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WO2026004229A1 - アルミニウム合金線および電線 - Google Patents

アルミニウム合金線および電線

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WO2026004229A1
WO2026004229A1 PCT/JP2025/007845 JP2025007845W WO2026004229A1 WO 2026004229 A1 WO2026004229 A1 WO 2026004229A1 JP 2025007845 W JP2025007845 W JP 2025007845W WO 2026004229 A1 WO2026004229 A1 WO 2026004229A1
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mass
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wire
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功 岩山
博之 中川
保広 赤祖父
啓 小島
一弥 徳田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

アルミニウム合金線は、Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、アルミニウム合金線の導電率は、62.5%IACS以上であり、アルミニウム合金線に対して、140℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さは、熱処理前の引張強さの84%以上である。

Description

アルミニウム合金線および電線
 本開示は、アルミニウム合金線および電線に関する。
 本出願は、2024年6月27日出願の日本国出願「特願2024-104156」に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
 アルミニウム合金線は、例えば、電線の導体として用いられる(例えば、特許文献1)。
国際公開第2019/189002号
 本開示の一態様によれば、アルミニウム合金線であって、Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記アルミニウム合金線の導電率は、62.5%IACS以上であり、前記アルミニウム合金線に対して、140℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さは、前記熱処理前の引張強さの84%以上であるアルミニウム合金線が提供される。
図1は、アルミニウム合金線中のFeのK吸収端のX線吸収微細構造測定により得られる動径構造関数を示す図である。 図2は、アルミニウム合金線中のTiのK吸収端のX線吸収微細構造スペクトルである。 図3は、本開示の一実施形態に係る電線の軸方向と直交する概略断面図である。 図4は、本開示の一実施形態に係る電線の製造方法を示すフローチャートである。 図5は、実施例の評価結果を示す表1である。 図6は、実施例の評価結果を示す表2である。 図7は、アルミニウム合金線の熱処理後の引張残存率の、Feの析出指数依存性を示す図である。 図8は、アルミニウム合金線の導電率の、Tiの析出指数依存性を示す図である。
[発明が解決しようとする課題]
 本開示の目的は、導電性と耐熱性とを両立することである。
[発明の効果]
 本開示によれば、導電性と耐熱性とを両立することができる。
[本開示の実施形態の説明]
<発明者の得た知見>
 まず、発明者の得た知見について説明する。
 所定の導電性および耐熱性を有するアルミニウム(Al)合金線として、鉄(Fe)、シリコン(Si)およびチタン(Ti)を含有するAl合金線が開発されている。
 発明者等が上述の合金元素を含むAl合金線を検討した結果、これまで知られた構成では、Al合金線中のFeおよびTiの状態に基づいて、以下のような新規課題が生じることが分かった。
(従来のAl合金線:JISC3108:2016「電気用硬アルミニウム線」)
 従来のAl合金線では、Feが母相のAl中に固溶していた。これにより、Al合金線の強度および耐熱性を向上させていた。しかしながら、Feの固溶に起因して、Al合金線の導電率が低下していた。
 さらに、従来のAl合金線では、鋳造工程の直前に、Ti-ボロン(B)化合物(例えばTiB)を含むワイヤを溶湯中に導入することで、Alの凝固組織を微細化し、鋳造における傷の発生を抑制していた。しかしながら、上述のTiBワイヤ中には、Ti-B化合物だけではなく、過剰なTiも含まれていた。このため、Al合金中に取り込まれた過剰なTiが、母相のAl中に固溶していた。その結果、当該Tiの固溶に起因しても、Al合金線の導電率が低下していた。
(特許文献1のAl合金線)
 上述した従来のAl合金線の導電率よりも導電率を向上させるため、特許文献1では、Al中にTiだけでなく、Bも積極的に添加した。さらに、特許文献1では、圧延工程から伸線工程までの間に300℃以上の温度で1時間以上の中間熱処理工程を行った。
 特許文献1では、上述の中間熱処理工程により、Feを析出させていた。これにより、Al合金線中のFeの固溶量を低減していた。その結果、Al合金線の導電率を向上させていた。
 特許文献1では、上述のBの積極的添加により、上述のTiBワイヤ中の過剰なTiとBとを反応させ、Ti-B化合物の結晶を析出させていた。これにより、Al合金線中の過剰なTiの存在量を低減し、Al合金線中のTiの固溶量を低減していた。その結果、Tiの固溶に起因した、Al合金線の導電率の低下を抑制していた。
 しかしながら、特許文献1では、Al合金線の導電率を向上できたものの、Al合金線中のFeの固溶量が低減したため、Al合金線の耐熱性が低下していた。
 以上のように、従来のAl合金線および特許文献1のAl合金線では、導電性と耐熱性とを両立することが困難となっていた。
 そこで、発明者等は、Al合金線の組成およびAl合金線の製造方法を更に鋭意検討した結果、導電性と耐熱性とを両立したAl合金線を得ることに成功した。
 以下の本開示は、発明者等が見出した上記新規課題に基づくものである。
<本開示の実施態様>
 次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の一態様に係るアルミニウム合金線は、
 Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、
 Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、
 Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、
 Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、
 を含有し、
 残部がAlおよび不可避不純物からなり、
 前記アルミニウム合金線の導電率は、62.5%IACS以上であり、
 前記アルミニウム合金線に対して、140℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さは、前記熱処理前の引張強さの84%以上である。
 この構成によれば、導電性と耐熱性とを両立することができる。
[2]上記[1]に記載のアルミニウム合金線において、
 前記アルミニウム合金線は、式(1)および式(2)を満たす、
 IFe1/IFe0≦0.70 ・・・(1)
 xTi1/xTi2≧1.03 ・・・(2)
 ここで、
 IFe1は、前記アルミニウム合金線中のFeのK吸収端のX線吸収微細構造測定から得られる動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
 IFe0は、前記アルミニウム合金線中におけるFeの動径構造関数を得た条件と同一条件下で得られる、標準試料としての純度99.99%で且つ厚さ0.005mmの鉄圧延材中のFeの動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
 xTi1およびxTi2は、前記アルミニウム合金線中におけるTiのK吸収端の前後の吸光度差で規格化したX線吸収微細構造スペクトルにおいて、それぞれ、入射X線のエネルギー4978eV以上4984eV以下の範囲内に生じる第1ピークの高さ、および、入射X線のエネルギー4986eV以上4994eV以下の範囲内に生じる第2ピークの高さである。
 この構成によれば、導電性と耐熱性とを両立することができる。
[3]本開示の他の態様に係るアルミニウム合金線は、
 Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、
 Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、
 Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、
 Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、
 を含有し、
 残部がAlおよび不可避不純物からなり、
 前記アルミニウム合金線は、式(1)および式(2)を満たす、
 IFe1/IFe0≦0.70 ・・・(1)
 xTi1/xTi2≧1.03 ・・・(2)
 ここで、
 IFe1は、前記アルミニウム合金線中のFeのK吸収端のX線吸収微細構造測定から得られる動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
 IFe0は、前記アルミニウム合金線中におけるFeの動径構造関数を得た条件と同一条件下で得られる、標準試料としての純度99.99%で且つ厚さ0.005mmの鉄圧延材中のFeの動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
 xTi1およびxTi2は、前記アルミニウム合金線中におけるTiのK吸収端の前後の吸光度差で規格化したX線吸収微細構造スペクトルにおいて、それぞれ、入射X線のエネルギー4978eV以上4984eV以下の範囲内に生じる第1ピークの高さ、および、入射X線のエネルギー4986eV以上4994eV以下の範囲内に生じる第2ピークの高さである。
 この構成によれば、導電性と耐熱性とを両立することができる。
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つに記載のアルミニウム合金線において、
 前記アルミニウム合金線中のBの含有量に対するTiの含有量の比率は、2.5以下である。
 この構成によれば、Al合金線の導電率の低下を安定的に抑制することができる。
[5]本開示の更に他の態様に係る電線は、
 上記[1]から[4]のいずれか1つに記載のアルミニウム合金線を複数撚り合わせて設けられる撚線部を有する。
 この構成によれば、導電性と耐熱性とを両立することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
 次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<本開示の一実施形態>
(1)アルミニウム合金線
 本実施形態のAl合金線(以下、後述の内容にあわせて「Al合金線210」とも記載する)は、例えば、Feと、Siと、Tiと、Bとを含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなっている。
 以下、Al合金線210中の各元素の含有量は、Al合金線210全体を100質量%としたときの含有量である。
(Fe)
 上述のように、Al合金線では、母相のAl中に固溶するFeと、母相のAl中に析出するFeとがそれぞれ所定の割合で存在しうる。
 従来のAl合金線のように、Feが母相のAl中に固溶する割合が比較的多い場合では、固溶したFeにより、Al合金線の強度(引張強さ)および耐熱性を向上させることができる。しかしながら、Feの固溶に起因して、Al合金線の導電率が低下する傾向にある。
 一方で、特許文献1のAl合金線のように、Feが母相のAl中に析出(晶出を含む)する場合では、Feの固溶量が減ることで、Al合金線の導電率を向上させることができる。しかしながら、Feの析出に起因して、Al合金線の耐熱性が低下する傾向にある。
 これに対し、本実施形態では、Al合金線210中のFeの含有量を最適化し、且つ、後述の製造方法を適用することにより、Al合金線210中のFeの固溶割合を高くしている。これにより、Al合金線210の導電率の低下を抑制しつつ、Al合金線210の耐熱性を向上させることができる。
 具体的には、本実施形態のAl合金線210中のFeの含有量は、例えば、0.020質量%以上0.200質量%以下である。
 Feの含有量が0.020質量%未満であると、Al合金線210中のFeの固溶割合は高くなるが、Feが母相のAl中に固溶する絶対量が少なくなる。このため、Al合金線210の耐熱性が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、Feの含有量を0.020質量以上とすることで、Al合金線210中のFeの固溶割合を高くしつつ、Feを母相のAl中に充分な絶対量で固溶させることができる。これにより、Al合金線210の耐熱性を向上させることができる。
 一方で、Feの含有量が0.200質量%超であると、Feの過剰な固溶に起因して、Al合金線210の導電率が低下する。これに対し、本実施形態では、Feの含有量を0.200質量%以下とすることで、Feの過剰な固溶を抑制することができる。これにより、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
 本実施形態のAl合金線210において、Feの固溶割合が高い状態は、X線吸収微細構造測定により確認することができる。この点については、詳細を後述する。
(Si)
 本実施形態では、Siは、主に母相のAl中に固溶している。これにより、Al合金線210をSiにより固溶強化することができる。これにより、Al合金線210の強度(引張強さ)を向上させることができる。ただし、Siの固溶では、耐熱性向上効果はあまり得られない。
 本実施形態のAl合金線210中のSiの含有量は、例えば、0.005質量%以上0.070質量%以下である。
 Siの含有量を0.005質量%未満とすると、地金Alに不可避不純物としてSiが含まれるため、地金Alの純度を高くする必要がある。このため、精錬コストが上昇する。これに対し、本実施形態では、Siの含有量を0.005質量%以上とすることで、地金Alの純度を過度に高くする必要がなく、精錬コストの上昇を抑制することができる。さらに、Siの含有量を0.005質量%以上とすることで、Siを母相のAl中に充分に固溶させることができる。これにより、Al合金線210の強度(引張強さ)を安定的に向上させることができる。
 一方で、Siの含有量が0.070質量%超であると、Siの過剰な固溶に起因して、Al合金線210の導電率が低下する。これに対し、本実施形態では、Siの含有量を0.070質量%以下とすることで、Siの過剰な固溶を抑制することができる。これにより、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
(Ti)
 上述した従来のAl合金線のように、Tiが母相のAl中に固溶すると、Al合金の導電率が大きく低下する。
 これに対し、本実施形態では、後述のように、Al合金線210中にBを積極的に添加するとともに、長時間の溶湯保持工程S120を適用することにより、Tiは、Al合金中にTi-B化合物として析出している。具体的には、Ti-B化合物(例えばTiB)の結晶が、Al合金中に微細に分散した状態で析出している。
 Ti-B化合物の析出により、Tiの固溶量を低減することができる。これにより、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
 Ti-B化合物の結晶をAl合金中に微細に分散させることで、分散したTi-B化合物の結晶を核として、Alが凝固する。これにより、Alの結晶粒を微細化することができる。その結果、Al合金線210の加工性を向上させることができる。
 本実施形態のAl合金線210中のTiの含有量は、例えば、0.001質量%以上0.020質量%以下である。
 Tiの含有量が0.001質量%未満であると、Ti-B化合物の結晶が充分に析出せず、Alの結晶粒が微細化され難い。このため、Al合金線210の加工性が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、Tiの含有量を0.001質量%以上とすることで、Ti-B化合物の結晶を充分に析出させ、Alの結晶粒を微細化することができる。これにより、Al合金線210の加工性を向上させることができる。
 一方で、Tiの含有量が0.020質量%超であると、Bの含有量に応じて母相のAl中にTiが過剰に固溶する可能性がある。このため、Al合金線210の導電率が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、Tiの含有量を0.020質量%以下とすることで、Ti-B化合物の析出の飽和を抑制し、Tiの過剰な固溶を抑制することができる。これにより、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
 本実施形態のAl合金線210において、Ti-B化合物の析出状態は、X線吸収微細構造測定により確認することができる。この点については、詳細を後述する。
(B)
 本実施形態では、上述のように、Al合金線210中に、Bを積極的に添加している。
 具体的には、本実施形態のAl合金線210中のBの含有量は、例えば、0.002質量%以上0.100質量%以下である。
 Bの含有量が0.002質量%未満であると、Tiを母相のAl中にB化合物として充分に析出させることができない。このため、Tiの固溶量が低減され難い。その結果、Al合金線210の導電率が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、Bの含有量を0.002質量%以上とすることで、Tiを母相のAl中にB化合物として析出させることができる。これにより、Tiの固溶量を低減することができる。その結果、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
 一方で、Bの含有量が増加しても、Bは、TiおよびFeと比較すると、導電率を低下させにくい。それでも、Bを過剰に添加すると、導電率に悪影響を及ぼす。したがって、本実施形態では、Bの含有量を0.100質量%以下とすることで、Al合金線210の高い導電率を安定的に維持させることができる。
 さらに、本実施形態では、Al合金線210中のBの含有量に対するTiの含有量の比率(以下、「Ti/B」とも記載する)は、例えば、2.5以下であってもよい。
 Ti/B>2.5であり、すなわちBに対してTiが過剰に存在していると、Ti-B化合物の結晶が充分に析出せず、Tiの固溶量が多くなる。このため、Al合金線210の導電率が低下する可能性がある。
 これに対し、本実施形態では、Ti/B≦2.5とすることで、Ti-B化合物の結晶を充分に析出させ、Tiの固溶量を安定的に低減することができる。その結果、Al合金線210の導電率の低下を安定的に抑制することができる。
 Ti/Bの下限値は、特に限定されるものではない。ただし、上述したTiの含有量の下限値と、Bの含有量の上限値とに基づいて、Ti/Bは、0.01以上であってもよい。
(不可避不純物)
 本実施形態では、Al合金線210中に、ジルコニウム(Zr)を意図的に添加していない。具体的には、本実施形態のAl合金線中の不可避不純物の1つとしてのZrの含有量は、例えば、0.010質量%未満である。このようにAl合金線210がZrを含まないか、或いはAl合金線210中のZrの含有量を少なくすることで、導電率を容易に向上させることができる。また、溶湯温度を過剰に高く設定する必要がない。これにより、溶湯の昇温時間を短くすることができる。そのほか、凝固時の熱応力を低減し、傷が発生するリスクを減少させることができる。さらに、溶解炉のダメージを抑制し、溶解炉の寿命を長くすることができる。
 本実施形態では、Al合金線210中に、ストロンチウム(Sr)を意図的に添加していない。具体的には、Al合金線中の前記不可避不純物の1つとしてのSrの含有量は、例えば、0.005質量%未満である。このようにAl合金線210がSrを含まないか、或いはAl合金線210中のSrの含有量を少なくすることで、Srに起因したFeの析出促進を抑制することができる。
 本実施形態では、Al合金線210中の不可避不純物の合計含有量は、例えば、0.010質量%未満であってもよく、或いは0.005質量%未満であってもよい。
(2)Al合金線中のFeおよびTiの状態
 次に、図1および図2を参照し、Al合金線210中のFeおよびTiの状態について説明する。
 ここで、X線吸収微細構造(XAFS:X-ray Absorption Fine Structure)測定では、物質にX線を照射し、物質からの透過X線の強度または蛍光X線の強度を測定することで、物質中の所定の測定対象元素に由来するXAFSスペクトルが得られる。XAFSスペクトルの低エネルギー領域は、元素の化学状態(単体、化合物種など)を反映する。さらに、XAFSスペクトルの高エネルギー領域に生じる広域X線吸収微細構造(EXAFS)振動をフーリエ変換することにより、測定対象元素の動径構造関数が得られる。上述のXAFSスペクトルまたは動径構造関数を解析することにより、測定対象元素の周囲の局所構造(原子間距離、配位数、価数、配位構造)などを評価することができる。
 発明者等は、本実施形態のAl合金線210に含まれる各元素のXAFS測定を行うことにより、Al合金線210中の各元素の固溶または析出の状態を評価した。
 その結果、本実施形態では、後述する製造方法により、Feの固溶割合を高くし、且つ、Ti-B化合物を析出させることで、Al合金線210は、FeおよびTiのそれぞれのXAFS測定結果に関して、後述する要件を満たすことを、発明者等は見出した。
(Fe析出指数)
 図1は、本実施形態および比較例のそれぞれのAl合金線中において、FeのK吸収端のX線吸収微細構造測定により得られる動径構造関数を示している。図1において、横軸は半径方向の距離(単位nm)を示し、縦軸は半径方向の各距離における動径構造関数の規格化した|Χ(R)|(任意単位)を示している。
 Feの動径構造関数Χ(R)は、以下の工程(a)~(d)を実施することにより得られる。
 (a)FeのK吸収端のX線吸収微細構造スペクトルμ(E)を測定する。
 (b)X線吸収微細構造スペクトルμ(E)に基づいて、式(A)により広域X線吸収微細構造振動χ(k)を得る。
 χ(k)={μ(E)-μs(E)}/μ0 ・・・(A)
 ここで、
 kは波数であり、Eはエネルギーであり、μs(E)はμ(E)の振動成分の中心をスプライン関数により近似した成分であり、μ0はμ(E)における吸収端前後の吸光度差である。
 (c)広域X線吸収微細構造振動χ(k)を、kにより重みづけ処理を行う。
 (d)(c)により得られたkχ(k)を、波数kの30nm-1以上80nm-1以下の範囲内の領域をフーリエ変換する。
 図1において記載した「IFe1」とは、Al合金線210中のFeのK吸収端のXAFS測定から得られる動径構造関数Χ(R)において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さである。「IFe0」とは、Al合金線210中におけるFeの動径構造関数を得た条件と同一条件下で得られる、標準試料としての純度99.99%で且つ厚さ0.005mmの鉄圧延材(体心立方格子(bcc)構造)中のFeの動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さである。なお、IFe1のピークの半径位置と、IFe0のピークの半径位置とは、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内で少しずれる可能性がある。
 上述の図1の縦軸は、IFe0で規格化した動径構造関数Χ(R)の値を示している。このため、図1では、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークに対して「IFe1/IFe0」と記載している。
 当該比率「IFe1/IFe0」を、以下では「Fe析出指数」ともいう。Fe析出指数IFe1/IFe0は、Al合金線中のFeの析出割合を反映した指数である。
 図1に示した比較例の動径構造関数は、例えば、後述する実施例のサンプル40BのAl合金線中のFeの動径構造関数である。比較例では、Fe析出指数IFe1/IFe0が0.70超となっている。これは、比較例では、Al合金線中のFeのうち、Feの析出割合が高いためである。このような傾向を示す比較例では、Feの固溶割合が低いため、Al合金線の耐熱性が低下する。
 これに対し、図1に示した本実施形態の動径構造関数は、例えば、後述する実施例のサンプル5AのAl合金線中のFeの動径構造関数である。本実施形態では、Fe析出指数IFe1/IFe0が比較例のそれよりも低くなっている。
 具体的には、本実施形態のAl合金線210は、例えば、以下の式(1)を満たす。
 IFe1/IFe0≦0.70 ・・・(1)
 本実施形態では、Al合金線210がFe析出指数に関して式(1)を満たすことで、Al合金線210中のFeのうち、Feの固溶割合が高くなっている。これにより、Al合金線210の耐熱性を向上させることができる。
 Fe析出指数IFe1/IFe0の下限値は、特に限定されるものではない。ただし、IFe1/IFe0≧0.45であってもよい。
(Ti析出指数)
 図2は、本実施形態および比較例のそれぞれのAl合金線中において、TiのK吸収端のXAFSスペクトルを吸収端前後の吸光度差で規格化したスペクトルを示している。図2において、横軸は入射X線のエネルギー(単位eV)を示し、縦軸は、吸収端前後の吸光度差で規格化した吸光度(任意単位)を示している。
 図2において記載した「xTi1」および「xTi2」は、各Al合金線中におけるTiのK吸収端のXAFSスペクトルにおいて、それぞれ、入射X線のエネルギー4978eV以上4984eV以下の範囲内に生じる第1ピークの高さ、および、入射X線のエネルギー4986eV以上4994eV以下の範囲内に生じる第2ピークの高さである。
 これらの比率「xTi1/xTi2」を、以下では「Ti析出指数」ともいう。Ti析出指数xTi1/xTi2は、Al合金線中のTi-B化合物の析出割合を反映した指数である。
 図2に示した比較例のXAFSスペクトルは、例えば、後述する実施例のサンプル26BのAl合金線中のTiのXAFSスペクトルである。比較例では、第1ピークの高さxTi1と、第2ピークの高さxTi2とが互いに近く、Ti析出指数xTi1/xTi2が1.03未満となっている。これは、比較例では、Al合金線中のTiの多くが固溶しているためである。このような傾向を示す比較例では、Tiの固溶に起因して、Al合金線の導電率が低下する。
 これに対し、図2に示した本実施形態のXAFSスペクトルは、例えば、後述する実施例のサンプル5AのAl合金線中のTiのXAFSスペクトルである。本実施形態では、第1ピークの高さxTi1が、第2ピークの高さxTi2よりも高くなっている。
 具体的には、本実施形態のAl合金線210は、例えば、以下の式(2)を満たす。
 xTi1/xTi2≧1.03 ・・・(2)
 本実施形態では、Al合金線210がTi析出指数に関して式(2)を満たすことで、Al合金線210において、Ti-B化合物の結晶が充分に析出している。これにより、Tiの固溶量を低減することができる。その結果、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
 Ti析出指数xTi1/xTi2の上限値は、特に限定されるものではない。ただし、xTi1/xTi2≦1.12であってもよい。
(3)Al合金線の特性
 本実施形態のAl合金線210は、以下の特性を有している。
(導電率)
 本実施形態のAl合金線210の20℃での導電率は、例えば、62.5%IACS以上である。
 ここでいう導電率の単位「%IACS」とは、国際標準軟銅(International Annealed Copper Standard)の導電率を100%としたときの導電率の比率である。
 本実施形態のAl合金線210の導電率の上限値は、限定されるものではない。ただし、Al合金線210においてFeの固溶割合が高いことから、本実施形態のAl合金線210の20℃での導電率は、例えば、64%IACS以下(99.99%Alの導電率以下)であってもよい。
(引張強さ)
 本実施形態のAl合金線210は、FeおよびSiの固溶強化により、高い引張強さを示す。
 具体的には、本実施形態のAl合金線210の20℃での引張強さは、例えば、JISC3108:2016に規定された、本実施形態のAl合金線210の直径と等しい直径を有する電気用硬アルミニウム線の最小引張強さ以上である。
 より具体的には、本実施形態のAl合金線210の20℃での引張強さは、例えば、150MPa以上であり、或いは159MPa以上であってもよい。
 本実施形態のAl合金線210の引張強さの上限値は、限定されるものではない。ただし、本実施形態のAl合金線210の20℃での引張強さは、例えば、250MPa以下であってもよい。これにより、強度を上げる要素(転位など)が電子の散乱サイトとなることを抑制することができる。その結果、導電率の低下を抑制することができる。
(引張残存率)
 本実施形態のAl合金線210は、長時間の熱処理を行った後であっても、高い引張残存率を示す。
 ここでいう「熱処理後の引張残存率」とは、(熱処理後の引張強さ)/(熱処理前の引張強さ)×100で求められる比率(%)である。なお、熱処理前および熱処理後のそれぞれにおいて引張強さを測定するときの温度は、20℃である。
 本実施形態のAl合金線210に対して、120℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さは、例えば、熱処理前の引張強さの90%以上である。
 ここで、特許文献1のAl合金線であっても、上述した120℃で400時間の熱処理後の引張残存率が得られることがある。しかしながら、特許文献1のAl合金線では、Feが析出しているため、本実施形態のAl合金線210よりも、耐熱性が低くなっている。そのため、特許文献1のAl合金線では、例えば、上述の規定よりも高い温度(例えば140℃)での熱処理後の引張残存率が低くなる。
 これに対し、本実施形態のAl合金線210では、上述したように、Feの固溶割合が高くなっている。これにより、本実施形態では、140℃での熱処理後であっても、高い引張残存率が得られる。
 具体的には、本実施形態のAl合金線210に対して、140℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さは、例えば、熱処理前の引張強さの84%以上である。
 このように、本実施形態のAl合金線210では、特許文献1のAl合金線では得られない高い耐熱性を得ることができる。すなわち、高温環境下に長時間にわたってAl合金線210がさらされた場合であっても、Al合金線210の高い強度を維持することが可能となる。
 以上の本実施形態のAl合金線210の熱処理後の引張残存率の上限値は、高いほどよいため、限定されるものではない。すなわち、本実施形態のAl合金線210において、120℃で400時間の熱処理後の引張残存率、および140℃で400時間の熱処理後の引張残存率は、例えば、100%に近くてもよい。
(4)電線
 次に、図3を参照し、本実施形態の電線10について説明する。
 本実施形態の電線10は、例えば、中心部(鋼心部)100と、撚線部200と、を有している。
 中心部100は、電線10の中心に設けられている。中心部100は、架線時に電線10の張力を負担するテンションメンバとして機能するよう構成されている。
 中心部100は、例えば、螺旋状に撚り合わされて設けられた複数の心線110を有している。中心部100は、例えば、第1中心層100aと、第2中心層100bとを、電線10の中心軸から径方向の外側に向けてこの順で有している。第1中心層100aおよび第2中心層100bは、例えば、それぞれ、1本の心線110および6本の心線110を有している。
 それぞれの心線110は、線材部112と、線材部112の外周を被覆するように設けられた被覆部114とを有している。心線110としては、例えば、アルミ覆鋼線、亜鉛めっき鋼線、アルミ覆インバ線、亜鉛めっきインバ線が挙げられる。
 撚線部200は、中心部100の外周を覆うように設けられている。撚線部200は、送電時に主に電流を流す導体として機能するよう構成されている。
 撚線部200は、上述した本実施形態のAl合金線210を複数有している。撚線部200において、複数のAl合金線210は、螺旋状に撚り合わされて設けられている。Al合金線210の直径は、例えば、0.1mm以上15mm以下であり、2.3mm以上5.0mm以下であってもよい。
 撚線部200は、例えば、第1撚線層200aと、第2撚線層200bとを、電線10の中心軸に近い領域から径方向の外側に向けてこの順で有している。第1撚線層200aおよび第2撚線層200bは、例えば、それぞれ、12本のAl合金線210および18本のAl合金線210を有している。
(5)電線の製造方法
 図4を参照し、本実施形態の電線10の製造方法について説明する。
 本実施形態の電線10の製造方法は、例えば、アルミニウム合金線形成工程S100と、中心部形成工程S200と、撚線部形成工程S300と、を有している。
(S100:アルミニウム合金線形成工程)
 アルミニウム合金線形成工程S100は、本実施形態のAl合金線210の製造方法を含んでいる。具体的には、アルミニウム合金線形成工程S100は、例えば、溶湯準備工程S110と、溶湯保持工程S120と、鋳造工程S130と、圧延工程S140と、伸線工程S150と、を有している。
(S110:溶湯準備工程)
 まず、溶解炉において、原料のAlインゴットを溶解させる。Alインゴットの溶解後、調整炉において、溶湯を攪拌しながら、溶湯中に各合金元素を導入することで、本実施形態のAl合金線210の組成を満たす溶湯を準備する。
 具体的には、例えば、Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる溶湯を準備する。溶湯温度は、後述の溶湯保持工程S120の温度と等しくする。
 このとき、添加した全量のFeは、溶湯中に溶けた状態となる。
 さらに、このとき、溶湯中にBを積極的に添加する。具体的には、上述したTiBワイヤだけでなく、バルク金属のBも溶湯中に添加する。或いは、バルク金属のBの代わりに、市販のAl-B母合金を溶湯中に添加してもよい。これにより、TiBワイヤのみを導入する場合よりも、溶湯中のBの含有量を多くすることができる。その結果、例えば、安定的にTi/B≦2.5とすることができる。
(S120:溶湯保持工程)
 溶湯を準備したら、調整炉において、溶湯を攪拌しながら、溶湯を700℃以上の温度で7時間以上保持させる。
 このとき、溶湯温度を700℃以上とすることで、TiをBと反応させ、Ti-B化合物の結晶を析出させることができる。なお、溶湯温度を700℃以上とすることで、全量のFeは、溶湯中に溶けた状態で維持される。
 一方で、溶湯温度の上限値は限定されるものではない。ただし、溶湯を高温で保持するほど、溶湯の加熱にエネルギーを消費し、炉の断熱材の寿命が短くなる。したがって、溶湯温度は、例えば、800℃以下としてもよい。
 このとき、溶湯保持時間を7時間以上とすることで、Ti-B化合物の結晶を安定的に析出させることができる。
 一方で、溶湯保持時間を、例えば、20時間以下としてもよい。これにより、エネルギーを節約したり、炉の断熱材の寿命を延ばしたりすることができる。
(S130:鋳造工程)
 溶湯保持工程S120後、上述の溶湯を凝固させ、溶湯を連続的に鋳造する。本実施形態では、凝固のときに、FeをAl合金中に過飽和固溶させる。ここでいう「過飽和固溶」とは、所定の元素を化学平衡状態での固溶量よりも多く固溶した状態のことをいう。このような工程により、鋳造材を形成する。
(S140:圧延工程)
 鋳造工程S130後、鋳造材を圧延(熱間圧延)することで、圧延材(荒引線)を形成する。
(S150:伸線工程)
 圧延工程S140後、圧延材を伸線(冷間伸線)する。これにより、圧延材の直径を所望のAl合金線210の直径まで減少させる。
 本実施形態では、圧延工程S140後から伸線工程S150前までにおいて、圧延材を300℃以上の温度で加熱する中間熱処理工程を行わない。すなわち、圧延工程S140後から伸線工程S150前までにおいて、圧延材を300℃未満の温度に維持する。これにより、Al合金線210が得られるまで、Feの過飽和固溶状態を維持させることができ、すなわち、Feの析出を抑制することができる。一方で、Al合金線210中のTi-B化合物の結晶は、析出した状態で維持される。
 以上により、本実施形態のAl合金線210が得られる。
 (S200:中心部形成工程)
 Al合金線210を得たら、複数の心線110を含む中心部100を形成する。具体的には、送出機から第1中心層100aとなる1本の心線110を送り出しながら、撚線機を用い、第1中心層100aの外周を覆うように6本の心線110を撚り合わせることにより、第2中心層100bを形成する。
 (S300:撚線部形成工程)
 中心部100を形成したら、本実施形態のAl合金線210を含む撚線部200を形成する。具体的には、撚線機を用い、中心部100の外周を覆うように12本のAl合金線210を撚り合わせることにより、第1撚線層200aを形成する。次に、撚線機を用い、第1撚線層200aの外周を覆うように18本のAl合金線210を撚り合わせることにより、第2撚線層200bを形成する。
 以上により、本実施形態の電線10が製造される。
(6)本実施形態のまとめ
 本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、Al合金線210中のFeの含有量を最適化し、且つ、上述の製造方法を適用することにより、Al合金線210中のFeの固溶割合を高くすることができる。これにより、Al合金線210の導電率の低下を抑制しつつ、Al合金線210の耐熱性を向上させることができる。
 さらに、本実施形態では、Al合金線210中にBを積極的に添加するとともに、長時間の溶湯保持工程S120を適用することにより、Tiを、Al合金中にTi-B化合物(例えばTiB)として析出させることができる。これにより、Al合金の導電率を大きく低下させるTiの固溶量を低減することができる。すなわち、Tiを無害化することができる。その結果、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
 具体的には、本実施形態のAl合金線210の導電率を62.5%IACS以上とすることができる。さらに、本実施形態のAl合金線210に対して、140℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さを、熱処理前の引張強さの84%以上とすることができる。
 このように、本実施形態では、導電性と耐熱性とを両立したAl合金線210を得ることが可能となる。
(b)本実施形態のAl合金線210は、Al合金線210中のFeの動径構造関数におけるFe析出指数に関して、上述の式(1):IFe1/IFe0≦0.70を満たしている。Al合金線210が式(1)を満たすことで、Al合金線210中のFeのうち、Feの固溶割合が高くなっている。これにより、Al合金線210の耐熱性を向上させることができる。
 本実施形態のAl合金線210は、Al合金線210中のTiのXAFSスペクトルにおけるTi析出指数に関して、式(2):xTi1/xTi2≧1.03を満たしている。Al合金線210が式(2)を満たすことで、Al合金線210において、Ti-B化合物の結晶が充分に析出している。これにより、Tiの固溶量を低減することができる。その結果、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
(c)本実施形態では、溶湯保持工程S120において、Al合金線210の組成を満たす溶湯を700℃以上の温度で7時間以上保持させる。これにより、積極的に添加したBを溶湯中に均一に分散させ、当該BをTiと充分に反応させることができる。これにより、溶湯全体に亘って、微細なTi-B化合物の結晶を析出させることができる。このようにTi-B化合物の結晶を析出させることで、Tiの固溶量を低減することができる。その結果、Al合金線210の導電率の低下を抑制することができる。
(d)本実施形態では、圧延工程S140後から伸線工程S150前までにおいて、圧延材を300℃以上の温度で加熱する中間熱処理工程を行わない。
 ここで、特許文献1では、圧延工程後から伸線工程前までにおいて、圧延材を300℃以上の温度で1時間以上加熱する中間熱処理工程を行っていた。このため、圧延工程後の圧延材において、Feが過飽和固溶状態から平衡状態に遷移し、当該Feが析出していた。その結果、Feの析出に起因して、Al合金線の耐熱性が低下していた。
 これに対し、本実施形態では、上述の中間熱処理工程を行わないことで、Al合金線210が得られるまで、Feの過飽和固溶状態を維持させることができる。すなわち、Feの平衡状態への遷移を抑制し、Feの析出を抑制することができる。その結果、最終的に得られるAl合金線210の耐熱性を向上させることが可能となる。
<本開示の他の実施形態>
 以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
 上述の実施形態では、電線10の一例として、図3に示した構成を説明したが、本開示はこの場合に限られない。例えば、中心部100における心線110の本数並びに配置、中心部100の層数、撚線部200におけるAl合金線210の本数並びに配置、撚線部200の層数を変更してもよい。或いは、電線10は、中心部100を有さず、撚線部200のみを有していてもよい。
 次に、本開示に係る実施例を説明する。これらの実施例は本開示の一例であって、本開示はこれらの実施例により限定されない。
(1)アルミニウム合金線の作製
 以下の条件下で、サンプル1B~41BのAl合金線を作製した。
(サンプル1B~10B)
 まず、Alインゴットの溶解後、調整炉において、後述の表1に記載のAl合金線の組成を満たす溶湯を準備した。このとき、TiBワイヤだけでなく、市販のAl-4%B母合金も溶湯中に添加することで、Bの含有量を調整した。なお、ZrおよびSrは添加しなかった。
 溶湯準備工程後、調整炉において、溶湯を攪拌させながら、溶湯を700℃の温度で10時間保持させた。
 溶湯保持工程後、溶湯を連続的に鋳造することで鋳造材を形成した。次に、鋳造材を圧延することで、圧延材を形成した。その後、直径が3.2mmとなるように、圧延材を伸線した。
 サンプル1B~10Bでは、上述の圧延工程後から伸線工程前までにおいて、圧延材を加熱する中間熱処理工程を行わなかった。圧延工程後から伸線工程前までにおいて、圧延材を300℃未満の温度に維持した。
 以上の工程により、サンプル1B~10BのAl合金線を得た。
(サンプル11A~18B)
 サンプル11A~18BのAl合金線は、Siの含有量を表1に記載の範囲内でサンプル5Aと異ならせた点を除いて、サンプル5Aと同様に作製した。
(サンプル19B~24B)
 サンプル19B~24BのAl合金線は、Tiの含有量を表2に記載の範囲内でサンプル5Aと異ならせた点を除いて、サンプル5Aと同様に作製した。
(サンプル25B~32A)
 サンプル25B~32AのAl合金線は、Bの含有量を表1に記載の範囲内でサンプル5Aと異ならせた点を除いて、サンプル5Aと同様に作製した。
(サンプル33B~36A)
 サンプル33B~36AのAl合金線は、溶湯保持時間を表1に記載の範囲内でサンプル5Aと異ならせた点を除いて、サンプル5Aと同様に作製した。
(サンプル37B~41B)
 サンプル37B~41BのAl合金線は、表2に記載の条件下で中間熱処理を行った点を除いて、サンプル5Aと同様に作製した。
(2)評価
 サンプル1B~41Bに対して、以下の評価を行った。
(2-1)XAFS測定
 各サンプルのAl合金線のXAFS測定を行った。
(Fe析出指数)
 以下の条件下で、各Al合金線中におけるFeのK吸収端のXAFS測定を行った。測定には佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターBL16を用いた。Si(111)面二結晶分光器で単色化したX線を用いて、蛍光法で測定を行った。
 上述の測定により得られたFeのK吸収端のXAFSスペクトルについて、フリーソフトウェアのAthenaを用いて解析を行った。なお、株式会社リガク製のREX2000なども用いることができる。
 得られたXAFSスペクトルμ(E)において、吸収端前の領域から6979eV以上7079eV以下の範囲における2点を基準として、吸収端のエネルギー以上の領域に外挿した曲線をバックグラウンドとして設定し、XAFSスペクトルμ(E)からバックグラウンドの除去を行った。次に、XAFSスペクトルμ(E)の吸収端後7453eVまでの範囲において、振動成分の中心をスプライン関数で近似した成分であるμs(E)を求めた。その後、μ(E)-μs(E)を吸収端前後の吸光度差μ0で割ることで、EXAFS振動χ(k)を得た。なお、「吸収端前後の吸光度差」とは、バックグラウンドの吸光度を0としたときの、吸収端後の7250eVおよび7400eVにおける吸光度である。
 上述のようにして得たEXAFS振動χ(k)に対して、波数kの2乗(k)をかけて、重みづけ処理を行った。次に、kχ(k)を波数kの30nm-1以上80nm-1以下の範囲内の領域をフーリエ変換することで、動径構造関数Χ(R)を得た。
 上述により得られたAl合金線中のFeの動径構造関数Χ(R)において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さIFe1を求めた。
 さらに、標準試料としての純度99.99%で且つ厚さ0.005mmの鉄圧延材中におけるFeのK吸収端のXAFS測定を、上述のAl合金線中におけるFeのXAFS測定の条件と同一の条件下で測定した。上述の測定により得られた標準試料のXAFSスペクトルから、上述のAl合金線中におけるFeの動径構造関数を得た条件と同一条件下で、標準試料中におけるFeの動径構造関数を得た。これにより得られた標準試料中のFeの動径構造関数Χ(R)において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さIFe0を求めた。
 以上のようにして求めたIFe1およびIFe0に基づき、比率IFe1/IFe0(任意単位)をFe析出指数として求めた。
(Ti析出指数)
 以下の条件下で、各Al合金線中におけるTiのK吸収端のXAFS測定を行った。測定の前において、表面酸化の影響を除去するため、Al合金線の表面を機械研磨により10μm以上削ることで、測定用のサンプルを準備した。測定には、佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターBL16を用いた。Si(111)面二結晶分光器で単色化したX線を用いて、蛍光法で測定を行った。測定時の入射X線のエネルギーである横軸は、チタン(Ti)金属箔のプリエッジピークが4964.0eVになるように校正を行った。
 上述の測定により得られたTiのK吸収端のXAFSスペクトルについて、フリーソフトウェアのAthenaを用いて解析を行った。得られたXAFSスペクトルにおいて、吸収端前の領域から4870eV以上4950eV以下の範囲における2点を基準として、吸収端のエネルギー以上の領域に外挿した曲線をバックグラウンドとして設定し、XAFSスペクトルからバックグラウンドの除去を行った。さらに、バックグラウンドの吸光度を0としたときの、吸収端後の5030eVおよび5100eVにおける吸光度が1になるように規格化処理を行った。
 上述により得られたTiのK吸収端の規格化したXAFSスペクトルにおいて、入射X線のエネルギー4978eV以上4984eV以下の範囲内に生じる第1ピークの高さxTi1と、入射X線のエネルギー4986eV以上4994eV以下の範囲内に生じる第2ピークの高さxTi2とを求めた。さらに、比率xTi1/xTi2(任意単位)をTi析出指数として求めた。
(2-2)引張強さ
 JIS C3002:1992に準拠して、各Al合金線の引張強さを測定した。このとき、測定時の温度を20℃とした。
(2-3)導電率
 JIS C3002:1992に準拠して、各Al合金線の導電率を測定した。このとき、測定時の温度を20℃とした。
(2-4)耐熱性(引張残存率)
 以下の2つの温度条件下での熱処理後の引張残存率を測定した。上述のように、「熱処理後の引張残存率」とは、{(熱処理後の引張強さ)/(熱処理前の引張強さ)}×100で求められる比率(%)である。熱処理前および熱処理後のそれぞれにおいて、引張強さはJIS C3002:1992に準拠して測定し、測定時の温度を20℃とした。
 表1および表2における「120℃400H後の引張残存率」として、Al合金線に対して、120℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さの、熱処理前の引張強さに対する比率(%)を求めた。
 さらに、表1および表2における「140℃400H後の引張残存率」として、Al合金線に対して、140℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さの、熱処理前の引張強さに対する比率(%)を求めた。
(3)結果
 図5における表1、および図6における表2を参照し、各サンプルの評価を行った結果を説明する。
 以下の説明において、各合金元素の含有量の下記範囲を「適正範囲」ともいう。
 Feの含有量:0.020質量%以上0.200質量%以下、
 Siの含有量:0.005質量%以上0.070質量%以下、
 Tiの含有量:0.001質量%以上0.020質量%以下、
 Bの含有量:0.002質量%以上0.100質量%以下。
 以下の説明において、下記製造条件を「適正条件」ともいう。
・溶湯保持工程において、溶湯を700℃以上の温度で7時間以上保持させる。
・圧延材形成工程から伸線工程までの間において、圧延材を300℃以上の温度で加熱する中間熱処理工程を行わない。
(3-1)Fe含有量依存性
 サンプル1B~10Bの結果を参照し、Fe含有量依存性について説明する。サンプル1B~10Bでは、上述のように、Feの含有量を異ならせた点を除き、他の合金元素の含有量は適正範囲内とし、製造条件は適正条件とした。
(サンプル1B)
 サンプル1Bでは、Feの含有量を0.020質量%未満とした。このため、120℃400H後の引張残存率が90%未満であり、140℃400H後の引張残存率が84%未満であった。
(サンプル10B)
 サンプル10Bでは、Feの含有量を0.200質量%超とした。このため、Al合金線の導電率が62.5%IACS未満であった。
(サンプル2A~9A)
 これに対し、サンプル2A~9Aでは、Feの含有量を0.020質量%以上0.200質量%以下とした。その結果、120℃400H後の引張残存率が90%以上であり、140℃400H後の引張残存率が84%以上であった。さらに、Al合金線の導電率が62.5%IACS以上であった。
 サンプル2A~9Aでは、Feの含有量を0.020質量以上とすることで、Feを母相のAl中に充分な絶対量で固溶させることができた。これにより、サンプル2A~9Aでは、Al合金線の耐熱性を向上させることができたことを確認した。
 サンプル2A~9Aでは、Feの含有量を0.200質量%以下とすることで、Feの過剰な固溶を抑制することができた。これにより、サンプル2A~9Aでは、Al合金線の導電率の低下を抑制することができたことを確認した。
(3-2)Si含有量依存性
 サンプル11A~18Bの結果を参照し、Si含有量依存性について説明する。サンプル11A~18Bでは、上述のように、Siの含有量を異ならせた点を除き、他の合金元素の含有量は適正範囲内とし、製造条件は適正条件とした。
(サンプル18B)
 サンプル18Bでは、Siの含有量を0.070質量%超とした。このため、Al合金線の導電率が62.5%IACS未満であった。
(サンプル11A~17A)
 これに対し、サンプル11A~17Aでは、Siの含有量を0.005質量%以上0.070質量%以下とした。その結果、Al合金線の導電率が62.5%IACS以上であった。
 サンプル11A~17Aでは、Siの含有量を0.070質量%以下とすることで、Siの過剰な固溶を抑制することができた。これにより、サンプル11A~17Aでは、Al合金線の導電率の低下を抑制することができたことを確認した。
(3-3)Ti含有量依存性
 サンプル19B~24Bの結果を参照し、Ti含有量依存性について説明する。サンプル19B~24Bでは、上述のように、Tiの含有量を異ならせた点を除き、他の合金元素の含有量は適正範囲内とし、製造条件は適正条件とした。
(サンプル19B)
 サンプル19Bでは、Tiの含有量を0.001質量%未満とした。このため、サンプル19Bでは、Al合金線を加工できなかった。
(サンプル24B)
 サンプル24Bでは、Tiの含有量を0.020質量%超とした。また、サンプル24Bでは、Ti/Bが2.5超であった。このため、Ti析出指数が1.03未満であった。その結果、サンプル24Bでは、Al合金線の導電率が62.5%IACS未満であった。
(サンプル20A~23A)
 これに対し、サンプル20A~23Aでは、Tiの含有量を0.001質量%以上0.020質量%以下とした。その結果、サンプル20A~23Aでは、Al合金線を安定的に加工することができた。さらに、サンプル20A~23Aでは、Ti/Bが2.5以下であった。これにより、Ti析出指数が1.03以上であった。その結果、サンプル20A~23Aでは、Al合金線の導電率が62.5%IACS以上であった。
 サンプル20A~23Aでは、Tiの含有量を0.001質量%以上とすることで、Ti-B化合物の結晶を充分に析出させ、Alの結晶粒を微細化することができた。これにより、サンプル20A~23Aでは、Al合金線の加工性を向上させることができたことを確認した。
 サンプル20A~23Aでは、Tiの含有量を0.020質量%以下とし、且つ、Ti/B≦2.5とすることで、Tiの過剰な固溶を抑制することができた。これにより、サンプル20A~23Aでは、Al合金線の導電率の低下を抑制することができたことを確認した。
(3-4)B含有量依存性
 サンプル25B~32Aの結果を参照し、B含有量依存性について説明する。サンプル25B~32Aでは、上述のように、Bの含有量を異ならせた点を除き、他の合金元素の含有量は適正範囲内とし、製造条件は適正条件とした。
(サンプル25Bおよび26B)
 サンプル25Bおよび26Bでは、Bの含有量を0.002質量%未満とした。また、サンプル25Bおよび26Bでは、Ti/Bが2.5超であった。このため、Ti析出指数が1.03未満であった。その結果、サンプル25Bおよび26Bでは、Al合金線の導電率が62.5%IACS未満であった。
(サンプル27A~32A)
 これに対し、サンプル27A~32Aでは、Bの含有量を0.002質量%以上0.100質量%以下とした。また、Ti/Bは2.5以下であった。これにより、Ti析出指数が1.03以上であった。その結果、サンプル27A~32Aでは、Al合金線の導電率が62.5%IACS以上であった。
 サンプル27A~32Aでは、Bの含有量を0.002質量%以上とすることで、Tiを母相のAl中にTi-B化合物として析出させることができた。これにより、Tiの固溶量を低減することができた。その結果、サンプル27A~32Aでは、Al合金線の導電率の低下を抑制することができたことを確認した。
(3-5)溶湯保持時間依存性
 サンプル33B~36Aの結果を参照し、溶湯保持時間依存性について説明する。サンプル33B~36Aでは、上述のように、各合金元素の含有量は適正範囲内とし、溶湯保持時間を異ならせた点を除き、他の製造条件は適正条件とした。
(サンプル33Bおよび34B)
 サンプル33Bおよび34Bでは、溶湯保持時間を7時間未満とした。このため、Ti析出指数が1.03未満であった。その結果、サンプル33Bおよび34Bでは、Al合金線の導電率が62.5%IACS未満であった。
(サンプル35Aおよび36A)
 これに対し、サンプル35Aおよび36Aでは、溶湯保持時間を7時間以上とした。これにより、Ti析出指数が1.03以上であった。その結果、サンプル35Aおよび36Aでは、Al合金線の導電率が62.5%IACS以上であった。
 サンプル35Aおよび36Aでは、溶湯保持時間を7時間以上とすることで、Ti-B化合物の結晶を安定的に析出させることができた。これにより、Tiの固溶量を低減することができた。その結果、サンプル35Aおよび36Aでは、Al合金線の導電率の低下を抑制することができたことを確認した。
(3-6)中間熱処理依存性
 サンプル5A、37B~41Bの結果を参照し、中間熱処理依存性について説明する。サンプル5A、37B~41Bでは、上述のように、製造条件を異ならせた点を除き、各合金元素の含有量は適正範囲内とした。
(サンプル37B~41B)
 サンプル37B~41Bでは、圧延材を300℃以上の温度で0.5時間以上加熱する中間熱処理工程を行った。このため、Fe析出指数が0.70超であった。その結果、サンプル37B~41Bでは、120℃400H後の引張残存率が90%以上であったが、140℃400H後の引張残存率が84%未満であった。
(サンプル5A)
 これに対し、サンプル5Aでは、圧延材を300℃以上の温度で0.5時間以上加熱する中間熱処理工程を行わなかった。これにより、Fe析出指数が0.70以下であった。その結果、サンプル5Aでは、120℃400H後の引張残存率が90%以上であり、且つ、140℃400H後の引張残存率が84%以上であった。
 サンプル5Aでは、上述の中間熱処理工程を行わないことで、Al合金線が得られるまで、Feの過飽和固溶状態を維持させることができた。その結果、サンプル5Aでは、Al合金線の耐熱性を向上させることができたことを確認した。
(3-7)Fe析出指数依存性
 図7は、Feの含有量を0.8質量%とした複数のサンプルについて、Fe析出指数に対する、140℃400H後の引張残存率をプロットした図である。図7に示すように、Fe析出指数が低く、すなわち、Feが固溶しているほど、140℃400H後の引張残存率が高くなっていた。図7から、Fe析出指数を0.70以下とすることで、140℃400H後の引張残存率を84%以上とすることができたことを確認した。
(3-8)Ti析出指数依存性
 図8は、Fe、Si並びにTiの含有量、およびFe析出指数を同一とした複数のサンプルについて、Ti析出指数に対する、Al合金線の導電率をプロットした図である。図8に示すように、Ti析出指数が高く、すなわち、TiがTi-B化合物として析出しているほど、Al合金線の導電率が高くなっていた。図8から、Ti析出指数を1.03以上とすることで、Al合金線の導電率を62.5%IACS以上とすることができたことを確認した。
 <付記>
 以下、本開示の態様を付記する。
[6]
 Feの前記動径構造関数は、
 (a)FeのK吸収端のX線吸収微細構造スペクトルμ(E)を測定する工程と、
 (b)前記X線吸収微細構造スペクトルμ(E)に基づいて、式(A)により広域X線吸収微細構造振動χ(k)を得る工程と、
 χ(k)={μ(E)-μs(E)}/μ0 ・・・(A)
 ここで、
 kは波数であり、Eはエネルギーであり、μs(E)はμ(E)の振動成分の中心をスプライン関数により近似した成分であり、μ0はμ(E)における吸収端前後の吸光度差であり、
 (c)前記広域X線吸収微細構造振動χ(k)を、kにより重みづけ処理を行う工程と、
 (d)(c)により得られたkχ(k)を、波数kの30nm-1以上80nm-1以下の範囲内の領域をフーリエ変換する工程と、
 を実施することにより得られる
 [2]または[3]に記載のアルミニウム合金線。
[7]
 Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる溶湯を準備する工程と、
 前記溶湯を700℃以上の温度で7時間以上保持させる工程と、
 前記溶湯を連続的に鋳造することで鋳造材を形成する工程と、
 前記鋳造材を圧延することで圧延材を形成する工程と、
 前記圧延材を伸線する工程と、
 を備え、
 前記圧延材を形成する工程後から前記圧延材を伸線する工程前までにおいて、
 前記圧延材を300℃以上の温度で加熱する中間熱処理工程を行わない
 アルミニウム合金線の製造方法。
10   電線
100  中心部
100a 第1中心層
100b 第2中心層
110  心線
112  線材部
114  被覆部
200  撚線部
200a 第1撚線層
200b 第2撚線層
210  Al合金線

Claims (5)

  1.  アルミニウム合金線であって、
     Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、
     Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、
     Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、
     Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、
     を含有し、
     残部がAlおよび不可避不純物からなり、
     前記アルミニウム合金線の導電率は、62.5%IACS以上であり、
     前記アルミニウム合金線に対して、140℃で400時間の熱処理を行った後の引張強さは、前記熱処理前の引張強さの84%以上である
     アルミニウム合金線。
  2.  前記アルミニウム合金線は、式(1)および式(2)を満たす、
     IFe1/IFe0≦0.70 ・・・(1)
     xTi1/xTi2≧1.03 ・・・(2)
     ここで、
     IFe1は、前記アルミニウム合金線中のFeのK吸収端のX線吸収微細構造測定から得られる動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
     IFe0は、前記アルミニウム合金線中におけるFeの動径構造関数を得た条件と同一条件下で得られる、標準試料としての純度99.99%で且つ厚さ0.005mmの鉄圧延材中のFeの動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
     xTi1およびxTi2は、前記アルミニウム合金線中におけるTiのK吸収端の前後の吸光度差で規格化したX線吸収微細構造スペクトルにおいて、それぞれ、入射X線のエネルギー4978eV以上4984eV以下の範囲内に生じる第1ピークの高さ、および、入射X線のエネルギー4986eV以上4994eV以下の範囲内に生じる第2ピークの高さである
     請求項1に記載のアルミニウム合金線。
  3.  アルミニウム合金線であって、
     Feを0.020質量%以上0.200質量%以下と、
     Siを0.005質量%以上0.070質量%以下と、
     Tiを0.001質量%以上0.020質量%以下と、
     Bを0.002質量%以上0.100質量%以下と、
     を含有し、
     残部がAlおよび不可避不純物からなり、
     前記アルミニウム合金線は、式(1)および式(2)を満たす、
     IFe1/IFe0≦0.70 ・・・(1)
     xTi1/xTi2≧1.03 ・・・(2)
     ここで、
     IFe1は、前記アルミニウム合金線中のFeのK吸収端のX線吸収微細構造測定から得られる動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
     IFe0は、前記アルミニウム合金線中におけるFeの動径構造関数を得た条件と同一条件下で得られる、標準試料としての純度99.99%で且つ厚さ0.005mmの鉄圧延材中のFeの動径構造関数において、半径0.15nm以上0.25nm以下の範囲内に生じるピークの高さであり、
     xTi1およびxTi2は、前記アルミニウム合金線中におけるTiのK吸収端の前後の吸光度差で規格化したX線吸収微細構造スペクトルにおいて、それぞれ、入射X線のエネルギー4978eV以上4984eV以下の範囲内に生じる第1ピークの高さ、および、入射X線のエネルギー4986eV以上4994eV以下の範囲内に生じる第2ピークの高さである
     アルミニウム合金線。
  4.  前記アルミニウム合金線中のBの含有量に対するTiの含有量の比率は、2.5以下である
     請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線。
  5.  請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線を複数撚り合わせて設けられる撚線部を有する
     電線。
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