JP2004055652A - 有機半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極の付着性、エッチング性、低抵抗性が向上した有機半導体素子を提供する。
【解決手段】有機半導体素子は、対向する1対の電極の間に成膜されたキャリア移動性の有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、1対の電極の少なくとも一方は、有機半導体層に接触しかつ有機半導体層のイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜と、キャリア中継膜に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜と、を含む。
【選択図】 図3
【解決手段】有機半導体素子は、対向する1対の電極の間に成膜されたキャリア移動性の有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、1対の電極の少なくとも一方は、有機半導体層に接触しかつ有機半導体層のイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜と、キャリア中継膜に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜と、を含む。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリア移動性の有機化合物を利用し、かかる有機化合物からなる有機半導体層を備えた有機半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイオードや、信号処理に必要なスイッチや増幅機能を行うトランジスタに用いられる半導体には、高いキャリア移動度や、低い暗電流や、低い駆動電圧や、複雑な素子構造など、の性能が要求されるので、シリコンに代表される無機半導体が、半導体素子の主役となっている。
【0003】
有機半導体では、その電気−光変換特性を利用した有機エレクトロルミネセンス装置が開発されている。さらに、有機半導体薄膜に電界を加えるとキャリア密度が増加するので、有機半導体薄膜上に1対の電極を設けその間に電流を流すことが可能になる。例えば、有機半導体薄膜上にソース電極及びドレイン電極を配置し、その間のゲート電極で薄膜の厚さ方向に電圧を印加し、有機半導体薄膜に沿った方向の電流をスイッチングできる。よって、有機トランジスタの研究もなされ、電気信号を利用して、接合界面(金属−有機半導体、有機半導体−有機半導体)にて、有機半導体中のキャリア(電子及び正孔)を制御する情報の伝達、処理及び記録表示などの技術に有機半導体が利用されつつある。
【0004】
図1及び図2は有機半導体薄膜を用いた有機MOS−TFTの構造のボトムコンタクト型及びトップコンタクト型の例を示す。有機MOS−TFTは、基板10上にゲート電極14、ゲート絶縁膜12、ソース電極11及びドレイン電極15、並びに有機半導体層13を備えている。ゲート電極14としてはNi、Crなどが、ゲート絶縁膜12にはSiO2、SiNなど金属の酸化物や窒化物などの無機物やPMMAなどの樹脂が、有機半導体層13にはペンタセンなどが、それぞれ用いられている。また、ソース電極11及びドレイン電極15にはPd、Auなどの単層膜が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有機半導体素子のPd又はAu単層膜からなるソース電極及びドレイン電極においては、1)Pd、Auが王水などの非常に強い酸を用いないとウエットエッチングできないので、エッチングの際にゲート電極などの下地を傷めてしまい、電極パターニングが困難である、2)Pd、Au薄膜の下地膜への付着力が弱く素子の信頼性が低い、3)Pd、Auはそのクラーク数が小さく高価である、4)電極材料として一般に用いられるAlなどに比べPdの抵抗率が高い、など問題がいくつかあり、実用化の障害となっている。
【0006】
本発明の解決しようとする課題には、電極の付着性、エッチング性、低抵抗性が向上した有機半導体素子を提供することが一例として挙げられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の有機半導体素子の発明は、対向する1対の電極の間に成膜されたキャリア移動性の有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、前記1対の電極の少なくとも一方は、前記有機半導体層に接触しかつ前記有機半導体層のイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜と、前記キャリア中継膜に積層されかつ前記キャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜と、を含むことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明による有機半導体素子として有機トランジスタの実施例を図面を参照しつつ説明する。
図3は実施形態のボトムコンタクト型有機トランジスタを示す。有機トランジスタは、ガラスなどの絶縁性の基板10上に形成されたゲート電極14上に形成されたゲート絶縁膜12と、この上に形成されたペンタセンなどのキャリア移動性の有機化合物からなる有機半導体層13と、有機半導体層13と接触するように形成されたソース電極11及びドレイン電極15から構成されている。ソース電極11及びドレイン電極15の各々はキャリア中継膜11a及び15aと、キャリア中継膜に積層された伝導体膜11b及び15bとからなる。ゲート電極14は対向するソース電極11及びドレイン電極15の間の有機半導体層13に電界を印加する。
【0009】
図4は実施形態のトップコンタクト型有機トランジスタを示す。トップコンタクト型素子は、有機半導体層13が先に成膜され、その上にソース電極11及びドレイン電極15が形成されて、キャリア中継膜11a及び15aと伝導体膜11b及び15bの積層順がキャリア中継膜から伝導体膜の順となる以外、図3のボトムコンタクト型と同じ構成を有する。
【0010】
有機半導体層13は電界印加によって正孔又は電子の輸送能力を有する有機化合物からなる。有機半導体層13は、それぞれキャリア輸送能力を有する有機化合物の薄膜からなる多層構造とすることもできる。有機半導体として、キャリア移動度が大きいペンタセンの他に、アントラセン、テトラセンなどの縮合環類も用いられる。
【0011】
ゲート電極14は、ゲート絶縁膜12を介して電界を印加する場合、電極材料として一般に用いられるAl、Cu、Ni、Cr、及びそれらを含む合金などが用いられる。
ソース電極及びドレイン電極11、15の材料には、有機半導体との電荷注入障壁を低くするため、仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近いことが求められる。例えば、図3に示すように、ソース電極11及びドレイン電極15のそれぞれに、仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近くなる特性とすべく2種類以上の金属膜からなる積層膜11a及び11b、並びに15a及び15bを用いる。すなわち、ソース電極11は、有機半導体層13に接触しかつそのイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜11aと、キャリア中継膜11a上に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜11bと、からなる。また、ドレイン電極15も、有機半導体層13に接触しかつそのイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜15aと、キャリア中継膜15a上に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜15bと、からなる。
【0012】
有機半導体中のキャリア移動のためにキャリア中継膜11a及び15aの仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い値である特性は特に重要である。よって、仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い材料を少なくとも1つ以上含む金属膜をキャリア中継膜とし、伝導体膜11b及び15bはかかるキャリア中継膜の特性以外を補完するように、これらの積層膜を用いることが好ましい。2種層の金属膜からなる積層膜で特性を十分改善できない場合は、更に特性を改善するために、3種層以上の金属膜からなる積層膜としてもよい。なお、有機半導体層への電荷注入障壁を小さくするために、ソース電極11及びドレイン電極15のキャリア中継膜11a及び15aを有機半導体に接する側に設けるが、1対の電極の少なくとも一方が、有機半導体層に接触しかつ有機半導体層のイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜と、キャリア中継膜上に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜と、からなる構成としてもよい。
【0013】
キャリア中継膜11a及び15aには仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い材料を少なくとも1以上含む金属、合金などの材料を用いる。キャリア中継膜に含まれる材料の仕事関数は、使用する有機半導体のイオン化ポテンシャルを中心とした±1eV以内であることが好ましく、さらに好ましくは±0.5eV以内である。
【0014】
例えば代表的な有機半導体材料であるペンタセン(イオン化ポテンシャル=5.06eV)を用いた場合、キャリア中継膜に含まれる材料の仕事関数は4.56〜5.56eVが好適であり、このような特性を満たす金属の例として、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Au、As、Se、Teなどが挙げられる。キャリア中継膜にはこれらの金属の単体、もしくはこれらの金属を含む合金を用い得る。
【0015】
伝導体膜11b及び15bとしては、キャリア中継膜より低い比抵抗、微細なパターニング可能なエッチングが良好に行えるエッチング性、付着力の少なくとも一つの特性に優れる金属を用いる。伝導体膜の上に第2、第3、第4、第5金属と、順に金属膜を積層する場合でも、それぞれキャリア中継膜より低い比抵抗、エッチング性、下地(図3の場合、ゲート絶縁膜12)に対し強く膜付着する高い付着力のうち少なくとも一つの特性に優れる金属を用いる。
【0016】
比抵抗が低い金属としては、Al、Cu、Ag、Mo、W、Mg、Znなどが挙げられる。これらの中では、特に比抵抗が低いAl、Cu、Ag又はこれらを含む合金が伝導体膜11b及び15bに好適である。
容易にウエットエッチングが可能であるエッチング性の高い金属としては、りん酸を主成分とする酸に溶解するAl、Cu、Ag、Ni、Moなどや、硝酸セリウムアンモニウムを主成分とする溶液に溶解するCrなどが伝導体膜11b及び15bに好適である。表1に電極材料、その比抵抗及びその使用可能エッチャントの例を示す。
【0017】
【表1】
付着性が高い金属としては、Cr、Mo、Ta、W、Tiなどの高融点金属が伝導体膜11b及び15bに好適である。よって、伝導体膜11b及び15bにはこれらの金属の単体、もしくはこれらの金属を含む合金を用い得る。
【0018】
キャリア中継膜11a及び15aの膜厚が厚すぎると、低抵抗性、エッチング性が損なわれてしまうため、キャリア中継膜の膜厚は1000Å以下が好ましく、さらに好ましくは500Å以下である。一方、キャリア中継膜の膜厚が薄すぎると、有機半導体層への注入障壁を低くする効果がなくなってしまう恐れがあるが、通常ごく薄い膜厚でも効果があり、有機半導体層に接するキャリア中継膜の膜厚は1Å以上、さらに好ましくは10Å以上である。
【0019】
これらソース電極11及びドレイン電極15の成膜方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法など、任意の方法を用い得る。材料の使用効率、装置の簡便性を考慮するとスパッタ法が好ましい。
成膜した積層膜は所定の形状にパターニングする。パターン方法は任意の方法で構わないが、フォトエッチング法が好ましく用いられる。フォトエッチング法では、先ず、積層膜上にフォトレジストを所定の形状にパターン形成し、溶液によるエッチング(ウエットエッチング)もしくはガスによるエッチング(ドライエッチング)を行う。その後、フォトレジストを除去すれば所望の積層膜パターンが得られる。
【0020】
キャリア中継膜及び伝導体膜のエッチング性が異なる場合、積層膜を各々に最適なエッチング液もしくはエッチングガスを用い、2工程に分けてエッチングする。キャリア中継膜及び伝導体膜のエッチング性に共通性があれば、共通するエッチング液もしくはエッチングガスを用いて、1工程でエッチングできるので、好ましい。
【0021】
本発明を実施する際、ボトムコンタクト型に適用する場合と、トップコンタクト型に適用する際では、伝導体膜の選び方に若干の違いがある。ただし何れの場合にせよ、伝導体膜では比抵抗が低いこと、エッチング性のよいことが共通して必要な特性である。
図3に示すように、ボトムコンタクト型素子に本発明を適用すると、ソース電極11及びドレイン電極15の積層順は伝導体膜からキャリア中継膜の順となる。この場合、ゲート絶縁膜12に対する伝導体膜の付着性が重要となる。一方、図4に示すトップコンタクト型に本発明を適用すると、ソース電極11及びドレイン電極15の積層順は伝導体膜からキャリア中継膜の順となるので、ゲート絶縁膜12に対する伝導体膜の付着性が重要ではないが、キャリア中継膜の付着性が重要となる。
【0022】
有機半導体層のペンタセンは、高い正孔移動度を示すキャリア輸送性材料である。このペンタセン有機半導体層を用いて、図1に示すボトムコンタクト型素子を作成すると、正孔輸送性(p型)素子が実現できる。
有機半導体層におけるキャリアが正孔の場合には正孔が移動できる正孔輸送性材料または両性輸送性材料が有機半導体として必要になり、キャリアが電子の場合には電子が移動できる電子輸送材料または両性輸送性材料が必要になる。正孔輸送材料又は両性輸送材料としては、銅フタロシアニン(copper−phthalocyanine)などが、電子輸送材としてはアルミニウムキノリノール錯体(tris−8−hydoroxyqunoline aluminum)などがある。
【0023】
各積層電極の有機半導体層に接するキャリア中継膜には、キャリア輸送性有機薄膜のイオン化ポテンシャルとほぼ同じ仕事関数を有する金属を選択する。キャリアの移動は接触する材料のエネルギー障壁が異なるとその差を埋める電圧印加の必要があり、抵抗なくキャリアが移動するにはエネルギー障壁が小さいほうがよいからである。イオン化ポテンシャルは真空準位から価電子帯上端の最高被占分子軌道(HOMO)準位へと測定したエネルギーである。キャリア中継膜には金属及び金属酸化物材料が使用できるが、これらについての仕事関数は真空準位(0eV)からフェルミ準位へと測定したエネルギーである。なお、正孔輸送性材料に電界をかけて陽イオン化するのに必要な仕事はイオン化ポテンシャルエネルギー(ionized potential energy)で、電子輸送性材料に電界をかけて陰イオン化するのに必要な仕事は電子親和力(electron affinity energy)である。
【0024】
本実施形態の有機トランジスタで使用するキャリア中継膜材料で仕事関数が大きなものには、例えば、4.51eVを越える金、白金、パラジウム、セレン、ニッケルなどの金属、インジウムすず酸化物(以下、ITOという)、イリジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛やこれらの合金、あるいは、酸化錫、ヨウ化銅などがある。
【0025】
一方、仕事関数が小さなキャリア中継膜材料として、例えば、4.51eV以下の銀、鉛、錫、アルミニウム、カルシウム、インジウム、クロムなどの金属、リチウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらの合金、あるいは、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などが用いられる。表2に選択使用され得る物質の仕事関数の例を示す。表のセル中、上は元素記号、下は仕事関数を示す。
【0026】
【表2】
[素子の作製]−ボトムコンタクト型素子と比較のため比較素子とを作製した。全ての実施例及び比較例においてソース電極及びドレイン電極それぞれの積層膜の合計膜厚を2000Åに統一した。
【0027】
[実施例1]−以下のような手順で、図3に示すようなボトムコンタクト型の有機MOS−TFTを作製した。
(1)[ゲート電極の形成]−ガラス基板上にCrを膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをCr膜上にパターン形成した。この基板を硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸を含む水溶液中に浸漬し、レジストマスクに覆われていない不要な部分のCrを溶解除去した。最後に基板をアセトン中に浸漬しレジストマスクを除去、所定のゲート電極パターンを基板上に得た。
【0028】
(2)[ゲート絶縁膜の形成]−得られた基板のゲート電極パターン上に、SiO2を膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをSiO2膜上にパターン形成した。この基板をCF4ガスによるドライエッチングにより、レジストマスクに覆われていない不要な部分のSiO2を除去した。最後にO2プラズマによりレジストマスクを除去して、SiO2ゲート絶縁膜の所定パターンを基板上に得た。
【0029】
(3)[ソース電極及びドレイン電極の形成]−得られた基板のゲート絶縁膜パターン上に、日本ゼオン製フォトレジストZPN1100のマスクをパターン形成した。次に伝導体膜としてAlを膜厚1500Åで、続いてキャリア中継膜としてPdを膜厚500Åでスパッタ法により成膜した。更にアセトンでマスクとマスク上の金属膜をリフトオフし、ソース電極及びドレイン電極の所定パターンを得た。ソース電極及びドレイン電極のパターンにより確定されるチャネル長は20μm、チャネル幅は100μmとした。
【0030】
(4)[有機半導体層の形成]−得られた基板の電極パターン上に、ペンタセンを膜厚500Åで、基板を60℃に加熱し、マスクを用いた所定パターンで抵抗加熱蒸着法により有機半導体層を成膜し、有機MOS−TFT素子を完成させた。
[実施例2]−実施例1の(3)で伝導体層としてAlを膜厚1800Åで、キャリア中継膜としてPdの膜厚を200Åとしたこと以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0031】
[実施例3]−実施例1の(3)で付着性を向上させる第3金属膜としてCrを膜厚500Åで、続いて伝導体膜としてAlを膜厚1300Åで、更にキャリア中継膜としてPdを膜厚200Åでスパッタ法により成膜し、3層の積層膜からなるソース電極及びドレイン電極としたこと以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0032】
[比較例1]−実施例1の(3)でソース電極及びドレイン電極としてPdを膜厚2000Åでスパッタし単層膜で用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
[実施例4]−伝導体膜としてAlを膜厚1800Åで、キャリア中継膜としてNiを膜厚200Åとし、素子を作製した。AlとNiはエッチング性に共通点があるため、積層膜はフォトエッチング法でパターニングした。具体的には、実施例1の(3)を以下のようにした以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0033】
(3)[ソース電極及びドレイン電極の形成]−得られた基板のゲート絶縁膜パターン上に、伝導体膜としてAlを膜厚1800Åで、続いてキャリア中継膜としてNiを膜厚200Åで、スパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをAl/Niの積層膜上にパターン形成した。この基板をリン酸、硝酸からなる混酸中に浸漬し、レジストマスクに覆われていない不要な部分のAl/Niを溶解除去した。最後に基板をアセトン中に浸漬しレジストマスクを除去、ソース電極及びドレイン電極の所定パターンを得た。ソース電極及びドレイン電極のパターンにより確定されるチャネル長は20μm、チャネル幅は100μmとした。
【0034】
[比較例2]−実施例1の(3)でソース電極及びドレイン電極としてNiを膜厚2000Åでスパッタし単層膜で用いたこと以外は、実施例3と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
[実施例5]−以下のような手順で、図4に示すようなトップコンタクト型の有機MOS−TFTを作製した。
【0035】
(1)[ゲート電極の形成]−ガラス基板上にCrを膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをCr膜上にパターン形成した。この基板を硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸を含む水溶液中に浸漬し、レジストマスクに覆われていない不要な部分のCrを溶解除去した。最後に基板をアセトン中に浸漬しレジストマスクを除去、所定のゲート電極パターンを得た。
【0036】
(2)[ゲート絶縁膜の形成]−得られた基板のゲート電極パターン上に、SiO2を膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをSiO2膜上にパターン形成した。この基板をCFガスによるドライエッチングにより、レジストマスクに覆われていない不要な部分のSiO2を除去した。最後にO2プラズマによりレジストマスクを除去、SiO2ゲート絶縁膜の所定パターンを得た。
【0037】
(3)[有機半導体層の形成]−得られた基板のゲート絶縁膜パターン上に、ペンタセンを膜厚500Åで、基板を60℃に加熱し、マスクを用いた抵抗加熱蒸着法により有機半導体層を形成した。
(4)[ソース電極及びドレイン電極の形成]−得られた基板の有機半導体層パターン上に、マスクを用いて、キャリア中継膜としてPdを膜厚200Åで、続いて伝導体膜としてAlを膜厚1800Åで、それぞれ抵抗加熱蒸着法により形成し、ソース電極及びドレイン電極の所定パターンを得た。マスクによりパターニングされたソース電極及びドレイン電極のパターンにより確定されるチャネル長は20μm、チャネル幅は100μmとした。以上のようにして、有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0038】
[実施例6]−実施例5の(4)でキャリア中継膜であるPdの膜厚を10Åで、伝導体膜であるAlの膜厚を1990Åとしたこと以外は、実施例5と全く同様にして有機MOS−TFTを完成させた。
[比較例3]−実施例5の(4)でソース電極及びドレイン電極としてPdを膜厚2000Åでマスク蒸着し単層膜で用いたこと以外は、実施例5と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0039】
[ソース電極及びドレイン電極の付着性]−上記実施例1〜4並びに比較例1及び2で素子を形成する際、SiO2ゲート絶縁膜とソース電極及びドレイン電極とのスパッタ成膜のみを行ったサンプルを同時に作製し、下地のSiO2ゲート絶縁膜に対する膜の付着性を評価した。付着性の評価は以下のように行った。
カッターナイフを用いSiO2膜に1mmピッチで水平垂直それぞれ11本の切り込みを入れ、10×10=100個のマス目を作った。
【0040】
マス目上に粘着テープを貼り、上から十分に押さえた。
テープを勢いよく剥がし、剥がれずに残ったマス目の数を数えた。表3に付着性評価の結果を示す。(表3中の積層膜材料の欄は、伝導体膜材料/キャリア中継膜材料を示し、付着性欄にて、100個が満点で、数が大きいほど付着性が高いことになる。)
【0041】
【表3】
何れも、実施例の付着性は比較例に比べ同等以上であることがわかった。特にPd単層膜の場合(比較例1)と比較して、実施例の付着性の向上が著しかった。
【0042】
[ソース電極及びドレイン電極の積層膜の抵抗率]−上記実施例、比較例で素子を形成する際、SiO2ゲート絶縁膜とソース電極及びドレイン電極のスパッタ形成のみを行ったサンプルを同時に作製し、膜の比抵抗を評価した。比抵抗測定は、厚さ2000Åにおけるシート抵抗(Ω/□)を四探針法にて行った。表3に比抵抗の測定結果を示す。何れも、金属単層膜に比べ、本発明による積層膜の方が低抵抗であることがわかった。
【0043】
[有機MOS−TFT素子の電気特性]−各実施例、比較例で作製した有機MOS−TFTについて、ゲート電極電圧一定のもと、ソース電極11及びドレイン電極15間の電圧を変化させてソース電極及びドレイン電極間の電流を測定した。測定結果を表3、図5、図6及び図7に示す。
表3、図5、図6及び図7に示すように、ソース電極11及びドレイン電極15にAl/Pd積層膜とCr/Al/Pd積層膜を用いた素子は、Pd単層膜を用いた素子に比べほぼ同等な特性を示すことがわかった。また、ソース電極及びドレイン電極にAl/Ni積層膜を用いた素子は、Ni単層膜を用いた素子に比べほぼ同等な特性を示すことがわかった。
【0044】
本発明による素子は、従来の有機半導体に仕事関数が近い金属単体をソース電極及びドレイン電極に用いた素子に比べ素子特性はほぼ同等であるにもかかわらず、ソース電極及びドレイン電極の低抵抗性、付着性の少なくとも1つ以上の特性が向上することがわかった。
図8は他の実施形態のボトムコンタクト型有機トランジスタを示す。本発明をボトムコンタクト型の素子に適用する際、図8のようにソース電極11及びドレイン電極15のキャリア中継膜11a及び15aを極薄の島状の状態にし、伝導体膜11b及び15bをエッチング性のよいものにすれば、ソース電極及びドレイン電極のパターニングを容易に行える。キャリア中継膜11a及び15aが島状になる膜厚は、材料、成膜法により異なるが、200Å以下が好ましい。
【0045】
キャリア中継膜11a及び15aが島状構造である場合、各々伝導体膜/キャリア中継膜からなるソース電極11及びドレイン電極15のエッチングは、伝導体膜のエッチング液又はエッチングガスのみで行える。キャリア中継膜が島状構造であるため、島状キャリア中継膜の隙間からエッチング液(エッチングガス)が浸入し、伝導体膜をエッチングするからである。その結果、キャリア中継膜は下地から浮いた状態となり、剥離してしまう。このように一工程でエッチングが完了する。
【0046】
上記実施例では、本発明をソース電極及びドレイン電極の両電極に適用したが、ソース電極とドレイン電極の何れか一方の電極のみに適用することもでき、3極の有機トランジスタの他に2極の有機ダイオードの電極にも適応でき、さらに図3及び図4に示す以外にも、ソース電極から有機半導体、ドレイン電極の経路で電流を流す、任意の構造の有機半導体素子に適用できる。
【0047】
例えば、上記実施例ではTFT単体の作製における実施例を示したが、本発明によるTFTをLCD、ELなど表示装置の画素の駆動に用いることもできる。具体的には、少なくとも本発明による有機トランジスタを1つ以上、コンデンサなど必要な素子、画素電極などを共通の基板上に作製すれば、本発明による有機MOS−TFTを用いたアクティブ駆動型の表示装置を実現できる。例として、図9は本発明をTFT−LCD表示装置に適用した場合の表示装置の基板構造を示す。表示装置において、キャリア中継膜11a及び伝導体膜11bからなるソース電極11がLCDの画素電極20に接続され、有機半導体層13が保護膜21で被覆されている。
【0048】
さらに、図10に示すように、本発明を有機トランジスタとして縦型構造のSIT(静電誘導形トランジスタ)に適用できる。積層膜厚方向の電流をスイッチングできるSITは、各々がキャリア中継膜及び伝導体膜の積層膜からなるソース電極11及びドレイン電極15のキャリア中継膜11a及び15aで有機半導体層13を挟み、有機半導体層13の厚さ方向の中間に包埋された多孔性のゲート電極14を有した3端子構造を有する。そのゲート電極14に電圧を印加したとき、ゲート電極周りの有機半導体に生じる空乏層によってドレイン及びソース間の電流を制御できる。
【0049】
またさらに、図11に示すように、有機トランジスタは、互いに積層されたゲート電極14、ソース電極11及びドレイン電極15から構成されていればよく、図3とは逆の順序すなわち、基板10上に、伝導体膜11b及び15b並びにキャリア中継膜11a及び15aからなるソース電極11及びドレイン電極15を形成し、有機半導体層13、ゲート絶縁膜12、並びにゲート電極14の順で積層して形成されてもよい。
【0050】
同様に、図12に示すように、有機トランジスタは、有機半導体層13を挟んで、伝導体膜11b及び15b並びにキャリア中継膜11a及び15aからなるソース電極11及びドレイン電極15を形成し、ゲート絶縁膜12を介してゲート電極14を離間させるように形成されてもよい。
このように本実施形態による有機半導体素子においては、キャリア移動にかかわる電極を、有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い仕事関数を持つキャリア中継膜とキャリア中継膜よりも付着性、エッチング性、抵抗の低さのうち少なくとも一つの特性が優れた少なくとも1つの伝導体膜とからなる積層膜で構成したことにより、有機半導体への電荷の注入は障壁の小さいキャリア中継膜から行われるので、金属単体層を用いた場合と同等で素子特性がよく、さらに、金属単体層で電極を形成した場合に比べ、付着性、エッチング性、比抵抗の低さのうち少なくとも一つの特性に優れる有機半導体が実現できる。よって、電極材料の組み合わせの多様化を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機トランジスタを示す断面図。
【図2】有機トランジスタを示す断面図。
【図3】本発明による実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図4】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図5】本発明による有機トランジスタのソースドレイン電極間電流電圧特性を示すグラフ。
【図6】本発明による有機トランジスタのソースドレイン電極間電流電圧特性を示すグラフ。
【図7】本発明による有機トランジスタのソースドレイン電極間電流電圧特性を示すグラフ。
【図8】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図9】本発明による他の実施形態の有機トランジスタ発明をTFT−LCD表示装置に適用した場合の表示装置の基板構造を示す断面図。
【図10】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図11】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図12】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【符号の説明】
10 基板
11 ソース電極
11a キャリア中継膜
11b 伝導体膜
12 ゲート絶縁膜
13 有機半導体層
14 ゲート電極
15 ドレイン電極
15a キャリア中継膜
15b 伝導体膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリア移動性の有機化合物を利用し、かかる有機化合物からなる有機半導体層を備えた有機半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイオードや、信号処理に必要なスイッチや増幅機能を行うトランジスタに用いられる半導体には、高いキャリア移動度や、低い暗電流や、低い駆動電圧や、複雑な素子構造など、の性能が要求されるので、シリコンに代表される無機半導体が、半導体素子の主役となっている。
【0003】
有機半導体では、その電気−光変換特性を利用した有機エレクトロルミネセンス装置が開発されている。さらに、有機半導体薄膜に電界を加えるとキャリア密度が増加するので、有機半導体薄膜上に1対の電極を設けその間に電流を流すことが可能になる。例えば、有機半導体薄膜上にソース電極及びドレイン電極を配置し、その間のゲート電極で薄膜の厚さ方向に電圧を印加し、有機半導体薄膜に沿った方向の電流をスイッチングできる。よって、有機トランジスタの研究もなされ、電気信号を利用して、接合界面(金属−有機半導体、有機半導体−有機半導体)にて、有機半導体中のキャリア(電子及び正孔)を制御する情報の伝達、処理及び記録表示などの技術に有機半導体が利用されつつある。
【0004】
図1及び図2は有機半導体薄膜を用いた有機MOS−TFTの構造のボトムコンタクト型及びトップコンタクト型の例を示す。有機MOS−TFTは、基板10上にゲート電極14、ゲート絶縁膜12、ソース電極11及びドレイン電極15、並びに有機半導体層13を備えている。ゲート電極14としてはNi、Crなどが、ゲート絶縁膜12にはSiO2、SiNなど金属の酸化物や窒化物などの無機物やPMMAなどの樹脂が、有機半導体層13にはペンタセンなどが、それぞれ用いられている。また、ソース電極11及びドレイン電極15にはPd、Auなどの単層膜が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有機半導体素子のPd又はAu単層膜からなるソース電極及びドレイン電極においては、1)Pd、Auが王水などの非常に強い酸を用いないとウエットエッチングできないので、エッチングの際にゲート電極などの下地を傷めてしまい、電極パターニングが困難である、2)Pd、Au薄膜の下地膜への付着力が弱く素子の信頼性が低い、3)Pd、Auはそのクラーク数が小さく高価である、4)電極材料として一般に用いられるAlなどに比べPdの抵抗率が高い、など問題がいくつかあり、実用化の障害となっている。
【0006】
本発明の解決しようとする課題には、電極の付着性、エッチング性、低抵抗性が向上した有機半導体素子を提供することが一例として挙げられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の有機半導体素子の発明は、対向する1対の電極の間に成膜されたキャリア移動性の有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、前記1対の電極の少なくとも一方は、前記有機半導体層に接触しかつ前記有機半導体層のイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜と、前記キャリア中継膜に積層されかつ前記キャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜と、を含むことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明による有機半導体素子として有機トランジスタの実施例を図面を参照しつつ説明する。
図3は実施形態のボトムコンタクト型有機トランジスタを示す。有機トランジスタは、ガラスなどの絶縁性の基板10上に形成されたゲート電極14上に形成されたゲート絶縁膜12と、この上に形成されたペンタセンなどのキャリア移動性の有機化合物からなる有機半導体層13と、有機半導体層13と接触するように形成されたソース電極11及びドレイン電極15から構成されている。ソース電極11及びドレイン電極15の各々はキャリア中継膜11a及び15aと、キャリア中継膜に積層された伝導体膜11b及び15bとからなる。ゲート電極14は対向するソース電極11及びドレイン電極15の間の有機半導体層13に電界を印加する。
【0009】
図4は実施形態のトップコンタクト型有機トランジスタを示す。トップコンタクト型素子は、有機半導体層13が先に成膜され、その上にソース電極11及びドレイン電極15が形成されて、キャリア中継膜11a及び15aと伝導体膜11b及び15bの積層順がキャリア中継膜から伝導体膜の順となる以外、図3のボトムコンタクト型と同じ構成を有する。
【0010】
有機半導体層13は電界印加によって正孔又は電子の輸送能力を有する有機化合物からなる。有機半導体層13は、それぞれキャリア輸送能力を有する有機化合物の薄膜からなる多層構造とすることもできる。有機半導体として、キャリア移動度が大きいペンタセンの他に、アントラセン、テトラセンなどの縮合環類も用いられる。
【0011】
ゲート電極14は、ゲート絶縁膜12を介して電界を印加する場合、電極材料として一般に用いられるAl、Cu、Ni、Cr、及びそれらを含む合金などが用いられる。
ソース電極及びドレイン電極11、15の材料には、有機半導体との電荷注入障壁を低くするため、仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近いことが求められる。例えば、図3に示すように、ソース電極11及びドレイン電極15のそれぞれに、仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近くなる特性とすべく2種類以上の金属膜からなる積層膜11a及び11b、並びに15a及び15bを用いる。すなわち、ソース電極11は、有機半導体層13に接触しかつそのイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜11aと、キャリア中継膜11a上に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜11bと、からなる。また、ドレイン電極15も、有機半導体層13に接触しかつそのイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜15aと、キャリア中継膜15a上に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜15bと、からなる。
【0012】
有機半導体中のキャリア移動のためにキャリア中継膜11a及び15aの仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い値である特性は特に重要である。よって、仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い材料を少なくとも1つ以上含む金属膜をキャリア中継膜とし、伝導体膜11b及び15bはかかるキャリア中継膜の特性以外を補完するように、これらの積層膜を用いることが好ましい。2種層の金属膜からなる積層膜で特性を十分改善できない場合は、更に特性を改善するために、3種層以上の金属膜からなる積層膜としてもよい。なお、有機半導体層への電荷注入障壁を小さくするために、ソース電極11及びドレイン電極15のキャリア中継膜11a及び15aを有機半導体に接する側に設けるが、1対の電極の少なくとも一方が、有機半導体層に接触しかつ有機半導体層のイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜と、キャリア中継膜上に積層されかつキャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜と、からなる構成としてもよい。
【0013】
キャリア中継膜11a及び15aには仕事関数が有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い材料を少なくとも1以上含む金属、合金などの材料を用いる。キャリア中継膜に含まれる材料の仕事関数は、使用する有機半導体のイオン化ポテンシャルを中心とした±1eV以内であることが好ましく、さらに好ましくは±0.5eV以内である。
【0014】
例えば代表的な有機半導体材料であるペンタセン(イオン化ポテンシャル=5.06eV)を用いた場合、キャリア中継膜に含まれる材料の仕事関数は4.56〜5.56eVが好適であり、このような特性を満たす金属の例として、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Au、As、Se、Teなどが挙げられる。キャリア中継膜にはこれらの金属の単体、もしくはこれらの金属を含む合金を用い得る。
【0015】
伝導体膜11b及び15bとしては、キャリア中継膜より低い比抵抗、微細なパターニング可能なエッチングが良好に行えるエッチング性、付着力の少なくとも一つの特性に優れる金属を用いる。伝導体膜の上に第2、第3、第4、第5金属と、順に金属膜を積層する場合でも、それぞれキャリア中継膜より低い比抵抗、エッチング性、下地(図3の場合、ゲート絶縁膜12)に対し強く膜付着する高い付着力のうち少なくとも一つの特性に優れる金属を用いる。
【0016】
比抵抗が低い金属としては、Al、Cu、Ag、Mo、W、Mg、Znなどが挙げられる。これらの中では、特に比抵抗が低いAl、Cu、Ag又はこれらを含む合金が伝導体膜11b及び15bに好適である。
容易にウエットエッチングが可能であるエッチング性の高い金属としては、りん酸を主成分とする酸に溶解するAl、Cu、Ag、Ni、Moなどや、硝酸セリウムアンモニウムを主成分とする溶液に溶解するCrなどが伝導体膜11b及び15bに好適である。表1に電極材料、その比抵抗及びその使用可能エッチャントの例を示す。
【0017】
【表1】
付着性が高い金属としては、Cr、Mo、Ta、W、Tiなどの高融点金属が伝導体膜11b及び15bに好適である。よって、伝導体膜11b及び15bにはこれらの金属の単体、もしくはこれらの金属を含む合金を用い得る。
【0018】
キャリア中継膜11a及び15aの膜厚が厚すぎると、低抵抗性、エッチング性が損なわれてしまうため、キャリア中継膜の膜厚は1000Å以下が好ましく、さらに好ましくは500Å以下である。一方、キャリア中継膜の膜厚が薄すぎると、有機半導体層への注入障壁を低くする効果がなくなってしまう恐れがあるが、通常ごく薄い膜厚でも効果があり、有機半導体層に接するキャリア中継膜の膜厚は1Å以上、さらに好ましくは10Å以上である。
【0019】
これらソース電極11及びドレイン電極15の成膜方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法など、任意の方法を用い得る。材料の使用効率、装置の簡便性を考慮するとスパッタ法が好ましい。
成膜した積層膜は所定の形状にパターニングする。パターン方法は任意の方法で構わないが、フォトエッチング法が好ましく用いられる。フォトエッチング法では、先ず、積層膜上にフォトレジストを所定の形状にパターン形成し、溶液によるエッチング(ウエットエッチング)もしくはガスによるエッチング(ドライエッチング)を行う。その後、フォトレジストを除去すれば所望の積層膜パターンが得られる。
【0020】
キャリア中継膜及び伝導体膜のエッチング性が異なる場合、積層膜を各々に最適なエッチング液もしくはエッチングガスを用い、2工程に分けてエッチングする。キャリア中継膜及び伝導体膜のエッチング性に共通性があれば、共通するエッチング液もしくはエッチングガスを用いて、1工程でエッチングできるので、好ましい。
【0021】
本発明を実施する際、ボトムコンタクト型に適用する場合と、トップコンタクト型に適用する際では、伝導体膜の選び方に若干の違いがある。ただし何れの場合にせよ、伝導体膜では比抵抗が低いこと、エッチング性のよいことが共通して必要な特性である。
図3に示すように、ボトムコンタクト型素子に本発明を適用すると、ソース電極11及びドレイン電極15の積層順は伝導体膜からキャリア中継膜の順となる。この場合、ゲート絶縁膜12に対する伝導体膜の付着性が重要となる。一方、図4に示すトップコンタクト型に本発明を適用すると、ソース電極11及びドレイン電極15の積層順は伝導体膜からキャリア中継膜の順となるので、ゲート絶縁膜12に対する伝導体膜の付着性が重要ではないが、キャリア中継膜の付着性が重要となる。
【0022】
有機半導体層のペンタセンは、高い正孔移動度を示すキャリア輸送性材料である。このペンタセン有機半導体層を用いて、図1に示すボトムコンタクト型素子を作成すると、正孔輸送性(p型)素子が実現できる。
有機半導体層におけるキャリアが正孔の場合には正孔が移動できる正孔輸送性材料または両性輸送性材料が有機半導体として必要になり、キャリアが電子の場合には電子が移動できる電子輸送材料または両性輸送性材料が必要になる。正孔輸送材料又は両性輸送材料としては、銅フタロシアニン(copper−phthalocyanine)などが、電子輸送材としてはアルミニウムキノリノール錯体(tris−8−hydoroxyqunoline aluminum)などがある。
【0023】
各積層電極の有機半導体層に接するキャリア中継膜には、キャリア輸送性有機薄膜のイオン化ポテンシャルとほぼ同じ仕事関数を有する金属を選択する。キャリアの移動は接触する材料のエネルギー障壁が異なるとその差を埋める電圧印加の必要があり、抵抗なくキャリアが移動するにはエネルギー障壁が小さいほうがよいからである。イオン化ポテンシャルは真空準位から価電子帯上端の最高被占分子軌道(HOMO)準位へと測定したエネルギーである。キャリア中継膜には金属及び金属酸化物材料が使用できるが、これらについての仕事関数は真空準位(0eV)からフェルミ準位へと測定したエネルギーである。なお、正孔輸送性材料に電界をかけて陽イオン化するのに必要な仕事はイオン化ポテンシャルエネルギー(ionized potential energy)で、電子輸送性材料に電界をかけて陰イオン化するのに必要な仕事は電子親和力(electron affinity energy)である。
【0024】
本実施形態の有機トランジスタで使用するキャリア中継膜材料で仕事関数が大きなものには、例えば、4.51eVを越える金、白金、パラジウム、セレン、ニッケルなどの金属、インジウムすず酸化物(以下、ITOという)、イリジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛やこれらの合金、あるいは、酸化錫、ヨウ化銅などがある。
【0025】
一方、仕事関数が小さなキャリア中継膜材料として、例えば、4.51eV以下の銀、鉛、錫、アルミニウム、カルシウム、インジウム、クロムなどの金属、リチウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらの合金、あるいは、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などが用いられる。表2に選択使用され得る物質の仕事関数の例を示す。表のセル中、上は元素記号、下は仕事関数を示す。
【0026】
【表2】
[素子の作製]−ボトムコンタクト型素子と比較のため比較素子とを作製した。全ての実施例及び比較例においてソース電極及びドレイン電極それぞれの積層膜の合計膜厚を2000Åに統一した。
【0027】
[実施例1]−以下のような手順で、図3に示すようなボトムコンタクト型の有機MOS−TFTを作製した。
(1)[ゲート電極の形成]−ガラス基板上にCrを膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをCr膜上にパターン形成した。この基板を硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸を含む水溶液中に浸漬し、レジストマスクに覆われていない不要な部分のCrを溶解除去した。最後に基板をアセトン中に浸漬しレジストマスクを除去、所定のゲート電極パターンを基板上に得た。
【0028】
(2)[ゲート絶縁膜の形成]−得られた基板のゲート電極パターン上に、SiO2を膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをSiO2膜上にパターン形成した。この基板をCF4ガスによるドライエッチングにより、レジストマスクに覆われていない不要な部分のSiO2を除去した。最後にO2プラズマによりレジストマスクを除去して、SiO2ゲート絶縁膜の所定パターンを基板上に得た。
【0029】
(3)[ソース電極及びドレイン電極の形成]−得られた基板のゲート絶縁膜パターン上に、日本ゼオン製フォトレジストZPN1100のマスクをパターン形成した。次に伝導体膜としてAlを膜厚1500Åで、続いてキャリア中継膜としてPdを膜厚500Åでスパッタ法により成膜した。更にアセトンでマスクとマスク上の金属膜をリフトオフし、ソース電極及びドレイン電極の所定パターンを得た。ソース電極及びドレイン電極のパターンにより確定されるチャネル長は20μm、チャネル幅は100μmとした。
【0030】
(4)[有機半導体層の形成]−得られた基板の電極パターン上に、ペンタセンを膜厚500Åで、基板を60℃に加熱し、マスクを用いた所定パターンで抵抗加熱蒸着法により有機半導体層を成膜し、有機MOS−TFT素子を完成させた。
[実施例2]−実施例1の(3)で伝導体層としてAlを膜厚1800Åで、キャリア中継膜としてPdの膜厚を200Åとしたこと以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0031】
[実施例3]−実施例1の(3)で付着性を向上させる第3金属膜としてCrを膜厚500Åで、続いて伝導体膜としてAlを膜厚1300Åで、更にキャリア中継膜としてPdを膜厚200Åでスパッタ法により成膜し、3層の積層膜からなるソース電極及びドレイン電極としたこと以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0032】
[比較例1]−実施例1の(3)でソース電極及びドレイン電極としてPdを膜厚2000Åでスパッタし単層膜で用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
[実施例4]−伝導体膜としてAlを膜厚1800Åで、キャリア中継膜としてNiを膜厚200Åとし、素子を作製した。AlとNiはエッチング性に共通点があるため、積層膜はフォトエッチング法でパターニングした。具体的には、実施例1の(3)を以下のようにした以外は、実施例1と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0033】
(3)[ソース電極及びドレイン電極の形成]−得られた基板のゲート絶縁膜パターン上に、伝導体膜としてAlを膜厚1800Åで、続いてキャリア中継膜としてNiを膜厚200Åで、スパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをAl/Niの積層膜上にパターン形成した。この基板をリン酸、硝酸からなる混酸中に浸漬し、レジストマスクに覆われていない不要な部分のAl/Niを溶解除去した。最後に基板をアセトン中に浸漬しレジストマスクを除去、ソース電極及びドレイン電極の所定パターンを得た。ソース電極及びドレイン電極のパターンにより確定されるチャネル長は20μm、チャネル幅は100μmとした。
【0034】
[比較例2]−実施例1の(3)でソース電極及びドレイン電極としてNiを膜厚2000Åでスパッタし単層膜で用いたこと以外は、実施例3と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
[実施例5]−以下のような手順で、図4に示すようなトップコンタクト型の有機MOS−TFTを作製した。
【0035】
(1)[ゲート電極の形成]−ガラス基板上にCrを膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをCr膜上にパターン形成した。この基板を硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸を含む水溶液中に浸漬し、レジストマスクに覆われていない不要な部分のCrを溶解除去した。最後に基板をアセトン中に浸漬しレジストマスクを除去、所定のゲート電極パターンを得た。
【0036】
(2)[ゲート絶縁膜の形成]−得られた基板のゲート電極パターン上に、SiO2を膜厚1000Åでスパッタ法により成膜した。次に東京応化製フォトレジストAZ6112のマスクをSiO2膜上にパターン形成した。この基板をCFガスによるドライエッチングにより、レジストマスクに覆われていない不要な部分のSiO2を除去した。最後にO2プラズマによりレジストマスクを除去、SiO2ゲート絶縁膜の所定パターンを得た。
【0037】
(3)[有機半導体層の形成]−得られた基板のゲート絶縁膜パターン上に、ペンタセンを膜厚500Åで、基板を60℃に加熱し、マスクを用いた抵抗加熱蒸着法により有機半導体層を形成した。
(4)[ソース電極及びドレイン電極の形成]−得られた基板の有機半導体層パターン上に、マスクを用いて、キャリア中継膜としてPdを膜厚200Åで、続いて伝導体膜としてAlを膜厚1800Åで、それぞれ抵抗加熱蒸着法により形成し、ソース電極及びドレイン電極の所定パターンを得た。マスクによりパターニングされたソース電極及びドレイン電極のパターンにより確定されるチャネル長は20μm、チャネル幅は100μmとした。以上のようにして、有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0038】
[実施例6]−実施例5の(4)でキャリア中継膜であるPdの膜厚を10Åで、伝導体膜であるAlの膜厚を1990Åとしたこと以外は、実施例5と全く同様にして有機MOS−TFTを完成させた。
[比較例3]−実施例5の(4)でソース電極及びドレイン電極としてPdを膜厚2000Åでマスク蒸着し単層膜で用いたこと以外は、実施例5と全く同様にして有機MOS−TFT素子を完成させた。
【0039】
[ソース電極及びドレイン電極の付着性]−上記実施例1〜4並びに比較例1及び2で素子を形成する際、SiO2ゲート絶縁膜とソース電極及びドレイン電極とのスパッタ成膜のみを行ったサンプルを同時に作製し、下地のSiO2ゲート絶縁膜に対する膜の付着性を評価した。付着性の評価は以下のように行った。
カッターナイフを用いSiO2膜に1mmピッチで水平垂直それぞれ11本の切り込みを入れ、10×10=100個のマス目を作った。
【0040】
マス目上に粘着テープを貼り、上から十分に押さえた。
テープを勢いよく剥がし、剥がれずに残ったマス目の数を数えた。表3に付着性評価の結果を示す。(表3中の積層膜材料の欄は、伝導体膜材料/キャリア中継膜材料を示し、付着性欄にて、100個が満点で、数が大きいほど付着性が高いことになる。)
【0041】
【表3】
何れも、実施例の付着性は比較例に比べ同等以上であることがわかった。特にPd単層膜の場合(比較例1)と比較して、実施例の付着性の向上が著しかった。
【0042】
[ソース電極及びドレイン電極の積層膜の抵抗率]−上記実施例、比較例で素子を形成する際、SiO2ゲート絶縁膜とソース電極及びドレイン電極のスパッタ形成のみを行ったサンプルを同時に作製し、膜の比抵抗を評価した。比抵抗測定は、厚さ2000Åにおけるシート抵抗(Ω/□)を四探針法にて行った。表3に比抵抗の測定結果を示す。何れも、金属単層膜に比べ、本発明による積層膜の方が低抵抗であることがわかった。
【0043】
[有機MOS−TFT素子の電気特性]−各実施例、比較例で作製した有機MOS−TFTについて、ゲート電極電圧一定のもと、ソース電極11及びドレイン電極15間の電圧を変化させてソース電極及びドレイン電極間の電流を測定した。測定結果を表3、図5、図6及び図7に示す。
表3、図5、図6及び図7に示すように、ソース電極11及びドレイン電極15にAl/Pd積層膜とCr/Al/Pd積層膜を用いた素子は、Pd単層膜を用いた素子に比べほぼ同等な特性を示すことがわかった。また、ソース電極及びドレイン電極にAl/Ni積層膜を用いた素子は、Ni単層膜を用いた素子に比べほぼ同等な特性を示すことがわかった。
【0044】
本発明による素子は、従来の有機半導体に仕事関数が近い金属単体をソース電極及びドレイン電極に用いた素子に比べ素子特性はほぼ同等であるにもかかわらず、ソース電極及びドレイン電極の低抵抗性、付着性の少なくとも1つ以上の特性が向上することがわかった。
図8は他の実施形態のボトムコンタクト型有機トランジスタを示す。本発明をボトムコンタクト型の素子に適用する際、図8のようにソース電極11及びドレイン電極15のキャリア中継膜11a及び15aを極薄の島状の状態にし、伝導体膜11b及び15bをエッチング性のよいものにすれば、ソース電極及びドレイン電極のパターニングを容易に行える。キャリア中継膜11a及び15aが島状になる膜厚は、材料、成膜法により異なるが、200Å以下が好ましい。
【0045】
キャリア中継膜11a及び15aが島状構造である場合、各々伝導体膜/キャリア中継膜からなるソース電極11及びドレイン電極15のエッチングは、伝導体膜のエッチング液又はエッチングガスのみで行える。キャリア中継膜が島状構造であるため、島状キャリア中継膜の隙間からエッチング液(エッチングガス)が浸入し、伝導体膜をエッチングするからである。その結果、キャリア中継膜は下地から浮いた状態となり、剥離してしまう。このように一工程でエッチングが完了する。
【0046】
上記実施例では、本発明をソース電極及びドレイン電極の両電極に適用したが、ソース電極とドレイン電極の何れか一方の電極のみに適用することもでき、3極の有機トランジスタの他に2極の有機ダイオードの電極にも適応でき、さらに図3及び図4に示す以外にも、ソース電極から有機半導体、ドレイン電極の経路で電流を流す、任意の構造の有機半導体素子に適用できる。
【0047】
例えば、上記実施例ではTFT単体の作製における実施例を示したが、本発明によるTFTをLCD、ELなど表示装置の画素の駆動に用いることもできる。具体的には、少なくとも本発明による有機トランジスタを1つ以上、コンデンサなど必要な素子、画素電極などを共通の基板上に作製すれば、本発明による有機MOS−TFTを用いたアクティブ駆動型の表示装置を実現できる。例として、図9は本発明をTFT−LCD表示装置に適用した場合の表示装置の基板構造を示す。表示装置において、キャリア中継膜11a及び伝導体膜11bからなるソース電極11がLCDの画素電極20に接続され、有機半導体層13が保護膜21で被覆されている。
【0048】
さらに、図10に示すように、本発明を有機トランジスタとして縦型構造のSIT(静電誘導形トランジスタ)に適用できる。積層膜厚方向の電流をスイッチングできるSITは、各々がキャリア中継膜及び伝導体膜の積層膜からなるソース電極11及びドレイン電極15のキャリア中継膜11a及び15aで有機半導体層13を挟み、有機半導体層13の厚さ方向の中間に包埋された多孔性のゲート電極14を有した3端子構造を有する。そのゲート電極14に電圧を印加したとき、ゲート電極周りの有機半導体に生じる空乏層によってドレイン及びソース間の電流を制御できる。
【0049】
またさらに、図11に示すように、有機トランジスタは、互いに積層されたゲート電極14、ソース電極11及びドレイン電極15から構成されていればよく、図3とは逆の順序すなわち、基板10上に、伝導体膜11b及び15b並びにキャリア中継膜11a及び15aからなるソース電極11及びドレイン電極15を形成し、有機半導体層13、ゲート絶縁膜12、並びにゲート電極14の順で積層して形成されてもよい。
【0050】
同様に、図12に示すように、有機トランジスタは、有機半導体層13を挟んで、伝導体膜11b及び15b並びにキャリア中継膜11a及び15aからなるソース電極11及びドレイン電極15を形成し、ゲート絶縁膜12を介してゲート電極14を離間させるように形成されてもよい。
このように本実施形態による有機半導体素子においては、キャリア移動にかかわる電極を、有機半導体のイオン化ポテンシャルに近い仕事関数を持つキャリア中継膜とキャリア中継膜よりも付着性、エッチング性、抵抗の低さのうち少なくとも一つの特性が優れた少なくとも1つの伝導体膜とからなる積層膜で構成したことにより、有機半導体への電荷の注入は障壁の小さいキャリア中継膜から行われるので、金属単体層を用いた場合と同等で素子特性がよく、さらに、金属単体層で電極を形成した場合に比べ、付着性、エッチング性、比抵抗の低さのうち少なくとも一つの特性に優れる有機半導体が実現できる。よって、電極材料の組み合わせの多様化を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機トランジスタを示す断面図。
【図2】有機トランジスタを示す断面図。
【図3】本発明による実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図4】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図5】本発明による有機トランジスタのソースドレイン電極間電流電圧特性を示すグラフ。
【図6】本発明による有機トランジスタのソースドレイン電極間電流電圧特性を示すグラフ。
【図7】本発明による有機トランジスタのソースドレイン電極間電流電圧特性を示すグラフ。
【図8】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図9】本発明による他の実施形態の有機トランジスタ発明をTFT−LCD表示装置に適用した場合の表示装置の基板構造を示す断面図。
【図10】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図11】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【図12】本発明による他の実施形態の有機トランジスタを示す断面図。
【符号の説明】
10 基板
11 ソース電極
11a キャリア中継膜
11b 伝導体膜
12 ゲート絶縁膜
13 有機半導体層
14 ゲート電極
15 ドレイン電極
15a キャリア中継膜
15b 伝導体膜
Claims (13)
- 対向する1対の電極の間に成膜されたキャリア移動性の有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、前記1対の電極の少なくとも一方は、前記有機半導体層に接触しかつ前記有機半導体層のイオン化ポテンシャル近傍の仕事関数を有するキャリア中継膜と、前記キャリア中継膜に積層されかつ前記キャリア中継膜よりも低い抵抗率を有する伝導体膜と、を含むことを特徴とする有機半導体素子。
- 前記キャリア中継膜は、前記有機半導体層のイオン化ポテンシャルを中心とした−1eV〜+1eVの範囲内の仕事関数を有することを特徴とする請求項1記載の有機半導体素子。
- 前記キャリア中継膜は、前記有機半導体層のイオン化ポテンシャルを中心とした−0.5eV〜+0.5eVの範囲内の仕事関数を有することを特徴とする請求項2記載の有機半導体素子。
- 前記キャリア中継膜は1000Å以下の膜厚を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の有機半導体素子。
- 前記キャリア中継膜は500Å以下の膜厚を有することを特徴とする請求項4記載の有機半導体素子。
- 前記キャリア中継膜は島状に離散して形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1記載の有機半導体素子。
- 前記1対の電極はソース電極及びドレイン電極であり、前記有機半導体層は前記ソース電極及びドレイン電極の間にチャネルを形成できるように積層され、さらに、前記ソース電極及びドレイン電極の間の前記有機半導体層に電界を印加せしめるゲート電極を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1記載の有機半導体素子。
- 前記ゲート電極を前記ソース電極及びドレイン電極から電気的に絶縁するゲート絶縁膜を備えたことを特徴とする請求項7記載の有機半導体素子。
- 前記ソース電極及びドレイン電極は共に前記有機半導体層の片側面に配置されたことを特徴とする請求項7記載の有機半導体素子。
- 前記ソース電極及びドレイン電極はそれぞれ前記有機半導体層を挟んで両側に配置されたことを特徴とする請求項7記載の有機半導体素子。
- 前記ゲート絶縁膜が前記伝導体膜に接触する場合、前記伝導体膜は、前記キャリア中継膜より前記ゲート絶縁膜に対して付着力が強い材料であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1記載の有機半導体素子。
- 前記1対の電極はソース電極及びドレイン電極であり、前記有機半導体層は前記ソース電極及びドレイン電極の間に挟持されるように膜厚方向に積層され、かつ、前記有機半導体層に包埋されたゲート電極を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1記載の有機半導体素子。
- 前記有機半導体層に包埋されたゲート電極は、格子状、櫛状又は簾状の形状を備えたことを特徴とする請求項12記載の有機半導体素子。
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