JP2004068122A - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、並びにチューブ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を得る。
【解決手段】Al−Mn系アルミニウム合金芯材の片面にAl−Si系又はAl−Si−Zn系アルミニウム合金ろう材をクラッドし、芯材の他方の面にAl−Mg−Zn系アルミニウム合金犠牲材をクラッドしたクラッド材において、犠牲材の厚みのばらつきが6%以下である。また、熱間クラッド圧延後、冷間圧延、280〜340℃未満で3時間以上保持の1回目中間焼鈍、冷間圧延、280〜450℃で3時間以上保持の最後の中間焼鈍、最終冷間圧延の工程で行う製造方法が好ましい。
【効果】耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】Al−Mn系アルミニウム合金芯材の片面にAl−Si系又はAl−Si−Zn系アルミニウム合金ろう材をクラッドし、芯材の他方の面にAl−Mg−Zn系アルミニウム合金犠牲材をクラッドしたクラッド材において、犠牲材の厚みのばらつきが6%以下である。また、熱間クラッド圧延後、冷間圧延、280〜340℃未満で3時間以上保持の1回目中間焼鈍、冷間圧延、280〜450℃で3時間以上保持の最後の中間焼鈍、最終冷間圧延の工程で行う製造方法が好ましい。
【効果】耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が得られる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関するもので、ノコロックろう付および真空ろう付法により組み立てられる自動車用ラジエータやヒータコアのチューブ材に適用でき、優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、並びにチューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ラジエータやヒータコアのクラッドチューブ材はアルミニウム合金芯材の片面に、アルミニウム合金からなるろう材を、他面に芯材より電位の卑なアルミニウム合金からなる犠牲材をクラッドする3層のアルミニウム合金ブレージングシートが提案されており、耐食性と強度に優れるクラッド材としては、犠牲材にAl−Mg−Zn系合金を適用したクラッド材が知られている。
【0003】
近年、熱交換器は小型・軽量化の方向にあり、それに伴って要求されるチューブの高強度化・薄肉化への要求があるが、上記の技術では犠牲材のMg含有量が多いことと、チューブ材の高強度化・薄肉化への要求があることから犠牲材へのZn含有量も多くなる傾向にある。そのため従来の製造条件では犠牲材のクラッド率が目標の6%以上振れるケースが多くなり、材料の観察位置によっては犠牲材が全くなく、芯材が露出してしまうようなケースも見受けられるようになり、耐食性が低下する問題が発生していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、発明者らは研究を重ねた結果、耐食性を向上させるため以下の知見を得た。犠牲材の厚みのばらつきを6%以下とすることにより、耐食性に優れるクラッド材を得ることが可能となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、Al−Mn系アルミニウム合金芯材の片面にAl−Si系又はAl−Si−Zn系アルミニウム合金ろう材をクラッドし、芯材の他方の面にAl−Mg−Zn系アルミニウム合金犠牲材をクラッドしたクラッド材において、犠牲材の厚みのばらつきが6%以下であることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、請求項1記載の発明において、前記芯材が重量%でMn:0.8〜2.0%、Si:0.3〜1.0%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であり、前記犠牲材が重量%でMg:0.2〜2.0%、Zn:0.5〜10%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、請求項2記載の発明において、前記芯材が更に重量%でCu:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%、Ti:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.1%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、請求項2又は3記載の発明において、前記犠牲材が更に重量%でSi:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Ti:0.02〜0.18%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法の発明は、請求項1〜4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法において、熱間クラッド圧延後、冷間圧延、280〜340℃未満で3時間以上保持の1回目中間焼鈍、冷間圧延、280〜450℃で3時間以上保持の最後の中間焼鈍、最終冷間圧延の工程で行うことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載のチューブの発明は、請求項1〜4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材からなることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載のチューブの発明は、請求項5記載の製造方法で製造した熱交換器用アルミニウム合金クラッド材からなることを特徴とする。
【0012】
本発明における組織、合金成分や中間焼鈍温度の意義及びその限定理由について説明する。
犠牲材の厚みのばらつきが6%以下であることが好ましい。このようにすることで耐食性を向上させることができる。犠牲材の厚みが6%を越えると耐食性が低下する。
【0013】
(1)芯材成分
Mn:0.8〜2.0%
Mnは芯材素地中にAl−Mn系化合物として分散し、強度を向上させる作用がある。最も好ましい範囲は1.0〜1.5%である。
0.8%未満ではその効果が不十分であり、一方、2.0%より多い場合には粗大なAl−Mn系化合物の形成により圧延加工性が低下する。
【0014】
Si:0.3〜1.0%
SiはMnと共存する事によりAl−Mn−Si系化合物となって素地中に分散、あるいは固溶して強度を向上させる効果を有する。最も好ましい含有量は0.3〜0.8%である。0.3%未満では強度向上の効果に乏しく、一方1.0%より多い場合では芯材の融点を著しく低下させる。
【0015】
Cu:0.1〜1.0%
Cuはマトリックスに固溶して強度を向上させると共に、芯材の電気化学的性質を貴にし、犠牲陽極材との電位差を大きくする作用がある。好ましい添加量は0.3〜0.8%である。0.1%未満ではその効果が十分ではなく、一方、1.0%より多い場合、融点が低下するためろう付け時に材料が溶融しやすくなる。
【0016】
Fe:0.1〜1.0%
Feは芯材素地中にAl−Fe系化合物を分散させることにより、芯材強度を向上させる事ができる。最も好ましい含有量は0.5〜1.0%である。0.1%未満では強度向上の効果は小さく、1.0%より多い場合では同時に添加されるMnと巨大晶出物を生成させ、圧延性や加工性に影響が出ると共に芯材の腐食性を増大させる。
【0017】
Ti:0.05〜0.2%
Tiは圧延時に圧延方向に対して形成されたTiの濃淡層が孔食電位の差を層状に作ることから腐食の成長を抑制することができる。また、金属間化合物としても強度向上に寄与する。好ましい範囲は0.07〜0.15%である。0.05%未満では所望の耐食性が得られず、0.2%を超えても耐食性向上へのより一層の効果は得られない。
【0018】
Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%
いずれも素地にAlとの各種化合物を形成し強度を向上させるので必要に応じて添加される。最も好ましい含有量としてはV:0.2〜0.4%、Cr:0.2〜0.5%、Zr:0.1〜0.2%の範囲である。V:0.05%未満、Cr:0.05%未満、Zr:0.05%未満では所望の強度向上効果が得られず、一方その含有量がV:0.5%、Cr:0.5%、Zr:0.2%をそれぞれ超えてもより一層の強度向上は望めない。
【0019】
Mg:0.01〜0.1%
Mgはマトリックスに固溶して強度を向上させる。0.01%未満では強度向上は望めず、0.1%を超えて含有するとノコロックろう付の際に接合不良を発生する。
【0020】
(2)犠牲材成分
Mg:0.2〜2.0%
Mgはマトリックスに固溶して強度を向上させると共に、ろう付熱処理により芯材に拡散あるいは芯材中のSiとMg2Siを形成して強度を向上させる効果がある。好ましい含有量としては0.4〜1.7%である。0.2%未満では強度向上は望めず、2.0%を超えて含有してもより一層の強度向上効果は得られず、熱間圧延性(クラッド性)が低下する。
【0021】
Zn:0.5〜10%
Znは腐食形態を全面腐食にするという効果を持ち、犠牲材の電位を卑にして芯材に対する犠牲陽極効果を保持させる効果を持つ。最も好ましい含有量としては3〜8%の範囲である。0.5%未満では腐食形態は局部腐食による孔食となり、電位を卑にする効果は小さく早期に貫通孔となる。10%よりも多い場合は犠牲材の自己腐食性が増大すると共に圧延加工性が低下する。
【0022】
Si:0.1〜1.0%
SiはMnと共存する事によりAl−Mn−Si系化合物となって素地中に分散、あるいは固溶して強度を向上させる効果を有する。最も好ましい含有量は0.2〜0.8%である。0.1%未満では強度向上の効果に乏しく、一方1.0%より多い場合では融点を著しく低下させる。
【0023】
Mn:0.1〜1.2%
Mnは素地中にAl−Mn系化合物として分散し、強度を向上させる作用がある。また、Siと同時添加された場合は化合物が微細析出しさらに強度が向上する。最も好ましい範囲は0.3〜1.0%である。0.1%未満では強度への効果が不十分であり、1.2%より多い場合は、犠牲材の孔食電位を貴にさせるため犠牲材と芯材との電位差を確保するのが困難となる。
【0024】
Fe:0.1〜1.0%
素地中にAl−Fe系化合物を分散させることにより、強度を向上させる事ができる。最も好ましい含有量は0.2〜1.0%である。0.1%未満では強度向上の効果は小さく、1.0%より多い場合ではMnと同時に添加されると巨大晶出物を生成させ、圧延性や加工性に影響が出ると共に耐食性を悪化させる。
【0025】
Ni:0.1〜1.0%
素地中にAl−Ni系化合物として分散し、強度を向上させる作用がある。最も好ましい範囲は0.2〜0.8%である。0.1%未満では強度への効果が不十分であり、1.0%より多い場合は、耐食性を悪化させる。
【0026】
Ti:0.02〜0.18%
圧延時に圧延方向に対して形成されたTiの濃淡層が孔食電位の差を層状に作ることから腐食の成長を抑制することができる。Znとの同時添加でより一層の効果が得られる。また、金属間化合物としても強度向上に寄与する。好ましい範囲は0.05〜0.15%である。0.02%未満では所望の耐食性が得られず、0.18%を超えても耐食性向上へのより一層の効果は得られない。
【0027】
(3)ろう材成分
ろう材はAl−Si系合金又はAl−Si−Zn系合金がよい。
【0028】
中間焼鈍温度が340℃以上と高い場合、犠牲材は再結晶組織となっており、時効硬化に影響を及ぼすMgやZnが固溶された状態である。これらは時間の経過と共に1μm未満のMgZn2として微細に析出し、犠牲材を時効硬化させる。この現象を防止するため280〜340℃未満の比較的低温で3時間以上保持することにより犠牲材を再結晶組織とすると共に、MgやZnの化合物を1μm以上の大きさで再結晶粒界に粗大に析出させることにより時効硬化性を低下させる。保持時間は3時間以上であればよいが、生産性から6時間以下が好ましい。これにより、続く冷間圧延での圧延性の悪化が避けられ、犠牲材のクラッド率が均一となる。焼鈍温度が340℃以上と高い場合は前述の通り圧延性が悪化し、280℃よりも低い場合は犠牲材組織が再結晶しない。よって1回目の中間焼鈍は上記条件で行う。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は最終冷間圧延率が比較的低いので、最後の中間焼鈍温度の上限は1回目より高くてもよく、450℃以下とする。280℃より低い場合は圧延組織が残存した状態で材料が製造されるため、チューブフォーミングの際に犠牲材が層状の剥離をしてしまう。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の犠牲材の厚みのばらつき(%)は、長さ100mmのサンプルから圧延方向に対して任意の10点を測定し、クラッド率の最大と最小の差を示すものである。
また、本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は犠牲材の厚みのばらつきが6%以下であれば製造方法は限定されないが、次の方法が好ましい。芯材、犠牲材およびろう材を重ね合せて熱間圧延によりクラッドする。その後、冷間圧延を行い、中間焼鈍を280〜340℃未満、3時間以上保持の条件で実施後さらに冷間圧延を行う。必要により中間焼鈍は冷間圧延途中で2回以上行ってもよく、中間焼鈍後の冷延率が高い場合は280〜340℃未満で3時間以上行うのが好ましい。中間焼鈍後の冷延率が低い場合は必ずしも上記条件で行わなくてもよい。このように冷間圧延、中間焼鈍を行いながら最終冷間圧延で最終板厚に仕上げる。
本発明のアルミニウム合金クラッド材を電縫管等のチューブ等に加工し、ノコロックろう付や真空ろう付法により自動車用ラジエータやヒータコアなどの熱交換器に組み立てる。
【0030】
【実施例】
表1に示す芯材合金を鋳造後、通常の方法により両面を面削した。この芯材に予め準備した表2に示す組成の犠牲材およびAl−10%Siろう材を表3の組み合わせで芯材の両面に犠牲材15%、芯材75%、ろう材10%となるように重ね合せて熱間圧延によりクラッドした。その後、冷間圧延により4mmまで圧延を行い、表3の温度で3h、1回目の中間焼鈍実施後、30日間室温放置後、0.3mmまで圧延を行い、さらに表3の温度で3h、最後の中間焼鈍実施後、30日間室温放置後、冷間圧延を行い0.2mmの板厚に仕上げた。試験片を600℃で4分間保持した後、冷却速度100℃/minで室温まで冷却するろう付を想定した熱処理を行った。
クラッド率の分布は、長さ100mmのサンプルから圧延方向に対して任意の10点を測定し、クラッド率の最大と最小の差を示した。
引張試験は、ろう付を想定した熱処理の後に、JIS−13B号引張り試験片を切出して行なった。
耐食性はCl−:195ppm、SO4 2−:60ppm、Fe3+:30ppm、Cu2+:1ppmを含む水溶液を腐食液とし、80℃の溶液中に8時間浸漬した後、室温の静止腐食液の中に16時間浸漬保持するサイクルを30日間行い、30日経過後の犠牲材層の表面からの最大腐食深さを測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
表3から明らかなように、本発明例は比較例と比べ、犠牲材のクラッド率の均一性に優れることがわかる。また、ろう付後の強度も優れている。
【0035】
【発明の効果】
上述のように、本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は犠牲材のクラッド率の均一性に優れることから、自動車用ラジエータやヒータコアのチューブ材に適用でき、優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材として使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関するもので、ノコロックろう付および真空ろう付法により組み立てられる自動車用ラジエータやヒータコアのチューブ材に適用でき、優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、並びにチューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ラジエータやヒータコアのクラッドチューブ材はアルミニウム合金芯材の片面に、アルミニウム合金からなるろう材を、他面に芯材より電位の卑なアルミニウム合金からなる犠牲材をクラッドする3層のアルミニウム合金ブレージングシートが提案されており、耐食性と強度に優れるクラッド材としては、犠牲材にAl−Mg−Zn系合金を適用したクラッド材が知られている。
【0003】
近年、熱交換器は小型・軽量化の方向にあり、それに伴って要求されるチューブの高強度化・薄肉化への要求があるが、上記の技術では犠牲材のMg含有量が多いことと、チューブ材の高強度化・薄肉化への要求があることから犠牲材へのZn含有量も多くなる傾向にある。そのため従来の製造条件では犠牲材のクラッド率が目標の6%以上振れるケースが多くなり、材料の観察位置によっては犠牲材が全くなく、芯材が露出してしまうようなケースも見受けられるようになり、耐食性が低下する問題が発生していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、発明者らは研究を重ねた結果、耐食性を向上させるため以下の知見を得た。犠牲材の厚みのばらつきを6%以下とすることにより、耐食性に優れるクラッド材を得ることが可能となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、Al−Mn系アルミニウム合金芯材の片面にAl−Si系又はAl−Si−Zn系アルミニウム合金ろう材をクラッドし、芯材の他方の面にAl−Mg−Zn系アルミニウム合金犠牲材をクラッドしたクラッド材において、犠牲材の厚みのばらつきが6%以下であることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、請求項1記載の発明において、前記芯材が重量%でMn:0.8〜2.0%、Si:0.3〜1.0%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であり、前記犠牲材が重量%でMg:0.2〜2.0%、Zn:0.5〜10%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、請求項2記載の発明において、前記芯材が更に重量%でCu:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%、Ti:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.1%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の発明は、請求項2又は3記載の発明において、前記犠牲材が更に重量%でSi:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Ti:0.02〜0.18%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法の発明は、請求項1〜4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法において、熱間クラッド圧延後、冷間圧延、280〜340℃未満で3時間以上保持の1回目中間焼鈍、冷間圧延、280〜450℃で3時間以上保持の最後の中間焼鈍、最終冷間圧延の工程で行うことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載のチューブの発明は、請求項1〜4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材からなることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載のチューブの発明は、請求項5記載の製造方法で製造した熱交換器用アルミニウム合金クラッド材からなることを特徴とする。
【0012】
本発明における組織、合金成分や中間焼鈍温度の意義及びその限定理由について説明する。
犠牲材の厚みのばらつきが6%以下であることが好ましい。このようにすることで耐食性を向上させることができる。犠牲材の厚みが6%を越えると耐食性が低下する。
【0013】
(1)芯材成分
Mn:0.8〜2.0%
Mnは芯材素地中にAl−Mn系化合物として分散し、強度を向上させる作用がある。最も好ましい範囲は1.0〜1.5%である。
0.8%未満ではその効果が不十分であり、一方、2.0%より多い場合には粗大なAl−Mn系化合物の形成により圧延加工性が低下する。
【0014】
Si:0.3〜1.0%
SiはMnと共存する事によりAl−Mn−Si系化合物となって素地中に分散、あるいは固溶して強度を向上させる効果を有する。最も好ましい含有量は0.3〜0.8%である。0.3%未満では強度向上の効果に乏しく、一方1.0%より多い場合では芯材の融点を著しく低下させる。
【0015】
Cu:0.1〜1.0%
Cuはマトリックスに固溶して強度を向上させると共に、芯材の電気化学的性質を貴にし、犠牲陽極材との電位差を大きくする作用がある。好ましい添加量は0.3〜0.8%である。0.1%未満ではその効果が十分ではなく、一方、1.0%より多い場合、融点が低下するためろう付け時に材料が溶融しやすくなる。
【0016】
Fe:0.1〜1.0%
Feは芯材素地中にAl−Fe系化合物を分散させることにより、芯材強度を向上させる事ができる。最も好ましい含有量は0.5〜1.0%である。0.1%未満では強度向上の効果は小さく、1.0%より多い場合では同時に添加されるMnと巨大晶出物を生成させ、圧延性や加工性に影響が出ると共に芯材の腐食性を増大させる。
【0017】
Ti:0.05〜0.2%
Tiは圧延時に圧延方向に対して形成されたTiの濃淡層が孔食電位の差を層状に作ることから腐食の成長を抑制することができる。また、金属間化合物としても強度向上に寄与する。好ましい範囲は0.07〜0.15%である。0.05%未満では所望の耐食性が得られず、0.2%を超えても耐食性向上へのより一層の効果は得られない。
【0018】
Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%
いずれも素地にAlとの各種化合物を形成し強度を向上させるので必要に応じて添加される。最も好ましい含有量としてはV:0.2〜0.4%、Cr:0.2〜0.5%、Zr:0.1〜0.2%の範囲である。V:0.05%未満、Cr:0.05%未満、Zr:0.05%未満では所望の強度向上効果が得られず、一方その含有量がV:0.5%、Cr:0.5%、Zr:0.2%をそれぞれ超えてもより一層の強度向上は望めない。
【0019】
Mg:0.01〜0.1%
Mgはマトリックスに固溶して強度を向上させる。0.01%未満では強度向上は望めず、0.1%を超えて含有するとノコロックろう付の際に接合不良を発生する。
【0020】
(2)犠牲材成分
Mg:0.2〜2.0%
Mgはマトリックスに固溶して強度を向上させると共に、ろう付熱処理により芯材に拡散あるいは芯材中のSiとMg2Siを形成して強度を向上させる効果がある。好ましい含有量としては0.4〜1.7%である。0.2%未満では強度向上は望めず、2.0%を超えて含有してもより一層の強度向上効果は得られず、熱間圧延性(クラッド性)が低下する。
【0021】
Zn:0.5〜10%
Znは腐食形態を全面腐食にするという効果を持ち、犠牲材の電位を卑にして芯材に対する犠牲陽極効果を保持させる効果を持つ。最も好ましい含有量としては3〜8%の範囲である。0.5%未満では腐食形態は局部腐食による孔食となり、電位を卑にする効果は小さく早期に貫通孔となる。10%よりも多い場合は犠牲材の自己腐食性が増大すると共に圧延加工性が低下する。
【0022】
Si:0.1〜1.0%
SiはMnと共存する事によりAl−Mn−Si系化合物となって素地中に分散、あるいは固溶して強度を向上させる効果を有する。最も好ましい含有量は0.2〜0.8%である。0.1%未満では強度向上の効果に乏しく、一方1.0%より多い場合では融点を著しく低下させる。
【0023】
Mn:0.1〜1.2%
Mnは素地中にAl−Mn系化合物として分散し、強度を向上させる作用がある。また、Siと同時添加された場合は化合物が微細析出しさらに強度が向上する。最も好ましい範囲は0.3〜1.0%である。0.1%未満では強度への効果が不十分であり、1.2%より多い場合は、犠牲材の孔食電位を貴にさせるため犠牲材と芯材との電位差を確保するのが困難となる。
【0024】
Fe:0.1〜1.0%
素地中にAl−Fe系化合物を分散させることにより、強度を向上させる事ができる。最も好ましい含有量は0.2〜1.0%である。0.1%未満では強度向上の効果は小さく、1.0%より多い場合ではMnと同時に添加されると巨大晶出物を生成させ、圧延性や加工性に影響が出ると共に耐食性を悪化させる。
【0025】
Ni:0.1〜1.0%
素地中にAl−Ni系化合物として分散し、強度を向上させる作用がある。最も好ましい範囲は0.2〜0.8%である。0.1%未満では強度への効果が不十分であり、1.0%より多い場合は、耐食性を悪化させる。
【0026】
Ti:0.02〜0.18%
圧延時に圧延方向に対して形成されたTiの濃淡層が孔食電位の差を層状に作ることから腐食の成長を抑制することができる。Znとの同時添加でより一層の効果が得られる。また、金属間化合物としても強度向上に寄与する。好ましい範囲は0.05〜0.15%である。0.02%未満では所望の耐食性が得られず、0.18%を超えても耐食性向上へのより一層の効果は得られない。
【0027】
(3)ろう材成分
ろう材はAl−Si系合金又はAl−Si−Zn系合金がよい。
【0028】
中間焼鈍温度が340℃以上と高い場合、犠牲材は再結晶組織となっており、時効硬化に影響を及ぼすMgやZnが固溶された状態である。これらは時間の経過と共に1μm未満のMgZn2として微細に析出し、犠牲材を時効硬化させる。この現象を防止するため280〜340℃未満の比較的低温で3時間以上保持することにより犠牲材を再結晶組織とすると共に、MgやZnの化合物を1μm以上の大きさで再結晶粒界に粗大に析出させることにより時効硬化性を低下させる。保持時間は3時間以上であればよいが、生産性から6時間以下が好ましい。これにより、続く冷間圧延での圧延性の悪化が避けられ、犠牲材のクラッド率が均一となる。焼鈍温度が340℃以上と高い場合は前述の通り圧延性が悪化し、280℃よりも低い場合は犠牲材組織が再結晶しない。よって1回目の中間焼鈍は上記条件で行う。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は最終冷間圧延率が比較的低いので、最後の中間焼鈍温度の上限は1回目より高くてもよく、450℃以下とする。280℃より低い場合は圧延組織が残存した状態で材料が製造されるため、チューブフォーミングの際に犠牲材が層状の剥離をしてしまう。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の犠牲材の厚みのばらつき(%)は、長さ100mmのサンプルから圧延方向に対して任意の10点を測定し、クラッド率の最大と最小の差を示すものである。
また、本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は犠牲材の厚みのばらつきが6%以下であれば製造方法は限定されないが、次の方法が好ましい。芯材、犠牲材およびろう材を重ね合せて熱間圧延によりクラッドする。その後、冷間圧延を行い、中間焼鈍を280〜340℃未満、3時間以上保持の条件で実施後さらに冷間圧延を行う。必要により中間焼鈍は冷間圧延途中で2回以上行ってもよく、中間焼鈍後の冷延率が高い場合は280〜340℃未満で3時間以上行うのが好ましい。中間焼鈍後の冷延率が低い場合は必ずしも上記条件で行わなくてもよい。このように冷間圧延、中間焼鈍を行いながら最終冷間圧延で最終板厚に仕上げる。
本発明のアルミニウム合金クラッド材を電縫管等のチューブ等に加工し、ノコロックろう付や真空ろう付法により自動車用ラジエータやヒータコアなどの熱交換器に組み立てる。
【0030】
【実施例】
表1に示す芯材合金を鋳造後、通常の方法により両面を面削した。この芯材に予め準備した表2に示す組成の犠牲材およびAl−10%Siろう材を表3の組み合わせで芯材の両面に犠牲材15%、芯材75%、ろう材10%となるように重ね合せて熱間圧延によりクラッドした。その後、冷間圧延により4mmまで圧延を行い、表3の温度で3h、1回目の中間焼鈍実施後、30日間室温放置後、0.3mmまで圧延を行い、さらに表3の温度で3h、最後の中間焼鈍実施後、30日間室温放置後、冷間圧延を行い0.2mmの板厚に仕上げた。試験片を600℃で4分間保持した後、冷却速度100℃/minで室温まで冷却するろう付を想定した熱処理を行った。
クラッド率の分布は、長さ100mmのサンプルから圧延方向に対して任意の10点を測定し、クラッド率の最大と最小の差を示した。
引張試験は、ろう付を想定した熱処理の後に、JIS−13B号引張り試験片を切出して行なった。
耐食性はCl−:195ppm、SO4 2−:60ppm、Fe3+:30ppm、Cu2+:1ppmを含む水溶液を腐食液とし、80℃の溶液中に8時間浸漬した後、室温の静止腐食液の中に16時間浸漬保持するサイクルを30日間行い、30日経過後の犠牲材層の表面からの最大腐食深さを測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
表3から明らかなように、本発明例は比較例と比べ、犠牲材のクラッド率の均一性に優れることがわかる。また、ろう付後の強度も優れている。
【0035】
【発明の効果】
上述のように、本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は犠牲材のクラッド率の均一性に優れることから、自動車用ラジエータやヒータコアのチューブ材に適用でき、優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウム合金クラッド材として使用できる。
Claims (7)
- Al−Mn系アルミニウム合金芯材の片面にAl−Si系又はAl−Si−Zn系アルミニウム合金ろう材をクラッドし、芯材の他方の面にAl−Mg−Zn系アルミニウム合金犠牲材をクラッドしたクラッド材において、犠牲材の厚みのばらつきが6%以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記芯材が重量%でMn:0.8〜2.0%、Si:0.3〜1.0%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であり、前記犠牲材が重量%でMg:0.2〜2.0%、Zn:0.5〜10%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記芯材が更に重量%でCu:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%、Ti:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.1%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする請求項2記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記犠牲材が更に重量%でSi:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Ti:0.02〜0.18%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成であることを特徴とする請求項2又は3記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 請求項1〜4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法において、熱間クラッド圧延後、冷間圧延、280〜340℃未満で3時間以上保持の1回目中間焼鈍、冷間圧延、280〜450℃で3時間以上保持の最後の中間焼鈍、最終冷間圧延の工程で行うことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法。
- 請求項1〜4記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材からなることを特徴とするチューブ。
- 請求項5記載の製造方法で製造した熱交換器用アルミニウム合金クラッド材からなることを特徴とするチューブ。
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|---|---|---|---|---|
| JP2010202919A (ja) * | 2009-03-02 | 2010-09-16 | Kobe Steel Ltd | アルミニウム合金クラッド材 |
| JP2016003356A (ja) * | 2014-06-16 | 2016-01-12 | 三菱アルミニウム株式会社 | 熱交換器 |
| CN109174966A (zh) * | 2018-08-24 | 2019-01-11 | 湖南科技大学 | Al/Cu/Mg复合板材轧制制备方法 |
| CN115446110A (zh) * | 2022-09-06 | 2022-12-09 | 西南铝业(集团)有限责任公司 | 一种高强高耐腐蚀Al-Mg-Mn-Zn-Er-Zr合金薄板的制备方法 |
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2002
- 2002-08-08 JP JP2002231920A patent/JP2004068122A/ja active Pending
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