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JP2004278180A - 斜面の緑化工法、並びに緑化防護柵および斜面の緑化構造 - Google Patents

斜面の緑化工法、並びに緑化防護柵および斜面の緑化構造 Download PDF

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JP2004278180A JP2003072620A JP2003072620A JP2004278180A JP 2004278180 A JP2004278180 A JP 2004278180A JP 2003072620 A JP2003072620 A JP 2003072620A JP 2003072620 A JP2003072620 A JP 2003072620A JP 2004278180 A JP2004278180 A JP 2004278180A
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久保光
Yoshihiro Yokota
横田善弘
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Abstract

【課題】間伐材の利用を促進するとともに、周囲の景観と調和する、施工性に優れた斜面緑化工法を提供することを目的とする。
【解決手段】斜面10を緑化する斜面緑化工法において、斜面10上に木製の土留め柵40を構築する工程と、前記土留め柵40と土留め柵40より上方側の前記斜面10との間に拘束控材50を架け渡す工程と、前記土留め柵40の内部に植生基盤材60を充填すると共に、植栽または播種する工程とよりなることを特徴とする、斜面緑化工法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、斜面を緑化して安定化させる斜面緑化技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、斜面を緑化する工法として、斜面上にコンクリート製の土留め柵を構築し、その内部に植生基盤材を入れ、植生する工法が知られている。
しかし、斜面上に設置したコンクリート製の枠体は、必ずしも周囲の自然景観と調和しないという難点があった。
そこで、自然景観と調和させるために、余剰状態にある間伐材を、土留め柵の土留め材として有効利用しようとする試みがなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この間伐材は強度や材質が一定でないこと、また耐用年数がはっきりしていないことなどから、土留め材として用いると、植物が斜面に根付き、斜面が安定化する前に、土留めが崩落してしまうという危険性があった。
また、法面が急な場合は、木製土留めが腐った後、法面が植生と共に崩壊する危険性があった。
【0004】
【発明の目的】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、間伐材の利用を促進するとともに、周囲の景観と調和する、施工性に優れた斜面緑化工法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の斜面の緑化工法は、斜面を緑化する斜面緑化工法において、斜面上に木製の土留め柵を構築する工程と、前記土留め柵と土留め柵より上方側の前記斜面との間に拘束控材を架け渡す工程と、前記土留め柵の内部に、植生基盤材を充填すると共に植栽や播種を行う工程とよりなることを特徴とするものである。
従来は、木製の土留め柵を本設として利用していたため、木製土留め柵が腐った後の緑化斜面の安定性を確保できなかった。しかし、本発明では土留め柵を、あくまで植栽あるいは播種による植生樹木が斜面に根付くまでの仮設物として利用するもので、斜面の安定については、樹木の根の土塊保持力を利用することによって、木製土留め柵が腐った後の問題点を解決したものである。
【0006】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した斜面の緑化工法において、前記拘束控材を植栽や播種により成育した植物の根や幹を囲むように、ループ状に配置したことを特徴とするものである。
これによって、植栽や播種により成育した植物の根や幹が、拘束控材に絡んで一体化し、土塊が斜面から崩れるのを防ぐために、あらかじめ拘束控材の一部をループ状に配置して根が絡み易くしたものである。
【0007】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した斜面の緑化工法において、前記土留め柵を構成する木材として間伐材を利用したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した斜面の緑化工法において、前記土留め柵の構築工程を実施する前に、対象斜面に向けて有孔構造の基礎ネットを敷設する工程を追加したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した何れかの斜面の緑化工法において、前記土留め柵を構築する前に、対象斜面に向けて排水機能を備えた透水層を構築する工程を追加したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した何れかの斜面の緑化工法において、植生基盤材の充填後に、前記植生基盤材の表面を防護材で被覆し、動物による被害から防止したことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した何れかの斜面の緑化工法において、植栽する植物または播種する種子に、中低木の樹種を用いたことを特徴とするものである。
ここで中低木とは、樹高が最大でも2mを超えない種類の樹木を言う。
この中低木には、たとえばサツキ、ツツジ、ヒメヤシャブシなどがある。
樹木の中でも背の小さな中低木を用いることにより、拘束控材などにかかる荷重を軽減することができる。
【0012】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した何れかの斜面の緑化工法において、あらかじめ斜面を階段状に整形した後に、各段単位で施工することを特徴としたものである。
【0013】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した何れかの斜面の緑化工法において、植栽と播種とを併用し、先駆性樹種と持続性樹種の両方を植生することを特徴としたものである。
ここで、先駆性樹種とは、寿命は短いが、生長が早く、環境適応能力が高いという特徴を有しており、火山噴火後や河川洪水後の裸地などに、真っ先に定着する樹種である。
【0014】
また、本発明の斜面の緑化工法は、前記した何れかの斜面の緑化工法において、前記基礎ネットにキトサンを混入あるいは付着させたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明は、植生基盤材を充填支持し、前記植生基盤材に植栽や播種を行う斜面緑化工法に用いる緑化防護柵において、間伐材を利用して構築した土留め柵と、該土留め柵と土留め柵より上方側の斜面との間に架け渡される拘束控材とにより構成したことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の斜面の緑化構造は、対象斜面に構築された木製の土留め柵と、該土留め柵と土留め柵より上方側の斜面との間に架け渡した拘束控材と、前記土留め柵の内部に充填される植生基盤材と、前記植生基盤材に植栽や播種を行う植物とにより構成し、前記拘束控材が前記土留め柵に負荷する荷重を支持しつつ、前記植生基盤材に植栽した植物の根や幹を包囲することを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態1】
以下図面を参照しながら、本発明に係る斜面緑化工法の実施方法について説明する。
【0018】
<イ>透水層の構築工程
緑化を行う対象斜面10の地盤上に、透水層20を構築する。
透水層20は、上面から降り注いだ雨水が地盤内部へ浸透するのを制御することによって、斜面10内が飽和状態になるのを防止し、ひいては斜面10の崩壊を抑制するものである。
この透水層20には、たとえば砕石、発泡ガラス、石炭灰或いは他の公知のものが使用できるが、本例ではクリンカアッシュを用いて、30〜50mm程度の厚みで敷設する。クリンカアッシュは火力発電所の副産物として産出されるもので、これを利用することにより、資源の有効活用に繋がる。
透水層20として、より好ましくは、排水機能のほか、一定程度の水分を保持しておく保水機能を併せもつものが良い。これは、かかる透水層20を用いれば、水と空気のあるところへ向かって伸びる根は、常に透水層20へ向かって伸び、より早く、そして最短の距離で生育するからである。
【0019】
ここで、斜面10が崩壊する場合のメカニズムについて説明する。
斜面10が崩壊する原因には、地質、地形、勾配といった斜面の有する素因や、降雨、地形改変といった外的な誘因がある。
降雨により雨水が土中に浸透すると、その水分は地盤内に浸透していくが、一般的に地盤の土砂密度は、深くなるに従って大きくなるため、透水係数は深度が深くなるに従って小さくなる。このため、地盤の表層から浸透した水分は、ある一定の深度で飽和状態となり、飽和状態となった部分は不飽和状態にある土の強度より低く、特に粘着力にあっては約1/3から1/10程度に低下するため、ここですべりが生じる。
そこで、本発明はこの点に鑑み、透水層20を斜面10上に構築することで、斜面10を絶えず不飽和な状態に保ち、長期に亘って斜面10の安定を図りつつ、各種素因における斜面10にも適応可能とした。
【0020】
斜面10に透水層20を設けることで、一定量を超える雨水は排水されるが、この許容能力に鑑み、斜面10の下方に透水層20の表層から透水層20内部に配管を配設して、透水層20の排水機能を補助しても良い。
【0021】
<ロ>基礎ネットの敷設工程
次に、透水層20の上に基礎ネット30を敷設する(図3(a))。
基礎ネット30は、たとえばアンカーを用いて、斜面10に固定する。
基礎ネット30は有孔構造を呈するもので、斜面10に敷設することによって、地盤が崩落するのを防止すると共に、植栽した植物が成育して、根がネット30の目に絡まり、土留めと斜面10との間に強い結合を生じさせる役目も兼ね備えている。
基礎ネット30には繊維や金属などのように、面外からおよぶ力に対して、強い耐力を有するものを使用する。
基礎ネット30の構造としては、たとえば繊維を面状に不整列に配置して形成した不織布や、編み・織りなどの方法により形成する公知の単一配向シート、単一配向シートを合板のように交互に積層したもの、クロス状のもの等の織布などが使用できる。
また、植物の根の発達を促すキトサンを、この基礎ネット30に混入あるいは付着させてもよい。かかる形態によって、植物の根はキトサンを吸収し、より生育が促進され、根と基礎ネット30との絡まり合いが一層早まり、ひいては早期に斜面10の安定を望むことができる。
【0022】
<ハ>土留め柵の構築
次に、山林から切り出した間伐材41を使用し、斜面10の勾配方向に一定間隔をおいて土留め柵40を構築する。
土留め柵40は、植栽した植物および内部に充填した植生基盤材60(土塊)が崩壊するのを防止するもので、この土圧に抵抗するため、水平あるいは垂直方向に配置した複数の木材を組み合わせて構成し、地盤に定着したものである。
本例では、間隙が生じないように水平方向に段積みして、土圧を受動する複数の木材(横桟42)と、横桟42と連結して、土圧を斜面10に伝播する木材(杭43)とより構成する。
【0023】
間伐材41を切断、加工し、横桟42用、杭43用に製作する。
横桟42用の間伐材41は杭43を打設するピッチより長く設定して切断し、また杭43用の間伐材41は所要の長さに切断した後、片端を尖らせるだけでよく、何れも製作は簡単で、時間を要するものではない。
間伐材41を用いることで資源の有効利用に繋がり、また施工現場の近隣で伐採される間伐材41を使用することによって、従来懸念されていたような、間伐材41の利用に関し、運搬コストと有効利用とのバランスが取れないという問題は解決することができる。さらに、資材の搬入が困難な山岳地帯においても、低コストで簡単に入手し、土留め柵40を構築することができる。
【0024】
加工した杭43を、斜面10の等高線上に一定の間隔をおいて打設し、その後、斜面10上方側から杭43に向けて木材を水平方向に積上げて横桟42とし、土留め柵40を構築する(図3(b))。
なお、本形態では土留め柵40の構築に間伐材41を使用したが、これに限定されるものではなく、各種の木材が利用できる。また、間伐材41には防食措置を必ずしも施す必要はなく、切り出したままの間伐材41を用いても、本発明の構成によってその構造をカバーするだけの耐力は備え得る。
【0025】
<ニ>拘束控材の設置
次に、土留め柵40と斜面10との間に、拘束控材50を架け渡して設置する。
拘束控材50は、土留め柵40が土塊より受圧する力を、斜面10に支持して、反力をとる部材である。
拘束控材50には、面方向および面外からの力に対して強い抵抗力を示す、たとえば帯状を呈した、樹製や金属製のネットを使用する。また、耐久性や耐腐蝕性に優れたものが好ましく、さらに有孔構造で構成するものが好ましい。
【0026】
拘束控材50は、斜面10と土留め柵40との間を、交互に連続または断続して架け渡す配置し、この形態に応じて拘束控材50の長さを設定する。
本例では、拘束控材50の両端部51、51を、斜面10の水平方向に一定間隔をあけて固定し、拘束控材50の中間部52を土留め柵40の側面に接続する形態とする(図3(c))。この両端部51、51間に設ける間隔は、拘束控材50と斜面10とで囲まれて形成される略三角形の空間内に、次工程で植栽する植物が挿入できる程度の寸法とするのが好ましい。
【0027】
両端部51、51の斜面10への固定は、たとえば公知のアンカーを用いて、拘束控材50の上から斜面10へ向け、打設して行う。その後、拘束控材50の中央部を掴んで、略水平方向に位置させ、前方の土留め柵40の側面に固定する(中間部52)。この中間部52の取り付け位置は、両端部51、51を結んだ線分の中心から、前方の位置に取りつけるのが好ましい。これは、土塊や植物が崩壊する方向がこの方向であり、このときに拘束控材50へおよぶ力を、最も拘束控材50への負担なく、そして効率良く抑止し得る方向がこの方向であるからである。
このような形態で拘束控材50を設置し、上下二段、そしてこのセットを斜面10の水平方向に一定の間隔をおいて設置してゆく。
【0028】
なお、拘束控材50の両端部51、51には、必ずしも間隔をあける必要はなく、また中間部52の土留め柵40への固定も、点で固定するのみならず、線状すなわち面で固定するなどしてもよい。
また、拘束控材50は、ロープ状であっても良い。
【0029】
<ホ>植栽
次に、土留め柵40の内部に、上部から幼木70を吊りいれて、仮固定する。このとき、幼木70を吊り入れる位置は、拘束控材50と斜面10とで囲まれる空間内にいれるのが望ましい。このように幼木70の周りを拘束控材50が取り囲むようにすれば、幼木70の自立性はより確保できる。
【0030】
この幼木70には、たとえば植栽工で一般的に使用されている、畑などで育てて掘り取る苗のほか、ポットに播種して育てたポット苗などを用いることができる。
畑で育てた苗は、掘り取る際に根を切断する場合があり、この結果活着率が低下するという危険性を含んでいる。
一方、ポット苗は植栽する時にポットから抜取るだけであるため、根を切断する危険は伴わず、活着率は高いが、直根があまり発達せず、むしろ側根がよく発達するという形態を呈する。
苗木を植栽する場合には、これらの点を考慮して選択するのが好ましい。
また、拘束控材50や斜面10などへの負荷を小さく抑えるためには、軽量の中低木を選択すると良い。
【0031】
その後、土留め柵40の内部に、工事で発生した残土あるいは肥料、堆肥、抜根材のチップなどを植生基盤材60として投入し、植栽を完成させる。土留め柵40の内部には、必要に応じて保水材や肥料を入れてもよい。
上記のようにして、斜面10全体に植栽を実施する。
【0032】
このようにして、本発明では土留め柵41と斜面10との間に拘束控材50を配置することによって、防護柵40におよぶ受圧力の負担を一部軽減することができ、植物が斜面10に根付くまでの間の、防護柵40が崩壊する危険を軽減することができる。
また、万が一、図4のように土留め柵40が崩壊、若しくは老朽化した場合にあっても、植物の周囲は拘束控材50で取り囲まれているから、少なくとも植物が倒壊する危険からは回避できる。
また、植物が斜面10に根付いた後においては、よりその安全性は確保できる。
【0033】
植栽後、一定期間が経過して、根が基礎ネット30にまで到達すると、やがて根と基礎ネット30とは絡まり合い、一体化することによって、安定した土留めが構築される。かくして、拘束控材50と基礎ネット30とが相俟って、土塊と斜面10との一体性を確保し、安全な緑化斜面を供給することができる。
また、根は基礎ネット30のみならず、拘束控材50の目にも絡まり合うため、より土留めは強固となる。
また、透水層20を斜面10上に構築することで、過剰となった雨水は排水され、ひいては斜面10の崩壊を防止することができ、さらに透水層20に保水機能を兼ね備えることで、植物に安定した水分を供給することができる。
【0034】
なお、上記した拘束控材50を設置する工程と、植栽を設置する工程とを入れ替えて、植栽を行った後に拘束控材50の設置を行ってもよい。
また、幼木70を植える代わりに、充填した植生基盤材60に種子を撒く場合、拘束控材50で形成した輪の中に根がつくように撒くのが好ましい。
種子を撒く場合には、ポット苗を植栽する場合と比べて、より根系の著しい発達が望め、早期における斜面10の安定が期待できる。
また、植栽または播種のいずれか一方を行う形態に限定されず、植栽と播種を併せて行ってもよい。
【0035】
植生工に用いる植物としては、木本類を使用するのが好ましい。
植物には、このほか草本類なども存在するが、草本類は多くが一年生で、冬になると枯れ、分解されてしまうため、二酸化炭素の吸収には寄与しない。
これに対して木本類は、多年生で冬でも葉以外の部分は枯れることはなく、また二酸化炭素の吸収に長期に亘って寄与するという点でも、草本類と比べて利用において優れた効果が期待できる。
【0036】
【発明の実施の形態2】
以上、上記形態は斜面10上に、透水層20および基礎ネット30を配置した形態であるが、これらは必ずしも配置する必要はなく、透水層20を構築する工程と、基礎ネット30を敷設する工程の何れか一方、または両方を省略しても良い。
【0037】
【発明の実施の形態3】
また、緑化を実施した部分が、植栽後にイノシシ等の有害鳥獣によって荒されるのを防止するため、植生基盤材60の表面部分を間伐材41や繊維あるいは金網などの防護材で覆っても良い。
この形態は、特に植生基盤材60に種子を撒く場合に有用である。
種子を植生基盤材60に撒いた場合、芽生えた個体は根が良く発達し、特に直根の発達が著しく、斜面10の早期安定が望める。カシの仲間には、柔らかい土の場合、1年に1m以上も発達する種もあるほどである。
しかし、種子類は小動物にとって好物であり、発芽するまでの間に、ネズミやうさぎなどに食べられることがある。
そこで、種子を植えた植生基盤材60の表面に、間伐材41や繊維あるいは金網などを配置することにより、種子を小動物から防止することができる。
【0038】
【発明の実施の形態4】
本発明は、切土斜面、自然斜面、また各種覆工斜面に適用することができる。
【0039】
【発明の実施の形態5】
以上は、対象斜面20の傾斜を生かしつつ、緑化を実施した形態であるが、緑化を行う前に、あらかじめ斜面10を階段状に整形してもよい(図5)。
これによって、植生および植生基盤材20の斜面10下方へすべる力が軽減でき、そして拘束控材50にかかる荷重が軽減できる結果、斜面20の安定に繋げることができる。
【0040】
【発明の実施の形態6】
以上は、幼木70を植栽する形態について説明したが、本形態では、ポット苗のほか播種も併用し、また先駆性樹種と持続性樹種の両方の樹種を植生させた。
以下、この形態について説明する。
【0041】
一般的に、新たな地盤を緑化し、極相に至らせるまでには長い時間がかかる。裸地が樹林化する場合、最初は一年生の草本が繁茂し、次に多年草、落葉広葉樹、常緑広葉樹というように長い年月をかけて植物の種類が遷移していく。そして、最終的にその土地や環境に適合した群落が完成する。
これは、所謂潜在自然植生と呼ばれるもので、人為的に地形を改変した場合には、早期にこの潜在自然植生に近づけることが求められる。
【0042】
そこで、本形態では、第一に、持続性樹種と先駆性樹種とを併せて植栽させる。
持続性樹種は、一般的に生長は遅いが寿命が長く、比較的大きくなり、環境林として存在し得るという性質を有するが、これだけを自然環境の中に植えても、定着し難いという問題がある。この持続性樹種には、たとえば、シャリンバイ、ネズミモチ、クヌギなどがある。
そこで、寿命は短いが、生長が早く、環境適応能力が高い先駆性樹種を併用して植栽することで、先駆性樹種は先に枯れ、そして持続性樹種の肥やしとなり、持続性樹種が新たな地盤に定着し易い環境、すなわち持続性樹種にとって好適な自然サイクルを植生間に形成した。この先駆性樹種には、たとえばアカメガシワやタニウツギ、ヤマハギなどがある。
また、先駆性樹種よって緑化斜面10は早期に緑で覆われるという効果を奏し、また経年と共に持続性樹種が先駆性樹種の樹高を追い越し、斜面10の表面に現れる樹木の種類が、移りゆく変化も楽しむことができる。
【0043】
そして、第二にこれらの樹種を、植栽と播種という二種類の手段を用いて植生させる。
ポット苗の育成については前記した通りであるが、根は水と空気のあるところへ向かって伸びる性質があるため、保水機能を有する透水層20を斜面10に設置した場合、土中は絶えず不飽和な状態であり、また一定の水分を含んでいるため、根茎の発達にとってはより好適な環境となる。
これによって、ポット苗もしくは種子の何れかには、少なくとも最適な環境が提供でき、斜面10を早期に緑化することができるものである。
【0044】
【発明の効果】
従って、本発明は次のような効果を得ることができる。
<イ>本発明は、斜面と土留め柵との間を拘束控材で架け渡すから、土留め柵におよぶ受圧を一部軽減でき、土留め柵が崩壊するのを軽減することができる。
また、土留め材として木材を使用するため、景観上の違和感なく緑化を行うことができ、さらに木材に間伐材を利用する場合でも、その構成により安定した構造が確保されているから、安心して使用することができる。また、間伐材の有効利用にもなる。
<ロ>斜面上に透水層を構築することで、余分な雨水は排水され、斜面は飽和状態とならないから、斜面の崩壊を防止することができる。また保水機能を備えることで、植栽への安定した水分供給も行うことができる。
また、斜面上に基礎ネットを敷設することで、これと成育した根とが絡まり合い、土塊と斜面との一体化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の斜面緑化工法の実施の形態1の斜視断面図。
【図2】実施の形態1の側方断面図。
【図3】緑化斜面の施工工程図。
【図4】土留め柵が崩壊した緑化斜面。
【図5】実施の形態5の側方断面図。
【符号の説明】
10・・斜面
20・・透水層
30・・基礎ネット
40・・土留め柵
41・・間伐材
50・・拘束控材
51・・端部
52・・中間部
60・・植生基盤材
70・・幼木

Claims (12)

  1. 斜面を緑化する緑化工法において、
    斜面上に木製の土留め柵を構築する工程と、
    前記土留め柵と土留め柵より上方側の前記斜面との間に拘束控材を架け渡す工程と、
    前記土留め柵の内部に、植生基盤材を充填すると共に植栽や播種を行う工程とよりなることを特徴とする、
    斜面の緑化工法。
  2. 請求項1において、前記拘束控材を植栽や播種により成育した植物の根や幹を囲むように、ループ状に配置したことを特徴とする、斜面の緑化工法。
  3. 請求項1または請求項2において、前記土留め柵を構成する木材として間伐材を利用したことを特徴とする、斜面の緑化工法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、前記土留め柵を構築する前に、対象斜面に向けて有孔構造の基礎ネットを敷設する工程を追加したことを特徴とする、斜面の緑化工法。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかにおいて、前記土留め柵を構築する前に、対象斜面に向けて排水機能を備えた透水層を構築する工程を追加したことを特徴とする、斜面の緑化工法。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかにおいて、植生基盤材の充填後に、前記植生基盤材の表面を防護材で被覆し、動物による被害から防止することを特徴とした、斜面の緑化工法。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れかにおいて、植栽する植物または播種する種子に、中低木の樹種を用いたことを特徴とする、斜面の緑化工法。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れかにおいて、あらかじめ斜面を階段状に整形した後に、各段単位で施工することを特徴とした、斜面の緑化工法。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れかにおいて、植栽と播種とを併用し、先駆性樹種と持続性樹種の両方を植生することを特徴とした、斜面の緑化工法。
  10. 請求項4乃至請求項9の何れかにおいて、前記基礎ネットにキトサンを混入あるいは付着させたことを特徴とする、斜面の緑化工法。
  11. 植生基盤材を充填支持し、前記植生基盤材に植栽や播種を行う斜面緑化工法に用いる緑化防護柵において、
    間伐材を利用して構築した土留め柵と、
    該土留め柵と土留め柵より上方側の斜面との間に架け渡される拘束控材とにより構成したことを特徴とする、
    緑化防護柵。
  12. 対象斜面に構築された木製の土留め柵と、該土留め柵と土留め柵より上方側の斜面との間に架け渡される拘束控材と、前記土留め柵の内部に充填される植生基盤材と、該植生基盤材に植栽や播種を行う植物とにより構成し、前記拘束控材が前記土留め柵に負荷する荷重を支持しつつ、前記植生基盤材に植栽した植物の根や幹を包囲することを特徴とする、斜面の緑化構造。
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