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JP2004270064A - 構造体 - Google Patents

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JP2004270064A
JP2004270064A JP2003060810A JP2003060810A JP2004270064A JP 2004270064 A JP2004270064 A JP 2004270064A JP 2003060810 A JP2003060810 A JP 2003060810A JP 2003060810 A JP2003060810 A JP 2003060810A JP 2004270064 A JP2004270064 A JP 2004270064A
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cellulose
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cellulosic
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JP2003060810A
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Kunihiko Okajima
邦彦 岡島
Chihiro Yamane
千弘 山根
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】バクテリアセルロース系、特に、酢酸菌が産生するセルロース系物質を主成分とするシートを作成する際に必要な、水抜け容易な技術を探索すること、微生物産生セルロース系物質の特徴を最大限に発揮できる機能構造体を提供すること。
【解決手段】微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質と親水性溶媒および/または疎水性溶媒が含まれていることを特徴とするシート状構造物、好ましくは、エンテロバクター属またはクリューベラ属に属す微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質であって、中心領域から放射状にマクロフィブリルを構成する独立体、もしくは、連結体であり、しかも、それらは、ミクロフィブリルで相互に、相分離構造で言うところのサーキュラーポア状に連結しているシート状構造物、さらに、該シート状構造物の少なくとも片面に他材料を配し、両者を一体化することを特徴とする接合構造体。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明では、微生物産生セルロース系物質のシート状物を生産するのに要する、高含水性に起因するエネルギー多消費問題(例えば、離解・脱水・乾燥に多大なエネルギーを消費する問題)を解決し、真に工業的に受け入れら得る高機能化技術を開示するとともに、そのための適切で新規なモルフォロジーを有する微生物産生セルロース系物質を提供する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、微生物、特に酢酸菌が生産するセルロース系物質は食品素材「ナタデココ」として良く知られている。他の産業用途としても、その特徴的機能、例えば、ナノレベルのフィブリル性、高含水性、高結晶性、高弾性性、高エネルギー損失性、高容量無機物担持性、高透明性などを利用した用途が多数提案されている。
例えば、音響振動板(特許文献2)、高力学シート(特許文献3)、創傷被覆材(特許文献4)、ポリアセタールやゴムの補強材料(特許文献5、特許文献6)、生体組織代替材(特許文献7)、食品素材(特許文献8)、偽造防止用紙(特許文献9)、電子写真用透明転写紙(特許文献10)、コロイダルシリカ/両性澱粉/パルプ/バクテリアセルロースからなる紙(特許文献11)、微小粒子を50%以上含有する機能シート(特許文献12)、人工土壌組成物(特許文献13)、酵素・微生物固定化担体(特許文献14)、ろ過膜(特許文献15)、活性炭材料(特許文献16)、コンクリート配合体(特許文献17)、感熱記録紙用支持体(特許文献18)、活性炭含有フィルター(特許文献19)、低密度平滑紙(特許文献20)、熱転写用受像シート(特許文献21)、写真印画紙用支持体(特許文献22)などが種々提案されているが、これらは、すべて酢酸菌産生微生物セルロースを出発原料としている。また、音響振動板以外の殆どの提案用途が、微生物産生セルロースである必然性が余り無い分野とも言える。
【0003】
更には、生産コストが高いという理由のほかに、多くの用途領域で、その高含水性から由来する低湿潤圧縮性(ここで湿潤圧縮性とは、圧をかけて圧縮した際の水の抜け易さを意味する。)がネックになり、微生物での生産過程での、離解・脱水・乾燥に多大なエネルギーがかかり、また、2次製品としての紙・シート状物を製造する際にも、水抜け不良というプロセス欠点があった。
また、2次製品とした後も、耐水性の点で、通常、使用されるパルプ、綿などのセルロース類と大差なく、製品の安定性に問題があるなどの点で、音響振動板以外では、確固とした産業用途が確立していないのが現状である。そのため、酢酸菌が産生するセルロース系物質では、離解技術で解決しようとする試みが、多数知られているが、抜本的な解決を見ていないのが現状である。
また、その一方で、微生物由来のセルロース系物質の持つ他の特徴、例えば、超低熱膨張性、軽量性、バリアー性、表面水酸基密度の多さ、その配向特性の制御性、それらから由来する構造異方特性、ハロゲン等有機不純物吸着性、光学活性補助性などを利用した高機能用途への応用は知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】
特許第2873927号公報
【特許文献2】
特開平6−233691号公報
【特許文献3】
特公平5−27653号公報
【特許文献4】
米国特許第4588400号明細書
【特許文献5】
米国特許第5086096号明細書
【特許文献6】
米国特許第5290830号明細書
【特許文献7】
特開平3−165774号公報
【特許文献8】
特開平3−157402号公報
【特許文献9】
特開平6−313297号公報
【特許文献10】
特開平6−250431号公報
【特許文献11】
特開平6−287888号公報
【特許文献12】
特開平1−156600号公報
【特許文献13】
特開平7−298777号公報
【特許文献14】
特開平8−35155号公報
【特許文献15】
特開平1−199604号公報
【特許文献16】
特開平10−94728号公報
【特許文献17】
特開平5−330888号公報
【特許文献18】
特開平6−297840号公報
【特許文献19】
特開平5−237326号公報
【特許文献20】
特開平6−248594号公報
【特許文献21】
特開平8−142528号公報
【特許文献22】
特開平6−242548号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明における課題は、
▲1▼従来のいわゆるバクテリアセルロース系、特に、酢酸菌が産生するセルロース系物質を主成分とするシートを作成する際に必要な、水抜け容易な技術を探索すること、また、
▲2▼水抜け容易なモルフォロジーを持つ微生物産生セルロース系物質を探索すること、そして、
▲3▼上記課題を解決した後に、微生物産生セルロース系物質の特徴を最大限に発揮できる機能構造体を提供し得る技術を確立すること、特に、超低熱膨張性、軽量性、バリアー性、表面水酸基密度の多さ(接着性)、およびその配向特性の制御性を利用した構造体、例えば、電子材料基板などを始めとする高機能用途を創出することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するための微生物産生セルロース系物質のシート化条件(混合すべき材料選定も含めて)、シート化後の接合化条件(高分子材料、金属箔等との)を検討するとともに、特殊形態(中心領域から放射状にマクロフィブリルを構成する独立体、もしくは、連結体であり、しかも、それらは、ミクロフィブリルで相互に、相分離で言うサーキュラーポア状に連結している形態を有することにより湿潤圧縮性が高く、スラリー粘度が低く、かつ他材料との接合性に有利な微生物産生セルロース系物質を見出すことにより、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の構成からなるものである。
(1)微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質と、親水性溶媒および/または疎水性溶媒が含まれていることを特徴とするシート状構造物。
(2)親水性溶媒が、水及び/又はグリコール類であり、疎水性溶媒が、芳香族炭化水素類、脂環式炭化水素類、および、それらを骨格に持つ誘導体類から選ばれる1種以上であることを特徴とする上記(1)記載のシート状構造物。
(3)微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質が、酢酸菌(アセトバクター属)の生産するセルロース系微小フィブリル性物質であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のシート状構造物。
(4)微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質が、エンテロバクター属またはクリューベラ属に属す微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質であって、中心領域から放射状にマクロフィブリルを構成する独立体、もしくは、連結体であり、しかも、それらは、ミクロフィブリルで相互に、相分離構造で言うところのサーキュラーポア状に連結していることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のシート状構造物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシート状構造物の少なくとも片面に他材料を配し、両者を一体化することを特徴とする接合構造体の製造方法。
(6)上記(5)に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする接合構造体。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のシート状構造物は、ナノレベルの微細繊維状微生物産生セルロース系物質を主成分とし、要すれば、高分子系繊維、無機系繊維、無機系フィラー等を併用して構成され、且つ親水性溶媒および/または、疎水性溶媒を含むシート状物に成形される。
このシート状物には、ポリマー溶液等が含浸、コーテイングされ、また、シート状物の片面、または、両面に他材料を配した構造体とされ、例えば、電子材料用基板材料、コンデンサー用セパレーター、電池用セパレーター、酸素濃縮薄膜、触媒担持薄膜、研磨シート、超インク吸収シート、HEPAフィルター、精密ろ過材、光学分割シート、湿度自己調節材など多岐に亘る用途領域で利用される。
本発明に使用できるナノレベルの微細繊維状微生物産生セルロース系物質は、BPR2001株に代表されるアセトバクター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファーメンタ(Acetobacter xylinum subsp. sucrofermentans)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum )ATCC23768、アセトバクター・キシリナムATCC23769、アセトバクター・パスツリアヌス(A. pasteurianus )ATCC10245、アセトバクター・キシリナムATCC14851、アセトバクター・キシリナムATCC11142及びアセトバクターキシリナムATCC10821等の酢酸菌(アセトバクター属)、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズーグレア属、エンテロバクター属またはクリューベラ属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジン)等を用いる公知の方法によって変異処理することにより創製される各種変異株を培養することにより生産されるものである。
【0009】
特に、エンテロバクター属またはクリューベラ属に属す、例えば、CJF002株(通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センター、微生物の表示「Enterobactersp.CJF−002」、受託番号「FERM P−17799」、以下、単に、エンテロバクター属CJF002又はCJF002という。)の生産するセルロース系微小フィブリル性物質は、中心領域から放射状にマクロフィブリルを構成する独立体、もしくは、連結体であり(図1参照)、しかも、それらは、ミクロフィブリルで相互に、相分離で言うサーキュラーポア状に連結していることを特徴(図2参照)とするものである。
そして、上記エンテロバクター属またはクリューベラ属に属する微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質は酢酸菌のそれに比べ、格段に湿潤圧縮性が高く、スラリー粘度が低く、他物質との接着性において有効な成分(例えば、ガラクトース、マンノースなど)を持つ場合もある点で、本発明に、特に好適に用いられる。
【0010】
上記ナノレベルの微細繊維状微生物産生セルロース系物質は、培養後、分離、滅菌、除菌、精製過程で、またはその後で、ミキサー、ポリトロン、自励式超音波粉砕機、超音波発振機、各種ビーズミル、マイクロフルイタイザーで代表される高圧せん断機などで、分散液を作成できる。
特に、上記CJF002株の生産するセルロース系微小フィブリル性物質の場合は、酢酸菌の産生するものに比べ、分散操作は極めて容易であり、エネルギー消費も小さい。
一方、「従来の技術」の項にも記載したように、酢酸菌由来のナノレベルの微細繊維状セルロース系物質は、分散媒が水である場合には、湿潤圧縮性が低く、かつ、シート化に際するスラリー粘度が極めて高いため、水の他にアルコール類などの水溶性有機溶媒を混合して分散すれば、粘度低減が図れる場合もある。
これら分散液に、必要に応じ、高分子系繊維、無機系繊維、無機系フィラーを混合分散すれば、更に、スラリー粘度を低減でき、水抜け性も向上する。
上記分散液を用い、メッシュ上に、吸引または加圧または自然流下などの通常の方法により、抄紙すれば、シート状物が得られる。
【0011】
次の工程での他物質の含浸や接合の工程で、接合不足の改善や、均一含浸のため、前記シート状物には疎水性の有機溶媒、特に、芳香族系炭化水素、脂環式炭化水素、それらの誘導体から選ばれる1種以上が存在していることが有利な場合がある。
特に、上記疎水性有機溶媒の存在は、酢酸菌由来のナノレベルの微細繊維状セルロース系物質の欠点である低湿潤圧縮性を、OH基の配向特性の制御を通して改善できる。
勿論、エンテロバクター属またはクリューベラ属由来のナノレベルの微細繊維状セルロース系物質の場合にも適用できる。
面配向性の高い微生物由来のセルロース系物質は、容易に芳香族系炭化水素類、脂環式炭化水素類を水やアルコール類とは異なる分子間領域に取り込む性質があり、前記分散液を作成する際に、同時に添加すれば良い。場合によっては、得られたシート状物に含浸、噴霧させても良いし、次の工程での、他物質の含浸、接合の際の溶媒として、供給されても良い。
【0012】
本発明のシート状構造物を調製する際には、場合によっては、天然セルロース繊維や再生セルロース繊維から誘導される微細繊維、ポリオレフィン系微細繊維、ポリエステル系微細繊維、ポリアミド系微細繊維、アラミド系微細繊維、ポリアクリル系微細繊維や、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、アスベスト、各種無機ウイスカースのうち少なくとも1種類を混合分散しても良い。
また、必要により、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、ガラス微粉末、炭素粉、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、アルミノ珪酸塩、シリカ、セリサイト、セライト、ベントナイト、スメクタイトなどの無機フィラーも混合分散しても良い。
また、同様に、機能性無機物質、例えば、X線遮蔽体・強誘電体としての炭酸バリウム、低熱伝体・高屈折率体としての酸化ジルコニウム、触媒原料・感光体基材としての酸化亜鉛、強磁性体としてのγフェライト、強誘電体としてのチタン酸バリウム、常磁性・低電気伝導体としての酸化コバルト、触媒・研磨材としての酸化錫、酸化アルミナ、酸化珪素、UV吸収体・光触媒としての酸化チタンなども混合分散しても良い。
【0013】
これらの、添加量は限定的ではなく、最終用途を考慮し、コスト、性能両面から、当該技術者が決定できる。本発明のナノレベルの繊維状微生物産生セルロース系物質の性能を発揮させる観点からは、他材料は90%以下、好ましくは、80%以下である。特に、疎水性繊維材料や微粒子系材料では、80%以下でないとシート形態を保てない。また、電子材料基板やコンデンサーセパレーターでは、微生物産生セルロースの低熱膨張性や高弾性などの特徴を利用するため60%以下にすべきである。
又、シートの見掛け密度を低下させる目的で、いわゆる嵩高剤を用いることも可能である。嵩高剤とは、例えば紙パ技術タイムス、2000年7月、P14−17に記載されているような界面活性剤で、例えばコンデンサーセパレーターや電池セパレーターの電解液保持性やイオン透過性を向上させる場合に特に効果的である。添加量は嵩高剤の種類などにより限定的ではないが、微生物産生セルロースに対し0. 1%以上15%未満添加するのがよい。
本発明のシート状構造物の厚さは、限定的では無いが、軽量、薄膜化が要求される電子材料基板やコンデンサー用セパレーターなどは、厚さ60μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0014】
本発明のシート状構造物には、親水性溶媒および/又は疎水性溶媒が含まれることを要件とするが、これは、次の工程での、他物質の含浸や接合を容易にさせる意味と、微生物産生セルロースの分子全体を動かし易くするという重要な要素が含まれる。親水性溶媒は水素結合面(領域)を動かし、疎水性溶媒は、ファンデアワールス面(領域)を動かす。特に、疎水性溶媒は、前述した如く、OH基の配向性を制御し、シート表面の水に対する濡れ性を制御できる。親水性溶媒は、水、アルコール類、多価アルコール類、アミド類、スルホキシド類、など本質的に水素結合性を持つものなら、何でも良いが、水、グリコール類が最も強力に、セルロースの水素結合面(領域)の運動性を与えるものである。量的には、構成セルロース分に対し、2%以上あれば十分であるが、実際上は、2%から30%程度である。上限は、限定的ではなく、シート状態を保つに十分な量に抑える必要があり、次の工程での、他物質の含浸、接合との関係で、経験的に決めれば良い。疎水性溶媒としては、脂肪族炭化水素類、脂肪族ハロゲン化物類、芳香族炭化水素類、脂環式炭化水素類、および、これらのエステル誘導体などが用いられるが,前述のように、芳香族炭化水素類、脂環式炭化水素類、および、それらを骨格に持つ誘導体類が、もっとも、セルロースの運動性を助長する。量的には、微生物産生セルロース系物質が、それら疎水性溶媒を取り込める量で十分であり、通常、1〜20%程度であるが、上限は限定的ではない。
【0015】
本発明のシート状構造物に含浸できる他材料溶液類は有機物、無機物含有のゾルまたはゲルである。有機物は、一般に、高分子類の各種溶液、または、ゲルをさし、親水性溶媒、疎水性溶媒、両性溶媒のいずれかに可溶またはゲル形成能があれば良く,天然、合成高分子のいずれでもよい。天然高分子では、天然ゴム、各種蛋白質、ポリグルコサミン、カードランなどに代表される多糖類、ムコ多糖類、キチン、キトサン、ポリ乳酸、ポリ酪酸などがある。これらの多くは、水でゲルを形成することができる。合成高分子では、ナイロン、ポリエステルに代表される縮重合体、ポリビニル化合物、ポリアクリレート類や各種共重合体に代表される付加重合体、付加重合体に含まれる所謂リビング重合体、ナイロン6や合成蛋白(NCA 法)に代表される開環重合体、ポリウレタンに代表される重付加重合体がある。また、無機物のゲルとしてはポリシロキサン系水ゲルがある。
また、コーテイング可能な材料は、基本的に、前述した高分子の濃厚溶液である。
【0016】
また、熱圧着可能な材料とは、限定的では無く、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などの汎用疎水性・熱可塑性高分子類、ポリアルキレンオキサイド類(PAO)等の親水性高分子類、ポリスルホン類(PSu )、ポリアミド類(PA)、ポリエステル類(PET)、ポリカーボネート類、ポリイミド類(PI)、ポリフェニレンエーテル類(PPE)などのスーパーエンプラ類などが使用できる。
また、金属箔も圧着可能であり、アルミニウム、銅、銀、金、錫、それらの合金で展延性のあるものであれば良い。例えば、銅と、亜鉛、錫、アルミニウム、ニッケルなどの合金、アルミニウムと、マンガン、マグネシウム、シリカ、亜鉛などの合金も用いられる。電材料用の配線基板材料としては、銅が好適に、用いられる。
【0017】
前記材料を、本発明のシートに含浸、コーテイング、熱圧着して得られる構造体は、微生物産生セルロースの低熱膨張率の効果により、前記材料群の形態安定化を向上するが、本発明の微生物産生セルロース系物質と複合されることにより、より機能を発揮する物質を含浸、コーテイング、熱圧着させる事が望ましい。
例えば、厚さ6μm程度の微生物産生セルロース系物質シートにポリメチルペンテンー1やγ―ベンジル−L−グルタメートの溶液を薄く含浸し、溶媒除去すると、溶解拡散機構に基づく、酸素選択透過性が増加する。
また、ポリアニリンのジメチルホルムアミド溶液を含浸し、溶媒除去すると形状安定化とともに、高分子電解質としての利用領域が拡大する。
PPEのトルエン溶液を含浸させると、極めて熱安定性の高いスーパーエンプラシートが出きる。
【0018】
TEOSなどを出発にして得られるナノポーラスシリカゲルを、ローラーなどで圧延含浸させると、透明性が高く、インク吸収性の高い構造体が得られる。
また、触媒を含有するエポキシ樹脂溶液を含浸、溶媒除去後、プレキュアー後、銅箔を両面に圧着すると、セルロース/エポキシ樹脂で絶縁された、銅箔表面を持つ電子材料用基板として高い寸法安定性を、持つ材料となる。
エポキシ樹脂含浸時に、溶媒として、例えば、トルエンを混在させると、加工後の水分雰囲気下で懸念される物性低下を防止できる。
また、セルロースはハロゲンなど飲料水中の疎水性有毒有機物を吸着する能力が高いため、より透水性の良いセルロース系繊維の層を積層すると、透水性の高い、かつ、効果的な吸着体ができる。
また、セルロース自体は光学活性体であり、他の光学活性をもつキトサンなどを配し、かつ、PdやRhで錯体化すれば、高度に選択的な水素添加触媒シートになる。
【0019】
一方、本発明のシート状構造物の内、他の微細繊維や無機フィラーが微生物産生セルロース系物質により、強度維持ないしは、高分散体としての位置付けとして用いる場合は、かかるシートに対し、含浸、コーテイング、熱圧着すべき材料は、既に、構成要素として配合されている微細繊維や無機フィラー等の機能を向上するように配慮し選定されるべきものである。
例えば、ポリエステルの微細繊維を50%含んだ微生物産生セルロース系シートは、HEPAフィルターとしてそれだけでも有用だが、ポリグルコサミン類を含浸・架橋すれば、イオン的に微細粉塵を除去する効果が増大する。
また、酸化チタンを微分散された微生物産生セルロース系シートは、UV吸収性や光触媒効果があるため、透明性の高い他材料、例えば、PMMA,ポリカーボネート、PVAなどを含浸、コーテイング、熱圧着することが望ましい。
X線遮蔽体・強誘電体としての炭酸バリウムが配された微生物産生セルロース系シートは、強度の高い他材料で、含浸、コーテイング、熱圧着されることが望ましい。
同様に、低熱伝体・高屈折率体としての酸化ジルコニウム、触媒原料・感光体基材としての酸化亜鉛、強磁性体としてのγフェライト、強誘電体としてのチタン酸バリウム、常磁性・低電気伝導体としての酸化コバルト、触媒・研磨材としての酸化錫、酸化アルミナ、酸化珪素などを構成要素とする構造体が例示できる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
〈微生物産生微細繊維状セルロース物質、スラリー、及びシートの調製〉
(実施例1−1)
2.0%のグルコースを添加した多糖生産培地(Polysaccharide−production−medium、Akihiko Shimada、Viva Origino,23, 1、52−53 、1995)を高圧蒸気殺菌処理した後、その1000mlを内容量3000mlの発酵槽に入れ、CJF−002株を10CFU/mlになるように接種し、通気下、30℃で1日間、通気に伴う攪拌培養を実施した。
培養の結果、図1のような特殊形態(中心領域から放射状にマクロフィブリルを構成する独立体、もしくは、連結体)のセルロース物質が得られた。
これをスクリーンメッシュで濾別、水洗、圧搾後、1%NaOH溶液に浸漬し、除菌後、再度中和、水洗、圧搾により水含有体(セルロース固形濃度:10wt%)を容易に得た。
因みに、得られた微生物産生微細繊維状セルロース物質を、その濃度が0.05%になるように、通常のブレンダーで、水に分散したスラリー(以下、実施例1−1スラリーという。)の粘度は約200cpであった。
次に、実施例1−1スラリーを通常の抄造装置で、A4版(約21x30cm)、厚み約40μmのシートを作成し、風乾した(以下、実施例1−1シートという。)。
風乾後のシートの水分率は約30%であった。
【0021】
(実施例1−2)
他方、酢酸菌ATCC10245を用い、4%のフルクトースを炭素源とし、小型ジャーファーメンター(全容量2000ml)にて、特開平10−195713号公報に記載の方法に準拠し、セルロース微細繊維を得、同公報で推奨する、ポリトロンにて、セルロース固形濃度10%の水含有体を得た。
得られたセルロースの形状は、バクテリアセルロースのミクロフィブリルが交差したようなものであり、実施例1−1のような、相分離で言うサーキュラーポア状とは、全く異質であった。
因みに、得られた微生物産生微細繊維状セルロース物質を、その濃度が0.05%になるように、通常のブレンダーで、水に分散したスラリー(以下、実施例1−2スラリーという。)の粘度は約1000cpであった。
次に、実施例1−2スラリーを通常の抄造装置で、A4版(約21×30cm)、厚み約40μmのシートを作成し、風乾した(以下、実施例1−2シートという。)。
風乾後のシートの水分率は約30%であった。
実施例1−2スラリーは、実施例1−1スラリーに比べ、シート化に際しては、ハンドリングがやや難しかった。
以後、ハイフン後の数値1は、エンテロバクター(CJF002)、2はアセトバクター(ATCC10245)由来であることを示す。
【0022】
【比較例1】
〈絶乾シートの調製〉
実施例1−1シート、実施例1−2シートを熱風乾燥し、それらの絶乾シート(以下、比較例1−1シート、比較例1−2シートという。)を得た。
【実施例2】
〈親水性媒体と疎水性媒体を含むスラリー、及びシートの調製〉
実施例1−1、又は実施例1−2に記載のセルロース固形濃度10%の水含有体10gを、水で5倍に希釈、強分散し、セルロース固形濃度2wt%の水分散体を得た。これに対し、せん断下に分散操作をしながら、トルエン5gを、徐々に加え、最終的にマイクロフルイタイザーを通過させ、乳白でやや透明性のある分散液を得た。酢酸菌の産生する微生物セルロースの場合は、粘度が高く、相当の時間を要した。これらを更に、水で希釈、分散しセルロース固形分0.05wt%のスラリーを得た(以下、実施例2−1、実施例2−2スラリーという。)。
次いで、実施例2−1,実施例2−2スラリーを用いて、通常の抄造装置で、A4版(約21×30cm)、厚み約40μmのシートを作成し、風乾した(以下、実施例2−1シート、実施例2−2シートという。)
風乾後の各シートの水分率は約30%、トルエン15%であった。
実施例2−1シートは、実施例2−2シートに比べ、水抜けは容易であった。
【0023】
【比較例2】
〈絶乾シートの調製〉
実施例2−1シート、実施例2−2シートを熱風乾燥し、それらの絶乾シート(以下、比較例2−1シート、比較例2−2シートという。)を得た。
次いで、比較例1−1〜2シート,比較例2−1〜2シートの比表面積を、Nガス吸着法(BET法)に準拠して測定した。
その結果を次の表1に記載する。
この表1の結果からみて、CJF菌、又は酢酸菌由来の微生物産生セルロースフィブリルのいずれの場合も、トルエンが入った水分散液から作成されたシート(比較例2−1〜2シート)は、トルエンを含まない水分散液から作成されたシート(比較例1−1〜2シート)に比べ、比表面積は大きく、本発明の各種接合構造体を作成する過程で、物理的接合や、物理的吸収作用を利用する場合は、親水性媒体と疎水性媒体が共存している方が好ましいと言える。
一方、水分を残した実施例1−1〜2シート,実施例2−1〜2シート(水分30wt%)では、いずれの微生物から得られたシートでも、X線回折から得られる( 11−0) 面の配向性は、それらシートを絶乾したシート(比較例1−1〜2シート,比較例2−1〜2シート)の40−60%であり、高度の水素結合形成が阻害されており、水分を残したシートを準備すれば、親水性物質との接合には有利になると考えられる。
【0024】
【表1】
Figure 2004270064
【0025】
【実施例3】
〈他材料との接合その1〉
実施例2−1〜2シート(親水性媒体(水)/疎水性媒体(トルエン)含有)と実施例1−1〜2シート(親水性媒体(水分)含有シート)に対し、三菱エンジニアリングプラステック社製、芳香族共重合ポリアミドPA(NovamidX21)、エーアンドエム社製ポリスチレンPS(GP685)、旭化成社製ポリオキシメチレンPOM、東レ社製ポリブチレンテレフタレートPBT(トレコン)を、表2(他材料はPA、PS、PBT、POMと略記)の所定温度(圧力1.82MPs)で熱圧着させた。
次いで、各々の接合構造体の接着性をピーリング性試験で判定した。
なお、ピーリング性試験は、JIS C6481(引きはがし強さ)で行い、判定は、◎(優秀)、○(良好)、△(やや弱い)、×(剥がれる)とした。
【0026】
【比較例3】
〈他材料との接合その1〉
実施例2−1〜2シート、実施例1−1〜2シートに代えて、それらの絶乾シートである比較例2−1〜2シート、比較例1−1〜2シート(表1)を使用した以外は実施例3と同様にして他材料と熱圧着させた。
次いで、各々の接合構造体の接着性を同上ピーリング性試験で判定した。
実施例3と比較例3のピーリング性試験の判定結果を表2に示した。
表2から明らかなように、親水性ポリマー(POM)は、水分が残留しているシート(実施例1−1〜2シート)との接合性が良好で、疎水性ポリマー(PS、PBT)は疎水性媒体が残留しているシート(実施例2−1〜2シート)と良好な接着性を示した。
PAでは、芳香族が共重合されており、いずれの場合も、ほぼ良好な結果を得た。
【0027】
【表2】
Figure 2004270064
【0028】
【実施例4】
〈他材料との接合その2〉
実施例2−1スラリー(水、トルエン含有)40wt%と、別途作成した平均繊維径1μmのアラミドパルプ(東レ・デュポン社製、シート材料)の0.05wt%分散液60wt%を混合分散し、これを、通常の抄造装置で、A4版(約21×30cm)のシートを作成し、風乾した。風乾後のシートの水分率は約20%、トルエン含有率10%であった。
このシートに、実施例3で使用したPAを、130℃、1.82MPaで熱圧着した。
この接合構造体のピーリング性試験をしたところ、剥がれなく、評価は表2に準拠すると◎であった。
【比較例4】
〈他材料との接合その2〉
実施例4の風乾後のシートに代えて、それを熱風乾燥した絶乾シートを使用した以外は実施例4と同様にしてPAと熱圧着させた。その接合構造体のピーリング性試験をしたところ、剥離する部分が多数存在し、評価は表2に準拠すると×であった。
【0029】
【実施例5】
〈電子材料基板〉
実施例2−1〜2シート(親水性媒体(水)/疎水性媒体(トルエン)含有)に、再度トルエンを噴霧した後、このシートにメチルエチルケトンに溶解したエポキシ樹脂(アミン系触媒含有)を含浸し、余剰分をロール操作で除去した。
次いで、これを風乾、予備乾燥後、シートの両面に、銅箔(古河サーキットフォイル社製、厚さ;10μm)を180℃、2MPa条件で1時間、熱圧着して、電子材料基板用銅箔シートを得た。
次いで、この銅箔シートの切片を電子顕微鏡観察した結果、エポキシ樹脂が、きわめて均一にセルロース内表面に入っていた。
また、この銅箔シートの150℃での熱処理で収縮は7ppm以下であり、電子材料の配線基板として良好であった。エポキシ樹脂の代わりに、イソシアネート系樹脂、ヒンダードフェノール系樹脂を使用しても、同様の結果が得られた。
【比較例5】
〈電子材料基板〉
実施例2−1〜2シート(親水性媒体(水)/疎水性媒体(トルエン)含有)に代えて、実施例1−1〜2シート(親水性媒体(水分)含有シート)を用いた以外は、実施例5と同様に操作し、電子材料基板用銅箔シートを得た。
得られた銅箔シートには、所々、セルロースとエポキシ樹脂間にボイド状の剥離が有った。
【0030】
【実施例6】
〈酸素濃縮用構造体〉
実施例2−1スラリー(水、トルエン含有)85wt%と、平均繊維径0.18μmのポリエステル微細繊維(旭化成社製)の0.05wt%水分散液15wt%を混合分散し、これを、通常の抄造装置で、A4版(約21x30cm)のシートを作成し、風乾した。風乾後のシートの水分率は約20%、トルエン含有率10%であった。このシートの通気性をKES方式で測定したところ、3−4KPa /s・mであった。
このシートを、ポリオキシメチルシランの5wt%トルエン溶液1000gに10gの水を加えよく混合して調製した、極めてわずかに白化した半透明状原液にデイップし、その後一定圧のロールで余剰ポリマー溶液を除去後、風乾、熱乾燥させシート状構造体を得た。
そして、このシート状構造体を小円状に切り出し、その10枚を重ね合わせ、軽く圧をかけて平坦化し、ミリポア社製円筒ろ過装置に装着後、空気を流し、酸素、窒素の溶解拡散による透過性(P:cm・cm/cm・s・Pa)を評価した。
通常可塑剤・フィラーを10wt%含むポリオキシメチレン膜の酸素、窒素に対する透過性(P:cm・cm/cm・s・Pa))はそれぞれ、367、170であるが、実施例6のシート状構造体では、分離効率は低下するものの、透過性(P:cm・cm/cm・s・Pa))はそれぞれ、720、400であった。
【比較例6】
〈酸素濃縮用構造体〉
実施例6のシート状構造体に代えて、それを熱風乾燥して殆ど溶媒を除去して調製したシート状構造体を用いる以外は実施例6と同様に行った。
このシート状構造体の通気性をKES方式で測定したところ、6−7KPa /s・mであり、圧力を高くしないと、空気は流れにくかった。
【0031】
【実施例7】
〈インク吸収用または湿度自己調節用構造体〉
実施例2−1シート(水/トルエン含有)と実施例1−1シート(水含有)に、特願2001−127699号明細書に記載の方法に従って調製した透明なナノポーラスシリカ水ゲル(シリカ濃度;30%)を、ドクターナイフ(1μm厚)で、コーテイング、風乾後、熱風乾燥した。
得られたシート状構造体はいずれも均一なシートで、特に、前者は、フレキシビリテイ性が良好であった。
得られたシート状構造体は、インクなどの吸収性(速度、量とも)が良好で、インクジェット印刷に好適であった。
また、得られたシート状構造体は、湿度/温度環境の違いで、吸放湿する性質があった。さらに、触媒を担持する材料としても好適であった。
【比較例7】
〈インク吸収用または湿度自己調節用構造体〉
実施例2−1シート(水/トルエン含有)と実施例1−1シート(水含有)に代えて、前出の比較例1−1シート(実施例1−1シートの絶乾シート)を用いる以外は実施例7と同様に行った。
得られたシート状構造体は、シリカポリマーが硬く、剥離が目立った。
【0032】
【実施例8】
〈光触媒用構造体〉
実施例2−1シート(水/トルエン含有)と実施例1−1シート(水含有)に、微量の燐酸を含むアルコキシチタンの15%ブタンール/エタノール混合液を含浸させ、徐々に、乾燥、熱乾燥した。
得られたシート状構造体はいずれも均一なシートで、特に、前者は、フレキシビリテイ性が良好であった。これらは330nmの光で触媒作用を有していた。
【比較例8】
〈光触媒用構造体〉
実施例2−1シート(水/トルエン含有)と実施例1−1シート(水含有)に代えて、前出の比較例1−1シート(実施例1−1シートの絶乾シート)を用いる以外は実施例8と同様に行った。
得られたシート状構造体は、チタンが硬く、剥離が目立った。
【0033】
【実施例9】
〈オプトエレクトロニクス用構造体〉
実施例2−1シート(水/トルエン含有)と実施例1−1シート(水含有)に、微量の酢酸を含むバリウムとチタンのアルコキシド30%を含むブタンール/エタノール混合液を含浸し、徐々に、乾燥、90℃にて熱乾燥した。
得られたシート状構造体は、やや褐色だが透明なチタン酸バリウムが均一に配されたシートで、特に、前者は、フレキシビリテイ性が良好であった。
得られたシート状構造体は、チタン酸バリウムの強誘電体作用、微生物産生セルロース(フィブリル径は、50nmと小さい)の高透明性を有することから、機械強度のあるオプトエレクトロニックス素材として有用である。
【比較例9】
〈オプトエレクトロニクス用構造体〉
実施例2−1シート(水/トルエン含有)と実施例1−1シート(水含有)に代えて、前出の比較例1−1シート(実施例1−1シートの絶乾シート)を用いる以外は実施例9と同様に行った。
得られたシート状構造体は、チタン酸バリウムを微生物セルロース上に、見かけ上コーテイングしたような形態だが、ひび割れた表面となった。
【0034】
【実施例10】
〈HEPAフィルター用構造体〉
実施例1−1スラリー30wt%と、実施例6で使用した、平均繊維径0.18μmのポリエステル微細繊維の0.05wt%水分散液70wt%とを混合分散し、これを、通常の抄造装置で、A4版(約21x30cm)の厚さ約3mmのシート状物を作成し、風乾した。
風乾後のシートの水分率は約30%であった。
得られたシート状構造体の通気性をKES方式で、測定したところ、1−1.5KPa /s・mであった。
得られたシート状構造体に対し、脱アセチル化度42%のキトサン酸性溶液(キトサン濃度1wt%、溶媒0.6N塩酸水溶液)を含浸させロールで簡単に絞り、急激に熱風乾燥操作後、苛性ソーダ水溶液にて、中和後、風乾、熱乾燥させた。次いで、このシートをHEPAフィルターとして装着した除塵装置を用い、0.035μmの塵を発生させた空気の塵捕集率を求めたところ、99.99%であったが、圧損がより小さく、通気量が稼げる結果となった。
また、上記HEPAフィルター用シート状構造体を用いて、微生物を扱う部屋に存在する空気を通過させた。この通過空気と元の空気の存在下に、普通寒天培地にて、細菌の検出を行った結果、元の空気では細菌が検出されたが、通過空気では、生菌の検出は、大きく減じた。
【0035】
【比較例10】
〈HEPAフィルター用構造体〉
実施例8の絶乾シート(KES方式での通気性:3−4KPa /s・m)に対し、実施例10と同様に、脱アセチル化度42%のキトサン酸性溶液(キトサン濃度1wt%、溶媒0.6N塩酸水溶液)を含浸させロールで簡単に絞り、急激に熱風乾燥操作後、苛性ソーダ水溶液にて、中和後、風乾、熱乾燥させた。次いで、このシートをHEPAフィルターとして装着した除塵装置を用い、0.035μmの塵を発生させた空気の塵捕集率を求めたところ、実施例10と同様99.99%であったが、圧損がより大きかった。
【0036】
【実施例11】
〈研磨用構造体、インク吸収用構造体、同左用塗装液〉
実施例1−1で得たセルロース固形濃度10%の水含有体100gを、水で5倍に希釈、強分散し、セルロース固形濃度2wt%の水分散体を得た。これに対し、分散操作をしながら、シクロヘキサン50gを、徐々に加え、乳白でやや透明性のあるスラリーを得た。
このスラリーを水で希釈、分散し、セルロース固形濃度0.05wt%のスラリーを得た。
このスラリー中のセルロース25重量部に対し、γ−アルミナ(研磨用)72重量部、SBラテックス3重量部(固形換算)を加え、分散させ抄造用スラリーた。
この抄造用スラリーを、通常の抄造装置で、A4版(約21×30cm)の厚さ約3mmのシート状構造物を作成した。
得られたシート状構造物の抄造過程でのアルミナ補足率は、97%であった。
また、得られたシート状構造物は、フレキシビリテイが高かった。
そして、得られたシート状構造物でスリガラスを磨くことにより、スリガラスが透明になり、インク吸収性も良好であった。
さらに、上記抄造用スラリーはそのまま、塗装液としても有用である。
加えて、得られたシート状構造物の上に、同様のシクロヘキサン含有セルロース分散液(ただし、セルロース/アルミナ/SBラテックス=30/67/3、重量比)を抄造後、風乾、熱乾燥、真空乾燥を繰り返したが、水は抜けるものの、シクロヘキサンは3%程度残留していた。このシートは水中での寸法安定性は良好であった。
【0037】
【比較例11】
〈研磨用構造体、インク吸収用構造体、同左用塗装液〉
実施例11のセルロース固形濃度2wt%の水分散体に、シクロヘキサンを加えない以外は実施例11と同様の操作をし、厚さ3mmのシート状構造物を得た。得られたシート状構造物の抄造過程でのアルミナ補足率は90%で、フレキシビリテイは実施例11のシート状構造物より低かった。
さらに、得られたシート状構造物に同組成の分散液(シクロヘキサンを含まず)を抄造後、風乾、熱乾燥、真空乾燥を繰返えしたシートは、高度に硬いが、水中での寸法安定性は、若干劣っていた。
以上の実施例11及び比較例11から明らかなように、水と疎水性溶媒の共存下の方が、親水性の無機酸化物の均一分散性が良好なのは、水が微生物セルロースの水素結合面を開き、かつ、それに垂直方向に当たる疎水面を疎水性溶媒が、開いている結果、スムースな分散が実現(以後の実施例の無機物含浸系においては、この効果を基本としている。)されることによるものと思われる。(なお、このことは、実施例2に記載の比表面積の増大現象とは、パラレルな関係にある。)
【0038】
【実施例12】
〈光触媒用構造体〉
実施例11のセルロース固形濃度0.05wt%のスラリー(シクロヘキサン含有)中のセルロース40重量部に対し、アナターゼ型酸化チタン(粒径5μm以下)57重量部、SBラテックス3重量部(固形換算)を加え、分散させ、塗装・含浸用スラリーを得た。
このスラリーを用い、市販のガラス繊維製HEPA(厚み1.5mm)フィルタ−に、0.1mm厚みで、積層後、乾燥させた。
得られたシートの積層抄造過程での、酸化チタン補足率は、実施例で98%であった。
光触媒効果の促進判定として、得られたシート(改質HEPAフィルタ)に、330nmのUVを照射しつつ、塵と細菌を含む空気を流しつづけた。
【比較例12】
〈光触媒用構造体〉
実施例11の塗装・含浸用スラリーにおいて、シクロヘキサンを加えないで塗装・含浸用スラリーを調製した。このスラリーを用い、市販のガラス繊維製HEPA(厚み1.5mm)フィルタ−に、0.1mm厚みで、積層後、乾燥させた。
得られたシートの積層抄造過程での、酸化チタン補足率は、実施例で92%であった。
光触媒効果の促進判定においては、実施例12よりも、比較例12の場合が汚染が若干早かった。
【0039】
【実施例13】
実施例2−1(水/トルエン含有)シートに、0.1wt%の熱硬化型液状フェノール樹脂(カネボウ社製)をトルエンに分散させ、これに10倍容の水を徐々に加えて分散させたものを、ローラーにて含浸した。こうして得られたフェノール樹脂含浸シートを、乾燥後、100℃で1時間加温したところ、シートの形状に変化は認められず平板状を保った。
得られたフェノール樹脂を含浸したシートは、熱変形温度が240℃というフェノール樹脂の特性を付与することができ、コンデンサー用などの絶縁材料に適した構造体となり得る。
【比較例13】
実施例1−1シート(水含有)に、実施例13と同様にフェノール樹脂を含浸し、乾燥、加温処理した。
得られたシートは、フェノール樹脂の含浸が不安定で、乾燥時の収縮の違いから片面に反りのある形状になった。
【0040】
【実施例14】
実施例11のセルロース固形濃度0.05wt%のスラリー(シクロヘキサン含有)60wt%と、平均繊維径1μmのポリプロピレン短繊維(三菱レイヨン社製)の0.05wt%分散液40wt%を混合分散し、これを、通常の抄造装置で、A4版(約21×30cm)、厚さ約2mmのシート(水30%、シクロヘキサン15%残留)作成した。
このシートの上に、先に作成したセルロース/ポリプロピレン分散液(全繊維濃度0.05wt%)に、対繊維30wt%の粉末活性炭を混合分散した分散液を、厚さ約2mmで積層抄造し、風乾しシート状構造体を得た。
このシート状構造体に対し、20ppmのクロロホルムを含む水を、通過させ、通過水中の、クロロホルム量を、ガスクロマトグラフィーにて測定した。測定結果は、ppbレベルであった。
【0041】
【比較例14】
シクロヘキサンを含有させない以外は、実施例14と同様に操作をして、同組成、同構造(セルロース/ポリプロピレンシート上に、セルロース/ポリプロピレン/活性炭シートを積層)のシート状構造体を得た。
このシート状構造体に対し、20ppmのクロロホルムを含む水を、実施例14と同速度で通過させ、通過水中のクロロホルム量を、ガスクロマトグラフィーにて測定した。測定結果は、6ppm以上であった。
この実施例14と比較例14との差異は、シクロヘキサンを含むシートは、水のみを含むシートに比し、実施例2で記載した様に、セルロースの比表面積が大きいことと、シクロヘキサンの一時的な存在が、セルロースの面配向を阻害し、ハロゲンなどの非水系溶媒を取り込む能力が向上していることに起因していると思われる。
また、ハロゲン含有水を同じ速度で通過させる場合の圧損は、実施例14の方が比較例14より相当小さく、大量処理にも有効であることが判明した。
【0042】
【実施例15】
実施例1−1で得たセルロース固形濃度10%の水含有体を、水で希釈、分散し、セルロース固形濃度0.05wt%の水分散体を得た。
他方、平均繊維径0.18μmのポリエステル微細繊維(旭化成社製)の0.05wt%水分散液を作成した。
次いで、上記セルロース水分散体50wt%とポリエステル繊維水分散体50wt%を混合分散し、これから通常の抄造装置を用いて、A4版(約21x30cm)の厚さ約3mm、水分率20wt%(対セルロース40wt%)のシート状物を作成した(第1工程)。
このシートに脱アセチル化度42%のキトサン酸性溶液(キトサン濃度1wt%、溶媒0.6N塩酸水溶液)を含浸させ、ロールで簡単に絞った後、急激に熱風乾燥し、苛性ソーダ水溶液にて中和し、風乾させて、水分率20wt%のシートを得た(第2工程)。
このキトサン含浸シートを、0.1%の酸化銅の希酸溶液に含浸させ、ローラーで絞り乾燥して、キトサン/イオン化酸化銅含浸シートを作成した(第3工程)。シートは、全体に極薄の青色を示した。
得られたシートに対し、殺菌灯で紫外線を照射しながら、重油燃焼排煙を通過させ、排煙中の酸化窒素NOを定法(ガスクロマトグラフィー法)により測定した。上記シート通過前のNOは900ppm、通過後ではppbレベルであった。
得られたシートにおいて、酸化銅の代わりに水酸化亜鉛水溶液を用いれば、SO吸着にも有効である。
また、実施例15の微生物産生セルロース/キトサン構造体は、銅、亜鉛以外に、パラヂウム、白金、ルテニウムなど他の金属を担持させ得るので、不斉水添反応などの金属触媒用構造体ともなり得る。
【0043】
【比較例15】
実施例15の第1〜3工程で、水分の殆どないシート状物(セルロース/ポリエステル繊維含有)を用いて、実施例15と同様に操作し、キトサン/イオン化酸化銅含浸シートを作成した。シートは、青色はまだらであった。
得られたシートを用い、実施例15と同様に測定したNOは100ppm程度であった。
実施例15と比較例15の効果の差異は、実施例15が、すべて水分存在下に、キトサン、銅イオンを、含浸させており、セルロース/キトサンが比較的一に分散・吸着され、銅イオンもキトサンのN−アセチル基、および、微生物産生セルロースのC2、C3位のOH基へ均一に配位したため、効率的な触媒作用が実現されたと考えられる。
【0044】
【実施例16】
実施例1−1で得たセルロース固形濃度10%の水含有体100gを、水で5倍に希釈、強分散し、セルロース固形濃度2wt%の水分散体を得た。
これに対し、分散操作をしながら、シクロヘキサン50gを、徐々に加え、乳白でやや透明性のある水分散体を得た。
次いで、この水分散体を水で希釈、分散し、セルロース固形濃度0.05wt%の水分散体を調製し、この水分散体から通常の抄造装置を用いて、A4版(約21x30cm)の厚さ約1mm、水分率約30wt%、シクロヘキサン含有率約15wt%のシート状物を得た(第1工程)。
他方、上記の操作法に従って、水の希釈率を変えて調製したシクロヘキサン含有、セルロース固形濃度1wt%水分散体25重量部に対し、炭酸バリウム固形濃度1wt%水分散体72重量部、SBラテックス固形濃度1wt%水分散体3重量部を加え、ブレンダーで分散させ粘性状物を得た。
これを、上記第1工程て作成したシート状物の両面に、コーテイングし、一定厚みとなるようにローラー操作を行い、風乾し、厚さ約3mmのシート状物を作成し、続いてこれを熱風乾燥して、炭酸バリウム含有積層構造体を得た。
この積層構造体は、基材のセルロースシートとの接合強度が確保された積層構造体であり、既存の方法で電気容量を測定した結果、2nF の電気容量を示した。
また、この積層構造体の200℃での線膨張率は基材のセルロースシートと同意程度の数ppmと低く、寸法安定性があった。これは、基材セルロースシートに残存するシクロヘキサン及び水と、コーテイング材にも存在するシクロヘキサン及び水の影響で、コーテイング材に存在するラテックス粒子の一部がセルロース基材へ拡散し、基材とコーテイング材のセルロース繊維間の絡み合いが促進された結果といえる。
上記炭酸バリウムに代えて、他の無機物、例えば、酸化亜鉛、ルチル形酸化チタン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、石膏、珪酸カルシウムなどの難溶性無機物も採用でき、機械強度を維持した機能性積層構造体を提供できる。
勿論、出来た構造体を更に、二次的に、実施例8や12の様に、機能補填できる。
【0045】
【比較例16】
実施例16の第1工程において、一切シクロヘキサンを使用せず、かつ、水分も殆ど含まないセルロース繊維シートを調製した。
また、コーティング材用粘性状物の調製においても一切シクロヘキサンを使用しかった。
以上のこと以外は、実施例16と同様に操作し、炭酸バリウム含有積層構造体を得た。
得られた積層構造体は、基材とコーテイング材の接合が不調で、一体の構造体とはならなかった。
【実施例17】
実施例1−1で得たセルロース固形濃度10%の水含有体100gを、水で5倍に希釈、強分散し、セルロース固形濃度2wt%の水分散体を得た。
これに対し、分散操作をしながら、シクロヘキサン50gを、徐々に加え、乳白でやや透明性のある水分散体を得た。
次いで、この水分散体を水で希釈、分散し、セルロース固形濃度0.05wt%の水分散体を得た。
続いて、この水分散体中のセルロース25重量部に対し、酸化ジルコニウム72重量部、SBラテックス3重量部(固形換算)を加え、分散させた。
この水分散体から通常の抄造装置で、A4版(約21x30cm)の厚さ約3mmのシート状物を作成した。
このようにして得られた酸化ジルコニウム含有シート状物を乾燥後、その片面を200℃に加熱し、該シート状物の反対側の表面温度を測定した結果、該表面温度は変化しなかった。
実施例17の酸化ジルコニウム含有シートは、酸化ジルコニウムの低熱伝性が付与され、低熱伝体としての構造体となり得る。
酸化ジルコニウムに代えて、他の無機物、例えば、酸化亜鉛、ルチル形酸化チタン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、石膏、珪酸カルシウムなどの難溶性無機物をも採用でき、機械強度を維持した機能性積層構造体を提供できる。
勿論、得られたシート状物を更に、二次的に、実施例8や12の様に、機能補填できる。
【0046】
【比較例17】
シクロヘキサンを加えない以外は実施例17と同様に操作して酸化ジルコニウム含有シート状物を得た。
このようにして得られた酸化ジルコニウム含有シート状物を乾燥後、その片面を200℃に加熱し、該シート状物の反対側の表面温度を測定した結果、該表面温度は70℃まで上昇した。
【実施例18】
実施例1−1で得たセルロース固形濃度10%の水含有体100gを、水で5倍に希釈、強分散し、セルロース固形濃度2wt%の水分散体を得た。
これに対し、分散操作をしながら、シクロヘキサン50gを、徐々に加え、乳白でやや透明性のある水分散体を得た。
次いで、この水分散体を水で希釈、分散し、セルロース固形濃度0.05wt%の水分散体を得た。
この水分散体中のセルロース25重量部に対し、酸化亜鉛72重量部、SBラテックス3重量部(固形換算)を加え、分散させた。
この水分散体より通常の抄造装置で、A4版(約21x30cm)の厚さ約3mmのシート状物を作成した(第1工程)。
このようにして得られたシートを風乾後、0.1%のルテノセン色素溶液に0.005%のSBラテックスを分散させたものをローラーにより含浸させた。
この含浸シートを乾燥後、太陽光を照射し、発生する電流を測定した。その結果、毎秒400mAの電流が発生した。
このことは、実施例1−1から得られた比表面積の大きいセルロースシートは、ローラー操作で、ルテノセン色素の光増感性と亜鉛の感光性が付与され、感光体基材としての構造体となり得ることを示している。
【0047】
【比較例18】
実施例18の第1工程において、絶乾した状態としてセルロース繊維シートを調製した。
以上のこと以外は、実施例18と同様に操作し、亜鉛/ルテノセン色素含有シートを得た。
得られたシートは、電流の発生は毎秒200mAであった。
【実施例19】
実施例2で得た風乾したA4版(約21×30cm)トルエン含有シート(実施例2−1シート)に、1gのγ−フェライトを10mlの30%ニトロセルロース溶液(窒素含量10.9〜11.2%;イソプロピルアルコール溶液)に分散したものをスプレーコーティングした。
得られたγ−フェライトをコーティングしたシートは、γ−フェライトがむらなく一様にコーティングされ、ピーリングテストで剥がれなかった。
このγ−フェライトをコーティングしたシートは良好な強磁性体としての構造体となり得る。
【0048】
【比較例19】
実施例2で得た風乾したA4版(約21×30cm)トルエン含有シート(実施例2−1シート)を絶乾したシートに、実施例19と同様にγ−フェライトをコーティングした。
得られたγ−フェライトをコーティングしたシートは、コーティングにむらがあり、多くの部分で剥がれた。
【実施例20】
実施例2で得た風乾したA4版(約21×30cm)トルエン含有シート(実施例2−1シート)に、1%の酸化コバルト水溶液に1%(w/v)の液状シリコーンを徐々に加えて分散させ、さらに1/10容のトルエンを加えて分散させたものをローラーにて含浸した。
このようにして得られた酸化コバルト含浸シートを、乾燥後、電気容量を測定した結果、10pFの電気容量が認められた。
この酸化コバルト含浸シートは、酸化コバルトの低電気伝導性が付与され、低電気伝導体としての構造体となり得る。
【0049】
【比較例20】
実施例2で得た風乾したA4版(約21×30cm)トルエン含有シート(実施例2−1シート)を絶乾したシートを、実施例20と同様に処理して酸化コバルト含浸シートを得た。
得られた酸化コバルト含浸シートでは電気容量は50pFであった。
【実施例21】
シアノエチル化ヒロドキシエチルセルロース(CEHEC)を、Jounalof Wood Science,44:35−39(1998)記載の方法により合成した。
その0.5wt%のアセトン溶液に、水を徐々に濁り点近傍まで加え、さらにCEHECと同量のチタン酸バリウムを加えて分散させた。
この分散液を、実施例2で得た風乾したA4版(約21×30cm)トルエン含有シート(実施例2−1シート)に含浸し、ローラー圧搾し、風乾、乾燥した後、120℃で熱圧着処理した。堅固で、熱安定性の良いシート状構造体が得られた。
上記構造体は、CEHECの持つ最高レベルの圧電係数(d25=10−11 C/N)とチタン酸バリウムの持つ1200F/mという高い誘電率が付与されるとともに、微生物産生セルロースの持つ面配向構造(構造異方性)との相乗効果により、例えば、動的電気トランスデューサーなどの高誘電材用構造体となり得る。
【比較例21】
実施例2−1シートから溶媒を殆ど除去したシートに対し、実施例21と同様の処理加工を加えてシート状構造体を得た。
このシート状構造体は、熱圧着処理時、接合不良部が散見された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、特殊な微生物産生セルロース系物質が提供されるとともに、該セルロース系物質と他材料との接合・分散等の加工条件が確立され、かつ、相乗効果の期待できる機能構造体が提供され、これにより、従来の微生物産生セルロースが達し得なかった、新たな工業的価値を付加することに成功した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセルロース系物質の光学顕微鏡写真。
【図2】本発明のセルロース系物質の走査型電子顕微鏡写真。

Claims (6)

  1. 微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質と、親水性溶媒および/または疎水性溶媒が含まれていることを特徴とするシート状構造物。
  2. 親水性溶媒が、水及び/又はグリコール類であり、疎水性溶媒が、芳香族炭化水素類、脂環式炭化水素類、および、それらを骨格に持つ誘導体類から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載のシート状構造物。
  3. 微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質が、酢酸菌(アセトバクター属)の生産するセルロース系微小フィブリル性物質であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状構造物。
  4. 微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質が、エンテロバクター属またはクリューベラ属に属す微生物の生産するセルロース系微小フィブリル性物質であって、中心領域から放射状にマクロフィブリルを構成する独立体、もしくは、連結体であり、しかも、それらは、ミクロフィブリルで相互に、相分離構造で言うところのサーキュラーポア状に連結していることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状構造物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート状構造物の少なくとも片面に他材料を配し、両者を一体化することを特徴とする接合構造体の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする接合構造体。
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