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WO2026018848A1 - ワンパート型ジオポリマー用の組成物及びその硬化体 - Google Patents

ワンパート型ジオポリマー用の組成物及びその硬化体

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WO2026018848A1
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Abstract

本発明は、廃コンクリートから再生骨材を製造する際に発生する粒度0.63mm以下の再生微粒粉などのCaOやCa(OH)を含有するアルカリ性の廃棄物粉末の有効利用を図りつつ、ワンパート型ジオポリマーを実現することのできる技術を提供する。すなわち本発明は、高炉スラグ微粉末及びフライアッシュなどのポゾラン材料から選択される少なくとも一種の粉体である第一の粉体成分と、石灰(CaO)又は水酸化カルシウム(Ca(OH))を含有する粉体である第二の粉体成分とを含むワンパート型ジオポリマー用の組成物、及びこのジオポリマー組成物に水又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まない水分を添加して得られるワンパート型ジオポリマー硬化体を提供する。

Description

ワンパート型ジオポリマー用の組成物及びその硬化体
 本発明は、ワンパート型ジオポリマー用の組成物とその硬化体に関する。
 高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等を活性フィラーとするジオポリマーは、脱クリンカー・不焼成型の低炭素セメントとして実用化が期待されている。従来一般的なジオポリマー硬化体は、アルミナシリケート成分の活性フィラーを含むジオポリマー組成物がアルカリ溶液で硬化することにより得られ、アルカリ溶液としては、フライアッシュの反応を生じさせるため、強アルカリ性の水酸化ナトリウムとケイ酸ナトリウムの混合水溶液を使用する事例が多い(例えば特許文献1)。このように従来一般的なジオポリマーにおいて使用するアルカリ溶液は、水酸化ナトリウムを含むため強アルカリ性(pH>13.0)を示し、また、水酸化ナトリウムとケイ酸ナトリウムそのもののコストと粘性が水より高いなどの問題点がある。すなわち、従来一般的なジオポリマーには、高いコストのほか、作業者の安全性、練り混ぜ、運搬及び打込み等を含めた作業性の面で問題がある。そこで、強アルカリ性のアルカリ溶液を使用しない、いわゆるワンパート(One-Part)型ジオポリマーが求められている。ここで、ワンパート型ジオポリマーとは、活性フィラーを含むジオポリマー組成物は全て粉末であり、事前に混合することができ、使用する(硬化させる)時に従来のポルトランドセメントのように水、又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まない水分を加えるタイプのジオポリマーのことをいう。
 一方、廃コンクリートから再生骨材を製造する際に、粒度0.075mm以下の再生微粉が大量に排出される。しかし、再生骨材のJIS規格は、再生微粉含有率が再生粗・細骨材Hの場合にはそれぞれ1.0質量%と7.0質量%以下、再生粗・細骨材Mの場合にはそれぞれ2.0質量%と8.0質量%以下、再生粗・細骨材Lの場合にはそれぞれ3.0質量%と10.0質量%以下であると規定している。再生骨材のグレードが高いほど、高度な処理が必要となり、再生微粉の発生量が多いが、JIS規格値の含有率上限値は逆に低い。過量の再生微粉を取り除かないといけないため、その分級と除去作業には多大な手間とエネルギーがかかる。
 また、粒度5mm以下の再生細骨材中の0.63mm以下の微粒は、セメント成分が多いため、密度が小さく、吸水率が高くなり、再生細骨材のJIS規格を満足しにくい(非特許文献1参照)。つまり、JIS規格を満足する再生細骨材を製造し難く、再生細骨材の利用拡大の障害となる。ここに、これらの再生微粉と微粒を再生微粒粉と総称することにする。
特開2016-135723号公報
松村宇ほか:湿式選別法による高品質再生細骨材の製造,コンクリート工学年次論文集,vol.25,No.1,pp.1475-1480,2003
 以上から、再生微粒粉を再生骨材から分離せずに、そのままでコンクリートに有効に利用する技術の開発が重要である。本発明が解決しようとする課題は、廃コンクリートから再生骨材を製造する際に発生する粒度0.63mm以下の粉体である再生微粒粉などの石灰(CaO)又は水酸化カルシウム(Ca(OH))を含有するアルカリ性の廃棄物粉体の有効利用を図りつつ、ワンパート型ジオポリマーを実現することのできる技術を提供することにある。
 本発明者は、再生微粒粉がCa(OH)に富んでいることに着目し、再生微粒粉などの石灰(CaO)又は水酸化カルシウム(Ca(OH))を含有するアルカリ性の廃棄物粉体をジオポリマーのアルカリ刺激材及びフィラーの一部として活用することにより、アルカリ性の廃棄物粉体の有効利用を図りつつワンパート型ジオポリマーを実現することができることを知見し、本発明を完成させるに至った。
 すなわち、本発明の一観点によれば、次のワンパート型ジオポリマー用の組成物が提供される。
 高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、バイオマス燃焼灰、シリカフューム及び火山灰から選択される少なくとも一種の粉体である第一の粉体成分と、
 石灰(CaO)又は水酸化カルシウム(Ca(OH))を含有する粉体である第二の粉体成分と、
を含む、ワンパート型ジオポリマー用の組成物。
 また、本発明の他の観点によれば、本発明のワンパート型ジオポリマー用の組成物に水又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まない水分を添加して得られるワンパート型ジオポリマー硬化体、及び本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に水又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まない水分、及び骨材又は骨材と繊維を添加して得られるワンパート型ジオポリマー硬化体が提供される。
 本発明によれば、再生微粒粉などの石灰(CaO)又は水酸化カルシウム(Ca(OH))を含有するアルカリ性の廃棄物粉体の有効利用を図りつつ、ワンパート型ジオポリマーを実現することができる。
再生微粒粉2種(WC2及びWC3)と海砂の粒度分布を示すグラフ。 再生微粒粉(WC2)のTG-DTAの測定結果を示すグラフ。 再生微粒粉(WC3)のTG-DTAの測定結果を示すグラフ。 異なるアルカリ刺激材(剤)を用いたジオポリマーの圧縮強度と可使時間を示すグラフ。 石膏の添加がジオポリマーの性能に及ぼす影響を示すグラフ。 高炉スラグ微粉末の割合がジオポリマーの性能に及ぼす影響を示すグラフ。 炭酸ナトリウムを添加したジオポリマーの圧縮強度に及ぼす材齢の影響を示すグラフ。 材齢が異なったジオポリマーの内部構造(SEM画像)。 材齢が異なったジオポリマー及び原料のX線回折分析の結果。
 以下、本発明者らが実施した実験結果に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
1.実験概要
1.1 使用材料
(1)活性フィラー(第一の粉体成分)
 JIS4000級高炉スラグ微粉末(BFS)又は石膏を含むJIS4000級高炉スラグ微粉末(gBFS)と、JISII種フライアッシュ(FA)を使用した。これら活性フィラーの化学組成と物理性質を表1に示す。
(2)再生微粒粉(第二の粉体成分)
 FAの一部を再生微粒粉(WC)で代替した。今回の実験で使ったWCサンプルの入手先によって、それぞれWC2、WC3と記す。なお、両者ともふるい分けで粉砕された廃コンクリートから収集した粒度0.63mm以下のものであった。化学組成と絶乾密度を表1、粒度分布を図1に示す。また、WC2とWC3を10:1の固液質量比で標準緩衝液(pH=6.88)と混合してそれぞれ電磁スターラーで24時間攪拌した後に、溶液のpH値を測定した。前者は12.78で、後者は12.80であり、2種類のWCのアルカリ性は殆ど同じであった。なお、WC2とWC3の熱重量・示差熱同時測定(TG-DTA測定)を行い、その結果を図2及び図3に示す。水酸化カルシウム(Ca(OH))の分解温度範囲(400℃~450℃)におけるWC2試料とWC3試料の質量減少率は、それぞれ0.62%と0.31%であった。両者は共にCa(OH)を含有することを確認したが、WC2の方がWC3よりCa(OH)を多く含んでいる。よって、再生微粒粉(第二の粉体成分)は、ジオポリマー(GP)のアルカリ刺激材として使用した。また、再生微粒粉は、GPのフィラー成分の一部にもなった。
(3)アルカリ刺激剤(第三の粉体成分)
 第一と第二の粉体成分だけで組成されるワンパート型ジオポリマーは、凝結・硬化することができる。その強度を向上するために、アルカリ刺激材(第二の粉体成分)以外の粉末状のアルカリ刺激剤(第三の粉体成分)の添加も検討した。この検討に、第三の粉体成分として、炭酸ナトリウムとメタケイ酸ナトリウムを使用した。具体的に炭酸ナトリウムとしては無水炭酸ナトリウム試薬、メタケイ酸ナトリウムとしては無水メタケイ酸ナトリウムとメタケイ酸ナトリウム(9水塩)を使用した。これらのワンパート型ジオポリマーは水の混合によって硬化した。また、比較のため、市販のJIS1号水ガラス(WG)を体積比0.6:1及び0.8:1の水で希釈したものをアルカリ溶液(硬化液)として一部のジオポリマー(GP)硬化体に用いた。2種類のWG希釈液の密度はそれぞれ1.12g/cmと1.14g/cmであり、SiO/NaOのモル比は2.1であった。すなわち、比較例の硬化液はWG希釈液であったが、実施例の硬化液は水であった。
(4)骨材
 表乾状態の海砂を使用した。図1に粒度分布図を示す。表乾状態の密度2.56、吸水率1.81%、実績率65.0%、塩化物量0.002%及び粗粒率2.87であった。全てのGP硬化体において骨材と粉体の質量比は2.5である。
 本発明のGP組成物は、第一の粉体成分(活性フィラー)と第二の粉体成分(再生微粒粉)を必須の粉体成分、第三の粉体成分(アルカリ刺激剤)を任意の粉体成分とし、液体成分を含まないことを特徴とするものである。ここで、本発明者らによる研究の結果によると、これら必須の粉体成分のうち、第一の粉体成分の含有率は、第一の粉体成分と第二の粉体成分との合量100質量%に占める含有割合において60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、70質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。言い換えると、第二の粉体成分の含有率は、第一の粉体成分と第二の粉体成分との合量100質量%に占める含有割合において10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。また、第三の粉体成分を第二の粉体成分と併用する場合、その添加率は、第一の粉体成分と第二の粉体成分との合量100質量%に対する添加割合において5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、8質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
 一方、骨材を含む硬化体を作製する場合、骨材としては、上記した海砂のほか、一般的にモルタルやコンクリートの原料として使用されている各種骨材を使用することができる。また、廃コンクリートの破砕物である再生骨材を使用することもできる。再生骨材には、第二の粉体成分である再生微粒粉が含まれ得るが、その場合、再生骨材中の再生微粒粉(粒度0.63mm以下)を第二の粉体成分と見做し、粒度が0.63mmを超える粒子を細・粗骨材と見做す。粒度0.63mm以下の再生微粒粉を再生骨材から分離せずに使用することができる。分離せず使用する場合、再生骨材中の再生微粒粉の割合をふるい分け試験で測定して再生骨材の総量から計算した再生微粒粉量を第二の粉体成分の含有量に加算すると共に骨材量から減算すれば良い。
1.2 GPの調合と試験体の作製方法
 FA、BFS又はgBFS、WC、第三の粉体成分(アルカリ刺激剤)及び硬化液(水又はWG希釈液)を事前に計画した調合(表2)に基づいてそれぞれ計量した。次にFA、BFS又はgBFS、WC及び任意成分としての第三の粉体成分をモルタルミキサーで60秒間混合した。次に硬化液をミキサーに投入して60秒間低速(139rpm)で攪拌した後に90秒間高速(591rpm)で練り混ぜた。その直後に、可使時間を測定し、試料を4cm×4cm×16cmの3連角柱型枠に充填し、脱型しないままラップで封緘し20±3℃で24時間養生した。その後、脱型を行いラップで試験体を封緘し20±2℃、R.H.60±5%の空気中で所定の材齢まで養生した。
1.3 性能試験の項目と方法
(1)可使時間
 GP試料を練り混ぜた直後に、試料面を直径3mm程の先端が半球状である鉄棒で突き刺し、圧痕に液の進入が見られず、かつ圧痕が明瞭に残るまでの時間を計測した。粉体と硬化液を混合してからこの時点までの経過時間を可使時間とした。
(2)力学性能
 角柱試験体養生後、万能試験機で3点法を用い、曲げ試験を行った。曲げ試験後の折片を用いて圧縮強度の測定を行った。
(3)化学分析
 走査型電子顕微鏡(SEM)により一部のGP硬化体の内部構造の観察を行った。直径24mmの分析用サンプルを樹脂で包埋し、硬化後に測定面を研磨して、超音波洗浄をした。サンプルを乾燥させた後、測定面に白金コーティングを行った。
(4)X線回析(XRD)
 圧縮試験体の破片を粉砕して、X線回析装置(XRD)によりGP硬化体の結晶物を調べた。XRD分析は、CuK線源を用い、40kV-30mA 電源、1°-1°-0.15mmスリット方式、走査速度2°/min、0.02°ステップスキャンといった条件で10~70°の2θ範囲で行った。
2.実験結果及び考察
2.1 アルカリ刺激材(剤)の影響
 表2に示す調合でGPを作製し、可使時間と28日材齢の圧縮強度を測定した。その結果を図4に示す。WG希釈液を硬化液として使用した非ワンパート型GPの圧縮強度が一番高かったが、可使時間が15分以下で短かった。これは、WC中のCa(OH)とBFSがWGと迅速に反応したためであると考えられる。アルカリ溶液を使用したGPの前述した欠点があり、尚且つ凝結時間の観点からも、WG希釈液を硬化液としたGPは現場施工コンクリートに適用され難い。
 BFS、FA及びWC3で組成されたGP(シリーズA0)は、水と混合されたら硬化し、28日材齢の圧縮強度が8.9N/mmであった。また、硬化体を作製する可使時間が十分に長かった。このワンパート型ジオポリマーは、細骨材以外の成分はすべて廃棄物であって、低コストで練り混ぜ、型枠への打込みなどに取り扱いやすいものである。このジオポリマーは少なくとも、非耐力部位に使われる建材の製造に用いられる。また、再生細骨材又はスラグ細骨材を使って、ワンパート型ジオポリマーの組成物のすべてを廃棄物由来とすることが可能である。
 無水メタケイ酸ナトリウムと炭酸ナトリウムのいずれかを第三の粉体成分として単独に使用したGPの圧縮強度は同程度であったが、前者を添加したGPの方が可使時間は短かった。メタケイ酸ナトリウム(9水塩)を第三の粉体成分として単独に使用したGP、メタケイ酸ナトリウム(9水塩)と炭酸ナトリウムを併用したGPの可使時間は長かったが、28日材齢の圧縮強度は小さかった。逆に、無水メタケイ酸ナトリウムと炭酸ナトリウムを併用した場合には圧縮強度は高かったが、可使時間は短かった。メタケイ酸ナトリウム(9水塩)を使う場合に可使時間が長く、強度が低いのは、水和物の反応に伴い、9水塩に含まれる水分が排出されて、GP試料の軟度を増加し、硬化後の緻密度を低減するためである。強度と可使時間を両立させるために、第三の粉体成分を添加する場合には炭酸ナトリウムを使うことが好ましい。
 炭酸ナトリウムを使用した調合では、その添加率はそれぞれ8質量%,10質量%,15質量%であった。3シリーズ(AII 8%,AII 10%,AII 15%)の圧縮強度の順はAII 8%,AII 15%,AII 10%であった。炭酸ナトリウムが不足すれば、硬化反応が少なく強度は小さいが、炭酸ナトリウムが多すぎると、反応しきれない分は硬化体の弱点となり、又は炭酸カルシウムの生成でジオポリマーゲルの生成を抑制して、硬化体の強度を低下させる。今回の炭酸ナトリウムの添加率の範囲では、可使時間は、炭酸ナトリウムの添加率が大きいほど、短い傾向が見られ、硬化体の強度の観点から炭酸ナトリウムの最適な添加率は10質量%であると思われる。
2.2 BFSにおける石膏の添加有無の影響
 BFS又はgBFSとFAを活性フィラー、再生微粒粉と炭酸ナトリウムやメタケイ酸ナトリウムをアルカリ刺激材(剤)としたGPの調合を表3に示す。
 実験結果として、石膏添加有無がGPの可使時間と圧縮強度に及ぼす影響を図5に示す。同図に示すように、石膏を含むgBFSの使用より石膏無添加のBFSを使用した方が、GP硬化体の圧縮強度は高く、可使時間は若干長い傾向が見られた。高炉スラグ微粉末をポルトランドセメント(PC)コンクリートの混和材料として添加する場合、石膏の含有が高炉スラグ微粉末の潜在水硬性の発揮に有利であるため、石膏入りgBFSは常用されている。そこで、炭酸ナトリウムを添加しない場合、BFS使用よりgBFSを使用した方が強度発現性は良くなると推測している。しかし、炭酸ナトリウム又はメタケイ酸ナトリウムを添加したGPでは、石膏の成分であるCaSOのSO 2-が強酸性イオンであるため、NaCO又はメタケイ酸ナトリウムの水中電離による生成物である水酸化物イオン(OH)のアルカリ性を中和するため、BFSの受けるアルカリ刺激が弱くなるのは、gBFSの使用が逆効果を生じた原因であろうと推測している。しかし、炭酸ナトリウムを添加せず、又は添加率が小さいため、BFSの受ける刺激が不足である恐れがある場合、又は低温の養生環境において凝結時間が長く、強度の発現性が低い場合、石膏の添加は好ましい。
2.3 BFS混合率の影響
 表4に示す調合で作られたGPの圧縮強度と可使時間を図6に示す。高炉スラグ微粉末中に石膏の有無、第三の粉体成分の種類によらず、高炉スラグ微粉末の割合が高いほど圧縮強度は高く、可使時間は短い傾向が見られた。このタイプのワンパート型ジオポリマー硬化体の強度を高めるには、可使時間の短縮の許容限界内で高炉スラグ微粉末の混合率を増加するのは有効である。
2.4 材齢の影響
 図7に、第三の粉体成分として炭酸ナトリウムを添加したGPの28日材齢と3ヶ月材齢の圧縮強度を示す。全てのシリーズに石膏無添加型BFSをフィラーP(=BFS+FA+WC)の3割、FAをPの5割、WC2をPの2割で使用した。なお、液粉体比は55%であった。炭酸ナトリウムをPの8質量%、10質量%、15質量%、20質量%の4パターンで添加した。図7に示すように、全てのシリーズで3ヶ月材齢の強度は28日材齢より増加したが、シリーズ間の圧縮強度の大小の傾向は28日材齢と同じであった。BFSの潜在水硬性による硬化反応及びFAのポゾラン反応には時間がかかるため、3ヶ月材齢の強度が28日材齢より高かった。したがって、このタイプのワンパート型ジオポリマーは長期材齢に強度が増進し、強度の評価材齢は少なくとも3ヶ月である。
2.5 硬化体の内部構造(SEM分析の結果)
 図8に炭酸ナトリウムを添加したGP(表2中のシリーズAII 10%)の28日材齢と3ヶ月材齢のSEM画像を示す。28日材齢では反応しない球状のFA粒子が確認され、3ヶ月材齢では反応が進み、溶出により表面が侵食された様子が現れた。再生微粒粉に含まれる、PC(ポルトランドセメント)の水和により生成したCa(OH)とFAのポゾラン反応には時間がかかるためである。反応程度の影響を受けて28日材齢の試験体にひび割れが多く見られるが、3ヶ月材齢の試験体は緻密になり、ひび割れは少ない。また、28日材齢の試験体にカルサイト(CaCO)が確認されたが、3ヶ月材齢の試験体では発見されなかった。これは、C-(A)-S-Hゲルの生成が材齢と共に増え、カルサイトと融合したためである。後記のように、X線回折分析(XRD分析)は3ヶ月材齢の試験体ではカルサイトを確認した。
2.6 XRD分析の結果
 図9に炭酸ナトリウムを添加したGP(表2中のシリーズAII 10%)の28日材齢と3ヶ月材齢のXRD分析結果を示す。図9において最上段が3ヶ月材齢、その下が28日材齢のXRD分析結果である。なお、28日材齢の下にWC2、その下にWC3、更にその下に原料FAのXRD分析結果をそれぞれ示す。原料BFSに結晶物が含まれないため、BFSのXRD分析結果を同図に省略した。
 28日材齢ではCa(OH)とCaCOのピークが見られたが、3ヶ月材齢ではCa(OH)ピークが現れず、CaCOピークの強さが増加したことが認められた。Ca(OH)ピークはWC由来のものである。材齢と共にCa(OH)はFAと反応して消費される。また、炭酸ナトリウム(NaCO)とBFSのCa2+とが反応してCaCOを生成すると思われる。
 PCの水和により生成したCa(OH)は高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を引き出すため、高炉スラグ微粉末はPCコンクリートに固化反応を生じ、PCコンクリートの性能を改善することが一般に知られている。また、PCの水和生成物Ca(OH)はフライアッシュとポゾラン反応を生じることができる。これらの一般的な知見、SEMとXRD分析の結果及び第三の粉体成分を添加しなかったジオポリマーの実験結果によって、本研究で発明したワンパート型ジオポリマーの硬化機構として、再生微粒粉はアルカリ刺激材としてそれに含まれるCa(OH)がジオポリマーの他の粉体、特に活性フィラー(高炉スラグ微粉末、フライアッシュのいずれか、又は混合物)を潜在水硬性又はポゾラン反応で硬化させ、第三の粉体成分は高炉スラグ微粉末の潜在水硬性やフライアッシュのポゾラン反応性を活発化させて粉体の凝結と強度増進を促進する。この硬化機構より、Ca(OH)の含有率の高い再生微粒粉の方が好ましい。また、原料又は水和反応後にCa(OH)や生石灰を含む他の粉体又は細粒、例えば製鋼スラグ粉末、都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰、コンクリート用膨張材、エーライト(CS)やビーライト(CS)を含む各種セメント、生コンクリートのスラッジ乾燥粉末、残コンの硬化後の粉砕物などを再生微粒粉の代わりに使うこともできる。
 炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)は、天然鉱物があるが、人工で合成することもできる。人工合成の場合、CO原料が必要である。排気COのリサイクルで製造する炭酸ナトリウムを使うと、本発明の方法によって製造するGPはCOを固定するものとなる。
3.まとめ
 以上の本実験で得られた知見とその知見に基づく考察をまとめると以下の通りである。
(1)アルカリ刺激材として第二の粉体成分の再生微粒粉を使用する、又は炭酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウムから選択される少なくとも一種の粉体である第三の粉体成分と再生微粒粉とを併用することにより、ワンパート型ジオポリマーを実現することができる。すなわち、本発明のジオポリマー組成物は全て粉末成分で液体成分を含まないから、事前に混合することができ、施工現場で硬化液として水、又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まないが、GPの性能改善をするための混和剤(例えば、遅延剤など)を含む水分を加えることによりジオポリマー硬化体を得ることができる。
(2)可使時間と強度の両立、更にはCOの固定化を考慮すると、第三の粉体成分としては炭酸ナトリウム粉末が最適である。具体的には、第三の粉体成分100質量%に占める割合で、炭酸ナトリウムの含有率は50質量%以上であることが好ましく、最も好ましくは100質量%である。
(3)石膏添加型BFSを使うと、GPの強度は減少する場合があり、可使時間は短くなるが、硬化前の可使時間と硬化後の強度の目標値に応じて石膏添加型BFSを使用しうる。石膏添加有無にかかわらず、高炉スラグ微粉末の混合率が高いほど、GPの強度は高く、可使時間は短い。
(4)BFS、FA及びWCを用いたGPの強度は、材齢と共に増加する。普通ポルトランドセメントのJIS規格値(28日材齢の圧縮強さ:42.5MPa)を満たすワンパート型ジオポリマーを調製することができる。
(5)再生微粒粉と炭酸ナトリウムをアルカリ刺激材(剤)として用いたワンパート型GP硬化体において、Ca(OH)は材齢に伴って減少していくが、CaCOは増加する。
 再生微粒粉は、砂の微粒及びCa(OH)以外のセメントの水和反応生成物を含むため、ワンパート型GP硬化体において完全に反応しきれない。そこで、再生微粒粉はジオポリマーのアルカリ刺激材を果たすと共に、不活性フィラー、すなわち不活性粉体にもなる。前述のように、再生骨材中の再生微粒粉の割合を測定すれば、再生微粒粉を分級せず、粉体として粒度が0.63mmを超える再生細・粗骨材と一緒にジオポリマーモルタルやコンクリートに使うことができる。そこで、本発明の技術によって、再生骨材の製造工程が簡略化され、再生骨材の品質はJIS規格を満足しやすくなる。
 ここで、本実験結果からは、次の発明も導かれる。
1.
 高炉スラグ微粉末及びフライアッシュから選択される少なくとも一種の粉体である第一の粉体成分と、
 廃コンクリートの破砕物であって粒度が0.63mm以下の粉体である第二の粉体成分と、を含み、
 液体成分を含まない、ジオポリマー組成物。
2.
 前記第二の粉体成分の含有率は、前記第一の粉体成分と前記第二の粉体成分との合量100質量%に占める含有割合において10質量%以上40質量%以下である、前記1に記載のジオポリマー組成物。
3.
 炭酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウムから選択される少なくとも一種の粉体である第三の粉体成分を添加してなる、前記1に記載のジオポリマー組成物。
4.
 前記第三の粉体成分の添加率は、前記第一の粉体成分と前記第二の粉体成分との合量100質量%に対する添加割合において5質量%以上30質量%以下である、前記1に記載のジオポリマー組成物。
5.
 前記1から4のいずれか一項に記載のジオポリマー組成物に、水分を添加して得られる、ジオポリマー硬化体。
6.
 前記1から4のいずれか一項に記載のジオポリマー組成物に、水分及び骨材を添加して得られる、ジオポリマー硬化体。
 なお、前記1から4の「(液体成分を含まない)ジオポリマー組成物」は、「ワンパート型ジオポリマー用の組成物」と言い換えることができる。すなわち、前記1から4のジオポリマー組成物は、前述の「ワンパート型ジオポリマー」(活性フィラーを含むジオポリマー組成物は全て粉末であり、事前に混合することができ、使用する(硬化させる)時に従来のポルトランドセメントのように水、又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まない水分を加えるタイプのジオポリマー)用の組成物である。
 また、同じ観点から、前記5及び6の「ジオポリマー硬化体」は「ワンパート型ジオポリマー硬化体」と言い換えることができる。
 次に、本発明のワンパート型ジオポリマー用の組成物(以下、「ワンパート型ジオポリマー組成物」という。)を構成する第一の粉体成分、第二の粉体成分及び第三の粉体成分について、理論的背景を含めて詳細に説明する。
 第一の粉体成分は、総括的に例示すると、潜在水硬性がある高炉スラグ微粉末とポゾラン反応性がある産業廃棄物又は副産物の粉末(ポゾラン材料)のいずれか又は複数の混合粉末である。以下に適用できるものを説明する。
 高炉スラグは、製鉄所から排出される副産物であり、石灰(CaO)、酸化シリカ(SiO)、酸化アルミナ(Al)を主に含むもので、高炉水砕スラグと高炉徐冷スラグとに大別される。高炉水砕スラグ微粉末は、製鉄所の高炉から排出された溶融状態のスラグを水や空気で急冷し、微粉砕したものであり、ガラス質である。ガラス質の網目構造は、pHが11.5以上のアルカリ性水溶液では容易に破壊されて水和反応を開始し、硬化することができるものである。一方、高炉徐冷スラグ微粉末は、製鉄所の高炉から排出された溶融状態のスラグを冷却ヤードに流し込み、徐々に冷却して得られる結晶質の岩石状のものを、微粉砕したもので、アルカリ溶液中においても反応活性が極めて低い不活性粉体と分類されている。また、高炉水砕スラグ微粉末は一般に高炉スラグ微粉末と呼ばれる。 
 高炉スラグ微粉末は、JIS規格(JIS A6206 コンクリート用高炉スラグ微粉末)により、3000,4000,6000,8000クラスが規定されている。高炉スラグ微粉末3000は比表面積2750cm/g以上3500cm/g未満、同4000は比表面積3500cm/g以上5000cm/g未満、同6000は比表面積5000cm/g以上600cm/g未満、同8000は比表面積7000cm/g以上10000cm/g未満のものである。これらのいずれを用いてもよいが、細かいものほど、強度発現性が高い。
 銑鉄製造の副産物である高炉スラグ微粉末だけを本発明のワンパート型ジオポリマー組成物の第一の粉体成分として使うと、ジオポリマーを作製でき、硬化後のジオポリマーの強度は高いが、コストが高く、廃棄物の利用量が少ない。また、施工性の一つの指標としての凝結時間は短く、施工完了前に固まってしまうおそれがある。したがって、反応活性が低いフライアッシュなどのポゾラン材料又は不活性粉体を混ぜると、強度は低下するが、凝結時間は長くなり、コストを低減し、廃棄物利用を拡大することができる。ジオポリマーの強度及び凝結時間などの目標によって、第一の粉体成分を選定することが良い。
 一方、それ自体ではほとんど水硬化性を持たないものの、水が存在する環境下で、水酸化カルシウムと化学的に反応(ポゾラン反応)し、ケイ酸カルシウム水和物(nCaO・SiO・HO)やアルミン酸カルシウム水和物(3CaO・Al・6HO)などを生成して固化できる、ケイ酸質及びアルミニウム質の微粉末状の材料はポゾラン材料と呼ばれる。
 人工ポゾラン材料の代表は、フライアッシュ、シリカフューム及びメタカオリンである。天然ポゾラン材料として、火山灰、凝灰岩、ケイ藻土、シリカ白土及びプミサイト(軽石)などが挙げられる。これらの天然ポゾラン材料は、主にケイ酸質又はケイ酸質とアルミニウム質の火山ガラスを豊富に含んでいる。以下に、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に使用可能なポゾラン材料を紹介する。
 フライアッシュ(fly ash) は、石炭火力発電所で石炭を燃焼する際に発生する、ケイ酸質及びアルミニウム質の微粉末状の廃棄物である。微粉炭を燃焼した際に、燃焼ガスと共に上昇し、電気集塵機などで捕集される灰である。フライアッシュの化学主成分は、二酸化ケイ素(SiO)40~75%、酸化アルミニウム(Al)15~35%、酸化第二鉄(Fe)2~20%、酸化カルシウム(CaO)1~10%、酸化マグネシウム(MgO)1~3%である。フライアッシュは、JIS規格(JIS A6201 コンクリート用フライアッシュ)により、I種~IV種が規定されている。フライアッシュI種は、45μmふるい残分(綱ふるい方法)が10%以下、比表面積(ブレーン方法)が5000cm/g以上、フロー値比が105%以上のものであり、フライアッシュII種は、同じくふるい残分が40%以下、同じく比表面積が2500cm/g以上、フロー値比が95%以上のものであり、フライアッシュIII種は、同じくふるい残分が40%以下、同じく比表面積が2500cm/g以上、フロー値比が85%以上のものであり、フライアッシュIV種は、同じくふるい残分が70%以下、同じく比表面積が1500cm/g以上、フロー値比が75%以上のものである。フライアッシュのいずれの規格品を用いてもよく、中でも反応性を考慮すると、I種又はII種を用いることが好ましい。
 シリカフューム(Silica Fume)は、シリコンメタルやフェロシリコン合金を電気炉で製造する際に発生する、二酸化ケイ素(SiO)を主成分とする副産物であり、集塵装置(バグフィルターなど)で捕集されたガラス質の超微細な粒子である。シリカフュームの主成分は80%以上、高品位なものでは90%以上が二酸化ケイ素(SiO)であるため、水酸化カルシウムと非常に高いポゾラン反応性を示す。また、超微粒子(Nano-SiO2)のため、シリカフュームが他の粉体粒子間の微細な空隙を埋めることで、硬化体の組織を非常に緻密させる充填効果(フィラー効果)を有する。
 メタカオリンは、カオリンを特定の温度(通常550~900℃程度)で焼成(加熱)することによって得られる人工ポゾラン材料である。この焼成プロセスで、カオリンの結晶構造が壊れ、分子内の水酸基が脱水されて放出され、非晶質(アモルファス)の構造になる。この非晶質化と水酸基の脱水によって、非常に高いポゾラン活性(反応性)を持つようになり、水酸化カルシウムと効率的に反応して硬化することができる。シリカフュームに次ぐ高いポゾラン活性を持つと言われている。しかし、カオリン粘土の焼成にエネルギーが必要であるため、メタカオリンの使用は、廃棄物の使用よりワンパート型ジオポリマーの環境負荷を増加すると考えられる。
 メタカオリンの主成分は、二酸化ケイ素(SiO)と酸化アルミニウム(Al)である。元のカオリン鉱床の純度や焼成条件によって多少変動するが、両成分の合計で95%以上を占めることがほとんどである(前者50~55%、後者40~45%)。メタカオリンの反応速度を考慮すると、比表面積(ブレーン値)は、少なくとも1500cm/g以上が好ましく、3000cm/g以上がより好ましい。
 バイオマスボイラーが以前からあり、バイオマス燃焼灰が排出されてきている。近年、化石燃料からの脱却や、エネルギー安全保障の観点からの電源多角化などで、植物の資源、例えば、廃材、間伐材、薪、木質ペレットなどを利用して電気を生成する木質バイオマス発電所の建設が増え続けている。再生可能エネルギーとしての役割や、温暖化防止、循環型社会の形成に貢献しているものである。しかし、バイオマス発電は、実質的には木質ペレットによる火力発電がその大半を占めているため、燃料であるペレットを製造することは森林破壊を加速する恐れがある。そこで、バイオマス燃料と石炭などの化石燃料との混焼も行われる。バイオマス燃料灰又は混焼灰の有効な再利用は重要な課題である。
 従来のバイオマスボイラーは燃焼温度が650℃程度のものが多い。バイオマス発電は主に800~900℃である。石炭火力発電所の微粉炭燃焼温度(1400~1500℃)より低くなるため、バイオマス燃焼灰のガラス化率は、球状粒子からなるフライアッシュより10%程度低い(https://www.nedo.go.jp/content/100969853.pdf)。また、バイオマス燃焼灰には角張った多孔質な粒子が多い。しかし、バイオマス燃焼灰の主成分(SO,Al,CaO,Fe)はフライアッシュと同じである(小幡透:木質バイオマス燃焼灰の利用および竹チップ混焼条件の検討, 鹿児島県工業技術センター研究報告, No.34, pp. 5-10, 2020、https://www.kagoshima-it.jp/pdf/kenkyu_report/k_report_2020 _02.pdf)。また、30%以下のフライアッシュはバイオマス燃焼灰で代替されても、ジオポリマー硬化体の強度は減少しなかった実験結果(周藤将司,波多優,伊藤大悟:バイオマス灰を混用したジオポリマーモルタルの基礎物性, 2022年度農業農村工学会大会講演会講演要旨集, pp.199-200,2022.9)より、バイオマス燃焼灰はガラス質の成分(SiO,Al)がフライアッシュに比べて少ないため、ポゾラン反応活性がフライアッシュより低いが、ポゾラン材料と分類することができる。なお、本発明でいうバイオマス燃料灰とは、前記の混焼灰も含む概念である。
 一方、天然ポゾラン材料の代表である火山灰は、マグマが地表に噴出し、空気中で急速に冷却される際に形成されるものである。マグマが急冷して結晶化する間もなく固まった非晶質の粒子(火山ガラス粒子と呼ばれる)、マグマが噴出する前に既に結晶化していた鉱物(石英、長石、輝石、角閃石など)結晶片、噴火によって破砕された周囲の古い岩石の破片が含まれる。火山ガラス粒子は、マグマの発泡(ガスが抜ける)や破砕の過程で、非常に多様な形状(針状、繊維状、発泡したもの、板状など)をもつことがある。火山灰は、産地、噴出したマグマの組成(玄武岩質、安山岩質、流紋岩質など)及び噴火の様式によってその成分やガラス質の割合、粒度分布などが大きく異なる。火山灰の主成分は、二酸化ケイ素(SiO、50%から70%以上)、酸化アルミニウム(Al、10%~20%程、酸化第二鉄(Fe、数%から10数%)である。火山灰は、ガラス質成分(特にケイ酸質ガラス)が含まれるため、ポゾラン反応性を示すポゾラン材料としてPCコンクリートに利用されており、本発明のワンパート型ジオポリマー用の組成物として使用されることができる。
 ジオポリマーは、主にケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、及び一部のカルシウム(Ca)を含むアルミノケイ酸塩材料が、アルカリ溶液中で溶解・重縮合反応を起こすことによって形成される無機高分子である。メタカオリン、メタカオリン以外の焼成粘土、火山灰の主要構成成分は非晶質のアルミノケイ酸塩である。前述のように、メタカオリンはカオリナイトを焼成することで形成され、高純度かつ高反応性の非晶質SiとAlを豊富に含む。火山灰もその多くが火山ガラス(非晶質)から成り、同様にSiとAlの優れた供給源となる。これらの材料は、ジオポリマー反応の中核となるアルミノケイ酸塩ゲル(N-A-S-Hゲルなど)の形成に寄与することができる。
 前記のポゾラン材料のいずれか一種又は二種以上を第一の粉体成分としてワンパート型ジオポリマー組成物を調製し、さらに水又は水分を加えて硬化体を作製する実験を行っていないが、ポゾラン反応の硬化原理から、前記のポゾラン材料だけを第一の粉体成分としても、ワンパート型ジオポリマー組成物とその硬化体を作製することができる。
 前記の粉体のジオポリマーの反応活性の高低を考えると、高炉スラグ微粉末とポゾラン材料のいずれか一種又は二種以上を第一の粉体成分とすれば良い。また、メタカオリンを含むポゾラン材料では、ジオポリマーの反応活性、廃棄物利用、品質安定性、及びコストを考慮すると、フライアッシュが好ましい。中でも強度発現性が優れる高炉スラグ微粉末及びフライアッシュのいずれかが好ましい。さらに前記のように、高炉スラグ微粉末だけを使ったジオポリマーは、凝結時間が短く、乾燥収縮が大きく、コストが高めになるため、高炉スラグ微粉末とフライアッシュの混合粉体を第一の粉体成分とするのがより好ましい。
 高炉スラグ微粉末、前記のポゾラン材料を、粉砕機を用いてより細かく粉砕することで、表面積が増加する。化学反応は粒子の表面で起こるため、表面積が大きいほど反応サイトが増え、水酸化カルシウムやアルカリ刺激剤との接触機会が増加し、活性が向上する。高エネルギーの強力な粉砕で粒子の表面を改質する効果もあり、メカノケミカル活性化が生じる。なお、高炉水砕スラグの急冷方法の調整によるガラス率の増加、塩基度((CaO+MgO+Al)/SiO比)の向上などによって潜在水硬性が高くなる高炉スラグ微粉末を使用することが好ましい。
 前記の産業廃棄物・副産物のほかに、様々な産業廃棄物・副産物がある。また、アルカリ刺激又はCa(OH)の存在の条件下で反応性がある、メタカオリンと火山灰以外の天然材料もある。廃棄物利用拡大とジオポリマー硬化体の性能改善の観点から、これらの材料は前記の第一の粉体成分を部分的に代替することができる。以下に、第一の粉体成分の代替材を紹介する。
 銅スラグ(Copper slag)は、銅の製錬プロセスにおいて、銅鉱石中の不純物(主に鉄やケイ素など)を除去する際に生成される副産物である。高温で溶融された後、通常は水冷によって急冷されるため、ガラス質の非晶質構造を多く含んでいるのが特徴である。銅スラグの化学成分の大部分は、ガラス質のファイライト(2FeO・SiO)である。他に、鉄分の結晶鉱物として、マグネタイト(Fe4)とヘマタイト(Fe)が存在している。ジオポリマーゲルやケイ酸カルシウム水和物ゲルの形成に非晶質Siを供給することができる。
 赤泥(Red Mud)は、アルミニウムの原料であるボーキサイトからアルミナ(酸化アルミニウム:Al3)を製造する際に発生する、赤褐色の固形廃棄物である。ボーキサイト中のアルミニウム成分(水酸化アルミニウム)を水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)溶液で溶解・抽出した後、溶解せずに残った不純物が赤泥となる。赤泥は、酸化鉄(Fe3):40%~60%、二酸化ケイ素(SiO):10%~15%、酸化アルミニウム(Al3):10%~15%、酸化カルシウム(CaO):6%~10%、及び酸化ナトリウム (NaO):5%~6%などを含有している。非晶質のアルミノケイ酸塩を含み、バイヤー法で使用される水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)も赤泥中に残存する。このため、赤泥は非常に強いアルカリ性(pH 10~13程度)を示し、ジオポリマーゲルやケイ酸カルシウム水和物ゲルの形成に非晶質Si、Alを供給するとともに、高炉スラグ微粉末やポゾラン材料を刺激してこれらの材料の反応を促進することができる。
 下水汚泥焼却灰溶融スラグと都市ごみ焼却灰溶融スラグは、高温で溶融・急冷される過程で多くの成分が非晶質化しており、Si、Al、Caといったジオポリマーに必要な元素を供給する。特に、これらのスラグは、Caの供給能力が高く、カルシウムを含むジオポリマーゲル(C-A-S-Hゲル)又はケイ酸カルシウム水和物(C-S-Hゲル)の形成に寄与し、硬化体の早期強度発現性を高める効果を期待できる。
 パーライトは、非晶質の石英(SiO)を含む。その粉末をアルカリ溶液と混合すると、この非晶質の成分はアルカリ溶液に溶解でき、ジオポリマー反応に必要なSiを供給することができる。
 高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどのポゾラン材料が従来のジオポリマー又は本発明のワンパート型ジオポリマーの主要原料として用いられるのは、豊富な非晶質Si、Al、Caを含有するためである。上記の活性フィラー、すなわち活性粉体も同様にこれらの元素を非晶質形態で供給できるため、高炉スラグ微粉末やポゾラン材料の一部を代替して本発明のワンパート型ジオポリマーを作製することが可能である。
 一方、石粉、高炉徐冷スラグ、流動床石炭灰(特に低カルシウム含有流動床石炭灰)といった材料は、ジオポリマーのアルカリ溶液中での化学的反応活性が低い、あるいはほとんどない不活性粉体として分類される。
 石粉は、砕石工業で砕石・砕砂を製造する際に排出される副産物砕石粉(乾式製造法の場合)又は脱水ケーキ(湿式製造法の場合)の乾燥粉末である。再生砕石粉又は脱水ケーキの乾燥粉末であってもよく、石灰岩と、砂岩や粘板岩などであるケイ酸質岩石とから選ばれる少なくとも1種類の岩石を粉砕した石粉であってもよい。
 前述のように、高炉徐冷スラグは、高炉スラグ微粉末が急冷によってガラス質を多く含むのに対し、徐冷スラグは冷却速度が遅いため結晶化度が高いため、反応活性が低い。
 流動床石炭灰は、流動床ボイラは脱硫材として石灰石を用いるため、遊離石灰(CaO)を5%以上で含む高カルシウム含有流動床石炭灰と遊離石灰(CaO)を5%以下で含む低カルシウム含有流動床石炭灰に分類される。しかし、流動床石炭灰中のアルミノケイ酸塩の非晶質度が比較的低く、ジオポリマー反応に必要なSiやAlの供給が限定的である。
 高カルシウム含有流動床石炭灰を用いてジオポリマー硬化体を作製しうるが、低カルシウム含有流動床石炭灰、石粉及び高炉徐冷スラグ粉末はジオポリマーの活性前駆体とならない。これらの不活性粉体は、ジオポリマー反応の主要な構成成分としては機能しない。しかし、高炉スラグ微粉末やポゾラン材料の一部を代替することで、ワンパート型ジオポリマー硬化体の骨材や充填材として働き、硬化体の強度向上、体積安定性の確保、乾燥収縮の抑制、そして原料コストの低減に寄与することができる。
 したがって、非晶質の二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、及び酸化カルシウム(CaO)の少なくとも1種類を含むメタカオリン、銅スラグ粉末、赤泥、メタカオリン以外の焼成粘土、火山灰、下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉末、都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末、高カルシウム含有流動床石炭灰及びパーライト粉末などの活性粉体、及び主に結晶質の成分をもつ石粉、高炉徐冷スラグ粉末及び低カルシウム含有流動床石炭灰などの不活性粉体のいずれか一種又は二種以上のものは、前記の高炉スラグ微粉末やポゾラン材料の一部(例えば10~80質量%)を代替することができる。これらの代替によって、硬化体の強度低下をもたらす可能性があるため、10~50質量%の代替率が好ましく、10~30質量%の代替率がより好ましい。また、これらの粉体はブレーン値が少なくとも1500cm/gであり、3000cm/g以上が好ましい。
 一方、前記の高炉スラグ微粉末、前記のポゾラン材料は、水が存在する環境において水酸化カルシウム(CaOH))又は石灰(CaO)を混合すると、潜在水硬性又はポゾラン反応で固化する。酸化カルシウム(CaO)又は水酸カルシウム(Ca(OH))を含む粉体、すなわち第二の粉体成分を高炉スラグ微粉末又は前記ポゾラン材料のいずれかと混合すると、ワンパート型ジオポリマー組成物を作製することができる。石灰又は消石灰(Ca(OH))の製品又は副産物の以外に、酸化カルシウム(CaO)又は水酸化カルシウム(Ca(OH))を直接に含有するもの、及びCa(OH)を生成できるものとして、セメントクリンカー又はセメントクリンカーを含む各種のセメント、コンクリートの粉砕物、生コンクリートスラッジ、製鋼スラグ及び石灰系コンクリート膨張材などが挙げられる。以下に第二の粉体成分として使用できるもの紹介する。
 石灰又は消石灰は、石灰石の熱分解で製造できるが、CO排出量が多いため、副産(消)石灰の使用が好ましい。例えば、カルシウムカーバイド(CaC)と水の反応によってアセチレンガス(C)が製造される際に、水酸化カルシウムを主成分とする泥状の副産物が発生している。
 セメントクリンカーの水和反応生成物の一つは水酸化カルシウム(CaOH))である。したがって、セメントクリンカー又はセメントクリンカーを含む各種のセメントを前記の高炉水砕スラグ微粉末又は前記のポゾラン材料に混合すると、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物を調製することができる。セメントクリンカーの製造に多量のCOが排出されるため、廃棄物である第二の粉体成分の使用に比べ、セメントクリンカーの第二の粉体成分としての使用は、高炉スラグ微粉末とポゾラン材料の固化反応を効果的に促進するが、本発明のワンパート型ジオポリマーの製造時のCOを増加する。
 セメントクリンカーを含むセメントを用いて作った硬化体(硬化セメントペスート、モルタル、コンクリートなど)には、クリンカーの水和反応生成物の一つとして水酸化カルシウム(CaOH))が同様に存在するため、コンクリートの粉砕物を前記の高炉水砕スラグ微粉末、前記のポゾラン材料に混合すると、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物を調製することができる。水酸化カルシウムは難溶性の化合物であり、又は水中溶解度が低い。また、コンクリートの粉砕物は粗いほど、骨材の含有量が多く、水酸化カルシウムが少なくなる。このため、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に加水した後の凝結時間と強度発現性の観点から、コンクリートの粉末状の粉砕物を使用することが好ましい。
 しかし、セメントクリンカーを含むセメントを用いて作った硬化体はCO排出量が大きい。本発明のワンパート型ジオポリマーの低炭素特性を達成するために、コンクリート構造物を解体して排出された廃コンクリートを粉砕して得られる、粒度が0.63mm以下である粉砕物(再生微粒粉)の使用が好ましく、粒度が0.075mm以下の再生微粉は硬化セメント成分が多いため、その使用がより好ましい。このように再生微粉や再生微粒粉を使用すると、廃コンクリートの有効なリサイクルに貢献することができる。
 レディーミクストコンクリート(生コン)工場で発生する戻りコンクリート(残コン)や、ミキサー車・プラント洗浄排水から回収されるスラッジ(泥状の固形分)を、乾燥・粉砕して得られた微粉末(生コンクリートスラッジの乾燥粉末と呼ぶ)に、未水和のポルトランドセメント粒子、水酸化カルシウム、及び元々のコンクリートに配合されていた混和材(フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフュームなど)の残渣などが含まれる。したがって、生コンクリートスラッジの乾燥粉末は、潜在水硬性とポゾラン性をもつものであり、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物の構成成分の一つとして使用されることができる。生コンクリートスラッジの乾燥粉末のブレーン値は少なくとも1500cm/gであり、3000cm/g以上が好ましい。
 製鋼スラグは、鉄鋼製造プロセス(特に転炉での製鋼工程)において、溶融した銑鉄から鋼を精錬する際に生じる副産物である。鉄鉱石中の不純物を取り除くために、フラックスとして生石灰(CaO)が添加されるため、スラグ中には多様な酸化物成分とともに、遊離石灰(free-CaO)が含まれることが特徴である。遊離石灰が発生する理由として、効率的な脱硫や脱リンのために、理論量よりも多めに生石灰が添加されること、転炉での製鋼は比較的短時間で行われるため、添加された生石灰が完全に溶融・反応しきれずに、一部が未反応のまま遊離石灰として残ること、及びスラグの冷却過程では一部のカルシウムが他の成分と結合せずに遊離石灰として残存することなどが挙げられる。製鋼スラグ中の遊離石灰含有量は、精錬条件によって大きく変動するが、一般的に数%程度で含まれることが多い。遊離石灰の存在で製鋼スラグは強いアルカリ性(水浸漬液のpHは12.0以上)を示し、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を引き出し、ポゾラン材料のポゾラン反応を発生させることができる。
 コンクリート膨張材は、コンクリートの乾燥収縮によるひび割れを抑制したり、ケミカルプレストレスを導入したりすることを目的として、コンクリートに添加される材料である。その主要な成分と膨張メカニズムによって、石灰系膨張材とエトリンガイト系膨張材の2種類に分類される。前者は、酸化カルシウム (CaO) を主成分とし、コンクリート中の水と反応し、水酸化カルシウム (Ca(OH))を生成して体積が膨張する。後者は、カルシウム・サルフォ・アルミネート(CSA)クリンカーを主成分とし、石灰(CaO)、石膏(CaSO)、ボーキサイト(Al3)などを原料として焼成された特殊な化合物である。したがって、石灰系膨張材の添加は、高炉スラグ微粉末及びポゾラン材料を固化させることができる。
 前述の第二の粉体成分として使用できる、石灰又は水酸化カルシムを含む粉末や微粒粉では、セメントクリンカーと各種セメント、石灰系膨張材は、石灰石を原料として製造されるものであるため、CO排出量が多い。廃コンクリートの粉砕物(粒度:0.63mm以下)、生コンクリートスラッジの乾燥粉末、製鋼スラグ粉末は、産業副産物や廃棄物由来である。製鋼スラグ粉末は水中に溶けやすい遊離石灰を含むため、ジオポリマーの若材齢の強度発現に有利であるが、遊離石灰の含有量を調整しにくく、エイジング(aging)で含有量が少なくなる場合もある。また、生コンクリートスラッジの収集・乾燥・粉砕に手間がかかる。したがって、廃コンクリートの粉砕物(粒度:0.63mm以下)は第二の粉体成分として使用することがより好ましい。
 前記の高炉水砕スラグ微粉末及び前記のポゾラン材料のいずれか一種又は二種以上の混合粉体(第一の粉体成分)に、石灰又は水酸化カルシムを含む前記の廃コンクリートの粉砕物(粒度:0.63mm以下)、生コンクリートスラッジの乾燥粉末、製鋼スラグ微粉末などのいずれか一種又は二種以上を第二の粉体成分として混合することで、ワンパート型ジオポリマー組成物を調製し、水又は水分をさらに添加することによって硬化体を作製することができる。ワンパート型ジオポリマーの性能向上又は炭素固定による低炭素化のため、以下の粉末を第三の粉体成分としてさらに混合して、高性能のワンパート型ジオポリマー組成物を調製することもできる。以下に第三の粉体成分として使用できるもの紹介する。
 石膏は、天然鉱物として鉱山から採掘される他、火力発電所の排煙脱硫プロセスやリン酸肥料製造プロセスなどで生成される副産石膏もある。高炉スラグ微粉末に含まれる非晶質の酸化カルシウム(CaO)と酸化アルミニウム(Al3)は、石膏から供給される硫酸イオン(SO 2-)と反応し、エトリンガイト結晶(3CaO・Al・3CaSO・32HO)を生成することで、硬化体内部の空隙を充填し、組織を緻密化させる効果があり、強度向上に貢献する。また、石膏がカルシウムの供給源となり、尚且つ石膏から供給される硫酸イオンは、高炉スラグ微粉末中の非晶質のカルシウム成分の溶解を促進し、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性がより効率的に現れる。
 石膏はフライアッシュなどのポゾラン材料のポゾラン反応活性も高めることができる。石膏から供給される硫酸イオンは、水酸化カルシウム、ポゾラン材料の非晶質アルミニウム(Al3)と反応して、エトリンガイト結晶を生成する。エトリンガイトの生成は、硬化体の強度向上に貢献する。また、液相中のアルミニウム濃度を低下させる方向に働き、これによってポゾラン材料からのさらなるアルミニウム溶出が促進される。この継続的なアルミニウム溶出が、ポゾラン反応を初期段階に加速させる。なお、エトリンガイト生成によるアルミニウムの消費は、フライアッシュ粒子表面のケイ酸塩構造の破壊を促進し、間接的にケイ素の溶出を助け、ポゾラン反応活性を増加する。したがって、石膏は高炉スラグ微粉末とポゾラン材料の反応活性を増加するものであり、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に使用すれば、ジオポリマーの強度、特に早期強度の向上を期待できる。
 石膏の混合方法については、石膏入り高炉スラグ微粉末を使っても良い。さらに石膏を外添加しても良い。石膏無添加高炉スラグ微粉末を使う場合又はポゾラン材料だけを第一の粉体成分として使う場合、石膏を外添加しても良い。
 ジオポリマーの作製の際に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ刺激剤は、高炉スラグやフライアッシュの活性化によく用いられるが、強アルカリ性のものであるため、ジオポリマー組成物の調製、保管、運搬及び硬化体作製などの作業の安全性が課題となっている。炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムは、水に溶けると、弱塩基性を示し、水酸化物イオン(OH)を生成する(NaCO3 +HO⇔NaHCO+NaOH)。このOHイオンが、高炉スラグ中のガラス質成分(非晶質シリカやアルミナ)の結合を切断し、溶解を促進する。溶解したスラグ成分が、水酸化物イオンの存在下でC-S-Hゲル(ケイ酸カルシウム水和物ゲル)などの水和生成物を形成し、硬化体の強度発現に寄与する。
 高炉スラグ微粉末の場合と同様に、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが水中で生成する水酸化物イオン(OH)は、フライアッシュなどのポゾラン材料中の非晶質シリカやアルミノシリケートの溶解を促進する。これにより、ポゾラン材料のポゾラン反応が活性化され、水酸化カルシウムとの反応がより円滑に進む。
 炭酸ナトリウムは、ワンパート型ジオポリマー組成物のほかの構成成分から提供されるCa2+イオンと結合して、ジオポリマー硬化体に炭素を固定することできる。回収COで製造される炭酸ナトリウムをワンパート型ジオポリマー組成物に使えば、炭素の固定で本発明のワンパート型ジオポリマー組成物はさらに低炭素化になる。
 炭素ナトリウムの添加率の増加に伴い、硬化体への炭素固定量は増えるが、添加率が高すぎると、図7に示したように硬化体の強度は低下する恐れがある。CaCOの形成がカルシウムを消費して、ジオポリマーゲル(C-A-S-Hゲル)又はケイ酸カルシウム水和物(C-S-Hゲル)の生成を抑えるためであると考えられる。炭素ナトリウムの添加率は5~30質量%であることが好ましく、8~15%であることがより好ましい。 
 メタケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属のケイ酸塩は水に溶解すると、強いアルカリ性を示し、水酸化物イオン(OH)とケイ酸イオン(SiO 2-)を放出する。この高濃度のOHイオンが、高炉スラグ又はポゾラン材料(フライアッシュなど)中の非晶質ガラス相(主にカルシウム、アルミニウム、シリコンの酸化物)のネットワーク結合(Si-O-Si結合やAl-O-Al結合)を効果的に切断し、成分イオン(Ca2+、Al3+、Si(OH)など)の溶解を劇的に促進する。この溶解は、水和反応の最初のステップであり、これらの粉体の固化及び短時間での強度発現に大きく寄与するものである。また、メタケイ酸ナトリウムなどからケイ酸とアルカリイオン(Na)を供給することで、ジオポリマーゲル(N-A-S-Hゲル)の生成を加速させ、より緻密な硬化体を形成することができる。
 オルトケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属のオルトケイ酸塩は、水中で水酸化物イオン(OH)を豊富に生成するため、非常に強いアルカリ性を示す(NaSiO+HO→4Na+HSiO +OH)。この高濃度のOHイオンが、高炉スラグ微粉末及びポゾラン材料の主成分であるアルミノシリケートガラス相(非晶質SiO及びAl)の表面をエッチングし、その骨格構造(Si-O-Si結合やAl-O-Si結合)を効率的に切断する。スラグ中のカルシウム(Ca2+)、アルミニウム(Al3+)、シリコン(Si4+)などのイオンが溶液中に大量に溶出し、早期のジオポリマー反応又は水和反応が大幅に加速される。オルトケイ酸ナトリウムは、単なるアルカリ刺激剤としてだけでなく、ジオポリマーの主要な構成要素であるケイ酸(SiO)の供給源としても機能するものである。
 炭酸水素ナトリウム(重曹,NaHCO)などのアルカリ金属の炭酸水素塩は水に溶けると、弱アルカリ性を示すため、単独で高炉スラグの硬化を顕著に促進することは難しく、フライアッシュのジオポリマー反応を誘発することは事実上不可能である。したがって、重曹は従来にジオポリマーのアルカリ活性剤(アルカリ刺激剤)として使用されていない。しかし、他のより強力なアルカリ刺激剤(水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなど)を十分に併用することで、高炉スラグ微粉末、フライアッシュなどの第一の粉体成分の非結晶質構造が破壊され、ジオポリマーの硬化反応が開始したら、炭酸水素ナトリウムは、ワンパート型ジオポリマー組成物の第一の粉体成分や第二の粉体成分から提供されるCa2+イオンと結合して、ジオポリマー硬化体に炭素を固定することできる。CaCO結晶の形成はジオポリマー硬化体の特定の物性改善に寄与する可能性はある。回収COで製造される重曹をワンパート型ジオポリマーに使えば、炭素の固定で本発明のワンパート型ジオポリマーをさらに低炭素化することができる。
 石膏、アルカリ金属の炭酸塩・炭酸水素塩・メタケイ酸塩・オルトケイ酸塩のいずれか一種又は二類以上の混合粉体を本発明のワンパート型ジオポリマー組成物の構成成分とすれば、その硬化後の性能が改善される、又は炭素固定の効果がある。アルカリ金属の炭酸塩・炭酸水素塩・メタケイ酸塩・オルトケイ酸塩の場合、無水のものに限定せず、これらの塩の水和物であってもよい。例えば、メタケイ酸ナトリウム9水和物、炭酸ナトリウムの1水和物・7水和物・10水和物である。
 アルカリ金属のメタケイ酸塩やオルトケイ酸塩を添加する場合、凝結時間は短くなる傾向があるもののジオポリマー硬化体の強度は高い。アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩を使用する場合、ジオポリマー硬化体の強度が若干低下するかもしれないが、凝結時間が長い。また、アルカリ金属の炭酸塩・炭酸水素塩の製造に回収CO2を利用可能である。凝結時間を長くして、より低炭素のジオポリマーを達成するためには、アルカリ金属の炭酸塩と炭酸水素塩のいずれか又は両者の混合物を第三の粉体成分として使用することがより好ましい。一方、硬化体の強度を重視する場合や低温環境では、アルカリ金属のメタケイ酸塩やオルトケイ酸塩の使用が第三の粉体成分として好ましいものの、アルカリ金属の炭酸塩と炭酸水素塩のいずれか又は両者をさらに混合することにより、所要の強度と凝結時間の両方を共に達成しやすくなる。
 なお、金属シリコン粉末と金属アルミニウム粉末のいずれか又は両方を発泡剤として本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に添加してもよい。これらの発泡剤の添加で、多孔質ジオポリマー硬化体を作製することができる。
 本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に水を加えると、硬化反応が生じる。したがって、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物は、使用される前に水が含まれない乾燥粉末の混合物である。前記の各構成成分を混合する前に乾燥状態にしなければならない。乾燥処理は、粉末製造の粉砕作業前又は粉砕作業後に行うことができる。しかし、粉砕で得られる含水粉末は乾燥されると、固まりが生じる可能性がある。また、粉末は、粉砕前のものに比べて空気中のCOと接触するサイトが多くなるため、原料中の多くの酸化カルシウム又は水酸化カルシウムは炭酸カルシウムになる恐れがある。したがって、粉砕作業前の乾燥処理は好ましい。
 また、酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを含有する組成物、例えば、製鋼スラグ、廃コンクリートの微粒粉、生コンクリートスラッジの固化物、石灰系コンクリート膨張材などの乾燥処理は、COと接触しないように、減圧(真空)乾燥法、不活性ガス雰囲気下の乾燥法、密閉乾燥機法、除湿装置とCO除去フィルターを付帯する乾燥室法のいずれか又は複数で行うとよい。また、微粉砕及び他のワンパート型ジオポリマー組成物の構成成分と混合する前の原料保管は、密閉環境において行うとよい。
 以下、追加の実施例として、第一の粉体成分の種類、各々の粉末度及び混合比、並びに第二の粉体成分と第三の粉体成分の種類を変えたワンパート型ジオポリマー組成物の強度試験結果を示す。
(1)使用材料
 表1に示した石膏無添加のJIS4000級高炉スラグ微粉末(BFS)と石膏入りのJIS4000級高炉スラグ微粉末(gBFS)のほか、石膏無添加のJIS6000級高炉スラグ微粉末とJIS8000級高炉スラグ微粉末を使った。3種類のBFSは同じの製鉄工場から入手されたものであった。6000級と8000級のBFSは、6000級のものと、密度と化学組成が同じであり、表1に示される。塩基度は3種類とも1.81である。しかし、6000級と8000級のBFSの比表面積(ブレーン値)はそれぞれ6105cm/gと8500cm/gである。また、表1に示すJISII種フライアッシュ(FA)のほか、JISI種フライアッシュを使った。JISI種フライアッシュは、比表面積(ブレーン値)は6370cm/gであり、二酸化ケイ素(SiO)61.6%、酸化アルミニウム(Al)24.6%、酸化カルシウム(CaO)1.3%、酸化鉄(Fe)5.2%、酸化マグネシウム(MgO)0.7%などを含有している。
 第二の粉体成分として、前述の再生微粒粉WC3を分級して、0.075mm以下の再生微粉(WCp)を得て使った。TG-DTA分析の結果として、再生微粉のCa(OH)の含有率は、3.4%である。また、用いた製鋼スラグは、密度3.34g/cmであり、1:10の質量比で中性水に浸漬したろ過液のアルカリ度(pH)が12.8であった。ミルで粉砕して得られた微粉末のブレーン値が4000m/g程度であった。製鋼スラグ微粉末(SS)にCa(OH)含有量は6.54%であった(TG-DTA分析により)。製鋼スラグ微粉末の化学組成を表5に示す。
 第三の粉体成分として、炭酸ナトリウム以外に、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)と製鋼スラグ微粉末をそれぞれ使った。今回の実験に用いた粉末状の炭酸水素ナトリウム試薬は、純度95-98%で、密度2.2g/cmである。なお、モルタルの作製に用いた細骨材は表乾状態の海砂であり、全体粉体成分の質量の200%で混合した。上水道水を全体粉体成分の質量の50%又は55%で添加した。
(2)ワンパート型ジオポリマー組成物の調合及びモルタルの圧縮強度
 ワンパート型ジオポリマー組成物の調合を表6に示す。前述の練り混ぜ方法で、モルタルを練り混ぜて、圧縮強度用供試体を作製し、20±3℃の気中において、28日間又は91日間の封緘養生を行った。その後、圧縮強度を測定した。圧縮強度は、3本の角柱の曲げ強度試験度の6つの折片の試験結果を平均したものである。なお、表6及び以下の説明では、第一の粉体成分、第二の粉体成分及び第三の粉体成分を、第一粉体、第二粉体及び第三粉体と表記する。
 実施例1~3の結果によって、第一粉体である、高炉スラグ微粉末単独又はそれとフライアッシュとの混合粉末は、第二粉体とともに加水されることで硬化体を作製できた。硬化体の強度は20N/mm以下で、コンクリートの常用強度21N/mm以上を満足していないが、非耐力部位に使うことが可能である。
 実施例4,5の結果によって、第一粉体中に高炉スラグ微粉末の割合が大きいほど、硬化体の強度は高い。実施例6,7,8の結果によって第三粉体として炭酸ナトリウム粉末を添加してアルカリ刺激が高い場合、第二粉体としての再生微粉の添加率が少ないほど、モルタルの強度は高くなる。再生微粉のCa(OH)以外の成分(すなわち、反応後の残渣)は硬化体の弱点となるためである。再生微粉の添加率が大きいほど、このような弱点が増える。実施例7,10の結果を比べると、炭酸ナトリウムの添加率は8%の方が10%より良い。CaCOの大量生成はジオポリマーゲルの生成を抑制するためである。実施例9の結果によって、WCpとSSの混合粉末も第二粉体として使用することができる。また、実施例11の結果によって、WCpを第二粉体、炭酸水素ナトリウムを第三粉体として使用しても硬化体を作製することができ、炭素を硬化体に固定することができる。実施例4,14の結果を比べると、高炉スラグ微粉末の粉末度を高めると、炭酸ナトリウムの添加率が大きくても、モルタルの強度は増加する。また、実施例12,13の結果も、高炉スラグ微粉末の粉末度の増加に伴い、硬化体の強度は増加する傾向を示している。
 なお、実施例15~23の結果より、高炉スラグ微粉末は単独で第一粉体として使用できること、製鋼スラグ粉末を第二粉体として使う場合には、炭酸水素ナトリウムは単独で第三粉体として使用できること、炭酸水素ナトリウムに炭酸ナトリウム粉末を添加して第三粉体とすると、硬化体の強度が高くなること、石膏を炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムのいずれか又は両者と併用すると、硬化体の強度がさらに高くなることなどがわかった。また、石膏を炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムのいずれか又は両者と併用した場合の結果より、石膏が反応を促進でき、第三粉体として単独で使用しうると推測することができる。
 これらのモルタルは建設工事などにおいて実用上で要求される強度が持ち、粗骨材をさらに混合すると、実用性のあるコンクリートを作製することができる。
 前記の実施例では、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に水を添加して練り混ぜて常温養生で硬化体を作製することができた。ジオポリマーの硬化前後の性能を改善するために、PCコンクリートのように練り混ぜ水に添加剤を含む水溶液(水分)を使うことができる。凝結時間を延長するための凝結遅延剤、凝結時間を短縮し硬化を促進するための凝結促進剤、硬化前の流動性を増加するための界面活性剤、硬化前の粘性の増加又はブリーディングの減少を図るための増粘剤、硬化体の耐凍害性を確保するための空気連行剤(AE剤)、硬化体の乾燥収縮を抑制するための収縮低減剤、硬化体の初期凍害を防止する防凍剤、発泡剤として使われる過酸化水素水、及び高炉スラグ微粉末やポゾラン材料の反応活性を増加する添加剤(例えば、トリエタノールアミン(triethanolamine))などの1種類又は2種類以上のものを水に溶かした水溶液(水分)を予め作製して使用することができる。
 凝結遅延剤として、(1)グルコン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などのオキシカルボン酸系化合物、(2)リグニンスルホン酸塩又はその誘導体、(3)スクロース(ショ糖)、グルコース、フルクトース、マルトース、ラフィノースなどの単糖類や二糖類、三糖類、(4)リン酸塩、水酸化銅、亜鉛化合物、鉛化合物などが挙げられる。
 凝結促進剤として、ギ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、チオシアン酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。
 界面活性剤は、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、グルコン酸塩やクエン酸塩などの水酸基とカルボキシル基を持つ有機化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びポリカルボン酸を主鎖とし、その側鎖にポリエチレングリコールなどのエーテル基を持つ高分子化合物などを含む。
 増粘剤として、メチルセルロース (MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース (HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを成分とするセルロース系増粘剤、ウェランガム、ジェランガム、キサンタンガムなどを成分とするバイオポリマー系増粘剤、グリコール系増粘剤、及びポリアクリルアミド系増粘剤などが挙げられる。
 空気連行剤は、ロジン酸、アビエチン酸などの樹脂酸塩系、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩系、長鎖アルコールを硫酸化した塩などのアルキル硫酸塩系などがある。
 収縮低減剤として、ポリプロピレングリコール(PPG)などのポリエーテル類とその誘導体、低級アルコール(メタノール、エタノールなど)にエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加させたものなどが挙げられる。
 防凍剤として、硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウム、塩化カルシウム、及びエチレングリコール、プロピレングリコール、メタノールなどのアルコール類などは使用されることができる。
 また、前記の実施例では、20±3℃の常温気中において、本発明のワンパート型ジオポリマー組成物を用いたモルタルの封緘養生を行った。養生温度が高いほど、高炉スラグ微粉末とフライアッシュなどのポゾラン材料の反応活性が高い。特に、養生温度を高めると、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性とポゾラン材料のポゾラン反応性は、早期に、かつより効率的に発現される。このため、5~40℃の常圧常温養生でも良いが、硬化体の強度発現性の観点からは、40℃以上の常圧加温養生が好ましく、オートクレーブでの高温高圧水蒸気養生がより好ましい。
 気中養生、水中養生及び水蒸気のいずれでも硬化体を作製することができる。しかし、水中で養生すると、アルカリ金属の炭酸塩・炭酸水素塩・メタケイ酸塩・オルトケイ酸塩及びこれらの塩の水和物、製鋼スラグ中の遊離石灰などは水に溶出して、本発明のワンパート型ジオポリマーの強度発現性を損害する恐れがある。したがって、常圧気中養生と高温高圧水蒸気養生が好ましい。
 常圧気中養生を行うと、水はジオポリマーから蒸発するため、硬化体の乾燥収縮を生じ、加温によって乾燥しすぎる場合には粉体の反応が止まる可能性がある。したがって、常圧常温気中養生又は常圧加温気中養生の場合、硬化体の封緘が薦められる。短期間に高い強度を得られるためには、オートクレーブ養生を行うことが好ましい。
 本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に水又は前記の水溶液(水分)を添加すると、ペースト硬化体を作製することができる。細骨材をさらに添加すると、前記の実施例のようにモルタルを作製できる。モルタルに粗骨材を混合すると、コンクリートを作製することができる。骨材として、天然骨材である川砂・砂利、海砂・砂利、陸砂・砂利、山砂・砂利、珪砂、岩の粉砕物である砕石・砕砂、産業廃棄物・副産物であるスラグ骨材、例えば、高炉スラグ骨材、銅スラグ骨材、電気酸化炉スラグ骨材、フェロニッケル骨材、都市ごみ焼却灰溶融スラグ骨材、再生骨材、クリンカーアッシュ、及び人工軽量骨材などが挙げられる。それぞれのJIS規格を満足するものを使用することが好ましい。
 なお、ワンパート型ジオポリマー組成物の硬化体の性能、特に引張強度、曲げ強度、伸び能力及び靭性などを改善する目的で、鋼繊維、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維及びセルロース繊維などの補強材を本発明のワンパート型ジオポリマー組成物に混合してもよい。

Claims (8)

  1.  高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、バイオマス燃焼灰、シリカフューム及び火山灰から選択される少なくとも一種の粉体である第一の粉体成分と、
     石灰(CaO)又は水酸化カルシウム(Ca(OH))を含有する粉体である第二の粉体成分と、
    を含む、ワンパート型ジオポリマー用の組成物。
  2.  前記第一の粉体成分の一部を、石粉、高炉徐冷スラグ粉末、流動床石炭灰、メタカオリン、銅スラグ粉末、赤泥、メタカオリン以外の焼成粘土、下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉末、都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末及びパーライト粉末から選択される少なくとも一種の粉体で置換してなる、請求項1に記載のワンパート型ジオポリマー用の組成物。
  3.  前記第二の粉体成分は、粒度が0.63mm以下のコンクリートの破砕物、生コンクリートスラッジの乾燥粉末、及び製鋼スラグ粉末から選択される少なくとも一種の粉体である、請求項1に記載のワンパート型ジオポリマー用の組成物。
  4.  前記第二の粉体成分の含有率は、前記第一の粉体成分と前記第二の粉体成分との合量100質量%に占める含有割合において10質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載のワンパート型ジオポリマー用の組成物。
  5.  アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属のメタケイ酸塩及びアルカリ金属のオルトケイ酸塩並びにこれらの塩の水和物から選択される少なくとも一種の粉体である第三の粉体成分を添加してなる、請求項1に記載のワンパート型ジオポリマー用の組成物。
  6.  前記第三の粉体成分の添加率は、前記第一の粉体成分と前記第二の粉体成分との合量100質量%に対する添加割合において5質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載のワンパート型ジオポリマー用の組成物。
  7.  請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のワンパート型ジオポリマー用の組成物に、水又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まない水分を添加して得られる、ワンパート型ジオポリマー硬化体。
  8.  請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のワンパート型ジオポリマー用の組成物に、水又はアルカリ金属のケイ酸塩とアルカリ金属の水酸化物を含まない水分、及び骨材又は骨材と繊維を添加して得られる、ワンパート型ジオポリマー硬化体。
PCT/JP2025/025361 2024-07-16 2025-07-15 ワンパート型ジオポリマー用の組成物及びその硬化体 Pending WO2026018848A1 (ja)

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