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JP2004022611A - 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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JP2004022611A
JP2004022611A JP2002171974A JP2002171974A JP2004022611A JP 2004022611 A JP2004022611 A JP 2004022611A JP 2002171974 A JP2002171974 A JP 2002171974A JP 2002171974 A JP2002171974 A JP 2002171974A JP 2004022611 A JP2004022611 A JP 2004022611A
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Japan
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mol
ceramic capacitor
multilayer ceramic
compound
temperature
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JP2002171974A
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English (en)
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Iwao Ueno
巌 上野
Naoki Noda
直樹 野田
Nobuaki Nagai
伸明 永井
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】セラミック層の自己発熱が低く、比誘電率、絶縁破壊電圧が共に高く、温度変化に対する静電容量の安定性が高く、内部電極として卑金属を使用することができる低発熱温度補償用積層セラミックコンデンサとその製法を提供する。
【解決手段】セラミック層1と内部電極層2a,2bとを交互に積層した積層セラミックコンデンサであって、前記セラミック層1の結晶粒子および粒界は絶縁体で、前記結晶粒子と前記粒界はほぼ同一かつ均一な組成により構成されており、前記粒界にはガラス相などの偏析がない積層セラミックコンデンサとする。前記セラミック層の誘電正接(tan δ)は1kHz、20〜100℃の温度範囲で0.1%以下であり、かつ周波数200kHz、電圧値2.0kV負荷で自己発熱温度が10℃以下であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度変化に対する静電容量の安定性が高いことはもちろん、高電圧負荷でも絶縁破壊しにくく、さらに誘電正接(以下tan δと記載する)が低く温度依存性及び周波数依存性が少ない、すなわち高温・高電圧・高周波で使用しても自己発熱少ない、高耐圧の低発熱温度補償用積層セラミックコンデンサおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、薄型化、高性能化に伴って、積層セラミックコンデンサに対しても各特性の向上が要求されている。例えば、温度補償用積層セラミックコンデンサにおいては、特に、温度変化に対する静電容量の安定性が高い、すなわち容量温度係数の絶対値が小さいことが要求される。
【0003】
温度補償用として使用する積層セラミックコンデンサとしては、特開平2002−80278号公報および特開平2002−80279号公報が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記積層セラミックコンデンサのセラミック層は、SiOなどのガラス成分を焼結助剤として添加して焼結させるために、粒界に低誘電率で低抵抗な不純物が偏析する。その結果として、まず第1に絶縁破壊電圧が低く高電圧負荷でセラミックコンデンサが破壊する恐れがある。第2にtanδの温度依存性および周波数依存性が大きく、高温・高電圧・高周波で使用するとセラミックコンデンサ自体が急激に発熱する。従って、液晶ディスプレイ(LCD)やモデムなどの高電圧や高速通信で使用する回路では、セラミックコンデンサの急激な発熱、絶縁破壊により電子機器の暴走を誘発する恐れがある。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、絶縁破壊電圧が大きく、かつtanδの温度依存性及び周波数依存性が少ない、高温・高電圧・高周波で使用しても自己発熱が少なく、内部電極として卑金属を使用することができ、温度変化に対する静電容量の安定性(SL特性)が高い積層コンデンサとして使用可能な高耐圧の低発熱温度補償用積層セラミックコンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の第1番目の積層セラミックコンデンサは、セラミック層と内部電極層とを交互に積層した積層セラミックコンデンサであって、前記セラミック層の結晶粒子および粒界は電気的絶縁体であり、前記結晶粒子と前記粒界はほぼ同一かつ均一な組成により構成されており、かつ前記粒界にはガラス相がないことを特徴とする。前記において、前記粒界にはガラス相がないとは、SiOなどのガラスを形成する不純物成分が入っていないか、極めて少なく、きれいな焼結体であることを意味する。
【0007】
本発明の第2番目の積層セラミックコンデンサは、セラミック層と内部電極層とを交互に積層した積層セラミックコンデンサであって、前記セラミック層は、ペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を有し、結晶中のTiO八面体が20〜100℃の温度範囲で回転し相転移を起こすことを特徴とする。
【0008】
次に本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法は、Sr化合物と、Ca化合物と、Ti化合物と、Zr化合物を予め混合し、空気中にて1100℃以上で仮焼することにより(CaSr1−XTi1−yZr2+m系のペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を作製する第1の工程と、
前記仮焼体を平均粒径が0.3〜1.0μmの範囲に入るように粉砕する第2の工程と、
Mn化合物と、Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種であるA成分を含む化合物と前記仮焼物とを混合し、前記混合物を空気中にて1100℃以上で仮焼する第3の工程と、
前記仮焼体を平均粒径が0.3〜1.0μmの範囲に入るように粉砕する第4の工程と、
V化合物、Cr化合物の少なくとも一種と前記仮焼体を混合する第5の工程と、
前記混合物を成形してセラミック成形層を得る第6の工程と、
前記セラミック成形層と内部電極層とを積層して積層体を得る第7の工程と、
前記積層体を還元雰囲気中で焼成すること、さらに、焼成時の降温過程に再酸化工程を実施し、結晶粒子および粒界を絶縁体化し、なおかつ前記粒界にはガラス相などの偏析がないセラミック層を得る第8の工程と、
前記焼結体に外部電極層を形成する第9の工程とを含み、
焼成後のセラミック層が、(CaSr1−XTi1−yZr2+m(但し、0.3≦X≦0.4、0.995≦m≦1.005、0<y≦0.03で表される基本成分と、
MnをMnに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
V、Crの少なくとも一種をV、Crに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも1種をY、La、Ce、Nd、Dyに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
Si成分を非含有もしくは0.02mol%以下含有した積層セラミックコンデンサを製造することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、SiOなどのガラス成分を焼結助剤として添加せず、極微量のV、Crを焼結助剤として使用して、結晶粒子および粒界は電気的絶縁体で、かつ結晶粒子と粒界はほぼ同一の均一な組成のセラミック層を形成するものである。また、前記セラミック層が、ペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を有し、結晶中のTiO八面体が20〜100℃の温度範囲で回転し相転移を起こすものである。
【0010】
本発明においては、セラミック層の誘電正接(tan δ)が1kHz、20〜100℃の温度範囲で0.1%以下であることが好ましい。また、セラミック層の周波数200kHz、電圧値2.0kV負荷で自己発熱温度が10℃以下であることが好ましい。とくに、セラミック層の誘電正接(tan δ)が1kHz、20〜100℃の温度範囲で0.1%以下であり、かつ、周波数200kHz、電圧値2.0kV負荷で自己発熱温度が10℃以下であることが好ましい。前記の範囲であれば、高温(例えば100℃)であっても誘電正接(tan δ)は低くて安定であり、かつ高電圧・高周波負荷での自己発熱が少ない。
【0011】
さらに、前記セラミック層が、(CaSr1−XTi1−yZr2+m(但し、0.3≦X≦0.4、0.995≦m≦1.005、0<y≦0.03で表される基本成分と、MnをMnに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、焼結助剤のV、Crの少なくとも一種をV、Crに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも1種をY、La、Ce、Nd、Dyに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、不純物のSi成分を非含有もしくは含有されても0.02mol%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の構成によれば、絶縁破壊電圧が大きく、かつtan δの温度依存性及び周波数依存性が少なく、高温・高電圧・高周波で使用しても自己発熱が少なく、内部電極として卑金属を使用することができ、温度変化に対する静電容量の安定性(SL特性)が高い積層コンデンサとして使用可能な高耐圧の低発熱温度補償用積層セラミックコンデンサとすることができる。
【0013】
前記積層セラミックコンデンサにおいては、前記内部電極層に卑金属を用いることが好ましい。低価格化を図ることができるからである。卑金属としては、例えばNi、Cu等を挙げることができる。
【0014】
また、前記積層セラミックコンデンサにおいては、表面をSiコーティングすることが好ましい。常温中でのtan δ値の上昇を抑えることができ低発熱の積層セラミックコンデンサとなる。コーティングの好ましい膜厚は1〜10μm、さらに好ましくは2〜3μmである。
【0015】
また、前記積層セラミックコンデンサにおいては、表面を樹脂でコーティングしたモールドタイプにすることが好ましい。実装後のたわみ強度を向上させることができ信頼性の高い実装部品となる。モールド樹脂としては、例えばエポキシ樹脂を使用することができる。
【0016】
次に前記本発明の製造方法によれば、本発明の積層セラミックコンデンサを効率よく合理的に製造することができる。
【0017】
前記積層セラミックコンデンサの製造方法においては、前記内部電極層に卑金属を用いることが好ましい。低価格化を図ることができるからである。
【0018】
また、前記積層セラミックコンデンサの製造方法においては、第7の工程の後に、素子表面にSiコーティングすることが好ましい。常温でのtan δの上昇を抑えることができ、低発熱の積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0019】
また、前記積層セラミックコンデンサの製造方法においては、第7の工程または、Siコーティングを行った素子を樹脂でコーティングし、モールドタイプにすることが好ましい。実装後のたわみ強度を向上させることができ信頼性の高い実装部品となる。
【0020】
また、前記積層セラミックコンデンサの製造方法においては、まず第1に規定量に配合したSr化合物と、Ca化合物と、Ti化合物と、Zr化合物を予め混合し、空気中にて1100℃以上で仮焼することにより基本となる(CaSr1−XTi1−yZr2+m系のペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を作製し、次工程でのMn化合物と、Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種であるA成分を含む化合物を添加混合し仮焼しても骨格となるペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造が変化しない。さらにまた焼結助剤としてSiOなどのガラスを使用せず極微量のV、Crの少なくとも一種を焼結助剤として添加することで粒界に低誘電率で低抵抗なガラス相の偏析が無く、結晶粒子および粒界が絶縁体のセラミック層を得ることができ、結果として絶縁破壊電圧が高く、tan δが小い、すなわち高耐圧の低発熱温度補償用積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る積層セラミックコンデンサの構造の一例を示す断面図である。この積層セラミックコンデンサは、セラミック層1と内部電極層2a、2bとが交互に積層した積層体と、この積層体表面に形成された下層外部電極3と、下層外部電極3表面に形成された上層外部電極4とを備えている。積層セラミックコンデンサの大きさは、縦1.2mm、横3mm、奥行き1.5mmである。
【0023】
セラミック層1は、下記一般式(1)で表される組成物を主成分とする。
(CaSr1−XTi1−yZr2+m…(1)
前記一般式(1)において、Xは、0.3≦X≦0.4の範囲である。前記範囲外であると、容量温度係数の絶対値が大きくなる、すなわちペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を有しないもしくは有しても結晶中のTiO八面体が20〜100℃の温度範囲で回転し相転移を起こさないために容量温度特性がSL特性(−1000〜350ppm/℃)からの逸脱する。Xは、好ましくは0.35≦X≦0.38の範囲であり、更に好ましくは0.36≦X≦0.38の範囲である。また、前記一般式(1)において、mは、0.995≦m≦1.005の範囲である。m<0.995では、セラミック層の粒成長および還元が起こりやすく、tan δ誘電正接の上昇および絶縁破壊電圧の低下が生じる。また、m>1.005では、緻密な焼結体を得るのに高い焼結温度を要する。mは、好ましくは0.997≦m≦1.003の範囲であり、更に好ましくは0.998≦m≦1.002の範囲である。また、yは、0<y≦0.03の範囲である。Zrを含むとtan δが低下する。特に、0<y≦0.03の範囲では、tan δを低下させることができるので好ましい。Zrを添加しないとtan δの低下効果は小さく、また0.03より多くなると容量温度特性がSL特性からの逸脱する。
【0024】
前記セラミック層1は、Mnを含む。まず第1にMnはアクセプターとして作用し、セラミック層1に耐還元性を付与するための酸素空位を形成する。従って、Mnの添加により、セラミック層1の耐還元性を促進させることができ還元雰囲気中で焼成を行っても結晶粒子および粒界は還元されることなく絶縁体を維持できる。さらにまた第2にMnを適量添加することにより、高温領域(85℃以上)でのtan δの上昇を抑制することができる。このことは前記第1と関連することで、耐還元性を促進させることができ結晶粒子および粒界が絶縁体を維持し、なおかつMn化合物が粒界に偏析しないためにtan δの上昇が抑えられる。しかし、適量を超えると結晶の粒成長や、ペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造が崩れるために容量温度特性がSL特性からはずれる。従って、前記基本成分に対する添加量は、Mnに換算して、0mol%を超え0.15mol%以下、好ましくは0.01〜0.12mol%、更に好ましくは0.03〜0.10mol%である。0mol%では、セラミック層1の抵抗値が低下し、さらに、tan δの上昇の減少が起こり、0.15mol%を超えると、粒成長や容量の温度変化が大きくなりSL特性からはずれるためである。
【0025】
またセラミック層1は、V、Crの少なくとも一種の化合物を含む。第1にV、Crは微量添加により焼結助剤として作用する。すなわち、従来のように一般的に使用されるSi成分を使用しなくても極微量V、Crを添加することで焼結性が向上する。Si成分を使用せずに微量V、Crを焼結助剤に使用したときの最大の特徴はセラミック層1の結晶粒界に低誘電率で低抵抗のガラス相などの偏析がなく、粒子とほぼ均一の組成により構成されることである。このような結晶構造に成ることで、高温や高周波負荷の状態でも結晶粒子および粒界部分の絶縁性は維持され結果として絶縁破壊電圧値が大きく、かつtan δの低いコンデンサで有り続けることが可能となる。反面、V、Crの少なくとも一種の添加量を多くすると結晶粒子が半導体化するという危険がある。すなわち、V、Crの少なくとも一種を適正な添加量で添加することにより、焼結性を向上させセラミック層1が緻密になるために特に低温領域(例えば、室温から50℃付近)においてtan δの上昇を抑えることができ、Mn化合物との同時添加により低温から高温領域の全体にわたってtan δを低下することが可能となる。V、Crの少なくとも一種の添加量その合計量で、前記基本成分に対して、V、Crに換算して、0mol%を超え0.15mol%以下、好ましくは0.02〜0.12mol%、更に好ましくは0.05〜0.10mol%である。0mol%では、焼結性が悪くtan δの上昇が起こり、0.15mol%を超えると、結晶粒子が半導体化したり、容量温度特性がSL特性からはずれるためである。一方tan δの低下に関してV、CrとMnは似たような効果を示すが、両者の違いは効果が現れる温度領域が若干違うことであり、前者が室温から50℃付近後者が85℃以上の高温側であり、それぞれ単独で用いるよりも相加相乗効果を持たす方が容量特性やtan δの低下につながり、結果として低発熱のSL特性特性を有する温度補償用の積層セラミックコンデンサとなる。また、価数がV(+1〜+5価)、Cr(+1〜+6価)、もMn(+1〜+7価)が大きく変化することもtan δの低下につながると予想される。
【0026】
更に、セラミック層1は、上述したようなY、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種であるA成分を含む。前記A成分は、これらの元素のうち1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記A成分は、セラミック層1のペロブスカイト構造の歪みを抑える作用をする添加剤で、結果として高温負荷寿命特性に大きく影響する。添加量が過少であると添加効果が現れず。添加量が適当な範囲であると、ドナーとして作用し、耐還元性付与のための酸素空位を補償することにより、セラミック層1の耐還元性を促進し、高温負荷寿命特性が向上する。前記A成分の添加量は、前記基本成分に対して、0mol%を超え0.15mol%以下、好ましくは0.02〜0.12mol%、更に好ましくは0.05〜0.10mol%である。0mol%では、高温負荷寿命特性が劣化し、0.15mol%を超えると、容量温度特性がSL特性からはずれるため、また、緻密な焼結体を得るのに高い焼成温度を要する。
【0027】
また、前記セラミック層1はSi成分を非含有もしくは不純物として含有してもその含有量は0.02mol%以下である。一般にSi成分はガラスとして焼結助剤に用いられるが、本組成(CaSr1−XTi1−yZr2+m系に使用すると、まず第1に結晶粒界に偏析し、結果として絶縁破壊電圧値の低下、tan δの上昇(特に85℃以上の高温部分)につながる。更に、第2に添加量を増やすと結晶粒子の粒成長や半導体化を促進し、ペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造が崩れる。またSi成分を添加すると容量温度特性や諸特性を満足させるために数種類の添加剤の量を増加し制御する必要に迫られる。
【0028】
前記セラミック層1と内部電極2a、2bとが交互に積層されて、積層体が形成されている。この積層体において、内部電極2aと内部電極2bとは、セラミック層1を介して互いに対向するように配置されている。なお、セラミック層1および内部電極2a、2bの積層数は、特に限定されるものではなく、所望の静電容量などに応じて適宜設定することができる。
【0029】
また、内部電極2bは、積層体の端面に露出するように配置されている。下層外部電極層3は、この内部電極2bが露出した端面に形成されており、前記内部電極2bと電気的に接続されている。更に、前記下層外部電極3表面には上層外部電極4が形成されている。更に、上層外部電極4表面には、配線基板などへの面実装を容易にするため、半田などのメッキ層が形成されていてもよい。
【0030】
前記内部電極2a、2bおよび前記下層外部電極3としては、例えば、Ni、Cuなどの卑金属を含み、その融点がセラミック層1の焼結温度よりも高い材料を使用することができる。また、前記上層外部電極層4としては、例えばAg、Ag−Pd、Pdなどを使用することができる。
【0031】
この積層セラミックコンデンサは、前記したように、セラミック層1の比誘電率および絶縁破壊電圧がともに高い。また、tan δが低く、かつ、温度変化に対する静電容量の安定性が高いため、高耐圧の低発熱温度補償用コンデンサとしての使用に特に適している。適用事例としては、高圧積層セラミックコンデンサとして、高電圧、高周波数の回路への適用に特に有効である。例えば、スイッチング電源のスナバ回路、電話またはモデムのリンガ回路、液晶バックライトのインバーター回路などの高電圧回路に適用することができる。
【0032】
前記積層セラミックコンデンサの製造方法としては、例えば、下記のような2通りの方法を採用することができる。
【0033】
(第1の製造方法)
(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物と、Mn化合物と、Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種であるA成分を含む化合物を混合する。なお、各化合物の混合比は、得られる混合物が、前記したような誘電体磁器組成物の組成を満足するように調整される。
【0034】
(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物は、前記一般式(1)で表される化合物であり、前記の各化合物の混合前に予め調製されたものである。この化合物は、SrTiO、CaTiO、ZrOの3種類の粉末を、空気中で固相反応させることにより作製することができる。具体的には、SrTiO、CaTiO、ZrOの混合粉末を空気中1100〜1500℃で仮焼をすることにより作製する。好ましくは1150〜1300℃であり、仮焼時間は、例えば1〜5時間、好ましくは2〜3時間である。また、仮焼後、必要に応じて、粉砕および粗大粒除去などの処理が実施されてもよい。この時、使用するSrTiOの比表面積(BET値)は 4.0〜6.0m/g、Sr/Ti比は0.994〜1.006のものを用いることが好ましく、CaTiOの比表面積(BET値)は4.0〜5.5m/g、Ca/Ti比は0.994〜1.006のものを用いることが好ましい。ZrOは平均粒径で0.5〜1.0μm市販の粉末を使用した。
【0035】
使用するSrTiOおよびCaTiOは固相反応で作製された粉末だけでなく水熱合成で作製された粉末を用いても同様の効果が得られることを確認した。
【0036】
Mn化合物としては、例えば、MnO、MnO、MnCO、Mnなどを使用することができる。これらのなかでも、粒子が細かく分散性に優れることから、Mnを使用することが好ましい。また、Mn化合物粉体の平均粒径は、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0037】
Mn化合物は、溶液の状態で使用することも可能である。これによれば、粉体の状態で使用する場合と比較して、更に分散性を向上させることができる。この場合、Mn化合物としては、例えば、硝酸マンガン、酢酸マンガン、水酸化マンガンなどを使用することができ、これらのなかでも、硝酸マンガン、酢酸マンガンを使用することが好ましい。また、溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、水、エタノールなどを使用することができる。
【0038】
前記A成分を含む化合物については、特に限定するものではなく、例えば、酸化物、並びに、水酸化物および炭酸塩など空気中での加熱により酸化物となり得る化合物を使用することができる。また、これらの化合物は、例えば、溶液の状態で使用することができる。
【0039】
前記各化合物のうち、粉体の状態で使用するものについては、その平均粒径を小さくしたり、比表面積を大きくすることにより、混合時の分散性を向上させ、得られるセラミック層1の絶縁抵抗を高くすることができる。
【0040】
前記各化合物の混合方法は、特に限定するものではなく、例えば、湿式混合を採用することが好ましい。この場合、湿式混合に使用される溶媒としては、例えば、水、エタノールなどのアルコールなどが挙げられる。
【0041】
続いて、前記混合物を仮焼する。仮焼は、空気中で実施することができる。また、仮焼温度は、例えば1100〜1500℃、好ましくは1150〜1300℃であり、仮焼時間は、例えば1〜5時間、好ましくは2〜3時間である。また、仮焼後、必要に応じて、粉砕および粗大粒除去などの処理が実施されてもよい。
次に、仮焼後の粉体を平均粒径0.3〜1.0μmに粉砕した後にV化合物またはCr化合物の少なくとも一種類を混合する。
【0042】
V化合物としては、例えば、VO、V、VO、Vなどを使用することができる。これらのなかでも、比較的粒子が細かく分散性に優れることから、Vを使用することが好ましい。
【0043】
V化合物は、溶液の状態で使用することも可能である。これによれば、粉体の状態で使用する場合と比較して、更に分散性を向上させることができる。この場合、V化合物としては、例えば、硝酸バナジュウム、酢酸バナジュウム、水酸化バナジュウムなどを使用することができ、これらのなかでも、硝酸バナジュウム、酢酸バナジュウムを使用することが好ましい。また、溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、水、エタノールなどを使用することができる。
【0044】
Cr化合物としては、例えば、CrO、Cr、CrO、CrOなどを使用することができる。これらのなかでも、毒性が少なく、比較的粒子が細かく分散性に優れることから、Crを使用することが好ましい。
【0045】
Cr化合物は、溶液の状態で使用することも可能である。これによれば、粉体の状態で使用する場合と比較して、更に分散性を向上させることができる。
【0046】
前記各化合物のうち、粉体の状態で使用するものについては、その平均粒径を小さくしたり、比表面積を大きくすることにより、混合時の分散性を向上させ、得られるセラミック層1の絶縁抵抗を高くすることができる。
【0047】
前記各化合物の混合方法は、特に限定するものではなく、例えば、湿式混合を採用することが好ましい。この場合、湿式混合に使用される溶媒としては、例えば、水、エタノールなどのアルコールなどが挙げられる。
【0048】
次に、前記各化合物を混合した混合物を含むスラリーを調製する。スラリーは、前記混合物に、バインダおよび必要に応じて溶媒を添加し、これを混合することにより調製できる。バインダとしては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂などを使用することができ溶剤としては、例えば、n−ブチルアセテート、エタノールなどを使用することができる。また、前記スラリーは、例えば、ベンジルブチルフタレートなどの可塑剤を含有していてもよい。
【0049】
続いて、前記スラリーをフィルム状に成形し、グリーンシートを作製する。成形方法は、特に限定するものではないが、例えば、ドクターブレード法などを採用することができる。
【0050】
前記グリーンシートを内部電極前駆体と積層して積層体を得る。更に、前記積層体の前記内部電極前駆体が露出した端面に下層外部電極前駆体を形成する。内部電極前駆体および下層外部電極前駆体としては、例えば、銅、ニッケルなどの卑金属粉体に、バインダおよび溶媒を混合してなる導体ペーストを用いることができる。
【0051】
次に、必要に応じて、脱バインダ処理を実施する。脱バインダ処理は、例えば、非酸化性雰囲気で前記積層体を熱処理することにより実施できる。処理条件は、使用するバインダの種類に応じて適宜設定できる。処理温度は、例えば300〜600℃、好ましくは300〜500℃であり、処理時間は、例えば2〜10時間である。
【0052】
その後、前記積層体を焼成する。焼成は、電極前駆体に含まれる金属の酸化を抑制するため、還元性雰囲気で実施されることが好ましく、窒素雰囲気、窒素−水素雰囲気、炭酸ガス雰囲気で実施されることが更に好ましい。雰囲気ガスにおける酸素分圧は、内部電極2a,2bが過度に酸化しないような酸素分圧、すなわち内部電極2a,2bを構成する金属とその酸化物との平衡酸素分圧以下に調整される。また、焼成温度は、例えば1225〜1400℃、好ましくは1250〜1350℃であり、焼成時間は、例えば1〜5時間、好ましくは2〜3時間である。さらに、焼成の降温時には酸素分圧をあげ前記積層体の再酸化を実施する方が好ましい。
【0053】
焼成後、得られた焼成体表面に上層外部電極4を形成する。上層外部電極4の形成は、例えば、金属粉体、バインダおよび溶媒を混合してなる導体ペーストを、焼結体表面に塗布し、これを焼き付けることにより実施できる。更に、必要に応じて、上層外部電極4の表面にメッキ層が形成されて、積層セラミックコンデンサが得られる。前記製造方法によれば、優れた特性の積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0054】
(第2の製造方法)
まず、(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物と、Mn化合物と、Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種であるA成分を含む化合物を混合する。なお、各化合物の混合比は、得られる混合物が、前記したような誘電体磁器組成物の組成を満足するように調整される。
【0055】
(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物は、前記一般式(1)で表される化合物であり、前記の各化合物の混合前に予め調製されたものである。この化合物は、SrCO、CaCO、TiO、ZrOの4種類の粉末を、空気中で固相反応させることにより作製することができる。具体的には、SrTiO、CaTiO、TiO、ZrOの混合粉末を空気中1100〜1500℃で仮焼をすることにより作製する。好ましくは1150〜1300℃であり、仮焼時間は、例えば1〜5時間、好ましくは2〜3時間である。また、仮焼後、必要に応じて、粉砕および粗大粒除去などの処理が実施されてもよい。この時使用した粉末の平均粒径は0.5〜1.0μmであった。
【0056】
以下、第2の製造方法の手順で実施し、積層セラミックコンデンサを製造した。
【0057】
なお、第1および2の製造方法で合成した(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物の比表面積(BET値)は5.50〜6.20、仮焼温度は1100〜1300℃であった。
【0058】
第2の製造方法と第1の製造方法の違いは、(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物をSrTiO、CaTiO、ZrOの3種類から合成するか、SrCO、CaCO、TiO、ZrOの4種類から合成するかの違いである。結論から言うと、容量温度特性には相違がなかったが、前者の第2の製造法を用いた方がtan δが低く(特に85℃以上の高温)、より低発熱の素子になった。また前者の方が焼結粒径は小さかった(0.8〜2.0μm)。後者は1.0〜2.5μmであった。この理由は、焼成時にSrCO、CaCOからCOが解離するとき一時的に不安定な状態になり、他の原子と結びついて結晶を作りやすくなり、セラミック焼結体の焼結性が向上するためである。焼結性が高いと焼結粒径が大きくなり、焼結体の中で粒界が占める割合が低くなって導電率が低下し、tan δが低下すると考えられる。
【0059】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
原料として高純度のSrCO、CaCO、TiO、ZrO、Mn、V、Crの各粉末を用いた。また、Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種であるA成分の原料として、表1〜3に示すような酸化物の粉末を用いた。
【0061】
まず、所定の組成となるようにSrCO、CaCO、TiO、ZrO秤量し、ジルコニアボールを備えたボールミルに純水とともに入れ、湿式混合した。混合物を脱水乾燥した後、このとき、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定される混合粉末の平均粒径が0.5μm以下になるようにした。混合乾燥後、ジルコニア製のサヤに充填し空気中で1200℃、2時間粉体仮焼を実施し(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物を作製した。その後、この仮焼粉体をジルコニアボールを備えたボールミルに純水とともに入れ、湿式粉砕した。湿式粉砕後の比表面積(BET値)は5.50〜6.20になるように調整した。
【0062】
次に(CaSr1−XTi1−yZr2+m系化合物にMn、A成分を前記同様の湿式混合、空気中仮焼1150℃、2時間、湿式粉砕した。このとき、仮焼粉末の平均粒径が0.5〜0.8μmになるようにした。
【0063】
次に前記仮焼粉末にV、Crを前記同様の湿式混合した。混合物を脱水乾燥した後、この混合粉末に、バインダとしてポリビニルブチラール樹脂、可塑剤としてベンジルブチルフタレート、溶剤としてn−酢酸ブチルを加えて、ジルコニアを備えたボールミルにて混合し、スラリーを調製した。
【0064】
次に、前記スラリーを真空脱泡した後、ドクターブレード法によりフィルム状に製膜し、グリーンシートを作製した。このとき、乾燥後のグリーンシートの厚みが約25μmとなるようにした。また、同様の操作により作製したグリーンシート上に、平均粒径約0.2μmのNi粉末を含む電極ペーストをスクリーン印刷し、内部電極付きグリーンシートを作製した。
【0065】
グリーンシートを複数枚積層したものの上に、内部電極付きグリーンシートを数枚積層し、更にその上にグリーンシートを複数枚積層した。これを、加熱加圧して一体化した後、横4.08mm、縦2.04mm、高さ1.72mmの大きさに切断して、積層体を作製した。図1に示す積層体においては、内部電極2a,2bとグリーンシートとが交互に積層されて構成されており、内部電極2a,2bの少なくとも一部が端面に露出している。前記積層体の内部電極2a,2bの露出した端面に、Ni粉末を含有する電極ペーストを塗布、乾燥し、下層外部電極3を形成した。この積層体を、ジルコニア粉末を敷いたジルコニア製のサヤに入れ、NiとNiOの平衡酸素分圧以下の酸素分圧に調整した窒素雰囲気中において、400℃で2〜5時間の熱処理を行った。
【0066】
次いで、NiとNiOの平衡酸素分圧以下の酸素分圧に調整したN+H雰囲気中、最高温度1300℃で2時間焼成を行い、焼結体を得た。なお、降温時にはCO+H雰囲気に切り替え焼結体の再酸化を行った。焼結体の下層外部電極3上に、Agを含む電極ペーストを塗布し、600℃で30分間焼き付けて、上層外部電極4を形成した。これにより、二層構造の外部電極3,4を有する積層セラミックコンデンサを得た。この積層セラミックコンデンサの各セラミック層の厚みは約100μmであり、各内部電極2a,2bの厚みは約2μmであった。その後、上層外部電極4上に、Niメッキ、ハンダメッキの順にメッキ層を形成した。図1に得られた積層セラミックコンデンサの断面図を示す。
【0067】
前記操作により、セラミック層の組成が異なる66種の積層セラミックコンデンサ(試料No.1〜66)を作製した。各試料におけるセラミック層の組成を、下記表1〜3に示す。なお、下記表1〜3の係数(x、y、m)は前記一般式(1)に従うものである。また、Mn、V、CrおよびA成分の添加量は、前記一般式(1)で表される組成物に対する割合(モル%)を示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004022611
【0069】
【表2】
Figure 2004022611
【0070】
【表3】
Figure 2004022611
【0071】
得られた各試料について、セラミック層のtan δ(20℃)、tan δ(100℃)、絶縁破壊電圧(BDV)、容量温度係数、高温負荷試験での不良発生率、自己発熱を測定した。結果を、焼成温度とともに、下記表4〜6に示す。なお、各特性値の測定方法は、次の通りである。
(tan δ)
LCRメーターにより、周波数1kHz、温度25、100℃の条件で測定した。
(容量温度係数)
−25〜85℃の範囲の各温度において、LCRメーターにより周波数1MHzの条件で静電容量を測定した。得られた測定値を温度に対してプロットし、容量温度係数を算出した。なお、SL特性の範囲は−1000〜350ppm/℃である。
(自己発熱)
周波数200kHz、電圧値2.0kV負荷での自己発熱温度を熱電対により測定した。
(絶縁破壊電圧 BDV)
直流電圧負荷により絶縁破壊が認められた電圧値を絶縁破壊電圧(BDV)として算出した。
(高温負荷試験)
恒温85℃、直流電圧3kV負荷の状態で1000時間経過後の容量変化率が、±3%以上を不良として算出した。
【0072】
また、Mn、V、Cr、A成分等の含有量に関して、焼成時に飛散や拡散する可能性が高く、その含有量を精密に測定するのは非常に困難である。従って、前記数値を添加量として扱った。
【0073】
さらに、静電容量値に関しては、66種の試料ともに220〜280の値を示した。
【0074】
【表4】
Figure 2004022611
【0075】
【表5】
Figure 2004022611
【0076】
【表6】
Figure 2004022611
【0077】
まず、No.1〜9は、x値の範囲を変化させたものである。xは、0.30≦x≦0.40(No.2〜8)では容量温度係数が−1000〜350ppm/℃の範囲に入るが、これ以外の値の場合(No.1、9)では容量温度係数が前記範囲から逸脱する。xは、好ましくは0.35≦x≦0.38の範囲であり、更に好ましくは0.36≦x≦0.37の範囲であった。
【0078】
No.10〜13は、y値の範囲を変化させたものである。yは、0<y≦0.03(No.11,12)では、tan δ(20℃)、tan δ(100℃)が低く、結果として自己発熱が抑えられるが、これ以外の(No.10、13)tan δの上昇や容量温度係数が前記範囲から逸脱する。yは、好ましくは0.02≦x≦0.03の範囲であった。
【0079】
No.14〜19は、m値の範囲を変化させたものである。m値が0.995以下(No.14)では、セラミック層1の粒成長および還元が起こりやすく、tan δ(20℃)、tan δ(100℃)、自己発熱の上昇、さらには絶縁破壊電圧の低下や容量温度係数が前記範囲から逸脱した。また、m値が1.005より大きくなると(No.19)、1400℃以下の焼成温度では緻密なセラミック層1得られなかった。従って、m値の範囲は、0.995≦m≦1.005とする。
【0080】
No.20〜24は、Mn添加量を変化させたものである。添加量が0mol%では(No.20)焼成時にセラミック層1が還元されtan δ(20℃)、tan δ(100℃)、自己発熱の上昇、さらには絶縁破壊電圧の低下が起こった。添加量が増えるに従い、tan δ(20℃)、tan δ(100℃)、自己発熱の上昇、さらには絶縁破壊電圧の低下が抑えられた(No.21〜23)。しかし、0.15mol%を超すと(No.24)容量温度特性がSL特性から逸脱する。さらに添加量が増えると粒成長を起こし絶縁破壊電圧が低下する傾向にある。従って、最適量は0.15mol%以下(但し、0mol%は除く)とする。Mnの添加をしなければ、還元雰囲気中での焼成によりセラミック層1の絶縁抵抗値が低下する。即ち、セラミック層1に耐還元性がない。といった性質を示す。そこでMn量を増やすことによりセラミック層1の耐還元性が増す。さらに、高温領域(例えば100℃以上)でtan δ値の減少が徐々に抑えられる。といった傾向を示す。しかし、相反する性質として、容量温度特性がSL特性から逸脱してくる(高温部分で容量低下率が大きくなる)。といった問題点が現れてくる。
【0081】
即ち、Mnは(CaSr1−XTi1−yZr2+m系のペロブスカイト構造の格子に固溶することで耐還元性を増すが結晶構造を歪ませ結果として容量温度特性をSL特性から逸脱してしまうと考えられる。従って、Mn量の管理が非常に重要なファクタ−となりうる。
【0082】
さらに、本発明のように予め(CaSr1−XTi1−yZr2+m系の骨格を作製した後にMnを固溶させることで前記効果が期待できる。しかし、前記骨格を作製せずにMnを添加して焼成したセラミック層1では、ペロブスカイト構造が容易に歪みのSL特性から逸脱してしまう。
【0083】
前記のMnの作用を鑑みて今回の目標に合致する範囲は0.15mol%以下(但し、0mol%は除く)の極微量の範囲となった。好ましくは0.01〜0.09mol%、更に好ましくは0.03〜0.07mol%であった。
【0084】
No.25〜40は、VおよびCr添加量を変化させたものである。添加量が0mol%では(No.25)tan δ(20℃)、tan δ(100℃)、自己発熱の上昇、さらには絶縁破壊電圧の低下が起こった。添加量が増えるに従い、tan δ(20℃)、tan δ(100℃)、自己発熱の上昇、さらには絶縁破壊電圧の低下が抑えられた(No.26〜29、31〜34、36〜39)。しかし、0.15mol%起こすと(No.30、35、40)容量温度特性がSL特性から逸脱する。また粒成長を起こし絶縁破壊電圧が低下、tan δ(20℃)、tan δ(100℃)、自己発熱の上昇が起こった。従って、最適量は0mol%を超え0.15mol%以下とする。好ましくは0.01〜0.12mol%、更に好ましくは0.03〜0.09mol%であった。VおよびCrはMnとほぼ同等の効果を示すが、両者の違いは効果が現れる温度領域が若干違うことである。VおよびCrは低温領域(例えば、室温から50℃付近)、Mnは高温領域(例えば100℃以上)でのtan δ値の上昇を抑制する効果を示す。そして、それぞれ単独で用いるよりも相加相乗効果を持たす方が容量特性の向上やtan δ値の低下につながり、結果として高耐圧の低発熱温度補償用積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0085】
No.41〜45は、不純物としてのSiO量を検討した試料である。添加量が0.02mol%以下(No.41、42)ではtan δ(20℃)、tan δ(100℃)、自己発熱が低く、さらには絶縁破壊電圧が大きかった。しかし、添加量を増やすと(No.43〜45)tan δ(100℃)、自己発熱の上昇、さらには絶縁破壊電圧の低下が起こった。このことから、セラミック層1にはSi成分を非含有もしくは不純物として含有されても0.02mol%以下であることが非常に重要になってくる。
【0086】
一般的に、焼結助剤としてはSi系のガラスが頻繁に使用されている。しかし、このガラスを使用した場合粒界に低抵抗で低誘電率の不純物層の偏析が起こる。これらの偏析があるセラミック層1では高温・高電圧・高周波の負荷において結晶粒子および粒界の絶縁性が低下し、結果として自己発熱や絶縁破壊を起こしやすい。これを解決するためには、まず粒界にはガラス相などの偏析が無く、かつ結晶粒子および粒界はほぼ同一組成で絶縁体であることが必要となってくる。そこでVおよびCrを焼結助剤として使用することでこの問題点を解決しようとした。すなわち、極微量のVおよびCrを添加した組成では粒界に低抵抗で低誘電率の不純物層の偏析が起こらず、さらに、極微量のMnを添加することにより焼成後の結晶粒子および粒界は絶縁体を維持し高耐圧の低発熱温度補償用積層セラミックコンデンサとなる。
【0087】
しかし、VおよびCr、Mnの添加量を多くすると粒成長や半導体化が起こるために添加量の管理が重要となる。
【0088】
さらに、本実施例のように極微量のVおよびCrを焼結助剤として使用するためには粉体仮焼により骨格の出来た(CaSr1−XTi1−yZr2+m−Mn−A成分の仮焼粉体に混合し焼成することが望ましい。
【0089】
No.46〜59は、前記A成分の種類および添加量を変化させたものである。A成分の添加量が0mol%では(No.51)では、tan δ(100℃)、自己発熱の上昇、絶縁破壊電圧の低下、さらには高温負荷寿命特性が短く信頼性が悪かった。A成分の添加量が増えるに従い、tan δ(100℃)、自己発熱の低下、絶縁破壊電圧の増加、さらには高温負荷寿命特性が伸びる傾向を示し信頼性が向上した(No.46〜49、51〜54)。しかし、0.15mol%を超える(No.55)焼結性が悪くなり、焼成温度を1400℃以上に上げても緻密なセラミック層1が得られなかった。また、A成分のうち少なくとも一種類を添加することにより、同様の効果が得られることを確認した(No.56〜59)。
【0090】
従って、A成分は、前記主成分に対して、0mol%を超え0.15mol%以下、好ましくは0.02〜0.10mol%、更に好ましくは0.03〜0.09mol%である。
【0091】
No.60〜68は焼成温度を検討したものである。焼成温度が1200℃以下(No.60、61)では緻密なセラミック層1が得られなかった。反面、焼成温度を1500℃(No.66)にすると粒成長の影響でtan δ(100℃)、自己発熱の上昇、絶縁破壊電圧の低下の傾向が現れた。また、焼成温度が1225℃(試料No.62)、であっても、セラミック層1において十分な焼結密度が得られた。すなわち、本実施例の製造方法によれば、焼成温度は、例えば1225〜1500℃、好ましくは1250〜1350℃であり、焼成時間は、例えば1〜5時間、好ましくは2〜3時間である。
【0092】
(実施例2)
本実施例ではモールドタイプの積層セラミックコンデンサについて説明する。
【0093】
実施例1で得られた積層セラミックコンデンサに樹脂モールドを行った。
樹脂モールドを行う最大の理由は、たわみ強度の向上である。本発明の積層セラミックコンデンサの用途として高電圧、高周波数の回路への適用に特に有効である。例えば、スイッチング電源のスナバ回路、電話またはモデムのリンガ回路、液晶バックライトのインバータ回路などの高電圧回路に適用することができる。そのような回路において実装時でのたわみ等により誘電体素子にクラック等が発生し結果としてショ−ト不良等で発熱した場合非常に危険である。従って、安全性を見込んで樹脂モールドを行った方が良い。モールド樹脂は例えばエポキシ樹脂を使用できる。
【0094】
また、本実施例1において素子表面をSiコーティングすると、下記の特徴が得られた。
(I) 室温付近でのtan δ値の上昇が抑えられた。
(II) 耐湿性が向上し、耐湿負荷寿命等の信頼性が向上した。
【0095】
なお、Siコーティングは、Ag外部電極を焼き付け後に、シランカップリング剤を真空含浸し、乾燥機で150〜200℃、1〜2時間乾燥することで実施した。その後メッキ工程を得て積層セラミックコンデンサを作製した。このとき、Ag外部電極上層部にもSiコーティングが施されメッキが困難と思われたが、何の支障もなくメッキが実施できた。この理由は真空含浸で実施するために、コーティング膜厚が非常に薄いためだと思われる。
【0096】
以下、本発明のポイントについて説明する。
(1)本発明においては、セラミック層1の主成分を(CaSr1−XTi1−yZr2+m(但し、0.35≦x≦0.40、0<y≦0.03、0.995≦m≦1.005)とする。
【0097】
一般的に、0.35≦x≦0.40において、(CaSr1−XTi1−yZr2+m系はペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を有し、結晶中のTiO八面体が20〜100℃の温度範囲で回転し相転移を有する。x値を小さく(Srの割合を多く)すると低温側に転移点が移動し、逆にx値を大きくすると高温側に転移点が移動する、今回使用する積層セラミックコンデンサの容量温度特性(SL特性)を発揮するためにはX値の範囲は0.35≦X≦0.40が良かった。
【0098】
yの範囲は高温部分でのtan δの上昇を抑え、結果として自己発熱の少ないセラミック層を作製するために必要な量である。反面0.03よりも添加量を増やすと、前記TiO八面体の相転移が起こらなくなり結果としてSL特性から逸脱する。
【0099】
また、例えば、低発熱の中高圧セラミックコンデンサを使用する回路では、静電容量が決められており、一般的に100〜33,000pFの範囲である。絶縁破壊電圧を高くするためには、有効層(内部電極2a,2b間に挟まれたセラミック層1)を厚くする必要が有るが、有効層の厚みの増大は静電容量の低下を招く。従って、積層セラミックコンデンサには、容量温度係数が小さいことに加えて、所望の静電容量および絶縁破壊電圧を得るため、セラミック層1の比誘電率が大きいことが要求されるが、本発明の積層セラミックコンデンサによれば、このような要求を満足することが可能である。
(2)セラミック層1には、副成分としてMn化合物を含む、更に、この成分の添加量を、前記主成分に対して0.15mol%以下(但し、0mol%は除く)とすることで、セラミック層1の耐還元性を向上させることができると同時に、特に高温部分でのtan δ(100℃)の上昇を抑え、なおかつ容量温度特性をSL特性および高い絶縁破壊電圧を維持し、結果とした絶縁破壊電圧の高い低発熱積層セラミックコンデンサを作製することができる。
【0100】
なお、積層セラミックコンデンサの製造において、Mn化合物を粉末で使用する場合は、MnO、MnO、MnCOなどに比べて粒径が細かく分散しやすいMnを用いることが好ましい。
【0101】
また、Mn化合物を溶液で使用すると、粉末で使用する場合と比較して、更に分散性を向上させることができる。この場合、Mn化合物としては、酢酸塩または硝酸塩を用いることが好ましい。これは、Mn化合物の分散性を更に向上させることができることに加えて、後工程のアルカリ溶液(例えば、アンモニア水)で容易に沈殿を析出させることができ、不純物を仮焼などにより容易に熱分解することができるからである。
(3)セラミック層1には、副成分としてV化合物、Cr化合物を含む、更に、この成分の添加量を、前記主成分に対して0.15mol%以下(但し、0mol%は除く)とすることで、焼結性を向上させることができると同時に、特に室温付近でのtan δ(20℃)上昇を抑え、自己発熱が小さく、なおかつ容量温度特性をSL特性に維持および高い絶縁破壊電圧に維持し、結果とした絶縁破壊電圧の高い低発熱積層セラミックコンデンサを作製することができる。
【0102】
なお、積層セラミックコンデンサの製造において、V化合物を粉末で使用する場合は、V化合物としては、例えば、VO、V、VO、Vなどを使用することができる。これらのなかでも、比較的粒子が細かく分散性に優れることから、Vを使用することが好ましい。
【0103】
Cr化合物としては、例えば、CrO、Cr、CrO、CrOなどを使用することができる。これらのなかでも、毒性が少なく、比較的粒子が細かく分散性に優れることから、Crを使用することが好ましい。
【0104】
また、Vn化合物およびCr化合物は、溶液の状態で使用することも可能である。これによれば、粉体の状態で使用する場合と比較して、更に分散性を向上させることができる。この場合、V化合物およびCr化合物としては、酢酸塩または硝酸塩を用いることが好ましい。これは、V化合物およびCr化合物の分散性を更に向上させることができることに加えて、後工程のアルカリ溶液(例えば、アンモニア水)で容易に沈殿を析出させることができ、不純物を仮焼などにより容易に熱分解することができるからである。
(4)更に、セラミック層1には、副成分として、Y,La,Ce,Nd,Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種が添加される。更に、この成分の添加量を、前記主成分に対して0.15mol%以下(但し、0mol%は除く)とすることにより、高温負荷寿命に強い積層セラミックコンデンサを作製することが可能となった。
【0105】
Mn化合物がアクセプターとして作用し、セラミック層1に耐還元性を付与するために酸素空位を形成すると考えられる。一方、Y,La,Ce,Nd,Dy,Nbなどはドナーとして作用し、耐還元性付与のための酸素空位を補償して、寿命を延ばすと考えられる。
(5)セラミック層1は、前記したように、構成元素を含む化合物を原料とし、これを混合した後、焼成することにより製造することができる。主原料の(CaSr1−XTi1−yZr2+mはCaTiO、SrTiO、ZrOを出発原料としても良く、また、SrCO、CaCO、TiO、ZrOの4種類から合成しても良いものである。また実施例では示さなかったが、水酸化物など空気中での加熱により酸化物となり得る化合物を使用することも可能である。
【0106】
また、前記主成分を構成する元素を含む化合物としては、粉体として添加する副成分化合物の比表面積を大きくすることにより、主成分と副成分との反応性を向上させ、絶縁抵抗を更に向上させることができる。
【0107】
更に、SrTiOの比表面積(BET値)は4.0〜6.0m/g、Sr/Ti比は0.994〜1.006のものを用いることが好ましく、CaTiOの比表面積(BET値)は4.0〜5.5m/g、Ca/Ti比は0.994〜1.006のものを用いることが好ましい。また合成した(CaSr1−XTi1−yZr2+m(CaSr1−XTiO2+m系化合物の比表面積(BET値)は5.50〜6.20、仮焼温度は1100〜1300℃が好ましい。
(6)内部電極2a,2bとしては、例えば、Ni、Ni−Cuなど、その融点がセラミック層1の焼結温度よりも高い金属を使用することができる。
(7)バインダの除去条件は、前記実施例で示した条件に限定されるものではなく、例えば、使用する有機バインダの燃焼温度などに応じて最適熱処理条件を選択することができる。また、焼成条件についても、前記実施例で示した条件に限定されるものではなく、セラミック層1が還元されず、内部電極2a,2bが過度に酸化されない条件(すなわち、内部電極2a,2bが電極としての機能を果たせるような条件)であればよい。
(8)焼成時の最高温度については、特に限定するものではないが、例えば1225℃〜1500℃の範囲である。
(9)本発明の積層セラミックコンデンサは、その比誘電率が200以上であることが好ましい。また、1kHz、−25〜85℃の条件におけるtan δが0.1%以下であることが好ましい。更に、1MHz、−25〜85℃の条件における容量温度係数が、−1000〜350ppm/℃の範囲にあるSL特性であることが好ましい。絶縁破壊電圧が、5kV以上であることが好ましい。周波数200kHz、電圧値2.0kV負荷での自己発熱が10℃以下であることが好ましい。
【0108】
本発明の積層セラミックコンデンサは、例えば、スイッチング電源のスナバ回路、電話やモデムのリンガ回路、液晶バックライトのインバーター回路などの一般高電圧回路で使用することができる。
(10)樹脂モールドを実施する利点について記載すると
(i)  たわみ強度が向上する
(ii) 沿面放電が減少する
等の利点があり前記した一般高電圧回路に使用する場合安全性が増すものである。
(11)Siコーティングを実施する利点について記載すると
(i)  誘電体素子の耐湿性が向上する
(ii) 室温付近でのQ値を向上させる
等の利点があった。シランカップリング剤を真空含浸することによりセラミック層1のオ−プンポア−がコーティングされると同時に、セラミック層1と上層外部電極4の界面の隙間にも含浸することで前記の利点が生まれると考えられる。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、セラミック層の自己発熱が低く、比誘電率、絶縁破壊電圧が共に高く、温度変化に対する静電容量の安定性が高く、なおかつ、内部電極として卑金属を使用することが可能な積層セラミックコンデンサとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図。
【図2】本発明の実施例1で得られた積層セラミックコンデンサの温度−tan δグラフ。
【符号の説明】
1 セラミック層
2a 内部電極
2b 内部電極
3 下層外部電極
4 上層外部電極

Claims (14)

  1. セラミック層と内部電極層とを交互に積層した積層セラミックコンデンサであって、
    前記セラミック層の結晶粒子および粒界は電気的絶縁体であり、
    前記結晶粒子と前記粒界はほぼ同一かつ均一な組成により構成されており、
    かつ前記粒界にはガラス相がないことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. セラミック層と内部電極層とを交互に積層した積層セラミックコンデンサであって、
    前記セラミック層は、ペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を有し、
    結晶中のTiO八面体が20〜100℃の温度範囲で回転し相転移を起こすことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記セラミック層の誘電正接(tan δ)が1kHz、20〜100℃の温度範囲で0.1%以下である請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記セラミック層の周波数200kHz、電圧値2.0kV負荷で自己発熱温度が10℃以下である請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 前記セラミック層は、(CaSr1−XTi1−yZr2+m(但し、0.3≦X≦0.4、0.995≦m≦1.005、0<y≦0.03で表される基本成分と、
    MnをMnに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
    V、Crの少なくとも一種をV、Crに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
    Y、La、Ce、Nd、Dyから選ばれる少なくとも1種を、Y、La、Ce、Nd、Dyに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
    Si成分を非含有もしくは含有しても0.02mol%以下である請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  6. 前記内部電極層に卑金属を含む請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  7. 前記積層セラミックコンデンサの表面をSiコーティングした請求項1〜6のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
  8. 前記積層セラミックコンデンサの表面を樹脂でコーティングした請求項1〜7のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
  9. Sr化合物と、Ca化合物と、Ti化合物と、Zr化合物を予め混合し、空気中にて1100℃以上で仮焼することにより(CaSr1−XTi1−yZr2+m系のペロブスカイト構造の斜方晶の結晶構造を作製する第1の工程と、
    前記仮焼体を平均粒径が0.3〜1.0μmの範囲に入るように粉砕する第2の工程と、
    Mn化合物と、Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも一種であるA成分を含む化合物と前記仮焼物とを混合し、前記混合物を空気中にて1100℃以上で仮焼する第3の工程と、
    前記仮焼体を平均粒径が0.3〜1.0μmの範囲に入るように粉砕する第4の工程と、
    V化合物、Cr化合物の少なくとも一種と前記仮焼体を混合する第5の工程と、
    前記混合物を成形してセラミック成形層を得る第6の工程と、
    前記セラミック成形層と内部電極層とを積層して積層体を得る第7の工程と、
    前記積層体を還元雰囲気中で焼成すること、さらに、焼成時の降温過程に再酸化工程を実施し、結晶粒子および粒界を絶縁体化し、なおかつ前記粒界にはガラス相などの偏析がないセラミック層を得る第8の工程と、
    前記焼結体に外部電極層を形成する第9の工程とを含み、
    焼成後のセラミック層が、(CaSr1−XTi1−yZr2+m(但し、0.3≦X≦0.4、0.995≦m≦1.005、0<y≦0.03で表される基本成分と、
    MnをMnに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
    V、Crの少なくとも一種をV、Crに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
    Y、La、Ce、Nd、Dyからなる群より選ばれる少なくとも1種をY、La、Ce、Nd、Dyに換算して前記基本成分に対して0mol%を超え0.15mol%以下と、
    Si成分を非含有もしくは0.02mol%以下含有した積層セラミックコンデンサを製造することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
  10. 前記内部電極層が卑金属を含む請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  11. 前記第7の工程の後に、焼結体表面にSiコーティングをする請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  12. 前記第7の工程の後、または、Siコーティングを行った焼結体を樹脂でコーティングする請求項9または11に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  13. 前記セラミック層の誘電正接(tan δ)が1kHz、20〜100℃の温度範囲で0.1%以下である請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  14. 前記セラミック層の周波数200kHz、電圧値2.0kV負荷で自己発熱温度が10℃以下である請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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