明 細 書
イミド変性エラストマ一
技術分野
[0001] 本発明は、柔軟な弾性率を有するゴム状物で、かつ高強度および高耐熱性を有す るイミド変性エラストマ一に関する。
背景技術
[0002] エラストマ一は、その用途によっては、柔軟な弾性率を有するゴム状物で、かつ高 強度および高耐熱性等の種々の物性が要求される。ところ力 従来のゴム材料のうち 、耐熱性の高いフッ素ゴムやシリコンゴムは、熱硬化性なのでリサイクル性が低ぐ成 形加工コストが高いという問題がある。また、熱可塑性ゴムは、リサイクル性や成形加 ェコストに優れるものの、耐熱性が低レ、とレ、う問題がある。
[0003] 一方、耐熱性に優れるエラストマ一として、イミド変性エラストマ一がある。例えば特 許文献 1には、高弾性でかつゴム状弾性領域の温度範囲が広!/、弾性を有するポリイ ミドエラストマー化合物 (イミド変性エラストマ一)が記載されて!/、る。この文献によると 、ジァミンとイソシァネートを反応させて得られる高分子量のポリウレァ化合物と、環状 カルボン酸二無水物とを反応させてイミド変性エラストマ一を得ている。また、非特許 文献 1 , 2には、ポリウレタンにイミド結合を導入したイミド変性エラストマ一が記載され おり、耐熱性に劣るポリウレタンにイミド結合を導入して、ポリウレタンの有する物性を 維持しつつ耐熱性を向上させている。
[0004] しかしながら、これらの文献に記載されているイミド変性エラストマ一では、上記した 物性、すなわち柔軟な弾性率を有するゴム状物で、かつ高強度および高耐熱性等 が十分に得られないのが現状である。具体的には、特許文献 1では、使用するジアミ ン化合物の分子量が数千程度であるため、柔軟なエラストマ一を得ることは困難であ る。非特許文献 1では、ポリイミドのプレポリマーをあらかじめ合成して、これをウレタン プレポリマーと共重合しており、このためイミドウレタンプレポリマーとウレタンプレポリ マーとの間に形成されるテトラカルボン酸二無水物とイソシアナートあるいはジァミン 力もなるイミドユニットが、ランダムな数となり、イミドユニットの疑集が均一でないため
、エラストマ一成分を多くし、柔軟なゴム状物を得る場合、充分な強度および耐熱性 が得られない。非特許文献 2では、ウレタンプレボリマーをテトラカルボン酸二無水物 で鎖延長することから、イミドユニットが 1つであり、このためエラストマ一成分を多くし 、柔軟なゴム
したがって、より優
[0005] 特許文献 1:特開平 11 106507号公報
非特許文献 1 :手銭英之、
成と物性」、エラストマ一討論会要旨集、 1999年、 p72-75
非特許文献 2 :松尾祥子、山田英介、稲垣慎二、「ポリイミドウレタンエラストマ一の合 成とその物性」、中部化学関係学協会支部連合 ·秋季大会予稿集、 1995年、 p381 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明の課題は、柔軟な弾性率を有するゴム状物で、かつ高強度および高耐熱性 を有する新規なイミド変性エラストマ一を提供することである。
課題を解決するための手段
[0007] 上記課題を解決するための、本発明のイミド変性エラストマ一は、一般式 (I):
[化 1]
[式中、 Rは、芳香族環または脂肪族環を含む 2価の有機基を示す。 Rは、重量平
I 2
均分子量 100〜; !0, 000の 2価の有機基を示す。 Rは、芳香族環、脂肪族環または
3
脂肪族鎖を含む 2価の有機基を示す。 Rは、 4個以上の炭素を含む 4価の有機基を
4
示す。 nは I〜; !00の整数を示す。 mは 2〜100の整数を示す。 ]で表される。かかる 本発明のイミド変性エラストマ一は文献未記載の新規化合物である。
発明の効果
[0008] 本発明の前記一般式 (I)で表されるイミド変性エラストマ一は、ポリウレタンをエラス トマ一成分として含有するので、柔軟な弾性率を有するゴム状物とすることができると 共に、主鎖に連続した 2つのイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合 (イミ ド分率)で導入することができるので、高強度および高耐熱性を有するとレ、う効果があ る。しかも、本発明の前記一般式 (I)は熱可塑性を有するので、リサイクル性および成 形性にも優れ、さらに耐溶剤性にも優れる。
図面の簡単な説明
[0009] [図 1]合成例 1で得たイミド変性エラストマ一(1)の IRスペクトルである。
[図 2]合成例 2で得たイミド変性エラストマ一(2)の IRスペクトルである。
[図 3]合成例 3で得たイミド変性エラストマ一(3)の IRスペクトルである。
[図 4]実施例 1の引張試験の結果を示すグラフである。
[図 5]実施例 1の動的粘弾性試験の結果を示すグラフである。
[図 6]実施例 1の熱分析試験の結果を示すグラフである。
[図 7]比較例 2の動的粘弾性試験の結果を示すグラフである。
[図 8]実施例 2の引張試験の結果を示すグラフである。
[図 9]実施例 2の動的粘弾性試験の結果を示すグラフである。
[図 10]実施例 3の引張試験の結果を示すグラフである。
[図 11]実施例 3の動的粘弾性試験の結果を示すグラフである。
[図 12]実施例 4の引裂き試験の結果を示すグラフである。
[図 13]実施例 4の熱老化試験の結果を示すグラフである。
[図 14]実施例 4の耐溶剤性試験(トルエン)の結果を示すグラフである。
[図 15]実施例 4の耐溶剤性試験 (テトラヒドロフラン)の結果を示すグラフである。
[図 16]実施例 5の耐溶剤性試験(トルエン)の結果を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
[0010] 本発明のイミド変性エラストマ一は、前記一般式 (I)で表される。この式中において 前記 Rは、芳香族環または脂肪族環を含む 2価の有機基を示すものであり、該有機 基としては、例えば後述する反応行程式 (A)に従ってポリオール (b)と共にウレタン プレボリマー(c)を形成し得るジイソシアナ一ト(a)にお!/、てイソシアナト基( NCO)
を除く残基等が挙げられる。
[0011] 前記 Rは、重量平均分子量 100〜; 10, 000、好ましくは 300〜5, 000の 2価の有
2
機基を示すものであり、該有機基としては、例えば反応行程式 (A)に従ってジイソシ アナ一ト(a)と共にウレタンプレポリマー(c)を形成し得るポリオール (b)にお!/、て 2つ の水酸基( OH)を除く残基等が挙げられる。
[0012] 前記 Rは、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む 2価の有機基を示すもので
3
あり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式 (B)に従ってウレタンプレボリマ 一 (c)をゥレア結合により鎖延長し得る炭素数 6〜27の芳香族ジァミン化合物、炭素 数 6〜24の脂肪族ジァミン化合物および炭素数 6〜24の脂環式ジァミン化合物から 選ばれる少なくとも 1種のジァミン化合物(d)にお!/、てァミノ基 (-NH )を除く残基等
2
力 S挙げられる。前記脂肪族鎖は、炭素数 1のものも含む。
[0013] 前記 Rは、 4個以上の炭素を含む 4価の有機基を示すものであり、該有機基として
4
は、例えば後述する反応行程式 (C)に従ってゥレア結合部にイミドユニットを導入し 得る炭素数 6〜; 18の芳香族テトラカルボン酸二無水物および炭素数 4〜6の脂環式 テトラカルボン酸二無水物から選ばれる少なくとも 1種のテトラカルボン酸二無水物(f )の残基等が挙げられる。
前記 nは 1〜100、好ましくは 2〜50の整数を示す。前記 mは 2〜; 100、好ましくは 2 〜 50の整数を示す。
[0014] 前記一般式 (I)で表されるイミド変性エラストマ一(以下、イミド変性エラストマ一(I) とも言う。)の具体例としては、下記式(1)で表されるイミド変性エラストマ一等が挙げ られる。
[化 2]
[式中、 nは 1〜100の整数を示す。 mは 2〜100の整数を示す。 xは 10〜; 100の整 数を示す。 ]
[0015] イミド変性エラストマ一(I)は、ジイソシアナートとポリオールから得た分子両末端に イソシアナト基を有するウレタンプレボリマーをジァミン化合物でゥレア結合により鎖 延長し、テトラカルボン酸二無水物でゥレア結合部にイミドユニットを導入したブロック 共重合体であるのが好ましい。このようなイミド変性エラストマ一(I)は、例えば以下に 示すような反応工程式 (A)〜(C)を経て製造することができる。
[0016] [反応行程式 (A) ]
[化 3]
OCN— Ri-NCO ( a ) + HO— R2— OH ( b )
[式中、 R , R , nは、前記と同じである。 ]
1 2
[0017] (ウレタンプレポリマー(c)の合成)
上記反応行程式 (A)に示すように、まず、ジイソシアナ一 Ha)とポリオール (b)から 分子両末端にイソシアナト基を有するウレタンプレボリマー(c)を得る。本発明のイミド 変性エラストマ一(I)は、このウレタンプレポリマー (c)をエラストマ一成分とするので、 ゴム状領域 (室温付近)の弾性率が低くなり、よりエラスティックにすること力 Sできると共 に、このウレタンプレボリマー(c)の分子量を制御することにより、主鎖に連続した 2つ のイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合で導入することが可能となる。
[0018] 具体的には、前記ジイソシアナ一 Ha)としては、例えば 2, 4—トリレンジイソシアナ ート(TDI)、 2, 6—トリレンジイソシアナ一 HTDI)、 4, 4'ージフエニルメタンジイソシ アナ一 HMDI)、ポリメリック MDI (Cr. MDI)、ジァニシジンジイソシアナ一ト(DAD L)、ジフエニルエーテルジイソシアナート(PEDI)、ビトリレンジイソシアナ一 HTODI )、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、へキサメチレンジイソシアナ一 HHMDI)、ィ ソホロンジイソシアナート(IPDI)、リジンジイソシアナ一トメチルエステル(LDI)、メタ キシリレンジイソシアナ一 HMXDI)、 2, 2, 4—トリメチノレへキサメチレンジイソシアナ 一 HTMDI)、 2, 4, 4—トリメチノレへキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ダイマ ー酸ジイソシアナート(DDI)、イソプロピリデンビス(4ーシクロへキシルイソシアナート
) (IPCI)、シクロへキシルメタンジイソシアナート(水添 MDI)、メチルシクロへキサン ジイソシアナート(水添 TDI)、 TDI2量体 (TT)等が挙げられ、これらは 1種または 2 種以上を混合して用いてもよく、減圧蒸留したものを用いるのが好ましレ、。
[0019] 前記ポリオール(b)としては、例えばポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテ トラメチレンダリコール(PTMG)、ポリマーポリオール等のポリエーテルポリオール;ァ ジペート系ポリオール(縮合ポリエステルポリオール)、ポリ力プロラタトン系ポリオール 等のポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール; アクリルポリオール等が挙げられ、これらは 1種または 2種以上を混合して用いてもよ い。
[0020] 前記ポリオール(b) 、ポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリオールか ら選ばれる少なくとも 1種であると、特に耐熱性に優れるイミド変性エラストマ一(I)を 得ることができる。すなわち、このようなポリオール (b)を用いると、主鎖がポリカーボ ネート構造単位およびポリエステル構造単位の少なくとも一方を含むようになる。これ により、連続した 2つのイミドユニットによる耐熱性に加えて、ポリカーボネート構造単 位またはポリエステル構造単位による耐熱性も加わる。したがって、イミド変性エラスト マー(I)の耐熱性が向上する。
[0021] 前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリオール(多価アルコール)と、 ホスゲン、クロル蟻酸エステル、ジアルキルカーボネート、ジァリルカーボネート、アル キレンカーボネート等とを縮合重合させて得られるポリカーボネートポリオール等が挙 げられ、前記ポリオールとしては、例えば 1 , 6—へキサンジオール、 1 , 4 ブタンジ ォーノレ、 1 , 3—ブタンジォーノレ、ネオペンチノレグリコーノレ、 1 , 5—ペンタンジォーノレ 等が挙げられ、前記ジアルキルカーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、 ジェチルカーボネート等が挙げられる。ポリカーボネートポリオールの具体例としては
、ポリテトラメチレンカーボネートジ才ール、ポリへキサメチレンカーボネートジ才ール 等のポリカーボネートジオールが挙げられ、これらは 1種または 2種以上を混合して用 いてもよい。
[0022] 前記ポリエステルポリオールとしては、例えばポリカルボン酸とポリオールとを縮合 重合させて得られるポリエステルポリオール等が挙げられ、具体例としては、ポリェチ
レンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリテトラメチレ ンアジペート、ポリへキサメチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペート、 3—メチ ルー 1 , 5—ペンタンジオールとアジピン酸からなるポリオール、 ε—力プロラタトンを 開環重合して得たポリ力プロラタトンポリオール、ポリ力プロラタトンジオール、 /3—メ チルー δ バレロラタトンをエチレングリコールで開環することにより得られたポリオ一 ル等が挙げられ、これらは 1種または 2種以上を混合して用いてもよい。
[0023] さらに、前記ポリエステルポリオールとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタ ル酸、コハク酸、アジピン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸( 混合物)、ノ ラオキシ安息香酸、無水トリメリット酸、 ε 力プロラタトン、 β—メチルー δ バレロラタトンから選ばれる少なくとも 1種の酸と、エチレングリコール、プロピレン グリコール、 1 , 4 ブタンジオール、 1 , 5—ペンタンジオール、 1 , 6—へキサンジォ 一ノレ、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール 、 1 , 4ーシクロへキサンジメタノーノレ、ペンタエリスリトーノレ、 3—メチルー 1 , 5—ペン タンジオールから選ばれる少なくとも 1種のダリコールとの共重合体等が挙げられる。
[0024] ポリオール(b)は、 70〜90°C、;!〜 5mmHg、 10時間〜 30時間程度の条件で減圧 乾燥したものを用いるのが好ましい。また、ポリオール (b)の重量平均分子量は 100 〜10, 000、好ましくは 300〜5, 000であるのが好ましい。前記重量平均分子量は 、ポリオール (b)をゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた 測定値をポリスチレン換算した値である。
[0025] 反応は、上記で例示したジイソシアナート(a)とポリオール (b)とを所定の割合で混 合した後、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、室温で 1時間〜 5時間程度反応 させればよい。ジイソシアナ一 Ha)とポリオール (b)との混合比(モル)は、ジイソシァ ナー Ha):ポリオール (b) = l . 01 :;!〜 2 : 1の範囲にするのが好ましい。これにより、 得られるウレタンプレボリマー(c)の重量平均分子量を、下記で説明する所定の値に すること力 Sでさる。
[0026] すなわち、得られるウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量は、 300—50, 000 、好ましくは 500〜45, 000であるのがよい。この範囲内でウレタンプレポリマー(c) の重量平均分子量を制御して、イミドユニットを所望の割合で導入すると、柔軟な弾
性率を有するゴム状物で、かつ高強度および高耐熱性を有するイミド変性エラストマ 一(I)を得ること力できる。
[0027] より具体的には、ウレタンプレボリマー (c)の重量平均分子量を上記所定の範囲に すると、イミド変性エラストマ一(I)のイミド分率 (イミド成分含有率)を 5〜45重量%、 好ましくは 5〜40重量%にすることができる。該イミド分率は、イミド変性エラストマ一 中のイミド成分の割合を意味している。該イミド分率が前記所定の範囲にあると、主鎖 に導入される連続した 2つのイミドユニットの分布および割合が最適化され、その結果 、イミド変性エラストマ一(I)が、柔軟な弾性率を有するゴム状物で、かつ高強度およ び高耐熱性を有するようになる。これに対し、前記イミド分率が 5重量%より低いと、強 度や耐熱性が低下するおそれがあり、 45重量%を超えると、柔軟性が低下するおそ れがある。前記イミド分率は、原料、すなわちジイソシアナート(a)、ポリオール (b)、 後述するジァミン化合物(d)およびテトラカルボン酸二無水物(f)の仕込み量から算 出される値であり、より具体的には、下記式(α )から算出される値である。
[0028] 國 ィ ミ ド分率 (% ) = [ (W a ' + W c + W d ) Z Wヽ。 t a , ]■ X 1 0 0 . ' ■ ( α )
W t 0 t α , : W a + V b + W c + W d
W a : ジイ ソシアナ一 ト仕込量 (モル) Xジ 'イソシアナ一ト式量
W b : ポリオール仕込量 (モル) Xポリオール式量
W c : ジァミ ン化合物仕込量 (モル) Xジァミ ン化合物式量
W a:テトラカルボン酸二無水物仕込量 (モル) Xテ トラカルボン酸二無水物式量 w a . : [ジイ ソシアー ト仕込量 (モル) 一ポリオール仕込量 (モル) ] Xジイソシ アナ一ト式量
[0029] また、ウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量力 S、前記範囲内において小さい ほど、ハードなイミド変性エラストマ一(I)を得ることができる。これに対し、前記分子量 力 ¾00より小さいと、イミド変性エラストマ一(I)がハードになりすぎ、柔軟性が低下す るおそれがある。また、 50, 000より大きいと、イミド変性エラストマ一(I)がソフトになり すぎ、強度や耐熱性が低下するおそれがあるので好ましくない。前記重量平均分子 量は、ウレタンプレボリマー(c)を GPCで測定し、得られた測定値をポリスチレン換算 した直である。
[0030] [反応行程式 (B) ]
[式中、 R 〜R , n, mは、前記と同じである。 ]
l 3
[0031] (ポリウレタンーゥレア化合物(e)の合成)
上記で得られたウレタンプレボリマー(c)を用いて、反応行程式 (B)に従ってイミド 前駆体であるポリウレタン一ウレァ化合物(e)を合成する。すなわち、ウレタンプレポリ マー(c)をジァミン化合物(d)でゥレア結合により鎖延長してポリウレタン一ウレァ化 合物 (e)を得る。
[0032] 具体的には、前記ジァミン化合物(d)としては、例えば I , 4 ジァミノベンゼン (別 名: p フエ二レンジァミン、略称: PPD)、 I , 3—ジァミノベンゼン(別名: m フエ二 レンジァミン、略称: MPD)、 2, 4 ジァミノトルエン(別名: 2, 4 トノレエンジァミン、 略称: 2、 4—TDA)、 4, 4,ージアミノジフエニルメタン(別名: 4, 4,ーメチレンジァニ リン、略称: MDA)、 4, 4,ージアミノジフエニルエーテル(別名: 4, 4,ーォキシジァ 二リン、略称: ODA、 DPE)、 3, 4,ージアミノジフエニルエーテル(別名: 3, 4,ーォ キシジァニリン、略称: 3, 4'— DPE)、 3, 3,一ジメチル一 4, 4'—ジアミノビフエ二ノレ (別名: o トリジン、略称: TB)、 2, 2'—ジメチル— 4, 4'—ジアミノビフエニル (別名 : m トリジン、略称: m— TB)、 2, 2, 一ビス(トリフルォロメチル) 4, 4, 一ジアミノビ フエニル(略称: TFMB)、 3, 7—ジアミノージメチルジベンゾチォフェン 5, 5—ジ ォキシド(別名: o トリジンスルホン、略称: TSN)、 4, 4,一ジァミノべンゾフエノン、 3 , 3,一ジァミノべンゾフエノン、 4, 4,一ビス(4—ァミノフエ二ノレ)スルフイド(別名: 4, 4 'ーチォジァニリン、略称: ASD)、 4, 4,ージアミノジフエニルスルホン(別名: 4, 4, —スルホニルジァニリン、略称: ASN)、 4, 4,—ジァミノべンズァニリド(略称: DABA )、 I , n ビス(4—アミノフエノキシ)アルカン(n = 3, 4, 5、略称: DAnMG) I , 3—
ビス(4 アミノフエノキシ) 2, 2 ジメチルプロパン(略称: DANPG)、 1 , 2 ビス [ 2— (4 アミノフエノキシ)エトキシ]ェタン(略称: DA3EG)、 9, 9 ビス(4 アミノフ ェニル)フルオレン(略称: FDA)、 5 (6)—アミノー 1ー(4ーァミノメチル)ー1 , 3, 3— トリメチノレインダン、 1 , 4—ビス(4—アミノフエノキシ)ベンゼン(略称: TPE Q)、 1 , 3—ビス(4—アミノフエノキシ)ベンゼン(別名:レゾルシンォキシジァニリン、略称: TP E— R)、 1 , 3—ビス(3—アミノフエノキシ)ベンゼン(略称: APB)、 4, 4, 一ビス(4— アミノフエノキシ)ビフエニル(略称: BAPB)、 4, 4,一ビス(3—アミノフエノキシ)ビフエ ニル、 2, 2 ビス(4 ァミノフエノキシフエ二ノレ)プロパン(略称: BAPP)、ビス [4— ( 4 -アミノフエノキシ)フエニル]スルホン(略称: BAPS)、ビス [4— (3—ァミノフエノキ シ)フエ二ノレ]スルホン(略称: BAPS— M)、 2, 2 ビス [4— (4 アミノフエノキシ)フ ェニノレ]へキサフルォロプロパン(略称: HFBAPP)、 3, 3,ージカルボキシ 4, 4, —ジアミノジフエニルメタン(略称: MBAA)、 4, 6—ジヒドロキシ一 1 , 3—フエ二レン ジァミン(別名: 4, 6—ジアミノレゾルシン)、 3, 3'ージヒドロキシ 4, 4'ージアミノビ フエニル(別名:3, 3,—ジヒドロキシベンジジン、略称: HAB)、 3, 3, , 4, 4,—テトラ アミノビフエニル(別名:3, 3'ージァミノべンジジン、略称: TAB)等の炭素数 6〜27 の芳香族ジァミン化合物; 1 , 6—へキサメチレンジァミン(HMDA)、 1 , 8—オタタメ チレンジァミン(OMDA)、 1 , 9 ノナメチレンジァミン、 1 , 12 ドデカメチレンジアミ ン(DMDA)、 1 アミノー 3—アミノメチルー 3, 5, 5—トリメチルシクロへキサン(別名 :イソホロンジァミン)、 4, 4'ージシクロへキシルメタンジァミン、シクロへキサンジアミ ン等の炭素数 6〜24の脂肪族または脂環式ジァミン化合物; 1 , 3—ビス(3—アミノブ 口ピル) 1 , 1 , 3, 3—テトラメチルジシロキサン等のシリコーン系ジァミン化合物等 が挙げられ、これらは 1種または 2種以上を混合して用いてもよい。
[0033] 特に、 1 , 6 へキサメチレンジァミン (HMDA)を用いると、強度に優れるイミド変性 エラストマ一(I)を得ることカできる。 1 , 4—ビス(4—アミノフエノキシ)ベンゼン (TPE — Q)、 1 , 3—ビス(4—アミノフエノキシ)ベンゼン (TPE R)を用いると、耐溶剤性に 優れるイミド変性エラストマ一(I)を得ること力 Sできる。
[0034] 反応は、ウレタンプレボリマー (c)と、上記で例示したジァミン化合物(d)とを等モル 、好ましくは NCO/NH比が 1. 0程度の割合で混合した後、アルゴンガス等の不活
性ガス雰囲気下、室温〜 100°C、好ましくは 50〜; 100°Cにおいて、 2時間〜 30時間 程度で溶液重合反応または塊状重合反応させればよい。
[0035] 前記溶液重合反応に使用できる溶媒としては、例えば N, N ジメチルァセトアミド 、 N メチル 2 ピロリドン(NMP)、 N へキシル 2 ピロリドン、 1 , 3 ジメチル —2—イミダゾリドン等が挙げられ、特に、 N, N ジメチルァセトアミド、 N メチル一 2—ピロリドン(NMP)、 N キシル 2—ピロリドン、 1 , 3—ジメチル一 2—イミダゾ リドンが好ましい。これらの溶媒は、 1種または 2種以上を混合して用いてもよぐ定法 に従レ、脱水処理したものを用いるのが好ましレ、。
[0036] [反応行程式(C) ]
[化 5]
[式中、 R〜R , n, mは、前記と同じである。 ]
1 4
[0037] (イミド変性エラストマ一(I)の合成)
上記で得られたポリウレタン-ウレァ化合物(e)を用いて、反応行程式 (C)に従つ てイミド変性エラストマ一(I)を合成する。すなわち、テトラカルボン酸二無水物( で ゥレア結合部にイミドユニットを導入してブロック共重合体であるイミド変性エラストマ 一(I)を得る。
[0038] 具体的には、前記テトラカルボン酸二無水物(f)としては、例えば無水ピロメリット酸
(PMDA)、ォキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビフエ二ルー 3, 4, 3,, 4'ーテト
ラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフエノン 3, 4, 3' , 4'—テトラカルボン酸 二無水物(BTDA)、ジフエニルスルホン 3, 4, 3' , 4'—テトラカルボン酸二無水 物(DSDA)、4, 4'一(2, 2 へキサフルォロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物 (6FDA)、m (p) ターフェ二ルー 3, 4, 3' , 4'—テトラカルボン酸二無水物等の炭 素数 6〜; 18の芳香族テトラカルボン酸二無水物;シクロブタン 1 , 2, 3, 4 テトラ力 ルボン酸二無水物、 1 カルボキシメチルー 2, 3, 5 シクロペンタントリカルボン酸 2, 6 : 3, 5 二無水物等の炭素数 4〜6の脂環式テトラカルボン酸二無水物等が 挙げられ、これらは 1種または 2種以上を混合して用いてもよい。
[0039] 反応は、ポリウレタンーゥレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)とのイミド化 溶媒下のいずれであってもよい。溶媒下 でイミド化反応を行う場合には、まず、ポリウレタン-ウレァ化合物(e)と、上記で例示 したテトラカルボン酸二無水物(f )とを所定の割合で溶媒に加え、アルゴンガス等の 不活性ガス雰囲気下、 100〜300°C、好ましくは 135〜200°C、より好ましくは 150〜 170°Cにおいて、 1時間〜 10時間程度反応させて、下記式 (g)で表されるポリウレタ ンァミック酸 (PUA)を含む溶液 (PUA溶液)を得る。
[0040] [化 6]
[式中、 R n, mは、前記と同じ
1〜R , である。 ]
4
[0041] ここで、ポリウレタンーゥレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)との混合は、 ポリウレタン—ウレァ化合物(e)の合成で使用したジァミン化合物(d)とテトラカルボン 酸二無水物(f )との混合比(モル) ヽジァミン化合物(d):テトラカルボン酸二無水物 (f) = 1 : 2〜; 1 : 2. 02の範囲となる割合で混合するのが好ましい。これにより、確実に ゥレア結合部にイミドユニットを導入することができる。
[0042] 使用できる溶媒としては、上記反応行程式 (B)の溶液重合反応に使用できる溶媒 で例示したものと同じ溶媒を例示すること力 Sできる。なお、反応行程式 (B)において
溶液重合反応でポリウレタンーゥレア化合物(e)を得た場合には、該溶媒中でイミド 化反応を行えばよい。
[0043] ついで、上記で得た PUA溶液を例えば遠心成形機等に流し込み、 100〜300°C、 好まし < (ま 135〜200。C、より好まし < (ま 150〜; 170。C(こおレヽて、 100—2, OOOrpm 、 30分〜 2時間程度で遠心成形してシート状に成形し、 PUAシートを得る。
[0044] ついで、該 PUAシートを加熱処理 (脱水縮合反応)することにより、シート状の一般 式 (I)で表されるイミド変性エラストマ一(ポリウレタンイミド: PUI)を得ること力 Sできる。 加熱処理は、 PUAシートが熱分解しない条件であるのが好ましぐ例えば減圧条件 下におレヽて 150〜450。C、好ましく (ま 150〜250。C、 1日寺Ρ1〜5日寺 r ^程度であるのカ よい。得られるシート(PUIシート)の厚みとしては、例えば 50〜500 111程度である。
[0045] 無溶媒下でイミド化反応を行う場合には、通常の攪拌槽型反応器の他、排気系を 有する加熱手段を備えた押出機の中でも行うことができるので、得られるイミド変性ェ ラストマー(I)を押し出して、そのままフィルム状や板状に成形することができる。
[0046] 上記のようにして得られるイミド変性エラストマ一(I)は、柔軟な弾性率を有するゴム 状物で、かつ高強度および高耐熱性を有するようになる。具体的には、 50°Cでの貯 蔵弾性率 E'が 5 X 106 5 X 108Paであるのが好ましい。該貯蔵弾性率は、後述す るように、動的粘弾性測定装置を用いて測定して得られる値である。このような柔軟な 弾性率を有するイミド変性エラストマ一(I)は、ガラス転移温度 (Tg)力 S、通常、 30 60°Cであり、ゴム状弾性領域の温度範囲が広いものになる。イミド変性エラスト マー(I)が、柔軟な弾性率を有するゴム状物で、かつ高強度および高耐熱性を有す るようになる理由としては、以下の理由が推察される。すなわち、上記で説明した通り 、本発明のイミド変性エラストマ一(I)は、主鎖に連続した 2つのイミドユニットを、その 分布を制御しつつ所望の割合 (イミド分率)で導入することができるので、このイミドュ ニットからなるハードセグメントの凝集が均一かつ強固なものになる。このため、イミド 変性エラストマ一(I)は、より均一かつ強固なミクロ相分離構造を形成し、ガラス転移 温度が低くなることで、ゴム状弾性領域の温度範囲が広くなる。その結果、ポリウレタ ンをエラストマ一成分として含有し、柔軟な弾性率を有するゴム状物としても、高強度 および高耐熱性を有するようになる。
[0047] イミド変性エラストマ一(I)の重量平均分子量は 10, 000—1000, 000、好ましくは 50, 000—800, 000、より好まし < (ま 50, 000—500, 000であるのカよ!/、。これに 対し、前記分子量が 10, 000より小さいと、強度や耐熱性が低下するおそれがあり、 1000, 000より大きいと、成形性が低下するおそれがあるので好ましくない。前記重 量平均分子量は、前記 PUA溶液を GPCで測定し、得られた測定値をポリスチレン 換算した値から導き出した値である。なお、イミド変性エラストマ一(I)ではなぐ前記 PUA溶液を GPCで測定するのは、イミド変性エラストマ一(I)が GPCの測定溶媒に 不溶なためである。
[0048] 本発明のイミド変性エラストマ一は、柔軟な弾性率を有するゴム状物で、かつ高強 度および高耐熱性を有すると共に、熱可塑性を有するので、通常用いられる射出成 形機、押出成形機、ブロー成形機等で容易に成形でき、例えばシート、フィルム、チ ユーブ、ホース、ロールギア、ノ クキング材、防音材、防振材、ブーツ、ガスケット、ベ ノレトラミネート製品、被覆材、パーベーパレーシヨン用の分離膜、光学非線形材料、 弾性繊維、圧電素子、ァクチユエ一ター、その他の各種自動車部品、工業機械部品 、スポーツ用品等に使用することができる力 これらの用途に限定されるものではない
〇
[0049] 以下、合成例および実施例を挙げて本発明のイミド変性エラストマ一を詳細に説明 する力 本発明は以下の合成例および実施例のみに限定されるものではない。
[0050] 以下の実施例および比較例で使用したイミド変性エラストマ一は、以下の 18種類で ある。
<合成例 1〉
イミド変性エラストマ一(1)を下記式に基づいて合成した。
[式中、 nは 1〜100の整数を示す。 mは 2〜100の整数を示す。 xは 5〜; 100の整数 を示す。 ]
[0051] (ウレタンプレポリマー(j)の合成)
まず、 4, 4'ージフエニルメタンジイソシアナ一 HMDI) (h) [日本ポリウレタン工業( 株)社製]を減圧蒸留した。また、ボリォキシテトラメチレングリコール (PTMG) (i) [保 土谷化学 (株)社製の商品名「PTMG1000」、重量平均分子量: 1 , 000]を 80°C、 2 〜3mmHg、 24時間の条件で減圧乾燥した。
[0052] ついで、上記 MDI (h) 30. 4gと、 PTMG (i) 69. 6gとを、攪拌機およびガス導入管 を備えた 500mlの四つロセパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、 8 0°Cで 2時間攪拌して、分子両末端にイソシアナト基を有するウレタンプレボリマー (j) を得た。このウレタンプレボリマー (j)を GPCで測定した結果、ボリスチレン換算した 値で重量平均分子量は 1. 5 X 104であった。
[0053] (ポリウレタンーゥレア化合物(1)の合成)
上記で得たウレタンプレポリマー(j) 10gを脱水処理した N—メチルー 2—ピロリドン (NMP) 60mlに溶解させたものと、 4, 4,ージアミノジフヱニルメタン(MDA) (k) l . 034gを脱水処理した NMP20mlに溶解させたものとを、攪拌機およびガス導入管を 備えた 500mlの四つロセパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、室 温(23°C)で 24時間攪拌して、ポリウレタン一ウレァ化合物 (1)の溶液を得た。
[0054] (イミド変性エラストマ一(1)の合成)
上記で得たポリウレタンーゥレア化合物(1)の溶液中に、無水ピロメリット酸 (PMDA ) (m) 2. 276gを加え、アルゴンガス雰囲気下、 150°Cで 2時間攪拌して、ポリウレタ ンァミック酸 (PUA)溶液を得た。ついで、該 PUA溶液を遠心成形機に流し込み、 1 50°Cで 1 , 000rpm、 1時間遠心成形して PUAシートを得た。この PUAシートを減圧 デシケータ内で 200°C、 2時間加熱処理(脱水縮合反応)して、厚さ 100 mのシート 状のイミド変性エラストマ一(1) (PUIシート)を得た (イミド分率: 35重量%)。なお、前 記イミド分率は、前記式( α )から算出して得た値である。
[0055] 得られたイミド変性エラストマ一(1)の重量平均分子量は 57, 000であった。また、 このイミド変性エラストマ一(1)について、 KBr法にて IRスペクトルを測定した。その 結果を図 1に示す。
図 1力、ら明ら力、な うに、 1780cm—丄、 1720cm— 1お び 1380cm— 1にイミ K環に由 来する吸収が観察された。
[0056] <合成例 2〉
MDI (h) 30. 4gを 27. 3giこし、 PTMG (i) 69. 6gを 72. 7giこした以外 (ま、上記合 成例 1と同様にして、重量平均分子量が 2. 5 X 104のウレタンプレボリマー (j)を得た 。ついで、 MDA(k) l . 034gを 0. 721gにした以外は、上記合成例 1と同様にして、 ポリウレタンーゥレア化合物 (1)の溶液を得た。
[0057] このポリウレタンーゥレア化合物(1)の溶液中に加える PMDA(m) 2· 276gを 1. 58 6gにした以外は、上記合成例 1と同様にして厚さ 100 mのシート状のイミド変性ェ ラストマー(2) (PUIシート)を得た (イミド分率: 25重量0 /0)。得られたイミド変性エラス トマ一(2)について、上記合成例 1と同様にして IRスペクトルを測定した。その結果を
図 2に示す。
図 2力、ら明ら力、な うに、 1780cm— 1720cm— 1お び 1380cm— 1にイミ K環に由 来する吸収が観察された。
[0058] <合成例 3〉
MDI (h) 30. 4gを 23. 8giこし、 PTMG (i) 69. 6gを 76. 2g(こした以外 (ま、上記合 成例 1と同様にして、重量平均分子量が 4. 6 X 104のウレタンプレボリマー (j)を得た 。ついで、 MDA(k) l . 034gを 0. 378gにした以外は、上記合成例 1と同様にして、 ポリウレタンーゥレア化合物 (1)の溶液を得た。
[0059] このポリウレタンーゥレア化合物(1)の溶液中に加える PMDA(m) 2· 276gを 0. 83 lgにした以外は、上記合成例 1と同様にして厚さ 100 mのシート状のイミド変性ェ ラストマー(3) (PUIシート)を得た (イミド分率: 15重量%)。得られたイミド変性エラス トマ一(3)について、上記合成例 1と同様にして IRスペクトルを測定した。その結果を 図 3に示す。
図 3力、ら明ら力、な うに、 1780cm— 1720cm— 1お び 1380cm— 1にイミ K環に由 来する吸収が観察された。
[0060] <合成例 4〉
上記合成例 1と同様にして重量平均分子量が 1. 5 X 104のウレタンプレボリマー (j) を得、 MDA(k) l . 034gに代えて、 1 , 8—オタタメチレンジァミン(OMDA)を 0. 75 3g用いた以外は、上記合成例 1と同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液を 得た。
[0061] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(4) (PUIシート)を得た(イミド分率: 35重量%)。
[0062] <合成例 5〉
上記合成例 1と同様にして重量平均分子量が 1. 5 X 104のウレタンプレボリマー (j) を得、 MDA(k) l . 034gに代えて、 1 , 12—ドデカメチレンジァミン(DMDA)を 1 · 0 45g用いた以外は、上記合成例 1と同様にして、ポリウレタン—ウレァ化合物の溶液 を得た。
[0063] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(5) (PUIシート)を得た(イミド分率: 35重量%)。
[0064] <合成例 6〉
上記合成例 1と同様にして重量平均分子量が 1. 5 X 104のウレタンプレボリマー (j) を得、 MDA(k) l . 034gに代えて、 4, 4,一ジアミノジフエニルエーテル(ODA)を 1 . 045g用いた以外は、上記合成例 1と同様にして、ポリウレタン—ウレァ化合物の溶 液を得た。
[0065] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(6) (PUIシート)を得た(イミド分率: 35重量%)。
[0066] <合成例 7〉
上記合成例 3と同様にして重量平均分子量が 4. 6 X 104のウレタンプレボリマー (j) を得、 MDA(k) 0. 378gに代えて、 1 , 6—へキサメチレンジァミン(HMDA)を 0· 2 21g用いた以外は、上記合成例 3と同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液 を得た。
[0067] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 3と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(7) (PUIシート)を得た(イミド分率: 15重量%)。
[0068] <合成例 8〉
上記合成例 1と同様にして重量平均分子量が 1. 5 X 104のウレタンプレボリマー (j) を得、 MDA(k) l . 034gに代えて、 1 , 3—ビス(4—アミノフエノキシ)ベンゼン(TPE — R)を 1. 524g用いた以外は、上記合成例 1と同様にして、ポリウレタン一ウレァ化 合物の溶液を得た。
[0069] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(8) (PUIシート)を得た(イミド分率: 35重量0 /0)。得られたイミド変性エラストマ一(8)について、 KBr法にて IRスペクトル を彻 j定した結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 4こイミド環 ίこ由来する吸
収が観察された。
[0070] <合成例 9〉
上記合成例 1と同様にして重量平均分子量が 1. 5 X 104のウレタンプレボリマー (j) を得、 MDA(k) l . 034gに代えて、 1 , 4—ビス(4—アミノフエノキシ)ベンゼン(TPE — Q)を 1. 524g用いた以外は、上記合成例 1と同様にして、ポリウレタン—ウレァ化 合物の溶液を得た。
[0071] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(9) (PUIシート)を得た(イミド分率: 35重量%)。得られたイミド変性エラストマ一(9)について、 KBr法にて IRスペクトル を彻 j定した結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 4こイミド環 ίこ由来する吸 収が観察された。
[0072] <合成例; 10〉
上記合成例 8と同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液を得た。ついで、こ のポリウレタンーゥレア化合物の溶液中に加える PMDA (m) 2· 276gに代えて、ベ ンゾフエノン一 3, 4, 3' , 4'—テトラカルボン酸二無水物(BTDA)を 3. 362g用いた 以外は、上記合成例 8と同様にして厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一 (10) (PUIシート)を得た (イミド分率: 35重量%)。得られたイミド変性エラストマ一(1 0)について、 KBr法にて IRスペクトルを測定した結果、 1780cm— 1720cm— 1およ び lSSOcnT1にイミド環に由来する吸収が観察された。
[0073] <合成例; 11〉
上記合成例 9と同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液を得た。ついで、こ のポリウレタンーゥレア化合物の溶液中に加える PMDA (m) 2· 276gに代えて、 BT DAを 3. 362g用いた以外は、上記合成例 9と同様にして厚さ 100 mのシート状の イミド変性エラストマ一(11) (PUIシート)を得た (イミド分率: 35重量%)。得られたィ ミド変性エラストマ一(11)について、 KBr法にて IRスペクトルを測定した結果、 1780 l ZOcnT1および lSSOcnT1にイミド環に由来する吸収が観察された。
[0074] <合成例; 12〉
まず、ポリカーボネートジオール (PCD) [日本ポリウレタン工業 (株)社製の商品名「
ニッポラン 981」、重量平均分子量: 1 , 000]を 80°C、 2〜3mmHg、 24時間の条件 で減圧乾燥した。ついで、 PTMG69. 6gに代えて、上記の PCDを 69. 6g用いた以 外は、上記合成例 1と同様にして、重量平均分子量が 0. 8 X 104のウレタンプレポリ マーを得た。
[0075] このウレタンプレポリマーを用いた以外は上記合成例 1と同様にして厚さ 100 mの シート状のイミド変性エラストマ一(12) (PUIシート)を得た (イミド分率: 35重量%)。 得られたイミド変性エラストマ一(12)について、 KBr法にて IRスペクトルを測定した 結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 1にイミド環に由来する吸収が観察 された。
[0076] <合成例 13〉
まず、ポリ力プロラタトンジオール (PCU [ダイセル化学 (株)社製の商品名「プラタ セル 210」、重量平均分子量: 1 , 000]を 80°C、 2〜3mmHg、 24時間の条件で減 圧乾燥した。ついで、 PTMG69. 6gに代えて、上記の PCLを 69. 6g用いた以外は 、上記合成例 1と同様にして、重量平均分子量が 0. 6 X 104のウレタンプレボリマー を得た。
[0077] このウレタンプレポリマーを用いた以外は上記合成例 1と同様にして厚さ 100 mの シート状のイミド変性エラストマ一(13) (PUIシート)を得た (イミド分率: 35重量%)。 得られたイミド変性エラストマ一(13)について、 KBr法にて IRスペクトルを測定した 結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 1にイミド環に由来する吸収が観察 された。
[0078] <合成例; 14〉
上記合成例 12と同様にして重量平均分子量が 0. 8 X 104のウレタンプレボリマー を得、 MDA1. 034gに代えて、 TPE— Rを 1. 525g用いた以外は、上記合成例 1と 同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液を得た。
[0079] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(14) (PUIシート)を得た(イミド分 率:35重量%)。得られたイミド変性エラストマ一(14)について、 KBr法にて IRスぺク トノレを彻 j定した結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 4こイミド、環 ίこ由来す
る吸収が観察された。
[0080] <合成例; 15〉
上記合成例 12と同様にして重量平均分子量が 0. 8 X 104のウレタンプレボリマー を得、 MDA1. 034gに代えて、 TPE— Qを 1. 525g用いた以外は、上記合成例 1と 同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液を得た。
[0081] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(15) (PUIシート)を得た(イミド分 率:35重量%)。得られたイミド変性エラストマ一(15)について、 KBr法にて IRスぺク トノレを彻 j定した結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 4こイミド、環 ίこ由来す る吸収が観察された。
[0082] <合成例; 16〉
上記合成例 13と同様にして重量平均分子量が 0. 6 X 104のウレタンプレボリマー を得、 MDA1. 034gに代えて、 TPE— Rを 1. 525g用いた以外は、上記合成例 1と 同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液を得た。
[0083] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(16) (PUIシート)を得た(イミド分 率:35重量%)。得られたイミド変性エラストマ一(16)について、 KBr法にて IRスぺク トノレを彻 j定した結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 4こイミド、環 ίこ由来す る吸収が観察された。
[0084] <合成例; 17〉
上記合成例 13と同様にして重量平均分子量が 0. 6 X 104のウレタンプレボリマー を得、 MDA1. 034gに代えて、 TPE— Qを 1. 525g用いた以外は、上記合成例 1と 同様にして、ポリウレタンーゥレア化合物の溶液を得た。
[0085] ついで、このポリウレタンーゥレア化合物を用いた以外は上記合成例 1と同様にして 厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(17) (PUIシート)を得た(イミド分 率:35重量%)。得られたイミド変性エラストマ一(17)について、 KBr法にて IRスぺク トノレを彻 j定した結果、 1780cm— 1720cm— 1および 1380cm— 4こイミド、環 ίこ由来す る吸収が観察された。
<比較合成例 1〉
特開平 11— 106507号公報に記載の方法に従い、ジイソシアナートに MDI、ジァ ミン化合物にエラスマー 1000 (ィハラケミカル製)、テトラカルボン酸二無水物に PM DAをそれぞれ用いて、ポリウレタンをエラストマ一成分として含有しない下記式(18) に示す厚さ 100 mのシート状のイミド変性エラストマ一(18) (PUIシート)を得た (ィ ミド分率: 45重量%)。
[化 8]
[式中、 yは 10〜100の整数を示す。 zは 2〜500の整数を示す。 ]
上記で得たイミド変性エラストマ一(1)〜(; 18)を表 1に示す。
[表 1]
実施例 1
[0088] 上記合成例;!〜 3で得たイミド変性エラストマ一(1)〜(3)の各 PUIシートについて、 引張試験、動的粘弾性試験および熱分析試験を行った。各試験方法を以下に示す と共に、その結果を表 2および図 4〜図 6に示す。
[0089] (引張試験方法)
PUIシートを 3号ダンベルで打ち抜き、標線間 20mm、 500mm/分の条件で、 JIS K6251に準拠し、応力、破断強度 (TB)および伸び (EB)をそれぞれ測定した。
[0090] (動的粘弾性試験方法)
セイコーインスツルメンッ社(Seiko Instruments In )製の動的粘弾性測定装置「D MS 6100」を用い、 20Hz、 5°C/分、 100〜400°Cの昇温過程にて測定した。 ガラス転移温度 (Tg)は、 tan δのピーク温度から求めた。
[0091] (熱分析試験方法)
セイコーインスツルメンッ社(Seiko Instruments In )製の熱重量分析装置「TG/D TA 6200」を用い、窒素ガス雰囲気下、 10°C/分、室温〜 1000°Cの昇温過程に て測定した。
[0092] [比較例 1]
市販のポリウレタンを厚さ 100 mのシート状にしたものについて、上記実施例 1と 同様にして引張試験、動的粘弾性試験および熱分析試験を行った。その結果を表 2 および図 5,図 6に示す。なお、用いたポリウレタンは、以下の通りである。
•ポリウレタン:日本ミラクトラン (株)社製の商品名「ミラクトラン E394PDTA」、組成は PTMG1000/MDA/1 , 4 ブタンジオール(BD)
[0093] [比較例 2]
上記比較合成例 1で得たイミド変性エラストマ一(18)の PUIシートについて、上記 実施例 1と同様にして引張試験、動的粘弾性試験および熱分析試験を行った。その 結果を表 2および図 7に示す。
[0095] 表 2から明らかなように、ポリウレタンをエラストマ一成分として含有するイミド変性ェ ラストマー(1)〜(3)は、ウレタンプレボリマーの分子量を制御することにより、主鎖に 連続した 2つのイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合 (イミド分率)で導 入することができるのがわかる。これらのイミド変性エラストマ一(1)〜(3)は、表 2およ び図 4から明らかなように、優れた物理強度 (応力 ·破断強度)を示すと共に、ガラス 転移温度が— 44〜― 48°Cと低ぐ耐寒性に優れ、特に、柔軟性 (伸び)がポリウレタ ンよりも優れているのがわかる。また、図 5から明らかなように、イミド変性エラストマ一( 1)〜(3)は、柔軟な弾性率を有するゴム状物であり、かつゴム状弾性領域の温度範 囲が広くなる結果を示した。さらに、図 6から明らかなように、ポリウレタンよりも耐熱性 が向上しているのがわかる。
[0096] 一方、表 2および図 7から明らかなように、イミド変性エラストマ一(18)は、イミド変性 エラストマ一(1)〜(3)よりも柔軟性に劣る結果を示した。この結果から、イミド変性ェ ラストマー(18)では、使用するジァミン化合物の分子量が数千程度であるため、柔 軟なエラストマ一を得ることは困難であることがわかる。これに対し、本発明によれば、 エラストマ一セグメント量をウレタンプレボリマー合成により適宜制御でき、より柔軟な イミド変性エラストマ一が得られることがわかる。
実施例 2
[0097] 上記合成例 4〜6で得たイミド変性エラストマ一(4)〜(6)の各 PUIシートについて、
上記実施例 1と同様にして引張試験および動的粘弾性試験を行った。その結果を表 3および図 8,図 9に示す。なお、比較としてイミド変性エラストマ一(1)の試験結果も 併せて示す。
[表 3]
[0099] 表 3から明らかなように、本発明のイミド変性エラストマ一は、種々のジァミン化合物 を用いることにより、イミドユニットを所望の構造にできるのがわかる。また、種々のジ ァミン化合物を用いて得たイミド変性エラストマ一(4)〜(6)は、表 3,図 8および図 9 力も明らかなように、優れた物理強度 (応力 ·破断強度)および耐寒性を示すと共に、 柔軟な弾性率を有するゴム状物であり、かつゴム状弾性領域の温度範囲が広ぐ耐 熱性に優れてレ、るのがわ力、る。
実施例 3
[0100] 上記合成例 7で得たイミド変性エラストマ一(7)の PUIシートにつ!/、て、上記実施例
1と同様にして引張試験および動的粘弾性試験を行った。その結果を表 4および図 1 0,図 11に示す。また、比較としてイミド変性エラストマ一(1) , (3)、比較例 1で用い たポリウレタンの試験結果も併せて示す。なお、イミド変性エラストマ一(1) , (3)のう ち、動的粘弾性試験についてはエラストマ一(1)のみの試験結果を示した。
[0102] 表 4,図 10および図 11から明らかなように、ジァミン化合物が 1 , 6—へキサメチレン ジァミン(HMDA)であり、イミド分率が 15重量0 /0であるイミド変性エラストマ一(7)は 、ポリウレタンに対して優れた物理強度 (応力 ·破断強度)を示すと共に、同程度の弾 性を有し、かつゴム状弾性領域の温度範囲が広ぐ耐熱性に優れるのがわかる。特 に、図 11から明らかなように、イミド変性エラストマ一(7)は、熱可塑性を有すると共に 、ポリウレタンよりも可塑化温度が 100°C以上高温となっているのがわかる。
実施例 4
[0103] 上記合成例 1 , 3, 7で得たイミド変性エラストマ一(1) , (3) , (7)の各 PUIシートに ついて、引裂き試験、熱老化試験、耐溶剤性試験を行った。各試験方法を以下に示 すと共に、その結果を図 12〜図 15に示す。
[0104] (引裂き試験方法)
PUIシートをダンベルで切り込みなしアングル形に打ち抜き、 500m/分の条件で 、JIS K6252に準拠して測定した。
なお、引裂き試験については、イミド変性エラストマ一(1) , (3) , (7)のうち、エラス トマ一(3)を除!/、たエラストマ一(1) , (7)の各 PUIシートにつ!/、て評価した。
[0105] (熱老化試験方法)
PUIシートを 3号ダンベルで打ち抜き、 150°Cで 72時間、ギアオーブン中で熱老化 後、上記した引張試験方法と同じ条件で、 JIS K6257に準拠して引張試験を行つ た。そして、熱老化前後の破断強度を式: [ (熱老化後の破断強度/熱老化前の破
断強度)— 1] X 100に当てはめて強度低下率(%)を算出した。
[0106] (耐溶剤性試験方法)
PUIシートをトルエンおよびテトラヒドロフラン (THF)に室温(23°C)で 96時間浸漬 し、浸漬前後の重量増加を計量した。より具体的には、 PUIシートから幅 2. Ocm、長 さ 3. Ocmの試験片を切り出し、この試験片を前記条件で溶剤に浸漬し、浸漬前後の 重量を下記式( /3 )に当てはめて膨潤率(%)を算出した。
[数 2] 膨潤率 (¾> ) = [ ( S 2 - - S 1 ) S 1 ] X 1 0 0 · ' · ( 3 )
S 1 : 浸漬前の試験片の重量
S 2 : 浸漬後の試験片の重量
[0107] [比較例 3]
市販のポリウレタンについて、上記実施例 4と同様にして、引裂き試験、熱老化試 験、耐溶剤性試験を行った。その結果を図 12〜図 14に示す。なお、用いたポリウレ タンは、比較例 1で用いたポリウレタンと同じである。
[0108] 図 12〜図 15から明らかなように、イミド変性エラストマ一(1) , (3) , (7)は、引裂き 強度、耐熱性および耐薬品性に優れているのがわかる。特に、イミド分率の高い方が 、引裂き強度、耐熱性および耐薬品性に優れる結果を示した。また、ポリウレタンと比 較すると、図 12から明らかなように、ポリウレタンよりも引裂き強度が高ぐ図 14から、 ポリウレタンよりも耐熱性が向上しているのがわかる。なお、耐溶剤性試験において、 ポリウレタンは THFで完全に溶解した。この結果と図 14から明らかなように、イミド変 性エラストマ一(1) , (3) , (7)は、ポリウレタンよりも耐溶剤性に優れるのがわかる。 実施例 5
[0109] 上記合成例 8〜; 11で得たイミド変性エラストマ一(8)〜(11)の各 PUIシートについ て、上記実施例 1と同様にして引張試験および動的粘弾性試験を行った。その結果 を表 5に示す。また、上記実施例 4と同様にして耐溶剤性試験(トルエン)を行った。 その結果を図 16に示す。なお、比較としてイミド変性エラストマ一(1)の試験結果も 併せて示す。
[0111] 表 5から明らかなように、ジァミン化合物が TPE— Rまたは TPE— Qであり、テトラ力 ルボン酸二無水物が PMDAまたは BTDAであるイミド変性エラストマ一(8)〜(; 11) は、イミド変性エラストマ一(1)と同程度の優れた物理強度 (破断強度)を示すと共に 、ガラス転移温度が— 44〜― 60°Cと低ぐ耐寒性に優れ、柔軟性 (伸び)にも優れて いるのがわかる。特に、イミド変性エラストマ一(8)〜(; 11)は、図 16から明らかなよう に、耐溶剤性に優れているのがわかる。この結果から、ジァミン化合物に TPE— R、 T PE— Qを用いると、耐溶剤性に優れるイミド変性エラストマ一を得ることができると言 X·る。
実施例 6
[0112] 上記合成例 12〜; 17で得たイミド変性エラストマ一(12)〜(17)の各 PUIシートにつ いて、上記実施例 1と同様にして引張試験および動的粘弾性試験を行った。なお、 引張試験において、前記伸びは、破断伸びについて評価し、併せて 100%引張応 力についても評価した。
[0113] また、上記実施例 4と同様にして引裂き試験、熱老化試験および耐溶剤性試験(ト ルェン)を行った。なお、熱老化試験における熱老化の条件は、前記 150°Cで 72時 間の条件に代えて、 150°C、 180°Cおよび 200°Cの各温度において 96時間の条件 を採用した。さらに、応力緩和試験を行った。この試験方法を以下に示すと共に、こ れらの結果を表 6に併せて示す。
[0114] (応力緩和試験方法)
PUIシートを 1号ダンベルで打ち抜き、チャック間 50mmで取り付け、 500mm/分 で 5mm伸長させて停止し、停止後 30秒後の応力と 3630秒後の応力とを測定した。 そして、各測定値を式:(3630秒後の応力 /30秒後の応力) X 100に当てはめて応 力緩和(%)を算出した。
[0115] [比較例 4]
市販の耐熱性ポリエステルおよび耐熱性ポリウレタンを厚さ 100 H mのシート状にし たものについて、前記実施例 6と同様にして引張試験、引裂き試験、応力緩和試験、 熱老化試験、動的粘弾性試験および耐溶剤性試験を行った。その結果を表 6に示 す。なお、用いた耐熱性ポリエステルおよび耐熱性ポリウレタンは、以下の通りである
〇
•耐熱性ポリエステル:東洋紡績(株)社製の商品名「ペルプレン C 2000」 •耐熱性ポリウレタン: BASFジャパン (株)社製の商品名「エラストラン C85A50」
[0116] [比較例 5]
ポリアミド酸溶液 (宇部興産 (株)社製の商品名「Uワニス A」 )を遠心成形機に流し 込み、 150°Cで 1 , 000rpm、 1時間遠心成形してシート状にした後、減圧デシケータ 内で 200°C、 2時間加熱処理(脱水縮合反応)して、厚さ 100 mのシート状のポリィ ミド樹脂を得た。得られたポリイミド樹脂シートについて、前記実施例 6と同様にして引 張試験、引裂き試験、応力緩和試験、熱老化試験、動的粘弾性試験および耐溶剤 性試験を行った。その結果を表 6に示す。
[0117] [表 6]
[0118] 表 6から明らカ、なように、イミド変性エラストマ一(12)〜(; 17)は、優れた物理強度(1 00%引張応力、破断強度、引裂き強度および応力緩和)を示すと共に、柔軟性 (破 断伸びおよび 50°Cでの貯蔵弾性率 Ε' )にも優れているのがわかる。また、これらのィ ミド変性エラストマ一は強度低下率が小さぐしたがって高い耐熱性を有しているのが わ力、る。
[0119] 特に、ジァミン化合物が TPE— Rまたは TPE— Qであるイミド変性エラストマ一(14 )〜(17)は、耐溶剤性に優れているのがわかる。この結果から、ジァミン化合物に TP E— R、 TPE— Qを用いると、耐溶剤性に優れるイミド変性エラストマ一を得ることがで きると言える。
[0120] 一方、耐熱性ポリエステルは、イミド変性エラストマ一(12)〜(; 17)よりも、破断伸び には優れるものの、破断強度が低くい結果を示した。 200°Cにおける強度低下率は、 イミド変性エラストマ一(12) , (13)と同程度であるものの、 200°Cで 96時間後(すな わち熱老化後)の破断強度 TB力 S、小さい結果を示した。
[0121] 耐熱性ポリウレタンは、イミド変性エラストマ一(12)〜(; 17)よりも、破断伸びには優 れるものの、 100%引張応力、破断強度および引裂き強度が低くい結果を示した。ま た、 180°Cおよび 200°Cにおける強度低下率力 S、イミド変性エラストマ一(12) , (13) よりも劣る結果を示した。
[0122] ポリイミド樹脂は、イミド変性エラストマ一(12)〜(; 17)よりも、物理強度、耐熱性およ び耐溶剤性には優れるものの、破断伸びおよび 50°Cでの貯蔵弾性率 E'が低ぐ柔 軟性に劣る結果を示した。