JP2004047040A - 光学記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、光透過層に指紋やゴミが付着することを防止し、記録再生に支障をきたすことのない光学記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】光学記録媒体は、情報信号の少なくとも記録または再生を行うレーザ光が入射する読み取り面に、防汚剤からなる被覆層2dが形成されている。防汚剤からなる、被覆層2dの表面エネルギーの極性項成分γpは3.0(erg/cm2 )以下である。防汚剤は、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する。または、防汚剤は、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する。
【選択図】 図4
【解決手段】光学記録媒体は、情報信号の少なくとも記録または再生を行うレーザ光が入射する読み取り面に、防汚剤からなる被覆層2dが形成されている。防汚剤からなる、被覆層2dの表面エネルギーの極性項成分γpは3.0(erg/cm2 )以下である。防汚剤は、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する。または、防汚剤は、フルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学記録媒体に関し、特に、ディスク基板上の光透過層を通して少なくとも記録または再生が行われる光学記録媒体に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録の分野において、光学情報記録方式に関するさまざまな研究、開発が、各所で進められている。この光学情報記録方式は、非接触で記録または再生を行うことができるとともに、磁気記録方式に比して一桁以上高い記録密度を達成可能であるという利点を有している。また、この光学情報記録方式は、再生専用型、追記型、書換可能型などのそれぞれのメモリ形態に対応可能であるという、さらなる利点をも有する。そのため、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式として、産業用から民生用まで幅広い用途への適用が考えられている。
【0003】
近年、このような光学情報記録方式においては、さらなる高記録密度化が要求されている。そして、この高記録密度化の要求に対応するために、光学ピックアップの再生光の照射時に用いられる対物レンズの開口数(NA)を大きくすることによって、再生光のスポット径の小径化を図る技術が提案された。
すなわち、例えば従来のコンパクトディスク(CD)の再生時に用いられる対物レンズのNAが0.45であるのに対し、この従来のCDの6〜8倍の記録容量を有するDVD(Digital Versatile Disc)といった光学式ビデオディスクでは再生時に用いられる対物レンズのNAを0.60程度として、スポット径の小径化が図られる。
このような対物レンズにおける高NA化を進めていくと、照射される再生光を透過させるために、光ディスクにおけるディスク基板を薄くする必要が生じる。これは、光学ピックアップの光軸に対してディスク面の垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、さらに、このチルト角がディスク基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。したがって、ディスク基板を薄くすることによって、チルト角がなるべく小さくなるようにする。例えば、上述したCDにおいては、基板の厚さは1.2mm程度とされている。これに対し、CDの6〜8倍の記録容量を有するDVDなどの光学式ビデオディスクにおいては、基板の厚さは0.6mm程度とされている。
そして、今後のさらなる高記録密度化の要求を考慮すると、基板のさらなる薄型化が必要になる。そこで、基板の一主面に凹凸を形成して情報信号部とし、この情報信号部上に、反射膜と、光を透過可能な薄膜からなる光透過層とを順次積層し、光透過層側から再生光を照射することにより情報信号の再生を行うように構成された光ディスクが提案されている。このような、光透過層側から再生光を照射して情報信号の再生を行うようにした光ディスクにおいては、光透過層の薄膜化を図ることによって対物レンズの高NA化に対応することができる。
すわなち、上記対物レンズの高NA化により高密度の記録を実現することが可能な光学記録媒体として、光ピックアップの対物レンズの開口数(NA)=0.85、光透過層を厚さ3〜177 μmのシートとし、このシート状の光透過層側から光照射を行う光学記録媒体が提案されている(特開平10−302310)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この光学記録媒体では、従来の透明基板に比べて光透過層が非常に薄いため、ユーザーが手で取り扱った場合に付着する指紋跡やゴミ付着による記録再生光の妨げが大きな問題となっている。
例として、厚さ100μmの光透過層の場合について、再生スポット径及び光透過層表面でのスポット径を見積もると、記録再生波長λ=400nm、光ピックアップの対物レンズの開口数(NA)=0.85として、光透過層表面でのスポット径は、約100μmとなる。ここで、光透過層表面ではCDの場合に比べてスポット面積が約1/50となっている。 本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、光透過層に指紋やゴミが付着することを防止し、記録再生に支障をきたすことのない光学記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学記録媒体は、情報信号の少なくとも記録または再生を行うレーザ光が入射する読み取り面に、防汚剤からなる被覆層が形成されているものである。
【0006】
ここで、上記防汚剤として、上記被覆層の表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下を有していることが好ましい。
また、上記防汚剤として、下記一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。
(R3 O)3 Si−R2 −R1 CO−Rf−COR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(1)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
また、上記防汚剤として、下記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。
【0007】
RfCOR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(2)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
また、上記防汚剤として、下記一般式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。
【0008】
Rf`−R1 −Si(OR2 )3 …(3)
但し、Rf`はフルオロアルキル基を、R1 は炭素数7未満のアルキレン基を、R2 はアルキル基を其々示す。
本発明の光学記録媒体が被覆層を有することで、その表面エネルギーの極性項成分γS pを低くすることができ、汚れの付着力を低下させることができる。
【0009】
また、記録媒体として、基板の一主面上に、情報信号を少なくとも記録または再生可能に構成された情報信号部と、情報信号の少なくとも記録または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層とが設けられた光学記録媒体であり、光透過層として、透明プラスチックからなる光透過性シートと、光透過性シートをディスク基板に接着させるための透明な接着剤と、光透過性シート上に形成されたハードコート層から構成されることが好ましい。
【0010】
本発明の光学記録媒体が被覆層およびハードコート層を有するので、汚れの付着力を低下させることができ、またさらに硬い表面を形成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
この発明の一実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。
【0012】
この一実施形態による光透過層の形成方法においては、まず、図1に示すように、光透過層の形成が行われるディスク基板1を用意する。このディスク基板1は、レプリカ基板1aの中心部にセンターホール1bが形成されている。
また、レプリカ基板1aの一主面に形成された凹凸部上に、薄膜が成膜されており、これにより情報信号部1cが形成されている。この情報信号部1cは、反射膜、光磁気材料からなる膜、相変化材料からなる膜、または有機色素膜などからなる。
また、この発明において、ディスク基板1は、具体的には、ポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマーなどの低吸水性の樹脂が用いられる。また、例えばアルミニウム(Al)などの金属からなる基板や、ガラス基板、あるいは、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂からなる基板を用いることも可能である。
ここで、この一実施形態によるディスク基板1は、具体的には、レプリカ基板1aとして、例えば、厚さが1.1mmで円盤状のポリカーボネート(PC)基板が用いられ、このPC基板の直径(外径)を例えば120mm、センターホール1bの開口径(内口径)を例えば15mmとしたものである。
そして、情報信号部1cとして、例えば、膜厚が100nmのAl合金からなる反射層上に、膜厚が18nmのZnSとSiO2 との混合物からなる第1の誘電体層、膜厚が24nmのGeSbTe合金層からなる相変化記録層、膜厚が140nmの硫化亜鉛(ZnS)と酸化シリコン(SiO2 )との混合物(ZnS−SiO2 )からなる第2の誘電体層を順次積層した積層膜を用いる。
次に、この一実施形態に用いられる光透過層について説明する。図2 に、この一実施形態による光透過層2を示す。
図2に示すように、この一実施形態に用いられる光透過層2は、光透過性シート2aと透明な接着剤層2bと防汚剤からなる被覆層2dが予め形成された光透過層用シートからなり、ディスク基板1と同様に、平面円盤状に打ち抜かれて形成された構造を有する。
ここで、この光透過性シート2aと被覆層2dと接着剤層2bからなる光透過層用シートの寸法の一例を挙げると、直径(外径)を基板の外形と等しい120mmとする。これらの光透過層用シートに中心には23mmの孔が形成されている。
【0013】
この発明において、典型的には、光透過性シート2aは、少なくとも情報信号の記録または再生に用いられる、GaN系半導体レーザ(発光波長400nm帯、青色発光)から照射されるレーザ光を、透過可能な熱可塑性樹脂からなる。ここでは、ポリカーボネート樹脂からなるシート(シートA)とアクリル樹脂からなるシート(シートB)とアモルファスポリオレフィン樹脂からなるシート(シートC)を用いた。この発明において、光透過性シート2aの厚さは、典型的には、基板の厚さより小さくなるように構成される。
接着剤層2bは、圧力を加えることで接着力が発生する感圧性接着剤からなり、具体的には、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコン系などの接着剤を用いることが可能であり、ここでは、アクリル系の接着剤を用いた。また、接着剤層2bとして、紫外線硬化型接着剤等の透明で接着力があるものであれば用いることが可能である。
耐汚染性、表面滑り性に優れた防汚剤からなる被覆層2dは、上記光透過性シート上に、均一に塗布することで形成する。
即ち、下記一般式(1)又は(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物と又は、下記一般式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する防汚剤を含有する。
(R3 O)3 Si−R2 −R1 CO−Rf−COR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(1)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
RfCOR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(2)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
Rf`−R1 −Si(OR2 )3 …(3)
但し、Rf`はフルオロアルキル基を、R1 は炭素数7未満のアルキレン基を、R2 はアルキル基を其々示す。
上記一般式(1)又は(2)で示される化合物は、基本的にパーフルオロポリエーテル基を有すれば、防汚性を形成することができるため、パーフルオロポリエーテル基以外の分子構造についての制限は本質的にはない。しかし、実際にはある程度の合成のし易さ、つまり実現性の観点からの範囲はある。以下、その観点から、各構造部分を説明する。
上記一般式(1)で示されるRf としてのパーフルオロポリエーテル基の分子構造としては、特に限定されるものではなく、各種鎖長のパーフルオロポリエーテル基が含まれるが、下記に示す分子構造のものが好ましい。
−CF2 (OC2 F4 )p (OCF2 )q OCF2 − …(4)
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基中、p、qは1〜50の範囲にあることが好ましい。
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、安定性、取扱いやすさ等の点から、数平均分子量で400〜10000のものが好ましく、500〜4000のものがより好ましく用いられる。
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物中、R1 は、2価の原子又は基を示し、R2 とパーフルオロポリエーテル基との結合基であり、特に制限はないが、合成上、炭素以外のO、NH、S等の原子あるいは原子団が好ましい。R2 は炭化水素基であり、炭素数は2〜10の範囲が好ましい。R2 としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基などを例示することができる。
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物中、R3 はアルコキシ基を構成するアルキル基であり、通常は炭素数が3以下、つまりイソプロピル基、n− プロピル基、エチル基、メチル基を例示することができるが、炭素数はこれ以上でもよい。
一方、上記一般式(2)で示されるRfとしてのパーフルオロポリエーテル基の分子構造としては、特に限定されるものではなく、各種鎖長のパーフルオロポリエーテル基が含まれるが、下記に示す分子構造のものが好ましい。
Rfは、パーフルオロポリエーテル基であり、下記の一般式(5)〜(7)にて示されるものが挙げられる。但し、全てのポリエーテル基の水素原子がフッ素原子に置換されている必要はなく、部分的に水素が含まれていてもよい。
F(CF2 CF2 CF2 O) n − …(5)
但し、nは、1以上の整数である。
CF3 (OCF(CF3 )CF2)m (OCF2)l − …(6)
但し、l、mは、1以上の整数である。
CF3 (OCF(CF3 )CF2)k − …(7)
但し、kは、1以上の整数である。
なお、一般式(6)中、m/lは、0.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。
パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、安定性、取扱いやすさ等の点から、数平均分子量で400〜10000のものが好ましく、500〜4000のものがより好ましく用いられる。
一方、上記一般式(3)で示されるRf`としてのフルオロアルキル基の分子構造としても、特に限定されるものではなく、アルキル基の水素原子をフッ素原子で置換したものが挙げられ、各種鎖長および各種フッ素置換度のフルオロアルキル基が含まれるが、下記一般式(8)に示す分子構造のものが好ましい。
F(CF2 )s (CH2 )t …(8)
この式中、sは6〜12の整数、tは20以下の整数を示す。
パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物からなる防汚剤からなる被覆層の膜厚は、特に限定されるものではないが、撥水性、耐汚染性、塗布性とのバランス及び表面硬度の関係から、0.5〜100nmが好ましい。
被覆層2dは、アルコキシシラン基を有する有機フッ素化合物を含有する防汚剤を、光透過性シート2aに塗布、乾燥して形成される。
被覆層を形成させる方法には、有機フッ素化合物を溶剤に溶解させてそれをグラビアコーターにより形成する方法、ディッピングあるいは噴霧により塗布する方法、擦り付けて塗布する方法の他、真空法により形成させる方法等がある。
一般には有機フッ素化合物を基材表面に塗布することにより、基材の表面エネルギーを低下させることができる。しかしながら有機フッ素化合物を塗布するだけでは、十分な効果は得られない。つまり分子が配向するような極性基と疎水基のバランスを持った有機化合物が必要となる。その基材との親和性については容易に類推することはできない。
本発明の防汚剤は、通常、上記式(1)又は(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物と上記式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を、溶媒に希釈して用いる。溶媒として用いられるものは、特に限定されないが、使用にあたっては組成物の安定性、被塗布面の最表面層に対する濡れ性、揮発性などを考慮して決められるべきである。
本発明においては、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、sec−アミルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましく、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、アルコール系溶剤に炭化水素系溶剤を混合して混合溶剤とすることも可能である。
このような炭化水素系溶剤としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等のパラフィン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等のシクロパラフィン等の沸点が50〜120℃の範囲の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
その他、フッ化炭化水素系溶媒を用いることも可能である。フッ化炭化水素系溶媒は、脂肪族炭化水素、環式炭化水素、エーテル等の炭化水素系溶媒の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換した化合物である。例えば日本ゼオン社製の商品名ZEORORA−HXE(沸点78℃)、パーフルオロヘプタン(沸点80℃)、パーフルオロオクタン(沸点102℃)、アウジモント社製の商品名H−GALDEN−ZV75(沸点75℃)、H−GALDEN−ZV85(沸点85℃)、H−GALDEN−ZV100(沸点95℃)、H−GALDEN−C(沸点135℃)、H−GALDEN−D(沸点165℃)等のハイドロフルオロポリエーテル或いはSV−110(沸点110℃)、SV−135(沸点135℃)等のパーフルオロポリエーテル、住友3M社製のFCシリーズ等のパーフルオロアルカン等を例示することができる。これらのフッ化炭化水素系溶媒の中でも、上記一般式(1)、(2)又は(3)のフッ素系化合物を溶解する溶媒として、ムラのない、膜厚が均一な有機膜を得るために、沸点が70〜240℃の範囲のものを選択し、さらにはハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)若しくはハイドロフルオロカーボン(HFC)を選択し、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。沸点が低すぎると、例えば塗布ムラになりやすい場合があり、一方沸点が高すぎると乾燥がうまく行かず塗布形態が良くならない場合がある。また、HFPE又はHFCは、一般式(1)、(2)又は(3)で表されるアルコキシラン化合物に対する溶解性が優れており、優れた塗布面を得る事が出来る。
本発明では特に末端にアルコキシシラノ基をもつ有機フッ素化合物を塗布することによって十分な効果を得ることができることがわかった。
有機フッ素化合物としては、分子内にフッ素を有する有機化合物であればエステル、アミン、カルボン酸等、いずれも使用可能であるが、パーフルオロポリエーテル基、パーフルオロアルキル基を使用することが特に好ましい。
表面エネルギーを低下させるには、その有機分子の配向を考えなければならない。有機分子の長さは通常2〜3nmであるために、その分子がうまく配向しないと低表面エネルギーを得ることができない。つまり、うまくフッ素原子が最表面に表れないと表面エネルギーを低下させることはできない。分子がランダムに配向し、極性基が表れると表面エネルギー、特に極性項が上昇する。
次に、ディスク基板1と上記光透過層2を、図3に示す方法で貼り合わせる。ディスク基板1を情報記録面が上を向くように固定し、その上に光透過層2を接着剤層がディスク基板側を向くように配置し、光透過層2を弾性体からなるローラー3で図中矢印方向に転がしプレスすることでディスク基板1に貼り合わせる。
なお、例えば、光透過層2を接着剤を介しディスク基板1に貼り合わせる装置として、本実施形態ではローラー形状の弾性体を用いたが、パッド形状の弾性体を用いても同様の効果が得られる。
図4に示すように、ディスク基板1 と光透過層2とが貼り合わされ、ディスク基板1の情報信号部1c上に光透過層2が設けられた光ディスクが製造される。情報信号の少なくとも記録または再生を行うレーザ光が入射する読み取り面に、防汚剤からなる被覆層が形成されている光ディスクが得られる。
この発明は、好適には、DVR(Digital Video Recording System)などの、薄い光透過層を有する光ディスクに適用することができ、発光波長が400nm程度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行うように構成された、いわゆるDVR blueなどの光ディスクに適用することが可能である。
以上のことから、本実施の形態によれば、光透過層表面に防汚剤からなる被覆層を形成することにより、耐汚染性、表面滑り性が向上し、指紋やゴミが光透過層表面に付着しにくくなり、傷付き等が解消され、信頼性の高い記録再生が可能となる。
【0014】
つぎに、他の実施形態について説明する。ここでは、本実施形態に特徴的な部分について説明する。その他の部分は、上述の実施形態と同様である。
【0015】
図5は、この発明の他の実施形態による光透過層の形成に用いられる被覆層、ハードコート層、光透過性シート、及び接着剤層を示す断面図である。
【0016】
被覆層2dは、添加剤を含有させてもよい。添加剤を含有させることによりアルコキシシランの反応が加速されて有機膜強度が増す。有機膜強度が増すことにより光学記録媒体の耐久性が向上する。この添加剤としては、塩酸等の酸性物質、アンモニア等の塩基性物質、リン酸エステル等が好ましい。
【0017】
ハードコート層2cは、光透過性シート2aの接着剤層2bが設けられた側とは反対側の面に設けられている。ハードコート層2cは、光透過性シート2aに傷がつくことを防止するために、光透過性シート2aを保護するためのものである。
【0018】
このハードコート層2cは、金属および半金属元素の窒化物、酸化物、炭化物、フッ化物、硫化物、窒酸化物、窒炭化物、酸炭化物等からなる層、及びこれらを主成分とする層を用いることができる。具体的にはSiO2 、SiN、ITO、AlN、Al2 O3 、MgO、Y2 O3 、MgAl2 O4 、TiO2 、BaTiO3 、StTiO3 、Ta2 O3 、GeO、SiC、ZnS、PbS、GeN、GeNO、SiNO、CaF2 、LaF、ThF4 等から選ばれる1種または2種以上の誘電体からなる透明な無機膜も用いられる。
【0019】
これらのハードコート層を形成する各種無機物の被膜化方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングに代表される各種のPVD(Physical Vapor Deposition)法がある。
【0020】
ハードコート層2cは、アクリル系やメタクリル系の紫外線硬化樹脂から選ばれる1種または2種からなる有機透明膜を用いることができる。ハードコート層2cは、グラビアコーターにより、光透過性シート2a上に直接塗布、硬化により形成される。
【0021】
ハードコート層2cの膜厚はつぎの範囲にあることが好ましい。
ハードコート層2cが無機膜のときは、膜厚が10〜150nmの範囲にあることが好ましい。膜厚が10nm以上であると、ハードコート層として充分な硬度が得られる。膜厚が150nm以下であると、多重干渉による反射率変動を小さく抑えることができる。
【0022】
ハードコート層2cが有機膜のときは、膜厚が1.0〜10.0μmの範囲にあることが好ましい。膜厚が10.0μmより厚いと、紫外線照射による硬化収縮が生じ、ディスクに反りが発生する問題がある。また、膜厚が1.0μm未満であると、十分な膜の硬さが得られないためである。
【0023】
光透過性シート2aは、例えば、少なくとも紫外線を透光可能な光学特性を満足した、光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。この熱可塑性樹脂は、具体的には、例えばポリカーボネート樹脂(PC)や、アクリル樹脂、あるいはアモルファスポリオレフィン樹脂である。
【0024】
図6は、この発明の他の実施形態において製造された光ディスクを示す断面図である。光透過層2はディスク基板1に接着されている。情報信号部1cの上には透明な光透過層2が接着されている。光透過性シート2aの上にはハードコート層2cと被覆層2dが形成されている。
【0025】
以上のことから、本実施の形態によれば、光透過層に防汚剤からなる被覆層とハードコート層を形成することにより、耐汚染性、表面滑り性が向上し、指紋やゴミが光透過層表面に付着しにくくなり、傷つき防止効果がさらに向上し、信頼性の高い記録再生が可能となる。
【0026】
なお、上述の実施形態においては、この発明を、光透過層を有する光ディスクに適用するようにしているが、光磁気記録再生を採用した光ハードディスクや、リムーバブル光ハードディスクに適用することも可能である。また、上述の実施形態においては、この発明を、相変化を利用して情報信号の記録を行うようにした相変化型光ディスクに適用するようにしているが、この発明の技術的思想の範囲内において、この発明を、その他の書換可能型光ディスク、追記型光ディスク、または再生専用型光ディスクに適用することも可能である。
また、上述の実施形態による光ディスクの製造後、必要に応じて、ディスク基板1の他主面、すなわちレプリカ基板1aの光透過層2が設けられていない側の主面に、上述におけると同様にして、接着剤を介して、光透過層をディスク基板1の他主面に接着させて貼り合わせることにより、ディスク基板1の他主面上にさらに光透過層を形成することも可能である。
また、本発明は上述の実施形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明で用いた防汚剤を実施例と比較例によりさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中において「部」は重量部を表すものである。
以下、本実施例に用いた化合物を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、化合物1においてはp=20、q=12であり、化合物2においてはp=20、q=12であり、化合物3においてはn=3であり、化合物4においてはk=3であり、化合物5においてはm=2、l=2である。
実施例1
(1)光透過性シートサンプルの作製
押し出し成形法により、ポリカーボネートからなる光透過性シート(シートA)と、アクリル樹脂からなる光透過性シート(シートB)と、アモルファスポリオレフィンからなる光透過性シート(シートC)を作製した。各々のシート膜厚は80μmである。
(2)防汚膜形成用組成物の調製
パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物(表1中の化合物1)2部を、沸点が135℃のハイドロフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名H−GALDEN−C)フッ素系溶剤200部に溶解したのち、さらにメンブランフィルターで瀘過を行なって防汚膜形成用組成物を得た。
(3)塗布及び乾燥
ポリカーボネートからなる光透過性シート(シートA)の表面に、上述のように調整した防汚剤の処理膜組成物をグラビアコーターを用いて塗布後、室温で24時間乾燥させ、膜厚4nm程度の被覆層を成膜した。
(4)光ディスクへの貼り合せ
上記光透過性シートの防汚剤が形成した面の反対側面に、アクリル系感圧性接着剤層を20μmの厚さで形成して光透過層用シートを作製した。そして、この光透過層用シートを円盤状に打ち抜き、図3に示すように弾性体からなるローラー3を用いて相変化材料からなる情報信号部を有する相変化型光ディスクに貼り合せ、光透過層を形成した。
(5)性能評価
得られた光学記録媒体の性能は下記の方法に従い試験を行なうことにより評価した。これらの結果を表2に示す。
【0030】
(a)接触角
防汚剤からなる被覆層の純水及びヨウ化メチレンの接触角を測定した。測定は、協和界面化学社製CA−XE型を用いて行なった。水或いは油に対する耐汚染性の目安として表面エネルギーを求めた。表面エネルギーは、水とヨウ化メチレンの接触角を測定した後に、Kaelbleの方法を用いて分散項成分(γd)と極性項成分(γp)を計算して求めた。一般に、表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下であれば耐汚染性が良好であるとされる。
【0031】
(b)耐汚染性試験
水道水5mlを防汚剤からなる被覆層にしたたらせ、室温雰囲気下で48時問放置後、布で拭いた時の水垢の残存状態を観察した。水垢が除去できた時を○とし、除去できなかった時を×とした。
【0032】
(c)表面すべり性
鉛筆の芯(硬度3H)で防汚剤からなる被覆層を引っかいた時の引っかかり具合を評価した。判定方法は次の通りである。鉛筆の芯が被覆層に対して全く引っかからない時を○とし、鉛筆の芯を被覆層に対して強く押し付けると引っかかる時を△、鉛筆の芯を被覆層に対して弱く押し付けても引っかかる時を×とした。実施例2〜6
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例7
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、ディスク基板をポリカーボネ−ト樹脂からなる光透過性シート(シートA)の代わりにアクリル樹脂からなる光透過性シート(シートB)を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例8〜12
実施例7におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々被覆剤を用いた以外は、実施例7とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例13
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、ディスク基板をポリカーボネ−ト樹脂からなる光透過性シート(シートA)の代わりにアモルファスポリオレフィン樹脂からなる光透過性シート(シートC)を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例14〜18
実施例13におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例13とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例1
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例2
ポリカーボネート樹脂からなる光透過性シートに防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例3
実施例7におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例7とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例4
アクリル樹脂からなる光透過性シートに防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例5
実施例13におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例13とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例6
アモルファスポリオレフィン樹脂からなる光透過性シートに防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2の結果から明らかなように、実施例1〜18においては、耐汚染性、表面滑り性の項目においては良好な結果が得られた。また、これらにおいては、防汚剤からなる被覆層の水及びヨウ化エチレンに対する接触角が大きく、表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下であることからも耐汚染性が良好であることが確認された。
以上の結果から、本実施例によるディスクにおいては、ディスク基板の情報信号部が設けられた一主面に光透過層を形成するに際し、防汚剤からなる被覆層が形成された光透過性シートを、感圧性接着剤層を介してディスク基板の情報信号部に貼り合わせることで、つぎの効果を有する。
(1)指紋、手垢などによる汚れが付きにくく、また目立ちにくい。
(2)水垢などが付着し、乾燥しても容易に除去することが可能である。
(3)表面滑り性が良好である。
【0035】
つぎに、他の実施例について説明する。
【0036】
実施例19
(1)光透過性シートサンプルの作製
押し出し成形法により作製したシート厚80μmのポリカーボネートからなる光透過性シート上に、スパッタリングによりSiO2 膜からなるハードコート層を10nmの厚みで成膜した。
(2)防汚膜形成用組成物の調製
パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物(表1中の化合物1)2部を、沸点が178℃のハイドロフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名H−GALDEN ZV180)フッ素系溶剤200部に溶解し、さらにリン酸のパーフルオロポリエーテルエステル0.08部加えて均一な溶液としたのち、さらにメンブランフィルターで瀘過を行なって防汚膜形成用組成物を得た。
(3)塗布及び乾燥
光透過性シート上に成膜したハードコート層表面に、上述のように調整した防汚剤の処理膜組成物をグラビアコーターを用いて塗布後、室温で24時間乾燥させ、膜厚4nm程度の被覆層を成膜した。
(4)光ディスクへの貼り合せ
上記光透過性シートの防汚剤が形成した面の反対側面に、アクリル系感圧性接着剤層を20μmの厚さで形成して光透過層用シートを作製した。そして、この光透過層用シートを円盤状に打ち抜き、図3に示すように弾性体からなるローラー3を用いて相変化材料からなる情報信号部を有する相変化型光ディスクに貼り合せ、光透過層を形成した。
(5)性能評価
得られた光学記録媒体の性能は、試験を行なうことにより評価した。評価方法は、実施例1における評価方法と同様とした。評価結果を表3に示す。
【0037】
実施例20〜24
【0038】
実施例19におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例19とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表3に示す。
【0039】
比較例6
実施例19におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例19とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表3に示す。
【0040】
比較例7
ポリカーボネート樹脂からなる光透過性シート上に形成された、SiO2 からなるハードコート層に、防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表3に示す。
【0041】
実施例25
(1)光透過性シートサンプルの作製
押し出し成形法により作製したシート厚79μmのポリカーボネートからなる光透過性シート上に、グラビアコーターにより、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を1μmの厚さで塗布・硬化して形成した。
(2)防汚膜形成用組成物の調製
パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物(表1中の化合物1)2部を、沸点が178℃のハイドロフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名H−GALDEN ZV180)フッ素系溶剤200部に溶解したのち、さらにメンブランフィルターで瀘過を行なって防汚膜形成用組成物を得た。(3)塗布及び乾燥
光透過性シート上に成膜したハードコート層表面に、上述のように調整した防汚剤の処理膜組成物をグラビアコーターを用いて塗布後、室温で24時間乾燥させ、膜厚4nm程度の被覆層を成膜した。
(4)光ディスクへの貼り合せ
上記光透過性シートの防汚剤が形成した面の反対側面に、アクリル系感圧性接着剤層を20μmの厚さで形成して光透過層用シートを作製した。そして、この光透過層用シートを円盤状に打ち抜き、図3に示すように弾性体からなるローラー3を用いて相変化材料からなる情報信号部を有する相変化型光ディスクに貼り合せ、光透過層を形成した。
(5)性能評価
得られた光学記録媒体の性能は、試験を行なうことにより評価した。評価方法は、実施例1における評価方法と同様とした。評価結果を表4に示す。
【0042】
実施例26〜30
実施例25におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例25とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表4に示す。
【0043】
比較例8
実施例25におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例25とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表4に示す。
【0044】
比較例9
ポリカーボネート樹脂からなる光透過性シート上に形成された、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるハードコート層に、防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表4に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
表3,4の結果から明らかなように、実施例19〜30においては、耐汚染性、表面滑り性の項目においては良好な結果が得られた。また、これらにおいては、防汚剤からなる被覆層の水及びヨウ化エチレンに対する接触角が大きく、表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下であることからも耐汚染性が良好であることが確認された。
【0048】
以上の結果から、本実施例によるディスクにおいては、ディスク基板の情報信号部が設けられた一主面に光透過層を形成するに際し、光透過性シートの主面に予めハードコート層が形成され、さらにそのハードコート層の上に防汚剤からなる被覆層が形成された光透過性シートを、感圧性接着剤層を介してディスク基板の情報信号部に貼り合わせることで、つぎの効果を有する。
(1)指紋、手垢などによる汚れが付きにくく、また目立ちにくい。
(2)水垢などが付着し、乾燥しても容易に除去することが可能である。
(3)表面滑り性が良好である。
(4)表面の傷つき防止効果が向上する。
【0049】
なお、本発明の実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施例において挙げた数値、材料、光ディスクの構成はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、材料、光ディスクの構成を用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0051】
ディスク基板の情報信号部が設けられた一主面に光透過層を形成するに際し、光透過性シートの主面に防汚剤からなる被覆層を形成することにより、耐汚染性、表面滑り性に優れた光学記録媒体を得ることができる。
【0052】
また、光透過性シートと防汚剤からなる被覆層の間にハードコート層が形成されているため、上記効果に加えて、さらなる傷つき防止効果を得ることができる。
【0053】
よって、少なくとも記録または再生に用いられる対物レンズの高開口数(NA)化に対応可能で、透明性良好で均一な膜厚の光透過層を有する光学記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による、光透過層が形成されるディスク基板を示す断面図である。
【図2】この発明の一実施形態による光透過層の形成に用いられる被覆層、光透過性シート、及び接着剤層を示す断面図である。
【図3】ディスク基板にローラーを用いて光透過層を貼り合わせる様子を示す模式図である。
【図4】この発明の一実施形態において製造された光ディスクを示す断面図である。
【図5】この発明の他の実施形態による光透過層の形成に用いられる被覆層、ハードコート層、光透過性シート、及び接着剤層を示す断面図である。
【図6】この発明の他の実施形態において製造された光ディスクを示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・ディスク基板、1a・・・レプリカ基板、1b・・・センターホール、1c・・・情報信号部、2・・・光透過層、2a・・・光透過性シート、2b・・・接着剤層、2c・・・ハードコート層、2d・・・被覆層、3・・・ローラー
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学記録媒体に関し、特に、ディスク基板上の光透過層を通して少なくとも記録または再生が行われる光学記録媒体に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録の分野において、光学情報記録方式に関するさまざまな研究、開発が、各所で進められている。この光学情報記録方式は、非接触で記録または再生を行うことができるとともに、磁気記録方式に比して一桁以上高い記録密度を達成可能であるという利点を有している。また、この光学情報記録方式は、再生専用型、追記型、書換可能型などのそれぞれのメモリ形態に対応可能であるという、さらなる利点をも有する。そのため、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式として、産業用から民生用まで幅広い用途への適用が考えられている。
【0003】
近年、このような光学情報記録方式においては、さらなる高記録密度化が要求されている。そして、この高記録密度化の要求に対応するために、光学ピックアップの再生光の照射時に用いられる対物レンズの開口数(NA)を大きくすることによって、再生光のスポット径の小径化を図る技術が提案された。
すなわち、例えば従来のコンパクトディスク(CD)の再生時に用いられる対物レンズのNAが0.45であるのに対し、この従来のCDの6〜8倍の記録容量を有するDVD(Digital Versatile Disc)といった光学式ビデオディスクでは再生時に用いられる対物レンズのNAを0.60程度として、スポット径の小径化が図られる。
このような対物レンズにおける高NA化を進めていくと、照射される再生光を透過させるために、光ディスクにおけるディスク基板を薄くする必要が生じる。これは、光学ピックアップの光軸に対してディスク面の垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、さらに、このチルト角がディスク基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。したがって、ディスク基板を薄くすることによって、チルト角がなるべく小さくなるようにする。例えば、上述したCDにおいては、基板の厚さは1.2mm程度とされている。これに対し、CDの6〜8倍の記録容量を有するDVDなどの光学式ビデオディスクにおいては、基板の厚さは0.6mm程度とされている。
そして、今後のさらなる高記録密度化の要求を考慮すると、基板のさらなる薄型化が必要になる。そこで、基板の一主面に凹凸を形成して情報信号部とし、この情報信号部上に、反射膜と、光を透過可能な薄膜からなる光透過層とを順次積層し、光透過層側から再生光を照射することにより情報信号の再生を行うように構成された光ディスクが提案されている。このような、光透過層側から再生光を照射して情報信号の再生を行うようにした光ディスクにおいては、光透過層の薄膜化を図ることによって対物レンズの高NA化に対応することができる。
すわなち、上記対物レンズの高NA化により高密度の記録を実現することが可能な光学記録媒体として、光ピックアップの対物レンズの開口数(NA)=0.85、光透過層を厚さ3〜177 μmのシートとし、このシート状の光透過層側から光照射を行う光学記録媒体が提案されている(特開平10−302310)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この光学記録媒体では、従来の透明基板に比べて光透過層が非常に薄いため、ユーザーが手で取り扱った場合に付着する指紋跡やゴミ付着による記録再生光の妨げが大きな問題となっている。
例として、厚さ100μmの光透過層の場合について、再生スポット径及び光透過層表面でのスポット径を見積もると、記録再生波長λ=400nm、光ピックアップの対物レンズの開口数(NA)=0.85として、光透過層表面でのスポット径は、約100μmとなる。ここで、光透過層表面ではCDの場合に比べてスポット面積が約1/50となっている。 本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、光透過層に指紋やゴミが付着することを防止し、記録再生に支障をきたすことのない光学記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学記録媒体は、情報信号の少なくとも記録または再生を行うレーザ光が入射する読み取り面に、防汚剤からなる被覆層が形成されているものである。
【0006】
ここで、上記防汚剤として、上記被覆層の表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下を有していることが好ましい。
また、上記防汚剤として、下記一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。
(R3 O)3 Si−R2 −R1 CO−Rf−COR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(1)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
また、上記防汚剤として、下記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。
【0007】
RfCOR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(2)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
また、上記防汚剤として、下記一般式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。
【0008】
Rf`−R1 −Si(OR2 )3 …(3)
但し、Rf`はフルオロアルキル基を、R1 は炭素数7未満のアルキレン基を、R2 はアルキル基を其々示す。
本発明の光学記録媒体が被覆層を有することで、その表面エネルギーの極性項成分γS pを低くすることができ、汚れの付着力を低下させることができる。
【0009】
また、記録媒体として、基板の一主面上に、情報信号を少なくとも記録または再生可能に構成された情報信号部と、情報信号の少なくとも記録または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層とが設けられた光学記録媒体であり、光透過層として、透明プラスチックからなる光透過性シートと、光透過性シートをディスク基板に接着させるための透明な接着剤と、光透過性シート上に形成されたハードコート層から構成されることが好ましい。
【0010】
本発明の光学記録媒体が被覆層およびハードコート層を有するので、汚れの付着力を低下させることができ、またさらに硬い表面を形成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
この発明の一実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。
【0012】
この一実施形態による光透過層の形成方法においては、まず、図1に示すように、光透過層の形成が行われるディスク基板1を用意する。このディスク基板1は、レプリカ基板1aの中心部にセンターホール1bが形成されている。
また、レプリカ基板1aの一主面に形成された凹凸部上に、薄膜が成膜されており、これにより情報信号部1cが形成されている。この情報信号部1cは、反射膜、光磁気材料からなる膜、相変化材料からなる膜、または有機色素膜などからなる。
また、この発明において、ディスク基板1は、具体的には、ポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマーなどの低吸水性の樹脂が用いられる。また、例えばアルミニウム(Al)などの金属からなる基板や、ガラス基板、あるいは、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂からなる基板を用いることも可能である。
ここで、この一実施形態によるディスク基板1は、具体的には、レプリカ基板1aとして、例えば、厚さが1.1mmで円盤状のポリカーボネート(PC)基板が用いられ、このPC基板の直径(外径)を例えば120mm、センターホール1bの開口径(内口径)を例えば15mmとしたものである。
そして、情報信号部1cとして、例えば、膜厚が100nmのAl合金からなる反射層上に、膜厚が18nmのZnSとSiO2 との混合物からなる第1の誘電体層、膜厚が24nmのGeSbTe合金層からなる相変化記録層、膜厚が140nmの硫化亜鉛(ZnS)と酸化シリコン(SiO2 )との混合物(ZnS−SiO2 )からなる第2の誘電体層を順次積層した積層膜を用いる。
次に、この一実施形態に用いられる光透過層について説明する。図2 に、この一実施形態による光透過層2を示す。
図2に示すように、この一実施形態に用いられる光透過層2は、光透過性シート2aと透明な接着剤層2bと防汚剤からなる被覆層2dが予め形成された光透過層用シートからなり、ディスク基板1と同様に、平面円盤状に打ち抜かれて形成された構造を有する。
ここで、この光透過性シート2aと被覆層2dと接着剤層2bからなる光透過層用シートの寸法の一例を挙げると、直径(外径)を基板の外形と等しい120mmとする。これらの光透過層用シートに中心には23mmの孔が形成されている。
【0013】
この発明において、典型的には、光透過性シート2aは、少なくとも情報信号の記録または再生に用いられる、GaN系半導体レーザ(発光波長400nm帯、青色発光)から照射されるレーザ光を、透過可能な熱可塑性樹脂からなる。ここでは、ポリカーボネート樹脂からなるシート(シートA)とアクリル樹脂からなるシート(シートB)とアモルファスポリオレフィン樹脂からなるシート(シートC)を用いた。この発明において、光透過性シート2aの厚さは、典型的には、基板の厚さより小さくなるように構成される。
接着剤層2bは、圧力を加えることで接着力が発生する感圧性接着剤からなり、具体的には、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコン系などの接着剤を用いることが可能であり、ここでは、アクリル系の接着剤を用いた。また、接着剤層2bとして、紫外線硬化型接着剤等の透明で接着力があるものであれば用いることが可能である。
耐汚染性、表面滑り性に優れた防汚剤からなる被覆層2dは、上記光透過性シート上に、均一に塗布することで形成する。
即ち、下記一般式(1)又は(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物と又は、下記一般式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含有する防汚剤を含有する。
(R3 O)3 Si−R2 −R1 CO−Rf−COR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(1)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
RfCOR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(2)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。
Rf`−R1 −Si(OR2 )3 …(3)
但し、Rf`はフルオロアルキル基を、R1 は炭素数7未満のアルキレン基を、R2 はアルキル基を其々示す。
上記一般式(1)又は(2)で示される化合物は、基本的にパーフルオロポリエーテル基を有すれば、防汚性を形成することができるため、パーフルオロポリエーテル基以外の分子構造についての制限は本質的にはない。しかし、実際にはある程度の合成のし易さ、つまり実現性の観点からの範囲はある。以下、その観点から、各構造部分を説明する。
上記一般式(1)で示されるRf としてのパーフルオロポリエーテル基の分子構造としては、特に限定されるものではなく、各種鎖長のパーフルオロポリエーテル基が含まれるが、下記に示す分子構造のものが好ましい。
−CF2 (OC2 F4 )p (OCF2 )q OCF2 − …(4)
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基中、p、qは1〜50の範囲にあることが好ましい。
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、安定性、取扱いやすさ等の点から、数平均分子量で400〜10000のものが好ましく、500〜4000のものがより好ましく用いられる。
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物中、R1 は、2価の原子又は基を示し、R2 とパーフルオロポリエーテル基との結合基であり、特に制限はないが、合成上、炭素以外のO、NH、S等の原子あるいは原子団が好ましい。R2 は炭化水素基であり、炭素数は2〜10の範囲が好ましい。R2 としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基などを例示することができる。
上記一般式(4)で示されるパーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物中、R3 はアルコキシ基を構成するアルキル基であり、通常は炭素数が3以下、つまりイソプロピル基、n− プロピル基、エチル基、メチル基を例示することができるが、炭素数はこれ以上でもよい。
一方、上記一般式(2)で示されるRfとしてのパーフルオロポリエーテル基の分子構造としては、特に限定されるものではなく、各種鎖長のパーフルオロポリエーテル基が含まれるが、下記に示す分子構造のものが好ましい。
Rfは、パーフルオロポリエーテル基であり、下記の一般式(5)〜(7)にて示されるものが挙げられる。但し、全てのポリエーテル基の水素原子がフッ素原子に置換されている必要はなく、部分的に水素が含まれていてもよい。
F(CF2 CF2 CF2 O) n − …(5)
但し、nは、1以上の整数である。
CF3 (OCF(CF3 )CF2)m (OCF2)l − …(6)
但し、l、mは、1以上の整数である。
CF3 (OCF(CF3 )CF2)k − …(7)
但し、kは、1以上の整数である。
なお、一般式(6)中、m/lは、0.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。
パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、安定性、取扱いやすさ等の点から、数平均分子量で400〜10000のものが好ましく、500〜4000のものがより好ましく用いられる。
一方、上記一般式(3)で示されるRf`としてのフルオロアルキル基の分子構造としても、特に限定されるものではなく、アルキル基の水素原子をフッ素原子で置換したものが挙げられ、各種鎖長および各種フッ素置換度のフルオロアルキル基が含まれるが、下記一般式(8)に示す分子構造のものが好ましい。
F(CF2 )s (CH2 )t …(8)
この式中、sは6〜12の整数、tは20以下の整数を示す。
パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物からなる防汚剤からなる被覆層の膜厚は、特に限定されるものではないが、撥水性、耐汚染性、塗布性とのバランス及び表面硬度の関係から、0.5〜100nmが好ましい。
被覆層2dは、アルコキシシラン基を有する有機フッ素化合物を含有する防汚剤を、光透過性シート2aに塗布、乾燥して形成される。
被覆層を形成させる方法には、有機フッ素化合物を溶剤に溶解させてそれをグラビアコーターにより形成する方法、ディッピングあるいは噴霧により塗布する方法、擦り付けて塗布する方法の他、真空法により形成させる方法等がある。
一般には有機フッ素化合物を基材表面に塗布することにより、基材の表面エネルギーを低下させることができる。しかしながら有機フッ素化合物を塗布するだけでは、十分な効果は得られない。つまり分子が配向するような極性基と疎水基のバランスを持った有機化合物が必要となる。その基材との親和性については容易に類推することはできない。
本発明の防汚剤は、通常、上記式(1)又は(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物と上記式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を、溶媒に希釈して用いる。溶媒として用いられるものは、特に限定されないが、使用にあたっては組成物の安定性、被塗布面の最表面層に対する濡れ性、揮発性などを考慮して決められるべきである。
本発明においては、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、sec−アミルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましく、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、アルコール系溶剤に炭化水素系溶剤を混合して混合溶剤とすることも可能である。
このような炭化水素系溶剤としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等のパラフィン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等のシクロパラフィン等の沸点が50〜120℃の範囲の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
その他、フッ化炭化水素系溶媒を用いることも可能である。フッ化炭化水素系溶媒は、脂肪族炭化水素、環式炭化水素、エーテル等の炭化水素系溶媒の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換した化合物である。例えば日本ゼオン社製の商品名ZEORORA−HXE(沸点78℃)、パーフルオロヘプタン(沸点80℃)、パーフルオロオクタン(沸点102℃)、アウジモント社製の商品名H−GALDEN−ZV75(沸点75℃)、H−GALDEN−ZV85(沸点85℃)、H−GALDEN−ZV100(沸点95℃)、H−GALDEN−C(沸点135℃)、H−GALDEN−D(沸点165℃)等のハイドロフルオロポリエーテル或いはSV−110(沸点110℃)、SV−135(沸点135℃)等のパーフルオロポリエーテル、住友3M社製のFCシリーズ等のパーフルオロアルカン等を例示することができる。これらのフッ化炭化水素系溶媒の中でも、上記一般式(1)、(2)又は(3)のフッ素系化合物を溶解する溶媒として、ムラのない、膜厚が均一な有機膜を得るために、沸点が70〜240℃の範囲のものを選択し、さらにはハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)若しくはハイドロフルオロカーボン(HFC)を選択し、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。沸点が低すぎると、例えば塗布ムラになりやすい場合があり、一方沸点が高すぎると乾燥がうまく行かず塗布形態が良くならない場合がある。また、HFPE又はHFCは、一般式(1)、(2)又は(3)で表されるアルコキシラン化合物に対する溶解性が優れており、優れた塗布面を得る事が出来る。
本発明では特に末端にアルコキシシラノ基をもつ有機フッ素化合物を塗布することによって十分な効果を得ることができることがわかった。
有機フッ素化合物としては、分子内にフッ素を有する有機化合物であればエステル、アミン、カルボン酸等、いずれも使用可能であるが、パーフルオロポリエーテル基、パーフルオロアルキル基を使用することが特に好ましい。
表面エネルギーを低下させるには、その有機分子の配向を考えなければならない。有機分子の長さは通常2〜3nmであるために、その分子がうまく配向しないと低表面エネルギーを得ることができない。つまり、うまくフッ素原子が最表面に表れないと表面エネルギーを低下させることはできない。分子がランダムに配向し、極性基が表れると表面エネルギー、特に極性項が上昇する。
次に、ディスク基板1と上記光透過層2を、図3に示す方法で貼り合わせる。ディスク基板1を情報記録面が上を向くように固定し、その上に光透過層2を接着剤層がディスク基板側を向くように配置し、光透過層2を弾性体からなるローラー3で図中矢印方向に転がしプレスすることでディスク基板1に貼り合わせる。
なお、例えば、光透過層2を接着剤を介しディスク基板1に貼り合わせる装置として、本実施形態ではローラー形状の弾性体を用いたが、パッド形状の弾性体を用いても同様の効果が得られる。
図4に示すように、ディスク基板1 と光透過層2とが貼り合わされ、ディスク基板1の情報信号部1c上に光透過層2が設けられた光ディスクが製造される。情報信号の少なくとも記録または再生を行うレーザ光が入射する読み取り面に、防汚剤からなる被覆層が形成されている光ディスクが得られる。
この発明は、好適には、DVR(Digital Video Recording System)などの、薄い光透過層を有する光ディスクに適用することができ、発光波長が400nm程度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行うように構成された、いわゆるDVR blueなどの光ディスクに適用することが可能である。
以上のことから、本実施の形態によれば、光透過層表面に防汚剤からなる被覆層を形成することにより、耐汚染性、表面滑り性が向上し、指紋やゴミが光透過層表面に付着しにくくなり、傷付き等が解消され、信頼性の高い記録再生が可能となる。
【0014】
つぎに、他の実施形態について説明する。ここでは、本実施形態に特徴的な部分について説明する。その他の部分は、上述の実施形態と同様である。
【0015】
図5は、この発明の他の実施形態による光透過層の形成に用いられる被覆層、ハードコート層、光透過性シート、及び接着剤層を示す断面図である。
【0016】
被覆層2dは、添加剤を含有させてもよい。添加剤を含有させることによりアルコキシシランの反応が加速されて有機膜強度が増す。有機膜強度が増すことにより光学記録媒体の耐久性が向上する。この添加剤としては、塩酸等の酸性物質、アンモニア等の塩基性物質、リン酸エステル等が好ましい。
【0017】
ハードコート層2cは、光透過性シート2aの接着剤層2bが設けられた側とは反対側の面に設けられている。ハードコート層2cは、光透過性シート2aに傷がつくことを防止するために、光透過性シート2aを保護するためのものである。
【0018】
このハードコート層2cは、金属および半金属元素の窒化物、酸化物、炭化物、フッ化物、硫化物、窒酸化物、窒炭化物、酸炭化物等からなる層、及びこれらを主成分とする層を用いることができる。具体的にはSiO2 、SiN、ITO、AlN、Al2 O3 、MgO、Y2 O3 、MgAl2 O4 、TiO2 、BaTiO3 、StTiO3 、Ta2 O3 、GeO、SiC、ZnS、PbS、GeN、GeNO、SiNO、CaF2 、LaF、ThF4 等から選ばれる1種または2種以上の誘電体からなる透明な無機膜も用いられる。
【0019】
これらのハードコート層を形成する各種無機物の被膜化方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングに代表される各種のPVD(Physical Vapor Deposition)法がある。
【0020】
ハードコート層2cは、アクリル系やメタクリル系の紫外線硬化樹脂から選ばれる1種または2種からなる有機透明膜を用いることができる。ハードコート層2cは、グラビアコーターにより、光透過性シート2a上に直接塗布、硬化により形成される。
【0021】
ハードコート層2cの膜厚はつぎの範囲にあることが好ましい。
ハードコート層2cが無機膜のときは、膜厚が10〜150nmの範囲にあることが好ましい。膜厚が10nm以上であると、ハードコート層として充分な硬度が得られる。膜厚が150nm以下であると、多重干渉による反射率変動を小さく抑えることができる。
【0022】
ハードコート層2cが有機膜のときは、膜厚が1.0〜10.0μmの範囲にあることが好ましい。膜厚が10.0μmより厚いと、紫外線照射による硬化収縮が生じ、ディスクに反りが発生する問題がある。また、膜厚が1.0μm未満であると、十分な膜の硬さが得られないためである。
【0023】
光透過性シート2aは、例えば、少なくとも紫外線を透光可能な光学特性を満足した、光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。この熱可塑性樹脂は、具体的には、例えばポリカーボネート樹脂(PC)や、アクリル樹脂、あるいはアモルファスポリオレフィン樹脂である。
【0024】
図6は、この発明の他の実施形態において製造された光ディスクを示す断面図である。光透過層2はディスク基板1に接着されている。情報信号部1cの上には透明な光透過層2が接着されている。光透過性シート2aの上にはハードコート層2cと被覆層2dが形成されている。
【0025】
以上のことから、本実施の形態によれば、光透過層に防汚剤からなる被覆層とハードコート層を形成することにより、耐汚染性、表面滑り性が向上し、指紋やゴミが光透過層表面に付着しにくくなり、傷つき防止効果がさらに向上し、信頼性の高い記録再生が可能となる。
【0026】
なお、上述の実施形態においては、この発明を、光透過層を有する光ディスクに適用するようにしているが、光磁気記録再生を採用した光ハードディスクや、リムーバブル光ハードディスクに適用することも可能である。また、上述の実施形態においては、この発明を、相変化を利用して情報信号の記録を行うようにした相変化型光ディスクに適用するようにしているが、この発明の技術的思想の範囲内において、この発明を、その他の書換可能型光ディスク、追記型光ディスク、または再生専用型光ディスクに適用することも可能である。
また、上述の実施形態による光ディスクの製造後、必要に応じて、ディスク基板1の他主面、すなわちレプリカ基板1aの光透過層2が設けられていない側の主面に、上述におけると同様にして、接着剤を介して、光透過層をディスク基板1の他主面に接着させて貼り合わせることにより、ディスク基板1の他主面上にさらに光透過層を形成することも可能である。
また、本発明は上述の実施形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明で用いた防汚剤を実施例と比較例によりさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中において「部」は重量部を表すものである。
以下、本実施例に用いた化合物を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、化合物1においてはp=20、q=12であり、化合物2においてはp=20、q=12であり、化合物3においてはn=3であり、化合物4においてはk=3であり、化合物5においてはm=2、l=2である。
実施例1
(1)光透過性シートサンプルの作製
押し出し成形法により、ポリカーボネートからなる光透過性シート(シートA)と、アクリル樹脂からなる光透過性シート(シートB)と、アモルファスポリオレフィンからなる光透過性シート(シートC)を作製した。各々のシート膜厚は80μmである。
(2)防汚膜形成用組成物の調製
パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物(表1中の化合物1)2部を、沸点が135℃のハイドロフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名H−GALDEN−C)フッ素系溶剤200部に溶解したのち、さらにメンブランフィルターで瀘過を行なって防汚膜形成用組成物を得た。
(3)塗布及び乾燥
ポリカーボネートからなる光透過性シート(シートA)の表面に、上述のように調整した防汚剤の処理膜組成物をグラビアコーターを用いて塗布後、室温で24時間乾燥させ、膜厚4nm程度の被覆層を成膜した。
(4)光ディスクへの貼り合せ
上記光透過性シートの防汚剤が形成した面の反対側面に、アクリル系感圧性接着剤層を20μmの厚さで形成して光透過層用シートを作製した。そして、この光透過層用シートを円盤状に打ち抜き、図3に示すように弾性体からなるローラー3を用いて相変化材料からなる情報信号部を有する相変化型光ディスクに貼り合せ、光透過層を形成した。
(5)性能評価
得られた光学記録媒体の性能は下記の方法に従い試験を行なうことにより評価した。これらの結果を表2に示す。
【0030】
(a)接触角
防汚剤からなる被覆層の純水及びヨウ化メチレンの接触角を測定した。測定は、協和界面化学社製CA−XE型を用いて行なった。水或いは油に対する耐汚染性の目安として表面エネルギーを求めた。表面エネルギーは、水とヨウ化メチレンの接触角を測定した後に、Kaelbleの方法を用いて分散項成分(γd)と極性項成分(γp)を計算して求めた。一般に、表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下であれば耐汚染性が良好であるとされる。
【0031】
(b)耐汚染性試験
水道水5mlを防汚剤からなる被覆層にしたたらせ、室温雰囲気下で48時問放置後、布で拭いた時の水垢の残存状態を観察した。水垢が除去できた時を○とし、除去できなかった時を×とした。
【0032】
(c)表面すべり性
鉛筆の芯(硬度3H)で防汚剤からなる被覆層を引っかいた時の引っかかり具合を評価した。判定方法は次の通りである。鉛筆の芯が被覆層に対して全く引っかからない時を○とし、鉛筆の芯を被覆層に対して強く押し付けると引っかかる時を△、鉛筆の芯を被覆層に対して弱く押し付けても引っかかる時を×とした。実施例2〜6
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例7
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、ディスク基板をポリカーボネ−ト樹脂からなる光透過性シート(シートA)の代わりにアクリル樹脂からなる光透過性シート(シートB)を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例8〜12
実施例7におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々被覆剤を用いた以外は、実施例7とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例13
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、ディスク基板をポリカーボネ−ト樹脂からなる光透過性シート(シートA)の代わりにアモルファスポリオレフィン樹脂からなる光透過性シート(シートC)を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
実施例14〜18
実施例13におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例13とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例1
実施例1におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例1とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例2
ポリカーボネート樹脂からなる光透過性シートに防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例3
実施例7におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例7とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例4
アクリル樹脂からなる光透過性シートに防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例5
実施例13におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例13とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表2に示す。
比較例6
アモルファスポリオレフィン樹脂からなる光透過性シートに防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2の結果から明らかなように、実施例1〜18においては、耐汚染性、表面滑り性の項目においては良好な結果が得られた。また、これらにおいては、防汚剤からなる被覆層の水及びヨウ化エチレンに対する接触角が大きく、表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下であることからも耐汚染性が良好であることが確認された。
以上の結果から、本実施例によるディスクにおいては、ディスク基板の情報信号部が設けられた一主面に光透過層を形成するに際し、防汚剤からなる被覆層が形成された光透過性シートを、感圧性接着剤層を介してディスク基板の情報信号部に貼り合わせることで、つぎの効果を有する。
(1)指紋、手垢などによる汚れが付きにくく、また目立ちにくい。
(2)水垢などが付着し、乾燥しても容易に除去することが可能である。
(3)表面滑り性が良好である。
【0035】
つぎに、他の実施例について説明する。
【0036】
実施例19
(1)光透過性シートサンプルの作製
押し出し成形法により作製したシート厚80μmのポリカーボネートからなる光透過性シート上に、スパッタリングによりSiO2 膜からなるハードコート層を10nmの厚みで成膜した。
(2)防汚膜形成用組成物の調製
パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物(表1中の化合物1)2部を、沸点が178℃のハイドロフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名H−GALDEN ZV180)フッ素系溶剤200部に溶解し、さらにリン酸のパーフルオロポリエーテルエステル0.08部加えて均一な溶液としたのち、さらにメンブランフィルターで瀘過を行なって防汚膜形成用組成物を得た。
(3)塗布及び乾燥
光透過性シート上に成膜したハードコート層表面に、上述のように調整した防汚剤の処理膜組成物をグラビアコーターを用いて塗布後、室温で24時間乾燥させ、膜厚4nm程度の被覆層を成膜した。
(4)光ディスクへの貼り合せ
上記光透過性シートの防汚剤が形成した面の反対側面に、アクリル系感圧性接着剤層を20μmの厚さで形成して光透過層用シートを作製した。そして、この光透過層用シートを円盤状に打ち抜き、図3に示すように弾性体からなるローラー3を用いて相変化材料からなる情報信号部を有する相変化型光ディスクに貼り合せ、光透過層を形成した。
(5)性能評価
得られた光学記録媒体の性能は、試験を行なうことにより評価した。評価方法は、実施例1における評価方法と同様とした。評価結果を表3に示す。
【0037】
実施例20〜24
【0038】
実施例19におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例19とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表3に示す。
【0039】
比較例6
実施例19におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例19とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表3に示す。
【0040】
比較例7
ポリカーボネート樹脂からなる光透過性シート上に形成された、SiO2 からなるハードコート層に、防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表3に示す。
【0041】
実施例25
(1)光透過性シートサンプルの作製
押し出し成形法により作製したシート厚79μmのポリカーボネートからなる光透過性シート上に、グラビアコーターにより、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を1μmの厚さで塗布・硬化して形成した。
(2)防汚膜形成用組成物の調製
パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物(表1中の化合物1)2部を、沸点が178℃のハイドロフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名H−GALDEN ZV180)フッ素系溶剤200部に溶解したのち、さらにメンブランフィルターで瀘過を行なって防汚膜形成用組成物を得た。(3)塗布及び乾燥
光透過性シート上に成膜したハードコート層表面に、上述のように調整した防汚剤の処理膜組成物をグラビアコーターを用いて塗布後、室温で24時間乾燥させ、膜厚4nm程度の被覆層を成膜した。
(4)光ディスクへの貼り合せ
上記光透過性シートの防汚剤が形成した面の反対側面に、アクリル系感圧性接着剤層を20μmの厚さで形成して光透過層用シートを作製した。そして、この光透過層用シートを円盤状に打ち抜き、図3に示すように弾性体からなるローラー3を用いて相変化材料からなる情報信号部を有する相変化型光ディスクに貼り合せ、光透過層を形成した。
(5)性能評価
得られた光学記録媒体の性能は、試験を行なうことにより評価した。評価方法は、実施例1における評価方法と同様とした。評価結果を表4に示す。
【0042】
実施例26〜30
実施例25におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物2〜6として示す其々化合物を用いた以外は、実施例25とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表4に示す。
【0043】
比較例8
実施例25におけるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物含有防汚膜形成用組成物の調製において、表1中の化合物1の代わりに、表1中化合物7として示す化合物を用いた以外は、実施例25とすべて同様にしてサンプルを得た。得られた結果を同様に表4に示す。
【0044】
比較例9
ポリカーボネート樹脂からなる光透過性シート上に形成された、アクリル系紫外線硬化樹脂からなるハードコート層に、防汚剤を被覆しない場合である。得られた結果を同様に表4に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
表3,4の結果から明らかなように、実施例19〜30においては、耐汚染性、表面滑り性の項目においては良好な結果が得られた。また、これらにおいては、防汚剤からなる被覆層の水及びヨウ化エチレンに対する接触角が大きく、表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下であることからも耐汚染性が良好であることが確認された。
【0048】
以上の結果から、本実施例によるディスクにおいては、ディスク基板の情報信号部が設けられた一主面に光透過層を形成するに際し、光透過性シートの主面に予めハードコート層が形成され、さらにそのハードコート層の上に防汚剤からなる被覆層が形成された光透過性シートを、感圧性接着剤層を介してディスク基板の情報信号部に貼り合わせることで、つぎの効果を有する。
(1)指紋、手垢などによる汚れが付きにくく、また目立ちにくい。
(2)水垢などが付着し、乾燥しても容易に除去することが可能である。
(3)表面滑り性が良好である。
(4)表面の傷つき防止効果が向上する。
【0049】
なお、本発明の実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施例において挙げた数値、材料、光ディスクの構成はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、材料、光ディスクの構成を用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0051】
ディスク基板の情報信号部が設けられた一主面に光透過層を形成するに際し、光透過性シートの主面に防汚剤からなる被覆層を形成することにより、耐汚染性、表面滑り性に優れた光学記録媒体を得ることができる。
【0052】
また、光透過性シートと防汚剤からなる被覆層の間にハードコート層が形成されているため、上記効果に加えて、さらなる傷つき防止効果を得ることができる。
【0053】
よって、少なくとも記録または再生に用いられる対物レンズの高開口数(NA)化に対応可能で、透明性良好で均一な膜厚の光透過層を有する光学記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による、光透過層が形成されるディスク基板を示す断面図である。
【図2】この発明の一実施形態による光透過層の形成に用いられる被覆層、光透過性シート、及び接着剤層を示す断面図である。
【図3】ディスク基板にローラーを用いて光透過層を貼り合わせる様子を示す模式図である。
【図4】この発明の一実施形態において製造された光ディスクを示す断面図である。
【図5】この発明の他の実施形態による光透過層の形成に用いられる被覆層、ハードコート層、光透過性シート、及び接着剤層を示す断面図である。
【図6】この発明の他の実施形態において製造された光ディスクを示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・ディスク基板、1a・・・レプリカ基板、1b・・・センターホール、1c・・・情報信号部、2・・・光透過層、2a・・・光透過性シート、2b・・・接着剤層、2c・・・ハードコート層、2d・・・被覆層、3・・・ローラー
Claims (17)
- 情報信号の少なくとも記録または再生を行うレーザ光が入射する読み取り面に、防汚剤からなる被覆層が形成されていることを特徴とする光学記録媒体。
- 上記防汚剤として、上記被覆層の表面エネルギーの極性項成分γpが3.0(erg/cm2 )以下を有し耐汚染性に優れていることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記防汚剤として、下記一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
(R3 O)3 Si−R2 −R1 CO−Rf−COR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(1)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。 - 上記防汚剤として、下記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
RfCOR1 −R2 −Si(OR3 )3 …(2)
但し、式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1 はO、NH、Sのいずれかであり、R2 はアルキレン基を、R3 はアルキル基を示す。 - 上記防汚剤として、下記一般式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
Rf`−R1 −Si(OR2 )3 …(3)
但し、Rf`はフルオロアルキル基を、R1 は炭素数7未満のアルキレン基を、R2 はアルキル基を其々示す。 - 上記防汚剤からなる被覆層の膜厚は、0.5〜100nmであることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記記録媒体として、基板の一主面上に、情報信号を少なくとも記録または再生可能に構成された情報信号部と、上記情報信号の少なくとも記録または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層とが設けられたことを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記光透過層として、透明プラスチックからなる光透過性シートと、光透過性シートをディスク基板に接着させるための透明な接着剤から構成されることを特徴とする請求項7記載の光学記録媒体。
- 上記光透過性シートが、ポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする請求項8記載の光学記録媒体。
- 上記光透過性シートが、アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項8記載の光学記録媒体。
- 上記光透過性シートが、アモルファスポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項8記載の光学記録媒体。
- 上記透明な接着剤が、感圧性接着剤からなることを特徴とする請求項8記載の光学記録媒体。
- 上記透明な接着剤が、紫外線硬化型接着剤からなることを特徴とする請求項8記載の光学記録媒体。
- 上記光透過層として、透明プラスチックからなる光透過性シートと、光透過性シートをディスク基板に接着させるための透明な接着剤と、光透過性シート上に形成されたハードコート層から構成されることを特徴とする請求項7記載の光学記録媒体。
- ハードコート層が、誘電体からなる透明な無機膜であることを特徴とする請求項14記載の光学記録媒体。
- ハードコート層が、SiO2 、SiN、ITO、AlN、Al2 O3 、MgO、Y2 O3 、MgAl2 O4 、TiO2 、BaTiO3 、StTiO3 、Ta2 O3 、GeO、SiC、ZnS、PbS、GeN、GeNO、SiNO、CaF2 、LaF、ThF4 から選ばれる1種または2種以上の誘電体からなる透明な無機膜であることを特徴とする請求項14記載の光学記録媒体。
- ハードコート層が、アクリル樹脂またはメタクリル樹脂から選ばれる1種または2種からなる透明な有機膜であることを特徴とする請求項14記載の光学記録媒体。
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Cited By (6)
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