JP2004095831A - 吸着パッド、吸引治具、及び吸着パッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度を確保するとともに、高い通気性を得る。
【解決手段】吸引によって部品等を搬送あるいは固定する吸引治具1における吸着面Fに用いられる吸着パッド3のパッド本体6を、微細粒子が焼結されてなり、吸着面Fをなす面から冶具本体2内側を向く面まで通じる空隙を有する多孔質焼結体によって構成する。パッド本体6を、その吸着面F側に設けられて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された緻密層11と、冶具本体2の開口部2aに向けられる側に設けられて微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす高空隙率層12とを有する構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】吸引によって部品等を搬送あるいは固定する吸引治具1における吸着面Fに用いられる吸着パッド3のパッド本体6を、微細粒子が焼結されてなり、吸着面Fをなす面から冶具本体2内側を向く面まで通じる空隙を有する多孔質焼結体によって構成する。パッド本体6を、その吸着面F側に設けられて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された緻密層11と、冶具本体2の開口部2aに向けられる側に設けられて微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす高空隙率層12とを有する構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電子部品や粉末成形体のグリーンシートを吸引して搬送したり、シリコンウエハーを吸引で固定して研磨加工するための吸引治具の吸着面に用いられる吸着パッド、これを用いる吸引冶具、及び吸着パッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の吸着パッドの一例としては、特開2002−38202号公報に開示されているような多孔質ステンレス焼結体がよく用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開2002−38202号公報には、粒径が100μmから900μm程度のステンレス鋼の球状粉末と不規則形状粉末とを混合してプレス成形・焼結することによって多孔質ステンレス焼結体を製造する技術が開示されているが、その製造方法上、この多孔質ステンレス焼結体は、ステンレスの粉末同士が接合することでこれら粉末同士の間に空隙を有する多孔質の構造を維持している、つまり、空隙が三次元網目構造となっているので、高い空隙率のものを製造することができず、十分な通気性が得られない(高い吸引力が得られない)のであり、また、空隙の寸法を制御することが困難であるので、所望の特性を得ることは困難であった。
また、ステンレスは比較的柔らかい材料であるため、このような多孔質ステンレス焼結体からなる吸着パッドにおいて、空隙率を高くすると十分な耐摩耗性を確保することができず、寿命が短かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような問題点を解決すべく種々検討した結果、微細粒子が焼結されて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された構成の緻密層と、図1に示すような、微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす高空隙率層とを有する多孔質焼結体によって吸着パッドを構成すればよいことを見い出した。
【0005】
ここで、前記の三次元網目構造をなす高空隙率層は、粉末冶金法による例えば金属材料の製造工程において、スラリー状混合原料に、結合剤、界面活性剤、発泡剤などを添加して発泡させて得られた三次元網目構造の多孔質成形体を焼結することで製造されるから、多孔質成形体の製造条件を適宜調整することによって、空隙率や空隙の寸法を容易に所望の値に設定できるようになっている。
【0006】
このような構成の多孔質焼結体からなる吸着パッドは、緻密層が吸着面をなすようにして吸引冶具の冶具本体に装着される。この吸着パッドにおいて、高空隙率層は、中実の骨格を有するがゆえに高い強度を呈するので、高い空隙率を設定することが可能となって、通気性が十分に確保される。
一方、吸着面をなす緻密層は、微細粒子が密に配置されているために、強度及び耐磨耗性が高く耐久性に優れており、またセラミックスのグリーンシートのような軟物質を吸着するときであっても、その表面に凹凸を生じさせることがない。
さらに、緻密層は高空隙率層によって支持されているので、その厚みを薄くすることができる。これによって吸着時に緻密層において空気の通過する距離が低減されて緻密層を通じた吸気の圧力損失が低減されるので、緻密層においても十分な通気性が確保される。
【0007】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、
吸引によって部品等を搬送あるいは固定する吸引治具の吸着面に用いられる吸着パッドであって、パッド本体は、微細粒子が焼結されてなる多孔質焼結体とされ、パッド本体は、吸着面側に設けられて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された緻密層と、吸引冶具側に設けられて微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす高空隙率層とを有していることを特徴とするものである。
ここで、緻密層の空隙率は32%から50%の範囲内、高空隙率層の空隙率は40%から90%の範囲内とされることが好ましい。
また、緻密層の空隙の平均寸法は1μmから30μmの範囲内、高空隙率層の空隙の平均寸法は30μmから500μmの範囲内に設定されることが望ましい。
また、緻密層の厚みD1は500μm以下、高空隙率層の厚みD2は1000μm以下とされることが好ましい。
また、パッド本体において、少なくとも緻密層をなす微細粒子が超硬合金あるいはサーメットからなることが好ましい。
【0008】
次に、本発明において、緻密層及び高空隙率層の空隙率、空隙の平均寸法、厚みを上記の範囲内に設定することが好ましい理由、及び上記の多孔質焼結体のうち少なくとも緻密層を構成する微細粒子の材質が超硬合金あるいはサーメットであることが好ましい理由とを説明する。
【0009】
(1)空隙率
吸着パッドの吸着面をなす緻密層の空隙率は、強い吸引力を要する場合には高めに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えたくない場合には低めに設定するなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙率が32体積%未満になると、通気性が部分的に不十分となって、十分な吸引力を確保することができなくなる可能性がある。一方、空隙率が50体積%を超えると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。このため、緻密層の空隙率は、32体積%から50体積%の範囲内に設定されるのが好ましく、40体積%から49体積%の範囲内に設定されることがより好ましい。
【0010】
高空隙率層の空隙率も、強い吸引力を要する場合には高めに設定されるが、この空隙率が40体積%未満になると、通気性が部分的に不十分となって、十分な吸引力を確保することができなくなる可能性がある。一方、空隙率が90体積%を超えると、三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。このため、高空隙率層の空隙率は40体積%から90体積%の範囲内に設定されることが好ましく、60体積%から80体積%の範囲内に設定されることがより好ましい。
【0011】
(2)空隙の平均寸法
緻密層の空隙の平均寸法は、上記の空隙率と同様に、強い吸引力を要する場合には大きめに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えたくない場合には細かめに設定するなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙の平均寸法が1μm未満になると、通気性の確保が部分的に困難となって、十分な吸引力を確保することができなくなったり、ほこり等によって目詰まりを起こしやすくなる可能性がある。一方、空隙の平均寸法が30μmを越えて大きくなると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。このことから、緻密層の空隙の平均寸法は1μmから30μmの範囲内に設定されることが好ましく、2μmから20μmの範囲内に設定されることがより好ましい。
【0012】
高空隙層の空隙の平均寸法も、強い吸引力を要する場合には大きめに設定するなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙の平均寸法が30μm未満になると、通気性の確保が部分的に困難となって、十分な吸引力を確保することが困難となる可能性がある。一方、空隙の平均寸法が500μmを超えて大きくなると、三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。このことから、高空隙率層の空隙の平均寸法は30μmから500μmの範囲内に設定されることが好ましく、50μmから300μmの範囲内に設定されることがより好ましい。
【0013】
(3)緻密層、高空隙率層の厚み
緻密層の厚みD1は、強い吸引力を要する場合には薄く設定し、強度及び耐久性を要する場合には厚くするなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この厚みD1が500μmよりも大きいと、吸着時に緻密層において空気の通過する距離が長くなって緻密層を通じた吸気の圧力損失が大きくなるので、緻密層においても十分な通気性を確保するためには、その厚みD1は500μm以下に設定されることが好ましく、200μm以下に設定されることがより好ましい。
なお、緻密層は、その強度を確保するため、その厚みD1は、50μm以上確保することが好ましい。
【0014】
高空隙率層の厚みD2も、強い吸引力を要する場合には薄く設定し、強度及び耐久性を要する場合には厚くするなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この厚みD2が1000μmよりも大きいと、吸着時に高空隙率層において空気の通過する距離が長くなって高空隙率層を通じた吸気の圧力損失が大きくなるので、高空隙率層において十分な通気性を確保するためには、その厚みD2は1000μm以下に設定されることが好ましく、800μm以下に設定されることがより好ましい。
なお、高空隙率層は、その強度を確保するため、その厚みD2は、300μm以上確保することが好ましい。
【0015】
(4)多孔質焼結体の材質
超硬合金やサーメットは、硬質材料の中でも耐摩耗性が高く、また、原料粉末(微細粒子)として粒径の細かいものが得られるので、発泡による成形時に空隙率、空隙の寸法を制御しやすいなどの理由から、これらの硬質材料が選択されている。
本発明の吸着パッド用の超硬合金の一例としては、炭化タングステン(WC)を主体とした硬質相をコバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの金属で結合したものや、必要に応じて炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム(Cr3C2)、クロム(Cr)などを添加した従来より知られているものが挙げられ、本発明の吸着パッド用のサーメットの一例としては、TiCやTiCNを主体とし、必要に応じてWC、TaC、NbC、Mo2Cなどを含む硬質相をNi、Coなどの金属で結合した従来より知られているものが挙げられる。
なお、吸引時に衝撃を受ける場合には、金属結合相量を多めにして靭性を高めたり、耐食性が問題になる場合には、NiやNi−Cr系結合相とするとよい。
【0016】
ここで、本発明の吸着パッドを用いた吸引治具を製造するためには、得られた多孔質焼結体を通気用の孔を有する台金に、接着剤やろう材を用いて接合することになるが、吸着面が曲面の場合には、多孔質焼結体を研磨して曲面を形成してもよいし、多孔質成形体の一面をそれに合わせた形状に成形して焼結してもよい。
【0017】
本発明にかかる吸着パッドの製造方法は、原料粉末を含む第一スラリーをドクターブレード法によりキャリヤーシート上に延ばして第一スラリー層を形成する第一スラリー層形成工程と、この第一スラリー層の上に、原料粉末及び発泡剤を含む第二スラリーをドクターブレード法により延ばして第二スラリー層を形成する第二スラリー層形成工程と、これら第一スラリー層と第二スラリー層とからなる複合スラリ−層を加熱して前記発泡剤を気化させることにより前記第二スラリー層を発泡させて三次元網目構造とする発泡工程と、前記複合スラリー層を乾燥させて複合グリーンシートとする乾燥工程と、該複合グリーンシートの脱脂を行う脱脂工程と、該複合グリーンシートを焼成して複合焼成体とする焼成工程とを有し、このようにして得た複合焼成体を前記パッド本体とすることを特徴としている。
【0018】
この吸着パッドの製造方法では、上記の緻密層と高空隙率層とが一体的に形成されてなるパッド本体を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。ここで、図1は本実施形態にかかる吸引冶具の概略構成を示す縦断面図、図2は本実施形態にかかる吸着パッドの構成を概略的に示す拡大図、図3は本実施形態にかかる吸着パッドの製造方法を示す図である。
【0020】
吸引冶具1は、一面に開口部2aが形成される冶具本体2と、冶具本体2に対して開口部2a全体を覆うようにして設けられる通気性を有するシート状の吸着パッド3とを有している。
冶具本体2において開口部2a内の空間は、真空ポンプ等の図示せぬ排気装置と接続されており、排気装置を作動させることで、吸着パッド3を通じて外気が冶具本体2内に吸引されて、吸着パッド3の吸着面Fに被吸着部品が吸着されるようになっている。
【0021】
吸着パッド3は、一面が吸着面Fをなすシート状のパッド本体6を有するものであって、本実施の形態では、吸着パッド3は、パッド本体6と、パッド本体6の吸着面Fとは反対側を向く面を受ける板状の基盤7と、基盤7においてパッド本体6を受ける一面側にパッド本体6の周囲を囲むようにして設けられる樹脂層8とを有する構成としている。
【0022】
パッド本体6は、微細粒子が焼結されてなる多孔質焼結体によって構成されるものであって、吸着面Fをなす面から基盤7に受けられる面まで通じる空隙を有している。ここで、パッド本体6は、基盤7に対しては、接着剤による接着やろう付け等によって装着されている。例えば、パッド本体6と基盤7とは、互いの接触面にそれぞれニッケルリンめっきを施し、これらを互いのめっき面同士を接触させた状態で加熱させることで、これらが拡散接合される。
【0023】
パッド本体6は、図2に示すように、その吸着面F側に設けられて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された厚みD1の緻密層11と、開口部2aに向けられる側に設けられて微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす厚みD2の高空隙率層12とを有している。
【0024】
ここで、パッド本体6の製造に用いられる原料粉末としては、吸着パッドに要求される性質に応じて任意の材料の粉末を用いることができる。例えば、吸着面Fをなす緻密層には、耐磨耗性が要求されるので、超硬合金の粉末やサーメットの粉末等の耐磨耗性の高い材料の粉末を用いることが好ましい。
【0025】
基盤7は、少なくともパッド本体6を受ける領域は、厚み方向に通気性を有する構成とされている。本実施の形態では、基盤7を、厚み方向に貫通する複数の通気孔7aを有するアルミニウム製の板材によって構成している。
ここで、通気孔7aは、例えば内径100μmから1000μmの貫通孔とされており、本実施の形態では、通気孔7aとして、内径500μmの丸穴を9本/cm2形成している。
【0026】
樹脂層8は、吸着面Fに吸着された被吸着部品を傷つけることのないよう、例えばABS等、被吸着部品よりも硬度の低い樹脂によって構成されるものであって、その厚みはパッド本体6と同じ厚みとされている。
【0027】
以下に、このように構成される吸引冶具1の製造方法について説明する。
吸引冶具1において、冶具本体2、及び吸着パッド3の基盤7は、それぞれ金属材料を機械加工するか、合成樹脂を成形または機械加工することによって製造される。また、吸着パッド3の樹脂層8は、合成樹脂を成形または機械加工することによって製造されるものであって、基盤7に対しては、基盤7上に直接モールド成形によって形成することで設けられるか、もしくはあらかじめ所望の形状に成形した樹脂層8を接着剤等を用いて接着することで設けられる。
【0028】
次に、パッド本体6の製造方法の一例について説明する。本実施形態にかかるパッド本体6は、図4に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成することによって製造される。
以下に、まずグリーンシート製造装置21の構成について説明する。
グリーンシート製造装置21は、グリーンシートを形成するための下地としてキャリアシート22を用いるものであって、このキャリアシート22が巻き回された巻き出しリール23と、巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取る巻き取りリール24と、巻き出しリール23と巻き取りリール24との間で巻き出しリール23から引き出されたキャリアシート22の少なくとも一部区間を水平状態に保持する複数の支持ロール25とを有しており、キャリアシート22において支持ロール25によって水平状態にして保持される区間が、グリーンシート形成に供されるシート形成区間とされる。
【0029】
シート形成区間には、パッド本体6の緻密層11の原料となる第一スラリーをキャリアシート22上に連続的に供給する第一のホッパー26が設けられ、第一のホッパー26の下流側には、第一のホッパー26からキャリアシート22上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリーを、所望の厚みの第一スラリー層L1に成形する第一のドクターブレード27が設けられている。
【0030】
ここで、第一スラリーとしては、原料粉末とシンナーとの混合体、または必要に応じてこの混合体に界面活性剤を添加したものが用いられる。
本実施の形態では、第一スラリーは、原料粉末を55.2重量%含み、シンナーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース3.9重量%、グリセリン3.8重量%、水37.1重量%を含むものを用いている。ここで、第一スラリーに界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが用いられる。
【0031】
さらに、シート形成区間において第一のドクターブレード27の下流側には、パッド本体6の高空隙率層12の原料となる第二スラリーをキャリアシート22上の第一スラリー層L1上に連続的に供給する第二のホッパー28が設けられ、第二のホッパー28の下流側には、第二のホッパー28から第一スラリー層L1上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第二スラリーを、所望の厚みの第二のグリーン層L2に成形する第二のドクターブレード29が設けられている。
【0032】
ここで、第二スラリーとしては、原料粉末、シンナー、界面活性剤及び発泡剤の混合体からなるものが用いられる。
本実施の形態では、第二スラリーは、原料粉末であるSUS316Lの粉末(平均粒径12μm)を55.0重量%含み、シンナーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース3.8重量%、グリセリン3.6重量%、水29.1重量%を含み、界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを7.1重量%含み、発泡剤であるヘキサンを1.4重量%含むものを用いている。
【0033】
シート形成区間において第二のドクターブレード29の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第二スラリー層L1、L2を高湿度雰囲気下で加熱する恒温・高湿度槽31が設けられており、恒温・高湿度槽31の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第二スラリー層L1、L2を乾燥させて複合グリーンシートSとする乾燥槽32が設けられている。
【0034】
このグリーンシート製造装置21は、巻き取りリール24によって巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取ってシート形成区間でキャリアシート22を移動させることで、キャリアシート22上に、第一、第二スラリー層L1、L2を連続的に形成してグリーンシートとするものである。
以下、このグリーンシート製造装置21を用いたパッド本体6の製造方法を説明する。
まず、キャリアシート22の移動に伴って、第一のホッパー26からキャリアシート22上に第一スラリーを連続的に供給することで、この第一スラリーが第一のドクターブレード27によって所望の厚みの第一スラリー層L1に成形される(第一スラリー層形成工程)。本実施の形態では、第一スラリー層L1の厚みは、200μmとしている。
【0035】
そして、シート形成区間において第一のドクターブレード27よりも下流側で、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリー層L1上に、第二のホッパー28から第二スラリーを連続的に供給することで、この第二スラリーが第二のドクターブレード29によって所望の厚みの第二スラリー層L2に成形される(第二スラリー層形成工程)。本実施の形態では、第二スラリー層L2の厚みは、100μmとしている。
【0036】
〔発泡工程〕
このようにしてキャリアシート22上に積層された第一、第二スラリー層L1、L2からなる複合スラリー層Lは、キャリアシート22の移動に伴って恒温・高湿度槽31内に搬入されて、高湿度雰囲気下での熱処理が施される。
本実施の形態では、この発泡工程において、湿度90%の雰囲気中で温度40°Cで20分間の熱処理が行われる。
このように熱処理が施されることで、第二スラリー層L2に含まれる発泡剤が気化することとなり、これによって第二スラリー層L2が発泡してスポンジ状となる。
ここで、この加熱処理は高湿度雰囲気下で行われており、第一,第二スラリー層L1、L2に含まれるシンナーは揮発せずに第一、第二スラリー層L1、L2内に留まっているので、第二スラリー層L2は、容易に塑性変形可能な状態で発泡させられることとなって、ひび割れ等を生じずにスポンジ状になる。
【0037】
〔乾燥工程〕
このようにして第二スラリー層L2の発泡が行われた複合スラリー層Lは、キャリアシート22の移動に伴って乾燥槽32に搬入されて、各スラリー層に含まれる水分が飛ばされて、複合グリーンシートSとなる。
この乾燥工程では、空気中で温度80°Cで15分間の熱処理が行われる。
【0038】
〔脱脂工程〕
この複合グリーンシートSは、グリーンシート製造装置21から取り出されて、図示しない脱脂装置に送り込まれることにより、複合グリーンシートS中に含まれるヒドロキシプロピルメチルセルロース(糊成分)が飛ばされる。
この脱脂工程では、空気中で温度500°Cで15分間の熱処理が行われる。
【0039】
〔焼成工程〕
脱脂工程を経た複合グリーンシートSは、焼成炉に送り込まれて焼成された後に所望の形状に切り出されるか、または所望の形状に切り出した後に焼成炉に送り込まれて焼成される。
焼成炉としては、例えば真空炉が用いられるが、原料粉末として真空炉による焼成では酸化する可能性のある材質を用いている場合には、還元雰囲気下、例えば5%の水素分子ガスを含む窒素ガス雰囲気下で焼成を行う。
本実施の形態では、原料粉末としてSUS316Lを用いており、真空雰囲気下で温度1200°Cで300分間の熱処理が行われる。
【0040】
このようにして得られた焼成体は、第一スラリー層L1によって構成される部分が緻密層11となり、第二スラリー層L2によって構成される部分が高空隙率層12となる。
ここで、この時点では、焼成体において第一スラリー層L1によって構成される部分の空隙率は40%から50%の範囲内であり、第二スラリー層L2によって構成される部分の空隙率は90%から98%の範囲内である。
【0041】
〔圧延工程〕
このようにして得られた焼成体に、必要に応じて、さらに圧延処理を施して所望の厚みとするとともに、このように焼成体を圧縮することによりその空隙率を所望の値とする。本実施の形態では、焼成体においてパッド本体6の縁部をなす部分は、他の部分よりもさらに圧縮されて他の部分よりも薄く形成される。
ここで、焼成体を圧延しても、第一スラリー層L1によって構成される緻密層11はもちろん、第二スラリー層L2によって構成される高空隙率層12は、厚み方向に圧縮されるだけであって、いびつな形状に変形することはなく、内部の連続気孔は維持される。
【0042】
ここで、この圧延によって焼成体をあまり薄くしすぎると、高空隙率層12の空隙率が低くなってしまうので、圧延後の焼成体の厚みは、150μm以上とすることが望ましい。
また、このように焼成体を圧延することによって得られるパッド本体6は、ごく薄い板状に形成することができ、さらに、このようにパッド本体6が予め十分に圧縮されていることにより、パッド本体6が何らかの外力を受けた際にも塑性変形しにくい。
さらに、このようにパッド本体6を構成する緻密層11と高空隙率層12とを一体に製造することで、これらの付着強度を高くして耐久性を向上させることができる。
【0043】
本実施の形態にかかる吸引冶具1は、従来の吸引冶具と同じく、排気装置によって吸着パッド3を介して外気を吸引することで、吸着パッド3の吸着面Fに被吸着部品を吸着するものである。
【0044】
この吸着パッド3において、高空隙率層12は、中実の骨格を有するがゆえに高い強度を呈するので、空隙率を高く設定して十分な通気性を確保することができる。
また、緻密層11は高空隙率層12によって支持されているので、十分な強度を確保しつつその厚みD1を薄くすることができる。そして、緻密層11の厚みD1を十分に薄くすることで、緻密層11において空気の通過する距離を低減して緻密層11を通じた吸気の圧力損失を低減することができるので、緻密層11においても十分な通気性を確保することができる。
また、高空隙率層12は、厚み方向に交差する方向の通気性も良好であるので、高空隙率層12において基盤7の通気孔7aに対向していない領域に進入した外気も、高空隙率層12において通気孔7aに対向する位置まで速やかに移動することが可能である。このため、この吸着パッド3では、緻密層11のうち、吸着面Fをなす領域を通過した気体を全て速やかに基盤7の通気孔7aに流れ込ませることができるので、排気効率が高い。
【0045】
このように、この吸着パッド3は通気性が十分に確保されており、排気効率も高いので、この吸着パッド3を用いる吸引冶具1は、高い吸引力を得ることができる。
【0046】
さらに、この吸着パッド3では、吸着面Fが緻密層11によって構成されているので、強度及び耐磨耗性が高く耐久性に優れており、寿命が長い。
また、吸着面Fをなす緻密層11は、微細粒子が密に配置されているために、セラミックスのグリーンシートのような軟物質を吸着するときであっても、その表面に凹凸を生じさせることがない。
また、緻密層11は、前記のようにその厚みD1を十分に薄くすることができるので、吸着面Fから緻密層11内にほこりが吸い込まれても、このほこりは速やかに緻密層11を通過して、より空隙率の高い高空隙率層12を通じて冶具本体2内に吸い出されるので、吸着パッド3にほこりによる目詰まりが生じにくい。
【0047】
ここで、上記実施の形態では、パッド本体6が、緻密層11と高空隙率層12とが一体に製造された例を示したが、これに限られることなく、パッド本体6は、それぞれ別体として製造された緻密層11と高空隙率層12とをロウ付けや拡散接合によって接着した構成としてもよい。
【0048】
緻密層11を単体で製造する場合には、上記グリーンシート製造装置21において第二のホッパー28、第二のドクターブレード29、及び恒温・高湿度槽31をなくした構成のグリーンシート製造装置を用いて、第一のホッパー26及び第一のドクターブレード27によって第一のスラリー層L1のみを形成してこの第一のスラリー層L1に乾燥工程を施してグリーンシートを形成する。そして、このグリーンシートを脱脂、焼成し、さらに必要に応じて圧延することで、緻密層11単体を得る。
【0049】
また、高空隙率層12を単体で製造する場合には、上記グリーンシート製造装置21において第一のホッパー26及び第一のドクターブレード27とをなくした構成のグリーンシート製造装置を用いて、第二のホッパー28及び第二のドクターブレード29によって第二のスラリー層L2のみを形成してこの第二のスラリー層L2に発泡工程、乾燥工程を施してグリーンシートを形成する。そして、このグリーンシートの脱脂を行った後に脱脂、焼成、圧延することで、高空隙率層12単体を得る。
【0050】
また、上記実施の形態では、パッド本体6を、緻密層11と高空隙率層12とを一層ずつ積層してなる二層構造とした例を示したが、これに限られることなく、緻密層11に対して複数層の高空隙率層12を積層した構成としてもよい。
この場合には、例えば、これら高空隙率層12のうち、緻密層11に近い側には比較的空隙率または空隙の平均寸法の小さいものを配置し(但し緻密層11よりも空隙率の高いものとする)、緻密層11から離れるにつれて空隙率の高いものを配置する構成として、緻密層11を通過した気体が緻密層11から離間するにつれてスムーズに高空隙率層12を通過するようにすることができる。
【0051】
ここで、このようにパッド本体6を、複数層の高空隙率層12を有する構成とする場合には、緻密層11と各高空隙率層12とをそれぞれ別個に作成したのちにロウ付けや拡散接合によって接着してパッド本体6を得るか、これらを構成するグリーンシート同士を積層した後に脱脂、焼成、圧延を施して、一体のパッド本体6を得る。
また、一層の緻密層11と一層の高空隙率層12とを一体に形成したものに対して、さらに高空隙率層12を必要な数だけ貼り付けることによってパッド本体6を得てもよく、前記複合グリーンシートSにさらに高空隙率層12となるグリーンシートを積層したのちに脱脂、焼成、圧延を施して一体のパッド本体6を得てもよい。
【0052】
【実施例】
以下、本発明にかかる吸引冶具1の吸着性能及び強度を測定した。
この試験では、上記実施の形態に示した吸引冶具1と、この吸引冶具1において吸着パッド3のパッド本体6の代わりに、空隙が三次元網目構造をなす単層の多孔質焼結体からなるパッド本体を用いた吸引冶具(以下、従来例とする)とを用いてそれぞれ被吸着部品を吸着し、縦10cm、横10cm、高さ0.1cm、重量87gの被吸着部品を吸着し、これを吸着パッド3から引き剥がすのに要する力を測定した。吸引冶具1及び従来例の構成とこの試験結果とを、次の表1、表2、表3に示す。
ここで、吸引冶具1としては、パッド本体6の緻密層11の空隙率を44体積%、高空隙率層12の空隙率を62体積%とし、緻密層11の空隙の平均寸法を5μm、高空隙率層12の空隙の平均寸法を80μmとし、緻密層11の厚みD1を152μm、高空隙率層12の厚みD2を700μmとしたもの(実施例1)を基本として、緻密層11及び高空隙率層12の空隙率のみ異なるもの(実施例2〜6)、緻密層11及び高空隙率層12の空隙の平均寸法のみ異なるもの(実施例7〜11)、厚みD1、D2のみ異なるもの(実施例12〜16)を用意した。また、従来例では、パッド本体の空隙率は従来技術で実現可能な最大値(30体積%)とし、空隙の平均寸法は15μm、パッド本体の厚みは823μmとした。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
表1からわかるように、従来例では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は15Nであった。
これに対して、実施例1では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は37Nであり、実施例1は、従来例に比べて吸着力が高いことがわかる。
そして、実施例2、3、4の試験結果からわかるように、緻密層11及び高空隙率層12の空隙率が高いものほど吸着力が高いことがわかる。
これは、緻密層11及び高空隙率層12の空隙率が高くなるほど、吸着パッド3の通気性が高くなっているためと思われる。
【0057】
一方、本発明にかかる吸引冶具1のうち、緻密層11の空隙率を実施例2と同一とし、高空隙率層12の空隙率を実施例1と同一とした実施例5では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は19Nであり、高空隙率層12の空隙率を実施例1と同一とし、緻密層11の空隙率を、高空隙率層12の空隙率よりも低い範囲で最大(38体積%)とした実施例6では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は18Nと、いずれも実施例3よりも吸着力が低い。
このことから、緻密層11と高空隙率層12とのうちいずれか一方の空隙率が低い場合には、他方の空隙率が高くてもそれほど通気性が向上しないことがわかる。
【0058】
以上の結果からわかるように、パッド本体6の空隙率は、緻密層11で32体積%以上、高空隙率層12で40体積%以上とすることが好ましく、緻密層11で40体積%以上、高空隙率層12で60体積%以上とすることがより好ましい。
ここで、緻密層11の空隙率が50体積%を超えると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。また、高空隙率層12の空隙率が90体積%を超えると、高空隙率層12において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、パッド本体6の空隙率は、緻密層11で50体積%以下、高空隙率層12で90体積%以下とすることが好ましく、緻密層11で49体積%以下、高空隙率層12で80体積%以下とすることがより好ましい。
【0059】
また、表2からわかるように、実施例7、8、9では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力はそれぞれ17N、22N、33Nであり、実施例7〜9は、従来例に比べて吸着力が高く、また、緻密層11及び高空隙率層12の空隙の平均寸法が大きいものほど吸着力が高いことがわかる。
これは、緻密層11及び高空隙率層12の空隙の平均寸法が大きくなるほど、吸着パッド3の通気性が高くなっているためと思われる。
【0060】
一方、本発明にかかる吸引冶具1のうち、緻密層11の空隙の平均寸法を実施例7と同一とし、高空隙率層12の空隙の平均寸法を実施例1と同一とした実施例10では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は18Nであり、緻密層11の空隙の平均寸法を実施例1と同一とし、高空隙率層12の空隙の平均寸法を実施例7と同一とした実施例11では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は19Nと、いずれも実施例8よりも吸着力が低い。
このことから、緻密層11と高空隙率層12とのうちいずれか一方の空隙の平均寸法率が小さい場合には、他方の空隙の平均寸法が大きくてもそれほど通気性が向上しないことがわかる。
【0061】
以上の結果からわかるように、パッド本体6の空隙の平均寸法は、緻密層11で1μm以上、高空隙率層12で30μm以上とすることが好ましく、緻密層11で2μm以上、高空隙率層12で250μm以上とすることがより好ましい。ここで、緻密層11の空隙の平均寸法が30μmを超えると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。また、高空隙率層12の空隙の平均寸法が500μmを超えると、高空隙率層12において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、パッド本体6の空隙の平均寸法は、緻密層11で30μm以下、高空隙率層12で500μm以下とすることが好ましく、緻密層11で20μm以下、高空隙率層12で300μm以下とすることがより好ましい。
【0062】
また、表3からわかるように、実施例12、13、14では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力はそれぞれ17N、20N、28Nであり、実施例12〜14は、従来例に比べて吸着力が高く、また、緻密層11及び高空隙率層12の厚みが小さいものほど吸着力が高いことがわかる。
これは、緻密層11及び高空隙率層12の厚みが小さくなるほど、吸着パッド3を通じた吸気の圧力損失が少なくなっているためと思われる。
【0063】
一方、本発明にかかる吸引冶具1のうち、緻密層11の厚みD1を実施例12と同一とし、高空隙率層12の厚みD2を実施例1と同一とした実施例15では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は18Nであり、緻密層11の厚みD1を実施例1と同一とし、高空隙率層12の厚みD2を実施例12と同一とした実施例16では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は19Nと、いずれも実施例13よりも吸着力が弱かった。
このことから、緻密層11と高空隙率層12とのうちいずれか一方の厚みが小さい場合には、他方の厚みが大きくてもそれほど通気性が向上しないことがわかる。
【0064】
以上の結果からわかるように、パッド本体6の緻密層11の厚みD1は500μm以下、高空隙率層12の厚みD2は1000μm以下とすることが好ましく、緻密層11の厚みD1は200μm以下、高空隙率層12の厚みD2は800μm以下とすることがより好ましい。
ここで、緻密層11の厚みD1が50μmよりも小さいと、強度が低下するので、厚みD1は50μm以上とすることが好ましく、70μm以上とすることがより好ましい。
同様に、高空隙率層12の厚みD2が300μmよりも小さいと、強度が低下するので、厚みD2は300μm以上とすることが好ましく、400μm以上とすることがより好ましい。
【0065】
【発明の効果】
本発明にかかる吸引冶具の吸着パッドでは、パッド本体が、吸着面をなす緻密層と、この緻密層よりも空隙率が高く通気性に優れた高空隙率層とを積層した構成とされているので、緻密層によって高い耐磨耗性を得ていて長寿命である一方で、緻密層を通過して高空隙率層に達した気体は、緻密層よりも空隙率が高い高空隙率層を通じて速やかに冶具本体内に達するので、通気性を十分に確保することができ、高い吸引力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる吸引冶具の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本実施形態にかかる吸引冶具に用いられる吸着パッドのパッド本体の構成を概略的に示す拡大図である。
【図3】本実施形態にかかる吸着パッドの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 吸引治具 3 吸着パッド
6 パッド本体 11 緻密層
12 高空隙率層 D1 緻密層の厚み
D2 高空隙率層の厚み F 吸着面
L1 第一スラリー層 L2 第二スラリー層
S 複合グリーンシート
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電子部品や粉末成形体のグリーンシートを吸引して搬送したり、シリコンウエハーを吸引で固定して研磨加工するための吸引治具の吸着面に用いられる吸着パッド、これを用いる吸引冶具、及び吸着パッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の吸着パッドの一例としては、特開2002−38202号公報に開示されているような多孔質ステンレス焼結体がよく用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開2002−38202号公報には、粒径が100μmから900μm程度のステンレス鋼の球状粉末と不規則形状粉末とを混合してプレス成形・焼結することによって多孔質ステンレス焼結体を製造する技術が開示されているが、その製造方法上、この多孔質ステンレス焼結体は、ステンレスの粉末同士が接合することでこれら粉末同士の間に空隙を有する多孔質の構造を維持している、つまり、空隙が三次元網目構造となっているので、高い空隙率のものを製造することができず、十分な通気性が得られない(高い吸引力が得られない)のであり、また、空隙の寸法を制御することが困難であるので、所望の特性を得ることは困難であった。
また、ステンレスは比較的柔らかい材料であるため、このような多孔質ステンレス焼結体からなる吸着パッドにおいて、空隙率を高くすると十分な耐摩耗性を確保することができず、寿命が短かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような問題点を解決すべく種々検討した結果、微細粒子が焼結されて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された構成の緻密層と、図1に示すような、微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす高空隙率層とを有する多孔質焼結体によって吸着パッドを構成すればよいことを見い出した。
【0005】
ここで、前記の三次元網目構造をなす高空隙率層は、粉末冶金法による例えば金属材料の製造工程において、スラリー状混合原料に、結合剤、界面活性剤、発泡剤などを添加して発泡させて得られた三次元網目構造の多孔質成形体を焼結することで製造されるから、多孔質成形体の製造条件を適宜調整することによって、空隙率や空隙の寸法を容易に所望の値に設定できるようになっている。
【0006】
このような構成の多孔質焼結体からなる吸着パッドは、緻密層が吸着面をなすようにして吸引冶具の冶具本体に装着される。この吸着パッドにおいて、高空隙率層は、中実の骨格を有するがゆえに高い強度を呈するので、高い空隙率を設定することが可能となって、通気性が十分に確保される。
一方、吸着面をなす緻密層は、微細粒子が密に配置されているために、強度及び耐磨耗性が高く耐久性に優れており、またセラミックスのグリーンシートのような軟物質を吸着するときであっても、その表面に凹凸を生じさせることがない。
さらに、緻密層は高空隙率層によって支持されているので、その厚みを薄くすることができる。これによって吸着時に緻密層において空気の通過する距離が低減されて緻密層を通じた吸気の圧力損失が低減されるので、緻密層においても十分な通気性が確保される。
【0007】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、
吸引によって部品等を搬送あるいは固定する吸引治具の吸着面に用いられる吸着パッドであって、パッド本体は、微細粒子が焼結されてなる多孔質焼結体とされ、パッド本体は、吸着面側に設けられて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された緻密層と、吸引冶具側に設けられて微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす高空隙率層とを有していることを特徴とするものである。
ここで、緻密層の空隙率は32%から50%の範囲内、高空隙率層の空隙率は40%から90%の範囲内とされることが好ましい。
また、緻密層の空隙の平均寸法は1μmから30μmの範囲内、高空隙率層の空隙の平均寸法は30μmから500μmの範囲内に設定されることが望ましい。
また、緻密層の厚みD1は500μm以下、高空隙率層の厚みD2は1000μm以下とされることが好ましい。
また、パッド本体において、少なくとも緻密層をなす微細粒子が超硬合金あるいはサーメットからなることが好ましい。
【0008】
次に、本発明において、緻密層及び高空隙率層の空隙率、空隙の平均寸法、厚みを上記の範囲内に設定することが好ましい理由、及び上記の多孔質焼結体のうち少なくとも緻密層を構成する微細粒子の材質が超硬合金あるいはサーメットであることが好ましい理由とを説明する。
【0009】
(1)空隙率
吸着パッドの吸着面をなす緻密層の空隙率は、強い吸引力を要する場合には高めに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えたくない場合には低めに設定するなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙率が32体積%未満になると、通気性が部分的に不十分となって、十分な吸引力を確保することができなくなる可能性がある。一方、空隙率が50体積%を超えると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。このため、緻密層の空隙率は、32体積%から50体積%の範囲内に設定されるのが好ましく、40体積%から49体積%の範囲内に設定されることがより好ましい。
【0010】
高空隙率層の空隙率も、強い吸引力を要する場合には高めに設定されるが、この空隙率が40体積%未満になると、通気性が部分的に不十分となって、十分な吸引力を確保することができなくなる可能性がある。一方、空隙率が90体積%を超えると、三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。このため、高空隙率層の空隙率は40体積%から90体積%の範囲内に設定されることが好ましく、60体積%から80体積%の範囲内に設定されることがより好ましい。
【0011】
(2)空隙の平均寸法
緻密層の空隙の平均寸法は、上記の空隙率と同様に、強い吸引力を要する場合には大きめに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えたくない場合には細かめに設定するなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙の平均寸法が1μm未満になると、通気性の確保が部分的に困難となって、十分な吸引力を確保することができなくなったり、ほこり等によって目詰まりを起こしやすくなる可能性がある。一方、空隙の平均寸法が30μmを越えて大きくなると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。このことから、緻密層の空隙の平均寸法は1μmから30μmの範囲内に設定されることが好ましく、2μmから20μmの範囲内に設定されることがより好ましい。
【0012】
高空隙層の空隙の平均寸法も、強い吸引力を要する場合には大きめに設定するなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙の平均寸法が30μm未満になると、通気性の確保が部分的に困難となって、十分な吸引力を確保することが困難となる可能性がある。一方、空隙の平均寸法が500μmを超えて大きくなると、三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。このことから、高空隙率層の空隙の平均寸法は30μmから500μmの範囲内に設定されることが好ましく、50μmから300μmの範囲内に設定されることがより好ましい。
【0013】
(3)緻密層、高空隙率層の厚み
緻密層の厚みD1は、強い吸引力を要する場合には薄く設定し、強度及び耐久性を要する場合には厚くするなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この厚みD1が500μmよりも大きいと、吸着時に緻密層において空気の通過する距離が長くなって緻密層を通じた吸気の圧力損失が大きくなるので、緻密層においても十分な通気性を確保するためには、その厚みD1は500μm以下に設定されることが好ましく、200μm以下に設定されることがより好ましい。
なお、緻密層は、その強度を確保するため、その厚みD1は、50μm以上確保することが好ましい。
【0014】
高空隙率層の厚みD2も、強い吸引力を要する場合には薄く設定し、強度及び耐久性を要する場合には厚くするなど、用途に応じて適宜設定されるのであるが、この厚みD2が1000μmよりも大きいと、吸着時に高空隙率層において空気の通過する距離が長くなって高空隙率層を通じた吸気の圧力損失が大きくなるので、高空隙率層において十分な通気性を確保するためには、その厚みD2は1000μm以下に設定されることが好ましく、800μm以下に設定されることがより好ましい。
なお、高空隙率層は、その強度を確保するため、その厚みD2は、300μm以上確保することが好ましい。
【0015】
(4)多孔質焼結体の材質
超硬合金やサーメットは、硬質材料の中でも耐摩耗性が高く、また、原料粉末(微細粒子)として粒径の細かいものが得られるので、発泡による成形時に空隙率、空隙の寸法を制御しやすいなどの理由から、これらの硬質材料が選択されている。
本発明の吸着パッド用の超硬合金の一例としては、炭化タングステン(WC)を主体とした硬質相をコバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの金属で結合したものや、必要に応じて炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム(Cr3C2)、クロム(Cr)などを添加した従来より知られているものが挙げられ、本発明の吸着パッド用のサーメットの一例としては、TiCやTiCNを主体とし、必要に応じてWC、TaC、NbC、Mo2Cなどを含む硬質相をNi、Coなどの金属で結合した従来より知られているものが挙げられる。
なお、吸引時に衝撃を受ける場合には、金属結合相量を多めにして靭性を高めたり、耐食性が問題になる場合には、NiやNi−Cr系結合相とするとよい。
【0016】
ここで、本発明の吸着パッドを用いた吸引治具を製造するためには、得られた多孔質焼結体を通気用の孔を有する台金に、接着剤やろう材を用いて接合することになるが、吸着面が曲面の場合には、多孔質焼結体を研磨して曲面を形成してもよいし、多孔質成形体の一面をそれに合わせた形状に成形して焼結してもよい。
【0017】
本発明にかかる吸着パッドの製造方法は、原料粉末を含む第一スラリーをドクターブレード法によりキャリヤーシート上に延ばして第一スラリー層を形成する第一スラリー層形成工程と、この第一スラリー層の上に、原料粉末及び発泡剤を含む第二スラリーをドクターブレード法により延ばして第二スラリー層を形成する第二スラリー層形成工程と、これら第一スラリー層と第二スラリー層とからなる複合スラリ−層を加熱して前記発泡剤を気化させることにより前記第二スラリー層を発泡させて三次元網目構造とする発泡工程と、前記複合スラリー層を乾燥させて複合グリーンシートとする乾燥工程と、該複合グリーンシートの脱脂を行う脱脂工程と、該複合グリーンシートを焼成して複合焼成体とする焼成工程とを有し、このようにして得た複合焼成体を前記パッド本体とすることを特徴としている。
【0018】
この吸着パッドの製造方法では、上記の緻密層と高空隙率層とが一体的に形成されてなるパッド本体を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。ここで、図1は本実施形態にかかる吸引冶具の概略構成を示す縦断面図、図2は本実施形態にかかる吸着パッドの構成を概略的に示す拡大図、図3は本実施形態にかかる吸着パッドの製造方法を示す図である。
【0020】
吸引冶具1は、一面に開口部2aが形成される冶具本体2と、冶具本体2に対して開口部2a全体を覆うようにして設けられる通気性を有するシート状の吸着パッド3とを有している。
冶具本体2において開口部2a内の空間は、真空ポンプ等の図示せぬ排気装置と接続されており、排気装置を作動させることで、吸着パッド3を通じて外気が冶具本体2内に吸引されて、吸着パッド3の吸着面Fに被吸着部品が吸着されるようになっている。
【0021】
吸着パッド3は、一面が吸着面Fをなすシート状のパッド本体6を有するものであって、本実施の形態では、吸着パッド3は、パッド本体6と、パッド本体6の吸着面Fとは反対側を向く面を受ける板状の基盤7と、基盤7においてパッド本体6を受ける一面側にパッド本体6の周囲を囲むようにして設けられる樹脂層8とを有する構成としている。
【0022】
パッド本体6は、微細粒子が焼結されてなる多孔質焼結体によって構成されるものであって、吸着面Fをなす面から基盤7に受けられる面まで通じる空隙を有している。ここで、パッド本体6は、基盤7に対しては、接着剤による接着やろう付け等によって装着されている。例えば、パッド本体6と基盤7とは、互いの接触面にそれぞれニッケルリンめっきを施し、これらを互いのめっき面同士を接触させた状態で加熱させることで、これらが拡散接合される。
【0023】
パッド本体6は、図2に示すように、その吸着面F側に設けられて微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された厚みD1の緻密層11と、開口部2aに向けられる側に設けられて微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす厚みD2の高空隙率層12とを有している。
【0024】
ここで、パッド本体6の製造に用いられる原料粉末としては、吸着パッドに要求される性質に応じて任意の材料の粉末を用いることができる。例えば、吸着面Fをなす緻密層には、耐磨耗性が要求されるので、超硬合金の粉末やサーメットの粉末等の耐磨耗性の高い材料の粉末を用いることが好ましい。
【0025】
基盤7は、少なくともパッド本体6を受ける領域は、厚み方向に通気性を有する構成とされている。本実施の形態では、基盤7を、厚み方向に貫通する複数の通気孔7aを有するアルミニウム製の板材によって構成している。
ここで、通気孔7aは、例えば内径100μmから1000μmの貫通孔とされており、本実施の形態では、通気孔7aとして、内径500μmの丸穴を9本/cm2形成している。
【0026】
樹脂層8は、吸着面Fに吸着された被吸着部品を傷つけることのないよう、例えばABS等、被吸着部品よりも硬度の低い樹脂によって構成されるものであって、その厚みはパッド本体6と同じ厚みとされている。
【0027】
以下に、このように構成される吸引冶具1の製造方法について説明する。
吸引冶具1において、冶具本体2、及び吸着パッド3の基盤7は、それぞれ金属材料を機械加工するか、合成樹脂を成形または機械加工することによって製造される。また、吸着パッド3の樹脂層8は、合成樹脂を成形または機械加工することによって製造されるものであって、基盤7に対しては、基盤7上に直接モールド成形によって形成することで設けられるか、もしくはあらかじめ所望の形状に成形した樹脂層8を接着剤等を用いて接着することで設けられる。
【0028】
次に、パッド本体6の製造方法の一例について説明する。本実施形態にかかるパッド本体6は、図4に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成することによって製造される。
以下に、まずグリーンシート製造装置21の構成について説明する。
グリーンシート製造装置21は、グリーンシートを形成するための下地としてキャリアシート22を用いるものであって、このキャリアシート22が巻き回された巻き出しリール23と、巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取る巻き取りリール24と、巻き出しリール23と巻き取りリール24との間で巻き出しリール23から引き出されたキャリアシート22の少なくとも一部区間を水平状態に保持する複数の支持ロール25とを有しており、キャリアシート22において支持ロール25によって水平状態にして保持される区間が、グリーンシート形成に供されるシート形成区間とされる。
【0029】
シート形成区間には、パッド本体6の緻密層11の原料となる第一スラリーをキャリアシート22上に連続的に供給する第一のホッパー26が設けられ、第一のホッパー26の下流側には、第一のホッパー26からキャリアシート22上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリーを、所望の厚みの第一スラリー層L1に成形する第一のドクターブレード27が設けられている。
【0030】
ここで、第一スラリーとしては、原料粉末とシンナーとの混合体、または必要に応じてこの混合体に界面活性剤を添加したものが用いられる。
本実施の形態では、第一スラリーは、原料粉末を55.2重量%含み、シンナーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース3.9重量%、グリセリン3.8重量%、水37.1重量%を含むものを用いている。ここで、第一スラリーに界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが用いられる。
【0031】
さらに、シート形成区間において第一のドクターブレード27の下流側には、パッド本体6の高空隙率層12の原料となる第二スラリーをキャリアシート22上の第一スラリー層L1上に連続的に供給する第二のホッパー28が設けられ、第二のホッパー28の下流側には、第二のホッパー28から第一スラリー層L1上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第二スラリーを、所望の厚みの第二のグリーン層L2に成形する第二のドクターブレード29が設けられている。
【0032】
ここで、第二スラリーとしては、原料粉末、シンナー、界面活性剤及び発泡剤の混合体からなるものが用いられる。
本実施の形態では、第二スラリーは、原料粉末であるSUS316Lの粉末(平均粒径12μm)を55.0重量%含み、シンナーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース3.8重量%、グリセリン3.6重量%、水29.1重量%を含み、界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを7.1重量%含み、発泡剤であるヘキサンを1.4重量%含むものを用いている。
【0033】
シート形成区間において第二のドクターブレード29の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第二スラリー層L1、L2を高湿度雰囲気下で加熱する恒温・高湿度槽31が設けられており、恒温・高湿度槽31の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第二スラリー層L1、L2を乾燥させて複合グリーンシートSとする乾燥槽32が設けられている。
【0034】
このグリーンシート製造装置21は、巻き取りリール24によって巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取ってシート形成区間でキャリアシート22を移動させることで、キャリアシート22上に、第一、第二スラリー層L1、L2を連続的に形成してグリーンシートとするものである。
以下、このグリーンシート製造装置21を用いたパッド本体6の製造方法を説明する。
まず、キャリアシート22の移動に伴って、第一のホッパー26からキャリアシート22上に第一スラリーを連続的に供給することで、この第一スラリーが第一のドクターブレード27によって所望の厚みの第一スラリー層L1に成形される(第一スラリー層形成工程)。本実施の形態では、第一スラリー層L1の厚みは、200μmとしている。
【0035】
そして、シート形成区間において第一のドクターブレード27よりも下流側で、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリー層L1上に、第二のホッパー28から第二スラリーを連続的に供給することで、この第二スラリーが第二のドクターブレード29によって所望の厚みの第二スラリー層L2に成形される(第二スラリー層形成工程)。本実施の形態では、第二スラリー層L2の厚みは、100μmとしている。
【0036】
〔発泡工程〕
このようにしてキャリアシート22上に積層された第一、第二スラリー層L1、L2からなる複合スラリー層Lは、キャリアシート22の移動に伴って恒温・高湿度槽31内に搬入されて、高湿度雰囲気下での熱処理が施される。
本実施の形態では、この発泡工程において、湿度90%の雰囲気中で温度40°Cで20分間の熱処理が行われる。
このように熱処理が施されることで、第二スラリー層L2に含まれる発泡剤が気化することとなり、これによって第二スラリー層L2が発泡してスポンジ状となる。
ここで、この加熱処理は高湿度雰囲気下で行われており、第一,第二スラリー層L1、L2に含まれるシンナーは揮発せずに第一、第二スラリー層L1、L2内に留まっているので、第二スラリー層L2は、容易に塑性変形可能な状態で発泡させられることとなって、ひび割れ等を生じずにスポンジ状になる。
【0037】
〔乾燥工程〕
このようにして第二スラリー層L2の発泡が行われた複合スラリー層Lは、キャリアシート22の移動に伴って乾燥槽32に搬入されて、各スラリー層に含まれる水分が飛ばされて、複合グリーンシートSとなる。
この乾燥工程では、空気中で温度80°Cで15分間の熱処理が行われる。
【0038】
〔脱脂工程〕
この複合グリーンシートSは、グリーンシート製造装置21から取り出されて、図示しない脱脂装置に送り込まれることにより、複合グリーンシートS中に含まれるヒドロキシプロピルメチルセルロース(糊成分)が飛ばされる。
この脱脂工程では、空気中で温度500°Cで15分間の熱処理が行われる。
【0039】
〔焼成工程〕
脱脂工程を経た複合グリーンシートSは、焼成炉に送り込まれて焼成された後に所望の形状に切り出されるか、または所望の形状に切り出した後に焼成炉に送り込まれて焼成される。
焼成炉としては、例えば真空炉が用いられるが、原料粉末として真空炉による焼成では酸化する可能性のある材質を用いている場合には、還元雰囲気下、例えば5%の水素分子ガスを含む窒素ガス雰囲気下で焼成を行う。
本実施の形態では、原料粉末としてSUS316Lを用いており、真空雰囲気下で温度1200°Cで300分間の熱処理が行われる。
【0040】
このようにして得られた焼成体は、第一スラリー層L1によって構成される部分が緻密層11となり、第二スラリー層L2によって構成される部分が高空隙率層12となる。
ここで、この時点では、焼成体において第一スラリー層L1によって構成される部分の空隙率は40%から50%の範囲内であり、第二スラリー層L2によって構成される部分の空隙率は90%から98%の範囲内である。
【0041】
〔圧延工程〕
このようにして得られた焼成体に、必要に応じて、さらに圧延処理を施して所望の厚みとするとともに、このように焼成体を圧縮することによりその空隙率を所望の値とする。本実施の形態では、焼成体においてパッド本体6の縁部をなす部分は、他の部分よりもさらに圧縮されて他の部分よりも薄く形成される。
ここで、焼成体を圧延しても、第一スラリー層L1によって構成される緻密層11はもちろん、第二スラリー層L2によって構成される高空隙率層12は、厚み方向に圧縮されるだけであって、いびつな形状に変形することはなく、内部の連続気孔は維持される。
【0042】
ここで、この圧延によって焼成体をあまり薄くしすぎると、高空隙率層12の空隙率が低くなってしまうので、圧延後の焼成体の厚みは、150μm以上とすることが望ましい。
また、このように焼成体を圧延することによって得られるパッド本体6は、ごく薄い板状に形成することができ、さらに、このようにパッド本体6が予め十分に圧縮されていることにより、パッド本体6が何らかの外力を受けた際にも塑性変形しにくい。
さらに、このようにパッド本体6を構成する緻密層11と高空隙率層12とを一体に製造することで、これらの付着強度を高くして耐久性を向上させることができる。
【0043】
本実施の形態にかかる吸引冶具1は、従来の吸引冶具と同じく、排気装置によって吸着パッド3を介して外気を吸引することで、吸着パッド3の吸着面Fに被吸着部品を吸着するものである。
【0044】
この吸着パッド3において、高空隙率層12は、中実の骨格を有するがゆえに高い強度を呈するので、空隙率を高く設定して十分な通気性を確保することができる。
また、緻密層11は高空隙率層12によって支持されているので、十分な強度を確保しつつその厚みD1を薄くすることができる。そして、緻密層11の厚みD1を十分に薄くすることで、緻密層11において空気の通過する距離を低減して緻密層11を通じた吸気の圧力損失を低減することができるので、緻密層11においても十分な通気性を確保することができる。
また、高空隙率層12は、厚み方向に交差する方向の通気性も良好であるので、高空隙率層12において基盤7の通気孔7aに対向していない領域に進入した外気も、高空隙率層12において通気孔7aに対向する位置まで速やかに移動することが可能である。このため、この吸着パッド3では、緻密層11のうち、吸着面Fをなす領域を通過した気体を全て速やかに基盤7の通気孔7aに流れ込ませることができるので、排気効率が高い。
【0045】
このように、この吸着パッド3は通気性が十分に確保されており、排気効率も高いので、この吸着パッド3を用いる吸引冶具1は、高い吸引力を得ることができる。
【0046】
さらに、この吸着パッド3では、吸着面Fが緻密層11によって構成されているので、強度及び耐磨耗性が高く耐久性に優れており、寿命が長い。
また、吸着面Fをなす緻密層11は、微細粒子が密に配置されているために、セラミックスのグリーンシートのような軟物質を吸着するときであっても、その表面に凹凸を生じさせることがない。
また、緻密層11は、前記のようにその厚みD1を十分に薄くすることができるので、吸着面Fから緻密層11内にほこりが吸い込まれても、このほこりは速やかに緻密層11を通過して、より空隙率の高い高空隙率層12を通じて冶具本体2内に吸い出されるので、吸着パッド3にほこりによる目詰まりが生じにくい。
【0047】
ここで、上記実施の形態では、パッド本体6が、緻密層11と高空隙率層12とが一体に製造された例を示したが、これに限られることなく、パッド本体6は、それぞれ別体として製造された緻密層11と高空隙率層12とをロウ付けや拡散接合によって接着した構成としてもよい。
【0048】
緻密層11を単体で製造する場合には、上記グリーンシート製造装置21において第二のホッパー28、第二のドクターブレード29、及び恒温・高湿度槽31をなくした構成のグリーンシート製造装置を用いて、第一のホッパー26及び第一のドクターブレード27によって第一のスラリー層L1のみを形成してこの第一のスラリー層L1に乾燥工程を施してグリーンシートを形成する。そして、このグリーンシートを脱脂、焼成し、さらに必要に応じて圧延することで、緻密層11単体を得る。
【0049】
また、高空隙率層12を単体で製造する場合には、上記グリーンシート製造装置21において第一のホッパー26及び第一のドクターブレード27とをなくした構成のグリーンシート製造装置を用いて、第二のホッパー28及び第二のドクターブレード29によって第二のスラリー層L2のみを形成してこの第二のスラリー層L2に発泡工程、乾燥工程を施してグリーンシートを形成する。そして、このグリーンシートの脱脂を行った後に脱脂、焼成、圧延することで、高空隙率層12単体を得る。
【0050】
また、上記実施の形態では、パッド本体6を、緻密層11と高空隙率層12とを一層ずつ積層してなる二層構造とした例を示したが、これに限られることなく、緻密層11に対して複数層の高空隙率層12を積層した構成としてもよい。
この場合には、例えば、これら高空隙率層12のうち、緻密層11に近い側には比較的空隙率または空隙の平均寸法の小さいものを配置し(但し緻密層11よりも空隙率の高いものとする)、緻密層11から離れるにつれて空隙率の高いものを配置する構成として、緻密層11を通過した気体が緻密層11から離間するにつれてスムーズに高空隙率層12を通過するようにすることができる。
【0051】
ここで、このようにパッド本体6を、複数層の高空隙率層12を有する構成とする場合には、緻密層11と各高空隙率層12とをそれぞれ別個に作成したのちにロウ付けや拡散接合によって接着してパッド本体6を得るか、これらを構成するグリーンシート同士を積層した後に脱脂、焼成、圧延を施して、一体のパッド本体6を得る。
また、一層の緻密層11と一層の高空隙率層12とを一体に形成したものに対して、さらに高空隙率層12を必要な数だけ貼り付けることによってパッド本体6を得てもよく、前記複合グリーンシートSにさらに高空隙率層12となるグリーンシートを積層したのちに脱脂、焼成、圧延を施して一体のパッド本体6を得てもよい。
【0052】
【実施例】
以下、本発明にかかる吸引冶具1の吸着性能及び強度を測定した。
この試験では、上記実施の形態に示した吸引冶具1と、この吸引冶具1において吸着パッド3のパッド本体6の代わりに、空隙が三次元網目構造をなす単層の多孔質焼結体からなるパッド本体を用いた吸引冶具(以下、従来例とする)とを用いてそれぞれ被吸着部品を吸着し、縦10cm、横10cm、高さ0.1cm、重量87gの被吸着部品を吸着し、これを吸着パッド3から引き剥がすのに要する力を測定した。吸引冶具1及び従来例の構成とこの試験結果とを、次の表1、表2、表3に示す。
ここで、吸引冶具1としては、パッド本体6の緻密層11の空隙率を44体積%、高空隙率層12の空隙率を62体積%とし、緻密層11の空隙の平均寸法を5μm、高空隙率層12の空隙の平均寸法を80μmとし、緻密層11の厚みD1を152μm、高空隙率層12の厚みD2を700μmとしたもの(実施例1)を基本として、緻密層11及び高空隙率層12の空隙率のみ異なるもの(実施例2〜6)、緻密層11及び高空隙率層12の空隙の平均寸法のみ異なるもの(実施例7〜11)、厚みD1、D2のみ異なるもの(実施例12〜16)を用意した。また、従来例では、パッド本体の空隙率は従来技術で実現可能な最大値(30体積%)とし、空隙の平均寸法は15μm、パッド本体の厚みは823μmとした。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
表1からわかるように、従来例では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は15Nであった。
これに対して、実施例1では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は37Nであり、実施例1は、従来例に比べて吸着力が高いことがわかる。
そして、実施例2、3、4の試験結果からわかるように、緻密層11及び高空隙率層12の空隙率が高いものほど吸着力が高いことがわかる。
これは、緻密層11及び高空隙率層12の空隙率が高くなるほど、吸着パッド3の通気性が高くなっているためと思われる。
【0057】
一方、本発明にかかる吸引冶具1のうち、緻密層11の空隙率を実施例2と同一とし、高空隙率層12の空隙率を実施例1と同一とした実施例5では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は19Nであり、高空隙率層12の空隙率を実施例1と同一とし、緻密層11の空隙率を、高空隙率層12の空隙率よりも低い範囲で最大(38体積%)とした実施例6では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は18Nと、いずれも実施例3よりも吸着力が低い。
このことから、緻密層11と高空隙率層12とのうちいずれか一方の空隙率が低い場合には、他方の空隙率が高くてもそれほど通気性が向上しないことがわかる。
【0058】
以上の結果からわかるように、パッド本体6の空隙率は、緻密層11で32体積%以上、高空隙率層12で40体積%以上とすることが好ましく、緻密層11で40体積%以上、高空隙率層12で60体積%以上とすることがより好ましい。
ここで、緻密層11の空隙率が50体積%を超えると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。また、高空隙率層12の空隙率が90体積%を超えると、高空隙率層12において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、パッド本体6の空隙率は、緻密層11で50体積%以下、高空隙率層12で90体積%以下とすることが好ましく、緻密層11で49体積%以下、高空隙率層12で80体積%以下とすることがより好ましい。
【0059】
また、表2からわかるように、実施例7、8、9では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力はそれぞれ17N、22N、33Nであり、実施例7〜9は、従来例に比べて吸着力が高く、また、緻密層11及び高空隙率層12の空隙の平均寸法が大きいものほど吸着力が高いことがわかる。
これは、緻密層11及び高空隙率層12の空隙の平均寸法が大きくなるほど、吸着パッド3の通気性が高くなっているためと思われる。
【0060】
一方、本発明にかかる吸引冶具1のうち、緻密層11の空隙の平均寸法を実施例7と同一とし、高空隙率層12の空隙の平均寸法を実施例1と同一とした実施例10では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は18Nであり、緻密層11の空隙の平均寸法を実施例1と同一とし、高空隙率層12の空隙の平均寸法を実施例7と同一とした実施例11では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は19Nと、いずれも実施例8よりも吸着力が低い。
このことから、緻密層11と高空隙率層12とのうちいずれか一方の空隙の平均寸法率が小さい場合には、他方の空隙の平均寸法が大きくてもそれほど通気性が向上しないことがわかる。
【0061】
以上の結果からわかるように、パッド本体6の空隙の平均寸法は、緻密層11で1μm以上、高空隙率層12で30μm以上とすることが好ましく、緻密層11で2μm以上、高空隙率層12で250μm以上とすることがより好ましい。ここで、緻密層11の空隙の平均寸法が30μmを超えると、耐磨耗性が低下するとともに、グリーンシートのような軟物質からなる被吸着部品に変形などの悪影響を与えてしまうおそれが生じる。また、高空隙率層12の空隙の平均寸法が500μmを超えると、高空隙率層12において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、パッド本体6の空隙の平均寸法は、緻密層11で30μm以下、高空隙率層12で500μm以下とすることが好ましく、緻密層11で20μm以下、高空隙率層12で300μm以下とすることがより好ましい。
【0062】
また、表3からわかるように、実施例12、13、14では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力はそれぞれ17N、20N、28Nであり、実施例12〜14は、従来例に比べて吸着力が高く、また、緻密層11及び高空隙率層12の厚みが小さいものほど吸着力が高いことがわかる。
これは、緻密層11及び高空隙率層12の厚みが小さくなるほど、吸着パッド3を通じた吸気の圧力損失が少なくなっているためと思われる。
【0063】
一方、本発明にかかる吸引冶具1のうち、緻密層11の厚みD1を実施例12と同一とし、高空隙率層12の厚みD2を実施例1と同一とした実施例15では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は18Nであり、緻密層11の厚みD1を実施例1と同一とし、高空隙率層12の厚みD2を実施例12と同一とした実施例16では、被吸着部品を引き剥がす際に要した力は19Nと、いずれも実施例13よりも吸着力が弱かった。
このことから、緻密層11と高空隙率層12とのうちいずれか一方の厚みが小さい場合には、他方の厚みが大きくてもそれほど通気性が向上しないことがわかる。
【0064】
以上の結果からわかるように、パッド本体6の緻密層11の厚みD1は500μm以下、高空隙率層12の厚みD2は1000μm以下とすることが好ましく、緻密層11の厚みD1は200μm以下、高空隙率層12の厚みD2は800μm以下とすることがより好ましい。
ここで、緻密層11の厚みD1が50μmよりも小さいと、強度が低下するので、厚みD1は50μm以上とすることが好ましく、70μm以上とすることがより好ましい。
同様に、高空隙率層12の厚みD2が300μmよりも小さいと、強度が低下するので、厚みD2は300μm以上とすることが好ましく、400μm以上とすることがより好ましい。
【0065】
【発明の効果】
本発明にかかる吸引冶具の吸着パッドでは、パッド本体が、吸着面をなす緻密層と、この緻密層よりも空隙率が高く通気性に優れた高空隙率層とを積層した構成とされているので、緻密層によって高い耐磨耗性を得ていて長寿命である一方で、緻密層を通過して高空隙率層に達した気体は、緻密層よりも空隙率が高い高空隙率層を通じて速やかに冶具本体内に達するので、通気性を十分に確保することができ、高い吸引力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる吸引冶具の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本実施形態にかかる吸引冶具に用いられる吸着パッドのパッド本体の構成を概略的に示す拡大図である。
【図3】本実施形態にかかる吸着パッドの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 吸引治具 3 吸着パッド
6 パッド本体 11 緻密層
12 高空隙率層 D1 緻密層の厚み
D2 高空隙率層の厚み F 吸着面
L1 第一スラリー層 L2 第二スラリー層
S 複合グリーンシート
Claims (7)
- 吸引によって部品等を搬送あるいは固定する吸引治具の吸着面に用いられる吸着パッドであって、
パッド本体は、微細粒子が焼結されてなる多孔質焼結体とされ、
該パッド本体は、前記吸着面側に設けられて前記微細粒子間に互いに連通する三次元網目構造の空隙が形成された緻密層と、
前記吸引冶具側に設けられて前記微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造をなす高空隙率層とを有していることを特徴とする吸着パッド。 - 前記緻密層の空隙率は32%から50%の範囲内とされ、
前記高空隙率層の空隙率は40%から90%の範囲内とされていることを特徴とする請求項1記載の吸着パッド。 - 前記高空隙率層の空隙の平均寸法が30μmから500μmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着パッド。
- 前記緻密層の厚みD1は500μm以下とされ、
前記高空隙率層の厚みD2は1000μm以下とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の吸着パッド。 - 少なくとも前記緻密層をなす前記微細粒子が超硬合金あるいはサーメットからなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の吸着パッド。
- 吸引によって部品等を搬送あるいは固定する吸引治具であって、その吸着面に、請求項1から5のいずれかに記載の吸着パッドが用いられていることを特徴とする吸引治具。
- 請求項1から5のいずれかに記載の吸着パッドの製造方法であって、
原料粉末を含む第一スラリーをドクターブレード法によりキャリヤーシート上に延ばして第一スラリー層を形成する第一スラリー層形成工程と、
この第一スラリー層の上に、原料粉末及び発泡剤を含む第二スラリーをドクターブレード法により延ばして第二スラリー層を形成する第二スラリー層形成工程と、
これら第一スラリー層と第二スラリー層とからなる複合スラリ−層を加熱して前記発泡剤を気化させることにより前記第二スラリー層を発泡させて三次元網目構造とする発泡工程と、
前記複合スラリー層を乾燥させて複合グリーンシートとする乾燥工程と、
該複合グリーンシートの脱脂を行う脱脂工程と、
該複合グリーンシートを焼成して複合焼成体とする焼成工程とを有し、
このようにして得た複合焼成体を前記パッド本体とすることを特徴とする吸着パッドの製造方法。
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