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WO2026009685A1 - 多孔質粒子ならびにそれを含む吸着剤およびクロマトグラフィー担体 - Google Patents

多孔質粒子ならびにそれを含む吸着剤およびクロマトグラフィー担体

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WO2026009685A1
WO2026009685A1 PCT/JP2025/021586 JP2025021586W WO2026009685A1 WO 2026009685 A1 WO2026009685 A1 WO 2026009685A1 JP 2025021586 W JP2025021586 W JP 2025021586W WO 2026009685 A1 WO2026009685 A1 WO 2026009685A1
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徹 倉林
和宏 滝沢
純也 戸羽
美春 亀澤
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Abstract

一実施形態によると、多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含み、陽イオン交換容量が水膨潤体積当たり0.1meq/mL以上であり、且つ膨潤度が8mL/gより大きい、多孔質粒子が提供される。

Description

多孔質粒子ならびにそれを含む吸着剤およびクロマトグラフィー担体
 本発明は、多孔質粒子ならびにそれを含む吸着剤およびクロマトグラフィー担体に関する。また、本発明は、多孔質粒子の製造方法および多孔質粒子を用いた精製方法にも関する。
 多糖のリン酸エステル化については、古くからセルロースについて多くの研究がなされてきた。リン酸エステル化されたセルロース繊維やセルロース粒子は、イオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーにおいて広く使用されており、容易に入手可能である(特許文献1)。繊維状のリン酸セルロースは、その形状に起因して、カラム充填効率が悪く、高流速での処理に適さないことが知られている。よって、球状のリン酸セルロース粒子により注目が集まっている。
 バイオ医薬品市場の拡大に伴い、抗体のように分子サイズの比較的大きな物質の分離精製に用いるクロマトグラフィー用の材料に対する注目も高まっている。そのような材料として、例えば、三次元ネットワーク状の骨格とその空隙からなる連通孔を持つ一体成型体であるモノリスが挙げられる。モノリスを用いることで、従来のクロマトグラフィーよりも高処理量、高処理速度での分離精製が可能となることが知られている(特許文献2)。
 近年では、モノリスを粒子にした、連通孔を有する粒子も提案されている(特許文献3)。粒子にすることの利点として、従来のクロマトグラフィー用分離カラムの充填剤と同様に使用できて取り扱いやすいこと、スケールアップしやすいことが挙げられる。また、連通孔を有する粒子を用いることにより、生体高分子などの分離精製の際に、粒子内部の連通孔の空隙も吸着サイトとして利用できるため、より高処理量、高処理速度での分離精製が可能となる。
米国特許第3,565,886号明細書 国際公開第2016/063702号 特開2023-037724号公報
 上記のような背景のもと、物質の分離精製において使用可能な多孔質粒子のさらなる改良が求められている。特に、分離精製対象の種類や特性に応じて優れた性能を発揮できる多孔質粒子を開発することは有益である。
 本発明者らは、多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含む多孔質粒子について鋭意研究した結果、所定の陽イオン交換容量および膨潤度を有する多孔質粒子を製造することに成功した。そして、そのような多孔質粒子が、分子量の比較的大きな物質の吸着や分離精製にも使用可能であることを見出した。本発明は、例えば以下のとおりである。
[1] 多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含み、陽イオン交換容量が水膨潤体積当たり0.1meq/mL以上であり、且つ膨潤度が8mL/gより大きい、多孔質粒子。
[2] 前記多糖はセルロースである、[1]に記載の多孔質粒子。
[3] 滞留時間2分におけるIgGの10%動的結合容量(DBC)が40mg/mL以上である、[1]または[2]のいずれかに記載の多孔質粒子。
[4] 滞留時間2分におけるIgGの10%動的結合容量(DBC)が50mg/mL以上である、[1]または[2]に記載の多孔質粒子。
[5] 含水率に対する膨潤度の比が0.5~2.0である、[1]~[4]のいずれかに記載の多孔質粒子。
[6] 形状が球状、粒状またはそれらの混合物である、[1]~[5]のいずれかに記載の多孔質粒子。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の多孔質粒子を含む吸着剤。
[8] [7]に記載の吸着剤を含むクロマトグラフィー担体。
[9] (1)多糖を含むベース担体に有機溶媒を添加して、前記ベース担体を洗浄する工程と、
 (2)洗浄後の前記ベース担体に、前記多糖中の水酸基と反応してリン酸エステルを形成する化合物を添加する工程と
を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の多孔質粒子の製造方法。
[10] 前記工程(1)の後であり、前記工程(2)の前に、乾燥することをさらに含む、[9]に記載の製造方法。
[11] 前記有機溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンおよびアセトニトリルからなる群より選択される、[9]または[10]に記載の方法。
[12] [1]~[6]のいずれかに記載の多孔質粒子を、被精製物質を含む溶液と接触させて、前記被精製物質を前記多孔質粒子に吸着させることと、前記被精製物質を溶出させて回収することとを含む、精製方法。
[13] 前記被精製物質が、抗体、酵素、核酸、抗体、タンパク質およびウイルスからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項[12]に記載の精製方法。
[14] 物質の精製に使用するための、[1]~[6]のいずれかに記載の多孔質粒子。
 本発明によれば、リン酸エステルリガンドと相互作用し得る物質、特に分子量の比較的大きな物質の吸着や分離精製に使用可能な多孔質粒子を提供することができる。
実施例1の粒子を顕微鏡で観察した図である。 実施例2の粒子を顕微鏡で観察した図である。 実施例3の粒子を顕微鏡で観察した図である。 実施例4の粒子を顕微鏡で観察した図である。 T7RNAポリメラーゼ溶液の粗精製のフローを示す図である。
 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
 一実施形態によると、本発明の多孔質粒子は、多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含み、陽イオン交換容量が水膨潤体積当たり0.1meq/mL以上であり、且つ膨潤度が8mL/gより大きい。
 本発明者らは、多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含む多孔質粒子について鋭意研究した結果、陽イオン交換容量が水膨潤体積当たり0.1meq/mL以上であり、且つ膨潤度が8mL/gより大きい、多孔質粒子を製造することに成功した。そして、そのような多孔質粒子が、リン酸エステルリガンドと相互作用し得る物質、特に分子量の比較的大きな物質の吸着や分離精製にも使用可能であることを見出した。
 また、多孔質粒子をクロマトグラフィー担体として使用する場合、高流速での処理を行う場合には担体の強度が求められる。しかし、多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含む多孔質粒子においては、その製造工程において高温での反応を行った場合に多糖の分解反応が進行しやすく、得られる多孔質粒子の強度が劣るという問題があった。強度の劣る多孔質粒子をクロマトグラフィー担体として使用した場合、高速での処理が難しくなる。一方、より温和な温度条件での反応を選択した場合には、ベース担体に対するリン酸エステルリガンドの結合量が十分でないという問題が生じ得る。しかし、実施形態に係る多孔質粒子は、比較的強度に優れ、十分なリン酸エステルリガンドの結合量を有するため、高い処理量や高速条件にも耐えることができ、吸着能にも優れている。
 上述したとおり、実施形態に係る多孔質粒子は、リン酸エステルリガンドと相互作用し得る物質の吸着剤として、また、そのような物質を分離精製するためのクロマトグラフィー担体として使用され得る。実施形態に係る多孔質粒子は、分子量の比較的大きな物質に対しても高い吸着能を示す。よって、実施形態に係る多孔質粒子は、リン酸エステルリガンドと相互作用し得る、分子量の比較的大きな物質の吸着剤として、また、そのような物質を分離精製するためのクロマトグラフィー担体としても、好適に使用され得る。分子量の比較的大きな物質としては、例えば50kDa以上の分子量を有する物質、より具体的には、酵素、核酸(例えばmRNA)、抗体、ウイルス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。実施形態に係る多孔質粒子によれば、このような物質を効率的に分離精製できる。
 以下、実施形態に係る多孔質粒子の各構成要素、製造方法、物性、用途等について、詳細に説明する。
1.多孔質粒子
 実施形態に係る多孔質粒子は、多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含む。多孔質粒子の形状は特に制限されないが、機械的強度が高く、ゲル沈降性に優れ、均一な充填床を作製できることから、球状、粒状またはこれらの混合物であることが好ましい。ここでいう球状とは、例えば、長径(最も長い径)が、短径(最も短い径)に対し、2倍以下であることを意味する。粒状とは、球状の粒子における球面の一部が内部に陥没した形状を言う。多孔質粒子は、略真球形で、長径と短径とが同じ長さに近いことがより好ましい。多孔質粒子が球状、粒状またはこれらの混合物であることにより、クロマトグラフィー用分離カラム等への均一な充填が可能となり、より効率的に目的物質の吸着および/または分離精製を行うことができる。
 多孔質粒子の粒子径は、1~500μmが好ましく、クロマトグラフィー用充填剤として利用できるという観点からは、多孔質粒子の粒子径は、10~200μmであることが特に好ましい。また、多孔質粒子の平均粒子径は、好ましくは30~150μm、より好ましくは40~120μmである。ここで、「粒子径」とは、各多孔質粒子の粒子径の実測値を意味し、「平均粒子径」とは、上記粒子径に基づいて算出される平均値であり、特に体積平均粒子径を意味する。
 本明細書において、多孔質粒子の粒子径および平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式の粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。この装置では、粒子群にレーザー光を照射し、そこから発せられる回折/散乱光の強度分布パターンから粒度分布を求め、それに基づいて粒子径および平均粒子径を算出する。具体的な測定装置としては、レーザー回折/散乱式の粒子径分布測定装置LA-960(株式会社堀場製作所)などを用いることができる。
 あるいは、光学顕微鏡で撮影した画像を使用して粒子径を測定することもできる。具体的には、ノギスなどを用いて画像上の粒子径を計測し、撮影倍率から元の粒子径を求める。そして、光学顕微鏡画像から求めたそれぞれの粒子径の値から、下記の式によって平均粒子径を算出する。
  体積平均粒子径(MV)=Σ(nd)/Σ(nd
[式中、dは光学顕微鏡画像から求めた各粒子の粒子径の値を表し、nは測定した粒子の個数を表す。]
 実施形態に係る多孔質粒子は、膨潤度が8mL/gより大きい。例えば、膨潤度は8mL/gより大きく15mL/g以下であることが好ましく、8mL/gより大きく13mL/g以下であることがより好ましい。膨潤度とは、乾燥状態の多孔質粒子が水分を含んだ場合にどの程度の容量まで膨潤するのかを示す指標である。膨潤度は、水で膨潤させた多孔質粒子をメスシリンダー等に入れて、水膨潤体積(膨潤させた多孔質粒子の体積と粒子間空隙の体積の合計体積)を測定し、当該水膨潤体積と乾燥状態の多孔質粒子の重量とから算出される。ここで、粒子間空隙の体積とは、カラムに充填された多孔質粒子間に存在する水で満たされた部分(空隙)の体積を意味する。より具体的には、膨潤度は、後述する実施例に記載の方法によって測定および算出することができる。膨潤度が上記のような範囲にあることにより、特に分子量50kDa以上のような比較的大きなタンパク質を効率的に吸着させ、高処理量、高処理速度での分離精製を可能にするという利点がある。
 実施形態に係る多孔質粒子は、陽イオン交換容量が水膨潤体積当たり0.1eq/mL以上(例えば、0.1~1.0meq/mL)、より好ましくは0.15meq/mL以上(例えば、0.15~0.7meq/mL)、特に好ましくは0.2meq/mL以上(例えば、0.2~0.5meq/mL)である。陽イオン交換容量が上記のような範囲にあることにより、目的物質の吸着により有効であり、多孔質粒子内部への目的物質の拡散が可能なため、高流速下であっても高い吸着性能を維持できるという利点がある。陽イオン交換容量は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
 実施形態に係る多孔質粒子は、含水率の値が、好ましくは5~13、より好ましくは5~11、特に好ましくは6~10である。含水率とは、乾燥状態の多孔質粒子の重量に対するサクションドライ多孔質粒子の重量の比を意味し、「含水率=サクションドライ多孔質粒子の重量/乾燥多孔質粒子の重量」の式で算出される。具体的な測定方法は、後述する実施例に記載のとおりである。
 実施形態に係る多孔質粒子は、含水率に対する膨潤度の比(膨潤度/含水率)が、好ましくは0.5~2.0、より好ましくは0.8~1.7、特に好ましくは1.0~1.5である。含水率に対する膨潤度の比が上記範囲であることにより、多孔質粒子のカラム等へのより均一で密な充填が可能となり、その結果として効率的に吸着および分離精製できるという利点がある。
(ベース担体)
 多孔質粒子におけるベース担体は、多糖を含む。使用される多糖は限定されないが、リン酸エステル化され得る水酸基を分子中に有する多糖である。例えば、グルコース、アガロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトース、アルロース、フルクトース、ソルボース、タガロースあるいはこれらのウロン酸誘導体、アミノ糖誘導体、デオキシ糖誘導体等を構成要素として1種類以上含有する多糖である。
 具体的には、多糖は、デンプン、グリコーゲン、プルラン、デキストラン、ニゲラン、セルロース、ラミナラン、カードラン、ジェラン、マンナン、カラゲナン、イヌリン、レバン、キシラン、アラビナン、ペクチン、キチンおよびキトサンから選択されることが好ましい。実施形態に係る多孔性粒子を、生化学的親和性を吸着の駆動力に利用する、いわゆるアフィニティークロマトグラフィーにおいて使用する場合、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、アガロース、マンナン等の水に不溶のゲルを形成可能である多糖が、合成系の高分子に比べてより好ましく利用できる。多糖は、1種のみを使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 多糖としては、セルロース、特に球状セルロースを使用することが好ましい。これは、多糖として主にセルロース(特に球状セルロース)を含む態様が好ましいことを意図しており、すなわちセルロースに加えて他の多糖を使用し得ることを意図している。球状セルロースは、安価で生体適合性が高く、強度も大きく、カラム耐圧性が良好で、さらにオートクレーブも可能であるという利点を有する。ここで使用するセルロースは、特に限定されず、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体であってもよく、結晶セルロースであっても非結晶セルロースであってもよい。以下、セルロースを含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含む多孔質粒子を、「リン酸エステル化セルロース粒子」とも称する。
 ベース担体は、その主成分が多糖であればよく、他の材料を含んでいても含んでいなくてもよい。ここでいう主成分とは、多孔質粒子中の含有量が50質量%以上である成分を意味する。酢酸セルロースを使用する場合、一般的に酢酸セルロースと定義され得るものであれば特に制限なく使用できるが、酢化度が45~57%であることが好ましい。
 ベース担体は、例えば特開昭55-44312号公報を参照して製造することができる。具体的には、チオシアン酸カルシウムを主成分とするカルシウム塩水溶液にセルロース原料を溶解させ、この溶液もしくはゲル状物を有機溶媒中に粒状に分散させ、次いで分散溶媒と混合する溶媒であってカルシウム塩を溶解する溶媒を用いて脱塩し、セルロースをゲル状に再生する方法によって製造することができる。
 ベース担体は、架橋セルロース粒子であってもよい。ベース担体として架橋セルロース粒子を使用することにより、架橋していないものと比較して機械的強度、耐流速性等に優れるという利点も有する。
 架橋工程は、例えば、特開2009-242770号公報、WO2017/141910号などを参照して行うことができる。より具体的には、例えば、未架橋セルロース粒子の懸濁液に、セルロースモノマーのモル数の6~20倍のモル数の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩およびホウ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機塩の存在下、セルロースモノマーのモル数の4~15倍量の架橋剤と、架橋剤のモル数の0.1~1.5倍量のアルカリとを3時間以上かけて連続滴下または分割添加する工程を含む方法が挙げられる。添加する架橋剤の量(モル数)は、セルロースモノマーのモル数の7~15倍であることがより好ましく、10~15倍であることが特に好ましい。
 架橋セルロース粒子は、機械的強度が高く、より流速の速いクロマトグラフィー条件下での使用が可能である。ここで、「セルロースモノマー」とは、セルロースの構成単位であるグルコースユニットを意味する。また、セルロースモノマーのモル数(すなわち、重合度)は、グルコースユニットから水分を引いた量(すなわちセルロースの乾燥重量)に基づいて計算する(分子量162を1モルとする)。架橋剤は、当該分野で通常使用される架橋剤の中から適宜選択して使用することができるが、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ジクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられ、好ましくは、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、またはグリセロールグリシジルエーテルである。
(リガンド)
 実施形態に係る多孔質粒子は、多糖を含むベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドを含む。リン酸エステルリガンドは、多糖を含むベース担体に、当該多糖の有する水酸基との間でリン酸エステルを形成する化合物を反応させることによって形成され得る。そのような化合物としては、多糖中の水酸基との間でリン酸エステルを形成できる限り限定されるものではないが、リン化合物、特に五酸化リン、オキシ塩化リン、ポリリン酸、リン酸等が好適に使用される。これらのうち、五酸化リン、オキシ塩化リンが好ましく、五酸化リンがより好ましい。上述したような化合物を使用した場合、温和な条件下でリン酸エステル基の導入が可能であり、また、安価に入手可能なために工業規模での製造に有利である。
2.多孔質粒子の製造方法
 実施形態に係る多孔質粒子は、例えば、
(1)多糖を含むベース担体に有機溶媒を添加して、前記ベース担体を洗浄する工程と、
(2)洗浄後の前記ベース担体に、前記多糖中の水酸基と反応してリン酸エステルを形成する化合物(以下、「リン酸エステル形成化合物」とも称する)を添加する工程と
を含む方法によって製造される。
 工程(1)においては、多糖を含むベース担体(ゲル)に有機溶媒を添加して、ベース担体を洗浄する。これにより、ベース担体が有機溶媒で洗浄される、すなわち、ベース担体中の水分が有機溶媒で置換される。使用する有機溶媒は、特に限定されないが、水に対して親和性の高い有機溶媒が好ましく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。洗浄は、ベース担体に有機溶媒を加えて撹拌し、ろ過することを繰り返すことによって行うことができる。
 工程(2)においては、洗浄後のベース担体に、リン酸エステル形成化合物が添加される。具体的な化合物例は上述したとおりであり、化合物の添加量は、所望のリン酸エステルリガンド担持量に応じて、適宜調整することができる。
 リン酸エステル形成化合物を添加する際に適切な溶媒をさらに添加してもよく、リン酸エステル形成化合物を予め適切な溶媒に溶解してから添加してもよい。そのような溶媒としては、上述した工程(1)で使用する有機溶媒が挙げられ、特に、水と有機溶媒との混合液を使用することが好ましい。ここで、リン酸エステル形成化合物に対する水のモル比は、好ましくは0.5~2.0、より好ましくは0.7~1.9、特に好ましくは1.0~1.8である。このようなモル比でリン酸エステル形成化合物と水を使用することにより、目的物質の吸着に有効なリン酸エステルリガンドを多く導入することができる。また、リガンドとして導入したリン酸エステルが架橋部位として利用されてしまうのを抑制することもできる。
 ベース担体へのリン酸エステルリガンドの固定化は、国際公開第2013/146669号公報などを参照して行うことができる。例えば、ベース担体にリン酸エステル形成化合物を添加して、40~70℃で2~18時間反応させることによって、リン酸エステル形成化合物がベース担体中の多糖の水酸基と反応してリン酸エステルリガンドが形成される。
 また、上記工程(1)の後であって、上記工程(2)の前に、乾燥工程をさらに含んでいてもよい。このような乾燥工程を含むことにより、リン酸エステルをリガンドとして効率的に導入できる。乾燥方法は特に限定されないが、加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。加熱乾燥は、好ましくは40~70℃で6~30時間、より好ましくは50~60℃で16~24時間行われる。真空乾燥は、好ましくは25~70℃で4~120時間、より好ましくは40~60℃で10~96時間行われる。
3.吸着剤およびクロマトグラフィー担体
 実施形態に係る多孔質粒子は、上述したとおり、リン酸エステルリガンドと相互作用し得る物質(以下、「目的物質」とも称する)、特に分子量の比較的大きな物質の吸着および分離精製において使用することができる。一実施形態において、分子量の比較的大きな物質は、50kDa以上(または60kDa以上、70kDa以上、80kDa以上、もしくは90kDa以上)の分子量を有する物質であり、より具体的には、酵素、核酸(例えばmRNA)、抗体、タンパク質、ウイルス等である。
 一実施形態によると、実施形態に係る多孔質粒子を含む吸着剤が提供される。当該吸着剤は、目的物質の吸着のために使用され得る。吸着剤は、実施形態に係る多孔質粒子からなってもよく、さらなる材料を含んでいてもよい。
 また、上記吸着剤を含むクロマトグラフィー担体も提供される。クロマトグラフィー担体は、実施形態に係る吸着剤からなってもよく、さらなる材料を含んでいてもよい。当該クロマトグラフィー担体は、目的物質の分離精製において好適に使用され得る。
 吸着剤およびクロマトグラフィー担体の使用態様は限定されないが、例えば、アフィニティークロマトグラフィーや陽イオン交換クロマトグラフィーの担体として使用することができる。これらのクロマトグラフィー用途においては、例えば、クロマトグラフィー用分離カラムに実施形態に係る吸着剤やクロマトグラフィー担体を充填して使用する。また、実施形態に係る多孔質粒子を、さらにケン化、置換基による修飾などの処理に供してから使用することもできる。
 分離精製においては、まずクロマトグラフィー担体をカラムに充填するが、充填の態様は特に限定されない。次いで、目的物質を含むサンプル溶液をクロマトグラフィー担体と接触させ、それによって目的物質と不純物とを分離する。具体的には、カラムに上述したクロマトグラフィー担体を充填し、そこへサンプル溶液を流して、目的物質を選択的にクロマトグラフィー担体に吸着させることにより、目的物質を精製することができる。あるいは、目的物質と不純物を共にクロマトグラフィー担体に吸着させ、溶出条件(例えば塩濃度)を段階的あるいは連続的に変化させることで、クロマトグラフィー担体への親和性の違いを利用して目的物質を精製することもできる。
 実施形態に係るクロマトグラフィー担体に対する目的物質の吸着の程度は、10%動的結合容量(以下、「10%DBC」とも称する)によって評価することができる。実施形態に係る多孔質粒子は、滞留時間2分におけるIgGの10%DBCが、好ましくは40mg/mL以上(例えば、40~200mg/mL)、より好ましくは45mg/mL以上(例えば、45~200mg/mL)、特に好ましくは50mg/mL以上(例えば、50~200mg/mL)である。
 IgGの10%DBCが上記範囲にあれば、IgGおよびそれと類似の特性を有する物質の吸着能に優れていると言える。また、滞留時間2分において優れた10%DBCが得られるということは、クロマトグラフィー担体が、高処理量、高処理速度での分離精製に適した性能を備えていることを意味する。
 クロマトグラフィー条件の設定においては、クロマトグラフィー担体に対する、目的物質と不純物の親和性の違いを利用する。例えば、担体構造(リガンド種、リガンド密度、リガンド配向性、粒子径、細孔径、ベースマトリクス組成など)や、目的物質および不純物の物理化学的性質(等電点、電荷、疎水性度、分子構造、立体構造など)の違いを考慮して条件設定する。条件は、クロマトグラフィーを結合溶出モードまたはフロースルーモードで実行するように調整することができる。
 サンプル溶液、カラムの洗浄、溶出等に使用され得る緩衝液に含まれる成分としては、緩衝能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、1~300mmol/Lのリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ホウ酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TES、Tricineなどが挙げられる。上記の塩は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもできる。さらに、緩衝液には、例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジンなどのアミノ酸、グルコース、スクロース、ラクトース、シアル酸などの糖、またはこれらの誘導体などが含まれていてもよい。溶出は、純水で行うことが好ましい。
 緩衝液のpHは、好ましくは2~9の範囲であり、より好ましくは3~8の範囲である。
 緩衝液の線速度は、好ましくは20~1000cm/hの範囲である。
 一実施形態によると、上述した多孔質粒子(または吸着剤もしくはクロマトグラフィー担体)を、被精製物質(精製対象である目的物質であって吸着剤に吸着する物質)を含む溶液と接触させて、被精製物質を多孔質粒子に吸着させることと、多孔質粒子に吸着した被精製物質を溶出させて回収する工程とを含む精製方法が提供される。目的物質としては、例えば、抗体、酵素、核酸(例えばmRNA)、抗体、タンパク質、ウイルス等が挙げられる。上述したとおり、実施形態に係る多孔質粒子は分子量の比較的大きな物質の吸着や分離精製に使用することが可能であるため、例えば、目的物質の分子量は50kDa以上である。吸着工程後の溶出工程は、当該分野で通常使用される溶出液を使用して通常の方法で行うことができる。
 実施形態に係る方法によると、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上の回収率で目的物質を精製することができる。ここで、回収率とは、クロマトグラフィー担体に負荷した目的物質の量(すなわち、精製前のサンプル溶液中の目的物質量)に対する精製後の目的物質の回収量の割合を意味する。
 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
<球状セルロース粒子の製造>
[製造例1]
(造粒工程)
(1)チオシアン酸カルシウム60重量%水溶液2000gに、結晶性セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:セオラスPH101)128gを加え、110~120℃に加熱して溶解した。
(2)o-ジクロロベンゼンを9600mL用意して、そこに界面活性剤としてソルビタンモノオレエート120gを200~300rpmにて攪拌しながら添加し、温度を130~140℃に加熱することで分散液を得た。
(3)次いで、200~300rpmにて攪拌を続けながら、上記分散液中に(1)で調製した溶液を添加し、40℃まで冷却した。そこにメタノール3800mLを注ぎ、セルロース粒子の懸濁液を得た。
(4)得られた懸濁液を濾過分別してセルロース粒子を回収し、そのセルロース粒子をメタノール3800mLで洗浄した。この洗浄操作を数回行った。
(5)さらに大量の純水で粒子を洗浄し、球状セルロース粒子を得た。
(6)得られた球状セルロース粒子を目開き150μmと目開き53μmの篩いに通し、粒子径53~150μmの球状セルロース粒子を得た。
(還元工程)
(1)上記造粒工程で得られた球状セルロース粒子8500g-wet(含水率11.12)を純水12800gに分散させた後、攪拌を開始し、40℃になるまで加温した。
(2)40℃で攪拌を継続しながら、純水1480g、48%水酸化ナトリウム水溶液127g、および水素化ホウ素ナトリウム76gを加え、添加終了後に温度を60℃に昇温して16時間反応させた。
(3)この反応液を温度40℃以下に冷却した。
(4)反応液を濾過してゲルを回収し、純水で濾過洗浄して、還元された球状セルロース粒子を得た。
<リン酸エステル化セルロース粒子の製造>
[実施例1]
 製造例1で得られた還元された球状セルロース粒子(含水率10.50)105gにジメチルホルムアミド158gを加えて攪拌し、ろ過する操作を10回繰り返した。続いて、得られた洗浄後のセルロース粒子に対して、ジメチルホルムアミド(DMF)83gを溶媒として加えた。この反応溶液を25℃以下に冷却しながら五酸化リン11.39gを加えたのち、純水1.11gとジメチルホルムアミド5gの混合液を添加して溶液を得た(五酸化リンに対する水のモル比:0.77)。得られた溶液を65℃に昇温し、16時間反応させた。反応後、溶媒をろ過により取り除き、次いで得られたゲルを純水で2回洗浄した。次に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。さらに0.5M塩酸水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。最後に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄することで、リン酸エステル化セルロース粒子を得た。
[実施例2]
 添加する五酸化リンの量を16.4g(五酸化リンに対する水のモル比:0.53)としたことを除き、実施例1と同様にリン酸エステル化セルロース粒子を製造した。
[実施例3]
 製造例1で得られた還元された球状セルロース粒子(含水率10.50)300gにメタノール450gを加えて攪拌し、ろ過する操作を10回繰り返したのち、真空乾燥(40℃~60℃)して、乾燥セルロース粒子を得た。別途、ジメチルホルムアミド(DMF)206gに五酸化リン19.28gを加えたのち、純水2.22gとジメチルホルムアミド10gの混合液を添加して溶液を得た(五酸化リンに対する水のモル比:0.91)。この溶液に、上記で得られた乾燥セルロース粒子20gを加えて、65℃に昇温し、16時間反応させた。反応後、溶媒をろ過により取り除き、得られたゲルを純水で2回洗浄した。次に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。さらに0.5M塩酸水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。最後に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄することで、リン酸エステル化セルロース粒子を得た。
[実施例4]
 製造例1で得られた還元された球状セルロース粒子(含水率10.50)150gにメタノール225gを加えて攪拌し、ろ過する操作を9回繰り返したのち、真空乾燥(40℃~60℃)して、乾燥セルロース粒子を得た。別途、ジメチルホルムアミド(DMF)120.2gに五酸化リン8.76gを加えたのち、純水1.11gとジメチルホルムアミド5gの混合液を添加して溶液を得た(五酸化リンに対する水のモル比:1.00)。この溶液に、上記で得られた乾燥セルロース粒子10gを加えて、65℃に昇温し、16時間反応させた。反応後、溶媒をろ過により取り除き、得られたゲルを純水で2回洗浄した。次に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。さらに0.5M塩酸水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。最後に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄することで、リン酸エステル化セルロース粒子を得た。
[比較例1]
 Cellufine Phosphate(JNC株式会社製)を使用した。
<リン酸エステル化セルロース粒子の評価>
 実施例および比較例のリン酸エステル化セルロース粒子について、以下の評価を行った。以下に記載する操作は、特に言及しない限り、室温(25℃)で行ったものである。
[1]膨潤度
 実施例および比較例のリン酸エステル化セルロース粒子の膨潤度を、以下のとおり測定した。まず、上記実施例および比較例で得られたリン酸エステル化セルロース粒子10gを約60gの水に懸濁させて膨潤させた。この懸濁液を1時間脱気した後に、膨潤したリン酸エステル化セルロース粒子を100mLのメスシリンダーに入れて、膨潤したリン酸エステル化セルロース粒子の体積が一定になるまでタッピングと静置を繰り返した。一定になった体積を測定し、次いで、メスシリンダー内のリン酸エステル化セルロース粒子全量をビーカーに移し、80℃で乾燥させた。ゲルの乾燥重量を測定することにより、膨潤度を次式から求めた。
  膨潤度(mL/g)=リン酸エステル化セルロース粒子の水膨潤体積(mL)/リン酸エステル化セルロース粒子の乾燥重量(g)
 ここで、リン酸エステル化セルロース粒子の水膨潤体積とは、上記膨潤したリン酸エステル化セルロース粒子の体積が一定になるまでタッピングと静置を繰り返す工程を行った後に測定される体積を意味する。より具体的には、水膨潤体積は、膨潤させた多孔質粒子の体積と粒子間空隙の体積との和を意味する。ここで、粒子間空隙の体積とは、カラムに充填された多孔質粒子間に存在する水で満たされた部分(空隙)の体積を意味し、すなわち、水膨潤体積は、膨潤したリン酸エステル化セルロース粒子の体積が一定になった際のメスシリンダーの目盛りの値を読むことによって測定される。
 乾燥方法は特に限定されるものではないが、ここでは、80℃の恒温槽中で2日間乾燥させた。
[2]陽イオン交換容量
 上記実施例および比較例で得られたリン酸エステル化セルロース粒子(約10g)に0.5M塩酸を加えて、約30分攪拌した後でろ過し、純水でろ過液が中性になるまでろ過洗浄を行った。これをビーカーに移し、真空乾燥機(60℃)で一晩乾燥させた。乾燥したこれらの粒子1gを精秤し、0.1M水酸化ナトリウム50mLを加えて軽く混ぜ合わせ、24時間静置した。その後、上澄み液10mLを回収し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1M塩酸で滴定した。
  陽イオン交換容量(meq/g)=(10×f1-V×f2)×0.1×5/W
 ここで、f1は0.1M水酸化ナトリウムのファクター、f2は0.1M塩酸のファクター、Vは0.1M塩酸の滴定量(mL)、Wは粒子の秤量値(g)を表す。ファクターとは、使用する溶液の実際の濃度が目標濃度に対して何倍程度か(倍率)を表す。陽イオン交換容量を体積で表す場合は、下記式で計算した。
  陽イオン交換容量(meq/mL)=陽イオン交換容量(meq/g)/膨潤度(mL/g)
[3]含水率
 上記実施例および比較例で得られたリン酸エステル化セルロース粒子を約50V/V%になるように水に懸濁させた後、懸濁液をメスシリンダーに入れ、24時間静置した。そして、メスシリンダーに入れた懸濁液の全体積に対するリン酸エステル化セルロース粒子の自然沈降体積の割合を確認した。その後、メスシリンダーを振とうして中身を再び均一な懸濁液とし、上記で確認した懸濁液の全体積に対する自然沈降体積の割合に基づいて、セルロース粒子の自然沈降体積が100mLとなる量の懸濁液を量り取った。その懸濁液を、直径90mmの5Aのろ紙(アドバンテック東洋株式会社製、「定量濾紙」)上で15分間吸引ろ過することにより水分を取り除いて、サクションドライリン酸エステル化セルロース粒子とした。得られたサクションドライリン酸エステル化セルロース粒子1gをビーカーに入れて、80℃で一晩乾燥させ、得られた乾燥リン酸エステル化セルロース粒子の重量を測定した。含水率を、次式から求めた。
  含水率=サクションドライリン酸エステル化セルロース粒子の重量/乾燥リン酸エステル化セルロース粒子の重量
[4]IgGを用いた吸着性評価
[IgGの10%動的結合容量の測定]
 上記実施例および比較例で得られたリン酸エステル化セルロース粒子をミニカラム(JNC株式会社製)に充填した。別途、抗体溶液として、γ-グロブリン・ヒト血清由来(和光純薬)の溶液(2mg/mL)を調製した。次に、カラムをLCシステムに接続し、バッファーを流して、カラム流出液のUV(紫外線吸光度、280nm)、電気伝導度、およびpHが一定になるまで平衡化した。その後、ベースラインのUVをゼロにし、以下に示すクロマトグラフィー条件にて、10%DBCを測定した。
 調製した抗体溶液を、リン酸エステル化セルロース粒子が充填されたカラムに流速0.53mL/min(滞留時間2分)で流した。カラムから流出した液の280nm吸光度を指標として、結合容量を10%DBCとして測定した。「10%DBC」とは、カラムからの流出液中の目的物質の濃度が初期濃度の10%に達するまでに要する時間から吸着量を推定するものである。カラムに流した抗体溶液のUVを予め測定しておき、カラム流出液のUVをモニターし、抗体溶液の10%の濃度に相当するUVが検出される時点を測定した。
 具体的には、以下の式によりIgGの10%DBCを求めた。なお、この分析は25℃の部屋で行った。
  10%DBC(mg/mL)=抗体溶液濃度(mg/mL)×{抗体溶液を流し始めてから予め測定しておいた抗体溶液のUVの10%に到達するまでの時間(分)×流速(mL/分)-デッドボリューム}/カラム体積
[式中のデッドボリューム=システム配管体積+カラム空隙体積(mL)]
(10%DBC測定におけるクロマトグラフィー条件)
(1)使用機器および試薬
 LCシステム:AKTA avant 25(登録商標)
 バッファー:酢酸バッファーpH5.0(0.05mol/LのNaClを含む)
 ポリクローナル抗体:γ-グロブリン、ヒト血清由来(和光純薬)
 カラム:直径6.7mm、長さ30mm
[5]顕微鏡を用いた粒子形状の観察
 OLYMPUS社製の正立顕微鏡CX41を使用して、顕微鏡観察を行った。スライドガラス上に実施例1~4の粒子をスラリー状にしたものを数滴たらし、その上からカバーガラスを載せて撮影した。図1~4は57.5倍にした顕微鏡写真である。倍率はケニス社製Objective Micrometer OMを使用して算出した。写真では、得られた粒子がほぼ真球状であることが認められる(図1~4)。
 各実施例及び比較例の評価・分析結果を表1に示す。
 表1において、実施例1~4のリン酸エステル化セルロース粒子のいずれも、イオン交換容量が0.1meq/mL以上であり、膨潤度が8mL/gより高かった。
 また、実施例1~4のリン酸エステル化セルロース粒子をクロマトグラフィー担体として用いると、10%DBCは、滞留時間2分のような高流速条件でもすべて50mg/mLより高く、優れた吸着性能を示した。その一方で、比較例1の10%DBCは低かった。すなわち、実施形態に係る多孔質粒子は、特に分子量50kDa以上のような比較的大きなタンパク質を効率的に吸着させることが可能であるため、バイオ医薬品等の製造における物質の分離精製において好適に使用され得ると言える。
[6]T7RNAポリメラーゼの精製
<リン酸エステル化セルロース粒子の製造>
[実施例5]
 製造例1で得られた還元された球状セルロース粒子(含水率10.50)150gにアセトン225gを加えて攪拌し、ろ過する操作を9回繰り返したのち、真空乾燥(40℃~60℃)して、乾燥セルロース粒子を得た。別途、ジメチルホルムアミド(DMF)103gに五酸化リン11.39gを加えたのち、純水1.78gとジメチルホルムアミド5gの混合液を添加して溶液を得た(五酸化リンに対する水のモル比:0.91)。この溶液に、上記で得られた乾燥セルロース粒子10gを加えて、65℃に昇温し、16時間反応させた。反応後、溶媒をろ過により取り除き、得られたゲルを純水で2回洗浄した。次に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。さらに0.5M塩酸水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した。最後に0.5M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄することで、リン酸エステル化セルロース粒子を得た。
 得られたセルロース粒子の物性を以下の表2に示す。表2における各項目の測定方法や定義などは、上記と同様である。
 上記で製造した実施例5のリン酸エステル化セルロース粒子を用いて、T7RNAポリメラーゼの精製を以下のとおり行った。比較例として、上述した比較例1のリン酸エステル化セルロース粒子を用いて同様の操作を行った。
<T7RNAポリメラーゼ溶液の粗精製>
 T7RNAポリメラーゼを発現する大腸菌株pAR1219を培養し、菌体を製造した。得られた菌体からタンパク質を抽出し、粗精製した。そのフローを図5に示す。詳細は以下のとおりである。
(1)カルベニシリンナトリウム水溶液の調製
 カルベニシリンナトリウム(異性体混合物)(富士フィルム和光純薬株式会社製)を純水に溶解させ、100mg/mLのカルベニシリン水溶液を調製した。この溶液を、ポアサイズ0.22μmのシリンジフィルター(Merck製)でろ過した。
(2)培地の調製
 2Lビーカーに2×YT Medium(Sigma-Aldrich製)を63.2g量り取り、純水を約1.5L加えた。撹拌して溶解させ、メスシリンダーを用いて2Lまで純水でメスアップし、栓付ガラス瓶に入れた。この溶液を、72L調製した。調製した培地の一部(1200mL)に寒天を12.0g加え、蓋をアルミホイルで覆ってオートクレーブにかけた。60℃以下に冷却後、上記で調製した100mg/mLカルベニシリンナトリウム水溶液を1200μL加えて混合した。得られた混合物を培養ディッシュ(アズワン株式会社製)に20mLずつ分注し、固化させた。固化を確認後、蓋をして逆さまにし、37℃に設定したクールインキュベータ(三菱電機エンジニアリング社製)内にて12時間乾燥させ、Agar/Crb寒天培地とした。残りの2×YT Medium水溶液もオートクレーブに掛け、使用直前に上記で調製した100mg/mLカルベニシリンナトリウム水溶液を0.1mg/mLになるように加え、2×YT(+)液体培地とした。
(3)T7RNAポリメラーゼを発現する大腸菌の培養
 上記で調製したAgar/Crb寒天培地において、冷凍状態のT7RNAポリメラーゼを発現する大腸菌株pAR1219のグリセロールストックを画線培養した。一晩インキュベートし、翌朝コロニーを確認した。得られたコロニーを爪楊枝でつついて、50mLの2×YT(+)液体培地を入れた125mL容量のひだ付き三角フラスコに入れることで植菌した。当該フラスコを24本用意し、振盪培養を37℃で約24時間実施した。その後、分光光度計(Thermo Fisher SCIENTIFIC製、製品名:GENESYS 10S UV-VIS)を用いて、前培養液のOD600が1.7~2.0であることを確認した。
 2L三角フラスコ6個に2×YT(+)液体培地を1.5L/個、3L三角フラスコ30個に2×YT(+)液体培地を2L/個加え、前培養液を植菌した。振盪培養を37℃で約18~22時間実施し、分光光度計(Thermo Fisher SCIENTIFIC製、製品名:GENESYS 10S UV-VIS)にて培養液のOD600が0.5~1.0であることを確認した。
 IPTG(富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:イソプロピル-β-D(-)-チオガラクトピラノシド)を16.8g量り取り、純水720mLに溶解させ、100mMのIPTG水溶液を調製した。この100mMのIPTG水溶液を、0.22μmシリンジフィルター(Merck製)でろ過した。これを上記培養液に、IPTGの終濃度が1mMとなるように添加し、振盪培養を37℃で3時間以上実施した。培養終了後、培養液を250mLナルジェンボトルに分注し、遠心分離した(4℃、5,000xg、5分間)。上清を除き、湿菌体を得た。湿菌体はPBS(-)(富士フィルム和光純薬株式会社製)を20mL/本加え、遠心分離によって集菌した(4℃、10,000xg、10分間)。上清を除き、湿菌体Aを得た。
(4)タンパク質の抽出
 上記で得られた湿菌体Aを用い、以下の手順で粗タンパク質を抽出した。
 プロテアーゼインヒビター(10μL/mL PMSF(abcam製、製品名:protease inhibitor)、100μMベンズアミジン(東京化成工業株式会社製、製品名:Benzamidine Hydrochloride)、10μMバシトラシン(富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:BACITRACIN))、10% sucrose(富士フィルム和光純薬株式会社製)、および1mM EDTA(株式会社 同仁化学研究所製、製品名:2NA(EDTA・2Na)、pH8.0)を含む20mM Tris-HCl(富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)溶液を調製し、これをLysisバッファーとした。
 上記で得られた湿菌体Aを、上記で調製したLysisバッファー720mLに懸濁後、-80℃にて急速冷凍した。室温(25℃)で融解し、リゾチーム(富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:リゾチーム、卵白由来)を0.2mg/mLになるように加えた。これを4℃で45分間インキュベーションした。再度-80℃で急速冷凍し、室温(25℃)での解凍を2回繰り返した。で解凍した溶液に、MgClを6mMとなるように加えた後、ベンゾナーゼヌクレアーゼ(Merck製、製品名:Benzonase Nuclease, Purity>99%)を12.9 units/mLになるように加えた。この溶液を、4℃で0.5~1時間インキュベートし、粘度低下を目視確認した。この溶液を遠心分離し(4℃、10,000xg、1時間)、上清を回収した。これを上清Aとして、4℃で保存した。
(5)硫安沈殿による粗精製1
 上記で得られた上清A1mLあたり、0.35gの硫酸アンモニウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)を量り取り、すりつぶして粉砕した。上清Aを4℃でスターラーを用いてゆっくり撹拌しながら、上記で粉砕した硫酸アンモニウムを10分かけて徐々に添加した。硫酸アンモニウムの添加後、4℃で1時間撹拌を続けた。得られた溶液を、遠心分離した(4℃、15,000xg、1時間)。上清を除くことで沈殿物Aを回収し、直ちに次の処理をしない場合は-80℃で冷凍保存した。
(6)Cellufine MAX DEAE(JNC株式会社製)による粗精製2
(使用機器および試薬)
 LCシステム:AKTA avant 25(登録商標)
 カラム:直径4.4cm、長さ16.5cm、250mL
 サンプル:粗精製溶液A
 滞留時間:10分
 バッファーA:10mM tris-HCl pH7.5, 0.1mM EDTA, 0.5mM DTT, 10% glycerol, プロテアーゼインヒビター
 平衡化バッファーA:10mM tris-HCl pH7.5, 50mM NaCl, 0.1mM EDTA, 0.5mM DTT, 10% glycerol, プロテアーゼインヒビター
 溶出バッファーA:10mM tris-HCl pH7.5, 1M NaCl, 0.1mM EDTA, 0.5mM DTT, 10% glycerol, プロテアーゼインヒビター
(精製工程)
 上記で得られた沈殿物Aを、導電率が10.0mS/cm以下になるように、バッファーA1800mLに懸濁し、導電率を8.68mS/cmまで下げた。その後、ポアサイズ0.22μmのシリンジフィルター(Merck製)でろ過し、これを粗精製溶液Aとした。
 Cellufine MAX DEAE(JNC株式会社製)をカラムに充填し、LCシステムに接続した。平衡化バッファーAをカラムに流し、カラム流出液のUV(紫外線吸光度、280nm)、電気伝導度、およびpHが一定になるまで25mL/minでカラムに通液し、平衡化した。以降も流速25mL/minで行った。上記で調製した粗精製溶液Aのうち1600mLをカラムに通液した。次いで5カラム体積分の平衡化バッファーAを通液して洗浄した。その後20カラム体積分かけて平衡化バッファーAと溶出バッファーAの混合比を0%(V/V)から50%(V/V)になるように移動相の混合比を連続的に変化させながらカラムに通液し、グラジエント溶離で精製した。これを0.2カラム体積分ずつフラクションとして回収した。
 その後、5カラム体積分の溶出バッファーAを通液してカラムを洗浄した。さらに、2カラム体積分の0.5M水酸化ナトリウム水溶液を通液してカラムを洗浄した。最後に、5カラム体積分のバッファーAを通液して再平衡化した。上記で0.2カラム体積ずつ回収した各フラクションとポジティブコントロールとして市販のT7RNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製)を用いて、SDS-PAGEを行った。その結果を参照し、T7RNAポリメラーゼのポジティブコントロールと同一の約98kDaの位置に泳動されているバンドの強度が強く、その他不純物のバンドが少ないフラクション(25~42フラクション目)のみを合わせて粗精製溶液Bとして900mL回収した。
(7)アフィニティー精製:高純度T7RNAポリメラーゼ溶液の調製
 上記で得られた粗精製溶液Bを、Cellufine Phosphate(JNC株式会社製)を用いて以下の手順で高純度に精製した。
(使用機器および試薬)
 LCシステム:AKTA avant 25(登録商標)
 サンプル:精製前酵素溶液A
 カラム:直径14.6mm、長さ30mm、5mL
 滞留時間:2分
 バッファーB:10mM potassium phosphate pH7.5, 0.1mM EDTA, 0.1mM DTT, プロテアーゼインヒビター
 平衡化バッファーB:10mM potassium phosphate pH7.5, 50mM NaCl, 0.1mM EDTA, 0.1mM DTT, プロテアーゼインヒビター
 溶出バッファーB:10mM potassium phosphate pH7.5, 1M NaCl, 0.1mM EDTA, 0.1mM DTT, プロテアーゼインヒビター
(精製工程)
 上記で得られた粗精製溶液Bを、導電率が7.60mS/cmになるまで平衡化バッファーBで希釈した。得られた溶液を、ポアサイズ0.22μmのシリンジフィルター(Merck製)でろ過し、これを精製前酵素溶液Aとした。Cellufine Phosphate(JNC株式会社製)をカラムに充填し、LCシステムに接続した。平衡化バッファーBをカラムに流し、カラム流出液のUV(紫外線吸光度、280nm)、電気伝導度、およびpHが一定になるまで2.5mL/minでカラムに通液し、平衡化した。
 上記で調製した精製前酵素溶液A240mLを2.5mL/minでカラムに通液した。次いで移動相の導電率が約18mS/cmになるような平衡化バッファーBと溶出バッファーBの混合比で10カラム体積分通液してカラムを洗浄した。その後、20カラム体積分の溶出バッファーBをカラムに通液することで、3カラム体積分ずつフラクションとして回収し、1フラクション目の15mLを高純度T7RNAP溶液として回収した。その後、3カラム体積分の0.5M水酸化ナトリウム水溶液を通液してカラムを洗浄した。最後に、15カラム体積分のバッファーBを通液して再平衡化した。
(8)T7RNAポリメラーゼ溶液の調製
(T7RNAポリメラーゼ溶液(酵素溶液)の調製)
 上記で調製した高純度T7RNAP溶液をバッファーBで2倍に希釈し、分画分子量3500のスペクトラポア3透析膜(REPLIGEN社)を用いて10倍量の平衡化バッファーBで透析した。さらに、導電率7.5mS/cm程度になるように平衡化バッファーBおよびバッファーBを用いて希釈した。この希釈した高純度T7RNAポリメラーゼ溶液を酵素溶液として使用した。酵素溶液のDNA濃度およびタンパク質濃度は、以下に示す手順で測定および算出した。DNA濃度はQuant-iT PicoGreen dsDNA Assayキット(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)で測定した。タンパク質濃度はAlbumin Standard(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)で希釈系列を作成して検量線とし、Protein Assay Dye Reagent Concentrate(バイオラッド社製)で染色して595nmの吸光度を測定して算出した(Bradford法)。
(酵素活性測定)
 以下の手順にて、上記で得られた酵素溶液の酵素活性を測定および算出した。まず、別途調製した高純度T7RNAP溶液について、T7 RNA Polymerase Assay Kit(ProFoldin社製)を用いて酵素活性測定を行うことにより、UVフローセルの光路長2mmを使用した場合の280nmでの吸光度1mAUあたり1.25U/μLの酵素活性濃度を示すことを事前に確認した。上記で得られた酵素溶液は、表3に示すように酵素活性値あたりのDNAおよびProtein残留量が低く、T7RNAポリメラーゼの純度が高いことがわかる。そのため、酵素溶液の酵素活性濃度は280nmの吸光度1mAUあたり1.25U/μLであるとして、酵素活性濃度(U/μL)を算出した。すなわち、本発明の酵素活性濃度は、次に示す手順で280nmでの吸光度を測定し、算出した。
 まず、LCシステムに平衡化バッファーBを流し、UV(紫外線吸光度、280nm)、電気伝導度、およびpHが一定になるまで平衡化し、ベースラインのUVをゼロにした。次いで酵素溶液をLCシステムにUV(紫外線吸光度、280nm)、電気伝導度、およびpHが一定の値になるまで流し、その際の280nmの吸光度(mAU)の値に1.25U/(μL・mAU)を掛けることで算出した。
 酵素活性濃度(U/μL)=1.25{U/(μL・mAU)}×一定の値を示した時の280nmの吸光度(mAU)
 酵素溶液のDNA濃度、タンパク質濃度および酵素活性濃度の分析結果を、以下の表3に示す。
(9)T7RNAポリメラーゼを用いた吸着性評価(5%動的結合容量の測定)
 上記実施例5および比較例1のリン酸エステル化セルロース粒子を、Tricorn(商標) Columns(Cytiva社製)に体積が0.3mLになるように1.5cmの高さまで充填した。次に、カラムをLCシステムに接続し、バッファーを流して、カラム流出液のUV(紫外線吸光度、280nm)、電気伝導度、およびpHが一定になるまで平衡化した。その後、ベースラインのUVをゼロにし、以下に示す手順および条件にて、5%DBCを測定した。結果は以下の表4に示す。
(手順)
 上記で調製した酵素溶液を、リン酸エステル化セルロース粒子が充填されたカラムに流速0.15mL/min(滞留時間2分)で流した。カラムから流出した液の280nm吸光度を指標として、結合容量を5%DBCとして測定した。「5%DBC」とは、カラムからの流出液中の目的物質の濃度が初期濃度の5%に達するまでに要する時間から吸着量を推定するものである。カラムに流した酵素溶液のUVを予め測定しておき、カラム流出液のUVをモニターし、酵素溶液の5%の濃度に相当するUVが検出される時点を測定した。
 具体的には、以下の式により5%DBCを求めた。酵素溶液濃度は400000Uで1mgと換算して算出した。なお、この分析は25℃の部屋で行った。
 5%DBC(mg/mL)=酵素溶液濃度(mg/mL)×{酵素溶液を流し始めてから予め測定し算出しておいた5%UV吸収値に到達するまでの時間(分)×流速(mL/分)-デッドボリューム}/カラム体積
[式中のデッドボリューム=システム配管体積+カラム空隙体積(mL)]
(クロマトグラフィー条件)
・使用機器および試薬
 LCシステム:AKTA avant 25(登録商標)
 バッファー:酢酸バッファーpH5.0(0.05mol/LのNaClを含む)
 サンプル:酵素溶液
 カラム:TricornTM Columns 直径5.0mm、長さ3.0cm 
[7]BSA(アルブミンウシ血清由来)の精製
 実施例5および比較例1のリン酸エステル化セルロース粒子をミニカラム(JNC株式会社製)に充填した。別途、タンパク質溶液として、アルブミン;ウシ血清由来(和光純薬)の溶液(2mg/mL)を調製した。次に、カラムをLCシステムに接続し、バッファーを流して、カラム流出液のUV(紫外線吸光度、280nm)、電気伝導度、およびpHが一定になるまで平衡化した。その後、ベースラインのUVをゼロにし、以下に示す手順および条件にて、10%DBCを測定した。結果は以下の表4に示す。
(手順)
 上記で調製したタンパク質溶液を、リン酸エステル化セルロース粒子が充填されたカラムに流速0.265mL/min(滞留時間4分)で流した。カラムから流出した液の280nm吸光度を指標として、結合容量を10%DBCとして測定した。「10%DBC」とは、カラムからの流出液中の目的物質の濃度が初期濃度の10%に達するまでに要する時間から吸着量を推定するものである。カラムに流した抗体溶液のUVを予め測定しておき、カラム流出液のUVをモニターし、抗体溶液の10%の濃度に相当するUVが検出される時点を測定した。
 具体的には、以下の式によりBSAの10%DBCを求めた。なお、この分析は25℃の部屋で行った。
  10%DBC(mg/mL)=タンパク質溶液濃度(mg/mL)×{タンパク質溶液を流し始めてから予め測定しておいたタンパク質溶液のUVの10%に到達するまでの時間(分)×流速(mL/分)-デッドボリューム}/カラム体積
[式中のデッドボリューム=システム配管体積+カラム空隙体積(mL)]
(クロマトグラフィー条件)
・使用機器および試薬
 LCシステム:AKTA avant 25(登録商標)
 バッファー:酢酸バッファーpH5.0(0.05mol/LのNaClを含む)
 タンパク質:アルブミン、ウシ血清由来(和光純薬)
 カラム:直径6.7mm、長さ30mm
 T7RNAポリメラーゼの5%動的結合容量およびBSA10%動的結合容量の測定結果を以下の表4に示す。
 T7RNAポリメラーゼを用いた吸着性評価(5%DBC)で吸着したT7RNAポリメラーゼを回収し、そのDNA濃度、タンパク質濃度および酵素活性濃度を測定した。測定方法は、上述した酵素溶液の分析に用いた方法と同様である。結果を、以下の表5に示す。
 表4から分かるとおり、実施形態に係るクロマトグラフィー担体は、優れた吸着性能を示した。この効果は、サイズの大きな物質においてより顕著に見られ、T7RNAポリメラーゼに対しては、滞留時間2分のような高流速条件でも優れた吸着性能を示した。また、表5から実施例の回収フラクション中の酵素活性値あたりの不純物(DNAやProtein)の残留量は比較例より低い値を示しているため、実施形態に係るクロマトグラフィー担体は不純物分離能にも優れており、バイオ医薬品の製造工程で生産される酵素と不純物とを首尾よく分離することができるといえる。すなわち、実施形態に係る多孔質粒子は、高い吸着能および優れた不純物分離能を維持しながらT7RNAポリメラーゼのような比較的大きな分子の効率的な精製が可能となるため、バイオ医薬品などの分離・精製プロセスにおいて好適に使用され得ると言える。
 本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (13)

  1.  多糖を含むベース担体と、該ベース担体に固定化されたリン酸エステルリガンドとを含み、陽イオン交換容量が水膨潤体積当たり0.1meq/mL以上であり、且つ膨潤度が8mL/gより大きい、多孔質粒子。
  2.  前記多糖はセルロースである、請求項1に記載の多孔質粒子。
  3.  滞留時間2分におけるIgGの10%動的結合容量(DBC)が40mg/mL以上である、請求項1または2に記載の多孔質粒子。
  4.  滞留時間2分におけるIgGの10%動的結合容量(DBC)が50mg/mL以上である、請求項1または2に記載の多孔質粒子。
  5.  含水率に対する膨潤度の比が0.5~2.0である、請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔質粒子。
  6.  形状が球状、粒状またはそれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の多孔質粒子。
  7.  請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質粒子を含む吸着剤。
  8.  請求項7に記載の吸着剤を含むクロマトグラフィー担体。
  9.  (1)多糖を含むベース担体に有機溶媒を添加して、前記ベース担体を洗浄することと、
     (2)洗浄後の前記ベース担体に、前記多糖中の水酸基と反応してリン酸エステルを形成する化合物を添加することと
    を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質粒子の製造方法。
  10.  前記工程(1)の後であり、前記工程(2)の前に、乾燥することをさらに含む、請求項9に記載の製造方法。
  11.  請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質粒子を、被精製物質を含む溶液と接触させて、前記被精製物質を前記多孔質粒子に吸着させることと、
     前記被精製物質を溶出させて回収することと
    を含む、精製方法。
  12.  前記被精製物質が、抗体、酵素、核酸、抗体、タンパク質およびウイルスからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項11に記載の精製方法。
  13.  物質の精製に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質粒子。 
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