JP2004045359A - 透過型電子顕微鏡用グリッドおよびグリッドホルダー - Google Patents
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Abstract
【課題】粉末などの試料に10−2〜10−3Pa程度の真空度で数100℃以上の加熱を行える透過型電子顕微鏡用グリッドと、グリッドの汚染や破損を防止できるグリッドホルダーを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの開口部6を有する基材1と、基材の第1面および開口部を被覆するカーボン膜2と、カーボン膜上に形成された金属層(例えばタンタル層)3と、セラミック層(例えば酸化アルミニウム層)4とを有する透過型電子顕微鏡用グリッドと、それを上下から挟んで固定するホルダー。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも1つの開口部6を有する基材1と、基材の第1面および開口部を被覆するカーボン膜2と、カーボン膜上に形成された金属層(例えばタンタル層)3と、セラミック層(例えば酸化アルミニウム層)4とを有する透過型電子顕微鏡用グリッドと、それを上下から挟んで固定するホルダー。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型電子顕微鏡(TEM)で粉末試料などを支持できる耐熱性の高いグリッドと、そのようなグリッドの形成および支持に適したホルダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
TEMで観察される試料は、様々な方法で作製される。試料はメッシュまたはグリッドと呼ばれる網の上に直接、またはカーボン蒸着膜などを介して載せられる。図11にメッシュの一例を示す。図11に示すように、メッシュ31の外形は通常、直径3mm(または2.3mm)の円形であり、外側のリム32で囲まれた部分に複数の開口部33が形成されている。
【0003】
開口部33の形状や配置、あるいは密度の異なる多様なメッシュが市販されており、単一の開口部(スロット)が形成されているものもある。メッシュ31の材料としては銅が用いられることが多いが、ニッケル、金、モリブデン等の他の材料も用いられる。試料34はメッシュ31により支持され、電子線が開口部33上の試料34を透過することにより、TEM像が得られる。
【0004】
試料が開口部より大きければ、図11に示すように試料がメッシュにより支持されるが、メッシュの開口部より小さいナノパーティクルなどの粉末試料は、メッシュで支持できない。また、開口部より大きい試料であっても、極めて薄く撓みやすいフィルム状の試料なども、メッシュで安定に支持することができない。このような粉末試料などのTEM観察には、有機膜あるいはカーボン膜などの無機膜で被覆されたメッシュが用いられる。このような有機膜あるいは無機膜が、粉末試料などの支持膜として用いられる。
【0005】
有機膜としては例えば、ポリビニルホルムアルデヒドを用いて形成されるホルムバール(Formvar)膜が用いられる。カーボン膜としては、例えば真空蒸着により形成されたアモルファスカーボン膜が用いられる。カーボン膜以外に、酸化シリコン層や窒化シリコン層も支持膜として用いられる。また、例えばホルムバール膜とカーボン膜の積層膜が支持膜として用いられることもある。
【0006】
なお、有機膜や無機膜の支持膜で被覆されていないメッシュはグリッドとも呼ばれるが、メッシュと支持膜を合わせてグリッドと呼ぶ場合もある。また、メッシュ上に形成される多孔性の支持膜はマイクログリッドと呼ばれるが、支持膜付きのメッシュをマイクログリッドと呼ぶ場合もあり、呼び方は統一されていない。本明細書においては、支持膜が形成されていないものをメッシュと記載し、支持膜を含むメッシュをグリッドと記載する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
粉末試料のTEM観察に用いられる上記のグリッドは、室温での測定に適している。グリッドのカーボン膜上の試料をex−situまたはin−situで加熱してTEM観察を行う場合、10−3Pa程度の真空度では、加熱温度の上限が150℃程度であり、それ以上の高温にするとカーボン膜が消失する。
【0008】
特開平5−159731号公報には、メッシュ上の有機膜上にカーボン膜を厚く蒸着させた後、例えば700℃で有機膜を除去したTEM用グリッドが開示されている。しかしながら、この方法でカーボン膜を消失させないためには、加熱を10−6Pa程度の超高真空で行う必要がある。
【0009】
また、カーボン膜を厚くした場合、TEM像の分解能は低下する。有機膜を除去するための加熱を例えば10−6Pa程度の超高真空で行ったとしても、カーボン膜は一部消失するため、カーボン膜表面の平坦性が低下して、TEM像の分解能が低下する。また、メッシュ上にカーボン膜のみ形成されている場合は耐水性がなく、水が接触するとカーボン膜が剥離する。
【0010】
一方、メッシュ上に有機膜が設けられたグリッドは、低コストで耐水性がある反面、有機膜の耐熱性が数10℃程度と低く、表面の平坦性も高分解能のTEM観察を行うには不足する。以上のように、従来のグリッドは室温〜100℃程度の温度でなければ使用できず、数100℃程度の高温で使用する場合には、10−6Pa程度の超高真空を必要とする。
【0011】
磁性材料のナノパーティクルは数100℃程度の加熱により磁気的特性などが著しく変化する。所望の特性のナノパーティクルを得るために、10−6Paよりも低い真空度で数100℃程度の加熱が行われるが、ナノパーティクルの状態をTEMで正確に観察するには、すでに加熱された試料をグリッド上に移動させるのではなく、グリッド上でex−situまたはin−situの加熱を行う必要がある。この場合、従来のグリッドは使用できない。
【0012】
磁性材料のナノパーティクルや他の試料で、in−situで加熱を行いながらのTEM観察が要求される場合もある。この場合も、例えば10−2〜10−5Pa程度の真空度で数100℃以上に加熱するのであれば、当然従来のグリッドは使用できない。
【0013】
また、従来、グリッドあるいはメッシュの移動やTEMへのセットは、図11に示すリム32をピンセットで挟んで行われていた。グリッド上の試料のTEM観察を行う場合には、メッシュの下面を接着剤や両面接着テープを用いて固定していた。しかしながら、両面接着テープ等は真空中でガス化する可能性があり、コンタミネーションの要因となる。
【0014】
また、グリッドの加熱は両面から均一に行うことが望ましい。グリッドを炉内に直接置いて数100℃に加熱すると、グリッドと支持膜の熱膨張率の違いなどの影響も加わり、グリッドが破損する可能性が高くなる。試料にex−situで加熱を行う場合、炉からTEMにグリッドを移動させる必要があり、グリッドを簡易かつ安全に移動させることができる手段が望まれる。
【0015】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、10−2〜10−3Pa程度の真空度においても数100℃以上の耐熱性が得られ、試料の支持に十分な機械的強度を有するTEM用グリッドを提供することを目的とする。
また、本発明は、コンタミネーション等の要因となる両面接着テープなどを用いずに、耐熱性の高いTEM用グリッドを安全に支持できるグリッドホルダーを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のTEM用グリッドは、少なくとも1つの開口部を有する基材と、該基材の第1面および開口部を被覆するカーボン膜と、該カーボン膜上に形成されたセラミック層とを有することを特徴とする。
これにより、粉末試料などをグリッドに載せて10−2〜10−5Pa程度の真空度で数100℃以上の熱処理を行った場合にも、カーボン膜の消失が防止される。したがって、熱処理された試料のTEM観察を行うことが可能となる。また、本発明のTEM用グリッドによれば、高分解能でTEM観察を行うことが可能である。
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明のグリッドホルダーは、板状のベースと、該ベースを貫通し、口径が透過型電子顕微鏡用グリッドの直径より小さい少なくとも1つのベース孔と、該ベース孔の上端近傍であって、口径が透過型電子顕微鏡用グリッドの直径より大きく、透過型電子顕微鏡用グリッドの高さ以上の深さを有するグリッド埋め込み溝と、前記ベースと着脱可能な板状のカバーと、該カバーを貫通し、前記ベースとカバーを組み合わせた状態で前記ベース孔の上方に位置する、前記ベース孔と同数のカバー孔であって、口径が上端で広くなるようなテーパ状の断面を有するカバー孔とを有することを特徴とする。
これにより、TEM観察中のコンタミネーションが防止され、かつグリッドの移動などを安全に行うことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のTEM用グリッドおよびそのホルダーの実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のTEM用グリッドの断面図である。図1に示すように、金属製のメッシュ1上にカーボン膜2が形成され、その上層に金属層3として例えばタンタル(Ta)層が形成されている。金属層3の上層に、セラミック層4として例えば酸化アルミニウム層(以下、Al−O層とする。)が形成されている。
【0019】
セラミック層4上に試料5として、例えばナノパーティクルが載せられる。粉末試料5のかわりにフィルム状などの他の形状の試料をセラミック層4上に載せて、TEM観察を行うこともできる。メッシュ1には開口部6が形成されている。従来のメッシュまたはグリッドと同様に、開口部6の形状、配置、密度などは特に限定されない。図1に示すように、マイクログリッドのセラミック層4側(メッシュ1の反対側)に電子線が照射される。開口部6上の粉末試料5を透過して蛍光板7上に到達する電子線を撮影し、粉末試料5のTEM像8が得られる。
【0020】
上記の本実施形態のTEM用グリッドは、10−3Pa程度の真空度で少なくとも550℃の耐熱性を有する。真空度を高くすることにより耐熱性をさらに高くすることも可能である。本実施形態のTEM用グリッドによれば、真空度を10−5Pa程度とすることにより、1000℃程度の加熱を行うことも可能である。約700℃以上の高温で試料の熱処理を行う場合、銅メッシュを用いるかわりに、例えばモリブデンメッシュなど、高融点で機械的強度の高いメッシュを用いることが望ましい。
【0021】
試料を載せる表面(セラミック層4の表面)の平均粗さは、試料の大きさにもよるが、0.75nm以下が好ましい。例えば2〜5nmの大きさのナノパーティクルのTEM観察を行う場合、セラミック層4の表面の凹凸の高さと試料の大きさが近いオーダーとなる。したがって、セラミック層4の表面が粗くなると、試料の高さ方向の位置がばらつき、高分解能の測定が困難となる。
【0022】
高分解能のTEM像を得るには試料の支持膜であるカーボン膜2、金属層3およびセラミック層4は薄いことが望ましい。カーボン膜2、金属層3およびセラミック層4の合計の厚さは、35nm以下が好ましい。厚さ約25nmのカーボン膜を表面に有するメッシュが市販されており、このようなカーボン膜上に金属層3とセラミック層4を、2層の合計の厚さが10nm程度以下となるように形成すれば、支持膜の全厚を35nm以下にできる。
【0023】
図示しないが、金属層やセラミック層をメッシュの上面のみでなく、メッシュの両面に形成してもよい。この場合、グリッドの機械的強度を高くすることができる。特に、高温の熱処理を行う場合、メッシュと支持膜の熱膨張率の違いから、グリッドが破損する可能性があるが、メッシュの下面を支持膜と同様の材料で被覆することにより、このような破損を低減できる。
【0024】
上記の本実施形態のTEM用グリッドは、移動や運搬に十分な機械的強度を有する。TEM用グリッドの材料としては、一般に非磁性材料が用いられる。本実施形態のTEM用マイクログリッドの材料として、磁性材料を用いることも可能であるが、高分解能のTEM像を得るには、TEM用グリッドの材料が非磁性であることが好ましい。
【0025】
本実施形態のTEM用グリッドの支持膜は、水や有機溶媒(例えばアルコールやケトンなど)に対する耐性を持つ。メッシュ上にカーボン膜のみ設けられた従来のグリッドの場合、水によりカーボン膜が剥離するが、本実施形態のTEM用グリッドによれば、水や有機溶媒による支持膜の剥離や溶解は起こらない。
【0026】
本実施形態のTEM用グリッドは、例えばCoPtナノパーティクルのTEM観察に好適に用いることができる。磁性材料の一種であるCoPtナノパーティクルは、550℃で4時間の加熱を行うことにより、微視的構造および磁気的特性が顕著に変化することが知られている。本実施形態のTEM用グリッドは少なくとも550℃の耐熱性を有するため、グリッド上にCoPtナノパーティクルを載せた状態でex−situまたはin−situの加熱を行い、TEM観察を行うことが可能となる。
【0027】
次に、上記の本実施形態のTEM用グリッドを構成する各部分について、詳細に説明する。メッシュ1およびカーボン膜2は、市販のカーボン膜付きメッシュを用いることができる。メッシュ1の材料としては、例えば銅が用いられるが、銅以外のニッケル、金、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、イリジウム、チタン、ベリリウム、白金等の材料を用いることもできる。
【0028】
メッシュの材料は耐熱性、試料に施される処理やコストなどに応じて適宜選択する。ニッケルは磁性材料であるが、酸に対する耐性が銅に比較して高く、試料によっては有利となる。メッシュ1の材料は、必要とされる耐熱性などに応じて、適宜選択する。リム2の直径Dは通常、3mmまたは2.3mmであるが、特に限定されない。
【0029】
金属層3は必ずしも設ける必要はなく、カーボン膜2上に直接、セラミック層4が形成されたグリッドを用いることも可能であるが、カーボン膜2とセラミック層4の密着性を高めたり、セラミック層4の平坦性を向上させたりする目的で、必要に応じて金属層3が設けられる。
【0030】
金属層3であるT・a層は、例えばマグネトロンスパッタリングによりカーボン膜2上に形成される。金属層3には高融点金属が用いられ、Ta以外にチタン、クロムなどを用いることもできる。金属層3の材料は限定されない。
セラミック層4であるAl−O層は、アルミニウム(Al)層を酸化して形成される。セラミック層4としてAl−O層以外に酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化タンタル層などを用いることもできる。セラミック層の種類は限定されない。
【0031】
Ta層の形成後、Al層が形成される。Ta層とAl層はいずれも、ターゲット上で励起されたRFコイルを用いて、スパッタリングにより形成される。但し、金属層3やセラミック層4の形成方法はスパッタリングに限定されない。表面粗さが所望の範囲内となれば、真空蒸着、イオンプレーティングなどのPVD法(physical vapor deposition)や分子線エピタキシャルなどにより、金属層やセラミック層を形成してもよい。
【0032】
スパッタリングによるTa層およびAl層の成膜を行う前に、スパッタリング装置のチャンバー内の到達真空度(圧力)を10−6Paオーダーとしてから、放電用ガスであるアルゴン(Ar)ガスをチャンバー内に導入する。Arガスの圧力は、Ta層の成膜時に例えば0.114Pa、Al層の成膜時に例えば0.087Paとする。
【0033】
Ta層とAl層の形成後、Al層を穏和な条件で適度に酸化させ、セラミック層4としての酸化アルミニウム層を形成する。Al層の酸化は、例えば、アルゴンと酸素(O2)の混合ガス(Ar:O2=1:3)を圧力1Paとなるように供給し、誘導プラズマ酸化を行う。誘導プラズマ酸化では、Al層などやメッシュにRFバイアス電圧を印加し、Al層上のRFコイルを励起して発生するプラズマを用いて、Al層を酸化する。
【0034】
Al層の酸化に要する時間は、Al層の厚さに応じて変化する。スパッタリングによる成膜とAl層の酸化はいずれも室温で行われる。Ta層、Al層およびAl−O層の成膜条件や厚さの異なる3種のグリッド(グリッドI〜III)を、実際に作製した。これらの成膜条件を表1にまとめた。なお、Al−O層の厚さは酸化前のAl層よりわずかに厚くなる。
【0035】
【表1】
【0036】
タンタルは3番目の土酸族元素(earth−acid metal)であり、化学的に安定である。タンタルの反応性は白金よりも低い。また、タンタルの融点は3014℃と高い。通常、厚さ5nm以下のTa層はアモルファス構造となっている。このような物理的性質から、Ta層はAl層にプラズマ酸化を行う工程で、下地のカーボン膜の保護膜として作用する。Al層にプラズマ酸化を行う際に下地のカーボン膜が酸化されると、カーボン膜が揮発する。Ta層を形成することにより、カーボン膜の揮発すなわちエッチングが防止される。
【0037】
Ta層は良質なAl−O層を成長させるためのシード(種晶)層としても、効果的に作用する。さらに、Ta層の表面は一般に非常に平滑であり、Al−O層がTa層に強固に密着する。これにより、セラミック層(Al−O層)の剥離が防止される。また、Ta層を設けることにより、支持膜の機械的強度が向上する。
【0038】
プラズマ酸化によりAl層は均一に酸化され、アモルファスの酸化アルミニウムとなる。酸化時間をモニターしながら穏和に酸化することにより、酸化の深さを良好に制御できる。酸化アルミニウムは約1800℃まで熱的に安定である。上記の方法でAl−O層を形成することにより、Al−O層の表面を平滑にすることができる。
【0039】
支持膜の表面プロファイルは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて調べることができる。図2は、Ta層およびAl−O層で被覆していないカーボン膜(比較例)のAFM像を示す。図2(a)は表面プロファイルの断面図であり、図2(b)は表面プロファイルの三次元図である。
【0040】
Ta層およびAl−O層で被覆されていない、カーボン膜単独の支持膜を有する比較例のグリッドで、カーボン膜の中心線平均粗さRaは0.664nmであった。このカーボン膜の表面平滑性は、大部分のナノパーティクルやフィルム状試料のTEM観察に十分といえるが、カーボン膜は高温処理に対して弱い。
一方、表1の成膜条件でTa層およびAl−O層を形成したグリッドI〜IIIについても、最表層(Al−O層)の中心線平均粗さRaを測定した。これらの結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
図3〜図5は、グリッドI〜IIIの最表層(Al−O層)のAFM像を示す。図3〜図5の(a)および(b)はそれぞれ、図2(a)および(b)と同様に断面図および三次元図を示す。表2に示すグリッドI〜IIIの測定結果から、Al−O層を厚くすると表面粗さが大きくなることがわかる。
表面平坦性の観点から、ナノパーティクルなどのTEM観察を高分解能で行うには、グリッドIIおよびIIIが特に適しているといえる。但し、Al−O層の厚さを2nmとしたグリッドIを用いても、TEM観察は可能である。
【0043】
到達真空度(圧力)10−2〜10−3Paの真空中に窒素(N2)ガスを一定流量で流しながら、比較例のグリッドおよびグリッドI〜III(表2参照)に熱処理を施した。加熱は次の2通りの方法で行った。第1の方法では、温度を30℃から550℃に1時間で上昇させ、550℃を4時間維持した後、炉を室温まで約12時間で冷却した。第2の方法では、温度を30℃から700℃に2時間で上昇させ、700℃を2時間維持した後、炉を室温まで約12時間で冷却した。
【0044】
この結果、カーボン膜のみを有する比較例では、第1の方法と第2の方法のいずれの場合も、熱処理後にカーボン膜が消失した。一方、カーボン膜がTa層とAl−O層で被覆されたグリッドI〜IIIでは、銅製のメッシュ上にカーボン膜が安定に残った。
【0045】
上記の本実施形態のTEM用グリッドは、以下に示す本実施形態のグリッドホルダーを用いて支持できる。このグリッドホルダーは、試料を載せたグリッドに熱処理を行うときだけでなく、カーボン膜上にスパッタリングにより金属層などを形成するときにも使用できる。
【0046】
図6は本実施形態のグリッドホルダーとグリッドの斜視図であり、図7はグリッドをグリッドホルダーに収納した状態の断面図である。図6および図7に示すように、グリッドホルダーはベース11とカバー12から構成される。図6および図7には、4個のグリッド13を保持できるグリッドホルダーを示すが、1個のグリッドホルダーに収納されるグリッドの個数は限定されない。
【0047】
図6およぴ図7に示すように、ベース11を貫通するようにグリッド用ベース孔14が形成されている。ベース11の表面近傍のグリッド用ベース孔14は、口径が広くなっており、グリッド埋め込み溝15となっている。グリッド13はメッシュ側が下、セラミック層側が上となるようにグリッド埋め込み溝15に埋め込まれる。試料16は、カバー12に設けられたグリッド用カバー孔17の底部に露出する。
【0048】
グリッド用カバー孔17の口径は上端(カバー12の表面)で広く、下端(ベース11と接する面)で狭くなっている。グリッド用カバー孔17は断面が45°のテーパ状となるように加工される。グリッド用カバー孔17の下端の口径は、グリッド13よりも小さい。これにより、グリッド13がベース11とカバー12に挟まれて固定される。
【0049】
ベース11にはグリッド埋め込み溝15と間隔をあけて、カバー固定用凸部18が形成されている。カバー12に形成された固定用孔19にカバー固定用凸部18をはめ込むことにより、ベース11とカバー12が固定される。グリッド埋め込み溝15の下部にグリッド用ベース孔14が形成されていることにより、グリッド13に加熱を行う際、グリッド13が炉内の高温の雰囲気に露出する。
【0050】
また、グリッド用カバー孔17がテーパ状に加工されていることから、グリッド13上の試料16に炉内の高温の雰囲気が到達しやすくなる。グリッドホルダーを金属層などのスパッタリングに用いる場合は、グリッド用カバー孔17が45°のテーパ状に加工されていないと、スパッタリングで形成される層の厚さが不均一になりやすい。
【0051】
例えば、グリッド用カバー孔17の断面がカバーの表面に垂直で、グリッド用カバー孔17の口径が均一な場合、図8に示すように、グリッド用カバー孔17の側壁にスパッタリングにより金属などが堆積することがある。この場合、ターゲット表面から叩き出されてグリッド13に堆積される原子または分子が、グリッド用カバー孔17の側壁の堆積物21によって遮られ、形成される層22の厚さが不均一となる可能性がある。これを防止するため、スパッタリングに用いるグリッドホルダーのグリッド用カバー孔17は、断面をテーパ状に加工する。
【0052】
試料の加熱に用いるグリッドホルダーと、スパッタリングに用いるグリッドホルダーは、構成は共通するが、ベース11やカバー12の厚さは異なっていてもよい。試料の加熱に用いるグリッドホルダーは数100℃に加熱されるため、機械的強度などの観点から、スパッタリング用のグリッドホルダーよりベース11やカバー12を厚くすることが望ましい。
【0053】
試料の加熱に用いるグリッドホルダーとスパッタリング用のグリッドホルダーのベース11やカバー12の厚さはいずれも数mm程度である。グリッドホルダーの材料としては、例えばステンレス鋼が用いられる。グリッドホルダーにグリッドをセットする前に、グリッドホルダーの超音波洗浄をエタノール中で行い、十分に汚れを除去する。
【0054】
上記のようなグリッドホルダーを用いることにより、グリッドおよび/またはメッシュの汚染(コンタミネーション)や破損を防止できる。上記のグリッドホルダーで保持されたグリッドに加熱を行った後、グリッドをグリッドホルダーから取り出さずに、TEM観察を行うことも可能である。TEM観察を行うときの従来のグリッド固定方法によれば、両面接着テープ等が真空中でガス化して、コンタミネーションの要因となるが、本実施形態のグリッドホルダーによれば、このような問題が起こらない。
【0055】
また、上記のグリッドホルダーを用いてグリッドの加熱を行った場合、メッシュが直接、炉に接触しないため、グリッドの破損が低減する。さらに、グリッド用ベース孔を介してメッシュの下方からもN2ガスが供給されるため、グリッドの両面をより均等に加熱できる。
【0056】
【実施例】
以下、上記の実施形態のグリッドを用いて、TEM観察を行った例について説明する。
CoPtナノパーティクルを成長させたまま(as−grown)の状態でヘキサンに分散させ、カーボン膜のみのグリッド上と、カーボン膜、Ta層およびAl−O層の積層膜からなるグリッド上にそれぞれ付着させた。ここで、カーボン膜のみのグリッドとしては、表2の比較例のグリッドを用い、積層膜のグリッドとしては、表2のグリッドIIを用いた。
【0057】
ヘキサンを室温で蒸発させることにより、グリッド上にCoPtナノパーティクルが残った。積層膜のグリッドはヘキサンに耐性を示した。両方の試料を前述した第1の方法に従って550℃まで加熱した。到達真空度は10−2〜10−3Paとした。この熱処理の後、カーボン膜のみのグリッドとその上のCoPtナノパーティクルは消失しており、TEM観察は不可能であった。
【0058】
カーボン膜、Ta層およびAl−O層の積層膜で被覆されたグリッドIIは、熱処理の後も安定に均一に残り、グリッド上のCoPtナノパーティクルのTEM観察を行うことができた。図9は、550℃で熱処理されたCoPtナノパーティクルの高分解能TEM像を示す。
【0059】
図9から、熱処理後も積層膜のグリッドがアモルファス状態で均一に残っていることがわかる。
積層膜のグリッドでは、カーボン膜にTa層とAl−O層が追加されるが、これらの追加される層は十分に薄いため(例えば4〜7nm)、高分解能のTEM観察を妨げない。
【0060】
一方、上記のように積層膜のグリッド上にCoPtナノパーティクルを残して試料を作製し、前述した第2の方法に従って700℃まで加熱した。到達真空度は10−2〜10−3Paとした。この場合も、積層膜のグリッドは安定に均一に残り、グリッド上のCoPtナノパーティクルのTEM観察を行うことができた。図10は、700℃で熱処理されたCoPtナノバーティクルの高分解能TEM像を示す。図10では、CoPtナノパーティクル中の規則的に配列した個々の原子を識別でき、高分解能のTEM像が得られていることがわかる。
【0061】
上記の本発明の実施形態のTEM用グリッドによれば、CoPtナノパーティクルなどの粉末試料に数100℃以上の高温で熱処理を行ってから、TEM観察を行うことができる。また、上記の本発明の実施形態のグリッドホルダーは、本発明のTEM用グリッドの形成、加熱、TEM観察、移動あるいは運搬に好適に用いることができ、グリッドのコンタミネーションや破損が防止される。
【0062】
本発明のTEM用グリッドおよびそのホルダーの実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、上記のTEM用グリッドを他の電子顕微鏡などの分析機器に使用することもできる。但し、本発明のTEM用グリッドはTEM、特にHREM(high resolution electron microscope)に最も適している。また、グリッドホルダーの材料などは適宜変更できる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明のTEM用グリッドによれば、10−2〜10−3Pa程度の真空度においても数100℃以上の耐熱性が得られ、熱処理された粉末試料などのTEM観察を行うことが可能となる。
また、本発明のグリッドホルダーによれば、コンタミネーション等の要因となる両面接着テープなどを用いずに、耐熱性の高いTEM用グリッドを安全に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のTEM用グリッドの断面図である。
【図2】図2は本発明のTEM用グリッドの比較例の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図3】図3は本発明のTEM用グリッド(グリッドI)の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図4】図4は本発明のTEM用グリッド(グリッドII)の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図5】図5は本発明のTEM用グリッド(グリッドIII)の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図6】図6は本発明のTEM用グリッドおよびグリッドホルダーの斜視図である。
【図7】図7は本発明のTEM用グリッドおよびグリッドホルダーの断面図である。
【図8】図8はグリッドホルダーのグリッド用カバー孔を垂直にした場合の問題を示す図である。
【図9】図9は本発明の実施例でCoPtナノパーティクルに550℃の加熱を行って得られたTEM像である。
【図10】図10は本発明の実施例でCoPtナノパーティクルに700℃の加熱を行って得られたTEM像である。
【図11】図11は支持膜のないグリッド(メッシュ)を示す平面図である。
【符号の説明】
1…メッシュ、2…カーボン膜、3…金属層、4…セラミック層、5…(粉末)試料、6…開口部、7…蛍光板、8…TEM像、11…ベース、12…カバー、13…グリッド、14…グリッド用ベース孔、15…グリッド埋め込み溝、16…試料、17…グリッド用カバー孔、18…カバー固定用凸部、19…固定用孔、21…堆積物、22…形成される層、31…メッシュ、32…リム、33…開口部、34…試料。
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型電子顕微鏡(TEM)で粉末試料などを支持できる耐熱性の高いグリッドと、そのようなグリッドの形成および支持に適したホルダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
TEMで観察される試料は、様々な方法で作製される。試料はメッシュまたはグリッドと呼ばれる網の上に直接、またはカーボン蒸着膜などを介して載せられる。図11にメッシュの一例を示す。図11に示すように、メッシュ31の外形は通常、直径3mm(または2.3mm)の円形であり、外側のリム32で囲まれた部分に複数の開口部33が形成されている。
【0003】
開口部33の形状や配置、あるいは密度の異なる多様なメッシュが市販されており、単一の開口部(スロット)が形成されているものもある。メッシュ31の材料としては銅が用いられることが多いが、ニッケル、金、モリブデン等の他の材料も用いられる。試料34はメッシュ31により支持され、電子線が開口部33上の試料34を透過することにより、TEM像が得られる。
【0004】
試料が開口部より大きければ、図11に示すように試料がメッシュにより支持されるが、メッシュの開口部より小さいナノパーティクルなどの粉末試料は、メッシュで支持できない。また、開口部より大きい試料であっても、極めて薄く撓みやすいフィルム状の試料なども、メッシュで安定に支持することができない。このような粉末試料などのTEM観察には、有機膜あるいはカーボン膜などの無機膜で被覆されたメッシュが用いられる。このような有機膜あるいは無機膜が、粉末試料などの支持膜として用いられる。
【0005】
有機膜としては例えば、ポリビニルホルムアルデヒドを用いて形成されるホルムバール(Formvar)膜が用いられる。カーボン膜としては、例えば真空蒸着により形成されたアモルファスカーボン膜が用いられる。カーボン膜以外に、酸化シリコン層や窒化シリコン層も支持膜として用いられる。また、例えばホルムバール膜とカーボン膜の積層膜が支持膜として用いられることもある。
【0006】
なお、有機膜や無機膜の支持膜で被覆されていないメッシュはグリッドとも呼ばれるが、メッシュと支持膜を合わせてグリッドと呼ぶ場合もある。また、メッシュ上に形成される多孔性の支持膜はマイクログリッドと呼ばれるが、支持膜付きのメッシュをマイクログリッドと呼ぶ場合もあり、呼び方は統一されていない。本明細書においては、支持膜が形成されていないものをメッシュと記載し、支持膜を含むメッシュをグリッドと記載する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
粉末試料のTEM観察に用いられる上記のグリッドは、室温での測定に適している。グリッドのカーボン膜上の試料をex−situまたはin−situで加熱してTEM観察を行う場合、10−3Pa程度の真空度では、加熱温度の上限が150℃程度であり、それ以上の高温にするとカーボン膜が消失する。
【0008】
特開平5−159731号公報には、メッシュ上の有機膜上にカーボン膜を厚く蒸着させた後、例えば700℃で有機膜を除去したTEM用グリッドが開示されている。しかしながら、この方法でカーボン膜を消失させないためには、加熱を10−6Pa程度の超高真空で行う必要がある。
【0009】
また、カーボン膜を厚くした場合、TEM像の分解能は低下する。有機膜を除去するための加熱を例えば10−6Pa程度の超高真空で行ったとしても、カーボン膜は一部消失するため、カーボン膜表面の平坦性が低下して、TEM像の分解能が低下する。また、メッシュ上にカーボン膜のみ形成されている場合は耐水性がなく、水が接触するとカーボン膜が剥離する。
【0010】
一方、メッシュ上に有機膜が設けられたグリッドは、低コストで耐水性がある反面、有機膜の耐熱性が数10℃程度と低く、表面の平坦性も高分解能のTEM観察を行うには不足する。以上のように、従来のグリッドは室温〜100℃程度の温度でなければ使用できず、数100℃程度の高温で使用する場合には、10−6Pa程度の超高真空を必要とする。
【0011】
磁性材料のナノパーティクルは数100℃程度の加熱により磁気的特性などが著しく変化する。所望の特性のナノパーティクルを得るために、10−6Paよりも低い真空度で数100℃程度の加熱が行われるが、ナノパーティクルの状態をTEMで正確に観察するには、すでに加熱された試料をグリッド上に移動させるのではなく、グリッド上でex−situまたはin−situの加熱を行う必要がある。この場合、従来のグリッドは使用できない。
【0012】
磁性材料のナノパーティクルや他の試料で、in−situで加熱を行いながらのTEM観察が要求される場合もある。この場合も、例えば10−2〜10−5Pa程度の真空度で数100℃以上に加熱するのであれば、当然従来のグリッドは使用できない。
【0013】
また、従来、グリッドあるいはメッシュの移動やTEMへのセットは、図11に示すリム32をピンセットで挟んで行われていた。グリッド上の試料のTEM観察を行う場合には、メッシュの下面を接着剤や両面接着テープを用いて固定していた。しかしながら、両面接着テープ等は真空中でガス化する可能性があり、コンタミネーションの要因となる。
【0014】
また、グリッドの加熱は両面から均一に行うことが望ましい。グリッドを炉内に直接置いて数100℃に加熱すると、グリッドと支持膜の熱膨張率の違いなどの影響も加わり、グリッドが破損する可能性が高くなる。試料にex−situで加熱を行う場合、炉からTEMにグリッドを移動させる必要があり、グリッドを簡易かつ安全に移動させることができる手段が望まれる。
【0015】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、10−2〜10−3Pa程度の真空度においても数100℃以上の耐熱性が得られ、試料の支持に十分な機械的強度を有するTEM用グリッドを提供することを目的とする。
また、本発明は、コンタミネーション等の要因となる両面接着テープなどを用いずに、耐熱性の高いTEM用グリッドを安全に支持できるグリッドホルダーを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のTEM用グリッドは、少なくとも1つの開口部を有する基材と、該基材の第1面および開口部を被覆するカーボン膜と、該カーボン膜上に形成されたセラミック層とを有することを特徴とする。
これにより、粉末試料などをグリッドに載せて10−2〜10−5Pa程度の真空度で数100℃以上の熱処理を行った場合にも、カーボン膜の消失が防止される。したがって、熱処理された試料のTEM観察を行うことが可能となる。また、本発明のTEM用グリッドによれば、高分解能でTEM観察を行うことが可能である。
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明のグリッドホルダーは、板状のベースと、該ベースを貫通し、口径が透過型電子顕微鏡用グリッドの直径より小さい少なくとも1つのベース孔と、該ベース孔の上端近傍であって、口径が透過型電子顕微鏡用グリッドの直径より大きく、透過型電子顕微鏡用グリッドの高さ以上の深さを有するグリッド埋め込み溝と、前記ベースと着脱可能な板状のカバーと、該カバーを貫通し、前記ベースとカバーを組み合わせた状態で前記ベース孔の上方に位置する、前記ベース孔と同数のカバー孔であって、口径が上端で広くなるようなテーパ状の断面を有するカバー孔とを有することを特徴とする。
これにより、TEM観察中のコンタミネーションが防止され、かつグリッドの移動などを安全に行うことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のTEM用グリッドおよびそのホルダーの実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のTEM用グリッドの断面図である。図1に示すように、金属製のメッシュ1上にカーボン膜2が形成され、その上層に金属層3として例えばタンタル(Ta)層が形成されている。金属層3の上層に、セラミック層4として例えば酸化アルミニウム層(以下、Al−O層とする。)が形成されている。
【0019】
セラミック層4上に試料5として、例えばナノパーティクルが載せられる。粉末試料5のかわりにフィルム状などの他の形状の試料をセラミック層4上に載せて、TEM観察を行うこともできる。メッシュ1には開口部6が形成されている。従来のメッシュまたはグリッドと同様に、開口部6の形状、配置、密度などは特に限定されない。図1に示すように、マイクログリッドのセラミック層4側(メッシュ1の反対側)に電子線が照射される。開口部6上の粉末試料5を透過して蛍光板7上に到達する電子線を撮影し、粉末試料5のTEM像8が得られる。
【0020】
上記の本実施形態のTEM用グリッドは、10−3Pa程度の真空度で少なくとも550℃の耐熱性を有する。真空度を高くすることにより耐熱性をさらに高くすることも可能である。本実施形態のTEM用グリッドによれば、真空度を10−5Pa程度とすることにより、1000℃程度の加熱を行うことも可能である。約700℃以上の高温で試料の熱処理を行う場合、銅メッシュを用いるかわりに、例えばモリブデンメッシュなど、高融点で機械的強度の高いメッシュを用いることが望ましい。
【0021】
試料を載せる表面(セラミック層4の表面)の平均粗さは、試料の大きさにもよるが、0.75nm以下が好ましい。例えば2〜5nmの大きさのナノパーティクルのTEM観察を行う場合、セラミック層4の表面の凹凸の高さと試料の大きさが近いオーダーとなる。したがって、セラミック層4の表面が粗くなると、試料の高さ方向の位置がばらつき、高分解能の測定が困難となる。
【0022】
高分解能のTEM像を得るには試料の支持膜であるカーボン膜2、金属層3およびセラミック層4は薄いことが望ましい。カーボン膜2、金属層3およびセラミック層4の合計の厚さは、35nm以下が好ましい。厚さ約25nmのカーボン膜を表面に有するメッシュが市販されており、このようなカーボン膜上に金属層3とセラミック層4を、2層の合計の厚さが10nm程度以下となるように形成すれば、支持膜の全厚を35nm以下にできる。
【0023】
図示しないが、金属層やセラミック層をメッシュの上面のみでなく、メッシュの両面に形成してもよい。この場合、グリッドの機械的強度を高くすることができる。特に、高温の熱処理を行う場合、メッシュと支持膜の熱膨張率の違いから、グリッドが破損する可能性があるが、メッシュの下面を支持膜と同様の材料で被覆することにより、このような破損を低減できる。
【0024】
上記の本実施形態のTEM用グリッドは、移動や運搬に十分な機械的強度を有する。TEM用グリッドの材料としては、一般に非磁性材料が用いられる。本実施形態のTEM用マイクログリッドの材料として、磁性材料を用いることも可能であるが、高分解能のTEM像を得るには、TEM用グリッドの材料が非磁性であることが好ましい。
【0025】
本実施形態のTEM用グリッドの支持膜は、水や有機溶媒(例えばアルコールやケトンなど)に対する耐性を持つ。メッシュ上にカーボン膜のみ設けられた従来のグリッドの場合、水によりカーボン膜が剥離するが、本実施形態のTEM用グリッドによれば、水や有機溶媒による支持膜の剥離や溶解は起こらない。
【0026】
本実施形態のTEM用グリッドは、例えばCoPtナノパーティクルのTEM観察に好適に用いることができる。磁性材料の一種であるCoPtナノパーティクルは、550℃で4時間の加熱を行うことにより、微視的構造および磁気的特性が顕著に変化することが知られている。本実施形態のTEM用グリッドは少なくとも550℃の耐熱性を有するため、グリッド上にCoPtナノパーティクルを載せた状態でex−situまたはin−situの加熱を行い、TEM観察を行うことが可能となる。
【0027】
次に、上記の本実施形態のTEM用グリッドを構成する各部分について、詳細に説明する。メッシュ1およびカーボン膜2は、市販のカーボン膜付きメッシュを用いることができる。メッシュ1の材料としては、例えば銅が用いられるが、銅以外のニッケル、金、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、イリジウム、チタン、ベリリウム、白金等の材料を用いることもできる。
【0028】
メッシュの材料は耐熱性、試料に施される処理やコストなどに応じて適宜選択する。ニッケルは磁性材料であるが、酸に対する耐性が銅に比較して高く、試料によっては有利となる。メッシュ1の材料は、必要とされる耐熱性などに応じて、適宜選択する。リム2の直径Dは通常、3mmまたは2.3mmであるが、特に限定されない。
【0029】
金属層3は必ずしも設ける必要はなく、カーボン膜2上に直接、セラミック層4が形成されたグリッドを用いることも可能であるが、カーボン膜2とセラミック層4の密着性を高めたり、セラミック層4の平坦性を向上させたりする目的で、必要に応じて金属層3が設けられる。
【0030】
金属層3であるT・a層は、例えばマグネトロンスパッタリングによりカーボン膜2上に形成される。金属層3には高融点金属が用いられ、Ta以外にチタン、クロムなどを用いることもできる。金属層3の材料は限定されない。
セラミック層4であるAl−O層は、アルミニウム(Al)層を酸化して形成される。セラミック層4としてAl−O層以外に酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化タンタル層などを用いることもできる。セラミック層の種類は限定されない。
【0031】
Ta層の形成後、Al層が形成される。Ta層とAl層はいずれも、ターゲット上で励起されたRFコイルを用いて、スパッタリングにより形成される。但し、金属層3やセラミック層4の形成方法はスパッタリングに限定されない。表面粗さが所望の範囲内となれば、真空蒸着、イオンプレーティングなどのPVD法(physical vapor deposition)や分子線エピタキシャルなどにより、金属層やセラミック層を形成してもよい。
【0032】
スパッタリングによるTa層およびAl層の成膜を行う前に、スパッタリング装置のチャンバー内の到達真空度(圧力)を10−6Paオーダーとしてから、放電用ガスであるアルゴン(Ar)ガスをチャンバー内に導入する。Arガスの圧力は、Ta層の成膜時に例えば0.114Pa、Al層の成膜時に例えば0.087Paとする。
【0033】
Ta層とAl層の形成後、Al層を穏和な条件で適度に酸化させ、セラミック層4としての酸化アルミニウム層を形成する。Al層の酸化は、例えば、アルゴンと酸素(O2)の混合ガス(Ar:O2=1:3)を圧力1Paとなるように供給し、誘導プラズマ酸化を行う。誘導プラズマ酸化では、Al層などやメッシュにRFバイアス電圧を印加し、Al層上のRFコイルを励起して発生するプラズマを用いて、Al層を酸化する。
【0034】
Al層の酸化に要する時間は、Al層の厚さに応じて変化する。スパッタリングによる成膜とAl層の酸化はいずれも室温で行われる。Ta層、Al層およびAl−O層の成膜条件や厚さの異なる3種のグリッド(グリッドI〜III)を、実際に作製した。これらの成膜条件を表1にまとめた。なお、Al−O層の厚さは酸化前のAl層よりわずかに厚くなる。
【0035】
【表1】
【0036】
タンタルは3番目の土酸族元素(earth−acid metal)であり、化学的に安定である。タンタルの反応性は白金よりも低い。また、タンタルの融点は3014℃と高い。通常、厚さ5nm以下のTa層はアモルファス構造となっている。このような物理的性質から、Ta層はAl層にプラズマ酸化を行う工程で、下地のカーボン膜の保護膜として作用する。Al層にプラズマ酸化を行う際に下地のカーボン膜が酸化されると、カーボン膜が揮発する。Ta層を形成することにより、カーボン膜の揮発すなわちエッチングが防止される。
【0037】
Ta層は良質なAl−O層を成長させるためのシード(種晶)層としても、効果的に作用する。さらに、Ta層の表面は一般に非常に平滑であり、Al−O層がTa層に強固に密着する。これにより、セラミック層(Al−O層)の剥離が防止される。また、Ta層を設けることにより、支持膜の機械的強度が向上する。
【0038】
プラズマ酸化によりAl層は均一に酸化され、アモルファスの酸化アルミニウムとなる。酸化時間をモニターしながら穏和に酸化することにより、酸化の深さを良好に制御できる。酸化アルミニウムは約1800℃まで熱的に安定である。上記の方法でAl−O層を形成することにより、Al−O層の表面を平滑にすることができる。
【0039】
支持膜の表面プロファイルは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて調べることができる。図2は、Ta層およびAl−O層で被覆していないカーボン膜(比較例)のAFM像を示す。図2(a)は表面プロファイルの断面図であり、図2(b)は表面プロファイルの三次元図である。
【0040】
Ta層およびAl−O層で被覆されていない、カーボン膜単独の支持膜を有する比較例のグリッドで、カーボン膜の中心線平均粗さRaは0.664nmであった。このカーボン膜の表面平滑性は、大部分のナノパーティクルやフィルム状試料のTEM観察に十分といえるが、カーボン膜は高温処理に対して弱い。
一方、表1の成膜条件でTa層およびAl−O層を形成したグリッドI〜IIIについても、最表層(Al−O層)の中心線平均粗さRaを測定した。これらの結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
図3〜図5は、グリッドI〜IIIの最表層(Al−O層)のAFM像を示す。図3〜図5の(a)および(b)はそれぞれ、図2(a)および(b)と同様に断面図および三次元図を示す。表2に示すグリッドI〜IIIの測定結果から、Al−O層を厚くすると表面粗さが大きくなることがわかる。
表面平坦性の観点から、ナノパーティクルなどのTEM観察を高分解能で行うには、グリッドIIおよびIIIが特に適しているといえる。但し、Al−O層の厚さを2nmとしたグリッドIを用いても、TEM観察は可能である。
【0043】
到達真空度(圧力)10−2〜10−3Paの真空中に窒素(N2)ガスを一定流量で流しながら、比較例のグリッドおよびグリッドI〜III(表2参照)に熱処理を施した。加熱は次の2通りの方法で行った。第1の方法では、温度を30℃から550℃に1時間で上昇させ、550℃を4時間維持した後、炉を室温まで約12時間で冷却した。第2の方法では、温度を30℃から700℃に2時間で上昇させ、700℃を2時間維持した後、炉を室温まで約12時間で冷却した。
【0044】
この結果、カーボン膜のみを有する比較例では、第1の方法と第2の方法のいずれの場合も、熱処理後にカーボン膜が消失した。一方、カーボン膜がTa層とAl−O層で被覆されたグリッドI〜IIIでは、銅製のメッシュ上にカーボン膜が安定に残った。
【0045】
上記の本実施形態のTEM用グリッドは、以下に示す本実施形態のグリッドホルダーを用いて支持できる。このグリッドホルダーは、試料を載せたグリッドに熱処理を行うときだけでなく、カーボン膜上にスパッタリングにより金属層などを形成するときにも使用できる。
【0046】
図6は本実施形態のグリッドホルダーとグリッドの斜視図であり、図7はグリッドをグリッドホルダーに収納した状態の断面図である。図6および図7に示すように、グリッドホルダーはベース11とカバー12から構成される。図6および図7には、4個のグリッド13を保持できるグリッドホルダーを示すが、1個のグリッドホルダーに収納されるグリッドの個数は限定されない。
【0047】
図6およぴ図7に示すように、ベース11を貫通するようにグリッド用ベース孔14が形成されている。ベース11の表面近傍のグリッド用ベース孔14は、口径が広くなっており、グリッド埋め込み溝15となっている。グリッド13はメッシュ側が下、セラミック層側が上となるようにグリッド埋め込み溝15に埋め込まれる。試料16は、カバー12に設けられたグリッド用カバー孔17の底部に露出する。
【0048】
グリッド用カバー孔17の口径は上端(カバー12の表面)で広く、下端(ベース11と接する面)で狭くなっている。グリッド用カバー孔17は断面が45°のテーパ状となるように加工される。グリッド用カバー孔17の下端の口径は、グリッド13よりも小さい。これにより、グリッド13がベース11とカバー12に挟まれて固定される。
【0049】
ベース11にはグリッド埋め込み溝15と間隔をあけて、カバー固定用凸部18が形成されている。カバー12に形成された固定用孔19にカバー固定用凸部18をはめ込むことにより、ベース11とカバー12が固定される。グリッド埋め込み溝15の下部にグリッド用ベース孔14が形成されていることにより、グリッド13に加熱を行う際、グリッド13が炉内の高温の雰囲気に露出する。
【0050】
また、グリッド用カバー孔17がテーパ状に加工されていることから、グリッド13上の試料16に炉内の高温の雰囲気が到達しやすくなる。グリッドホルダーを金属層などのスパッタリングに用いる場合は、グリッド用カバー孔17が45°のテーパ状に加工されていないと、スパッタリングで形成される層の厚さが不均一になりやすい。
【0051】
例えば、グリッド用カバー孔17の断面がカバーの表面に垂直で、グリッド用カバー孔17の口径が均一な場合、図8に示すように、グリッド用カバー孔17の側壁にスパッタリングにより金属などが堆積することがある。この場合、ターゲット表面から叩き出されてグリッド13に堆積される原子または分子が、グリッド用カバー孔17の側壁の堆積物21によって遮られ、形成される層22の厚さが不均一となる可能性がある。これを防止するため、スパッタリングに用いるグリッドホルダーのグリッド用カバー孔17は、断面をテーパ状に加工する。
【0052】
試料の加熱に用いるグリッドホルダーと、スパッタリングに用いるグリッドホルダーは、構成は共通するが、ベース11やカバー12の厚さは異なっていてもよい。試料の加熱に用いるグリッドホルダーは数100℃に加熱されるため、機械的強度などの観点から、スパッタリング用のグリッドホルダーよりベース11やカバー12を厚くすることが望ましい。
【0053】
試料の加熱に用いるグリッドホルダーとスパッタリング用のグリッドホルダーのベース11やカバー12の厚さはいずれも数mm程度である。グリッドホルダーの材料としては、例えばステンレス鋼が用いられる。グリッドホルダーにグリッドをセットする前に、グリッドホルダーの超音波洗浄をエタノール中で行い、十分に汚れを除去する。
【0054】
上記のようなグリッドホルダーを用いることにより、グリッドおよび/またはメッシュの汚染(コンタミネーション)や破損を防止できる。上記のグリッドホルダーで保持されたグリッドに加熱を行った後、グリッドをグリッドホルダーから取り出さずに、TEM観察を行うことも可能である。TEM観察を行うときの従来のグリッド固定方法によれば、両面接着テープ等が真空中でガス化して、コンタミネーションの要因となるが、本実施形態のグリッドホルダーによれば、このような問題が起こらない。
【0055】
また、上記のグリッドホルダーを用いてグリッドの加熱を行った場合、メッシュが直接、炉に接触しないため、グリッドの破損が低減する。さらに、グリッド用ベース孔を介してメッシュの下方からもN2ガスが供給されるため、グリッドの両面をより均等に加熱できる。
【0056】
【実施例】
以下、上記の実施形態のグリッドを用いて、TEM観察を行った例について説明する。
CoPtナノパーティクルを成長させたまま(as−grown)の状態でヘキサンに分散させ、カーボン膜のみのグリッド上と、カーボン膜、Ta層およびAl−O層の積層膜からなるグリッド上にそれぞれ付着させた。ここで、カーボン膜のみのグリッドとしては、表2の比較例のグリッドを用い、積層膜のグリッドとしては、表2のグリッドIIを用いた。
【0057】
ヘキサンを室温で蒸発させることにより、グリッド上にCoPtナノパーティクルが残った。積層膜のグリッドはヘキサンに耐性を示した。両方の試料を前述した第1の方法に従って550℃まで加熱した。到達真空度は10−2〜10−3Paとした。この熱処理の後、カーボン膜のみのグリッドとその上のCoPtナノパーティクルは消失しており、TEM観察は不可能であった。
【0058】
カーボン膜、Ta層およびAl−O層の積層膜で被覆されたグリッドIIは、熱処理の後も安定に均一に残り、グリッド上のCoPtナノパーティクルのTEM観察を行うことができた。図9は、550℃で熱処理されたCoPtナノパーティクルの高分解能TEM像を示す。
【0059】
図9から、熱処理後も積層膜のグリッドがアモルファス状態で均一に残っていることがわかる。
積層膜のグリッドでは、カーボン膜にTa層とAl−O層が追加されるが、これらの追加される層は十分に薄いため(例えば4〜7nm)、高分解能のTEM観察を妨げない。
【0060】
一方、上記のように積層膜のグリッド上にCoPtナノパーティクルを残して試料を作製し、前述した第2の方法に従って700℃まで加熱した。到達真空度は10−2〜10−3Paとした。この場合も、積層膜のグリッドは安定に均一に残り、グリッド上のCoPtナノパーティクルのTEM観察を行うことができた。図10は、700℃で熱処理されたCoPtナノバーティクルの高分解能TEM像を示す。図10では、CoPtナノパーティクル中の規則的に配列した個々の原子を識別でき、高分解能のTEM像が得られていることがわかる。
【0061】
上記の本発明の実施形態のTEM用グリッドによれば、CoPtナノパーティクルなどの粉末試料に数100℃以上の高温で熱処理を行ってから、TEM観察を行うことができる。また、上記の本発明の実施形態のグリッドホルダーは、本発明のTEM用グリッドの形成、加熱、TEM観察、移動あるいは運搬に好適に用いることができ、グリッドのコンタミネーションや破損が防止される。
【0062】
本発明のTEM用グリッドおよびそのホルダーの実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、上記のTEM用グリッドを他の電子顕微鏡などの分析機器に使用することもできる。但し、本発明のTEM用グリッドはTEM、特にHREM(high resolution electron microscope)に最も適している。また、グリッドホルダーの材料などは適宜変更できる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明のTEM用グリッドによれば、10−2〜10−3Pa程度の真空度においても数100℃以上の耐熱性が得られ、熱処理された粉末試料などのTEM観察を行うことが可能となる。
また、本発明のグリッドホルダーによれば、コンタミネーション等の要因となる両面接着テープなどを用いずに、耐熱性の高いTEM用グリッドを安全に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のTEM用グリッドの断面図である。
【図2】図2は本発明のTEM用グリッドの比較例の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図3】図3は本発明のTEM用グリッド(グリッドI)の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図4】図4は本発明のTEM用グリッド(グリッドII)の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図5】図5は本発明のTEM用グリッド(グリッドIII)の表面状態のAFM像であり、(a)は断面図、(b)は三次元図を示す。
【図6】図6は本発明のTEM用グリッドおよびグリッドホルダーの斜視図である。
【図7】図7は本発明のTEM用グリッドおよびグリッドホルダーの断面図である。
【図8】図8はグリッドホルダーのグリッド用カバー孔を垂直にした場合の問題を示す図である。
【図9】図9は本発明の実施例でCoPtナノパーティクルに550℃の加熱を行って得られたTEM像である。
【図10】図10は本発明の実施例でCoPtナノパーティクルに700℃の加熱を行って得られたTEM像である。
【図11】図11は支持膜のないグリッド(メッシュ)を示す平面図である。
【符号の説明】
1…メッシュ、2…カーボン膜、3…金属層、4…セラミック層、5…(粉末)試料、6…開口部、7…蛍光板、8…TEM像、11…ベース、12…カバー、13…グリッド、14…グリッド用ベース孔、15…グリッド埋め込み溝、16…試料、17…グリッド用カバー孔、18…カバー固定用凸部、19…固定用孔、21…堆積物、22…形成される層、31…メッシュ、32…リム、33…開口部、34…試料。
Claims (9)
- 少なくとも1つの開口部を有する基材と、
該基材の第1面および開口部を被覆するカーボン膜と、
該カーボン膜上に形成されたセラミック層とを有する
透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 前記カーボン膜とセラミック層との層間に、金属層をさらに有する
請求項1記載の透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 前記セラミック層は酸化アルミニウム層、酸化シリコン層、窒化シリコン層または酸化タンタル層を含む
請求項1記載の透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 前記酸化アルミニウム層はスパッタリングにより形成されたアルミニウム層にプラズマ酸化を行って形成される層である
請求項3記載の透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 前記金属層はタンタル層、チタン層またはクロム層を含む
請求項2記載の透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 前記金属層はスパッタリングにより形成される層である
請求項2記載の透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 前記基材の第2面に金属層とセラミック層の少なくとも一方をさらに有する
請求項1記載の透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 前記基材は銅、ニッケル、金、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、イリジウム、チタン、ベリリウムまたは白金を含む
請求項1記載の透過型電子顕微鏡用グリッド。 - 板状のベースと、
該ベースを貫通し、口径が透過型電子顕微鏡用グリッドの直径より小さい少なくとも1つのベース孔と、
該ベース孔の上端近傍であって、口径が透過型電子顕微鏡用グリッドの直径より大きく、透過型電子顕微鏡用グリッドの高さ以上の深さを有するグリッド埋め込み溝と、
前記ベースと着脱可能な板状のカバーと、
該カバーを貫通し、前記ベースとカバーを組み合わせた状態で前記ベース孔の上方に位置する、前記ベース孔と同数のカバー孔であって、口径が上端で広くなるようなテーパ状の断面を有するカバー孔とを有する
グリッドホルダー。
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