JP2004166860A - ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができ、かつ耐久性に優れるゴルフクラブヘッドを効率よく製造する。
【解決手段】β型チタン合金からなるワークに対して、まず、温間プレス成形加工または熱間鍛造加工を施してフェース部材16を作製する。必要に応じて、ワークないし得られたフェース部材16に時効処理を施すようにしてもよい。この過程により、α+β型チタン合金からなるフェース部材16が得られる。次いで、このフェース部材16をヘッド本体14に溶接によって接合する。この際、高温の熱が付与されることに伴って、フェース部材16におけるヘッド本体14に溶接された周縁部24がβ型チタン合金となる。
【選択図】図1
【解決手段】β型チタン合金からなるワークに対して、まず、温間プレス成形加工または熱間鍛造加工を施してフェース部材16を作製する。必要に応じて、ワークないし得られたフェース部材16に時効処理を施すようにしてもよい。この過程により、α+β型チタン合金からなるフェース部材16が得られる。次いで、このフェース部材16をヘッド本体14に溶接によって接合する。この際、高温の熱が付与されることに伴って、フェース部材16におけるヘッド本体14に溶接された周縁部24がβ型チタン合金となる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法に関し、一層詳細には、強度に優れ、かつ可撓性が大きなフェース部材を有するゴルフクラブヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なウッド型のゴルフクラブヘッドは、中空状であり、かつ前面が開口したヘッド本体と、前記開口前面を閉塞するようにヘッド本体に接合されるフェース部材とを有する。フェース部材の素材としては、従来からステンレス鋼が採用されているが、近年では、チタン合金が着目されている。チタン合金はステンレス鋼に比して比重が小さく、したがって、同一体積のフェース部材であれば、ステンレス鋼からなるものよりも軽量化することができるからである。また、同一重量であれば、ステンレス鋼からなるものに比してフェース面積を大きくすることができるので、ゴルフボールの打球に適した打球最適領域を大きくすることができるからである。
【0003】
また、チタン合金のヤング率は、ステンレス鋼に比して小さい。このため、チタン合金からなるフェース部材は、ステンレス鋼からなるものに比して可撓性が大きくなる。したがって、チタン合金からなるフェース部材は、ゴルフボールを打球した際に大きく撓むので、反発力が大きくなる。フェース部材の反発力が大きい場合、長距離に亘ってゴルフボールを飛行させることができる。
【0004】
チタン合金には、α相からなるα型チタン合金と、β相からなるβ型チタン合金と、α相およびβ相が混在したα+β型チタン合金との3種が存在し、成形加工が容易であることや、時効処理を施すことによって強度を著しく向上させることができるということから、フェース部材の素材としては、特許文献1にも記載されているように、β型チタン合金が多用される。
【0005】
β型チタン合金は、α型チタン合金に比して可撓性が大きいという特性を併せ持つ。
【0006】
β型チタン合金からなるフェース部材は、例えば、β型チタン合金からなる板材を冷間圧延加工によって得た後、該板材をプレス成形加工することによって作製される。次に、予め別に作製したヘッド本体にこのフェース部材が溶接され、これによりゴルフクラブヘッドが作製される。その後、このゴルフクラブヘッドに対し、時効処理が施される。
【0007】
冷間圧延加工が施されたβ型チタン合金には、加工硬化が生じている。このため、時効処理は短時間施せばよい。すなわち、この場合、時効処理を長時間行う必要がないため、ゴルフクラブヘッドを効率よく製造することができるという利点を有する。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−71219号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、β型チタン合金に対して時効処理を施した場合、β相の中からα相が析出する。すなわち、α+β型チタン合金となる。一方、3種のチタン合金中、可撓性が最も大きいのは、上記したようにβ型チタン合金である。換言すれば、時効処理を施すと、α相が析出することに伴ってフェース部材の可撓性が低下し、その結果、該フェース部材は、反発力が小さいものとなってしまう。すなわち、ゴルフボールの飛行距離が低下してしまう。
【0010】
このような不具合を回避するには、時効処理を施さないようにすればよい。しかしながら、この場合、フェース部材の強度が充分であるとは言い難い。
【0011】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、フェース部材が充分な強度を示し、かつ該フェース部材の可撓性(反発力)が大きく、しかも、効率よく製造することが可能なゴルフクラブヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、ヘッド本体と、前記ヘッド本体に接合されたフェース部材とを有するゴルフクラブヘッドにおいて、
前記フェース部材はチタン合金からなり、
かつ該フェース部材の前記ヘッド本体に接合された周縁部のヤング率が該周縁部以外の部位に比して小さいことを特徴とする。
【0013】
ヤング率が小さい周縁部は、他の部位に比して可撓性が大きい。このため、本発明に係るゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打球した場合、周縁部が大きく撓む。したがって、フェース部材が弾性作用によって元の形状に復元する際、ゴルフボールに大きな反発力が作用する。このような理由から、ゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができる。
【0014】
また、周縁部以外の部位は、可撓性が小さいために高強度を示す。このため、反発性と耐久性とを兼ね備えるフェース部材とすることができる。
【0015】
周縁部のヤング率をその他の部位に比して小さくするには、例えば、周縁部をβ相からなるβ型チタン合金とするとともに、その他の部位をα相とβ相との混合相からなるα+β型チタン合金とすればよい。β型チタン合金は、α+β型チタン合金やα型チタン合金に比してヤング率が小さく、したがって、可撓性が大きくなる。
【0016】
そして、α+β型チタン合金は強度に優れる。すなわち、この場合、フェース部材における周縁部以外の箇所は、高強度を示すα+β型チタン合金からなる。このため、フェース部材の強度を確保することもできる。
【0017】
また、本発明は、ヘッド本体と、前記ヘッド本体に接合されたフェース部材とを有するゴルフクラブヘッドの製造方法において、
チタン合金からなるワークに対して温間プレス成形加工または熱間鍛造加工を施してフェース部材を設ける第1工程と、
前記フェース部材をヘッド本体に溶接によって接合する第2工程と、
を有し、
前記第2工程の際に溶接の熱で前記フェース部材の前記ヘッド本体に接合された周縁部を熱処理することにより、該周縁部のヤング率を低下させることを特徴とする。
【0018】
すなわち、本発明によれば、熱処理が施されることによって周縁部のヤング率が低下する。これにより、可撓性が大きい周縁部と、強度に優れる部位とを有するフェース部材を作製することができる。
【0019】
周縁部のヤング率をその他の部位に比して小さくするには、例えば、ワークとしてβ相からなるβ型チタン合金を用い、第2工程を開始する前に該ワークをα相とβ相との混合相からなるα+β型チタン合金に予め変化させ、かつ第2工程にて熱処理により周縁部をβ型チタン合金に変化させるようにすればよい。
【0020】
このような製造方法の一例としては、ワークとして熱間圧延加工が施された板材を用い、かつ第1工程において500〜600℃の温度範囲で温間プレス成形加工を遂行するとともに、該第1工程を行う前、または行った後にワークに対して時効処理を施す製造方法を挙げることができる。
【0021】
別の好適な例としては、ワークとして冷間圧延加工が施された板材を用い、かつ第1工程において400〜700℃の温度範囲で温間プレス成形加工を遂行してフェース部材を作製する製造方法を挙げることができる。
【0022】
さらに別の好適な例としては、ワークとして熱間鍛造加工が施されたものを用い、第1工程において700〜1100℃の温度範囲で熱間鍛造加工を遂行してフェース部材を作製するとともに、該第1工程を行った後にフェース部材に対して時効処理を施す製造方法を挙げることができる。
【0023】
なお、この場合、熱間鍛造加工によって酸化皮膜および酸素濃化層が形成されることがある。これら酸化皮膜および酸素濃化層は、フェース部材の強度を低下させる一因となる。したがって、第1工程を行った後、酸化皮膜および酸素濃化層を除去する除去工程を行うことが好ましい。
【0024】
なお、いずれの製造方法においても、フェース部材とヘッド本体とを接合してゴルフクラブヘッドとした後、該ゴルフクラブヘッドに対して溶体化処理や時効処理等の各種熱処理を施す必要はない。このため、ゴルフクラブヘッドを製造するのに要する時間を短縮することができるので、ゴルフクラブヘッドを効率よく製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るゴルフクラブヘッドおよびその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの全体概略斜視図を図1に示す。このゴルフクラブヘッド10は、前部に開口部12を有するヘッド本体14と、該ヘッド本体14に溶接されて開口部12を閉塞するフェース部材16とを有するウッド型のゴルフクラブヘッドである。
【0027】
この場合、ヘッド本体14は、該ヘッド本体14の底部となるソール部材18と、クラウン部および側壁部を有するとともに開口下端部がソール部材18にて閉塞された上部部材20と、図示しないシャフトを嵌合するためのホーゼル部材22とが互いに接合されることによって構成されている。ここで、ソール部材18、上部部材20およびホーゼル部材22の各々は、例えば、鋳造加工、鍛造加工またはプレス成形加工を遂行することによって作製される。
【0028】
また、ソール部材18、上部部材20およびホーゼル部材22の各々を作製するための素材の好適な例としては、α+β型チタン合金であるTi−6Al−4V合金や、β型チタン合金であるTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金等が挙げられる。
【0029】
そして、フェース部材16においては、ヘッド本体14に溶接された周縁部24がβ型チタン合金からなり、その他の部位はα+β型チタン合金からなる。すなわち、フェース部材16には、同一部材でありながら、結晶組織が異なる部位が存在する。
【0030】
β型チタン合金からなる周縁部24は、ヤング率が小さい。このため、該周縁部24は、ゴルフボールを打球した際に大きく撓み、その結果、ゴルフボールに対する反発力が大きくなる。これにより、ゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができる。
【0031】
この場合、ヘッド本体14の体積は300cm3であり、一般的なヘッド本体に比して大きい。そこで、ゴルフクラブヘッド10としての重量を小さくするため、スコアライン溝26が設けられていない箇所におけるフェース部材16の肉厚は、約2.6mmと一般的なフェース部材に比して小さく設定されている。しかしながら、本実施の形態に係るフェース部材16における周縁部24以外の部位は、強度に優れるα相が混在するα+β型チタン合金からなる。このため、フェース部材16は、ゴルフボールを繰り返し打球しても破損が生じ難い。
【0032】
すなわち、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド10は、肉厚が小さい場合においても耐久性および反発力を兼ね備えるフェース部材16を有する。このようなフェース部材16は、ヘッド本体の体積が250cm3以上の比較的大きなゴルフクラブヘッドを作製する場合に好適である。
【0033】
このゴルフクラブヘッド10は、以下に説明する第1〜第3の製法によって製造することができる。
【0034】
まず、第1の製法につき、そのフローチャートである図2を参照して説明する。なお、この場合、熱間圧延加工が施された板材がワークとして用いられる。勿論、この板材は、β型チタン合金からなる。
【0035】
そして、第1工程SA1において、500〜600℃、好適にはおよそ550℃に予め加熱したワークに対して温間プレス成形加工を施し、これによりフェース部材16を作製する。
【0036】
この温度範囲で温間プレス成形加工を施すことに伴ってワークであるβ型チタン合金に変態が生じ、その結果、該ワークがα+β型チタン合金となる。また、この温度範囲で温間プレス成形を行う場合、フェース部材16に大きな残留応力が発生することを回避することもできる。したがって、強度に優れるフェース部材16を得ることができる。
【0037】
次いで、フェース部材16に対し、時効処理を施す。この場合の時効処理は、400〜700℃を4〜8時間保持することによって行えばよい。
【0038】
このようにしてフェース部材16を作製する一方で、ヘッド本体14を作製する。すなわち、Ti−6Al−4V合金やTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金等のチタン合金からなるワークに対し、鋳造加工、鍛造加工またはプレス成形加工を施すことによって、ソール部材18、上部部材20およびホーゼル部材22を作製する。そして、ソール部材18と上部部材20とを互いに溶接した後、上部部材20にホーゼル部材22を溶接する。
【0039】
次いで、第2工程SA2において、このヘッド本体14と前記フェース部材16とを互いに溶接する。この際、フェース部材16におけるヘッド本体14に溶接された箇所、すなわち、周縁部24は、溶接の際に付与された高温の熱によって熱処理される。これにより、周縁部24を構成するα+β型チタン合金が変態を起こし、β型チタン合金に戻る。
【0040】
一方、周縁部24以外の部位は、溶接の際に熱が付与されることはない。したがって、周縁部24以外は、α+β型チタン合金の状態を保持する。このため、ヘッド本体14に溶接されたフェース部材16は、その部位によって結晶組織が異なるものとなる。すなわち、周縁部24がβ型チタン合金からなり、周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金からなるものとなる。
【0041】
最後に、ゴルフクラブヘッド10に対して研磨処理を行い、該ゴルフクラブヘッド10を所定の形状・寸法に仕上げる。
【0042】
このことから諒解されるように、ゴルフクラブヘッドを製造する場合、ヘッド本体とフェース部材とを溶接した後に時効処理を施すのが通例であるのに対し、第1の製法においては、ゴルフクラブヘッド10に対して時効処理を施すことなく研磨処理を行う。時効処理を行わないことにより、β型チタン合金である周縁部24にα相が生じて該周縁部24がα+β型チタン合金となることを回避することができる。
【0043】
上記したように、β型チタン合金は、α+β型チタン合金に比してヤング率が小さい。換言すれば、可撓性が大きい。このため、このフェース部材16の周縁部24は、ゴルフボールを打球する際に大きく撓む。したがって、該フェース部材16には大きな反発力が生じるので、打球したゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができる。
【0044】
さらに、ヘッド本体14とフェース部材16とを溶接した後に溶体化処理や時効処理等を施さないので、ゴルフクラブヘッド10を製造するのに要する時間が短縮される。すなわち、ゴルフクラブヘッド10を効率よく製造することができる。
【0045】
なお、第1の製法においては、図3に示すように、第1工程SA1を行う前に予め時効処理を行うようにしてもよい。
【0046】
次に、第2の製法につき図4を参照して説明する。この場合のワークとしては、β型チタン合金からなり、冷間圧延加工が施された板材が用いられる。
【0047】
この場合、第1工程SB1において、400〜700℃に予め加熱したワークに対して温間プレス成形加工を施すことによりフェース部材16を作製する。これにより、第1の製法と同様に、α+β型チタン合金からなるとともに残留応力が著しく小さく、したがって、強度に優れるフェース部材16が得られる。
【0048】
次いで、第2工程SB2において、このフェース部材16と、第1の製法に準拠して作製されたヘッド本体14とを互いに溶接する。この際にも、高温の熱によって周縁部24が熱処理され、該周縁部24を構成するチタン合金がβ型チタン合金となる。その一方で、周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金の状態を保持し、結局、周縁部24がβ型チタン合金からなり、かつ周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金からなるフェース部材16が設けられる。
【0049】
最後に、ゴルフクラブヘッド10に対して研磨処理を行い、該ゴルフクラブヘッド10を所定の形状・寸法に仕上げる。
【0050】
第2の製法においては、冷間圧延加工に際して加工硬化を起こしているワークを使用する。このため、第1工程SB1を行う前のワーク、または第1工程SB1を行って得られたフェース部材16に対して時効処理を施すことなく強度に優れたフェース部材16を作製することができる。しかも、ヘッド本体14にフェース部材16を溶接してゴルフクラブヘッド10を構成した後に、該ゴルフクラブヘッド10に対して時効処理を施すこともない。
【0051】
換言すれば、第2の製法によれば、ゴルフクラブヘッド10を製造するのに要する時間が一層短縮するので、ゴルフクラブヘッド10を一層効率よく製造することができる。
【0052】
また、時効処理を行わないので、β型チタン合金である周縁部24にα相が生じて該周縁部24がα+β型チタン合金となることを回避することができる。このため、ゴルフボールを打球する際に大きく撓み、これにより打球したゴルフボールを長距離に亘って飛行させるフェース部材16を有するゴルフクラブヘッド10を得ることができる。
【0053】
次に、第3の製法につき図5を参照して説明する。
【0054】
この場合、ワークとしては、β型チタン合金からなり、熱間鍛造加工が施されたものが用いられる。ここで、熱間鍛造加工とは、ワークのβ変態温度よりも高温で鍛造加工等の塑性加工を行うことを指称する。なお、ワークは、棒材であってもよいし、板材であってもよい。
【0055】
このようなワークを700〜1100℃に予め加熱した後、第1工程SC1において、熱間鍛造加工を施すことによりフェース部材16を作製する。
【0056】
次いで、得られたフェース部材16に対して時効処理を施す。この時効処理に伴い、フェース部材16を構成するβ型チタン合金に変態が生じてα相が析出する。その結果、α+β型チタン合金からなるフェース部材16が得られる。
【0057】
第3の製法においては、第1工程SC1にて熱間鍛造加工を行うので、フェース部材16の表面に酸化皮膜が生じたり、表面近傍に酸素を多く含有する酸素濃化層が形成されたりすることがある。これら酸化皮膜および酸素濃化層によってフェース部材16の強度が低下することを回避するため、第3の製法では、これらを除去する除去工程を行うことが好ましい。
【0058】
具体的には、サンドブラストやグラインド等の機械的研磨加工、または、ケミカルエッチングや電解研磨等の化学的研磨加工を行うことにより、酸化皮膜および酸素濃化層を除去するようにすればよい。
【0059】
以上により、強度に優れるフェース部材16を得ることができる。
【0060】
次に、第2工程SC2において、このフェース部材16と、第1の製法に準拠して作製されたヘッド本体14とを互いに溶接する。この際にも、高温の熱によって周縁部24が熱処理され、該周縁部24を構成するチタン合金がβ型チタン合金となる。一方、周縁部24以外の部位はα+β型チタン合金の状態を保持しているので、結局、周縁部24がβ型チタン合金からなり、かつ周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金からなるフェース部材16が得られる。
【0061】
最後に、ゴルフクラブヘッド10に対して研磨処理を行い、該ゴルフクラブヘッド10を所定の形状・寸法に仕上げる。
【0062】
このように、第3の製法においても、ゴルフクラブヘッド10に対して時効処理を行わない。したがって、β型チタン合金である周縁部24にα相が生じて該周縁部24がα+β型チタン合金となることを回避することができる。このため、ゴルフボールを打球する際に大きく撓み、打球したゴルフボールを長距離に亘って飛行させるフェース部材16を有するゴルフクラブヘッド10が得られるに至る。
【0063】
なお、上記した実施の形態においては、フェース部材16の周縁部24をβ型チタン合金とすることで該周縁部24のヤング率を小さくするようにしているが、本発明においては、周縁部24のヤング率がそれ以外の部位に比して小さければよい。すなわち、周縁部24のヤング率をそれ以外の部位に比して小さくする手段は、該周縁部24をβ型チタン合金とすることに限定されるものではない。
【0064】
また、ヘッド本体の体積が250cm3未満であってもよいことは言うまでもない。
【0065】
さらにまた、ヘッド本体14は、ソール部、クラウン部およびホーゼル部を一体的に有する単一部材として形成されたものであってもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るゴルフクラブヘッドによれば、ヘッド本体に接合された周縁部の可撓性が大きく、かつその他の部位が高強度を示すフェース部材を有する。このため、本発明に係るゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打球した場合、周縁部が大きく撓む。したがって、フェース部材が弾性作用によって元の形状に復元する際、ゴルフボールに大きな反発力が作用するので、ゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができるという効果が達成される。
【0067】
しかも、このフェース部材は高強度を示すので、破損し難い。すなわち、フェース部材の耐久性を確保することもできる。
【0068】
また、本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法によれば、周縁部に熱処理を施すことによって、該周縁部の可撓性が大きく、かつその他の部位が高強度を示すフェース部材を有するゴルフクラブヘッドを容易かつ簡便に作製することができる。
【0069】
そして、この製造方法においては、フェース部材とヘッド本体とを接合してゴルフクラブヘッドとした後、該ゴルフクラブヘッドに対して溶体化処理や時効処理等の各種熱処理を施す必要はない。このため、ゴルフクラブヘッドを製造するのに要する時間を短縮することができ、結局、ゴルフクラブヘッドを効率よく製造することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの全体概略斜視図である。
【図2】第1の製法を説明するフローチャートである。
【図3】第1の製法の変形例を説明するフローチャートである。
【図4】第2の製法を説明するフローチャートである。
【図5】第3の製法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10…ゴルフクラブヘッド 14…ヘッド本体
16…フェース部材 24…周縁部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法に関し、一層詳細には、強度に優れ、かつ可撓性が大きなフェース部材を有するゴルフクラブヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なウッド型のゴルフクラブヘッドは、中空状であり、かつ前面が開口したヘッド本体と、前記開口前面を閉塞するようにヘッド本体に接合されるフェース部材とを有する。フェース部材の素材としては、従来からステンレス鋼が採用されているが、近年では、チタン合金が着目されている。チタン合金はステンレス鋼に比して比重が小さく、したがって、同一体積のフェース部材であれば、ステンレス鋼からなるものよりも軽量化することができるからである。また、同一重量であれば、ステンレス鋼からなるものに比してフェース面積を大きくすることができるので、ゴルフボールの打球に適した打球最適領域を大きくすることができるからである。
【0003】
また、チタン合金のヤング率は、ステンレス鋼に比して小さい。このため、チタン合金からなるフェース部材は、ステンレス鋼からなるものに比して可撓性が大きくなる。したがって、チタン合金からなるフェース部材は、ゴルフボールを打球した際に大きく撓むので、反発力が大きくなる。フェース部材の反発力が大きい場合、長距離に亘ってゴルフボールを飛行させることができる。
【0004】
チタン合金には、α相からなるα型チタン合金と、β相からなるβ型チタン合金と、α相およびβ相が混在したα+β型チタン合金との3種が存在し、成形加工が容易であることや、時効処理を施すことによって強度を著しく向上させることができるということから、フェース部材の素材としては、特許文献1にも記載されているように、β型チタン合金が多用される。
【0005】
β型チタン合金は、α型チタン合金に比して可撓性が大きいという特性を併せ持つ。
【0006】
β型チタン合金からなるフェース部材は、例えば、β型チタン合金からなる板材を冷間圧延加工によって得た後、該板材をプレス成形加工することによって作製される。次に、予め別に作製したヘッド本体にこのフェース部材が溶接され、これによりゴルフクラブヘッドが作製される。その後、このゴルフクラブヘッドに対し、時効処理が施される。
【0007】
冷間圧延加工が施されたβ型チタン合金には、加工硬化が生じている。このため、時効処理は短時間施せばよい。すなわち、この場合、時効処理を長時間行う必要がないため、ゴルフクラブヘッドを効率よく製造することができるという利点を有する。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−71219号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、β型チタン合金に対して時効処理を施した場合、β相の中からα相が析出する。すなわち、α+β型チタン合金となる。一方、3種のチタン合金中、可撓性が最も大きいのは、上記したようにβ型チタン合金である。換言すれば、時効処理を施すと、α相が析出することに伴ってフェース部材の可撓性が低下し、その結果、該フェース部材は、反発力が小さいものとなってしまう。すなわち、ゴルフボールの飛行距離が低下してしまう。
【0010】
このような不具合を回避するには、時効処理を施さないようにすればよい。しかしながら、この場合、フェース部材の強度が充分であるとは言い難い。
【0011】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、フェース部材が充分な強度を示し、かつ該フェース部材の可撓性(反発力)が大きく、しかも、効率よく製造することが可能なゴルフクラブヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、ヘッド本体と、前記ヘッド本体に接合されたフェース部材とを有するゴルフクラブヘッドにおいて、
前記フェース部材はチタン合金からなり、
かつ該フェース部材の前記ヘッド本体に接合された周縁部のヤング率が該周縁部以外の部位に比して小さいことを特徴とする。
【0013】
ヤング率が小さい周縁部は、他の部位に比して可撓性が大きい。このため、本発明に係るゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打球した場合、周縁部が大きく撓む。したがって、フェース部材が弾性作用によって元の形状に復元する際、ゴルフボールに大きな反発力が作用する。このような理由から、ゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができる。
【0014】
また、周縁部以外の部位は、可撓性が小さいために高強度を示す。このため、反発性と耐久性とを兼ね備えるフェース部材とすることができる。
【0015】
周縁部のヤング率をその他の部位に比して小さくするには、例えば、周縁部をβ相からなるβ型チタン合金とするとともに、その他の部位をα相とβ相との混合相からなるα+β型チタン合金とすればよい。β型チタン合金は、α+β型チタン合金やα型チタン合金に比してヤング率が小さく、したがって、可撓性が大きくなる。
【0016】
そして、α+β型チタン合金は強度に優れる。すなわち、この場合、フェース部材における周縁部以外の箇所は、高強度を示すα+β型チタン合金からなる。このため、フェース部材の強度を確保することもできる。
【0017】
また、本発明は、ヘッド本体と、前記ヘッド本体に接合されたフェース部材とを有するゴルフクラブヘッドの製造方法において、
チタン合金からなるワークに対して温間プレス成形加工または熱間鍛造加工を施してフェース部材を設ける第1工程と、
前記フェース部材をヘッド本体に溶接によって接合する第2工程と、
を有し、
前記第2工程の際に溶接の熱で前記フェース部材の前記ヘッド本体に接合された周縁部を熱処理することにより、該周縁部のヤング率を低下させることを特徴とする。
【0018】
すなわち、本発明によれば、熱処理が施されることによって周縁部のヤング率が低下する。これにより、可撓性が大きい周縁部と、強度に優れる部位とを有するフェース部材を作製することができる。
【0019】
周縁部のヤング率をその他の部位に比して小さくするには、例えば、ワークとしてβ相からなるβ型チタン合金を用い、第2工程を開始する前に該ワークをα相とβ相との混合相からなるα+β型チタン合金に予め変化させ、かつ第2工程にて熱処理により周縁部をβ型チタン合金に変化させるようにすればよい。
【0020】
このような製造方法の一例としては、ワークとして熱間圧延加工が施された板材を用い、かつ第1工程において500〜600℃の温度範囲で温間プレス成形加工を遂行するとともに、該第1工程を行う前、または行った後にワークに対して時効処理を施す製造方法を挙げることができる。
【0021】
別の好適な例としては、ワークとして冷間圧延加工が施された板材を用い、かつ第1工程において400〜700℃の温度範囲で温間プレス成形加工を遂行してフェース部材を作製する製造方法を挙げることができる。
【0022】
さらに別の好適な例としては、ワークとして熱間鍛造加工が施されたものを用い、第1工程において700〜1100℃の温度範囲で熱間鍛造加工を遂行してフェース部材を作製するとともに、該第1工程を行った後にフェース部材に対して時効処理を施す製造方法を挙げることができる。
【0023】
なお、この場合、熱間鍛造加工によって酸化皮膜および酸素濃化層が形成されることがある。これら酸化皮膜および酸素濃化層は、フェース部材の強度を低下させる一因となる。したがって、第1工程を行った後、酸化皮膜および酸素濃化層を除去する除去工程を行うことが好ましい。
【0024】
なお、いずれの製造方法においても、フェース部材とヘッド本体とを接合してゴルフクラブヘッドとした後、該ゴルフクラブヘッドに対して溶体化処理や時効処理等の各種熱処理を施す必要はない。このため、ゴルフクラブヘッドを製造するのに要する時間を短縮することができるので、ゴルフクラブヘッドを効率よく製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るゴルフクラブヘッドおよびその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの全体概略斜視図を図1に示す。このゴルフクラブヘッド10は、前部に開口部12を有するヘッド本体14と、該ヘッド本体14に溶接されて開口部12を閉塞するフェース部材16とを有するウッド型のゴルフクラブヘッドである。
【0027】
この場合、ヘッド本体14は、該ヘッド本体14の底部となるソール部材18と、クラウン部および側壁部を有するとともに開口下端部がソール部材18にて閉塞された上部部材20と、図示しないシャフトを嵌合するためのホーゼル部材22とが互いに接合されることによって構成されている。ここで、ソール部材18、上部部材20およびホーゼル部材22の各々は、例えば、鋳造加工、鍛造加工またはプレス成形加工を遂行することによって作製される。
【0028】
また、ソール部材18、上部部材20およびホーゼル部材22の各々を作製するための素材の好適な例としては、α+β型チタン合金であるTi−6Al−4V合金や、β型チタン合金であるTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金等が挙げられる。
【0029】
そして、フェース部材16においては、ヘッド本体14に溶接された周縁部24がβ型チタン合金からなり、その他の部位はα+β型チタン合金からなる。すなわち、フェース部材16には、同一部材でありながら、結晶組織が異なる部位が存在する。
【0030】
β型チタン合金からなる周縁部24は、ヤング率が小さい。このため、該周縁部24は、ゴルフボールを打球した際に大きく撓み、その結果、ゴルフボールに対する反発力が大きくなる。これにより、ゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができる。
【0031】
この場合、ヘッド本体14の体積は300cm3であり、一般的なヘッド本体に比して大きい。そこで、ゴルフクラブヘッド10としての重量を小さくするため、スコアライン溝26が設けられていない箇所におけるフェース部材16の肉厚は、約2.6mmと一般的なフェース部材に比して小さく設定されている。しかしながら、本実施の形態に係るフェース部材16における周縁部24以外の部位は、強度に優れるα相が混在するα+β型チタン合金からなる。このため、フェース部材16は、ゴルフボールを繰り返し打球しても破損が生じ難い。
【0032】
すなわち、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド10は、肉厚が小さい場合においても耐久性および反発力を兼ね備えるフェース部材16を有する。このようなフェース部材16は、ヘッド本体の体積が250cm3以上の比較的大きなゴルフクラブヘッドを作製する場合に好適である。
【0033】
このゴルフクラブヘッド10は、以下に説明する第1〜第3の製法によって製造することができる。
【0034】
まず、第1の製法につき、そのフローチャートである図2を参照して説明する。なお、この場合、熱間圧延加工が施された板材がワークとして用いられる。勿論、この板材は、β型チタン合金からなる。
【0035】
そして、第1工程SA1において、500〜600℃、好適にはおよそ550℃に予め加熱したワークに対して温間プレス成形加工を施し、これによりフェース部材16を作製する。
【0036】
この温度範囲で温間プレス成形加工を施すことに伴ってワークであるβ型チタン合金に変態が生じ、その結果、該ワークがα+β型チタン合金となる。また、この温度範囲で温間プレス成形を行う場合、フェース部材16に大きな残留応力が発生することを回避することもできる。したがって、強度に優れるフェース部材16を得ることができる。
【0037】
次いで、フェース部材16に対し、時効処理を施す。この場合の時効処理は、400〜700℃を4〜8時間保持することによって行えばよい。
【0038】
このようにしてフェース部材16を作製する一方で、ヘッド本体14を作製する。すなわち、Ti−6Al−4V合金やTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金等のチタン合金からなるワークに対し、鋳造加工、鍛造加工またはプレス成形加工を施すことによって、ソール部材18、上部部材20およびホーゼル部材22を作製する。そして、ソール部材18と上部部材20とを互いに溶接した後、上部部材20にホーゼル部材22を溶接する。
【0039】
次いで、第2工程SA2において、このヘッド本体14と前記フェース部材16とを互いに溶接する。この際、フェース部材16におけるヘッド本体14に溶接された箇所、すなわち、周縁部24は、溶接の際に付与された高温の熱によって熱処理される。これにより、周縁部24を構成するα+β型チタン合金が変態を起こし、β型チタン合金に戻る。
【0040】
一方、周縁部24以外の部位は、溶接の際に熱が付与されることはない。したがって、周縁部24以外は、α+β型チタン合金の状態を保持する。このため、ヘッド本体14に溶接されたフェース部材16は、その部位によって結晶組織が異なるものとなる。すなわち、周縁部24がβ型チタン合金からなり、周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金からなるものとなる。
【0041】
最後に、ゴルフクラブヘッド10に対して研磨処理を行い、該ゴルフクラブヘッド10を所定の形状・寸法に仕上げる。
【0042】
このことから諒解されるように、ゴルフクラブヘッドを製造する場合、ヘッド本体とフェース部材とを溶接した後に時効処理を施すのが通例であるのに対し、第1の製法においては、ゴルフクラブヘッド10に対して時効処理を施すことなく研磨処理を行う。時効処理を行わないことにより、β型チタン合金である周縁部24にα相が生じて該周縁部24がα+β型チタン合金となることを回避することができる。
【0043】
上記したように、β型チタン合金は、α+β型チタン合金に比してヤング率が小さい。換言すれば、可撓性が大きい。このため、このフェース部材16の周縁部24は、ゴルフボールを打球する際に大きく撓む。したがって、該フェース部材16には大きな反発力が生じるので、打球したゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができる。
【0044】
さらに、ヘッド本体14とフェース部材16とを溶接した後に溶体化処理や時効処理等を施さないので、ゴルフクラブヘッド10を製造するのに要する時間が短縮される。すなわち、ゴルフクラブヘッド10を効率よく製造することができる。
【0045】
なお、第1の製法においては、図3に示すように、第1工程SA1を行う前に予め時効処理を行うようにしてもよい。
【0046】
次に、第2の製法につき図4を参照して説明する。この場合のワークとしては、β型チタン合金からなり、冷間圧延加工が施された板材が用いられる。
【0047】
この場合、第1工程SB1において、400〜700℃に予め加熱したワークに対して温間プレス成形加工を施すことによりフェース部材16を作製する。これにより、第1の製法と同様に、α+β型チタン合金からなるとともに残留応力が著しく小さく、したがって、強度に優れるフェース部材16が得られる。
【0048】
次いで、第2工程SB2において、このフェース部材16と、第1の製法に準拠して作製されたヘッド本体14とを互いに溶接する。この際にも、高温の熱によって周縁部24が熱処理され、該周縁部24を構成するチタン合金がβ型チタン合金となる。その一方で、周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金の状態を保持し、結局、周縁部24がβ型チタン合金からなり、かつ周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金からなるフェース部材16が設けられる。
【0049】
最後に、ゴルフクラブヘッド10に対して研磨処理を行い、該ゴルフクラブヘッド10を所定の形状・寸法に仕上げる。
【0050】
第2の製法においては、冷間圧延加工に際して加工硬化を起こしているワークを使用する。このため、第1工程SB1を行う前のワーク、または第1工程SB1を行って得られたフェース部材16に対して時効処理を施すことなく強度に優れたフェース部材16を作製することができる。しかも、ヘッド本体14にフェース部材16を溶接してゴルフクラブヘッド10を構成した後に、該ゴルフクラブヘッド10に対して時効処理を施すこともない。
【0051】
換言すれば、第2の製法によれば、ゴルフクラブヘッド10を製造するのに要する時間が一層短縮するので、ゴルフクラブヘッド10を一層効率よく製造することができる。
【0052】
また、時効処理を行わないので、β型チタン合金である周縁部24にα相が生じて該周縁部24がα+β型チタン合金となることを回避することができる。このため、ゴルフボールを打球する際に大きく撓み、これにより打球したゴルフボールを長距離に亘って飛行させるフェース部材16を有するゴルフクラブヘッド10を得ることができる。
【0053】
次に、第3の製法につき図5を参照して説明する。
【0054】
この場合、ワークとしては、β型チタン合金からなり、熱間鍛造加工が施されたものが用いられる。ここで、熱間鍛造加工とは、ワークのβ変態温度よりも高温で鍛造加工等の塑性加工を行うことを指称する。なお、ワークは、棒材であってもよいし、板材であってもよい。
【0055】
このようなワークを700〜1100℃に予め加熱した後、第1工程SC1において、熱間鍛造加工を施すことによりフェース部材16を作製する。
【0056】
次いで、得られたフェース部材16に対して時効処理を施す。この時効処理に伴い、フェース部材16を構成するβ型チタン合金に変態が生じてα相が析出する。その結果、α+β型チタン合金からなるフェース部材16が得られる。
【0057】
第3の製法においては、第1工程SC1にて熱間鍛造加工を行うので、フェース部材16の表面に酸化皮膜が生じたり、表面近傍に酸素を多く含有する酸素濃化層が形成されたりすることがある。これら酸化皮膜および酸素濃化層によってフェース部材16の強度が低下することを回避するため、第3の製法では、これらを除去する除去工程を行うことが好ましい。
【0058】
具体的には、サンドブラストやグラインド等の機械的研磨加工、または、ケミカルエッチングや電解研磨等の化学的研磨加工を行うことにより、酸化皮膜および酸素濃化層を除去するようにすればよい。
【0059】
以上により、強度に優れるフェース部材16を得ることができる。
【0060】
次に、第2工程SC2において、このフェース部材16と、第1の製法に準拠して作製されたヘッド本体14とを互いに溶接する。この際にも、高温の熱によって周縁部24が熱処理され、該周縁部24を構成するチタン合金がβ型チタン合金となる。一方、周縁部24以外の部位はα+β型チタン合金の状態を保持しているので、結局、周縁部24がβ型チタン合金からなり、かつ周縁部24以外の部位がα+β型チタン合金からなるフェース部材16が得られる。
【0061】
最後に、ゴルフクラブヘッド10に対して研磨処理を行い、該ゴルフクラブヘッド10を所定の形状・寸法に仕上げる。
【0062】
このように、第3の製法においても、ゴルフクラブヘッド10に対して時効処理を行わない。したがって、β型チタン合金である周縁部24にα相が生じて該周縁部24がα+β型チタン合金となることを回避することができる。このため、ゴルフボールを打球する際に大きく撓み、打球したゴルフボールを長距離に亘って飛行させるフェース部材16を有するゴルフクラブヘッド10が得られるに至る。
【0063】
なお、上記した実施の形態においては、フェース部材16の周縁部24をβ型チタン合金とすることで該周縁部24のヤング率を小さくするようにしているが、本発明においては、周縁部24のヤング率がそれ以外の部位に比して小さければよい。すなわち、周縁部24のヤング率をそれ以外の部位に比して小さくする手段は、該周縁部24をβ型チタン合金とすることに限定されるものではない。
【0064】
また、ヘッド本体の体積が250cm3未満であってもよいことは言うまでもない。
【0065】
さらにまた、ヘッド本体14は、ソール部、クラウン部およびホーゼル部を一体的に有する単一部材として形成されたものであってもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るゴルフクラブヘッドによれば、ヘッド本体に接合された周縁部の可撓性が大きく、かつその他の部位が高強度を示すフェース部材を有する。このため、本発明に係るゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打球した場合、周縁部が大きく撓む。したがって、フェース部材が弾性作用によって元の形状に復元する際、ゴルフボールに大きな反発力が作用するので、ゴルフボールを長距離に亘って飛行させることができるという効果が達成される。
【0067】
しかも、このフェース部材は高強度を示すので、破損し難い。すなわち、フェース部材の耐久性を確保することもできる。
【0068】
また、本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法によれば、周縁部に熱処理を施すことによって、該周縁部の可撓性が大きく、かつその他の部位が高強度を示すフェース部材を有するゴルフクラブヘッドを容易かつ簡便に作製することができる。
【0069】
そして、この製造方法においては、フェース部材とヘッド本体とを接合してゴルフクラブヘッドとした後、該ゴルフクラブヘッドに対して溶体化処理や時効処理等の各種熱処理を施す必要はない。このため、ゴルフクラブヘッドを製造するのに要する時間を短縮することができ、結局、ゴルフクラブヘッドを効率よく製造することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの全体概略斜視図である。
【図2】第1の製法を説明するフローチャートである。
【図3】第1の製法の変形例を説明するフローチャートである。
【図4】第2の製法を説明するフローチャートである。
【図5】第3の製法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10…ゴルフクラブヘッド 14…ヘッド本体
16…フェース部材 24…周縁部
Claims (8)
- ヘッド本体と、前記ヘッド本体に接合されたフェース部材とを有するゴルフクラブヘッドにおいて、
前記フェース部材はチタン合金からなり、
かつ該フェース部材の前記ヘッド本体に接合された周縁部のヤング率が該周縁部以外の部位に比して小さいことを特徴とするゴルフクラブヘッド。 - 請求項1記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記周縁部がβ相からなるβ型チタン合金であるとともに、該周縁部に比してヤング率が大きい部位がα相とβ相との混合相からなるα+β型チタン合金であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
- ヘッド本体と、前記ヘッド本体に接合されたフェース部材とを有するゴルフクラブヘッドの製造方法において、
チタン合金からなるワークに対して温間プレス成形加工または熱間鍛造加工を施してフェース部材を設ける第1工程と、
前記フェース部材をヘッド本体に溶接によって接合する第2工程と、
を有し、
前記第2工程の際に溶接の熱で前記フェース部材の前記ヘッド本体に接合された周縁部を熱処理することにより、該周縁部のヤング率を低下させることを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。 - 請求項3記載の製造方法において、前記ワークとしてβ相からなるβ型チタン合金を用い、前記第2工程を開始する前に該ワークをα相とβ相との混合相からなるα+β型チタン合金に予め変化させ、
前記第2工程にて前記熱処理により前記周縁部をβ型チタン合金に変化させることを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。 - 請求項3または4記載の製造方法において、前記ワークとして熱間圧延加工が施された板材を用い、かつ前記第1工程において500〜600℃の温度範囲で温間プレス成形加工を遂行するとともに、該第1工程を行う前、または行った後に前記ワークに対して時効処理を施すことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 請求項3または4記載の製造方法において、前記ワークとして冷間圧延加工が施された板材を用い、かつ前記第1工程において400〜700℃の温度範囲で温間プレス成形加工を遂行してフェース部材を作製することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 請求項3または4記載の製造方法において、前記ワークとして熱間鍛造加工が施されたものを用い、前記第1工程において700〜1100℃の温度範囲で熱間鍛造加工を遂行してフェース部材を作製するとともに、該第1工程を行った後に前記フェース部材に対して時効処理を施すことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 請求項7記載の製造方法において、前記第1工程を行った後、酸化皮膜および酸素濃化層を除去する除去工程を行うことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
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