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WO2026009837A1 - SiC及びSiO含有膜の製造方法 - Google Patents

SiC及びSiO含有膜の製造方法

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WO2026009837A1
WO2026009837A1 PCT/JP2025/023261 JP2025023261W WO2026009837A1 WO 2026009837 A1 WO2026009837 A1 WO 2026009837A1 JP 2025023261 W JP2025023261 W JP 2025023261W WO 2026009837 A1 WO2026009837 A1 WO 2026009837A1
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PCT/JP2025/023261
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正直 住田
一博 宮内
彰道 大朏
重雄 安原
定央 野津
優 財津
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Japan Advanced Chemicals Ltd
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Japan Advanced Chemicals Ltd
Toagosei Co Ltd
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Abstract

原料ガスとしてXSi-C≡C-Si(式中、Xは、それぞれ独立して、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲン元素であり、mは、0以上4以下の整数であり、n及びpはそれぞれ、0以上2m+1以下の整数であり、かつn+p=2m+1を満たし、qは、1以上4以下の整数であり、r及びsはそれぞれ、0以上2q+1以下の整数であり、かつr+s=2q+1を満たす。)を準備する工程、及び 成膜面を有する被処理体が収容されたチャンバー内に前記原料ガス及び酸化剤を供給し、熱反応による化学的気相成長法又は原子層堆積法によって、SiC及びSiO含有膜を前記成膜面上に成膜する工程、を含み、 前記成膜工程において、500℃以上の条件下で前記SiC及びSiO含有膜を成膜する、 SiC及びSiO含有膜の製造方法。

Description

SiC及びSiO含有膜の製造方法
 本発明は、SiC及びSiO含有膜、並びにその製造方法等に関する。
 SiC及びSiO含有膜(炭化ケイ素及び酸化ケイ素を含有する膜)は、Si膜、GaAs膜、GaN膜等と共に或いはこれらの代替として、次世代化合物半導体、次世代電子素子、高速高温動作可能電子素子、太陽光発電素子等の半導体素子としての利用が期待されている材料である。
 例えば、特許文献1には、半導体装置において絶縁膜として用いられる有機絶縁膜の作製方法であって、プラズマCVDによる成膜法を用い、成膜時の使用ガスが炭素の三重結合を有する有機シランのガスと酸化剤、及び不活性ガスであることを特徴とする有機絶縁膜の作製方法が開示されている。上記有機シランとしては、ジシリルアセチレン、ビストリメチルシリルアセチレン、トリメチルシリルアセチレンが用いられ、これらを用いて得られる膜は、Si-H結合を有するがSi-OH結合を有さないSiCH膜又はSiCNH膜であることが記載されている。
 また、特許文献2には、発熱した発熱体に原料ガスを接触させて、該原料ガスを分解して化学種を生成させ、プラスチック成形体の表面に前記化学種を到達させる発熱体CVD法により、ガスバリア薄膜を形成する成膜工程を有するガスバリア性プラスチック成形体の製造方法において、前記原料ガスとして、一般式(化1)HSi-CnXで表される有機シラン系化合物(化1中において、nは2又は3であり、XはSiH,H又はNHである。)を用い、かつ、前記発熱体として、Mo,W,Zr,Ta,V,Nb,Hfの群の中から選ばれる一つ又は二つ以上の金属元素を含む材料を用い、該発熱体の発熱温度を、1550~2400℃とすることを特徴とするガスバリア性プラスチック成形体の製造方法が開示されている。上記有機シラン系化合物としては、ビニルシラン、ジシラブタン、ジシリルアセチレン又は2-アミノエチルシランが用いられ、これらを用いて得られる膜は、Si-H結合を有するSiOCH膜であることが記載されている。
特開2007-088017号公報 国際公開2012/091097号パンフレット
 本発明者らの知見によれば、SiC及びSiO含有膜は、上述した低誘電率の絶縁膜やガスバリア膜に限らず、例えば黒鉛部材や炭素繊維やSiC繊維等の被覆材料、半導体装置内の配線周りや各素子周辺の埋め込み層、半導体に用いられる大規模集積回路等における微細な多層構造膜や各種保護膜、層間絶縁膜、エッチングストッパ膜、バリア絶縁膜、導波路やその保護膜、電極材料等の用途においても利用が期待されている。
 特許文献1では、原料ガスの利用効率が比較的に低いプラズマCVDを用いているため、工業的な観点で生産性に劣る。また、プラズマCVDでは、成膜面の大面積化にともない膜の組成比の制御が困難となる傾向にあり、また、プラズマが照射されない、構造体の裏面や高深度部分への成膜が難しく、種々のアプリケーションへの適用が限定的である。さらに、特許文献1では、そもそもSiCH又はSiCNH膜を得ることを目的としており、得られる膜はSi-H結合及びC-H結合を含む。
 特許文献2では、そもそもSiOCH膜を得ることを目的としており、得られる膜はSi-H結合を含む。
 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、C-H結合の生成を抑えられるSiC及びSiO含有膜を高効率で成膜可能な製造方法等を提供することにある。
 なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、所定の化合物をプレカーサーとして用いることにより、C-H結合の生成を抑えられるSiC及びSiO含有膜を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1]
 原料ガスとしてXSi-C≡C-Si
(式中、
 Xは、それぞれ独立して、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲン元素であり、
 mは、0以上4以下の整数であり、
 n及びpはそれぞれ、0以上2m+1以下の整数であり、かつn+p=2m+1を満たし、
 qは、1以上4以下の整数であり、
 r及びsはそれぞれ、0以上2q+1以下の整数であり、かつr+s=2q+1を満たす。)
を準備する工程、及び
 成膜面を有する被処理体が収容されたチャンバー内に前記原料ガス及び酸化剤を供給し、熱反応による化学的気相成長法又は原子層堆積法によって、SiC及びSiO含有膜を前記成膜面上に成膜する工程、を含み、
 前記成膜工程において、500℃以上の条件下で前記SiC及びSiO含有膜を成膜する、
SiC及びSiO含有膜の製造方法。
[2]
 前記SiC及びSiO含有膜が、C-H結合を実質的に含まない、
[1]に記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[3]
 前記酸化剤が、O及び/又はOである、
[1]又は[2]に記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[4-1]
 Xが、それぞれ独立して、F又はClである、
[1]~[3]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[4-2]
 Xが、Clである、
[1]~[4-1]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[5-1]
 mが、0、1、2又は3である、
[1]~[4-2]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[5-2]
 mが、0、1又は2である、
[1]~[5-1]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[5-3]
 mが、0又は1である、
[1]~[5-2]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[5-4]
 mが、1である、
[1]~[5-3]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[6-1]
 qが、1、2又は3である、
[1]~[5-4]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[6-2]
 qが、1又は2である、
[1]~[6-1]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[6-3]
 qが、1である、
[1]~[6-2]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[7-1]
 n及びrが、それぞれ独立して、0以上9以下の整数である、
[1]~[6-3]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[7-2]
 n及びrが、それぞれ独立して、1以上5以下の整数である、
[1]~[7-1]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[7-3]
 n及びrが、それぞれ独立して、1以上3以下の整数である、
[1]~[7-2]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[7-4]
 n及びrが、3である、
[1]~[7-3]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[8-1]
 p及びsが、それぞれ独立して、0以上6以下の整数である、
[1]~[7-4]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[8-2]
 p及びsが、それぞれ独立して、0以上3以下の整数である、
[1]~[8-1]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[8-3]
 p及びsが、0である、
[1]~[8-2]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[9-1]
 前記原料ガスが、HSi-C≡C-SiHである、
[1]~[3]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[9-2]
 前記原料ガスが、ClSi-C≡C-SiClである、
[1]~[3]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[10-1]
 前記成膜工程の成膜温度が、500~1200℃である、
[1]~[9-2]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[10-2]
 前記成膜工程の成膜温度が、530~1000℃である、
[1]~[10-1]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[10-3]
 前記成膜工程の成膜温度が、550~800℃である、
[1]~[10-2]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[10-4]
 前記成膜工程の成膜温度が、580~700℃である、
[1]~[10-3]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
[10-5]
 前記成膜工程の成膜温度が、600~700℃である、
[1]~[10-4]のいずれかに記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
 本発明によれば、C-H結合の生成を抑えられるSiC及びSiO含有膜を製造できる。
図1は、本実施形態のSiC及びSiO含有膜の製造方法を示すフローチャートである。 図2は、本実施形態のSiC及びSiO含有膜の成膜装置100の一例を示す概略模式図である。 図3は、実施例1~4のIR測定結果を示すチャートである。
 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。一方、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いる。例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
 本実施形態におけるSiC及びSiO含有膜とは、膜中にSi-C結合及びSi-O結合が存在する膜をいう。本明細書において「SiC及びSiO含有膜」はSiCO含有膜とも記載する。
[SiCO含有膜の製造方法]
 図1は、本実施形態のSiCO含有膜の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態のSiCO含有膜の製造方法は、原料ガスとしてXSi-C≡C-Si(式中、Xは、それぞれ独立して、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲン元素であり、mは、0以上4以下の整数であり、n及びpはそれぞれ、0以上2m+1以下の整数であり、かつn+p=2m+1を満たし、qは、1以上4以下の整数であり、r及びsはそれぞれ、0以上2q+1以下の整数であり、かつr+s=2q+1を満たす。)を準備する工程(原料ガス準備S1)、及び、成膜面を有する被処理体が収容されたチャンバー内に前記原料ガス及び酸化剤を供給し、熱反応による化学的気相成長法又は原子層堆積法によって、SiC及びSiO含有膜を前記成膜面上に成膜する工程(成膜工程S2)を含む。
 本実施形態のSiCO含有膜の製造方法によれば、C-H結合の生成を抑えられる。
(原料ガス準備工程S1)
 この原料ガス準備工程S1では、原料ガスとしてシリルアセチレン構造を有する有機シランを準備する。ここで原料ガスとして用いる有機シランは、具体的には、XSi-C≡C-Si(式中、Xは、それぞれ独立して、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲン元素であり、mは、0以上4以下の整数であり、n及びpはそれぞれ、0以上2m+1以下の整数であり、かつn+p=2m+1を満たし、qは、1以上4以下の整数であり、r及びsはそれぞれ、0以上2q+1以下の整数であり、かつr+s=2q+1を満たす。)である。
 上記式で表される有機シランは、シリルアセチレン構造中の-C≡C-基(炭素数2のアルキニレン基)以外に、炭素原子を有さないため、ケイ素原子割合が比較的に大きいSiCO含有膜が得られ易くなる傾向にある。
 また、上記式で表される有機シランは比較的に安全性が高く且つ熱分解温度が比較的に低いため、これをSiCO含有膜のプレカーサーとして用いることにより、プラズマCVD法によらずとも、成膜温度を過度に高めることなく良好な成膜レートで所望のSiCO含有膜を成膜することができる傾向にある。
 式中、m又はqが3以上の整数であるとき、ケイ素鎖は鎖状であっても分岐状であってもよい。
 ここで、式中、mは0以上3以下の整数が好ましく、より好ましくは0以上2以下の整数であり、さらに好ましくは0以上1以下の整数であり、特に好ましくは1である。
 また、式中、qは1以上3以下の整数が好ましく、より好ましくは1以上2以下の整数であり、さらに好ましくは1である。
 さらに、式中、n及びrはそれぞれ独立して0以上9以下の整数が好ましく、より好ましくは1以上5以下の整数であり、さらに好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは3である。
 また、式中、p及びsはそれぞれ独立して0以上6以下の整数が好ましく、より好ましくは0以上3以下の整数であり、さらに好ましくは0である。
 Xのハロゲン元素としてはF、Clが好ましく、Clがより好ましい。上記式中のX(ハロゲン元素)を含有或いは非含有とすることで成膜レートや成膜温度等を調整することができる。
 好ましい有機シランの具体例としては、m=1、n=3、p=0、q=1、r=3、s=0であるジシリルアセチレン(DSA:HSi-C≡C-SiH)、XがClであり、m=1、n=0、p=3、q=1、r=0、s=3であるビストリクロロシリルアセチレン(BTCSA:ClSi-C≡C-SiCl)が挙げられる。
(成膜工程S2)
 この成膜工程S2では、上述した原料ガスを用いてSiCO含有膜を被処理体の成膜面上に成膜する。以下、さらに詳述する。
 図2は、本実施形態のSiCO含有膜の成膜装置100の一例を示す概略模式図である。この製造装置100は、成膜面を有する被処理体を収容しその成膜面にSiCO含有膜を形成するためのチャンバーCMB(成膜室)を備える。チャンバーCMB内には、サセプターに固定した被処理体である基板が中央にセットされている。また、チャンバーCMBは、ホットウォール型及び/又はコールドウォール型の加熱装置を備える。ホットウォール型の加熱装置はチャンバーCMB全体を加熱して所定の温度に制御するものであり、コールドウォール型の加熱装置はチャンバーCMB内に配置された被処理体を所定の温度に制御するものであり、これらの制御により、基板を例えば室温から1200℃まで加熱することができ、これにより、所望する成膜温度を設定可能となっている。
 チャンバーCMBの上流側には、上記原料ガスをチャンバーCMB内に導入する原料ガス供給経路が、流量制御を行うマスフローコントローラMFC1及びバルブを介して接続されている。なお、複数種の原料ガスを用いる場合には、さらに別の原料ガス供給経路を、流量制御を行うマスフローコントローラ及びバルブを介してチャンバーCMBに接続すればよい。また、チャンバーCMBの上流側には、プロセスガスとしてのArガス等の不活性ガスや酸化剤をチャンバーCMB内に導入するプロセスガス供給経路が、流量制御を行うマスフローコントローラMFC2、MFC3、MFC4、MFC5及びバルブを介してそれぞれチャンバーCMBに接続されている。本例においては、原料ガスはArガス等の不活性ガスで適宜希釈されてチャンバーCMB内に導入され、また、酸化剤もArガス等の不活性ガスと適宜混合されてチャンバーCMB内に導入される。
 一方、チャンバーCMBの下流側には、余剰分の原料ガスやプロセスガス等を排出するガス排出経路が、ロータリーポンプR.P及びバルブを介して接続されている。なお、ガス排出経路には、チャンバーCMB内の圧力を監視する圧力計が接続されており、アングルバルブの開閉によってチャンバーCMB内の圧力が調整可能になっている。また、ガス排出経路には、希釈ガス供給経路が接続されており、チャンバーCMB内に供給された各種ガスは、ロータリーポンプR.Pにより吸引されて希釈ガス供給経路へと流入し、必要に応じて希釈ガスにより任意の割合に希釈されて、図示しない外部のガス回収機構へと排出される。なお、チャンバーCMB内の圧力は、ロータリーポンプR.Pやアングルバルブによって調整することもでき、例えばチャンバーCMB内を減圧雰囲気下に調整することができる。
 この成膜装置100による成膜プロセスにおいては、まずチャンバーCMB内に成膜面を有する被処理体を配置し、必要に応じて不活性ガス等のプロセスガスを供給してパージし、所定の成膜温度となるように温度制御しながら、原料ガス供給経路から上述した原料ガスである有機シランをチャンバーCMB内に導入する。また、酸化剤は、原料ガスと同時に導入してもよく、原料ガスの導入及びパージ後に導入してもよい。そして、このチャンバーCMB内において、所望の成膜温度にて、熱反応による化学的気相成長法又は原子層堆積法によって、SiCO含有膜を成膜面上に成膜する。チャンバーCMB内に流入する余剰分の各種ガスは、所定の圧力を保持するようにしてロータリーポンプR.Pやアングルバルブにより吸引されて、上述したようにガス排出経路から排出される。原料ガス及び酸化剤の導入と成膜、並びに、余剰分の各種ガスの排出は繰り返してもよい。
 成膜工程S2における成膜雰囲気は、特に限定されないが、上述した有機シランを原料ガスとして用いるため安全性等の観点から、不活性ガス雰囲気下が好ましい。これらを考慮して、成膜工程S2における成膜雰囲気は、不活性ガス雰囲気下とすることもできる。なお、本明細書において、不活性ガスとは、He、Ne、Ar、Kr、Nを意味する。これらの中でも、窒化反応を防ぐ観点から、好ましくはHe、Ne、Ar、Krであり、より好ましくはArである。
 成膜工程S2における成膜温度は、500℃以上である。原料ガスとして上述した有機シランを用いるため、プラズマCVD法によらずとも、成膜温度を過度に高めることなく良好な成膜レートで所望のSiCO含有膜を成膜することができる。成膜温度は、より好ましくは530℃以上、さらに好ましくは550℃以上である。また、成膜温度を高くすることにより、SiCの含有量を高めることができる傾向にある。本実施形態の製造方法においては、成膜温度を制御することにより、膜中のSiC及びSiOの量を制御することができる。SiCの含有量を高める観点から、成膜温度は好ましくは580℃以上であり、より好ましくは600℃以上である。一方、成膜温度の上限値側は、特に限定されないが、好ましくは1200℃以下であり、より好ましくは1000℃以下であり、さらに好ましくは800℃以下であり、よりさらに好ましくは700℃以下である。
 上述の成膜温度の下限及び上限を適宜組み合わせて、温度範囲を規定してもよい。例えば、成膜温度を、500~1200℃、530~1000℃、550~800℃、580~700℃、又は600~700℃としてもよい。
 なお、本明細書において、成膜温度は、被処理体の成膜面の表面温度を意味し、接触表面温度計で測定される値を意味する。
 なお、成膜工程S2における成膜圧力は、特に限定されず、常圧下であっても、加圧下であっても、減圧下であってもよい。例えば減圧条件としては、膜の緻密性、均一性、コンフォーマル性(凹凸に対する均一な着膜性)等の観点から、0.05Torrから760Torrが好ましく、0.05Torrから10Torrがより好ましい。
 成膜工程S2における成膜モードは、熱反応による化学的気相成長法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)や原子層堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)であればよく、特に限定されない。具体的には、熱CVD、熱ALD、プラズマALDが挙げられる。これらの中でも、生産性や経済性等の観点から、熱CVD、熱ALDが好ましい。
 成膜工程S2における原料ガスの導入流量としては、特に限定されないが、0.1~150sccmが好ましく、より好ましくは0.5~100sccm、さらに好ましくは1~90sccm、よりさらに好ましくは10~80sccm、さらにより好ましくは20~80sccmである。導入流量が0.1sccm以上であることにより、効率的に成膜が進む傾向にある。導入流量が150sccm以下であることにより、膜の緻密性、均一性、コンフォーマル性に優れる傾向にある。
 成膜工程S2における酸化剤の導入流量としては、特に限定されないが、0.1~100sccmが好ましく、より好ましくは0.5~50sccm、さらに好ましくは5~40sccmである。導入流量が0.1sccm以上であることにより、効率的に成膜が進む傾向にある。導入流量が100sccm以下であることにより、膜の緻密性、均一性、コンフォーマル性に優れる傾向にある。
 酸化剤としては、酸化反応に用いられ、且つ、気体になるものであれば制限されないが、好適には酸素及び/又はオゾンを用いることができる。
 成膜工程S2における不活性ガスの導入流量としては、特に限定されないが、1~500sccmが好ましく、より好ましくは10~300sccm、さらに好ましくは50~100sccmである。不活性ガスの導入流量は、チャンバーに導入されるトータルの不活性ガス導入量である。
 被処理体としては、SiCO含有膜を成膜可能なものであれば、その種類は特に限定されない。上記例においては、被処理体として基板を示したが、例えば、シリコンウェハ、石英、ガラス、チタン、アルミニウム、SUS、鉄鋼材等の半導体製品、電極材料、光学材料、力学的補強材料等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、成膜面としては、SiCO含有膜を成膜可能なものであれば、その種類は特に限定されない。上記例においては、成膜面として被処理体の表面を示したが、例えば、シリコンウェハの表面、シリコンウェハの表面に形成されたSiO膜、SiN膜、GaN膜、ポリシリコン膜、SUSや銅等の金属材料、プラチナ、ルテニウム、イリジウム、銀等の貴金属、タングステン、コバルト、ニッケル、モリブデン等の遷移金属等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
[SiCO含有膜]
 本実施形態のSiCO含有膜は、Si、C及びOを主成分として含む。ここで、「Si、C及びOを主成分として含む」とは、SiCO含有膜の総量に対して、Si、C及びOを合計で50.0atm%以上99.0atm%以下含むことを意味する。
 また、本実施形態のSiCO含有膜におけるSi/C比は、好ましくは0.70以上であり、より好ましくは0.75以上であり、さらに好ましくは0.78以上であり、よりさらに好ましくは0.80以上である。なお、上述した比(Si/C)の上限値側は、特に限定されないが、1.10以下が好ましく、より好ましくは1.00以下、さらに好ましくは0.99以下、特に好ましくは0.98以下である。
 一方、本実施形態のSiCO含有膜は、Si及びC以外に、Oを含む。酸素原子はSiCO含有膜の成膜時に供給してもよいし、或いは、成膜後の大気解放時に表面酸化してもよい。本実施形態のSiCO含有膜の酸素原子の含有割合は、特に限定されないが、SiCO含有膜の総量に対して、好ましくは10.0atm%以上30.0atm%以下であり、さらに好ましくは15.0atm%以上28.0atm%以下であり、特に好ましくは18.0atm%以上25.0atm%以下である。
 なお、本実施形態のSiCO含有膜は、上述したSi、C、O以外の、他の原子を実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、他の原子の含有割合が、SiCO含有膜の総量に対して3.0atm%未満であることを意味し、好ましくは1.0atm%以下、さらに好ましくは0.5atm%未満、特に好ましくは0.1atm%未満、最も好ましくは0.0atm%ないしは検出限界以下である。ここで、他の原子としては、例えば、N(窒素原子)、F(フッ素原子)が挙げられる。Nはドーパントの1種であり、膜のフェルミ準位が変わり、膜の導電性が変わってしまう。Fは膜中に取り込まれにくいが、膜中に入ると膜の誘電率が低下する。SiCO含有膜がNやFを実質的に含まないことで、電気的、光学的特性のコントロールが容易になり、また、化学的安定性と耐久性が顕著に高められる傾向にある。
 また、本実施形態のSiCO含有膜は、C-H結合を実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)による測定で、1100cm-1のピークがないことを意味する。なお、ここで1100cm-1のピークがないとは、1100cm-1におけるピークの高さが、800cm-1におけるピークの高さに対して5%以下をいう。SiCO含有膜がC-H結合を実質的に含まないことで、電気的、光学的特性をコントロールが容易になり、また、耐熱性が顕著に高められる傾向にある。
 一方、本実施形態のSiCO含有膜の膜厚は、用途や要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。例えば、半導体や光学系の用途の場合には、一般的には単原子層膜~200nm以下が好ましく、より好ましくは2nm~50nmである。また、機械強度が求められたる用途や構造体として用いる場合には、一般的には100nm~10μmが好ましく、より好ましくは300nm~5μmである。
 本実施形態のSiCO含有膜は、例えば、上述した[SiCO含有膜の製造方法]にしたがい製造することができる。
 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによりなんら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。また、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい上限値又は好ましい下限値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<成膜装置>
 CVD装置として、図2に示すものと同等の構成を有するジャパン・アドバンスト・ケミカルズ社製の熱CVD装置を用いた。この熱CVD装置は、内径45mm及び長さ500mm管状炉を成膜室(チャンバー)として備えるものである。
[実施例1]
 プレカーサーとしてDSA(ジシリルアセチレン:HSi-C≡C-SiH)を用い、酸化剤としてオゾン(O)を用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、オゾン供給と反応を3s実施すること、及び5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜膜厚は13.6nmであった。なお、DSAの流量は50sccmとし、オゾンの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は560℃とした。
[実施例2]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤としてOを用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜膜厚は40.4nmであった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は580℃とした。
[実施例3]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤としてOを用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜膜厚は108.0nmであった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は600℃とした。
[実施例4]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤としてOを用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜膜厚は84.0nmであった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は620℃とした。
[実施例5]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤として酸素(O)を用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜膜厚は19.3nmであった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は580℃とした。
[実施例6]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤としてOを用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜膜厚は35.8nmであった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は600℃とした。
[実施例7]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤としてOを用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜膜厚は74.6nmであった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は620℃とした。
[比較例1]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤としてOを用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜の成膜は見られなかった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は100℃とした。
[比較例2]
 プレカーサーとしてDSAを用い、酸化剤としてOを用い、アルゴン雰囲気下で、上記成膜装置を用いてDSAを3s供給、DSAを5sパージ、O供給と反応を3s実施すること、5sパージを1サイクルとし、これを50回繰り返した。シリコンウェハ基板の表面上のSiOC含有膜の成膜は見られなかった。なお、DSAの流量は50sccmとし、Oの流量は30sccmとし、アルゴンの流量を50sccmとした。また、チャンバー内圧力は0.5Torrとし、成膜温度(基板温度)は200℃とした。
 得られた各SiCO含有膜のC-H結合の有無を以下の条件により測定した。
<C-H結合の有無>
 FT-IR装置: Thermo SCIENTIC NICOLET iS10
 得られたスペクトルにおける1100cm-1のピークの有無から、C-H結合の有無を判定した。なお、ここでピークが無いとは、1100cm-1におけるピークの高さが、800cm-1におけるピークの高さに対して5%以下をいう。
 表1に、評価結果を示す。また、図3に、実施例1~4のIR測定結果を示す。
 
 本発明のSiCO含有膜及びその製造方法は、例えば低誘電率の絶縁膜、ガスバリア膜、黒鉛部材や炭素繊維やSiC繊維等の被覆材料、半導体装置内の配線周りや各素子周辺の埋め込み層、半導体に用いられる大規模集積回路等における微細な多層構造膜や各種保護膜、層間絶縁膜、エッチングストッパ膜、バリア絶縁膜、導波路やその保護膜、電極材料等の、SiCO含有膜が求められる各種用途において広く且つ有効に利用可能である。
 100 ・・・SiCO含有膜の成膜装置

Claims (3)

  1.  原料ガスとしてXSi-C≡C-Si
    (式中、
     Xは、それぞれ独立して、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲン元素であり、
     mは、0以上4以下の整数であり、
     n及びpはそれぞれ、0以上2m+1以下の整数であり、かつn+p=2m+1を満たし、
     qは、1以上4以下の整数であり、
     r及びsはそれぞれ、0以上2q+1以下の整数であり、かつr+s=2q+1を満たす。)
    を準備する工程、及び
     成膜面を有する被処理体が収容されたチャンバー内に前記原料ガス及び酸化剤を供給し、熱反応による化学的気相成長法又は原子層堆積法によって、SiC及びSiO含有膜を前記成膜面上に成膜する工程、を含み、
     前記成膜工程において、500℃以上の条件下で前記SiC及びSiO含有膜を成膜する、
    SiC及びSiO含有膜の製造方法。
  2.  前記SiC及びSiO含有膜が、C-H結合を実質的に含まない、
    請求項1に記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
  3.  前記酸化剤が、O及び/又はOである、
    請求項1又は2に記載のSiC及びSiO含有膜の製造方法。
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