JP2004014285A - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機EL素子の水分に起因するダークスポットの発生を抑制するために、セル構成部材を透水する水分を捕集するとともに、その透水を防止すること。
【解決手段】陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物とが2枚の基板で狭持されている構成により、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【選択図】 図1
【解決手段】陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物とが2枚の基板で狭持されている構成により、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、TVやコンピュータ画像を表示するフラットパネルディスプレイに用いられる有機EL表示素子内部の乾燥方法および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機EL素子は水分に起因するダークスポットの発生を抑制するために、セル内部に封入され、さらにそのセル構成部材を透水する水分を捕集するために
セル内部に乾燥材粉末を充填していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、乾燥剤が飽和吸水した場合には、当然のことながらダークスポットの発生を抑制することができないし、また構成部材の透水を防止することもできない。したがって、有機EL素子の使用環境や使用時間によって、乾燥剤を増量する必要があり、そのために素子の厚みが増大した。さらにこれら構成では、乾燥材が基板上に設けられた積層体を覆うため、積層体上面から有機ELの発光を高効率で取り出すことが困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれらの課題を解決するものであり、上記の課題を解決するための有機EL素子は、陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物とが2枚の基板で狭持されている構成をもつ。
【0005】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物とが2枚の基板で狭持されている構成により、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。また、この加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物は無色透明であるため積層体上面から有機ELの発光を高効率で取り出すことが容易である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、特に請求項1に記載の加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物が常温で気体または揮発性液体することにより、シランもしくはシロキサン蒸気が、透水部分(ピンホール等)まで拡散し、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で確実に吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)がその部分を確実に塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【0007】
次に、請求項3に記載の発明は、陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物の溶液とが2枚の基板で狭持されている構成により、シランもしくはシロキサン溶液に満たされるため、透水部分(ピンホール等)まで拡散でき、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)がその部分を確実に塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のシランもしくはシロキサン化合物溶液の溶媒が無水溶媒にすることにより、シランもしくはシロキサン化合物が溶液中で水和することがないので、長期にわたりセル内部への透水を防ぐ機能を果たす。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の無水溶媒がフルオロ炭化水素にすることにより、セル内部の有機EL素子が溶媒によってダメージを受けることなく、長期にわたりセル内部への透水を防ぐ機能を果たす。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシランもしくはシロキサンがそれぞれクロロシラン、イソシアネートシランもしくはクロロシロキサン、イソシアネートシロキサンにすることにより、これらのシランもしくはシロキサンと水との反応性が非常に高いため、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で完全に吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)がその部分を完全にに塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシランもしくはシロキサン化合物、もしくはシランもしくはシロキサン化合物の溶液が表示領域外に狭持されていることにより、画素の部分にはシランもしくはシロキサン化合物の溶液が充填しないので、溶液による有機EL素子とダメージを防ぐだけでなく、屈折率の変動による有機EL素子の発光の変色、視野変動を防ぐ。
【0012】
次に、請求項8に記載の発明は陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体を形成する工程と、前記積層体と加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板に狭持する工程とを有する製造方法により、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。また、この加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物は無色透明であるため積層体上面から有機ELの発光を高効率で取り出すことできる有機EL素子を製造できる。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の積層体と加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板に狭持する工程が、真空中で行われる製造方法により、シランもしくはシロキサン化合物もしくはそれらの溶液と一緒に水分が狭持されることがないので、これらの化合物が水分で失活することがない。したがって、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の積層体を2枚の基板に狭持する工程が、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物のガス中で行われる製造方法により、積層体を2枚の基板に狭持すると同時に加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物のガスを狭持できるので、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を簡便に製造できる。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体を形成する工程と、前記積層体をギャップを保持し、かつ1カ所以上の開口部を設けて狭持する工程と、その開口部より加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちの少なくとも1つを注入する工程とを有する製造方法により、有機EL素子の空セル作製、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物もしくはそれらの溶液を注入といった、液晶表示素子のセル工程と類似した工程なため、液晶表示素子の工程をそのまま利用可能であるメリットを有する。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の開口部より加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちの少なくとも1つを注入する工程が、ギャップを真空にする工程と、真空中で開口部をシラン、シロキサン化合物またはそれらの溶液の少なくとも1つに浸漬させる工程と、真空を無水雰囲気にする工程と、開口部を封口する工程とを有する製造方法により、ギャップ空間内が水分の混入がなく完全シランもしくはシロキサン化合物もしくはそれらの溶液に満たされるため、これらの化合物が水分で失活することがない。したがって、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の開口部より加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物のガスを注入する工程が、ギャップを真空にする工程と、真空をシランまたはシロキサン化合物のガス雰囲気にする工程と、開口部を封口する工程とを有する製造方法により、ギャップ空間内が水分の混入がなく完全シランもしくはシロキサン化合物ガスで満たされるため、これらの化合物が水分で失活することがない。したがって、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。また、ガスを注入するためシランもしくはシロキサン化合物の注入時間が早く、工程時間を短縮できる。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13のいずれか1項にに記載の積層体と、シラン、シロキサン化合物、シランまたはシロキサン化合物の溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板で狭持する工程が、シラン、シロキサン化合物、シランまたはシロキサン化合物の溶液のいずれか1つを表示領域外に狭持する工程を有する製造方法により、画素の部分にはシランもしくはシロキサン化合物の溶液が充填しないので、溶液による有機EL素子とダメージを防ぐだけでなく、屈折率の変動による発光の変色、視野変動を防ぐ有機EL素子を製造できる。
【0019】
なお、本発明に使用される、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物としては、一般式X−(SiOX2)n−SiX3(ただしXはハロゲン、およびイソシアネート基、nは0以上の整数)で示される直鎖状化合物が水との反応活性が高く、有効である。特に、Xがクロル基、およびイソシアネート基の場合は水との反応活性がより高く、特に有効である。
【0020】
上記化合物を以下に例示すると
(1)SiX4(n=0に相当)
(2)SiX3−O−SiX3(n=1に相当)
さらに具体的な化合物としては
(3)SiCl4
(4)SiCl3−O−SiCl3
(5)Si(NCO)4
(6)Si(NCO)3−O−Si(NCO)3
が挙げられる。
【0021】
また、Siの代わりにV、Tiでも同様な作用が認められる。この化合物を例示すると、
(7)TiCl4
(8)TiCl3−O−TiCl3
(9)VCl3
(10)VCl2−O−VCl2
これらの化合物は揮発性が高く、本発明では液体だけでなく、ガスとして封入も可能である。
【0022】
また、一般式SiYpX4−pで示されるシラン化合物も有効である。但し、pは1〜3の整数、また、Yは、水素、アルキル基、アルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基である。特に、ピンホールを塞ぐ立場から、p=1のものが優れている。また、透水を防ぐには含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基が有効である具体的には、
(11)CH3(CH2)9−SiCl3
(12)CF3(CF2)7−(CH2)2−SiCl3
(13)CH3(CH2)9−O−SiCl3
(14)CF3(CF2)7−(CH2)2−O−SiCl3
また、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物を希釈してもよく、その溶媒としては、活性水素を含まない非水系溶媒を用いるのが好ましく、水を含まない炭化水素系溶媒、シリコーン系溶媒、フルオロ炭化水素系溶媒などを用いることが可能である。なお、具体的に使用可能なものは、炭化水素系溶媒では石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、シリコーン系溶媒ではジメチルミリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシリコーンなどを挙げることができる。
【0023】
また、フルオロ炭化水素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)などがある。なお、これらは1種単独で用いてもよいし、よく混合するものなら2種以上を組み合わせてもよい。特にフルオロ炭化水素系溶媒においては含水率がきわめて低いこと、電気絶縁性に優れていることから、本発明の有機EL素子にはきわめて有効である。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
本発明の有機EL素子の1つの実施例を図1を用いて説明する。ガラスの基板上1上に透明の陽極2が形成されている。この陽極2上に有機化合物層3があり、さらにその上に鏡面の陰極4が形成されている。こうしてガラスの基板1上に積層体5が形成される。
【0025】
つぎに、窒素雰囲気中でヘキサクロロジシロキサン6を凹状キャップガラスの基板7の窪み部分に満たして封入し基板7の縁にはシール材が設けて貼り合わせ、これを光硬化させて、発光が積層体の下面より取り出される有機EL素子Aが作製される。
【0026】
(比較例1)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに、従来行われていた、500℃で1時間焼成したゼオライト(東ソ製ゼオラムA−4 細孔径0.4nm)粉末を封入したこと以外は有機EL素子Aと同様に図2に示す有機EL素子R1を作製した。
【0027】
また、ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに、雰囲気窒素を封入した以外は有機EL素子Aと同様に有機EL素子R2を作製した。
【0028】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,R1,R2の初期のダークスポットを観察した。いずれの素子も初期ダークスポット10μmであった。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表1)に示す。
【0029】
【表1】
本発明の有機EL素子Aは全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0030】
(実施例2)
有機EL素子の積層体をその上面から発光を取り出す構造にした実施例を図3を用いて説明する。ガラスの基板上1上に鏡面の陰極4が形成されている。この陰極4上に有機化合物層3があり、さらにその上に透明の陽極2が形成されている。こうしてガラスの基板1上に積層体5が形成される。
【0031】
つぎに、窒素雰囲気中でヘキサクロロジシロキサン6を凹状キャップガラスの基板7の窪み部分に満たして封入し基板7の縁にはシール材が設けて貼り合わせ、これを光硬化させて、発光が積層体の上面より取り出される有機EL素子Bが作製される。またヘキサクロロジシロキサン6の代わりにテトラクロロシランを使用し、50μl封入したこと以外は、有機EL素子Bと同じように有機EL素子Cを作製した。
【0032】
(封止性能と発光特性の比較)
有機EL素子A,B、Cの初期のダークスポットを観察した。素子Cは封入したテトラクロロシランが蒸発してことが確認された。また初期ダークスポットは3つの素子とも10μmであった。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表2)に示す。
【0033】
【表2】
本発明の有機EL素子A、B、Cは全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0034】
次に素子A、B、Cについて同じ電流(密度)を加え、輝度を測定したところCはAの輝度が1.5倍向上することがわかった。また、BはAに比べて輝度が1.2倍向上することがわかった。ただしBの輝度がさほど向上しないのは、積層体の発光部にヘキサクロロシロキサンが接しているため、その液層内に発光が閉じこめられたためである。
【0035】
なお、ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに、従来行われていた、500℃で1時間焼成したゼオライト粉末を封入すると、その発光がゼオライトに遮蔽されることは明らかである。
【0036】
したがって、光取り出し向上の観点からも本発明が優れていることが明らかである。
【0037】
(実施例3)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに1%ヘキサクロロジシロキサンのパーフルオロオクタン溶液を使用したこと以外は、有機EL素子Aと同じように有機EL素子Dを作製した。
【0038】
(比較例2)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに1%ヘキサクロロジシロキサンのエタノール(0.5%水含有)溶液を使用したこと以外は、有機EL素子Aと同じように有機EL素子R3を作製した。
【0039】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,D、R3の初期のダークスポットを観察した。初期ダークスポットはAとD素子とも10μm、R3は60μmであった。次にこの2つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表3)に示す。
【0040】
【表3】
本発明の有機EL素子A、Dは全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0041】
一方、含水溶媒で作製された有機EL素子は初期ダークスポットが大きく、また成長が認められる。これは、ヘキサクロロジシロキサンがエタノールに含まれる水と反応したためと考えられる。さらに画素部を顕微鏡観察すると、積層部がエタノールに侵されていることがわかった。
【0042】
したがって、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物の溶媒として非水溶媒を使用することで、本発明の効果が発揮されることがわかった。さらに、積層部が侵されないためには、フルオロ炭化水素が好ましいことがわかった。
【0043】
(実施例4)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりにヘキサイソシアネートジシロキサンのを使用したこと以外は、有機EL素子Aと同じように有機EL素子Fを作製した。
【0044】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,Eの初期のダークスポットを観察した。いずれの素子も初期ダークスポット10μmであった。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表4)に示す。
【0045】
【表4】
本発明の有機EL素子A、Eは全くダークスポットの成長が認められない。これは、イソシアネートシロキサンもクロロシラン同様に吸水によって加水分解してシリカライクな化合物を生成して透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0046】
(実施例5)
シール材の1カ所に開口部を設けること、ヘキサクロロジシロキサンを満たさないこと以外は、有機EL素子Aと同様に有機EL素子セルを作製した。これを真空の容器内で開口部をヘキサクロロジシロキサンに浸漬させ、その後真空を無水雰囲気にして開口部よりヘキサクロロジシロキサンを注入後、開口部をシール材で封口し、これを光硬化させて有機EL素子Fを作製した。
【0047】
(実施例6)
シール材の1カ所に開口部を設けること、ヘキサクロロジシロキサンを満たさないこと以外は、有機EL素子Aと同様に有機EL素子セルを作製した。これを真空の容器中に放置後、容器内にテトラクロロシラン蒸気を導入して、開口部よりテトラクロロシラン蒸気を注入後、開口部をシール材で封口し、これを光硬化させて有機EL素子Gを作製した。
【0048】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,F,Gの初期のダークスポットを観察した。F,Gの素子の初期ダークスポットは認められなかった。これは真空中でテトラクロロシランもしくはヘキサクロロジシロキサンを注入したために、初期水分によるダークスポットの発生を防いだためである。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表5)に示す。
【0049】
【表5】
本発明の有機EL素子A、F、Gは全くダークスポットの成長が認められない。これは、加水分解してシリカライクな化合物を生成して透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0050】
(実施例7)
シール材を図4のように画素部を取り囲み、ヘキサクロロジシロキサンを満たされないようにした以外は、有機EL素子Bと同様に有機EL素子セルを作製した。これを真空の容器中に放置後、容器内にテトラクロロシラン蒸気を導入し、その後開口部をシール材で封口し、これを光硬化させて有機EL素子Hを作製した。
【0051】
(封止性能の比較)
有機EL素子B,Hの初期のダークスポットを観察した。初期ダークスポットは2つの素子とも10μmであった。次にこの2つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表6)に示す。
【0052】
【表6】
本発明の有機EL素子は全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮され次に素子B、Hについて同じ電流(密度)を加え、輝度を測定したところHはBの輝度が1.4倍向上することがわかった。これは、積層体の発光部にヘキサクロロシランが接しているためヘキサクロロシラン液層内に発光が閉じこめられたためである。
【0053】
したがって、光取り出し向上の観点からも本発明が優れていることが明らかである。
【0054】
さらに、積層部が溶液で侵されないためにも、本発明の方法が好ましいことがわかった。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、請求項1〜14の発明によれば、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、有機EL素子のセルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。また、この加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物は無色透明であるため積層体上面から有機EL素子の発光を高効率で取り出すことが容易である。
【0056】
そしてこれらの効果によって、高品質、高信頼性の有機EL素子を長期間にわたりを提供できることから本発明の効果は絶大である。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における有機EL素子の構成図
【図2】比較例1における有機EL素子の構成図
【図3】本発明の実施例2における有機EL素子の構成図
【図4】本発明の実施例7における有機EL素子の構成図
【符号の説明】
2 透明の陰極
3 有機化合物層
4 鏡面の陽極
5 積層体
6 ヘキサクロロシラン
【発明の属する技術分野】
本発明は、TVやコンピュータ画像を表示するフラットパネルディスプレイに用いられる有機EL表示素子内部の乾燥方法および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機EL素子は水分に起因するダークスポットの発生を抑制するために、セル内部に封入され、さらにそのセル構成部材を透水する水分を捕集するために
セル内部に乾燥材粉末を充填していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、乾燥剤が飽和吸水した場合には、当然のことながらダークスポットの発生を抑制することができないし、また構成部材の透水を防止することもできない。したがって、有機EL素子の使用環境や使用時間によって、乾燥剤を増量する必要があり、そのために素子の厚みが増大した。さらにこれら構成では、乾燥材が基板上に設けられた積層体を覆うため、積層体上面から有機ELの発光を高効率で取り出すことが困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれらの課題を解決するものであり、上記の課題を解決するための有機EL素子は、陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物とが2枚の基板で狭持されている構成をもつ。
【0005】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物とが2枚の基板で狭持されている構成により、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。また、この加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物は無色透明であるため積層体上面から有機ELの発光を高効率で取り出すことが容易である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、特に請求項1に記載の加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物が常温で気体または揮発性液体することにより、シランもしくはシロキサン蒸気が、透水部分(ピンホール等)まで拡散し、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で確実に吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)がその部分を確実に塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【0007】
次に、請求項3に記載の発明は、陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物の溶液とが2枚の基板で狭持されている構成により、シランもしくはシロキサン溶液に満たされるため、透水部分(ピンホール等)まで拡散でき、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)がその部分を確実に塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のシランもしくはシロキサン化合物溶液の溶媒が無水溶媒にすることにより、シランもしくはシロキサン化合物が溶液中で水和することがないので、長期にわたりセル内部への透水を防ぐ機能を果たす。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の無水溶媒がフルオロ炭化水素にすることにより、セル内部の有機EL素子が溶媒によってダメージを受けることなく、長期にわたりセル内部への透水を防ぐ機能を果たす。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシランもしくはシロキサンがそれぞれクロロシラン、イソシアネートシランもしくはクロロシロキサン、イソシアネートシロキサンにすることにより、これらのシランもしくはシロキサンと水との反応性が非常に高いため、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で完全に吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)がその部分を完全にに塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシランもしくはシロキサン化合物、もしくはシランもしくはシロキサン化合物の溶液が表示領域外に狭持されていることにより、画素の部分にはシランもしくはシロキサン化合物の溶液が充填しないので、溶液による有機EL素子とダメージを防ぐだけでなく、屈折率の変動による有機EL素子の発光の変色、視野変動を防ぐ。
【0012】
次に、請求項8に記載の発明は陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体を形成する工程と、前記積層体と加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板に狭持する工程とを有する製造方法により、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、セルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。また、この加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物は無色透明であるため積層体上面から有機ELの発光を高効率で取り出すことできる有機EL素子を製造できる。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の積層体と加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板に狭持する工程が、真空中で行われる製造方法により、シランもしくはシロキサン化合物もしくはそれらの溶液と一緒に水分が狭持されることがないので、これらの化合物が水分で失活することがない。したがって、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の積層体を2枚の基板に狭持する工程が、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物のガス中で行われる製造方法により、積層体を2枚の基板に狭持すると同時に加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物のガスを狭持できるので、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を簡便に製造できる。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体を形成する工程と、前記積層体をギャップを保持し、かつ1カ所以上の開口部を設けて狭持する工程と、その開口部より加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちの少なくとも1つを注入する工程とを有する製造方法により、有機EL素子の空セル作製、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物もしくはそれらの溶液を注入といった、液晶表示素子のセル工程と類似した工程なため、液晶表示素子の工程をそのまま利用可能であるメリットを有する。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の開口部より加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちの少なくとも1つを注入する工程が、ギャップを真空にする工程と、真空中で開口部をシラン、シロキサン化合物またはそれらの溶液の少なくとも1つに浸漬させる工程と、真空を無水雰囲気にする工程と、開口部を封口する工程とを有する製造方法により、ギャップ空間内が水分の混入がなく完全シランもしくはシロキサン化合物もしくはそれらの溶液に満たされるため、これらの化合物が水分で失活することがない。したがって、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の開口部より加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物のガスを注入する工程が、ギャップを真空にする工程と、真空をシランまたはシロキサン化合物のガス雰囲気にする工程と、開口部を封口する工程とを有する製造方法により、ギャップ空間内が水分の混入がなく完全シランもしくはシロキサン化合物ガスで満たされるため、これらの化合物が水分で失活することがない。したがって、優れた透水を防ぐ機能を有する有機EL素子を製造できる。また、ガスを注入するためシランもしくはシロキサン化合物の注入時間が早く、工程時間を短縮できる。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13のいずれか1項にに記載の積層体と、シラン、シロキサン化合物、シランまたはシロキサン化合物の溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板で狭持する工程が、シラン、シロキサン化合物、シランまたはシロキサン化合物の溶液のいずれか1つを表示領域外に狭持する工程を有する製造方法により、画素の部分にはシランもしくはシロキサン化合物の溶液が充填しないので、溶液による有機EL素子とダメージを防ぐだけでなく、屈折率の変動による発光の変色、視野変動を防ぐ有機EL素子を製造できる。
【0019】
なお、本発明に使用される、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物としては、一般式X−(SiOX2)n−SiX3(ただしXはハロゲン、およびイソシアネート基、nは0以上の整数)で示される直鎖状化合物が水との反応活性が高く、有効である。特に、Xがクロル基、およびイソシアネート基の場合は水との反応活性がより高く、特に有効である。
【0020】
上記化合物を以下に例示すると
(1)SiX4(n=0に相当)
(2)SiX3−O−SiX3(n=1に相当)
さらに具体的な化合物としては
(3)SiCl4
(4)SiCl3−O−SiCl3
(5)Si(NCO)4
(6)Si(NCO)3−O−Si(NCO)3
が挙げられる。
【0021】
また、Siの代わりにV、Tiでも同様な作用が認められる。この化合物を例示すると、
(7)TiCl4
(8)TiCl3−O−TiCl3
(9)VCl3
(10)VCl2−O−VCl2
これらの化合物は揮発性が高く、本発明では液体だけでなく、ガスとして封入も可能である。
【0022】
また、一般式SiYpX4−pで示されるシラン化合物も有効である。但し、pは1〜3の整数、また、Yは、水素、アルキル基、アルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基である。特に、ピンホールを塞ぐ立場から、p=1のものが優れている。また、透水を防ぐには含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基が有効である具体的には、
(11)CH3(CH2)9−SiCl3
(12)CF3(CF2)7−(CH2)2−SiCl3
(13)CH3(CH2)9−O−SiCl3
(14)CF3(CF2)7−(CH2)2−O−SiCl3
また、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物を希釈してもよく、その溶媒としては、活性水素を含まない非水系溶媒を用いるのが好ましく、水を含まない炭化水素系溶媒、シリコーン系溶媒、フルオロ炭化水素系溶媒などを用いることが可能である。なお、具体的に使用可能なものは、炭化水素系溶媒では石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、シリコーン系溶媒ではジメチルミリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシリコーンなどを挙げることができる。
【0023】
また、フルオロ炭化水素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)などがある。なお、これらは1種単独で用いてもよいし、よく混合するものなら2種以上を組み合わせてもよい。特にフルオロ炭化水素系溶媒においては含水率がきわめて低いこと、電気絶縁性に優れていることから、本発明の有機EL素子にはきわめて有効である。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
本発明の有機EL素子の1つの実施例を図1を用いて説明する。ガラスの基板上1上に透明の陽極2が形成されている。この陽極2上に有機化合物層3があり、さらにその上に鏡面の陰極4が形成されている。こうしてガラスの基板1上に積層体5が形成される。
【0025】
つぎに、窒素雰囲気中でヘキサクロロジシロキサン6を凹状キャップガラスの基板7の窪み部分に満たして封入し基板7の縁にはシール材が設けて貼り合わせ、これを光硬化させて、発光が積層体の下面より取り出される有機EL素子Aが作製される。
【0026】
(比較例1)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに、従来行われていた、500℃で1時間焼成したゼオライト(東ソ製ゼオラムA−4 細孔径0.4nm)粉末を封入したこと以外は有機EL素子Aと同様に図2に示す有機EL素子R1を作製した。
【0027】
また、ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに、雰囲気窒素を封入した以外は有機EL素子Aと同様に有機EL素子R2を作製した。
【0028】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,R1,R2の初期のダークスポットを観察した。いずれの素子も初期ダークスポット10μmであった。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表1)に示す。
【0029】
【表1】
本発明の有機EL素子Aは全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0030】
(実施例2)
有機EL素子の積層体をその上面から発光を取り出す構造にした実施例を図3を用いて説明する。ガラスの基板上1上に鏡面の陰極4が形成されている。この陰極4上に有機化合物層3があり、さらにその上に透明の陽極2が形成されている。こうしてガラスの基板1上に積層体5が形成される。
【0031】
つぎに、窒素雰囲気中でヘキサクロロジシロキサン6を凹状キャップガラスの基板7の窪み部分に満たして封入し基板7の縁にはシール材が設けて貼り合わせ、これを光硬化させて、発光が積層体の上面より取り出される有機EL素子Bが作製される。またヘキサクロロジシロキサン6の代わりにテトラクロロシランを使用し、50μl封入したこと以外は、有機EL素子Bと同じように有機EL素子Cを作製した。
【0032】
(封止性能と発光特性の比較)
有機EL素子A,B、Cの初期のダークスポットを観察した。素子Cは封入したテトラクロロシランが蒸発してことが確認された。また初期ダークスポットは3つの素子とも10μmであった。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表2)に示す。
【0033】
【表2】
本発明の有機EL素子A、B、Cは全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0034】
次に素子A、B、Cについて同じ電流(密度)を加え、輝度を測定したところCはAの輝度が1.5倍向上することがわかった。また、BはAに比べて輝度が1.2倍向上することがわかった。ただしBの輝度がさほど向上しないのは、積層体の発光部にヘキサクロロシロキサンが接しているため、その液層内に発光が閉じこめられたためである。
【0035】
なお、ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに、従来行われていた、500℃で1時間焼成したゼオライト粉末を封入すると、その発光がゼオライトに遮蔽されることは明らかである。
【0036】
したがって、光取り出し向上の観点からも本発明が優れていることが明らかである。
【0037】
(実施例3)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに1%ヘキサクロロジシロキサンのパーフルオロオクタン溶液を使用したこと以外は、有機EL素子Aと同じように有機EL素子Dを作製した。
【0038】
(比較例2)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりに1%ヘキサクロロジシロキサンのエタノール(0.5%水含有)溶液を使用したこと以外は、有機EL素子Aと同じように有機EL素子R3を作製した。
【0039】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,D、R3の初期のダークスポットを観察した。初期ダークスポットはAとD素子とも10μm、R3は60μmであった。次にこの2つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表3)に示す。
【0040】
【表3】
本発明の有機EL素子A、Dは全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0041】
一方、含水溶媒で作製された有機EL素子は初期ダークスポットが大きく、また成長が認められる。これは、ヘキサクロロジシロキサンがエタノールに含まれる水と反応したためと考えられる。さらに画素部を顕微鏡観察すると、積層部がエタノールに侵されていることがわかった。
【0042】
したがって、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物の溶媒として非水溶媒を使用することで、本発明の効果が発揮されることがわかった。さらに、積層部が侵されないためには、フルオロ炭化水素が好ましいことがわかった。
【0043】
(実施例4)
ヘキサクロロジシロキサン6の代わりにヘキサイソシアネートジシロキサンのを使用したこと以外は、有機EL素子Aと同じように有機EL素子Fを作製した。
【0044】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,Eの初期のダークスポットを観察した。いずれの素子も初期ダークスポット10μmであった。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表4)に示す。
【0045】
【表4】
本発明の有機EL素子A、Eは全くダークスポットの成長が認められない。これは、イソシアネートシロキサンもクロロシラン同様に吸水によって加水分解してシリカライクな化合物を生成して透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0046】
(実施例5)
シール材の1カ所に開口部を設けること、ヘキサクロロジシロキサンを満たさないこと以外は、有機EL素子Aと同様に有機EL素子セルを作製した。これを真空の容器内で開口部をヘキサクロロジシロキサンに浸漬させ、その後真空を無水雰囲気にして開口部よりヘキサクロロジシロキサンを注入後、開口部をシール材で封口し、これを光硬化させて有機EL素子Fを作製した。
【0047】
(実施例6)
シール材の1カ所に開口部を設けること、ヘキサクロロジシロキサンを満たさないこと以外は、有機EL素子Aと同様に有機EL素子セルを作製した。これを真空の容器中に放置後、容器内にテトラクロロシラン蒸気を導入して、開口部よりテトラクロロシラン蒸気を注入後、開口部をシール材で封口し、これを光硬化させて有機EL素子Gを作製した。
【0048】
(封止性能の比較)
有機EL素子A,F,Gの初期のダークスポットを観察した。F,Gの素子の初期ダークスポットは認められなかった。これは真空中でテトラクロロシランもしくはヘキサクロロジシロキサンを注入したために、初期水分によるダークスポットの発生を防いだためである。次にこの3つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表5)に示す。
【0049】
【表5】
本発明の有機EL素子A、F、Gは全くダークスポットの成長が認められない。これは、加水分解してシリカライクな化合物を生成して透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮されていることを示す。
【0050】
(実施例7)
シール材を図4のように画素部を取り囲み、ヘキサクロロジシロキサンを満たされないようにした以外は、有機EL素子Bと同様に有機EL素子セルを作製した。これを真空の容器中に放置後、容器内にテトラクロロシラン蒸気を導入し、その後開口部をシール材で封口し、これを光硬化させて有機EL素子Hを作製した。
【0051】
(封止性能の比較)
有機EL素子B,Hの初期のダークスポットを観察した。初期ダークスポットは2つの素子とも10μmであった。次にこの2つの素子を60℃90%RH下に放置し、ダークスポットの成長を観察した。その結果を(表6)に示す。
【0052】
【表6】
本発明の有機EL素子は全くダークスポットの成長が認められない。これは吸水によって加水分解して生成したシリカライクな化合物が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たしているためと考えられ、本発明の効果が発揮され次に素子B、Hについて同じ電流(密度)を加え、輝度を測定したところHはBの輝度が1.4倍向上することがわかった。これは、積層体の発光部にヘキサクロロシランが接しているためヘキサクロロシラン液層内に発光が閉じこめられたためである。
【0053】
したがって、光取り出し向上の観点からも本発明が優れていることが明らかである。
【0054】
さらに、積層部が溶液で侵されないためにも、本発明の方法が好ましいことがわかった。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、請求項1〜14の発明によれば、加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物が、有機EL素子のセルの構成部材の透水部分(ピンホール等)で吸水するだけでなく、吸水によって加水分解したシランもしくはシロキサン化合物(シリカライクな化合物)が透水部分を塞ぎ、それ以上の透水を防ぐ機能を果たす。また、この加水分解可能なシランもしくはシロキサン化合物は無色透明であるため積層体上面から有機EL素子の発光を高効率で取り出すことが容易である。
【0056】
そしてこれらの効果によって、高品質、高信頼性の有機EL素子を長期間にわたりを提供できることから本発明の効果は絶大である。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における有機EL素子の構成図
【図2】比較例1における有機EL素子の構成図
【図3】本発明の実施例2における有機EL素子の構成図
【図4】本発明の実施例7における有機EL素子の構成図
【符号の説明】
2 透明の陰極
3 有機化合物層
4 鏡面の陽極
5 積層体
6 ヘキサクロロシラン
Claims (14)
- 陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物とが2枚の基板で狭持されている有機EL素子。
- 加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物が常温で気体または揮発性液体である請求項1記載の有機EL素子。
- 陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体と、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物の溶液とが2枚の基板で狭持されている有機EL素子。
- シランまたはシロキサン化合物の溶液の溶媒が非水系溶媒である請求項3記載の有機EL素子。
- 非水系溶媒がフルオロ炭化水素である請求項4記載の有機EL素子。
- シランがクロロシランまたはイソシアネートシランであり、シロキサンがクロロシロキサンまたはイソシアネートシロキサンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- シラン、シロキサン化合物、シランまたはシロキサン化合物の溶液のうちのいずれか1つが表示領域外に狭持されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体を形成する工程と、前記積層体と加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板に狭持する工程とを有する有機EL素子の製造方法。
- 積層体と加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板に狭持する工程が、真空中で行われる請求項8記載の有機EL素子の製造方法。
- 積層体を2枚の基板に狭持する工程が、加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物のガス中で行われる請求項8記載の有機EL素子の製造方法。
- 陽極および陰極に狭持された少なくとも1層の有機化合物層を備えた積層体を形成する工程と、前記積層体をギャップを保持し、かつ1カ所以上の開口部を設けて狭持する工程と、その開口部より加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちの少なくとも1つを注入する工程とを有する請求項8記載の有機EL素子の製造方法。
- 開口部より加水分解可能なシラン、シロキサン化合物、またはそれらの溶液のうちの少なくとも1つを注入する工程が、ギャップを真空にする工程と、真空中で開口部をシラン、シロキサン化合物またはそれらの溶液の少なくとも1つに浸漬させる工程と、真空を無水雰囲気にする工程と、開口部を封口する工程とを有する請求項11記載の有機EL素子の製造方法。
- 開口部より加水分解可能なシランまたはシロキサン化合物のガスを注入する工程が、ギャップを真空にする工程と、真空をシランまたはシロキサン化合物のガス雰囲気にする工程と、開口部を封口する工程とを有する請求項11記載の有機EL素子の製造方法。
- 積層体と、シラン、シロキサン化合物、シランまたはシロキサン化合物の溶液のうちのいずれか1つを2枚の基板で狭持する工程が、シラン、シロキサン化合物、シランまたはシロキサン化合物の溶液のいずれか1つを表示領域外に狭持する工程を有する請求項8〜13のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法
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2002
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