗体を精製し得る。精製のためには、例えば、DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、硫安分画法、PEG分画法、エタノール分画法などが適宜組み合わせて用いられる。本発明の抗体は、通常、約90%の純度、好ましくは約95%の純度、より好ましくは約98%の純度となるように精製される。
【0060】
(抗体の評価)
精製されたモノクローナル抗体の結合能を評価するために、ELISAプレートにCRPを吸着させ、得られたいくつかの抗体を反応させ、CRPでインヒビションを行なうことにより、結合能の高い抗体を選択した。結合能の高い抗体はCRPに対して高い感度の検出をするために有用である。
【0061】
以上のようにして、本発明の細胞株および抗体は作製され得る。本発明の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体は、CRPに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、CRPに対して結合能を有するモノクローナル抗体である。本発明の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体のCRPに対する結合能は、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかかり、インヒビションの半値が約10−6M以下であり、好ましくは、約10−7M以下であり、より好ましくは、約10−8M以下であり、さらにより好ましくは、約10−9M以下であり、なおより好ましくは、約10−10M以下である。このような抗CRPモノクローナル抗体は、代表的には、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7939号(MH−C3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERMBP−8186号(MH−C6)、同受託番号FERM BP・ERM BP・・
この抗CRPモノクローナル抗体は、好ましくは、CRPに対して結合能を有し、かつ補体1Cqおよび血清アミロイドPに対して結合能を有さないモノクローナル抗体である。すなわち、CRPに対しては、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかかり、インヒビションの半値が約10−6M以下、好ましくは、このインヒビションの半値は、約10−7M以下、より好ましくは、約10−8M以下であり、さらにより好ましくは、約10−9M以下、なおより好ましくは、約10−10M以下であるが、補体1Cqおよび血清アミロイドPに対しては、下記の実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質的に同一の条件での測定においてインヒビションがかからない。このような抗CRPモノクローナル抗体は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM BP・・・
本発明による「抗CRPモノクローナル抗体」には、その結合特性を保持した機能性の断片もまた含まれる。これらの断片は、それらが由来するインタクトな抗体とCRPへの特異的結合について競合し得、少なくとも107、108、109M−1、または1010M−1の親和性で結合し得る。抗体の断片は、免疫グロブリンの重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、FabcおよびFvを含み得る。抗体の断片は、インタクトな免疫グロブリンの酵素的または化学的分離によって生じ得る。例えば、F(ab’)2断片は、HarlowおよびLane、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL、COLD SPRING HARBOR LABORATORY、New York(1988)に記載されたような標準的な方法を用い、pH3.0〜3.5においてペプシンでタンパク質消化することによってIgG分子から得ることができる。Fab断片は、限定的還元によってF(ab’)2断片から、あるいは還元剤の存在下パパイン消化によって全抗体から得ることができる(Paul、W.編、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY第2版 Ravan Press、N.Y.、1989、第7章を参照のこと)。
【0062】
本発明はまた、CRPを検出するためのキットを提供する。本発明のキットは、抗原抗体結合反応に基づいて試料液中のCRPを高感度に検出し得る。本発明のキットは、第1の抗体および第2の抗体を含み、第1の抗体が、抗CRP抗体であり、第2の抗体が、標識された抗CRP抗体である。特に、第1の抗体または第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗CRPモノクローナル抗体である。
【0063】
つまり、一方の抗体として上述したようなCRPに対して結合能を有し、かつ補体C1qおよび血清アミロイドPに対して結合能を有さないモノクローナル抗体を用い、他方の抗体としては、CRPに結合能を有する限り任意の抗体を使用し得る(これは、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい)。このような他方の抗体としては、市販により入手可能である従来の抗体も、使用され得る。好ましくはモノクローナル抗体が用いられ得る。
【0064】
本発明のキットでは、第1の抗体または第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗CRPモノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPに対しても結合能を有する抗体の存在量が大幅に減少する。従って、第1の抗体と第2の抗体とがほぼ確実にCRPを挟んでサンドイッチ状に結合し、抗原抗体反応による複合体を形成する。従って、例えば、従来の分光学的手段を用いる免疫測定法(免疫比濁法、免疫比ろう法等)に本発明のキットを適用することによって、CRPを高感度で正確に測定することができる。
【0065】
本実施形態において、上述の方法で作製された「抗CRPモノクローナル抗体」は、本発明のキットの第1の抗体および第2の抗体として使用され得る。このような抗体としては、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7939号(MH−C3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM BP−8186号(MH−C6)、同受託番号FERM BP・・・のみ結合能を有することが特に望ましい。従って、CRPに対して結合能を有し、かつ補体1Cqおよび血清アミロイドPに対して結合能を有さないモノクローナル抗体が好ましい。独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)号、同受託番号FERM
BP・・8339号(MH−IIC4)、または同受託番号FERM BP・
本発明のキットにおいて、第1の抗体および第2の抗体は、サンドイッチ反応において、第2の抗体が、第1の抗体が結合しなかった抗原上のエピトープを認識し、そこに結合し得るような任意の組み合わせで含まれる。第2の抗体は、第1の抗体が結合するエピトープに結合能を有さない抗体であることが好ましい。CRPは5量体であるので、第1の抗体および第2の抗体は同じ種類の抗体であってもよい。
【0066】
また、本発明のキットにおいて、第1の抗体が、固相に固定化されており、第2の抗体が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であり、且つ移動相に含まれているキットとしてもよい。
【0067】
CRPは、5量体を構成する各モノマー上にエピトープを有し得るので、サンドイッチ反応において、固定化された抗体および移動相中の標識抗体は、1つのCRP抗原について別個の構成モノマー上に存在するエピトープに結合し得る。特に、第2の抗体が補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であるので、補体C1qおよび血清アミロイドPの存在を示す標識が検出されなくなる。従って、より高い感度で正確にCRPを検出および測定することができる。
【0068】
本発明のキットにおいて、例えば、第1の抗体と第2の抗体の組み合わせとして、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)、同受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3)、同受託番号FERM BP−7939号(MH−C3)、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)、同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM BP−8186号(MH−C6)、同受託番号FERM BP・・・できる。
【0069】
上述の説明は、「第1の抗体」を「第2の抗体」と交換して用いる場合にも適用される。
【0070】
本発明のキットにおいてはまた、第1の抗体および第2の抗体がともに、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号(MH−IIC1)の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体であり得る。
【0071】
同様に、本発明のキットにおいては、第1の抗体および第2の抗体がともに、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7942号(MH−IIC3))の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体であってもよく、同受託番号FERM BP−7940号(MH−C4)の細胞株により産生される抗CRPモノクローナル抗体であっても、そして同受託番号FERM BP−8185号(MH−C5)、同受託番号FERM
BP・・・
第2の抗体は、当該分野で公知の方法により任意の標識により標識され得る。標識の例としては、酵素標識、色素標識、磁性標識、放射性標識、色の付いた粒子(金コロイド、ラテックスなど)による標識などが挙げられる。
【0072】
通常、上記第1の抗体は、キットの固相(例えば、ELISAプレート)に固定化され得、そして上記第2の抗体は、移動相として使用され得る。
【0073】
本発明のキットは、当該分野で公知の方法により適切に作製され得る。本発明のキットは、1つまたはそれ以上の容器中に上記第1の抗体および上記第2の抗体を含み得る。キットはまた、CRPのサンドイッチアッセイにおける、抗体の使用を教示する説明教材を含み得る。キットは、標識の検出のため、または陽性コントロールおよび陰性コントロールを検出するための適切な試薬、洗浄溶液、希釈緩衝液などを含み得る。キットは、固相に吸着させるための固相抗原溶液、固相ブロッキング溶液、および検量線を作成するための標準CRP溶液を含み得る。すべての溶液は生体内と類似の環境をつくるため、PBS−Az(リン酸緩衝生理食塩水−アジ化ナトリウム溶液)を溶媒とするのが好ましい。固相ブロッキング溶液は、カゼイン、スキムミルク、ウシ血清アルブミンなどタンパク質溶液が好ましい。特に、カゼインは、牛乳を精製して得られるタンパク質であり、品質が安定し、安価なので好ましい。また、濃度は1%前後が効率よく固相をブロッキングできるので好ましい。標準のアルブミン溶液にも固相ブロッキング溶液と同じタンパク質溶液を用いるのが好ましく、その濃度も固相ブロッキング溶液と同様にするのが固相との平衡関係を効率よく保つことができるため、好ましい。
【0074】
以上のように、本発明におけるモノクローナル抗体産生細胞株の作製方法によれば、細胞株のクローニングにおいて、融合細胞から産生される抗体のCRP、補体C1q、血清アミロイドPに対する結合能を検定し、目的の細胞が選別される。そのため、細胞融合の後、初期に存在する多くの細胞から、効率よく有用な細胞が選択され得る。また、CRPに対する高い親和性を達成しながら、特異性の高い抗体を産生する細胞株が作製され得る。
【0075】
免疫測定法が酵素免疫測定法(ELISA法)である場合、抗体の結合能を簡便に感度良く検定し得る。
【0076】
哺乳動物の骨髄腫由来の細胞株が、マウス骨髄腫由来P3X63−Ag8.653である場合、抗体の断片を産生せず、さらに得られる融合細胞の増殖能力が特に優れているため、短時間に多くの細胞を検定し得る。
【0077】
免疫する哺乳動物がマウスまたはラットである場合、動物の取り扱い、免疫感作の点で都合がよい。免疫する哺乳動物がBALB/C系統マウスである場合、CRPとの親和性が極めて高いモノクローナル抗体を得ることが可能となる。
【0078】
本発明のモノクローナル抗体産生細胞株によれば、それを培養することにより、CRPに対する高い親和性を有し特異性の高い抗CRPモノクローナル抗体を半永久的に提供し得る。
【0079】
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法に使用すれば、補体C1qおよび血清アミロイドPとに交叉反応せず、高特異的なCRP検出キットを提供し得る。
【0080】
また、本発明の抗ヒトCRPモノクローナル抗体は、他の近縁の哺乳類のCRPにもほぼ同様に特異的に結合すると考えられる。このため、他の近縁の哺乳類のCRPの検出および測定にも利用可能であると考えられる。
【0081】
【実施例】
以下、本発明のモノクローナル抗体産生細胞株の作製についてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。実施例で使用した材料、試薬などは、他に特定のない限り、商業的な供給源から入手可能である。
【0082】
<酵素免疫測定法(ELISA法)>
以下の実施例においては、得られた抗血清、培養上清およびモノクローナル抗体の評価は、ELISA法により行なった。その操作法を以下に記載する。
【0083】
(A)抗原(CRP)のコーティング
CRPを、0.1mg/mL・BSA−PBS−Az(0.04重量%ナトリウムアジド−リン酸緩衝生理食塩水溶液にウシ血清アルブミン(以下BSAという)を0.1mg/mLの濃度で溶解したもの)を用いて、5μg/mLの濃度に調製した。マイクロプレート(ポリスチレン製高結合型平底#2580、コスター社製)に抗原溶液を100μl/ウェル注入し、室温で飽和水蒸気中に一晩保存した。実験直前に、アスピレータで抗原溶液を除去した。
【0084】
(B)ブロッキング
1重量%BSA−PBS−Azを200μl/ウェル注入し、30分間室温で放置した。その後、アスピレータで1重量%BSA−PBS−Azを除去した。以降の実験を即日に行なわないときは、この状態で、飽和水蒸気中に4℃で保存した。
【0085】
(C)抗体の反応
1重量%BSA−PBS−Azで種々の濃度に希釈した抗体溶液(抗血清、培養上清、精製抗体等)を50μl/ウェル、および1重量%BSA−PBS−Azを50μl/ウェルで注入した。相対的な親和性を測定する目的でインヒビション(阻害)実験を行なうときは、インヒビター溶液(CRP、補体C1q、または血清アミロイドPのいずれかを含む溶液)を50μl/ウェル注入した後、抗体溶液50μl/ウェルをさらに加え、振盪した。常温で1時間半放置した後、PBSで3回洗浄し、アスピレータで残存するPBSを除去した。
【0086】
(D)二次抗体の反応
0.2μg/mLのペルオキシダーゼ標識したヤギ由来の抗マウスIgG抗体(KPL社製)を1重量%BSAのPBS溶液に溶解したもの、または0.2μg/mLのペルオキシダーゼ標識したヤギ由来の抗マウスIgM抗体(KPL社製)を1重量%BSAのPBS溶液に溶解したものを100μl/ウェル注入し、常温で30分放置した。PBSで3回洗浄し、さらにアスピレータで残存するPBSを除去した。
【0087】
(E)基質の反応と停止
O−フェニレンジアミン(生化学用)40mgを10mLのクエン酸−リン酸バッファー(pH5)に溶解し、使用直前に30重量%過酸化水素水4μLを加えた溶液(基質溶液)を100μl/ウェル注入し、室温放置した。約3分後、4N硫酸を25μl/ウェル注入して反応を停止した。
【0088】
(F)測定
マイクロプレートリーダ(東洋ソーダ社製)を用いて492nmの吸光度を測定した。
【0089】
なお、本実施例では免疫測定法として酵素免疫測定法を用いたが、他にRIA法、蛍光抗体法等を用いてもよい。
【0090】
<実施例1>
本実施例においては、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0091】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積の完全アジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを得た。
【0092】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)4匹に、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを100μlずつ、皮下に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスに前回と同じ部位(皮下)に100μlずつ注射した。
【0093】
その後、免疫開始より4週間後および6週間後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを含む不完全フロイントアジュバントエマルジョンを、マウスに100μlずつ皮下に注射した。2回目の注射の1週間後と、4回目の注射の1週間後とにそれぞれ採血し、以下に示すように、抗体産生を確認した。
【0094】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA法)により抗体産生の確認をした。固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで調製した5μg/mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたマイクロプレートを使用した。第2抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0095】
その結果、4匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgGからIgMへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上でありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0096】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で特に力価の高かった1匹の脾臓を肥大させるために、最終免疫を行なった。免疫開始から10週間後、免疫原のCRPを、PBSを用いて1mg/mLの濃度に調製し、アジュバントを加えずにマウスに100μlずつ注射した。
【0097】
最終免疫後3日を経過したマウスの脾臓細胞を摘出した。平均分子量1,500のポリエチレングリコールを用いて、常法により、脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63−Ag8.653)とを融合させ、融合細胞を得た。
【0098】
融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート3枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0099】
(細胞選別およびクローニング)
細胞融合後5日目および7日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取し、抗体が産生されているかを、上述したようにELISA法により確認した。なお、上清を採取した時には、15重量%FCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を各100μl加えて、培養を継続した。
【0100】
細胞融合後9日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取すると共に、融合細胞を含む残りの培養液を12枚の24ウェルプレートに継代し、各ウェルに1mlの15重量%のFCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を加えた。採取した培養上清は、バインディングELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。バインディングELISA法は、抗原(本実施例では、CRP)への結合能を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、インヒビターを添加せずに行なった。
【0101】
融合細胞を24ウェルプレートに継代した5日後、細胞培養上清を200μl/ウェルずつ採取した。この培養上清を、バインディングELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。
【0102】
2回採取した培養上清のELISA法結果を合わせて、244ウェルから、CRPに対して結合能を有する、増殖状態の良い93ウェルを選択した。第1段階の選択のために、これらのウェルの細胞を、すべて16枚の6ウェルプレートに継代した。各ウェルには、4mlの15重量%のFCSを合むヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を加えた。
【0103】
これら採取した培養上清を、第1段階の選択として、インヒビションELISA法を用いて、CRPに対する結合能を測定した。インヒビションELISA法は、被験物質の、固相結合抗原と溶液相中のインヒビターとの相対的な親和性を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、以下に説明するようにインヒビターを添加して行なった。
【0104】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとして、CRPを使用した。抗体液として、細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、CRPに結合する抗体が存在すると、インヒビターとして添加された可溶性CRPと結合してインヒビションがかかる(固相CRPへの結合が阻害される)ので、ウェル中の発色は確認されない。
【0105】
この結果、第2段階の選択のために、CRPに対して結合能を示す、インヒビションELISAにおいてインヒビションがかかった8つのウェルを選択した。これらのウェルの細胞を第1段階の選択の3日後に、それぞれ中フラスコ(容量50ml)に継代した。各ウェルには、15重量%のFCSを合むHT培地45mlを加えた。
【0106】
第1段階の細胞選別の継代3日後、培養上清を採取し、第2段階の選択としてインヒビションELISA法を用いて、CRPに対する結合能を測定した。第2段階の選択に使用したインヒビションELISA法は、以下の通りである。
【0107】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRP、補体C1q(HUMAN C1q ANTIGEN、Cat#:AG704、CHEMICON製)、血清アミロイドP(AMYLOID P、Cat#:0490−2752、Biogenesis製)のいずれかを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、上清中で可溶化されたインヒビターと結合してインヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0108】
CRPでのみインヒビションがかかり、補体C1qまたは血清アミロイドPではインヒビションがかからなかった2つのウェルを選別した。
【0109】
上記2ウェル中の細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2個の細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロプレート各3枚に分注した。フィーダーとして生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時、細胞培養上清について上記の第2段階のインヒビションELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0110】
CRPに対して高い力価を示し、補体C1qまたは血清アミロイドPでインヒビションがかからず、かつ良好な増殖を示している細胞株を最終的に選別し、200mL中の培地中で5×105細胞/mLの濃度に至るまで培養を進めた。
【0111】
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を2株選定した。
【0112】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株の1つを細胞株名:MH−IIC1と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7941号)。
【0113】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさないもう1つの株を細胞株名:MH−IIC3と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7942号)。
【0114】
MH−IIC1株およびMH−IIC3株の産生する抗体を、それぞれMH−IIC1抗体およびMH−IIC3抗体と称する。
【0115】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して上清を取り除き、1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0116】
(抗体の精製)
選択した株を、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、遠心分離して培養上清を得た。この培養上清を、プロテインA結合ゲル(プロテインAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィにかけ、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−IIC1抗体およびMH−IIC3抗体)を精製した。
【0117】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清あるいは腹水を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/時間)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0118】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体およびMH−IIC3抗体)の精製画分は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0119】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製したモノクローナル抗体について、CRPの希釈系列を用いて、上記第2段階の選択におけるインヒビションELISA法と同一の条件で抗体評価を行なった。
【0120】
図2A〜Cは、MH−IIC1抗体について、図3A〜Cは、同様にMH−IIC3抗体について、それぞれCRP(図2Aおよび図3A)、補体C1q(図2Bおよび図3B)、および血清アミロイドP(図2Cおよび図3C)に対する結合能力を競争反応(インヒビション反応)で測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)、血清アミロイドP濃度(mg/dl)の対数値を示す。
【0121】
図2A〜Cに示すように、MH−IIC1抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約7×10−7Mであり、2〜3×10−7MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0122】
図3A〜Cに示すように、MH−IIC3抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約5×10−7Mであり、2〜3×10−7MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0123】
<実施例2>
本実施例においても、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0124】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積のアジュバント(ヒト結核死菌含有完全フロイントアジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを得た。
【0125】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)15匹に、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを100μlずつ腹腔内、あるいは皮下に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスに前回と同じ部位に100μlずつ注射した。
【0126】
その後、免疫開始より4週間後、6週間後、および半年後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを合む不完全フロイントアジュバントエマルジョンを、マウスに100μlずつ前回と同じ部位に注射した。2回目の注射の1週間後と4回目の注射の1週間後にそれぞれ採血し、以下に示す抗体産生を確認した。
【0127】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA法)により抗体産生の確認をした。固相として0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで調製した5μg/mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたマイクロプレートを使用した。二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0128】
その結果、15匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgMからIgGへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上ありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0129】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で特に力価の高かった3匹の脾臓を肥大させるために、最終免疫を行なった。免疫開始から6ヶ月後、免疫原のCRPを、PBSを用いて5mg/mLの濃度に調製し、アジュバントを加えずにマウスに100μlずつ注射した。
【0130】
最終免疫後3日を経過したマウスのうち1匹の脾臓細胞を摘出した。平均分子量1,500のポリエチレングリコールを用いて、常法により脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63−Ag8.653)とを融合させ、融合細胞を得た。
【0131】
融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を合むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート1枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0132】
(細胞選別およびクローニング)
1週間後、融合細胞の培養上清を100μl採取した。一方、融合細胞を含む残りの培養液を4枚の24ウェルプレートに継代し、各ウェルに1mlの15重量%のFCSを含むヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を加えた。
【0133】
融合細胞を24ウェルプレートに継代した4日後、細胞培養上清を150μl/ウェルずつ採取した。この培養上清と、上述の培養開始後1週間目に採取した培養上清を用いて、以下に示すバインディングELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。
【0134】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用した。抗体液として、細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。
【0135】
2回採取した培養上清のELISAの結果を合わせて、CRPに対して高い結合能を有する、増殖状態の良い53ウェルを確認した。第1段階の選択として、これらのウェルの細胞を、すべて9枚の6ウェルプレートに継代し、各ウェルに4mlの15重量%のFCSを合むHT培地を加えた。
【0136】
第1段階のための細胞選別の2日後、培養上清を採取し、インヒビションELISA法によりCRPに対する結合能を測定した。第1段階の選択に使用したインヒビションELISA法は、以下の通りである。
【0137】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRPを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、CRPに結合する抗体が存在すると、インヒビターとして添加された可溶性CRPと結合してインヒビションがかかる(固相CRPへの結合が阻害される)ので、ウェル中の発色は確認されない。
【0138】
この結果、第2段階の選択のために、CRPに対して高い結合能を示し、インヒビションELISA法においてインヒビションがかかったウェルを、22ウェル選別した。これらのウェルの細胞を、それぞれ中フラスコ(容量50ml)に継代した。培地は15重量%のFCSを含むHT培地を45mlずつ加えた。
【0139】
第1段階の選択を受けた細胞の継代3日後、培養上清を採取し、第2段階の選択としてインヒビションELISA法を用いてCRPに対する結合能を測定した。第2段階の選択に使用したインヒビションELISA法は、以下の通りである。
【0140】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRP、補体C1qまたは血清アミロイドPのいずれかを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、インヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0141】
CRPでのみインヒビションがかかり補体C1q、血清アミロイドPでインヒビションがかからなかったウェルを、2ウェル選別した。また、CRPと血清アミロイドPでインヒビションがかかり、補体C1qでインヒビションがかからなかったウェルを、2ウェル選別した。
【0142】
上記4ウェルの細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2ケの細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロプレート各2枚に分注した。フィーダー細胞として生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時細胞培養上清について上記のELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0143】
CRPに対して高い力価を示し、かつ良好な増殖を示している細胞株を最終的に選別し、200mL中の培地中で5×105細胞/mLの濃度に至るまで培養を進めた。
【0144】
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに対して交叉反応を起こさない株を1株選定した。また、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を1株選定した。
【0145】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに対して交叉反応を起こさない株を細胞株名:MH−C3と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7939号)。
【0146】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を細胞株名:MH−C4と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年3月7日に寄託した(受託番号FERM BP−7940号)。
【0147】
MH−C3株およびMH−C4株の産生する抗体を、それぞれMH−C3抗体およびMH−C4抗体と称する。
【0148】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して上清を取り除き、1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0149】
(抗体の精製)
選択した2株を、それぞれ、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、その上清を遠心分離した。また、選択した2株を、それぞれ雌のBALB/Cマウスの腹腔内に注射して増殖させ、腹水を蓄積させた。蓄積した腹水を採取した。各株の培養上清あるいは腹水を、プロテインA結合ゲル(プロテインAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにかけ、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−C3抗体およびMH−C4抗体)を精製した。
【0150】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清あるいは腹水を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/h)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0151】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−C3およびMH−C4)の精製分画は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0152】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製した2種類のモノクローナル抗体について、CRPの希釈系列を用いて、上記第2段階の選択におけるインヒビションELISA法と同一条件で抗体評価を行なった。
【0153】
図4A〜Cは、MH−C3抗体について、図5A〜Cは、同様にMH−C4抗体について、それぞれCRP(図4Aおよび図5A)、補体C1q(図4Bおよび図5B)、および血清アミロイドP(図4Cおよび図5C)に対する結合能を測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、血清アミロイドP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)の対数値を示す。
【0154】
図4Aに示すように、MH−C3抗体では、インヒビションの半値が約8×10−9Mであり、2〜3×10−9M以上のCRPを検出できる可能性が示された。図4Bに示すように、補体C1qに対してはインヒビションがかからず、交叉反応しないことが確認できた。一方、図4Cに示すように、血清アミロイドPに対してはインヒビションの半値が約5×10−8Mであり、交叉反応することが示された。従って、このことは、MH−C3抗体が、補体C1qには結合能を有さないことを示す。
【0155】
図5Aに示すようにMH−C4抗体では、インヒビションの半値が約5×10−10Mであり、2×10−10M程度以上のCRPの検出感度を持つ可能性が示された。図5Bおよび図5Cに示すように、補体C1qおよび血清アミロイドPに対してはインヒビションがかからず、交叉反応しないことが確認できた。このことは、MH−C4抗体が、血清アミロイドPおよび補体C1qに結合能を有さないことを示す。
【0156】
<実施例3>
本実施例においても、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0157】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積の完全アジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを得た。
【0158】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)4匹に、免疫原を合むアジュバントエマルジョンを100μlずつ、皮下に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND,DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスに前回と同じ部位(皮下)に100μlずつ注射した。
【0159】
その後、免疫開始より4週間後および6週間後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを含む不完全フロイントアジュバントエマルジョンを、マウスに100μlずつ皮下に注射した。2回目の注射の1週間後と、4回目の注射の1週間後とにそれぞれ採血し、以下に示すように、抗体産生を確認した。
【0160】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA法)により抗体産生の確認をした。固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで調製した5μg/mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたマイクロプレートを使用した。第2抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0161】
その結果、4匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgGからIgMへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上でありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0162】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で特に力価の高かった1匹の脾臓を肥大させるために、最終免疫を行なった。免疫開始から10週間後、免疫原のCRPを、PBSを用いて1mg/mLの濃度に調製し、アジュバントを加えずにマウスに100μlずつ注射した。
【0163】
最終免疫後3日を経過したマウスの脾臓細胞を摘出した。平均分子量1,500のポリエチレングリコールを用いて、常法により、脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63−Ag8.653)とを融合させ、融合細胞を得た。
【0164】
融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート3枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0165】
(細胞選別およびクローニング)
細胞融合後3日目および6日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル75μl採取し、抗体が産生されているかを、上述したようにELISA法により確認した。なお、上清を採取した時には、15重量%FCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を各100μl加えて、培養を継続した。
【0166】
細胞融合後8日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル75μl採取すると共に、融合細胞を含む残りの培養液を継代し、4枚の24ウェルプレートに播いた。なお、培地として、15重量%のFCSを含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を各900μlを加えた。
【0167】
細胞融合後12日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル200μl採取した。この培養上清を、バインディングELISA法によりIgGおよびIgM産生、ならびにインヒビションELISA法によりCRPによるインヒビションを評価した。この結果を受けて53ウェルを選択し、融合細胞を9枚の6ウェルプレートに継代した。各ウェルには、4mlの15重量%のFCSを合むヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を加えた。バインディングELISA法は、抗原(本実施例では、CRP)への結合能を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、インヒビターを添加せずに行なった。インヒビションELISA法は、被験物質の、固相結合抗原と溶液相中のインヒビターとの相対的な親和性を測定するものであり、上述の<酵素免疫測定法(ELISA法)>節の記載に従って、以下に説明するようにインヒビターを添加して行なった。固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとして、CRPを使用した。抗体液として、細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、CRPに結合する抗体が存在すると、インヒビターとして添加された可溶性CRPと結合してインヒビションがかかる(固相CRPへの結合が阻害される)ので、ウェル中の発色は確認されない。
【0168】
細胞融合後14日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル1ml採取した。この培養上清を、バインディングELISA法によりIgGのバインディング、および翌日、インヒビションELISA法によりCRPによるインヒビションを評価した。その結果、CRPに対して高い結合能を示し、インヒビションELISAにおいてインヒビションがかかったウェルのうち23ウェルを選択し、融合細胞を中フラスコ(容量250ml)に継代した。各フラスコには、45mlの15重量%のFCSを合むHT培地を加えた。
【0169】
今までの全ての評価データを総合し、細胞融合後16日目に、4ウェル分を選択した。
【0170】
上記4ウェル中の細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2個の細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロプレート各2枚に分注した。フィーダーとして生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時、細胞培養上清について以下に示すようなインヒビションELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0171】
固相として、0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで5μg/mLの濃度に調製したCRPを、100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてCRP、補体C1q(HUMAN C1q ANTIGEN、Cat#:AG704、CHEMICON製)、血清アミロイドP(AMYLOID P、Cat#:0490−2752、Biogenesis製)のいずれかを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。二次抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、上清中で可溶化されたインヒビターと結合してインヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0172】
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を1株選定した。また、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに交叉反応を起こさないが、血清アミロイドPに対して弱い交叉反応を示す株を1株選定した。
【0173】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qまたは血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株を細胞株名:MH−C5と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年9月18日に寄託した(受託番号FERM BP−8185号)。
【0174】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1qに交叉反応を起こさないが、血清アミロイドPに対して弱い交叉反応を示す株を細胞株名:MH−C6と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年9月18日に寄託した(受託番号FERM BP−8186号)。
【0175】
MH−C5株およびMH−C6株の産生する抗体を、それぞれMH−C5抗体およびMH−C6抗体と称する。
【0176】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して上清を取り除き、1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0177】
(抗体の精製)
選択した株を、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、遠心分離して培養上清を得た。また、選択した2株を、それぞれ雌のBALB/Cマウスの腹腔内に注射して増殖させ、腹水を蓄積させ採取した。各株の培養上清あるいは腹水を、プロテインA結合ゲル(プロテインAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィにかけ、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−C5抗体およびMH−C6抗体)を精製した。
【0178】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清あるいは腹水を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/時間)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0179】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−C5抗体およびMH−C6抗体)の精製画分は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0180】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製したモノクローナル抗体について、CRPの希釈系列を用いて、上記第2段階の選択におけるインヒビションELISA法と同一の条件で抗体評価を行なった。
【0181】
図6A〜Cは、MH−C5抗体について、図7A〜Cは、同様にMH−C6抗体について、それぞれCRP(図6Aおよび図7A)、補体C1q(図6Bおよび図7B)、および血清アミロイドP(図6Cおよび図7C)に対する結合能力を競争反応(インヒビション反応)で測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)、血清アミロイドP濃度(mol/L、以下Mと標記する)の対数値を示す。
【0182】
図6Aに示すように、MH−C5抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約1×10−10Mであり、2〜3×10−11MのCRPを検出できる可能性が示された。図6BおよびCに示すように、MH−C5抗体の固相のCRPへの結合は、インヒビターとしてのC1qおよびアミロイドPの存在によっては阻害されなかった。このことは、MH−C5抗体が血清アミロイドPおよび補体C1qには結合能を有さないことを示す。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0183】
図7Aに示すように、MH−C6抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約3〜5×10−10Mであり、2×10−10MのCRPを検出できる可能性が示された。図7Cに示すように、インヒビターとしてのアミロイドPによりMH−C6抗体の固相のCRPへの結合は阻害され、インヒビションがかかるが、このときインヒビションの半値は約1×10−7Mであり、検出限界は約1×10−8M程度である。ヒト血清アミロイドPの正常血漿レベルは約30mg/L、つまり約2.4×10−7Mである。抗体を検査キットに組込むと、通常、様々な要因により抗体の感度が低下する。しかし、MH−C6抗体の血清アミロイドPに対する上記の感度は、この抗体を検査キットに組込んだ場合でも、正常血漿中の血清アミロイドPとはほとんど反応が起きない感度であるし、交叉性のないMH−C5のような抗体と共に用いると実用上問題はないと考えられる。
【0184】
<実施例4>
本実施例においては、本発明者らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養においてはBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用した。
【0185】
(免疫)
免疫原であるC反応性タンパク質(CRP)(Chemicon International INC.製)を、生理食塩濃度リン酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。このCRPのPBS溶液に、同体積の完全アジュバント(ADJUVANT COMPLETE FREUND, DIFCO LABORATORIES 社製)を添加し、ホモジナイザで回転数1000rpmで充分に乳化することにより、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを得た。
【0186】
生後約7週間の雌のマウス(BALB/C)4匹に、免疫原を含むアジュバントエマルジョンを400μlずつ腹腔に注射した。2週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したCRP溶液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント(ADJUVANT INCOMPLETE FREUND, DIFCO LABORATORIES社製)をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB/Cマウスの腹腔に400μlずつ注射した。
【0187】
その後、免疫開始より4週間後および6週間後に、2週間後の免疫と同じ組成および濃度のCRPを含む不完全フロイントアジュバントを用いて同様に作製したエマルジョンを、マウスに400μlずつ皮下に注射した。2回目の注射の1週間後と4回目の注射の1週間後にそれぞれ採血し、以下に示す抗体産生を確認した。
【0188】
(抗体産生の確認)
採取した血液から血清を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(ELISA)により抗体産生の確認をした。固相として0.1mg/mL・BSA・・mL・CRPを、100μl/ウェルずつ分注し、室温で一晩コートしたものを使用した。第2抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中にCRPに結合する抗体が存在することが確認される。
【0189】
その結果、4匹すべてのマウスにおいて抗CRP抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウスにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgGからIgMへシフトしていることが確認され、4回目の注射後にはIgG/IgM比が100以上ありクラススイッチが充分起こっていることを確認した。
【0190】
(細胞融合)
免疫したマウスの中で2匹の脾臓を肥大させるために、免疫原のCRPをPBSを用いて5mg/mLの濃度に調製し、アジュパントを加えずにマウスに100μlずつ注射し、最終免疫を行なった。
【0191】
最終免疫後3日を経過した2匹のマウス(マウス番号#3−2、#3−3)それぞれの脾臓細胞を摘出した。平均分子量1、500のポリエチレングリコールを用いて、常法により脾臓細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P3X63・
それぞれの融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清(以下、FCS)を含むイシコフ培地で調製したヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に浮遊させた後、96ウェルプレート各3枚にまいた(200μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始した。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条件で培養を行なった。
【0192】
(細胞選別およびクローニング)
細胞融合後5日目、7日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取し、抗体が産生されているかELISA法により確認を行なった。なお、上清を採取した時には、15重量%FCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を各100μl加えて培養を継続した。
【0193】
細胞融合後9日目に、融合細胞の培養上清を各ウェル100μl採取すると共に、融合細胞を含む残りの培養液を12枚の24ウェルプレートに継代し、各ウェルに1mlの15重量%のFCSを含むイシコフ培地で調製したHAT培地を加えた。採取した培養上清は、ELISA法により、CRPに対する結合能を測定した。
【0194】
その後、数日おきに上清の評価を行なってウェルの選択をすると共にスケールアップを行ない、HT培地により培養を継続した。
融合細胞を6ウェルプレートに継代した3日後、細胞培養上清を各ウェル200μl/ウェルずつ採取し、以下に示すELISA法によりCRPに対する結合能を測定した。
【0195】
固相として、0.1mg/mL・BSA・・抗体液として細胞培養上清を使用した。第2抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結合する抗体が存在すると、インヒビションがかかるので、ウェル中の発色は確認されない。
【0196】
CRPでのみインヒビションがかかり補体C1q、血清アミロイドPでインヒビションがかからなかったウェルを、マウス番号#3−2由来分より2ウェル選別し、マウス番号#3−3由来分より1ウェル選別した。
【0197】
上記3ウェルの細胞について、15重量%のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2ケの細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロブレート各3枚に分注した。フィーダーとして生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸線細胞を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時細胞培養上清について上記のELISA法によるスクリーニングを繰り返した。
【0198】
CRPに対して高い力価を示し、補体C1q、血清アミロイドPでインヒビションがかからず、かつ良好な増殖を示している細胞株を最終的に選別し、200mL中の培地中で5×105細胞/mLの濃度に至るまで培養を進めた。
最終的に、CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさない株をマウス番号#3−2由来分より2株、マウス番号#3−3由来分より1株の計3株選定した。
【0199】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさないマウス番号#3−2由来の株の一つを細胞株名:MH−IIC2と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成15年3月24日に国際寄託した(受託番号FERM BP−8338号)。別の株を細胞株名:MH−IIC4と命名し、寄託センターに平成15年3月24日に国際寄託した(受託番号FERM BP−8339号)。
【0200】
CRPに対して結合能を示し、かつ補体C1q、血清アミロイドPに対して交叉反応を起こさないマウス番号#3−3由来の株の一つを細胞株名:MH−IIC5と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成15年3月24日に国際寄託した(受託番号FERM BP−8340号)。
MH−IIC2株、MH−IIC4株およびMH−IIC5株の産生する抗体を、それぞれMH−IIC2抗体、MH−IIC4抗体およびMH−IIC5抗体と称する。
【0201】
(細胞の保存)
最終的に選別された細胞株は、遠心分離して培養上清を取り除き、約1×107細胞/mLの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0202】
(抗体の精製)
選択した3株を、それぞれ、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養し、その上清を遠心分離により採取した。各株の培養上清を、リコンビナントプロテインA結合ゲル(リコンビナントプロティンAセファロース4FF、ファルマシア製)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより、以下の条件で各モノクローナル抗体(MH−IIC2抗体、MH−IIC4抗体、MH−IIC5抗体)を精製した。
【0203】
プロテインA結合ゲルを充填したカラムを、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、pH8.9)で平衡化した。培養上清を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmでモニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(100mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流速:約20cm/h)し、IgG含有溶出液を回収した。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0204】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による標準タンパク質との比較から、これらのモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体、MH−IIC4抗体、MH−IIC5抗体)の精製分画は、いずれも分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0205】
(抗体の評価)
上記のアフィニティークロマトグラフィにより精製した3種類のモノクローナル抗体について、CRP、血清アミロイドP、および補体C1qの希釈系列を用いて、上記の選択におけるインヒビションELISA法と同一条件で抗体評価を行なった。
【0206】
図8A〜Cは、MH−IIC2抗体について、図9A〜Cは、同様にMH−IIC4抗体について、図10A〜Cは、同様にMH−IIC5抗体について、それぞれCRP(図8A、図9Aおよび図10A)、補体C1q(図8B、図9Bおよび図10B)、および血清アミロイドP(図8C、図9Cおよび図10C)に対する結合能力を競争反応(インヒビション反応)で測定した結果を示すグラフである。各図において、縦軸は吸光度(波長:492nm)を、横軸はそれぞれCRP濃度(mol/L、以下Mと標記する)、補体C1q濃度(mg/ml)、血清アミロイドP濃度(mg/dl、以下Mと標記する)の対数値を示す。
【0207】
図8A〜Cに示すように、MH−IIC2抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約1.5×10・Mであり、2〜3×10・MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0208】
図9A〜Cに示すように、MH−IIC4抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約2.5×10・Mであり、2〜3×10・MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0209】
図10A〜Cに示すように、MH−IIC5抗体では、CRPに対するインヒビションの半値が約2×10・Mであり、2〜3×10・MのCRPを検出できる可能性が示された。補体C1q、血清アミロイドPに対しては反応を示さず、交叉反応を起こさないことが確認できた。
【0210】
【発明の効果】
本発明により、CRPの検出および測定を、正確に、且つ簡便に行なうことが可能な抗CRPモノクローナル抗体、およびCRP検出キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図2A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図2B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図2C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC1抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図3A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC3抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図3B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC3抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図3C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC3抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図4A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C3抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図4B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C3抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図4C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C3抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図5A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C4抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図5B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C4抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図5C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C4抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図6A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C5抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図6B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C5抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図6C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C5抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図7A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C6抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図7B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C6抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図7C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−C6抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図8A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図8B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図8C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC2抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図9A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC4抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図9B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC4抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図9C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC4抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図10A】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC5抗体)のCRPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図10B】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC5抗体)の補体C1qに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
【図10C】
本発明の抗CRPモノクローナル抗体(MH−IIC5抗体)の血清アミロイドPに対する結合能を示す、インヒビションELISA法の結果を示すグラフである。
Claims (15)
- C反応性タンパク質で免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合することによって、モノクローナル抗体を産生する細胞株を得る工程(a)と、
上記細胞株から産生されるモノクローナル抗体を、C反応性タンパク質、補体C1q、および血清アミロイドPに対する結合能を免疫測定法で検定することによって、C反応性タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する工程(b)と、
を含む、抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法。 - 請求項1に記載の抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体作製方法であって、
上記工程(b)において、C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない、モノクローナル抗体を産生する細胞株を選抜する、抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体の作製方法。 - C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しないモノクローナル抗体を産生する、細胞株。
- 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7941号である、細胞株。 - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7942号である、細胞株。 - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7939号である、細胞株。 - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7940号である、細胞株。 - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−8185号である、細胞株。 - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−8186号である、細胞株。 - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・ - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・ - 請求項3に記載の細胞株であって、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP・ - C反応性タンパク質に対して結合能を有し、且つ補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない、抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体。
- 試料液中のC反応性タンパク質を検出するためのC反応性タンパク質検出キットであって、
第1の抗体および第2の抗体を含み、
上記第1の抗体が、抗C反応性タンパク質抗体であり、
上記第2の抗体が、標識された抗C反応性タンパク質抗体であり、
上記第1の抗体または上記第2の抗体の少なくとも一方が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体である、C反応性タンパク質検出キット。 - 請求項14に記載のC反応性タンパク質検出キットであって、
上記第1の抗体が、固相に固定化されており、
上記第2の抗体が、補体C1qおよび血清アミロイドPに結合しない抗C反応性タンパク質モノクローナル抗体であり、且つ移動相に含まれている、C反応性タンパク質検出キット。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011128110A (ja) * | 2009-12-21 | 2011-06-30 | Fujifilm Corp | 犬crp測定用乾式分析要素 |
| CN112574303A (zh) * | 2019-09-30 | 2021-03-30 | 东莞市朋志生物科技有限公司 | 一种抗c反应蛋白的抗体 |
| CN114594261A (zh) * | 2022-03-23 | 2022-06-07 | 美康生物科技股份有限公司 | 一种筛选不受补体干扰的单克隆抗体对的方法 |
| CN118344476A (zh) * | 2024-05-16 | 2024-07-16 | 武汉爱博泰克生物科技有限公司 | 人c反应蛋白单克隆抗体、抗体对和检测试剂或试剂盒及其应用 |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003131511A patent/JP2004215649A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011128110A (ja) * | 2009-12-21 | 2011-06-30 | Fujifilm Corp | 犬crp測定用乾式分析要素 |
| CN112574303A (zh) * | 2019-09-30 | 2021-03-30 | 东莞市朋志生物科技有限公司 | 一种抗c反应蛋白的抗体 |
| CN114594261A (zh) * | 2022-03-23 | 2022-06-07 | 美康生物科技股份有限公司 | 一种筛选不受补体干扰的单克隆抗体对的方法 |
| CN118344476A (zh) * | 2024-05-16 | 2024-07-16 | 武汉爱博泰克生物科技有限公司 | 人c反应蛋白单克隆抗体、抗体对和检测试剂或试剂盒及其应用 |
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