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WO2026014348A1 - 偏光板保護膜、及びこれを含む偏光板並びに液晶表示装置 - Google Patents

偏光板保護膜、及びこれを含む偏光板並びに液晶表示装置

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Publication number
WO2026014348A1
WO2026014348A1 PCT/JP2025/023989 JP2025023989W WO2026014348A1 WO 2026014348 A1 WO2026014348 A1 WO 2026014348A1 JP 2025023989 W JP2025023989 W JP 2025023989W WO 2026014348 A1 WO2026014348 A1 WO 2026014348A1
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WO
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protective film
light
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Application number
PCT/JP2025/023989
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Inventor
伸隆 深川
匡広 渥美
大輔 佐々木
理俊 水村
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Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
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Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
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Abstract

樹脂と、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含む染料とを含む光吸収層を含有する偏光板保護膜、及びこれを含む偏光板並びに液晶表示装置。

Description

偏光板保護膜、及びこれを含む偏光板並びに液晶表示装置
 本発明は、偏光板保護膜、及びこれを含む偏光板並びに液晶表示装置に関する。
 画像表示装置の1種として知られる液晶表示装置は、画像を表示する液晶パネル自体は発光しない非発光型素子である。そのため、液晶表示装置にはバックライトユニットが組み込まれる。このバックライトユニットは液晶パネルの背面に配置され、液晶パネルに光を供給する。
 バックライトユニット用の光源として白色LED(発光ダイオード)が用いられる白色LED発光装置においては、青色LEDから放射される青色光と、黄色蛍光体から放射される光を混色させて白色光を作り出す方式、青色LED、緑色LED及び赤色LEDから放射される光を混色させて白色光を作り出す方式等が知られている。しかし、上記方式は有機発光ダイオード(OLED)を用いた表示装置等と比較して色再現域が狭いという問題がある。
 この問題については、液晶表示装置に用いる偏光板の保護膜(偏光子を保護する膜、以下「偏光板保護膜」と称す。)中に、特定の吸収波長を有する色素を含ませることにより、液晶表示装置の色再現性を高められることがわかってきた。その一方で、偏光板保護膜中への上記色素の配合は、色素が発する蛍光に起因する偏光解消により、偏光板の偏光性能を低下させ、高いコントラストの実現においては不利に働くこと、また、色素が光照射により経時的に劣化しやすいことも知られている。
 偏光板保護膜に限らず光学フィルタにおいては、優れた耐光性を示す色素の研究がなされている。例えば、特許文献1には、特定構造のカテコール配位ジピロメテンホウ素錯体化合物を含む光学フィルターが記載されている。特許文献1には、上記カテコール配位ジピロメテンホウ素錯体化合物が、480~530nmの波長範囲の光を選択的に吸収し、コントラスト低下の原因となる蛍光を発しにくく、かつ、優れた耐光性を示すことが記載されている。
 また、特許文献2には、2つのジピロメテン配位子が配位した特定構造のジピロメテンコバルト錯体を含有する光学フィルムが記載されている。特許文献2は、このジピロメテンコバルト錯体はジピロメテン配位子のボロンジピロメテンと一重項酸素との反応前後のΔG(量子化学計算プログラムGaussian16を用い、特定の条件により計算される値)が-1.0kcal/mol以上であること、上記ジピロメテンコバルト錯体が、波長500nm付近の光(外部光や表示装置の光源からの副発光)を選択的かつ効率的に吸収することができ、さらに耐光性にも優れることが記載されている。
特開2023-051753号公報 特開2023-101372号公報
 本発明者らがジピロメテン系色素の使用を前提とした偏光板保護膜について検討したところ、上記特許文献1に記載の光学フィルターないし上記特許文献2に記載の光学フィルムでは、いずれも、ジピロメテン系色素の特定構造に起因して光吸収の裾切れが悪く、画像表示装置に適用した場合には、液晶表示装置の表示光を不要に吸収してしまう問題があることがわかってきた。
 本発明は、ジピロメテン系色素を用いながら、吸収の裾切れに優れ、かつ、耐光性に優れた偏光板保護膜、及びこの偏光板保護膜を含む偏光板、並びにこの偏光板を備えた液晶表示装置を提供することを課題とする。
 上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>
 樹脂と、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含む染料とを含む光吸収層を含有する、偏光板保護膜。
<2>
 上記染料が、主吸収波長帯域の異なる2種類以上の染料を含む、<1>に記載の偏光板保護膜。
 ただし、上記の主吸収波長帯域の異なる2種類以上の染料のうちの少なくとも1種は、上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素である。
<3>
 上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素が下記一般式(P)で表される、<1>又は<2>に記載の偏光板保護膜。
 上記式中、R~Rは、水素原子又は置換基を示す。
 R及びRは、フッ素原子を示す。
 Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基又は電子供与型消光剤部を示す。
 ただし、R~R及びRのうちの少なくとも1つは、電子供与型消光剤部を含む。
<4>
 上記電子供与型消光剤部が、下記一般式(2M)で表されるフェロセニル基であるか、又は、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基のうちの少なくとも1種もしくはこれらのうちの少なくとも1種を置換基として有するアリール基である、<3>に記載の偏光板保護膜。
 上記式中、Lは、単結合、又は上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素におけるジピロメテン系色素と共役しない2価の連結基を示す。R1m~R9mは、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。Mは、メタロセン化合物を構成しうる原子であって、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、V又はPtを示す。*は上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素におけるジピロメテン系色素との結合部を示す。
<5>
 上記Lが、単結合、又は、炭素数6~12のアリーレン基であって、上記のR1m~R9mが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基であり、上記MがFeである、<4>に記載の偏光板保護膜。
<6>
 <1>~<5>のいずれか1つに記載の偏光板保護膜を含む偏光板。
<7>
 <6>に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
<8>
 上記偏光板保護膜が、液晶セルと偏光子との間に配される、<7>に記載の液晶表示装置。
 本発明において、特定の符号又は式で表示された置換基若しくは連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成していてもよい。また、特段の断りがない限り、環、例えば脂環、芳香環、ヘテロ環は、更に縮環して縮合環を形成していてもよい。
 本発明において、特段の断りがない限り、光吸収層を構成する成分(染料、樹脂及びその他の成分等)は、それぞれ、光吸収層中に1種含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
 本発明において、ポリマーは、連鎖重合ポリマー及び縮重合ポリマーのいずれであってもよく、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、コポリマーである場合には、ランダムポリマー、ブロックポリマー等のいずれであってもよい。
 本発明において、特段の断りがない限り、二重結合については、分子内にE型及びZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
 本発明において、化合物(錯体を含む。)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。更に、置換又は無置換を明記していない化合物については、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは、置換基及び連結基についても同様である。
 また、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
 本発明において、組成物とは、成分濃度が一定である(各成分が均一に分散している)混合物に加えて、目的とする機能を損なわない範囲で成分濃度が変動している混合物を包含する。
 本発明において、波長XX~YYnmに主吸収波長帯域を有するとは、極大吸収を示す波長(すなわち、極大吸収波長)が波長領域XX~YYnmに存在することを意味する。
 したがって、この極大吸収波長が上記波長領域内にあれば、この波長を含む吸収帯域全体が上記波長領域内にあってもよく、上記波長領域外まで広がっていてもよい。また、極大吸収波長が複数存在する場合、最も大きい吸光度を示す極大吸収波長が上記波長領域に存在していればよい。すなわち、最も大きい吸光度を示す極大吸収波長以外の極大吸収波長は、上記波長領域XX~YYnmの内外のいずれに存在していてもよい。
 本発明において、染料が有する主吸収波長帯域とは、偏光板保護膜の状態で測定される染料の主吸収波長帯域である。具体的には、後述する実施例において、〔透過率の測定、吸収極大値の算出〕の項に記載の条件により、基材上に光吸収層が積層された偏光板保護膜の状態で測定される。
 本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートのいずれか一方又は両方を表し、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及びメタクリル酸のいずれか一方又は両方を表し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクリロイルのいずれか一方又は両方を表す。
 本発明の偏光板保護膜は、ジピロメテン系色素を用いながら、吸収の裾切れに優れ、かつ、優れた耐光性を示す。
 また、本発明の偏光板及び液晶表示装置は、これらを構成する偏光板保護膜がジピロメテン系色素を用いながら、吸収の裾切れに優れ、かつ、耐光性に優れる。
図1は、本発明の偏光板を備えた液晶表示装置の一実施形態の概略を示す模式図である。
〔偏光板保護膜〕
 本発明の偏光板保護膜は、樹脂と、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含む染料(以下、単に「染料」と称す。)とを含む光吸収層を含有する偏光板保護膜である。
 本発明の偏光板保護膜は、上記構成を有することにより、ジピロメテン系色素を用いながら、吸収の裾切れに優れ、かつ、優れた耐光性を示すことができる。この理由は定かではないが、光吸収層に含まれる消光剤内蔵型ジピロメテン系色素は、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素が含む消光剤部によって、光照射によって励起された励起状態のジピロメテン系色素を基底状態に失活させることができるため、吸光度の低下を抑制することができるためと考えられる。しかも、本発明の偏光板保護膜と偏光子とを含む本発明の偏光板では、後述の実施例にも示されるように、本発明の偏光板保護膜が単体で示す耐光性を上回る、より優れた耐光性を示すことができる。これは、偏光子により酸素分子の透過自体を抑制する構成とした結果、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素が含む消光剤部が酸素により酸化されて劣化することを抑制することができ、本発明の偏光板保護膜が単体で示す耐光性に対して、より優れた耐光性を示すことができると考えられる。また、本発明の偏光板保護膜は、上記特許文献1に記載の特定構造のカテコール配位ジピロメテンホウ素錯体化合物、ないし、上記特許文献2に記載の2つのジピロメテン配位子が配位した特定構造のジピロメテンコバルト錯体を使用することなく、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素により優れた耐光性を実現でき、結果、耐光性とともにジピロメテン系色素の吸収の裾切れも優れたものとすることができる。
 本発明の偏光板保護膜は、偏光子の少なくとも片面に直接又は接着層等のその他の層を介して間接的に設けられる膜であり、製造工程、輸送工程、保管時等に偏光子が傷ついたり、異物により汚染されること等を防ぎ、偏光子を保護するための膜である。
 なお、本発明の偏光板保護膜は、光吸収層からなる偏光板保護膜であってもよく、光吸収層が後述する基材フィルム上に設けられた偏光板保護膜であってもよく、また、光吸収層1層で自立する膜であってもよく、自立しない膜であってもよい。
 なお、本発明の偏光板保護膜を本発明の偏光板に組み込んだ状態、また、本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込んだ状態において、本発明の偏光板保護膜における光吸収層に基材フィルムが積層されている場合には、基材フィルムが光吸収層に積層されたまま組み込まれていてもよく、基材フィルムが光吸収層から剥離された状態で組み込まれていてもよい。
[光吸収層]
<染料>
 上記光吸収層は、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含む染料を含有する。
 本発明の偏光板保護膜において、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含む染料は、光吸収層を構成する樹脂中に分散(好ましくは溶解)した形態が好ましく挙げられる。この分散は、ランダム、規則的等いずれであってもよい。
(消光剤内蔵型ジピロメテン系色素)
 本発明において、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素とは、連結基を介して、共有結合により消光剤部がジピロメテン系色素に連結されてなる色素を意味する。
 上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素としては、消光剤部が電子供与型消光剤部である電子供与型消光剤内蔵型ジピロメテン系色素と、消光剤部が電子受容型消光剤部である電子受容型消光剤内蔵型ジピロメテン系色素が挙げられる。
 電子供与型消光剤部とは、励起状態のジピロメテン系色素の二つのSOMO(Singly Occupied Molecular Orbital)のうちの低エネルギー準位のSOMOに電子を供与したのち、ジピロメテン系色素の高エネルギー準位のSOMOから電子を受け取ることにより、励起状態のジピロメテン系色素を基底状態に失活させる構造部を意味する。電子受容型消光剤部とは、励起状態のジピロメテン系色素の二つのSOMOのうちの高エネルギー準位のSOMOから電子を受けとったのち、ジピロメテン系色素の低エネルギー準位のSOMOに電子を供与することにより、励起状態のジピロメテン系色素を基底状態に失活させる構造部を意味する。
 上記メカニズムに示されるように、上記光吸収層に含まれる消光剤内蔵型ジピロメテン系色素は、ジピロメテン系色素に連結されている消光剤部によって、ジピロメテン系色素の光吸収に伴う吸光度の低下及び蛍光の発生を効果的に抑制することが可能となる。このため、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素における消光剤部とは、ジピロメテン系色素の蛍光を消光可能な限り、消光剤部とするものであり、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素の化学構造において、ジピロメテン系色素に対してどの部分から消光剤部を意味するかについては、重要ではない。
 上記電子供与型消光剤部としては、例えば、下記一般式(2M)で表されるフェロセニル基、国際公開第2019/066043号の段落[0199]~[0212]および段落[0234]~[0287]、Aurore Loudet and Kevin Burgess, Chemical Reviews, 2007年, 第107巻, 第11号, 4891-4932頁のうちの4896-4898頁、並びにHisato Sunahara et al., Journal of the American Chemical Society, 2007年, 第129巻, 第17号, 5597-5604頁に記載の消光剤化合物における消光剤部を挙げることができ、下記一般式(2M)で表されるフェロセニル基であるか、又は、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基のうちの少なくとも1種もしくはこれらのうちの少なくとも1種を置換基として有するアリール基が好ましく、下記一般式(2M)で表されるフェロセニル基がより好ましい。
 また、上記電子受容型消光剤部としては、例えば、国際公開第2019/066043号の段落[0288]~[0310]に記載の消光剤化合物における消光剤部を挙げることができる。
・一般式(2M)で表されるフェロセニル基
 一般式(2M)中、Lは、単結合、又は消光剤内蔵型ジピロメテン系色素におけるジピロメテン系色素(以下、「ジピロメテン系色素部」と称す。)と共役しない2価の連結基を示す。R1m~R9mは、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。Mは、メタロセン化合物を構成しうる原子であって、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、V又はPtを示す。*はジピロメテン系色素部との結合部を示す。
 なお、本発明においては、一般式(2M)中のLが単結合である場合、ジピロメテン系色素部に結合するシクロペンタジエニル環(一般式(2M)中のR1mを有する環)は、ジピロメテン系色素部と共役する共役構造に含めない。
 Lとして採りうる2価の連結基としては、ジピロメテン系色素部と共役しない連結基であれば特に制限されず、その内部、又は一般式(2M)中のシクロペンタジエン環側端部に、上述の共役構造を含んでいてもよい。2価の連結基としては、例えば、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、複素環から2個水素原子を除いた2価の複素環基、-CH=CH-、-CO-、-CS-、-NR-(Rは水素原子又は1価の置換基を示す。)、-O-、-S-、-SO-若しくは-N=CH-、又は、これらを複数(好ましくは2~6個)組合せてなる2価の連結基が挙げられる。好ましくは、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CH=CH-、-CO-、-NR-(Rは上記の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上(好ましくは2~6個)の基を組合せた2価の連結基であり、特に好ましくは、炭素数1~4のアルキレン基、フェニレン基、-CO-、-NH-、-O-及び-SO-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上(好ましくは2~6個)の基を組合せた連結基である。組合せた2価の連結基としては、特に制限されないが、-CO-、-NH-、-O-又は-SO-を含む基が好ましく、-CO-、-NH-、-O-又は-SO-を2種以上組合せてなる連結基、又は、-CO-、-NH-、-O-及び-SO-の少なくとも1種とアルキレン基若しくはアリーレン基とを組合せてなる連結基が挙げられる。-CO-、-NH-、-O-又は-SO-を2種以上組合せてなる連結基としては、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCOO-、-NHCONH-、-SONH-が挙げられる。-CO-、-NH-、-O-及び-SO-の少なくとも1種とアルキレン基若しくはアリーレン基とを組合せてなる連結基としては、-CO-、-COO-若しくは-CONH-と、アルキレン基若しくはアリーレン基とを組合せた基が挙げられる。
 Rとして採りうる置換基は、特に制限されず、後述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基と同義である。
 Lは、単結合であるか、又は、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CH=CH-、-CO-、-NR-(Rは上記の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上の基を組合せた基が好ましい。
 Lは、置換基を1つ又は複数有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に制限されず、例えば後述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基と同義である。Lが置換基を複数有する場合、隣接する原子に結合する置換基が互いに結合して更に環構造を形成してもよい。
 Lとして採りうるアルキレン基としては、炭素数が1~20の範囲にある基であれば、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,1-ジメチルエチレン、ブチレン、1-メチルプロピレン、2-メチルプロピレン、1,2-ジメチルプロピレン、1,3-ジメチルプロピレン、1-メチルブチレン、2-メチルブチレン、3-メチルブチレン、4-メチルブチレン、2,4-ジメチルブチレン、1,3-ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、エタン-1,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、シクロプロパン-1,1-ジイル、シクロプロパン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,1-ジイル、シクロブタン-1,2-ジイル、シクロペンタン-1,1-ジイル、シクロペンタン-1,2-ジイル、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,1-ジイル、シクロヘキサン-1,2-ジイル、シクロヘキサン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、メチルシクロヘキサン-1,4-ジイル等が挙げられる。
 Lとして、アルキレン基中に、-CO-、-CS-、-NR-(Rは上述の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-の少なくとも1つを含む連結基を採る場合、-CO-等の基は、アルキレン基中のいずれの位置に組み込まれてもよく、また組み込まれる数も特に制限されない。
 Lとして採りうるアリーレン基としては、炭素数が6~20の範囲にある基であれば特に制限されず、例えば、後述の一般式(P)中のR~Rとして採り得るアリール基のうち、炭素数が6~20のアリール基として例示した各基から更に水素原子を1つ除去した基が挙げられる。
 Lとして採りうる複素環基としては、特に制限されず、例えば、後述の一般式(P)中のR~Rとして採りうるヘテロ環基として例示した各基から更に水素原子を1つ除去した基が挙げられる。
 一般式(2M)において、上記連結基Lを除外した残りの部分構造は、メタロセン化合物から水素原子を1つ除去した構造(メタロセン構造部)に相当する。本発明において、メタロセン構造部となるメタロセン化合物は、上記一般式(2M)で規定される部分構造に適合する化合物(Lに代えて水素原子が結合した化合物)であれば、公知のメタロセン化合物を特に制限されることなく用いることができる。以下、一般式(2M)で規定されるメタロセン構造部について具体的に説明する。
 一般式(2M)中、R1m~R9mは、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。R1m~R9mとして採りうる置換基としては、特に制限されないが、例えば、後述の一般式(P)中のR~Rとして採りうる置換基の中から選ぶことができる。R1m~R9mは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基又はアミド基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアシル基が更に好ましく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
 R1m~R9mとして採りうるアルキル基としては、Rとして採りうるアルキル基の中でも、炭素数1~8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシルが挙げられる。
 このアルキル基は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル等が挙げられる。
 また、R1m等として採りうるアルキル基は、炭素鎖を形成する少なくとも1つのメチレン基が-O-又は-CO-で置換されていてもよい。メチレン基が-O-で置換されたアルキル基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、isoブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、2-メトキシエトキシ、クロロメチルオキシ、ジクロロメチルオキシ、トリクロロメチルオキシ、ブロモメチルオキシ、ジブロモメチルオキシ、トリブロモメチルオキシ、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、パーフルオロエチルオキシ、パーフルオロプロピルオキシ、パーフルオロブチルオキシの端部メチレン基が置換されたアルキル基、更には、2-メトキシエチル等の炭素鎖の内部メチレン基が置換されたアルキル基等が挙げられる。メチレン基が-CO-で置換されたアルキル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、モノクロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、プロパン-2-オン-1-イル、ブタン-2-オン-1-イル等が挙げられる。
 一般式(2M)中、Mは、メタロセン化合物を構成しうる原子であって、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、V又はPtを示す。中でも、Mは、Fe、Ti、Co、Ni、Zr、Ru又はOsが好ましく、Fe、Ti、Ni、Ru又はOsがより好ましく、Fe又はTiが更に好ましく、Feが最も好ましい。
 また、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-フェニル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基、2,4,6-トリメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、6-ヒドロキシナフチル基、4-メトキシナフチル基、2,4,6-トリメチルフェニル基及び9-フェニルアントラセニル基なども、上記電子供与型消光剤部として好ましく挙げられる。
 一方、上記電子受容型消光剤部としては、ハロゲン原子及びニトロ基などの電子求引性置換基を有する構造が好ましく、例えば、3-ニトロフェニル基、3,5-ジニトロフェニル基、2-メトキシ-5-ニトロ-フェニル基、ニトロ基及びヨウ素原子などが好ましく挙げられる。
 一般式(2M)で表されるフェロセニル基としては、L、R1m~R9m及びMの好ましいもの同士を組合せてなる基が好ましく、例えば、Lとして、単結合、又は、炭素数2~8のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CH=CH-、-CO-、-NR-(Rは上述の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上の基を組合せた基と、R1m~R9mとして、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基と、MとしてFeとを組合せてなる基が挙げられる。なかでも、Lとして、単結合、又は、炭素数6~12のアリーレン基と、R1m~R9mとして、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基と、MとしてFeとを組合せてなる基が好ましく、Lとして、単結合、又は、炭素数6~12のアリーレン基と、R1m~R9mとして水素原子と、MとしてFeとを組合せてなる基がより好ましい。
 上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素において、ジピロメテン系色素とは、一価二座配位子であるジピロメテン配位子が典型元素又は遷移元素と錯体を形成してなる染料を意味する。
 ジピロメテン配位子が配位する典型元素又は遷移元素については、特に制限はなく、B、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等が挙げられ、B、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni又はFeが好ましく、Bがより好ましい。
 また、ジピロメテン配位子が配位する典型元素又は遷移元素は、ジピロメテン配位子以外の配位子を有していてもよく、フッ素原子、後述のR及びRとして採り得る、酸素原子により配位する配位子が挙げられ、フッ素原子であるか、又は、カルボン酸、ケトン、ジケトンもしくはアセト酢酸エステルの配位子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
 上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素としては、電子供与型消光剤内蔵型ジピロメテン系色素が好ましく、下記一般式(P)で表される電子供与型消光剤内蔵型ジピロメテン系色素がより好ましい。
・一般式(P)で表される電子供与型消光剤内蔵型ジピロメテン系色素
 上記式中、R~Rは、水素原子又は置換基を示す。
 R及びRは、フッ素原子であるか、又は、酸素原子により配位する配位子を示す。なお、R及びRが酸素原子により配位する配位子である場合、R及びRが連結してなる2座配位子であってもよい。
 Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基又は電子供与型消光剤部を示す。
 ただし、R~Rのうちの少なくとも1つは、電子供与型消光剤部を含む。
(i)R~R
 R~Rは、水素原子又は置換基を示す。
 R~Rとして採り得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ノルボルニル、1-アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~18のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3-ブテン-1-イル)、アリール基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のヘテロ環基で、例えば、2-チエニル、4-ピリジル、2-フリル、2-ピリミジニル、1-ピリジル、2-ベンゾチアゾリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリル、ベンゾトリアゾール-1-イル)、シリル基(好ましくは炭素数3~38、より好ましくは炭素数3~18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1-ブトキシ、2-ブトキシ、イソプロポキシ、t-ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1-ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1-フェニルテトラゾール-5-オキシ、2-テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t-ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t-ブトキシカルボニルオキシ、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7~32、より好ましくは炭素数7~24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、
カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1~48、よりこの好ましくは炭素数1~24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ、N-ブチルカルバモイルオキシ、N-フェニルカルバモイルオキシ、N-エチル-N-フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N-ジエチルスルファモイルオキシ、N-プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1~38、より好ましくは炭素数1~24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6~32、より好ましくは炭素数6~24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7~32、より好ましくは炭素数7~24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、Nーエチル-N-オクチルカルバモイル、N,N-ジブチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-フェニルカルバモイル、N-メチルN-フェニルカルバモイル、N,N-ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N-ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2-エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6~32、より好ましくは6~24のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N-メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは1~18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4-ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは2~24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N-ジメチルウレイド、N-フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N-スクシンイミド、N-フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t-ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~32、より好ましくは炭素数7~24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N-ジプロピルスルファモイルアミノ、N-エチル-N-ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3-ピラゾリルアゾ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のヘテロ環チオ基で、例えば、2-ベンゾチアゾリルチオ、2-ピリジルチオ、1-フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6~32、より好ましくは炭素数6~24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2-エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N-ジプロピルスルファモイル、N-エチル-N-ドデシルスルファモイル、N-エチル-N-フェニルスルファモイル、N-シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)などが挙げられる。
 また、R~Rとして採り得る置換基としては、前述の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素における電子供与型消光剤部も挙げられる。
 R~Rとして採り得る置換基は、更に置換基で置換されていてもよく、この場合、R~Rとして採り得る置換基が更に有していてもよい置換基としては、R~Rとして採り得る置換基が挙げられる。R~Rとして採り得る置換基が、2個以上の置換基で置換されている場合には、これらの2個以上の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
 R~Rとしては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アリール基、ヘテロ環基、ニトロ基が好ましく挙げられる。
 RとR、RとR、RとR、RとRは、各々独立に互いに結合して、5員、6員、もしくは7員の、飽和環又は不飽和環を形成していてもよい。
 形成される5員、6員、及び7員の、飽和環又は不飽和環は、更に置換基で置換されていてもよく、この場合、形成される5員、6員、及び7員の、飽和環又は不飽和環が更に有していてもよい置換基としては、上記R~Rとして採り得る置換基が挙げられる。形成される5員、6員、及び7員の、飽和環又は不飽和環が、2個以上の置換基で置換されている場合には、これらの2個以上の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
(ii)R及びR
 R及びRは、フッ素原子であるか、又は、酸素原子により配位する配位子を示す。なお、R及びRが酸素原子により配位する配位子である場合、R及びRが連結してなる2座配位子であってもよい。
 R及びRとして採り得る、酸素原子により配位する配位子としては、常用の配位子を特に制限なく用いることができ、R及びRが連結してなる2座配位子も含めると、例えば、アセタト等のカルボン酸イオンの配位子、アセトナト、アセチルアセトナト等のケトン又はジケトンの配位子、アセト酢酸エステルの配位子、カテコール配位子が挙げられ、カルボン酸イオンの配位子、ケトン又はジケトンの配位子、アセト酢酸エステルの配位子が好ましい。上記カテコール配位子におけるベンゼン環は、置換基を有していてもよく、有していてもよい置換基としては、上記R~Rとして採り得る置換基の記載を適用することができる。
 なかでも、R及びRはいずれもフッ素原子であることが好ましい。
(iii)R
 Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基又は電子供与型消光剤部を示す。
 Rとして採り得るハロゲン原子、アルキル基、アリール基及びヘテロ環基としては、Rとして採り得るハロゲン原子、アルキル基、アリール基及びヘテロ環基としては、上記R~Rとして採り得るハロゲン原子、アルキル基、アリール基及びヘテロ環基の記載をそれぞれ適用することができる。
 また、Rとして採り得る電子供与型消光剤部としては、前述の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素における電子供与型消光剤部も挙げられる。
 Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基が好ましい。
 ただし、R~Rのうちの少なくとも1つは、電子供与型消光剤部を含む。
 「R~Rのうちの少なくとも1つが、電子供与型消光剤部を含む」とは、R~Rのうちの少なくとも1つが、電子供与型消光剤部であるか、R~Rのうちの少なくとも1つが、電子供与型消光剤部で置換された置換基あることを意味する。
 電子供与型消光剤部を含む置換位置はR~Rのうちのどこでもよく、R~R及びRのうちの少なくとも1つであることが好ましく、R、R及びRのうちの少なくとも1つであることがより好ましく、Rであることがさらに好ましい。特に、R及びRがフッ素原子である場合には、電子供与型消光剤部を含む置換位置は、R~R及びRのうちの少なくとも1つであることが好ましく、R、R及びRのうちの少なくとも1つであることがより好ましく、Rであることがさらに好ましい。
 電子供与型消光剤部としては、前述の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素における電子供与型消光剤部の記載をそのまま適用することができ、上述の一般式(2M)で表されるフェロセニル基であるか、又は、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基のうちの少なくとも1種もしくはこれらのうちの少なくとも1種を置換基として有するアリール基が好ましく、上述の一般式(2M)で表されるフェロセニル基がより好ましい。
 上記の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素としては、例えば、以下に示す例示化合物が挙げられる。なお、以下において、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。ただし、上記の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素はこれらに限定されるものではない。
 上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素としては、例えば、Dalton Trans., 2010年, 第39巻, 9929-9935頁、特開2023-051753号公報の記載を参考に、常法により合成することができる。
 上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素は吸収の裾切れがよいため、本発明の偏光板保護膜において、上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素の吸収の10%値幅は、例えば66%未満を示すことができ、65%以下が好ましく、64%以下がより好ましく、63%以下が更に好ましい。
 上記光吸収層は、主吸収波長帯域の異なる2種以上の染料を含むこと、すなわち、上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を少なくとも1種含む、主吸収波長帯域の異なる2種類以上の染料を含むことも好ましい。
 主吸収波長帯域の異なる2種以上の染料を組み合わせて用いた場合、染料1種単独で用いた場合に比べて耐光性が低下してしまう場合があることが知られている。しかし、上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素は、主吸収波長帯域の異なる2種以上の染料を組み合わせて用いた場合にも、上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を1種単独で用いた場合と同程度の耐光性を示すことができ、主吸収波長帯域の異なる2種以上の染料を組み合わせた場合に生じ得る上記耐光性の低下が抑制されている。例えば、上記光吸収層が下記の染料A~Dの少なくとも2種を含有し、そのうちの少なくとも1種が上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素である場合、上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を1種単独で用いた場合と同程度の耐光性を示すことができる。なお、本発明はこれに限定されるものではないが、上記光吸収層が下記の染料Bとして上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含有し、下記の染料A、C及びDの少なくとも1種(好ましくは下記染料A)をさらに含有する形態が好ましく挙げられる。
 上記染料は、下記の染料A~Dの少なくとも1種を含むことが好ましい。
 
 染料A:波長390~435nmに主吸収波長帯域を有する染料
 染料B:波長480~520nmに主吸収波長帯域を有する染料
 染料C:波長580~620nmに主吸収波長帯域を有する染料
 染料D:波長640~780nmに主吸収波長帯域を有する染料
 
 染料Aは、本発明の偏光板保護膜中で波長390~435nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
 染料Bは、本発明の偏光板保護膜中で波長480~520nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
 染料Cは、本発明の偏光板保護膜中で波長580~620nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
 染料Dは、本発明の偏光板保護膜中で波長640~780nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
 なお、染料Aが主吸収波長帯域を有する波長範囲は、400~435nmが好ましく、405~435nmがより好ましい。
 また、染料Bが主吸収波長帯域を有する波長範囲は、490~520nmが好ましく、490~515nmがより好ましい。
 また、染料Cが主吸収波長帯域を有する波長範囲は、580~615nmが好ましく、585~610nmがより好ましい。
 また、染料Dが主吸収波長帯域を有する波長範囲は、640~750nmが好ましく、650~700nmがより好ましい。
 ただし、上記染料A~Dのうち上記染料が含む少なくとも1種は、上述の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含み、なかでも、上記染料は、上記染料Bに該当する染料として消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含むことが好ましい。
 染料Aの具体例としては、例えば、ポルフィリン系、スクアライン系、シアニン(cyanine、CY)系、ピロールメチン系、インドアニリン系の各色素(染料)が挙げられる。
 ピロールメチン系色素としては、国際公開第2022/138925号の段落[0022]~[0066]に記載の一般式(A1)又は(A2)で表されるピロールメチン系色素及び下記化合物(E-42)が好ましく挙げられる。
 また、ポルフィリン系色素としては、銅、マグネシウム、亜鉛、コバルト、チタン、鉄、バナジウム又は酸化バナジウムを中心金属として含む、下記一般式(7)で表されるポルフィリン系色素が好ましく挙げられる。
 上記式中、X~Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、置換あるいは無置換のエテニル基、置換あるいは無置換のエチニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアシル基を示す。
 なお、X~Xのうちの隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に芳香環を形成していてもよい。
 R18~R21は、アリール基を示す。
 Mは、銅、マグネシウム、亜鉛、コバルト、チタン、鉄、バナジウム又は酸化バナジウムを示す。
 なお、上記式中において、紙面上、Mの上下に位置する窒素原子は、非共有電子対によってMに配位していることを示す。
 X~Xとして採り得るハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びアシル基については、前述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基におけるハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びアシル基の記載を適用することができる。
 X~Xとして採り得るアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基で置換されたアルキル基としては、例えば、アラルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、ハロゲノアルコキシアルキル基が挙げられる。これらの置換基で置換されたアルキル基における置換基についても、前述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基における対応する置換基又は前述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基における対応する複数の置換基を組合わせてなる置換基の記載を適用することができる。
 X~Xとして採り得るアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基で置換されたアルコキシ基としては、例えば、アラルキルオキシ基、ハロゲノアルコキシ基が挙げられる。これらの置換基で置換されたアルコキシ基における置換基についても、前述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基における対応する置換基の記載を適用することができる。
 X~Xとして採り得る置換エテニル基及び置換エチニル基が有し得る置換基としては、前述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基における置換基を適用することができる。
 R18~R21として採り得るアリール基については、前述の一般式(P)中のR~Rとして採り得る置換基におけるアリール基の記載を適用することができる。
 中でも、X~Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖アルキル基、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は炭素数3~10の環状アルキル基であることが好ましい。
 また、一般式(7)で表されるポルフィリン系色素は、市販のものも何ら制限なく使用することができ、例えば、東京化成工業社、山田化学工業社等が販売する、染料Aとしての主吸収波長帯域を満たすポルフィリン化合物を使用することができる。例えば、後述の実施例で使用するFDB-002(商品名、山田化学工業社製)は、一般式(7)で表されるポルフィリン系色素に該当する。
 上記染料Aとしては、主吸収波長帯域における吸収波形が先鋭である点から、国際公開第2022/138925号の一般式(A1)で表されるピロールメチン系色素を含むことが好ましい。
 染料Bの具体例としては、例えば、ピロールメチン(pyrrole methine、PM)系、ローダミン(rhodamine、RH)系、ボロンジピロメテン(boron dipyrromethene、BODIPY)系及びスクアライン(squaraine、SQ)系の各色素(染料)が挙げられる。
 また、染料Bとして、上述の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素も好ましく挙げられる。
 染料Cの具体例としては、例えば、テトラアザポルフィリン(tetraaza porphyrin、TAP)系、スクアライン系及びシアニン(cyanine、CY)系の各色素(染料)が挙げられる。
 国際公開第2021/221122号の段落[0072]~[0169]に記載の一般式(1)~(9)のいずれかで表されるスクアライン系色素及び消光剤内蔵型色素、並びに下記化合物(C-121)及び(C-122)が好ましく挙げられる。
 これらの中でも、上記の染料B及び染料Cとしては、主吸収波長帯域における吸収波形が先鋭である点から、スクアライン系色素を含むことが好ましく、国際公開第2021/221122号に記載の一般式(1)で表されるスクアライン色素を含むことがより好ましい。染料B及び染料Cとして上記の通り吸収波形が先鋭な色素を使用することにより、OLED表示装置の画像本来の色味をより優れたレベルで保持することができる。
 染料Dの具体例としては、例えば、ポルフィリン系、スクアライン系、シアニン(cyanine、CY)系、インドアニリン系の各色素(染料)が挙げられる。
 スクアライン系色素としては、国際公開第2023/228799号の[0089]~[0099]に記載の一般式(14)で表されるスクアライン系色素が好ましく挙げられる。
 インドアニリン系色素としては、国際公開第2023/234353号の段落[0064]~[0072]に記載の一般式(v)又は(v-a)で表されるインドアニリン系色素が好ましく挙げられる。
 上記光吸収層中における上記染料の含有量の合計は、0.1~50質量%が好ましく、0.3~40質量%がより好ましく、0.5~30質量%が更に好ましく、0.7~20質量%が特に好ましく、とりわけ1.0~15質量%が好ましい。
 上記光吸収層中における上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素の含有量の合計は、0.1~30質量%が好ましく、0.3~20質量%がより好ましく、0.5~15質量%が更に好ましく、0.7~10質量%が特に好ましく、とりわけ1.0~10質量%が好ましい。
 上記光吸収層が上記染料A~Dを含有する場合、上記光吸収層中における染料A~Dの含有量の合計は、0.01~45質量%が好ましく、0.1~30質量%がより好ましく、0.1~10質量%がさらに好ましい。
 上記光吸収層が上記染料A~Dを含有する場合、上記光吸収層中における各染料A~Dの含有量はいずれも、0.01~45質量%が好ましく、0.1~30質量%がより好ましく、0.1~10質量%が更に好ましい。
<樹脂>
 上記光吸収層に含まれる樹脂(以下、「マトリックス樹脂」とも称す。)は、上述の染料を分散(好ましくは溶解)することができ、所望の光透過性(波長400~800nmの可視領域における光透過率が80%以上であることが好ましい。)を有する限り、特に限定されるものではない。
 上記マトリックス樹脂は、上述の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素がより先鋭な吸収を示すことが可能な、低極性マトリックス樹脂を含むことが好ましい。ここで、低極性とは、下記関係式Iで定義されるfd値が0.45以上であることが好ましい。
      関係式I:fd=δd/(δd+δp+δh)
 関係式Iにおいて、δd、δp及びδhは、それぞれ、Hoy法により算出される溶解度パラメータδtに対する、London分散力に対応する項、双極子間力に対応する項、及び、水素結合力に対応する項を示す。具体的な算出方法については、国際公開第2022/138925号の段落[0131]~[0133]に記載の通りである。すなわち、fdはδdとδpとδhの和に対するδdの比率を示す。
 fd値を0.45以上とすることにより、より先鋭な吸収波形が得られやすくなる。
 また、光吸収層がマトリックス樹脂を2種以上含む場合、fd値は、下記のようにして算出する。
   fd=Σ(w・fd
 ここで、wはi番目のマトリックス樹脂の質量分率、fdはi番目のマトリックス樹脂のfd値を示す。
 また、上記マトリックス樹脂が一定の疎水性を示す樹脂であると、上記光吸収層の含水率を、例えば0.5%以下といった低含水率にすることができ、光吸収層を含む本発明の偏光板保護膜の耐光性を向上させる点から好ましい。
 なお、樹脂とは、ポリマーに加えて任意の慣用成分を含んでいてもよい。ただし、上記マトリックス樹脂のfdは、マトリックス樹脂を構成するポリマーについての算出値である。
 上記マトリックス樹脂の好ましい例としては、例えば、ポリスチレン樹脂及び環状ポリオレフィン樹脂が挙げられる。通常、ポリスチレン樹脂の上記fd値は0.45~0.60であり、環状ポリオレフィン樹脂の上記fd値は0.45~0.70である。
 また、例えば、これらの好ましい樹脂に加えて、後述する側鎖に芳香環あるいは脂環式構造を有するポリマーを含む樹脂、後述する伸長性樹脂成分、剥離性制御樹脂成分及び接着性良化樹脂成分等の光吸収層に機能性を付与する樹脂成分を用いることも好ましい。すなわち、本発明においてマトリックス樹脂とは、上述の樹脂及び後述の樹脂の他に、伸長性樹脂成分、剥離性制御樹脂成分及び接着性良化樹脂成分を含む意味で使用する。
 上記マトリックス樹脂が、ポリスチレン樹脂を含むことが、色素の吸収波形の先鋭化の点から好ましい。
(ポリスチレン樹脂)
 上記ポリスチレン樹脂に含まれるポリスチレンとしては、スチレン成分を含むポリマーを意味する。ポリスチレンはスチレン成分を50質量%以上含むことが好ましい。上記光吸収層は、ポリスチレンを、1種含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。ここで、スチレン成分とは、その構造中にスチレン骨格を有する単量体由来の構造単位である。
 ポリスチレンは、光弾性係数及び吸湿性を、偏光板保護膜を構成する光吸収層として好ましい範囲の値へ制御する点から、スチレン成分を70質量%以上含むことがより好ましく、85質量%以上含むことがさらに好ましい。また、ポリスチレンはスチレン成分のみから構成されていることも好ましい。
 ポリスチレンのうち、スチレン成分のみから構成されるポリスチレンとしては、スチレン化合物の単独重合体及び2種以上のスチレン化合物の共重合体が挙げられる。ここで、スチレン化合物とは、その構造中にスチレン骨格を有する化合物であり、スチレンの他、スチレンのエチレン性不飽和結合が反応(重合)性基として作用し得る範囲で置換基を導入した化合物を含む意味である。
 具体的なスチレン化合物として、例えば、スチレン;α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、p-エチルスチレン及びtert-ブチルスチレン等のアルキルスチレン;ヒドロキシスチレン、tert-ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、o-クロロスチレン及びp-クロロスチレン等のスチレンのベンゼン核に水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが導入された置換スチレンなどが挙げられる。中でも、入手しやすさ、材料価格などの観点から、本発明に用いるポリスチレンは、スチレンの単独重合体(すなわちポリスチレン)が好ましい。
 また、上記ポリスチレンに含まれ得るスチレン成分以外の構成成分としては、特に限定されない。すなわち、ポリスチレンは、スチレン-ジエン共重合体、又はスチレン-重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体等であってもよい。また、ポリスチレンと合成ゴム(例えば、ポリブタジエン及びポリイソプレン)の混合物を用いることもできる。また、合成ゴムにスチレンをグラフト重合させた耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)も好ましい。また、スチレン成分を含む重合体(例えば、スチレン成分と(メタ)アクリル酸エステル成分との共重合体)の連続相中にゴム状弾性体を分散させ、上記ゴム状弾性体に上記共重合体をグラフト重合させたポリスチレン(グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン「グラフトHIPS」という)も好ましい。さらに、いわゆるスチレン系エラストマーも好適に用いることができる。
 また、上記ポリスチレンは、水素添加されていてもよい(水添ポリスチレンであってもよい)。上記水添ポリスチレンとしては、特に限定されないが、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)に水素添加した水添スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、及び、SIS(スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体)に水素を添加した水添スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等の、水素添加されたスチレン-ジエン系共重合体が好ましい。上記水添ポリスチレンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
 また、上記ポリスチレンは、変性ポリスチレンであってもよい。上記変性ポリスチレンとしては、特に限定されないが、極性基等の反応性基が導入されたポリスチレンが挙げられ、具体的には、マレイン酸変性等の酸変性ポリスチレン及びエポキシ変性ポリスチレンが好ましく挙げられる。
 ポリスチレンとして、組成、分子量等が異なる複数種類のものを併用することができる。
 ポリスチレン系樹脂は、アニオン、塊状、懸濁、乳化又は溶液重合方法等の常法により得ることができる。また、ポリスチレンにおいては、共役ジエン及びスチレン単量体のベンゼン環の不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
 ポリスチレン樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、電気化学工業社製「クリアレン 530L」、「クリアレン 730L」、旭化成社製「タフプレン 126S」、「アサプレン T411」、クレイトンポリマージャパン社製「クレイトン D1102A」、「クレイトン D1116A」、スタイロルーション社製「スタイロルクス S」、「スタイロルクス T」、旭化成ケミカルズ社製、「アサフレックス 840」、「アサフレックス 860」(以上、SBS)、PSジャパン社製「679」、「HF77」、「SGP-10」、DIC社製「ディックスチレン XC-515」、「ディックスチレン XC-535」(以上、GPPS)、PSジャパン社製「475D」、「H0103」、「HT478」、DIC社製「ディックスチレン GH-8300-5」(以上、HIPS)などが挙げられる。水添ポリスチレン系樹脂としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製「タフテックHシリーズ」、シェルジャパン社製「クレイトンGシリーズ」(以上、SEBS)、JSR社製「ダイナロン」(水添スチレン-ブタジエンランダム共重合体)、クラレ社製「セプトン」(SEPS)などが挙げられる。また、変性ポリスチレン系樹脂としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製「タフテックMシリーズ」、ダイセル社製「エポフレンド」、JSR社製「極性基変性ダイナロン」、東亞合成社製「レゼダ」などが挙げられる。
 ポリスチレン樹脂として、接着改良作用を示すポリスチレン樹脂(接着改良性樹脂とも称す。)を含有することも好ましい。接着改良性樹脂は、上述のポリスチレン樹脂に接着性を付与する官能基及び/又は熱架橋性基を付与したものであることがより好ましい。
 接着性を付与する官能基としては、ポリビニルアルコールと水素結合する基であり、オキサゾリル基(オキザソリン基と称されることもある。)、カルボンアミド基、スルフォンアミド基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
 また、接着改良性樹脂は熱架橋性基を有することも好ましい。熱架橋性基とは、加熱により架橋反応を起こして架橋する基であり、その具体例としてはカルボキシ基、オキサゾリル基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、マレイミド基、アセトアセトキシ基、エポキシ基、アミノ基、フリル基、酸無水物基等が挙げられる。接着改良性樹脂及び後述する共重合体(a)がいずれも熱架橋性基を有している場合には、これらの熱架橋性基を反応させることで、共重合体(a)を偏光板保護膜の表面に固定化することができ、より高い接着性を発現させることが可能となる。熱架橋性基間の反応は、加熱により行うことができる。この場合、加熱により熱架橋性基を反応させることで共重合体(a)を偏光板保護膜機能性膜の表面に固定化することができるため、分子内に反応性基を有する化合物(モノマー)を含有させ、かつこのモノマーを紫外線等の電離放射線照射によって硬化させることにより共重合体(a)を機能性膜の表面に固定化するプロセスが不要となるので好ましい。
 接着改良性樹脂の具体例としては、国際公報2019/066043号の段落[0090]及び[0091]に記載の熱架橋性基を有するスチレン系樹脂が挙げられる。なお、接着改良性樹脂はこれらに限定されない。
 また、上述した水添ポリスチレン樹脂及びそれに接着性を付与する官能基及び/又は熱架橋性基を付与したものも接着改良性樹脂として好ましく用いることができる。具体的には、旭化成ケミカルズ社製「タフテックHシリーズ」、シェルジャパン社製「クレイトンGシリーズ」(以上、SEBS)、JSR社製「ダイナロン」(水添スチレン-ブタジエンランダム共重合体)、クラレ社製「セプトン」(SEPS)、旭化成ケミカルズ社製「タフテックMシリーズ」、ダイセル社製「エポフレンド」、JSR社製「極性基変性ダイナロン」、東亞合成社製「レゼダ」などが挙げられる。
 接着改良性樹脂は1種単独で用いてもよいし、接着改良性樹脂として、繰り返し単位の組成、分子量等が異なる複数種類のものを併用することもできる。
 接着改良性樹脂は、公知のアニオン、塊状、懸濁、乳化又は溶液重合方法により得ることができる。また、接着改良性樹脂においては、共役ジエン及び/又はスチレン系単量体のベンゼン環の不飽和二重結合が水素添加されていてもよい。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
 接着改良性樹脂の含有量は上記マトリックス樹脂の含有量の範囲内であればよい。
 上記光吸収層は、上記ポリスチレン樹脂に加えてポリフェニレンエーテル樹脂を含有することも好ましい。ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とを併せて含有することにより光吸収層の靭性を向上させ、高温高湿等の過酷な環境下においてもクラック等の欠陥の発生を抑制することができる。
 上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては、旭化成社製のザイロンS201A、同S202A、同S203A(いずれも商品名)等を好ましく用いることができる。また、あらかじめポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との混合樹脂としては、例えば、旭化成社製のザイロン1002H、同1000H、同600H、同500H、同400H、同300H、同200H(いずれも商品名)等を好ましく用いることができる。
 上記光吸収層において、ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とを含有する場合、両者の質量比は、ポリスチレン樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂で、99/1~50/50が好ましく、98/2~60/40がより好ましく、95/5~70/30がさらに好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂の配合比率を上記好ましい範囲とすることにより、光吸収層は十分な靱性を有し、また溶液成膜をした場合には溶剤を適度に揮散させることができる。
(環状ポリオレフィン樹脂)
 上記環状ポリオレフィン樹脂(ポリシクロオレフィン樹脂とも称される。)に含まれる環状ポリオレフィンを形成する環状オレフィン化合物としては、炭素-炭素二重結合を含む環構造を持つ化合物であれば特に制限されず、例えば、ノルボルネン化合物、ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物、環状共役ジエン化合物及びビニル脂環式炭化水素化合物等が挙げられる。
 環状ポリオレフィンとしては、例えば、(1)ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(2)ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(3)環状共役ジエン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、(1)~(4)の各化合物に由来する構造単位を含む重合体の水素化物等が挙げられる。
 本発明において、ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体には、各化合物の開環重合体を含む。
 上記環状ポリオレフィン樹脂として、国際公開第2023/228799号の[0112]~[0125]に記載の環状ポリオレフィン樹脂の記載をそのまま適用することができる。
(側鎖に芳香環あるいは脂環式構造を有するポリマー)
 上記樹脂を構成するポリマーとして、紫外線照射による樹脂の分子量低下がおこりにくい観点から側鎖に芳香環あるいは脂環式構造を有するポリマー(以下、ポリマーPとも称す。)も好ましく挙げられ、芳香環あるいは脂環式構造を有する構成単位を含む(メタ)アクリルポリマーがより好ましい。
 ここで、(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含むポリマーを指す。
 また、本発明において、「主鎖」とは、高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
 芳香環を有する構成単位を導くモノマーとしては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルアクリレート、ナフチルメタクリレート、ナフチルメチルアクリレート及びナフチルメチルメタクリレート等が挙げられる。
 上記ポリマーPがカルボキシ基を有する構成単位を含有しない場合、芳香環を有する構成単位の含有量は、ポリマーPの全構成単位の合計を100モル%とした際に、5~100モル%が好ましく、10~100モル%がより好ましく、20~100モル%が更に好ましい。
 上記ポリマーPがカルボキシ基を有する構成単位を含有する場合、芳香環を有する構成単位の含有量は、ポリマーPの全構成単位の合計を100モル%とした際に、0~97モル%が好ましく、0~95モル%がより好ましく、0~90モル%が更に好ましく、0~80モル%が特に好ましい。
 脂環式構造を有する構成単位を導くモノマーとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 上記ポリマーPが脂環式構造を有する構成単位を含む場合、脂環式構造を有する構成単位の含有量は、ポリマーPの全構成単位の合計を100モル%とした際に、1~90モル%が好ましく、5~90モル%がより好ましく、5~80モル%がさらに好ましい。
 また、上記ポリマーPは、カルボキシ基を有する構成単位を含んでいることも好ましい。カルボキシ基を有する構成単位を導くモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
 上記ポリマーPがカルボキシ基を有する構成単位を含む場合、カルボキシ基を有する構成単位の含有量は、ポリマーPの全構成単位の合計を100モル%とした際に、1~70モル%が好ましく、1~60モル%がより好ましく、5~60モル%が更に好ましく、10~60モル%が特に好ましく、なかでも20~55モル%が好ましい。
 上記ポリマーPはガラス転移温度の調節等の観点から、炭素数1~14のアルキル基を有する構成単位を含んでいてもよい。炭素数1~14のアルキル基を有する構成単位としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位が挙げられる。本発明では、炭素数1~14のアルキル基を有する構成単位を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。炭素数1~14のアルキル基を有する構成単位の含有量は、ポリマーP中に0~95モル%含まれることが好ましい。
 樹脂を構成するポリマーとしては、上述のポリスチレン樹脂と上記ポリマーPとを含むことが好ましい。この場合、上述のポリスチレン樹脂は、上述の接着改良作用を示すポリスチレン樹脂を含むことが好ましい。
 樹脂を構成するポリマー中において、上述のポリスチレン樹脂と上記ポリマーPとの含有割合は、例えば、30~95:5~70が好ましく、40~95:5~60がより好ましく、50~95:5~50が更に好ましい。
 上記樹脂を構成するポリマーの質量平均分子量(Mw)は、5千~50万であることが好ましく、1万~20万であることがより好ましく、1.5万~20万であることが更に好ましい。
 なお、本発明において、ポリマーの質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算の分子量として計測することができる。
 具体的には、GPC装置HLC-8220(商品名、東ソー社製)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラムはG3000HXL+G2000HXL(いずれも商品名、東ソー社製)を用い、23℃で流量は1mL/minで、RI(示差屈折率)で検出できる。
 ポリマーを2種以上含む場合には、いずれのポリマーの質量平均分子量も上記好ましい範囲を満たすことが好ましい。
 上記光吸収層中におけるマトリックス樹脂の含有量は、50質量%以上100質量%未満が好ましく、60質量%以上100質量%未満がより好ましく、65質量%以上100質量%未満がさらに好ましい。上限値は99質量%以下であることも好ましく、97質量%以下がより好ましい。
 マトリックス樹脂は、一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(伸長性樹脂成分)
 上記光吸収層は、樹脂成分として伸長性を示す成分(伸長性樹脂成分とも称す。)を適宜選んで含むことができる。具体的には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、スチレン-ブタジエン樹脂(SB樹脂)、イソプレン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリエーテル-ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂をさらに、適宜水素添加してもよい。
 上記伸長性樹脂成分としては、ABS樹脂又はSB樹脂を用いることが好ましく、SB樹脂を用いることがより好ましい。
 上記SB樹脂は、例えば、市販されているものが使用できる。このような市販品として、TR2000、TR2003、TR2250(以上、商品名、JSR社製)、クリアレン210M、220M、730V(以上、商品名、デンカ社製)、アサフレックス800S、805、810、825、830、840(以上、商品名、旭化成社製)、エポレックスSB2400、SB2610、SB2710(以上、商品名、住友化学社製)等を挙げることができる。
 上記光吸収層が伸長性樹脂成分を含む場合、マトリックス樹脂中に伸張性樹脂成分を、15~95質量%含むことが好ましく、20~50質量%含むことがより好ましく、25~45質量%含むことがさらに好ましい。
 上記伸長性樹脂成分としては、伸長性樹脂成分を単独で用いて、厚さ30μm、幅10mmの形態の試料を作製し、25℃での破断伸度をJIS 7127に基づき計測した際に、破断伸度が10%以上を示すものが好ましく、20%以上を示すものがより好ましい。
(接着性良化樹脂成分)
 マトリックス樹脂に、偏光板保護膜における光吸収層に接する層などとの接着性を高める成分(接着性良化樹脂成分)を含有させることにより、偏光板保護膜における光吸収層と他の層、膜、フィルム、又は他の物品との、より高い接着性を発現させることも好ましい。特に、偏光板保護膜と偏光子との接着性を良化させる成分を含有させることが好ましい。
 以下の説明では、偏光板保護膜における光吸収層を接着させる対象(接着対象)が接着層又は偏光子である場合を例として説明するが、接着対象はこれらに限定されない。
-ボロン酸基又はボロン酸エステル基含有共重合体-
 上記光吸収層は、他の層などとの接着性を高める成分として、ボロン酸基又はボロン酸エステル基含有共重合体、例えば下記一般式(ID)で表される繰り返し単位と、下記一般式(IID)で表される繰り返し単位とを含む共重合体(以下、「共重合体(a)」とも呼ぶ。)、及び/又は共重合体(a)に由来する架橋反応物を含有してもよい。
 なお、上記光吸収層は、共重合体(a)及び共重合体(a)に由来する架橋反応物の少なくとも1種を含有することが好ましく、どちらか1種のみを含有していてもよいし、両方を含有していてもよい。
 一般式(ID)中、Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示す。Rは少なくとも1つのフッ素原子を置換基として有する炭素数1~20のアルキル基、又は-Si(Ra3)(Ra4)O-を含む基を示す。Ra3及びRa4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、又はアリール基を示す。Lは-O-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、2価の脂肪族鎖状基、及び2価の脂肪族環状基のうちの少なくとも1つから構成される2価の連結基を示す。
 一般式(IID)中、R10は水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示す。R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を示し、R11とR12とは連結していてもよい。Xは、2価の連結基を示す。
--共重合体(a)、又は共重合体(a)に由来する架橋反応物--
 以下、上記光吸収層に含有され得る共重合体(a)、又は共重合体(a)に由来する架橋反応物について説明する。
 一般式(ID)中のRは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示し、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましい。
 一般式(ID)中のRは少なくとも1つのフッ素原子を置換基として有する炭素数1~20のアルキル基(フルオロアルキル基)が好ましく、炭素数1~18のフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数2~15のフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。また、フルオロアルキル基中のフッ素原子数は、1~25であることが好ましく、3~21であることがより好ましく、5~21であることが最も好ましい。
 一般式(ID)中のLは-O-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、2価の脂肪族鎖状基、及び2価の脂肪族環状基からなる群より選択される少なくとも1つから構成される2価の連結基を示す。なお、-(C=O)O-は、R側の炭素原子とC=Oが結合し、RとOが結合することを表し、-O(C=O)-は、R側の炭素原子とOが結合し、RとC=Oが結合することを表す。
 Lが採り得る2価の脂肪族鎖状基としては、炭素数1~20のアルキレン基が好ましく、炭素数1~10のアルキレン基がより好ましい。
 Lが採り得る2価の脂肪族環状基としては、炭素数3~20のシクロアルキレン基が好ましく、炭素数3~15のシクロアルキレン基がより好ましい。
 Lとしては、-(C=O)O-又は-O(C=O)-が好ましく、-(C=O)O-がより好ましい。
 接着性に有利な表面偏在性(共重合体(a)を上記光吸収層の表面に偏在させる機能)の観点及びラジカル重合性の観点から、一般式(ID)で表される繰り返し単位は、下記一般式(IIID)で表される繰り返し単位であることが特に好ましい。
 一般式(IIID)中、Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示す。ma及びnaは各々独立に1~18の整数であり、ma+na≦19を満たす。Xは水素原子又はフッ素原子を示す。
 一般式(IIID)中のRは一般式(ID)中のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
 一般式(IIID)中のma及びnaは各々独立に1~18の整数である。
 接着性に有利な表面偏在の観点並びに原料入手及び製造の容易さの観点から、一般式(IIID)中のmaは1~8の整数であることが好ましく、1~5の整数であることがより好ましい。また、naは1~15の整数であることが好ましく、1~12の整数であることがより好ましく、2~10の整数であることがさらに好ましく、5~7の整数が最も好ましい。
 一般式(IIID)中のXは水素原子又はフッ素原子を示し、フッ素原子が好ましい。
 一般式(ID)又は一般式(IIID)で表される繰り返し単位は、置換可能な場合にはさらに置換基を有していてもよい。置換基としては、国際公報2019/066043号の段落[0154]~[0168]に記載の置換基群Yから選択されるものが好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。
 一般式(ID)又は(IIID)で表される繰り返し単位は、単量体の重合により導入することができる。好ましい単量体としては、例えば2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 一般式(ID)中のRは、-Si(Ra3)(Ra4)O-(シロキサン結合)を含む基であってもよく、-Si(Ra3)(Ra4)O-で表されるシロキサン結合を繰り返し単位として含むポリシロキサン構造を有することも別の態様として好ましい。この場合、共重合体(a)としては、ポリシロキサン構造が側鎖に導入されたグラフト共重合体であることが好ましい。このグラフト共重合体を得るためのシロキサン結合を有する化合物は、下記一般式(IVD)で表される化合物であることがより好ましい。
 Ra3及びRa4は、それぞれ独立に炭素数1~12のアルキル基(ハロアルキル基を含む)、又はアリール基を示す。アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基を挙げることができる。アルキル基はハロゲン原子で置換されたハロアルキル基でもよく、ハロアルキル基としては、炭素数1~10のフッ素化アルキル基が好ましい。例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基を挙げることができる。アリール基としては、炭素数6~20のアリール基が好ましい。例えばフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。なかでも、Ra3及びRa4は、メチル基、トリフルオロメチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
 Ra1は水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示す。
 Ra5は、炭素数1~12のアルキル基を示し、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
 nnは、10~1000の整数が好ましく、20~500の整数がより好ましく、30~200の整数がさらに好ましい。
 一般式(IVD)中のnn個のRa3は同じでも異なっていてもよく、nn個のRa4は同じでも異なっていてもよい。
 グラフト共重合用のシロキサン結合を有する化合物としては、片末端(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサンマクロマー(例えば、サイラプレーン0721、同0725(以上、商品名、JNC(株)製)、AK-5、AK-30、AK-32(以上、商品名、東亜合成(株)社製)、KF-100T、X-22-169AS、KF-102、X-22-3701IE、X-22-164B、X-22-164C、X-22―5002、X-22-173B、X-22-174D、X-22-167B、X-22-161AS(以上、商品名、信越化学工業(株)製))等を挙げることができる。
 次に、下記一般式(IID)について説明する。
 共重合体(a)は、上記一般式(ID)で表される繰り返し単位に加え、一般式(IID)で表される繰り返し単位を含む。共重合体(a)は、一般式(IID)で表される繰り返し単位が、水酸基に対して強い相互作用を持つ。即ち、基材上に光吸収層形成用の組成物の塗布液を塗布した後に、上記塗布液表面に、水酸基を有する接着層を設けると、一般式(IID)で表される繰り返し単位の一部又は全部が水酸基と相互作用することにより、共重合体(a)は水酸基を有する接着層界面及び接着層の内部に拡散して吸着される。
 したがって、光吸収層と接着層が接した後では、上記塗布液中に添加された一般式(IID)で表される繰り返し単位を有する共重合体(a)は、光吸収層、接着層、及び、両者の界面で、一般式(IID)そのままの化学構造を有する共重合体、若しくは、一般式(IID)で表される繰り返し単位が接着層の水酸基と反応した構造を有する誘導体(架橋反応物)として存在する。
 このように、一般式(IID)で表される繰り返し単位を有する共重合体(a)が接着層と相互作用するため、接着層及び/又は光吸収層中に存在する共重合体(a)の比率に拘らず、共重合体(a)を含む光吸収層と接着層との接着性を高めることができ、その結果、接着層を介した偏光子との接着性を高めることができる。また、ポリビニルアルコールを含む偏光子と光吸収層との接着性についても、同様に高めることができる。
 また、光吸収層を接着層以外のものに張り付ける場合であっても、対象物が表面に水酸基を有する場合には、接着層の場合と同様に、接着性を高めることができる。
 一般式(IID)中、R10は水素原子又は炭素数1~10のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
 一般式(IID)中、R11及びR12として採り得る、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、置換若しくは無置換の、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。
 上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-ノルボルニル基等の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
 上記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
 上記アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、1-オクチニル基等が挙げられる。
 R11及びR12が採りうる置換若しくは無置換のアリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。また、2個から4個のベンゼン環が縮合環を形成したものから水素原子を1個除して得られる基、ベンゼン環と不飽和五員環とが縮合環を形成したものから水素原子を1個除して得られる基を挙げることができ、具体例としてはナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
 また、R11及びR12がそれぞれ採りうる置換若しくは無置換のヘテロアリール基の例としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものが含まれる。窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環の具体例としては、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、アントラニル、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
 R11とR12とは連結していてもよく、この場合には、R11及びR12がそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であって、これらが互いに連結していることが好ましく、R11及びR12がアルキル基であって、これらが互いに連結していることがより好ましい。
 一般式(IID)中、Xで表される2価の連結基としては、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-(C=O)NH-、-O-、-CO-、-NH-、-O(C=O)-NH-、-O(C=O)-O-、及び-CH-から選択される結合を少なくとも1つ含み、かつ炭素数が7以上である連結基が好ましい。Xで表される2価の連結基は、アリーレン基であることも好ましい。
 一般式(IID)中の、R11、R12及びXは、可能な場合は1個以上の置換基によって置換されていてもよい。置換基としては水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、例えば、国際公報2019/066043号の段落[0154]~[0168]に記載の置換基群Yから選ばれる。
 また、これらの国際公報2019/066043号の段落[0154]~[0168]に記載の置換基群Yにおける置換基は、可能であるならば置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよい。
 一般式(IID)中のR11及びR12はそれぞれ独立に水素原子若しくはアルキル基であるか、又は共にアルキル基であり互いに結合して環を形成していることが好ましく、R11及びR12は共に水素原子であるか、又は共にアルキル基であり互いに結合して環を形成していることがより好ましい。
 接着性の観点から、一般式(IID)で表される繰り返し単位は、下記一般式(VD)で表される繰り返し単位であることが好ましい。一般式(VD)で表される繰り返し単位による接着性の向上は、水酸基を有する接着層と極性を近づける効果によると推定する。
 一般式(VD)中、R10、R11及びR12はそれぞれ一般式(IID)中のR10、R11及びR12と同義である。X11は-(C=O)O-、-O(C=O)-、-(C=O)NH-、-O-、-CO-、-CH-からなる群より選択される2価の連結基を示す。X12は-(C=O)O-、-O(C=O)-、-(C=O)NH-、-O-、-CO-、-NH-、-O(C=O)-NH-、-O(C=O)-O-、-CH-から選択される結合を少なくとも1つ含み、かつ置換若しくは無置換の芳香環を少なくとも1つ含む2価の連結基を示す。ただし、上記X11と上記X12の合計炭素数は7以上である。
 一般式(VD)中のX11としては、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-(C=O)NH-が好ましく、-(C=O)O-が最も好ましい。
 X12は、芳香環を1~5個含むことが好ましく、芳香環を2~4個含むことがより好ましく、芳香環を2~3個含むことが更に好ましい。X12が有する芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
 一般式(VD)中のR10、R11及びR12の好ましい範囲はそれぞれ、一般式(IID)中のR10、R11及びR12と同様である。
 一般式(IID)又は(VD)で表される繰り返し単位は、下記一般式(VID)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
 一般式(VID)中、X21は-(C=O)O-、又は-(C=O)NH-を示す。X22は-(C=O)O-、-O(C=O)-、-(C=O)NH-、-O-、-CO-、-NH-、-O(C=O)-NH-、-O(C=O)-O-、-CH-から選択される結合を少なくとも1つ含む2価の連結基である。X22は置換若しくは無置換の芳香環を含んでいてもよい。
 一般式(VID)中のR10、R11及びR12の好ましい範囲はそれぞれ、一般式(IID)中のR10、R11及びR12と同様である。X22が有する芳香環は、X12が有する芳香環と同様である。
 一般式(IID)、(VD)又は(VID)で表される繰り返し単位は、単量体の重合により得ることができる。一般式(IID)、(VD)又は(VID)で表される繰り返し単位を与える好ましい単量体の具体例としては、国際公報2019/066043号の段落[0165]~[0168]に記載の単量体が挙げられる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
 また、本発明における共重合体(a)は、必要に応じて、一般式(ID)で表される繰り返し単位及び一般式(IID)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位(その他の繰り返し単位)を有していてもよい。
 その他の繰り返し単位を与える他の種類の単量体としては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975) Chapter2 Page1~483に記載のものを用いることが出来る。例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
 その他の繰り返し単位を与える単量体として具体的には、国際公報2019/066043号の段落[0171]~[0175]に記載の単量体を挙げることができる。
 また、重合後のポリマーを高分子反応にて構造を変換し、一般式(ID)又は一般式(IID)で表される繰り返し単位以外の構造を導入することも可能である。
 また、共重合体(a)は、熱架橋性基を有していることが好ましい。共重合体(a)が有する熱架橋性基としては、ポリスチレン樹脂において説明したものと同様のものを用いることができる。共重合体(a)は、熱架橋性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。熱架橋性基を有する繰り返し単位を与える単量体としては、上述のその他の繰り返し単位を与える単量体であって熱架橋性基を有するもの、若しくはその他の繰り返し単位を与える単量体に熱架橋性基が置換したものが挙げられる。
 共重合体(a)は、光吸収層中に含まれる他の化合物と熱架橋することが特に好ましい。熱架橋することにより、共重合体(a)を光吸収層の表面に固定化することができ、光吸収層と他の層、膜、フィルム、又は他の物品との、より高い接着性を発現することが可能となる。なかでも、共重合体(a)及び後述するスチレン系樹脂がそれぞれ互いに反応性を示す熱架橋性基を有することが好ましい。
 共重合体(a)中の、一般式(ID)で表される繰り返し単位の含有量は、共重合体(a)全質量に対して、5~95質量%が好ましく、8~90質量%がより好ましく、10~85質量%がさらに好ましい。
 共重合体(a)中の、一般式(IID)で表される繰り返し単位の含有量は、共重合体(a)全質量に対して、0.5~80質量%が好ましく、1~70質量%がより好ましく、2~60質量%がさらに好ましい。
 共重合体(a)中の、熱架橋性基を有する繰り返し単位の含有量は、共重合体(a)全質量に対して、0.5~90質量%が好ましく、1~85質量%がより好ましく、2~80質量%がさらに好ましい。
 共重合体(a)の質量平均分子量(Mw)は、1000~200000が好ましく、1800~150000がより好ましく、2000~150000がさらに好ましく、2500~140000が特に好ましく、20000~120000が極めて好ましい。
 共重合体(a)の数平均分子量(Mn)は、500~160000が好ましく、600~120000がより好ましく、600~100000がさらに好ましく、1000~80000が特に好ましく、2000~60000が極めて好ましい。
 共重合体(a)の分散度(Mw/Mn)は、1.00~18.00が好ましく、1.00~16.00がより好ましく、1.00~14.00がさらに好ましく、1.00~12.00が特に好ましく、1.00~10.00が極めて好ましい。
 なお、質量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定された値である。
 [溶離液] N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
 [装置名] EcoSEC HLC-8320GPC(東ソー株式会社製)
 [カラム] TSKgel SuperAWM-H(東ソー株式会社製)
 [カラム温度] 40℃
 [流速] 0.50ml/min
 共重合体(a)は、公知の方法で合成することができる。
 共重合体(a)の具体例としては、国際公報2019/066043号の段落[0185]~[0188]に記載の共重合体が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
 共重合体(a)の含有量は上記マトリックス樹脂の含有量の範囲内であればよい。上記共重合体(a)は、光吸収層の機能を損なわず、接着対象との接着を強化する観点から、上記光吸収層の全固形分(溶剤を除いた全成分)を100質量%とした場合に、0.0001~40質量%含有されることが好ましく、0.001~20質量%含有されることがより好ましく、0.005~10質量%含有されることがさらに好ましい。
 マトリックス樹脂は、上記の接着改良性樹脂とは別に、上述の接着性を付与する官能基及び/又は熱架橋性基を付与した樹脂を含有していてもよい。
<その他の成分>
 上記光吸収層は、レベリング剤(界面活性剤)、国際公開第2021/014973号の段落[0245]~[0261]に記載の褪色防止剤、国際公開第2021/014973号の段落[0262]~[0264]に記載のマット剤等を含んでいてもよい。
 また、上記光吸収層が、樹脂として国際公開第2021/132674号の[0145]~[0189]に記載のマトリックス樹脂の記載を適用する場合には、下記会合抑制剤を含んでいてもよい。
(会合抑制剤)
 上記光吸収層は上記染料と相互作用することにより、上記光吸収層中における染料分子同士の会合を抑制又は防止するため、会合抑制剤を含有することが好ましい。会合抑制剤によって、上記光吸収層中に含まれる染料の吸収波形を先鋭にし、耐光性を向上させる機能を発現する化合物として、会合抑制剤を含有することが好ましい。本発明に用いる会合抑制剤としては、国際公開第2022/138925号の段落[0177]~[0228]に記載の会合抑制剤を用いることができる。
 上記光吸収層が会合抑制剤を含有する場合、上記光吸収層中における会合抑制剤の含有量は、0.1~30質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、2~15質量%がさらに好ましい。
 上記会合抑制剤は、上記光吸収層中において、上記染料の合計含有量100質量部に対して、10~1000質量部の割合で含まれることが好ましく、20~700質量部の割合で含まれることがより好ましく、30~500質量部の割合で含まれることがさらに好ましい。
(レベリング剤)
 上記光吸収層には、レベリング剤(界面活性剤)を適宜混合することができる。レベリング剤としては、常用の化合物を使用することができ、特に含フッ素界面活性剤が好ましい。具体的には、例えば、特開2001-330725号公報明細書中の段落番号[0028]~[0056]記載の化合物が挙げられ、特開2001-330725号公報明細書中の段落番号[0054]に記載の式(IV)で表されるコポリマーにおけるフッ素置換アルキル基を有する構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位とからなるコポリマーも好ましく挙げられる。また、市販品としては、DIC社製のメガファックF(商品名)シリーズを使用することもできる。
 上記光吸収層中のレベリング剤の含有量は目的に応じて適宜に調整される。
 上記光吸収層は、上記各成分に加え、低分子可塑剤、オリゴマー系可塑剤、レタデーション調整剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離促進剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、フィラー及び相溶化剤等を含有してもよい。
<光吸収層の製造方法>
 上記光吸収層は、常法により、溶液製膜法、溶融押出し法、又は、基材フィルム(剥離フィルム)上に任意の方法でコーティング層を形成する方法(コーティング法)で作製することができ、適宜延伸を組み合わせることもできる。上記光吸収層は、好ましくはコーティング法により作製される。
 上記の溶液製膜法及び溶融押出し法としては、国際公開第2021/014973号の[0268]~[0274]における溶液製膜法及び溶融押出し法の記載をそのまま適用することができる。
(コーティング法)
 コーティング法では、基材フィルムに上記光吸収層の材料の溶液を塗布し、コーティング層を形成する。基材フィルム表面には、コーティング層との接着性を制御するため、適宜、離型剤等を予め塗布しておいてもよい。コーティング層は、基材フィルムが積層された構成のまま、偏光板、液晶表示装置に組み込むこともでき、後工程で接着層を介して他の部材と積層させた後、基材フィルムを剥離して用いることもできる。接着層を構成する接着剤については、任意の接着剤を適宜使用することができる。なお、基材フィルム上に、上記光吸収層の材料の溶液を塗布した状態又はコーティング層が積層された状態で、適宜基材フィルムごと延伸することができる。
 上記光吸収層の材料の溶液に用いられる溶媒は、上記光吸収層の材料を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で適宜選択することができる。
-染料(色素)の添加-
 上記光吸収層の材料に上記染料を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、上記マトリックス樹脂を構成するポリマーの合成時点で添加してもよいし、上記光吸収層の材料のコーティング液調製時に上記光吸収層の材料と混合してもよい。
-基材フィルム-
 上記光吸収層を、コーティング法等で形成させるために用いられる基材フィルムは、膜厚が5~100μmであることが好ましく、10~75μmがより好ましく、15~55μmがさらに好ましい。膜厚が上記好ましい下限値以上であると、十分な機械強度を確保しやすく、カール、シワ、座屈等の故障が生じにくい。また、膜厚が上記好ましい上限値以下であると、上記光吸収層と基材フィルムとの複層フィルムを、例えば長尺のロール形態で保管する場合に、複層フィルムにかかる面圧を適正な範囲に調整しやすく、接着の故障が生じにくい。
 基材フィルムの表面エネルギーは、特に限定されることはないが、上記光吸収層の材料及びコーティング溶液の表面エネルギーと、基材フィルムの上記光吸収層を形成させる側の表面の表面エネルギーとの関係性を調整することによって、上記光吸収層と基材フィルムとの間の接着力を調整することができる。表面エネルギー差を小さくすれば、接着力が上昇する傾向があり、表面エネルギー差を大きくすれば、接着力が低下する傾向があり、適宜設定することができる。
 水及びヨウ化メチレンの接触角値からOwensの方法を用いて、基材フィルムの表面エネルギーを計算することが出来る。接触角の測定には、例えば、DM901(協和界面科学社製、接触角計)を用いることができる。
 基材フィルムの上記光吸収層を形成する側の表面エネルギーは、41.0~48.0mN/mであることが好ましく、42.0~48.0mN/mであることがより好ましい。表面エネルギーが上記好ましい下限値以上であると、上記光吸収層の厚みの均一性を高められ、上記好ましい上限値以下であると、上記光吸収層を基材フィルムとの剥離力を適切な範囲に制御しやすい。
 また、基材フィルムの表面凹凸は、特に限定されることはないが、上記光吸収層表面の表面エネルギー、硬度、表面凹凸と、基材フィルムの上記光吸収層を形成させる側とは反対側の表面の表面エネルギー、硬度との関係性に応じて、例えば上記光吸収層と基材フィルムとの複層フィルムを長尺のロール形態で保管する場合の接着故障を防ぐ目的で調整することができる。表面凹凸を大きくすれば、接着故障を抑制する傾向にあり、表面凹凸を小さくすれば、上記光吸収層の表面凹凸が減少し、偏光板保護膜のヘイズが小さくなる傾向にあり、適宜設定することができる。
 このような基材フィルムとしては、任意の素材及びフィルムを適宜使用することができる。具体的な材料として、ポリエステル系ポリマー(ポリエチレンテレフタレート系を含む)、オレフィン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリアミド系ポリマー等を挙げることができる。また、基材フィルムの表面性を調整する目的で、適宜表面処理を行うことが出来る。表面エネルギーを低下させるには、例えば、コロナ処理、常温プラズマ処理、鹸化処理等を行うことができ、表面エネルギーを上昇させるには、シリコーン処理、フッ素処理、オレフィン処理等を行うことができる。
-光吸収層と基材フィルムとの剥離力-
 上記光吸収層を、コーティング法で形成させる場合、上記光吸収層と基材フィルムとの間の剥離力は、上記光吸収層の材料、基材フィルムの材料、上記光吸収層の内部歪み等を調整して制御することができる。この剥離力は、例えば、基材フィルムを90°方向に剥がす試験で測定することができ、300mm/分の速度で測定したときの剥離力が、0.001~5N/25mmが好ましく、0.01~3N/25mmがより好ましく、0.05~1N/25mmがさらに好ましい。上記好ましい下限値以上であれば、基材フィルムの剥離工程以外での剥離を防ぐことができ、上記好ましい上限値以下であれば、剥離工程における剥離不良(例えば、ジッピング及び光吸収層の割れ)を防ぐことができる。
<光吸収層の膜厚>
 上記光吸収層の膜厚は、特に制限されないが、1~18μmが好ましく、1~12μmがより好ましく、1~8μmがさらに好ましい。上記好ましい上限値以下であれば、薄いフィルムに高濃度で染料を添加することにより、染料(色素)が発する蛍光による偏光度の低下を抑えることができる。また、消光剤及び褪色防止剤を含有する場合にはその効果も発現しやすい。一方、上記好ましい下限値以上であると、面内の吸光度の均一度を維持しやすくなる。また、上記好ましい範囲内とすることにより、液晶表示装置に組み込んだ際には、高温高湿経時後の表示ムラが発生しにくく、光吸収層製造時及び偏光板作製時に安定に搬送させることができる。
 本発明において膜厚が1~18μmであるとは、上記光吸収層の厚さを、どの部位で測っても1~18μmの範囲内にあることを意味する。このことは、膜厚1~12μm、1~8μmについても同様である。膜厚は、電子マイクロメーター(例えば、アンリツ社製)により測定することができる。
<光吸収層の吸光度>
 上記光吸収層において、上記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素が示す最大吸光度は、通常、0.01~1が好ましく、0.1~0.6がより好ましい。
 上記光吸収層において、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素の吸光度は、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素の種類及び添加量(光吸収層中における含有量)等により調整することができる。
<光吸収層の含水率>
 上記光吸収層の含水率は、耐久性の観点から、膜厚に関わらず、25℃、相対湿度80%の条件において、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
 本明細書において、光吸収層の含水率は、必要に応じて膜厚を厚くした試料を用いて測定することができる。試料を24時間以上調湿した後に、水分測定器、試料乾燥装置(例えば、“CA-03”及び“VA-05”(共に三菱化学社製))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g、水分量を含む)で除して算出できる。
<光吸収層のガラス転移温度(Tg)>
 上記光吸収層のガラス転移温度は、50~140℃が好ましく、60~130℃がより好ましく、70~120℃がさらに好ましい。ガラス転移温度が上記好ましい下限値以上であると、高温使用した場合の劣化を抑制することができ、ガラス転移温度が上記好ましい上限値以下であると、塗布液に使用した有機溶剤の上記光吸収層中への残存のしやすさを抑制することができる。
 上記光吸収層のガラス転移温度は以下の方法により測定できる。
 示差走査熱量測定装置(X-DSC7000(アイティー計測制御社製))にて、光吸収層20mgを測定パンに入れ、これを窒素気流中で速度10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分間保持した後、30℃まで-20℃/分で冷却する。この後、再度30℃から250℃まで速度10℃/分で昇温して、ベースラインが低温側から偏倚し始める温度をガラス転移温度Tgとした。上記光吸収層のガラス転移温度は、ガラス転移温度の異なる2種類以上のポリマーを混合することにより、あるいは褪色防止剤等の低分子化合物の添加量を変化させることにより調節することができる。
<光吸収層の処理>
 上記光吸収層には任意のグロー放電処理、コロナ放電処理、又は、アルカリ鹸化処理などにより親水化処理を施してもよく、コロナ放電処理が好ましく用いられる。本発明においては、上記光吸収層に親水化処理を施した後、偏光子との貼り合わせに用いることも好ましい。なお、偏光子との貼り合わせにおいては、後述の接着層を介して貼り合わせてもよい。特開平6-94915号公報、又は同6-118232号公報などに開示されている方法などを適用することも好ましい。
 なお、得られた膜には、必要に応じて、熱処理工程、過熱水蒸気接触工程、有機溶媒接触工程などを実施することができる。また、適宜に表面処理を実施してもよい。
〔偏光板〕
 本発明の偏光板は、本発明の偏光板保護膜を含む。
 本発明の偏光板は、偏光子と、偏光子の両面に偏光板保護膜を有するものであることが好ましく、この偏光子の少なくとも一方の面に本発明の偏光板保護膜を有する。
 偏光子の一方の面にのみ本発明の偏光板保護膜を有する場合、偏光子の、本発明の偏光板保護膜を有する面とは反対の面には、通常の偏光板保護膜を有してもよい。
 偏光板保護膜は、偏光子に対して接するようにして直接設けられていてもよく、後述の接着層等を介して設けられていてもよい。
-偏光板の性能-
 本発明に用いる偏光板は、偏光度99.95%以上であることが好ましく、より好ましい範囲としては99.97%であり、更に好ましくは99.99%以上である。
 本発明において、偏光板の偏光度は、自動偏光フィルム測定装置(例えば、日本分光社製のVAP-7070)を用いて、波長380~700nmで測定した直交透過率及び平行透過率から以下の式により偏光度スペクトルを算出し、さらに光源(補助イルミナントC)とCIE(国際照明委員会)標準比視感度(Y)の重み付け平均を計算することにより、偏光度を算出する。
  偏光度(%)=[(平行透過率-直交透過率)/(直交透過率+平行透過率)]1/2×100
 偏光度は、次のようにして測定できる。粘着剤を介してガラスの上に偏光板を貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作製する。直交透過率及び平行透過率測定はこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして、測定する。2つのサンプルについて測定し、その平均値を、それぞれ、直交透過率及び平行透過率とする。偏光板保護膜の偏光度に与える影響を調べる場合には、通常、評価対象とする偏光板保護膜をガラス側に配置して貼り付ける。
 本発明に用いる偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007-086748号公報の段落[0238]~[0255]に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
-形状、構成-
 本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上又は3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
 本発明の偏光板は、偏光子及び少なくとも1枚の本発明の偏光板保護膜の他に、更に偏光板の一方の面の表面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。
 セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。セパレートフィルムは液晶セルへ貼合するために設けられている粘着剤層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
[偏光子]
 本発明の偏光板に用いることができる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11-248937号公報に記載されているようにPVA、ポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
-偏光子の膜厚-
 偏光子の延伸前のフィルム膜厚は特に限定されず、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm~1mmが好ましく、5~200μmがより好ましい。また、特開2002-236212号公報に記載されているように水中において4~6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
-偏光子の製造方法-
 偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、上記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007-86748号公報の〔0213〕~〔0237〕に記載の方法、特許第3342516号明細書、特開平09-328593号公報、特開2001-302817号公報、特開2002-144401号公報等を参考にして行うことができる。
(偏光子と偏光板保護膜の積層方法)
 本発明の偏光板は、上記偏光子の少なくとも一方の面に、本発明の偏光板保護膜を貼り合わせて(積層して)製造され、本発明の偏光板保護膜を有する面とは反対の面には、通常の偏光板保護膜を貼り合わせて製造されてもよい。
 偏光板保護膜をアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液等の接着剤を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
 本発明の偏光板において、偏光板保護膜の上記偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と上記偏光板保護膜の遅相軸が実質的に平行、直交又は45°となるように貼り合せることが好ましい。
 遅相軸の測定は、公知の種々の方法で測定することができ、例えば、複屈折計(KOBRADH、王子計測機器社製)を用いて行うことができる。
 ここで、実質的に平行であるとは、偏光板保護膜の主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とが、そのずれが±5°以内の角度で交わっていることをいい、±1°以内の角度で交わっていることが好ましく、±0.5°以内の角度で交わっていることがより好ましい。交わる角度が1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能がより低下しにくく、光抜けがより生じにくく好ましい。
 主屈折率nxの方向と透過軸の方向とが直交又は45°となるとは、主屈折率nxの方向と透過軸の方向との交わる角度が、直交及び45°に関する厳密な角度から±5°の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、±1°の範囲内が好ましく、±0.5°の範囲内がより好ましい。
[接着層]
 本発明の偏光板は、上記偏光板保護膜と上記偏光子とを接着層を介して貼り合せた偏光板であることも好ましい。接着層の膜厚は、通常、1~10000nmであり、30~5000nmが好ましく、50~3000nmがより好ましい。接着層の膜厚を上記範囲に調節することにより、偏光板保護膜と偏光子との接着性を確保でき、変形故障も抑制できる。
 本発明の偏光板における接着層は、水溶性材料を含むことが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いて、偏光子の片面又は両面に対し、本発明の偏光板に用いられる上述の偏光板保護膜の表面処理面を直接貼り合わせることができる。接着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール)等のポリビニルアルコール系接着剤の水溶液、光硬化性接着剤を用いることができるが、完全鹸化ポリビニルアルコールの水溶液が最も好ましい。
 光硬化性接着剤(光照射によって硬化する接着剤)としては、偏光子と偏光板保護膜との貼り合わせに常用の光硬化性接着剤を特に制限することなく用いることができ、例えば、国際公開2019/066043の段落0375~0416に記載の光硬化性接着剤を好ましく挙げることができる。
 また、本発明の偏光板における偏光板保護膜の表面には、粘着剤層として、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる層を適用することもできる。上記粘着剤層を介して、本発明の偏光板を液晶表示装置におけるその他の層(好ましくは液晶セル)に貼り合わせることができる。
 上記粘着剤層としては、好ましくは、後述の液晶表示装置における粘着剤層の記載を適用することができる。
 本発明の偏光板保護膜は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の光学フィルムを更に貼合してもよい。
 上記任意の光学フィルムについては、光学特性及び材料のいずれについても特に制限はないが、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂の少なくともいずれかを含む(あるいは主成分とする)フィルムを好ましく用いることができる。なお、光学的に等方性のフィルムを用いても、光学的に異方性の位相差フィルムを用いてもよい。
 上記任意の光学フィルムについて、セルロースエステル樹脂を含むものとしては、例えばフジタックTD80UL(富士フイルム社製)などを利用することができる。
 上記任意の光学フィルムについて、アクリル樹脂を含むものとしては、特許第4570042号公報に記載のスチレン系樹脂を含有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特許第5041532号公報に記載のグルタルイミド環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特開2009-122664号公報に記載のラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルム、特開2009-139754号公報に記載のグルタル酸無水物単位を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルムを利用することができる。
 また、上記任意の光学フィルムについて、環状オレフィン樹脂を含むものとしては、特開2009-237376号公報の段落[0029]以降に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、特許第4881827号公報、特開2008-063536号公報に記載のRthを低減する添加剤を含有する環状オレフィン樹脂フィルムを利用することができる。
 本発明の偏光板保護膜は、吸収の裾切れに優れ、かつ、優れた耐光性を示す消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含有するため、本発明の液晶表示装置において、これを構成する偏光板保護膜における光吸収層中の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素は、液晶表示装置の表示光の不要な吸収が抑制されており、液晶表示装置の表示光の透過を優れたものとしつつ、優れた耐光性を示す。
 そのため、光吸収層に含有させる染料の組み合わせ、含有量等を調整した本発明の偏光板保護膜を本発明の液晶表示装置に適用することにより、輝度低下を抑制しつつ、色域を拡大することができ、しかも、光吸収層中の消光剤内蔵型ジピロメテン系色素は液晶表示装置の表示光の透過を優れたものとしつつ、優れた耐光性を示すことができる。
〔液晶表示装置〕
 本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含む。
 本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を含む限り、その他の構成としては、通常用いられる液晶表示装置の構成を特に制限なく用いることができる。
 本発明の液晶表示装置においては、本発明の偏光板が、液晶セルに貼り合わせされた構成を含むことが好ましく、本発明の偏光板が粘着剤層を介して、液晶セルに貼り合わせされた構成を含むことがより好ましい。
 図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層5とこの上下に配置された液晶セル上電極基板3及び液晶セル下電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1及び下側偏光板8からなる。上電極基板3又は下電極基板6にカラーフィルター層が積層されていてもよい。上記液晶表示装置10の背面にはバックライトユニットBを配置する。バックライトユニットBの光源としては発光ダイオード、レーザーダイオード、エレクトロルミネッセント素子等が使用できるが、輝度の観点から発光ダイオード(LED)が好ましい。中でも、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた白色LED、又は青色LEDと緑色LEDと赤色LEDを組み合わせた白色LEDが、本発明の偏光板との組み合わせにおいて色再現性を向上する観点から、好ましい。また、青色LEDと量子ドットを含有する光学部材を組み合わせた光源も、同様に好ましい。
 上側偏光板1及び下側偏光板8は、それぞれ2枚の偏光板保護膜で偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、少なくとも一方の偏光板が本発明の偏光板である。
 本発明の偏光板保護膜は、液晶セルと偏光子との間に配されてもよく、偏光子に対して液晶セルが位置する側とは反対側の面に配されてもよい。本発明の偏光板保護膜に対して視認者側に偏光子が存在するような構成で、本発明の液晶表示装置中に組み込まれていることが好ましい。例えば、本発明の偏光板保護膜は、液晶セル上電極基板3と上側偏光板1中の偏光子との間に配されることが好ましい。
 液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型又は光変調型が含まれる。TFT(Thin Film Transistor)もしくはMIM(Metal Insulator Metal)のような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置であることも好ましい。また、時分割駆動と呼ばれるSTN(Super Twisted Nematic)モードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置であることも好ましい。
 また、特開2010-102296号公報の段落0128~0136に記載のIPS(In Plane Switching)モードの液晶表示装置も本発明の液晶表示装置の形態として好ましい。
[粘着剤層]
 本発明の液晶表示装置において、本発明の偏光板は粘着剤層を介して液晶セルと貼り合わされていることが好ましく、本発明の偏光板保護膜側の面が粘着剤層を介して液晶セルと貼り合わされていることがより好ましい。
 上記粘着剤層としては、国際公開第2021/014973号の[0296]~[0347]に記載のOLED表示装置における粘着剤層及び粘着剤層に用いられる粘着剤組成物に係る記載をそのまま適用することができる。
 上記粘着剤層を形成する方法は特に限定されず、例えば、本発明の偏光板にバーコーターなどの通常の手段で粘着剤組成物を塗布し、乾燥及び硬化させる方法;粘着剤組成物をまず、剥離性基材の表面に塗布、乾燥した後、剥離性基材を用いて粘着剤層を本発明の偏光板に転写し、熟成、硬化させる方法などが用いられる。
 剥離性基材としては、特に制限されず、任意の剥離性基材を使用することができ、例えば上述の光吸収層の製造方法における基材フィルムが挙げられる。
 その他、塗布、乾燥、熟成及び硬化の条件についても、常法に基づき、適宜調整することができる。
 以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。
 なお、以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。室温とは、25℃を意味する。また、λmaxは、最大吸光度を示す極大吸収波長を意味する。
[偏光板保護フィルム(偏光板保護膜)の作製]
 偏光板保護フィルムの作製に用いた材料を次に示す。
<マトリックス樹脂(樹脂)>
(樹脂1)
 ベンジルメタクリレート-メタクリル酸ランダム共重合体(藤倉化成社製、アクリベースFF-187(商品名)、メタクリル酸含有率30モル%、質量平均分子量27500)を、樹脂1として用いた。
(樹脂2)
 オキサゾリン基含有反応性ポリスチレン樹脂(日本触媒社製、エポクロスRPS-1005(商品名)、質量平均分子量160000)を、樹脂2として用いた。
<染料>
 染料として、下記に記載の各染料を用いた。なお、下記λmaxは、後述の〔透過率の測定、吸収極大値の算出〕の項に記載の条件により、基材上に光吸収層が積層された偏光板保護膜について測定した、偏光板保護膜中において各染料が示すλmaxを意味する。また、Meはメチル基、Etはエチル基をそれぞれ示す。
 なお、上記染料B-1について、特開2023-101372号公報の請求項1で規定される自由エネルギー変化は-1.8kcal/molである。
 下記に構造を示すピロメテン546(東京化成社製、ボロンジピロメテン系色素、λmax=501nm)を染料R-1として用いた。
 FDB-002(商品名、山田化学工業社製、ポルフィリンバナジウム錯体染料、λmax=432nm)
 特開2023-051753号公報に記載の例示化合物(G-1)を染料R-3として用いた。
 特開2023-051753号公報における表1に記載の化合物1を染料R-4として用いた。
 下記に構造を示すピロールメチン系色素(λmax=427nm)を染料A-1として用いた。
(接着性良化樹脂成分1)
 下記構成成分で構成されるボロン酸エステル基含有共重合体(AD-19)を接着性良化樹脂成分1として用いた。下記構成成分の含有量比は、質量基準である。
(基材1)
 セルロースアシレートフィルム(富士フイルム社製、商品名:ZRD40SL)
<1-1.偏光板保護フィルムNo.1の作製>
(1)光吸収層形成液の調製
 各成分を下記に示す組成で混合し、光吸収層形成液(組成物)Ba-1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
光吸収層形成液Ba-1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
樹脂1                     15.9 質量部
樹脂2                     80.0 質量部
接着性良化樹脂成分1               0.90質量部
染料B-1                    3.22質量部
トルエン(溶媒)               396.7 質量部
シクロヘキサノン(溶媒)            56.7 質量部
イソプロピルアルコール(溶媒)        113.3 質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
 続いて、得られた光吸収層形成液Ba-1を絶対濾過精度10μmの濾紙(#63、東洋濾紙社製)を用いて濾過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの金属焼結フィルター(商品名:ポールフィルター PMF、メディアコード:FH025、ポール社製)を用いて濾過した。
(2)偏光板保護フィルムの作製
 上記濾過処理後の光吸収層形成液Ba-1を、基材1上に、乾燥後の膜厚が2.2μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、130℃で乾燥し、基材1上に光吸収層を積層してなる偏光板保護フィルムNo.1を作製した。
<1-2.偏光板保護フィルムNo.2~5、c1~c6の作製>
 上記偏光板保護フィルムNo.1の作製において、染料の種類と配合量を下記表3に記載の通りに変更したこと以外は上記偏光板保護フィルムNo.1の作製と同様にして、偏光板保護フィルムNo.2~5及びc1~c6を作製した。なお、染料の配合量を変更する際には、樹脂1及び樹脂2の含有比を一定としたまま樹脂1及び樹脂2の含有量を変更し、樹脂1、樹脂2、接着性良化樹脂成分1及び染料の合計含有量は100質量部となるようにして調製した。
 偏光板保護フィルムNo.1~5が本発明の偏光板保護フィルム(偏光板保護膜)であり、偏光板保護フィルムNo.c1~c6が比較のため偏光板保護フィルム(偏光板保護膜)である。
〔透過率の測定、吸収極大値、10%値幅の算出〕
 偏光板保護フィルムの基材1側がガラス側になるようにして、ガラス上に、市販のアクリレート系粘着剤を介して得られた偏光板保護フィルムを貼り付け、偏光度測定用サンプルを得た。また、偏光板保護フィルム中に染料を含有させないこと以外は同様にして作製した参照用の偏光板保護フィルムを用い、アクリレート系粘着剤を介して貼り付けた、参照用の偏光度測定用サンプルを得た。
 これらの偏光板保護フィルムNo.1~5、c1~c6の偏光度測定用サンプルについて、下記偏光板と同様にして単板透過率の測定を行い、Ab(λ)-Ab(λ)を算出し、この吸光度差の最大値を吸収極大値として定義した。
 さらに、表3の染料Bの欄に記載の染料の吸収ピークにおいて、吸収極大値の吸光度(100%)の10%の吸光度を示す二つの波長の差(10%値幅)を読み取った。染料Bの10%値幅を、表に示す。
<2-1.偏光板No.101の作製>
(1)偏光板保護フィルムの鹸化処理
 市販のセルローストリアセテートフィルム(商品名:フジタックTG60UL、富士フイルム社製)を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃の0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルローストリアセテートフィルムの表面の鹸化処理を行った。
(2)偏光板の作製
 延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
 偏光板保護フィルムNo.1の光吸収層側を、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA-117H)の3質量%水溶液を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。さらに、偏光板保護フィルムNo.1を貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA-117H)の3質量%水溶液を用いて、上記で鹸化処理を施したセルローストリアセテートフィルム(商品名:フジタックTG60UL、富士フイルム社製)を貼り付けた。
 続けて、70℃で乾燥した後、市販のアクリレート系粘着剤を偏光板保護フィルムNo.1の基材1側に塗工して、アクリレート系粘着剤/偏光板保護フィルムNo.1(インナー偏光板保護膜)/偏光子/セルローストリアセテートフィルム(アウター偏光板保護膜)がこの順に積層されてなる偏光板No.101を作製した。
<2-2.偏光板No.102~105、c11~c16の作製>
 上記偏光板No.101の作製において、偏光板保護フィルムNo.1に代えて偏光板保護フィルムNo.2~5、c1~c6を用いた以外は上記偏光板No.101の作製と同様にして、偏光板No.102~105及びc11~c16を作製した。
 偏光板No.101~105が本発明の偏光板であり、偏光板No.c11~c16が比較のため偏光板である。
〔透過率の測定〕
 得られた偏光板(縦5cm×横5cm)の偏光度を測定した。
 偏光板の偏光板保護フィルムNo.1~5、c1~c6側がガラス側になるようにして、ガラス上に、偏光板のアクリレート系粘着剤を介して得られた偏光板を貼り付け、偏光度測定用サンプルを得た。また、偏光板保護フィルム中に染料を含有させないこと以外は同様にして作製した参照用の偏光板を用い、アクリレート系粘着剤を介して貼り付けた、参照用の偏光度測定用サンプルを得た。
 これらのサンプルを、日本分光社製の自動偏光フィルム測定装置VAP-7070(商品名)にサンプルのガラス側を光源に向けてセットし、380nm~700nmの波長範囲の単板透過率、直交透過率及び平行透過率を1nmごとに測定した。
(偏光度の算出)
 得られた直交透過率及び平行透過率の測定値から以下の式により偏光度スペクトルを算出し、さらに光源(補助イルミナントC)とCIE(国際照明委員会)標準比視感度(Y)の重み付け平均を計算することにより、偏光度を算出し、以下の基準にあてはめて偏光度を評価した。
  偏光度(%)=[(平行透過率-直交透過率)/(直交透過率+平行透過率)]1/2×100
 
- 評価基準(偏光度) - 
A:偏光度が99.95%以上である。
B:偏光度が99.90%以上99.95%未満である。
C:偏光度が99.90%未満である。
 
(吸収極大値の算出)
 得られた単板透過率を吸光度に変換し、偏光度測定用サンプルの各波長λnmにおける吸光度Ab(λ)と、参照用の偏光度測定用サンプル(染料を含有しない偏光板保護フィルムを用いたもの)の吸光度Ab(λ)との吸光度差、Ab(λ)-Ab(λ)を算出した。この吸光度差の最大値を吸収極大値として定義した。
<3-1.積層体No.201の作製>
 市販のセルローストリアセテートフィルム(商品名:フジタックTG60UL、富士フイルム社製)を、市販のアクリレート系粘着剤を介して偏光板保護フィルムNo.1の光吸収層側に貼り付け、セルローストリアセテートフィルム/アクリレート系粘着剤/偏光板保護フィルムNo.1がこの順に積層されてなる積層体No.201を作製した。
<3-2.積層体No.202~205、c21~c26の作製>
 上記積層体No.201の作製において、偏光板保護フィルムNo.1に代えて偏光板保護フィルムNo.2~5、c1~c6を用いた以外は上記積層体No.201の作製と同様にして、積層体No.202~205及びc21~c26を作製した。
 積層体No.201~205が本発明の偏光板保護フィルムを含む積層体であり、偏光板No.c21~c26が比較のため偏光板保護フィルムを含む積層体である。
〔透過率の測定、吸収極大値の算出〕
 積層体の偏光板保護フィルムNo.1~5、c1~c6側がガラス側になるようにして、ガラス上に、市販のアクリレート系粘着剤を介して得られた積層体を貼り付け、偏光度測定用サンプルを得た。また、偏光板保護フィルム中に染料を含有させないこと以外は同様にして作製した参照用の積層体を用い、アクリレート系粘着剤を介して貼り付けた、参照用の偏光度測定用サンプルを得た。
 これらの積層体No.201~205、c21~c26の偏光度測定用サンプルについて、上記偏光板と同様にして単板透過率の測定を行い、Ab(λ)-Ab(λ)を算出し、吸収極大値を求めた。
 得られた偏光板保護フィルム、偏光板、及び積層体について、以下の耐光性の評価を行った。
<耐光性>
 上記で作製した、偏光板保護フィルム、偏光板又は積層体を、スガ試験機社製のスーパーキセノンウェザーメーターSX75(商品名、波長300nm~400nmにおける積算照度が150W/m)を用いて、60℃、相対湿度50%の環境下において40時間又は134時間光を照射し、上述の吸収極大値の算出に記載の方法により、40時間光照射後の吸収極大値及び134時間光照射後の吸収極大値をそれぞれ算出した。40時間光照射試験、及び134時間光照射試験のそれぞれについて、光照射後の吸収極大値の維持率を下記式により算出し、以下の基準にあてはめて耐光性を評価した。
 
[光照射後の吸収極大値の維持率(%)]=([光照射後の吸収極大値]/[光照射前の吸収極大値])×100
 
 - 評価基準(耐光性) - 
A:光照射後の吸収極大値の維持率が95%以上である。
B:光照射後の吸収極大値の維持率が85%以上95%未満である。
C:光照射後の吸収極大値の維持率が70%以上85%未満である。
D:光照射後の吸収極大値の維持率が40%以上70%未満である。
E:光照射後の吸収極大値の維持率が40%未満である。
 
 結果を下記表1~3にまとめて示す。
(表の注)
 染料の配合量:光吸収層100質量部中における染料の配合量を意味し、単位は質量部である。
 染料A及びBは、上述の特定の波長域に主吸収波長帯域を有する染料A及びBにそれぞれ該当することを意味する。
 「-」は、該当する染料を含有していないことを示す。
 耐光性@40時間は、40時間光照射試験での耐光性の評価結果を、耐光性@134時間は、134時間光照射試験での耐光性の評価結果をそれぞれ示す。
 上記表1~3の結果から、以下のことがわかる。
 偏光板No.c11及びc12、並びに積層体No.c21及びc22における偏光板保護フィルムNo.c1及びc2は、光吸収層が、消光剤部を含有しないジピロメテン系色素である染料R-1を含む点で、本発明の偏光板保護膜ではない。これらの偏光板No.c11及びc12、積層体No.c21及びc22、並びに偏光板保護フィルムNo.c1及びc2では、40時間光照射及び134時間光照射のいずれの条件においても、染料R-1は耐光性に劣っていた。
 また、偏光板No.c13及びc14、並びに積層体No.c23及びc24における偏光板保護フィルムNo.c3及びc4は、光吸収層が、スクアリリウム系色素である染料R-2を含む点で、本発明の偏光板保護膜ではない。これらの偏光板No.c13及びc14、積層体No.c23及びc24、並びに偏光板保護フィルムNo.c3及びc4では、染料R-2は少なくとも134時間光照射の条件での耐光性に劣っており、しかも、10%値幅が75nmであり、吸収の裾切れにも劣っていた。特に、染料として染料R-2のみを含む積層体No.c23及び偏光板保護フィルムNo.c3では、40時間光照射条件での耐光性評価はB評価であったのに対して、染料として染料R-2とFDB-002とを含む積層体No.c24及び偏光板保護フィルムNo.c4では、40時間光照射条件での耐光性評価はC評価であり、FDB-002との併用によって、染料R-2の40時間光照射後の吸収極大値の維持率は、いずれも5%低下してしまっていた。
 また、偏光板No.c15及び積層体No.c25における偏光板保護フィルムNo.c5は、光吸収層が、カテコール配位ジピロメテンホウ素錯体化合物である染料R-3を含む点で、偏光板No.c16及び積層体No.c26における偏光板保護フィルムNo.c6は、光吸収層が、2つのジピロメテン配位子が配位したジピロメテンコバルト錯体である染料R-4を含む点で、本発明の偏光板保護膜ではない。これらの偏光板No.c15、積層体No.c25、及び偏光板保護フィルムNo.c5は10%値幅が68nmであり、偏光板No.c16、積層体No.c26、及び偏光板保護フィルムNo.c6は10%値幅が66nmであり、いずれも吸収の裾切れに劣っていた。
 これに対して、本発明の偏光板保護膜である偏光板保護フィルムNo.1~5、並びにこれらの偏光板保護フィルムNo.1~5を含む、偏光板No.101~105、及び積層体No.201~205は、40時間光照射及び134時間光照射のいずれの条件においても、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素である染料B-1及びB-2は光照射後の吸収極大値の維持率が85%以上であり、耐光性に優れていた。加えて、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素である染料B-1及びB-2は、10%値幅がそれぞれ63nm、60nmであり、上述の比較例で使用するカテコール配位ジピロメテンホウ素錯体化合物である染料R-3及び2つのジピロメテン配位子が配位したジピロメテンコバルト錯体である染料R-4に対して10%値幅が狭く、裾切れの良い吸収波形が得られ、本発明の偏光板保護膜ないし偏光板を液晶表示装置に適用した場合にも、表示光の透過率を向上することができる。
 また、偏光板No.102、104、積層体No.202、204及び偏光板保護フィルムNo.2、4では、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素である染料B-1又はB-2とFDB-002とを併用することによる、染料B-1及びB-2の40時間光照射後の吸収極大値の維持率の低下は、1%未満に抑えられており、主吸収波長帯域の異なる2種類以上の染料を含む場合にも、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含む染料は優れた耐光性を示していた。特に、本発明の偏光板保護膜を含む偏光板の形態とした場合には、134時間光照射後でも、染料B-1及びB-2は光照射後の吸収極大値の維持率が95%以上であり、耐光性により優れていた。
 本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
 本願は、2024年7月8日に日本国で特許出願された特願2024-109489に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
B バックライトユニット
10 液晶表示装置

Claims (8)

  1.  樹脂と、消光剤内蔵型ジピロメテン系色素を含む染料とを含む光吸収層を含有する、偏光板保護膜。
  2.  前記染料が、主吸収波長帯域の異なる2種類以上の染料を含む、請求項1に記載の偏光板保護膜。
     ただし、前記の主吸収波長帯域の異なる2種類以上の染料のうちの少なくとも1種は、前記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素である。
  3.  前記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素が下記一般式(P)で表される、請求項1に記載の偏光板保護膜。
     上記式中、R~Rは、水素原子又は置換基を示す。
     R及びRは、フッ素原子を示す。
     Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基又は電子供与型消光剤部を示す。
     ただし、R~R及びRのうちの少なくとも1つは、電子供与型消光剤部を含む。
  4.  前記電子供与型消光剤部が、下記一般式(2M)で表されるフェロセニル基であるか、又は、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基及びニトロ基のうちの少なくとも1種もしくはこれらのうちの少なくとも1種を置換基として有するアリール基である、請求項3に記載の偏光板保護膜。
     上記式中、Lは、単結合、又は前記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素におけるジピロメテン系色素と共役しない2価の連結基を示す。R1m~R9mは、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。Mは、メタロセン化合物を構成しうる原子であって、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、V又はPtを示す。*は前記消光剤内蔵型ジピロメテン系色素におけるジピロメテン系色素との結合部を示す。
  5.  前記Lが、単結合、又は、炭素数6~12のアリーレン基であって、前記のR1m~R9mが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基であり、前記MがFeである、請求項4に記載の偏光板保護膜。
  6.  請求項1~5のいずれか1項に記載の偏光板保護膜を含む偏光板。
  7.  請求項6に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
  8.  前記偏光板保護膜が、液晶セルと偏光子との間に配される、請求項7に記載の液晶表示装置。
PCT/JP2025/023989 2024-07-08 2025-07-03 偏光板保護膜、及びこれを含む偏光板並びに液晶表示装置 Pending WO2026014348A1 (ja)

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