JP2004277661A - 新規共重合体高分子及びこれからなる増粘剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、優れた増粘性と、酸性条件下、塩存在下、高温条件下における増粘安定性とを兼ね備えた、新規なアクリル酸系共重合体高分子を提供することにある。
【解決手段】構成モノマーとして下記一般式(1)で示されるモノマー(A)と、下記一般式(2)で示されるモノマー(B)とを含有し、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30であることを特徴とする共重合体高分子。
【化1】
(式中、R1は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Mは水素、又は1価の金属原子を表す。)
【化2】
(式中、R2は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
【選択図】 なし
【解決手段】構成モノマーとして下記一般式(1)で示されるモノマー(A)と、下記一般式(2)で示されるモノマー(B)とを含有し、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30であることを特徴とする共重合体高分子。
【化1】
(式中、R1は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Mは水素、又は1価の金属原子を表す。)
【化2】
(式中、R2は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規共重合体高分子及びこれからなる増粘剤、特にアクリル酸系共重合体高分子における増粘性の向上、さらには酸性条件下、塩存在下、高温条件下における増粘安定性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品や医薬品等の分野においては、製品の剤型を保持するために種々の増粘ゲル化剤が用いられている。例えば、有機化合物としては多糖類、カゼイン等の天然高分子、ポリオキシエチレン、アクリル酸ポリマー等の合成高分子等が、また、無機化合物としてはモンモリロナイトをはじめとする各種粘土鉱物等が、それぞれの目的や効果に応じて適宜選択、使用されている。
【0003】
これらの中でも、特にアクリル酸系ポリマーは、比較的安価で、高い増粘性を有することが知られている。このため、アクリル酸系ポリマーは、化粧品の分野で増粘剤として好適に使用されており、例えば、乳液、クリーム等の乳化化粧料、頭髪化粧料に配合されている。
【0004】
しかしながら、これらの増粘剤を化粧料中に大量に配合すると、製剤の安全性、使用性の点が問題となるため、少量の配合で系をゲル化させる必要があり、このために、ゲル化能の更なる向上が要求されていた。
また、アクリル酸系ポリマーは、酸性条件下や、塩の存在下で粘度が低下してしまうため、酸性成分や塩との共配合が難しく配合処方が制限されるという問題があった。さらに、アクリル酸系ポリマーは、高温条件下における粘度の安定性が悪いという問題もあり、このような条件下での増粘安定性も要求されていた。
【0005】
これに対して、近年、合成高分子の分野では、構成モノマーの種類や組成割合を変化させることによって、優れた機能を有する共重合体を開発することを目的とした研究が盛んに行われており、アクリル酸系ポリマーにおいても、種々の機能性共重合体が現在までに提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−149848号公報
【特許文献2】
特開平9−157130号公報
【特許文献3】
特開平11−152302号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような増粘性、増粘安定性の点において、当該技術分野の要求を十分に満たすようなアクリル酸系ポリマーは、これまでに得られておらず、このため、優れた増粘性と増粘安定性とを兼ね備えたアクリル酸系共重合体の開発が待たれていた。
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑み行われたものであり、その目的は、優れた増粘性と、酸性条件下、塩存在下、高温条件下における増粘安定性とを兼ね備えた、新規なアクリル酸系共重合体高分子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達するために、本発明者らが鋭意研究を行った結果、アクリル酸系モノマー又はその金属塩と、オキシアルキレン基及びアルキル基を有するアクリル酸系モノマーとを特定の割合で共重合させた高分子が、優れた増粘作用を示すとともに、pH、塩、温度に対しての増粘安定性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一の主題は、構成モノマーとして下記一般式(1)で示されるモノマー(A)と、下記一般式(2)で示されるモノマー(B)とを含有し、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30であることを特徴とする共重合体高分子である。
【化3】
(式中、R1は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Mは水素、又は1価の金属原子を表す。)
【化4】
(式中、R2は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
【0010】
また、前記共重合体高分子において、R4がメチル基又はエチル基であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、nが2であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、R4がメチル基であり、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=95:5〜70:30であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、R4がエチル基であり、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=95:5〜80:20であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、構成モノマーとして架橋剤モノマー(C)を構成モノマー総量の1.0モル%以下含有することが好適である。
また、本発明の第二の主題は、前記共重合体高分子からなる増粘剤である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳述する。
前記一般式(1)に示されるモノマー(A)は、アクリル酸、又はメタクリル酸のようなアルキル置換アクリル酸、又はその金属塩である。一般式(1)において、アクリル酸α炭素の置換基であるR1は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、アルキル基である場合には直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、特に好ましくは水素、メチル基である。また、一般式(1)において、Mは水素、又は1価の金属原子を意味し、このようなものであれば特に限定されるものではないが、1価の金属原子としては、例えばナトリウム、カリウム等が挙げられ、特にナトリウムであることが好ましい。
【0012】
本発明に用いられるモノマー(A)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。
また、モノマー(A)として、Mが水素であるアクリル酸又はメタクリル酸等を用いて、本発明にかかる共重合体を重合した後に、希水酸化ナトリウム溶液等を用いて、当該共重合体のモノマー(A)のMをナトリウム等の金属塩の形に置換することも可能である。
なお、本発明の共重合体高分子においては、前記モノマー(A)の1種又は2種以上を構成モノマーとすることができる。
【0013】
前記一般式(2)に示されるモノマー(B)は、アクリル酸、又はメタクリル酸のようなアルキル置換アクリル酸において、オキシアルキレン基とアルキル基とを有する化合物である。一般式(2)において、アクリル酸α炭素の置換基を表すR2は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、アルキル基である場合には直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、特に好ましくは水素、又はメチル基である。また、一般式(2)において、オキシアルキレン部位のアルキレン基を表すR3は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、この中でもエチレン基であることが特に好ましい。また、一般式(2)において、末端アルキル基を表すR4は炭素数1〜4のアルキル基であり、直鎖状、分岐状いずれのものでも良い。R4が炭素数5以上のアルキル基である場合には、十分な増粘性を得ることができない場合がある。R4はメチル基、又はエチル基であることが特に好ましい。また、一般式(2)において、オキシアルキレン基の繰り返し単位数を表すnは1〜3の整数である。nが4以上である場合には、十分な増粘性を得ることができない場合がある。nは2であることが特に好ましい。
【0014】
本発明に用いられるモノマー(B)としては、例えば、アクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル、アクリル酸ジエチレングリコールエチルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールエチルエーテル、アクリル酸ジエチレングリコールプロピルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールプロピルエーテル、アクリル酸ジエチレングリコールブチルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールブチルエーテル等が挙げられる。
なお、本発明の共重合体高分子においては、前記モノマー(B)の1種又は2種以上を構成モノマーとすることができる。
【0015】
また、本発明にかかる共重合体は、上記モノマー(A)とモノマー(B)とを有しており、モノマー(A)のカルボキシルアニオンに基づく電荷反発、モノマー(B)のオキシアルキレン基に基づく親水性、及び末端アルキル基に基づく疎水性のそれぞれのバランスによって、分散媒中で様々な形態の集合組織体を形成し得るため、モノマー(A)とモノマー(B)とをある特定の割合で用いた場合にのみ、特に高い増粘性を示すものである。
本発明にかかる共重合体においては、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30である。モノマー(B)の割合が、モノマー(A)、(B)の総量に対して1モル%未満であるか、又は30モル%を超える場合には、十分な増粘効果を発揮することができない。また、より好適には、本発明の共重合体においてR4がメチル基である場合に、(A):(B)=95:5〜70:30であり、R4がエチル基である場合に、(A):(B)=95:5〜80:20である。
【0016】
本発明にかかる共重合体は、上記モノマーを公知の重合方法を用いて重合することにより得ることができ、例えば、均一溶液重合法、不均一溶液重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、沈殿重合法等を用いることができる。例えば、均一溶液重合法の場合には、各モノマーを求めるモノマー組成にて溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して加熱撹拌することにより本発明の共重合体を得ることができる。また、ポリアクリル酸に官能基を付加させるポストモディフィケーションによって、本発明にかかる共重合体を得ることもできる。
【0017】
重合の際に用いられる溶媒としては、モノマーを溶解又は懸濁し得るものであって、水を含まない有機溶媒であればいかなる溶媒でも用いることが可能であり、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィンなどの炭化水素系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩化物系溶媒などの他、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等が挙げられる。これら溶媒は2種以上混合して用いてもよい。通常、用いる重合開始剤の開始温度よりも沸点が高い溶媒を選択することが好適である。
【0018】
重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤が挙げられる。なお、これらの重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。
【0019】
重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。比較的高分子量のポリマーを得たい場合には、1日程度反応させることが望ましい。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。本発明の共重合体の平均分子量は特に制限されず、オリゴマー以上の重合度を有していれば目的とする効果を発揮し得るが、特に平均分子量10万〜300万程度であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の共重合体高分子において、前記モノマー(A)、(B)以外の構成モノマーとして、架橋剤モノマー(C)を構成モノマー総量の1.0モル%以下含有することができる。モノマー(A)、(B)に加えて、さらに架橋剤モノマー(C)を含有することによって、より少量の配合で、優れた増粘効果を発揮することが可能となる。しかしながら、架橋剤モノマー(C)を構成モノマー総量の1.0モル%を超えて含有すると、増粘安定性に劣る傾向にあるため、架橋剤モノマー(C)の含有量は、構成モノマー総量の1.0モル%以下である必要がある。本発明に用いられる架橋剤モノマー(C)としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタノイル、テトラエチレングリコールジアクリラート、トリアリルアミン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0021】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記(A)〜(C)以外のモノマーを構成モノマーとして含有することもできる。含有量は、構成モノマー総量の50モル%以下の範囲であればよく、例えば、0.0001〜10モル%程度含有することができる。このようなモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリルアミド、メチルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、エチルアクリルアミド、エチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ε―カプロラクタム、ビニルアルコール、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、N,N´−ジメチルアミノエチルメタクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルメタクリレート
等が挙げられる。
【0022】
以上のようにして得られる本発明の共重合体は、イオン性のカルボキシル基を有するモノマー(A)と、親水性のオキシアルキレン基、及び疎水性の末端アルキル基を有するモノマー(B)とを有しており、このそれぞれのモノマーを特定の割合で用いることにより、優れた増粘性を示し、さらに酸性条件下、塩の存在下、高温条件下においても、安定した増粘性を発揮することができるものである。
【0023】
一般的なアクリル酸系ポリマーは、水性溶媒中、弱酸性の条件下では、主にカルボキシル基同士の水素結合によって三次元ネットワーク構造を形成しているが、強酸性、あるいは高温条件下では、カルボキシル基の解離が抑えられることによりネットワーク構造が崩壊し、粘性の低下を招いてしまうものと考えられる。他方、中性あるいは塩基性条件下では、解離したカルボキシレートアニオンの電荷反発によりポリマー鎖が広がることによって高い粘性を示しているが、塩が共存する場合には、静電遮蔽が起こりポリマー鎖が収縮してしまうために、粘性が低下すると考えられる。
これに対して、本発明の共重合体は前記モノマー(B)において、上記のような外環境の影響を受けにくい親水性のオキシアルキレン基、疎水性の末端アルキル基を有しており、これらがネットワーク構造の形成に寄与しているために、酸性条件下、塩存在下、高温条件下においても、安定した増粘性を発揮することができる。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず最初に、本発明にかかる共重合体の合成方法について説明する。
合成例1 アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル共重合体
【化5】
【0025】
1.メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテルモノマー
ジエチレングリコールメチルエーテル27g(0.22mol)、トリエチルアミン14g(0.14mol)をベンゼン50mlに氷冷下にて溶解した。これに、メタクリル酸クロライド12g(0.11mol)を加え、Ar雰囲気中、室温で一昼夜攪拌した。トリエチルアミン・塩酸塩を濾過により除去した後、ベンゼン溶液を0.1MNaCO3にて洗浄した。ベンゼンを揮発により除去した後、メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテルと、未反応のジエチレングリコールメチルエーテルとの混合物21gを得た(純度85%)。得られた混合物を減圧蒸留を行うことにより、目的とするメタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル10gを得た(収率48%)。
【0026】
2.アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル共重合体
モノマーAとして、アクリル酸1.3g(0.018mol)、モノマーBとして、前記メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル0.38g(0.002mol)を用い、それぞれをベンゼン20ml中に溶解し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.008gを加え、60℃で重合反応を行った。Ar雰囲気中、20時間加熱攪拌した後、乳白光(オパール)状コロイド溶液を得た。混合液を大過剰ジエチルエーテル中に加え、メタノールから大過剰ジエチルエーテルへの再沈殿による精製を2回繰り返し行い、その後、希NaOH溶液に溶解した。この溶液を1週間純水に対して透析した後、凍結乾燥により、目的とする共重合体1.7gを得た。
【0027】
上記1により得られたモノマーの1H−NMRスペクトルデータ(溶媒CDCl3)を図1に、上記2により得られた共重合体の1H−NMRスペクトルデータ(溶媒D2O)を図2に示す。図2において、検出されたピークの化学シフトから、1〜2ppm付近にアクリル酸主骨格のメチレン又はメチンプロトン、3.5〜4.5ppm付近にオキシエチレン基のメチレンプロトン、3.5ppm付近に末端メチル基のプロトンが確認され、このことから目的とする共重合体の生成が確認された。また、本発明においては、他の共重合体についても同様にして共重合体の生成を確認した。
【0028】
本発明者らは、以上に示した合成方法に準じ、各種共重合体を合成し、その評価を行った。
まず最初に本発明者らは、アクリル酸系共重合体の構造と、粘度との相関について検討するため、各種アクリル酸共重合体を製造し、その相対粘度の測定を行った。製造した共重合体の組成と粘度測定結果とを併せて表1、図3に示す。なお、共重合体のモノマー組成割合は、モノマーA:モノマーB=90:10とした。
【0029】
また、粘度の測定方法は以下の通りである。
〈粘度測定方法〉
コーンプレート式応力制御レオメータ:DynAlyser100(RheoLogica社製)により粘度の測定を行った。なお、特に断りのない限り、共重合体1.0質量%水溶液を用い、pH=10、NaCl0.1M共存下、25℃の条件で測定を行った。また、コーンの半径は40mm、コーンとプレートとの角度は4°とした。
なお、相対粘度η/η0におけるη0は、溶媒(水又はエタノール)の粘度とした。
【0030】
【表1】
表1、図3より、アクリル酸ナトリウムモノマーと、ジエチレングリコール及び末端アルキル基を有するメタクリル酸モノマーとの共重合体である共重合体2,3,4が、他のものと比べて特に高い増粘性を示すことが明らかとなった。そこで本発明者らは、この共重合体の構造について更に検討を進めることとした。
【0031】
末端アルキル基R 4 の決定
本発明者らは、モノマーBの末端アルキル基R4と増粘性との相関について検討するため、末端アルキル基を各種変化させたモノマーを用い、各種モノマー組成割合の共重合体を製造し、その粘性の評価を行った。製造した各種共重合体の組成及びその分子量を表2、粘度測定結果を表2、図4に示す。なお、表2にはずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。また、分子量測定方法は、以下の通りである。
【0032】
〈分子量測定方法〉
GPC:GPC900 JASCO V500(日本分光株式会社製)、カラム:Shodex Asahipak GF−7MHQ(昭和電工株式会社製)を用い、0.1MNaNO3−水/アセトニトリル(80/20)混合溶液を溶離液として、分子量測定を行った。
【0033】
【表2】
表2、図4より、R4がメチル基である共重合体3、8〜10が最も高い増粘性を示し、R4の炭素数が大きくなるほど粘度が低くなる傾向にあることが明らかとなった。また、R4がヘキシル基である共重合体18〜20では、モノマーBを持たない共重合体7(ポリアクリル酸ナトリウム)と同様に、増粘性をほとんど示していない。以上のことから、本発明にかかる共重合体では、モノマーBの末端アルキル基R4が炭素数1〜4のアルキル基である必要があり、特にR4がメチル基、又はエチル基であることが好ましい。
【0034】
オキシアルキレン基繰り返し単位数nの決定
つづいて本発明者らは、モノマーBのオキシアルキレン基の繰り返し単位数nと増粘性との相関について検討するため、nを各種変化させたモノマーを用い、各種モノマー組成割合の共重合体を製造し、その粘性の評価を行った。製造した各種共重合体の組成を表3に、粘度測定結果を表3、図5に示す。なお、粘度測定結果としては、ずり速度10−3s−1のときのみかけの粘度を示す。
【0035】
【表3】
表3、図5より、nが1〜3である共重合体では高い増粘性を示すことが認められた。これに対して、オキシアルキレン基を持たない共重合体1、21では、増粘性をほとんど示していないことから、モノマーBはオキシアルキレン基を有している必要がある。一方で、本発明者らが更なる検討を行った結果、オキシアルキレン基の繰り返し単位数nが長すぎると増粘性に劣る傾向にあるため、本発明にかかる共重合体ではnが1〜3である必要がある。また、モノマーBの組成割合が20モル%以上になると、n=1の場合では白濁を生じてしまう場合があり、n=3の場合では増粘性の低下を生じてしまう可能性があるため、nが2であることが最も好ましい。
【0036】
モノマーA、Bの組成割合
つづいて本発明者らは、前記表2に示した各種共重合体の粘度測定結果について、モノマーの組成割合と増粘性との相関についての検討を行った。ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度と各モノマーの組成割合との関係を図6に示す。
図6より、本発明にかかる共重合体は、モノマーBの含有量がある特定の割合で粘性の極大値を示し、これより多すぎても少なすぎても粘性に劣ることが明らかである。本発明の共重合体が好適に粘性を発揮し得るのは、モノマーBの組成割合が1〜30モル%の範囲であり、このため、本発明にかかる共重合体では、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30である必要がある。また、より好適には、R4がメチル基の場合に(A):(B)=95:5〜70:30、R4がエチル基の場合に(A):(B)=95:5〜80:20である。
【0037】
共重合体濃度
本発明者らは、本発明の共重合体を増粘剤として用いた場合の、共重合体濃度と粘度との関係について検討を行うため、前記共重合体3を用いて各種濃度の共重合体水溶液を調製し、その粘性の評価を行った。各種濃度の共重合体水溶液の粘度測定結果を表4、及び図7に示す。なお、表4、及び図7(b)には、ずり速度0.1s−1のときの粘度を示す。
【表4】
表4、図7より、本発明の共重合体は、0.2質量%程度の配合から粘度の向上が見られ始め、1.0質量%程度の配合では顕著な増粘効果が見られることが明らかとなった。また、上記試験結果には示さなかったが、架橋剤モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを配合した共重合体においては、さらに低い濃度から顕著な増粘効果が認められた。
【0038】
溶媒の影響
つづいて本発明者らは、本発明の共重合体を増粘剤として用いた場合の、溶媒の種類と粘度との関係について検討を行うため、前記共重合体3を用い、溶媒として水/エタノール、及びエタノールを用いた共重合体溶液を調製し、その粘性の評価を行った。各種溶液の粘度測定結果を表5、及び図8に示す。
【表5】
表5、図8より、本発明の共重合体においては、溶媒が水の場合には特に優れた増粘効果が得られているのに対して、溶媒としてエタノールを含有する場合には、水の場合と比較して増粘効果に劣ることが示された。しかしながら、共重合体を10.0質量%程度配合した場合、エタノール溶媒中においても比較的高い増粘効果が得られることが明らかとなった。
【0039】
pHの影響
また本発明者らは、本発明の共重合体の増粘性に対するpHの影響について検討を行うため、前記共重合体3を用い、各種pH条件下での粘性の評価を行った。各pHでの粘度測定結果を表6、及び図9に示す。なお、表6、及び図9(b)には、ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。
【表6】
従来のアクリル酸系ポリマーにおいては、pHが小さくなるにつれ粘度が低下し、pH5以下では著しく粘性が低減していたのに対して、表6、図9より、本発明の共重合体においては、pHにより受ける影響が比較的小さく、酸性条件下においても増粘性を発揮することができることが明らかとなった。
【0040】
塩の影響
つづいて本発明者らは、本発明の共重合体の増粘性に対する塩の影響について検討を行うため、前記共重合体3を用い、各種塩濃度条件下での粘性の評価を行った。各種塩濃度条件での粘度測定結果を表7、及び図10に示す。なお、表7、及び図10(b)には、ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。
【表7】
従来のアクリル酸系ポリマーにおいては、塩濃度0.1%程度で粘度が著しく低下し、0.5%程度ではほとんど粘性を示さなかったのに対して、表7、図10より、本発明の共重合体においては、NaCl添加量により受ける影響が小さく、高い塩濃度条件下においても増粘性を発揮することができることが明らかとなった。
【0041】
温度の影響
つづいて本発明者らは、本発明の共重合体の増粘性に対する温度の影響について検討を行うため、前記共重合体3を用い、各種温度条件下での粘性の評価を行った。各温度条件での測定結果を表8、及び図11に示す。なお、表8、及び図11(b)には、ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。
【表8】
従来のアクリル酸系ポリマーにおいては、温度上昇により粘度が低下し、40℃以上では著しく粘性が低減していたのに対して、表8、図11より、本発明の共重合体においては、温度変化により受ける影響が比較的小さく、高温条件下においても増粘性を発揮することができることが明らかとなった。
【0042】
本発明にかかる共重合体の他の合成例を以下に示す。
合成例2 アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル(20)/メチレンビスアクリルアミド共重合体
モノマーAとして、アクリル酸1.16g(0.016mol)、モノマーBとして、前記メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル0.75g(0.004mol)、架橋剤モノマーCとして、メチレンビスアクリルアミドを0.031g(0.0002mol)を用いて、それぞれをベンゼン20ml中に溶解し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.008gを加え、60℃で重合反応を行った。Ar雰囲気中、20時間加熱攪拌した後、乳白光(オパール)状コロイド溶液を得た。混合液を大過剰ジエチルエーテル中に加え、メタノールから大過剰ジエチルエーテルへの再沈殿による精製を2回繰り返し行い、その後、希NaOH溶液に溶解した。この溶液を1週間純水に対して透析した後、凍結乾燥により、目的とする共重合体1.8gを得た。
【0043】
【発明の効果】
本発明にかかる共重合体高分子は、アクリル酸系モノマー又はその金属塩と、オキシアルキレン基及びアルキル基を有するアクリル酸系モノマーとを特定の割合で共重合させた高分子であり、優れた増粘性を有すると共に、酸性条件下、塩存在下、高温条件下における高い増粘安定性を有した新規なアクリル酸系共重合体高分子である。また、これを増粘剤として用いた場合には、少量の配合で優れた増粘効果を付与することができ、酸や塩を配合する製剤中でも優れた増粘効果を発揮することができ、さらには高温条件下においても安定した増粘効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成例1により得られたモノマーの1H−NMRスペクトルである。
【図2】本発明の合成例1により得られた共重合体の1H−NMRスペクトルである。
【図3】各種アクリル酸系共重合体の相対粘度の測定結果である。
【図4】本発明にかかる共重合体において、末端アルキル基R4を各種変化させた共重合体における粘度−ずり速度プロットである((a)R4=CH3,(b)R4=C2H5,(c)R4=C4H9,(d)R4=C6H13,(e)ポリアクリル酸Na)。
【図5】本発明にかかる共重合体において、オキシアルキレン基繰り返し単位数nを各種変化させた共重合体における粘度−モノマーB組成割合プロットである((a)n=0,(b)n=1,(c)n=2,(d)n=3)。
【図6】本発明にかかる各種共重合体における粘度−モノマーB組成割合プロットである。
【図7】本発明にかかる共重合体3において、共重合体濃度を各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−共重合体濃度プロットである。
【図8】本発明にかかる共重合体3において、溶媒(組成)を各種変化させた共重合体溶液の相対粘度の測定結果である。
【図9】本発明にかかる共重合体3において、pHを各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−pHプロットである。
【図10】本発明にかかる共重合体3において、NaCl濃度を各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−NaCl濃度プロットである。
【図11】本発明にかかる共重合体3において、温度を各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−温度プロットである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規共重合体高分子及びこれからなる増粘剤、特にアクリル酸系共重合体高分子における増粘性の向上、さらには酸性条件下、塩存在下、高温条件下における増粘安定性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品や医薬品等の分野においては、製品の剤型を保持するために種々の増粘ゲル化剤が用いられている。例えば、有機化合物としては多糖類、カゼイン等の天然高分子、ポリオキシエチレン、アクリル酸ポリマー等の合成高分子等が、また、無機化合物としてはモンモリロナイトをはじめとする各種粘土鉱物等が、それぞれの目的や効果に応じて適宜選択、使用されている。
【0003】
これらの中でも、特にアクリル酸系ポリマーは、比較的安価で、高い増粘性を有することが知られている。このため、アクリル酸系ポリマーは、化粧品の分野で増粘剤として好適に使用されており、例えば、乳液、クリーム等の乳化化粧料、頭髪化粧料に配合されている。
【0004】
しかしながら、これらの増粘剤を化粧料中に大量に配合すると、製剤の安全性、使用性の点が問題となるため、少量の配合で系をゲル化させる必要があり、このために、ゲル化能の更なる向上が要求されていた。
また、アクリル酸系ポリマーは、酸性条件下や、塩の存在下で粘度が低下してしまうため、酸性成分や塩との共配合が難しく配合処方が制限されるという問題があった。さらに、アクリル酸系ポリマーは、高温条件下における粘度の安定性が悪いという問題もあり、このような条件下での増粘安定性も要求されていた。
【0005】
これに対して、近年、合成高分子の分野では、構成モノマーの種類や組成割合を変化させることによって、優れた機能を有する共重合体を開発することを目的とした研究が盛んに行われており、アクリル酸系ポリマーにおいても、種々の機能性共重合体が現在までに提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−149848号公報
【特許文献2】
特開平9−157130号公報
【特許文献3】
特開平11−152302号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような増粘性、増粘安定性の点において、当該技術分野の要求を十分に満たすようなアクリル酸系ポリマーは、これまでに得られておらず、このため、優れた増粘性と増粘安定性とを兼ね備えたアクリル酸系共重合体の開発が待たれていた。
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑み行われたものであり、その目的は、優れた増粘性と、酸性条件下、塩存在下、高温条件下における増粘安定性とを兼ね備えた、新規なアクリル酸系共重合体高分子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達するために、本発明者らが鋭意研究を行った結果、アクリル酸系モノマー又はその金属塩と、オキシアルキレン基及びアルキル基を有するアクリル酸系モノマーとを特定の割合で共重合させた高分子が、優れた増粘作用を示すとともに、pH、塩、温度に対しての増粘安定性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一の主題は、構成モノマーとして下記一般式(1)で示されるモノマー(A)と、下記一般式(2)で示されるモノマー(B)とを含有し、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30であることを特徴とする共重合体高分子である。
【化3】
(式中、R1は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Mは水素、又は1価の金属原子を表す。)
【化4】
(式中、R2は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
【0010】
また、前記共重合体高分子において、R4がメチル基又はエチル基であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、nが2であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、R4がメチル基であり、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=95:5〜70:30であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、R4がエチル基であり、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=95:5〜80:20であることが好適である。また、前記共重合体高分子において、構成モノマーとして架橋剤モノマー(C)を構成モノマー総量の1.0モル%以下含有することが好適である。
また、本発明の第二の主題は、前記共重合体高分子からなる増粘剤である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳述する。
前記一般式(1)に示されるモノマー(A)は、アクリル酸、又はメタクリル酸のようなアルキル置換アクリル酸、又はその金属塩である。一般式(1)において、アクリル酸α炭素の置換基であるR1は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、アルキル基である場合には直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、特に好ましくは水素、メチル基である。また、一般式(1)において、Mは水素、又は1価の金属原子を意味し、このようなものであれば特に限定されるものではないが、1価の金属原子としては、例えばナトリウム、カリウム等が挙げられ、特にナトリウムであることが好ましい。
【0012】
本発明に用いられるモノマー(A)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。
また、モノマー(A)として、Mが水素であるアクリル酸又はメタクリル酸等を用いて、本発明にかかる共重合体を重合した後に、希水酸化ナトリウム溶液等を用いて、当該共重合体のモノマー(A)のMをナトリウム等の金属塩の形に置換することも可能である。
なお、本発明の共重合体高分子においては、前記モノマー(A)の1種又は2種以上を構成モノマーとすることができる。
【0013】
前記一般式(2)に示されるモノマー(B)は、アクリル酸、又はメタクリル酸のようなアルキル置換アクリル酸において、オキシアルキレン基とアルキル基とを有する化合物である。一般式(2)において、アクリル酸α炭素の置換基を表すR2は水素、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、アルキル基である場合には直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、特に好ましくは水素、又はメチル基である。また、一般式(2)において、オキシアルキレン部位のアルキレン基を表すR3は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、この中でもエチレン基であることが特に好ましい。また、一般式(2)において、末端アルキル基を表すR4は炭素数1〜4のアルキル基であり、直鎖状、分岐状いずれのものでも良い。R4が炭素数5以上のアルキル基である場合には、十分な増粘性を得ることができない場合がある。R4はメチル基、又はエチル基であることが特に好ましい。また、一般式(2)において、オキシアルキレン基の繰り返し単位数を表すnは1〜3の整数である。nが4以上である場合には、十分な増粘性を得ることができない場合がある。nは2であることが特に好ましい。
【0014】
本発明に用いられるモノマー(B)としては、例えば、アクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル、アクリル酸ジエチレングリコールエチルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールエチルエーテル、アクリル酸ジエチレングリコールプロピルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールプロピルエーテル、アクリル酸ジエチレングリコールブチルエーテル、メタクリル酸ジエチレングリコールブチルエーテル等が挙げられる。
なお、本発明の共重合体高分子においては、前記モノマー(B)の1種又は2種以上を構成モノマーとすることができる。
【0015】
また、本発明にかかる共重合体は、上記モノマー(A)とモノマー(B)とを有しており、モノマー(A)のカルボキシルアニオンに基づく電荷反発、モノマー(B)のオキシアルキレン基に基づく親水性、及び末端アルキル基に基づく疎水性のそれぞれのバランスによって、分散媒中で様々な形態の集合組織体を形成し得るため、モノマー(A)とモノマー(B)とをある特定の割合で用いた場合にのみ、特に高い増粘性を示すものである。
本発明にかかる共重合体においては、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30である。モノマー(B)の割合が、モノマー(A)、(B)の総量に対して1モル%未満であるか、又は30モル%を超える場合には、十分な増粘効果を発揮することができない。また、より好適には、本発明の共重合体においてR4がメチル基である場合に、(A):(B)=95:5〜70:30であり、R4がエチル基である場合に、(A):(B)=95:5〜80:20である。
【0016】
本発明にかかる共重合体は、上記モノマーを公知の重合方法を用いて重合することにより得ることができ、例えば、均一溶液重合法、不均一溶液重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、沈殿重合法等を用いることができる。例えば、均一溶液重合法の場合には、各モノマーを求めるモノマー組成にて溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して加熱撹拌することにより本発明の共重合体を得ることができる。また、ポリアクリル酸に官能基を付加させるポストモディフィケーションによって、本発明にかかる共重合体を得ることもできる。
【0017】
重合の際に用いられる溶媒としては、モノマーを溶解又は懸濁し得るものであって、水を含まない有機溶媒であればいかなる溶媒でも用いることが可能であり、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィンなどの炭化水素系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩化物系溶媒などの他、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等が挙げられる。これら溶媒は2種以上混合して用いてもよい。通常、用いる重合開始剤の開始温度よりも沸点が高い溶媒を選択することが好適である。
【0018】
重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤が挙げられる。なお、これらの重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。
【0019】
重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。比較的高分子量のポリマーを得たい場合には、1日程度反応させることが望ましい。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。本発明の共重合体の平均分子量は特に制限されず、オリゴマー以上の重合度を有していれば目的とする効果を発揮し得るが、特に平均分子量10万〜300万程度であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の共重合体高分子において、前記モノマー(A)、(B)以外の構成モノマーとして、架橋剤モノマー(C)を構成モノマー総量の1.0モル%以下含有することができる。モノマー(A)、(B)に加えて、さらに架橋剤モノマー(C)を含有することによって、より少量の配合で、優れた増粘効果を発揮することが可能となる。しかしながら、架橋剤モノマー(C)を構成モノマー総量の1.0モル%を超えて含有すると、増粘安定性に劣る傾向にあるため、架橋剤モノマー(C)の含有量は、構成モノマー総量の1.0モル%以下である必要がある。本発明に用いられる架橋剤モノマー(C)としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタノイル、テトラエチレングリコールジアクリラート、トリアリルアミン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0021】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記(A)〜(C)以外のモノマーを構成モノマーとして含有することもできる。含有量は、構成モノマー総量の50モル%以下の範囲であればよく、例えば、0.0001〜10モル%程度含有することができる。このようなモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリルアミド、メチルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、エチルアクリルアミド、エチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ε―カプロラクタム、ビニルアルコール、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、N,N´−ジメチルアミノエチルメタクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルメタクリレート
等が挙げられる。
【0022】
以上のようにして得られる本発明の共重合体は、イオン性のカルボキシル基を有するモノマー(A)と、親水性のオキシアルキレン基、及び疎水性の末端アルキル基を有するモノマー(B)とを有しており、このそれぞれのモノマーを特定の割合で用いることにより、優れた増粘性を示し、さらに酸性条件下、塩の存在下、高温条件下においても、安定した増粘性を発揮することができるものである。
【0023】
一般的なアクリル酸系ポリマーは、水性溶媒中、弱酸性の条件下では、主にカルボキシル基同士の水素結合によって三次元ネットワーク構造を形成しているが、強酸性、あるいは高温条件下では、カルボキシル基の解離が抑えられることによりネットワーク構造が崩壊し、粘性の低下を招いてしまうものと考えられる。他方、中性あるいは塩基性条件下では、解離したカルボキシレートアニオンの電荷反発によりポリマー鎖が広がることによって高い粘性を示しているが、塩が共存する場合には、静電遮蔽が起こりポリマー鎖が収縮してしまうために、粘性が低下すると考えられる。
これに対して、本発明の共重合体は前記モノマー(B)において、上記のような外環境の影響を受けにくい親水性のオキシアルキレン基、疎水性の末端アルキル基を有しており、これらがネットワーク構造の形成に寄与しているために、酸性条件下、塩存在下、高温条件下においても、安定した増粘性を発揮することができる。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず最初に、本発明にかかる共重合体の合成方法について説明する。
合成例1 アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル共重合体
【化5】
【0025】
1.メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテルモノマー
ジエチレングリコールメチルエーテル27g(0.22mol)、トリエチルアミン14g(0.14mol)をベンゼン50mlに氷冷下にて溶解した。これに、メタクリル酸クロライド12g(0.11mol)を加え、Ar雰囲気中、室温で一昼夜攪拌した。トリエチルアミン・塩酸塩を濾過により除去した後、ベンゼン溶液を0.1MNaCO3にて洗浄した。ベンゼンを揮発により除去した後、メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテルと、未反応のジエチレングリコールメチルエーテルとの混合物21gを得た(純度85%)。得られた混合物を減圧蒸留を行うことにより、目的とするメタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル10gを得た(収率48%)。
【0026】
2.アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル共重合体
モノマーAとして、アクリル酸1.3g(0.018mol)、モノマーBとして、前記メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル0.38g(0.002mol)を用い、それぞれをベンゼン20ml中に溶解し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.008gを加え、60℃で重合反応を行った。Ar雰囲気中、20時間加熱攪拌した後、乳白光(オパール)状コロイド溶液を得た。混合液を大過剰ジエチルエーテル中に加え、メタノールから大過剰ジエチルエーテルへの再沈殿による精製を2回繰り返し行い、その後、希NaOH溶液に溶解した。この溶液を1週間純水に対して透析した後、凍結乾燥により、目的とする共重合体1.7gを得た。
【0027】
上記1により得られたモノマーの1H−NMRスペクトルデータ(溶媒CDCl3)を図1に、上記2により得られた共重合体の1H−NMRスペクトルデータ(溶媒D2O)を図2に示す。図2において、検出されたピークの化学シフトから、1〜2ppm付近にアクリル酸主骨格のメチレン又はメチンプロトン、3.5〜4.5ppm付近にオキシエチレン基のメチレンプロトン、3.5ppm付近に末端メチル基のプロトンが確認され、このことから目的とする共重合体の生成が確認された。また、本発明においては、他の共重合体についても同様にして共重合体の生成を確認した。
【0028】
本発明者らは、以上に示した合成方法に準じ、各種共重合体を合成し、その評価を行った。
まず最初に本発明者らは、アクリル酸系共重合体の構造と、粘度との相関について検討するため、各種アクリル酸共重合体を製造し、その相対粘度の測定を行った。製造した共重合体の組成と粘度測定結果とを併せて表1、図3に示す。なお、共重合体のモノマー組成割合は、モノマーA:モノマーB=90:10とした。
【0029】
また、粘度の測定方法は以下の通りである。
〈粘度測定方法〉
コーンプレート式応力制御レオメータ:DynAlyser100(RheoLogica社製)により粘度の測定を行った。なお、特に断りのない限り、共重合体1.0質量%水溶液を用い、pH=10、NaCl0.1M共存下、25℃の条件で測定を行った。また、コーンの半径は40mm、コーンとプレートとの角度は4°とした。
なお、相対粘度η/η0におけるη0は、溶媒(水又はエタノール)の粘度とした。
【0030】
【表1】
表1、図3より、アクリル酸ナトリウムモノマーと、ジエチレングリコール及び末端アルキル基を有するメタクリル酸モノマーとの共重合体である共重合体2,3,4が、他のものと比べて特に高い増粘性を示すことが明らかとなった。そこで本発明者らは、この共重合体の構造について更に検討を進めることとした。
【0031】
末端アルキル基R 4 の決定
本発明者らは、モノマーBの末端アルキル基R4と増粘性との相関について検討するため、末端アルキル基を各種変化させたモノマーを用い、各種モノマー組成割合の共重合体を製造し、その粘性の評価を行った。製造した各種共重合体の組成及びその分子量を表2、粘度測定結果を表2、図4に示す。なお、表2にはずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。また、分子量測定方法は、以下の通りである。
【0032】
〈分子量測定方法〉
GPC:GPC900 JASCO V500(日本分光株式会社製)、カラム:Shodex Asahipak GF−7MHQ(昭和電工株式会社製)を用い、0.1MNaNO3−水/アセトニトリル(80/20)混合溶液を溶離液として、分子量測定を行った。
【0033】
【表2】
表2、図4より、R4がメチル基である共重合体3、8〜10が最も高い増粘性を示し、R4の炭素数が大きくなるほど粘度が低くなる傾向にあることが明らかとなった。また、R4がヘキシル基である共重合体18〜20では、モノマーBを持たない共重合体7(ポリアクリル酸ナトリウム)と同様に、増粘性をほとんど示していない。以上のことから、本発明にかかる共重合体では、モノマーBの末端アルキル基R4が炭素数1〜4のアルキル基である必要があり、特にR4がメチル基、又はエチル基であることが好ましい。
【0034】
オキシアルキレン基繰り返し単位数nの決定
つづいて本発明者らは、モノマーBのオキシアルキレン基の繰り返し単位数nと増粘性との相関について検討するため、nを各種変化させたモノマーを用い、各種モノマー組成割合の共重合体を製造し、その粘性の評価を行った。製造した各種共重合体の組成を表3に、粘度測定結果を表3、図5に示す。なお、粘度測定結果としては、ずり速度10−3s−1のときのみかけの粘度を示す。
【0035】
【表3】
表3、図5より、nが1〜3である共重合体では高い増粘性を示すことが認められた。これに対して、オキシアルキレン基を持たない共重合体1、21では、増粘性をほとんど示していないことから、モノマーBはオキシアルキレン基を有している必要がある。一方で、本発明者らが更なる検討を行った結果、オキシアルキレン基の繰り返し単位数nが長すぎると増粘性に劣る傾向にあるため、本発明にかかる共重合体ではnが1〜3である必要がある。また、モノマーBの組成割合が20モル%以上になると、n=1の場合では白濁を生じてしまう場合があり、n=3の場合では増粘性の低下を生じてしまう可能性があるため、nが2であることが最も好ましい。
【0036】
モノマーA、Bの組成割合
つづいて本発明者らは、前記表2に示した各種共重合体の粘度測定結果について、モノマーの組成割合と増粘性との相関についての検討を行った。ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度と各モノマーの組成割合との関係を図6に示す。
図6より、本発明にかかる共重合体は、モノマーBの含有量がある特定の割合で粘性の極大値を示し、これより多すぎても少なすぎても粘性に劣ることが明らかである。本発明の共重合体が好適に粘性を発揮し得るのは、モノマーBの組成割合が1〜30モル%の範囲であり、このため、本発明にかかる共重合体では、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=99:1〜70:30である必要がある。また、より好適には、R4がメチル基の場合に(A):(B)=95:5〜70:30、R4がエチル基の場合に(A):(B)=95:5〜80:20である。
【0037】
共重合体濃度
本発明者らは、本発明の共重合体を増粘剤として用いた場合の、共重合体濃度と粘度との関係について検討を行うため、前記共重合体3を用いて各種濃度の共重合体水溶液を調製し、その粘性の評価を行った。各種濃度の共重合体水溶液の粘度測定結果を表4、及び図7に示す。なお、表4、及び図7(b)には、ずり速度0.1s−1のときの粘度を示す。
【表4】
表4、図7より、本発明の共重合体は、0.2質量%程度の配合から粘度の向上が見られ始め、1.0質量%程度の配合では顕著な増粘効果が見られることが明らかとなった。また、上記試験結果には示さなかったが、架橋剤モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを配合した共重合体においては、さらに低い濃度から顕著な増粘効果が認められた。
【0038】
溶媒の影響
つづいて本発明者らは、本発明の共重合体を増粘剤として用いた場合の、溶媒の種類と粘度との関係について検討を行うため、前記共重合体3を用い、溶媒として水/エタノール、及びエタノールを用いた共重合体溶液を調製し、その粘性の評価を行った。各種溶液の粘度測定結果を表5、及び図8に示す。
【表5】
表5、図8より、本発明の共重合体においては、溶媒が水の場合には特に優れた増粘効果が得られているのに対して、溶媒としてエタノールを含有する場合には、水の場合と比較して増粘効果に劣ることが示された。しかしながら、共重合体を10.0質量%程度配合した場合、エタノール溶媒中においても比較的高い増粘効果が得られることが明らかとなった。
【0039】
pHの影響
また本発明者らは、本発明の共重合体の増粘性に対するpHの影響について検討を行うため、前記共重合体3を用い、各種pH条件下での粘性の評価を行った。各pHでの粘度測定結果を表6、及び図9に示す。なお、表6、及び図9(b)には、ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。
【表6】
従来のアクリル酸系ポリマーにおいては、pHが小さくなるにつれ粘度が低下し、pH5以下では著しく粘性が低減していたのに対して、表6、図9より、本発明の共重合体においては、pHにより受ける影響が比較的小さく、酸性条件下においても増粘性を発揮することができることが明らかとなった。
【0040】
塩の影響
つづいて本発明者らは、本発明の共重合体の増粘性に対する塩の影響について検討を行うため、前記共重合体3を用い、各種塩濃度条件下での粘性の評価を行った。各種塩濃度条件での粘度測定結果を表7、及び図10に示す。なお、表7、及び図10(b)には、ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。
【表7】
従来のアクリル酸系ポリマーにおいては、塩濃度0.1%程度で粘度が著しく低下し、0.5%程度ではほとんど粘性を示さなかったのに対して、表7、図10より、本発明の共重合体においては、NaCl添加量により受ける影響が小さく、高い塩濃度条件下においても増粘性を発揮することができることが明らかとなった。
【0041】
温度の影響
つづいて本発明者らは、本発明の共重合体の増粘性に対する温度の影響について検討を行うため、前記共重合体3を用い、各種温度条件下での粘性の評価を行った。各温度条件での測定結果を表8、及び図11に示す。なお、表8、及び図11(b)には、ずり速度0.1s−1のときのみかけの粘度を示す。
【表8】
従来のアクリル酸系ポリマーにおいては、温度上昇により粘度が低下し、40℃以上では著しく粘性が低減していたのに対して、表8、図11より、本発明の共重合体においては、温度変化により受ける影響が比較的小さく、高温条件下においても増粘性を発揮することができることが明らかとなった。
【0042】
本発明にかかる共重合体の他の合成例を以下に示す。
合成例2 アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル(20)/メチレンビスアクリルアミド共重合体
モノマーAとして、アクリル酸1.16g(0.016mol)、モノマーBとして、前記メタクリル酸ジエチレングリコールメチルエーテル0.75g(0.004mol)、架橋剤モノマーCとして、メチレンビスアクリルアミドを0.031g(0.0002mol)を用いて、それぞれをベンゼン20ml中に溶解し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.008gを加え、60℃で重合反応を行った。Ar雰囲気中、20時間加熱攪拌した後、乳白光(オパール)状コロイド溶液を得た。混合液を大過剰ジエチルエーテル中に加え、メタノールから大過剰ジエチルエーテルへの再沈殿による精製を2回繰り返し行い、その後、希NaOH溶液に溶解した。この溶液を1週間純水に対して透析した後、凍結乾燥により、目的とする共重合体1.8gを得た。
【0043】
【発明の効果】
本発明にかかる共重合体高分子は、アクリル酸系モノマー又はその金属塩と、オキシアルキレン基及びアルキル基を有するアクリル酸系モノマーとを特定の割合で共重合させた高分子であり、優れた増粘性を有すると共に、酸性条件下、塩存在下、高温条件下における高い増粘安定性を有した新規なアクリル酸系共重合体高分子である。また、これを増粘剤として用いた場合には、少量の配合で優れた増粘効果を付与することができ、酸や塩を配合する製剤中でも優れた増粘効果を発揮することができ、さらには高温条件下においても安定した増粘効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成例1により得られたモノマーの1H−NMRスペクトルである。
【図2】本発明の合成例1により得られた共重合体の1H−NMRスペクトルである。
【図3】各種アクリル酸系共重合体の相対粘度の測定結果である。
【図4】本発明にかかる共重合体において、末端アルキル基R4を各種変化させた共重合体における粘度−ずり速度プロットである((a)R4=CH3,(b)R4=C2H5,(c)R4=C4H9,(d)R4=C6H13,(e)ポリアクリル酸Na)。
【図5】本発明にかかる共重合体において、オキシアルキレン基繰り返し単位数nを各種変化させた共重合体における粘度−モノマーB組成割合プロットである((a)n=0,(b)n=1,(c)n=2,(d)n=3)。
【図6】本発明にかかる各種共重合体における粘度−モノマーB組成割合プロットである。
【図7】本発明にかかる共重合体3において、共重合体濃度を各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−共重合体濃度プロットである。
【図8】本発明にかかる共重合体3において、溶媒(組成)を各種変化させた共重合体溶液の相対粘度の測定結果である。
【図9】本発明にかかる共重合体3において、pHを各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−pHプロットである。
【図10】本発明にかかる共重合体3において、NaCl濃度を各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−NaCl濃度プロットである。
【図11】本発明にかかる共重合体3において、温度を各種変化させた条件での(a)粘度−ずり速度プロット、(b)ずり速度0.1s−1での粘度−温度プロットである。
Claims (7)
- 請求項1に記載の共重合体高分子において、R4がメチル基又はエチル基であることを特徴とする共重合体高分子。
- 請求項1又は2に記載の共重合体高分子において、nが2であることを特徴とする共重合体高分子。
- 請求項2又は3に記載の共重合体高分子において、R4がメチル基であり、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=95:5〜70:30であることを特徴とする共重合体高分子。
- 請求項2又は3に記載の共重合体高分子において、R4がエチル基であり、モノマー(A)とモノマー(B)との割合がモル比で(A):(B)=95:5〜80:20であることを特徴とする共重合体高分子。
- 請求項1から5のいずれかに記載の共重合体高分子において、構成モノマーとして架橋剤モノマー(C)を構成モノマー総量の1.0モル%以下含有することを特徴とする共重合体高分子。
- 請求項1から6のいずれかに記載の共重合体高分子からなることを特徴とする増粘剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003074538A JP2004277661A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 新規共重合体高分子及びこれからなる増粘剤 |
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| JP2003074538A JP2004277661A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 新規共重合体高分子及びこれからなる増粘剤 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004277661A true JP2004277661A (ja) | 2004-10-07 |
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ID=33290139
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|---|---|---|---|
| JP2003074538A Withdrawn JP2004277661A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 新規共重合体高分子及びこれからなる増粘剤 |
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|---|---|
| JP (1) | JP2004277661A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009536976A (ja) * | 2006-05-12 | 2009-10-22 | コアテツクス・エス・アー・エス | (メタ)アクリルポリマー骨格の乾燥に次ぐ官能基化による櫛形ポリマーの製造方法、得られたポリマーおよびこれらの使用 |
-
2003
- 2003-03-18 JP JP2003074538A patent/JP2004277661A/ja not_active Withdrawn
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