JP2004019760A - 静圧軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絞りとしての流体の通路において適宜a、b、Lを決定することで、(1’)式の流量Qを調整できるから、静圧軸受の設計時に、供給される流体の量と、ガイド2の各部寸法とを調整することで、大気開放溝を省略しても、プロセス室Pの雰囲気を損なうことがない静圧軸受を提供できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば真空雰囲気或いは特殊なガス雰囲気などで高精度な位置決めのために用いられる静圧軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置などにおいては、真空雰囲気に維持したプロセス室内で、ワークをテーブルなどの移動部材に載置して移動・回転させることにより、その加工処理や検査などが行われている。ここで、近年においては製造される半導体がより微細化されたことに伴い、プロセス室内の真空度もより高める必要が生じてきている。
【0003】
このようなプロセス室内において、移動部材を移動させる駆動装置を設ける場合、高精度な位置決めが要求される。また、例えば転がり軸受などを用いて移動部材を移動自在に支持しようとすると、潤滑剤などがプロセス室内に飛散したり、転動により発塵が生じたりする恐れがあるため、取り扱いに注意が必要である。そこで、転動体ではなく気体などの流体を用いて、移動部材を支持する静圧軸受が開発されるに至った(特許第2602648号、特許第2587227号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような用途における静圧軸受は、気体等を外部よりポンプなどで供給することにより、移動部材を非接触状態で支持するものであるから、例えばプロセス室内が真空状態であるならば、真空度を損ねないように、静圧軸受に供給された気体を回収するシステムが必要となる。そこで、上述した引用例の静圧軸受においては、静圧軸受に隣接して配置され、プロセス室の外部に連通する大気開放溝と、かかる大気開放溝に隣接して配置され、外部の負圧源に接続された負圧溝とを備えており、静圧軸受からあふれた気体を大気開放溝を介して外部へと流出させ、かつ大気開放溝で回収できなかった気体を、負圧溝で回収するというように2段構えで気体の回収を行うようになっている。
【0005】
しかるに、このように2種類の溝を設けるということは、静圧軸受を設けるハウジングの構成をより大型化し且つ複雑にすると共に、プロセス室外部に至る配管も増えるため、取り扱いが容易でないという問題がある。なお、上記のような問題は、プロセス室が真空雰囲気の場合のみのことではなく、例えば大気中の場合でも軸受からの排出量を規制する必要のある場合にも生じうる。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、より簡素化され且つ低コストな構成を有する静圧軸受を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の静圧軸受は、
第1の部材に対して第2の部材を変位可能に支持する静圧軸受において、
前記第1の部材と前記第2の部材とのいずれかに設けられ、外部の流体供給源に接続された軸受部と、
前記軸受部を囲んで隣接して配置され、更に外部の負圧源に接続された差圧室とを有し、
前記軸受部から漏れ出た流体は、前記差圧室で回収されるようになっており、
前記軸受部と前記差圧室との間は、外部に対して連通していないことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の静圧軸受は、第1の部材(例えばガイド)に対して第2の部材(例えばスライダ)を変位可能に支持する静圧軸受において、前記第1の部材と前記第2の部材とのいずれかに設けられ、外部の流体供給源(例えば正圧ポンプ)に接続された軸受部(例えば凹部又は大径部)と、前記軸受部を囲んで隣接して配置され、更に外部の負圧源(例えば負圧ポンプ)に接続された差圧室とを有し、前記軸受部から漏れ出た流体は、前記差圧室で回収されるようになっており、前記軸受部と前記差圧室との間は、外部に対して連通していないので、前記第1の部材の外部環境を損なうことなく、前記第2の部材を支持することができ、しかも従来技術のごとく、大気に連通する大気開放溝などを設ける必要がないため、構成が簡素化され、装置の小型化及び低コストが図れる。
【0009】
本発明の原理について考察する。図1は、本発明の構成をモデル化して示す図である。図2は、従来技術の構成をモデル化して示す断面図である。図1において、ガイド2上にスライダ1が配置されている。スライダ1の図1で下面中央に軸受部1aが形成されている。軸受部1aは、外部の正圧ポンプに接続されている。又、スライダ1の下面において、軸受部1aを囲むようにして、溝状の第1の差圧室1bが連続して形成され、更に第1の差圧室1bを囲むようにして、溝状の第2の差圧室1cが連続して形成されている。第1の差圧室1bは、外部の第1負圧ポンプに接続され、第2の差圧室1cは、外部の第2負圧ポンプに接続されている。尚、本発明にかかる図1の構成においては、軸受部1aと第1差圧室1bとの間(隔壁1e)が外部に連通しておらず閉鎖空間となっているのに対し、従来技術にかかる図2の構成においては、軸受部1aと第1差圧室1bとの間が大気開放溝1dを介して外部に開放されている点のみが異なっている。
【0010】
図1,2の構成において、正圧ポンプより軸受部1a内に流体(例えば気体)が供給されることにより、軸受部1aとガイド2との対向面の間の部分内の圧力が高まり、それによりスライダ1をガイド2に対して浮上させ、非接触状態で支持することができる。スライダ1は、不図示の駆動装置によって矢印方向(又はそれに直交する方向)に移動可能となっている。なお、スライダ1を移動部とした場合で論じているが、逆にガイド2を移動部とする場合でも同様に適用可能である。あるいは、移動可能とする代わりに回転変位可能とする場合にも適用できる。
【0011】
ここで、ガイド2に対してスライダ1が非接触状態で支持されるということは、ガイド2とスライダ1との間に隙間が存在することを意味するため、軸受部1a内に供給された流体は、かかる隙間を通過して周囲に漏れ出ることになる。例えば、上記のような静圧軸受が、内部を真空の雰囲気に維持されたプロセス室PとしたチャンバC内に設けられている場合、かかる流体が、プロセス室Pに侵入することで、その雰囲気を損ねる恐れがある。そこで、図2にかかる従来技術の場合、軸受部1aから漏れ出た流体を、まず大気開放溝1dで捕捉してチャンバCの外部へと流出させ、更に捕捉しきれなかった流体を、差圧室1bで捕捉して、チャンバCの外部へと強制的に吸引することで、プロセス室P内の雰囲気を保護している。
【0012】
これに対し、図1にかかる本発明の場合は、大気開放溝1d(図2)を省略することで、スライダ1の構成を簡素化し、配管の数も減らせるので、低コスト化が図れ、しかもスライダ1の小型化を図れる。但し、単に大気開放溝を省略したのみでは、漏れ出た全ての流体を第1負圧ポンプで回収しなくてはならず、その容量の増大が不可欠となるため、その分のコスト増を招く。そこで、軸受部1aから漏れ出る流体の量を制御することを考える。本発明者らは、鋭意研究の結果、流体の洩れ量を適切に制御することにより、小型化が図れると同時にシール性能も高くすることができる静圧軸受のより好ましい技術形態を発明した。かかる静圧軸受について説明する。
【0013】
上述した静圧軸受において、軸受の消費流量を所定量(例えば後述するQ)に制限する。まず、求めるべきは、図2に示すモデルにおける大気開放溝1dから差圧室1bへと漏れ出る気体の量である。
【0014】
図3は、平行平板間を高圧側から低圧側へ流体が流れる通路をモデル化した図である。図3においては、図示していないが、通路の上面は不図示のスライダによって遮蔽されており、すなわち通路は矩形断面を有するものである。ここで、通路の高さ(微小なすきまの大きさ)をa、幅をb、長さをLとしたときに、通路を流れる流体を粘性流であるとし、2次元ポアズイユ流れと考えたとき、その流量Qは、
Q=a3b(Po2−Ph2)/(12μL)[Pa・m3/s] (1)
で表せる。尚、Poは高圧側の圧力(大気圧)であり、Phは差圧室側の圧力(真空に近い圧力)であり、μは流体の粘度(空気の場合、20℃で1.82×10−5 [Pa・s])であるが、図2の静圧気体軸受へ適用する場合、差圧室1bの圧力は十分に小さいので、Po2>>Ph2であるから、Po2−Ph2≒Po2とおくことができ、従って(1)式は以下のようになる。
Q=a3b・Po2/(12μL)[Pa・m3/s] (1’)
【0015】
ここで、Po、μについては定数であるから、図3のモデルにおけるQは、a、b、Lを変数として一義的に決定される。なお、上記(1)式あるいは(1’)式は、図3のモデルの場合であり、図2のような同心円状等のように通路の形状が変化すると厳密にはQを求める式も変化する。しかし、近似的に上記(1)式、または(1’)を適用すれば問題ない。ここで、定常状態では、軸受部1aから排出される気体の流量(軸受消費流量)を、(1’)式の流量Qより低く抑えれば、大気開放溝を省略しても、高いシール性能を得ることができ、好ましい。これを言い換えると、適宜シール部のa、b、Lを決定することで、(1’)式の流量Qが決定されるから、静圧軸受の設計時に、軸受消費流量を前記(1’)式で求められる流量Q以下となるようにすることができ、その場合、大気開放溝を省略し、差圧室1b、1cの2段のみとしても、プロセス室Pの雰囲気を損なうことがなく、かつ、コンパクトな構成の静圧軸受を提供できるのである。軸受消費流量の調整の仕方としては、大別して流体供給源であるポンプからの流量を抑制する方法と、差圧室へ至る軸受部等の諸元を見直す方法がある。後者としては、軸受部として絞り効果の高い多孔質絞りの場合であれば、軸受絞りの諸元(目づまり量等)、自成絞り等の絞り効果の比較的低いものの場合であれば、軸受ランド部の形状(幅、長さ)及びすきまの大きさの調整により行うものがある。
【0016】
更に、前記軸受部は多孔質材料から形成されていると、均一な圧力分布をつくりやすく、同一の流量で他の方式の静圧軸受に比べ、損失も少ない。さらに流量の少ない絞りがつくりやすく、すきまを小さく、少ない流量で高い剛性を得ることができ、よりコンパクトな構成が提供される。また、この場合、軸受部1aと差圧室1bとの間の部分のガイド2とのすき間は大きくしても良くなる。
【0017】
更に、前記ハウジングの外部は、前記流体が漏れ出ることによって損なわれる雰囲気内に維持されていると、本発明の静圧軸受の作用効果をより発揮できるので好ましい。尚、「流体が漏れ出ることによって損なわれる環境」とは、前記流体が空気である場合、空気が流入することによって、真空度が損なわれる真空雰囲気や、ガスの濃度が薄まる特殊ガス雰囲気をいうが、それらに限られない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。図4(a)は、第1の実施の形態にかかる静圧軸受の断面図であり、図4(b)は、図4(a)の構成をIVB−IVB線で切断して矢印方向に見た図であり、図5は、第1の実施の形態に対応する比較例にかかる静圧軸受の断面図であり、図5(a)の構成をVB−VB線で切断して矢印方向に見た図である。図4に示す静圧軸受は、図1に示す構成と細部が若干異なっているが、基本的にほぼ同様な構成である。図5においても同様である。
【0019】
図4(a)において、チャンバC内のプロセス室Pは、真空の雰囲気に維持されている。チャンバC内には、ガイド12上をスライド可能にスライダ(ハウジング)11が設置されている。ハウジング11の図4(a)で下面中央に円筒状の凹部11aが形成されている。内部が供給室になる凹部11aには、グラファイトやセラミックなどの多孔質材料から形成され軸受部を構成する多孔質材13がボルトBにより取り付けられている。多孔質材13は凹部11aに接着されていてもよいし、あるいは圧入されてもよい。多孔質材13の図4(a)で上面には、リング状の溝13a(多孔質材13の固定がボルトによらない場合、円筒状の溝でもよい。)が形成されている。すなわち、凹部11aと多孔質材13との間には、環状空間が形成されている。この環状空間は、配管部14を介して、チャンバC外部の正圧ポンプP1に接続されている。なお、多孔質材13の外形d0とボルトBのための座ぐり穴内径d1との比d1/d0を0.2〜0.6に規制し、動剛性に優れ、軸受負荷容量をあまり犠牲にすることなく、軸受消費流量を抑制するようにしている。
【0020】
又、ハウジング11の図4(a)で下面において、凹部11aを囲むようにして、溝状の第1の差圧室11bが連続して形成され、更に第1の差圧室11bを囲むようにして、溝状の第2の差圧室11cが連続して形成されている(図4(b)参照)。第1の差圧室11bは、配管部15を介して、チャンバC外部の第1負圧ポンプP2に接続され、第2の差圧室11cは、配管部16を介して、チャンバC外部の第2負圧ポンプP3に接続されている。尚、比較例にかかる図5の静圧軸受が異なる点は、図1の静圧軸受に対して、凹部11aと第1差圧室1bとの間に、連続して延在する大気開放溝11dを形成し、配管部17を介してチャンバCの外部に大気開放している点のみである。
【0021】
図4,5の構成において、正圧ポンプP1より凹部11a内に空気が圧送され、溝13aに沿って全周に行き渡り、多孔質材13の内部を通過して下面にいたり、ここに均一な静圧を形成するため、それによりスライダ11をガイド12に対して離隔させ、非接触状態で支持することができる。スライダ11は、不図示の駆動装置によって例えば矢印方向に移動可能となっている。
【0022】
上記のようなスライダ11のユニットを直線案内機構に使用する場合、例えば、後述の図8(a)のように、角柱状のガイド部材を囲むように所定のすきまを介してスライダとしてのハウジングを設け、ハウジングのガイド部材と対向する4つの面のそれぞれにスライダ11を設けるようにするなどが考えられる。また、1つのユニットでの静圧軸受の反発力と、差圧室での吸引力とのつり合いを調整することにより、対向しない2面のみで構成するようなスライダとすることもできる。この場合に本発明を適用すれば、小型、軽量化のみならず、小さな容量のポンプで必要な真空度を得ることも可能となる。
【0023】
ここで、大気開放溝11dの外径をφ60mm、大気開放溝11dと差圧室11bとの隔壁の半径方向幅を5mmとしたときに、上記(1’)式に基づいて、図5の構成で、大気開放される空気の漏れ量Qを計算(従ってb=60πmm、L=5mmとして計算)すると、大気開放溝11dと差圧室11bとの間の隔壁とガイド12との隙間を10μmとした場合、およそQ=0.90[Pa・m3/s]となる。そこで、図4の構成においては、多孔質材13による絞りの調整、または正圧ポンプP1から凹部11aへの供給量の調整により、軸受消費流量を0.90[Pa・m3/s]以下とすることで、図5に示す大気開放溝11dを省略でき、よりシール性能が向上する。なお隔壁11eは軸受ランド部を構成するもので、軸受面や他の隔壁と面一としておいるが、必ずしもそうでなくてもよく、凹ませる(ガイドとのすきまを大きくする)ようにしてもよい。
【0024】
例えば直線案内機構の場合、スライダが小さくなれば、スライダの重量が軽減され且つ小型化が図れれば、案内ガイドの長さも短くなる。特に、案内ガイドの両端を固定し、その間をスライダが移動するタイプの場合、案内ガイドの支持スパンも短くなるため、スライダ自体の軽量化も相俟って、その案内精度(上下方向真直度、耐ピッチング性等)を向上させることができる。
【0025】
又、静圧軸受の吐出面には、多孔質絞り、表面絞り、オリフィス絞り、自成絞り等が設けられるが、多孔質絞りの漏れ抵抗を1とした場合、一般的には表面絞りの漏れ抵抗は2〜3、オリフィス絞りの漏れ抵抗は5〜15、自成絞りの漏れ抵抗は10〜30であるので、高いシール性能を得るためには、多孔質絞りが最も好ましいが、上述した条件を満たす限り、他の絞りも用いることができる。また、多孔質材料はグラファイトやセラミックスに限らず、焼結金属等、他のものでもよい。なお、軸受ランド部の形状の変化や、軸受ランド部とガイドとのすきまの大きさの変化が軸受消費流量の変化に及ぼす影響は、漏れ抵抗の小さな(絞り効果の大きな)方式のものの場合は小さく、漏れ抵抗の大きな(絞り効果の小さな)方式のものの場合は大きい。従って、静圧軸受の形状見直しによる軸受消費流量の変化は、例えば多孔質絞りの場合では、実質的に軸受部の絞りの調整のみでほぼ決まり、例えば自成絞りの場合は、ランド部の形状やランド部とガイドとのすきまの大きさの調整の影響が大きい。
【0026】
図6は、第2の実施の形態にかかる静圧軸受の図4(b)と同様な断面図である。図6において、図4の多孔質材13と同様な構成の2つの多孔質材23が、それぞれボルトBによりハウジング21に固定されている。各多孔質材23の背後に配置された配管部(不図示)を介して外部の正圧ポンプ(不図示)より空気の供給を受けている。このようなユニットを例えば直線案内装置に適用する場合は、第1の実施の形態で述べたのと同様なものがあげられる。
【0027】
多孔質材23を含むようにして、多孔質材23の表面(軸受面)や隔壁21f、21gと面一のランド部21eが形成され、更にランド部21eを挟んでその外側にトラック溝状の差圧室21bが形成されている。なお、ランド部21eに関しては、必ずしも軸受面や隔壁21f、21gと面一でなく、凹ませるようにしてもよい。又差圧室21bに対し、隔壁21fを挟んでその外側にトラック溝状の差圧室21cが形成されている。更に、差圧室21cに対し、隔壁21gを挟んでその外側は、真空雰囲気に維持されたプロセス室Pとなっている。差圧室21bは、間隔をあけて配置された配管部25を介して、外部の負圧ポンプ(不図示)に接続され、差圧室21cは、間隔をあけて配置された配管部26を介して、外部の負圧ポンプ(不図示)に接続されている。
【0028】
本実施の形態において、差圧室21bを大気開放溝と仮定し、隔壁21fの周長を288mm、幅5mmとしたときに、(1’)式により、大気開放溝から漏れ出る空気の量を計算すると、不図示のスライダとの隙間が10μmのとき、およそ1.38[Pa・m3/s]となり、かかる隙間が5μmの時、およそ0.17[Pa・m3/s]となる。従って、軸受消費流量が隙間の大きさに応じた流量の計算値を超えないように、多孔質材の絞りを調整するか、あるいは正圧ポンプからの気体供給量を調整すればよい。また、第1の実施の形態の場合と同様、静圧軸受として例えば自成絞り式等を採用する場合、軸受消費流量調整の方法として、軸受ランド部21eの形状や、軸受ランド部21eと案内ガイドとの隙間の大きさの変更などもあげられる。
【0029】
図7は、第3の実施の形態にかかる静圧軸受の下面図(図4(b)と同様な方向から見た図)である。図7において、図4の多孔質材13と同様な構成の4つの多孔質材33が、等間隔にそれぞれボルトBによりハウジング31に固定されている。各多孔質材33の背後に配置された配管部(不図示)を介して外部の正圧ポンプ(不図示)より空気の供給を受けている。このようなユニットを例えば直線案内装置に適用する場合は、第1の実施の形態で述べたのと同様なものがあげられる。
【0030】
多孔質材33を含むようにして、多孔質材33の表面(軸受面)や隔壁31f、31gと面一のランド部31eが形成され、更にランド部31eを挟んでその外側にトラック溝状の差圧室31bが形成されている。なお、ランド部31eに関しては必ずしも軸受面や隔壁31f、31gと面一でなく、凹ませるようにしてもよい。又差圧室31bに対し、隔壁31fを挟んでその外側にトラック溝状の差圧室31cが形成されている。更に、差圧室31cに対し、隔壁31gを挟んでその外側は真空雰囲気に維持されたプロセス室Pとなっている。差圧室31bは、間隔をあけて配置された配管部35を介して、外部の負圧ポンプ(不図示)に接続され、差圧室31cは、間隔をあけて配置された配管部36を介して、外部の負圧ポンプ(不図示)に接続されている。
【0031】
本実施の形態において、差圧室31bを大気開放溝と仮定し、隔壁31fの周長を488mm、幅5mmとしたときに、(1’)式により、大気開放溝から漏れ出る空気の量を計算すると、不図示のスライダとの隙間が10μmのとき、およそ2.34[Pa・m3/s]となり、かかる隙間が5μmの時、およそ0.29[Pa・m3/s]となる。従って、軸受消費流量が、隙間の大きさに応じた流量の計算値を超えないように多孔質材の絞りを調整するか、あるいは正圧ポンプからの気体供給量を調整すればよい。また、第1の実施の形態の場合と同様、静圧軸受として例えば自成絞り式等を採用する場合、軸受消費流量調整の方法として、軸受ランド部31eの形状や、軸受ランド部31eと案内ガイドとの隙間の大きさの変更などもあげられる。
【0032】
図8は、第4の実施の形態にかかる静圧軸受を示す図であり、図8(a)は、かかる静圧軸受の斜視図であり(配管部は図示省略)、図8(b)は、図8(a)の構成をVIIIB−VIIIB線で切断して矢印方向に見た図であり、図8(c)は、図8(b)の構成をVIIIC−VIIIC線で上下に切断して矢印方向に見たときにガイド42と対向する部分を示す図である。図8に示す静圧軸受は、角柱状のガイド42の各面に対向するように、スライダ41の各面に、図8(b)、(c)の静圧軸受を配置してなるものである。各静圧軸受の構成は基本的に共通であるので、一つの静圧軸受のみを説明し、その他の静圧軸受に関しては説明を省略する。
【0033】
図8において、ハウジング(スライダ)41外部のプロセス室Pは、真空の雰囲気に維持されている。ガイド42を上下左右に挟むようにしてハウジング41が設置されている。ハウジング41の図8(b)で下面の2ヶ所に円筒状の凹部41aが形成されている。凹部41aには、グラファイトやセラミックなどの多孔質材料から形成され軸受部を構成する多孔質材43がボルトBにより取り付けられている。多孔質材43は凹部41aに接着あるいは圧入されていてもよい。多孔質材43の図8(b)で上面には、リング状の溝43aが形成されている。すなわち、凹部41aと多孔質材43との間には、環状空間が形成されている。この環状空間は、配管部44を介して、不図示のチャンバ外部の正圧ポンプP1に接続されている。
【0034】
又、ハウジング41の図8(b)で下面において、多孔質材43を囲むようにして、トラック溝状の第1の差圧室41bが形成され、更に第1の差圧室41bを囲むようにして、トラック溝状の第2の差圧室41cが形成されている(図8(c)参照)。第1の差圧室41bは、配管部45を介して、不図示のチャンバ外部の第1負圧ポンプP2に接続され、第2の差圧室41cは、配管部46を介して、不図示のチャンバ外部の第2負圧ポンプP3に接続されている。
【0035】
図8の構成において、正圧ポンプP1より凹部41a内に空気が圧送され、溝43aに沿って全周に行き渡り、多孔質材43の内部を通過して下面にいたり、ここに均一な静圧を形成する。すなわち、スライダ41を上下左右の静圧軸受によりガイド42に対して離隔させ、非接触状態で支持することができる。スライダ41は、不図示の駆動装置によって矢印方向に移動可能となっている。
【0036】
図6の実施の形態に対し、最外周の隔壁41gの面積が広いため、すきまの大きさ等、他の条件が同じなら、よりシール効果も高められる。
【0037】
図9は、第4の実施の形態の変形例を示す図8(a)と同様な図である。本変形例においては、第4の実施の形態に対して、2つの多孔質材41の構成・配置や、配管部45,46の位置は同じであるが、差圧室51b、51cの形状が異なり、図9の方向に見て略矩形状となっている。それにより軸受ランド部51eの面積を大きくでき、すなわち軸受負荷容量を高められる。
【0038】
図10は、第5の実施の形態にかかる静圧軸受の断面図である。図10において、スライダを構成するハウジング61外部のプロセス室Pは、真空の雰囲気に維持されている。ハウジング61の円形開口61h内に、丸軸状のガイド62が配置されている。ハウジング61の開口61hにおける中央に大径部61aが形成されている。大径部61aには、グラファイトやセラミックなどの多孔質材料から形成される円筒状の多孔質材63が接着されている。なお、圧入あるいはボルトによる固定等でもよい。多孔質材63の外周面には、薄い円筒状の溝63aが形成されている。すなわち、大径部61aと多孔質材63との間には、環状空間が形成されている。この環状空間は、配管部64を介して、不図示のチャンバ外部の正圧ポンプP1に接続されている。
【0039】
又、ハウジング61の円形開口61hにおいて、隔壁61eを挟んでその外側に周溝状の差圧室61bが形成されている。又差圧室61bに対し、隔壁61fを挟んでその外側に周溝状の差圧室61cが形成されている。更に、差圧室61cに対し、隔壁61gを挟んでその外側は真空雰囲気に維持されたプロセス室Pとなっている。差圧室61bは、配管部65を介して外部の負圧ポンプP2に接続され、差圧室61cは、配置された配管部66を介して外部の負圧ポンプP3に接続されている。
【0040】
図10の構成において、正圧ポンプP1より大径部61a内に空気が圧送され、溝63aに沿って全周に行き渡り、多孔質材63の内部を通過して内周面にいたり、ここに均一な静圧を形成する。すなわち、ガイド62の外周面を多孔質材63の内周面に対して離隔させ、非接触状態で支持することができる。ハウジング61は、不図示の駆動装置によって軸線方向に移動可能となっている。
【0041】
本実施の形態において、両側にある差圧室61bを大気開放溝と仮定し、ガイド62の外径を40mm、隔壁61fの幅を5mmとしたときに、(1’)式により、大気開放溝から漏れ出る空気の量を計算すると、不図示のスライダとの隙間が10μmのとき、1.21[Pa・m3/s]となり、かかる隙間が5μmの時、0.15[Pa・m3/s]となる。従って、隙間の大きさに応じて計算された流量を超えないように、大径部61aに供給する空気の量を適宜調整すればよい。或いは、多孔質材63の絞りを調整しても良い。さらに、例えば静圧軸受として自成絞り等を採用する場合、軸受消費流量調整の方法として、軸受ランド部61eの形状や、軸受ランド部61eと案内ガイドとの隙間の大きさの変更などもあげられる。なお、第5の実施の形態では丸軸状のガイドと円筒状のスライダとの組み合わせで構成し、スライダ内周面に周溝状の差圧室を設ける場合を示したが、図8(a)のような角柱状のガイドの場合にしても差圧室を周溝状に設けるような構成とすることもできる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、上述した実施の形態では、差圧室を大気開放と仮定した場合の外方へと漏れ出る空気の量に対して、静圧軸受に供給する空気の量を小さくすることによりシール性能の向上を図るようにしたが、負圧ポンプの性能や要求されるシール性能との兼ね合いになるが、上記漏れ出る空気の量が、静圧軸受に供給する空気の量より若干大きくなるようにしても良い場合もある。また、本発明は、大気圧中で用いられる場合でも、用いることができる。例えば、静圧軸受の反発力と差圧室の吸引力とのバランスを図るような使い方をする場合に、大気開放溝を省略することにより、装置の小型、軽量化を図ることが可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の静圧軸受は、第1の部材(例えばガイド)に対して第2の部材(例えばスライダ)を変位可能に支持する静圧軸受において、前記第1の部材と前記第2の部材とのいずれかに設けられ、外部の流体供給源(例えば正圧ポンプ)に接続された軸受部(例えば凹部又は大径部)と、前記軸受部を囲んで隣接して配置され、更に外部の負圧源(例えば負圧ポンプ)に接続された差圧室とを有し、前記軸受部から漏れ出た流体は、前記差圧室で回収されるようになっており、前記軸受部と前記差圧室との間は、外部に対して連通していないので、前記第1の部材の外部環境を損なうことなく、前記第2の部材を支持することができ、しかも従来技術のごとく、大気に連通する大気開放溝などを設ける必要がないため、構成が簡素化され、装置の小型化及び低コストが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成をモデル化して示す図である。
【図2】従来技術の構成をモデル化して示す断面図である。
【図3】大気開放溝から漏れ出る流体の通路をモデル化して示す図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる静圧軸受を示す図である。
【図5】第1の実施の形態に対応する比較例にかかる静圧軸受を示す図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる静圧軸受の断面図である。
【図7】第3の実施の形態にかかる静圧軸受の断面図である。
【図8】第4の実施の形態にかかる静圧軸受を示す図である。
【図9】第4の実施の形態の変形例にかかる静圧軸受を示す図である。
【図10】第5の実施の形態にかかる静圧軸受を示す図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41,51,61 スライダ
2、12,22,32,42,52,62 ガイド(ハウジング)
3,13,23,33,43,53,63 多孔質材
Claims (5)
- 第1の部材に対して第2の部材を変位可能に非接触に支持する静圧軸受において、
前記第1の部材と前記第2の部材とのいずれかに設けられ、外部の流体供給源に接続された軸受部と、
前記軸受部を囲んで隣接して配置され、更に外部の負圧源に接続された差圧室とを有し、
前記軸受部から漏れ出た流体は、前記差圧室で回収されるようになっており、前記軸受部と前記差圧室との間は、外部に対して連通していないことを特徴とする静圧軸受。 - 前記流体は気体であることを特徴とする請求項1に記載の静圧軸受。
- 前記静圧軸受は密閉空間内に設けられ、前記流体供給源及び前記負圧源は、前記密閉空間の外部に設けられてなる請求項1または2に記載の静圧軸受。
- 前記軸受部の軸受消費流量を、前記流体を粘性流とし、且つ前記差圧室が大気開放されていると仮定した場合の該差圧室から外方に位置する他の差圧室への漏れ込み流量以下に規制していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静圧軸受。
- 前記軸受部は多孔質材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静圧軸受。
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2002
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