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JP2003204786A - 植物細胞の増殖および成長 - Google Patents

植物細胞の増殖および成長

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Publication number
JP2003204786A
JP2003204786A JP2002290000A JP2002290000A JP2003204786A JP 2003204786 A JP2003204786 A JP 2003204786A JP 2002290000 A JP2002290000 A JP 2002290000A JP 2002290000 A JP2002290000 A JP 2002290000A JP 2003204786 A JP2003204786 A JP 2003204786A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plant
cdc2
cell
protein
cell cycle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002290000A
Other languages
English (en)
Inventor
Peter Crook Lloyd John
ピーター・クルック・ロイド・ジョン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CropDesign NV
Original Assignee
CropDesign NV
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CropDesign NV filed Critical CropDesign NV
Publication of JP2003204786A publication Critical patent/JP2003204786A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/04Plant cells or tissues
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01HNEW PLANTS OR NON-TRANSGENIC PROCESSES FOR OBTAINING THEM; PLANT REPRODUCTION BY TISSUE CULTURE TECHNIQUES
    • A01H4/00Plant reproduction by tissue culture techniques ; Tissue culture techniques therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細胞周期制御蛋白レベルを調節するか、ある
いは植物細胞に作用する酵素レベルを変更することによ
るその活性を調節することにより植物細胞の増殖および
分化を制御する。 【解決手段】 細胞分裂を修飾または制御するのに十分
な時間および条件下で植物における細胞周期制御蛋白の
レベルおよび/または触媒活性を調節する。該細胞周期
制御蛋白は、単独および組み合わせて、p34cdc2
またはp34 cdc2様分子、p13SUC1、サイク
リン、cdc25あるいはnim-1、wee-1もしくはmik-1
遺伝子の産物よりなる群から選択される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、植物細胞
成長の制御方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、
細胞周期制御蛋白レベルを調節するか、あるいは植物細
胞に作用する酵素レベルを変更することによりその活性
を調節することによる植物細胞の増殖および分化の制御
に指向される。
【0002】
【従来の技術】植物体の形成は、分裂周期による新しい
細胞の生成および特殊化した構造および代謝のそれらに
おける発育を含む。特殊化には、穀類のごとき単子葉植
物の細胞において特別な迅速性をもって減衰する分裂能
の減少が伴う。
【0003】酵母では、cdc2遺伝子機能が2つの主
要制御点を通過する進行に必要であり、その時点で、細
胞周期は細胞サイズおよび栄養が満たされるまで遅延さ
せ得る(1;2)。これらの地点の制御は、cdc2遺
伝子産物のp34cdc2と刺激要素および抑制要素と
の相互作用によって行われる(3;4)。
【0004】発育の間の細胞分裂を制御するためのp3
4cdc2レベルの変化の可能な寄与はいずれの生物体
においてもほとんど研究されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一般
的には、植物細胞成長の制御方法、さらに詳しくは、細
胞周期制御蛋白レベルを調節するか、あるいは植物細胞
に作用する酵素レベルを変更することによるその活性を
調節することにより植物細胞の増殖および分化を制御す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、今回、穀類
植物の葉において、p34cdc2の同族体が細胞の分
裂および発育の制御に寄与することが判明した。この蛋
白の発現および/または活性の調節により、細胞の増殖
および分化の制御が可能となり、植物の再生および発育
のごときプロセスは容易であろう。
【0007】従って、本発明の1の態様は、細胞分裂を
修飾するかまたは制御するのに十分な時間および条件下
で植物における細胞周期制御蛋白のレベルおよび/また
は触媒活性を調節することを特徴とする植物細胞成長を
制御する方法である。
【0008】本発明のこの態様において、「植物細胞」
とは、単一の細胞または細胞群あるいはカルスとして培
養に存在するいずれの細胞も意味する。また、該細胞は
培養において発育している植物におけるものであっても
よく、あるいは天然で成長している植物におけるもので
あってもよい。植物細胞は天然に存在するもの、あるい
は植物体から単離してもの、あるいは組換え、突然変異
その他誘導化された植物細胞もしくは細胞群であっても
よい。植物は双子葉植物または単子葉植物いずれでもよ
く、後者の場合、細胞周期遺伝子はさらにプロトプラス
ト細胞からの再生を助ける初期相で使用することもでき
る。分裂の回復を助けるこのさらなる技術は、小麦、大
麦、オート麦、トウモロコシ、米その他の作物に適用す
る場合に特に価値がある。
【0009】単子葉植物については、本発明は二重の利
益がある:(1)いずれかの有益遺伝子の導入後におけ
るより容易なプロトプラストからの再生作業;および
(2)細胞周期遺伝子の植物遺伝子型への付加。双子葉
植物については、すでに容易に再生可能であるので、利
点(2)が特にあてはまる。
【0010】好ましくは、細胞周期制御蛋白はその誘導
体、同族体および機能的アナログを含めたp34cdc
2である。この蛋白は制御されるべき植物細胞に同種、
すなわち該細胞において天然に存在するものであるか、
あるいは該細胞に対して異種、すなわち該蛋白またはそ
の遺伝子配列が同植物起源でない源からの当該細胞に導
入され得るものである。例えば、制御蛋白はもう1つの
植物からのものであってよく、あるいはもう1つの酵母
細胞のごとき真核生物からものであってもよい。該p3
4cdc2蛋白またはp34cdc2様分子は、分子の
ハイブリッドであってもよく、および/または、ハイブ
リッド遺伝子配列によってコードされるものでもよい。
本明細書中で用いる「p34cdc2またはp34cd
c2様分子」なる語の使用は同種または異種誘導体、同
族体および機能的アナログすべてを含む。本発明は、他
の細胞周期制御蛋白まで及び、それらはp34cdc2
と同様に機能し、あるいはp34cdc2活性を制御す
るので、そのような用語使用とする。かかる蛋白は、p
34cdc2とは別にあるいはそれと一緒に、p13S
UCl、サイクリン(cyclin)、cdc25、およびnim
-1、wee-1およびmik-1の産物またはその組合せを包含す
る。
【0011】p34cdc2の「誘導体」とは、誘導体
化前に天然に存在する分子における配列と比較して、少
なくとも1個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列を有する
いずれの蛋白分子も意味する。加えて、該用語は組換え
もしくは合成分子および単一もしくは複数のアミノ酸の
置換、欠失および/または付加あるいは炭水化物または
リピド部位のごとき関連分子のいずれかの置換、欠失お
よび/または付加を担う分子をいう。
【0012】便宜には、p34cdc2のレベルはcd
c2遺伝子プロモーター(またはその同等物)を操作す
ることによって遺伝子レベルで制御できる。例えば、異
なるプロモーターを挿入することができ、それは発育段
階で調節でき、あるいはいくつかの他の手段によって調
節できる。異なるプロモーターの使用は、促進された発
現および/または大いに制御された発現の機会を与え得
る。別法として、適当な制御下にある同種または異種c
dc2遺伝子の多重コピーを挿入して発現レベルを増加
させることができる。また、cdc2遺伝子の発現を助
力し、あるいは調節する制御遺伝子または遺伝子部位を
操作することが可能であろう。当業者ならば、抑制的遺
伝子の発現を減少させるアンチセンス剤またはルボザイ
ム剤の使用のごとき同種および/または異種cdc2遺
伝子のin vivoにての発現を制御する種々の手段、なら
びにそのようなすべての手段が本発明の範囲内に入るこ
とを直ちに認識するであろう。例えば、p34cdc2
のごとき細胞周期蛋白は細胞周期蛋白に対して作用する
酵素の活性レベルで制御することができる。
【0013】また、p34cdc2レベルは蛋白レベル
で制御することもできる。かかる制御はin vitroでの細
胞の成長に対しより多く適用されるが、本発明は、必ず
しもそのように限定されるものではない。本発明のこの
態様において、例えば、細胞周期制御蛋白を培養に添加
し、エレクトロポレーションのごとき種々の手法によっ
て細胞に浸透させることができる。適当な形態への蛋白
の精製は記載されている(12)。量としては、細胞成
長を調節するのに十分な時間および条件下にて使用され
る。
【0014】植物成長を制御する方法に関し、これは、
初期の種子発育中におけるとか分裂組織におけるごとく
適当な部位および時期に発現できるプロモーターの制御
下にて植物ゲノムへの細胞周期遺伝子の安定な組み込み
を含み得る。これは、アグロバクテリウムの使用のごと
き形質転換の常法によって双子葉植物作物行うことがで
きる。また、それは、胚形成カルス由来の細胞に遺伝子
を導入し、続いて再生させるためのバイオリスティック
(biolistic)マイロプロジェクタイル衝撃のごとき公表
された方法を用いて単子葉植物で行うこともできる。
【0015】本発明のもう1つの態様は、長期懸濁培養
を行う必要をなくすることによって、形質転換できる単
子葉植物の数およびいずれの単子葉植物も形質転換でき
る容易性を増加させるために細胞周期遺伝子を用いるこ
とである。
【0016】関連する植物細胞に応じ、細胞膜は処理さ
れたものである必要があれ、および/または、蛋白自身
が標的細胞への侵入を容易にするために誘導体化されて
いる必要がある。別法として、周期制御蛋白の活性の阻
害剤、拮抗剤または作動剤を用いることもできる。さら
に、かかる手法の組合せを用いることもできる。1つの
特別の態様において、p34cdc2をオーキシンと組
み合わせて使用することもできる。
【0017】従って、本発明においては、p34cdc
2の量は植物組織における細胞分裂につき限定的である
ことが判明した。特殊化された機能の発育につき分裂の
停止が必要な場合、これは、この鍵細胞周期制御蛋白の
低レベルへの減少によって決定する。細胞分裂を回復で
きる組織においては、この蛋白を分裂に先立って誘導す
る(12)。さらに、本発明者らは、植物p34cdc
2は、酵母p34cdc2の活性を制御する役割を果す
分裂酵母からの調節サブユニットp13SUClと相互
作用することを見い出した。p13SUClの植物同族
体が今回見い出された。p13SUClの機能は分裂酵
母における有糸分裂の完成に必要である。植物p34c
dc2蛋白が1つの調節サブユニットと関連するという
事実は、酵母で遺伝子的に同定されている他の調節相互
作用が植物で作動できこと、および酵母からまず採取さ
れた調節遺伝子を植物細胞分裂を制御するのに使用し得
ることを意味する。従って、本発明はp34cdc2レ
ベルの制御に向けられるのみならず、間接的にp34c
dc2活性の調節となるp13SUCl、wee-1、mik-
1、nim-1およびcdc25のごとき調節要素の制御まで
拡大される。
【0018】本発明は植物の再生で特に有用である。例
えば、小麦葉の成熟細胞から、DNAの導入に非常に適
する健全なプロトプラストが得られるがそれは、植物へ
再生するのが非常に困難である。今回、これらの細胞は
低レベルのp34cdc2を有し、これらのレベルを増
加できないことが判明した。これは、単子葉植物と双子
葉植物の間の組織の基本的な相違であろう。後者の群に
おいて、成長は先端で起こり、傷をつけると新しい組織
を回復できる新しい分裂組織が生成される。しかしなが
ら、単子葉植物では、末端分裂組織はなく、成長は基部
分裂組織の継続的分裂による。傷をつけた結果、局在分
裂組織は生じない。従って、p34cdc2のレベルを
上昇させることによって、単一細胞または細胞群の植物
へのp34cdc2再生を容易とできる。
【0019】特別の適用は、細胞が従前に懸濁培養で長
期増殖を受けていない場合における、その分裂を促進す
るための形質転換単子葉植物プロトプラストにおける分
裂活性の影響である。この目的で、分裂に対する影響
は、一過性のものであれば足り、非組込型遺伝的形質転
換、または蛋白の導入が適当であろう。この使用は単子
葉植物へのいずれかの有益遺伝子の導入を容易にするで
あろう。
【0020】細胞のプロトプラスト化後における分裂の
回復を容易にするための細胞周期蛋白またはそれをコー
ドする遺伝子配列の使用は、ゲノムに安定に組み込まれ
るべき遺伝子の単子葉植物への導入を可能とする。導入
された遺伝子は、成長のための温度範囲の増大、病気耐
性、水利用、穀類サイズおよび悪条件下における成長を
改良するものを含む。
【0021】後者に関しては、また、本発明は、植物が
その成長を修飾するのに十分な時間および条件下で植物
において分裂できる1またはそれを超える植物細胞にお
いて細胞周期蛋白のレベルを調節することを特徴とする
1またはそれを超える環境条件の存在下で植物成長挙動
を修飾する方法に関する。。好ましくは、該植物は小
麦、大麦、オート麦、トウモロコシ、米または同様の作
物のごとき単子葉植物であり、細胞周期蛋白はp34c
dc2またはp34cdc2様分子である。「環境条
件」なる語は、高温または低温下での成長、病気への暴
露および水もしくは他の栄養物の過剰または不足のごと
き条件を含めるようその最も広義で使用する。
【0022】穀類サイズおよび成長に関し、安定な組込
のために導入される遺伝子は細胞周期制御遺伝子を包含
する。この場合、分裂を促進する遺伝子を、全部プロセ
スの間に2つの方法で用いることができる:1.分裂を
再開するために、プロトプラスト化の後の分裂の回復期
の間に、コードする蛋白の遺伝子の一過性発現、または
その蛋白の導入を用いる;2.再生後の植物で分裂活性
を修飾するために、さらに、Acのごとき転移性要素お
よびneoのごとき選択可能マーカーも含有するDNA
に導入された細胞周期遺伝子を安定に組み込み、また、
それを用いる。安定に組み込まれた細胞分裂遺伝子は選
択した組織または環境条件下で細胞分裂特性を改良する
であろう。
【0023】さらに、穀物への根粒の誘導の困難性の一
部は必要な局在化細胞分裂を誘導できないという可能性
がある。本発明では、例えば、p34cdc2遺伝子の
さらなるコピーを酵母からおよび/または植物から穀物
へ導入できる。p34cdc2の高レベルは酵母でテス
トした場合に細胞分裂に対して抑制的でなかったので、
導入された遺伝子は構成的プロモーターの制御下にあり
得る。誘導可能なプロモーターも使用することができ、
それは、p34cdc2の基礎レベルを上昇させること
から予測されない困難性があれば、形質転換細胞の再生
の間のみ誘導できる。p34cdc2の基礎レベルが上
昇した、あるいはリゾビウムの感染の時点でレベルが上
昇する植物は窒素固定用根粒を形成できるであろう。
【0024】しかしながら、植物細胞増殖を抑制する必
要があるかも知れない。例えば、冬季の雨に続いて有限
量の水を利用できる場合がしばしばそうであり、作物成
長の価値ある部分が発育してしまう前に水源を消費しな
いように植物成長を抑制するのは有利である。冬季の雨
の後に播種した小麦は、土壌水が消費される前に実を結
ばなくてはならない。野菜植物の成長および特に水の蒸
散は抑制されなければならない。蒸散を減少させる化学
薬剤は引き続いての成長に逆の副作用を有することが判
明した。本発明は、p34cdc2の発現または活性の
減少により毒性副作用なくして成長減少を達成できるこ
とを提案する。p34cdc2の発現または活性の減少
は前記したごとき多数の方法で達成できる。かかる方法
の1つにおいて、p34cdc2の活性を抑制する優性
作用用量依存性遺伝子を用いることができる。これらは
分裂酵母のwee-1およびmil-1遺伝子である。その制御さ
れた発現は水源を考慮するために作物の成長を調節する
のに使用される。これには、矮化品種を創製するために
は構成的に、あるいは水が限定的になる恐れがあれば誘
導剤の適用によって矮化を誘導できるよう誘導的にwee-
1および/またはmik-1を導入する必要がある。
【0025】また、本発明は、植物成長の制御の他の領
域で有用である。例えば、植物器官の最終サイズが発育
の臨界的段階における細胞数によって決定されるという
のがしばしばその場合である。これは、穀類、豆類およ
びリンゴのごとき多くの重要な作物に適用される。本発
明は収穫を増加させるためにこの段階で細胞分裂を刺激
するのに使用できる。
【0026】さらに、被覆を形成する草冠成長の刺激は
植物が休眠している間の土壌からの蒸発による水の喪失
を減少でき、それにより、春に成長が回復した場合によ
り多くの水が利用できる。これは、特に、秋蒔小麦に適
用される。
【0027】さらに、農夫により表面下方で利用可能な
ことが知られている水を植物が利用できるように土壌の
根貫入を促進するのが望ましい。また、農夫が将来の水
供給を提案する場合は、水が限定されるときには苗条成
長を遅延させないことが望ましい。植物における制御
は、水ストレスの最初の検出時において、かつ、これが
収穫を制限するかも知れない農業的状況において、成長
の保存的制限を生じる。本発明は、分裂活性を刺激し、
p34cdc2に影響を与えることによって作用する優
性作用用量依存性遺伝子のコピーを導入するのに使用で
きる。2つの候補遺伝子はnim-1およびcdc25である。
他の戦略は、活性の抑制的調節に応答しないcdc2の
突然変異体のコピーを導入することである。2つの突然
変異体はcdc2-1wおよびcdc2-3wである。すべての3種の
遺伝子については、発育の適当な段階で誘導すれば発現
は最も効果的であろう。1つの可能性はニトレートレダ
クターゼプロモーターを使用することであり、希薄ニト
レート含有栄養の適用によってその発現を誘導する。
【0028】また、この栄養は誘導されたさらなる成長
を有利に支持するであろう。他の誘導剤を利用すること
ができ、すべて本発明に含まれる。
【0029】双子葉植物および単子葉植物を共に含めた
作物植物の経済的に価値ある部分において成長および発
育を促進するために細胞周期制御遺伝子を使用すること
ができる。この第2の分類群において、その再生性を改
善するための細胞周期制御遺伝子もしくは蛋白のさらな
る一過性使用は有利であるが、胚形成カルスのバイオリ
スティック(biollistic)形質転換も遺伝子の導入につい
ての可能な経路であろう。
【0030】経済的に価値ある組織の最終収穫に細胞数
が影響する場合は、発育の数段階で細胞分裂挙動に影響
を与えるために細胞周期制御遺伝子を使用できる。特別
の例は穀粒における胚乳発育の多核段階における多数繰
返核分裂である。
【0031】また、本発明は、単子葉植物におけるp3
4cdc2またはp34cdc2様分子のごとき人工的
に制御された細胞周期蛋白を担うトランスジェニック植
物もしくは植物細胞に指向され、かかる植物は小麦、大
麦、オート麦、トウモロコシ、米または他の作物を含
む。かかる人工的制御は高構成もしくは誘導プロモータ
ー、多重遺伝子反復および他の同様な手法および技術を
含む。
【0032】単子葉植物の再生に関しては、単子葉プロ
トプラストにつき好ましい1の具体例は、例えば、DN
Aの2の調製を用いるエレクトロポレーションによっ
て、再生植物における発現用の有益遺伝子(例えば、菌
類または害虫に対する耐性または凍結耐性用遺伝子、お
よび分裂挙動を修飾する遺伝子)で安定に形質転換され
ることである。1のものは、少なくともp34cdc2
様分子をコードする遺伝子を担い、恐らく、要すれば、
さらに、構成的に発現される35Sまたはその複合pE
MUのごときプロモーターの制御下にあって、かつ組込
を刺激するトランスポゾン要素およびDNAのこの種の
残存性を強化する選択マーカーを欠くサイクリンをコー
ドする遺伝子を担うものである。このDNAは分裂の数
回の繰返を促進し、(プロトプラスト化の後に起こるご
とく、単子葉植物の単一の細胞ではそうではないが、単
子葉植物からの分裂する細胞の組織ではそうであるごと
く)分裂が継続するミクロカルスに導くのに十分なくら
い長く存在するであろう。同時に導入すべき他のDNA
は選択可能マーカー、および再生植物に安定に導入され
発現される新しく望ましい特性を付与する遺伝子に隣接
するAc遺伝子を含有するものである。安定な形質転換
のための遺伝子は、病気および害虫耐性用の遺伝子を包
含するが、前記したごとき分裂挙動を改善するための遺
伝子も包含できる。単子葉植物の場合、それは葉分裂組
織特異的プロモーターの胚乳の制御下で発現されるであ
ろう。
【0033】ミクロカルスは、オーキシンホルモン
(2,4−D)を含有する固体培地に形質転換細胞を平
板培養させることによって生きた状態で得られる。次い
で、ミクロカルスを(例えば、カナマイシン型の抗生物
質を含有する)選択培地に移して、非形質転換細胞を殺
す。生き残るクローンを、オーキシン型ホルモン(2,
4-D NAA)ならびにサイトカイン型ホルモン(カ
イネチン、BAP)および苗条と根の再生のためのAB
Aを含有する培地に移し、次いで、暫時寒気にあてて強
くし、育種のために地面に植える。この手法は、トウモ
ロコシおよび恐らくは米のいくつかの株に適用される別
の手法よりも優れた2つの利点を有する。別の手法で
は、懸濁培養にて、(胚形成カルスに由来する)細胞の
集塊を衝撃し、次いで、新しい遺伝情報を摂取した細胞
を殺すことを試みる。なぜなら、それは、カナマイシン
または関連抗生物質に対する耐性を欠くものであり、そ
の耐性は安定に組み込まれるべき遺伝子を担うDNAと
一緒に導入されるからである。新しいDNAを有しない
各集塊におけるすべての細胞を殺すのは困難であるの
で、キメラ植物が生じる。しかしながら、概説した手法
では、個々のプロトプラストとして十分分散され、かく
して、キメラは回避される。第2の利点は、プロトプラ
ストが、サテライトDNAへではなくて、核ゲノムへの
真性で安定な組込の高い機会を与え、従って、新しい特
性を各世代に伝達できる真性育種作物の発育を容易とす
ることである。
【0034】
【発明の実施の形態】以下の図面および実施例を参照
し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0035】図1は、EGV抗体でプローブすることに
よる小麦葉の細胞分裂領域からの蛋白のウェスタンブロ
ットでp34cdc2同族体の検出を示す写真である。
抗体溶液を分け、添加なしで(O)、20nM EGV
ペプチドEGVPSTAIREISLLKEを添加して
(V)、または第13位および第14位に置換を有する
改変ペプチドEGTPSTAIREISLMKEの20
0nMを添加して(T)プレインキュベートした。マー
カーの位置およびサイズは右側に示す。
【0036】図2は、前記条件下における8日間の発芽
の後に採取した小麦の90mm長実生葉において、
(A)分析用に採取した葉セグメントおよび(B)分裂
の有糸分裂期の細胞の出現率の分布を示すグラフであ
る。葉基部から0および20mm間とこの上部で、10
mm間隔で隣接して4mm長セグメントを採取した。図
中に試料番号を入れたのは、各セグメントの中心を示
す。有糸分裂指標は、4:1エタノール/酢酸で固定
し、アセトカルミンで染色した試料で決定した。分裂組
織領域における分裂の高出現率は、分裂周期のこの短時
間の期間における細胞の検出によって示される。
【0037】図3は、図2Aに示したごとく切断した葉
セグメントで検出された、p34cdc2同族体レベル
における細胞分化の間の変化を示す写真である。蛋白5
0μgを含有する試料をPAGEによって分離し、ニト
ロセルロースに移し、PonceauSで染色し、次いで、p
34cdc2をアフィニティー精製したEGV抗体でプ
ローブし、125I−標識抗−ウサギIgGF(ab')
2を用いて検出した。
【0038】図4は葉細胞発育の間のp34cdc2同
族体および合計蛋白の量の変化のグラフである。(A)
蛋白の50μg試料におけるp34cdc2蛋白のレベ
ル、(B)細胞における合計蛋白の濃度(1グラムの組
織新鮮塊当たりの合計蛋白)、(C)細胞当たりの平均
合計蛋白含量、(D)細胞当たりのp34cdc2同族
体の量。図1におけるごとく作成した抽出物における合
計蛋白は、オボアルブミン標準を用い、80倍希釈の後
に、染料結合によって見積もった。細胞当たりの蛋白
は、Bに示した蛋白濃度に、細胞数と同一条件下(5)
にて本実験で作成した新鮮な塊との初期測定から得ら
れ、かつこれらの試料で細胞の大きさの測定から確認し
た平均細胞新鮮塊を乗ずることによって計算した。ウェ
スタンブロットでのp34cdc2同族体の定量はEG
V抗体でプローブすることによって行い、第2抗体をヨ
ウ素化した。完全なセットの試料をニトロセルロースの
単一のパネルにて処理したので、直接的比較が可能であ
る。
【0039】図5は生トラデスカンティア(Tradescant
ia)雄しべ毛細胞における有糸分裂核へのp13SUC
l蛋白の局在化を示す写真である。
【0040】該p13SUCl蛋白は共有結合蛍光基
(FLUOS)の励起によって直接検出された。100
mM KCl中の0.5mg/ml蛋白を含有する細胞
容量の1%と同等の容量のマイクロインジェクションに
よって該蛋白を導入した。該蛋白は分裂酵母suc1遺伝子
によってコードされ、イー・コリで過剰発現され、蛍光
標識前に均質精製された標品p13SUClであった。
【0041】分裂酵母でp13SUClの有糸分裂活性
の制御に必要なp13SUCl蛋白は、有糸分裂の前期
に入るに従い核に濃縮されるのが観察された。鮮やかな
核が細胞の上部の1/3を占めるのが観察され、暗色染
色体がp13SUCl蛍光のバックグラウンドに対して
観察された。
【0042】図6はツィンニア(Zinnia)根先端細胞に
p34cdc2様蛋白が存在することを示す写真であ
る。
【0043】p34cdc2に関連するすべての細胞周
期制御蛋白で完全に保存されているペプチドEGVPS
TAIREISLLKEに対して生起したアフィニティ
ー精製ポリクローナル抗体を用いて蛋白を検出した。
【0044】プレ前期バンド(PPB)でのp34cdc
2様蛋白の濃度を検出した(矢印)。
【0045】図7は、再生可能および再生不能ニコチア
ナ・プルンバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifoli
a)細胞の懸濁培養における同調的細胞分裂の間のp34
cdc2様蛋白(PSTAIR蛋白)のレベルを示すグラフで
ある。該再生可能細胞系は固体培地へ移した際に完全な
植物を再生させることができ、該再生不能細胞は懸濁培
養における長期増殖の間にこの能力を喪失した。2の細
胞系を平行で増殖させ、各々からの蛋白試料を共電気泳
動に付し、同一のウェスタンブロットでp34cdc2
様蛋白のレベルを見積もった。
【0046】各時点で採取した試料の対において、左側
のは再生不能細胞系に由来する。S期に細胞を揃えるア
フィジコリン(aphidicolin)ブロックからの放出の後、
間隔を置いて、各培養をサンプリングし、無阻害剤培地
へ移して同調細胞分裂が得られた。再生不能細胞系は再
生可能細胞系の5倍のp34cdc2様蛋白の構成的レ
ベルを有していた。
【0047】同調分裂が両培養で起こっている場合、1
5〜23時間の間におけるプレ前期バンド頻度の測定
は、再生可能細胞系における400細胞のうち59が隔
膜形成体を有し、63が隔膜形成体および将来の横断壁
の位置を決定するプレ前期バンド(PPB)を有するこ
とを示した。対照的に、292隔膜形成体の検出は分裂
する細胞がサンプリングされていることを示したが、再
生不能細胞系からの2000細胞の大量の試料は、PP
Bの不存在を示した。PPBの欠如は、懸濁培養の間の
変性変化が分裂の面、従って、新しい細胞が形成される
方向を決定する機構を排除したことを示す。かかる方向
はカルスではなく細胞への成長に必要であり、その不存
在はこの培養に再生性が無いことを説明する。本発明の
鍵となる特徴は、形質転換細胞におけるp34cdc2
活性の制御された一過的上昇の利点を診断することであ
る。これは、プロトプラスト化後に分裂の回復能を得る
ための懸濁培養における細胞の長期前増殖の必要性を回
避するであろう。懸濁培養間におけるp34cdc2の
ランダムな上昇は予測できず、通常、制御されない分裂
および植物再生能力の喪失に至りかねない。
【0048】図8は、アッセイ前に14日間2,4−D
を含有する固体培地へ移した後測定した、実生小麦葉セ
グメントにおけるp34cdc2様蛋白のレベルを示す
グラフである。
【0049】無菌的に成長させた実生からの葉をセグメ
ント化し、SDS−PAGEによって蛋白を分画し、前
記したごとくにアフィニティー精製抗体によってp34
cdc2様蛋白を見積もった(11)。
【0050】分裂組織細胞分裂領域よりなる葉の基部か
ら採取した組織における細胞を、2,4−Dによって刺
激してp34cdc2様蛋白の合成を継続させ、分裂を
継続させた。葉の他の箇所からの細胞は分化してしまっ
ており、2,4−Dに対しては反応せず、p34cdc
2様蛋白を合成せず、分裂しなかった。これらの成熟細
胞はプロトプラスト化で生き残り、細胞壁を再生でき
る。それは、一過性発現についての細胞周期遺伝子の導
入によって細胞分裂を回復するよう刺激できれば、形質
転換に適するであろう。
【0051】図9Aは、発芽後1、2、4および11日
にてのニンジン子葉から抽出した蛋白のウェスタンブロ
ットにおけるp34cdc2様蛋白の検出を示す例示的
なグラフである。図9Bは、発芽後種々の日の子葉にお
けるp34cdc2様蛋白の相対量を示す例示的なグラ
フである。子葉および発育の段階は各サンプリング時間
にて描写的に示されている。相対的ユニットは文献12
に記載されている。
【0052】
【実施例】実施例1 材料および方法 植物 植物は本実験では先の実験で記載したごとくに正確に成
長させた(10)。蛋白抽出、電気泳動およびブロッティング 液体窒素中で破砕し、洗剤Tween20ならびにプロテアー
ゼおよびフォスファターゼの阻害剤を含有するRIPA
緩衝液と0℃で激しく混合することによって蛋白を抽出
した(6)。蛋白50μgを含有する試料を10−15
%グラジエントゲル上のSDS−PAGEによって分離
した。該蛋白をニトロセルロースに移し、マウスp34
cdc2融合蛋白に対する抗体のアフィニティー精製
(8)後に、先に記した(6;7)抗−EGVPSTA
IREISLLKE抗体(EGB抗体)でプローブし
た。p34cdc2を含まない対照の精製は反応抗体を
与えなかった。結合抗体は前記したごとく(6)アルカ
リ性フォスファターゼで検出するか、あるいは24時間
オートラジオグラフィー暴露を使用する0.5mCi/
lにおける125I−標識抗−ウサギIgGF(ab')
2(アメルスハム(Amersham)、IM1340)で検出し
た。
【0053】p34cdc2同族体の定量 p34cdc2同族体はEGV抗体およびヨウ素化第2
抗体でプローブすることによってウェスタンブロットで
定量した。完全な試料セットをニトロセルロースの単一
パネル上で加工し、従って、直接比較可能である。オー
トラジオグラフィーを用いてp34バンドを位置付け
し、次いで、それを放射能活性計数のために切断し、各
トラックで測定した低バックグランドで修正した(図3
B参照)。
【0054】実施例2 植物細胞における細胞周期制御
蛋白の検出 p34cdc2同族体の検出 図1は、酵母とヒトの間ではp34cdc2で完全に保
存されているが他の蛋白キナーゼにおいては保存されて
いないEGVPSTAIREISLLKE配列(EGV
ペプチド)に対して生起した抗体を用いて、小麦葉の細
胞分裂領域からの抽出物中にp34cdc2の同族体が
検出されたことを示す。哺乳動物p34cdc2に結合
させることによるアフィニティー精製の後、該抗体は分
子量34×103の小麦蛋白を認識した。認識は保存さ
れたEGVペプチド領域に対し特異的であった。という
のは、それは20nM EGVペプチドとの競合によっ
て見積もったからである(図1)。cdc2と同様性を
有するが細胞分裂には影響しない、PH085遺伝子に
よってコードされる相同ペプチド(9)は競合せず、こ
れは、EGV抗体は、細胞周期機能に特異的である最大
の完全保存領域内のコンフィギュレーションを認識した
ことを示す。
【0055】葉における分布 実生葉(図2A)の基部から先端にかけてセグメントを
採取し、細胞分裂はより低い12mmにおいてのみ検出
され(図2B)、これは、核DNAへのチミジンの取り
込みの領域と一致する。分化の間の蛋白の量の変化(図
3A)は、基部から28mmを超えるところのRUBISCOの
分子量55×103サブユニットの出現によって説明さ
れ、これはクロロプラスト数の増加および光合成の開始
と相関する。p34cdc2同族体の電気泳動移動度
は、いずれの富蛋白のそれとも合致せず、他の蛋白のそ
れに対するそのレベルは活性な細胞分裂の領域を外れる
とシャープに減衰した(図3B)。図4Aで定量化される
相対レベルでのこの減衰は、分化する細胞がサイズ、蛋
白濃度(図4B)および、従って合計蛋白含量(図4
C)を増加させるに伴う他の蛋白の蓄積のためである。
細胞当たりのp34cdc2同族体の量(図4D)は、
どれくらいの数の細胞が図3Bおよび4Aでプローブさ
れた蛋白を生成したかを記す細胞当たりの蛋白含量を用
いることによって求めた。分化の間にp34cdc2の
有意な正味の分解は起こらず、その蓄積の停止によって
94%相対減衰が計算された一方、他の蛋白の大々的な
合成が分化の間に起こる。
【0056】実施例3 p34cdc2およびP13S
UCl間の相互作用 p34cdc2の細胞周期制御蛋白様と考えられる植物
蛋白は、酵母p34cdc2蛋白と機能的に非常によく
似ている。この重要性は、p34cdc2の細胞分裂制
御機能および植物蛋白の同様性につき、酵母における決
定的な遺伝的証拠があることであり、従って、同様の分
裂制御機能がそれらに存在する可能性を支持する。
【0057】かかる証拠は以下のことを含む: a)34kDaの同一サイズを有し、抗体によって認識
されるアミノ酸配列EGVPSTAIREISLLKE
(PSTAIR)を含有する植物p34cdc2様蛋白もま
た、標品酵母p34cdc2に結合する酵母p13SU
Slサブユニットに結合する。該結合植物蛋白はカルシ
ウムまたは環状AMPを要しないH1ヒストンに向けら
れたプロテインキナーゼ活性を有し、これらの点で、標
品酵母p34cdc2と同一である。
【0058】b)植物は、分裂酵母からの蛋白と同一サ
イズであって酵母p13SUClに対する抗体によって
認識されるp13SUClの同族体を含有する。点
(a)および(b)は、一緒に、植物p34cdc2は
酵母酵素と同様に調節蛋白との相互作用につき同一の能
力を保持することを示す。p13SUClは酵母におい
て成長に必要であり、有糸分裂における後期の完了に必
要である。p13SUClと相同な植物蛋白の存在およ
び標品p13SUClへの植物p34cdc2様蛋白の
結合の意味するところは、植物p34cdc2は、本発
明者らが我々の特許で提案したごとく酵母でまず特徴付
けられたネットワークの他の蛋白との相互作用によって
調節されるということである。
【0059】これらの結果はジョン(John)ら(11)
によって開示されており、ここに参照のために挙げる。
【0060】実施例4 本実施例は(i)p34cdc2と相互作用する蛋白の細
胞内の位置および(ii)可能な標的蛋白に対するp34c
dc2の細胞内位置は植物細胞周期におけるp34cd
c2の機能と一致するか否かの実験に指向される。
【0061】a)分裂酵母の13kD蛋白p13SUC
lをイー・コリ(E. coli)で過剰発現させ、均質に精製
し、蛍光染料5(6)−カルボキシフルオレセイン−N
−ヒドロキシスクシンイミドエステルで共有結合的に標
識し、活性に分裂していた生トラデスカンティア(Trad
escantia)雄しべ毛細胞に0.5mg/mlにて微量注射
した。該蛋白は有糸分裂前期の核で濃縮され(図5)、
これは、p34cdc2は植物における有糸分裂で機能
し、p13SUClのごとき調節サブユニットとの協同
によって調節されるという提案と合致する。
【0062】b)p34cdc2様蛋白の位置は、分裂
植物細胞における抗体結合および免疫蛍光顕微鏡によっ
て決定した。該蛋白は細胞質および核に位置するが、初
期の有糸分裂では、微小管のプレ前記バンド(PPB)
と呼ばれる細胞骨格構造である分裂の配位の主要決定要
素に局在するようになる(図6参照)。該PPBは新し
い(娘)細胞を分離する横断壁の配位の部位をマーク
し、それ故、成長が起こる方向を決定する。調節可能な
p34cdc2レベルおよびPPB形成能は共に培養細
胞から植物を再生する能力において鍵となる要素であ
る。導入された遺伝情報を作物の改良で利用する場合、
かかる再生が必要である。p34cdc2レベルおよび
PPB成形能という二重の要件は、共に、培養細胞から
植物を再生させる能力において鍵となる要素である。導
入された遺伝情報を作物の改良で利用する場合、かかる
再生が必要である。p34cdc2調節およびPPB形
成という二重の要件は2つの要素の共局在によって強調
される。
【0063】関連系列の調査は、他の界におけるp34
cdc2機能に必要な他の蛋白が植物に存在するか否か
を確立することを追及してきた。ポリメラーゼ鎖反応
(PCR)技術を用いて細胞周期制御遺伝子と相同な植
物遺伝子の領域を増幅させた。小麦においては、p34
cdc2様蛋白および、G1期でp34cdc2と複合
体化するサイクリンのGクラス様蛋白をコードできる遺
伝情報が検出されており、細胞周期のG1期でその機能
を活性化させることが示唆された。G1サイクリン遺伝
子のこの部分の存在およびプローブとしてPCR増幅断
片を用いて単子葉植物サイクリンをクローン化するのに
それを使用する能力は重要である。というのは、単子葉
植物細胞は共通に細胞周期のG1期を妨げ、適当なサイ
クリンは分裂を刺激するのを助力するからである。
【0064】植物細胞の懸濁培養で起こる再生能の喪失
の分子的基礎を直接調べるためにもう1つのアプローチ
を試みた。
【0065】懸濁液中における植物細胞の長期培養は、
新鮮な培地での反復希釈および非天然条件下でより迅速
に分裂する細胞の暫時の優勢化を含む。本発明者らは、
ニコチニア・プルムバギニフォリア(Nicotiana plumbag
inifolia)の懸濁培養で、培養を希釈する毎に不可避的
に起こるより迅速な分裂細胞についての継続選択の結
果、p34cdc2レベルが増加し、プレ前記バンドが
喪失したことを観察した(図7に詳細を説明する)。
【0066】成熟穀物葉細胞で調べた細胞分裂の抑制は
鍵細胞分裂蛋白p34cdc2を誘導できないことによ
る。2,4−Dを含有する培地で無菌的に培養する場
合、組織は活性に分裂する(分裂組織)領域から採取し
たにも拘わらず、細胞は分裂を支持できるレベルでp3
4cdc2様蛋白を保持し(図9参照)、一方、低レベ
ルのp34cdc2様蛋白と共に成熟細胞を含有する葉
の他の箇所から採取した組織はp34cdc2のレベル
を上昇させることができず(図8参照)、また、細胞分
裂を開始させることができなかった。細胞分裂を容易に
継続する分裂組織は形質転換源としては不適当である。
なぜならば、それは細胞壁を再生せず、また、遺伝物質
の導入後に細胞分裂を回復できないプロトプラストを生
じるからである。成熟細胞は細胞壁を再生できるが、長
期懸濁培養に付されたものでない場合、成熟細胞におけ
る分裂の主要抑制はp34cdc2蛋白の低レベルのそ
の保持である。
【0067】
【発明の効果】細胞周期制御蛋白レベルを調節するか、
あるいは植物細胞に作用する酵素レベルを変更すること
によるその活性を調節することにより植物細胞の増殖お
よび分化が制御される。
【0068】文献 1.ナース・ピイおよびビセット・ワイ(Nurse,P. and
Bisset,Y.)、ネイチャー(Nature)292:558−5
60、1981 2.ナース・ピイおよびファンテス・ピイ(Nurse,P. a
nd Fantes,P.)、ザ・セル・サイクル(The Cell Cycl
e)、85−98、1981 3.ラッセル・ピイおよびナース・ピイ(Russell,P. a
nd Nurse P.)、セル(Cell)、49:569−576、
1987 4.モレノ・エス、ナース・ピイおよびラッセル・ピイ
(Moreno,S.,Nurse,P.and Rissell,P.)、ネイチャー(N
ature)344:549−552、1990 5.ウェルニッケ・ダブリューおよびミルコビィッツ・
エル(Wernicke,W.andMilkovits,L.)、フィジオロジア
・プル(Physiologia Pl.)69 23−28、1987
b 6.ジョン・ピイ・シイ・エル、セク・エフ・ジェイお
よびリー・ジイ・エム(John,P.C.L.,Sek,F.J. and Le
e,G.M.)プラント・セル(Plant Cell):1185−1
193、1989
【0069】7.リー・エム・ジイおよびナース・ピイ
(Lee,M.G. and Nurse,P.)、ネイチャー(Nature)32
:31−35、1987 8.スニダー・エム、エレッジ・エス、スウェーツェル
・デイ、ヤング・アール・エイおよびデイビス・アール
・ダブリュー(Snyder,M.,Elledge,S.,Sweetser,D.,Youn
g,D.,Young,R.A. and Davis,R.W.)、メス・エンザイム
(Meth.Enzym.)154:107−128、1987 9.トー・イー・エイ、タナカ・ケイ、ウエソノ・ワイ
およびウイックナー・アール・ビイ(Toh-E.,A.,Tanak
a,K.,Uesono,Y. and Wickner,R.B.)、サッカロミセス・
セレビシエ・モレク・ジェン・ジェネト(Saccharomyce
s CerevisiaeMolec.Gen.Genet.)214:162−16
4、1988 10.ウィルニッケ・ダブリューおよびミルコヴィッツ
・エル(Wernicke,W.and Milkovits,L.)、フィジオロジ
ア・プル(Physiologia Pl.)69:16−22、198
7 11.ジョン・ピイ・シイ・エル、セク・エフ・ジェイ
およびハイレス・ジェイ(John,P.C.L.,Sek,F.J. and H
ayles,J.)、プロトプラズマ(J.Protolasma)161:7
0−74、1991 12.コルスト・ジェイ・アール、セク・エフ・ジェイ
およびジョン・ピイ・シイ・エル(Corst.J.R.,F.J. an
d John,P.C.L.)、プランタ(Planta)185:304−
310、1991
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、EGV抗体でプローブすることによ
る小麦葉の細胞分裂領域からの蛋白のウェスタンブロッ
トでp34cdc2同族体の検出を示す写真である。
【図2】 前記条件下における8日間の発芽の後に採取
した小麦の90mm長実生葉において、(A)分析用に
採取した葉セグメントおよび(B)分裂の有糸分裂期の
細胞の出現率の分布を示すグラフである。
【図3】 図2Aに示したごとく切断した葉セグメント
で検出された、(A)染色可能蛋白および(B)p34
cdc2同族体レベルの、細胞分化の間における変化を
示す写真である。
【図4】 図4は葉細胞発育の間のp34cdc2同族
体および合計蛋白の量の変化のグラフである。
【図5】 図5は生トラデスカンティア(Tradescanti
a)雄しべ毛細胞における有糸分裂核へのp13SUC
l蛋白の局在化を示す写真である。
【図6】 図6はツィンニア(Zinnia)根先端細胞にp
34cdc2様蛋白が存在することを示す写真である。
【図7】 図7は、再生可能および再生不能ニコチアナ
・プルンバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifolia)
細胞の懸濁培養における同調的細胞分裂の間のp34c
dc2様蛋白(PSTAIR蛋白)のレベルを示すグラフであ
る。
【図8】 図8は、アッセイ前に14日間2,4−Dを
含有する固体培地へ移した後測定した、実生小麦葉セグ
メントにおけるp34cdc2様蛋白のレベルを示すグ
ラフである。
【図9】 図9は、発芽後のニンジン子葉から抽出した
蛋白のウェスタンブロットにおけるp34cdc2様蛋
白の検出および相対量を示す例示的なグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA00 CA05 CA14 CA19 CD12 4B024 AA08 CA02 DA01 GA14 4B065 AA88X AB01 CA53 4H011 AB03 BB22

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞分裂を修飾または制御するのに十分
    な時間および条件下で植物における細胞周期制御蛋白の
    レベルおよび/または触媒活性を調節し、ここに、該細
    胞周期制御蛋白は、単独および組み合わせて、p34
    cdc2またはp34cdc2様分子、p1
    SUC1、サイクリン、cdc25あるいはnim-1、w
    ee-1もしくはmik-1遺伝子の産物よりなる群から選択さ
    れることを特徴とする植物細胞成長の制御方法。
  2. 【請求項2】 該植物細胞が単子葉植物または双子葉植
    物に属する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該単子葉植物が小麦、大麦、オート麦、
    トウモロコシまたは米である請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 細胞分裂の修飾が一過性である請求項1
    ないし3いずれか1記載の方法。
  5. 【請求項5】 細胞分裂を可能とするのに十分な時間お
    よび条件下で植物における細胞周期制御蛋白のレベルお
    よび/または触媒活性を増大させ、ここに、該細胞周期
    制御蛋白は、単独および組み合わせて、p34cdc2
    またはp34 cdc2様分子、p13SUC1、サイク
    リン、cdc25あるいはnim-1、wee-1もしくはmik-1
    遺伝子の産物よりなる群から選択されることを特徴とす
    る植物細胞分裂を維持、促進または容易化する方法。
  6. 【請求項6】 該植物細胞が単子葉植物または双子葉植
    物に属する請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 該単子葉植物が小麦、大麦、オート麦、
    トウモロコシまたは米である請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 p34cdc2活性のレベルがp13
    SUC1、wee-1、mik-1、nim-1および/またはcdc25の
    レベルによって直接または間接に制御される請求項1ま
    たは5記載の方法。
  9. 【請求項9】 植物の再生を可能とするのに十分な時間
    および条件下で1またはそれを超える植物細胞または該
    1またはそれを超える植物細胞からのプロトプラストに
    おける細胞周期蛋白のレベルおよび/または触媒アクチ
    ベーターを上昇させ、ここに、該細胞周期制御蛋白は、
    単独および組み合わせて、p34cd c2またはp34
    cdc2様分子、p13SUC1、サイクリン、cdc
    25あるいはnim-1、wee-1もしくはmik-1遺伝子の産物
    よりなる群から選択されることを特徴とする該細胞また
    はプロトプラストからの植物の再生を増強または促進す
    る方法。
  10. 【請求項10】 該植物細胞またはプロトプラストが単
    子葉植物または双子葉植物からのものである請求項9項
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 該単子葉植物が小麦、大麦、オート
    麦、トウモロコシまたは米である請求項10記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 植物がその成長を修飾するのに十分な
    時間および条件下で該植物における分裂できる1または
    それを超える植物細胞中の細胞周期制御蛋白のレベルお
    よび/または触媒活性を調節し、ここに、該細胞周期制
    御蛋白は、単独および組み合わせて、p34cdc2
    たはp34cdc2様分子、p13 UC1、サイクリ
    ン、cdc25あるいはnim-1、wee-1もしくはmik-1遺
    伝子の産物よりなる群から選択されることを特徴とする
    1またはそれを超える環境条件の存在下で植物の成長挙
    動を修飾する方法。
  13. 【請求項13】 該植物が単子葉植物または双子葉植物
    である請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 該単子葉植物が小麦、大麦、オート
    麦、トウモロコシまたは米である請求項13記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 該環境条件が温度上昇、病気への暴露
    または水もしくは他の栄養の過剰もしくは欠乏のうち1
    またはそれを超えるものからなる請求項12記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 p34cdc2をコードする配列、サ
    イクリン関連キナーゼ機能を有するp34cdc2様蛋
    白をコードする配列、またはp34cdc2もしくはp
    34cdc2様分子と相互作用し、p34cdc2もし
    くはp34 dc2様分子のレベルを調節する調節要素
    のうちの少なくとも1つで形質転換させたトランスジェ
    ニック植物であって、ここに、該調節要素は、p13
    SUC1、サイクリン、cdc25、あるいはnim-1、w
    ee-1およびmik-1遺伝子の産物よりなる群から選択さ
    れ、該トランスジェニック植物は、増強されたレベルの
    p34cdc2もしくはp34cdc2−様蛋白を発現
    することを特徴とする該トランスジェニック植物。
  17. 【請求項17】 該トランスジェニック植物が単子葉植
    物である請求項16記載のトランスジェニック植物。
  18. 【請求項18】 該トランスジェニック植物が双子葉植
    物である請求項16記載のトランスジェニック植物。
  19. 【請求項19】 該単子葉植物がトラデスカンティア
    (Tradescantia)、小麦、大麦、オート麦、トウモロコ
    シまたは米である請求項17記載のトランスジェニック
    植物。
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