WO2018173748A1 - 合成樹脂製容器 - Google Patents

Abstract

口部（２）、肩部（３）、胴部（４）、及び底部（５）を備える容器（１）において、肩部（３）が、縦断面が容器外方に凸の円弧状に湾曲して胴部（４）に連接する裾部（３０）を含み、肩部（３）に、容器中心側から外周縁側に向かって放射状に延在する複数の溝部（３１）を、少なくとも裾部（３０）の上端縁（ＵＥ３０）に達する位置まで延在して形成することにより、肩部（３）に横方向から加わる衝撃に対する剛性を高める。

Description

合成樹脂製容器

　本発明は、容器肩部の横方向からの衝撃に対する耐衝撃性が高められた合成樹脂製容器に関する。

　従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて、射出成形や圧縮成形などによって有底筒状のプリフォームを作製し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形によってボトル状に成形してなる合成樹脂製容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容液とする容器として広い分野で利用されている。

　この種の合成樹脂製容器にあっては、従前より、その軽量化や、使用樹脂量の削減による低コスト化のために、可能な限り容器を薄肉に成形する試みがなされている。近年にあっては、このような薄肉化の要求が益々厳しくなってきており、薄肉化が進むほど容器の剛性が低下し、外部から加わる衝撃によって陥没するなどして、容器形状が不定形状に変形することによる外観不良が生じ易い。

　このような状況下において、例えば、特許文献１によれば、複数の湾曲面によって形成された壁面を肩部に備えることで、各湾曲面の接線が縦リブの役割を果たして、薄肉ボトルとした場合にも肩部の強度を維持することができるとされている。

特開２００３－１０４３４３号公報

　ところで、成形された容器に内容液を充填したりする際には、例えば、ガイドレールに吊り下げられた容器にエアーを吹き付けて、前傾姿勢で滑走させるようにして搬送する場合がある。この場合、後から搬送されてきた容器は、先に搬送されて待機する容器に衝突して停止するが、その際に、容器肩部には、横方向からの衝撃が加わる(図１３参照)。
　また、飲料などが充填された容器を箱詰めしてトラックなどの荷台に積んで輸送する際に、その振動によって、箱の中で隣接する容器どうしがぶつかり合うことによっても、容器肩部には、横方向からの衝撃が加わる。

　このような横方向からの衝撃に対して、特許文献１のように複数の湾曲面によって形成された壁面を肩部に備えただけでは十分な耐衝撃性が得られず、さらなる薄肉化を進めていくにあたり、横方向からの衝撃による容器肩部の陥没を抑止するには未だ改善の余地を残していた。

　本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、容器肩部に横方向から加わる衝撃に対して耐衝撃性が高められた合成樹脂製容器の提供を目的とする。

　本発明に係る合成樹脂製容器は、口部、肩部、胴部、及び底部を備え、前記肩部が、縦断面が容器外方に凸の円弧状に湾曲して前記胴部に連接する裾部を含み、前記肩部に、容器中心側から外周縁側に向かって放射状に延在する複数の溝部が、少なくとも前記裾部の上端縁に達する位置まで延在して形成されている構成としてある。

　本発明によれば、容器肩部に横方向からの衝撃が加わっても、容器肩部が陥没したりすることなく、その変形を抑止することができる。

本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態の概略を示す正面図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態の概略を示す平面図である。 図２に示す第一実施形態の要部断面図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態における溝部の延在方向に直交する断面を示す説明図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態の変形例の概略を示す正面図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態の変形例の概略を示す平面図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第一実施形態の変形例における溝部の延在方向に直交する断面を示す説明図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第二実施形態の概略を示す平面図及び正面図である。 図８（ｂ）の要部縦断面を示す説明図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第二実施形態の変形例の概略を示す正面図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第二実施形態の他の変形例の概略を示す正面図である。 本発明に係る合成樹脂製容器の第二実施形態の他の変形例の概略を示す正面図である。 容器の搬送方法の一例を示す説明図である。

　以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。

［第一実施形態］
　まず、本発明の第一実施形態について説明する。
　本発明に係る容器１は、口部２、肩部３、胴部４、及び底部５を備えており、本発明の第一実施形態として図示する容器１は、胴部４が円筒状に形成された、一般に、丸形ボトルと称される容器形状を有している。
　なお、図１は、本実施形態に係る容器１の概略を示す正面図であり、図２は、同平面図である。

　ここで、本発明にあっては、口部２を上にして容器１を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向を高さ方向というものとし、この状態で容器１の上下左右及び縦横の方向を規定する。

　容器１は、熱可塑性樹脂を使用して射出成形や圧縮成形などにより有底筒状のプリフォームを成形し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などにより所定の容器形状に成形することによって製造される。

　容器１を製造するにあたり、使用する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート，ポリブチレンテレフタレート，ポリエチレンナフタレート，非晶ポリアリレート，ポリ乳酸又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステル，これらの樹脂あるいは他の樹脂とブレンドされたものなどが好適である。特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが、好適に使用される。また、ポリカーボネート，アクリロニトリル樹脂，ポリプロピレン，プロピレン－エチレン共重合体，ポリエチレンなども使用することができる。

　口部２は、内容液の注入出口となる円筒状の部位である。かかる口部２の開口端側の側面には、図示しない蓋体を取り付けるためのねじ山２１が設けられており、その下方には、周方向に沿って環状に張り出すネックリング２２が設けられている。そして、ネックリング２２の直下からほぼ同一径で筒状に垂下する部分を含めて、口部２というものとする。

　肩部３は、口部２の下端に連接し、胴部４に向かって拡径して口部２と胴部４との間をつなぐ部位であり、胴部４に向かって拡径しはじめる位置を肩部３の上端縁ＵＥ３とし、図３に鎖線で示す。
　また、肩部３は、その下端側に、縦断面が容器外方に凸の円弧状に湾曲して胴部４に連接する裾部３０を含み、胴部４に向かって徐々に拡径しながら裾部３０に連続している。

　なお、図３は、図２に示す容器１の要部断面図であり、図２のＡ－Ａ断面の要部を図中右側に、図２のＢ－Ｂ断面の要部を図中左側に示しており、図３では、ネックリング２２よりも下側に位置する部位の肉厚を省略している。

　本実施形態において、肩部３は、概ね円錐台状に形成されている。そして、その母線の傾きが途中で変化するように拡径しながら裾部３０に連続しているが、母線の傾きに顕著な変化が認められないように拡径しながら裾部３０に連続するようにしてもよい。さらに、母線が直線状となるように拡径して裾部３０に連続するようにしてもよく、母線が緩やかな弧を描くように拡径して裾部３０に連続するようにしてもよいが、少なくとも裾部３０に連続する直前の部位において、その傾斜角度（容器１を正立させた水平面に対する角度）が、４０°～５５°の範囲内にあるのが好ましい。

　また、裾部３０は、その縦断面の曲率半径Ｒが、ほぼ一定となるように形成するのが好ましく、肩部３の縦断面が、裾部３０の縦断面の曲率半径Ｒを以て湾曲しはじめる位置を裾部３０の上端縁ＵＥ３０とし、図２及び図３に鎖線で示す。裾部３０の縦断面の曲率半径Ｒは、肩部３の横方向からの衝撃に対する耐衝撃性を高める上で、４ｍｍ～１０ｍｍとするのが好ましく、本実施形態では、裾部３０の縦断面の曲率半径Ｒを７ｍｍとしている。

　胴部４は、容器１の高さ方向の大半を占める部位であり、下端が底部５に連接している。胴部４及び底部５の具体的な形態は特に限定されないため、これらについての詳細な説明は省略する。

　本実施形態において、肩部３には、容器中心側から外周縁側に向かって放射状に延在する複数の溝部３１が形成されており、それぞれの溝部３１が、肩部３の上端縁ＵＥ３に近接する位置を始端として、肩部３の表面に延在するように形成されている。溝部３１の始端が肩部３の上方に位置することで、肩部３の縦圧縮強度を高めることができるが、縦圧縮による変形の起点となる部分を補強できれば、溝部３１の始端の位置は特に限定されない。

　また、本実施形態において、溝部３１の終端は、裾部３０の上端縁ＵＥ３０を超えて突出する位置にある。そして、かかる位置まで、裾部３０に連続する直前の部位の傾斜に沿って延在して、裾部３０の上端縁ＵＥ３０から突出するように、それぞれの溝部３１が形成されているのが好ましいが、肩部３に形成される溝部３１は、少なくとも裾部３０の上端縁ＵＥ３０に達する位置まで延在して形成されていればよい。
　なお、溝部３０の終端が、裾部３０の上端縁ＵＥ３０を超える場合は、溝部３０が直接衝撃を受けることで折れ曲がってしまうといった変形を防止するため、裾部３０の外周縁を超えない範囲であるのが好ましい。

　このようにすることで、横方向からの衝撃が肩部３に加わったときに、肩部３に形成された溝部３１が、衝撃による変形を抑えるように作用するとともに、裾部３０の縦断面を容器外方に凸の円弧状に湾曲するように形成したこととの相乗効果によって、肩部３の横方向からの衝撃に対する耐衝撃性が高められ、横方向からの衝撃が肩部３に加わっても、肩部３が陥没したりすることなく、その変形を抑止することができる。

　このような効果がより有効に奏されるようにする上で、衝撃に対して十分な強度を確保するために、溝部３１の溝幅ｗは、その終端側において、１．５ｍｍ～２．５ｍｍであるのが好ましく、溝部３１の溝深さｄは、その終端側において、０．２５ｍｍ～０．６５ｍｍであるのが好ましい。
　また、溝部３１の延在方向に直交する断面を図４に示すが、溝部３１は、図示するように、その延在方向に直交する断面がＶ字状に形成されていてもよく、必要に応じて、当該断面がＵ字状、コの字状などとなるように形成してもよい。

　複数の溝部３１を肩部３に放射状に形成するにあたり、周方向に隣接する溝部３１の間隔は、賦形性が損なわれない範囲で密に設けるのが好ましく、図１及び図２に示す例では、周方向に隣接する溝部３１の中心線のなす角度θを約４．５°として、溝部３１が密に隣接するように形成している。

　また、溝部３１は、周方向に一定の間隔を以て形成することもでき、図５及び図６に示す例では、周方向に隣接する溝部３１の中心線のなす角度θを約７．２°としているが、周方向に隣接する溝部３１の間隔は、横方向からの衝撃を集中して受ける範囲に、少なくとも二つの溝部３１が存在するような間隔で形成するのが好ましい。
　なお、図５は、本実施形態の変形例に係る容器１の概略を示す正面図であり、図６は、同平面図である。また、図７は、本変形例における溝部３１の延在方向に直交する断面を示す説明図である。

　例えば、本実施形態において、容器内容量を５００ｍｌとすると、肩部３の最大外径部の周長は約２１７ｍｍであり、横方向からの衝撃を集中して受ける部位の周方向に沿った長さが約２４ｍｍであるとすると、当該部位の中心角は、約４０°となる。
　これらのことを勘案すると、周方向に隣接する溝部３１の中心線のなす角度θは、２．５°～２０°であるのが好ましい。

　また、複数の溝部３１を放射状に形成するにあたり、本実施形態では、それぞれの溝部３１を等角度間隔で形成しているが、必要に応じて間隔を異ならせてもよい。この場合、周方向に隣接する溝部３１の間隔が、周方向に沿って交互に疎密となるようにしてもよく、いくつかの溝部３１が密に形成されている部分と、疎に形成されている部分とを混在させてもよい。さらに、周方向に隣接する溝部３１のなす角度θを周方向に沿って周期的に変化させてもよいが、いずれの態様にあっても、容器１の全体的な形状とのバランスを考慮して、容器中心を対称軸とする回転対称な配置で溝部３１が形成されるように、周方向に隣接する溝部３１の中心線のなす角度θを前述した範囲内で適宜調整するのが好ましい。

［第二実施形態］
　次に、本発明の第二実施形態について説明する。
　図８（ａ）は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す平面図であり、図８（ｂ）は、同正面図である。また、図９は、図８（ｂ）に鎖線で囲む部分の縦断面を示す説明図であり、図９では、当該縦断面の肉厚を省略している。

　本発明の第二実施形態として図示する容器１は、第一実施形態と同様に、口部２、肩部３、胴部４、及び底部５を備え、胴部４が円筒状に形成された、一般に、丸形ボトルと称される容器形状を有している。

　肩部３は、口部２の下端に連接し、胴部４に向かって拡径して口部２と胴部４との間をつなぐ部位であり、第一実施形態と同様に形成することで、肩部３に横方向からの衝撃が加わっても、肩部３が陥没したりすることなく、その変形を抑止することができる。
　なお、第一実施形態と共通する構成については重複する説明を省略する。

　また、胴部４は、容器１の高さ方向の大半を占める部位であり、上端が肩部３に連接し、下端が底部５に連接している。そして、胴部４は、上端寄りの位置に、周方向に沿って延在する環状隆起部４０を有している。

　環状隆起部４０は、胴部４の周面が環状に隆起してなり、その上縁側が、縦断面が容器内方に凸の円弧状とされた上縁側第一湾曲部４１ａと、縦断面が容器外方に凸の円弧状とされた上縁側第二湾曲部４１ｂとを経て隆起している。一方、環状隆起部４０の下縁側は、縦断面が容器内方に凸の円弧状とされた下縁側第一湾曲部４２ａと、縦断面が容器外方に凸の円弧状とされた下縁側第二湾曲部４２ｂとを経て隆起している。

　なお、図９にあっては、上縁側第一湾曲部４１ａの隆起始端を点α_１で、上縁側第一湾曲部４１ａと上縁側第二湾曲部４１ｂとの連接部を点β_１で、上縁側第二湾曲部４１ｂの隆起終端を点γ_１で、下縁側第一湾曲部４２ａの隆起始端をα_１で、下縁側第一湾曲部４２ａと下縁側第二湾曲部４２ｂとの連接部を点β_２で、下縁側第二湾曲部４２ｂの隆起終端を点γ_２で、それぞれ示している。

　本実施形態によれば、このような環状隆起部４０に荷重が加わると、荷重が加わった部位が容器内方に押し込まれるように変形するが、その際、環状隆起部４０の上縁側と下縁側とが、これらに連接している周囲の部位を伴って撓むように変形して荷重が分散される。これにより、環状隆起部４０が潰れたりするのを抑制することができるとともに、変形した部位は、荷重が解消されると元の形状に戻ろうとする復元力を発揮する。

　その結果として、例えば、内容液が充填された容器１を箱詰めしてトラックなどの荷台に積んで輸送する際に、その振動によって、箱の中で隣接する容器１が互い押し合ったり、ぶつかり合ったりすることで、容器１には、横方向からの荷重が加わるが、このような外部からの荷重に対し、その変形を許容しつつ、変形後に元の形状に復元することで、胴部４の不定形な永久変形を抑止することができる。

　なお、特許文献１では、容器肩部と容器胴部の境界に、容器胴部を周回し、その表面より突出する環状凸部を設け、この環状凸部の両側にそれに沿う環状の細溝をそれぞれ配設することで、強度の改善を図っているが、外部から加わる荷重による変形を許容し、変形した容器が元の形状に復元できるようにはなっていない。このため、想定した以上の荷重が加わったときには、容器形状の不定形な永久変形が避けられず、さらなる薄肉化の要求には十分に応えることができなかった。

　このような効果がより良好に奏されるようにする上で、荷重が加わった部位が無理なく変形して、元の形状に良好に復元できるようにするのが好ましい。

　このためには、胴部４の周面から隆起する始端側となる上縁側第一湾曲部４１ａと下縁側第一湾曲部４２ａは、その縦断面が、曲率半径３～９０ｍｍの円弧状に形成されるのが好ましい。そして、上縁側第二湾曲部４１ｂと下縁側第二湾曲部４２ｂは、その縦断面が、曲率半径３～９０ｍｍの円弧状に形成されて、それぞれ上縁側第一湾曲部４１ａと下縁側第一湾曲部４２ａとに滑らかに連接しているのが好ましい。

　さらに、環状隆起部４０の上縁側において、その隆起高さ（高さ方向に直交する方向に沿った上縁側第一湾曲部４１ａの隆起始端α_１と上縁側第二湾曲部４１ｂの隆起終端γ_１との離間距離）Ｈ_１は、上縁側第二湾曲部４１ｂの隆起終端γ_１における容器胴径（直径）Ｄ_１の０．５～５％であるのが好ましい。隆起長さ（高さ方向に沿った上縁側第一湾曲部４１ａの隆起始端α_１と上縁側第二湾曲部４１ｂの隆起終端γ_１との離間距離）Ｌ_１は、３～１８ｍｍであるのが好ましく、３～８ｍｍであるのがより好ましい。

　一方、環状隆起部４０の下縁側において、その隆起高さ（高さ方向に直交する方向に沿った下縁側第一湾曲部４２ａの隆起始端α_２と下縁側第二湾曲部４２ｂの隆起終端γ_２との離間距離）Ｈ_２は、下縁側第二湾曲部４２ｂの隆起終端γ_２における容器胴径（直径）Ｄ_２の０．５～５％であるのが好ましい。隆起長さ（高さ方向に沿った下縁側第一湾曲部４２ａの隆起始端α_２と下縁側第二湾曲部４２ｂの隆起終端γ_２との離間距離））Ｌ_２は、３～１８ｍｍであるのが好ましく、５～１８ｍｍであるのがより好ましい。

　また、環状隆起部４０に連接している周囲の部位が、環状隆起部４０とともに無理なく変形するように、胴部４の縦断面形状は、少なくとも環状隆起部４０に連接する部位４ａ，４ｂにおいて（図９参照）、容器内方に凸の円弧状とされているのが好ましい。この場合、当該部位４ａ，４ｂは、その縦断面が、それぞれに連接する上縁側第一湾曲部４１ａと下縁側第一湾曲部４２ａの縦断面よりも大きな曲率半径の円弧状に形成されて、上縁側第一湾曲部４１ａと下縁側第一湾曲部４２ａとに滑らかに連接しているのが好ましい。
　なお、環状隆起部４０に連接している周囲の部位の変形が妨げられるようなことがなければ、部位４ａ，４ｂの縦断面は直線状であってもよい。

　また、外部からの荷重を環状隆起部４０で受け易くなるように、環状隆起部４０が設けられた部位の直径が、容器１の最大外径Ｄ_ＭＡＸと等しく又は近似するように環状隆起部４０を形成するのが好ましい。環状隆起部４０を設ける位置は特に限定されないが、例えば、容器１に内容液が充填されたときに、その重心は高さ方向中央よりも上側にあるため、箱詰めされた容器１は、輸送の際の振動によって上側の部分が大きく振れることによって、互い押し合ったり、ぶつかり合ったりすることを考慮すると、胴部４の上端寄りの位置に環状隆起部４０を設けるのが好ましい。

　したがって、本実施形態では、胴部４の上端寄りの位置に環状隆起部４０を設けるとともに、胴部４の下端寄りの位置に第二の環状隆起部５０を設けており、かかる第二の環状隆起部５０にあっても、胴部４の上端寄りに位置に設けた環状隆起部４０について規定する前述の要件を全て満たしているのが好ましいが、その必要は必ずしもない。

　また、本実施形態では、環状隆起部４０が、縦断面が直線状（好ましくは、容器１の中心軸に平行な直線状）とされた頂面部４３を含んでおり、環状隆起部４０に加わる荷重を面で受けるようにしている。これにより、外部からの荷重の局所的な集中を避けて、環状隆起部４０が潰れたりするのをより有効に抑制できるようにしているが、頂面部４３は、必要に応じて省略してもよい（図１０参照）。

　環状隆起部４０が、縦断面が直線状とされた頂面部４３を含む場合、かかる頂面部４３には、環状隆起部４０の隆起高さＨ１，Ｈ２のいずれかを越えない深さで、環状溝４３ａを形成することができる（図９参照）。このような環状溝４３ａを形成することで、頂面部４３の耐荷重強度を高めることができるが、環状溝４３ａは複数形成してもよく、必要に応じて省略してもよい（図１１参照）。

　また、本実施形態では、環状隆起部４０の下縁側に、下縁側第一湾曲部４２ａと下縁側第二湾曲部４２ｂとの連接部を越えて、一端が下縁側第二湾曲部４２ｂ内に突出する複数の縦リブ４４が、環状隆起部４０の延在方向に沿って列設されている。このような縦リブ４４を環状隆起部４０の延在方向に沿って列設することで、環状隆起部４０に加わる荷重によって変形した部位の復元力を向上させることができる。

　環状隆起部４０の延在方向に沿って縦リブ４４を列設するにあたり、縦リブ４４は、例えば、深さ０．３～０．８ｍｍ、長さ８～１１ｍｍの凹溝状に形成することができ、図示する例では、２４個の縦リブ４４を列設しているが、これに限定されない。特に図示しないが、縦リブ４４を環状隆起部４０の下縁側に列設するのに代えて、又は環状隆起部４０の下縁側に列設された縦リブ４４とともに、環状隆起部４０の上縁側に、上縁側第一湾曲部４１ａと上縁側第二湾曲部４１ｂとの連接部を越えて、一端が上側第二湾曲部４１ｂ内に突出する複数の縦リブを、環状隆起部４０の延在方向に沿って列設してもよい。
　なお、環状隆起部４０に加わる荷重によって変形した部位が、十分な復元力を発揮して元の形状に戻ることができれば、縦リブ４４は必要に応じて省略してもよい（図１０、図１１、及び図１２参照）。

　また、環状隆起部４０の延在方向に沿って縦リブ４４を列設することで、環状隆起部４０に連接している周囲の部位の過度な変形を抑制することもできる。縦リブ４４の他端の位置は、このような観点から適宜設定することができる。図８に示す例では、縦リブ４４は、その他端が、下縁側第一湾曲部４２ａの隆起始端α_２を越えて突出するように列設されているが、必要に応じて、他端側が下縁側第一湾曲部４２ａ内におさまるように、縦リブ４４を列設してもよい。環状隆起部４０の上縁側に縦リブを列設する場合も同様である。

　環状隆起部４０に連接している周囲の部位の過度な変形を抑制するには、図１２に示す変形例のように、環状隆起部４０の延在方向に沿って横リブ４５を並設するのも有効である。縦リブ４４を省略した場合には、このような横リブ４５を設けることで、環状隆起部４０に連接している周囲の部位の過度な変形を抑制することができる。

　横リブ４５を設ける位置や、その形状は、環状隆起部４０に連接している周囲の部位の過度な変形を抑制するという観点から適宜設定するが、例えば、環状隆起部４０が胴部４の周面から隆起する始端に重ねて、又は近接させて、縦断面が曲率半径０．４～２ｍｍの円弧状の環状溝として横リブ４５を設けるのが好ましく、このときの横リブ４５の溝深さは０．３～１．５ｍｍとすることができる。
　なお、図１２に示す変形例では、下縁側第一湾曲部４２ａの隆起始端ｄに重ねて横リブ４５を設けている。

　以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。

　例えば、前述した実施形態では、丸形ボトルと称される容器形状を有する容器１を図示して説明しているが、図示する例は、本発明の好ましい実施形態を示しているに過ぎず、本発明が適用される容器形状は、図示するものには限定されない。本発明は、口部２、肩部３、胴部４、及び底部５を備える合成樹脂製容器において、その肩部３の形態に技術的な特徴があり、それ以外の部位の具体的な形態については、必要に応じて適宜変更することができる。

　すなわち、本発明は、口部２、肩部３、胴部４、及び底部５を備え、肩部３が、縦断面が容器外方に凸の円弧状に湾曲して胴部４に連接する裾部３０を含み、肩部３に、容器中心側から外周縁側に向かって放射状に延在する複数の溝部３１が、少なくとも裾部３０の上端縁ＵＥ３０に達する位置まで延在して形成されていれば、これ以外の細部の構成は、前述した実施形態に限定されることなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態で説明した細部の構成を適宜取捨選択して組み合わせることもできる。

　この明細書に記載の文献及び本願のパリ優先権の基礎となる日本出願明細書の内容を全てここに援用する。

　１　　　　　容器
　２　　　　　口部
　３　　　　　肩部
　３０　　　　　裾部
　３１　　　　　溝部
　４　　　　　胴部
　４０　　　　　環状隆起部
　４１ａ　　　　　上縁側第一湾曲部
　４１ｂ　　　　　上縁側第二湾曲部
　４２ａ　　　　　下縁側第一湾曲部
　４２ｂ　　　　　下縁側第二湾曲部
　４３　　　　　頂面部
　４３ａ　　　　　環状溝
　４４　　　　　縦リブ
　４５　　　　　横リブ
　５　　　　　底部
　ＵＥ３０　　　　　裾部上端縁
 
 
 

 

Claims (16)

1. 　口部、肩部、胴部、及び底部を備え、
   　前記肩部が、縦断面が容器外方に凸の円弧状に湾曲して前記胴部に連接する裾部を含み、
   　前記肩部に、容器中心側から外周縁側に向かって放射状に延在する複数の溝部が、少なくとも前記裾部の上端縁に達する位置まで延在して形成されていることを特徴とする合成樹脂製容器。
2. 　前記溝部の終端が、前記裾部の上端縁を越えて突出する位置にある請求項１に記載の合成樹脂製容器。
3. 　前記溝部の始端が、前記肩部の上端縁に近接する請求項１又は２に記載の合成樹脂製容器。
4. 　周方向に隣接する前記溝部の中心線のなす角度が、２．５°～２０°である請求項１～３のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
5. 　前記胴部が、周方向に沿って延在する環状隆起部を有し、
   　前記環状隆起部の上縁側が、縦断面が容器内方に凸の円弧状とされた上縁側第一湾曲部と、縦断面が容器外方に凸の円弧状とされた上縁側第二湾曲部とを経て隆起するとともに、
   　前記環状隆起部の下縁側が、縦断面が容器内方に凸の円弧状とされた下縁側第一湾曲部と、縦断面が容器外方に凸の円弧状とされた下縁側第二湾曲部とを経て隆起する
   請求項１～４のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
6. 　前記上縁側第一湾曲部、及び前記下縁側第一湾曲部の縦断面が、曲率半径３～９０ｍｍの円弧状に形成された請求項５に記載の合成樹脂製容器。
7. 　前記上縁側第二湾曲部、及び前記下縁側第二湾曲部の縦断面が、曲率半径３～９０ｍｍの円弧状に形成された請求項５又は６に記載の合成樹脂製容器。
8. 　前記環状隆起部の上縁側の隆起高さＨ_１が、前記上縁側第二湾曲部の隆起終端γ_１における容器胴径Ｄ_１の０．５～５％である請求項５～７のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
9. 　前記環状隆起部の下縁側の隆起高さＨ_２が、前記下縁側第二湾曲部の隆起終端γ_２における容器胴径Ｄ_２の０．５～５％である請求項５～８のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
10. 　前記環状隆起部の上縁側の隆起長さＬ_１、及び前記環状隆起部の下縁側の隆起長さＬ_２が、３～１８ｍｍである請求項５～９のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
11. 　前記環状隆起部が、縦断面が直線状とされた頂面部を含む請求項５～１０のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
12. 　前記頂面部に、環状溝が形成されている請求項１１に記載の合成樹脂製容器。
13. 　前記環状隆起部の下縁側に、前記下縁側第一湾曲部と前記下縁側第二湾曲部との連接部を越えて、一端が前記下側第二湾曲部内に突出する複数の縦リブが、前記環状隆起部の延在方向に沿って列設されている請求項５～１２のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
14. 　前記環状隆起部の上縁側に、前記上縁側第一湾曲部と前記上縁側第二湾曲部との連接部を越えて、一端が前記上側第二湾曲部内に突出する複数の縦リブが、前記環状隆起部の延在方向に沿って列設されている請求項５～１３のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
15. 　前記環状隆起部の延在方向に沿って横リブが並設されている請求項５～１４のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
16. 　前記胴部の縦断面形状が、少なくとも前記環状隆起部に連接する部位において、容器内方に凸の円弧状とされている請求項５～１５のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
     
     
    
     

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