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JP2004292728A - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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JP2004292728A
JP2004292728A JP2003089917A JP2003089917A JP2004292728A JP 2004292728 A JP2004292728 A JP 2004292728A JP 2003089917 A JP2003089917 A JP 2003089917A JP 2003089917 A JP2003089917 A JP 2003089917A JP 2004292728 A JP2004292728 A JP 2004292728A
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acid
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JP2003089917A
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Hiroshi Nakano
博 中野
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

【課題】中空成形品の製造やサイジングダイを用いる押出成形に好適な溶融特性を有し、ポリカーボネート本来の機械的特性、耐熱性、透明性を有し、耐加水分解性と成形品外観が共に優れたポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形してなる成形品を提供する。
【解決手段】(i)界面重合法により製造された分岐状ポリカーボネート1〜99重量%と(ii)エステル交換法により製造された分岐状ポリカーボネート99〜1重量%を含有する樹脂組成物であって、粘度平均分子量(Mv)が19,000〜40,000であり、280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートに対する、21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートの比が15以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空成形品やサイジングダイを用いる押出成形品の製造に好適なポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品に関し、さらに詳しくは、ポリカーボネート本来の機械的強度、耐熱性、透明性を有し、溶融成形時のドローダウンが小さく、耐加水分解性と成形品外観が共に優れた分岐状ポリカーボネート樹脂組成物、及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性、難燃性等に優れていることから、自動車部品、電気電子部品、車両部品、航空機部品、機械部品、看板、表示板、建築用資材など多くの分野で用いられている。
一般的な用途に使用されているポリカーボネートは、直鎖状の分子構造を有しており、このような分子構造を有するポリカーボネートは、ABS樹脂などに比較すると溶融成形時のドローダウン及びダイスウェルが大きく、中空成形品やマルチウオール、異型押し出し製品等の肉厚分布が不均一になりやすく、改良が望まれていた。
【0003】
ポリカーボネートのドローダウン等の溶融特性を改良する方法として、界面重合法でポリカーボネートを製造する際、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」又は「BPA」と略称する。)と共に、分岐化剤として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の多官能化合物を使用して、芳香族ポリカーボネートを分岐化させる方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
しかしながら、中空成形品や、複雑な構造を有するツインウオール、マルチウオール等を安定して成形するに適したドローダウンを有する分岐化芳香族ポリカーボネートを得るには、多量の多官能化合物を共重合する必要があり、多官能化合物によるポリカーボネート製品の外観不良及び着色、製造ラインの汚染、コスト上昇等の問題があった(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
これらの問題点を解決するために、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを反応させるエステル交換法においても、分岐化剤を用いる種々の試みがなされているが(例えば、特許文献4〜7参照)、分岐化剤が重合時の高温で分解等を起こして、分岐の効果が現れず、また溶融成形時に着色を引き起こす等の問題があり、満足のいくものが得られなかった。
一方、エステル交換法においては、重合反応中に様々な転移反応が起こり、分岐化剤を使用しなくても分岐構造が生成することが知られている(例えば、非特許文献1〜2)。このような、エステル交換法で重合時に生成する分岐構造を利用し、分岐化剤を使用することなしに分岐化ポリカーボネートを製造する試みは上記問題を解決出来る有望な手法であるが、分岐構造を生成するためには触媒量を増やす必要があり、残存触媒の影響で加水分解性が劣る等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特公昭44−17149号公報
【特許文献2】
特公平8−5955号公報(特許請求の範囲、第4欄18〜24行))
【特許文献3】
特開平4−89824号公報(2頁左上欄〜右上欄)
【特許文献4】
Figure 2004292728
【特許文献5】
特公平7−37517号公報
【特許文献6】
特公平7−116285号公報
【特許文献7】
特開2000−186137号公報
【非特許文献1】
Encyclopedia of Polymer Science and Technology,vol.10(1969),p723。
【非特許文献2】
Polymer,42(2001).p7653。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、中空成形品の製造やサイジングダイを用いる押出成形に好適な溶融特性を有し、ポリカーボネート本来の機械的特性、耐熱性、透明性を有し、耐加水分解性と成形品外観が共に優れたポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形してなる成形品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(i)芳香族ジヒドロキシ化合物を分岐剤の存在下、ホスゲンと反応させる界面重合法により製造された分岐状ポリカーボネート1〜99重量%と(ii)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、エステル交換により重合して製造された分岐状ポリカーボネート99〜1重量%を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)が19,000〜40,000であり、かつ、JIS K 7210に準拠して280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレート(MVR2.16)に対する、21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレート(MVR21.6)の比(MVR21.6/MVR2.16)が15以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形してなる中空成形品及びサイジングダイを用いる押出成形してなる成形品に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
(i)界面重合法による分岐状ポリカーボネートの製法
本発明に関わる(i)界面重合法による分岐状ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネートが好ましい。本発明に用いられるポリカーボネートとしては、通常公知の方法により芳香族ジヒドロキシ化合物と少量の分岐化剤をホスゲンと反応させることによって製造される分岐状ポリカーボネート重合体または共重合体である。
【0011】
芳香族ジヒドロキシ化合物
分岐状ポリカーボネートの原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピリデンベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。さらに、難燃性を改良する目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、及び/又はシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーあるいはオリゴマーを使用することができる。
【0012】
分岐化剤
界面重合法による分岐状ポリカーボネート製造に使用される分岐化剤としては、1分子中にフェノール性OH基もしくはホスゲンと反応し得る官能基を3以上有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、メチレン−トリス−p−クレゾールなどで示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾールなどが挙げられる。ポリカーボネート中の分岐化剤の含有量は芳香族ジヒドロキシ化合物の0.01〜1モル%が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5モル%、さらに好ましくは0.1〜0.4モル%である。分岐化剤の含有量が0.01モル%未満では、溶融特性の優れた分岐状ポリカーボネートが得られ難く、1モル%を越えると分岐化剤による熱安定性不良やゲルが発生し、分岐状ポリカーボネートの衝撃強度の低下や外観不良を引き起こす怖れがある。
また、分岐化剤の含有量が上記範囲内になっていれば、界面重合法による分岐状ポリカーボネートに、界面重合法による直鎖状ポリカーボネートを混合したポリカーボネート混合物を、本発明組成物の(i)界面重合法による分岐状ポリカーボネートとして使用することもできる。
【0013】
界面重合法による分岐状ポリカーボネートの分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、一価芳香族ヒドロキシ化合物としては、mー及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂、またはビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。さらに、難燃性を高める目的でシロキサン構造を有するポリマーあるいはオリゴマーを共重合することができる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
【0014】
界面重合法による分岐状ポリカーボネートの粘度平均分子量は、12,000以上であり、好ましくは16,000以上、さらに好ましくは19,000以上である。粘度平均分子量が12,000未満のものは、エステル交換法で製造された分子量の高い分岐状ポリカーボネートと混合しても、得られた樹脂組成物の衝撃強度が低かったり、溶融粘度が低過ぎ、成形品の外観や肉厚精度が低下することがあるので好ましくない。
【0015】
(ii)エステル交換法にる分岐状ポリカーボネートの製法
エステル交換法にる分岐状ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料とし、エステル交換触媒の存在下、溶融重縮合させることにより得ることができる。原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前記界面法ポリカーボネート製造の場合と同じ芳香族ジヒドロキシ化合物を使用することが出来る。好ましくはビスフェノールAまたはビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物の混合物が用いられる。
【0016】
炭酸ジエステル
エステル交換法により製造される分岐状ポリカーボネートの原料の他の一つである炭酸ジエステルの代表的な例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記することもある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
【0017】
これら炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸のエステルを含む。以下同じ。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、過剰に用いられる。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して1.001〜1.3、好ましくは1.01〜1.2の範囲内のモル比で用いられる。モル比が1.001より小さくなると、製造された芳香族ポリカーボネートの末端OH基が増加して、熱安定性、耐加水分解性が悪化し、また、モル比が1.3より大きくなると、芳香族ポリカーボネートの末端OH基は減少するが、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望の分子量の芳香族ポリカーボネートの製造が困難になる傾向がある。本発明においては、末端OH基含有量を50〜2000ppm、好ましくは100〜1500ppm、さらに好ましくは200〜1000ppmの範囲内に調整した芳香族ポリカーボネートとすることが好ましい。
【0018】
エステル交換触媒
エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、触媒が使用される。本発明の芳香族ポリカーボネート製造方法においては、触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物が使用されるが、中でもアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が特に好ましい。これらは、1種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物、アルコラート、フェノラート、有機カルボン酸塩等の有機アルカリ金属化合物等がある。これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、具体的に最も好ましいセシウム化合物を挙げれば炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムである。
【0020】
また、アルカリ土類金属化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物、アルコラート、フェノラート、有機カルボン酸塩等の有機アルカリ土類金属化合物等がある。
【0021】
これらの触媒のうち、本発明に係わるブロー成形やサイジングダイを用いる押出成形してなる成形品に適した溶融特性を有する分岐状ポリカーボネートを得るためには、アルカリ金属化合物触媒が望ましい。アルカリ金属化合物触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対してアルカリ金属が4×10−7〜1×10−5モル、好ましくは6×10−6〜1×10−6モルの範囲内となる量で用いられる。触媒の使用量が上記量より少なければ、所望の分子量の分岐状ポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性と本発明の目的とする溶融特性を有する分岐状芳香族ポリカーボネートが得られ難く、重合時の滞留時間を長くしたり、温度を上げる必要があり、得られるポリカーボネートの色相が悪化する。逆に触媒量が多すぎても、得られるポリカーボネートの色相や耐加水分解性が悪化し、分岐構造量が多すぎて流動性が低下し、またゲルが生成し、中空成形品やサイジングダイを用いる押出成形してなる成形品にフィッシュアイ等の外観不良が発生し、さらに衝撃強度や透明性の低下にもつながる畏れがある。
【0022】
本発明に係わる、分岐状ポリカーボネートの製造方法は、通常のエステル交換法ポリカーボネート製造設備で重合可能であれば特に限定されないが、触媒種、触媒量、モノマー仕込み比、重合温度、滞留時間、減圧度等の重合条件で、これらの値は様々に変化する。例えば、本発明では分岐状ポリカーボネートの重合反応(エステル交換反応)は、一般的には2以上の重合槽での反応、すなわち2段階以上、通常3〜7段の多段工程で連続的に実施されることが好ましい。具体的な反応条件としては、温度:150〜320℃、圧力:常圧〜2Pa、平均滞留時間:5〜150分の範囲とし、各重合槽においては、反応の進行とともに副生するフェノールの排出をより効果的なものとするために、上記反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
なお、多段工程で重合槽を複数用いる場合の実際の触媒量の自動制御は、触媒の供給量を連続的に自動制御することが好ましく、その場合は、第1重合槽の滞留時間の1/3以内に測定及び制御が完了していることが必要である。
【0023】
上記エステル交換反応において使用する装置は、竪型、管型又は塔型、横型のいずれの形式であってもよい。通常、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立製作所製)等を具備した1以上の竪型重合槽に引き続き、円盤型、かご型等の横型一軸タイプの重合槽やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、メガネ翼、格子翼((株)日立製作所製)、又はメガネ翼とポリマーの送り機能を持たせた、例えばねじりやひねり等の入った翼及び/又は傾斜がついている翼等を組み合わせたもの等を具備した、横型二軸タイプの重合槽を用いることができる。
【0024】
エステル交換法で製造した上記の分岐状ポリカーボネート中には、通常、塩素元素は無く、原料モノマー、触媒、エステル交換反応で副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、ポリカーボネートオリゴマー等の低分子量化合物が残存している。なかでも、原料モノマーと芳香族モノヒドロキシ化合物は、残留量が多く、耐熱老化性、耐加水分解性、シートの成形時や使用時の臭気があるので、除去されることが好ましい。芳香族モノヒドロキシ化合物の残存量は200重量ppm以下が好ましく、より好ましくは100重量ppm以下である。芳香族ジヒドロキシ化合物の残存量は100重量ppm以下が好ましく、より好ましくは50重量ppm以下である。炭酸ジエステル化合物の残存量は200重量ppm以下であることが好ましい。炭酸ジエステル化合物の残存量が200重量ppmを越えると異臭が感じられるので、中空成形品やサイジングダイを用いる押出成形してなる成形品としては好ましくない。
【0025】
上記の各種低分子量化合物を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ベント式の押出機により連続的に脱揮してもよい。その際、樹脂中に残留している塩基性エステル交換触媒を、あらかじめ酸性化合物又はその前駆体を添加し、失活させておくことにより、脱揮中の副反応を抑え、効率よく原料モノマー及び芳香族ヒドロキシ化合物を除去することができる。
【0026】
添加する酸性化合物又はその前駆体には特に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はその前駆体のうち、スルホン酸化合物又はそのエステル化合物、例えば、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が特に好ましい。
【0027】
これらの酸性化合物又はその前駆体の添加量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは0.5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法でもよい。
【0028】
脱揮に用いられる押出機は、単軸でも二軸でもよい。また、二軸押出機としては、噛み合い型二軸押出機で、回転方向は同方向回転でも異方向回転でもよい。脱揮の目的には、酸性化合物添加部の後にベント部を有するものが好ましい。ベント数に制限は無いが、通常は2段から10段の多段ベントが用いられる。また、該押出機では、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を添加し、樹脂と混練することもできる。
【0029】
エステル交換法で得られた分岐状ポリカーボネートの粘度平均分子量は、通常、12,000以上であり、好ましくは16,000以上、さらに好ましくは19,000以上である。粘度平均分子量が12,000未満のものは、分子量の高い界面重合法で製造された分岐状ポリカーボネートと混合しても、得られた樹脂組成物の衝撃強度が低かったり、ブロー成形性やシート成形性が低下することがあるので好ましくない。
【0030】
本発明に係わるエステル交換法で得られた分岐状ポリカーボネートは、重クロロホルムを溶媒として測定したH−NMRスペクトル中のδ=7.96〜8.02ppmに検出されるシグナル(a)及びδ=8.11〜8.17ppmに検出されるシグナル(b)の各々の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pa)及び(Pb)の合計が4〜40μモルであることが好ましい。
【0031】
エステル交換法で重合時に生成する分岐構造量の定量方法として、前記非特許文献2には、H−NMRで、δ=8.11〜8.17ppmに検出されるシグナル(b)を測定することが示されている。しかし、前記非特許文献1に記載されるように、エステル交換反応法によって製造されたポリカーボネートには、前記シグナル(b)に帰属する分岐構造以外の分岐構造の存在が知られている。シグナル(b)以外の分岐構造が、H−NMRにおいていずれの位置にシグナルを示すか、前記シグナル(b)が帰属する構造以外の分岐構造が何種類あるかについては定かではないが、本発明者は、δ=7.96〜8.02ppmに検出されるシグナル(a)の強度が、ポリカーボネートの押し出し成形性に相関関係があることを見出した。シグナル(a)は、どの様な化学構造に由来するか明らかでなく、さらに1種類の化学構造に由来するとは限らず、構造の類似した複数の化学構造種のシグナルが特定範囲に現れたものの合計量である可能性はあるが、本発明者は、前記シグナル(a)と(b)の積分値の和{(Pa)+(Pb)}が4〜40μモル/gにあることが、ポリカーボネートの押し出し成形性に重要であることを見出した。{(Pa)+(Pb)}が4μモル/gを下回ると、本発明組成物のJIS K 7210に準拠して280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレート(MVR2.16)に対する、同じく21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレート(MVR21.6)の比(MVR21.6/MVR2.16)が15以上とならず、押し出し成形時のドローダウンが大きくなり押し出し成形性が悪化する。なお、本明細書においては、MVR21.6/MVR2.16をMVR−Rと称す。一方、{(Pa)+(Pb)}が40μモル/gを上回るとスエルが大きくなり過ぎ、押し出し成形性が悪化すると共に、ゲルの生成により外観不良を起こす。
【0032】
前記非特許文献1には、シグナル(a)には未分岐のサリチル酸フェニル構造由来の構造と、未知構造が含まれていることが記載されている。本発明では、シグナル(a)中の未分岐のサリチル酸フェニル構造の割合は、少ない方が好ましい。シグナル(a)中の未分岐のサリチル酸フェニル構造の量は、シグナル(a)の積分値を分割して求めることもできるが、精度よく分離することが困難である場合が多く、このためH−NMRのδ=10.35〜10.50ppmのシグナル(c)を用いて、シグナル(c)の積分値から算出されるポリカーボネート1gあたりのプロトンモル数(Pc)と(Pa)の比(Pc)/(Pa)から求めることが好ましく、(Pc)/(Pa)の値は0.4以下であることが好ましい。(Pc)/(Pa)の比が0.4より大となる場合、かかるエステル交換法ポリカーボネートを用いた本発明組成物の成形時のドローダウンが大きく、押し出し成形性が悪化する傾向がある。
【0033】
前記シグナル(a)と前記シグナル(b)の押し出し成形性への影響の程度については定かでないが、押し出し成形性の改善に対する寄与は、シグナル(a)の方が優勢であると推測される。一方、シグナル(b)はポリカーボネートが着色してしまうのを抑制するのに大きく寄与するものと考えられる。従って、着色に影響あるがドローダウンに有効な(Pa)と、ドローダウンにあまり有効でないが着色し難い(Pb)とのバランスも、ポリカーボネートが種々の特性をバランスよく維持することに重要である。この様な観点から、シグナル(a)とシグナル(b)は共に存在するのが好ましく、(Pa)/(Pb)が0.7〜3.0の範囲であるのがさらに好ましい。前記比(Pa)/(Pb)が0.7未満では{(Pa)+(Pb)}が4μモル/g以上であっても、本発明組成物の押し出し成形性の改善効果が不充分な場合があるが、前記比(Pa)/(Pb)が3.0を越えるとポリカーボネートの着色が著しくなる傾向がある。前記非特許文献1の開示内容に従えば、シグナル(b)及びシグナル(c)はそれぞれ、サリチル酸フェニル構造の分岐骨格由来及びサリチル酸フェニル構造の未分岐骨格由来のシグナルであるので、分岐構造を増やす(シグナル(b)の強度を高くする)ために未分岐構造を減らし過ぎる(シグナル(c)の強度を低下させ過ぎる)と、ポリカーボネートは着色してしまう傾向がある。従って、(Pb)と(Pc)のバランス、すなわち(Pb)/{(Pb)+(Pc)}が0.70〜0.98であることが好ましい。この様に、本発明に係わるエステル交換法の分岐状ポリカーボネートの好ましい態様は、(Pa)+(Pb)が4〜40μモル/gであると同時に前記シグナル(a)、(b)及び(c)が、上記関係で、バランス良く存在する態様であることが好ましい。
【0034】
また、分岐構造量が上記範囲内であれば、エステル交換法で製造された分岐状ポリカーボネートに、エステル交換法で製造された直鎖状ポリカーボネートを混合して製造されたポリカーボネートの混合物を、本発明組成物を構成する(ii)エステル交換法で製造された分岐状ポリカーボネートとして使用することもできる。
【0035】
なお、本発明に適用したH−NMRスペクトルの測定は、測定するシグナル強度が非常に小さいことから、特に高感度で行う必要がある。例えば、操作周波数が400MHz程度以上のNMR分光器で、ポリカーボネート溶液濃度10〜20重量%として6000回以上積算することにより、定量するに十分なシグナル/ノイズ比(S/N比)を得ることが出来る。また、定量方法に関しては、通常基準シグナルとして使用される、ポリカーボネート繰り返し構造単位中のメチル基等では十分な定量性が得られ難いので、ポリカーボネートのシグナルが無い部分にシグナルを有するテトラフェニルメタン(TPM)等の基準物質を少量添加して定量することが好ましい。
また、シグナル(a)中に非特許文献1に記載の未分岐サリチル酸フェニル構造の存在が確認出来るにも関わらず、シグナル(c)が検出されない場合には、測定の分解能が不足している可能性がある。かかる場合には、積算回数を増やす必要があるが、上記文献に従って、δ=8.00〜8.02ppm付近に検出されるシグナルの積分値から(Pc)を求めることも出来る。但し、この場合は測定誤差が大きくなる。
【0036】
本発明に関わる樹脂組成物は、(i)界面重合法により製造された分岐状ポリカーボネート1〜99重量%と、(ii)エステル交換法により製造された分岐状ポリカーボネート99〜1重量%を含有するものであり、好ましくは(i)の分岐状ポリカーボネート10〜90重量%と、(ii)の分岐状ポリカーボネート90〜10重量%を含有するものである。樹脂組成物中で、(i)の分岐状ポリカーボネートの含有率が1重量%より低いと、樹脂組成物が加水分解を受けやすくなるので好ましくない。逆に、樹脂組成物中で、(ii)の分岐状ポリカーボネートの含有率が1重量%より低いと、溶融特性が低下し、ポリカーボネート樹脂組成物からなる中空成形品やサイジングダイを用いる押出成形してなる成形品の肉厚精度や外観が劣るので好ましくない。
【0037】
本発明に関わる樹脂組成物を構成する(i)界面重合法ポリカーボネートと(ii)エステル交換法ポリカーボネートは、それらのポリカーボネートの一部又は全部に再生材を使用してもよい。樹脂組成物100重量%中に占める再生ポリカーボネートの配合比率は、ポリカーボネート成形品の要求性能に応じて適宜選択できるが、通常は50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
【0038】
本発明に関わる樹脂組成物の粘度平均分子量は、19,000〜40,000であることが必要である。本発明樹脂組成物の粘度平均分子量が19,000より低いと、ブロー成形時やサイジングダイを用いる押出成形してなる成形品の成形時にドローダウンが大きく、偏肉や透視歪みが発生し、外観の優れた中空成形品やサイジングダイを用いる押出成形品は得られず、熱成形性も低下する。逆に、粘度平均分子量が40,000を越えると流動性が低下するので、成形温度を高くする必要があり、このため中空成形品やサイジングダイを用いる押出成形品の変色や分子量低下が起きるので避けなければならない。
また、本発明に関わる樹脂組成物は、フローレート比(MVR−R)が15以上であることが必要である。フローレート比(MVR−R)が15より低いと、ドローダウンが大きくなり、偏肉の小さいブロー成形やサイジングダイを用いる押出成形が困難になる。
【0039】
本発明の分岐状ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂本来の機械的強度、耐熱性、透明性を有すると共に、溶融特性、耐加水分解性に優れ、種々の用途に使用することが出来、公知の芳香族ポリカーボネートの成形法を適用して、成形加工することができるが、特に、ブロー成形による中空成形品の製造及びサイジングダイを用いる押出成形品の製造に適した溶融性を有するので、これらの成形方法に好ましく適用される。本発明樹脂組成物は、中空成形品の製造及びサイジングダイを用いる押出成形品の製造に使用する場合、離型剤を含有しても良い。離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。これらの中で、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種が特に好ましく用いられる。
【0040】
離型剤として使用される脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
【0041】
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、上記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0042】
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
【0043】
離型剤の含有量は、本発明の分岐状ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜1重量部である。離型剤の含有量が1重量部を超えると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
【0044】
また、本発明の樹脂組成物は、中空成形品の製造及びサイジングダイを用いる押出成形品の製造に用いる場合は、紫外線吸収剤を含有しても良い。紫外線吸収剤としては、例えば、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0045】
ベンゾトリアゾール化合物としては、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が好ましい。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕、[メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物等を挙げることができる。
【0046】
これらの中で、特に好ましいものは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチロキシフェノール、2,2’−メチレン ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕である。
紫外線吸収剤の含有量は、本発明の分岐状ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.01〜20重量部である。紫外線吸収剤の含有量が20重量部を超えると射出成形時の金型汚染等の問題があり、0.01重量部未満では耐候性の改良効果が不十分である。該紫外線吸収剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
【0047】
本発明に関わる樹脂組成物は、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、ABS,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル等の他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、酸化防止剤、有機染料,有機顔料等の着色剤、硫酸バリウム,アクリル粒子等の拡散剤、リン系,金属塩系,シリコン系等の難燃剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状強化材、マイカ、タルク、ガラスフレーク等の板状強化材あるいはチタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ワラストナイト等のウィスカー等の無機系充填剤等の添加剤を添加することができる。
【0048】
本発明に関わる樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、例えば、(1)エステル交換法による分岐状ポリカーボネートの重合反応の途中または重合反応終了時に、界面重合法による分岐状ポリカーボネートや添加剤を混合する方法、(2)混練途中等のエステル交換法による分岐状ポリカーボネートが溶融した状態で、界面重合法による分岐状ポリカーボネートを添加する方法、(3)エステル交換法による分岐状ポリカーボネートのペレット等の固体状態にあるものに、界面重合法による分岐状ポリカーボネート粉末及び/またはペレット等を混合後、押出機等で溶融・混練する方法、(4)エステル交換法による分岐状ポリカーボネートのペレット等の固体状態にあるものと、界面重合法による分岐状ポリカーボネート粉末及び/またはペレット等を混合する方法等が挙げられる。
【0049】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなる中空成形品及びサイジングダイを用いる押出成形品は、通常公知の方法により製造可能である。すなわち中空成形品は、必要に応じて添加物が配合された本発明樹脂組成物を、シリンダー設定温度240〜280℃の単軸又は二軸押出機に供給し、スクリュー剪断下で溶融・混練し、ノズルを通してチューブ状の溶融パリソンを押出し、その後所定の形状を有し、70〜110℃に設定した金型内に挟み込み、空気又は不活性ガスをブローすることによりブロー成形品が成形される。中空成形品の成型方法としては、上記ダイレクトブローの他、インジェクションブロー、インジェクションストレッチブロー等が適用可能である。
【0050】
サイジングダイを用いる押出成形は、必要に応じて添加物が配合された本発明樹脂組成物を、一軸または二軸押出機に供給し溶融した樹脂組成物を押し出し、サイジングダイを用いたサイジングを行い、冷却する方法で行われる。このサイジングとは、押し出された溶融樹脂に所定の形状と寸法を与えるとともに、次の冷却工程までに変形が起こらないよう予備的に冷却することをいう。また、サイジングダイとは、樹脂組成物を溶融し、押し出されたものに、所定の形状と寸法を付与する機能を有するダイのことをいう。
【0051】
本発明のサイジングダイを用いて押出成形してなる成形品としては、異型押し出し成形品、パイプの他、ツインウォール、又は3層以上のウォールを有するマルチウォール成形体の態様が好ましく、特にツインウオールやマルチウオールが好ましい。本発明のサイジングダイを用いて押出成形してなる成形品を作製する際の押出成形の諸条件については特に制限はない。以下にその一例は示す。シリンダー設定温度240〜290℃の単軸又は二軸押出機に、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物のペレットを供給し、スクリュー剪断下で溶融・混練する。この溶融樹脂をダイヘッドを通して一定形状で押出し、その後、所定の形状を有するとともに、20〜110℃に温度設定されたフォーマー又はサイジング等で冷却し、形状固定して成形体を得る。
【0052】
本発明のサイジングダイを用いて押出成形してなる成形品は、性能を更に改善するため、耐候性及び/又は耐擦傷性改善フィルムをポリカーボネートシートの両面もしくは片面に熱ラミネートまたは共押し出ししたり、ポリカーボネートシートの接着性、塗装性、印刷性改善のための各種加工処理を施してもよいし、シート表面のしぼ加工や半透明及び不透明加工等の処理を施してもよい。
【0053】
本発明のサイジングダイを用いて押出成形してなる成形品の大きさは特に制限はなく、例えば異形押出成形体の場合、その肉厚は、強度及び形状保持の観点から、0.1〜7mmが好ましく、更に好ましくは0.2〜5mmであり、最も好ましくは0.3〜3mmである。成形体が板状のツインウォール及びマルチウォールである場合には、該製品としての厚みは2〜50mm程度が一般的である。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明に関わるポリカーボネート樹脂、樹脂組成物及び成形品の分析及び物性評価は、下記の測定方法により行った。
(1)粘度平均分子量(Mv); ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中、20℃で測定した溶液粘度から極限粘度[η]を求め、以下の式より粘度平均分子量(Mv)を算定た。
【0055】
【数1】
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83 (1)
【0056】
(2)MVR−R; JIS K 7210に準拠し、120℃で5時間乾燥した樹脂組成物について、タカラ工業(株)製メルトインデクサーを用いて、280℃、荷重2.16kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(MVR2.16)と、同様に280℃、荷重21.6kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(MVR21.6)から、下式によりMVR−Rを次式で求めた。
【0057】
【数2】
MVR−R=MVR21.6/MVR2.16 (2)
【0058】
(3)ポリカーボネートの分岐構造の定量; エステル交換法で製造したポリカーボネートをクロロホルムに溶解後、ノルマルヘキサン/メタノール=4/1(体積比)の混合溶媒に滴下し、樹脂分を沈殿させ、濾過・乾燥して添加剤成分を除去したポリカーボネート約0.18gと内部標準物質としてトリフェニルメタン(TPM)約3mgとを、テトラメチルシラン(TMS)0.05%含有重クロロホルム1gに溶解し、得られた溶液を日本電子(株)製JMN−AL400を用いて、温度:50℃、積算回数8000回でH−NMRスペクトルの測定を行った。測定後、(a)δ=7.96〜8.02ppm、(b)δ=8.11〜8.17ppm、(c)δ=10.35〜10.5ppmに検出される各シグナルの積分強度を測定し、5.5〜5.6ppmに現れるTPMのシグナルの積分強度から、次式によってポリカーボネート1gあたりの各シグナルのプロトン量を算出した。
【0059】
【数3】
Figure 2004292728
【0060】
(4)加水分解性
120℃、5時間乾燥したポリカーボネートのペレット(試料)から、シリンダー設定温度290℃の射出成形機M150AII−SJ((株)名機製作所製)により成形した3mm厚の試験片のHAZEと、この試験片を、プレッシャークッカー試験器で、120℃、100時間湿熱試験を行なった後のHAAZEを測定した。
【0061】
(5)界面法分岐ポリカーボネート(界面法PC1)の製造;
分岐化剤としてイサチンビスクレゾール、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、ホスゲンを使用して分岐状ポリカーボネートを界面重合法で製造した。得られた分岐状ポリカーボネート100重量部に、熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化(株)製、商品名アデカスタブ2112)を0.01重量部、離型剤として、ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂(株)製、商品名ユニスターH476)を0.2重量部配合した後、いすゞ(株)製40mm単軸押し出し機で、バレル温度290の条件で、混練、ペレット化をおこなった。得られた分岐状ポリカーボネートの粘度平均分子量は26,000、分岐化剤含有量は0.26モル%であった。
【0062】
(6)エステル交換法分岐ポリカーボネート(エステル交換法PC1)の製造;
ジフェニルカーボネートとビスフェノールAを混合した溶融液に、触媒として、炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA1モルに対し、1.13×10−6モルの割合で連続供給し、竪型攪拌重合槽、ならびに横型重合槽に逐次連続供給し、反応温度:210℃〜290℃、圧力:1.01×10〜66Paで、副生するフェノールの留去を行いながら重合を行った。重合終了後、ポリカーボネートを溶融状態のままで2軸押出機に送入し、p−トルエンスルホン酸ブチルを、触媒として使用した炭酸セシウムに対して4倍モル量、連続して混練し、さらにポリカーボネート100重量部に対して、熱安定剤としてアデカスタブ2112を0.01重量部、離型剤として、ユニスターH476を0.2重量部、添加混練し、脱揮後、ダイを通してストランド状として、カッターで切断してペレット化し、エステル交換法分岐状ポリカーボネートを得た。得られたエステル交換法PC1のHNMRスペクトル分析結果を表−1に示した。
【0063】
実施例1
界面法PC1及びエステル交換法PC1のペレット各50重量部を混合し、2軸押出機により、溶融混練し、再度ペレット化した。得られた樹脂組成物ペレットの分析結果を表−2に示した。
また、このペレットを用い、日本製鋼所(株)製B−30でバレル温度270〜260℃、金型温度70℃でブロー成形を行い、5ガロンボトルを得た。得られた5ガロンボトルを目視で観察し、表面光沢の良否を○、△、×で評価した。また樹脂組成物ペレットを、50mm単軸押し出し機を用いて、バレル温度255〜270℃で溶融し、スクリュー回転数:41rpmで押し出し、ダイヘッド部の外径4.1mm、内径3.8mmの条件で円筒形の形状に溶融樹脂を押出し、サイジングダイを経由後、パイプ引き取りを行ってパイプ成形を行った。パイプを安定成形後、パイプ表面のシワの有無を観察した。結果を表−2に示した。
【0064】
比較例1
界面法PC1を単独で用い、実施例1と同様にして5ガロンボトル及びパイプを製造して評価した。評価結果及び界面法PC1の分析結果を併せて表ー2に示した。
【0065】
比較例2
エステル交換法PC1を単独で用い、実施例1と同様にして5ガロンボトル及びパイプを製造して評価した。評価結果及びエステル交換法PC1の分析結果を併せて表−2に示した。
【0066】
【表1】
Figure 2004292728
【0067】
【表2】
Figure 2004292728
【0068】
【発明の効果】
本発明の分岐状ポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物から成形された中空成形品とサイジングダイを用いる押し出し成形品は、ポリカーボネート本来の機械的強度、耐熱性、透明性を有し、溶融成形時のドローダウンが小さく、耐加水分解性と外観ともに優れているので飲料水等の中空成形品、自動車部品、電気電子部品、車両部品、航空機部品、機械部品、看板、表示板、建築用資材などのツインウォール、マルチウォール等の成形品として使用できる。

Claims (7)

  1. (i)芳香族ジヒドロキシ化合物を分岐剤の存在下、ホスゲンと反応させる界面重合法により製造された分岐状ポリカーボネート1〜99重量%と(ii)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、エステル交換により重合して製造された分岐状ポリカーボネート99〜1重量%を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)が19,000〜40,000であり、かつ、JIS K 7210に準拠して280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレート(MVR2.16)に対する、21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレート(MVR21.6)の比(MVR21.6/MVR2.16)が15以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (i)界面重合法により製造された分岐状ポリカーボネートが、ポリカーボネートを構成する芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜1モル%の分岐剤を含有する請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. (ii)エステル交換法により製造された分岐状ポリカーボネートの、重クロロホルムを溶媒として測定したH−NMRスペクトル中のδ=7.96〜8.02ppmに検出されるシグナル(a)及びδ=8.11〜8.17ppmに検出されるシグナル(b)の各々の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pa)及び(Pb)の合計が4〜40μモルである請求項1又は2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対し、離型剤を0.01〜1重量部含有してなる樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対し、紫外線吸収剤を0.01〜20重量部含有してなる樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載のポリカーボネート樹脂組成物をブロー成形してなる中空成形品。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載のポリカーボネート樹脂組成物をサイジングダイを用いて押出成形してなる成形品。
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JP2016137670A (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 フクビ化学工業株式会社 透明樹脂中空成形体、及びその製造方法

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