WO2018150509A1 - 摩擦撹拌接合を用いたワーク品製品製造方法及び複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワーク - Google Patents

Abstract

【課題】大型化したワークに摩擦撹拌が適用されて材料の歩留り改善・加工時間の短縮改善がなされ得、大型化したワークに摩擦撹拌が適用されて発生する課題を解決する。 【解決手段】突き合わせた接合面に沿って、長さＬの内、複数のワーク品のトータルの幅Ｌoに一方の部材の厚さｌの２倍以上の長さを加えた長さに亘って摩擦撹拌接合して、摩擦撹拌接合されたワークを製作し、摩擦撹拌接合されたワークから、摩擦撹拌接合面に直角方向に、複数のワーク品を切り出すものであって、切り出し前の複数のワーク品の両側方のそれぞれに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さの切断代をワークに残して、摩擦撹拌接合されたワークから同一幅の複数のワーク品を切り出す。

Description

摩擦撹拌接合を用いたワーク品製品製造方法及び複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワーク

　本発明は、摩擦撹拌接合を用いたワーク品製品製造方法及び複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワークに関する。

　特許文献１に記載されているように、回転体とその底面から垂下する撹拌ピンとを備えた摩擦撹拌接合（ＦＳＷ）用のＦＳＷツール（プローブ）を用い、撹拌ピンを被接合部材間の突き合わせ面付近に挿入し、ＦＳＷツール底面を被接合部材の上面に押し付けつつ、ＦＳＷツールを回転させながら突き合わせ面に沿って移動させることによって、被接合部材同士を固相状態で接合する摩擦撹拌接合が広く行われている。

　この特許文献には、ＦＳＷツールの撹拌ピンを挿入したときに、接合すべき被接合部材が離間することで生じる欠陥を防止するために、本接合部に交差する接合部を設けておくことが提案されている。

　特許文献２には、タブ部に挿入された撹拌ピンを移動させて突合部に摩擦撹拌を行い、もう一方のタブ部で摩擦撹拌を終了させるに当たって、撹拌ピンを折り返すようにして再度摩擦撹拌することが提案されている。

　特許文献３には、第１及び第２の部材を突き合わせたワークを複数横並べして、各ワークの突き合わせ部を摩擦撹拌接合で一括接合し、各ワークに分離することが提案されている。

特許第４３５２８１４号公報 特許第５０５０６７４号公報 特許第４７３２１０９号公報

　従来、真空処理装置に用いられる大型ゲートバルブのバルブケーシングの製作に当たっては、アルミニウムの１体ブロック材から切削加工によりバルブケーシングを削り出していた。この制作方法では、製品の完成重量は、素材の１体ブロック材重量の３０％程度となり、材料の大部分が廃材になるという問題があった。このため、摩擦撹拌接合によってバルブケーシングを製作することが採用されるに至っている。この製作方法は、板材を組み合わせて摩擦撹拌接合することによって摩擦撹拌接合後の加工で廃材となる材料の割合は、２０％に抑えられて、大幅な歩留り改善がなされるに至った。

　しかし、この方法にあっても、１体ブロック材から一つのワークを製造するものであるために、特許文献２に、タブ部に挿入された撹拌ピンを移動させて突合部に摩擦撹拌を行い、もう一方のタブ部で摩擦撹拌を終了させるに当たって、撹拌ピンを折り返すようにして再度摩擦撹拌することが提案されているように、ワークごとに開始タグ部及び終了タブ部を必要とし、これらのタブ部を削除しなければならず、材料の歩留り改善・加工時間の短縮改善に限界があった。上述した特許公報に記載された技術は、いずれにあっても摩擦撹拌接合の厚みは、数ｍｍ程度であり、大型ゲートバルブのバルブケーシングの製作のために発生する課題に対して対処することができない。

　また、上述したように、真空処理装置に用いられるゲートバルブのバルブケーシングは大型化しており、用いられる板材はその厚みが２０～８０ｍｍにもなり、この厚みに対応することの出来る摩擦撹拌接合であること必要になる。従来の方法によれば、一つのワークごとに自社内で摩擦撹拌接合に適した寸法とされたブロック材を製作発注し、当該ブロック材を自社内で摩擦撹拌接合に適した寸法に加工することを行っており、適切な時に当該ブロック材を入手することが困難な場合が生じていた。

　本発明は、かかる点に鑑み大型ゲートバルブのバルブケーシングのように大型化したワークに摩擦撹拌が適用されて材料の歩留り改善・加工時間の短縮改善がなされ得、大型化したワークに摩擦撹拌が適用されて発生する課題を解決することを目的とする。

　摩擦撹拌接合は、接合材をその融点以下の低温で接合できるため、アーク溶接に比べて歪がすくなく、気泡や割れなど接合欠陥の発生がないなど多くと特長がある。ＦＳＷで発生する典型的な空孔状欠陥であり、撹拌過剰域や撹拌不足域、あるいは撹拌金属への圧力不足やツール回転数不足でＦＳＷ施工をした場合に発生するといわれている。

　大型バルブゲートのバルブケーシングのように大型化したワークにあっては、摩擦撹拌接合が用いられる板材の厚みが２０～８０ｍｍにもなる。このため、摩擦撹拌接合の擦撹拌接合始め工程あるいは摩擦撹拌接合終り工程に生じる両材料の接合面に沿って内部欠陥がワークに残留する。この内部欠陥は、接合深さ方向の摩擦撹拌接合面が長大になることで、回転ツールによる撹拌時に接合線付近が接合部に残留するものと考えられ、摩擦撹拌接合線状態が摩擦撹拌固定領域内の深部にほぼ縦方向に残留する。このような課題は、上述した課題と共に、本発明で提案される次のステップで解決される。

　本発明は、アルミニウム材からなる２以上の部材を摩擦撹拌によって接合することで、断面形状同一を有するワークから複数のワーク品を製造する、摩擦撹拌接合を用いたワーク品製造方法において、
　アルミニウム材からなる２以上の部材の内、一方が高さ方向に、２０ｍｍ以上の厚さｌで、かつ幅方向に、複数のワーク品のトータルの幅Ｌo以上の長さＬで、長さ方向に、断面同一形状を有し、厚さ方向の接合面を、他方の部材の接合面に同一高さで突き合わせて、長さＬに亘って位置合わせを行い、
　突き合わせた接合面に沿って、長さＬの内、複数のワーク品のトータルの幅Ｌoに一方の部材の厚さｌの２倍以上の長さを加えた長さに亘って摩擦撹拌接合して、摩擦撹拌接合されたワークを製作し、
　摩擦撹拌接合されたワークから、摩擦撹拌接合面に直角方向に、切断機によって、複数のワーク品を切り出すものであって、切り出し前の複数のワーク品の両側方のそれぞれに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さの切断代をワークに残して、摩擦撹拌接合されたワークから同一幅の複数のワーク品を切り出すこと
　を特徴としている。

　本発明は、上述された摩擦撹拌接合を用いた複数のワーク品製造方法において、摩擦撹拌接合始め工程あるいは摩擦撹拌接合終り工程で、厚さ方向の押圧方向作業を行って、生じる内部欠陥を断代に残留せしめ、当該切断代をワークに残して切断することで、切り出された複数のワーク品に、内部欠陥が残留すること防止したことを特徴としている。

　本発明は、上述された摩擦撹拌接合を用いた複数のワーク品製造方法において、ワークが、アルミニウム材からなる高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌを有する一方の部材と当該一方に部材両端側に配置された他方の部材から形成された直方体状のワークであり、
　複数のワーク品が、隣接するワーク品から全面に亘って切断された切断面を有し、それぞれのワーク品が、アルミニウム材からなる２以上の部材の内一方が高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌで、他方の部材との摩擦撹拌接合面を有して、同一形状であり、
　残留ワークが、切り出された複数のワーク品のそれぞれの両側方のみに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さで、各ワーク品の幅の１/２よりも小さい切断代が、切断代が残留するようにしたこと
を特徴としている。

　本発明は、アルミニウム材からなる２以上の部材が摩擦撹拌によって接合されて形成されたワークから製造された複数のワーク品と複数のワーク品が切り出された後の残留ワークであって、
　複数のワーク品が、隣接するワーク品から全面に亘って切断された切断面を有し、それぞれのワーク品が、アルミニウム材からなる２以上の部材の内一方が高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌで、他方の部材との摩擦撹拌接合面を有して、同一形状であり、
　残留ワークが、切り出された複数のワーク品のそれぞれの両側方のみに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さで、各ワーク品の幅の１/２よりも小さい切断代が残留すること
　を特徴としている。

　本発明は、上述された複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワークにおいて、ワーク品が、２つの一方の部材及び２つの他方の部材から構成されたゲートバルブのバルブケーシング形状をなすゲートバルブのゲート材であることを特徴としている。

　本発明によれば、複数のワーク品が、
　それぞれアルミニウム材からなる２以上の部材の内一方が高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌで、かつ同一断面形状を有し、当該厚さ部分の接合面が、他方の部材と同一高さの摩擦撹拌接合面を有し、
　摩擦撹拌接合面の長さを同一とし及び切断機によって摩擦撹拌接合面に対して直角方向に切断された切断面を有して、同一の幅、同一の長さと同一形状の複数のワーク品であり、
　残留ワークが、両側それぞれに一方の部材の厚さｌよりも大きな長さの切断代を有して、
　各切断代の長さが、各ワーク品の幅の１/２よりも小さくされた、複数のワーク品を製作することできる。

　これによって、大型ゲートバルブのバルブケーシングのように大型化したワークに摩擦撹拌接合が適用されて材料の歩留り改善・加工時間の短縮改善がなされ、大型化したワークに摩擦撹拌接合が適用されて、摩擦撹拌接合始め工程と摩擦撹拌接合終り工程に発生する内部欠陥が各ワークに残留する恐れを解決することができる。

ワーク品製造方法に使用される部材構成を示す図。 構成部材３及び構成部材４に構成部材１及び構成部材２が組み合わされた状態を示す図。 構成部材１及び構成部材２と構成部材３及び構成部材４とが突合わされて形成される摩擦撹拌突合わせ線８を押圧する状態を示す図。 構成部材１及び構成部材２と構成部材３及び構成部材４とをＦＳＷにより接合する状態を示す図。 ＦＳＷにより接合する状態を示す図。 図５に示される形状を上面から見た図。 工程６を示し、切断後の単品及び仕上げ加工を示す図。 ＦＳＷにより接合する状態を示す図。

　以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

　図１～図７は、アルミニウム材からなる２以上の部材を摩擦撹拌によって接合することで、形状同一を有するワークから複数のワーク品を製造する、摩擦撹拌接合を用いたワーク品製造方法を示す図である。大型ゲートバルブのバルブケーシングのように大型化したワークに摩擦撹拌接合が適用されて材料の歩留り改善・加工時間の短縮改善がなされ、大型化したワークに摩擦撹拌接合が適用されて、摩擦撹拌接合始め工程と摩擦撹拌接合終り工程に発生する内部欠陥が各ワーク品に残留する恐れを無くして解決する工程を示す図である。

　図１は、工程１を示し、ワーク品製造方法に使用される部材構成を示す図である。

　図１において、大型化したワーク１００は、板状の構成部材１、構成部材２及び角材状の構成部材３及び構成部材４からなる。構成部材１、構成部材２、構成部材３及び構成部材４は、購入された規格ブロック材が工場内において所定の大きさに切断された形状を備える。

　構成部材１及び構成部材２は、同一の形状をなし、上下に空間を置いて配置される。　板状の構成部材１及び構成部材２は、アルミニウム材からなり、２０～８０ｍｍの厚さを有して、４角形であり、形状断面積はいずれの方向にも同一である。ここでは、構成部材３及び構成部材４に長手方向（図面で左右方向）をＸ軸方向と呼び、その９０度方向をＹ軸方向と呼び、縦方向をＺ軸方向と呼ぶ。構成部材１及び構成部材２の空間の幅は、バルブゲートであれば、バルブの開口面積になる。

　構成部材１及び構成部材２のＸ軸方向の長さは、製品となるワーク品の形状で定められた長さであり、Ｙ軸方向の長さは、切り出されるワーク品の幅×ワーク品数よりも大きな長さを有する。

　構成部材３及び構成部材４アルミニウム材からなり、直方体状の角材が、一部削り取られたほぼ直方体状をなす。構成部材３及び構成部材４は、構成部材１及び構成部材２側の面にそれぞれ直方体状の切欠き部５，６を有する。切欠き部５，６のＺ軸方向の寸法は、公差を考慮しないときに構成部材３及び構成部材４の厚さであり、Ｘ軸の方向の寸法は、構成部材３及び構成部材４の端部を載置するに十分な長さであり、Ｙ軸の方向の寸法は、構成部材３及び構成部材４のＹ軸方向の寸法、すなわち構成部材３及び構成部材４の幅長さである。

　このように形成することで、構成部材３及び構成部材４は、上面に突合わせ線８を有する面７が形成され、切欠き部５，６に対峙して両側にタグ部９，１０が形成される。これらのタグ部９，１０はブロック形状となる。

　図２は、工程２を示し、構成部材３及び構成部材４に構成部材１及び構成部材２が組み合わされた状態を示す図である。アルミニウム材からなる２以上の部材の内、一方が高さ方向に、２０ｍｍ以上の厚さｌで、かつ幅方向に、複数のワーク品のトータルの幅Ｌo以上の長さＬで、長さ方向に、断面同一形状を有し、厚さ方向の接合面を、他方の部材の接合面に同一高さで突き合わせて、長さＬに亘って位置合わせを行う。

　構成部材３及び構成部材４に形成された切欠き部５，６に構成部材１及び構成部材２のＸ軸側の端部が載置される。この載置によって、図に示されるように、内部に空間部１１を備えＹ軸方向側が開放された箱状体１０１が形成される。この状態で、構成部材１及び構成部材２と構成部材３及び構成部材４とが突合わされた状態にある。この例では、４つの構成部材から箱状体１０１が形成されているが、３つの構成部材によってコ字状の形態が形成されてもよい。本例では、箱状体１０１が形成された例について説明する。

　箱状体１０１は、上面、下面が平らな面一となっていて、突合わせ線８に沿って摩擦撹拌突合わせ線が形成される。以後、この線を摩擦撹拌突合わせ線８と呼ぶ。

　図３は、工程２を示し、構成部材１及び構成部材２と構成部材３及び構成部材４とが突合わされて形成される摩擦撹拌突合わせ線８をＸ軸方向から押圧する状態を示す図である。押圧手段（図示せず）によって押圧する。構成部材１及び構成部材２と構成部材３及び構成部材４とを機械的に係合させる機械係合手段を構成部材１及び構成部材２と構成部材３及び構成部材４に設けておくことができる。機械係合手段は、例えば楔状にした係合手段である。この係合によって、図２の突合わせの時に両部材がしっかりと密接固定される。このような手段を設けることによって、摩擦撹拌接合時に離間しようとする２つの部材が当初の押圧状態、密接固定状態に保持される。

　図４は、工程４を示し、構成部材１及び構成部材２と構成部材３及び構成部材４とをＦＳＷにより接合する状態を示す図である。突き合わせた接合面に沿って、長さＬの内、複数のワーク品のトータルの幅Ｌoに一方の部材の厚さｌの２倍以上の長さを加えた長さに亘って摩擦撹拌接合して、摩擦撹拌接合されたワークを製作する。

　ＦＳＷによる接合が摩擦撹拌突合わせ線８に沿ってなされる。ＦＳＷは、摩擦撹拌突合わせ線８を超えてタブ部９，１０に及ぶ。以後、この線を摩擦撹拌接合線（ＦＳＷ接合線）と１２と呼ぶ。摩擦撹拌突合わせ線８は、タブ部９，１０にまで及ぶ。摩擦撹拌をタブ部１０からタブ部９側に向けて行うとき、タブ部１０は、摩擦撹拌の助走区間１４となる。この助走区間で、Ｚ軸方向の押圧作業並びにＹ軸方向の摩擦撹拌作業がなされる。従来この助走区間の長さは、撹拌ピンの大きさに依存して決められた。

　図８は、ＦＳＷにより接合する状態を示す図である。

　回転体８１とその底面から垂下する撹拌ピン８２とを備えた摩擦撹拌接合（ＦＳＷ）用のＦＳＷツール（プローブ）８０を用い、撹拌ピン８２を被接合部材である厚板（構成部材１，２）と厚板（構成部材３，４）板厚である間の突き合わせ面付近に挿入し、ＦＳＷツール底面を被接合部材の上面に押し付けつつ、ＦＳＷツールを回転させながら突き合わせ面に沿って移動させることによって、被接合部材同士を固相状態で接合する。

　構成部材１，２は、２０～８０ｍｍの厚さを有し、構成部材３，４は、それ以上の厚さを有する。

　この摩擦撹拌接合時に、助走区間１４では、まず撹拌ピンは、Ｚ軸方向に押圧され、次いでＹ軸方向に移動されるが、Ｚ軸方向の押圧のときに、上述した摩擦撹拌固定領域内の一部にほぼ縦方向に残留した摩擦撹拌接合線状態の内部欠陥が生じことがある。摩擦撹拌接合線状態の内部欠陥は、タブ部１０における摩擦撹拌接合線長さを適切に設定することで、タブ部１０のみに発生させ、摩擦撹拌突合わせ線８部分での発生を防止することができる。

　具体的には、撹拌ピンの直径は、構成部材１及び構成部材２の厚み長さに比べて小さい。助走区間として構成部材１あるいは構成部材２の厚み長さ対応する長さを確保することで、この内部欠陥を、助走区間を形成するタブ部１０内に発生するように限定することができる。すなわち切り出されるワーク品に、この欠陥が生じない対策となる。この長さ部分の確保は、構成部材１及び構成部材２の厚み長さ対応する長さを最小にして確保すれば十分で、それ以上長くすることは、後述したタブ部１０の切断による廃材を増やすことになる。後述する一つのワークの１/２以内、望ましくは１/４以内にすることが勧められる。

　タブ部９側でも同様の内部欠陥が生じる恐れがある。押圧作業の関係するタブ部９側でも、同様に終了区間１３を確保する。構成部材１及び構成部材２の厚み長さ対応する長さを確保することで、この内部欠陥をタブ部９内に発生するように限定することができる。この長さ部分の確保は、構成部材１及び構成部材２の厚み長さ対応する長さを最小にして確保すれば十分で、それ以上長くすることは、後述したタブ部１０の切断による廃材を増やすことになる。後述する一つのワークの１/２以内、望ましくは１/４以内にすることが勧められる。

　図５は、工程５を示し、形成した箱状体１０１を必要長さに切断する状態を示す図である。摩擦撹拌接合されたワークから、摩擦撹拌接合面に直角方向に、切断機によって、複数のワーク品を切り出すものであって、切り出し前の複数のワーク品の両側方のそれぞれに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さの切断代をワークに残して、摩擦撹拌接合されたワークから同一幅の複数のワーク品を切り出す
　図５に示される図では、箱状体１０１は、点線で示されるようにＸ軸方向に切断され、Ｙ軸方向に５つに切り出されることが設定された。図面では７つのワーク品７１～７５が切り出されるが、５つには限定されない。

　図６は、図５に示される形状を上面から見た図である。６つの切断線Ａ～Ｆが示される。

　図５、図６において、切断機（図示せず）による切断によって、突合わせ線８の直角方向のＸ軸方向に切断がなされてワークの中部から５つの製品７１～７５としてのワーク品が切り出された。両側の２つの切り出し部分を有するタブ部９，１０が、ワーク品でとして機能しない不要部５１，５２となる。不要部５１，５２に最も近い切断線Ａ及びＦは、不要部５１，５２にできるだけ近接するようにして、構成部材１及び構成部材２の上面７に設定される。このようにして切断面が、構成部材１及び構成部材２内に設定される。

　以上のように、
　アルミニウム材からなる２以上の部材の内、一方が高さ方向に２０ｍｍ以上の厚さｌで、かつ幅方向に複数のワーク品のトータルの幅Ｌo以上の長さＬで、断面同一形状を有し、当該厚さ部分の接合面を、他方の部材の同一高さの接合面に突き合わせて位置合わせを行う。

　突き合わせた接合面に沿って、一方の部材の厚さに亘って、上述の長さＬの内、複数のワーク品のトータルの幅Ｌoに一方の部材の厚さｌの２倍以上の長さを加えた長さに亘って摩擦撹拌接合する。

　摩擦撹拌接合されたワークについて、摩擦撹拌接合された複数のワーク品のトータルの幅Ｌo部分を、切断機によって、接合面に対して直角方向に当該複数のワーク品の数に対応して切断するに際して、両側それぞれに一方の部材の厚さｌよりも大きな長さの切断代をワークに残して切断し、摩擦撹拌接合されたワークから複数のワーク品を切り出す。

　摩擦撹拌接合始め工程あるいは摩擦撹拌接合終り工程に生じる内部欠陥が切断代に残留し、当該内部欠陥が残留した切断代をワークに残して切断することで、ワーク品に摩擦撹拌接合始め工程と摩擦撹拌接合終り工程に生じる内部欠陥が残留すること防止する。

　アルミニウム材からなる２以上の部材が摩擦撹拌によって接合されたことで、断面同一形状を有するワークから、摩擦撹拌接合を用いて製造された複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワークについて特徴を示せば、次のようになる。

　複数のワーク品が、
　それぞれアルミニウム材からなる２以上の部材の内一方が高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌで、かつ同一断面形状を有し、当該厚さ部分の接合面が、他方の部材と同一高さの摩擦撹拌接合面を有し
　摩擦撹拌接合面の長さを同一とし及び切断機によって摩擦撹拌接合面に対して直角方向に切断された切断面を有して、同一の幅、同一の長さと同一形状の複数のワーク品である。

　残留ワークが、両側それぞれに一方の部材の厚さｌよりも大きな長さの切断代を有して、
　各切断代の長さが、各ワーク品の幅の１/２、望ましくは１/４よりも小さい。

　すなわち、複数のワーク品が、隣接するワーク品から全面に亘って切断された切断面を有し、それぞれのワーク品が、アルミニウム材からなる２以上の部材の内一方が高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌで、他方の部材との摩擦撹拌接合面を有して、同一形状であり、残留ワークが、切り出された複数のワーク品のそれぞれの両側方のみに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さで、各ワーク品の幅の１/２よりも小さい切断代が残留する。

　図７は、工程６を示し、切断後の単品及び仕上げ加工を示す図である。

　図７（１）に示されるように、切断後の単品は、開口のある直方体状筒体１０２である。直方体状筒体１０２に最終仕上げ加工がなされる。この仕上げ加工によって、最終製品のワーク品１０３が形成される。ワーク品１０３が、２つの一方の部材及び２つの他方の部材から構成されたゲートバルブのバルブケーシング形状をなす。

　１，２，３，４…構成部材、５，６…切欠き部、７…突合わせ線８を有する面、８…突合わせ線、９，１０…タブ部、１２…摩擦撹拌接合線（ＦＳＷ接合線）、１４…助走区間、５１，５２…不要部、７１～７５…ワーク品、１０１…箱状体、１０２…直方体状筒体、１０３…最終製品のワーク品。

Claims (5)

1. 　アルミニウム材からなる２以上の部材を摩擦撹拌によって接合することで、断面形状同一を有するワークから複数のワーク品を製造する、摩擦撹拌接合を用いたワーク品製造方法において、
   　アルミニウム材からなる２以上の部材の内、一方が高さ方向に、２０ｍｍ以上の厚さｌで、かつ幅方向に、複数のワーク品のトータルの幅Ｌo以上の長さＬで、長さ方向に、断面同一形状を有し、厚さ方向の接合面を、他方の部材の接合面に同一高さで突き合わせて、長さＬに亘って位置合わせを行い、
   　突き合わせた接合面に沿って、長さＬの内、複数のワーク品のトータルの幅Ｌoに一方の部材の厚さｌの２倍以上の長さを加えた長さに亘って摩擦撹拌接合して、摩擦撹拌接合されたワークを製作し、
   　摩擦撹拌接合されたワークから、摩擦撹拌接合面に直角方向に、切断機によって、複数のワーク品を切り出すものであって、切り出し前の複数のワーク品の両側方のそれぞれに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さの切断代をワークに残して、摩擦撹拌接合されたワークから同一幅の複数のワーク品を切り出すこと
   　を特徴とする摩擦撹拌接合を用いた複数のワーク品製造方法。
2. 　請求項１に記載された摩擦撹拌接合を用いた複数のワーク品製造方法において、
   摩擦撹拌接合始め工程あるいは摩擦撹拌接合終り工程で、厚さ方向の押圧方向作業を行って、生じる内部欠陥を断代に残留せしめ、当該切断代をワークに残して切断することで、切り出された複数のワーク品に、内部欠陥が残留すること防止したことを特徴とする摩擦撹拌接合を用いた複数のワーク品製造方法。
3. 　請求項１に記載された摩擦撹拌接合を用いた複数のワーク品製造方法において、ワークが、アルミニウム材からなる高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌを有する一方の部材と当該一方に部材両端側に配置された他方の部材から形成された直方体状のワークであり、
   　複数のワーク品が、隣接するワーク品から全面に亘って切断された切断面を有し、それぞれのワーク品が、アルミニウム材からなる２以上の部材の内一方が高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌで、他方の部材との摩擦撹拌接合面を有して、同一形状であり、
   　残留ワークが、切り出された複数のワーク品のそれぞれの両側方のみに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さで、各ワーク品の幅の１/２よりも小さい切断代が、切断代が残留するようにしたこと
   を特徴とする摩擦撹拌接合を用いた複数のワーク品製造方法。
4. 　アルミニウム材からなる２以上の部材が摩擦撹拌によって接合されて形成されたワークから製造された複数のワーク品と複数のワーク品が切り出された後の残留ワークであって、
   　複数のワーク品が、隣接するワーク品から全面に亘って切断された切断面を有し、それぞれのワーク品が、アルミニウム材からなる２以上の部材の内一方が高さ方向に２０～８０ｍｍの厚さｌで、他方の部材との摩擦撹拌接合面を有して、同一形状であり、
   　残留ワークが、切り出された複数のワーク品のそれぞれの両側方のみに、一方の部材の厚さｌよりも大きな長さで、各ワーク品の幅の１/２よりも小さい切断代が残留すること
   　を特徴とする複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワーク。
5. 　請求項４に記載された複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワークにおいて、ワーク品が、２つの一方の部材及び２つの他方の部材から構成されたゲートバルブのバルブケーシング形状をなすことを特徴とする複数のワーク品とワークから複数のワーク品が切り出された後の残留ワーク。

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