JP2004249474A - エチレン−ビニルアルコール共重合体層を含む燃料容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い燃料バリア性、および優れた耐衝撃性を兼ね備えた燃料容器を提供すること。
【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の両側に配置してなる積層体からなり、下記式(1)を満足する燃料容器。
22×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.038 …(1)ここで、Xはエチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量(モル%)を、Veは燃料容器の容器胴部における、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の、総厚みに対する厚み比(%)を、それぞれ表す。
【選択図】 なし
【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の両側に配置してなる積層体からなり、下記式(1)を満足する燃料容器。
22×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.038 …(1)ここで、Xはエチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量(モル%)を、Veは燃料容器の容器胴部における、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の、総厚みに対する厚み比(%)を、それぞれ表す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い燃料バリア性、および耐衝撃性を有する燃料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭化水素類、例えばガソリンを保存するための容器として、プラスチック製容器が用いられるようになってきており、実際に自動車用燃料タンク等にも使用されている。容器の原料となるプラスチックとしては、経済性、成形加工性、機械的強度等の点でポリエチレン(特に超高密度ポリエチレン)が多用されている。しかしながら、ポリエチレン製燃料容器は、保存される燃料の気体または液体が容器のポリエチレンの壁を通して大気中に揮発しやすく、燃料バリア性に劣るという欠点を有することが知られている。
【0003】
そこで、かかる欠点を解消するため、燃料バリア性に優れているエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと記す)とポリエチレンとを多層化することが検討されている。例えば、ガソリンバリア性を向上させるために、バリア層を内層寄りに配置した多層燃料容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、使用されるEVOHのエチレン含有量と充填される燃料のエチルアルコール含有量との関係に着目した燃料容器も知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらには、燃料バリア性と、燃料容器の品質の安定性を改善するために、使用されるEVOHに微量成分を添加することも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−029904号公報
【特許文献2】
特開2001−341244号公報
【特許文献3】
特開2001−341535号公報
【0005】
しかしながら、ガソリン等の燃料の消費量を節約し、あるいは地球環境を保護しようという気運が高まっている昨今の現状においては、上記のような燃料容器を使用してもなお、燃料透過の抑制は十分なものとは言えない。また、例えばプラスチック製の自動車用燃料タンクにおいては、それを搭載した自動車が事故を起こした際に、衝撃により燃料タンクに穴があかないことが重要である。このように、プラスチック製の燃料容器には、高い燃料バリア性に加えて、優れた耐衝撃性を有することも強く要求されている。
【0006】
高い燃料バリア性を実現するには、燃料容器中のEVOH層の厚み比率を上げることが有効であるが、EVOH層の厚み比率を上げると、燃料容器の耐衝撃性は低下する。したがって、上記したような高い燃料バリア性に加えて、優れた耐衝撃性を有する燃料容器を実現することは、従来困難とされていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い燃料バリア性、および優れた耐衝撃性を兼ね備える燃料容器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、EVOH(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該EVOH(A)層の両側に配置してなる積層体からなり、下記式(1)を満足することを特徴とする燃料容器によって達成される。
22×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.038 …(1)
ここで、XはEVOH(A)のエチレン含有量(モル%)を、Veは燃料容器における、EVOH(A)層の、総厚みに対する厚み比(%)を、それぞれ表す。
【0009】
好適な実施態様においては、前記EVOH(A)のエチレン含有量X(モル%)は、下記式(3)を満足する。
X ≧ 10 …(3)
【0010】
好適な実施態様においては、前記燃料容器において、前記EVOH(A)層の、総厚みに対する厚み比Ve(%)は、下記式(4)を満足する。
Ve ≧ 0.1 …(4)
【0011】
好適な実施態様においては、前記熱可塑性樹脂(B)は高密度ポリエチレンである。
【0012】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は前記熱可塑性樹脂(B)層を最外層に配置した積層体からなる。
【0013】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は、さらに、前記EVOH(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂組成物(C)層を有する積層体からなる。
【0014】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は、さらに接着性樹脂(D)層を有する積層体からなる。
【0015】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は、その容器胴部が、前記EVOH(A)層を、内側から30〜70%の位置に配置した積層体からなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の燃料容器は、EVOH(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該EVOH(A)層の両側に配置してなる積層体からなり、下記式(1)を満足することを最大の特徴とする。
22×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.038 …(1)
ここで、XはEVOHのエチレン含有量(モル%)を、Veは燃料容器における、EVOH(A)層の、総厚みに対する厚み比(%)を、それぞれ表す。
【0017】
好適には、本発明の燃料容器は下記式(2)を満足する。
32×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.033 …(2)
【0018】
上記式(1)および(2)において、左側の不等号は、使用されるEVOHのエチレン含有量X(モル%)と、燃料容器のEVOH(A)層の厚み比Ve(%)の関係を表している。すなわち、本発明においては、Xが大きくなるほど、Veも上記式を満足する程度に大きくしなければならない。上記式(1)の左側の不等号が満足されない場合、得られる燃料容器の燃料バリア性が不足する。
【0019】
また、上記式(1)および(2)において、右側の不等号は、燃料容器のEVOH(A)層の厚み比Ve(%)の上限を表している。上記式(1)の右側の不等号が満足されない場合、すなわち、前記厚み比Veが3.8を超える場合、得られる燃料容器の耐衝撃性が不足する。厚み比Veは、好適には上記式(2)の右側の不等号を満足する数値、すなわち、3.3以下である。
【0020】
また、EVOH(A)層の厚み比Ve(%)は、好適には0.1以上であり、より好適には0.5以上である。厚み比Veが0.1未満である場合、得られる燃料容器の燃料バリア性が不足するおそれがある。
【0021】
上記のEVOH(A)層の厚み比Ve(%)は、例えば、容器胴部の断面の各層の厚みを計測する方法によって求められる。この場合において、EVOH(A)層が複数層存在する場合は、各EVOH(A)層の合計厚みをEVOH(A)層の厚みとする。
【0022】
本発明の燃料容器に使用されるEVOH(A)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をアルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も使用できる。
【0023】
本発明の燃料容器において、EVOHのエチレン含有量X(モル%)は下記式(3)を満足することが好ましい。
X ≧ 10 …(3)
Xが10未満の場合、高湿度下での燃料バリア性が低下するのみならず、溶融成形性が著しく低下し、所望の形態の燃料容器が得られないおそれがある。Xは16以上がより好ましく、18以上がさらにより好ましく、20以上が最も好ましい。また、Xは29以下であることが好ましい。Xが29を超えると、式(1)を満足することができず、得られる燃料容器の燃料バリア性が不足するおそれがある。Xは26以下がより好ましく、24以下がさらにより好ましい。
【0024】
EVOHのビニルエステル成分のケン化度は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上がさらにより好ましく、99%以上が最も好ましい。ケン化度が90%未満の場合、高湿度下での燃料バリア性が低下するおそれがある。また、熱安定性が悪化し、成形物にゲル・ブツが発生しやすくなるおそれがある。
【0025】
かかるEVOHのエチレン含有量およびケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0026】
なおここで、EVOHがエチレン含有量および/またはケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含有量および/またはケン化度とする。
【0027】
ただし、2種類のEVOHを配合する際には、両者のエチレン含有量の差が15モル%以下であり、かつケン化度の差が10%以下であることが好ましい。これらの条件から外れる場合には、得られる燃料容器の燃料バリア性が損なわれるおそれがある。良好な燃料バリア性を得る観点からは、エチレン含有量の差は10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらにより好ましい。また、良好な透明性を得る観点から、ケン化度の差は7%以下がより好ましく、5%以下がさらにより好ましい。
【0028】
EVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等が挙げられる。
【0029】
これらの中でも、EVOHが共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合は、共押出成形または共射出成形する際に、EVOHと基材樹脂との溶融粘度の整合性が改善され、均質な成形体の製造が可能である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好ましい。
【0030】
また、EVOHがホウ素化合物を含有する場合にも、EVOHの溶融粘度、熱安定性およびロングラン性が改善され、均質な共押出または共射出成形体が安定して得られる。ここで、ホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等が挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂等が挙げられる。これらの化合物の中でもホウ酸が好ましい。
【0031】
EVOHのホウ素化合物の含有量は、ホウ素元素換算で好適には20〜2000ppm、より好適には50〜1000ppmである。ホウ素化合物の含有量がこの範囲にあることにより、EVOHの加熱溶融時のトルク変動が抑制される。ホウ素化合物の含有量が20ppm未満では、そのような効果が小さい。また、ホウ素化合物の含有量が2000ppmを超えると、EVOHにゲル化、成形性不良が発生するおそれがある。
【0032】
本発明において、EVOHに対し、アルカリ金属塩を含有させることも、層間接着性や相容性の改善のために効果的である。EVOHのアルカリ金属塩の含有量は、アルカリ金属元素換算で好適には5〜5000ppm、より好適には20〜1000ppm、さらにより好適には30〜750ppmである。ここで、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ金属塩としては、脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が挙げられる。具体的には、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。これらの中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムおよびリン酸ナトリウムが好ましい。
【0033】
また、EVOHに対してリン酸化合物を含有させることにより、成形物の着色およびゲル・ブツの発生を抑制することが可能である。リン酸化合物の添加による上記の改善効果は、EVOHのロングラン成形時および成形物の回収時に特に顕著である。リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等が例示されるが、これらに限定されない。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよく、そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であることが好ましい。これらの中でも、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリン酸化合物を添加することが好ましい。
【0034】
EVOHのリン酸化合物含有量は、リン酸根換算で10ppm以上が好ましく、50ppm以上がより好ましく、70ppm以上がさらにより好ましい。また、500ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらにより好ましい。かかる範囲のリン酸化合物を含有するEVOHは、着色が少なく、ゲル化しにくいという性質を有する。EVOHのリン酸化合物含有量が10ppm未満の場合は、溶融成形時の着色が激しくなるおそれがある。特に、熱履歴を重ねる場合にその傾向が顕著であるため、該EVOHからなる成形物が回収性に乏しいものとなるおそれがある。また、EVOHのリン酸化合物含有量が500ppmを超える場合は、得られる成形物中にゲル・ブツが発生しやすくなるおそれがある。
【0035】
また、本発明の目的を阻害しない範囲で熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィン等)をEVOHにブレンドすることもできる。
【0036】
上記のEVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下)は1〜10g/10分の範囲が好ましく、1〜5g/10分の範囲がより好ましい。
【0037】
このようなEVOHは、E−10と呼ばれるモデルガソリン(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10、体積比)の透過量が2.0g・20μm/m2・day以下であり、良好な燃料バリア性を示すので、本発明の目的に適している。
【0038】
本発明の燃料容器に使用される熱可塑性樹脂(B)としては、特に制限はないが、例えばポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独または共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレンが好ましく、高密度ポリエチレン、特に密度が0.93g/cm3以上の高密度ポリエチレンがより好ましい。
【0039】
上記の密度が0.93g/cm3以上の高密度ポリエチレンは、通常市販品の中から適宜選択して使用することができる。剛性、耐衝撃性、成形性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性等の観点から、ポリエチレンの密度は0.95〜0.98g/cm3であることがさらにより好ましく、0.96〜0.98g/cm3が最も好ましい。また、ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、0.01〜0.5g/10分(190℃、2160g荷重下)の範囲であることが好ましく、0.01〜0.1g/10分の範囲がより好ましい。
【0040】
本発明の燃料容器は、上記のEVOH(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該EVOH(A)層の両側に配置してなる積層体からなる。該積層体において、EVOH(A)層と熱可塑性樹脂(B)層とは、直接接していてもよいし、両層間に別の素材からなる層を有していてもよい。
【0041】
前記別の素材からなる層としては、特に制限はないが、接着性樹脂(D)層をEVOH(A)層と熱可塑性樹脂(B)層との間に配置することが好適である。かかる接着性樹脂(D)としては、例えばカルボン酸変性ポリオレフィンが挙げられる。
【0042】
カルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物を化学的に(例えば付加反応、グラフト反応により)結合させて得られる、カルボキシル基を含有するオレフィン系重合体のことをいう。エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物としては、モノカルボン酸、そのエステル;ジカルボン酸、そのモノまたはジエステル、および、その無水物;が挙げられる。具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
【0043】
ベースポリマーとなるオレフィン系重合体としては、例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等の、オレフィンと該オレフィンと共重合し得るコモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル等)との共重合体;が挙げられる。これらの中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量5〜55重量%)およびエチレン−アクリル酸エチル共重合体(アクリル酸エチル含有量8〜35重量%)が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
【0044】
上記のようなカルボン酸変性ポリオレフィンは、例えば、溶媒(キシレン等)、触媒(過酸化物等)の存在下で、上記のオレフィン系重合体に、上記のエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物を、付加反応またはグラフト反応により導入することによって得られる。このときの、カルボン酸またはその無水物のオレフィン系重合体への付加量またはグラフト量(変性度)は、オレフィン系重合体に対して0.01〜15重量%であることが好ましく、0.02〜10重量%がより好ましい。
【0045】
このようにして得られたカルボン酸変性ポリオレフィンのメルトインデックス(MI)は0.2〜30g/10分(ASTM−D−1238−65T、190℃)の範囲が好ましく、0.5〜10g/10分の範囲がより好ましい。
【0046】
上記のようなカルボン酸変性ポリオレフィンは、接着性樹脂(D)として単独で使用してもよいし、また二種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
また、別の素材からなる層として、EVOH(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂組成物(C)層を使用することもできる。このような樹脂組成物(C)の例としては、燃料容器の製造工程から得られる回収物が挙げられる。
【0048】
燃料容器の製造工程においては、バリの発生が不可避である。かかるバリや、検定の不合格品を再利用することによってリサイクル性を向上させ、燃料容器の製造時に使用される樹脂のロスを低減することが可能である。
【0049】
前記回収物は、EVOH(A)、熱可塑性樹脂(B)、および実施態様によっては接着性樹脂等の別の素材からなる。回収物からなる層(回収層)は、熱可塑性樹脂(B)層の代わりとして用いることも可能であるが、一般的には、単一の熱可塑性樹脂(B)からなる層よりも回収層の方が機械的強度が低くなることが多いので、熱可塑性樹脂(B)層と積層して用いることが好ましい。燃料容器が外部から衝撃を受けた場合には、容器に応力の集中が生じ、応力集中部において衝撃に対する圧縮応力が容器内層側で働き、場合によっては破損が起こることから、強度的に弱い回収層はEVOH(A)層よりも外層側に配置することが好適である。また、バリの発生が多い時等、多量の樹脂をリサイクルする必要がある場合は、EVOH(A)層の両側に回収層を配置することが好適である。
【0050】
本発明の燃料容器は、熱可塑性樹脂(B)層を最外層に配置した積層体からなることが好ましい。具体的には、EVOH(A)層をA、熱可塑性樹脂(B)層をB、接着性樹脂層をTieとした場合、(内)B/A/B(外)、(内)B/Tie/A/Tie/B(外)、(内)B/Tie/A/Tie/A/Tie/B(外)等の配置が、成形性、コスト、バリア性、耐衝撃性等の観点から好ましく、(内)B/Tie/A/Tie/B(外)の配置が耐衝撃性の観点からより好ましい。
【0051】
また、回収層を配置する場合は、回収層をRとして、例えば(内)R/A/R(外)、(内)R/Tie/A/Tie/R(外)、(内)B/A/R/B(外)、(内)B/R/A/R/B(外)、(内)B/Tie/A/Tie/R/B(外)、(内)B/R/Tie/A/Tie/R/B(外)等の配置が挙げられる。これらの中でも、(内)B/Tie/A/Tie/R/B(外)、(内)B/R/Tie/A/Tie/R/B(外)の配置が好ましい。なお、EVOH(A)、熱可塑性樹脂(B)および接着性樹脂をそれぞれ複数の層で用いる場合は、同じ樹脂を用いてもよいし、異なる樹脂を用いてもよい。いずれの場合においても、本発明の燃料容器は、その胴部がEVOH(A)層を、内側から30〜70%の位置に配置した積層体からなることが好ましい。
【0052】
本発明の燃料容器を製造するに当たっては、EVOH(A)、熱可塑性樹脂(B)、および実施態様によっては接着性樹脂等の別の素材を、射出成形機、ダイレクトブロー成形機(連続式、アキュムレータ式)、射出ブロー成形機等に供して、直接燃料容器を得る方法の他、上記の原料を共押出して得られた多層シートを真空成形する方法、熱可塑性樹脂(B)シート、または、熱可塑性樹脂(B)と接着性樹脂等の別の素材とからなる多層シートに、EVOH(A)シートを接着剤を用いてドライラミネートして得られた多層シートを真空成形する方法等を挙げることができ、好適にはダイレクトブロー成形または多層シートを真空成形する方法が採用される。
【0053】
このようにして得られた本発明の燃料容器は、高い燃料バリア性に加えて、優れた耐衝撃性を有する。とりわけ、本発明の燃料容器は燃料バリア性の点において、充填される燃料がMTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)含有ガソリン等の、いわゆる含酸素ガソリンであっても優れた効果を発揮するという特長を有する。
【0054】
本発明の燃料容器は、上記のとおり、燃料、特に含酸素ガソリンのバリア性が求められる燃料用パイプまたはタンク、例えば自動車用ガソリンタンクとして有用である他、石油ストーブ等の燃料用タンクとしても使用できる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
参考例
(EVOHの膜面評価)
エチレン含有量20モル%、けん化度99.5%のEVOH樹脂を原料とし、直径20mm、L/D=22の1軸スクリューを備えた押出機を使用して、押出機温度180〜230℃、コートハンガー型ダイ(幅300mm)の温度210〜230℃の条件で押出製膜し、EVOHフィルム(膜厚15μm)を得た。
【0057】
このEVOHフィルムを内径210mm×300mmの木枠に挟み、ISO14663−2条件(融点マイナス20℃×10分間)で熱処理を実施した。フィルムのブツ発生状態について目視で観察し、0.5mm以上のブツ(LLブツ)の個数を数えて、以下のように評価した。
◎:LLブツ数0個
○:LLブツ数1個
×:LLブツ数2個以上
【0058】
(多層パウチの燃料バリア性評価)
日本ポリオレフィン製高密度ポリエチレン(HDPE)「KBY48C」(密度0.970、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を原料とし、直径40mm、L/D=22の1軸スクリューを備えた押出機を使用して、押出機温度170〜210℃、コートハンガー型ダイ(幅300mm)の温度210℃の条件で押出製膜し、HDPEフィルム(膜厚100μm)を得た。次に、該HDPEフィルムと前記EVOHフィルムとを、ウレタン系接着剤(東洋モートン製「A335」)と硬化剤(東洋モートン製「cat−10」)を使用して、東京ラミネックス製DX−350ラミネーター(ロール温度70℃)でドライラミネートし、HDPE/EVOH/HDPE=100/15/100μm構成の多層フィルムを得た。この多層フィルムを180mm×270mmの大きさにカットし、中央で折り曲げ、二辺を富士インパルス製ヒートシーラーT−230を使用してダイヤル6にてシール幅10mmになるようにヒートシールし、パウチを作製した。
【0059】
得られたパウチに、E−10モデルガソリン(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10、体積比)をシールされていない辺より180ml充填し、投入辺を上述した方法と同様の方法でシール幅10mmになるようにヒートシールしてモデルガソリン入りパウチを作製し、40℃、65%RHに設定した防爆型恒温恒湿槽内に35日間放置した。その後、パウチの一辺をカットしてE−10モデルガソリンを廃液し、パウチの一面から80mmΦの円形のフィルムを切り出し、GTRテック(株)製フロー式ガス蒸気透過率測定装置GTR−30XFKEのPVセル(40℃−65%RH)に装着してE−10モデルガソリンの透過率を測定した。
【0060】
使用するEVOHを、エチレン含有量15モル%、24モル%、26モル%、27モル%および32モル%のEVOHに変更した以外は同様にして、上記の評価を行った。結果をまとめて表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例1
(多層容器の耐落下衝撃性評価)
参考例で使用したエチレン含有量20モル%、けん化度99.5%のEVOH樹脂、日本ポリオレフィン製高密度ポリエチレン(HDPE)「KBY48C」(密度0.970、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)、接着性樹脂として日本ポリオレフィン製無水マレイン酸変性LDPE「FT61AR−3」(密度0.950、190℃−2160gにおけるMFR=0.42g/10分)をJSW社製4種6層ブロー成形機に供給して、(外側)HDPE/Regrind/Tie/EVOH/Tie/HDPE層(内側)の4種6層の燃料容器(容量約60リットルのタンク:長径750mm、短径530mm、高さ280mmの小判型―湯たんぽ形状)を得た。Regrind層に使用した樹脂として、事前に成形した同燃料容器の粉砕物を使用した。得られた燃料容器の各層の厚み比を以下の方法で決定した。
【0063】
図1中の点1〜22(上面5点、下面5点、コーナー部8点、側面4点)から電動ノコギリを用いて観察用のタンク片を切り出し、タンク片の断面をミクロトームでスライスし、厚み18μmの観察用断面を得た。これをスライドグラス上に置き、カバーグラスで固定した後、ヨウ素水溶液でEVOHを染色し、顕微鏡観察によって各層の厚みを測定した。この測定結果(n=22)の平均値より、燃料容器の各層の厚み比を決定した。
【0064】
測定の結果、該燃料容器の総厚みは6mm、(外側)HDPE/Regrind/Tie/EVOH/Tie/HDPE層(内側)の厚み構成比は、14/40/2/2/2/40であった。
【0065】
各層の厚み比の測定に用いた燃料容器と同じ型の燃料容器に、重量が56kgになるようにエチレングリコールを充填し、開口部を溶融HDPE樹脂で塞ぎ、−40℃±1℃の恒温室に48時間放置した。この燃料容器を、日本ポリオレフィン社製の落下衝撃試験装置(0−15m)を使用し、水平な金属面に、ピンチオフ部A(図1中の26)が下になるようにして5mの高さから落下させた。割れなければ6m、さらに割れなければ7mと順次1mづつ落下位置を上昇させ、燃料容器が割れるまで落下試験を繰り返し、燃料容器が割れた高さで耐衝撃性を以下のように判定した(n=5)。
◎:8m以上
○:7m以上、8m未満
×:7m未満
【0066】
(多層容器の燃料バリア性評価)
耐落下衝撃性評価に使用したのと同型の燃料容器にE−10モデルガソリン(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10、体積比)を60リットル充填し、開口部を溶融HDPE樹脂で塞ぎ、−40℃±1℃の恒温室に3ヶ月間放置した。放置前後の燃料容器の重量変化からE−10モデルガソリンの透過率を算出し、以下のように判定した。
◎:0.06g/day・tank未満
○:0.06g/day・tank以上、0.10g/day・tank未満
×:0.10g/day・tank以上
【0067】
実施例2〜9、比較例1〜11
使用するEVOH樹脂を、参考例で使用した別の樹脂に変更し、また、燃料容器の厚み構成比の目標値を変更した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。以上の結果をまとめて表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】
本発明により、高い燃料バリア性、および優れた耐衝撃性を兼ね備えた燃料容器が得られる。本発明の燃料容器は、製造コストを従来のものよりも低くすることが可能であり、経済的な観点からもその意義は大きい。
本発明の燃料容器は、自動車の燃料タンクをはじめ、オートバイ、船舶、航空機、発電機および工業用や農業用に搭載される燃料容器や、これら燃料の補給用の携帯用容器、さらにこれら燃料の輸送・保管・貯蔵用のボトル、タンク、ドラム等各種の容器として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において、各層の厚みの測定に用いた燃料容器を示す図である。
【符号の説明】
1〜22 切り出し部位
23 容器の上面
24 容器の下面
25 容器の側面
26 ピンチオフ部A
27 ピンチオフ部B
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い燃料バリア性、および耐衝撃性を有する燃料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭化水素類、例えばガソリンを保存するための容器として、プラスチック製容器が用いられるようになってきており、実際に自動車用燃料タンク等にも使用されている。容器の原料となるプラスチックとしては、経済性、成形加工性、機械的強度等の点でポリエチレン(特に超高密度ポリエチレン)が多用されている。しかしながら、ポリエチレン製燃料容器は、保存される燃料の気体または液体が容器のポリエチレンの壁を通して大気中に揮発しやすく、燃料バリア性に劣るという欠点を有することが知られている。
【0003】
そこで、かかる欠点を解消するため、燃料バリア性に優れているエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと記す)とポリエチレンとを多層化することが検討されている。例えば、ガソリンバリア性を向上させるために、バリア層を内層寄りに配置した多層燃料容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、使用されるEVOHのエチレン含有量と充填される燃料のエチルアルコール含有量との関係に着目した燃料容器も知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらには、燃料バリア性と、燃料容器の品質の安定性を改善するために、使用されるEVOHに微量成分を添加することも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−029904号公報
【特許文献2】
特開2001−341244号公報
【特許文献3】
特開2001−341535号公報
【0005】
しかしながら、ガソリン等の燃料の消費量を節約し、あるいは地球環境を保護しようという気運が高まっている昨今の現状においては、上記のような燃料容器を使用してもなお、燃料透過の抑制は十分なものとは言えない。また、例えばプラスチック製の自動車用燃料タンクにおいては、それを搭載した自動車が事故を起こした際に、衝撃により燃料タンクに穴があかないことが重要である。このように、プラスチック製の燃料容器には、高い燃料バリア性に加えて、優れた耐衝撃性を有することも強く要求されている。
【0006】
高い燃料バリア性を実現するには、燃料容器中のEVOH層の厚み比率を上げることが有効であるが、EVOH層の厚み比率を上げると、燃料容器の耐衝撃性は低下する。したがって、上記したような高い燃料バリア性に加えて、優れた耐衝撃性を有する燃料容器を実現することは、従来困難とされていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い燃料バリア性、および優れた耐衝撃性を兼ね備える燃料容器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、EVOH(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該EVOH(A)層の両側に配置してなる積層体からなり、下記式(1)を満足することを特徴とする燃料容器によって達成される。
22×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.038 …(1)
ここで、XはEVOH(A)のエチレン含有量(モル%)を、Veは燃料容器における、EVOH(A)層の、総厚みに対する厚み比(%)を、それぞれ表す。
【0009】
好適な実施態様においては、前記EVOH(A)のエチレン含有量X(モル%)は、下記式(3)を満足する。
X ≧ 10 …(3)
【0010】
好適な実施態様においては、前記燃料容器において、前記EVOH(A)層の、総厚みに対する厚み比Ve(%)は、下記式(4)を満足する。
Ve ≧ 0.1 …(4)
【0011】
好適な実施態様においては、前記熱可塑性樹脂(B)は高密度ポリエチレンである。
【0012】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は前記熱可塑性樹脂(B)層を最外層に配置した積層体からなる。
【0013】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は、さらに、前記EVOH(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂組成物(C)層を有する積層体からなる。
【0014】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は、さらに接着性樹脂(D)層を有する積層体からなる。
【0015】
好適な実施態様においては、本発明の燃料容器は、その容器胴部が、前記EVOH(A)層を、内側から30〜70%の位置に配置した積層体からなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の燃料容器は、EVOH(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該EVOH(A)層の両側に配置してなる積層体からなり、下記式(1)を満足することを最大の特徴とする。
22×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.038 …(1)
ここで、XはEVOHのエチレン含有量(モル%)を、Veは燃料容器における、EVOH(A)層の、総厚みに対する厚み比(%)を、それぞれ表す。
【0017】
好適には、本発明の燃料容器は下記式(2)を満足する。
32×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.033 …(2)
【0018】
上記式(1)および(2)において、左側の不等号は、使用されるEVOHのエチレン含有量X(モル%)と、燃料容器のEVOH(A)層の厚み比Ve(%)の関係を表している。すなわち、本発明においては、Xが大きくなるほど、Veも上記式を満足する程度に大きくしなければならない。上記式(1)の左側の不等号が満足されない場合、得られる燃料容器の燃料バリア性が不足する。
【0019】
また、上記式(1)および(2)において、右側の不等号は、燃料容器のEVOH(A)層の厚み比Ve(%)の上限を表している。上記式(1)の右側の不等号が満足されない場合、すなわち、前記厚み比Veが3.8を超える場合、得られる燃料容器の耐衝撃性が不足する。厚み比Veは、好適には上記式(2)の右側の不等号を満足する数値、すなわち、3.3以下である。
【0020】
また、EVOH(A)層の厚み比Ve(%)は、好適には0.1以上であり、より好適には0.5以上である。厚み比Veが0.1未満である場合、得られる燃料容器の燃料バリア性が不足するおそれがある。
【0021】
上記のEVOH(A)層の厚み比Ve(%)は、例えば、容器胴部の断面の各層の厚みを計測する方法によって求められる。この場合において、EVOH(A)層が複数層存在する場合は、各EVOH(A)層の合計厚みをEVOH(A)層の厚みとする。
【0022】
本発明の燃料容器に使用されるEVOH(A)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をアルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も使用できる。
【0023】
本発明の燃料容器において、EVOHのエチレン含有量X(モル%)は下記式(3)を満足することが好ましい。
X ≧ 10 …(3)
Xが10未満の場合、高湿度下での燃料バリア性が低下するのみならず、溶融成形性が著しく低下し、所望の形態の燃料容器が得られないおそれがある。Xは16以上がより好ましく、18以上がさらにより好ましく、20以上が最も好ましい。また、Xは29以下であることが好ましい。Xが29を超えると、式(1)を満足することができず、得られる燃料容器の燃料バリア性が不足するおそれがある。Xは26以下がより好ましく、24以下がさらにより好ましい。
【0024】
EVOHのビニルエステル成分のケン化度は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上がさらにより好ましく、99%以上が最も好ましい。ケン化度が90%未満の場合、高湿度下での燃料バリア性が低下するおそれがある。また、熱安定性が悪化し、成形物にゲル・ブツが発生しやすくなるおそれがある。
【0025】
かかるEVOHのエチレン含有量およびケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0026】
なおここで、EVOHがエチレン含有量および/またはケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含有量および/またはケン化度とする。
【0027】
ただし、2種類のEVOHを配合する際には、両者のエチレン含有量の差が15モル%以下であり、かつケン化度の差が10%以下であることが好ましい。これらの条件から外れる場合には、得られる燃料容器の燃料バリア性が損なわれるおそれがある。良好な燃料バリア性を得る観点からは、エチレン含有量の差は10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらにより好ましい。また、良好な透明性を得る観点から、ケン化度の差は7%以下がより好ましく、5%以下がさらにより好ましい。
【0028】
EVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等が挙げられる。
【0029】
これらの中でも、EVOHが共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合は、共押出成形または共射出成形する際に、EVOHと基材樹脂との溶融粘度の整合性が改善され、均質な成形体の製造が可能である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好ましい。
【0030】
また、EVOHがホウ素化合物を含有する場合にも、EVOHの溶融粘度、熱安定性およびロングラン性が改善され、均質な共押出または共射出成形体が安定して得られる。ここで、ホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等が挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂等が挙げられる。これらの化合物の中でもホウ酸が好ましい。
【0031】
EVOHのホウ素化合物の含有量は、ホウ素元素換算で好適には20〜2000ppm、より好適には50〜1000ppmである。ホウ素化合物の含有量がこの範囲にあることにより、EVOHの加熱溶融時のトルク変動が抑制される。ホウ素化合物の含有量が20ppm未満では、そのような効果が小さい。また、ホウ素化合物の含有量が2000ppmを超えると、EVOHにゲル化、成形性不良が発生するおそれがある。
【0032】
本発明において、EVOHに対し、アルカリ金属塩を含有させることも、層間接着性や相容性の改善のために効果的である。EVOHのアルカリ金属塩の含有量は、アルカリ金属元素換算で好適には5〜5000ppm、より好適には20〜1000ppm、さらにより好適には30〜750ppmである。ここで、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ金属塩としては、脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が挙げられる。具体的には、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。これらの中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムおよびリン酸ナトリウムが好ましい。
【0033】
また、EVOHに対してリン酸化合物を含有させることにより、成形物の着色およびゲル・ブツの発生を抑制することが可能である。リン酸化合物の添加による上記の改善効果は、EVOHのロングラン成形時および成形物の回収時に特に顕著である。リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等が例示されるが、これらに限定されない。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよく、そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であることが好ましい。これらの中でも、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリン酸化合物を添加することが好ましい。
【0034】
EVOHのリン酸化合物含有量は、リン酸根換算で10ppm以上が好ましく、50ppm以上がより好ましく、70ppm以上がさらにより好ましい。また、500ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらにより好ましい。かかる範囲のリン酸化合物を含有するEVOHは、着色が少なく、ゲル化しにくいという性質を有する。EVOHのリン酸化合物含有量が10ppm未満の場合は、溶融成形時の着色が激しくなるおそれがある。特に、熱履歴を重ねる場合にその傾向が顕著であるため、該EVOHからなる成形物が回収性に乏しいものとなるおそれがある。また、EVOHのリン酸化合物含有量が500ppmを超える場合は、得られる成形物中にゲル・ブツが発生しやすくなるおそれがある。
【0035】
また、本発明の目的を阻害しない範囲で熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィン等)をEVOHにブレンドすることもできる。
【0036】
上記のEVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下)は1〜10g/10分の範囲が好ましく、1〜5g/10分の範囲がより好ましい。
【0037】
このようなEVOHは、E−10と呼ばれるモデルガソリン(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10、体積比)の透過量が2.0g・20μm/m2・day以下であり、良好な燃料バリア性を示すので、本発明の目的に適している。
【0038】
本発明の燃料容器に使用される熱可塑性樹脂(B)としては、特に制限はないが、例えばポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独または共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレンが好ましく、高密度ポリエチレン、特に密度が0.93g/cm3以上の高密度ポリエチレンがより好ましい。
【0039】
上記の密度が0.93g/cm3以上の高密度ポリエチレンは、通常市販品の中から適宜選択して使用することができる。剛性、耐衝撃性、成形性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性等の観点から、ポリエチレンの密度は0.95〜0.98g/cm3であることがさらにより好ましく、0.96〜0.98g/cm3が最も好ましい。また、ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、0.01〜0.5g/10分(190℃、2160g荷重下)の範囲であることが好ましく、0.01〜0.1g/10分の範囲がより好ましい。
【0040】
本発明の燃料容器は、上記のEVOH(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該EVOH(A)層の両側に配置してなる積層体からなる。該積層体において、EVOH(A)層と熱可塑性樹脂(B)層とは、直接接していてもよいし、両層間に別の素材からなる層を有していてもよい。
【0041】
前記別の素材からなる層としては、特に制限はないが、接着性樹脂(D)層をEVOH(A)層と熱可塑性樹脂(B)層との間に配置することが好適である。かかる接着性樹脂(D)としては、例えばカルボン酸変性ポリオレフィンが挙げられる。
【0042】
カルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物を化学的に(例えば付加反応、グラフト反応により)結合させて得られる、カルボキシル基を含有するオレフィン系重合体のことをいう。エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物としては、モノカルボン酸、そのエステル;ジカルボン酸、そのモノまたはジエステル、および、その無水物;が挙げられる。具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
【0043】
ベースポリマーとなるオレフィン系重合体としては、例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等の、オレフィンと該オレフィンと共重合し得るコモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル等)との共重合体;が挙げられる。これらの中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量5〜55重量%)およびエチレン−アクリル酸エチル共重合体(アクリル酸エチル含有量8〜35重量%)が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
【0044】
上記のようなカルボン酸変性ポリオレフィンは、例えば、溶媒(キシレン等)、触媒(過酸化物等)の存在下で、上記のオレフィン系重合体に、上記のエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物を、付加反応またはグラフト反応により導入することによって得られる。このときの、カルボン酸またはその無水物のオレフィン系重合体への付加量またはグラフト量(変性度)は、オレフィン系重合体に対して0.01〜15重量%であることが好ましく、0.02〜10重量%がより好ましい。
【0045】
このようにして得られたカルボン酸変性ポリオレフィンのメルトインデックス(MI)は0.2〜30g/10分(ASTM−D−1238−65T、190℃)の範囲が好ましく、0.5〜10g/10分の範囲がより好ましい。
【0046】
上記のようなカルボン酸変性ポリオレフィンは、接着性樹脂(D)として単独で使用してもよいし、また二種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
また、別の素材からなる層として、EVOH(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂組成物(C)層を使用することもできる。このような樹脂組成物(C)の例としては、燃料容器の製造工程から得られる回収物が挙げられる。
【0048】
燃料容器の製造工程においては、バリの発生が不可避である。かかるバリや、検定の不合格品を再利用することによってリサイクル性を向上させ、燃料容器の製造時に使用される樹脂のロスを低減することが可能である。
【0049】
前記回収物は、EVOH(A)、熱可塑性樹脂(B)、および実施態様によっては接着性樹脂等の別の素材からなる。回収物からなる層(回収層)は、熱可塑性樹脂(B)層の代わりとして用いることも可能であるが、一般的には、単一の熱可塑性樹脂(B)からなる層よりも回収層の方が機械的強度が低くなることが多いので、熱可塑性樹脂(B)層と積層して用いることが好ましい。燃料容器が外部から衝撃を受けた場合には、容器に応力の集中が生じ、応力集中部において衝撃に対する圧縮応力が容器内層側で働き、場合によっては破損が起こることから、強度的に弱い回収層はEVOH(A)層よりも外層側に配置することが好適である。また、バリの発生が多い時等、多量の樹脂をリサイクルする必要がある場合は、EVOH(A)層の両側に回収層を配置することが好適である。
【0050】
本発明の燃料容器は、熱可塑性樹脂(B)層を最外層に配置した積層体からなることが好ましい。具体的には、EVOH(A)層をA、熱可塑性樹脂(B)層をB、接着性樹脂層をTieとした場合、(内)B/A/B(外)、(内)B/Tie/A/Tie/B(外)、(内)B/Tie/A/Tie/A/Tie/B(外)等の配置が、成形性、コスト、バリア性、耐衝撃性等の観点から好ましく、(内)B/Tie/A/Tie/B(外)の配置が耐衝撃性の観点からより好ましい。
【0051】
また、回収層を配置する場合は、回収層をRとして、例えば(内)R/A/R(外)、(内)R/Tie/A/Tie/R(外)、(内)B/A/R/B(外)、(内)B/R/A/R/B(外)、(内)B/Tie/A/Tie/R/B(外)、(内)B/R/Tie/A/Tie/R/B(外)等の配置が挙げられる。これらの中でも、(内)B/Tie/A/Tie/R/B(外)、(内)B/R/Tie/A/Tie/R/B(外)の配置が好ましい。なお、EVOH(A)、熱可塑性樹脂(B)および接着性樹脂をそれぞれ複数の層で用いる場合は、同じ樹脂を用いてもよいし、異なる樹脂を用いてもよい。いずれの場合においても、本発明の燃料容器は、その胴部がEVOH(A)層を、内側から30〜70%の位置に配置した積層体からなることが好ましい。
【0052】
本発明の燃料容器を製造するに当たっては、EVOH(A)、熱可塑性樹脂(B)、および実施態様によっては接着性樹脂等の別の素材を、射出成形機、ダイレクトブロー成形機(連続式、アキュムレータ式)、射出ブロー成形機等に供して、直接燃料容器を得る方法の他、上記の原料を共押出して得られた多層シートを真空成形する方法、熱可塑性樹脂(B)シート、または、熱可塑性樹脂(B)と接着性樹脂等の別の素材とからなる多層シートに、EVOH(A)シートを接着剤を用いてドライラミネートして得られた多層シートを真空成形する方法等を挙げることができ、好適にはダイレクトブロー成形または多層シートを真空成形する方法が採用される。
【0053】
このようにして得られた本発明の燃料容器は、高い燃料バリア性に加えて、優れた耐衝撃性を有する。とりわけ、本発明の燃料容器は燃料バリア性の点において、充填される燃料がMTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)含有ガソリン等の、いわゆる含酸素ガソリンであっても優れた効果を発揮するという特長を有する。
【0054】
本発明の燃料容器は、上記のとおり、燃料、特に含酸素ガソリンのバリア性が求められる燃料用パイプまたはタンク、例えば自動車用ガソリンタンクとして有用である他、石油ストーブ等の燃料用タンクとしても使用できる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
参考例
(EVOHの膜面評価)
エチレン含有量20モル%、けん化度99.5%のEVOH樹脂を原料とし、直径20mm、L/D=22の1軸スクリューを備えた押出機を使用して、押出機温度180〜230℃、コートハンガー型ダイ(幅300mm)の温度210〜230℃の条件で押出製膜し、EVOHフィルム(膜厚15μm)を得た。
【0057】
このEVOHフィルムを内径210mm×300mmの木枠に挟み、ISO14663−2条件(融点マイナス20℃×10分間)で熱処理を実施した。フィルムのブツ発生状態について目視で観察し、0.5mm以上のブツ(LLブツ)の個数を数えて、以下のように評価した。
◎:LLブツ数0個
○:LLブツ数1個
×:LLブツ数2個以上
【0058】
(多層パウチの燃料バリア性評価)
日本ポリオレフィン製高密度ポリエチレン(HDPE)「KBY48C」(密度0.970、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を原料とし、直径40mm、L/D=22の1軸スクリューを備えた押出機を使用して、押出機温度170〜210℃、コートハンガー型ダイ(幅300mm)の温度210℃の条件で押出製膜し、HDPEフィルム(膜厚100μm)を得た。次に、該HDPEフィルムと前記EVOHフィルムとを、ウレタン系接着剤(東洋モートン製「A335」)と硬化剤(東洋モートン製「cat−10」)を使用して、東京ラミネックス製DX−350ラミネーター(ロール温度70℃)でドライラミネートし、HDPE/EVOH/HDPE=100/15/100μm構成の多層フィルムを得た。この多層フィルムを180mm×270mmの大きさにカットし、中央で折り曲げ、二辺を富士インパルス製ヒートシーラーT−230を使用してダイヤル6にてシール幅10mmになるようにヒートシールし、パウチを作製した。
【0059】
得られたパウチに、E−10モデルガソリン(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10、体積比)をシールされていない辺より180ml充填し、投入辺を上述した方法と同様の方法でシール幅10mmになるようにヒートシールしてモデルガソリン入りパウチを作製し、40℃、65%RHに設定した防爆型恒温恒湿槽内に35日間放置した。その後、パウチの一辺をカットしてE−10モデルガソリンを廃液し、パウチの一面から80mmΦの円形のフィルムを切り出し、GTRテック(株)製フロー式ガス蒸気透過率測定装置GTR−30XFKEのPVセル(40℃−65%RH)に装着してE−10モデルガソリンの透過率を測定した。
【0060】
使用するEVOHを、エチレン含有量15モル%、24モル%、26モル%、27モル%および32モル%のEVOHに変更した以外は同様にして、上記の評価を行った。結果をまとめて表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例1
(多層容器の耐落下衝撃性評価)
参考例で使用したエチレン含有量20モル%、けん化度99.5%のEVOH樹脂、日本ポリオレフィン製高密度ポリエチレン(HDPE)「KBY48C」(密度0.970、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)、接着性樹脂として日本ポリオレフィン製無水マレイン酸変性LDPE「FT61AR−3」(密度0.950、190℃−2160gにおけるMFR=0.42g/10分)をJSW社製4種6層ブロー成形機に供給して、(外側)HDPE/Regrind/Tie/EVOH/Tie/HDPE層(内側)の4種6層の燃料容器(容量約60リットルのタンク:長径750mm、短径530mm、高さ280mmの小判型―湯たんぽ形状)を得た。Regrind層に使用した樹脂として、事前に成形した同燃料容器の粉砕物を使用した。得られた燃料容器の各層の厚み比を以下の方法で決定した。
【0063】
図1中の点1〜22(上面5点、下面5点、コーナー部8点、側面4点)から電動ノコギリを用いて観察用のタンク片を切り出し、タンク片の断面をミクロトームでスライスし、厚み18μmの観察用断面を得た。これをスライドグラス上に置き、カバーグラスで固定した後、ヨウ素水溶液でEVOHを染色し、顕微鏡観察によって各層の厚みを測定した。この測定結果(n=22)の平均値より、燃料容器の各層の厚み比を決定した。
【0064】
測定の結果、該燃料容器の総厚みは6mm、(外側)HDPE/Regrind/Tie/EVOH/Tie/HDPE層(内側)の厚み構成比は、14/40/2/2/2/40であった。
【0065】
各層の厚み比の測定に用いた燃料容器と同じ型の燃料容器に、重量が56kgになるようにエチレングリコールを充填し、開口部を溶融HDPE樹脂で塞ぎ、−40℃±1℃の恒温室に48時間放置した。この燃料容器を、日本ポリオレフィン社製の落下衝撃試験装置(0−15m)を使用し、水平な金属面に、ピンチオフ部A(図1中の26)が下になるようにして5mの高さから落下させた。割れなければ6m、さらに割れなければ7mと順次1mづつ落下位置を上昇させ、燃料容器が割れるまで落下試験を繰り返し、燃料容器が割れた高さで耐衝撃性を以下のように判定した(n=5)。
◎:8m以上
○:7m以上、8m未満
×:7m未満
【0066】
(多層容器の燃料バリア性評価)
耐落下衝撃性評価に使用したのと同型の燃料容器にE−10モデルガソリン(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10、体積比)を60リットル充填し、開口部を溶融HDPE樹脂で塞ぎ、−40℃±1℃の恒温室に3ヶ月間放置した。放置前後の燃料容器の重量変化からE−10モデルガソリンの透過率を算出し、以下のように判定した。
◎:0.06g/day・tank未満
○:0.06g/day・tank以上、0.10g/day・tank未満
×:0.10g/day・tank以上
【0067】
実施例2〜9、比較例1〜11
使用するEVOH樹脂を、参考例で使用した別の樹脂に変更し、また、燃料容器の厚み構成比の目標値を変更した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。以上の結果をまとめて表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】
本発明により、高い燃料バリア性、および優れた耐衝撃性を兼ね備えた燃料容器が得られる。本発明の燃料容器は、製造コストを従来のものよりも低くすることが可能であり、経済的な観点からもその意義は大きい。
本発明の燃料容器は、自動車の燃料タンクをはじめ、オートバイ、船舶、航空機、発電機および工業用や農業用に搭載される燃料容器や、これら燃料の補給用の携帯用容器、さらにこれら燃料の輸送・保管・貯蔵用のボトル、タンク、ドラム等各種の容器として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において、各層の厚みの測定に用いた燃料容器を示す図である。
【符号の説明】
1〜22 切り出し部位
23 容器の上面
24 容器の下面
25 容器の側面
26 ピンチオフ部A
27 ピンチオフ部B
Claims (8)
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層を少なくとも1層有し、かつ、熱可塑性樹脂(B)層を該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の両側に配置してなる積層体からなり、下記式(1)を満足することを特徴とする燃料容器。
22×(X/100)5 ≦ Ve/100 ≦ 0.038 …(1)
ここで、Xはエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量(モル%)を、Veは燃料容器における、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の、総厚みに対する厚み比(%)を、それぞれ表す。 - 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量X(モル%)が、下記式(3)を満足する請求項1に記載の燃料容器。
X ≧ 10 …(3) - 前記燃料容器において、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の、総厚みに対する厚み比Ve(%)が、下記式(4)を満足する請求項1または2に記載の燃料容器。
Ve ≧ 0.1 …(4) - 前記熱可塑性樹脂(B)が高密度ポリエチレンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料容器。
- 前記熱可塑性樹脂(B)層を最外層に配置した積層体からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料容器。
- さらに、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂組成物(C)層を有する積層体からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料容器。
- さらに、接着性樹脂(D)層を有する積層体からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料容器。
- 前記燃料容器の胴部が、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層を、内側から30〜70%の位置に配置した積層体からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料容器。
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-
2003
- 2003-02-18 JP JP2003039446A patent/JP2004249474A/ja active Pending
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